雪乃「奉仕部へようこそ、斉木楠雄くん」 (262)

斉木(僕の名前は斉木楠雄。超能力者である。そして……)

平塚「放課後に時間をとらせてしまってすまないな。楠雄」

斉木(彼女の名前は平塚静。僕の叔母である)

平塚「実は楠雄にお願いがあるんだが……」

斉木(嫌な予感がするな)

平塚「楠雄にある部活に入部して欲しいんだが」

斉木(断る。部活動なんてまっぴらごめんだ)

平塚「そう言うと思ったよ。もちろんたたでとは言わない。入部してくれたら高級コーヒーゼリー1年分を与えようじゃないか」

斉木(っ!?)

平塚「悪くないだろう? 高校生のお小遣いじゃ気軽に買えない高級コーヒーゼリーだぞ」

斉木(とりあえず話を聞こうじゃないか)

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説明後


斉木(なるほど。簡単に言うと奉仕部の二人が問題児だから介護の為に入部しろと言うことか)

平塚「二人とも優しい子なんだ。ただ危ういところがあってね」

斉木(そこまで生徒のことを把握しているのか。さすが生活指導の先生だけあるな)

平塚「それに部活と言っても依頼がない時は好きなことをしてもいい」

斉木(それは部活と言えるのだろうか?)

平塚「入部してくれるか?」

斉木(ふむ。放課後はあの馬鹿共に付き合わされることが多い。だが入部すれば部活を理由に誘いも断れる)

平塚「……よし。週に一度ケーキバイキングにも連れていこうじゃないか!」

斉木(そこまで言うなら仕方ない)

奉仕部


平塚「失礼するぞ」

雪乃「平塚先生。入る時にはノックを、とお願いしていたはずですが……」

平塚「ああ、すまない」

雪乃「隣の彼は?」

平塚「紹介しよう。この子の名前は斉木楠雄。新入部員だ」

斉木「……」

八幡(確か隣のクラスの奴だったか?)

雪乃「新入部員ですか?」

平塚「ああ。実はこの子はわたしの甥っ子なんだがシャイで社交性がなくてな」

雪乃「つまり奉仕部に入部させて社交性を高めて欲しいということですか?」

平塚「その通りだ。比企谷と一緒に面倒を見てくれるか?」

雪乃「わかりました」

平塚「頼んだぞ。それじゃわたしは失礼する」

雪乃「はい。わたしの名前は雪ノ下雪乃。奉仕部へようこそ、斉木楠雄くん。歓迎するわ」

斉木(雪ノ下雪乃。確か学校でトップクラスの美少女だったか)

八幡「……うす」

斉木(彼のことはよく知っている。比企谷八幡。佐藤くんと同じく僕が注目している男だ)

雪乃「平塚先生から奉仕部の活動内容については聞いているかしら?」

斉木(問題ない。読書用に本も用意してきた)

雪乃「そう。比企谷くんも自己紹介をしなさい」

八幡「ひ、ひ、ひ、比企谷だ。よろしく」

斉木(凄い腐った目をしているな。顔は整っているのに燃堂のような目のせいで台無しだ)

30分後


斉木(しかし本当に暇だな。まあ、静かに読書が出来ているから文句はないが。それより……)

雪乃(今日も比企谷くんに謝れそうにないわ。わたしが運転していたわけじゃないけれど謝罪はするべきなのに!)

斉木(なるほど。二人にはそういう経緯があったのか。比企谷は気づいてないようだが)

八幡(早く家に帰りてぇ。ん?)

斉木(なんだ?)

八幡「斉木、それってソーマの最新刊か?」

斉木(そうだが?)

八幡「そ、そうか……」

八幡(もう出てたのか。立ち読みで見逃した話があったんだよな。これで普通なら貸してくれと言えるんだろうが……)

斉木(やれやれ。読み終わったら貸してやろうか?)

八幡「い、いいのか?」

斉木(そんな本の貸し借りくらいで驚かれても困るんだが)

雪乃「斉木くんは漫画が好きなのかしら?」

斉木(僕に限らず男子はみんなそうじゃないか?)

雪乃「見るからに軽薄そうな本ね。もっと教養がある本を読んだ方がいいんじゃないかしら?」

斉木(会って初日の僕に対してなんて酷い言いぐさだろうか)

雪乃(あー、またわたしは暴言を……。何でわたしも漫画に興味があると言えないのかしら……)

斉木(なるほど。……面倒くさい女だ)

雪乃「比企谷くんも鼻の下を伸ばしてないで読書に集中したら?」

八幡「伸ばしてないから……」

八幡(なんでばれんだよ。魅力的な秘書子が悪い)

斉木(比企谷は秘書子派だったか)


燃堂「お、相棒ここにいたのかよ」


雪乃「ひっ!」

斉木(燃堂? なんでこいつがここにいる!?)

燃堂「随分探したぜ。とりあえずラーメン食い行こうぜ」

斉木(行かない。なぜなら僕には部活があるからだ)

燃堂「相棒、部活に入ってたのかよ。よし、ラーメン食いに行こうぜ」

斉木(なにがよしなんだ)

雪乃「さ、斉木くん。彼は?」

燃堂「おっふ」

斉木(ほう。燃堂が照橋さん以外におっふをしたか)

八幡(斉木ってヤンキーの相棒だったのか)

斉木(違う。この馬鹿が勝手に言ってるだけだ。名前は燃堂力。僕のクラスメイトだ)

雪乃「そ、そう。斉木くんの友人なのかしら?」

斉木(断じて違う)

燃堂「おうよ。おれっちと相棒はズッ友よ!!」

斉木「」

雪乃「さ、斉木くん。友人は選んだ方がいいと思うのだけれど」

斉木(言われなくてもわかっている)


結衣「し、失礼しまーす。あれ? なんでヒッキーが……」


燃堂「お?」

結衣「ひぃっ!?」

燃堂「お? お? お?」

斉木(いつからおしか言えなくなった?)

結衣「きゃぁぁぁぁぁあああああああ!!」

雪乃「今のは何だったのかしら?」

八幡「さぁな。とりあえずどうすんだ?」

燃堂「んだ? おれっちに惚れて恥ずかしさのあまりに退散しちまったのか?」

斉木(お前自分の顔面見たことないのか?)

雪乃「燃堂くんと言ったかしら?」

燃堂「お?」

雪乃「斉木くんは部活があるからあなたとは付き合えないわ。だから……っ!」

雪乃(ケツアゴが凄すぎるわっ! え? なにこのケツアゴは!?)

燃堂「お、おう。相棒、またな!」

斉木(二度と来るな)

八幡「……なんか凄いなアレ」

斉木(比企谷に悪いことをしてしまった。フラグを一本折ってしまった)

八幡「ん? もう読み終わったのか?」

斉木(だが比企谷と彼女は同じクラスのようだしまだチャンスはあるだろう)

八幡「悪いな」

八幡(やべえ。初めて同級生から漫画を借りてしまった。どうやって返せばいいんだ? ブックカバーを付けるべきか?)

斉木(そこまで気を使ってもらっても困るんだが)

雪乃(はぁ、怖かったわ。膝がガクガクしているじゃない……)

斉木(燃堂が相手なら仕方ないだろう。むしろ馬鹿相手にはっきりとものを言えただけで称賛に値する)

雪乃(けれど部長の面目は保てたわ。……この調子で明日こそ比企谷くんに謝らなくては)

斉木(こうして僕の部活動初日が終わったのである)

ここまで

あ、俺ガイルと斉木のクロスです
斉木×八幡ではないのでよろしく

翌日 奉仕部


八幡「斉木、読み終わったから返すわ。……あ、あ、ありがとな」

斉木(もう少しスマートにお礼を言えるように頑張れ)

雪乃(わたしにも貸してくれないかしら……。無理よね。昨日あんなに馬鹿にしてしまったもの)

八幡「雪ノ下、お前もソーマに興味あるのか?」

雪乃「……っ! な、なにを言ってるのかしら。わたしはそんな漫画に興味なんてないのだけれど!?」

八幡「いや、凄い見てたし」

雪乃「それは錯覚よ。可哀相に。目がそんなに腐っているから錯覚しか見えないのね」

八幡「いや、腐ってても錯覚は見えねえよ」

斉木(本当に素直になれない女だ)

雪乃「な、なにかしら?」

斉木(読みたいんだろう。ならさっさと受け取れ)

雪乃「そ、そう。そこまでわたしに読んで欲しいのなら読んであげないこともないのだけれど」

雪乃(やったわ! 斉木くんがわたしにも漫画を貸してくれた!!)

八幡(雪ノ下は胸がないえりな様だな)

雪乃「……比企谷くん、今何か失礼なことを考えなかった?」

八幡「……っ!」

斉木(ほう。雪ノ下は心が読めるのか)

八幡「か、考えてない……です……」

雪乃「そう。ならいいのだけれど」

雪乃(この漫画を読んで感想を言い合えば上手く謝罪に持っていけるかもしれないわ)

斉木(この女は謝罪をするのにどれだけ労力を掛けているんだ?)

10分後


雪乃(胸が大きいキャラが多いわね。不快だわ)

斉木(自分の身体を恨むんだな)


結衣「し、失礼しまーす」


斉木(昨日のビッチか?)

