フィアンマ「おえっ……」 (37)

フィアンマに吐かせたかっただけ
後悔はしてない

原作確認しながらじゃないので少し違う可能性あり

22巻あたりです


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………馬車の中………


フィアンマ「……ううっ」マッサオ

フィアンマ「うぅ、俺様ってこんなに乗り物酔いするタイプだったのか」オゲェ

ガララララッ

フィアンマ「おええええっ」ゲロロロロ

フィアンマ「はあ、はあ……こんなところで体力消耗は避けたいんだが」フルフル

フィアンマ「うっ……」

フィアンマ「ちっ、吐いたのにまだ治まらないのか」イライラ


フィアンマ「っ……、ダメだ、寝ようとしても振動で寝れない」ウウッ

フィアンマ「……こんなことになるなら歩きの方が遥かにマシだったじゃないか」

フィアンマ「うっぷ……吐きそう」

フィアンマ「おええっ……もう固形物がないじゃないか」ビチャ

フィアンマ「もう吐くものなんか無いだろう……」ウウッ

フィアンマ「一体……どうしたらいいんだ」オエ

フィアンマ「回復魔術も大して効かないし、酔い止めも意味をなさない……」ップ…

フィアンマ「そして次々と波がやってくる……んぐ」

フィアンマ「……仕方が無い……止めるか」


ガラッ

フィアンマ「んっ……はぁー」

フィアンマ「やはり外の空気を吸うとだいぶマシになるか」

フィアンマ「はあ、この調子だとベツレヘムの星を形成するところまで行くのでさえキツイな……」

フィアンマ「いや、それ以前にそこまで俺様の体力が持つ保証がない」

フィアンマ「もう、本当に歩くか?」

フィアンマ「いや、徒歩の消耗も相当だろう」

フィアンマ「……」

フィアンマ「だが、そんなに悠長に構えている時間もあるまい……」

フィアンマ「どうしたものか……」

フィアンマ「あ……」

フィアンマ「右腕使えばいいじゃないか」

フィアンマ「そうと決まったら行くか」ビュン


………ベツレヘムの星………


フィアンマ(これは非常にマズイ!!)ウップ

フィアンマ(揺れ過ぎる……馬車なんて比じゃない!)

フィアンマ(禁書目録による魔術でなんとか幻想殺しの足止めは成功しているが……)ウッ

フィアンマ「っ……」ヨロ

上条(魔術にスキができた……のか?)

上条(罠?……いや、一か八か!)

上条「っし! 抜けたっ!!」ダッ

フィアンマ「!!」ブン

フィアンマ(くそっ、無意識に隙を作ってしまったか……)

フィアンマ(とりあえず魔術を絶え間なくくり出して、その間に俺様は少し体力を回復させたい……)

上条「……また逃げやがって」


フィアンマ「っ、だから……無駄だと言っているだろう……」

フィアンマ「いい加減諦めっ……」オェ

上条「?」

フィアンマ「いい加減諦めて、その右腕をおいていけ」ナミダメ

上条「お、おい、泣くのは反則だろ」

フィアンマ「泣いてない!」ウッ

上条「……本当にどうしたんだよ、突然」タッ

フィアンマ「よ、寄るな!」ドンドン

ボゴ-ン ドカァァァン

上条(魔術が大雑把になってきている?)

上条(気になるんですけど……)

上条(さすがに男とはいえ、泣いてるやつを殴るのは気が引けるしな)


フィアンマ(あー、吐きそう)ウルッ

フィアンマ(これではもう長くは集中力が持たない……)

フィアンマ(ダメだ……もう辛い)オェ

上条「……」コンワク

フィアンマ「おええええええ」ゲロロロロ

上条「えええええ!?」ダッ

フィアンマ「おええええええ」ゲロロロロ


上条「ちょ、おい、大丈夫かよ?」タッ

フィアンマ「えぐっ……」ジワ

上条「えっと……背中さすろうか?」スッ

フィアンマ「くそっ、触れるな!」ギロ

上条「そんな半泣きで言われても……」サスサス

上条「大丈夫か?」

フィアンマ「男に慰められるとか惨めすぎるだろ……本当にやめてくれ」

ひとまずここまで

一応フィアンマは好きよ


上条「……もしかして乗り物酔いしちゃったのか?」

フィアンマ「ぐっ……仕方が無いだろう」

フィアンマ「俺様が乗り物程度で酔うなんてことは知らなかったのだから」

上条「そっか」

上条(魔術の雨が止んでる……)

