提督「安価でなおもみんなと遊ぶ」 (1000)

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提督「安価でみんなと遊ぶ」
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※安価は自由にしてます(遊ぶに縛られなくてもいいや)
※人生がENDにいきそうな安価は曲解します
※毎日亀更新
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提督「なんか俺が地雷を踏む夢を見た」

霞「知らないわね。ほら、これで最後の書類よ」

提督「えー、でもこの報告書には地雷についての総評があるけど……」

霞「それとこれとは関係ないわ」

提督「秘書官がそういうなら気にしないが……」

霞「そうしなさい。……これで終りね。それじゃ、あまり羽目を外さないようにしなさいよ」バタン

提督「……まあいいか。さて、今回はどうしようかな」

下2

―談話室―

大和「では、これでアタリです」

扶桑「不幸だわ……」

大和「いえ、以後は運が絡まないものですけど」

提督「ほお、何やってるかと思えば囲碁か」

大和「はい。偶に集まってやってるんですよ。といっても、今日のトーナメントではもう負けたんですけど」

提督「盤面図見た感じだと大和は相当強く見えるんだが」

扶桑「私が弱いだけですよね……うふふ……」

大和「きょ、今日はたまたま読みが冴えていただけですよ。普段はここまで圧勝しませんよ」

提督「ふうん、で、誰に負けたんだ? 少なくとも、ここまで打てるなら相当強いだろ」

大和「今日の相手は鳳翔さんでした」

提督「うわ、強いのきたよ」

大和「提督も打ったことが?」

提督「他に人居ないと付き合ってくれるからな。五子局でも勝てないんだよな……」

鳳翔「提督はお酒を嗜みながら打ってますからしょうがないですよ」

提督「酔ってたつもりは無いんだがな。てか鳳翔、トーナメントとかやっていたみたいだが」

鳳翔「負けました」

提督「あっさりだな……って、鳳翔が負けた!? 相手は誰だ?」

鳳翔「初春さんです」

大和「優勝候補の初春さんですか。それならしょうがないですね」

提督「……え、初春そんなに強いの?」

鳳翔「初春さんは荒らした後のフリカワリが上手なんですよ」

大和「もちろんサバキも上手ですから、序盤押していたと思っても、気付いたら押されていたということがよくあるんです」

提督「二人共定石を大事にするタイプだから、相性も悪そうだしな……」

大和「荒らしに対して強い人なら逆に相性がいいんですけどね」

鳳翔「強い人……加賀さんはヨセも強いですし、得意なのではないでしょうか」

提督「ふうん。ちなみに、他の優勝候補は?」

鳳翔「そうですね……妙高さんはお強いですよ。攻撃的で手筋の発想が見事なんです」

大和「最近ですと春風さんも形がいいです。死活問題の捌き方も上手ですし」

提督「なるほどな。ちなみに、その評し方で扶桑を評価するとどうなんだ?」

大和「えーっと……打ち回しは積極的でいいんですが……ポカが多くて……」

鳳翔「死活判断も少々甘い所が……」

提督「だってさ、扶桑」

扶桑「わざわざ飛び火してくる……不幸だわ」

―執務室―

提督「意外とやる人が多いみたいだったな」

提督「まあ、囲碁は色々な盤面を作りやすいからな。将棋とはまた違った良さがある」

↓2

―工廠―

提督「ネ式エンジンが埃を被ってる?」

明石「はい。大本営から送られたものですけど、現状利用できる方法が無いので、倉庫の肥やしになっている状況です」

提督「別に良いんじゃないか?」

夕張「何を言っているんですか提督! ジェットエンジンですよ! 夢が膨らむじゃないですか!」

明石「そうです、これを使って実際に橘花などの実戦投入が出来るんですよ!」

提督「な、なんだお前ら。……確かに、ジェットエンジンはなかなか夢があるな」

夕張「そうですよね!」

明石「なので提督、改造の許可を!」

提督「よし、ならばそれで何か作ってみろ。実際、使う機会の無い物なんてただの置物だしな」

~数日後~

提督「んで、何が出来た?」

明石「ふふふ、提督、聞いて驚かないでくださいね」

夕張「なんと、噴式震電が出来ました!」

提督「な、なんだってー! ……噴式震電てどんなのだ?」

明石「あのネ20をエンジンとした震電ですよ! 提督が命令したんじゃないですか」

提督「……なあ、それって震電改じゃないか?」

明石「ええ、まあそう言われていますね」

提督「ちょっと、倉庫の……えーと、どこだったっけな」

霞「第二倉庫の右手奥よ」

提督「そうだったそうだった。……秘書官、いつからそこに?」

霞「私に隠れて何かやろうとするなんて考えない事ね。そもそも、その辺りの管轄は私でしょうに」

提督「だっけ。まあいいや。とりあえず来い」

―第二倉庫―

夕張「色々あるけど、どれも使えそうにありませんねー」

明石「ここに何があるんですか?」

提督「震電改」

明石「……え?」

夕張「えっと……」

提督「実はお前ら二人が着任する前にすでに存在していたんだよ」

霞「たしか、夕張はギリギリ知らないタイミングね」

明石「いやいや! じゃあなんで使ってないんですか!」

提督「そりゃああれだ、これは封印するべきものだからな」

夕張「どういうことですか? こんな高性能な艦載機があるのなら、使った方が……」

提督「喧嘩するんだ」

明石「……あぁー」

提督「察してくれたようだな。この時五航戦も丁度入ってきた頃で、これだけ高性能な艦載機があるとな、うん……」

霞「今なら大丈夫だと思うけど。でも動くのかしら……」

明石「オーバーテクノロジーかと思ったんですけど、どうやら勘違いだったみたいですね……」

提督「妙な横文字使う程ショックなのか……」

―執務室―

提督「でも確かあれって普通にプロペラだった気もする。飛ばしたところ見た事無いから知らないけど」

提督「そうならば二人が作ったのは所謂震電改二か。元がジェット用じゃないから不安だが……」

↓2

―廊下―

武蔵「ふん、元は脆い上に中破したら役立たずの癖によくそんな口が利けるな」

加賀「無駄に資材を消費して鎮守府に負担を掛ける戦艦風情がなにを言っているの」

武蔵「前に出ない臆病者の癖に良く傷を負うのは誰かな」

加賀「無駄に前に出る蛮勇の阿呆は何処かしら」


提督「……なんぞあれ」

赤城「いえ、その……実は最近の部隊の編成に機動部隊が多いという話をしていたのですが……」

大和「それから、時代は航空戦力の時代ということですかねーって話で締めようとしたところ……」

瑞鶴「ぼそっと『大和さんの時もすぐに轟沈させられましたからね』という言葉を誰かがしゃべったのよ」

提督「なるほど、むしろその一言でこうなった原因が分かるな。しかし、加賀が相手にするというのは珍しいな。加賀が言った訳じゃ無いんだろ」

赤城「加賀さんは色々あって、よく部隊から外されていましたよね。それで、機動部隊が多いという実感がもてず、買い言葉に売り言葉でこのように」

提督「はー、面倒な奴らだな」

翔鶴「そう言わずに止めてくれませんか? 先程から、喧嘩を遠巻きに見る人たちが増えているみたいで……」

提督「いいんじゃね。事実だし」

大和「て、提督。いくら昔のこととはいえ、それは傷つきます……」

提督「大和のことじゃないから! 最近、機動部隊が多いということについてだよ」

霧島「最近機動部隊の方が多いことは認める、と」

金剛「つまり、最近出番が少ないのは私達より赤城たちの方が良いからということネー……」

赤城「そういうこと……になるのでしょうか?」

長門「何を言う! 我々戦艦だって戦果をあげている!」

瑞鶴「でも、それ以上に航空部隊の方が戦果をあげているってことよね。提督からしたら」

榛名「そ、そうなのですか?」

提督「え? いや、そういうわけでもないようなあるような……」

陸奥「護衛がいなければ自分の身も守れないのよ」

飛龍「そっちだって、私達がいなきゃ自由に動けないくせに」

『…………』

扶桑「あの、放っておいてもいいんですか?」

提督「事実は事実だし。だが、最近機動部隊が多いのは、戦艦を出すまでもない戦いが多いからなんだがな」

伊勢「でも、喧嘩をさせたままにしておくのは……」

提督「うちは仲良すぎるきらいがあるし、今のうちにケンカをさせておきたいってのもあるからな。また夏ごろに大規模な作戦があるだろうし」

日向「確かに、拳で語り合うことも重要だな」

伊勢「拳で語るのとは違うでしょ」

山城「今回は不幸じゃなくてよかったわ……痛っ」ポコン

提督「向こうから空き缶が飛んでくるとか……何かしら不幸が起こらなきゃ終わらないんだな」

山城「不幸だわ……」

―執務室―

提督「なんか気づいたらあいつら勝手に演習してるし……」

提督「まあいいや。多分終わるころには風呂で仲良く語ってることだろう」

下2

―提督私室―

アイオワ「ジャパンは暑いわね……」

提督「クーラーの効いてる部屋でゆっくりしたらどうだ」

アイオワ「そうそう、ちゃんと用意があってきたのよ」

提督「はあ、なんだね、日本語ペラペラのアイオワくん」

アイオワ「アドミラルはこういう時の対策はもちろんあるわよね。それを聞きに来たの」

提督「そんなの俺じゃなくても……どうせなら、あれを出すか」

アイオワ「アレ?」

~~~~~~~~

提督「ちょっと待ってろよ」シャリシャリ

アイオワ「あら、それはシェイブドアイスかしら?」

提督「……ああ、アメリカでのかき氷か。似たようなものだが、少し違うな」

アイオワ「どういうこと?」

提督「まあ待て……あとはシロップをかけて……よし、出来上がりだ!」

アイオワ「一色?」

提督「まあ食べてみなって。これが日本のかき氷ってやつだ」

アイオワ「それでは、イタダキマース。……サクッとしてるわ!」サクッ

提督「成程、そこからか。確か海外のアイスはふわっとしてないからな」

アイオワ「パク……ンー、食べやすくてすごくデリシャスね!」

提督「それならよかった。日本のかき氷は他と比べて味が薄いと言われるかと思ったが」

アイオワ「次々と口に運べてサイコーね!」パクパク

提督「おいおい、そんなに一気に食べると……」

アイオワ「うっ……!」キーン

提督「言わんこっちゃない」

アイオワ「これは……なんなの……」パクパク

提督「かき氷は口に運びやすいからそうやってキーンとよくするんだよな」

アイオワ「ネクスト、プリーズ……!」

提督「って、それでも食べるんかい!」

アイオワ「こんな素晴らしい食べ物、食べておかなければ損じゃない!」

提督「アイオワの日本文化のなじむスピードが半端ないんだが……というか、いつでも作ってやるから落ち着け」

―執務室―

提督「気持ちはわかる。だが食べすぎには気を付けよう」

提督「誰もが一度は通る道だがな……」

下2

―龍鳳の部屋―

龍鳳「ありがとうございます、料理の味見に付き合ってくださって」

提督「なにいってんだ、龍鳳の料理なら役得だ」

龍鳳「いえ、私はそこまで言われるほどでは……」

提督「謙遜するな。おいしかったぞ」

龍鳳「あ、ありがとうございます。で、では、私は洗い物をしておきますね」

提督「悪いな」

龍鳳「いえ、ゆっくりしていてください」

提督「……お、なんだこれ」

龍鳳「? あ、す、すみません、出しっぱなしにしていましたね」

提督「それは構わないんだが、なんともファンシーなものを持ってるな」

龍鳳「ええと、お給料をもらったときに、鳳翔さんにほかの趣味も探してはどうですかといわれたので、その一環にドールハウスを作ってみたんです」

提督「なるほどねぇ。うーむ……」

龍鳳「何か気になることでも?」

提督「いや、やっぱりハウスっていうからには、もっと家族がほしいなと思って」

龍鳳「私もそう思って、追加の何体かがそちらの箱の中に」

提督「これか。……やっぱ、二階は子供部屋だよな」

龍鳳「そのつもりで配置をしていますよ」

提督「しかし、部屋が足りないぞ」

龍鳳「あ、本当ですね……双子ってことにしませんか?」

提督「いいなそれ。じゃあ、ベッドを二つに増やして……」

龍鳳「棚も少し大きめのものを置いておきましょう」

提督「じゃあ、親の部屋はこの双子の下だな。様子がわかりやすいだろう」

龍鳳「いいですね! それでしたら、この子はその隣の部屋にしましょう」

提督「確かに見栄えがいいな。よーし、じゃあ、この小物もどこに置こうか」

龍鳳「そうですね……それなら下のリビングのところに――」

―執務室―

提督「気づいたら夜ご飯の時間に……」

提督「ロールプレイとかまでやってたからな。意外となかなか楽しめるものだ」

下2

提督「休暇の申請多いな……申請していない奴も含めると結構な人数がオフだぞ」

168「そうなの? 大変ね」

提督「大変ねって、今まさに休暇を取ろうとしている奴が目の前にもいるんだが」

168「誰のことかしらね」

提督「お前のことだよ」

168「あはは……それはそれとして、大丈夫なの、そんなに休む人がでて」

提督「そこは秘書官がなんとかしてくれるから良いが、俺としては何の為に休暇を取っているかが知りたい」

168「あれ、司令官知らないの? 配信されたんだよ」

提督「何がだ?」

168「ポケモンGO」

提督「……ああ、あれか!」

168「司令官にしては珍しいわね。そういうのちゃんとチェックしているかと思ってたのに」

提督「なんだか俺が不真面目みたいな言い方だな」

168「違うの?」

提督「……それで、そのポケモンGOに皆ハマってるって訳か」

168「話逸らした……まあ、そういうわけ。司令官も、ポケモントレーナーになってみる?」

提督「そうだなぁ、流石にそうやって時間とられるゲームをするのはなぁ」

168「まあまあ、一日だけやってみたらどう? ほら、皆の間で流行ってるゲームがどんなものか確認しないと」

提督「うーん、わかった、そうしてみるか」

~次の日~

168「司令官、どうだった?」

提督「いやー、さすがに一日でCP1000は無理だったわ」

168「……廃課金?」

提督「どちらかといえば肉体行使だな」

58「イムヤー、近くの公園のジムリーダーが倒せないよ!」

168「あの人? 強いよね、すでにCP800近くあるし、海外組じゃない?」

提督「あ、それ俺」

168「…………廃課金?」

提督「なんどもいうが、肉体行使だ」

~~~~~~~~

提督「ポケモンGOは、なんというか……虫取りをしていた子供の時のような感覚に近い気もする」

提督「まだ捕まえてないポケモンのために隣町まで自転車で行ったり、懐かしい気持ちになれた」

↓2

―工廠―

提督「明石ー!」

明石「はあ、なんでしょうか、そんなに慌てた様子で」

提督「この報告書、本当か」

明石「報告書? ……あー、そういえば、最終確認でも提督のもとに行くんでしたっけ」

提督「今更だって俺も思うぞ。だが、やはり気になってしょうがないんだ!」

明石「えっと、これはですね、陸軍からあきつ丸さんたちを通しての依頼で」

提督「いや、そういうことはどうでもいい」

明石「どうでもいいって……では、なにについて聞きたいんですか?」

提督「この地雷で何ができるのか」

明石「……はあ」

提督「む、なんだそのため息は」

明石「提督はその地雷に当たりそうになったっていうのに、のんきですね」

提督「のんきのつもりはないぞ。だが、正直あの地雷は大したことなかっただろ」

明石「見た目だけは派手ですけど、確かに威力は抑えていましたが……別に大したことないわけではないですよ」

提督「いいや、俺が無傷だった以上、大したことはないはずだ」

明石(それって提督の運が良かっただけのような気もしますけど)

提督「でだ、そんな地雷は一体何に使うつもりだったんだ?」

明石「……深海棲艦に効く地雷ですよ」

提督「あいつら海だろ。地雷なんか効かないだろ」

明石「本土に攻めてきた場合を想定してのことらしいです」

提督「ふーん、まあ、警戒を怠らないのはよいことだ」

明石「提督はそれでいいんですか?」

提督「別にいいもなにもない。どうせその地雷はずっと倉庫が決まったから、関係なくなったしな」

明石「……自信満々ですね」

提督「だって、結局その地雷深海棲艦に効かないだろ」

明石「……そうですけど」

―執務室―

提督「ある程度満足させることのできるものができればそれでよかったみたいだな」

提督「実は全部報告書で知ってたんだけど」

下2

夕張「人気にあやかって、艦娘GOというものを作ってみました!」

明石「リリースするわけにもいきませんから、鎮守府内だけですけどね」

提督「へー、どんなものだ?」

夕張「システムはそのまま、ですが、出てくるキャラがみんなになっているの!」

青葉「行動範囲は青葉の調査を反映したものになります」

提督「青葉もいたのか。……ふむ、ならすこしやってみてもいいか?」

夕張「元より提督にデータを取ってもらうつもり」

明石「じゃあ、私はお店の方に戻ってるから、なにか修理が必要な事が有れば呼んでちょうだい」

提督「んー、まあ、俺もついでに歩き回ってみるか。システムは同じなんだな」

夕張「はい! 強いて言えば、全体的に感知範囲が狭いくらいでしょうか」

提督「そっか。それじゃあ、行って来るな」


―工廠―

提督「おい」

夕張「あれ、早い。何か問題でもありました?」

提督「なんでどこに言っても俺がいるんだ。艦娘じゃないだろ」

夕張「鎮守府内でのみのリリースの予定だったから、少しはそういう要素があっても良いかなと」

提督「まあ、百歩譲って俺の出現は許そう。だが、なぜ俺はどこにでも出て来るんだ」

夕張「青葉さんが、『司令官さんは何処にでも出現するから、そのままにしちゃいましょう』って」

提督「青葉か!」

夕張「でも、間違いじゃないですよね。どこにでも提督の姿ってあるし」

提督「お風呂にもか」

夕張「……あー」

提督「いいか、鎮守府内で完結するならとやかく言わん。だが、変な燃料だけは投下するな」

夕張「分かりました」

夕張(でも、このままでもそれはそれで美味しいような気も……)

>>54 ×『司令官さん~ ○『司令官~

―執務室―

提督「なんだか不穏な雰囲気があったな……信頼ならないから、あとで明石にも言っておこう」

提督「そもそもは青葉か。あいつ、また後でお仕置きしてやる」

↓2

―庭―

葛城「……何やってるの」

提督「日向ぼっこ」

葛城「そういえば、いつしか前にもそんな事やってたわね。今度は姉さんたちがいないけど」

提督「今回は葛城が最初に会ったんだ」

葛城「そう」

提督「葛城もするか? 日向ぼっこ」

葛城「だ、誰がするっていうのよ。私は今から自己鍛錬なの」

提督「どうせ一人で発艦練習だろ。偶にはのんびりしても良いじゃないか」

葛城「ひ、ひとりじゃないから! たまたま、たまたま姉さんたちに用事があるって……まさか」

~~~~~~~~

天城「遅くなってすみません」

雲龍「少し遅れました。天城が気にするから……」

天城「今回は突然じゃないから、ちゃんと準備するに決まってます」

提督「ふーん、まあ、そんなことより、お前達の妹はもう来てるぞ」

天城「葛城が? あら、まあ……」

葛城「姉さんたち、どこに行く用事なのかと思ったら……何で黙っていたの?」

天城「その、やる気に満ちていた葛城を邪魔するのはどうかって……」

雲龍「私が言ったの」

葛城「うー……私だって、姉さんたちが行く気の中、わざわざ断らないわよ」

提督「つまり寂しいからついてくるんだな」

葛城「寂しいからじゃない!」

雲龍「それじゃあ、先に失礼します」

提督「失礼って……」

雲龍「……zz」

提督「寝てる。早いな」

天城「今日はずっと眠そうにしてましたから」

提督「そんなに楽しみにしていたのか。もしかして、天城もか?」

天城「提督はどう思いますか?」

提督「……まったく、分かりやすい問いかけだ」

天城「ふふ、では、私もお隣失礼します」

提督「ああ。葛城は何処で寝る? 実は、今回そこにハンモックを掛けたんだが」

葛城「ハンモック?」

提督「……なんて、わざわざハンモックで寝るなんて」
葛城「いいわね! 初体験!」

提督「……ああ、喜んでくれたのならなにより」

葛城「お休み、邪魔しないでよ」

提督「いや、精々温かい目で見守っておく」

葛城「そう?」

提督「……ま、今日は風も良い感じに吹いてるし、そっちの方が涼しいかもな。今日ものんびりするとしますか……」

―執務室―

提督「前は突発的だったし、今回は準備してみた」

提督「ハンモックに乗って楽しそうにしていた葛城が印象的だった」

↓2

提督「そういえばアイオワ、お前観光とかしたか?」

アイオワ「してないわよ」

提督「そうなのか。なんか、お前ならさっさと長期休暇でもとって観光に行きそうなものだと思ったが」

アイオワ「あら、てっきりアドミラルが連れて行ってくれるものだと思っていたのだけど?」

提督「……こりゃ言われてしまったな。わかった、あんまり長いこと空けられないから、軽くだぞ」

アイオワ「ワオ! 太っ腹ってやつね!」

提督「ちょっと使い方が違うな」

―京都―

アイオワ「……キョート?」

提督「ああ」

アイオワ「てっきりトーキョーやオオサカを案内してくれるのだと思ったのだけど」

提督「普通はそこだが、どうせ誰かが誘って遊びに行くだろう。だから、今回は観光は出来るが若い子があまり来ない京都に来た」

アイオワ「それってキョートが好きな人を敵に回してないかしら?」

提督「いや、俺は好きだし、全然そんな意図はない。そもそも好きじゃないなら連れて来ない」

アイオワ「それもそうね。それじゃあ、どこに行くの?」

提督「そうだなぁ……いろいろおすすめの場所はあるが……嵐山でも見に行くか」

アイオワ「案外普通ね」

提督「そっちに行けば良い事が起こる予感がするんだ。へい、タクシー!」

アイオワ「あら、何だか人だかりが……」

―嵐山―

アイオワ「ビックリしたわ、ニホンのタクシーは記念品なんてもらえるのね」

提督「俺も驚きだ。まさかかの有名な四つ葉のクローバータクシーに乗れるとは……こりゃ良い事が起こりそうだ」

アイオワ「でも、んー……ここ、すごいわね!」

提督「この伸びる竹林は、まさに話の中のように幻想的だ」

アイオワ「そうね……」

提督「……さて、ここでボーっと立っているんじゃ無く、歩こうか」

アイオワ「ええ、そうね。時間も限られているものね」

提督「今度は冬に来たらいい。その時は竹林もライトアップされて凄いぞ」

アイオワ「そうなの! 冬も楽しみね、アドミラル」

提督「だな。……ん? ナチュラルに冬も行くことになってないか」

アイオワ「いいじゃない。アドミラルもキョート好きでしょう?」

提督「ああ……今日はやられてばかりだな。いいぞ、冬も付き合ってやろう」

アイオワ「約束よ!」

※ここのアイオワさんはがっつり日本語をしゃべります(遅い)

―執務室―

提督「時間が足りないな……一応、清水寺や映画村、祇園祭に参加したりはしたんだが」

提督「しかし、そう考えるとまだまだ行ってない場所も多い。次は二条城やかやぶきの里、愛宕念仏寺なんかも行ってみたいな」

↓2

―鳳翔の店―

提督「ん、なんだ、今日も飲んでるのか」

隼鷹「あたしにとって酒は水みたいなもんだからねぇ。提督も一杯どうだい?」

提督「そうだな、付き合おう」

鳳翔「でしたら、こちらのお酒はいかがですか? たまたま良い物が手に入ったので」

隼鷹「あ、ずり、あたしにもそういう良いお酒を出して欲しかったなー」

鳳翔「あら、水のように飲む人に飲ませたら、味も分からず飲み干してしまいますよね」

提督「そりゃ言えてるな」

隼鷹「提督もひでぇよな」

飛鷹「それは日ごろの行いを恨みなさい」

提督「なんだ、飛鷹も来たのか」

飛鷹「そりゃあ、放っておくとまた酔いつぶれて迷惑を掛けかねないから……」

提督「お疲れさん」

千歳「あら、今日は提督もいらっしゃっていたんですか」

提督「千歳も珍しいじゃないか。大体部屋で飲んでいるだろうに」

千歳「今日は千代田も一緒ですので、どうせならと」

千代田「たまには千歳お姉と飲むのもいいかなって」

提督「そっか。なんだ、今日は嫌に人が集まるな」

鳳翔「しかも軽空母の子ばかりですね」

提督「おや、その口ぶりだと他にもいるのか?」

鳳翔「裏の厨房で、龍鳳さんと瑞鳳さんが料理を勉強してますよ」

提督「へー」

龍驤「なんや、ならうちも丁度良かったって事なんやな」

提督「……鳳翔、ミルク一つ」

龍驤「なんでや! せっかく晩酌の一つでもしようと思っとったのに」

隼鷹「わざわざこの時間に来たんだもんな。よし、これはお姉さんからのおごりさ!」グイッ

龍驤「おっとっと……って、子供扱いするなや!」

提督「今日は騒がしいな。晩酌は静かにゆっくり派だというのに」

鳳翔「ふふ、たまにはいいではありませんか。では、始めの一杯注がせて頂きますね」

提督「……ま、それもそうか。……ん、美味い」


~~~~~~~~

祥鳳「――はあ、それで終わった瑞鳳も巻き込んでこうなったと」

鳳翔「すみません。私も少し楽しんでいたみたいで……」

祥鳳「本当です。……鳳翔さん、私にもいただけますか」

鳳翔「あら、でも祥鳳さんは瑞鳳さんを迎えにいらしたのでは?」

祥鳳「私一人じゃ寂しいじゃないですか。ですから、鳳翔さんも、ね」

鳳翔「……分かりました、私も付き合わせてもらいますね」

―執務室―

提督「あー、テンション上がると量を忘れるな」

提督「しかし、一部軽空母のあの酒豪っぷりよ」

↓2

―母港―

青葉「司令官!」ザザッ

提督「お、青葉じゃないか……なんだそれ」

青葉「セグウェイですよ! 取材に便利そうだから、少し奮発したんです」

提督「奮発って、通信販売か?」

青葉「いえ、いつもの売店です」

提督「あそこ本当に何でも売ってるな……」

青葉「司令官もどうですか?」

提督「そうだな……」

~~~~~~~~

提督「まあ、悩むまでも無かったな」

青葉「じゃあ、これから少し乗り回しましょう! 私有地なら、好きに乗り回しても良いそうですし」

提督「速度はあまり早くないらしいが気を付けろよ」

青葉「当たり前じゃないですか」

提督「目の前にスクープがあったら」

青葉「全速力で向かいます」

提督(危なそうだな……)

青葉「司令官こそ、いっつも無茶ばかりするんですから気を付けて下さいよ」

提督「無駄に運動が出来るのが自慢なのに、そんなミスするかよ。セグウェイ自体もバランスを取るし」

青葉「司令官はいっつもそういうこと言って、オチを付けるんですから」

提督「お? 言ったな」

青葉「はい、言いましたとも」

「「……」」

~~~~~~~

提督「オラ邪魔だ!」ガタッ

青葉「くっ! ぶつかってくるのは反則ですよ!」

提督「何が反則だ! バナナの皮置いたりフラッシュたいて来たりしやがって! マリカじゃねーんだぞ!」

青葉「その程度でこける位なら最初から乗らない方が良いですよ!」

提督「何だと! なら、こいつでもくらえ!」ブンッ

青葉「危ないですね! ブーメラン何て、そっちだってマリカと勘違いしてるんじゃないですか! それっ!」ポイ

提督「おわっ! またバナナの皮落としやがって!」


明石「なーんで買ったセグウェイでレースしてるんですかね……あれ、霞ちゃん? あ……ご愁傷様です」

―執務室―

提督「折角かったセグウェイが木端微塵だ、もったいない」

提督「でも、なかなか楽しかった。意外と乗りやすいし、公道も走れたら文句なかったんだが」

↓2

―暁型の部屋―

提督「暑……なんで空調機止まってんの……」

響「点検らしいね」

提督「……響は涼しそうだな」

響「そう見える?」

提督「……いや、よく見るとすごい汗だな」

響「あ、あんまりじっと見ないでほしいよ」

提督「すまんな。さて、こんな時はあれだな」

響「あれ?」

提督「扇風機だ」

~~~~~~~~

提督「あ゛ー」

響「司令官は子供っぽいことするね」

提督「でも、やらないか?」

響「まあ、そうだね」

提督「ワ゛レ゛ワ゛レ゛ハ゛ー」

響「ウ゛チュ゛ウ゛ジン゛ダー」

提督「うん、基本だな」(゛以下略

響「あとほかに何かあるかな」

提督「……あいつはいつかやるやつだと思ってました」

響「犯人の知り合いの叙述かな」

提督「そんな感じ。でも最近暑いよなー」

響「普段室内は涼しいからね。余計にそう感じるんだと思うよ」

提督「もうまさに扇風機様様だよ。はぁー、もう扇風機と結婚する」ガシッ

響「やめてよ司令官。スイングにしてるから首がゴキゴキいってる」

提督「これ意外と大丈夫だから。そう簡単に壊れないから」

響「でも駄目だよ。仮に壊れたら電が怒るよ」

提督「電がかー……それはなかなか恐ろしいな」

響「それに、私にも当たらない」

提督「しょうがないな……」スッ

響「懸命だね」

―執務室―

提督「空調機も復活したから戻ってきた」

提督「クーラーとかもいいけど、たまには扇風機もいいと思う」

下2

―長門型の部屋―

提督「花火やってんだって、行こうぜ」

長門「……はぁ、そんな不真面目なのだから秘書官殿にも怒られるのだろう」

提督「息抜きも重要だろう?」

長門「提督も息抜きばかりのような気がするが」

提督「いやいや、そんなことはない。ほら、長門も花火、気になるだろう」

長門「この私がそんなもの……」

陸奥「あら、浴衣を買ってからいつ着ようか毎日頭を悩ませている癖に何言ってるのよ」

長門「! 陸奥、それは!」

陸奥「たまにはいいじゃない。浴衣を着る機会にもなるわよ」

長門「くっ……だが」

提督「あー、行かないなら俺暇になるなー。こりゃついつい青葉と何か話したりするかもしれないなー。暇すぎて」

長門「ぐぅ……!」

―花火会場―

提督「正直になればよかったんだ」

長門「どの口が言っている。はむっ」

陸奥「あ、その綿あめ一口ちょうだい」

長門「別にいいぞ。ほれ」

陸奥「ありがと。……んー、甘くていいわね」

長門「代わりにそのたこ焼きをもらってもいいか」

陸奥「ええ、いいわよ」

長門「ありがたい」

提督「……っていうか、本当に馴染んでるな。わざわざ反発した理由はなんだ……」

陸奥「恥ずかしかったんじゃない? これでも照れ屋さんだし」

長門「陸奥……! 余計なことばかり……」

提督「姉と妹が逆に見えてくる」

~~~~~~~~

長門「ここが、その穴場か」

提督「都合よく青葉から穴場の情報をもらってな。まあ、だからこそ確認てがら来たわけなんだが」

陸奥「なら、私達が来なくても提督一人でも来たってことね」

提督「それは……お、花火が上がったぞ!」パァーン

長門「たーまやー!」

陸奥「かーぎやー♪」

提督「……まぁ、いいや。俺も楽しもう」

長門「提督。……こうして誘われなければ花火も見ることがなかった。感謝する」

提督「……陸奥! 長門がデレたぞ!」

陸奥「あらあら、でも、長門は意外と素直よ?」

提督「なるほど」

長門「陸奥!」

―執務室―

提督「花火は綺麗だった。穴場も、人がいなくていい感じだったし」

提督「二人もああして楽しんでくれてよかった」

下2

提督「青葉、写真撮影しようぜ」

青葉「えー、青葉は撮られるのは少し……」

提督「集合写真だよ。何だかんだで撮ってなかっただろ」

青葉「あー、そうですね。言われてみれば、全員で撮ったことはありませんね」

提督「だろ。そんなわけで、青葉は撮影の準備をしてほしんだ」

青葉「わかりました! でも、みんなを集めるのはどうするんですか?」

提督「全員時間があくように調整してある。後は集めるだけだな」

青葉「では、放送とかで呼ぶんですか?」

提督「そうだな。だが、その前に青葉が広報をしておいてほしいと思ってな」

青葉「ああ、そうですね、前もってちゃんと伝えておかなければいけませんからね」

提督「いろいろ問題が出るかもしれないが、その時はアシスタントとして頼むぞ」

青葉「秘書官の方には頼まないんですか?」

提督「こういったことは青葉の方が詳しいだろ。プロの写真家を呼ぶのは良いが、アルバムに入れるならやはり自家製が一番かなって」

青葉「そうですね。青葉も、それがいいと思います」

提督「ああ。じゃあ、早めに頼むぞ」

青葉「了解しました!」

~~~~~~~~

ワイワイガヤガヤ

提督「みんな並んだな……青葉」

青葉「はい、こちらも準備はばっちりです」

提督(なんか、こんなに人数がいたのかって感慨深くなるな。叶うなら、この雰囲気が続いてほしい)

提督「じゃあ、撮るぞー!」

青葉「何言ってるんですか。早くこっちに来てくださいよ!」

提督「え? でも、なら誰が撮るんだ」

青葉「それタイマーにしてますから! 早く来てください!」

提督「え、マジで? やばっ……!」

パシャ

―執務室―

提督「うん、綺麗に撮れてる」

提督「まあ、何度か取り直したが……これもまた一つの思いでになるだろう」

下2

提督「さて、お集まりしてもらったのはほかでもない。百物語を行おうと思ってな」

電「はあ、司令官さんはそんなものを信じているのですか」

長門「ふっ、子供みたいだな」

加賀「現実にないものを恐れるのは無意味です」

飛鷹「そもそも、私そんなに話のストックないわよ」

鳥海「一応、百物語は不思議系でもいいんですけどね」

提督「そんな気丈なお前らだからこそ呼んだんだ」

電「……何か裏がありそうな発言なのです」

提督「……そんなものはないぞー」

加賀「怪しいわね」

提督「まあ、そういうのはいいではないか。では、そろそろ始めようか」