八幡(確か昨日来てた女子だな)

結衣(よかった。今日はあの怖い人いないや)

雪乃「……」

結衣「え、えっと……」

雪乃「あなた、不快だわ」

結衣「えっ!?」

斉木(だから自分の身体を恨めと)

結衣「ひ、ヒッキー。あたし、あんま歓迎されてない感じ?」

八幡「ヒッキーって俺のことか?」

結衣「当たり前じゃん」

斉木(比企谷は引きこもりだったのか)

八幡「いや、違うから。……違くはないか」

斉木(どっちだ)

雪乃「たしか由比ヶ浜結衣さんだったかしら」

結衣「あ、あたしのこと知ってるんだ」

八幡「お前よく知ってるなぁ。……全校生徒覚えてんじゃねえの?」

雪乃「そんなことないわ。あなたのことなんて知らなかったもの」

八幡「そうですか……」

雪乃(あぁ、またわたしは何を言って……。これじゃ謝罪しにくくなるじゃない!!)

斉木(暴言を吐いた方も吐かれた方も傷ついてるじゃないか)

雪乃「それで奉仕部に何か用かしら?」

結衣「うん。平塚先生に相談したらここに行けって言われて」

雪乃「何か相談事でもあるのかしら?」

結衣「あのあの、あのね、クッキーを……」

結衣(サブレを助けてくれたお礼にヒッキーにクッキーを渡したいの。ついでにヒッキーと仲良くなれたらいいなと思ってるんだけど)

斉木(ほう。比企谷は意外とモテるんだな)

雪乃「比企谷くん、斉木くん」

八幡「……ちょっとアレがアレだから帰るわ」

雪乃「」

結衣「え? 帰っちゃうの?」

八幡「え? 女子同士で話すから男子は帰れって意味じゃなかったのか?」

雪乃「違うわ。数分程度席を外して貰いたかったのだけれど」

八幡「そ、そうか……」

斉木(仕方ない。飲み物でも買ってくるか)

八幡「そうだな。何がいい?」

雪乃「ムサシノ牛乳を」

斉木(そんなに気にしているのか)

10分後


八幡「話は終わったのか?」

雪乃「ええ。あなた達がいないおかげでスムーズに進んだわ。ありがとう」

雪乃(もうわたしの口はホチキスで閉じたほうがいいのかしら)

斉木(それは別のキャラと被るし何よりグロいからやめろ)

八幡「……そいつはよかった。でなにすんの?」

雪乃「今から家庭科室に行ってクッキー作りをするわ」

八幡「なんで俺たちがそんなことを……。そういうのは友達とやれよ」

結衣「あ、あう……」

八幡「もしかして友達いねえのか?」

結衣「い、いるし! ヒッキーと一緒にしないでよ! なんか友達とはこういうマジなの雰囲気に合わないっていうか……」

八幡「はっ」

斉木(どうやら比企谷は周りに合わせるというのを嫌っているようだ)

雪乃「とりあえず家庭科室に行くわよ」

家庭科室


結衣「あれー? おかしいなぁ……」

雪乃「理解できないわ……。どうやったらあれだけミスを重ねることが出来るのかしら……」

結衣「で、でも見た目はあれだけど食べてみないとわかないよねー」

雪乃「そうね。味見をしてくれる人たちもいることだし」

八幡「これは味見じゃなくて毒見だろ」

斉木(随分おぞましいクッキーが出来たな。鳥束に見せたら悪霊がとりついていると言いそうだ)

雪乃「わたしも食べるから」

雪乃(三人で食べれば怖くないわ)

八幡「んじゃ食べるか」

斉木(僕は嫌だぞ)

雪乃「斉木くんも食べるのよ。はい、口を開けなさい」

斉木(や、やめろ!?)

5分後


八幡「さ、斉木。大丈夫か?」

斉木(なんて酷いものを食わせてくれたんだ。そのメロンパイを爆発させてやろうか?)

結衣「ひっ。な、なんか斉木っちが超睨んでるんだけど……」

斉木(その斉木っちというのもやめろ)

雪乃「さて、どうすればよくなるか考えましょう」

八幡「由比ヶ浜が料理しないこと」

斉木(この女を奉仕部に出入り禁止にすること)

雪乃「斉木くん、それは解決策じゃなく防衛策よ」

結衣「みんな、酷いし! やっぱあたしに料理って向いてないのか。才能もないみたいだし……」

雪乃「それは違うわ。最低限の努力もしていない人に才能がある人を羨む資格はないわ」

結衣「で、でもさ、こういうの最近やんないって言うし。……やっぱこういうのって合ってないんだよ。きっと」

雪乃「……その周囲に合わせようとするのやめてくれるかしら。その胸といい酷く不愉快だわ」

斉木(胸は関係ないだろ)

雪乃「自分の不器用さ、無様さ、愚かしさの遠因を他人に求めるなんて恥ずかしくないの?」

八幡(うわぁ。そこまで言わなくても

斉木(由比ヶ浜も貧乳だったらここまで言わなかったのではないだろうか)

雪乃「斉木くん?」

斉木(……ッ!)

結衣「か、かっこいい……」

「……は?」

結衣「建前とか全然言わないんだ……。なんていうか、そういうの凄いかっこいい……」

雪乃「な、なにを言ってるのかしら? わたし、結構きついことを言ったつもりなのだけれど」

結衣「確かにそうだけど。でも本音って感じがするし。あたし、人に合わせてばっかだからこういうの初めてで……」

雪乃「……」

結衣「ごめん。次はちゃんとやる」

30分後


結衣「やっぱりだめだぁ……」

雪乃「どうしてかしら。……ある意味才能と呼ぶべきなのかもしれないわ」

八幡「なあ、由比ヶ浜がクッキーを渡したい相手って男子か?」

結衣「え? そうだけど……」

結衣(ていうかヒッキーなんだけど。ヒッキーにあーんして食べてもらいんだけど)

斉木(比企谷はこの子の好感度をいつカンストしたんだ?)

八幡「ならそんなに美味しくする必要はないだろ」

結衣「え?」

雪乃「何を言ってるの?」

八幡「確かにクッキーは美味しいに越したことはない。雪ノ下が作ったクッキーなんてお店に出せるレベルだからな」

雪乃「と、当然ね」

雪乃(急に褒めないでよ。嬉しくて照れてしまうじゃない)

八幡「でもたいていの男子は女子の手作りクッキーってだけで喜ぶもんだ」

結衣「そ、そうなの?」

八幡「ああ。斉木も小野寺が作ったまずいチョコやクッキーも食べたいと思ったことがあるだろ?」

斉木(そこで僕に振るな。しかし秘書子や小野寺といい報われなさそうなヒロインが好きだなこいつ)

結衣「ヒッキーも美味しくなくても女子から手作りクッキー貰ったら喜ぶ?」

八幡「ああ。喜び過ぎて永久保存して食べないまである」

結衣「そこは食べようよ!?」

雪乃(こ、今度、比企谷くんと斉木くんにクッキーを作ってこようかしら。喜んでくれるわよね?)

斉木(そんなにハイスペックならコーヒーゼリーを作ってくれないだろうか)

結衣「……うん。雪ノ下さん、ありがとう。後は自分で頑張ってみる!」

雪乃(そうだわ。クッキーを渡すついでに謝ればいいんのよ!)

八幡「頑張れよ」

結衣「うん。みんな、ありがとね!!」

斉木(おい)

結衣「斉木っち、なに?」

斉木(片づけを終えてから帰れ)

結衣「あ」

ここまで
御粗末!

奉仕部


雪乃「斉木くん、漫画読み終えたわ。ありがとう」

斉木(ブックカバーされて返ってきたぞ)

八幡「どうせ雪ノ下には合わなかっただろ?」

雪乃「そ、そうね。ただたまにはこういうのもいいと思ったわ」

八幡「どっちだよ」

雪乃(こんなこと言ったら全巻貸してもらえないじゃない。比企谷くんのせいだわ)

斉木(それは違うだろ)

雪乃(そうだわ。この後、手作りクッキーを渡してそのお礼で漫画を全巻貸してくれると流れにすればいいんだわ!)

斉木(僕から言わないといけないのか)

雪乃(ついでに比企谷くんに謝れば一石二鳥ね)

斉木(漫画借りるのがメインになっているぞ)

雪乃「あの、二人に渡したいものがあるんだけど」

八幡「引導か?」

雪乃「何を言ってるの? 面白いとでも思っているのかしら。これだから友人の一人も出来ないのよ」

八幡「うぐっ」

斉木(今のは比企谷が悪いな)

雪乃「その、クッキーを作ってきたのだけれど……」

八幡「俺たちにか?」


雪乃「え、ええ。依頼とはいえ生ごみと同等なものを食べさせてしまったから口直しに」

八幡「そこまでは言ってねえよ」

斉木(僕はコーヒーゼリーの方がよかったんだがあり難く受け取っておくか)

雪乃「どうぞ」

斉木「……」

雪乃(さあ。これでお礼に全巻貸してあげると言うのよ。斉木くん、あなたなら出来るはずよ!)

