緒方智絵里「ユーフォリア」 (32)



初投稿です。

ヤンデレ要素はありません。

結構短いです。

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1468846516

―事務所―



ガチャッ

P「おはようございま~す」スタスタ

智絵里「おはようございます、プロデューサーさん」

P「おはよう智絵里。ええと、今日のスケジュールは…」


…プロデューサーさんが好き。どうしようもないくらい…好き。

プロデューサーさんに話しかけられる度、嬉しさで胸がいっぱいになる。

いつからかは分からいけど、私を拾ってくれて、私を理解してくれて…

こんな気持ちになったのはプロデューサーさんが初めてだ。

私の目に映るプロデューサーさんはいつも優しくて、かっこいいけど…

プロデューサーさんの目には、私はどう映ってるんだろう。

P「…今日はこんな感じかな。今日もよろしく、智絵里」

智絵里「はい!よろしくお願いします…」


…でも、私はアイドルで、Pさんはプロデューサーだから、この恋は叶わないんだなって。

私のわがままでプロデューサーさんを困らせたくないから…。

これは叶わない恋なんだと自分に言い聞かせて、胸の内にしまい込む。

でも、その思いは日に日に膨らんでいくばかりで――

―別の日の事務所―



美穂「智絵里ちゃん、ちょっと聞きたいことがあるんだけど…」


美穂ちゃん…急に深刻そうな顔してどうしたんだろう…


美穂「智絵里ちゃんは、自分のプロデューサーさんのこと…どう思ってるの?」

智絵里「…ええっ!?プ、プロデューサーさんのこと!?」ビクッ

美穂「わわっ…ご、ごめんね、急に変なこと聞いて…」


…私がプロデューサーさんをどう思ってるかなんて決まってる。

好きだ、好きでたまらない。

でも…

智絵里「…プロデューサーさんはいい人だよ。優しいし…」


この思いは胸の内にしまい込むって決めたから、ちょっとありきたりな返事をしてしまう。


美穂「そうなんだ…そっか、そうだよね…。
……実は私ね、プロデューサーさんのこと…好きなんだ」

智絵里「!!!」

美穂「でも…この間、プロデューサーとアイドルのスキャンダルがあった時、『アイドルとプロデューサーが恋愛なんてな~…ダメですよねぇ』
みたいな話をちひろさんとしてるのを偶然聞いちゃって…。
そしたら私、どうしていいか分からなくなっちゃって…智絵里ちゃんになら相談してもいいかなって」


そうだったんだ…美穂ちゃんも、私と同じような悩みを…

智絵里「…美穂ちゃんは、自分のプロデューサーさんのこと、どれぐらい好き?」


私もどうしたらいいか分からなくなって、ありきたりな返事をしてしまう。

だって私だって…プロデューサーさんのこと…


美穂「うーん…どれくらい…。
やっぱり一緒にいる時間が長いからかな?段々惹かれてったというか。
でも、一度好きって気づいちゃったら止められなくなって…いつプロデューサーさんに気づかれるのか怖くて…」