~~~~~~~~

提督「――そして、今もその場所には石像が飾られているという……」

『……』

提督「これで八十個だな。じゃあ、次また頼んだぞ」

ガラッ

電「なんだか、司令官さんの様子変じゃないですか?」

長門「それは私も思っていたところだ」

加賀「なんだか、いつもより覇気がありませんね」

飛鷹「怪談話をしているのだから、変ではないと思うけど……」

鳥海「それにしても、なんだか雰囲気が暗い気がしますね」

電「……なんだか、変な感じがするのです」

長門「だな……」

加賀「後をつけてみますか?」

飛鷹「……そ、そうね。心配だものね」

鳥海「今頃別室でロウソクを消して鏡を見ているころです。ロウソクもあるはずですし、暗くてもすぐにわかるでしょう」

長門「では、見るぞ……」

ガラッ

加賀「提督、なんだか様子が変……です……けど……」

電「? 何を見て…………」

提督「ちょ、いきなり全員で扉を開けるなよ。百物語の最中だぞ」

飛鷹「別にダメって決まりはないじゃない」

提督「それもそうだが……んじゃ、戻るぞ。……何を見ているんだ?」

長門「! か、鏡にはなにも映ってないぞ!」

鳥海「そ、そうです。提督、早く戻りましょう」

飛鷹「なんだか、みんなの様子も変だけど……」
電「気づいてないのなら、気付かない方がいいのです」

提督「なんか様子が変だな。……まあ、いいか」

―執務室―

提督「百物語って言っても、最後の百話は言わなかったりするけど」

提督「まあ、百話も話があるのかって感じだが」

下2

―利根型の部屋―

提督「パン作ったことある?」

利根「いや、ないのじゃ」

筑摩「提督。姉さんに何を言わせようとしているんですか?」

提督「利根なら何の違和感も抱かずに肯定してくれるかなと……すまんから、その手に持っている者を下ろしてくれ」

利根「? 良く分からんのじゃが、普通パンを作ったことなどないのではないのか?」

提督「まあ、作ったというのをどこから定義するかにもよるからな」

利根「ていぎ?」

提督「なんかすまん」

利根「どうして謝られたのか分からんのじゃが……」

提督「それはさておき、利根、扇風機の前に立つな。邪魔でパンツしか見えん」

筑摩「提督~?」

提督「まて、龍田のような理不尽な怒りは止めろ。忠告したのになぜ怒られねばならん」

利根「ふむ、別にかまわんのではないのか?」

提督「同じことしてやろうか」

利根「そ、それは困るのじゃ……」

提督「……筑摩、保護者だろ、ちゃんと注意しろよ」

筑摩「いえ、まあ……そうなんですけど、姉さんが……」

利根「別によかろう。暑くて敵わんのじゃ」

筑摩「……と」

提督「いやいや! 本当に筑摩は超シスコンだな!」

筑摩「で、ですけど、あの姿の姉さんも良いと思いませんか?」

提督「どうでもいい」

筑摩「提督?」

提督「冗談、冗談だから勘弁して」

利根「提督よ。吾輩としてはその暑そうな格好をやめれば、ましになると思うのじゃ」

提督「そうはいっても、一応今着てるこれは、なかなか吸湿速乾性に秀でてるしなー」

筑摩「もう少し面積の少ない物でもいいのではありませんか?」

提督「しかしなー。あんまり変なもの着るとだらしないって言われるしなー」

利根「ふふん、こういう場合は、色々なファッションが着れる女性の方が有利ということじゃな」

提督「立場の問題もあるがな。でも利根みたいなホットパンツは男にはなかなか着れんよ」

利根「ハーフパンツくらいなら大丈夫じゃろ」

筑摩「そうですね、私もクロップドくらいなら大丈夫だと思いますよ。あれも意外と涼しいですし」

提督「個人的にはステテコもいいなと思ってるんだよ」

利根「ああ、あれじゃな」

筑摩「……ちゃんと下着は履いてくださいね」

提督「分かってるって。流石に人の出入りが多い所に居るのに履かないなんてことない」

筑摩「それならいいんですけど」

提督「当然だろ。……何だ利根、その顔……お前もしかして」

―執務室―

提督「だいたい察してたから、聞かなかったことにしよう」

提督「というか、筑摩は利根に対して本当に甘いな……」

↓2

―庭―

提督「夏真っ盛り! 蝉取りだ! ……しかし」

卯月「どうしたぴょん?」

提督「どうしたもこうしたも、なぜうーちゃんしかいない」

卯月「蝉を撮りたいと思う女の子は少ないぴょん」

提督「ならなぜうーちゃんはここにいる」

卯月「そりゃ、いたずらに使えそうだからに決まってるぴょーん」

提督「だろうな。……よし」

卯月「どこいくぴょん?」

提督「もっちーを動かせばみんなついてくるだろう」

卯月「?」

~~~~~~~~

望月「うあー、なにをするー」

提督「はいもっちー、虫取り網」

望月「横暴だーこんな暑い日に外に出たら体が溶けるー」

提督「まあまあ、みんなも出てきているわけだからな?」

長月「そりゃ、あんな恨みがましい視線を送られたらな……」

菊月「憤怒をあからさまに表していたな」

如月「一人で外は出たくなかったんでしょうね~」

提督「まあまあもっちー。もし五匹取れたら好きなアイスをおごってやるからさ」

望月「……しょーがない」

皐月「じゃあさ、僕がとれてもおごってくれる?」

提督「いいぞ。むしろ、二人だけでなく全員に約束をしてやろう。俺より多く取れたら何でも言うことを聞くってな」

~数時間後~

望月「ほら、捕まえてきたぞ」

提督「ほほう、確かに五匹だな」

望月「ほら、早くアイス」

提督「まあ待てもっちー。今日は調子がいいみたいだから、もう少しとらせてくれ」

睦月「司令官~、そこで……おお、一杯とってるのです!」

如月「あら、この短い時間で籠二つ分はすごいわね~。一番張り切っている皐月以上じゃない?」

提督「今日は運がいい。こんなに見つかるのは結構まれだぞ」

長月「謙遜だな」

提督「む、なぜ謙遜だとわかる」

長月「なぜって……初めから籠三つも用意していて何を言っている?」

望月「準備もほかの人と段違いだし」

如月「司令官、初めから勝たせる気ありませんでしたね」

提督「まあな」

―執務室―

提督「さすがに昔からやってきて負けるわけにはいかなかった」

提督「……まあ、ありを集めてきて勝ち宣言してきたやつには数で負けたけど」

下2

―工廠―

夕張「次こそ新たな装備の開発を成功させて見せます!」

提督「お、おう、そうか」

夕張「いっちょやったりますよー!」

提督「夕張が燃えている……」

明石「あれは前のことで大分後に引いてますね」

提督「分かるのか?」

明石「私も似たようなことありましたし……」

提督「そういえばそうか。でも、放っておいて大丈夫か?」

明石「多分……」

~数日後~

夕張「という訳で完成しましたよ」

提督「早いな……んで、何が出来たんだ?」

夕張「ふっふっふ、なんと、流星をジェットエンジン化してみました!」

提督「お、おう」

夕張「なんですか、反応が薄い」

提督「いや、また艦載機なのかと思って」

夕張「リベンジです! さあ提督、これが新しく生まれ変わった流星です!」

提督「ほうほう、全体的に大きくなっているな。なんか武装も強化してるし……」

夕張「ふふん、これだけ大掛かりな改装で速度は少しの低下だけですよ」

提督「……低下? ジェットエンジンで?」

夕張「いやー、装甲の強化に武装の強化をしていたら、つい」

提督「それはいいんだが……因みに、その装甲の性能はいかほどで?」

夕張「そこらの機銃程度なら効きませんし、片翼を失っても飛行可能! そしてこっちは一撃必殺!」

提督「……」

夕張「ただ懸念すべきは高性能になり過ぎた点ですね。こんなものが出来たと知られれば、喧嘩になる事必至ですよ」

提督「それはいいんだが……まさか対空に対しては弱いってことはないよな」

夕張「……」

提督「航空戦では役立たずとか」

夕張「そ、そんなことはないですよ?」

提督「しかもその攻撃翌力、そもそも戦闘において過剰ってレベルじゃないよな」

夕張「戦艦の装甲もぬけますよ?」

提督「……おい」

夕張「はい」

提督「その技術、陸軍にでも提唱しとけ」

夕張「はい……」

―執務室―

提督「強そうなのは分かるが、制空権の確保が必須になるのはいただけない……」

提督「そもそも性能がどこかで聞いた事あるやつだし……なんだかんだ不死身の機体になりそうだ」

↓2

―鳳翔の店―

隼鷹「飲み比べしない?」

提督「……それなりにいける方だと自負しているが、お前の集めた面子はやばい。ゆえにお断りだ」

隼鷹「そりゃ、飲めるやつを集めたんだから当然だろー」

朝霜「なんだ、飲む前から怖気づいたのか?」

加古「今日は久しぶりに朝までって気分なんだよー。提督も飲もうぜ」

武蔵「私としては嗜む程度でも構わんぞ。無論、それで済めばだがな」

19「提督とならイクは歓迎なのよー」

ポーラ「みんなで飲むお酒は楽しいです~」

提督「この面子よ! 肝臓を絶対に殺しに来てるだろ! ポーラなんてもう飲んでるぞ!?」

隼鷹「なんだよー、せっかくいつも飲んでる千歳と足柄は外したのに」

提督「いいや、そいつらの方が絶対ましだった! いろいろな艦種を集めたつもりなんだろうが、こいつらはやばいやつらだ!」

朝霜「じゃあさ、提督は付き合うだけでもいいんだぜ」

武蔵「ここまで準備が整ってる中、外すという真似はできまい」

提督「う……まあ、確かによさげな酒がそろってる中、見過ごすってのもな……」

加古「じゃあいいんじゃない? 一緒に飲もうぜ」

提督「わかった、だが、飲み比べは絶対に参加しないからな! 絶対にだ!」

19「自分に言い聞かせてるのね」

隼鷹「じゃあ、早速乾杯だ!」

『かんぱーい!』


~深夜頃~

提督「こいつらペースやばすぎ……つか落ちねえ……」

武蔵「はっはっは! その程度か!」

加古「はぁー! 寝るのも好きだけど、こういうのもたまんないねぇ」

隼鷹「鳳翔さん、つまみ追加!」

朝霜「こっちにも頼む!」

鳳翔「はいはい。絶対に無理だと思ったら止めてくださいね?」

隼鷹「こんなのぜーんぜん!」

ポーラ「うーん、こっちもいけますねぇー」

提督「よく鳳翔も対応できるな」

鳳翔「いつものことですから。さすがに普段は抑えてもらっていますけどね」

提督「今日は特別ってわけか」

19「前々から予約してたのよ。提督とも飲めるって話だったからなのね」

提督「突発的じゃなかったのか……まあ、じゃなきゃこんなに用意できないか」

隼鷹「おいおい、何他人事なんだよ~、提督ももっと飲めるだろ?」

提督「お前らに合わせて飲めるわけないだろうが。肝臓がぶっ壊れるわ」

龍鳳「すみません鳳翔さん、追加の……わぁ」ガチャ

鳳翔「龍鳳さん、多分一時間後くらいに皆さん一斉に倒れると思うので、そろそろ準備を」

龍鳳「は、はい。……今の状態で放っておいてもいいんですか? その、みなさん、ええと……とても大衆に見せられないような……」

鳳翔「同型艦の姉妹にすら見せられない光景ですからね……ですから、どうか胸に秘めておくだけに」

龍鳳「はい……」

―執務室―

提督「なんか気づいたら全員寝てた」

提督「いや、後から聞いた話なんだが、素面っぽい会話で服を脱いだり変な絡み方したり妙な踊りを踊っていたりしてたらしい。もはや飲み比べとかそんなレベルじゃないな……」

提督「つか……うぷ……さけのこっててやば……」

下2

―提督私室―

提督「うん、流石金剛だ。紅茶の入れ方、大分参考になったよ」

金剛「それならよかったデース。今度は提督の紅茶も飲ませてくださいネー」

提督「もちろんだ」

金剛「みんなも心配していると思うし、そろそろ部屋に戻りマース」

提督「……なあ金剛」

金剛「なんデスカー?」

提督「時と時間をわきまえればボディータッチもいいって言ったよな」

金剛「言いましたネー。それがなんデスカー?」

提督「今の時間は夜も更けて、みんな寝静まる数時間前といったところ。場所はそう、俺の私室。これは時間と場所をわきまえているのではないか?」

金剛「……!」

提督「なあ、金剛、いいだろ?」

金剛「エ……ト……それは……」

提督「……」

金剛「や、優しくしてくださいネー……」

提督「ふふふ、確約はできないな」

金剛(皆、一足先に大人の階段を上らせてもらいマース……)

~数分後~

金剛「ーーーっ! ーーっ!」ジタバタ

提督「どうしたそんな声にならない悲鳴を上げて。もう限界か?」

金剛「もっ……もうっ……! げんかっ……アッ……!」

提督「はははは! まだだ、まだいけるだろう!」

金剛「イけ……んんっ…………!」

提督「ほら、声も抑えなくていいんだぞ。我慢は体に毒だ」

金剛「モウ……げんか……っ!」

提督「ほれほれー! あーはっはっはっは!」

金剛「アハッ――――」

~お見苦しい場面によりカット~

提督「……」

金剛「ハァ……ハァ……」

提督「悪かったと思ってる。だから、まあ機嫌直せ」

金剛「どの口が言いマスカー……」

提督「いや、あんな笑うとは思わなかったんだ。その、なんだ、可愛かったと思うぞ?」

金剛「乙女の笑い方ではないデース……シクシク……」

提督「ああ、そのだな……」

金剛「もうお嫁にいけまセーン……」

提督「ううむ、そうか……」

金剛「……」チラッ

提督「……」

金剛「……」

提督「……」

金剛「責任とるのひとつくらい言えないんデスカー!」

提督「そういうと思ったから言わなかったんだ!」

―執務室―

提督「いやまあ、くすぐっただけな。特にそれ以上のことはしてない」

提督「笑い声は……まあ、イメージから離反しそうだから忘れることにしよう」

下2

―母港―

提督「前に作った流しそうめんのやつを超長くして、全員分は入れるようにしてみたぞ」

吹雪「すごく準備につかれたんですけど……」

提督「まあまあ、この後吹雪には流す役割もしなければならないんだ。頑張れ」

吹雪「私、便利屋みたいに使ってませんか?」

提督「気のせい気のせい。使いやすいのは事実だけどな」

吹雪「もう……私が流す間司令官はどうするんですか」

提督「俺も流すぞ」

吹雪「はい? でも、私も流すんですよね」

提督「下を見ろ。遠征組や外出中を除いてもあれだけの人数がいる。一人で間に合うと思うか」

吹雪「あー……」

提督「そしてすぐそこにはそうめんを湯で上げる五月雨の姿もある」

吹雪「五月雨ちゃん、傍にあるザルをひっくり返してますけど……」

提督「なに、五月雨がドジをすることで少々流すのが遅くなっても『五月雨ちゃんなら仕方ないよね』と留飲を下げてもらう効果もある」

五月雨「私そのために準備係に抜擢されたんですか!?」

提督「半分冗談だ」

五月雨「冗談ですか……半分?」

提督「さて、そろそろ準備もできたようだからそろそろ流そうか」

吹雪「ええと、どんな感じで流したらいいんですか?」

提督「だいたい五本くらいでさっと流すんだ」シュバババ

吹雪「司令官の動きが速すぎてよく見えないんですけど」

提督「ゆっくり流してると一番下の人まで回らないだろう」

吹雪「それでも道中の戦艦の方々が全部取ってますけど」

提督「遠慮ない戦艦共は一番下にさせてくれ」

~~~~~~~~

吹雪「次は空母の人たちが……」

提督「遠慮ないやつは戦艦と混ぜろ」

~~~~~~~~

吹雪「ようやく落ち着いてきましたね……」

提督「だな。いや、争奪戦だったな」

吹雪「そうですね。その、司令官、私もそろそろ……」

提督「ん、ああ……五月雨もそろそろ食べたいだろ。外してもいいぞ」

五月雨「いいんですか? ありがとうございます」

提督「さて、俺は続きを……」グイッ

叢雲「姉の空きは私が勤めるわ」

電「電も手伝うのです。司令官さんだって、食べたいですよね?」

漣「漣も、流す係ちょーっとやってみたいなって」

提督「……悪い、助かるよ」

―執務室―

提督「明日雨が降るかな……あいつらが素直なの超怖いんだけど……」

提督「あ、流しそうめん自体はおいしかった。やっぱり冷たいのがいいよな」

下2

提督「さて、今回は何時の間にかできた蜂の巣を駆除しようと思う」

秋雲「へー、そうなんだ」

巻雲「大変ですね~」

提督「いや、お前達も頑張るんだぞ」

秋雲「え~、なんで?」

巻雲「巻雲も頑張るんですか~?」

提督「ああ、なんか二人共囮に……役に立ちそうだからな」

秋雲「今囮って言わなかった?」

提督「冗談だ」

秋雲「嘘とは言わないんだ……」

―庭―

提督「さて、蜂駆除にはいろいろ必要なんだが……」

巻雲「あの、司令官様」

提督「なんだ?」

巻雲「業者の方に頼むのはダメなんですか?」

提督「巻雲が理知的な意見を言うだと……」

秋雲「それ失礼……いや、むしろその提案が妥当だと分かっているのにどうして自分で駆除を……」

提督「ロマンあるだろ」

秋雲(そんなものに付き合わされるんだ……)

提督「まあ、そんな心配はいらない。きちんと準備もしているし」ガサゴソ

巻雲「そうなんですか?」

提督「ああ。ちょっと離れてろよ。殺虫剤かけるから」

秋雲「……スケッチしても良い? 何かのネタになるかもしれないし」

提督「そんなことだろうと思ってた。もちろんいいぞ」

秋雲「やった」

提督「まあ、そんな心配はいらない。きちんと準備もしているし」ガサゴソ

巻雲「そうなんですか?」

提督「ああ。ちょっと離れてろよ。殺虫剤かけるから」

秋雲「……スケッチしても良い? 何かのネタになるかもしれないし」

提督「そんなことだろうと思ってた。もちろんいいぞ」

秋雲「やった」

巻雲「司令官様、巻雲は……」

提督「ちょっとした人生経験だ。ほら、巻雲が吹きかけてみろ」

巻雲「え!? えーっと……」

提督「一応相手はアシナガだし、まだ巣も大きくない。そもそもお前らは刺されても何とも無いしな」

巻雲「そうなんですか?」

提督「そもそも教えてくれた奴が蜂を握りつぶして『こんなのがいたぞ』とか言ってきたからなぁ……」

秋雲「じゃあ、危ないのは提督だけって訳ね」

提督「……お、俺、念の為逃げる準備しておくな」

巻雲「刺されないのなら、巻雲に任せても大丈夫ですよ?」

提督「いや、蜂の駆除はロマンだからな!」

秋雲(刺されたら命に関わる事もあるのに……いや、提督なら大丈夫か)

―執務室―

提督「※素人の蜂駆除は危険です。自信が無ければ業者に頼むようにしましょう」

提督「最悪砲撃で無理矢理破壊という手が無くも無かった」

↓2

―食堂―

提督「最近は暑いな……」

間宮「そうですねぇ」

伊良湖「皆さん、いつも頑張ってますから、なにか助けになる物があればいいんですけど……」

提督「二人共自分の役割をちゃんと果たしているじゃないか」

伊良湖「それはそうなんですけど、私達は一番危険な立場には立てませんから……」

提督「なるほどな。そういうと思って、今回はある事を議題に話そうと思う」

間宮「初めからその話をしようとしてきましたよね?」

提督「今日の間宮は鋭い。一応言っておくが、おふざけじゃないぞ。今回の議題はこれだ」

伊良湖「熱中症対策のドリンク、ですか?」

提督「そうだ。長い間お風呂に入れる艦娘がそう簡単に熱中症になるとは思わんが、暑さを感じるという事はそれなりに異変が起こる可能性がある。だから、その対策だ」

間宮「なるほど……確かに、ドリンクということについては盲点でした」

伊良湖「たまにはいい事言いますね!」

提督「伊良湖、悪意無しで言っているのは分かるが、それがより辛辣な意味合いを持たせてるぞ」

伊良湖「そ、そうですか。すみません」

提督「素直に謝られるのも……まあ、いい。今回はスペシャルアドバイザーとして速吸も呼んだ」

速吸「今回はよろしくお願いします!」

間宮「給油艦の子ですね。早速なんですけど、速吸さんから見て何かいいアドバイスはありますか?」

速吸「アドバイス……アドバイスかは分かりませんけど、間宮さんなら手作りできると思うんですけど」

間宮「手作り……」

提督「そういえば、手作りできるって言うな。確か、塩と砂糖を入れればいいんだっけ」

伊良湖「じゃあ、さっそく作ってみますか?」

間宮「ですね。どうせなら、なるべく味の方も考えて作ってみましょう」

~一時間後~

提督「完成だ……!」

速吸「なんというか……流石間宮さんって感じですね」

伊良湖「まるで作り馴れているかのようでした!」

間宮「一応、前に作った事はありましたから」

提督「そうなのか? でも、盲点とかなんとか言ってたような……」

間宮「作ったのはあくま提督の為、でしたから」

提督「お、おう……」

速吸「じゃあ、今度はこれをみんなの前で振舞ってみましょう!」

伊良湖「味も整ってますし、大丈夫ですよ」

間宮「お二人がそういうのであれば、そうしましょうか」

提督(……なんか、微妙に受け身に感じるな)

―執務室―

提督「――と思ってたけど何となく理由が分かった。ご褒美にもならなくて、ジュースとしても中途半端だから基本的に需要があまりないのか」

提督「俺はお世話になってるし、水分補給用にトレーニング場やら工廠においてると消費しているけれども」

↓2

―娯楽室―

提督「――というわけで、君達には日本の文化を知ってもらうために、こちらの映画を見て貰おうと思う」

ビスマルク「なるほどね。その映画はなんなの?」

提督「呪怨」

ビスマルク「」ビクッ

リットリオ「なあに、それ?」

ローマ「日本で有名なホラー映画よ」

プリンツ「あ、それ見た事あります」

レーベ「結構怖かったよね」

アイオワ「私も祖国で見た事あるわ!」

マックス「でも、見ている人が多い分、内容もみんな知っているんじゃないでしょうか?」

提督「そう思って、これは外伝だ。えーっと、呪怨、白い老女ってやつだな」

グラーフ「アトミラールは見た事あるのか?」

提督「ああ。個人的に……まあ、色んな意味で好きな映画だ」

リベッチオ「そうなの? 楽しみ!」

ポーラ「飲みながら見ても~」

ザラ「駄目」

~ダイジェスト~

ビスマルク「……」ドキドキドキドキ

レーベ「ダメダメ! 絶対いるって!」

マックス「わ、私ならもう帰ります……」

リベッチオ「ぜ、絶対いるよねこれ!」

<あ゛あ゛あ゛ぁ゛ぁ゛あ゛

『きゃあああああああ!!』

提督「はっははは。みんな驚き過ぎだろ」

~~~~~~~~

グラーフ「あまりこう言うところに住むのはな……」

ザラ「絶対だめですよ! や、やめましょうよ!」

<ウワッ

リットリオ「あっ! あぁ……もしかして……」

ローマ「な、なかなかドキドキしますね……」

~~~~~~~~

<ウワァァァ!

プリンツ「こ、これってどういうことなの?」

アイオワ「ゴーストに見えてる?」

マックス「クリスマス? の日になんてことを……」

~~~~~~~~

<エ?エ?ナニ?

提督「wwwwwwwwwwwwwwwwww」

プリンツ「う、後ろでアトミラールが大爆笑していますが……」

リットリオ「わ、笑うところで良いの?」

ローマ「流石にそういうシーンではないような……」

~~~~~~~~

アイワナ「終わったわね」

リベッチオ「こ、怖かったよー……」

グラーフ「最後はきっちり終わらせたところは良かったな」

ザラ「そう言えば、提督は要所要所で笑ってましたね。怖いモノ平気なんですか?」

提督「そういう訳では無いが、前見たときにちょっと笑える見方をしたせいでな……てか、ビスマルクとポーラの反応が一切ないのは……」

ビスマルク「」

ポーラ「酒のおつまみに丁度良かったです~」

提督「気絶と飲酒か……ずいぶん対照的だな」

―執務室―

提督「黒の方もあったけど、時間的にまた今度」

提督「呪怨で一番怖いと思うのはゲーム版なんだよな……あれはガチのホラーゲームだわ」

↓2

霞「はい」ドサッ

提督「……これは何かな?」

霞「書類」

提督「いや、量について聞いたのだけど」

霞「最近遊んでばかりでしょ。そのツケ」

提督「いやいやいや、それにしても多すぎないか? いつもはこんなに無い筈……」

霞「改造によって必要になった諸々、まさかタダだと思ってないわよね?」

提督「う、それは……」

霞「しかも、クズ司令官はすっっっかり忘れているみたいだけど、大規模作戦……あるわよね」

提督「あ……」

霞「なにか、質問は」

提督「ありません」

~~~~~~~~

提督「これ絶対終わらない奴だ……」カリカリ

58「はい、報告書でち」

提督「おい、出撃を指示した覚えはないぞ」

58「秘書官の方には許可を取ってるでち。ほら、ちゃんと資材も集めてるよ?」

提督「はっはっは、気の利く部下を持って幸せだなぁ。で、本音は?」

58「いまなら提督に意趣返しが出来ると思って」

提督「ですよねー。まったく……だが、とりあえず俺にも話は通せ」

58「どうして?」

提督「勝手に出ていったら心配になるだろ……」

58「てーとく……でも、昔は提督の方が勝手に出て行ってたでち」

提督「うっ……」

58「でも、りょーかいしたでち。お仕事、頑張ってね」

~~~~~~~~

電「ちょっと、その書類貸すのです」

提督「ほら」

電「……これらはこっちで処理しておくのです。司令官さんは次の紙に取り掛かって欲しいのです」

吹雪「あっ、こっちの方にミスありましたよ」

提督「すまん。そっちの方においておいてくれ」

鳳翔「提督、昼食をいただかれなかったとのことでしたので、軽く食べれる物を持ってきました」

提督「ありがとう鳳翔、とりあえず書類を眺めながら食べるとするよ」

夕張「提督、この前の改造で使った分はこれで全部。抜けはチェックしたはずだけど、何かミスがあったら教えてください」

提督「おお、時間が掛かりそうなものをまかせて悪かったな。ゆっくり休んでくれ」

霞「……なんだか、至れり尽くせりね」

提督「一人でやろうかと思ったんだが、誰が言いふらしたのかいろいろ集まって来て。今日中に終わらせようと思ったら、頼らざるをな」

霞「……そ。まあ、頑張りなさい」

~~~~~~~~

提督「はぁ……なんとか終わった」

提督「というか、真面目にやってる時と普段の時とでみんなの対応に差がある気がする」

↓2

―工廠―

叢雲「ねえ、私達の装備が一部ないんだけど……」

提督「よく来たな」

叢雲(嫌な予感)

龍田「あら、またおふざけですか?」

提督「まあまあ、別にいいじゃないか。たまにはこうしたおふざけも必要だろう」

叢雲「いつもふざけてばかりじゃない」

初春「まさに核心をついた一言じゃな」

子日「また怒られるよ?」

提督「ええい、まずは話を進めさせろ。詰るのはそれからだ」

天龍「いや、詰るのはそれからって……それでいいのか」

提督「ここに五つの箱があるだろ」

叢雲「そうね」

提督「ここに、お前らの頭につけてるアレを入れておいた」

初春「む、もしや当ててみろということかや」

提督「ある意味正解だが、完全正解とは言えんな」

子日「……あ、もしかして、選んだものでそのまま出撃ってこと?」

提督「正解だ!」

子日「やったー!」

叢雲「本当、あんたって余計なことを考えるわよね」

龍田「うふふ、ここでサクッとやっちゃってもいいのよ~?」

提督「そういうな、出撃といってもいつもの遠征だし、たまにはこういう面白企画をやってもいいだろう」

叢雲「面白いって思う人が」
子日「確かに面白そう!」

叢雲「……どこにいるのよ」

提督「流石叢雲、言い切ったな。ほら、気になるあの子がいつもと違うどころか、自分のを付けてるんだぞ、いいと思わないか?」

天龍「はっ、そんなんいいと思うやつが」
龍田「なるほどね~」

天龍「……まあ、たまにはいいかもな」

提督「企画そのものよりお前らの関係の方が面白く感じてきたんだが」

~~~~~~~~

天龍「くっ、龍田……なんかバランスが難しくないか?」

龍田「そう? 私はあんまり意識したことないから……」

子日「うーん、なんだか頭が寂しいような……」

初春「わらわは逆に少し重く感じるのう」

叢雲「私以外で交換した感じね」

提督「なんだ、叢雲はぼっちか。しょうがないな、じゃあこの帽子と交換するか」

叢雲「遠征といえどそんなの持っていったらぼろぼろになるわよ」

提督「そうか? そうかもな」

龍田「うふふ、では行ってきますね」

天龍「ちょ、待て……なんかぐらついてる気がする!」

初春「むぅ、なんというか、変な感じじゃ。……こら、遊ぶでない!」

子日「これびゅんびゅん飛ぶよ!」

叢雲「はぁ……」

―執務室―

提督「なんかあんまり違和感がなかったぞ」

提督「まあ、なんかあいつらどこか雰囲気が似てるし、そんなものか」

下2

~新型艦着任後~

提督「はい、四人共着任お疲れ様。歓迎会があるから食堂に集まってな」

水無月「あの、歓迎会あるんですか?」

提督「うちでは何時もやってるぞ。まあ、今回は欠席も出るみたいだがな」

ウォースパイト「欠席……というと、もしや?」

提督「考えている相手で正解だ。まあ、気にするな。あいつ等は俺が相手する」

アクィラ「大変ですね……」

提督「そう思うなら早く馴れてくれ。馴れるは懐くほうな。誤字じゃないからな」

伊26「はーい! 頑張りまーす!」

水無月「ねえねえ、話それだけならもう食堂行ってもいい?」

提督「二人に言ったんじゃないんだが……あー、はいはい、もう行って良いぞ」

―鳳翔の店―

提督「はい、あぶれた奴らの空間だな」

グラーフ「空気を読んでこちらにまわっただけだ。ああいうのは人当たりの良い人に任せる方が良い」

ビスマルク「なら、私も今から行っても良い? 別に今更気にしないわよ」

提督「お前は駄目だ。せっかくオイゲンが頑張ってくれてるのに無駄になる」

ビスマルク「ねえ、それって私が足を引っ張ってるって事?」

提督「……さて、ザラの方はどうだ」

ビスマルク「ねえ、どうして無視するの。アドミラール」

ザラ「す、すみません、私達も心の準備が出来たら行くようにしますから」

ポーラ「私はお酒が飲めれば~……心情穏やかにお酒を飲めれば~」

提督「ポーラはまだ駄目そうだな。まあ、ゆっくりでいいぞ」

ザラ「はい……」

マックス「実際、こうしているわけにもいきませんよね」

提督「いずれは歩み寄ってくれないとこちらとしても困る」

ビスマルク「だから、私は別に今でも構わないわよ」

提督「いずれは歩み寄ってくれないとこちらとしても困る」

グラーフ「そうだな。こちらからでも、少しずつでも話し掛けて行くことにしよう」

ビスマルク「ねえ、今回こういう扱いなの?」

アイオワ「気にし過ぎたと思うのよねー」

提督「どうしたアイオワ。あっちで何かあったか?」

アイオワ「何も無いわ。こっちの方が面白そうだから来ただけよ」

提督「ふーん。多分ただのパーティになってるし、そんなものか」

アイオワ「いいえ、ジャパンのテンコーセーみたいな感じになってるわ」

提督「ああ……なんとなくわかる」

―執務室―

提督「さて、こっそり撮っておいたこのビデオで印象を和らげておくか」

提督「海外艦はアイオワみたいに一切気にしない性格だと楽なんだけどな」

↓2

―食堂―

金剛「ウーン……」

提督「……」スタスタ

金剛「ちょっと待つデース。乙女が悩んでるのに無視デスカー」

提督「引き留めるな金剛。そんなんだから最近キャラがぶれてるんだぞ」

金剛「それデース!」

提督(しまった。また無駄なところを突っ込んでしまった)

金剛「最近キャラについて困ってるんデース」

提督「はぁ」

金剛「それで、提督からも何かアドバイスを……」

提督「とりあえず、今日の食事を取ってからにしていいか」

金剛「私の悩みはご飯以下デスカー!」

~~~~~~~~

提督「で、なんなんだ、一体」

金剛「キャラの被りについてデース」

提督「まだ悩んでるのか? アイオワについては向こうがペラペラだから大丈夫って結論に達しただろ」

金剛「でも、海外艦とかこれからも増えるでショウ?」

提督「うーん、そうかもな。でも、今のところ問題はないわけだろ」

金剛「今のところはそうでも、ずっととは言えまセーン」

提督「本当に心配性だな……そもそも、金剛には他と絶対被らないところがあるだろ」

金剛「? どこデース」

提督「そのデースとかマースとかのやつ。絶対マネする奴いないだろう」

金剛「そ、そうですかネー?」

提督「ああそうだ、だから心配することはない。お前とキャラが同じになるやつは絶対にいない」

金剛「そうですカー……そうですネー。なんだか、そんな気がしてきマース!」

提督(ちょろい)

金剛「提督、ありがとうございマース!」ダッ

提督「……さて、ご飯でも食べるか」

―執務室―

提督「実際キャラかぶりとか絶対にないと思うんだけどなー」

提督「一応我が艦隊の顔だぞ。向こうがむしろ避けてくれるだろ」

下2

―談話室―

提督「なに、運が五しかない? ははは」

アクィラ「はははて、ひどいじゃないですかー!」

提督「だってお前、ウォースパイトは55だぞ。雪風よりも高いんだぞ」

アクィラ「むぐ……私は空母だからいいんですよーだ」

提督「だか、意外と運は日常生活においても作用するぞ」

アクィラ「そうなんですか?」

提督「ああ。おーい、ウォースパイトー!」

ウォースパイト「どかしましたか?」

提督「ついさっき当たり付きアイスを買ったんだ。選んでみてくれ」

ウォースパイト「いいのですか?」

提督「遠慮はいらない。ほんの気持ちだ」

ウォースパイト「そうですか……好意を無下にもできませんね。センキューアドミラール」

提督「ほい、アキラにも」

アクィラ「グラッチェ提督!」

提督「で、その棒にはなんて書いてある?」

アクィラ「棒? 何も書かれていませんよ」

ウォースパイト「すみません、あたりと書いてあるのですが、これは?」

提督「ああ、もう一本だ。明石のところで買ったから言えばそのアイスと交換してもらえるぞ」

ウォースパイト「そうなのですか。では、交換に行った方がいいですよね?」

提督「そうだな。交換するなら早めがいい。今なら開いてると思うしな」

アクィラ「……行きましたね。追いかけますか?」

提督「もちろんだ」

アクィラ「よしよし。では行ってみましょう!」

―売店―

明石「一等大当たり! 一等の景品は最高級品の松坂牛です」

ウォースパイト「マツザカギュー。なるほど、とても良いものだということは伝わります」


提督「ほれ見たか、あの運のよさよ。お前じゃ絶対無理だろう」

アクィラ「いいえ、やってみなければわかりませんよ」

提督「どこからその自信は湧いてくるんだ」

アクィラ「なんなら、彼女よりも等級の高い賞もとってみせますよ!」

提督「特等はないんだからそれは無理だろ」

アクィラ「行ってきますね!」

提督「おー、頑張ってこい」

~~~~~~~~

アクィラ「よしよし、六等のポケットティッシュをもらいました!」

提督「それ一番下だぞ」

―執務室―

提督「運の差は圧倒的過ぎてみて明らかだった」

提督「まあ、珍しく運を気にするやつじゃないのはいいな。話題の一つって感じだったし」

下2

―廊下―

「ヘーイ、テイトクー! ハローデース!」

提督「おお、金剛……じゃない!?」

アイオワ「アハハ! 間違えてマース!」

提督「間違えたっていうか、その喋り方をするのは金剛しかしないし……」

アイオワ「どうデース? そっくりデース?」

提督「結構適当に聞こえるぞ」

アイオワ「オゥ……」

提督「てかアイオワ、そりゃいくらなんでもひどいと思うぞ」

アイオワ「そうデース?」

提督「そりゃせっかくいろいろ説得したのに、もろ被らせるのは、さすがの金剛も……」

アイオワ「アドミラルは心配性デース」

提督「心配性ではないから。絶対そうなるって確信があるから」

アイオワ「実はミーもそう思うのよ」

提督「だろうな。そう返すと思ってた」

アイオワ「でも、面白いと思わないかしら?」

提督「イタズラとしては聊か極悪といわざるを得ないが、面白いな」

アイオワ「流石アドミラルね。早速目の前で使ってみましょう!」

提督「おー!」

~~~~~~~~

アイオワ「最近肩が凝っててつらいデース」

提督「出撃が多いからか? 少し編成を考えてみるか」

金剛「……」

アイオワ「テイトクー、肩をもんでデース」

提督「えー、軽くだぞ軽く」

アイオワ「流石テイトクー。紳士デース!」

金剛「[ピーーー]」

提督「!? な、なんか今聞いちゃいけない言葉が聞こえたような」

アイオワ「テイトクー。なんだか怖い人がこっちを見てきてマース」

金剛「[ピーーー]。[ピーーー][ピーーー]」

提督「待てアイオワ! 金剛がすでにして放送できない台詞を繰り出してる!」

アイオワ「この反応、予想以上ね」

提督「冷静にそう言ってる場合じゃないって!」

アイオワ「ソーリーコンゴウ。ほんのジョークよ」

金剛「許さん」

アイオワ「……アドミラル、これは私が思っている以上に怒っていると解釈してオーケー?」

提督「正直ここまでマジギレしてる金剛は初めて見る。きちんと風呂の準備をしておくな」

アイオワ「棺桶にお湯をはるのかしら? ハハハ――」

ドゴーン

―執務室―

提督「今回の作戦、アイオワは出撃不可と」

提督「しかし、金剛のあの表情は深海棲艦ですら泣いて逃げ出しそうなほどだったぞ……」

下2

―近くの砂浜―

提督「ビーチフラッグをするぞ!」

五十鈴「……もしかして、その為だけに呼んだの?」

提督「おう」

五十鈴「あきれた……帰るわ」

長良「えー、少しくらいやっていかない?」

提督「そうだそうだ。せっかくここまで来たんだぞ。何もしないのはもったいないじゃないか」

五十鈴「そう言われてもね……」

名取「えと……ビーチフラッグは反射神経、瞬発力、バランス感覚、走力などが鍛えられるよ?」

五十鈴「そうなの?」

提督「え? まあ、そりゃうつ伏せから走るんだから、バランス感覚が悪いと態勢を立て直すのに時間が掛かるし」

長良「反射神経と瞬発力は言わずもがなって感じだよね」

五十鈴「……しょ、しょうがないわね。決して無駄じゃないなら付き合ってあげるわ」

長良「名取、ナイス!」

提督「最高の援護だったぞ!」

名取「あ、ありがとうございます」

五十鈴「で、誰が合図出すの」

提督「タイマーを仕掛ける。それが鳴ったらスタートだ」

長良「よーし、絶対一位を取るからね」

提督「ほう、持久力ならいざ知らず、その他の総合部分で勝てるかな」

五十鈴「あまり大きな口を叩くと後で後悔するわよ」

名取「……」

長良「毎日走り込みしている相手に勝てると思いますか」

提督「ふん、俺だって毎日鎮守府内を休みなく駆け回ってるんだぞ。負ける道理が無いな」

五十鈴「自信満々ねぇ」

<ピピピピ

長良「あっ、なった!?」ガバッ

提督「しまった、場外乱闘に熱中し過ぎた!」ズザッ

五十鈴「仕掛けている事を忘れるなんて……二人のこと言えないじゃない!」ダッ

長良「でも、流石に毎日私だって走ってるんだから、このくらい……!」バッ

ガシッ

名取「と、取りました!」

長良「あーっ! 後もうちょっとだったのに!」

五十鈴「本当、間抜けな負け方ね……」

提督「もう一戦、もう一戦やるぞ!」

五十鈴「ええ、流石にこれじゃ悔しいもの」

長良「次は絶対に負けませんよ!」

名取(皆が楽しそうにしているなら、それでいいよね)

―執務室―

提督「なんか全体的にいい勝負だった」

提督「これは実力が拮抗していると見るべきか……まあ、楽しかったしどうでも良いか」

↓2

―暁型の部屋―

昼下がりの空調が効いた部屋。
そこでは第六駆逐艦の四人である暁型が思い思いにそれぞれを過ごしていた。

たまたま誰も声を発することなく静寂に包まれている中、本を読み終えた響がポンと手に持っているそれを閉じた。

響「そろそろ模様替えをしようか」

電「ちょっと待つのです、そのモノローグはなんなのです」

響「モノローグ? はて、何を言っているかわからないね」

電「最近響ちゃんは司令官さんの影響を受けすぎる気がするのです」

響「そうかな? むしろ司令官が私の影響を受けているのじゃないかな」

提督「それは聞き捨てならんな! 俺は我を貫き通しているだけ。影響を受けているなどそんな事は決してない!」

響「なるほど、これを見てもそう言えるのかな」

提督「そ、それは……!」

電「茶番はもういいから本題に入るのです」

雷「ねえねえ司令官、何を持っているの?」

提督「模様替えの道具だ。秋も近くなるし、準備くらいはな」

響「って私が言った」

暁「今日の響は嫌に目立ちたがるわね……」

提督「今日の響はなぜかテンションが高いからな」

電「司令官の悪い影響が移ってしまっているのです……」

提督「それをいうならお前もだがな」

雷「まあまあ、模様替えでしょ? 良いと思うわよ!」

暁「レディーたるもの、季節に合わせた空間は必要だものね」

提督「それはレディー関係無いと思うぞ」

暁「えっ」

提督「まずは何からしたらいいだろうか」

雷「私に任せて司令官! ばっちりコーディネートしてあげるわ!」

電「もともと私達の部屋の事だから、司令官さんが出るまでも無いのです」

響「ふふ、素直じゃないね電。余計な苦労をさせたくないんだね」

電(不正解だけど今日の響ちゃんはすごく腹立つのです)

暁「私としては、もっと大人っぽい部屋が良いわね!」

提督「大人っぽい……」ジー

暁「なに、司令官」

提督「いやぁ、住む人と離反しすぎる内装はちょっと……」

雷「そうよね」

暁「雷まで!?」

―執務室―

提督「一応準備だけってことで。実行に移すにはちょっと気が早いかな」

提督「というか、まあ響も暑さに参っているのか。ロシアは寒いもんなぁ」

↓2

―談話室―

ビスマルク「アトミラール、何を見ているの?」

提督「オリンピック」

ビスマルク「私も一緒に見てもいいかしら」

提督「どうぞ」

ビスマルク「……へぇ、日本も頑張ってるじゃない」

提督「なんで上から目線なんだ」

ビスマルク「そりゃ、私の国の方が金メダルが多いからよ」

提督「ああ、でも総数では負けてるよな」

ビスマルク「うっ……」

響「ロシアは総数ならどちらにも勝ってるよ」

ビスマルク「あら、いたの」

響「最初からね」

アイオワ「そういう話ならミーも必要ね」

提督「米国は強すぎるからパス」

アイオワ「殿堂入りってやつね」

提督「前向きだな……」

ウォースパイト「オリンピックですか。そういえば、私事であまり見ていませんでした」

リットリオ「私もこうしてみるまでは忘れてました」

提督「作戦と被ってるしな。別にそういう人もいてもおかしくないだろう」

ビスマルク「だからアトミラールも今見てるのね」

提督「ん、いや……ぶっちゃけ暇だったからだけど……これといって押してるスポーツないし……」

ビスマルク「奇遇ね、私もよ」

響「自慢げに言うことじゃないと思うよ」

リットリオ「あ、私の国はどうなってますか?」

ウォースパイト「私もあまり知らないから、そのあたりの情報をもらえるとうれしいのですけど」

提督「うわ、同時に聞いてきたぞ」

アイオワ「イギリスはアメリカに次いで二位よ」

ウォースパイト「あら、それはとても良い結果ですね」

提督「イタリアは……ビスマルク、頼めるか」

ビスマルク「えっ、私? え、えーっと……」

ビスマルク(オリンピックは国の威信にも関わるっていうし、あまり差がついていないように言うには……)

ビスマルク「……い、イタリアは金と銀なら日本とほぼタイね!」

響「ちなみに日本は今年に関しては例年より金を多くとっているそうだよ」

提督(響ナイスフォロー!)

