奏「1、2、3、4の先」 (11)

おっさんであれば一度はこの台詞を奏に言わせたいと思ったであろう事。


SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1468810391

とある日。

テレビ局との打ち合わせが終わり、直帰しようとぷらぷらと歩いていると、いつか、奏がスカウトした場所で立ち尽くしていた。

奏?どうしたんだこんな時間に。

あと30分もすれば高校生は補導対象になるようなそんな時間に奏は立ち尽くし、夜空を見上げている。

奏「………」

こちらを一瞥し、また夜空を見上げはじめた。

遥か彼方の光に思いを馳せるように、ひたすらと夜空を見上げている。

何も言わない担当アイドルを放置して帰れる訳もなく、彼女に見習って柵にもたれかかりながら自分も夜空を見上げてみた。

都会の光が邪魔をして、月と等級の高い星がポツポツと見えるだけ。

そう言えば明日アーニャ企画の第12回事務所天体観測大会が開かれるなぁって思いつつ、そろそろ首が痛くなり始めた頃。

ふと視線を感じ、彼女を見ると笑顔を浮かべて自分を見つめていた。

なんだろう、凄い違和感。

普段は大人びた表情で、こちらをからかうように笑う彼女ではあったけれど。

今の笑顔は年相応、いや、それよりも幼く見える。

そして、なにより普段と違うと思ったのがそのーーー

奏「…そHotel Moonside。」

…え?なんだって?

やっと声が聞けたと思ったら、自身のデビュー曲のタイトル。

その前にも何か言っていたような気がするが、聞こえなかった。

難聴系プロデューサーでは無かったと思ったが。

そんなこちらの思いなど知らないかのように、彼女は笑みを浮かべながら続ける。

奏「ようこそホテルムーンサイドへ。」

奏「ようこそホテルムーンサイドへ。」

奏「ムよホーンサうテイこドそルへ。」

………奏?

奏「よう、こそホテ、ルムー、そホテルムー、ンサイ、ンサイ、ンサイ…ドへ。」

ど、どうしたんだ奏!?

奏「ようこそホテルムーンサイドへ!」

奏「どうしてホテルムーンサイドを?」

奏「いつまでホテルムーンサイドに?」

なんかの冗談なのか!?それとも晶葉が作ったロボットなのか!?

奏「………」

………奏?落ち着いたか?

奏「…ハロー!」

は、ハロー?

奏「…そして…グッドバイ!」

………え?

ドン‼︎

痛ッ!?なんだ!?何がおきた!?

………あれ?事務所?

どうやら寝ていたらしい。

それでもって椅子から転げ落ちたらしい。

…尾骶骨がすげーいてー…

何か、夢を見てたような気がするが、何だったかな。

あんまり良い夢じゃ無かったと思うんだが。

時刻はそろそろ22時。

気分があまり乗らないし、今日はもう帰るかな。

カツン

ビクッ⁉︎

なんだ!?って、奏?居るなら居るって言ってくれ。心臓に悪い。

そう言えば奏は今日オフじゃなかったか?しかもこんな時間に事務所に居るなんてあまり関心しないぞ?

奏「………」

あの、奏?奏さん?

ニコッ

なんだろう、凄い違和感。

普段は大人びた表情で、こちらをからかうように笑う彼女ではあったけれど。

今の笑顔は年相応、いや、それよりも幼く見える。

そして、なにより普段と違うと思ったのがそのーーー

いや、そんな事よりこの笑顔は見覚えがある。

これは確か夢で見たあの笑顔。

それで彼女はこう言うんだ。

奏「ようこそホテルムーンサイドへ。」

以上です。
Hotel Moonsideと聞いて、MOTHER2のムーンサイドを思い出した人も多いはず。

ちなみにタイトルは町の名前です。
Onett、Twoson、Threek、Foursideの先にあるMoonside。

このSSまとめへのコメント

このSSまとめにはまだコメントがありません

名前:
コメント:


未完結のSSにコメントをする時は、まだSSの更新がある可能性を考慮してコメントしてください

ScrollBottom