どうも、早霜です。

この度、青葉さんの艦隊新聞にコラム「Bar Early Frost」を全五回連載することになりました。

特にこだわりはありませんが、お酒の供になるようなものを目指したいと思います。


　さて、初回ですが、まずはこのコラムの名前の由来から。

単純に早い霜ということになりますね。

何のひねりもありませんが、分かりやすさ重点ということで。

ところで、早霜には、秋に降りる霜という意味もございます。

妹の秋霜はまだ艦隊に来ないのでしょうか？


　では本題と参りますが、本日は皆さまにあまり馴染みが無いであろう、

「シェリー酒」を取り上げたいと思います。

何故取り上げたかと申しますと、司令官が昨日飲まれていたからです。

シェリーと言いますと、やはり一番有名なのは、探偵もののアニメの登場人物でしょうか。

また、食前酒としても知られていると思われます。


　では、そもそもシェリー酒とは何ぞや、と申しますと、スペインのヘレス地方で作られている、

ワインの発酵の途中に、ブランデーを加えたワインです。

いわゆる酒精強化ワインというものです。フォーティファイド・ワインとも言いますね。

日本ですとサントリーの赤玉スイートワインが有名です。

それに対して、通常のワインはスティル・ワインと呼ばれます。

この、発酵途中でブランデーを加えるというので、どういうお酒になるのかと言いますと、

単純にアルコール度数が上がりますね。それにより保存性が上がりますので、

スペインの温暖な気候においても、保管ができるようになっています。

また、船で輸出する際に、腐ることが防止できますね。

　一言でシェリー酒と申しましても、その種類は多くあります。そして味も多様です。

大まかですが甘いものから並べますと、ペドロヒメネス、モスカテル、クリーム、ミディアム、

オロロソ、アモンティリャード、マンサリーニャ、フィノといった感じでしょうか。

特にペドロヒメネスは銘柄によっては、1リットル中に糖分が300g以上残っているものもあります。

味は液体化したレーズンといったところでしょうか。

ちなみにカルピス原液には1リットルに500gの糖分が含まれているそうです。

一般的なジュースですと1リットル100g強ですね。

モスカテルはそれよりも甘さが抑えられていますが、それでもかなり甘口です。

甘口のワインとして知られているアイスヴァインや、5プットニョスのトカイよりも

甘く感じられるかと思います。


　クリーム、ミディアムは辛口と甘口のシェリー酒を混合したものですので、

味は中間といったところです。

オロロソ辺りで甘い/辛いの評価が変わっていくようです。オロロソ自体は辛口シェリーですが、

銘柄によって味わいが異なるようです。この辺りからシェリーの用途として一般に言われる

「食前酒」向きになるかと思います。


　逆に甘いもの、ペドロヒメネスやモスカテルは食後酒向きですね。

ただ、飲み方は自由ですので、もちろん食前酒や食中酒として用いてもいいでしょう。

強烈に甘いので、飲み方として適切かは保証の限りではありませんが。

　飲み方としましては、ストレートはもちろん、各種カクテルにも利用されています。

ペドロヒメネスなどはストレートで飲むよりは何かで割った方が賢明かと。

シェリーはワインと比べても味が強いですので、割って飲むのにも耐えられますし。

まぁストレートでももちろん構いませんが、血糖値の高い方には勧められませんね。

今の季節ですと炭酸で割ってレモンを絞るといいでしょう。

辛口のものはシェリートニックにするのがこの季節お勧めですね。


　食前に引っ掛けるにも、食後にゆっくり飲むにも適したお酒です。

各種取り揃えていますので、是非カウンターバーにてご指名下さい。

ではまた次回、お会いしましょう。

　コラム「Bar Early Frost」第二回です。

今回はジンを肴とさせていただきます。

とはいっても、前回のような解説ものにしてもつまらないので、

艦隊の皆さんがどういった飲み方で飲んでいるかを、挙げていきたいと思います。


　まずは司令官から。司令官は大体ジン・トニックかジン・リッキーをお飲みになります。

ジン・トニックには銘柄の指定があり、ビーフィーター1：ゴードン2の割合です。

司令官曰く、大昔に見たテキストサイトに載っていたレシピだそうです。

「ゴードンが1だったかもしれんがゴードン2の方が好みかな」とおっしゃっていましたが。

私も名前を聞いて検索しましたが、現在消失しているようです。残念ですね。

消失といえば、司令官は時々、「infoseek消滅でチョウヘンエーエーが大打撃を受けた！！」

「カモメが消し飛んだのはあまりに痛恨だった！！」