リットリオ「まあ、私の国もすごいじゃないですか!」

アイオワ「でも、私達の中では順位も一番下なのよ」

リットリオ「」

提督「アイオワー!」

―執務室―

提督「今年は結構意外な競技とかで取れてるからな」

提督「こういうのは四年に一度ならではだな。前回と顔ぶれが違うってよくあるし」

下2

―鳳翔の店―

提督「いやぁ、あいつがいなきゃこうしていることもできなかったって思うね」

大淀「やっぱり優秀な補佐って大切ですよ」

足柄「私の姉妹もみーんないい子でね、んくっ……ぷはぁ、困っちゃうのよ」

提督「なんでだ。いいことじゃないか」

足柄「だってはっちゃけれないじゃない」

提督「なるほど。足柄に関してはこうしてほかの奴らと飲んでる時が一番ふざけれるな」

大淀「それを言うなら私もですよ。私だって、たまには自由にしたいときもあるんです」

足柄「なら、今こそチャンスだろう。酒も入っていい感じだろ」

大淀「そうですね……たまにはいいかもしれませんね……」

提督「そういえばさ――」

~~~~~~~~

清霜「ほら、ここで飲んでたって聞いたよ」

朝霜「あたいも誘ってくれりゃあいいのに」

霞「飲むのは勝手だけど、まだ仕事が途中なの。こら、このクズ! いい加減に飲むのをやめて――」

提督「霞が来たぞー!」

足柄「ほら、今こそチャンスよ! 崇める踊りをするのよ!」

大淀「音楽セットオーケーです!」

提督「さすが! さあ、早速ミュージックスタートだ!」

<チャチャチャー チャッチャッチャー

提督「なんか明るいけど気にしない! ほりゃ~、ありゃ~」ズンドコズンドコ

足柄「てゅるーん、てゅるるーん」ボンゴボンゴ

大淀「ほっ、はっ、あちょー!」シュバッガシッ

霞「」

清霜「いきなり三人が霞ちゃんを囲んで踊り始めた!」

朝霜「なんだかわかんねーけど、面白そうだからあたいも混ざろ」

清霜「え、と……清霜もやるわ!」

霞「」

朝霜「よっ、さすが我らが礼号組の旗艦! 超かっこいいぜ!」

清霜「えーっと、えーっと、清霜は貢物を作ってくる!」

霞「」


<~~~~~♪

龍鳳「あれ、放っといてもいいんでしょうか……現実逃避してますよね……」

鳳翔「水を用意して、少しクールダウンさせた方がいいですね」

―執務室―

提督「なんか自分でも意味が分からなかった」

提督「これがその場のテンションと勢いってやつだな」

下2

嵐「行くのか」

提督「ああ、今年もやって来たと言うべきか」

嵐「昨年の事は知らねーけどまた変な事やるんだろ」

提督「全身で風を感じるだけだ。何も変なことはない」

嵐「全身で風を感じるって……」

<ヒューゴーゴー

嵐「この雨風の中をか」

提督「丁度良いじゃないか」

嵐「わっかんねー」

提督「とりあえず行って来るぜ! まってろ台風!」

嵐「あー……一応監視しておくか」

―母港―

提督「見えるか! あの荒れ狂う波が!」

嵐「見える見える……あっ、傘が壊れやがった」バキッ

提督「なんだ、壊れかけのでも持ってきたか? もしかして、お前もやりたかったとか」

嵐「ねーよ」

提督「まあ、お前もこうして感じるといい。嵐を、嵐だけにな!」

嵐「それが言いたかっただけか!」

提督「ほら、もうこうなってしまったからには一緒にやろうぜ!」

嵐「ったく……分かった、付き合うよ!」

提督「さあ、この夏を制するものが恋をどうたらって言葉もある。全身で感じるんだ!」

嵐「おお!」

~~~~~~~~

萩風「はぁ、それでこんな真似を」

嵐「止めてくれるな萩! この名前に負けない不屈の有様を見せつけているんだ!」

萩風「私もどう反応して良いのか……あそこでマイクパフォをしている司令は?」

嵐「気付いたら袖なし征服になってた。あそこまでは俺も……」

萩風「とりあえず、戻る時はちゃんとお風呂に入ってね」

嵐「了解だ」

萩風「司令ー! 司令もちゃんとお風呂入ってくださいねー!」

提督「――」

嵐「ありゃ自分の世界に入ってんな」

萩風「司令、また怒られそう……」

―執務室―

提督「やっぱり風邪はひかなかった」

提督「それより、子供が真似したらどうするのってぶっ叩かれた事の方がなんか色々きつかった」

↓2

―どこかの島―

提督「はぁー、適当に飛び出しては見たが、良い島を見つけたなー……ん、おっと」パシッ

提督「……帽子? なんでこんな所に……」

港湾夏姫「はぁはぁ……確かこっちの方に飛んで行ったと思うんだけど……」

提督「もしかして貴女の帽子かな?」

港湾夏姫「え? あ、そうなの。ありがとう、拾ってくれて」

提督「いえ、貴女もここまで旅行かい?」

港湾夏姫「ええ、ちょっとしたバカンスみたいなものよ」

提督「それなら、一緒にどうかな。実は一人で来て少しさみしいと思っていた所なんだ」

港湾夏姫「そうなの? でも、私の方にも仲間がいるのよね……」

提督「なら、許可が下りたらという事にしないかな。もちろん、断られたらすぐにあきらめるよ」

港湾夏姫「そうね……じゃあ、仲間に聞いて来るわ」

~~~~~~~~

提督「ほら、こうして……木の実ジュースのできあがりだ」

港湾夏姫「わ……本当に飲めるの?」

提督「ちゃんと選別はしてある。事前に少し飲んで確認もしたからな」

港湾夏姫「そう……ひと夏の思い出にはちょうどいいかもね。いただくわ」

提督「ほら、お連れさんも」

潜水夏姫「ありがとぉ……」

重巡夏姫「……前にあったことある?」

提督「気のせいだろ」

重巡夏姫「そう」

港湾夏姫「ちょっとした慰安旅行のつもりだったけど、貴方がいると楽しいわ」

提督「それはこちらとしても嬉しい言葉。ところで、もう一人のお連れさんは?」

港湾夏姫「少し遅れて来るって。後始末に手間取っているみたい」

提督「そちらの仕事も大変の模様で」

港湾夏姫「ええ……でも、今はそう言うことを考えずに楽しもうと思うの」

提督「そうだったか、すまないな」

港湾夏姫「私も野暮な返しをしたから謝罪は無用よ」

潜水夏姫「もう一杯ないの?」

提督「お、まだ欲しいのか。ちょいと待っててくれ。他にもストックがあったはずだから」

潜水夏姫「うん」

港湾夏姫「あんまり困らせるようなことをしちゃあ駄目よ」

提督「いいよ、これくらい。えーっと……そういえば、名前を聞いてなかったな」

港湾夏姫「あ、そうね。私は……」

重巡夏姫「こっち……! 一杯木の実があった……!」

提督「おっ、ナイスだ! それ急げ!」ダッ

港湾夏姫「まったく、忙しいわね。他の皆も早く来ればいいのに」

―執務室―

提督「日が暮れる前に帰ってきた。結局もう一人は来なかったな」

提督「しかし、このサングラス濃いなー。今思い返してみると、どんな人かはっきりと見えなかったぞ」

提督「もしかして人ですらなかったりして、ははは」

↓2

提督「――というわけで、今回はアキラの訓練も兼ねてこのメンバーだ」

大鳳「航空戦力多すぎませんか?」

提督「アキラの訓練兼ねてるっていただろう。それぞれの艦載機の扱いを見て学んでほしいんだ」

扶桑「わ、私達よりも軽空母の子たちの方が良いと思うのですが」

提督「航空戦艦にしかできない運用もあるだろう。軽空母とはまた別の日にやる予定だ」

陸奥「私も入っていいのかしら?」

提督「陸奥がいれば不測の事態が起こっても大丈夫だろう」

陸奥「あら、信頼されてるのね」

アクィラ「グラーフ、一緒ですね! アクィラも頑張りますよー!」

グラーフ「空回りしないようにな」

大鳳(なぜでしょう、私には他意のある編成に見えるのですが……)

~出撃後~

扶桑『陸奥さんの武装が爆発しました!』

提督「まだ出撃して数十分だぞ!?」

扶桑『アクィラさんの艦載機がグラーフさんの艦載機に激突!』

提督「何で立て続けに!?」

扶桑『山城が波にさらわれて! 山城ー!』<ネーサマー

提督「艦娘が波にさらわれるとかあるのか!?」

扶桑『大鳳さんが! 大鳳さんが!』

提督「大鳳がどうしたって!? おい、おーい!」

扶桑『あっ、もしかしてあれは――』ブツッ

提督「……? ま、まさか通信機まで壊れたと……なんという不運」

~~~~~~~~

扶桑「……す、すみません……」

提督「いや、なんというか、軽々しくこのメンバーにするべきじゃ無かったな」

扶桑「私がもっとしっかりしていれば……」

提督「しっかりしてもどうにもならないだろ。装備不良に衝突、荒波とか」

山城「私なんて足を引っ張っただけですし……不幸だわ」

大鳳「それを言うなら私は……私は……」

提督「そうだ、大鳳は何があった……そんな泣きそうな顔をするな。嫌なら何も聞かないから」

グラーフ「しかし、こんなにも悪い事が重なるとは流石に思わなかった」

アクィラ「そうですねー。まさかグラーフがあんなに発艦が下手だったなんて」

グラーフ「あれは装備を間違えていただけだ。……間違えていたということ自体が、自分でも間が抜けているとは思うが」

提督「うーん……つまるところ、纏めるとどういうことだ」

陸奥「運が悪すぎたということね」

提督「とりあえず、今日は休息を取ってくれ。身の傷より心の傷の方が深い気がするしな……うん」

扶桑「では、失礼します……」

バタン

提督「しかし、まさかあんなに連続して起こるとはなー」

提督「敵と会う前だったから、逆に運が良かったともいえるけど」

↓2

―天龍型の部屋―

提督「かき氷って種類があるんだ」

天龍「お、なんだかき氷の話か」

龍田「種類って言ってもあれね、シロップの種類かしら」

提督「うーん、それでも差別化は図れるな」

龍田「でもあのシロップって、色を変えてるだけって話もあるのよね~」

天龍「なん……だと……」

提督「あれは少なくとも真実じゃないだろ。全部のシロップが色だけっていう訳じゃあないだろ」

天龍「提督は自分で作りそうですしね~」

提督「まあな……って、話が脱線したな」

天龍「それで、かき氷がどうしたって言うんだ」

提督「ちょっとこの夏考案してみたかき氷を食べて貰おうと思ってな」

天龍「なんだ、何か違うのか?」

提督「まずはそのスプーンをかき氷の中に差し込んでみろ」

天龍「おう……お、おお? なんか感触が違うぞ!」

提督「ふっふっふ、中にかき氷と違う物を入れることによって、探究心も満たせる優れモノ!」

龍田「でも、それって既にありますよね」

提督「……つ、次だ!」

天龍「おお、今度は見た目から豪華だな!」

提督「フルーツにクリームをのせて満足の行く仕上がりに!」

龍田「おしゃれな喫茶店で売ってそうね~」

提督「……今度は! 最初と逆にかき氷を包んだアイスだ!」

天龍「それは俺でも知ってるぞ。ガリガリ君ってやつだな」

龍田「考案したとは言い難いわね~」

提督「くっ」ガクッ

天龍「崩れ落ちたぞおい」

提督「分かっていた……こんなものはどうせ何かのパクリ……自分で考えたとは言い難いと……!」

龍田「そうね~。でも、美味しいと思うわよ?」

提督「……なに?」

天龍「たしかに、この俺でも認めるぞ。さっき龍田もおしゃれな喫茶店で売ってそうというのは間違いじゃない」

龍田「貶していると思ったのかしら?」

提督「流れで貶されているのかなとは思った……」

天龍「ほら、元気出してお前も食べようぜ。じゃなきゃ俺らで食べ終わっちまうぞ」

提督「天龍……すまないな。俺としたことが、自分の創造力のなさに落ち込んでしまったよ」

龍田(無駄に職人気質よね~)

―執務室―

提督「味だけなら全然行けると思うんだが……うん、うまい」

提督「今度間宮にも作ってもらって食べ比べしてみようか」

↓2

―V・ヴェネト級の部屋―

提督「じゃじゃーん、アマトリチャーナだ!」

リットリオ「ど、どうしたんですか、これ?」

提督「そろそろ故郷の味でも恋しくなったころだと思ってな」

ローマ「はぁ……それだけの理由ですか」

提督「むしろ、料理を食べるのに食べたいから以外の理由があるのか? いや、ない」

リットリオ「提督ならそう言いそうですよね」

ローマ「呆れたといいますか……」

提督「ちゃんとリベも呼んでるぞ。リベー」

リベッチオ「はーい!」

提督「料理は?」

リベッチオ「すぐに三人が運んでくるよ!」

提督「お、そうか。ちょっと手伝ってくる」

~~~~~~~~

ザラ「ワゴンがあるからわざわざ来なくてもよかったんですよ?」

提督「そうは言うが、アキラがいまにつまみ食いしそうだったぞ」

アクィラ「ぎくっ……な、何のことでうか?」

ザラ「噛んでる噛んでる」

ポーラ「早く食べましょー。ストレガも持ってきたんですよ~」

提督「食事中にそんな度数の高いもん飲むな」

リベッチオ「料理出してもいい?」

提督「もちろん、並べててくれ」

リベッチオ「うん! よいしょ、はいっ」

リットリオ「わ……おいしそうですね」

ローマ「確かに……日本人が作ったものじゃないですね、しっかりとイタリア風の装いになってる」

ザラ「そうですよ。提督、日本でも店をやってる本場の人を呼んだんですから」

アクィラ「あの時の提督は色々と太っ腹でしたね。よしよし、手もきちんときれいにしました」

ローマ「……提督」

提督「なーにそんな目で見てるんだ。ちょっと無理言った分の謝礼も渡しただけだ。食べたいから以外の理由はない」

リットリオ「提督、グラッチェ!」

提督「あー、感謝なんていらねーから、ほら、冷める前に食べるぞ」

リットリオ「はい!」

アクィラ「提督は日本で言うツンデレってやつですね」

ザラ「アクィラさん、こういう時にあんまり追撃すると……」

提督「アキラ、お前、後で執務室な」

アクィラ「むぎゅ……」

―執務室―

提督「いや、すごいおいしかったわ。ザラも作れるっていうし、今度一緒に作ってみようか」

提督「……まあ、あちらについてはそれなりに出来るところからな」

下2

―食堂―

間宮「正気ですか?」

提督「あの間宮でも苦言を言いたくなるほどか」

間宮「いえ、その……あれはちょっと見た目からしてどうしようもないものですし……」

提督「だが、それを押して頼みたいんだ!」

間宮「……そこまで言うのであれば作りますけど」

提督「流石間宮!」

間宮「でも、あれを誰に振舞うつもりですか? 提督自身も前に食べたとき半泣きでしたよね」

提督「むしろ、あれがあったから今回の事に活かせるんだ。リベンジのようなものだな」

間宮「はあ……」

提督「で、だれにあげるかと言えばウォースパイトだ」

間宮「なるほど、ウォースパイトさんなら納得しました」

提督「よし、では完成したらよんでくれ」

間宮「はい」

~~~~~~~~

ウォースパイト「ウナギのゼリー寄せ? ああ、なるほど、そうですか」

提督「今回は特別だ」

ウォースパイト「確かあれは日本では不人気ではないですか?」

提督「まあ、な。それは否定しない。ぶっちゃけ今のイギリス人の嗜好にも合わないみたいだが……」

ウォースパイト「それを私の為だけに作ってもらうのは……」

提督「いや、今回は俺のリベンジでもある。そう、あのウナギのゼリー寄せを美味しく食べるためのな!」

ウォースパイト「おぉ、これが日本の大和魂なのね!」

間宮「あんまり提督を基準にされても困りますけどね。はい、出来ましたよ」

提督「それはどういう意味……お、おう、さすがの間宮もこれか」

間宮「色合い、盛り付け、下準備、いろいろ工夫はしたんですけど、アレンジを重ねすぎると元が消えるので、本質は変えなかったのですけど」

提督「い、いや、それで正解だ。どうだ、ウォースパイト」

ウォースパイト「流石間宮ね。あの見た目からここまで変えて来るなんて……」

間宮「味が落ちる元である臭みなどはちゃんと消しているので、やはりアレンジ色が強いと言わざるを得ないんです」

ウォースパイト「いえ、良い変化ね。それで、調味料は」

提督「ここで俺の秘策だ。独自に混ぜ合わせた、オリジナルの調味料! スパイスの種類は実に……って、そんな高説はいいか。ほら、ウォースパイト」

ウォースパイト「サンキューアドミラール。ええと、たしかいただきます、ね」

提督「俺もいただこう」

間宮「……どうですか?」

ウォースパイト「……ええ、美味しいわ。元の料理じゃないように感じるわ」

間宮「提督はいかがですか?」

提督「……調味料食べてる気分だ。次からはやっぱりうなぎはうな重にしよう」

間宮(すごくげんなりしてますね……ウォースパイトさんには喜んでいただけたようですが、提督はリベンジ失敗したみたいですね)

―執務室―

提督「もうあんなの食べない。絶対にだ」

提督「そもそも素材の味を生かしすぎなんだ。もっと隠せ」

↓2

提督「――よし、戻っていいぞ」

ウォースパイト「いつも大変そうですね。お疲れ様です」

提督「いや、今日はたまたま真面目にしてるだけだから普段は秘書官の方で……見て貰ってくれ」

ウォースパイト「自分でおかしいと思ったわね?」

提督「その通りですはい」

ウォースパイト「……あ」

提督「? どうかしたか」

ウォースパイト「いえ、ちょっと忘れてたことがあっただけなので……では、失礼しマース」

提督「待て」

ウォースパイト「どうしました?」

提督「イントネーションがいまおかしかったぞ。もしや」

ウォースパイト「コンゴーリスペクトデース」

提督「……誰から聞いた?」

ウォースパイト「アイオワが、こうしたら良いと……」

提督「あいつ本当は金剛の事嫌いなんじゃないのか……」

ウォースパイト「何かミステイクでもしましたか?」

提督「いや、その喋り方は今や金剛のトラウマだからやめておいてやれ」

ウォースパイト「ですけど、コンゴーはこうですよね?」

提督「言いたいことは分かる。だが、アイツが聞いたら……」

ガチャ

金剛「ヘーイ! 提督ー! ティータイムの時間デース!」

ウォースパイト「あらコンゴー、ハローデース」

金剛「」

提督「なんてタイミングの悪い……おい、金剛、どこへいく」

金剛「[ピーーー]」

提督「え、今なんて言った!?」

ウォースパイト「どうかしたんデースか?」

金剛「ファッキンクソビッチ。私はそんな使い方はしないネー」

提督「待って金剛、キャラ崩壊してるから! 抑えろ抑えろ!」

金剛「グレイヴでも作ってステイしてるがいいデース」

バタン

ウォースパート「……どうして怒ったんでしょうか」

提督「いいから謝ってきて! 俺も一緒に逝ってあげるから!」

ウォースパイト「失礼ですね。ウォースパイトは沈みませんよ」

提督「他の子の言葉を使うのも……いや、金剛以外はそんなに怒らないか」

~~~~~~~~

提督「なんとか助かった……危うく殺されるかと」

提督「アイオワには釘を差しておこう。もう絶対にやめろと」

↓2

提督「はぁー、今日一日何事もなく終わりそうだなぁ……」

榛名「提督!」

提督「どうした、榛名」

榛名「金剛お姉様が大暴れを!」

提督「フラグ立てちゃったか……」


―金剛型の部屋―

比叡「お姉様、ほら、すぐに司令が来ますよ」

金剛「……」

霧島「これはどうにも手におえない感じね……」

コンコン ガチャ

提督「おーい、金剛がまた……あー、空気からして察するレベルだわ」

霧島「司令……」

提督「んで、何があった? 金剛だっていきなり激怒するような奴じゃないし……」

霧島「その、今日の青葉新聞見ましたか?」

提督「今日の分? いや、見てないな」

霧島「その新聞に最近の金剛お姉様について書かれてまして」

榛名「最初は抗議程度だったんですが、青葉さんがおふざけで金剛お姉様の口調を真似したら……」

提督「あー、そりゃ駄目だ。トラウマになってる金剛の前でそれはアウト」

金剛「あの文屋は沈めるしかないデース」

提督「……深海棲艦になったりしないよな?」

比叡「ひえぇ……恐ろしいこと言わないでくださいよ……」

霧島「それで、どうしようかと皆で頭を悩ませているのですが」

提督「うーん……やっぱ金剛なら紅茶で気分を落ち着かせるのが一番だと思う」

比叡「ティータイムですね! 比叡、張り切って紅茶をいれますよ!」

提督「そうか。じゃあ、比叡は張り切って座っててくれ」

比叡「はい!」

霧島「では、私はお菓子の準備をしてきます」

榛名「榛名は紅茶の方を用意してきますね」

提督「じゃあその間に青葉の方にも一応顔を出しておくか」

比叡「……あれ?」

~~~~~~~~

金剛「フゥ……」

比叡「お姉様、落ち着きましたか?」

金剛「ハイ……皆には苦労を掛けましたネー」

提督「おばあちゃんみたいな言い方だな」

霧島「司令、こういう時にそういう冗談は笑えませんよ」

提督「すまん」

金剛「それくらいならもう大丈夫デース」

榛名「でもいきなり青葉さんの部屋に穴を開けたときは驚きました」

金剛「そ、それは言わないでくだサーイ」

提督「え、あの部屋にあった拳くらいの穴って」

金剛「恥ずかしいデース……」

提督(マジで金剛は怒らせないようにしよ……)

―執務室―

提督「青葉ももう越えちゃいけない線は守るだろう。多分」

提督「というか、最近の暴走したときの金剛は洒落にならんな……」

↓2

霞「――ん……」

提督「お、ようやくおきたか」

霞「あれ……もしかして寝てた?」

提督「もうぐっすりと」

霞「起こしなさいよ、クズっ」

提督「なんで寝かせてただけで罵倒されるんだ」

霞「どうせ、私が寝てた間に何かしたんでしょう」

提督「ぎくっ」

霞「……」ジー

提督「な、なにもしてないよ、ほんとだよ」

霞「怪しい……」

提督「だから何もしてないって。ほら、書類見たって真面目に仕事した後しか見つからないぞー」

霞「改竄……はないわね。あとしでかしそうなこと……」

提督「秘書官からの信頼なさすぎて涙が出そう」

霞「……まあ、いいわ。本当に何もしてないならなにも起こらないでしょう」

提督「おう」

霞「ま、私は部屋に戻るわ。あんまり変なことするんじゃないわよ」

提督「おう」

霞「もし、何かしてるようなら――月のない夜は気をつけなさい」

バタン

提督「……コープス・ペイントのまま出ていったぞ……ま、いいか」

~深夜~

提督「こんな時間になっても怒鳴りに来ない。気づかない……ことはないと思うんだが」

提督(それとも許してくれたのだろうか? はて)

提督「まあいいや、今日はもう寝るか」ガチャ

「月のない夜には気をつけなさいって言ったでしょう」

ドスッ

提督「うっ……ひ、秘書官……」

霞「窓ガラスに映るくらいメイクしたら、すぐにばれるに決まってるわよね」

提督「新月は……明後日……」バタッ

霞「……み、ミスよ」

―執務室―

提督「峰打ちされて起きたら同じように落書きされてた」

提督「まあ、これくらいで済んだのなら全然問題ない。むしろ優しすぎるくらいだ」

下2

―飛行場―

提督「飛行場にサーキットを敷くぞ」

霞「……はぁ?」

提督「そのための準備もできている」

妖精さんA「もうかんせいいっぽまえです」

妖精さんB「すうじかんごにできるです」

提督「ほらな」

霞「ほらな、じゃないわよ!」

提督「まあまあ、ちゃんとしたものじゃなくて、ミニ四駆を走らせるようなやつだから」

霞「こういう場所を遊びに使うなって言ってるの!」

提督「いつもの母港がいいのか」

霞「そういう意味じゃないわよ! このクズ!」

~数時間後~

提督「完成したぞ!」

霞「ホントに小さいわね……でも、こんなの誰が使うのよ」

秋津洲「え?」

島風「速さならまけないよ!」

日向「ふむ、ここにいるが」

霞「あんたたち……」

日向「なに、秘書官殿はそこで見ているがいい。私の瑞雲号が一番になるところをな」

島風「速さに関しては絶対に負けないから!」

秋津洲「かも!」

霞「……はぁ、適当にやったら片付けなさいよ」

提督「流石秘書官、話が分かる!」

~~~~~~~~

提督「いっけー! 俺のドラグーン!」

島風「私の連装砲ちゃんが弾かれた!」

日向「機体を軽くしすぎたな。みろ、私の瑞雲号を。まさに瑞雲の名にふさわしいこのフォルム。完成した機体だろう」

秋津洲「というよりみんな早すぎかも!」

提督「だってほら、大艇を元に作ってるなら、速度が……」

秋津洲「大艇ちゃんは元の形を重視して作ったかも!」

提督「へー」

秋津洲「どうでもよさそうかも!」

日向「さあ、私の瑞雲号がゴールだ!」

提督「はっ、島風の機体を潰してたら先にゴールされた!」

島風「あれ狙ってたの!?」

―執務室―

提督「久しぶりのミニ四駆は楽しかった」

提督「ちなみにサーキットは解体した。まあ、妖精さんがすぐに作ってくれるだろう」

下2


提督「アイオワー」

アイオワ「あら、何かしら」

提督「前にリスペクトだのなんだの言ってただろ」

アイオワ「……ああ、あのことね」

提督「そもそもなんでそんな話になったんだ」

アイオワ「そうね、あれは数日前になるかしら……」


~数日前・談話室~

アイオワ「そう。まだ鎮守府になれないのね」

ウォースパイト「アイオワは昔からいたかのように振る舞えてると聞いて」

アイオワ「私の場合はアドミラルと前から文通をしていたのよ」

ウォースパイト「それを加味しても早いらしいですが」

アイオワ「フーム……なら、誰かを参考にすればいいの」

ウォースパイト「さんこう?」

アイオワ「私の場合はアドミラルを参考にして振る舞うことにしたの」

ウォースパイト「はあ……」

アイオワ「だからあなたも誰かを参考してみなさい。きっと馴染みやすくなるわよ」

ウォースパイト「そう……ね。ありがとうアイオワ」

アイオワ「貴女は誰を参考にするつもり?」

ウォースパイト「イギリスと繋がりのあるコンゴーにします」

アイオワ「そ……あ、一ついい話があるんだけど、聞いてみる?」

ウォースパイト「いい話?」

~~~~~~~~

提督「迷惑ごとをおこすやつだな」

アイオワ「あら、私はアドミラルをまねているだけのつもりよ」

提督「アイオワはナチュラルに毒を吐くからな……」

アイオワ「あら、そんなつもりはないわ。心外ね」

提督「とりあえず、絶対禁止だ、わかったな!」

アイオワ「ええ。理解したわ」

提督(心配だわ)

―執務室―

提督「しばらくはさすがに言わないだろうが……」

提督「俺を参考にしているのなら、何しでかしてもおかしくないな)

下2

―青葉型の部屋―

提督「アンケート?」

青葉「はい! 色々な人が増えましたし、そろそろ思想調査みたいなものをするべきかと」

提督「例えばどんな内容だ」

青葉「司令官を五段階評価するとどうなるか、とかですかね」

提督「えぇー……」

青葉「大丈夫です! 提督に見せないように配慮しますから!」

提督「俺への配慮は」

青葉「では、許可がいただけたところで実施してきますね!」

提督「あー、うん。まだ許可を出したつもりはないんだがな」

~~~~~~~~

提督「――ってあったのが数日前」

青葉「結果出ましたねー」

提督「ああ。食事の充実度はとても良いで満場一致だな。間宮達に教えておこう」

青葉「意外と文句なかったですね。司令官について以外は」

提督「待て、どんな結果だったんだ」

青葉「ダメですよ。わざわざ該当場所だけ空白の特別版を渡しているんですよ」

提督「配慮の方向性が違うと思うけど!?」

青葉「ほら、見てくださいよ。鎮守府については80%が良いですよ!」

提督「話のそらし方が雑! ……おい、まさかとても良いじゃなくて良いが多いって、原因……」

青葉「まあまあ、その他要望の自由欄は素直に載せてるんですから、我慢してくださいよ」

提督「そうなのか? どれどれ」

『上司であるTの存在が唯一の欠点』

提督「色々突っ込みたいけど、とりあえず要望じゃないだろ」

青葉「あえてそれに対して突っ込むんですか」

提督「いや、なんとなく編集に秘書官の気配が感じ取れる気がして」

青葉「それ霞ちゃんが書きましたしね」

提督「匿名性の意味! あと聞きたくなかった!」

青葉「ほら、次はちゃんとまともなことが書いてありますよ」

提督「はあ……」

『一人部屋の隣を大人数の姉妹部屋にするのやめて』

提督「……これは、切実だな。ちょっと秘書官と話してくる」

青葉「はい、頑張ってくださいね……」

―執務室―

提督「最近姉妹が増えたことかもいるし、部屋替えは考えたほうがいいかも」

提督「それとあのコメントは青葉が名前を晒すところまで許可してたとか……遊ばれてたな」

下2

―川内型の部屋―

那珂「那珂ちゃんーファッションショー!」

提督「いえーい!」

那珂「さあて、今回は那珂ちゃんファンクラブ会員番号一番さんが、いろいろな服の寄贈をしてくれたぞー!」

提督「あ、すまん。俺やめたり入ったりしてるから今番号一番じゃないんだわ」

那珂「えっ」

提督「ごめん」

那珂「……な、那珂ちゃんはくじけないー!」

提督「そうだー! 那珂ちゃんのいいところはくじけないところだー!」

川内「……つまり、一番は永久欠番ってことだよな」

神通「あの人の方は一番を捨ててないって聞いたことあるけど……あ、なんでもないですよ」

那珂「とにかく、いってみよー!」

提督「わー!」

~~~~~~~~

那珂「まずは一つ目、睦月ちゃんの制服だよ!」

提督「上着もサイズを伸ばして完全再現! 那珂ちゃんが着ても大人びた感がするな!」

那珂「褒めてくれてありがとー!」

神通「褒めてないような……じっと見てるけど、どうかしました?」

川内「夜戦の時、うまく闇に紛れそうだなって思う」

~~~~~~~~

那珂「次は特型駆逐艦のセーラー! えーっと、ベースは誰?」

提督「綾波だ。普通の紺セーラーは人数多いからパッと見て誰のかわからないだろ」

那珂「それもそうだね!」

神通「那珂ちゃん誰のかわからなかったみたいだけど……」

川内「まさにシンプルでまさに夜戦の服だな」

~~~~~~~~

那珂「今度は十六駆逐艦隊の……雪風ちゃんの服!」

提督「天津風な。まともにファッションショーするときはオマージュ元を間違えないようにな」

那珂「はーい!」

神通「なんだか、さっきから返しが……」

川内「夜戦のときにも動きやすそうだと思う」

~~~~~~~~

那珂「これは和服? 誰か来ている子いた?」

提督「神風型の神風だ。那珂ちゃんは後で鎮守府にいる子を全員言うこと」

那珂「えー」

神通「もしかして鎮守府内の把握すら……?」

川内「あれは夜戦用じゃないね。武器を仕込めそうなのはいいかもだけど」

~~~~~~~~

提督「那珂ちゃん、ラストの島風は?」

那珂「あれはアイドルが着るような服じゃないよ! 那珂ちゃん騙されないから!」

提督「そうか、やはりあれも着てくれたあいつのほうがアイドル力は上か……」

那珂「な、那珂ちゃんの方が上だから! 待ってて!」

神通「騙されてる……え、提督、嘘ですよね?」

川内「あれはある意味で夜戦特化だと思うよ。まさに速さのための服」

―執務室―

提督「那珂ちゃんちょっと疎すぎんよー」

提督「いや、でも、服で誰だか当てれる方がすごいのか? ううむ」

下2

―廊下―

提督「今日は一人部屋問題について動こうと思う」

霞「それは前に聞いたけれど、誰か問題の子っていたかしら」

提督「軽く調査した結果、よく噂される島風は遊びに行ったり来られたりと親交相手が多い分問題はなさそうだった」

霞「まあ、あの子は部屋にいないことも多いわけだし」

提督「陸軍の子たちもそれはそれでお互いに集まったりもする。それぞれに友達もいるみたいだしな」

霞「そうね。同じ理由で海外艦も問題なさそうよ」

提督「鳳翔みたいにむしろ一人部屋の方がいろいろ都合がいい人もいる」

霞「そう考えてみると意外と問題はないのよね」

提督「とまあ、それでも一人部屋は寂しいってのはわかるし、隣の姉妹に羨むのもわかるので、そこは別に考えなければならない」

霞「珍しくいろいろ考えているのはわかったわ。それで、私達はどこへ向かっているのかしら?」

提督「さっき話した奴らに含まれない、数少ない問題のあるやつだ」

霞「……それって、もしかして」

提督「というわけではいるぞー」

ガチャ

秋津洲「突然入ってきてどういうわけかも!?」

提督「一人部屋問題解決委員会のものです」

霞「いつから委員会になったのかしら……」

秋津洲「一人部屋問題って……もしかして遠回しにボッチって言ってる?」

提督「いってるよ」

秋津洲「ひどいかも!」

霞「でも、そうね……確かに他の子と比べたらいろいろ……ねぇ」

提督「だろう? だからまあ、手始めにこいつと同居人になれそうな人を探そうかなって」

秋津洲「ふ、ふん! 大艇ちゃんがいるから別に必要ないかも!」

霞「こりゃ問題だわ」

提督「強がりのそれだもんな」

秋津洲「うるさいかも!」

提督「そんなわけで探しに行くぞー」ガシッ

秋津洲「だから別に……あっ、腕じゃなくて大艇ちゃんの方を持っていくの!? 待つかも!」

霞(……司令官が同部屋になればいいんじゃないかしら)

~~~~~~~~

提督「というわけで同部屋にどう?」

アイオワ「ノーセンキュー」

秋津洲「いきなり断られたかも!」

アイオワ「断った方が面白いでしょ?」

秋津洲「面白いって理由で断られたかも!」