斉木(はぁ。僕から言えばいいんだろ。しょうがない。全巻貸してやる)

雪乃「……っ! そ、そう。斉木くんは気が利くわね。あ、ありがとう……」

八幡「何だ。案外気に入ってんじゃねえか」

雪乃「黙りなさい。比企谷くんもどうぞ」

八幡「悪いな」

雪乃「それと比企谷くんを轢いた車にわたしも乗っていたのよね。わたしが運転してたわけじゃないけれど謝っておくわ。ごめんなさい」

八幡「……え?」

雪乃「あっ」

雪乃(やってしまったわ。つい勢いで謝ってしまったわ。もう少し丁寧に謝罪しようと思っていたのに……)

八幡「そうだったのか。まあ、急に飛び出した俺とリードを離した由比ヶ浜が悪かったんだから気にするな」

雪乃「…………え?」

八幡「お?」

雪乃「由比ヶ浜さんがリードを離した?」

八幡「ああ。昨日クッキーを貰った時に言われてな。犬も元気に生きてるそうでよかったわ」

雪乃「そ、そうなの……」

八幡「んじゃさっそく頂くか。……やっぱ雪ノ下のは美味いな」

斉木(どうやら彼女の問題は解決したようだな)

雪乃「あ、ありがとう。……その怒っていないの?」

八幡「さっきも言った通り俺が雪ノ下に怒る理由はないだろ」

雪乃「でもお見舞いにも行かなかったし……」

八幡「お見舞いなら運転手さんが来てくれたぞ。俺がお前と同じ立場でもお見舞いには行かないから気にするな」

雪乃「……そう」

八幡「この話はこれでおしまいにしようぜ。斉木も辛気臭い話して悪かったな」

斉木(事情は知ってたから気にするな。それより彼女の比企谷に対する好感度がだいぶ上がったな)


結衣「やっはろー」


八幡「また依頼かよ」

結衣「違うし。えっと、あたしも奉仕部に入りたいと思って来たんだけど」

雪乃「部員は足りているから結構よ。あなたは帰宅部で頑張りなさい」

結衣「全く歓迎されてない!?」

八幡「雪ノ下の言う通りだな。それにお前あのうるさい連中との付き合いもあるだろ?」

結衣「それは上手く折り合いをつけてやると言いますか。……もしかしてあたしの心配してくれたの?」

八幡「いや。お前が入部してあの連中がここに来ても困るから遠まわしに入部するなって言ってるんだけど」

結衣「酷い! 斉木っち、二人とも酷すぎるんだけどなんか言ってよ」

斉木(今日はポケモンGOでもやるか)

結衣「全く関心なし!?」

30分後


結衣「平塚先生に入部許可貰って来たよー」

雪乃「あなた、よくあの歓迎されていない空気で入部を決めたわね」

結衣「うーん、口ではそう言ってるけど本当は嬉しかったりするんでしょ?」

雪乃「全く」

八幡「右に同じく」

結衣「うわーん!」

斉木「」ガタッ

結衣(斉木っち? さすがに二人に怒ってくれたり?)

斉木(どけ。そっちにポケモンがいるからゲットする)

結衣「少しはあたしに関心持ってよ!!」

翌日 放課後


斉木(さて部活に行くか)

海藤「斉木、今から部活か?」

斉木(見ればわかるだろ)

海藤「今日は部活に出るのはやめておけ。旧校舎から嫌な臭いがぷんぷんしやがる」

斉木(嫌な臭いならさっきから教室で腕立て伏せをしている灰呂からしているぞ)


灰呂「ふん! ふんふん!!」


海藤「恐らくダークリユニオンが旧校舎をアジトにしようしているようだ」

斉木(アジトにしているのは奉仕部だ)

海藤「普通の生徒たちは気づいてないようだがこの漆黒の翼の目は誤魔化せないぜ」

斉木(遅くなったら雪ノ下に怒られそうだ)

奉仕部部室前


海藤「くっ。右手がうずいてきやがった」

八幡「こいつさっきから何言ってんだ?」

斉木(ただの中二病患者だから気にするな)

海藤「ふっ。まさか斉木がグールとつるんでいるとはな。どうやら千葉も危険な街になってきたようだ」

八幡「いや人肉食べたりしねえから。……あいつら部室の前で何してんだ?」


雪乃「あ、比企谷くんに斉木くん。それと海藤くんだったかしら?」

結衣「や、やっはろー?」

斉木(なぜ疑問形なんだ)

海藤「いかにも。またの名は漆黒の翼だ」

雪乃「…………は?」

斉木(こいつは無視していい。何をしているんだ?)

雪乃「部室に不審人物がいるのよ」

八幡「不審人物?」

海藤「ほう。俺の予感が当たったか」

結衣「え? 心当たりあるの?」

海藤「悪の秘密結社『ダークリユニオン』だ。奴らが旧校舎を乗っ取ろうとしている」

雪乃「」

八幡「」

結衣「え? そんな悪い人なの? 超ヤバイじゃん!!」

斉木(やばいのはお前の頭の緩さだ)

海藤「ちっ。俺ではなく友人の斉木を狙ってきたか。卑怯な奴らだぜ」

斉木(いつ僕がお前の友人になった)

八幡「と、とりあえず中見てくるわ……」

雪乃「え、ええ。お願い」

八幡(斉木の友達って変な奴らばかりだな)

斉木(やめろ)


材木座「待ちわびたぞ、比企谷八幡!」


八幡「……お前かよ」

5分後


雪乃「そう。比企谷くんの友人だったのね」

八幡「違う。体育で余り者同士ペアを組んだだけだ」

結衣「でも相棒って言ってるじゃん」

雪乃「そういえば斉木くんにも相棒がいたわね」

斉木(ほう。この僕をからかうつもりか)

雪乃「うっ」

斉木(そのような態度をとるなら漫画貸さないぞ)

雪乃「ごめんなさい」

八幡(雪ノ下が素直に謝っただと……?)

結衣「てかあの二人で盛り上がってるんだけど」

海藤「ほう。前世の記憶があるのか。俺も二つの前世の記憶を持っているぜ」

八幡(どこの聖剣使いさんだよ)

材木座「まさか我と同じ選ばれた者がおるとはな」

海藤「どうやら強力な力を持つ者同士引き合わされる運命だったようだ」

材木座「ふむ。光あるところに闇ありか」

八幡「それより何の用で来たんだ?」

説明後


雪乃「自作小説を読んで感想を言って欲しいのね」

材木座「いかにも。我には友達がいないので感想が聞けないからな」

結衣「この学校ぼっち多くない?」

八幡「俺は好きでぼっちでいるんだよ。……こんなの投稿サイトに晒せばいいだろ?」

材木座「それは無理だ。彼奴らは容赦がないからな。酷評されたら我の心臓が止まる」

斉木(心が弱いな)

雪乃「そう。読むのはいいけれど斉木くんから借りた漫画も読まないといけないから遅くなるわよ?」

材木座「構わぬ!」

斉木(別に漫画は後回しでも僕は構わないけどな。それより僕たちより適任者がいるんじゃないか)

海藤「え? 俺?」

斉木(どうせ塾以外は暇だろ)

海藤「いや、俺読書感想文とか苦手だし……」

八幡(これが素か)

海藤「……はっ! ふっ、俺には読書をする平穏な時間がないからな。悪いが表の世界では力にはなれない」

斉木(紅茶飲みながら言う台詞か)

八幡「まあ、仕方ないな。思いっきり酷評してやるよ」

材木座「ふっ、望むところよ」

結衣「望むんだ!?」

材木座「酷評されても読んでくれる人がいるだけで嬉しいからな」

八幡「あまりにつまらなすぎたら燃やすから」

材木座「むほーん!?」

校門前


斉木(僕のクラスメイトが徐々に部室に来るようになったな。次は灰呂か窪谷須あたりが来そうだ)

雪乃「お、重い……」

斉木(さすがに全巻持ってきたのは多かったか)

雪乃「あ、斉木くん。お疲れさま」

斉木「……」

雪乃「それじゃまた明日。……はぁはぁ……」

斉木(確かに重いと思うが息切れするほどか?)

雪乃「……ぜぇぜぇ……」

斉木(はぁ。仕方ない。途中まで持ってやろう)

雪乃「え? さすがにそれは悪いわ……」

斉木(気にするな。それに超能力者の僕には重さなど関係ないからな)

雪乃「あ、ありがとう」

斉木(本来なら僕じゃなく比企谷の役目だと思うのだが仕方ないだろ)

下駄箱


海藤「そうか。お前比企谷か。小学校の時に『世界を司るもの』と名乗っていた!」

八幡「……」

海藤「どうやらこの学校には力を持っているの者が多くいるようだな」

八幡「……」

海藤「ふっ。どおりで剣豪将軍の相棒なわけだ」

八幡「……」

海藤「比企谷。そろそろ封印を解いて力を解放したらどうだ? 『世界を司るもの』の力を見せる時が来たようだぜ」

八幡(やめてぇぇぇぇぇぇぇええ!!)