などと酔った時にはおっしゃいますが、何のことなんでしょうか？

　ジンといえば、ストレートで飲むのもいいですが、やはりカクテル用途が多いですね。

そしてジンを使ったカクテルといえば、もちろんマティーニです。

マティーニ程、各人のこだわりのあるカクテルも無いでしょう。

艦隊の皆さんも、各々の好みで様々なマティーニを注文されます。


　例としましては……、

木曾さん……スイートベルモット1：ジン3

　　　　　　酒くらいは甘い方がいいとのことです。

川内さん……ドライベルモット1：ウォッカ3、ステアせずにシェイクで。

　　　　　　ジェームス・ボンドの飲み方ですね。

司令官……ドライベルモット1：ジン3

　　　　　一般的なドライ・マティーニです。

　　　　　ただしジンの銘柄はタンカレー指定です。

金剛さん……ドライベルモット1：ジン15

　　　　　　ジェネラル・モンゴメリスタイルだそうです。

妙高さん……ドライベルモットでグラスをリンスし、その後ジンを注ぐ

武蔵さん……ドライベルモットを1ダッシュ、そしてジンを注ぐ

足柄さん……ドライベルモットで濡らしたコルクでグラスをぬぐい、そこにジンを注ぐ

那智さん……ドライベルモットを一滴入れ、ジンを注ぐ

不知火さん……ジンを満たしたグラスに、ドライベルモットを含んだ後の息を吹きかける

陸奥さん……ジンをストレートで出し、ドライベルモットの瓶を正面に置く

伊19さん……ジンをストレートで出し、ドライベルモットの瓶を斜め前に置く

響さん……ジンをストレートでマティーニとして出す

　　　　　曰く「頭の中のドライベルモットと合わせて飲む」だそうで


いかがでしょうか、皆さん面白い程レシピが分かれます。

　当カウンターバーでは、マティーニの他にもジンを使った各種カクテル、

またストレートやロックでもお出ししています。

ジンの銘柄も各種、ただしギルビーだけは司令官の意向で置いていませんが、

取り揃えていますので、ぜひお尋ねください。

それではまた、「Bar Early Frost」でお会いしましょう。

　三回目を迎えましたコラム「Bar Early Frost」です。

三と言いますと、潜水艦の方々にはあまりよろしい数字では無いそうですね。

伊33のお話を聞いた時には不覚にも夜が怖くなりました。

しばらくは秋雲さんのアシスタントをやって夜をしのぎましたが、

あのような経験は二度と御免ですね。


　そういえば秋雲さん曰く、エーエーとは文字を組み合わせて絵にしたものだ、

と実物を見せてもらったのですが、よくあんなものが作れるのだと思いました。

私のものも何故かありましたが、よくできていましたね。

青葉さんにここに載せて下さいと頼んでみたのですが、フォントなどの関係で

無理だと言われてしまいました、残念です。


　さて、今回はウイスキーについて書きたいと思います。

前回司令官のことを書いたのが好評だと伺いましたので、

司令官が愛飲しているウイスキーについてでも書こうかと思います。

　全般的に、司令官は煙たいウイスキーが好きなようです。

大規模作戦の前などは、お金が無いと言って決まって安いホワイトホースを飲んでおられますが、

あれは安いものの中では煙たい方ですし、

余裕のある時は大体アイラ島の煙たいウイスキーを飲まれています。

バランタインファイネストも煙たい部類ですが、「17年と比べてしまって何か苦手」

と言っておられました。一度30年をお出ししてみたいものです。

味覚が上書きされると後々大変ですよね。


　煙たいと申し上げましたが、そのような味がつく理由は、

製造途中で原料の大麦の発芽を止めるために、麦芽を燻すんですが、

その際に使われる燃料の泥炭（ピート）の臭いがつくからなんですね。

泥炭は石炭と同じ植物由来の燃料ですが、炭化が進んでいませんので、

植物由来の成分が多く残っていて、燃えると正露丸のような匂いが発生します。

その匂いがお酒に残っているんですね。

正露丸も植物由来のお薬ですので、似たような匂いになるのでしょう。

そういえば金剛さんが「紅茶にも正露丸臭いのがありますネー」とおっしゃっていました。

一度飲んでみたいものです。


　で、司令官が好むアイラ島のウイスキーというのは、概ねこの泥炭の匂いが強いんです。

好きな人は本当に好きだという話は伺っていましたが、司令官を見ると納得です。

ちなみにアイラ島のもので煙たければ何でもいいそうです。こだわりがあるのか無いのか……。

合わない方には徹底的に合わない類のお酒なんですけどね。

　逆に那智さんが愛飲している達磨ことサントリーオールドは煙たくないウイスキーですね。

日本人好みの甘いウイスキーです。水割りにするのが定番かと思われます。