上条(しかもフィアンマは本当に弱ってる)

上条(目ぇ覚まさせるにはこのタイミングしかないけど……)

グラグラ…

フィアンマ「……っ」ウッ

フィアンマ「まだくるのか……」ウウッ

上条(なんだか可哀想だし……)


フィアンマ「……少し肩を貸せ」

上条「ん? 別にいいけど」サッ

フィアンマ「……悪いな」スック

フィアンマ「……も、もう大丈夫だ」

フィアンマ「続きを始めようじゃないか」バッ

上条「いや、無理しなくてもいいぞ」

フィアンマ「無理などしてない!」

フィアンマ「うっぷ……はぁ、はぁ」ガクッ

フィアンマ(これ以上醜態を晒すわけには……)


上条「……なあ、弱みにつけこむようで悪いんだけどさ」

上条「引いてくれたらこのこと秘密にするから、もうこんなくだらない戦いはやめにしようぜ?」

上条(まあ、どちらにしろ言いふらす気は全くないけど)

上条(可哀そうだし)

フィアンマ「……」

フィアンマ「俺様の威厳が地の底へ落ちたとしても俺様はこの作戦を遂行しなくてはならない」

フィアンマ「平和のためにな」

フィアンマ「だからその脅迫には屈することはできない」ギロ

上条(脅迫!? 脅迫呼ばわりされるとは思ってませんでしたー!!)


上条「えっと、この世界ってお前が言ってるほど悪いもんじゃないと思うんだよ」

上条「どんなに強い奴にだって弱さはある」

上条「ほら、今のお前みたいにさ」

上条「それと同じように人間にだって悪い面も良い面もある」

上条「みなの悪い面も良い面も受け入れ合うことができるわけじゃない。ってかそれは無理だよ」

上条「だけど協力することができたから俺は今まで一応やってこれたんだ」

上条「お前を追ってここまでたどり着いた」


上条「だから、お前もみんなの悪い面だけを見て、消してやるとか浄化してやるとか言うんじゃなくて、見守っていこうとしてみねぇか?」

上条「無理に受け入れろとは言わない。でも悪い面以外も見る努力をしてみろよ」

上条「そうしたらきっと良い面も見えてくると思う」

上条「俺だって今までお前の戦争起こしただとかインデックスを苦しめてるとか悪い面しか見てなかった」

上条「だけど少し接触してみると、意外と話通じることとか、人間らしいところを知ることができた」

上条「そんな感じでやっていけばいいんじゃないかなって思うんだけど、どうだよ?」


フィアンマ「それは確かに一理あるかもしれないな」

フィアンマ「とても面白い夢だ」

フィアンマ「だが、夢は夢でしかない」

フィアンマ「とりあえず世界を平和にしたところでゆっくり考えてやるよ」

フィアンマ「醜悪で欲望に満ちた人間がいるかぎりこの世界は平和とは言えないのだから」オエェ

フィアンマ「っ……」

上条「いや、そんな早く話さなくてもいいから」

上条「とりあえず落ち着くまでお前の言い分聞くのは待っててやるよ」

上条「そんなにえずいてる奴の幻想ってやつも聞いてみたいしな」

フィアンマ「幻想殺しがよく言うものだ」


フィアンマ「とにかく今の世界は俺様の思う平和な世界とはいえない」

フィアンマ「なぜなら人間の悪意を敵に設定した俺様の右腕は猛威を振るっている」

フィアンマ「つまり人間の悪意というものはそれほど醜いものだというわけさ」

上条「確かに平和とは言いきれないかもな」

上条「こんなちっぽけな俺が判断できることでもないけど」

上条「お前みたいに見下ろすことはできないけどさ、同じ高さで見廻してたら分かるよ」

上条「理不尽なことなんかいっぱいある」

上条「俺もそうだけど人間ってなぁって思うときもある」

フィアンマ「分かっているじゃないか」ウップ

フィアンマ「あ、少し待て……」

上条「あ、うん……」


フィアンマ「おええええええ!」

ビシャア

フィアンマ「あ、ベツレヘムの星に吐瀉物を付けてしまった……」ガ-ン

上条「と、とりあえず口の周り拭いた方がいいかと……」ポケットティッシュ

フィアンマ「……悪いな。高機能そうなものを借りてしまって」フキフキ

上条(魔術サイドにはティッシュが存在しないのか?)