30分後


雪乃「ここがわたしの住んでいるマンションなのだけれど」

斉木「……」

雪乃「もしかして二軒隣にある斉木って表札の家って……」

斉木(そうだ。僕の家だ)

雪乃「驚いた。こんな近くに住んでいたのね……」

斉木(僕も驚いたぞ。家が近いと面倒なことになりそうだ)

雪乃「案外比企谷くんの家も近いのかもしれないわね」

斉木(僕と比企谷は中学が違うからそれはないだろ)

雪乃「そうね。荷物ありがとう。ここでいいわ」

斉木(それじゃ僕は帰る)

雪乃「ええ。また明日」

斉木(ふっ。今日でだいぶ素直にお礼が言えるようになったじゃないか)

ここまで

奉仕部


雪乃「斉木くん、漫画読み終わったわ」

斉木(一晩で読んだのか。早いな)

雪乃「本を返すのに帰りにうちに寄ってくれるかしら?」

斉木(確かにあの距離なら寄っていった方が楽だ)

八幡「お前ら、随分仲良くなったんだな」

雪乃「家が近いだけよ」

八幡「そうなのか」

雪乃「二軒隣だったのよ」

八幡「ほーん。同中だったのか?」

雪乃「いいえ。わたしは一人暮らしだもの」

斉木(高校生で一人暮らしか。実家は裕福なんだろう)

八幡(帰りに同級生の家に寄ったのは小一が最後だったか)

斉木(それも家に上げさせてもらえなかったんだな)

雪乃「そういえば由比ヶ浜さん遅いわね」

八幡「教室でお喋りしてたからな」

雪乃「まったく。やる気がないのかしら。あの胸といい不快だわ」

斉木(まだ言ってるのか)

八幡「……ちょっとトイレ行ってくるわ」

雪乃「いってらっしゃい」

斉木(いちいち言わなくていいんだが)

雪乃「今日は比企谷くん、元気がないわね」

斉木(そうか? いつもあんな感じだろう)

雪乃「ため息が10分でいつもより4回も多いわ」

斉木(毎日カウントしていたのか。怖いぞ)

雪乃「部長として部員の体調管理をするのは当たり前じゃない」

斉木(ため息の回数のカウントも管理のうちに入るとは初耳だ)


結衣「やっはろー!」


雪乃「こんにちは。由比ヶ浜さん、来るのが遅いわよ」

結衣「いやー、友達に捕まっててさー。ごめんね、ゆきのん」

雪乃「だからそのゆきのんて言うのやめてくれるかしら」

結衣「えー。だって可愛いじゃん。ね?」

斉木(僕に同意を求めるな)

雪乃(恥ずかしいけれどあだ名をつけてもらったのは初めてね。案外悪くないかもしれないわ)

斉木(どうやら雪ノ下が由比ヶ浜にデレるのも時間の問題のようだ)


八幡「うーす」


結衣「ヒッキー、遅刻じゃん」

八幡「は? トイレ行ってただけだっつーの」

結衣「あ、そうなんだ。ごめん」

八幡「別に。はぁ」

雪乃(またため息をついて)

八幡(小野寺が振れちまったか。まあ覚悟はしていたけどな)

斉木(雪ノ下。心配する必要はなくなったぞ)

八幡(帰ったら絶対許さないノートに一条楽の名前を書いておくか)

斉木(二次元の名前まで書くのか。そういえば燃堂も小野寺一筋だったな)

雪乃「比企谷くん、大丈夫?」

斉木(だから心配する必要は全くない)

翌日 奉仕部


斉木(そういえば僕のクラスの描写が全然ないな。恐らくあの馬鹿共をゲストキャラにさせるつもりなんだろう)

八幡「斉木、今日の避難訓練でお前のクラスがシャッター壊したって聞いたんだが本当なのか?」

斉木(恥ずかしながら本当だ)

雪乃「奉仕部に来た人たちといい斉木くんのクラスって大丈夫なのかしら?」

斉木(まともなやつは皆無だ)


結衣「やっはろー! 今日は依頼人を連れてきたよー!」

戸塚「し、失礼しまーす……」


八幡「戸塚?」

戸塚「あ、比企谷くんだ。比企谷くんって奉仕部だったんだ」

八幡「まあな」

雪乃「確かテニス部の戸塚彩加くんね」

斉木(うちのクラスにも暑苦しいテニス部員がいたな)

戸塚「僕のこと知ってるんだ」

雪乃「ええ。それで依頼というのは?」

説明後


雪乃「そう。つまりテニスの技術向上のサポートをすればいいのね?」

戸塚「うん。エースの灰呂くんが怪我で休部しててみんなのやる気が下がっててね」

斉木(自分が灰呂の代わりに頑張れば部員たちもやる気を取り戻してくれるということか)

八幡「協力するのはいいがテニス経験者っているのか?」

雪乃「わたしがいるわ。少ししかしていなかったけれど」

結衣「ゆきのん、テニス出来るんだ。カッコいい……」

雪乃「そ、そうでもないけれど」

斉木(徐々に陥落していくな)

戸塚「お願い出来るかな?」

雪乃「いいわ。スパルタでいくから覚悟しておきなさい」

戸塚「う、うん!」

斉木(そういえば灰呂の怪我ってなんだ? 教室では普通に見えたが)

戸塚「切れ痔が悪化したそうだよ」

斉木(おっふ)

一週間後 テニスコート


斉木(やれやれ。まさか一週間続けて昼休みも練習することになるとはな)

戸塚「八幡もだけど斉木くんもテニス上手いよね」

斉木(比企谷と同じレベルに調整しているだけだ)

八幡「そういえば雪ノ下が来ないな」


結衣「みんなー、ゆきのん今日は練習来れないって」


八幡「学校休みなのか?」

結衣「ううん。体育の授業でバスケしたら体力を使い果たしたみたい」

「」

斉木(筋力もないが体力も絶望的にないんだな)

戸塚「そうなんだ……」

八幡「……とりあえずメニュー通り練習こなすか」

戸塚「そうだね」

10分後


結衣「いやー、みんな頑張るよねー」

斉木(由比ヶ浜もだいぶ頑張ってるじゃないか)

結衣「そ、そう?」

斉木(玉拾いならウィンブルドンに出れるレベルになったと思うぞ)


三浦「あ、テニスしてんじゃん。テニス!」


八幡(うげ。嫌な奴らが来やがった)

斉木(あれは?)

結衣「えっと、あたしのグループの子達かな……」

斉木(なるほど。通りで比企谷が嫌がっているわけだ)

三浦「ね、戸塚ー。あーしらもここで遊んでていい?」

戸塚「三浦さん、僕らは遊んでるわけじゃ……」

三浦「え? なに? 聞こえないんだけど」

斉木(難聴キャラは主人公だけの特権だぞ)

八幡「遊んでるわけじゃねえんだ。練習してるんだよ。それにこのコートは戸塚がお願いして使わせてもらってるから他の奴らは無理だ」

三浦「あんたも部外者なのに使ってんじゃん」

八幡「俺たちは戸塚の依頼を受けて練習のサポートしてんだよ。つまりアウトソーシングってやつだ」

三浦「はぁ? 何意味わかんないこと言ってんの? キモいんだけど」

斉木「……」

葉山「まぁまぁ、あんまケンカ腰になんないでさ」

三浦「ふん」

葉山「ほら、みんなでやった方が楽しいしさ。そういうことでいいじゃないの?」

斉木(別に僕たちは練習に楽しさを求めてないんだが)

葉山「えっと、斉木くんだっけ? そんなこと言わずに俺たちも戸塚のサポートするからさ」

三浦「何だらだらやってんの? あーし、テニスしたいんだけど」

斉木(だらだらしてるのはお前の服装だろう)

葉山「んー。あ、じゃあこうしよう。部外者同士で勝負。勝った方が今後昼休みにテニスコートを使えるってことで。もちろん戸塚の練習にも付き合う」

八幡「練習にも付き合うって戸塚の練習のサポートがメインなんだけど。馬鹿なの?」

葉山「うっ。言い方が悪かったな。すまない」

三浦「あんた、なに隼人馬鹿にしてんの? キモいんだけど」

斉木(この女の罵倒のレパートリーはキモいしかないのか?)

結衣「そ、そうかもしんない……」

斉木(まあ、いいだろう。勝負を受けようじゃないか)

八幡「お、おい!?」

斉木(これ以上話し合っても時間の無駄だ)

八幡「はぁ。やるしかないのか」

斉木(それと負けたほうの罰も決めていたらどうだ?)

八幡「随分自信があるんだな。後片付けとかでいいか?」

5分後


八幡「俺と由比ヶ浜が戦うのかよ……」

結衣「あたし、運動音痴だよ!?」

斉木(男女のペアなんだから仕方ないだろ)

八幡「斉木がやれよ」

斉木(僕は目立つのが嫌いなんだ)

八幡「俺もなんだけど」


「HA・YA・TOフゥー! HA・YA・TOフゥー!」


八幡「うぜぇ」

斉木(どうやらあの葉山というのは人気者らしいな)

結衣「斉木っち、隼人くんのこと知らなかったの?」

斉木(当たり前だ。僕が興味あったのは佐藤くんと比企谷だけだ)

燃堂「お? なんだ?」

海藤「どうやら領地を賭けて聖戦を行うようだな」


斉木(昼休みに行う戦いのわりにスケールが大きいな)

燃堂「お、相棒じゃねえか。なんか知らないけどこれ終わったらラーメン食いにいこうぜ」

斉木(午後の授業があるのを覚えてないのか?)