~~~~~~~~

提督「というわけで同部屋にどう?」

速吸「あまり部屋にいることがないので、あまり適していないかと……」

秋津洲「それならしょうがないかも」

霞(それは断る理由にはならないと思うのだけど……まあ、わざわざ言わないでおきましょうか)

~~~~~~~~

提督「というわけで同部屋にどう?」

大淀「秋津洲さんはおそらく同居人より二式大艇の方を大事にしそうなので、一人部屋の方が適しているんじゃないですか?」

提督「……! 慧眼だな。うちの一人部屋勢は誰も問題なかったということか」

秋津洲「だからそういってるかも!」

霞(それはそれで問題じゃないかしら)

―執務室―

提督「ひとまずここで終わりとしよう」

提督「しかし、部屋問題は人数が多い場合もあるし、一朝一夕でどうにかなるもんじゃないな」

下2

バァン

秋津洲「提督!」

提督「どうした秋津洲。そんな勢いよく開けるとドアが壊れてしまうじゃないか」

秋津洲「どうしたじゃないかも! 大艇ちゃんをどこへやったの!」

提督「二式大艇? いやぁ、知らないな」

秋津洲「誤魔化さないかも! 証拠はもうあがってるの!」

提督「証拠?」

秋津洲「机の上に『二式大艇は預かった』なんて書置きするのは提督くらいかも!」

提督「ほう……しかし、それでは俺が犯人という理由にはならないな」

秋津洲「どういうこと?」

提督「確かに、俺がやりそうなことではあるが、それを逆手に取った犯行の可能性もあるぞ」

秋津洲「そ、それは確かにそうかも……!」

提督(まあ犯人は俺だけどな)

秋津洲「うう……じゃあ一体大艇ちゃんはどこに……?」

提督「こういう時は残されたヒントを大事にするものだよ」

秋津洲「ヒントといっても、書置きくらいしかないかも」

提督「その書置きだって、まさか盗んだことしか書かれていない訳でもあるまい」

秋津洲「うーん? ……あっ、確かに裏にも書いてある!」

提督「ほう、何と書いてある?」

秋津洲「えっと、盗んだものはきちんと交番へって。交番に急ぐかも!」

提督「秋津洲は純粋というか馬鹿というか」

秋津洲「普通に馬鹿にされたかも!」

提督「実際に艦載機を交番に持っていけるわけ無いだろ」

秋津洲「それはそうだけど……」

提督「だから、この鎮守府の中で交番に一番近い……というより、落し物を回収している所にあるんじゃないか?」

秋津洲「なるほど! ……なんだか提督、察しが良すぎるかも」

提督「い、いや、秋津洲が鈍感なだけじゃないか?」

秋津洲「やっぱり馬鹿にしてるかも」

提督「とにかく、この鎮守府の中で落し物があった時に集まるところは何処だ?」

秋津洲「えっと、こういう兵装などの所有物の場合は一度提督に聞いてからってどこかに書いてあったかも」

提督「……」

秋津洲「……やっぱり犯人は提督かも!」

提督「大当たりだ馬鹿め!」

~~~~~~~~

提督「いやぁ、秋津洲をからかうのは楽しいなあ」

提督「しかしあの様子だとヒントを教えなければ答えに辿り着けそうになかったな」

↓2

―秋月型の部屋―

提督「ちょっと遠くになるが公園でお祭りをやるらしいぞ」

照月「そうなんですねー」

秋月「地域が活性することはいいことです」

提督「……」

初月「……もしや提督は共に祭りに行きたいということか?」

提督「それだよ初月。なぜ関係ないかのように振る舞われたんだ」

秋月「さ、誘ってくれてたんですか? すみません、気付けなくて」

提督「いや、昨年も行ったし、これで伝わると思った俺が間違いだった……」

秋月「そ、そんなことないですよ。こちらこそ、気を使わせてしまって……」

照月「秋月姉が提督と一緒に行ったっていうのは気になるけど……うわー、祭り楽しみだなー」

初月「そうだな、たまにはそういうのも悪くはない」

秋月「準備してくるので、待っていてくださいね」

提督「おう」

―近くの公園―

秋月「お待たせしました」

照月「どうですか提督、浴衣ですよ!」

初月「ついでに祭りがどんなものか調べてきたよ」

提督「待ってないぞ。うんうん、浴衣も似合ってる。この祭り自体は有名じゃないしあまり情報もなかっただろう」

初月「軟派な返した方だな」

提督「全員分の言葉をちゃんと聞いていたことに褒めてほしいんだが……」

秋月「でも、思ったより規模が大きいですね」

提督「そーだな。……さすがにここで牛缶は売ってないぞ」

秋月「わ、私だってもう牛缶ばかりってことはないですからね」

照月「でも、今でも豪華な食事をするときは食卓にでるよね、牛缶」

秋月「うっ……」

提督「……好物なら、別に出てもおかしくないぞ、な?」

初月「さて、それはともかくとして、僕は祭りに来るのは初めてだ。何をすればいい」

提督「何をするってこともない。空気を楽しんでもいいし、露天に行ってもいい」

照月「露天……秋月姉、大変!」

秋月「どうかしたの?」

照月「表示価格がとんでもなく高い!」

提督「姉妹だなぁ」

初月「もしや、昨年の祭りで姉さんが同じことを?」

提督「今回も誰か絶対いうと思ったけどな。まあ、お察しの通り」

秋月「そ、それは仕方がないじゃないですか……」

初月「なるほど、とにかく自分で思う楽しみ方をすればいいのか。……よし、どうせなら屋台制覇としよう」

提督「すげー男らしい目標だな……姉二人が固まってるぞ」

―執務室―

提督「祭りに行くと財布のひもが緩む」

提督「秋月はしばらく牛缶が食べられないと嘆いていたな……」

下2

―伊勢型の部屋―

伊勢「うーん……」

日向「頑張れ。あともうすこしだぞ」

伊勢「いや、見てないで手伝ってほしいんだけど」

日向「自慢じゃないが、私にはどうしていいのかさっぱりだ」

伊勢「本当に自慢じゃないわね……」

提督「何やってるんだ?」

伊勢「あ、提督。エアコンのフィルター掃除です」

提督「そろそろ使う機会もないと思うが」

伊勢「だからこそ、ですよ。使い終わったのならきれいにしなくちゃいけませんから」

日向「また使うときでいいと思うのだがな」

伊勢「汚れを放っておくとカビの原因になったりするのよ」

提督「しっかりしてるなぁ……で、掃除は進んでいるのか?」

伊勢「今からフィルターを外すところ」

提督「掃除機は?」

伊勢「かけましたよ。水もきちんと準備してますから」

提督「はー、本当にしっかりしてるな。日向、見習った方がいいぞ」

日向「私は瑞雲の点検ならしっかりやっているからな」

伊勢「瑞雲についてだけね……」

日向「何を言う。伊勢の分もやっているじゃないか」

伊勢「それはありがたいけどね」

提督「フィルターはきちんとやっているみたいだが、中は掃除しないのか」

伊勢「内部までは考えてなかったな……した方がいいですか?」

提督「しばらく使わないのならやっておいた方がいいんじゃないか。軽く拭くだけでも違うぞ」

伊勢「そうですね、そうしてみます」

日向「……ふむ、なんだか傍から見ると二人は……あれだ、なんというんだったか」

伊勢「い、伊勢? そんな、私と提督はあくまで……」

日向「そうだ、家政婦と家主だ。それみたいだぞ」

伊勢「……」

提督「あー、確かにあれこれ命令してるだけだしな……って、伊勢? ちょっと、危な――」

―執務室―

提督「フィルターがこっちに飛んできたときは死ぬかと……」

提督「ん? いや、フィルターが飛んでくるっておかしくないか」

下2

提督「――苦戦することはないだろうが、油断ないように戦ってくれ」

ウォースパイト「質問ですが、よろしいでしょうか」

提督「どうぞ」

ウォースパイト「もし援軍などが出てきた場合はどうしますか?」

提督「報告じゃいないらしいし……正直出てきそうな面子でもないが……」

ウォースパイト「?」

提督「ああいや、報告にない部隊が出た場合はすぐに撤退してくれ。わかったな、瑞鶴」

瑞鶴「ちょっと、なんで私に対してだけ言うのよ!」

提督「だってほら、周りのメンバーを見てみろよ」

瑞鶴「う……な、何も言えない返しをしないでよ」

時雨「僕も熱くなることがあるからね。気を付けるよ」

初霜「私も、無茶しないようにしますね」

提督「ほら、フォローされてるぞ。どちらが大人か差を見せつけられてるな」

瑞鶴「う、うるさい!」

~~~~~~~~

ウォースパイト『アドミラル、おそらくこれで全員みたい』

提督「何事もなく作戦終了したなー。これがあいつらなら戦う前に不幸が起こるっていうのに」

雪風『しれぇ! あれをみてください!』

提督「通信だから見れないって。どうかしたのか?」

プリンツ『大量の資材を発見したんです』

時雨『どうやら敵はこれの輸送をしていたみたいだね』

プリンツ『もしかしたら敵の罠かも……どうしましょうか?』

提督「問題ないだろ。回収できそうであればしてくれ」

瑞鶴『ずいぶん適当ね』

提督「これが扶桑たちなら止めるが……まあ、お前らだし」

瑞鶴『それが適当だって言ってるんだけど』

初霜『でも、信頼してくれているってことですよね。初霜、頑張ります!』

提督「無理そうなら捨てて帰ってきていいからな。問題があればまた通信してくれ」

~~~~~~~~

ウォースパイト「ただいま戻りました、アドミラル」

提督「マジで何事もなく帰ってきたよ……」

プリンツ「敵の追撃もありませんでしたし、資材も無事に持って帰ることができましたし、大成功でした!」

時雨「でも不思議だよね。なんであんな量の資材をあれだけの人数で運んでたんだろう」

提督「たまたま寡兵で運んでいたところを強襲できたってところだろ」

初霜「そんなことがあるんですか?」

瑞鶴「そうね、あまりにも都合がよすぎる気がするのだけど」

提督「都合よすぎるが……不思議には思わんな」

雪風「それなら幸運の女神のキスを感じちゃいますね!」

時雨「……ああ、そういうことなんだね」

プリンツ「アトミラールならそうかなって思ってました」

ウォースパイト「どういうことなのかしら?」

瑞鶴「さあ?」

~~~~~~~~

提督「幸運というか、もはや完全に都合がいいことが起こるな」

提督「嵐が来ていたらしいが、見事に進路も変えてるし……これが幸運の力か」

下2

―食堂―

アクィラ「あ、グラーフ、一緒にご飯にしませんか?」

グラーフ「別にかまわないが」

アクィラ「偶然ってあるんですねー。よしよし」

山城「それは羨ましいですね……私は姉さまとは別ですよ……」

アクィラ「あら、どうかしたんですか?」

山城「今日お買い物に出かけたんですが、途中でカードを落としたみたいなんです」

グラーフ「一緒に探しそうなものだが」

山城「いえ、お買いものしたお店から忘れてるって連絡があったので、姉さまが山城は先に食事を摂っていてと」

アクィラ「あらら、それはそれは」

大鳳「……」

陸奥「あら、何を回れ右しているの? 一緒に混ざればいいじゃない」

大鳳「いえ、このメンバーを見ても何も思わないんですか」

陸奥「それは……そうね。でも、日常生活から悪い事が起こる訳じゃ無いじゃない」

大鳳「そうですけど……いえ、確かに気にし過ぎですね」

~~~~~~~~

陸奥「――あ、そういえば今運がいい子たちを集めて出撃させてるみたいよ」

大鳳「また変なことをしてますね」

グラーフ「見掛けたが、なかなかバランスの良い編成だと思うぞ」

大鳳「それは分かりますけど……」

アクィラ「もしかしてアクィラ達の方に不幸の分が飛んで来たりー。流石にないですよね」

山城「すでに私達が不幸にあってる時点で言えてるかも……」

大鳳「ちょっと、止めて下さい。それは悪い事の前兆になりそうなんですが」

鈴谷「ちょちょ! アレが! アレが出て来たんですけど!」バタバタ

大鳳「ほら言ったじゃないですか!」

陸奥「慌てるのは分かるけど、しっかりしなさい」

鈴谷「いきなり出てきたら誰だってビビるっしょ!」

陸奥「それはそうかもしれないけど……それで、どこにいるの」

鈴谷「そこに!」

カサカサカサカサカサ

アクィラ「あわわ、こっち、こっち来た!」

グラーフ「まかせろ」

カサカサバッ

グラーフ(こいつ、跳んで……! だが甘い!)バシッ

ボトッ

アクィラ「よしよし、私達の手に掛かればラクショーってやつですね」

グラーフ「やったのは私だがな」

山城「! まだいます!」

グラーフ「なにっ」

陸奥「ふっ! ……油断するなんて甘いわね」バシッ

グラーフ「次は無いさ」

大鳳(大分食欲が失せてるんですが……二重の意味で)

陸奥「そういえば、アレの死体は何処に行ったのかしら」

大鳳「……私達のカレーの中に落ちましたよ」

陸奥・グラーフ「「え」」

山城「しかもまだまだ来ました!」

扶桑「ふう、ようやく戻って来れたわ」

山城「姉さま! 前、前! アレが飛んで――」


アクィラ「……こういう偶然は全然よくないですね!」

―執務室―

提督「なに、食堂でアレが大量発生? 間宮が掃除を怠るとは思えないし……はあ、速吸が持ってきた食材に混じってたと」

提督「すぐに鎮圧したが被害者が……うわっ、ピンポイントで不幸艦って」

提督「カレーに浸かったアレが動き出す様とか、しばらくカレーが食べられなくなりそう……」

↓2

―金剛型の部屋―

提督「ちょっと美術に目覚めた」

榛名「はあ……」

提督「というわけで、榛名を被写体としたデッサン画を描かせてくれ」

榛名「榛名でよろしければ協力しますよ」

霧島「司令って絵は描けましたっけ」

提督「心配はいらない。今回はスーパーアドバイザーとして秋雲も呼んでいる」

秋雲「この秋雲さんが参加するには中途半端にはさせないよ!」

霧島「それはまた……長くなりそうですね」

榛名「榛名なら何時間でも大丈夫です!」

提督「そう言ってくれると思ったぞ。よし、ならば早速準備だ!」

~~~~~~~~

提督「……」サラサラ

榛名「……」

秋雲「……あ、そこはもうちょっと細かく」

提督「だな」スス

榛名「……」

秋雲「……」

提督「……」サラサラ

霧島(う、動きが無い! 静かで良い事なんですが、何とも空気が……)

榛名「……」

霧島(榛名も榛名で本当にじっとしてるし……いえ、なんでしょう、提督が真面目なのは普段なら喜ばしい事なんですけど)

提督「……秋雲」

秋雲「ん、いいんじゃない」

霧島(……ちょっと覗いてみようかしら)

提督「軽く、こう……」

秋雲「そうだね。でも柔らかくした方が良いよ」

提督「ああ、それは把握してる」

霧島「……上手っ」

提督「ん、ああ、霧島から見てどんな感じだ」

霧島「いえ、びっくりするほど上手なんですが」

秋雲「そりゃこの秋雲さんがいるんだから当然」

提督「実際ピンポイントでアドバイスをくれるからな。凄く描きやすい」

霧島「いえ、これもう素人レベルじゃないですよね」

秋雲「ちょっと上手な美術部員ってくらいじゃない? 普通がどのくらいかしらないけど」

榛名「……あ、あの、凄く気になるんですけど」

提督「主役なのにすまんな。もうちょっと待ってくれたら完成するから」

榛名「はい……」

~~~~~~~~

榛名「わぁ、本当にお上手ですね!」

提督「スーパーアドバイザーのおかげだ。俺だけじゃこんなに細かく綺麗に描けん」

榛名「私なら秋雲さんに見て貰ってもこんなに描けませんよ」

提督「そうか? そんなに褒められるとなぁ……よし、これは榛名にプレゼントしよう」

榛名「いいんですか?」

提督「元々描きたかっただけだしな。こんなのでお礼ってのも悪いが……」

榛名「いえっ。榛名、感激です!」

―執務室―

提督「唐突に絵が描きたくなることがあるけどあれってなんだろうな」

提督「まあ、それは釣りとか他にも言えることだが」

↓2

明石「健康診断をしました」

提督「そうだな」

明石「それの結果なんですが……」

提督「どうした、何か気になることでも?」

明石「いえ、意外と健康に悪そうな子が健康状態なのだということがわかりました」

提督「悪そうな子?」

明石「深夜にはしゃぎまくる人や、浴びるように酒を飲む人、食事量が大量の人などです」

提督「ああ……あれで病気とかになったところを見ないからな」

明石「やっぱり普通の人間がやるようなやり方じゃだめんですかね」

提督「全部終わった後でその疑問はさすがに遅いと思うぞ……」

明石「でも、ほら、心配な人はいっぱいいるじゃない?」

提督「ポーラなんかは飲んでない方が珍しいからな。まじで肝臓がぶっ壊れてるんじゃないかとすら思う」

明石「そんなわけで、次から内容を変えようと思うんですけど、どうしたらいいでしょうか」

提督「正直俺に言われてもわかんないんだよなぁ……」

明石「そうですよね。はぁ、これは霞ちゃんと相談することにします」

提督「ああ、そうしたほうがいいだろう」

明石「報告は後ほど。では、失礼します」

提督「……あ、ちょっと待って」

明石「はい、なんですか?」

提督「空欄があるのはなんだ? 身長のすぐ下とか真っ白だけど」

明石「……まあ、そこは必要ない部分だと思うので省いておきました」

提督「そ、そうか」

明石「では失礼します」

バタン

提督「……秘書官の方には多分ちゃんと書いてあるだろう。予想が正しければ」

提督「いやでも、結果自体はちゃんと出てるから……まじで酒飲みは肝臓がどうかしてるとしか思えんな」

下2

― 一航戦の部屋 ―

提督「あっかぎさーん、あっそびーましょ」ガチャ

提督「……」

提督「あれ、誰もいない」

提督(時間的にはデザートでも食べに行ったかな。まあ、この機に部屋探しでも)

提督「……ん?」

~~~~~~~~

赤城「ふう、今日の最中もとてもおいしかったです。さて、続きを……」

提督「……」

赤城「……て、提督!?」

提督「ああ、読ませてもらってる」

赤城「い、いえ、やめてください!」

提督「なぜだ? 別にいいではないか」

赤城「駄文を上司に見られるのがうれしいわけないじゃないですか!」

提督「いや、結構面白いと思うぞ」

赤城「提督の知性が欠けているだけです!」

提督「それは自分の作品を卑下してるのか俺を貶しているのかどっちなんだ」

赤城「と、とにかく、見るのはやめてください」

提督「これどこに投稿してるんだ?」

赤城「提督は人の話を聞きませんね……」

提督「それは違う。お前の作品を読んでファンになっただけだ」

赤城「そういってもらえるのはうれしいのですが……」

提督「でも実際これくらいかけるなら隠さなくてもいいと思うんだが」

赤城「SSはあんまり人に誇れるものだと思ってないんですよ……」

提督「そういうもんか」

赤城「そういうものです」

提督「……それはさておき、このことは他に誰か知っているのか?」

赤城「加賀さんはもしかしたら知っているかもしれませんけど、隠してるので知らないと思います」

提督「つまり、俺が初めてか」

赤城「まさか見られるとは……こちらも放置していたのが悪いんですけど」

提督「でもほら、とてもよかったぞ。お世辞じゃなくてな」

赤城「……私としても、提督が喜んでくれてうれしくはありますけど」

提督「まあ、そっちがそれなら二人だけの秘密にしようか」

赤城「はい、そうしましょうか」

バタン

加賀「ふ、二人とも、何をしているの!」

赤城「か、加賀さん!」

提督「残念だが、二人だけの秘密だからな。赤城、続きはまた今度な」

赤城「はぁ……わかりました。次は最後まで、ですね」

提督「そこまで許してくれるなら、俺としてもとてもうれしいぞ」

加賀(え、それって、もしかして……)

―執務室―

提督「別にあの出来なら隠さなくてもいいと思うんだけどなぁ」

提督「というか、意外な才能を発見だろうか」

下2

―提督私室―

足柄「カレーパンって知ってるかしら」

提督「あれだろ、カリッと揚げたパンにカレーを詰め込んだやつだろ」

足柄「ええ、そうね。でもその起源の一つにはカレーとカツレツを合わせて考えられたともいわれているわ」

神風「……あの、なんですかその茶番」

春風「神風お姉様、今はまだお静かにしていた方がよいかと」

神風「確かに司令官と足柄さんなら止まりそうにないわね……」

提督「ほう。それで、カレーといえば海軍」

足柄「カツといえばこの私」

提督「つまりカレーパンは」

足柄「この私のためにある料理なのよ!」

神風「……あ、終わった」

足柄「そういう理由からカレーパンを作るわ。もちろんカツとは勝手が違うけど、そのための貴女たちよ、期待してるわ」

神風「期待はうれしいですけど、私には少し荷が重いと思いますが……」

提督「何を言っている。お前たち二人は青葉調べ料理の上手な子TOP10に入っているくらいの実力だぞ」

春風「ええっ、そうなのですか?」

神風「司令官のことだから平気で嘘をついている可能性もあるけどね」

足柄「ねえ、そのランキングに私も入ってる?」

提督「お前カツしか自信作ないだろ。料理上手だから余裕でランク外だな」

足柄「うぐっ……と、とにかく、今はカレーパンよ!」

神風「はぁ……作り方や材料はちゃんとそろってますよね?」

足柄「完璧よ。器具も大体提督の部屋にあるわ」

提督「必要なものは出しているけど、万が一足りなかったら追加で持ってくるぞ」

神風「冗談だと思っていたけど、一応春風と考えてたカレーも実践できそうだし……やってみますか」

春風(神風お姉様はやっぱり優しいですね)

~~~~~~~~

神風「カレーはカレーパン用にうまくとろみをつけて、味も整えた」

提督「オーブンの発酵もしっかり終わらせた」

足柄「揚げ時間は完璧。カツで身に着けたこの実力」

春風「カレーパン、完成ですね」

提督「いや、お互いの分野を合わせれば何とかなるもんだな。いきなりこんなのができるなんて」

春風「それだけに、春風はあまりお役に立てていませんけど……」

神風「そんなことないわ。全体の手伝いをしていたのは春風じゃない」

提督「さりげなく片付けとかもしてくれてたし、縁の下の力持ちだぞ」

足柄「あれが大和撫子の貫禄ね。これには負けたわ」

春風「あっ、い、いえ、早くカレーパンを食べましょう!」

提督「照れてる照れてる。でも、冷める前に食べるのは同感だ。んじゃ、一口」

足柄「……外はカリッと、中はもちっと。そしてその奥に待っているカレーの香ばしさ……な、なにこれ、美味しいわ!」

神風「自画自賛をするわけじゃないけれど……これは本物ね。まさかここまでなんて」

春風「あの、これを皆様にも振る舞ってみませんか?」

足柄「それはいいわね! 最近はカツばかりで飽きられていたころだったし」

提督「最近どころか昔からだがな」

―執務室―

提督「部屋がカレーパンの匂いで充満してしまった」

提督「しかし、まさか一回目からあれだけのものができるとは……」

下2

―談話室―

提督「……コール」

ニム「いいんですか? ニム勝っちゃうかもよー」

提督「ふん、俺に撤退という二文字はない」

ニム「でも出撃させたときはよく撤退してますよね?」

提督「そりゃそうだろ……」

ニム「あはは、それで公開するんだっけ。それっ、フルハウス!」

提督「ば、馬鹿な……フラッシュだ……」

ニム「やったー! 提督に勝ったー!」

提督「くっ、一体何が悪かったというんだ!」

ニム「うーん、あえて言うなら……運と戦略と方法と運かな!」

提督「えーい! そんな口を言うのはどこのどいつだー!」ガバッ

ニム「わっ、も、もう、どこ触ってるんですかー!」

提督「ここがええのんか、ここがええのんか!?」ムニムニ

ニム「あっ、んっ、だ、ダメだって!」

提督「へっへっへ、お客さんお固いですなー」モミモミ

ニム「提督、突然すぎ……っ」

提督「でも頼んだのはニムの方だろう?」

ニム「そ、そうだけどー」

提督「だったらよいではないかー! はっはっは!」

ニム「きゃー!」

イムヤ「……二人とも、仲がいいわね」

ニム「あ、イムヤおかえりー」

提督「おかー」

イムヤ「はいはい、ただいま。飲み物は適当でよかったわね」

ニム「うんうん、ありがと。イムヤって何だかんだで面倒見良いよねー」

提督「ねー」

イムヤ「二人が行くと変なもの買ってきそうだからよ……で、何やってたの」

提督「ポーカーで負けた罰ゲームにマッサージ中」

ニム「ずっとやってもらいたかったの。だって、提督のマッサージって評判良いでしょ?」

イムヤ「そうね。でも、提督ってこういうゲームそれなりに強いはずだけど」

提督「勝負は時の運だ。さーて、次は足の方もやるぞー!」

ニム「やーん!」

イムヤ(なんだろう、この二人だと子供がはしゃぎ合ってるだけに見える)

―執務室―

提督「はあ、ああいうはしゃぎ方もまたよい」

提督「しかし、なぜあんなにイムヤはげんなりとした顔をしていたのだろうか」

下2



あ、もしかしたら更新止まるかもしれませんのでご了承を。
何事もなければ続けます。

提督「訓練の一環でボルダリングをしようと思う」

五月雨「ぼるだりんぐ、ってなんですか?」

提督「クライミングのことだ。最低限の装備だけだから気軽に始められるところも利点なんだ」

五月雨「へー、そうなんですか」

提督「そんなわけで、さっそく行こうと思うのだが」

五月雨「……い、今からですか!?」

提督「もちろん。ほら、五月雨の分も準備してるぞ」

五月雨「準備良いですね……」

提督「こういう時の行動力を忘れたわけではあるまい」

五月雨「うう、はい……」

―近くの山―

提督「ほら、とてもいい岩石。これはもうボルダリングをするしかないだろう」

五月雨「その理屈は少し変な気がしますけど、それなりに高さがありますね」

提督「衝撃吸収マット……えっと、クラッシュパットだったかも準備してある」

五月雨「本当ですねー」

提督「というわけで、まずは俺が手本を見せるから」

五月雨「はい!」

提督「じゃあ……よっ、ほっ」カッカッ

五月雨「すごく手慣れていますね!」

提督「これでも数回目なんだが……なっと」ガシッ

五月雨「はー、この高さをそんな簡単に登れるんですね」

提督「で、落ちるときはなるべく背中からな。ほいっと」ピョン

五月雨「わっ! だ、大丈夫ですか!」

提督「で、着地するときはこのように背中全体に。五月雨はよくドジをするから、この辺りはしっかりと名」

五月雨「むー、私だってドジばっかりするわけじゃないんですよ」

提督「ははは、そりゃ悪い。それじゃがんばれ、危なそうなら援護する」

五月雨「は、はい。で、では、五月雨、行きます!」

提督「おー」

五月雨「んしょ、んしょ……」ヨジヨジ

提督「……」

五月雨「よいしょ……こらしょ……」

提督(そろそろ必死になってきたからドジるな)

五月雨「あっ――」ズルッ

提督「このくらいの高さなら……よっと」ガシッ

五月雨「あっ、ありがとうございます……」

提督「予想できてたからな。まあ、ボルダリングやってて落ちない奴なんていない。気にするな」

五月雨「うう、はい……」

―執務室―

提督「……はっ、何か物足りないと思ったら五月雨は素直すぎて突っ込みがないんだ」

提督「でもいい子なのは確かだ。うん」

下2

提督「漣二等兵!」

漣「サー!」

提督「お月見をするから兎繋がりの子を集めてくるのだ!」

漣「サーイエッサー!」


―庭―

提督「団子うめぇ」

漣「さすが間宮さん。これぞできる女」

巻雲「うっ……か、かひゃいです……」

提督「馬鹿な。間宮が……って、辛子が塗ってあるぞこれ」

卯月「ひっかかったぴょーん!」

漣「悪戯兎は今日もいつもどおりですなぁ」

叢雲「……なにこれ」

潮「漣ちゃんが、兎っぽい子を集めるって言ってたから……」

叢雲「私が、兎っぽい? はぁ?」

潮「ひうっ……わ、私を見ても、なにもないよ?」

叢雲「そうね……はぁ」

島風「ちょっと待って、どうして私は縛られてるの」

提督「ほら、今日は満月で綺麗だろ」

島風「うん」

提督「……」

島風「……それだけ!?」

潮「は、離してあげませんか? かわいそうですよ……」

漣「潮大佐の言葉には従わなければなければなりませんな」

提督「そうだな。まき……うーちゃん、ほどいてあげなさい」

巻雲「司令官様、どうして止めたんですか?」

卯月「分かったぴょーん!」

島風「私はこういう役回りじゃないと思うんだけどな……」

叢雲「しょうがないわよ。今日のメンバーを見れば」

提督「しかし、今日は曇ってるから満月が見えにくいんだよな」

巻雲「そうですね……ちょっと残念です」

漣「今から幸運の女神を起こしてきますかー?」

提督「むしろその幸運に邪魔されて起こせないんじゃないか」

漣「確かに」

卯月「だったらお団子を食べるぴょーん」パクッ

叢雲「あんた、さっき自分で……」

卯月「からひ……」

提督「どのみち、この面子だとまともに月みる奴は二人しかいないと思うけどな」

叢雲「ちょっと、それ誰と誰のことを言ってるのよ」

―執務室―

提督「うーん、もうちょっと晴れてれば風流があってよかったんだが」

提督「まあ、団子がおいしかったからいいか」

下2

―食堂―

提督「ハイ始まりました、料理大会。今日は我が鎮守府内でも屈指の子を集めてまいりました」

青葉「ちなみに青葉調べによるものです。えへん」

提督「全員は集まらなかった模様だがな。まあ、出撃とかあるし仕方がない」

赤城「いやー、楽しみですね」

間宮「今日は楽をさせてもらってごめんなさいね」

鳳翔「今日くらいはのんびりしましょう。せっかく作ってくれますから」

間宮「ちょっと変な感じがしますけどね」

鳳翔「私も、少し」

提督「えーっと、本日出された料理はそのまま今日の食堂のランチとして出るので、食べたい人がいれば終了後食堂に集まるように」

青葉「長くなりましたが、ただいま開始します! あ、実況兼ね審査員の青葉と司令官。そして、ランキング殿堂入りのお三方です」

提督「……えっ? 赤城も?」

~~~~~~~~

青葉「でも、料理を作っている間は暇ですよねー」

提督「やらせておいてだらけちゃまずいだろ。実況しろ実況」

青葉「正直青葉よくわかりませんし」

間宮「手際は皆さんとてもいいと思います」

鳳翔「差が出ているとするなら、勝手の違いでしょう」

間宮「そういう意味では、一番有利なのは伊良湖ちゃんですね」

提督「あとはまあ、よく食堂を借りて料理を作っているやつとか」

鳳翔「そうですね。でも私としては食べさせたい人においしいって言ってもらえる料理が作れるのならば、それでいいと思います」

間宮「料理人としては食べてもらった時の笑顔が何よりの報酬ですからね」

提督「真理だが、それを言ったら勝負事の意味がないな」

赤城「元々味覚は千差万別ですから。勝負事に料理はあまり適していないと思います」

青葉「殿堂入りのお三方は言うことが違いますね」

提督「なあ、赤城って本当に殿堂入りなのか?」

~~~~~~~~

天城「はい、完成しました」コト

提督「おお、あっさりしたものだ」

青葉「さっき大和さんがガッツリとしたものを出して後続を潰しにかかってきましたからね……」

赤城「料理勝負ですから、後に続く人の食欲を減らすような重いものを先手で出す手は確かに有効ですね」

間宮「でも、それを読んでのこれはとても上手だと思います」

鳳翔「後続の方も、前に出した人の料理を生かして、逆に食欲を増進させるような料理を出す手もありますから」

赤城「意外と料理勝負は奥が深いですよね。……とても美味しいです」

提督「やべえ、なにこの三人の殿堂入り感」

青葉「視点がチャンピオンですね」

提督「三人チャンピオンか……なあ、赤城も本当に殿堂入りか?」

青葉「あ、確かにこれ、あっさりとしてとても食べやすいですね」

提督「聞けよ」

―執務室―

提督「くっ、気になる……仕返しのつもりだったのか?」

提督「結局一番は最初に出した速吸だったかな。空腹が一番の調味料という感じで決まった」

下2

―提督私室―

提督「今日はハンバーガーを作るぞ!」

比叡「気合い! 入れて! 作ります!」

磯風「管轄ではないが、私も頑張ってみようか」

提督「さーて、どうせならこの鎮守府っていう感じが出ているといいよな」

比叡「それならすぐに思いつきますよ!」

提督「と、いうと?」

比叡「カレーです!」

磯風「いい着眼点だ。私も見習わなければ」

提督「なるほど、確かにそれもありだな」

磯風「そうだ、ならば秋刀魚はどうだ」

提督「秋刀魚! その発想はなかった」

比叡「でも全然ありです!」

提督「……ありだな!」

磯風「そうだ、隠し味にアイスもどうだ」

提督「挟むのか?」

磯風「もちろんそのつもりだが」

比叡「あ、でしたら味は紅茶にしましょう! 紅茶アイスです!」

磯風「しかし、それだと合わないのではないか?」

比叡「あ、どうでしょう、司令」

提督「……いいんじゃないか!」

比叡「許しが出ました!」

磯風「さらに○○も入れよう!」

比叡「××もいいと思いますよ!」

提督「……もう自由にいこう!」

~~~~~~~~

提督「完成した」

比叡「ひえー……なんだか赤い液体が垂れてます……」

磯風「そもそも、パンの色が用意したものと違うくないだろうか」

提督「いろいろなものと合わせてるからな……これがまさにパンデミック(ス)ってやつだな」

比叡「ひえー……ひえー……」

磯風「まさに冷えっ冷えだな」

提督「うん、出来上がったバーガーと同じくらいひどいギャグだったな」

比叡「で、どうします?」

磯風「食べてみるか?」

提督「……廃棄しよう!」

―執務室―

提督「バーガーバーガーみたいに適当に作っても何とかなると思った」

提督「料理勢(メシマズ)の手にかかればパンズの変色まで容易とは……」

下2

―母港―

霞「……」

ジュー

提督「でさ、階段から転げたっていったんだ。それに対して秘書官が言ったんだよ」

アイオワ「へえ、なんて?」

提督「あんた、三時間も転げ落ちてたのってな」

アイオワ「ハハハ! それはうまい返しね!」

霞「いや、何よこれ」

提督「何って、見てわからないのか? BBQだ。アメリカンのな」

アイオワ「アメリカでは大きな肉をじっくり焼くのよ」

霞「知ってるわよ。そうじゃなくて、どうしてここでやっているのかってこと」

提督「そりゃ、アメリカ式のバーベキューっていうのはこういうものだろ。なあ」

アイオワ「そうね。ちなみに、味付けは事前に提督がやってくれたわ」

霞「昨日遅れた理由はそれね」

提督「ぎくっ」

アイオワ「カスミ、いいから味わってみなさい。私達の国のバーベキューを味わえば、きっとすぐにその考えを変えると思うわ」

霞「変わりはしないと思うけど」

提督「じゃあいらないのか。ふうん、そっかそっか」

霞「……私にかかればこれを上に報告することもできるのよ」

提督「すみません」

アイオワ(カスミも食べたいのね)

~~~~~~~~

雪風「なんだかいい匂いがします!」

提督「お、雪風が戻ってきたってことは良い時間なのか」

アイオワ「あら、存外適当ね」

提督「今日は幸運艦隊だから、おそらく戻ってきた時間とちょうどよくなるだろうと思ってな」

ウォースパイト「ただの遠征なのに私まで出撃させて理由はそれ?」

提督「うん」

瑞鶴「呆れたわ……」

アイオワ「でも、たしかにちょうどよさそうね」

提督「だろ。まあお前たちも気を取り直せ。ほら、出来立ての肉だぞ」

プリンツ「わ、お肉ばっかり……ドイツ式ですか?」

提督「一応アメリカ式のつもりだ」

アイオワ「そうよ。食べて驚きなさい」

時雨「食べて……う、ん? なんだかすごく噛みやすいね」

初霜「しかも、しっかり味がついてます! も、もしかして値段が張るものでは……」

提督「いや、大きさが大きさだから値ははるが、高級品じゃない」

アイオワ「そう、これがアメリカ式よ」

霞(自慢げにしてるけど、作ったのは司令官よね)

―執務室―

提督「実は焼き時間だけは心配だったんだよ。日本であんな分厚い肉を焼くことないしな」

提督「まあ、みんな喜んでくれていたようでよかった」

下2

―談話室―

利根「吾輩と戦うのじゃ」

提督「何を」

利根「将棋」

提督「やる?」

利根「うむ」

提督「まあいいが……駒の動かし方はわかるよな」

利根「そのくらい知っている!」

提督「じゃあ、ルールは?」

利根「完璧!」

提督「戦術」

利根「せん、じゅつ……?」

提督「なるほど、大体どのくらいかわかった」

利根「な、なんじゃ、そんな余裕の笑みを浮かべて」

提督「いいや、なんでも」

利根「ええい、とにかく打つぞ!」

提督「利根、指す、だ」

利根「む?」

提督「囲碁やチェスじゃない。将棋は指すという。覚えておけ」

利根「う、うむ」

提督「それじゃ、始めるか。先手はくれてやろう」

利根「よいのか? その余裕、後悔しないことじゃな」

提督「それはこっちの台詞だ」

利根(くっくっく、知らぬのか。ボードゲームでは先手が有利。当たり前のことじゃろう)

提督「ほれ、早く指せよ」

利根「そう焦るな。ほれ」

利根(まずはちょちょいと攻めて勝利をもぎ取ってやるのじゃ)