フィアンマ「よし、続きを話すといい。特別に攻撃を止めて聞いてやる」

上条「えっと……だけど、俺はお前の考える、お前基準の平和を否定する」

上条「力による平和なんて平和と呼ぶには程遠いし、お前の思う平和って発言がまずおこがましい」

上条「それを分かってくれるまで俺は引かない」


フィアンマ「少し待ってろ……」

フィアンマ「おえええええ」

上条「ちょ、地上に向けて吐くなよ!」

フィアンマ「いや、このベツレヘムの星は全て聖なる物でできているんだぞ」

フィアンマ「もうこれ以上汚すわけには行かないだろう」

上条「……もう吐いちゃったもんは仕方が無いか」

上条「とりあえず袋やるからそれの中に吐いた方がいいよ」ガサッ

フィアンマ「……済まないな」

荒削りなかんじだけど許して……

ひとまずここまで


フィアンマ「ふぅ……俺様が諦めるまで引かないと言ったな?」

上条「ああ、俺がお前の暴走を止める」

フィアンマ「……敵である俺様がすぐに倒せるくらいまで弱っているのだぞ?」

フィアンマ「なのに、なぜ、倒すどころかそんなに介抱しているのだ?」ッ…

上条「それがどうしたっていうんだ」

フィアンマ「矛盾だろう?」

フィアンマ「俺様が本調子に戻ったらまた攻撃が再開するんだぞ?」

フィアンマ「地上への攻撃も再開される……」

フィアンマ「それが当たってお前が死ぬかもしれないし、世界がめちゃくちゃになるかもしれない」

フィアンマ「それはお前が危惧していることじゃないのか?」

フィアンマ「全く理解できないんだが……」ウッ


上条「困ってる人が居たら出来る限り助けてやる」サスサス

上条「それくらい誰かから習うもんだろ?」

フィアンマ「……規模が違うだろう」

上条「なら、今俺に倒してもらいたいのか?」

フィアンマ「別の意味でもう消えたいものだ」

上条「恥ってことか。別に恥ずかしくもなんともないだろ」

フィアンマ「何を言う。俺様はただの人間じゃない」

フィアンマ「世界を救うとか言って、戦争を起こした男がちょっとした揺れで酔っているとはどんな茶番だよ」ハハッ…


上条「誰だって弱点はあるって」

上条「お前もあるし、インデックスもあるし、御坂だって一方通行だって、神裂もステイルも。もちろん俺なんか弱点だらけだ」

上条「だからってそれを恥じる必要はないだろ」

フィアンマ「そのせいで計画をダメにしたら……おえっ」グッ

上条「やっちまったなって言いながらもう一度挑戦してみればいいだろ」

上条「まあ、この計画は何度お前がやろうとしても俺が止めてやるつもりだけど」

フィアンマ「……うっぷ……」

フィアンマ「おえええええええ!」ビシャア

上条(袋あげて正解だったな)


フィアンマ「はぁ……はぁ……そこまで止めるというのなら、代替策があるんだろうな……」

フィアンマ「平和な世界を築く方法が」

上条「いや、俺は馬鹿だからさ、そんなスケールの大きなことを考えることはできねぇな」

上条「だけど正しく人を救うことが出来る方法が見つけられたとしたら、俺はお前に協力するよ」

上条「そんなにすごい力を持ってながら平和を目指すってこと自体は普通の人間には到底できないことだろうし、そのこと自体に俺は文句を言う気はないからな」

フィアンマ「ふむ……」

上条「まあ、救われなきゃならないほどこの世界が脆いのかとは思うけど」

フィアンマ「脆いさ」


フィアンマ「断言してやる。この世界は俺様が少しつついただけでボロを出してしまうほど脆い」

フィアンマ「そして危うい」

フィアンマ「人間の悪意ってもんが蔓延っているせいでな」

フィアンマ「いや、もはや人間自体が悪なのかもしれない」

フィアンマ「だから全て取り除いて再び俺様がつついた程度では壊れない頑丈な世界を作り上げる」

上条(……吐瀉物の臭いが漂ってくるな……)