ハイボールにするには少々勿体ない気がします。安いんですけどね。


　ちなみにとある漫画でも指摘されていますが、かつてオールドには混ぜ物がされていました。

また、以前は高級品でしたし、瓶が黒くて中身が見えにくいので、

たちの悪い店ですと、ボトルキープにしているものから、

少し抜いて別の安いウイスキーを追加したりといったような、

色々黒い話もございます。まぁそれだけ日本に根付いたものなのでしょう。

今は安いですし、もうやってないとメーカーも言っていますので、そういうことは無いでしょう。

ただ、混ぜ物をしていると言われる時期のものを飲んだことがありますが、

意外とおいしかったです。不思議なものですね。住所が堂島浜通でしたので間違いありません。

　黒い話と言いますと、私達が艦だった頃には高翌嶺の花だったものですが、

オールドパーというお酒があります。

昭和、と言っても戦後ですが、の贈答品では定番の一つだったと伺っています。

特に政治家の方には、斜めにしても倒れないので、縁起がいいと好まれていました。

有名どころですと、吉田茂や田中角栄が愛飲していましたね。

ですがそれだけではなく、オールドパーの箱には丁度一千万円がすっぽり入るらしく、

そういった、”山吹色のお菓子”という意味でも大活躍だったそうです。


　黒い話が続きましたが、ウイスキーの成り立ちに密造というものが、

大変深くかかわっていますので、それも仕方ないことです。

泥炭も手軽に使えるから使ったものですし、樽に詰めるのは元々は摘発逃れで隠すためです。

まぁ公の側の艦娘があまり言ってもいけないとは思いますが。


　こういった黒い話は書き連ねるのも面白いのですが、

流石に文面が真っ黒になる前に筆を置きたいと思います。

気になる方は調べてみてください。色々と面白いですよ。


　カウンターバーでは各種ウイスキーを取り揃えています。好みのものを探してください。

ではまた次回、お会いしましょう。

　第四回「Bar Early Frost」です、皆さまこんにちは。

コラムを読んだ司令官から、「お前本当に清霜の二つ上なだけなのか？」

などと言われました。実際そうなんですから仕方ありません。

巻雲姉さんが二番目なんですし、そこまで順番にとらわれる必要もないと思いますが。


　順番と申しますと、このコラムも順番というものが守られていない気がします。

シェリー酒にジンときてウイスキーですので。

まぁお酒が絡みますと、整合性やらは吹っ飛びますので、ご容赦下さい。


　では今回は、蒸留酒が続いたので醸造酒のお話で。

カウンターバーで遭う確率の高いビールのお話です。

司令官は何でも飲まれますが、ビールも大好きなのは皆さんご存知かと思います。

出たときは大体「おビール様！！　おビール様！！」とはしゃいでいます。

ビールが好きな気持ちは十分に伝わりますので、落ち着いてほしいものです。


　ビールと言いましても、大別して二種類。ラガーあるいはピルスナーとエールがあります。

ラガーは一般的なビールです。エールとの違いは一言で申しますと酵母が違います。

ラガーは下面発酵酵母を使ったビールです。ビールの底で酵母が発酵を行います。

エールは上面発酵ですので、ビールの上の方で発酵が行われます。

一般的にラガーがキレやコクを楽しみ、エールは芳醇な香りを楽しむと言われています。

最近はエールも手に入りやすくなりましたので、気になる方は是非試してみてください。

司令官はどちらも好まれます。呑兵衛にこだわりはないということでしょうか。

　呑兵衛といいますと一度強烈な体験をしたことがあります。

鎮守府の一般公開の際に、ビールと簡単なおつまみを出していたのですが、

近所の神社の神主さんがグッとガッツポーズをしただけで、

用意していたお酒が全部消えたことがありました。あれは一体何だったのでしょうか？


　あの後、大淀さんに必死に説明して、急きょお金を出してもらい、

他のお客様にお出しするお酒が無いという事態だけは避けられましたが。

空になったビールサーバーを見た大淀さんも唖然としていましたね。

その後何故か司令官の隠していた山崎25年を飲み干していましたが。

飲むのも程ほどにしてほしいものです。司令官はその後一週間位白い灰と化していました。

大淀さんが狼狽して丸坊主になろうとしたり、あの時は本当大変でした。

結局大淀さんが山崎25年を買い戻して司令官も元に戻りましたが。


　話をビールに戻しますと、少し前まで海外では度数の高いビール争いをしていました。

ビールを凍らせたりして、度数を上げるらしいのですが、詳しい原理は存じていません。

確か最大で60%を超えていたと思います。

　そういったビールの中に英国製の「Sink The Bismark」などという、