提督「ほお、角で責める気か。まあ、それもいいだろう」

利根「む、なんじゃその手は」

提督「ダイレクト四間飛車」

利根「……なんじゃそれ」

提督「そんなことだろうとは思ってた」

~数十分後~

利根「うぐ……吾輩の王が丸裸じゃ……」

提督「そりゃあんな無茶な攻め方するからだ」

利根「そ、そもそもおかしいではないか。なぜやられた兵が裏切っておる!」

提督「そんな将棋の根底のルールから突っ込まれても困るんだが」

利根「……ま、待ったはありか?」

提督「別にいいけど、何手戻せば勝ちが見えると思う」

利根「……に、二十手くらいかの」

提督「そんな前の覚えてるか?」

利根「……む、むう」

提督「はい王手」

利根「負けたのじゃ……」

提督「しかし、なんでこのくらいで対決してきたんだ。一応これでもそれなりに戦術はかじってるぞ」

利根「筑摩に勝ったからいけるかと思ったのじゃ」

提督(筑摩、手加減してたな)

―執務室―

提督「将棋はかっこいい名前が多いよな。なんでもありなところとかサイコーだ」

提督「ちなみに先手有利はほぼ迷信らしい」

下2

提督「浦波の歓迎会を開こうと思うんだが」

吹雪「もう終わりましたよ」

提督「なんだと」

吹雪「着任して即日にしましたから」

提督「なぜ、呼んでくれなかったんだ!」

吹雪「いえ、知りませんよ」

提督「……で、当の浦波は?」

吹雪「部屋にいると思いますけど」

提督「よっしゃー、待ってろよ!」ダッ

吹雪「夕ご飯までには終わらせてくださいね」

―吹雪型の部屋―

提督「浦波!」

浦波「司令官? 何かありましたか?」

提督「歓迎会はもう終わったらしいな」

浦波「あ、はい。姉さんたちがやってくれました」

提督「俺は居なかった」

浦波「そうでしたが……」

提督「だから、俺なりの歓迎会をしようと思う。何時もの縮小版な」

浦波「いえ、別に無理して貰わなくてもいいですよ?」

提督「俺が、やりたいんだ!」

浦波「そ、そうなんですか」

深雪「(浦波押されてんなー。助ける?)」

初雪「(面倒)」

提督「そういうわけで、はい、ケーキの代わりのシュークリーム」

浦波「わぁ、ありがとうございます!」

提督「からの、クラッカー」パァン

浦波「こんなのまでわざわざ用意してくれたんですか!」

提督「んで、えーっと……はい、杯」

浦波「さ、杯ですか」

提督「歓迎って言ったらやっぱ飲むことだろう。同じ杯を交すことで、仲間意識をより高めるんだ」

浦波「そういうものですか……」

深雪(嘘だな)

提督「じゃあ、浦波のこれからに乾杯」

浦波「なんだか恥ずかしいですけど、乾杯」

―執務室―

提督「会という体を成してはいない気がするけど、気にしない」

提督「一人だもんね、しょうがない」

↓2

―会議室―

ビスマルク「今はオクトーバーフェストをやっているらしいのよ」

提督「ふうん。それで、このビールとソーセージか」

ビスマルク「ええ、ビールには秘蔵の逸品もあるのよ」

提督「ほう。で、つまり何を言いたいんだ」

ビスマルク「ここでオクトーバーフェストを開催するのよ!」

提督「いいぞ」

プリンツ「い、いいんですか」

マックス「あっさり許可を出しますね」

提督「それぞれの国の文化に触れることは悪くないと思うからな。今なら特に反対もないと思うし」

レーベ「じゃあ、早速準備をしてもいい?」

提督「ここでするなら間宮に許可を取れよ。多分いろいろ借りることになると思うから」

レーベ「はーい!」

グーラフ「しかし、思いのほか簡単に許可が取れたな」

ビスマルク「これも私の人徳がなせる業ね」

提督「じゃあ、秘書官に伝えるときはお前の口でな」

ビスマルク「……怒られないかしら?」

提督「一応秘書官は俺以外には優しいぞ。例外はあるが」

プリンツ「でも、開催できるって決まったのなら、ほかにもいろいろ用意しなきゃ……」

マックス「ですね。種類もまだ少ないですし」

提督「準備してから聞いたってわけじゃないのか」

プリンツ「許可が取れないなら、私達の間だけで祝うようにしようかと思っていただけなので」

グラーフ「心配はいらないとは思っていたのだがな」

ビスマルク「そうよね。そうじゃなきゃ、すぐにでも開催できたのに」

マックス「ビールは大丈夫かもしれませんが、ソーセージが大変なことになりますよ」

ビスマルク「毎日……ソーセージ……!」

プリンツ「あはは……考えたくないですね、それ」

提督「そういうことなら、今回はろーちゃんも呼ぶか。文化交流ならむしろ適任だな」

呂500「呼びましたかー?」

ビスマルク「ナイスタイミングね」

レーベ「ボクが呼んできたんだよ」

マックス「いなかったと思ったら……」

提督「ああ。ろーちゃんにはドイツと日本の両方の視点からみて、喜ばれそうな音楽とかを見繕ってほしい」

呂500「難しそうです……でも、ろーちゃん了解しました!」

提督「これはろーちゃんにしかできない仕事だからな。頼んだぞ」

ビスマルク「なんだか、開催まですごく進展したわね。私も負けていられないわ!」ダッ

プリンツ「あ、姉様! 意味もなく走る前に、まずは霞ちゃんのところに許可を取りにいかないと!」

グラーフ「そそっかしいな。では、こちらはマックスの準備を手伝おう」

マックス「はい。ほかにも種類を増やそうと思ってるので、助かります」

提督「レーベは飾りつけ……あと、手が足りないところを頼む」

レーベ「わかった!」

提督「それじゃあ、ひとまず解散」

―執務室―

提督「あの様子なら放っておいても準備は進んでいくだろう」

提督「文化交流は距離を縮めるきっかけにもなるだろうし、頑張ってほしいところだ」

下2

提督「近頃は急に寒くなってなぁ」

大和「そうですね。提督も体調を崩さないよう気を付けて下さい」

提督「馬鹿は風邪ひかないし、大丈夫だろ」

大和「御自分でそれをいうのも……」

提督「ところで、急にそんな話題を出すって事はもしや風邪ひいたやつが?」

大和「はい。私の知る限りでは三人ほど」

提督「はー、ばっかだなー」

大和「あの、ちょっと前にご自分で言ったこと覚えてますか?」

提督「冗談だよ、冗談」

大和「もう……」

提督「それじゃ、他に体調崩している奴が居ないか見回ってみるか」

大和「……病人相手に無茶はしないでくださいね」

―廊下―

大和「提督、心当たりでもいるんですか?」

提督「なぜそう思う?」

大和「目的があるように歩いているので」

提督「そうだな、確信ではないが、なんとなく風邪をひいてそうな奴はいる」

大和「それって……」

提督「さあついた。俺だ、入るぞ」コンコン

「え? あ、ちょっと待ってくださ――」

ガチャ

提督「元気してるか、扶桑型姉妹よ」

扶桑「い、いえ……」

山城「姉さま、提督は絶対分かってて言ってますよ」

提督「いやいや、そんなことはない。ほら、二人揃って風邪をひいたんだろう。今日は大人しく寝ておけ」

扶桑「はい……」

大和(窓ガラスが割れてますし、この前雨が降ってましたよね……もしかして)

~~~~~~~~

提督「扶桑姉妹はしっかり不幸だったが、そのほかは特にこれと言った様子も無かったな」

大和「そう簡単にあからさまな不幸は普通起こりませんよ……」

提督「あとは誰が風邪をひいてそうだろうか」

大和「どうでしょう……海に出ていることもあって、寒さには大体強い筈なんですけど」

提督「それでも風邪をひくのが季節の変わり目だ。……おっと、ストップ」

大和「なんですか?」

提督「大和じゃなくて、そこでこそこそしている川内だ」

川内「な、何? 夜戦が私を呼んでるんだよ」

提督「夜戦馬鹿だとは思ってたけど、風邪をひいてもか……いいから戻って寝てろ」

川内「でも夜戦が……」

提督「今から寝れば明日には治ってるだろ。無理してるとこじらせて一週間夜戦禁止とか言うぞ。神通が」

川内「う……しょうがないか……」

大和「……」

提督「あの夜戦馬鹿は……どうした大和。じっと見つめて」

大和「いえ、意外と見ていますねーって感心していました」

提督「意外とって何」

―執務室―

提督「多くは無いが、やっぱ風邪をひく奴はひくもんだな」

提督「ていうか、馬鹿は風邪をひかないってやっぱり迷信か……」

↓2

―公園―

金剛「今日こそ引導を渡してやるデース!」

ウォースパイト「ええ、こちらも負けませんよ」


青葉「今日はいいクリケット日和ですね。さて、実況は私青葉と解説は司令官でお送りします」

提督「よろしくお願いします」

青葉「ご覧になられているのは金剛さんのチームとウォースパイトさんのチームによるクリケットです」

提督「メンバーはそれぞれの対象に任せたが、意外にもバランスはとれている感じだな」

青葉「メンバー紹介をしますと、金剛型四姉妹、一航戦と二航戦。人数の都合で雲龍型ですね」

提督「どうして空母組を入れたのかは分からんが、まあ赤城たちも実力派だからな」

青葉「あれ、もしかしてクリケットの御経験が?」

提督「赤城たちは無いんじゃないか。そもそも、クリケット自体知ってるかどうか」

青葉「ええ……まずいんじゃないですか?」

提督「いや、さすがに勝負前にルール位把握してるだろ」

青葉「そうであって欲しい物です。さて、ウォースパイトさんの方のチームは海外艦と呼ばれる選手ですね。イタリア艦の六人、アイオワさん、ドイツ艦からはビスマルクさん、プリンツ・オイゲンさん、グラーフ・ツェッペリンさんです」

提督「あー、いや、ビスマルクじゃないな。改造してヴェールヌイとの名も持つ響じゃないか」

青葉「どうしたことでしょうかね。怪我等の情報は入っていないんですが」

提督「最近ドイツ艦との距離感は縮まっていたと思うが……もしかすると、単純に響の方が強いんじゃないか」

青葉「それは……ありえますね」

~~~~~~~~

青葉「さて、普通にクリケットをやると時間が掛かるので、今回は特殊ルールとなります」

提督「具体的に説明すると、本来10アウト又は50オーバーのところをそれぞれ半分にして進める」

青葉「半分ですか、出番のない選手も出てきそうですね」

提督「とはいえ、公園を長い間占拠するわけにもいかないだろう」

青葉「ですね。さて、投手はウォースパイトさんです」

提督「ウォースパイトの持ち味はやはり、しなやかな肢体から繰り出される軌道の読めない球だな」

青葉「そうなんですか。見た事が?」

提督「いや、適当に言っただけだ」

青葉「……あ、アウトですね。金剛さん手も足も出てなかったみたいです」

提督「戸惑っているようにも見受けられるな」

青葉「さて、次に出てくるのは比叡さんです」

提督「あいつはこういう場面では良い切り返しが期待できる。特に金剛が落ち込んでいるときにはな」

青葉「おっと、一球目投げて……打った!」

提督「さっきと同じ球とはいえ、よく撃てたと思う」

青葉「あ、喜びのあまり金剛さんの下へ行っています!」

提督「ルールを理解していなかったみたいだな。それなりに飛んだが、位置を読んでいた響によって捕球されてる」

青葉「ああ、比叡さん怒られてますねー」

提督「当然だな」

~~~~~~~~

青葉「さて、ウォースパイトさんの攻撃です。投げるのはやはり金剛さん」

提督「碌に点が入らなかったからか、大分気合入ってるな」

青葉「ここからの流れが重要ですね」

提督「正直一巡されただけで厳しい点差だから、ここで撃たれないようにするのが一番なんだが」

青葉「おーっと、打った!」

提督「もはや目も当てられんな」

青葉「飛龍さん飛び込むも届かない!」

提督「と思ったら加賀が後ろでフォローしてるな。チームワークはやはり混合チームの方が上みたいだな」

青葉「しかし、いいんでしょうかね」

提督「何がだ?」

青葉「料理の時もそうだったんですけど、本人達の会話が一切入らないのって」

提督「あー……まあ、クリケットはしょうがないだろ。選手同士も離れてるし」

―執務室―

提督「聞けばウォースパイトチームは経験者がいたとか。それならしょうがないね」

提督「あと、次からインカムでもつけようかなー。実況解説も機能してないし」

↓2

提督「叢雲はいつもきつい表情をしているから、あまり新人には好かれないよな」

叢雲「余計なお世話なんだけど」

提督「そこでだ、そんな叢雲にユーモアを与えようと思っている」

叢雲「いらないわ」

提督「遠慮はいらんぞ」

叢雲「いらない」

提督「……ツンデレ?」

叢雲「前々から思ってたけど、あんたってアホよね」

提督「なんだと、上司に向かって失礼な奴め」

叢雲「そもそも敬られることをしてないじゃないの」

提督「ええい、もう我慢ならん。仕置きだ、こっちへこい」

叢雲「結局そういうオチなのね」

~~~~~~~~

叢雲「……なにこれ」

提督「これぞ通称焼き芋ユニットだ」

叢雲「あんたアホね」

提督「またアホって言ったな! これは焼き芋として非常食にもなる優れものだぞ」

叢雲「どうでもいいわよ!」

提督「ふん、何にもならないいつもの謎ユニットよりマシだろう」

叢雲「確かに何かに使えるってわけじゃないけど……でも頭に焼き芋を付けるより全然ましでしょ!」

提督「なんだと、焼き芋を馬鹿にするか!」

叢雲「あんたを馬鹿にしているのよ!」

提督「もう我慢ならん! 全身焼き芋漬けにしてやる!」グイッ

叢雲「きゃあっ! 何するのよ!」

ガチャ

吹雪「すみません、こちらに叢雲ちゃんが……」

提督「あ」
叢雲「あ」

吹雪「……すみません、ごゆっくり」

バタン

叢雲「ちょっと待って! 何か誤解したわよね!?」

提督「やれやれ、吹雪はそそっかしいな」

叢雲「元はといえばあんたのせいでしょうが!」

提督「なんだと、上司に向かって生意気な……これはお仕置きだな」

叢雲「パワハラか! それはもういいわよ!」

~~~~~~~~

提督「結局叢雲はダッシュで出て行った」

提督「まあ、吹雪のことだから別に誤解とかしてないと思うんだけどな」

下2

―本屋―

提督「本屋なんて久しぶりだ」

8「欲しい物があれば、明石さんが仕入れてくれますからね」

168「そうなのよね。それでも、わざわざ本屋まで来たのは何でなの?」

8「此処の本屋は大きくて、同人誌とかも売ってるの」

168「同人誌……」

呂500「どーじんしってなに?」

58「知らなくても良い事でち」

呂500「えー、でっち意地悪だよ」

58「でっちと呼ぶなっていつもいってるよね」

19「同人誌って言うのは、一般の人が刊行した本のことをいうの」

26「自費出版ってやつだね」

8「ちょっと違う。自費出版は出版社を介してるから、同人誌より全国的に売られてる」

提督「とりあえず本の一種だな。で、はっちゃんは何を買いに来たんだ」

8「同人誌の話をしましたよね。それです」

168「同人誌って、ま、まさか、エッチなものじゃ……」

8「イムヤ、それは偏見。同人誌といってもいろいろ種類はあるよ」

提督「つまり、はっちゃんが求めているのは漫画みたいなのじゃなくて、廃線写真集とか、ヒロインの髪の色の統計みたいな本か」

8「なにそれ……」

58「そんなもの誰が買うんでち」

168「ちょっと気になるんだけど……」

19「廃線も趣があって良いのね」

58「マジでちか」

呂500「ろーちゃんでも読める本あるかな?」

提督「そうだな。一緒に探してみるか」

呂500「はーい!」

58「……ちょっと気になるからついていくでち」

提督「信頼無いな……」

168「私はファッション雑誌かしら……ちょっと気になってる奴があるのよね」

19「アイドル雑誌でも見ておくのー」

168「同じ場所なら一緒にいきましょうか」

19「そうするの」

8「じゃあ、私はあっちだから」

8(まあ、あれだけは見られる訳にはいかないから……)

―執務室―

提督「俺のオススメがことごとく却下されていった……」

提督「ちなみにはっちゃんはダンボールで宅配してた。あれだけの量の何を買ったんだろう……」

↓2

―綾波型の部屋二号室―

提督「今年も秋刀魚釣りをしたいと思うんだ」

漣「ご主人様も唐突ですね」

朧「昨年のがあるんじゃ?」

提督「残念だが、あれは妖精さんの遊び道具としてあげてしまったため、買い直さなければならない」

曙「いや、何であげるのよ」

潮「妖精さんだって、お魚さんを釣りたいときがあるかもしれないよ」

曙「そんなのあるわけ……無いとは言えないわね」

提督「妖精さんの生態は今でも解明されてないからな……」

漣「それでご主人様は、両手両足の花でデートをしたいって事ですか」

提督「両足の係は漣と曙な」

曙「なんで私が足なのよ!」

朧(デートの方はツッコまないんだ)

―釣具屋―

提督「いやー、久しぶりに来たな」

朧「あれ、司令官は釣りも趣味じゃなかったですか?」

提督「いやー、餌も買わないし、道具もそれなりに大切に扱ってるつもりだから、買い直したりって無いんだよね」

曙「貧乏人みたいね」

提督「ふん、釣りの良さも分からない子供の癖に」

曙「なんですって!」

潮「お、落ち着いて曙ちゃん」

提督「やーいやーい、子供ー」

曙「子どもみたいな煽り方をしてるのはあんたじゃないの!」

潮「もうっ、二人共っ」

漣「うーん、二人とも楽しそうですなー」

朧「いや、まずは道具買おうよ」

~~~~~~~~

曙「サビキが良いって聞いたわよ」

提督「お、もしかして調べてくれたのか」

曙「そ、そういうつもりじゃないから!」

漣「じゃあどういうつもりなのかね~このこの~」

曙「今日は弄られてばっかりね!」

朧(この流れはいつも見ている気がするけどね)

潮「エサはどうしますか?」

提督「サビキなら要らないが……まあ、一応まき餌は買っておくか」

漣「餌が要らないなら、ご主人様でもスタンスを崩さずに釣りが出来ますね!」

提督「仕掛けの時点で餌ではあるんだがな……というより、釣りするのはお前等だろ」

朧「そういえばそうですね」

漣「ほうほう、つまりぼのちゃんは釣りが楽しみでわざわざ調べたってこと」

提督「無駄に反論してきたと思ったらそういうことか」

曙「う、うるさい!」

―執務室―

提督「適当に買って来たけど、誰が釣るんだろうか」

提督「……いや、置いておけば勝手に誰かが釣りに行くか。沖に出れるなら釣りやすいし」

↓2

―庭―

提督「焼き芋出来たぞー」

天龍「一番乗り!」ズボッ

提督「おま、そのまま突っ込むと」

天龍「あつっ!」

提督「いや当たり前だろ」

武蔵「ふん、この程度の熱さ、何ともないな」ズボッ

提督「だから棒使えって!」

大和「す、すみません……」

提督「いや、わざとだろうからいいんだが……」

ビスマルク「あれ、そのまま手を入れてもいいの?」

プリンツ「い、いえ、ビスマルク姉様、入れちゃダメ……ああ」

提督「やっぱマネする奴が出るから禁止にしろ」

隼鷹「焼き芋にはやっぱ酒だな」

ポーラ「同感です~」

ザラ「合うわけないでしょ!?」

千歳「いえ、これが意外と……」

ザラ「千歳さん?」

千歳「なな、なんでもないですよ」

提督「酒飲むのは勝手だが、暴れるなよ」

響「酒は飲んでも飲まれるなってやつだね」

提督「そうそ……響、さすがにウォッカは合わないと思うぞ」

島風「ねえ提督ー、まだ焼けないの?」

提督「もうちょっと待て。生焼けになるぞ」

島風「ううー、おっそーい」

天津風「島風、それが言いたいだけにわざわざ話しかけたでしょ」

島風「おっそーい」

天津風「雑な誤魔化し方ね……」

雪風「あれ、まだ早かったですか?」

提督「ああいや、雪風が取ったなら大丈夫だろ」

雪風「そうですか? では、いただきます! ……中までほっこりです!」

島風「なーんだ、大丈夫じゃん! 島風、いっきまーす!」

提督「いや、あれは多分雪風のだけ……」

島風「うう、焼けてない……」

天津風「雪風のだけたまたま中まで火が通ってたってことね。本当、運ってすごいわね……」

―執務室―

提督「他数十名。芋の方が足りなくなるかと思った」

提督「たまにたき火で焼くのは良いが、いかんせん準備やら後片付けがな」

下2

―談話室―

『○○市では新たにゆるキャラとしてむつりたかを――』

球磨「今更クマ」

提督「ブームはもう過ぎ去ったしな」

球磨「居ないよりかはましなのかもしれないけど、わざわざ作るほどでもないクマ」

提督「なんだか辛辣だな。あれか、くまもんとキャラが被ってるからか」

球磨「被ってないクマ」

提督「ふーん。でも、悪い物でもない気がするけどな」

球磨「提督はゆるキャラ好きクマ?」

提督「それなりに。おみやげとか悩まなくて済むだろ」

球磨「打算的クマ」

提督「そんなものじゃないか。ゆるキャラはアイドルを一般の趣味の人にも受けるようにしたものだろう」

球磨「ご当地アイドルっぽくはあるクマ」

提督「だから、行った場所を伝えやすくて、かつそれなりに喜ばれるものといえば、ゆるキャラが描かれているおみやげ」

球磨「つまんない答えクマ」

提督「って、秘書官が言ってた」

球磨「全部受け売りクマ!? いや、確かに言いそうではあるクマ」

提督「実は俺もゆるキャラを作ろうと思ってたことがあるんだ」

球磨「いきなり話が変わったクマ」

提督「だって、全面的に受け入れられてる訳じゃ無いだろう」

球磨「全面的? ……ああ、球磨達のことクマね」

提督「だから、妖精さんをマスコットにしたり、瑞雲のゆるキャラ化を考えたりしたわけだ」

球磨「球磨達と関係無いクマ。目的から逸脱してるクマ」

提督「……あ」

球磨「もしかして今気づいたクマ!?」

提督「い、いや、結局実現はしてない! ほら、うちから全国的なアイドルが出ただろう。あいつのお蔭で地位向上は図れたわけだから」

球磨「そうだけど……アイドルが出てよかったクマ」

提督「そんなこんなでブームに乗り遅れた俺は特に何もせずにいるわけだけど……って、何の話をしてたんだっけ」

球磨「ゆるキャラクマ」

提督「ああ、そうそう。ちなみに球磨は何のゆるキャラが好きだ?」

球磨「知らないクマ? うちではせ○とくんが人気クマ」

提督「…………マジ?」

球磨「球磨はあんまりゆるキャラに興味無いから、詳しい事は知らないクマ」

提督「そもそもせん○くんってゆるキャラなのか? どう考えてもゆるくないだろ……」

球磨「本人がゆるいと思えばゆるキャラなんじゃないかクマ」

提督「まあ、過去に色々やばそうなゆるキャラもいたからな……」

―執務室―

提督「せ○とくんが人気とか、鎮守府内の闇を見た」

提督「いや、あの絶妙なアンバランスさは逆に癖になるというのも分かるが……」

↓2

―球磨型の部屋―

球磨「そういえば、なんでせ○とくんが人気クマ?」

多磨「え、あんなのが人気なのかにゃ」

北上「あー、それ聞いたことあるけど、半分ガセだよ」

球磨「そうなのかクマ?」

北上「えっと、たしか一部の子が気に入ってるのは本当だけど、そんな噂が流れたのはー……なんだっけ?」

大井「明石さんのお店に入荷されるからだったと思います」

北上「そうそう、それそれ」

球磨「あんなものを買う奴なんているんだクマね」

木曾「案外悪いもんでもないと思うけどな」

多磨「多磨はちょっとセンスを疑うにゃ……ん?」

―トレーニング場―

提督「試合?」

天龍「提督、強いんだろ。だったらやってみようぜ」

提督「そのネタは何年前にやったか……艦娘に勝てるほど強いわけないだろ」

天龍「でも武蔵さんたちは強いって」

提督「人間基準でだろ。そんなに試合したいなら、龍田とやってろ」

天龍「龍田と? そういや、あんまりやったことなかったような……」

提督「そういうわけで龍田ー、話聞いてただろ」

龍田「私は見ている方が好きなんですけど~」

天龍「えー、いいじゃん龍田。やってみようぜ」

龍田「……しょうがないわね。ちょっとだけよ」

天龍「やりい」

提督「そうと決まったら俺が審判するから。武器は竹刀で、相手に参ったって言わせたら勝ち」

天龍「よし、いいか龍田。普段はしてやられてるが、白兵戦でオレに勝てると思うなよ」

龍田「あらあら、それはどうかしら」

天龍「へっ、行くぞ龍田!」

龍田「うふふ、いつでもどうぞ」

天龍「おらぁ!!」シュッ

提督(さすがに言うだけあってかなり早い振りだな。それでかつ、鋭い一撃も併せ持っている。対する龍田は……)

龍田「天龍ちゃんったら、いきなり本気なのね~」

提督(余裕そうにかわしてるな。ただ、天龍は一見どころか普通に馬鹿だけど、戦闘に関する技術は持っている。つまり……)

天龍「ここだ!」シュッ

龍田「……!」ガンッ

天龍「どうした龍田、本気出さなきゃ何もできずにやられるぜ」

龍田「さすが天龍ちゃんね。相手の一瞬のスキを逃さないんだから」

提督(完全に隙をついたと思ったんだが、さすがにそれは龍田か。しかし、やはりこうした直接対決には天龍に分があるか)

龍田「じゃあ、こっちも本気を出そうかしら」ゴソゴソ

天龍「? 武器は竹刀のみだろ」

龍田「わかってるわ~。私が出すのは、こ・れ」

天龍「……? ……!」

提督「お、なんだその日記帳」

天龍「おいまて龍田! それはやめろ!」

龍田「天龍ちゃん、普通の白兵戦は剣道と違ってルールなんてないのよ」

天龍「まいった! まいったからやめてくれ!」

龍田「うふふ、じゃあ私の勝ちね~」

提督「汚い勝ち方だな……」

―執務室―

提督「武器は竹刀なんだから、やっぱ反則負けだったかも」

提督「というより、なんで天龍の日記帳なんか持ち歩いているんだ」

下2

―公園―

提督「スポーツテストをするぞコラ!」

ザワザワ

提督「質問ある奴は挙手をしろ!」

吹雪「はい!」

提督「元気いいな。吹雪、質問を言ってみろ」

吹雪「スポーツテスト自体は前から知らされていたので良いんですけど……」

提督「どうした、遠慮なくいってみろ」

吹雪「そのー、ご褒美って書いてあったんですけど、どんなご褒美なんでしょうか?」

提督「ご褒美に跳び付くなんて、吹雪もがめついな」

吹雪「が、がめつい!? 皆さん気になってる事ですから、代表して聞いただけですよ!」

提督「そうかそうか。そういうことにしておこう」

吹雪(信じてるけど面白そうだからそう言っておく目だ……)

提督「そうだな、いろいろ考えたんだが、それぞれ好みがあるだろうから……俺が一つだけなんでも言う事聞いちゃう券だ」

『なんでも!!?』

提督「お、おう。なんだお前等、なんか怖いな……」

「デパートを買収してって言ったらしてくれる?」

提督「金額を考えろ! 出来ないことは叶えられません!」

「これから真面目に仕事してって言ったらしてくれるの?」

提督「そういうのは一日だけ」

「結婚してって言ったら!?」

提督「一日だけごっこ遊びしてやる。さっきから誰が言ったか分かりずらいからって、好き勝手言いすぎだろ!」

金剛「でもこれは燃えてきましたネー」

比叡「お姉さまは何をしてもらうつもりなんですか? まさか提督と……」

金剛「私の口調をオンリーワンにしてもらいマース」

霧島「そこまで気にしていたんですか……」

清霜「……うー」

夕雲「あら、どうしたの?」

清霜「戦艦のお姉さま方に勝てる気ががしないの」

夕雲「力じゃ私達じゃ遠く及ばないものね」

提督「お困りのようだが、心配には及ばない」

夕雲「提督ったら、淑女の会話を盗み聞き?」

提督「たまたま聞こえて来ただけだ。それで褒美だが、一応艦種ごとに分けられる。人数少ない所は別のと組み合わせられるが、お前等には関係ないだろう」

朝霜「へえ、んじゃあたいらにもチャンスはあるって訳か」

提督「比較的な。艦種ごとでも勝てそうにない奴はいるが……」

阿賀野「……? なぁに、提督さん。阿賀野に何か用?」

能代(阿賀野姉、工廠に篭ってる夕張さんやデスクワークの大淀さんより可能性が無いと思われてるんだ……)

矢矧(軽巡はよく運動している子も多いから、誰が勝つか分からないところはあるけれどね)

―執務室―

提督「結果は後で纏められるそうだ」

提督「内容としては……まあ、褒美の所為かいつもいじょうに真面目にやる奴が多い感じだったな」

↓2

―母港―

提督「ふー、最近は寒くなってきたなー」

島風「わーい、島風がいっちばーん!」

天津風「はぁ……はぁ……なんでいきなりかけっこしようって話になったのよ……!」

島風「だって寒いでしょ?」

天津風「島風~!」

提督「そんなに寒いなら服を着ろ!」

島風「わあ! 司令官、いたの?」

提督「いたよ! 島風、寒いと思うならなんでそんな服を着ている!」

島風「えっと……これしかないから?」

提督「貧乏か! ちょっとこっちにこい」

島風「お、おう」

天津風「……私は放置?」

~~~~~~~~

提督「わかりやすくパーカーを勧めておいた。島風はちょっと嫌そうにしておいた」

雲龍「今日もいい天気」

提督「……」

雲龍「でも少し寒い……」

提督「なら服を着ろ!」

雲龍「提督、こんにちは」

提督「こんにちは。挨拶はいい、まずはその間違った服装を正してやろう」

雲龍「あいさつしてる……間違った服装ですか?」

提督「寒いって言ってるやつに限って露出多いんだよ! なぜだ!」

雲龍「服がないから?」

提督「嘘つけ! 島風はありそうだけどお前は絶対嘘だ! さあ、こっちにこい」

雲龍「強引ですね……」

~~~~~~~~

提督「適当にセーターをすすめておいた。雲龍はなぜか不思議そうった」」

まるゆ「はー、今日はきちんと潜れました」

提督「……」

まるゆ「でも、ちょっと肌寒いです」

提督「寒いなら服を着ろ!」

まるゆ「た、隊長!」

提督「そろいもそろってお前らは……冬なのに出かける短パン小僧並みに馬鹿だ!」

まるゆ「た、例えがよくわかりません……」

提督「こっちへこい、どうせ服がそれしかないんだろう」

まるゆ「いえ、さすがにまるゆにも服はありますよ!」

提督「……マジで?」

まるゆ「これしか服がない人はいないですよ。他の潜水艦の皆さんの方が、おしゃれですけど……」

提督「まるゆ、それをほかの奴にも聞かせてやりたかった」

まるゆ「?」

―執務室―

提督「しょうがないのでコートをプレゼントした。初めてうれしそうな顔をされた」

提督「どうせならもっといいのを見繕いたかったが、部屋に女物なんてほとんど置いてないしな……」

下2

―廊下―

金剛「今日という今日は許しまセーン!」

ウォースパイト「その、何か気に障る事を申しましたか?」

金剛「天然を装えば許されると思うなデース!」

提督「またか……なんで一番仲良くなりそうな奴らが一番喧嘩しているんだ」

金剛「むむ、いくら提督でもこれだけは譲れないデース!」

提督「はいはい。……いっそあれだ、もう気がすむまで勝負しろ。そこから生まれる友情もあるだろう」

ウォースパイト「それでしたら、ゴルフをしませんか?」

金剛「ごるふ?」

提督「何でゴルフ」

ウォースパイト「大人の嗜みだって聞きましたけど」

提督「今やそんなものを嗜んでいるのは……ああいや、どうせ出所はアイオワだな」

ウォースパイト「分かるんですか」

提督「そこでアイコンタクトを取って来てるからな……」

―ゴルフ場―

金剛「絶対に負けませんからネー!」

ウォースパイト「はい、お手柔らかにお願いします」

提督「どっちが年上なのか分からなくなるな……」

アイオワ「でもこの二人、面白くてサイコーよ」

提督「そう思うのは傍観者だからで……アイオワ? なぜここに」

アイオワ「あら、わたしが来ちゃダメかしら?」

提督「駄目だろ」

アイオワ「ワオ、冗談一切なしね」

提督「当たり前だろ。どうせ廊下の出来事も一枚噛んでるんだろ」

アイオワ「それはどうかしらね?」

提督「はいはい。お、金剛が売ったみたいだな」


金剛「砂場に嵌まりましター……」

ウォースパイト「これは私がもらいましたかね」

金剛「一打で抜け出して見せますからネー!」

ウォースパイト「ふふ、では私も……」カンッ

ポチャ

金剛「見事なイケポチャデース」

ウォースパイト「か、艦娘ですから、水の中はホームですよ」


提督「……あれは仲良くなっているのか?」

アイオワ「パーフェクト!」

提督「傍から見ると面白いって点はパーフェクトだな」

アイオワ「さーて、私も打ってみようかしら」

提督「打てるのか?」

アイオワ「打つだけなら誰にでもできるでしょ?」

提督「ははは、それは確かに。どうせなら、足止めを喰らってる二人に目に物見せてやりな」

アイオワ「オーケイ」

カーン

カランッ

提督「おー、ホールインワン」

金剛「!? す、すごいですネー」

ウォースパイト「あれ、アイオワ? いつの間に来たのでしょうか……」

―執務室―

提督「ゴルフで中を深める作戦は失敗ではないが、特に成功とも言えなかった」

提督「というより、アイオワが接待の背の字も無いから……」

↓2

提督「響さん響さん」

響「響きだよ。何かな?」

提督「ごにょごにょごにょ……」

響「なるほど、それは面白そうだ」

提督「じゃあ、響は通訳で」

響「まかせた」


―談話室―

響「やあ、何をしているんだい」

浦波「こんにちは」

浦風「ちいと料理についてのアドバイスをな。そっちこそ、二人でどうしたん?」

響「司令官とお話ししようと思ってね」

浦風「二人共仲ええのう」

響「何年もの付き合いだからね」

浦波「浦波はきたばかりだから、二人の絆は羨ましく思います」

浦風「なら、混ぜて貰えばええじゃろ」

浦波「混ぜて? いいんですか?」

響「私は構わないよ。ねえ、司令官」

提督「ウラー」

響「ほら、司令官もこう言ってる」

浦波「わ、分かるんですか!?」

浦風(またおかしなことをしとるのう)

提督「ウラー」

浦波「え?」

提督「ウラー」

浦波「えーと……」

提督「ウラー」

浦波「……あ、あのー」

浦風「こっちに助けを求めても、うちもさっぱりじゃけえ」

提督「ウラー」

浦風「だから分からん言うとろーが」

響「司令官は、絆は時間じゃない、質が大事って言ってるよ」

浦風「分かるん!?」

響「? 分からないの?」

浦風「分かる方がおかしいじゃろ……」

浦波「一応、フォローしてくれたって事ですよね?」

提督「ウラー」

浦波「ありがとうございます」

浦風「うちの方が古参のはずなのに、適応できとらんのんじゃけど……」

―執務室―

提督「通訳頼むって言ったら本当に通訳できた響の方がおかしいんだよなぁ」

提督「俺が分かりやすいって事でもあるのかもしれないけど……」

↓2

提督「この前のスポーツテストの結果が出た。集められた面子から察しているとは思うが、艦種別トップおめでとう」

大鳳「私が一番ですか。艦種別なら妥当ですかね」

武蔵「他が軟弱なだけかもしれんがな」

妙高「あら、もしかしたら僅差で一位だったかもしれませんよ?」

五十鈴「まあ、私の所は間違いなく接戦だったと思うけど……」

不知火「はあ、私が一番ですか……」

速吸「な、なんだか恐縮しちゃいますね」

提督「潜水艦はその他に入れて速吸が一番だ。大鳳もその他か悩んだが、二鶴が装甲にも改装できるから空母組だ」

速吸「なんだか申し訳ないですね……」

大鳳「……そういえば、軽空母の人たちはどうなんですか? ここに居ませんけど」

提督「店を優先するそうだ」

不知火「ということは鳳翔さんですか……なかなか侮れません」

提督「どこも圧倒的というほど差はついてないけどな。大鳳は除く」

大鳳「人を脳筋みたいに言わないでください」

提督「とりあえず、何かしてほしい事があったら叶えてやるぞ。今すぐじゃなくても良いけどな」

武蔵「なら私は保留しておこう」

妙高「私も少し考えさせてください」

不知火「では、私もそうします」

五十鈴「私も何も考えてなかったし、時間を貰うわ」

速吸「すみません、私もそうさせてもらいます」

提督「なんだなんだ、皆して。残りは大鳳だけだが」

大鳳「皆さんがそうするなら、私もそうしましょうか」

提督「おいおい……しょうがないな、とりあえずは別に何か褒美出しておくか」

妙高「ご褒美が二つになりますけど、いいんですか?」

提督「全員なにも無しっていうのもなんとなくな。それじゃあ……ほい、マフィン」

五十鈴「あなたにしては可愛らしい物が出て来たわね」

速吸「でも、たしかお菓子とか作るの好きだって聞いた事ありますよ」

提督「色々なやつには配ってるから。おまけみたいなものだ、受け取れ」

武蔵「私は甘い物が苦手なのだがな」

妙高「でも、これ美味しいですよ」

武蔵「む」

不知火「……間宮さんには劣りますけど、まあ……」

五十鈴「あら、本当に良い感じじゃない」

武蔵「…………ふん、悪くは無いじゃないか」

提督「武蔵からも好評価を得たなら上々だ。それじゃあ、なにか決まったら知らせてくれ」

速吸「あの、特になければ作り方を教えて貰うというのも良いですか?」

提督「気持ちはありがたいが、そういう褒美抜きでもしてやれることなら普通に頼んだ方が良いぞ」

大鳳「あれ、提督が優しいですね。尼にでもなるつもりですか」

提督「脳筋引きずってるのか……というか、尼じゃなくて僧だろう」

大鳳「あっ」

~~~~~~~~

提督「ひとまずは何もないが、また何か無茶振りされるのかもしれないのか」

提督「……なんでもは言い過ぎた気がする」

↓2

霞「そろそろ業者を呼ぶ時期かしらね」

提督「なぜだ? まだ老朽化もそこまでじゃないだろう」

霞「そっちじゃなくて、電気の方よ。蛍光灯も切れかかってるでしょ」

提督「そういえばそうか。工廠とかはどう頑張っても手が届かんしな……しかし、切れかかってるのは別だろう」

霞「この際だから一斉に取り換えるの。それとも、あんたが変えるの? この広い鎮守府の分」

提督「そうしようか」

霞「は?」

ガチャ

雷「しれいかーん! 何か手伝えることはないかしら?」

提督「タイミングいいな! よし、一緒に蛍光灯を変えに行くぞ!」

雷「任せて!」

霞「……自分で取り換えたところは後でまとめて報告しなさいよ」

―廊下―

提督「さあて、この長い廊下、逐一脚立を立てて取り換えていくのは大変だぞ」

雷「そうね……あ、投げて取り付けるのはどう?」

提督「仮にそれができたとしても、取り外すのはどうする?」

雷「あっ。確かにそうね」

提督「だが着眼点は悪くないな」

雷「そう? 無理を言ったと思うんだけど……」

提督「いや、意外な案から別の案が生まれることは珍しくない」

雷「司令官が言うなら、そうなのね」

提督「二人で取り付けるのも……うーん、ダメだな」

雷「……司令官、いいこと思いついたわ!」

提督「お、なんだ?」

雷「私を肩車して取り付けていけばいいのよ!」

提督「……それだ!」