…私と同じ、私もプロデューサーさんに思いを気づかれるのが怖い。

もし気づかれたら、この日常が壊れていくような気がして…

???「…気づかれてもいいんじゃないですか?」

みほちえり「ち、ちひろさん!?」

ちひろ「お二人がしてたお話…ちょっと盗み聞きしちゃいました!」


ちひろさん…相変わらずまた…


ちひろ「美穂ちゃん、どうして気づかれるのが怖いんですか?」

美穂「私はアイドルで、Pさんはプロデューサーだから…。
プロデューサーさんにもし思いを伝えたとしても、Pさんは優しいから…どう断るか悩んじゃいます」


ちひろ「なんで断られるって思ってるんですか?」

美穂「…この前プロデューサーさんが、アイドルとプロデューサーのスキャンダルは~…って」

ちひろ「あら、あの時の話を…」

ちひろ「大丈夫ですよ、美穂ちゃん。あれはプロデューサーさんの本心じゃないと思います。…なんとなくですけど」

ちひろ「それに、もしバレたら無理矢理黙らせればいいんですから!」

智絵里「む、無理矢理…」

美穂「ちひろさん…笑顔が怖いですよ…」ビクビク


ガチャッ


美穂P「お疲れ様で~すっと…美穂、そろそろ次の仕事の時間が」

美穂「あっ!もうそんな時間…すぐいきます~!
ごめんね智絵里ちゃん、また…」スタスタ

智絵里「頑張ってね!美穂ちゃん!」フリフリ



智絵里「……」



……


プロデューサーさんが、私を受け入れてくれるという可能性。

今まで、届かない恋なんだって思ってきたのに、ずっと胸の中にしまい込んできたのに。

一度考えだしたら止められない。

頭の中が、心の中が、プロデューサーさんでいっぱいになる。

…期待しちゃダメ。

期待すればする程、受け入れてくれなかった時の悲しみが大きくなるから…

でもそれは、単なるやせ我慢で――


―しばらく経ったある日―



P「…智絵里、久しぶりに仕事早く終わったし、送ってこうか?」

智絵里「は、はい!お願いします」

P「送ってく途中、ちょっと寄りたい所があるんだけど…」


―日が暮れた人気のない公園―



P「……」

智絵里「……」


…久しぶりにプロデューサーさんと二人きりになる。

事務所に入った頃はもっとプロデューサーさんと一緒にいる時間が多かったのに。

最近はプロデューサーさんも私も忙しくなって…

アイドルとして売れてきたのは嬉しい。

でも、昔の事を思い出すとちょっぴり悲しくなる。


事務所に入ったばかりの時、まだおどおどしてた私に優しく接してくれたプロデューサーさん。

失敗した時も、落ち込んだ時も、まだ子供の私を励ましてくれて、見捨てないでくれて…

プロデューサーさんと過ごした日々を思い出してたら、心臓が飛び出そうなくらいドキドキしてくる。

こんなにドキドキするのは初めてかも知れない。

美穂ちゃんと事務所でお互いのプロデューサーさんのことを話してから、さらに抑えきれなくなった気持ちが溢れそうだ。

こんなにドキドキしてるのに気づかれたら…

気持ちが溢れそうになってるのに気づかれたら…

……気づいて欲しい……


P「…なあ、智絵里」

智絵里「ひゃっ!?ひゃい!?!?」

P「おわ…ど、どうした智絵里、どんなに驚いて」

智絵里「すっ、すみません!考え事してて…」

P「さっきちひろさんに言われたんだ、『智絵里ちゃん、最近なんだか上の空みたいで…』って。
だから、智絵里とちょっと話したいと思ってさ」


ちひろさん、やっぱり薄々気づいてたのかな。

プロデューサーさん、私のために時間を作ってくれて…

なるべくプロデューサーさんには心配かけさせたくないのに、私は…

でも、我儘なのは分かってるけど、プロデューサーさんと話せるという喜びのほうが大きかった。


P「何か最近困ったことでもあったのか?溜め込むのも良くないし、話せることならはn「プロデューサーさんはっ!」」


気持ちが高ぶって押さえられない。

食って掛かるように声を荒げてしまう。


智絵里「…プロデューサーさんは、なんでこんな私に優しくしてくれるんですか…?」

智絵里「お仕事とかレッスンがうまくいかなかった時も怒らないで…」


…そんな事は分かってるのに。

プロデューサーさんは優しいって…


P「…智絵里は、いつも仕事とかレッスンで失敗した時、ちゃんと何がいかないか考えて反省してるだろ?
物事を真剣にやって、それでも失敗しても、ちゃんと反省してる人間に怒れるほど俺は偉い人間じゃないよ」



ああ…そっか…プロデューサーさんは

優しいだけじゃなくて、私のことも考えて…


P「誰にだって失敗はある。智絵里はいつも頑張ってるって、俺はちゃんと見てるぞ」

智絵里「…プロデューサーさん…私っ…私は…っ…」


プロデューサーさんへの思いが、ずっとしまってた思いがとうとう溢れだしてしまった。

溢れた思いが、涙にって止めどなく流れる。

手で顔を覆っても涙は止まらない。

歯を食いしばっても声が漏れる。

頭の中がぐるぐるして、自分がどこで何をしているかすらあやふやになる。

分かったのは、プロデューサーさんが私の頭を撫でている事だけで―


P「…泣きたいときは思いっきり泣けばいいさ。
泣きたいときは思いっきり泣いて、笑いたいときは思いっきり笑って…。
自分に素直になるのも大事だぞ?」


自分に……素直に……


智絵里「…っく…うぅっ……き……っ…で……」

P「……智絵里?」


ダメ…ダメなのに……


智絵里「……です……好きです……Pさん……好きです………」

P「……」


とうとう言ってしまった。

いままでずっと溜めて、我慢してきた想いをうわ言のように繰り返す。


智絵里「好き…っ…です……大好き……です……。
でもっ……好きだから……っ…迷惑になると……」


ギュッ


智絵里「……!!」

P「…全然、迷惑なんかじゃない。
ごめん、智絵里。こんなに悩んでるのに、今まで気づいてやれなくて…」



P「智絵里、俺も好きだ…大好きだ」

智絵里「……ぁああぁあああぁ…っ!うぅうぅっっっ………!」


涙が枯れるほど泣いた。

声が枯れるほど泣いた。

プロデューサーさんの体温が、思いが肌を通して伝わってくる。

それはとても温かくて、優しくて…

今まで溜め込み続けた思いを、プロデューサーさんへの思いを吐き出し続ける。

もう悲しくならないように、後悔しないように。

かけがえのないこの思いは、いつまでも、きっと変わらないから。


P「…今はまだ公にはできないけど、もしその時が来たら…よろしくな」

智絵理「はいっ……はい……っ…」


私は今日、プロデューサーさんから、幸せを貰った。


―数日後の事務所―



美穂「智絵里ちゃん、なんだか最近いつもニコニコしてるね!」キラキラ

智絵里「そ、そうかな…えへへ…」ツヤツヤ

美穂「…何か楽しいことでもあったの?」

智絵里「うーん……毎日楽しくて、幸せな気持ち…だからかな?」

美穂「…えっ」キョトン


ガチャッ


P「智絵里ー、そろそろいくぞー!」

智絵里「分かりましたっ!ぷろd……Pさんっ!」スタスタ

美穂「……私も頑張って見ようかなあ…」



……


Pさんと心が繋がって、世界が…今までより明るく見える気がした。

Pさんから優しさを、幸せ路貰って、輝きが広がった気がした。

私も、Pさんに優しさをあげたいから…

Pさんと巡り会えた奇跡を感じながら、

いつまでも一緒に歩いて行こう。

ねっ、Pさんっ!



―終―

これで終わりです。

智絵里の直球純愛SSって意外と少ないので書きました。

HTML化依頼出してきます。

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