海藤「比企谷が戦うのか。ふっ、『世界を司るもの』の力を奴らに見せつけてやれ」

八幡「やめて……」

燃堂「比企谷って相棒の相棒か。お、相棒の相棒って俺っちのことじゃねえのか?」

斉木(お前は何を言ってるんだ)

八幡「んじゃ行ってくるわ」

結衣「とりあえず頑張ってみる!」

斉木(安心しろ。こっちの勝利は確定している)

10分後


葉山「い、一ポイントも取れなかった……」

三浦「あ、あーし、テニス経験者なのに……」

八幡「」

結衣「ヒッキー、凄いじゃん!」

八幡「お、おう……」

八幡(なんだ。相手の球が全部俺の打ち易いところに戻ってきて……。それに俺のショットも全部コート隅にいってたぞ……)

戸塚「八幡、凄いよ!」

八幡「そ、そうか?」

斉木(ふっ。君たちはおわかりだろう。そう、僕の超能力だ)

海藤「さすが同士だ。これならダークリユニオンも怖くないぜ」

燃堂「よくわかんねえけどどうなったんだ? 相手はまだフェンスに吹っ飛ばされてねえぞ?」

斉木(それはテニヌだ)


「葉山くん達、あっさり負けちゃったね」

「ね。三浦さんも経験者なのに大したことないじゃん」

「それよりヒキタニくんだっけ?」

「スポーツ出来るんだね。顔も結構イケてるし」


斉木(どうやら人気者に勝ってみんなの比企谷に対する好感度が急上昇しているようだ)

八幡(女子たちが俺のこと見てひそひそ話してやがる。後で闇討ちでもするつもりか)

斉木(比企谷も僕と同じで目立つのが嫌いだからな。だがこれも想定内だ。燃堂)

燃堂「お?」

結衣「それじゃ後片付けよろしくね」

葉山「あ、ああ……」

三浦「……」

八幡「んじゃ教室帰るか……」


「ヒキタニくん♪」

「ねえねえ、テニスやってたの?」


八幡「いや、やってないけど」

燃堂「よう、相棒の相棒」

八幡「…………は?」

燃堂「お前も小野寺派だってな。俺っちも小野寺一筋だぜ。これで俺っち達は友達だな!」ギュッ

八幡「」


「ひぃ、燃堂がヒキタニくんと抱き合って!?」

「おげぇ!!」


結衣「」

戸塚「」

海藤「」

斉木(これで比企谷に対する好感度は急降下して元に戻る。計算通りだ)

ジャッジメント・ナイツ・オブ・サンダー!

教室


斉木(さて部活に行くとするか)


鳥束「斉木さーん!!」


斉木(また面倒くさいのが来た)

鳥束「斉木さんが雪ノ下さんと毎日一緒に下校してるって聞いたんスけど本当っスか!?」


照橋「」


斉木(声が大きい。部活が同じで家が近いだけだ)

海藤「雪ノ下って『氷の女王』だったか」

燃堂「おー、あのペチャパイの姉ちゃんか!」

斉木(絶対本人の前では言うなよ)

鳥束「ずるいっスよ! 俺も奉仕部に入れて、斉木さん家に居候させて下さい!!」

斉木(なぜそうなる)

窪谷須「斉木。いつ籍入れるんだ?」

斉木(質問の意味がわからない)

窪谷須「あれだろ。一緒に帰るってことはアレで結婚も考えてるってことだろ?」

斉木(それならお前も海藤や燃堂と結婚するのか?)


照橋(さ、斉木が雪ノ下さんと一緒に下校……っ!?)


斉木(さて照橋さんがフリーズしてるうちに部活に行くか)

奉仕部


雪乃「斉木くん、こんにちは」

八幡「おす」

斉木(やはりここが一番落ち着くな)

雪乃「今日も由比ヶ浜さんが最後みたいね」


結衣「やっはろー!」


斉木(いい加減意味がわからない挨拶はやめろ)

結衣「えー。超可愛いじゃん。ね、ゆきのん?」

雪乃「私に同意を求められても困るのだけれど。抱き付かないでちょうだい」

八幡(こいつら最近百合ってないか?)

斉木(確かに見ただけならそう見えるかもしれない)

雪乃(また大きいな胸を押し付けてきて。私を挑発してるのかしら)

斉木(燃堂は彼女にもう会わせない方がよさそうだな)

結衣「そういえばもうすぐ中間テストじゃん?」

雪乃「そうね」

結衣「ゆきのん、一緒に勉強会しようよ!」

雪乃「なぜ?」

結衣「え? テスト勉強ってみんなで一緒に雑談しながらやるもんでしょ?」

八幡「何で勉強するのに雑談すんだよ」

雪乃「そうね。雑談目的ならお断りするわ」

結衣「えー!? 斉木っちは勉強会派だよね?」

斉木(なんだその派閥は。僕も一人で勉強するぞ)

八幡「だよな。他人と一緒に勉強なんて効率が悪すぎる」

結衣「うぅ……。だって一人だとなかなか勉強する気起きないっていうか……」

雪乃「それだから去年赤点をとって補習を受けさせられるのよ」

結衣「なんでゆきのんがそれ知ってるし!?」

雪乃「たまたま補習中の教室を通りかかった時に由比ヶ浜さんを見かけたのよ」

斉木(やはり見た目通り馬鹿なのか)

結衣「ちょっとあたしを馬鹿キャラ扱いしないでよ!?」

八幡「馬鹿キャラ扱いはしてねえよ。なあ?」

雪乃「ええ。あなたはキャラじゃなく真性の馬鹿なのよ」

結衣「うわーん!」

翌日 純喫茶魔美


斉木(今頃あの二人はテスト勉強中か。雪ノ下も由比ヶ浜に甘くなってきたな)

八幡「ここ初めて来たけどいい店だな」

斉木(なぜここに比企谷を誘ったかだって?)

八幡「レトロな感じだな」

斉木(彼女たちが二人でファミレスに行くのを少し羨ましがってたからだ)


目良「あ、斉木くん。いらっしゃい。いつものでいい?」


斉木(持ってくるまでに食べるなよ。僕のコーヒーゼリー)

目良「あれ? 一緒にいるDHA豊富そうな目をしている人は?」

八幡(腐った魚の目をしてると言いたいの? ねえ?)

目良(なんか美味しそう!)

八幡「ひぃっ!?」

斉木(とうとう人間にまで食欲がわくようになったか)

翌日 奉仕部


八幡(昨日の喫茶店のコーヒー美味しかったな。今度は一人で行ってみるか)

雪乃「さてそろそろ帰りましょうか」

斉木(どうやらそうはいかないみたいだぞ)


葉山「失礼します」


雪乃「……」

葉山「こんな時間に悪い。ちょっとお願いがあってさ」

結衣「隼人くん。依頼?」

葉山「ああ。大丈夫かな?」

雪乃「……どうぞ」

葉山「ありがとう」

雪乃(この男はなぜこんなタイミングで来るのかしら。この後漫画を借りる予定なのに……っ!)

斉木(漫画くらいでそこまで怒らなくてもいいだろ)

葉山「依頼内容なんだけど裏掲示板って知ってるかい?」

雪乃「裏掲示板?」

八幡「学校のか?」

葉山「ああ。これを見て欲しんだけど」

結衣「うわ、大きいスマホだ!」

八幡「いや、タブレットだろ」

斉木(葉山が見せた裏掲示板には彼の仲間たちの悪口が書いてあった)

葉山「これのせいでクラスの雰囲気が悪くてさ。それに友達のことを悪く書かれれば腹も立つし」

結衣「こういう悪口って前はチェーンメールでまわってたよね」

雪乃「……そうね」

結衣「今はみんなスマホでラインの交換くらいしかしないもんねー」

斉木(ご説明ありがとう)

八幡「それで犯人探しでもしたいのか?」

葉山「いや、丸く収める方法を知りたい。頼めるかな?」

雪乃「つまり、事態の収拾を図ればいいのね?」

葉山「うん。まぁそういうことだね」

雪乃「では、犯人を捜すしかないわね」

葉山「あれ? なんでそうなるの?」

雪乃「単純に考えて犯人を特定して止めさせるしかないでしょう?」

葉山「……そうだね」

八幡「いや、裏掲示板自体をなくすって手もあるぞ」

雪乃「そうね。でもまたすぐ作られてしまうんじゃないかしら?」

八幡「それもそうか」

斉木(やれやれ、また面倒ことになりそうだ。犯人はうちのクラスの高橋でいいんじゃないか?)

10分後


雪乃「つまりこの書き込みは職場見学のグループ分けの話が出てからということね」

結衣「うちのクラスの男子って三人一組だっけ?」

葉山「そうだね」

結衣「あたし、犯人わかっちゃったかも」

葉山「本当か?」

結衣「うん。葉山くんって男子四人グループじゃん? つまり職場見学で一人ハブられるってことじゃん。それってけっこうキツイよ」

葉山「……つまりあいつらの中に犯人がいるってことか?」

結衣「多分」

葉山「でも三人それぞれ悪くいう書き込みがあったじゃないか?」

八幡「そんなの自分が疑われないようにするためだろ」

葉山「あっ」

翌日 教室


八幡「……」

斉木(このクラスも賑やかだな)

八幡「斉木のクラスほどじゃないだろ」

斉木(それで何か手がかりはつかめたか?)