~~~~~~~~

雷「司令官、もうちょっと前に動いてもらっていい?」

提督「ほいほい」

雷「よいしょ……」

提督「いやー、雷がいてくれて助かったよ」

雷「もっと頼ってもいいのよ!」

提督「今日は十分すぎるほどだ」

雷「これくらいじゃまだまだよ」

提督「頑張り屋さんだな。とりあえず今は、この長い廊下を終わらせることにするか……」

雷「そうね……」

―執務室―

提督「できるところまでやった。といっても、そんなに量はないけど」

提督「そもそも最後の方は遊んでいたような気も……」

下2

秋雲「提督、冬にある例のイベントに参加してもいい?」

提督「経費では落ちんからな」

秋雲「わかってるって。よし、許可も得たし、続きの作業に入ろうかなー」

提督「あ、待て、ハード系のR18とかは出すなよ。責任問題になりかねん」

秋雲「どうして?」

提督「いや、なんか見た目的に……」

秋雲「えー、でも今更だよ?」

提督「いちいち今回許可を取りに来たっていうのが怖い。いつもは勝手に書いてるのに」

秋雲「今回に関しては、憂いなくちゃんと書きたいからね」

提督「そうなのか? それならいいが……ちなみに、どんなのだ?」

秋雲「んー、すごく面白い小説を見つけたから、許可をもらって書くことにしたの」

提督「ほうほう、して、内容は」

秋雲「これ見たほうが早いかも。ほい」

提督「どれどれ……ん……んんん?」

秋雲「どうかした?」

提督「いや、既視感が……というか、確実に見たことあるし……」

秋雲「ありゃ、秋雲が最初に見つけたわけじゃなかったのか。でも、面白いっしょ」

提督「ああ、この作品は大好きだ。俺も秋雲のやつを楽しみにしておくよ」

秋雲「おっけー! 楽しみにしててよ!」

提督(さて……)

― 一航戦の部屋 ―

赤城「え、秋雲さんが、ですか」

提督「そうだ、知ってて許可出したわけじゃないんだな」

赤城「はい。なんだか、身内に書いてもらうのって気恥ずかしいですね」

提督「作者だって伝える気はないのか?」

赤城「いえ、前にも言ったように、あんまり褒められるものだと思ってませんので」

提督「ふうん、秘密って約束したし、赤城がそういうならこっちからは何も言わないけど」

赤城「でも、うれしいですね、だれかが私の作品を書いてくれるのって」

提督「赤城……でも、実際に買いに行くなら姿見せなくちゃいけなくないか」

赤城「さ、作者だってばれなきゃ大丈夫ですよ!」

提督(赤城は抜けてるところもあるし、自分から墓穴を掘りそうなんだが……)

―執務室―

提督「どのイベントかは知らないけど、楽しみにしておこう」

提督「同人から有名になったりして。なんて、そんなわけないか」

下2

―山―

提督「本当にそこらの山にキノコなんて生えているのか」

鬼怒「キノコは生えてるよ。ほら、そこに小さな幹があるでしょ」

提督「木の子ってか」

鬼怒「あははは! 面白いでしょー!」

提督「はっはっは! 寒」

鬼怒「えっ」

球磨「で、何しに山に来たクマ」

提督「キノコ狩りだよ」

球磨「それは本気クマね」

鬼怒「提督がキノコ狩りって、なんだか淫靡な響きだね!」

提督「お前淫靡って意味知ってんのか」

鬼怒「知らない!」

提督「俺もだ!」

球磨「馬鹿やるだけなら帰るクマ」

提督「待て待て、球磨だって可愛い妹達に美味しいキノコを食べてもらいたいと思わないか?」

球磨「それならデパートに行くクマ」

提督「分かってないな。自分で採取するから良いんだろ」

鬼怒「最初に採取した物なんて、最高だよね」

球磨「素人が山菜を取ったところで危ないだけクマ」

提督「だからこその球磨さんだ! ほら、名前だけに詳しそう」

球磨「リアルの熊と一緒にするなクマ」

鬼怒「提督、つまり鬼怒にも期待しているって事だね」

提督「いや、鬼怒はキノコとなんとなく語呂が似ているから連れてきた」

鬼怒「きしかあってないけど……いや、鬼怒、こ……きぬこ……はっ!」

提督「ふっ、似ているだろう」

鬼怒「確かに……これならきっと通用する!」

球磨「漫才をするなら舞台でやれクマ」

~~~~~~~

提督「球磨ー、これは?」

球磨「それは止めておいた方が良いクマ。死にはしないけど、一日中嘔吐下痢が止まらなくなるクマ」

提督「それ死ぬんじゃ……」

鬼怒「これはどうなのー?」

球磨「美味しいらしいけど、強い幻覚作用があるクマ」

鬼怒「ならセーフだね」

球磨「アウトクマ」

提督「いやー、でも球磨さん意外と判別できるんだな」

球磨「このくらいは朝飯前クマ」

鬼怒「もうお昼すぎたよ?」

球磨「……」

鬼怒「無視された!?」

―執務室―

提督「でも、やっぱそんなに生えてないもんだ」

提督「食べれる物があっただけましということにしておこう」

↓2

―会議室―

提督「さーて、流石にそろそろ正面から言い合いをしてもらおうと思って、こういう場を用意した」

金剛「テートク……」

ウォースパイト「ディベート、ですよね。議題は貰いましたが」

提督「その議題を考えたらわかるだろ。別に本気でやれというわけじゃない。ただ、やっぱこういう席が一番確実と思ったんだ」

金剛「それで、口調を真似することは良いか悪いかって議題になるんですネー」

提督「うむ。それで、かなり簡易的ではあるが、パーラメンタリーディベートだ。結論はお前らが決める必要もない」

ウォースパイト「考えてますね」

提督「まあな。それで進行は青葉に任せる。いいな」

青葉「もちろんです! では、今より始めるので、口調について賛成側、お願いします!」

金剛「……口調くらい真似しても、その人の本質がなくなるわけではありまセーン! 模倣したところでそれは贋作にすぎないのデスから、本人自体に悪影響はないデース」

提督(だったらそんなに怒らなきゃいいのに)

金剛「ですから、口調の模倣について問題はないと思いマース」

ウォースパイト「悪影響がないと断じられる根拠はなんなのでしょうか」

金剛「体験談デース」

ウォースパイト「なるほど」

青葉「では、反対側の意見です」

ウォースパイト「なににおいても、口調などはその人を構成する一部分です。表面上を真似されただけでアイデンティティはすぐに唯一のものではなくなります」

提督(うーん、一時期パクったとは思えない人の台詞だ)

ウォースパイト「また模倣したほうも、模倣された人のパクリやモノマネなどのように扱われ、とても推奨出来る行為ではありません。よって、私は反対です」

青葉「では、次は反対側の反論になります」
金剛「だったらパクるなデース!」

青葉「金剛さん?」

金剛「うぐ、な、なんでもないデース」

ウォースパイト「本人に悪影響はないというのは本当にそうでしょうか?」

金剛「どういうことネー」

ウォースパイト「独特の口調であるほど、それは本人を表します。しかし、それを変なことに使われると、自分の口調を汚されたように感じませんか?」

金剛「……」

提督(あ、図星みたいな顔してる)

青葉「次が賛成側の反論です」

金剛「……口調に関してのアイデンティティといいましたが、本当に世の中に唯一の口調なんてありまセーン」

ウォースパイト「と、言いますと?」

金剛「大体の口調はすでに使われていマース。球磨のクマや私のデースもすでに使われていマース」

提督(それがわかっているのにキレるのか……)

金剛「それに、意見にあったようにパクリやモノマネに扱われるだけで本人のキャラには全く影響がないデース」

青葉「ほほう、問題を起こした人とは思えない意見ですね。……おっと、失礼。ざっと終わったので結論に入りたいと思います」

提督「あとは見ている人が結論付けるが……いや、お前ら自分でわかってるじゃん」

金剛「……はぁ、テートクには迷惑をかけっぱなしデース」

ウォースパイト「私はコンゴウと仲良くしたいと思っているんですよ」

金剛「最初からわかってたデース。……今後は、絶対にやめてくれたら、仲良くできると思いマース」

ウォースパイト「はい!」

提督(一件落着かな)

―執務室―

提督「流石にそろそろ終わらせたかったし、うまくまとまってよかった」

提督「結論は反対側の勝ちで……まあ、金剛の心情からして妥当の結果か」

下2

―庭―

睦月「提督! 落ち葉集め終わりました!」

提督「でかした睦月! では早速芋を用意しよう!」

睦月「はい!」

如月「うふふ、二人とも元気ね」

提督「その台詞は年寄り臭いぞ……」

如月「と、年寄り……」

睦月「ああっ、如月ちゃんが落ち込んだ!」

提督「す、すまん」

如月「いえ……最近確かにお肌のお手入れも念入りにやってないし、そういう手抜きから生まれるのかしらね……」

睦月「如月ちゃんが遠くを見てる……」

提督「いや、如月はまだまだ若いからな。ほら、とある重巡を頭に思い浮かべてみろ、全然いけるだろ?」

如月「……そうですね、すみません司令官、取り乱して」

睦月(さりげなく如月ちゃんも失礼だにゃー)

提督「さてと、焼き芋自体はもはや手慣れたもんだ」

睦月「にゃしし、提督はよく作ってるよね」

提督「そうだな。いや、なんかこの季節は焼き芋が異様に食べたくなって」

如月「ん……」

睦月「およ、どうかしたの?」

如月「その、ちょっと煤が……」

提督「気になるなら後ろに来い。ちょっとは防げるだろう」

如月「はい、ありがとうございます」ギュッ

提督「……別にくっつかなくてもいいんだぞ?」

如月「あら、でもこうしたほうが当たらないと思いませんか?」

提督「うーん……言われてみればそうか」

睦月「如月ちゃんは本当に提督のことが好きだね」

如月「好きって……え、と……え、ええ」

睦月「恥ずかしがってる如月ちゃん可愛いにゃー! ぎゅー!」

如月「む、睦月、苦しい……」

提督「ははは、いいじゃないか。今日は寒い、焼き芋ができるまでくっついて温まろうじゃないか」

如月「司令官まで……」

睦月「にゃー、如月ちゃんと提督暖か~い」

~~~~~~~~

提督「そろそろ焼き芋ができるぞ」

睦月「暖かくて離れたくないにゃしぃ……」

提督「猫みたいだな。それじゃあ、如月も離れられないし、俺がとるか」

如月「すみません、司令官」

提督「寒いからな、仕方ないさ。でも、きっとこれで温まるぞ。ほれ」

如月「本当です……はい、睦月、半分こ」

睦月「ありがと如月ちゃん。はむ……はぅー、美味しい~」

如月「ええ、とても甘くて、美味しい」

提督「今日のはいい芋が手に入ったからな。だからこそ呼んだんだが……ん、確かに一段とうまい」

睦月「これは三人で食べてるから美味しいのかもしれませんよー」

提督「なるほど、それはあるな。二人と食べてると、なんでも美味しく感じられそうだ」

睦月「だって、如月ちゃん、えへへ」

如月「ふふ、司令官、これからも遠慮なく私たち二人を呼んでくださいね」

―執務室―

提督「なんか今回の焼き芋はすごく暖かかった」

提督「こういう日常はいいものだ。たまにははっちゃけたいけど」

下2

提督「那珂ちゃん那珂ちゃん」

那珂「なあに?」

提督「那珂ちゃんはファンの皆を大事にしているよな」

那珂「もちろん!」

提督「じゃあさ、うちの鎮守府のメンバーを全員言えるか?」

那珂「……も、もちろん!」

提督「うんうん、流石アイドルの鏡だ」

那珂「でしょ! アイドルとしての意識なら、だれにも負けないよ!」

提督「じゃあ言ってみて」

那珂「……う、うん?」

提督「覚えてるんでしょ? じゃあ、言ってみてくれない」

那珂「あ、あー、那珂ちゃん用事を思い出しちゃったー」

提督「さっき神通から那珂ちゃんはいま暇してるってお墨付きをもらったぞ」

那珂「きゅ、急用なんだよ」

提督「あと一時間後に出撃だぞ。今急用入れたらダメだろ」

那珂「ね、狙った?」

提督「さあて、何のことかわからんな」

那珂「意地悪! もう、那珂ちゃん知らない」

提督「おっと、どさくさに紛れて逃げるのは許さんぞ」

那珂「……うう」

提督「さあて、まずは戦艦からだ」

那珂「敬称はなくていいよね?」

提督「それくらいはな」

那珂「大和、武蔵、金剛、比叡、榛名、霧島……ビスマルク…………長門、陸奥…………」

提督「……航空戦艦も入れろよ?」

那珂「……伊勢、日向…………ま、まだいる?」

提督「ええ……」

那珂「ま、まって! 那珂ちゃんはファンを大事にしてるんだから!」

提督(ウォースパイトはまだ仕方ないにしても、扶桑と山城を忘れるのはかわいそうではないだろうか……)

那珂「……あっ、思い出した!」

提督「ほう、では誰だ?」

那珂「加賀!」

提督「うちにいる加賀は空母だ」

~~~~~~~~

提督「厳密にはファンじゃないとはいえ、戦艦すらいえないのはまずいだろう……」

提督「今後の那珂ちゃんアイドル活動が心配である」

下2

―提督私室―

提督「もう少し待ってろよ。そろそろできるから」

親潮「は、はい」

子日「そんなに緊張しなくてもいいんだよ?」

親潮「そ、そういわれましても、部屋に御呼ばれしたのは初めてのことでして……」

子日「子日だってそうだよ」

親潮「そうなんですか? それにしても、ずいぶん慣れているようですけど」

子日「そりゃあ、今日は子日だからね!」

親潮「そ、そうなんですか?」

提督「いや、日の干支でみても子日じゃないんだが」

親潮「子日さん、今日は子日ではないみたいですが」

子日「日の干支?」

親潮「知らないんですか……」

提督「子日は子日の口癖でもあるからな」

子日「子日にとって、毎日が子日だからね!」

親潮「ゲシュタルト崩壊しそうですね……」

提督「さて、それはともかく親子丼ができたぞ」

親潮「あ、ありがとうございます」

子日「美味しそうだね。食べていいの?」

提督「そのために用意したんだからな」

親潮「その、何か裏があるわけではないですよね?」

提督「失礼な奴だな」

親潮「すみません。姉妹からよく警戒を怠るなといわれていて……」

提督「ハラスメント上司じゃないんだから……ああ、でも言いそうな奴は特定できるわ」

親潮「そうですよね。司令が深くものを考えてるなんてありませんよね!」

提督「そうそう。……ん? それってフォローになっているのか」

子日「もう、細かいことはいいんだよ! 今日が子日じゃなくても子日だってことくらいにはね!」

提督「子日じゃなかったら子日ってことにはならんだろ」

親潮「ふふ……あれ、それで元々の話はなんでしたか」

子日「親子丼美味しいってことじゃなかったっけ」

親潮「そうでしたか? ……ああ、でも本当に美味しいですね」

子日「うんうん、このふんわり卵に柔らかくて味がしっかりしている鶏肉。さらに白米もふっくら炊き上げていて、卵と鶏肉を優しく支えているかのような……まさに子日だね!」

親潮「途中までしっかりしていたのに、最後で一気に伝わりにくくなりましたね」

提督「いや、子日にとって子日という言葉は最上級の褒め言葉だ。ありがたく受け取っておこう」

親潮「は、はあ……ところで、どうして親潮たちに親子丼を?」

提督「簡単なことだ。親潮、子日。さあ、頭の文字を取ると」

親潮「親……子?」

子日「あはは、提督おもしろーい!」

提督「そうだろうそうだろう」

親潮「なんとなく、みんなの言っていたことが分かりました」

―執務室―

提督「なんだか思い返してみると無駄会話ばかりのような……」

提督「まあいっか。そんなものだろう」

下2

『必殺、仕事人!』ダダダダン

提督「なに、依頼?」

A「はい。どうやら季節が変わるというのに皆さん衣替えも行わない様子。これにはさすがのあお……私も我慢の限界が来ました」

提督「なるほど……いくら出せる」

A「チュッ○チャップスをこのくらい」

提督「足りんな。両手だ」

A「わ、わかりました!」

『そうして依頼を請け負った提督。しかし、その依頼はとても簡単なものではなかった』

叢雲「何そのカンペ。は? 簀巻き?」

提督「叢雲か……だが、こちとらプロ、このくらいなんでもないさ」

叢雲「いや、意味わかんないし――」

『――十分後、そこには簀巻きにされた叢雲さんの姿があった――』<オボエテナサイヨー!

『次に現れたのは朝雲山雲姉妹。二人の連携に、さしもの提督も容易にはいかなかった』

提督「グハァ!」

朝雲「なんでいきなり倒れたの!?」

山雲「あら~、カメラ~?」

提督「ふっ、ずいぶん余裕そうだな。だが、その一瞬の油断が命取りになる」

朝雲「いや意味が分からないし、一瞬どころか別に警戒してすらいないけど……えっ」

山雲「朝雲姉~、冬の雪山に上る格好はさすがに厚いと思うの~」

朝雲「警戒していないとはいえ、どうやってこんな服を一瞬で……山雲まで!?」

山雲「あら?」

初霜「提督……あれ、なんだか急に動きづらくなったような……」

『その動きは二人と援軍一人をも容易に打ち砕いた』

提督「次は夕雲姉妹か……」

夕雲「何かの撮影ですか? あら、カンペ……」

巻雲「きょうてきを、えんしゅつ……ですか? そのあと着ぐるみを着る……」

風雲「意味がさっぱり分からないんだけど、付き合った方がいいの?」

朝霜「特段珍しいことじゃないからな……」

早霜「私は付き合う……」

清霜「戦艦の着ぐるみもある! 私はこれね!」 

『次々来る強敵相手に奥義を使わなければならない状況、そんな状態が長く続くはずもなかった』

提督「くっ、ここまでか……」

秋雲「一枚書けばいいの? 最後の一枚絵にするんだ、わかった」

『ついに力尽きる提督。はたして彼は、最後の一人をもふもふ状態にすることができるのか――!』

―談話室―

提督「ってのを作った。予告編視聴、協力をありがとう」

叢雲(あまりにくだらなすぎて、罵倒の言葉すら出ないのだけど)

朝雲(どこで公開するつもりなのかしら……駄作にしかならなそうなのに)

夕雲(自分用の映画かしら。今度見せてもらえないか聞いてみましょう)

―執務室―

提督「むらくもふもふとか言いたかったけど、言える場面が作れなかったのが唯一の悔いか」

提督「ちなみに自分でもなんでこんなの作ったかよくわかっていない。なんとなくやりたくなった」

下2

―球磨型の部屋―

提督「へいへーい、相手してくれよー」

北上「えー、めんどう……」

提督「いいじゃんいいじゃん、ほれほれー、ぷにぷにー」プニプニ

北上「やめろって……」

提督「ほれほれー」プニプニ

北上「うざー……」

提督「相手してくれるまでやめないぞー」プニプニ

北上「あ゛ー……」

ガチャ

大井「きったがっみさーん! 今日は何と……」

提督「あ」

北上「大井っち?」

大井「あああ、あなたは何をしているんですか!!」

提督「ぐへぇ、面倒なことになった……助けて北上」

北上「自業自得じゃないかなー」

大井「北上さんのほっぺを触るなんて、万死に値します」

提督「そこまで!?」

大井「ココロの準備はいいですか……?」

提督「北上っち北上っち、なんとか策を!」

北上「しょうがないなぁ……ゴニョゴニョ」

提督「ナイスだ北上!」

大井「提督、北上さんと二人で内緒話も絶対に許しません!」

提督「……! 今だ!」ガバッ

大井「きゃっ! な、なんですか!」

提督「ぷにぷにー」プニプニ

大井「んんっ! や、やめてくだひゃい!」

提督「へっへっへ、このままぷに殺してやるぜ」プニプニ

大井「……! ふっ!」ゴッ

提督「ぐふっ」

北上「おー、膝蹴りが綺麗に入ったね」

大井「はぁ……はぁ……次やったら、へし折りますから……!」

提督「へ、へい」

―執務室―

提督「くそ、予想通りだったが北上のほっぺたが柔らかかったではないか!」

提督「大井は……むしろあれで済んだのが幸運というべきか」

下2

―会議室―

提督「さて、みんなの集まってもらったのは他でもない、ハロウィンの準備のためだ」

大和「それはまた、大変ですね」

長門「大変というより、なぜそれくらいで会議室に呼んだのだ」

提督「それくらいとは言うがな、それなりの人数で集まれてかつ物を置きっぱなしにできるところは数少ないのだよ」

長門「ふうむ、確かにそういう条件であればここが適しているのか」

陸奥「普段は使わないものね」

武蔵「しかし、ただ遊ぶためなら私は戻らせてもらうぞ」

提督「武蔵だって関係ない話じゃないぞ」

武蔵「どういう意味だ」

提督「おそらく今年も何人かの子がお菓子をもらいに回るだろう。その時に何の準備をしていなければ、落胆されるかもしれないぞ」

武蔵「落胆か……大和が準備をして私がしないのも変な話か。いいだろう、付き合おう」

ウォースパイト「日本のハロウィンは何をするんですか?」

提督「そもそも日本ではあまりハロウィンはやらないことが多い」

ウォースパイト「そうなんですか?」

ローマ「一般家庭では何もしないことが多いみたい」

提督「だが、一応我が鎮守府ではハロウィンはきちんと行う。そのために……」ドン

大和「大きいかぼちゃですね……」

提督「ああ、間宮と鳳翔からもらった。中身はくりぬいてあるから、その工程は必要ない」

長門「つまり、何をすればいいんだ?」

提督「このかぼちゃに穴をあけたいと思う」

陸奥「かぼちゃって固いのに、よくこんなにきれいに切り抜けたわね」

提督「これがプロのなせる業ってやつだな」

大和「さて、何か注意とかありますか?」

提督「とくにはないけど、強いて言うならあんまり無理矢理穴をあけようとしないように」

大和「でも、穴空けないとだめなのでは……」

提督「最悪穴はなくても何とかなるが、ケガだけは勘弁だからな。この後は装飾も考えたいし、時間が足りなければ途中でもいいから」

大和「はい」

ローマ「……ところで、これはどういった理由で集めたんですか?」

提督「聞き分けのいい大人組だから」

ローマ(つまり、ここにはいない何人かは……)

―執務室―

提督「スプーンで無理矢理開けようとして飛んでくるのはお約束」

提督「でも、自分で作るのもひとしおだし、このままやってもらうか」

下2

提督「ははは、ほれほれー」ナデナデ

暁「頭をなでなでしないでったら!」

提督「でもいい子には褒めてあげなきゃ」

暁「子ども扱いしないで! 私は一人前のレディーなんだから」

提督「ホントかなぁ」

暁「私だって一人でできるんだから!」

提督「ふむふむ、ではこうしようか」

暁「……え?」

―演習場―

長門「ふむ、今日の相手は一人だけか?」

龍驤「どちらかといえば、向こうの演習って感じやなぁ」

26「い、いいんでしょうか?」

長門「提督も何か考えがあるのだろう」

龍驤(それはないと思うで)


暁「……あ、あの、司令官? さすがの私でも、一人で三人は無理だと思うんだけど」

提督『ははは、さっきは余裕って言ったじゃないか』

暁「まさか本当にするとは思わなかったし……」

提督『仕掛けは説明しただろ。うまく使えば最後まで無事でいられるから。きっとその姿は大人の風格を醸し出してくれるぞ!』

暁「大人の……えと、それはいいなって暁も思うけど、やっぱり……」

提督『おっと、そろそろ開始だな。じゃあがんばれよ』

暁「あっ、しれ……! ……ど、どうしよ……」

―少し離れた場所―

提督「というわけで、せめて無傷で終わらせてやろうと思う」

響「司令官もなかなかあくどいね」

電「最低なのです」

提督「いやぁ、あんなこと言われるとついからかってやりたくて」

雷「か、からかいで済むのかしら」

提督「そのために、三人に頑張ってもらおうと思って」

電「できると思っているのですか?」

響「……司令官のことだから、何か策があるね」

提督「実は演習場に機雷を撒いておいた。こいつを遠隔操作してうまく難を逃れさせようと思っている」

雷「それって大丈夫なの?」

提督「許可は取っている。遠隔操作ってところは黙っているが……とにかく、電には装置の方を渡すから三人で戦場の様子を見ながらうまく起爆させていくんだ」

電「なんで電なのですか」

提督「え、いや、なんとなく」

電「……」

雷「あっ、ほら、始まるわよ!」

―執務室―

提督「演習場がどっかんどっかんしていく状況はなかなか見ごたえがあった」

提督「でも、本当に無傷で終わらせられるとは思わなかった。爆破タイミングが完璧すぎたな」

下2

―雲龍型の部屋―

提督「(おはようございまーす。今日は雲龍型に寝起きドッキリを敢行したいと思いまーす)」

雲龍「zzz……」

提督「うむ、雲龍は寝ている……が、他の二人がいないな」

提督(そういえば、今日は朝早くから演習場が騒がしかったな。練習でもしてるのかも)

提督「そういうことなら仕方ないか。さーて、どうしてやろうかな」

雲龍「zzz……」

提督「……しかし、こんなに独り言をしてるのに起きる気配が無いな。じゃあ、まずは王道である額に肉の字を書くか」キュキュッ

雲龍「zzz……」肉

提督「……本当に起きなかったらそれはそれで面白くないな。次は鼻ティッシュでもしてやろう」

雲龍「zzz……」肉:鼻ティッシュ

提督「やばい、反応無くて超つまらん。しょうがない、耳に息を吹き込んで反応を見るか。ふっ」

雲龍「んんっ……」肉:鼻ティッシュ

提督「お、ようやく反応をみせてくれたな」

雲龍「んー……zzz」

提督「反応はあったけどまだ起きないか。最終的には死者の目覚めをするからいいとして、次は何をしようか」

雲龍「うーん……提督……」

提督「俺を呼ぶって、どんな夢を見ているんだ。……そうだ、耳元で囁いてみるか」

雲龍「……」

提督「雲龍……雲龍……」

雲龍「ん……」

提督「雲龍……聞こえますか……ついに魔王が目覚めたのです……」

雲龍「ぅ~……魔王……」

提督「魔王を倒すためには貴女の持つクラウドドラゴンソードが必要なのです……」

雲龍「クラウド……長い……」

提督「さあ、雲龍よ、今こそ出陣の時……」

天城「何しているんですか?」

提督「あ、天城! どっからみてた?」

天城「雲龍って言ってた辺りでしょうか」

提督「なんという恥ずかしい事を……!」

天城「慣れてますから気にしなくて良いですよ」

提督「そうか、それなら良かった……いいのか?」

天城「姉様も起きてますよね。ふふ、二人共仲が良くてうらやましいです」

提督「え、起きてる?」

雲龍「天城、ばらさないで欲しかった」

提督「ほげー! 何処から起きてた!?」

雲龍「耳に息をかけられたら誰だって起きます」

提督「な、なんという……くっ、今回は失敗だ!」

天城(よくわかりませんけど、悪戯し返されたって事ですかね。姉様の顔からしても……)

―執務室―

提督「逆イタズラってやつをくらってしまったか。まだまだ詰めが甘い」

提督「次があればもっと注意をしておこう」

↓2

―大鳳の部屋―

提督「大鳳、遊ぼうか」

大鳳「私の部屋に来る時はいつも唐突ですね」

提督「大鳳携帯もってても見ないだろ?」

大鳳「それをいわれると……確かにそうとしかいえませんけど」

提督「だろう。持ってるやつにもわざわざ連絡なんて入れたことないけどな」

大鳳「提督は本当に勢いだけですね」

提督「照れるなぁ。でも、大鳳だって同じようなものだぞ」

大鳳「褒めたつもりないんですけど。……分かってて返しましたね!」

提督「遊ぶにしてもゲームはあまり趣味じゃないだろ」

大鳳「付き合い程度にはやりますし、苦手じゃないですけど」

提督「前にやったことあるしな。でだ、そんな大鳳のことも考えて、とてもエキサイティングな遊びを持ってきた」

大鳳「エキサイティング?」

提督「バト○ドォーム!」

大鳳「え、なんですかこれ」

提督「エキサイティンできるゲームだ」

大鳳「全然わからないんですけど……ほかにはないんですか」

提督「じゃあ……ジェンガ?」

大鳳「それはしばらくはいいです」

提督(あ、なんかトラウマになってる)

―庭―

大鳳「やはり遊ぶなら外に出るべきです」

提督「大鳳ならそうなるだろうと思った。だから、コーフボール、カバディ、インディアカ、ペタンク、ハイアライ好きなのを選べ」

大鳳「なんでマイナーなスポーツしかないんですか!?」

提督「全部知ってる大鳳もなかなかだな」

大鳳「詳しいルールとかは全然ですけどね!」

提督「二人だしどうせまともなルールじゃできないものもあるけど、どれがいい?」

大鳳「え、本当に選ぶんですか……では、ハイアライで」

提督「高速球技だな。ふっふっふ、この俺の弾を見切れるかな」

大鳳「そういうゲームでは……いえ、そういうゲームでしたね。いいでしょう、艦娘として、身体能力じゃ負けられませんから」

提督「こっちにだって上司の意地があるのだ。行くぞ――!」

―執務室―

提督「あれから庭の木をなぎ倒してしまったので急いで解散した」

提督「倒れた木は適当な資源にしておこう。多分ばれてない。うん、多分」

下2

―なか卯―

提督「なか卯に来たぞ」

叢雲「これが牛丼チェーン店の一つね。始めてきたわ」

漣「違う、違うのだよ。なか卯は親子丼とうどんの店なのだよ」

叢雲「そうなの?」

潮「ど、どうなんだろう……」

提督「牛丼三店舗と比べられることはまずないな。親子丼の店だし」

叢雲「ああ、あんたも同じ評価なんだ」

巻雲「でも美味しそうですよ? カツカレーとか」

提督「カツは……そもそも揚げ物が当たり外れあるイメージだな……」

島風「お腹すいた、何でもいいから早く食べたいー」

提督「それじゃあ、食券買って頼むとしようか」

那珂「それで、那珂ちゃんを連れてきた意味は?」

提督「アイドルだって食レポする機会があるかもしれないだろ。その時の練習さ」

那珂「そっか! よーし、那珂ちゃん頑張っちゃうぞー!」

提督(ちょろい)

卯月「……」

漣「あり? うーちゃん大人しいね」

卯月「食券に何とか細工ができないか考えてるぴょん」

叢雲「やめなさい」

~~~~~~~~

提督「うん、これがなか卯の親子丼だな」

叢雲「確かに美味しいわね。親子丼の卵って結構難しいものなのに」

巻雲「でも鎮守府で食べる親子丼の方がおいしいですー」

漣「プロと比べたら酷ってものよ」

潮「私はおいしいと思います」

提督「それなりに評価は高いか……では那珂ちゃん、美味しいからさらにグレードアップした評価をどうぞ」

那珂「え、えーっと……た、卵のぷるぷる感とか、まさに那珂ちゃんのほっぺたみたい」

島風「一点」

提督「流石島風、早い採点だ」

那珂「那珂ちゃんの感想そんなにひどかった!?」

卯月(なか卯……うーちゃんの漢字が入っていて、とても他人事とは思えないぴょん!)

―執務室―

提督「今回は唐揚げとかはあたりだったかな。みんなそれなりに喜んでくれたようでよかった」

提督「しかし、誰も那珂ちゃんとうさぎ関連でなか卯!みたいなことを言うやつがいなかったな……ギャグとしては失敗か」

下2

提督「今日もいい天気だ」

祥鳳「そうですね」

提督「こんな日は外にピクニックに行きたいと思わないか」

祥鳳「それは良い考えですね。こんな日に外に出ないのはもったいないですから」

提督「祥鳳もそう思ってくれるか! よし、ならばさっそく準備をしよう! 瑞鳳、台所を貸してくれ」

瑞鳳「は、はい、いいですけど、どうするつもりなんですか?」

提督「ピクニックと言えばお弁当だろう! そうだ、瑞鳳も手伝ってくれ」

瑞鳳「いいの?」

提督「もちろん。瑞鳳の卵焼きも期待してるぞ」

瑞鳳「はい!」

―公園―

提督「うーん、外で食べるご飯は格別だ」

祥鳳「食堂とはまた違った感覚が味わえますよね」

瑞鳳「風も丁度良い……なんだか時間がゆっくり流れているみたい」

提督「瑞鳳よ、ポエマーにでもなったか?」

瑞鳳「い、いいじゃないですか。そう思ったんだから」

提督「ははは、それもそうだ。おっと、そういえばお茶を持ってくるのを忘れていた」

祥鳳「ちゃんと用意をしていますよ。はい、どうぞ」

提督「おお、悪いな。ずず……うん、この程よい熱さ、気が利いているな。祥鳳はいい嫁さんになれそうだ」

祥鳳「そんな、お嫁さんだなんて……」

瑞鳳「むぅ、ねえねえ、私の卵焼きは食べてくれました?」

提督「もったいないからと残していたよ。そうだな、いただくとするか」

瑞鳳「それなら……あ、あーん」

提督「……外でやってて恥ずかしくないのか?」

瑞鳳「どうしてこういうときだけ冷静なんですか!」

提督「はっはっは、こっちは気にしないからいただくよ。パクッ」

瑞鳳(それはそれでちょっと複雑な気分……)

提督「……いや、相変わらず卵焼きにおいて右に出る者は居ないな」

瑞鳳「そ、それなら、私も良いお嫁さんになれると思いますか?」

提督「もちろん。スピーチは任せておけ!」

瑞鳳(それってどっちの意味? ……とは聞けない……)

祥鳳(あら、瑞鳳ったら)

―執務室―

提督「三人で出かけたのはほとんどないけど、周りからどう見られていたんだろうかね。似てない兄妹、なんて」

提督「そろそろ寒くなってきたし、ピクニックをするには最後のチャンスだったかな」

↓2

―鎮守府近海・夜―

提督「そんなわけで、突然だけど敵影があったとのことだ」

川内「いやー、ひさびさの夜戦だね。わくわくしてきた!」

提督「おや、川内は毎日夜戦に出かけていたと思うのだけど」

川内「提督との夜戦は、だね」

提督「なるほど、そういわれてみれば久々か。なら、ここいらでちょっくら暴れるとするか」

川内「うん!」


神通「またあの二人は……」

那珂「ふわぁ……那珂ちゃんおねむ中だったのに~」

神通「……那珂ちゃん、装備は?」

那珂「……あっ」

川内「それで、敵はどっちの方角にいるのかな」

提督「どっちというより、目撃証言はこのあたりだ。そう遠くには言ってないと思うが……」


カ級「今年はアサリがいっぱいとれた~」


提督「発見!」

川内「相手は潜水艦……不足はないね!」

提督「まて川内、相手は潜水艦だ、まずは作戦を立てよう」

川内「作戦?」

提督「ああ、前はハマグリしか持ってなかったから戦闘に入ったが、今回はそうとは限らないだろう」

川内「確かに……だったらどうするの?」

提督「左右から囲んで、包囲だ!」

川内「さすがだね提督!」


神通「それは包囲とは言いませんから! しかも内容も作戦とすら呼べない代物ですよ!?」

那珂(こんな時間なのにみんな元気だねー)

提督「よーし行くぞー!」

川内「おー!」

カ級「アッサリーアッサリー♪ ……だ、誰か近づいてる!?」

提督「もう遅い! くらえ、モンゴリアンチョップ!」

カ級「ひえー」
神通「提督!!」

提督「じ、神通!」

川内「神通……もしかして夜戦に行きたかった?」

神通「二人だと心配だからある意味そうだけど! とにかく、また前みたいなことは――!」

カ級「えっと、今回は一応装備してるよ?」

神通「……では、会敵からやり直しましょうか」

カ級「今日はアサリも食べたいから帰らせてほしいんだけど……」

川内「じゃあ、今回も演習で満足しよっか」

提督「だな」

那珂(なんかおかしい! 大本営が見たら絶対に軍法会議物の光景だよ!)