ビスマルクさんが聞いたら怒りそうなものもあります。

今は終売のようでして、手に入らないようです。

司令官が飲んでみたいと言っておられましたが、結局飲まれたのでしょうか。

日本でも「Sink The POW」を出してもいいと思いますが。


　ここで盛大に話は逸れますが、マレー沖海戦にてプリンス・オブ・ウェールズを沈めた、

第二十二航空戦隊の司令官松永貞市少将は、あの梟雄松永久秀の子孫だそうです。

ご子息の松永市郎大尉は海軍関係の著作をいくつか執筆しています。

名取さんが沈没した際の生き残りの一人で、その話も書かれていますので、ぜひご一読下さい。


　ちなみに外国向けに松永久秀の伝記を発表する際に、初めか終わりに、

松永貞市少将について書けば、売れるのではないかと思っていますが、いかがでしょう？

需要があるかどうか分かりませんが。


　カウンターバーでもビールを色々取り扱っています。

苦手な方向けに甘い味のするビールなどもありますので、ぜひ来てください。

それではこの辺りで失礼します。また次回お会いしましょう。

　本日は五回目の「Bar Early Frost」です。

　こんなにお酒の話ばかり書いていていいのかとも思いますが、

"Alcohol is our greatest enemy, but Bible tell us to love our enemy."

などという言葉もありますので、このままで行きます。

ただ汝の敵を愛せと言われましても、深海棲艦を愛せるとは到底思いませんが。

分かり合える日などというものがあるのであれば、是非立ち会いたいものです。


　ここでお知らせです。初回で申し上げた通り、今回でこのコラムは終了です。

青葉さんのお願いで連載していましたが、文章を定期的に書くのはなかなか大変です。

艦隊新聞を欠かさず発行する青葉さんの気力といいますか、力はすごいですね。


　そういえばこの肉体になってから、お酒を飲んでいますが、

駆逐艦の私がお酒を飲んでも大丈夫なのか少々疑問ではありますね。

人間ですと、未成年ですと親の代わりにお酒を買うのもできない位厳しいそうですし、

駆逐艦は大体未成年みたいな見た目ですからね。


　司令官曰く、基本的人権は日本国民に準ずる、ただし年齢は全員一律20歳以上とする、

という法律で艦娘は動いているそうです。巻雲姉さんも20歳以上扱いだったりします。

公務員ですので、労働基準法の適用外なんですが、流石に色々とうるさいそうで。

　ですがそのお陰でお酒を飲めるのはありがたいことです。

海では色々嫌なこともありましたし、飲みたい気分にもなりますから。


　それにお酒を振る舞うのも楽しいですしね。

お酒の入った会話は素面の時とはまた違いますし。

ただポーラさんや隼鷹さんみたいに常に飲んでそうな方は問題だと思いますが。

艦娘に肝臓があるのかどうかは分かりませんけど、ポーラさんは個人的に心配です。

あの状態で砲撃を当てたり、艦載機の発着艦をこなしているのは名人芸の域ですね、本当。

それとも映画で見た酔拳のようなものでしょうか？


　飲酒量で言いますと、武蔵さんや伊19さん、千歳さんも負けていませんね。

朝霜姉さんも多いんですけど、大丈夫なんでしょうか。

艦隊行動をとっている時は酔っているような気配は全く感じないんですけど。

加古さんは酔っているのか眠気なのかちょっと区別がつきませんが。

あれも酔拳と同じように、睡拳という流派なのかもしれません。

艦娘も人間のように個体によって酒の強さが変わるのは面白いんですけどね。

あの凛々しい長門さんが全く飲めないのは本当に意外でしたが。

　文章がとびとびで申し訳ないんですが、執筆中に試作品を飲んでいるんです。

金剛さんに冗談でロングアイランドアイスティーをお出ししたんですが、

「紅茶じゃないネー」と言われまして、あっと言わせたく精進しています。

ティーリキュールを使えばもっと楽なのでしょうが、それですと負けた気がしますし。

紅茶みたいな味と見た目を求めたカクテルですが、度数が結構高いんです。

焼酎程度と思って下されば大丈夫です。


　最終回ですが、締まらないのもまた酒飲みコラムとしては正しい形だと思います。

それでは、またカウンターバーでお会いしましょう。

あ、次回からは萩風さんのコラム、「健康第一」が始まります。

そちらもよろしくお願いします。

―――早霜自室


青葉「原稿を取りに来たんですが、書き終わった後寝てしまったのでしょうか？

　　　意外とかわいい寝顔ですね、それでは一枚」

青葉「司令官や不知火さんが喜ぶといいんですが」


　早霜の寝顔写真は現在、提督と不知火の手帳にはさまれているが、

そのことを早霜が気づく日は来るのか、定かではない。