八幡「まあな。犯人はわからんけど事態を丸く収める方法は思いついた」

斉木(ほう。やるじゃないか。……まぁ僕は犯人もわかったがな。ここは比企谷に任せよう)


燃堂「お、相棒に相棒の相棒じゃねえか」


八幡「……っ!?」

斉木(警戒しすぎだろ。あんなことがあったから仕方ないかもしれないが)

燃堂「相棒が別のクラスにいるなんて珍しいな。明日は晴天かもしれねえな」

八幡「……?」

燃堂「それよりラーメン食いにいこうぜ」

斉木(お前の外食の選択肢はラーメンしかないのか)

放課後 奉仕部


雪乃「それで解決方法とは?」

八幡「解決とまではいかないがな。葉山、お前はお前がいないときの三人を見たことがあるか?」

葉山「いや、ないけど……」

八幡「当然だよな。あいつら、お前がいない時は全く話さないぞ」

葉山「え?」

八幡「つまりあいつらにとっちゃ葉山は『友達』で、それ以外のやつは『友達の友達』ってことだ」

斉木(なるほど。よく見てるじゃないか)

葉山「そうだったのか……」

八幡「葉山、お前が望むなら犯人を特定することなく問題を解消することが出来るぞ。お前の協力も必要だが」

葉山「俺が出来ることなら何でもするよ。言ってくれないか?」

八幡「お前があのグループを抜ければいい」

翌日 奉仕部


雪乃「どうやら上手くいったみたいね」

八幡「ああ。とりあえずはな。雪ノ下は犯人を特定できずに不満だったか?」

雪乃「そうね。でも『犯人を特定せず事態の収拾を図る』が依頼内容だったのだから問題ないと思うわ」

八幡「どうも」

雪乃(比企谷くん。随分頭が切れるのね。意外と頼りになるわ)

斉木(大分好感度が上がったようだ)

雪乃(彼が同じ小学校にいたら私を守ってくれたのかしら)

斉木(なるほど。雪ノ下も大変な思いをしてきたようだ)

八幡「そういえば斉木は職場見学どこに行くんだ?」

斉木(さぁな。場所は海藤たちに任せているから覚えていない)

八幡「か、海藤と一緒なのか……」

斉木(ああ。お前の過去を深く抉ってくる『漆黒の翼』と一緒だ)

雪乃「そういえば海藤くんが比企谷くんのことを『世界を司るもの』とか言っていたけれど何なのかしら?」

八幡「」

ここまで

次回予告(今回の担当:死に掛け神)

どうもー!駄文メーカーにして、
本作の作者、死に掛け神ですっ!
八幡が大罪のバハムートと呼ばれ由比ヶ浜ることになった理由と、空白の一ヶ月(少しも明かされてないとは言ってない。)の出来事が遂に明らかに!
そして遂に動き出す黒幕!
行け!八幡!お前はもっと強くなれる!
何故なら俺がそういう展開がすきだから!
次回!
「八幡が『大罪のバハムート』と呼ばれる理由」

見てくれると嬉しいな!

八幡「メタ発言とネタバレ止めろ!」



あとがき

葉山への復讐の第一回目が終わりました。

葉山にはまだまだ地獄を見せるので

まだまだ終わりません!
今回も読んで下さってありがとうございました!

次回予告(今回の担当:死に掛け神)

どうもー!駄文メーカーにして、
本作の作者、死に掛け神ですっ!
八幡が大罪のバハムートと呼ばれ由比ヶ浜ることになった理由と、空白の一ヶ月(少しも明かされてないとは言ってない。)の出来事が遂に明らかに!
そして遂に動き出す黒幕!
行け!八幡!お前はもっと強くなれる!
何故なら俺がそういう展開がすきだから!
次回!
「八幡が『大罪のバハムート』と呼ばれる理由」

見てくれると嬉しいな!

八幡「メタ発言とネタバレ止めろ!」



あとがき

葉山への復讐の第一回目が終わりました。

葉山にはまだまだ地獄を見せるので

まだまだ終わりません!
今回も読んで下さってありがとうございました!

奉仕部


結衣「ねー、ゆきのん。今日はファミレスで一緒に勉強しようよー」

雪乃「なぜ飲食店で勉強をしないといけないのかしら?」

結衣「だって美味しいもの食べながら勉強出来て一石二鳥じゃん」

雪乃「その食べながら勉強というのが理解出来ないのだけれど」

八幡「雪ノ下。由比ヶ浜を理解するなんて無理だぞ」

結衣「なっ!?」

雪乃「それもそうね。一人で行ってきなさい」

結衣「ひどーい!」

斉木(由比ヶ浜が入部してからこの部も騒がしくなったな。うちのクラスよりマシだが)

八幡「斉木」

斉木(なんだ?)

八幡「その、なんだ……。また喫茶店でも行かないか?」

斉木(どうやら比企谷はあのお店を気に入ってくれたようだ。だが今日が都合が悪い)

八幡「そうか」

雪乃「比企谷くん、ごめんなさい。今日は斉木くんにうちに寄ってもらって漫画を返すのよ」

八幡「あー、お前ら近所だったな」

結衣「え? そうなの?」

雪乃「ええ。二軒隣よ」

結衣「超近いじゃん! 超近所じゃん! 今度遊びに行ってもいい?」

雪乃「嫌よ」

斉木(断る)

結衣「なんでだし!?」


下駄箱


窪谷須「よう、瞬。今日も塾か?」

海藤「ああ。表向きはな」

窪谷須「表向き?」

海藤「表では予備校となっているが、実は『ダークリユニオン』から人間たちを守る為の組織でな」

窪谷須「そ、そうか……」

海藤「やれやれ。この扉を抜けたら日常とおさらばか」

窪谷須「てか予備校って結構金掛かるんだろ」

海藤「そこそこ掛かるな。けど成績がいい生徒は授業料が免除される制度があるんだ」

窪谷須(そこは普通に答えてくれるのか)

海藤「さてそろそろ行くか。風が騒いでやがる」


川崎「ねえ」


窪谷須「あん?」

海藤「ん?」

川崎「今の話詳しく教えて欲しいんだけど」

海藤「……なるほど。貴様も世界を守る使命を背負った者か」

川崎「…………は?」

海藤「いいだろう。まさか奉仕部以外にも同志がいたとはな。ついてこい」

窪谷須(瞬のやつナンパされてんのか?)

川崎「う、うん……」


照橋「はぁ……」

夢原「心美、元気出しなよ。一緒に帰ってるだけで恋人とは限らないし」


川崎「それで何処に行くの?」

海藤「アジトに決まってるだろう」


夢原「おっふっ!?」

照橋「知予!?」

夢原「か、海藤くんが女子と一緒に帰って……。いつの間に彼女が……」

照橋「ちょっとしっかりしてよ! さっきの自分の言葉を思い出して!」

翌日 喫茶店


雪乃「いい雰囲気のお店ね」

結衣「うん。なんかレトルトな感じ!」

八幡「レトロだろ。カレーかよ」

斉木(やれやれ。女子二人もついてきてしまったか)


小町「あ、お兄ちゃんだ」


八幡「小町?」

斉木(比企谷の妹か。アホ毛以外似ていないな)

小町「お兄ちゃんが友達と喫茶店に寄るなんておよおよ」

八幡「嘘泣きはやめろ。お前は何してんだ?」

小町「昨日言ってた大志くんから相談を受けてて」

大志「川崎大志っす。よろしくお願いします!」

10分後


雪乃「そう。お姉さんが不良化ねぇ」

結衣「でも帰りが遅いって女子高生じゃ普通じゃない?」

大志「でも朝の五時なんすよ?」

八幡「朝帰りじゃねえか。彼氏でも出来たんじゃないのか?」

大志「それはないっす。うちの姉ちゃん、ブラコンにシスコンなんで」

八幡「お、おう……」

結衣「でも一年の時は真面目だったんでしょ?」

大志「そうっすね」

結衣「確かに川崎さんって遅刻多いし。それに近寄りがたいオーラがあるっていうか」

斉木(雪ノ下みたいなものか)

小町「確かに雪乃さんってクールビューティーって感じですよねー」

雪乃「そうかしら? 自分ではよくわからないわ」

斉木(そうだな。内心は結構ヘタレだしな)


海藤「お、斉木に比企谷じゃないか」

燃堂「お? 相棒に相棒の相棒じゃねえか」


斉木(だからわかりづらいからそれはやめろ)

八幡「げっ」

斉木(また比企谷の黒歴史が抉られるのか)

海藤「こんなところで何してるんだ?」

結衣「えっと、この子の悩み事を聞いてるんだよ」

海藤「ほう。さては終焉の刻が目前に迫るこの世界の均衡を保つために自分が何をすべきが自問しているのだな……?」

八幡「そんな高尚なモンじゃねえよ」

燃堂「ケツの穴に入ったビー玉が取れねーのか?」

八幡「そこまで低くもねえよ」

小町「この人たちもお兄ちゃんの友達?」

八幡「違う」

説明後


小町「……」

八幡「小町、どうした?」

小町「お兄ちゃん、この人のアゴ凄いよ。凄すぎるよ」

八幡「そ、そうだな……」

燃堂「お?」

小町「ひっ!?」

海藤「おい。貴様の顔は怖いんだからあまり近づけるな」

燃堂「あんだとー!?」

海藤「また防犯ブザー鳴らされるぞ。……ごめんね、大丈夫?」

小町「あ、はい」

斉木(また素が出てるぞ)

海藤「それよりその女なら昨日一緒にアジトに行ったぞ」

「」

大志「ね、姉ちゃんに彼氏が……」

海藤「…………へ?」

大志「弟の川崎大志っす。姉ちゃんのこと、よろしくお願いします。お兄さん!」

海藤「」

5分後


結衣「なんだ。付き合ってるなじゃないんだー」

海藤「あ、当たり前だろ! こ、高校生でそんな不純なことが出来るか!!」

雪乃「純粋なのね。比企谷くんの目とは大違いだわ」

八幡「なんで俺の目と比較したの?」

小町「それで朝帰りの原因が彼氏じゃないとしたら何が原因なの?」

斉木(今回も比企谷に任せて僕はコーヒーゼリーを美味しく頂くとするか)

八幡「恐らく予備校代を稼ぐためにバイトをしてたんじゃないのか?」

小町「バイト代?」

八幡「ああ。海藤はスカラシップについて詳しく聞かれたんだろ?」

海藤「ああ。おかげで予備校に遅れてママ――母親に怒られたぜ」

(今ママって言ったか?)