―執務室―

提督「演習楽しかった」

提督「でも夜戦独特の雰囲気はやはりいい。川内がやめられない理由もわかる」

下2

―会議室―

提督「さて、ハロウィン会議第二段だ」

アイオワ「へえ、裏ではこんなものを用意してたのね。私も呼んでくれたらよかったのに」

卯月「こんな楽しそうなことを独り占めはずるいぴょん!」

提督「まあまあ、適材適所って言葉もあるだろう。お前達にはやってもらうことがある」

川内「昨日の夜戦で眠いんだけどー」

比叡「お姉様が部屋で待っているんですけど」

ポーラ「お酒飲みながらで良いですか~?」

提督「うん、見事に不安になるメンバーだな」

アイオワ「でも、分かってて呼んだんでしょ?」

提督「もちろんだ」

卯月「それで、うーちゃんたちは何をすればいいぴょん?」

提督「ハロウィンの飾りつけをやってもらおうと思って」

川内「えー」

比叡「お姉様と一緒で良いのなら……」

ポーラ「お酒飲みながらでも良いですか~?」

提督「本当にぶれないな。その辺りは好き好きにしてくれていいぞ」

アイオワ「あら、本当にそれだけ?」

提督「察しが良いな。飾りつけは普通の物では無く、ホーンテッドハウスみたいな感じが良い」

卯月「ほーんてっど? お化け屋敷みたいなものぴょん?」

提督「そんなところ。各人のこれと思う物でびっくりする物や怖いと思う物を用意してほしい」

比叡「怖い……なんとなく司令から失礼な事を言われた気がします」

提督「気のせい気のせい。因みにこのことは内密に」

~後日~

提督「で、何か出来たか?」

川内「夜戦禁止の証明書を作ったよ。……うわああああああ」

提督「何で自分でダメージ受けてるものを作った」

ポーラ「……禁酒……令……」

提督「顔が青いけど大丈夫か!?」

比叡「比叡カレーで良いって言われましたけど、さすがに駄目ですよね」

提督「いや、完璧だ」

比叡「ひえっ!?」

アイオワ「私は会議室にあったカボチャが勝手に動くようにしたわ。妖精さんのお蔭で、マントから蝙蝠も出てくるのよ!」

提督「すげぇ! あ、でもここで見せるのは止めて。本当に蝙蝠が出てきたらあとが困る」

卯月「ふっふっふ、なら、このイタズラの伝道師うーちゃんはなんと、お菓子をくれないと手が噛まれる道具を手に入れたぴょん!」

提督「真実の口みたいだな!」

アイオワ「見事に大粒ぞろいね。これらで怖がらない子なんていないんじゃないかしら」

提督「そう……か?」

―執務室―

提督「ハロウィンとは……いや、あながち間違ってないような……なんかイメージと違うような」

提督「ま、まあより多くの奴らが怖がればそれでいいよな。うん」

↓2

提督「そんなわけで、今から全力で漁にでかける」

長門「提督、さすがにそれは私たちがするものではないのではないか」

提督「そんなことはない。これは漁師の支援をすることで――」

陸奥「とりあえず、意味はあるってことね」

提督「そういうことだ」

磯風「ふむ、では今年こと美味しい秋刀魚を焼き上げて見せようか」

提督「え……」

磯風「なんだ、その顔は」

提督「いや、なんでも……そ、その前にちゃんと漁師の手伝いをしてくれよ」

磯風「それはわかっている」

―海―

提督「ではA班はここから南東の方に。B班はこの周辺で準備をしてほしい」

神風「本当にこれだけで獲ることができるの?」

提督「誘導灯などを適切に使うことにより、意外と集められるものだ」

長波「釣れない釣りばかりしているくせに」

提督「悪いか!」

長波「別に悪くはないけど」

夕雲「それでも、提督がこうして本気になるのは珍しいと思います」

提督「さすがに公的に依頼されたら動かざるを得ないからな」

神風「つまり、司令官は乗り気じゃないってこと?」

提督「そういうわけじゃないが、うーん……言われてやるのは好きじゃないというか」

神風「司令官らしいわね」

提督「ええー、褒められた気がしない」

神風「褒めてないわよ」

長波「相変わらずだよな、提督は」

夕雲「でも、そんなとkろおもまた素敵だと思いますよ?」

提督「そんなフォローはいらん。とにかく、人数はいるんだから結果は出るだろう」

夕雲「うふふ、指示は任せました」

提督「やるからには全力だ。よし、そろそろ行くぞ!」

―執務室―

提督「動員数百人ちょっと。人数だけなら全力だな」

提督「本来ならもう少し人数は少なくてもいいけど、上に報告するなら過程もいるからな」

下2

霞「獲りすぎよ」

提督「ですよねー」

霞「私もあれで許可を出したわけだから、あんたに責任を押し付けるわけじゃないけど、過分した秋刀魚の処分は任せるわ」

提督「押し付けるわけじゃないって言う割には、後処理を任せるんだな」

霞「じゃあ、漁業会の相手がいいかしら」

提督「もしかして、クレーム処理?」

霞「どちらかというと、釈明かしら。向こうもそんなに怒ってないらしいけど……」

提督「……当てがあるので、秋刀魚の処理に行ってきます」

―???―

提督「ということがあったからあげる」

北方棲姫「わあい」

ヲ級(久しぶりに来た用事がそれ……)

北方棲姫「みんなでわけてもいい?」

提督「もちろんだ」

レ級「あれー、人間、久しぶりだね!」

北方棲姫「れきゅー、おさかなをもらったよ!」

レ級「本当だ、ありがとう!」

提督「……いやぁ、この満面の感謝の笑みを受け取るために漁に力を入れたんだなって思うよ」

ヲ級「貴方は本当に敵側なのか疑わしくなる時があります」

北方棲姫「ねえー、もうたべてもいい?」

提督「生で? うーん、深海棲艦って生で食べる物なのか?」

ヲ級「わざわざ調理なんてしないですけど、しましょうか?」

提督「ヲ級料理できるの!?」

北方棲姫「うん、をきゅうのりょうりはおいしいんだよ!」

レ級「うん。じゃあヲ級、この秋刀魚で料理をつくってきてよ」

ヲ級「はい。少し時間を貰いますね」

提督「はー、どこでどうやって料理をするのかは知らないけど、料理するんだなぁ」

レ級「なんだか人間を理解するためっていてたね」

北方棲姫「うん」

提督「変わり者も居るもんだな」


ヲ級(今、お前が言うな的発言をされたような)

―執務室―

提督「あちらにも喜んでもらえてよかったが、料理が美味しかったのはビックリした……」

提督「いや、でも艦娘も料理することを考えるから普通か」

↓2

提督「夕張、一つゲームをしないか」

夕張「ゲームですか」

提督「ルールは簡単。ここにトランプがある。このトランプをシャッフルして、ランダムに一枚だけとる」

夕張「……どこかで聞いたことのあるルールですね」

提督「別にオリジナルってわけじゃないからな」

夕張「そのあとは、相手にだけ数字がわかるようにして、2が最小でAが最大の数値で勝負するってことですね」

提督「ああ。勝てば三点、降りた場合は相手に一点でどうだ。十回くらいやってポイントが大きい方が相手の欲しいものをなんでもプレゼントで」

夕張「へぇ、そんなこと言っていいんですか?

提督「ああ」

夕張「いいでしょう、受けて立ちます」

~~~~~~~~

提督「さて、まずは一回目」

夕張(提督の数字は6……中心より下ですが、2~5を私が取っていたら負けですね)

提督「俺は普通に勝負する。夕張は?」

夕張(即答!? と、いうことはもしかして私の数字はそれほど低いと……いえ、もしかしたらブラフかもしれません……が)

夕張「いえ、おります」

提督「じゃあ俺に一点と……俺の数字は……ふうん、6だったか、確かに勝負に出るには難しい数字だな」

夕張「その口ぶり、もしかして……あっ、私の数字、10じゃないですか!」

提督「即答した時点で、適当かそれとも低い数字かっていうのはすぐに判断しないと」

夕張「適当だったんですか! これはしてやられましたね……」

提督「やれやれ、こんなんじゃ軍人としてやっていけないな」

夕張「軍人は軍人でも、私は最近工兵の仕事しかやってませんし」

提督「それじゃあ、二回目だ。はい」

夕張(今度の提督の数値は9……降りるか悩むところですね)

提督「あー……どうしようかなぁ」

夕張「……! 私は勝負しますよ」

提督「いいのか?」

夕張「はい」

提督「……やれやれ、そう簡単に表に出ると思ってもらわれてるのは心外だな」

夕張「と、いうことは……」

提督「はい勝負。お前の数字は3。それでこっちの数字は……9。ふふん」

夕張「あー! またやられました!」

提督「ははは、お前なぞ顔に出ない奴らや運のいいやつに比べれば赤子の手をひねる様なものだ」

夕張「その言い方腹がたちますね! 次やりますよ、次!」

~~~~~~~~

提督「16-4。いや、圧倒的だったな」

提督「これの面白いところは心理戦がほとんどなところだからな。慣れてないとボロ負けはよくある」

下2

―山道―

提督「街灯一つないこの静かな公園。でもそんな余計な光が一切ないからこそ星空がより一層輝く。なあ、そう思わないか?」

萩風「そうですね、今日は星が綺麗です」ギュッ

山雲「朝雲姉と~見れたら~、とっても素敵だと~思うの~」ギュッ

提督「口頭じゃ普通の反応なんだが、そう裾を掴まれているとなぁ……」

萩風「すす、すみません……っ!」

嵐「萩は夜苦手だからな。俺が言えることじゃねえけど」

照月「私も夜戦は大丈夫なんですけど、夜自体は少し、ですね」

神風「私は平気よ。……平気なんだから」

提督「夜が怖いって難儀だよな。駆逐艦は夜戦が本番っていうのに」

嵐「俺は川内さんに連れられて馴れるようにしているけど、どうしても恐怖感は出るんだよな」

提督「そうなのか、神風」

神風「平気って言ってるでしょ! もう……でも、いつも以上に緊張するのは確かよ」

照月「その気持ち、すごく共感できる……あの提督、手をお借りしても良いですか?」

提督「暗い山道は足を取られそうになるからな。いいぞ」

照月「ありがとうございます……」

萩風「私の方もすみません……本当は離れた方が良いと分かっているんですけど」

山雲「山雲の方は~なんとな~く離れたくないな~」

提督「萩風と山雲はしょうがない。それでも、夜の良さを少しくらいわかってもらおうと思って連れ出しているんだから」

神風「それで無理やり連れだしたんだ」

嵐「珍しい提督真面目モードってやつだな」

提督「真面目モードとかたまに聞くけど、何、やっぱ不真面目の方がデフォルトなのか」

嵐「しかし、こう駆逐艦五人をくっつけてたら、道すがらですれ違った人に通報されたりして」

提督「馬鹿、フラグ立てるな」

嵐「そんな事が起こるわけ無いだろ。時間的に――」


通行人「えっ……事案だ! もしもし警察ですか――」ダッ


提督「フラグ回収早すぎだろ! 萩風、山雲……は抱えるから三人は自分の足で逃げてくれ!」グッ

萩風「きゃっ、しし、司令!?」

山雲「司令さん~速いですね~」

嵐「ははは、ある意味夜戦だな!」ダッ

照月「嵐さん結構余裕ありますね!」ダッ

神風「え、あ……お、置いて行かないで!」ダッ

―執務室―

提督「次の日の新聞見たら不審者情報が……後で釈明しておいてもらおう」

提督「しかし、余裕があればなにか驚かそうと思ってたけど、さすがに無理だな。やってもゴーヤくらいにしておこう」

↓2

―会議室―

提督「数年前、とあるゲームをやっていたんだ」

大和「はあ、回想ですか」

提督「そこまではいかない。そのゲームはファンタジー生活ゲームでな、強制イベントで主人公が倒れるんだ」

大和(今は静かにしておいた方が良いですかね)

提督「その次の日がたまたまハロウィンで、主人公がベッドから起きるとそこにはカボチャを被った住民と、一人だけカブを被った住民の姿があったんだ」

ローマ「さすがにドイツでもカブを被る人なんてみたことないわ」

ウォースパイト「……あっ、かぶを、かぶる……ふふふ」

提督「ウォースパイトの座布団全部没収」

大和「座布団じゃないですけど……」

提督「とにかく、あの光景を一遍実現したいと思って、今回はカブで被り物を作る」

長門「しかし、難しくはないか。まずそんな大きさのカブなんてあるのか」

提督「とある農家の株主優待ででかいカブを送ってもらったんだ。色々お世話になっているところだが……と、そこはいいか。とにかく、そこに関して問題無い」

大和「つまり、後は中身を抜く工程ですか」

提督「実はそれも鳳翔に頼んである」

陸奥「……それって、もうやる事無くないかしら」

提督「いや、一番大事な事が残っている。だれが被るかだ」

大和「……」

長門「……」

陸奥「……」

提督「なぜ黙る」

ウォースパイト「あら、みなさん、いやなの?」

ローマ「好き好んでカブを被る人なんていないと思うからね……」

ウォースパイト「……ふふっ」

ローマ「何処がツボるの……」

大和「提督が被ったらいかがですか?」

提督「それでもいいが、光景を眺めてみたいという願いを成就させるには、少しは誰かに被ってもらわなければならん」

ローマ「……じゃあ、そこで笑ってるウォースパイトで良いんじゃない」

提督「ほう、やってくれるか」

ウォースパイト「ふふっ……はい、いいですよ。面白そうですから」

大和(なんだか、アイオワさんと知り合ってからウォースパイトさんも性格が変わりましたかね)

提督(悪影響ばかり受けてる気がするなー……本国に怒られないよな、俺)

―執務室―

提督「製作過程は殆ど無いけど、カボチャと違って形を作るのが難しいからしょうがない」

提督「とりあえずお礼を考えておこう。ハロウィンの面白スナップで良いかな」

↓2

吹雪「司令官は料理が上手でしたよね」

提督「うちの二大巨頭には及ばんがな」

吹雪「あの人達と比べられるだけでも凄いと思いますが」

白雪「にだいきょとう? 間宮さんと鳳翔さんのこと?」

吹雪「巨頭って言えるのはその二方だけだね」

提督「それで、どうしてそんな事を聞く?」

白雪「あの、料理を教えてほしいんです」

提督「料理を? それは構わないが、随分と急だな」

吹雪「えぇ、それを司令官が言うんですか」

提督「俺は何時ものこと。白雪は珍しい。それだけ」

白雪「大層な理由は無いんです。その、料理位は上手に作れるようになりたいって、そう思っただけなんです」

提督「そうか。それじゃあ、部屋に行くか」

―提督私室―

提督「白雪の実力は分からないから、クラムチャウダーを作ろうと思う」

白雪「くらむちゃうだーってなんですか?」

提督「材料に牛乳を適当に入れて完成する料理だ」

吹雪「なんですかそれ」

白雪「随分簡単なんですね」

提督「料理がそんなに得意じゃない人でも簡単に作れるところがミソだ」

白雪「具体的に、材料は何を入れるんですか?」

提督「貝はいるな。玉ねぎやじゃがいも、にんじんやベーコンもいれるか」

吹雪「なんだか、普通の料理みたいですね」

提督「本当に適当に言っただけだしな。でも、実際に作ってみると簡単だ。ちょっと貝を用意してくるから材料を切っておいてくれ」

白雪「はい!」

吹雪「フライパンの準備もしておきますね」

~~~~~~~~

提督「特に何事も無く完成したな」

吹雪「司令官もいて、失敗する要素は皆無でしたね」

提督「おお、そうか? 照れるな」

白雪「はい。間違えそうなところはちゃんと指摘して頂いて、凄く助かりました」

提督「……いや、ここで調子に乗るな的ツッコミしてくれた方がありがたかったが……ええと、それじゃあそろそろ食べてみるか」

吹雪「はい。いただきます」

白雪「いただきます。……あ、美味しい」

吹雪「うん。なんだか口に濃厚な味が広がって、身に沁み渡るような感じ」

提督「作ったのは殆ど二人だし、それだけ上手に作れたって事だ」

白雪「やっぱり司令官に聞いてよかったね」

吹雪「そうだね」

提督「うん? やっぱり何か別に理由があったのか」

白雪「あ、その、料理をしてみたいと言ったのは本当です。そう思ったのは、みんなに料理をふるまってみたいって思いもありましたから……」

吹雪「一人じゃ恥ずかしいからって、私も一緒に来たんですよ」

提督「なるほど。予想以上に真面な理由でこっちは逆に驚いたよ」

―執務室―

提督「吹雪と白雪の名前からして白いイメージのクラムチャウダーを選んだとはいえんな」

提督「クラムチャウダーは実際に簡単に作れる料理だから、実際に作ってみるのもおすすめ」

↓2

―ビスマルクの部屋―

提督「ビスマルク、しりとりをしよう」

ビスマルク「ヒップ……バード?」

提督「違う。というよりせめてドイツ語で訳せ」

プリンツ「シリトーリって、たしか日本語の最後の言葉で別の言葉につなげる遊びでしたよね」

グラーフ「そういえば赤城たちが暇潰しにしていた気がするな」

提督「それだよ。日本語を覚えるいい勉強にもなるし、いいだろ」

ビスマルク「ふふ、このビスマルクは一番早くに日本へ来たのよ。アドミラールはともかく、二人には負けられないわ」

プリンツ「私だって、ここに来てから一杯勉強しましたから!」

グラーフ「私は意気込みという程も無いが、少しはやってみるさ」

提督「じゃあまず最初。しりとり」

ビスマルク「リボン」

提督「すまない! ビスマルクはしりとりの言葉すらわかっていなかったな!」

ビスマルク「な、何なにか駄目だった?」

プリンツ「ビスマルク姉さま、『ん』が最後に付くと負けなんです」

ビスマルク「へ? あ、そ、そうなの。うん、忘れていたわ」

グラーフ(あれは本気で分かっていなかった顔だったと思うのだが)

ビスマルク「とにかく再挑戦よ! むしろここからが本番よ!」

提督「しりとり」

ビスマルク「リントフライッシュ」

提督「……リントフライッシュってなんだっけ?」

プリンツ「日本語で牛肉って意味です」

提督「ビス! ドイツ語は禁止だ! しりとりにならんだろ!」

ビスマルク「せめてビス子にしてくれない!?」

グラーフ「とりあえず、次はオイゲンでどうだろうか」

提督「進まないしな……オイゲン、りだ」

プリンツ「り……リフト」

ビスマルク「リフトもドイツ語じゃないかしら」

提督「外来語として日本に浸透しているからセーフだ」

ビスマルク「な、なにそれ!」

グラーフ「ビスマルクはルールを本当に知らないのだな」

ビスマルク「うぐ……」

提督「しりとりしそうな奴は……戦艦には少ないからな。しょうがないだろう」

グラーフ「……さて、そういえば私だったな。トキ、でどうだ」

提督「うむ。切り盛り」

ビスマルク「り? り……り……リュージョー……」

グラーフ「りゅはありなのか?」

提督「ルールにもよるが、今回はありで良いだろう」

プリンツ「う、ですよね。ウイスキー」

グラーフ「き、キク、はどうだ」

提督「……鎖」

ビスマルク「またり!? り、り、りー……りー……」

提督「ビスマルクが考えている間に言っておくが、おそらくグラーフも人のことは言えんぞ」

グラーフ「ばれていたか。次からは気を付ける」

プリンツ「?」

―執務室―

提督「予想通りビスマルクは最初に撃墜。グラーフもある意味駄目だが」

提督「うーん、でもしりとりって意外と普段喋っている言葉がでなかったりするときがあるからな」

↓2

―提督私室―

提督「いよいよ明日はハロウィンとなった。その最後の段階として、お菓子を作ろうと思う」

間宮「お菓子ですか。いいですね、皆さんも喜ぶと思います」

鳳翔「ハロウィンでしたら、それにちなんだお菓子が良いですね」

伊良湖「そうですね、どんなものがありますかね……」

赤城「ハロウィンといえば、カボチャで作るお菓子が有名ですね。形が作れるならばクッキーやタルト、盛り付け次第ではケーキなんかも雰囲気を出せると思います」

提督「いつになく真面目に答えてくれるな」

赤城「幾多の食べ歩きを越えて、こういうのに詳しくなったんですよ。提督も行きましたよね」

提督「そういえばそんなこともあったっけ」

赤城「むう、忘れていたなんてひどいですね」

提督「すまんすまん」

間宮「材料は大体揃っているみたいですし、何を作りましょうか」

提督「人数もいるし、どうせなら色々作ってみないか。赤城が言ったクッキータルトは当たり前にして、プリンやマフィン、パンなんかも面白いかもな」

伊良湖「た、大変じゃありませんか?」

提督「何を言う、ここに揃うは料理上手殿堂入り組だぞ。むしろ朝飯前ではないか」

鳳翔「でも時間はかかりますね……私は休んでも大丈夫ですが、間宮さんの方はどうでしょうか?」

間宮「そうですね……少し、食堂の方は手伝いを募りましょうか」

提督「んじゃ、それはこっちで手配しておく。事情を内緒にしてくれそうかつ、料理上手な子の心当たりは多いしな」

間宮「はい、頼みます」

赤城「私は見たところお菓子の装飾部分がないので、追加で探してきます」

伊良湖「間宮さんと鳳翔さんが厨房に並ぶ……が、頑張ります」

鳳翔「ふふ、緊張しなくても良いですよ。私はただ趣味で居酒屋を開いているだけの人ですし」

間宮「あら、鎮守府内とはいえお店を開けるのですから、十分凄いと思いますよ」

提督「はいはい。三人共そんな気張らなくて良いから。気軽に作ればいいんだ。いつも通りな」

伊良湖「は、はい!」

赤城「……なんだかんだ、提督もなかなか提督ですよね」

提督「どういう意味だ」

~~~~~~~~

伊良湖「焼き上がりにばらつきが出来てしまいましたね……すみません」

鳳翔「これも手作りの良さですよ」

伊良湖「そう、ですかね」

鳳翔「一生懸命に作った人の手が分かる、というのはマイナスにはなりませんから」

伊良湖「そういうものですか……」

間宮「まるで師匠が鳳翔さんみたいね」

提督「お、良い雰囲気で作ってるじゃないか。伊良湖も馴れているみたいだし」

赤城「やっぱり心配はいらなかったみたいですね。まるで姉妹のようです」

間宮「おかえりなさい。何も問題は無かったみたいですね」

提督「ああ。さて赤城、俺達も入るぞ。といっても、作るのは三人に任せておけば間違いないから飾りつけの方になるが」

赤城「味で楽しまて目でも楽しめるのがイベントのお菓子ですからね。微力ながら、頑張ります」

―執務室―

提督「後は時間が掛かる物をぽつぽつって感じだな。冷蔵庫の中もお菓子で一杯だ」

提督「うーん、やっぱりあのメンバーはすごい。どんな料理でも対応できる気さえしてくる」

↓2

―陽炎型の部屋一号室―

提督「ハロウィンだぞ不知火」

不知火「そうですね」

提督「ハロウィンだからにらめっこしよう」

不知火「そう……今何と言いましたか?」

提督「にらめっこしよう」

不知火「ハロウィンとの関係性ゼロですよね」

提督「まあいいじゃないか。俺は今日までの準備につかれた。当日ぐらいは遊びにいそしんでもいいじゃないか」

不知火「それはいいんですが、不知火は相手をしませんよ」

提督「なぜだ!」

不知火「むしろなぜ付き合わなければならないんですか」

提督「……そうか、ルールがダメなんだな」

不知火「そういう意味ではありませんが」

提督「笑ったらではなく、照れて目をそらした方が負けにしよう」

不知火「今日の難聴はより一層酷いですね」

提督「そういうな。勝ったらご褒美があるぞ」

不知火「ご褒美、ですか」

提督「昨日間宮達料理上手組が作ったお菓子がある。欲しくないか」

不知火「………………やりましょう」

提督「ふふん、そうこなくてはな」

不知火「では今から始めでいいですね。ええ、始めましょう」

提督「そんなに早く俺と見つめ合いたいのか……」

不知火「……」ゲシッ

提督「痛っ! ちょ、今本気で蹴ったな」

不知火「すみません、ちょっと本気でむかついたので」

提督「冗談なのに……」

不知火「では始めましょうか」

提督「うむ」

不知火「……」ジー

提督「……」ジー

不知火(……あれ、これ終わらなくないですか)

提督(不知火はポーカーフェイスが上手だからな……ここで服脱いだとしてもまた無言で蹴られるだけだろうし)

不知火(司令は確かこういうのに耐性がありましたよね……しかも、こういう勝負には本気になりますし)

提督(これが硬直状態というやつか)

不知火「……」

提督「……」

陽炎「……何してるの、二人とも」

不知火「! こ、これは……」

提督「あ! 今不知火目線をそらしたな!」

不知火「今のは不可抗力です!」

提督「否定はしないんだな」

不知火「くっ……」

陽炎「……状況がわからないから私から言えることが何もないわね」

―執務室―

提督「結局魔法の言葉トリックオアトリートでお菓子は取られた」

提督「元からあげる予定だったからいいんだけど」

下2

―鳳翔の店―

鳳翔(ハロウィンの成功に当日遊べなかったとのことで空母組の子が集まったのが今から三時間前。皆さんタガが外れたのか次々と飲んでいったせいで……)

提督「どんどんもってこーい!」

隼鷹「絶えず持ってきても全部飲みきってやるー!」

赤城「このお芋の煮っ転がし美味しいですねー。お酒にもあいますよ」

翔鶴「おさけがおいしいんれすよー」

加賀「……」

飛龍「どーしたのよかがー。もうよった? ちなみにわたしゃ酔ってまセーン!」

蒼龍「酔ってる人はみんなそういうんですよ。わたしは酔ってないですけどね!」

加賀「……いっこーせんかが、うたいます!」

千歳「いいわねー、やっちゃえ!」

加賀「あかぎさん!」

赤城「あの曲ですか? はい、カセットテープです」

瑞鶴「なにこれ、たべれるの?」

瑞鳳「たまごやきよりおいしくなさそうれすー……」

鳳翔(どこかで止めておいたほうが良かったでしょうか)

提督「レコードセットオーケー。ミュージックスタート!」

飛龍「……おー、かがの十八番のうたじゃーん!」

加賀「このてによせるふくさしゅのいろ~」

赤城「上手ですねー」

瑞鶴「……ごこーせんずいかく! おどります!」

隼鷹「ヒューヒュー! やれやれー!」

提督「なんだと、まけてたまるか!」

瑞鶴「ていとくさんにはまけないわよ」

提督「こっちのセリフだ」

加賀「わたしとあなたいかければー」

瑞鶴「ズイ₍₍(ง˘ω˘)ว⁾⁾ズイ」

提督「ズイ₍₍(ง˘ω˘)ว⁾⁾ズイ」

千歳「これは……すごいたたかいですね」

翔鶴「いっしゅんでも、ゆだんしたほうが、ごーちんですね」

赤城「面白い宴会になってきましたね」

瑞鳳「……おもしろそうですー。わたしもまざります!」

提督「ライバルだと、かかってこい!」

蒼龍「これが三つ巴のたたかい……」ゴクリ

加賀「こーんやのしょーうーぶーは」

瑞鶴「ズイ₍₍(ง˘ω˘)ว⁾⁾ズイ」

提督「ズイ₍₍(ง˘ω˘)ว⁾⁾ズイ」

瑞鳳「ズイ₍₍(ง˘ω˘)ว⁾⁾ズイ」

飛龍「あはははははは!!」

隼鷹「こんな面白い出し物、めったに見られないね!」

千歳「うー……わたしもまざります!」

翔鶴「わたしもいきます!」

飛龍「いっちゃえいっちゃえ!」

加賀「むーねーひーめたー」

瑞鶴「ズイ₍₍(ง˘ω˘)ว⁾⁾ズイ」
提督「ズイ₍₍(ง˘ω˘)ว⁾⁾ズイ」
瑞鳳「ズイ₍₍(ง˘ω˘)ว⁾⁾ズイ」
千歳「ズイ₍₍(ง˘ω˘)ว⁾⁾ズイ」
翔鶴「ズイ₍₍(ง˘ω˘)ว⁾⁾ズイ」

鳳翔(これ、さすがの私でも異様な光景に感じますね……)

赤城「今日はみなさん楽しそうでいい日ですね」

―執務室―

提督「昨日を覚えている人が一人もいないとは……あたまいた……」

提督「鳳翔ですら目をそらすということは、相当ひどい状態だったんだろうけど」

下2

―天龍型の部屋―

提督「柿をいっぱい買ってきたぞ」

天龍「ダンボールかよ。本当にたくさん買ってきたな」

提督「大セールしていたもので。ほら、食べろ食べろ」

天龍「しゃあねえな。えーと……」

龍田「天龍ちゃんは不器用なんだから、私が剥いてあげるわ」

天龍「サンキュー龍田」

提督「あ、ついでに俺のも」

龍田「提督は自分で剥く事が出来ますよね」

提督「龍田に剥いてもらいたいなーなんて」

龍田「……」

提督「だ、駄目ならいいぞ。うん、無理にとは言わん」

龍田「別に、それくらいならいいですよ。天龍ちゃんのおまけ、ですけど」

提督「お、おう」

天龍「龍田も甘いな。自分でやらせればいいのに」

提督「天龍も甘え過ぎだろう。自分でやれば良いのに」

龍田「天龍ちゃんは不器用だから、最後にはそのままかぶりついちゃう人なのよね~」

提督「天龍ならやりかねんな」

天龍「い、いいだろ!」

龍田「はい、天龍ちゃん。おまけに提督の分も」

天龍「サンキュー。さすが器用だな」

提督「おまけという割にはちゃんと等分にしてくれてるし。いやー、龍田は優しいなぁ」

龍田「褒めてもなにもでませんよ。はい、次の分です」

天龍「早くね」

龍田「そうかしら。次の分も剥けたけど」

提督「……おい天龍、これは」

天龍「ああ。多分、今かなり機嫌が良い」

龍田「なあに~?」

提督「いや、なんでも」

~~~~~~~~

龍田「~~♪」

天龍「ちょ、ペースを落としてくれ……」

提督「なんだか知らないが今かなり調子が良いみたいだな」

天龍「さすがにダンボールひと箱このペースは無理だぞ。パク……」

提督「最悪周りに配ればいいだろ。とりあえず今は机が埋まらないように減らすぞ」

天龍「そうだな。んー……美味しいんだけどな」

提督「俺の目利きも馬鹿にならんだろう」

天龍「ああ……おい、提督。さっきからオレだけ食べてないか」

提督「バレたか」

天龍「おい!」

龍田(天龍ちゃんを困らせるのは楽しいわね~)

―執務室―

提督「龍田は分かっててやってた。間違いなく」

提督「余っても適当におすそ分けに行けば、何とかなるからあんなに買ったんだけど」

↓2

―提督私室―

提督「戦と博打と女が好きなのは日本男児だけど、他の国ってどんな感じだ」

アイオワ「ニッポンがそれなら、ヤクとギャングとパッシングね」

リットリオ「なるほど、そんな文化が……」

ウォースパイト「いえ、そんな文化がある国はないと思いますが」

ビスマルク「え、そうな……と、当然よね。うん、わかってたわ」

響「それで、この集まりはなんなのかな」

提督「わざわざ聞いてくれてありがとう。理由は省くが、今ここに様々な国の艦娘が集まった」

ウォースパイト「理由が一番大事だと思うのですが」

提督「えー、だってただ駄弁ろうってだけの集まりだぞ」

ビスマルク「身もふたもないわね」

提督「まじめな話をするなら、それこそ金剛とローマとオイゲン呼ぶし」

ウォースパイト「えっ、いえ、確かに私はまだ日本には慣れてませんけど……」

リットリオ「まあ、確かにローマの方がいいかも」

ビスマルク「私は異議を言うわよ!」

提督「冗談だ。んで、そろそろ誰かこたつから出ないか。今日は寒い日だってのに」

アイオワ「よっ、日本男児!」

提督「関係ないぞ」

響「私と羽織では不満かい?」

提督「そもそも二人羽織している状況が変だろ」

アイオワ「ワーオ、これがジャパン式、冬場での過ごし方ね」

ビスマルク「ドイツでは家全体を暖かくするから、日本の文化は面白いわね」

提督「これは文化か……?」

響「お酒で体を温める文化もあるわけだからね」

リットリオ「いえ、それもおかしいと思うのですが……」

ウォースパイト「ドイツに限らず日本以外ではだいたい家を暖かくしますから」

提督「ふーん。こたつを珍しがる人はおかしくないわけか」

響「暖房に関する知恵があるくらいロシアでも暖房器具は死活問題だからね」

ビスマルク「あら、ドイツだって冬はかなり寒いわよ」

リットリオ「自慢げに話すことですか?」

ウォースパイト「暖房事情は国ごとに種類は違いますが、大まかに変わらないといった具合ですね」

提督「かもなぁ。こたつだけはレアだな。おかげで部屋全体は寒々しいけど」

ウォースパイト「この部屋にも全体を温めるものがあるのなら、それを使えばどうですか?」

提督「まだそこまで寒くはないと思うが……もしつけるならこたつ止めるぞ。もったいないし」

アイオワ「却下」

リットリオ「このままでいいですー」

ビスマルク「私も……」

ウォースパイト「皆さんが言うのであれば」

提督「なんだよこたつハマってるじゃん……」

―執務室―

提督「第一回終了。まだこたつにハマるのは早いと思うのだが」

提督「急に寒くなったから暖をとりたい気持ちはわかるけど」

下2

―コンビニ―

赤城「やっぱりコンビニといえばおにぎりですよ」

提督「いや、レジ横にある揚げ物だろう。あれはコンビニの味が出るんだぞ」

赤城「それならおにぎりだってそうですよ。意外と全然違うものなんですよ」

提督「だがなぁ……」

「いらっしゃいませー」

赤城「じゃあ、食べ比べてみますか。おにぎりとレジよ……」

加賀「あ、赤城さん……」

提督「え、加賀?」

加賀「提督まで……」

提督「……」

赤城「……」

加賀「……」

提督「(赤城、これどうするよ)」

赤城「(まさか知り合いのバイト先にたまたま入って気まずくなることが現実に起こるとは思いませんでしたね)」

提督「(明らかに加賀も狼狽してるぞ)」

赤城「(ですね)」

加賀「……」

提督「(とりあえず、見て見ぬふりをするか)」

赤城「(そうしましょう)」

加賀「……」

~~~~~~~~

加賀「……」ピッ

提督(まあ、買うときに顔は合わせなきゃならんよなぁ)

赤城「……あの、唐揚げ串を二つください」

加賀「……はい」

提督(赤城ですら少し遠慮してるし)

加賀「……あの」

提督「な、なんだ?」

加賀「このことは、どうか内密に」

提督「うむ」

提督(副業禁止だし、いいふらせんわなぁ)

赤城(あ、加賀さんったら、顔を赤くして可愛い)