上条(もらいゲロしそう……)ウッ

フィアンマ「お前……聞いているのか?」

上条「ちょ、たんま」ウップ


グラグラ

フィアンマ「うっ……」グフッ

上条「……おええ」ゲフッ

フィアンマ「おい、まさかお前も……」ゴクンッ

上条「お、お前今飲み込んだ……?」

フィアンマ「うえっ……の、飲み込んだかどうかなどどうでもいいだろう」

フィアンマ「まず俺様の問いに答えろ」

上条「……ああ……お前のゲロのせいでもらいゲロしかけた」アオイカオ

フィアンマ「そ、そうか……」グラッ

バタン

上条「え、嘔吐の後は失神!?」タッ

上条「おい、フィアンマ!」ユサユサ

上条「おい!!!」

ひとまずここまで。
書きためてないから遅いけど、次で終わるつもり……


……………………………

フィアンマ(っ……)パチッ

フィアンマ(ここは……どこだ?)

上条「あ、起きた」

フィアンマ「……なぜお前がそこにいる」

上条「俺たち二人はそこにいる若夫婦に助けてもらったから」

???「だから若夫婦じゃないってば。そう見えるのも無理ないけどね」クスクス

???「笑ってないで、自己紹介が先じゃないか?」

???「はいはい、了解しましたよ」

???「私はオッレルス。魔神になるはずだった魔術師さ」

オッレルス「で、こっちが……」

???「シルビアだよ。一応聖人だ」

上条「だそうです」


フィアンマ「……何があったかさっぱりなんだが」

オッレルス「君が倒れたのと、ガブリエルに対抗するため、皆が協力したことによって、ベツレヘムの星の動力源である君の右腕が弱体化して急速に高度を落としてきてね」

オッレルス「そこの上条当麻のおかげで何とか事なきを得たんだけど、まあまあ衝撃はあったらしく、二人とも怪我がひどくてね」

オッレルス「だから保護したのさ」 

フィアンマ「……」チラ

上条「はは……ステイルからの通信に従っただけだけどな」

フィアンマ「はぁ、つまり俺様は終わりか」

フィアンマ「良いだろう。煮るなり焼くなり好きにしろ」

オッレルス「そんな包帯ぐるぐるの患者に言われても」

シルビア「とりあえず、十字教側には居場所はバレてないはずだから」

シルビア「まあ、ゆっくり休むといいよ」

オッレルス「その後協力してもらいたいことがあるけどね」

フィアンマ「ああ……好きにしてくれ。俺様は上条当麻のようにはなれないのさ」クスッ


上条「……」

オッレルス「君はどうする? さすがに学園都市の人間を長期間拘束するわけにもいかないんだけどさ」

上条「帰るよ。迷惑かけて悪かったな」

オッレルス「いやいや。私としても対極に位置しながらも同じことを願う人間を見れてよかった」

シルビア「らしくないね、格好つけてんの?」

オッレルス「うるさいな、いいだろ、たまには」

シルビア「ははっ」

オッレルス「じゃあ送ってくよ。空港まで」

上条「あー、悪いな」


フィアンマ「少し待て」

上条「ん?」

フィアンマ「……なあ」

フィアンマ「俺様が平和な世界を築くための術を見つけたら手伝ってもらえるか?」

上条「ああ、前言ったろ。それに俺たちゲロ仲間だしな」

フィアンマ「う、嬉しくない仲間だな」

上条「いいだろ。事実だし」

フィアンマ「じゃあ……よろしくな、上条」

上条「おうよ!」

おしまい

もう一度言うけど、フィアンマはわりと好きです

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