雪乃「……なるほど。ちなみに大志くんは塾に行ってるのかしら?」

大志「はい。四月から通ってるっす」

雪乃「川崎さんが朝帰りをするようになったのは二年になってから」

八幡「なら川崎がスカラシップを取れれば問題は解決されるな」

大志「姉ちゃん、俺のせいで……」

海藤「小僧。気にするな。姉貴ってのがどうして一番最初に生まれてくるか知ってるか?」

大志「知らないっす」

海藤「ふっ。なら教えてやる。後から生まれてくる弟や妹を守るためだ!」

八幡「……」

斉木「……」

雪乃「……」

小町「……」

結衣「おー、海藤くん。いいこと言うー!」

燃堂「カッコいいこと言うじゃねーか、チビ」

大志「お兄さん、ありがとうございます。自分も下の弟と妹を守る為に頑張るっす!」

斉木(やれやれ。この店もこれから騒がしくなりそうだ)

ここまっで!
また近いうちにおっふ!


次回予告!(今回の担当はシド!)

やぁ皆。
当分出ないからという理由で駆り出されちまった。

次回!
それぞれが抱いた思いが入り乱れ、彼等の運命は激しく絡み合う。
彼等はその時何を思うのか。

そして動き出した時は何処へ向かうのか!
次回
番外編『それぞれの思い、それぞれの後悔』

観てくれよな。



あとがき

八幡の噂が粗方片付きました。
由比ヶ浜への復讐はまだ続き、葉山は死ぬほうが楽だと思う程に地獄へたたき落とすつもりです。

今回も読んで下さってありがとうございました!

次回予告(今回の担当は八幡!) 

はぁー。いきなり目立っちまった。 
まぁ、ステルスヒッキーがきちんと仕事しそうだからいいか。 

初仕事に行くことにした俺。 
現れた巨大な…? 
そして、突如現れたクリスとその友人。 
俺は無事生きていられるのか? 
あ、俺一回死んでるじゃねぇか…。

次回『俺とクリスと変態クルセイダー』 

あぁぁぁぁ…疲れたぁぁぁぁ…寝よう。 


あとがき 

お待たせ致しました! 

短編の方も修正してこのシリーズに変更します。 

原作は全巻(1から9まで)持ってるんですが、まだ4の途中までしか読んでないので、全体像がまだ見えてません。 

ゆんゆん可愛ええんじゃぁぁぁ。 

読んで下さりありがとうございました! 

奉仕部


八幡「はぁ」

雪乃「ため息なんかついてどうしたの?」

八幡「こち亀が連載終了するんだよ」

雪乃「そう。比企谷くん、こち亀が好きだったのね」

八幡「いや、見てなかった」

雪乃「ならいいじゃない」

八幡「見てなくても寂しく感じるもんなんだよ」

雪乃「そうなの?」

斉木(40年も連載していたからな)

八幡「こうなったら斉木楠雄の○難に40年頑張ってもらうしかねえな」

斉木(40年も高校二年生をしろというのか?)


結衣「やっはろー!」


「……」

結衣「ちょっと全員無視しないでよ!?」

雪乃「ごめんなさい。いまだにその挨拶をどう返せばいいのかわからないの」

結衣「ゆきのんもやっはろーでいいんだよ?」

雪乃「死んでも嫌」

結衣「そこまで!?」

斉木(やれやれ。今日も騒がしいな)

結衣(それよりあたしの誕生日が近いこと遠まわしに言わないと。みんなに祝ってもらいたいし)

結衣「あ、あのさー。あたしの誕生日近いんだけどみんなはいつなのかなー?」

斉木(ストレートすぎるだろ)

雪乃「私は1月3日よ」

八幡「俺は8月8日。夏休みだから同級生に祝ってもらったことなんてないがな。ふっ」

雪乃「そ、そうなの。……こ、今年は私が祝ってあげないこともないわよ……?」

八幡「…………いいのか?」

雪乃「そのかわり私の誕生日も祝ってくれるかしら?」

八幡「お、おう……」

雪乃「……」

八幡「……」

斉木(僕と由比ヶ浜の存在を忘れてないか?)

結衣「あ、あたしもヒッキーの誕生日祝ってあげるし!」

八幡「それより斉木はいつなんだ?」

結衣「ちょっと!?」

斉木(8月16日だ)

八幡「俺と近いな」

雪乃「そうね。8月は誕生日会ラッシュね」

斉木(僕は祝ってくれとは言ってないんだが)

結衣「むぅぅ」

斉木(わかった、わかった。ちゃんと聞いてやる)

結衣「あたしは6月18日だよ!」

雪乃「あら。誕生日おめでとう」

八幡「おめでとさん」

結衣「まだ一週間以上先だからね!?」

帰り道


雪乃「由比ヶ浜さんったら誕生日を祝ってほしいなら素直に言えばいいのに」

斉木(それは無理だろ)

雪乃「仕方ないわね。斉木くん、比企谷くんを誘って由比ヶ浜さんの誕生日プレゼントを買いにいきましょう」

斉木(面倒くさいな)

雪乃「ショッピングモールに新しいスイーツ店が出来たみたいなのだけれど用が済んだらそこも行ってみない?」

斉木(待ち合わせは何時にする?)


照橋「」ジー


雪乃「そうね。10時位でいいかしら?」

斉木(構わない。比企谷は朝早く起きれるか心配だが)

雪乃「ふふ。私がモーニングコールするから問題ないわ」

斉木(どうやら由比ヶ浜のターンは来ないようだ)


照橋(また雪ノ下さんと二人で帰ってる!!)

照橋(なによなによ。斉木ったらあんなおっふみたいな顔しちゃって!!)


斉木(どんな顔だ)


照橋(でも話を聞くと雪ノ下さんは比企谷って人といい感じみたいだし)

照橋「……ま、いい話も聞けたし今日は帰ろうっと」


斉木(やれやれ。面倒くさいことになりそうだ)

当日


雪乃「比企谷くん、遅いわね」

斉木(1分位大目にみてやれ)


八幡「うす」


雪乃「おはよう、比企谷くん」

八幡「悪い。少し遅刻した」

雪乃「せっかく起こしてあげたのに」

八幡「小町に捕まってな。着せ替え人形にされていた」

斉木(なるほど。妹さんはこの二人のことを応援しているようだ)


照橋「あ、斉木君。偶然ねー」


斉木(やはり来たか)

照橋「斉木君も買い物? 私もなんだー」

斉木(そうか。それより後ろで僕を睨んでいる男共を何とかしてくれないか?)

「」ギロッ

雪乃「確か斉木くんのクラスメイトの」

照橋「照橋心美です。雪ノ下雪乃さんだよね。よろしく」

雪乃「私のこと知っていたのね」

照橋「うん。雪ノ下さん、有名人だし」

照橋(私の次に可愛いってね♪)

八幡(知らない人がいるの気まずいな)

照橋「えっと、こちらの人は?」

雪乃「同じ部活の比企谷くんよ」

照橋(えー? この人が比企谷くん? 何だか冴えないわね。顔はまあまあだけど目が腐敗してるじゃない)

照橋「比企谷くんもよろしくね♪」

照橋(はい、どーん。これで心置きなくあの世に旅立てるわね)

斉木(僕の時より価値が高くなりすぎだろ)

八幡「お、おっす……」

照橋「」

八幡「それよりそろそろ行こうぜ。なんか人が多くなってきたし」

照橋(え!? おっす? おっふじゃなくて!?)

雪乃「そうね。なんでこんな人が多くなったのかしら?」

照橋(はっ! わかったわ。さては比企谷くんは『は行』が言えない人なのね! さっき雪ノ下さんに紹介させてたし。じゃないとあの反応は説明がつかないもの!)

斉木(ポジティブすぎるだろ)

照橋「えっと、私もお供してもいいかな?」

八幡「……………………え?」

照橋「」

八幡「……どうする?」

雪乃「そ、そうね。斉木くんのクラスメイトだしいいんじゃないかしら?」

八幡「はぁ」

照橋(ちょっとちょっとなんなのよアンタ! この私と一緒に歩けるのよ? 今日の一日がプライスレスになるのよ?)

照橋(……そっか。私と一緒に歩いたら緊張しすぎて過呼吸になっちゃうもんね。きっと比企谷くんは過呼吸持ちなのよ。そうに違いないわ)

斉木(照橋さんの中で比企谷の属性が増えていってるな)

店内


照橋「同じ部員さんの誕生日プレゼントを買いに来たんだ?」

雪乃「ええ。祝って欲しそうだったから仕方なくだけれど」

照橋「仲良いんだね」

八幡「そうなのか?」

雪乃「そう見えるってことはそうなんじゃないかしら?」

八幡「ほーん。雪ノ下と斉木は何買うか決まってるのか?」

雪乃「決めてはいないけれど由比ヶ浜さんだから馬鹿そうでふわっとしたものがいいと思うわ」

斉木(右に同じく)

八幡「そうだな」

照橋(由比ヶ浜さんって子は嫌われてるの!?)

斉木(そう思われても仕方ないな)

10分後


雪乃「私はこれにするわ」

八幡「エプロンか。確かに最近わたし料理してますアピールしてたな」

雪乃「ええ。柄は牛さんがいいわね。牛みたいな胸しているし」

斉木(死ぬまで引きずる気か)

照橋(誕生日プレゼントか。斉木は私に何をくれるのかな?)

斉木(僕が祝うのは確定しているのか)

照橋(うーん)

斉木『照橋さん、おっふ! これが僕の誕生日プレゼントです!』

照橋『え? これって?』

斉木『婚姻届。これを僕たちの卒業式の日に提出しよう!』

照橋『やだ、斉木くんったら気が早いんだから♪』

斉木(誰だお前は)

照橋「ふふふ、うふふふふ……」

八幡「俺は何にすっかな」

雪乃「そうね。私は感性がアレだから。照橋さん、今どきの女子高生が喜ぶものって何かしら?」

照橋「婚姻届」

雪乃「え」

照橋「はっ! 違うから! 婚姻届貰っても迷惑だから!!」

雪乃「え、ええ……」

八幡「やっぱお前のクラスって変人が多いな」

斉木(変人しかいないまであるぞ)

ゲーセン


雪乃「」ジー

八幡「雪ノ下さん、パンさんのぬいぐるみ欲しいのか?」

雪乃「そうね。でも私UFOキャッチャーやったことないのよね」

八幡「そうか。教えてやろうか?」

雪乃「よろしくお願いするわ」

照橋(ふーん。ぬいぐるみなんて雪ノ下さんも可愛いところあるんだ)

斉木(パンさん大好きだからな)

照橋(私も斉木に何か取ってもらおうかな。ううん、それよりプリクラを!)

照橋「ねえ、斉木くん、……っていない!?」

斉木(危なかった。比企谷と雪ノ下のラブコメが終わるまで透明化しておくか)

5分後


雪乃「難しいわね」

八幡「まあ、こういうのは取れにくくなってるからな」

雪乃「そう……」

八幡「今度は俺がやってみるか」

斉木(ほう。比企谷が珍しくやる気を見せているな)

八幡(一回やって駄目だったら店員さんにお願いしよう)

斉木(お前は僕の期待を裏切ってくれるな。仕方ない。今回はアシストしてやる)

八幡「…………あれ? 取れたぞ」

雪乃「一回で……。比企谷くん、凄いわ」

八幡「いや、まぐれだ」

雪乃「まぐれでも凄いわ」

八幡「そ、そうか。……ほれ」

雪乃「……ありがとう」

八幡「おう」

雪乃「……私にこういうのって似合わない?」

八幡「いや。ギャップがあっていいんじゃないか」

雪乃「そ、そう。ならいいのだけれど」

照橋(私が空気になってる。なんなのこの二人。これで付き合ってないっていうの!?)

斉木(その通りだ。さてそろそろスイーツ店に行く時間だ)

八幡「あ、斉木。どこ行ってたんだ?」

斉木(トイレだ。それよりもう12時だぞ)

雪乃「そうね。それじゃスイーツ店に行きましょうか」

スイーツ店


斉木(まさかこんな店があるとは。僕としたことがノーチェックだったな)

雪乃「斉木くん、凄い嬉しそうね」

八幡「スイーツ好きだからな」

照橋(確かに今思えばそうかも。ま、私と過ごす時間の方が甘いけどね)

斉木(時間に甘さを味わったことはないが)


陽乃「あれー? 雪乃ちゃん?」


雪乃「……姉さん」

陽乃「こんなところでどうしたの? あー、ダブルデートだな。このー」

雪乃「違うわ」

陽乃「どっちが雪乃ちゃんの彼氏? 君かな?」

斉木(両方違う)

陽乃(へえ。雪乃ちゃんが男子と買い物なんてねー。雪乃ちゃんに相応しいか私が判定してあげないとねー)

照橋「雪ノ下さんのお姉さんなんだ」

陽乃「……っ!?」

照橋「私、同級生の照橋心美と言います」

陽乃(な、なに? なんなのこの子!? 凄いオーラ放ってるんだけど!?)

照橋「よろしくお願いしますね」

陽乃(うっ。私の外面が物凄い勢いで剥されちゃう!!)

陽乃「あっ、用事思い出しちゃった! それじゃまた今度ね!!」

雪乃「え」

八幡「騒がしい人だな」

照橋「そうだね」

斉木(面倒くさそうな人だったな。照橋さんがまさか役に立つとは)

雪乃(姉さん、どうしたのかしら。いつもと様子が)

1時間後


雪乃「それじゃそろそろ帰りましょうか」

照橋「うん」

八幡「なあ、斉木」

斉木(なんだ? 傷物語なら公開初日に見に行ったぞ)

八幡「そ、そうか……。なら一人で行くしかねえか」

雪乃「もしかして映画の話?」

八幡「ああ。雪ノ下にこの前貸したラノベのな」

雪乃「そう。……もしよかったら私が行ってあげないこともないけれど……」

八幡「そ、そうだな。なら行くか……?」

雪乃「……ええ」

八幡「……」

斉木(今日は僕と照橋さんはいない方がよかったんじゃないか?)

6月18日 奉仕部


雪乃「由比ヶ浜さん、誕生日おめでとう」

八幡「おめでとさん」

結衣「みんな、ありがとー! わー、可愛いエプロンだ。ありがとね、ゆきのん!」

雪乃「どういたしまして」

結衣「ヒッキーはチョーカー? 今つけてもいい?」

八幡「いいけどそれ首輪だぞ」

結衣「なっ。早く言ってよ!」

八幡「お前が勝手に勘違いしたんだろうが」

結衣「むぅ。斉木っちはゴムだ。ありがと!」

斉木(僕じゃなく照橋さんに選んでもらったんだけどな)


照橋『斉木くんも由比ヶ浜さんにプレゼントするんだ。ならこれでいいんじゃない?』

雪乃『それ輪ゴムなのだけれど』


結衣「こんないいの貰ったんだから皆の誕生日にしっかりお返ししないとね」

雪乃「期待してないで待っておくわ」

結衣「エプロン頂いたことだしあたしの手料理でもプレゼントしようかなー」

「」

結衣「あ、ケーキもあたしが作ろうっと。うん、それがいい!!」

斉木(やめろ。超能力で全員の胃を消毒しないといけなくなる)

雪乃「由比ヶ浜さん、エプロン返してもらっていいかしら?」

結衣「なんでだし!?」

ここまで

10 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします sage 2016/09/09(金) 13:41:39.03 ID:ij/k8YcBO
魔王様「HA☆YA☆TO☆(笑)の分際で…身の程を再理解させる必要があるみたいね?」

薄化粧マッチョメン×100に囲われたHA☆YA☆TO☆(笑)「ア゛ッ゛----!!!!」ズブッ… ズブッ… ズブッ… ズブッ……

何故かいるE.H(姓.名)女史「愚腐腐腐腐腐……」

お久しぶりです
今週中に投下するので夜露死苦です

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2016年08月07日 (日) 21:59:33   ID: k0uFjA9U

なにこの俺得ss

2 :  SS好きの774さん   2016年09月16日 (金) 06:31:00   ID: C6Mqp46U

斉木って映画観れないんじゃ

3 :  SS好きの774さん   2016年09月21日 (水) 01:42:51   ID: TcCCMbAn

めっさおもろい笑

4 :  SS好きの774さん   2016年09月22日 (木) 03:23:00   ID: OOCJqAdA

期待

5 :  SS好きの774さん   2016年10月15日 (土) 10:05:09   ID: F0cl-jeT

待ってる

6 :  SS好きの774さん   2016年12月04日 (日) 03:19:21   ID: IBcVWmUu

お?

7 :  SS好きの774さん   2016年12月11日 (日) 08:45:23   ID: Dnni6yeW

>>>2
俺もそう思ったけど、確かなんか変な指輪を着けてる間はテレパシー能力が消えるとかなんとかあったとおもう
間違ってたらごめんなさい

8 :  SS好きの774さん   2016年12月25日 (日) 20:16:39   ID: jteGVYxo

やっぱこのssも捨てたか

9 :  SS好きの774さん   2017年07月18日 (火) 20:29:48   ID: d7auF0fr

お?

10 :  SS好きの774さん   2018年02月28日 (水) 21:21:04   ID: -SVLHpoZ

一週間が2年続く恐怖

11 :  SS好きの774さん   2018年03月11日 (日) 14:30:52   ID: bF-m0Ohq

雰囲気好き

12 :  SS好きの774さん   2019年08月06日 (火) 23:59:50   ID: mHl36mC7

>>>2 >>>7
単純に公開初日に見に行ったから
ネタバレされずにすんだんだろ...

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