―執務室―

提督「知ってるところにいくぶんには盛り上げられるが、突然だとなぁ」

提督「しかもそれが真面目なキャラだとなおさら」

下2

―長良型の部屋―

長良「鬼怒の改二を祝って!」

『かんぱーい!』

提督「五十鈴阿武隈に続いて鬼怒も改二か。感慨深いな」

長良「このまま私達も改二になれればいいよね」

阿武隈「はい、どうぞ」

鬼怒「おー、ありがとねー」

提督「鬼怒鬼怒、ちょっとあれやってみてくれよ」

鬼怒「あれ?」

提督「いつものやつ。改二になった記念としてさ」

鬼怒「……パナマ島は、まじパナイ!」

提督「ヒューヒュー!」

五十鈴「これは改二になっても変わらなさそうね」

由良「五十鈴だってそうじゃなかった?」

五十鈴「それは……うん」

名取「それに嫌じゃないよね?」

五十鈴「もう、ちょっと言っただけじゃない」

長良「五十鈴も、嬉しいなら嬉しいって言っていいんだよ」

五十鈴「あーもう、みんなして! 妹が成長するのに嬉しくないわけないでしょ!」

鬼怒「ツンデレっぷりを発揮中だね!」

五十鈴「誰がツンデレよ!」

提督「そうだな、ツン自体あまりないもんな」

五十鈴「なんで私が矢面に立たされてるの! 鬼怒を祝う席でしょ」

提督「そうだったそうだった」

阿武隈「そうだ、わたし、プレゼント用意してきたの」

鬼怒「ホント? いやぁ、嬉しいな」

阿武隈「とある人に相談して選んだんだけど……はい、瑞雲の模型」

鬼怒「……あ、ありがとう」

提督「誰に相談したのか一発でわかるな」

由良「相談する相手としては間違ってるよね」

長良「えーっと、じゃあ、一区切りとして、改装した感想を一言お願い」

鬼怒「うん。改装した鬼怒もマジパナイ!」

―執務室―

提督「改装してからもあれを言い続けるのだろうか」

提督「いや、あれを言わない鬼怒は夜戦しない川内並みに異様な気もするが」

下2

―温泉―

提督「さて……今回は温泉に来ました」

高雄「そうですね」

提督「確か予約は愛宕に任せていたよな。忘れてないよなー?」

愛宕「あら、心配性ね。ちゃーんと、しておいたわ」

提督「そうか、それなら安心だな」

鳥海「……」

摩耶「どうかしたのか?」

鳥海「いえ、どことなく不安が押し寄せてきて」

摩耶「心配しすぎじゃねえ」

鳥海「そうだといいんですけど……」

~~~~~~~~

愛宕「家族だからいいかな~って」

高雄「家族はいいです。が、提督も一緒にしていたのが大きく間違いでしょう」

愛宕「そうかしら~」

摩耶「だめだ、押しても本人に羞恥心が一切ないぞ」

愛宕「あら、私でも羞恥心はあるわよ」

鳥海「この中じゃ一番気にしてないみたいだけど……」

提督「なんでもいいけど、この目隠しはいつまでつけていればいいんだ」

高雄「なんでもよくないです」

摩耶「外したらぶっ飛ばす」

鳥海「確かに提督は悪くないですが、外すと万死に値します」

提督「えぇ……」

愛宕「あらあら、なら私はサービスしちゃおうかしら」

提督「は、サービス?」

愛宕「ええ、背中流してあげるわ~♪」

提督「それは助かるけど、目隠しは……」

愛宕「それは私が怒られちゃうから駄目よ♪」

提督「ううむ、予約を任せたとはいえ、なんだか理不尽な」

高雄「しょうがないですね……私も手伝います」

愛宕「じゃあ、二人でお世話しましょうね~」

高雄「足元を気を付けてください」

提督「なんだか、介護されるおじいちゃんの気分だ」


摩耶「……なんか、提督が慌てないと張り合いないよな」

鳥海「ある意味わかっていたことなんだけど」

―執務室―

提督「温泉の気持ちよさを感じている暇はなかったな……」

提督「風呂場で目隠しって湯の感触は味わえるけどさぁ」

下2

鈴谷「提督、デートしよっ♪」

提督「……は?」

鈴谷「じゃあ、原宿の駅で待ってるから!」ダッ

提督「いや、ちょ……原宿の駅って大雑把すぎだろ」


―原宿―

鈴谷「提督遅いー」

提督「すまん……って、そっちがついてから指定してきたんだから遅れずに来るのは無理だろう」

鈴谷「ごめんごめん、じゃあどこいこっか?」

提督「どこって言われても、表参道にラフォーレ、代々木公園とかか」

鈴谷「えー、ちょっとありきたりじゃん」

提督「そう言うなら、せめて前日に言って欲しかったところだ」

鈴谷「アハハ、思い付いたら即実行が提督でしょ。それに見習ってみたの」

提督「見習うところ違うくない」

鈴谷「ま、いいじゃん。……それで、提督?」

提督「ん? ……ああ、えっと……その服、似合ってるぞ」

鈴谷「よしっ」

―ラフォーレ原宿―

提督「最先端ファッションショップとも知られるこのラフォーレ原宿。デートスポットとしては女性からは大人気。俺自身、偶にファッション誌を買うくらいには服に興味はある。だが」

鈴谷「だが?」

提督「三時間同じ場所にいるのは流石に辛い」

鈴谷「えー、だってすっごく悩んでるの。提督、どっちがいい?」

提督「右も左も鈴谷に似合っているってさっきから言ってるだろう!」

鈴谷「提督だってそう言ってるじゃん」

提督「確かに俺も決めきれてなかった!」

鈴谷「うーん、どっちもは、さすがにねぇ……最近使い過ぎてるし……」

提督「……しょうがないな、少し貸せ」

鈴谷「おっ、買ってくれんの? さすが、ふとっぱら!」

提督「それ言うとデート的に台無しだと思わないか!?」 

―執務室―

提督「結局何のために誘われたのだろうか、よくわからなかった」

提督「全体的に内容を評価されていたような……ううん、謎だ」

↓2

―代々木公園―

提督「ふー、ようやく休める」

鈴谷「もうお疲れ? 体力無いわねー」

提督「体力というか、精神的に。……何を見ている」

鈴谷「鈴谷、クレープ食べたいなー」

提督「はいはい、買って来るからここでちょっと待ってな」

鈴谷「……一人にしてナンパされたらどうする?」

提督「なんだ、一人になるのは嫌か」

鈴谷「そうじゃなくて! どうするのかなって」

提督「どうするって鈴谷のことだろうに……適当に、相手がいるから、て返せばいいんじゃないか」

鈴谷「それなりの返しで、五十点ね!」

提督「ええ、何その点数……」


―執務室―

提督「結局何のために誘われたのだろうか、よくわからなかった」

提督「全体的に内容を評価されていたような……ううん、謎だ」

↓2

―ウォースパイトの部屋―

提督「ヘイ、ウォースパイト」

ウォースパイト「どうしましたアドミラル」

提督「この前のハロウィンの写真が出来たぞ」

ウォースパイト「あら、知らせに来て下さったのですか? すみません」

提督「ああいや、一緒に見てみようと思っただけだ。ほら、色々あるぞ」

ウォースパイト「いろいろ……あ、コンゴウも写ってる」

提督「こっちの金剛は比叡に思いっきりイタズラする姿を捉えてるぞ」

ウォースパイト「イタズラ……なの? カレー鍋に煮込まれてるけれど」

提督「正直俺も青葉から貰っただけだから良く分からん。こっちはビスマルクが泣いてる姿だ」

ウォースパイト「な、なんだかこういうのを見たら気が抜けるわ」

提督「気持ちは分かる。ウォースパイトも面白いと思った写真は無いか?」

ウォースパイト「そうね……あ」

提督「ん? ……おお、カブを被ってる姿の写真じゃないか!」

ウォースパイト「カブをかぶ……ふふっ」

提督「まだツボってるのか」

ウォースパイト「って、そうじゃないです。恥ずかしいので撮らないでほしいと言いましたよね」

提督「俺じゃない。青葉が撮った」

ウォースパイト「理屈ではアドミラルと関係無いけど……」

提督「まあまあ、次次。ほら、ビスマルクが失神している写真があるぞ」

ウォースパイト「本当に気が抜けるわ……これ、後ろにアイオワとアドミラルが見えるけど」

提督「アイオワが本気で驚かせてみないって提案してくるものだから」

ウォースパイト「二人でお腹を抱えて笑っているみたいだけど。ノリノリじゃない」

提督「ははは、こうしてみると面白い写真が一杯じゃないか。お。こっちは仮装の写真じゃないか」

ウォースパイト「……いいですね、こういうの」

提督「だろう。よし、そんなウォースパイトにはこれらを進呈しよう」

ウォースパイト「え、えっ?」

提督「心配しなくても、データはある。自分用の写真もあるし、欲しい写真があったら後で青葉に頼む」

ウォースパイト「でも、いいのですか?」

提督「ウォースパイトはあまり写真を撮ってなかったみたいだからな。イベントごとに記録を取ってないと、この先勿体ないぞ」

ウォースパイト「はあ……もしかして、アドミラル、そのために?」

提督「いや、写真を見て一緒に笑える奴が欲しかっただけだ」

ウォースパイト「……アドミラルは読めませんね」

提督「そうか? ああほら、こっちではお菓子を頬張る駆逐艦の写真もあるぞ!」

―執務室―

提督「個人的に一番面白かったのはカボチャの被り物がなぜか三つくらい飛んでいる写真だろうか」

提督「さて、追加の現像を青葉に頼んでくるか」

下2

提督「鬼ごっこしようぜ」

陽炎「はい?」

提督「お前ら全員鬼で、俺は一人で逃走者」

陽炎「わざわざ呼んだと思ったら……またいつもの?」

提督「いつものとはなんだ。最近は真面目だったろう」

不知火(真面目……?)

黒潮(真面目という言葉の意味わかってないんやろなぁ……)

初潮(言っている意味が解りません)

提督「ちょっとそこ、何不思議な顔しているんだ」

陽炎「それで、どうして鬼ごっこをしようと思ったの」

提督「特に理由は無いんだが……強いて言うならば、逆境を感じてみたいから、かな」

時津風「しれー、頭大丈夫?」

浜風「医務室まで連れて行きましょうか?」

提督「ええい、まずは話を聞いてからにしろ!」

~~~~~~~~~

提督「くそ、あいつらご褒美があると言ったらノリ気になって……」

提督(一時間の制限時間とはいえ恐らく楽勝だと思っているんだろう。だが、何も準備をせずに無謀な戦いを仕掛けるはずがないだろう)

提督「そう、ここは鎮守府の屋根。こんなところに隠れているとはだれも思うまい。はーっはっはっは!」

磯風「甘いな司令よ」

浦風「その魂胆はお見通しじゃ」

提督「むっ! ばれてはしょうがない。脱出を……」

野分「すみませんが、こちらの窓は封鎖しておきました」

谷風「こっちからも絶対に逃がさないよ」

提督「ちっ、だが、室内に入る道を閉ざしたからといって、逃げ場を塞がれた訳では無い」

磯風「なに……司令、そっちは何もないぞ」

提督「何も無い? いや、地面がある。というわけでさらば!」バッ

浦風「うえぇ!? 落ちよったぞ!」

野分「……いや、パイプを伝って降りたみたい」

谷風「かーっ、忍者みたいなことするねぇ」

~~~~~~~~

天津風「待ちなさい!」

提督「待てと言われて待つ奴が居るか!」

嵐「このまま追い詰めれば、すぐそこにフェンスがあったはずだ」

天津風「なるほど、逃げ道を塞がれるわけね」

萩風「あれは有刺鉄線ですね、司令も超えられません!」

提督「有刺鉄線? 甘いわ!」ガシャッ

天津風「よじ登った!? まさか無理矢理超えるなんてこと……」

嵐「うわ、なんて奴だ! 有刺鉄線部分は飛んで躱しやがった!」

萩風「二人共あまりの驚きに説明口調になってる」

雪風「雪風にお任せください! むむ……えいっ!」

ガシャーン

提督「どわっ! いきなりフェンスが壊れた!? エスパーかよ!」

天津風「良く分からないけど普通にぬけられるようになったわ! 鬼ごっこの続きと行きましょうか!」

提督「くそっ、そう簡単には捕まらんぞ!」

―執務室―

提督「一時間、何とか逃げ切った……人数は脅威だ」

提督「しかし体力と走力とやる気で負けて無ければそうそう捕まらないはず。逆に言うとそれらが負けていると……」

下2

―睦月型の部屋―

提督「俺はにらめっこで最強を目指したい」

弥生「はあ……」

提督「だから我が鎮守府でも最強格の弥生、勝負だ」

弥生「弥生、そんなに強くないですよ……?」

提督「はっはっは、その顔で言っても説得力ないぞ」

弥生「……」

提督「お、怒るな。冗談だから」

弥生「怒ってないですよ、怒ってないです……」

提督「お、おう。図星っぽかったが……」

弥生「怒ってないです」

提督「はい。んで、勝負してくれる気になったか」

弥生「いい、ですよ」

提督「ならばさっそく戦いに入ろうではないか」

弥生「戦い……」

提督「にらめっこしましょ」

弥生「あっぷっぷ……」

提督「……」

弥生「……」

提督「……弥生、表情変わって無いぞ」

弥生「そう……?」

提督「もしかして、実は乗り気じゃないとか」

弥生「そういうわけじゃ、ないです……けど……」

提督「……分かったぞ、そうやって表情を変えないことで、相手に自分のやっている事のおかしさで笑わせるつもりだろう」

弥生「そういうつもりでも……」

提督「なるほど、さすが最強格といわれるだけはある」

弥生「考え過ぎ、です……」

提督「しかしこっちの表情でも笑わないということは勝負がつかない……ならば、言葉も交えるぞ」

弥生「もう会話しています……」

提督「……細かすぎて伝わらないモノマネ! 弥生だと知らずに悪戯を仕掛けた卯月」

弥生「……」

提督「イタズラだっぴょ~ん! ……あ、やよ……イタズラ大成功だぴょ~ん! ……ぴょん?」

ガシャーン

弥生「落ちていった……」

卯月「流石司令官だぴょん。悪戯した後に逃げていって、あの最後に弥生だと再認識して怒ってないか確認するところまで完璧に再現していたぴょん」

弥生「いつから見ていたの……?」

―執務室―

提督「滑っても良いように廊下に細工をしておいて良かった。当たり前のように怒られたけど」

提督「あのままでは勝負の付きそうにも無かったからしょうがない」

下2

―酉の市―

阿武隈「今日は酉の市を楽しみに皆で浅草神社にやってきました!」

三隈「どうして説明口調?」

球磨「どうでもいいけど、提督はどこにいったクマ」

熊野「まさか早速迷子ですの?」

筑摩「提督なら、さっき熊手を納めに行くって言ってました」

阿武隈「熊手を、納めに?」

球磨「昨年もきちんと来ていたって事クマね」

熊野「わたくしには良く分からないのですけど……」

提督「買った熊手は一年後に納めに行くのが礼儀だ。もちろん、納めるのが無理なら捨てても構わないといえば構わないが」

三隈「いきなり置いていくなんてひどいです」

球磨「行くならちゃんと要件を言ってから行くクマ」

提督「すまんすまん」

阿武隈「でも、こんなに盛況なんですね。えっと、どういうお祭りなんですか?」

提督「簡単に言えば熊手を買って一年の縁起を祈る祭りだ」

筑摩「本当に簡単にまとめましたね」

提督「阿武隈にはこのくらいの方が良いかと思って」

阿武隈「私のこと馬鹿だと思ってませんか!?」

熊野「それでその、熊手?でしたか。どこで買いますの?」

提督「どこって、そこらにあるだろう。後ろにあるのもそうだ」

熊野「へえ、なるほどこれが……思っていたのよりきれいですのね」

筑摩「さすがこのお祭りの目玉ですね」

三隈「さっそく買います?」

提督「いや、まずは祭りを楽しんでからだ! 行くぞ!」

阿武隈「あっ、待ってください!」

筑摩「私も利根姉さんのお土産も見繕わないと」

球磨「球磨も妹達に何か買うクマ」

熊野「三隈、行きましょうか」

三隈「うーん、目移りしちゃう……」

~数時間後~

提督「へい店主! これ頂戴!」

店主「おおう、こりゃまたでっけーもんを欲しがるなぁ! 兄ちゃん、こりゃ相当なもんだぞ!」

提督「ほうほう、相当な物、いったい幾らだい?」

店主「そりゃほら、ゴニョゴニョ万円だよ」

提督「ほほう! そりゃとんでもない値段だ!」

熊野「え、それくらいですの?」

筑摩「熊野さん、少し値段の基準がずれてると思います!」

店主「いやいや! 連れのその審美眼は大したものだよ!」

熊野「当然ですわ!」

提督「……いやぁ、でもまいった! 今日は連れの分を用意していなかったせいで、皆の分これではこりゃあ厳しい! ちょいと店主さん、一つまけてはくれないかな?」

店主「確かにそれだけの連れを連れたなら足りるもんも足りなくなるかもなぁ」

提督「分かってるねえ! そこでひとつ提案なんだが、こちらにあるもっとおっきいもんだが、これをみんなの分として一つ欲しいと思うんだよ」

店主「なんと! ははあ、もしかして兄ちゃん、こっちの分をこの値段で買い取ろうというのかい?」

提督「そりゃあ流石に声がでかい! でも、ちょいちょいっと見れる値段にはならないか?」

店主「うまいねえ兄ちゃん! そうだなぁ、ならこのぐらいならどうだい?」

提督「それは眩しい! まだ全然眩しいよ! 其処からもう少しまけてくれたら、きちんと見れると思うんだ!」

店主「ええい、ならば一本さげてやろう! もう一声は聞かないぞ!」

提督「全然見れる数だ! ああ、そういえば店主さん、実はここにいる子はみんな艦娘で、名前に『クマ』が付く子なんだけれどね、この子達のためにとその熊手が手に渡れば、凄く縁起が良くなると思わないかな?」

店主「軍人さんだったか! しかも、そう言われちゃあ、しょうがない! これでどうだ、もってけドロボー!」

提督「ひゅー! さっすが店主! 気が利いてる、よっ、太っ腹!」

店主「まけたまけた! はっはっは!」

阿武隈「って、待ってください! これ本来の値段の半額以上じゃないですか!? 駄目ですって!」

球磨「阿武隈はいい子クマね。でも大丈夫クマ」

提督「んー……おっと、細かいものをもっていなかった! ならしょうがない、大きなものも含めて御祝儀として受け取ってくれい!」

阿武隈「えええ!?」

筑摩「上手いこと回ってるのねー」

三隈「くまりんこ分かりました! これがお互い気持ちよく祭りを楽しむコツなんですね!」

熊野「すごく珍しい光景だと思いますけれどね」

―執務室―

提督「やっぱ浅草の酉の市は賑やかだわ。みんなで行くならああいう場所もいいかな」

提督「まあ最後のがやりたかっただけで呼んだというのも嘘ではないが」

下2

―談話室―

望月「あー……炬燵出したんだ」

提督「ちょっと前からな。どうだもっちー」

望月「どうだって、入るところなくない?」

初雪「んー?」

加古「zzz……」

多摩「多摩はぜったいどかないにゃー」

提督「うーん、じゃあ膝の上にでも乗るか」

望月「膝? うーん……いいぞ」

提督「なら、ほらどうぞ」

望月「お邪魔しまーす。はー……」

初雪「みかんなら……ここ……」

望月「ありがと」

提督「つか、望月がここまで来るの珍しいな」

望月「漫画をここに忘れて……面倒だけど、たまには」

多摩「それ分かるにゃ。多摩もなんとなく良い事がある気がしたにゃー」

初雪「こたつ……みかん……」

提督「今年もまた大量に買って来てさ。ここに置いておけばだれか食べるかなって」

加古「まだ倉庫に一杯あるよね」

提督「起きてたのか。そういうわけで、みかんは好きに食べてもいいぞ」

望月「はーい」

多摩「でもこんなところでのんびりして怒られないにゃ?」

初雪「今日は何も無い……はず……」

加古「何かあれば古鷹が言ってくるはず」

提督「何かあっても逃げるのみ」

望月「あたしが言えることじゃないけど、大丈夫なのか……?」

提督「へーきへーき」

加古「この時間は何にも変えられないよ」

初雪「もっちーも……同じ、でしょ……」

望月「そうだけどねぇ」

多摩「こたつにみかん美味しいにゃ~」

提督「もはや使い古されたネタではあるが、同感だ」

望月「あたしも今日はここでだらだらしとこ……」

―執務室―

提督「気付けば日が落ちていたとは……なんというおそろしい時間だ」

提督「たまにはこんな日もあっていいね、とか秘書官に言ったらぶっ叩かれたけど」

下2

―庭―

提督「うーん、今日もいい天気だ。こんな日は何かいいことが起きそうな予感」

「提督! 提督!」

提督「ん? どこからか声が……」

「上よ、上!」

提督「上? ……何やってるんだ、千代田。木登りか」

千代田「好きで登ったわけじゃないから!」

提督「好きで登ったわけじゃないなら、どうしてそんなところに?」

千代田「い、いいません」

提督「そんなに恥ずかしい理由なのか……いや、なに。そういうときもある」

千代田「何か誤解してない!? 千歳お姉からもらったアクセサリーが木に引っかかっただけ!」

提督「なんでそうなったかが聞きたいが、まあいいか。アクセサリーが引っかかって、ねぇ」

千代田「降りられなくなって……は、はしごか何か持ってきてくれない?」

提督「いいぞ……っと、地震か」グラグラ

千代田「わ、あっ……!」

提督「千代……っ!?」ゴンッ

~~~~~~~~

千歳「あら」

提督「……」

千代田「」

千歳「千代田とお昼寝ですか。膝枕もしているなんて珍しいですね」

提督「昼寝っていうか気絶だけどな」

千歳「何かあったんですか?」

提督「まあ、少し」

千歳「……あの、私もいいですか?」

提督「いいって……ああ、昼寝か。別にいいぞ」

千歳「では、失礼します」スッ

提督「……ええと、どうして千代田の頭の位置を移動させたんだ」

千歳「私も膝枕をされてみたいです」

提督「酔ってる? 酔ってるよな?」

千歳「うふふ、どうでしょう。では、今度こそ失礼しますね」

提督「あー、もう勝手にしろ」

千歳「はい、勝手にさせていただきます」

千代田(千歳お姉が来てから起きてたけど、これどうしよう……)

千歳「……ふふ」

千代田(……お姉もうれしそうだから、今日のところはいっか)

―執務室―

提督「今日は日が照ってたからいいけど、寒くなってきたから外で昼寝はあんまりなぁ」

提督「……いやでも、風邪ひいても修復材で直ったりするのか? むう……」

下2

―提督私室―

アイオワ「あら、こたつじゃない」

提督「アイオワも入るか?」

アイオワ「ええ、失礼させてもらうわ」

提督「外は寒いもんなー」

アイオワ「それに、このこたつってのはいいわ。ニホンのワビサビを感じるの」

提督「ふーん、そういえばみかんを持って来てなかった……アイオワ、とって来るか」

アイオワ「ミカン……ええ、もちろんよ!」バッ

提督(アイオワ、問題無し)

~~~~~~~~

ビスマルク「それは……」

プリンツ「コタツ、ですね。もうそんな季節なんですね」

グラーフ「あれは恐ろしいものだ……」

レーベ「何かあったの?」

グラーフ「きっとアトミラールに無理矢理引きはがされなかったらずっと入り浸り続けていただろう……」

マックス「そういえば、春先までずっとこたつを出してましたね」

提督「そういえばそんなこともあったか。どうだ、入ってみるか」

グラーフ「いや……遠慮しておこう」

ビスマルク「私は……私は……!」


プリンツ「ビスマルク姉さま、動きませんね」

提督「完全に浸ってるな」

マックス「いえ、表情死んでますけど……ハマる人はハマる物なんですね」

~~~~~~~~

リットリオ「提督、失礼します」

提督「おう。今度はイタリア艦ね……」

ローマ「前にも誰かが?」

提督「いや、そんなことよりどうだ? 入っても良いんだぞ」

リットリオ「こたつ……これは駄目なものです」

ローマ「まあ、なかなか出られなくなりますよね」

リベッチオ「リベはけっこう好きだよ?」

ザラ「うーん、私もそれなりかなぁ」

ポーラ「お酒でもあったかくなれますよ~」

提督「へー、イタリア艦はこたつに耐性ありそうだな。リットリオ以外」

リットリオ「私だけ!? アクィラも危ないと思います!」

提督「そういやアキラはどうした? 五人居て一人だけってのも珍しいな」

ザラ「様子を見て来たんだけど、こたつに丸まって出ないって……」

提督「訂正、リットリオとアキラは駄目だな」

リットリオ「アクィラ程じゃ無いですよー!」

ローマ(こういうのをニホンのことわざで五十歩百歩っていうのね)

~~~~~~~~

ウォースパイト「失礼します……ごほっ」

提督「あれ、もしかして風邪か」

ウォースパイト「はい……すみません、今日の出撃なんですが……」

提督「分かった。ゆっくり休んでおけ」

ウォースパイト「はい……こほっ……」

提督「ちなみに、風邪ひいた理由はなんだ? そう簡単に風邪をひかないと聞いたが」

ウォースパイト「……」

提督「言いたくないならいいが」

ウォースパイト「その……こたつをつけたまま寝てしまって……」

提督「お前も引っ掛かるタイプだったか……」

―執務室―

提督「ビス子とグラ子にリットリオとアキラ、あとウォースパイトか」

提督「意外と少ないとみるべきか、ハマってる奴はがっつりとハマり過ぎてやばいとみるべきか」

下2

弥生「そういえば……どうしてにらめっこで一番を……?」

提督「いきなり来たかと思えばそんなことか。そうだな、あれはある風が吹くときだった」

~回想~

提督「ゆーちゃん、ここで一つ勝負をしないか」

U-511「勝負、ですか?」

提督「にらめっこといって、顔で相手を笑わせたほうが勝ちだ」

U-511「えと……?」

提督「やってみれば早い。にらめっこしましょ、あっぷっぷ!」

U-511「!? ふふっ……!」

提督「笑うの早いな」

U-511「突然そんな顔をされたら、笑っちゃいます。あはは」

初月「ふうん、ユーを倒したみたいだね」

提督「む、お前は初月!」

初月「ユーの次は僕が勝負だ。そう簡単にはいかないよ」

提督「俺だって、ゆーちゃんの屍を背負っているんだ。ここで負けられない!」

U-511「しかばね……あのあの、ユーは死んでませんよ」

初月「いくよ、提督」

提督「にらめっこしましょ」

初月「あっぷっぷ」

提督(……確かに、すごい顔力だ。だが、これが全力なら……!)

初月(!? 提督の顔がいきなり変わって……! この技は、繁華街のネオンサイン! これはさすがの僕も……)

初月「ぶふっ……はははははっ!!」

提督「勝った!」

響「二人に勝ったくらいで勝ち誇るべきじゃないよ」

提督「お前は……ロシアのぬいぬい!」

響「響と呼んでくれないかい。そう、にらめっこチャンピオンの響とね」

提督「にらめっこチャンピオンだと……!? いいだろう、相手にとって不足なし!」

響「その意気込み、青いね。所詮井の中の蛙だったということを教えてあげるよ」

提督「いくぞ、響!」

響「いいよ、受け止めてあげる」

~回想終了~

提督「あの時だけだ、俺が一瞬で破顔してしまったのは」

弥生「……嘘ですよね」

提督「さて、どうだろうな。意外と本当かもしれないぞ」

弥生「……ううん、聞いてきます」

バタン

提督「まあ、ゆーちゃんの時期と初月の時期を考えると嘘っぽいが」

提督「うちには便利な明石と夕張がいるからなぁ」

下2

―初春型の部屋―

提督「初春、ちょっとおもしろいことを思いついたんだ」

初春「面白いことってなんじゃ。不安しかないがの」

提督「そういうな、初春にユーモアをつけ足そうと思っているだけだ」

初春「いらぬ」

提督「遠慮はいらんぞ」

初春「これが遠慮だと思うのか」

提督「遠慮だったら押せばいいからな」

初春「悪いが、心の底からお断りじゃ」

提督「なら、上司としての命令ならどうかな?」

初春「そこまでして、その思い付きとやらを実行したいのじゃな……」

提督「その通りだ。さあこっちへ来るといい」

初春「なんという無理矢理じゃ……」

~~~~~~~~

初春「……なんじゃこれ」

提督「これぞ通称おでんユニットだ」

初春「おでんとは……」

提督「なんだ、おでんを知らないのか? おでんというのは……」

初春「そうではない!」

提督「ちなみにこのおでんユニットの利点はユーモアだけでなく非常食にもなる点でな」

初春「非常食を頭につけて出撃が本気でいいと思うのかや?」

提督「ほら、士気向上にも役に立つかも」

初春「立つわけないじゃろう」

提督「浮いてるから、戦闘中の目印になったり」

初春「目立つかは知れんが、あまりにも滑稽すぎるだけじゃろ」

提督「むむ、何が気に入らないというんだ」

初春「これを気に入る人なんているわけないじゃろう!」

提督「ええ!?」

初春「何を本気で驚いているのじゃ!」

提督「俺だったら頭につけてもいいと思うんだけどなー」

初春「……」ガサゴソ

提督「ちょっと、どこに電話をしようとしている」

初春「妾の手におえそうにない。貴様にとっての天敵を呼ぼうかと思うてな」

提督「天敵て、俺に天敵がいるわけ」

初春「……おお、秘書官の仕事の途中申し訳ないのじゃが」

提督「やめて! また無駄遣いしたって怒られる!」

―執務室―

提督「ちくわとこんにゃくで悩んで、せっかくこんにゃくにしたのに」

提督「……もしかして、ちくわの方がよかった!?」」

下2

―談話室―

提督「もう秋も終わりだし、読書に興じようと思う」

三日月「いいですね、読書。司令官はどんな本を読むんですか?」

提督「ドラ○もん」

初月「それは……読書なのか?」

レーベ「ねえ、僕が持ってきたのもマンガなんだけど、駄目なの?」

初月「駄目かと聞かれると……やはりありなのだろうか」

提督「本なら何でもいいだろう。読書とはなにも小説を読むことではなく、本を読むことで何らかの知識を蓄えるたり学んだりする事だろう」

三日月「例えばドラ○もんでどんなものがありますか?」

提督「自然に対する思い、未来への渇望、異種間での友情、仲間の大切さ、冒険のロマン」

初月「……提督が意外としっかりと見ていて驚いたよ」

提督「なんだ、いつもの奇行とでも思ったか。本に対しては敬意を払うぞ俺は」

レーベ「じゃあ、この本からはどんなことを学べると思う?」

提督「レーベが持ってきた本か。どれどれ」

『彼○島』

提督「別のにしなさい」

レーベ「えー」

~~~~~~~~

提督「……」パラ

三日月「……」

初月「……へぇ」ペラ

レーベ「……おー」パタン

提督「読み終わったか?」

レーベ「うん! ねえねえ、これって続きある?」

提督「全巻そろってるからあるぞ。どれ、ちょっと取りに戻るか」

初月「提督、そろそろ僕のも読み終わりそうなんだ。何かお勧めの本があれば持ってきてほしいんだけど」

提督「ああ。もしかしたら被るかもしれないから、何冊か持ってくるよ」

初月「ありがとう」

提督「三日月は特に何も無いか?」

三日月「……」

提督「あら、集中してら。まあ、初月用に持ってきた物から選べばいいか」

~~~~~~~~

三日月「……はぁー……」

提督「読み終わったか」

三日月「良いですね、恋愛……色々な恋の形があるって、素敵です……」

初月「一体何を見ていたんだい?」

三日月「えっと、恋愛小説のアンソロジーです。男性作家の話を集めたってありますね」

初月「そうなんだ。恋愛小説といえば女性のイメージがあるけれど」

提督「イメージとしてはそうかもしれないが、意外と沢山あるもんだぞ」

レーベ「……ねえ、僕も見せて貰っていい?」

初月「僕もちょっと気になるね」

三日月「は、はい、いいですよ。そのかわり、二人のオススメも教えてください」

初月「僕のオススメは向日葵の咲かない夏でね」

提督(うんうん、やはり読書会とはこうしてお互いの好きな小説を分かり合っていくというのも醍醐味だよな)

―執務室―

提督「久しぶりに読書をした気がする。やはり本は良いものだ」

提督「それが例え漫画でもラノベでも。本に貴賤は無い」

下2

―球磨型の部屋―

大井「おでんが出来ましたよ」

球磨「待ってたクマ」

多摩「アツアツにゃー……」

提督「まさか大井がご馳走してくれるとはな」

大井「北上さんがおでんを食べたいといったのですから、当然じゃないですか」

提督「当然て」

北上「何となく口にしただけなんだけどね~」

木曾「ま、いいじゃないか。飯は美味しいしな」

大井「当然じゃないですか。北上さんに美味しく無い物なんて食べさせられません」

提督「大井は一貫してるな」

球磨「さて、まずは何から食べようかクマ」

多摩「こんにゃくと大根を救出するにゃ」

提督「救出って何」

球磨「多摩は熱いの苦手だから、いつも熱が篭る物は早めにとってるクマ」

提督「猫舌ってやつだな」

多摩「多摩は猫じゃないにゃ!」

木曾「猫舌ってそういう意味じゃないぞ」

北上「でも聞いた話だけどさー、猫舌ってただのわがままらしいよ」

提督「ほー、まさか北上からそういう豆知識が聞けるとは」

大井「は? 北上さんを侮っているんですか?」

提督「いやいや、ただ珍しいってだけだから」

多摩「別に多摩はわがままじゃないにゃ」

北上「えーっと、なんでそう言われてるんだっけ?」

大井「舌の先は熱さを感じやすく、奥は感じにくいんです。だから、ただ舌の使い方が下手くそで、我慢が出来ないってだけなんですよ」

北上「そんな感じ」

提督(なんだ、やっぱり大井が知ってただけか)

多摩「でも、熱い物を食べると舌がひりひりするにゃ」

球磨「それならただのやけどクマ」

北上「猫舌って火傷になりやすいんじゃないの?」

球磨「猫舌は熱さを感じるかクマ。火傷は猫舌じゃなくても起こるし、なりやすさは関係無いクマ」

北上「そうなんだ。大井っちよりも物知りだね」

大井「!!」ガーン

提督「なんだか大井がすごくショックを受けてる」

木曾「いつもどおりだな。さて、そろそろ食べ始めるか」

提督「そうだな」

―執務室―

提督「おでんは美味しかった。作った本人は寝込んだけど」

提督「球磨はあれで意外と物知りだからなー。いや、なんでそんな知識あるんだろう……」

下2

比叡「司令! さんまカレーですよ!」

提督(何言ってんだこいつ)

比叡「あれ、反応ないですね」

提督「反応ないって、お前普通のカレーすら作れないのに、なに派生料理作ってんの」

比叡「なっ! いくら司令といっても聞き捨てなりませんね。あれから私も金剛お姉様やファンのみなさんの為に練習したんですよ!」

提督「比叡の料理のファンって、研究職とか、人生に絶望している人とかか」

比叡「えっと……?」

提督「すまん、伝わり難い例えだったな……」

比叡「え、え、どうして悲しい顔で見てくるんですか!?」

提督「……まあ、一応どんな劇物なのか拝見させてもらおうか」

比叡「劇物って、その言葉、後悔しますよ!」

提督(させて欲しいなぁ)

比叡「はい、これが比叡特性さんまカレーです!」

提督「うっ……う? あれ、普通?」

比叡「当たり前じゃないですか!」

提督「色も紫ってことはないし、変な粘りもない。……刺激臭がするわけでもない。ペロ……これは普通のカレー!」

比叡「ふふーん! 私だってやる時はやるんですよ!」

提督「これは吃驚仰天、驚天動地、大驚失色だわ……」

比叡「意味は良く分かりませんけど、とんでもなく驚いているのは分かりました!」

提督「ここまでちゃんと作られているのなら食べられ……ん?」

比叡「どうかしたんですか?」

提督「なんかでかい物が……おい、これ」

比叡「さんまですね」

提督「それは見ればわかる。そうじゃなくて、なんでそのまま入っているんだ」

比叡「? さんまカレーですから」

提督「……そもそも、さんまカレーをどこで知った」

比叡「知った? いえ、あの時のさんまが余っているので、入れたらおいしくなるかなと思って」

提督「しかも大分前の奴かよ! 腹壊すわ!」

比叡「ではどうぞ、司令。きっと美味しいですよ!」

提督「味見もしてないんかい! 誰が食べるか!」ダッ

比叡「あっ、司令! どうして逃げるんですか!」ダッ

提督「絶対食べんぞ!!」バッ

パリーン

比叡「窓ガラス割って逃げるほどですか!?」

~~~~~~~~

提督「ふう、嵐は去ったか」

提督「今回のは普通に腹を壊しそうなものだし、絶対に食べるのはごめんだ」

下2

ところで秋イベ新艦娘はいつから使ってもいいのかな?

―母港―

海風「今日も風が気持ちいいですね……」

<ロー

海風「……? なんだか後ろの方から音が……」

「コッチヲミロー!」

海風「ひゃっ!?」

ドゴーン

~~~~~~~~

江風「ってことがあって」

提督「ラジコンでぶつかって気絶ねぇ……最後の効果音的に爆発しただろ」

江風「ばれたか」

提督「元ネタ的にそうだろうし……あと台詞は正しくは『コッチヲ見ロッ!』だぞ」

江風「元ネタ? 夕張さんから渡されたものだから、よくわかんないんだけど」

提督「はあ、じゃあ誤植か。そうだ江風、この後遠征だぞ」

江風「そうだっけ。あー……じゃあ、姉貴は提督に任せる」

提督「任せるって。しょうがない、後はやっておいてやるから、遠征の方は頼んだぞ」

江風「ん、改白露型駆逐艦江風、出るぜ!」

―白露型の部屋―

提督「他の奴はいないか。そういえば、新しく姉妹が着任するから歓迎の準備とか言ってたっけ。とりあえず、海風はベッドに寝かせて」

海風「……」

提督「放っておくのは……はばかられるな。原因のやつもジョークアイテムだろうし、大丈夫だと思うけど」

海風「……」

提督「……」

海風「……」

提督「起きてるだろ」

海風「……気付いてましたか」

提督「唾をのみ込む動作。結構有名だぞ」

海風「う……さすが提督ですね。気付いたときにはお姫様抱っこをされていたので、起きるに起きれなかったんです」

提督「ま、でも謎の爆発をくらったみたいだし、今は寝ておけ」

海風「はい……」

提督「どんな子が来るかわからんが、あんまり無茶はするなよ」

海風「あれ、提督はいきなりドライブに行ったって噂とかありますけど」

提督「すみません」

海風「本当だったんですか……」

提督「あー、何か欲しい物があれば持ってくるぞ? してほしい事でもいいぞ」

海風「雑な話題の変え方ですね。でも、こうして何かしてもらうということが今までなかったもので……」

提督「じゃあ、何か思いつくまでここにいてやろう。暇つぶしに話しでも交えながらな」

海風「提督……ありがとうございます」

>>921 情報が揃い次第いつでもいいです。特徴が掴めない内はまったく会話に混ざらないということもあるかもですが



―執務室―

提督「そういえば今回の着任で白露型は十人か……」

提督「改白露型で部屋分けようか。うーん、本人達がいいならいいか」

下2

―談話室―

提督「ふーん、色々あるんだな」

熊野「あら、何を見ていますの?」

提督「熊野か。いや、ちょっと雑誌が置いてあってな」

熊野「提督はそういうのお好きなんですね」

提督「いや、どちらかというと実物を見て決める派だな」

熊野「でも、通販の方が楽でしょうに。オーダーメイドとかいかが?」

提督「オーダーメイドって滅茶苦茶お金かかるだろ」

熊野「その分いいのが作られますのよ」

提督「なんつーかお金持ちの思考だな」

熊野「なっ」

提督「まあいいや。いろいろ見ていたんだけど、意外と調理器具が良くてな」

熊野「そうなんですの」

提督「特にこの包丁十種類セットが気になってるんだ」

熊野「十種類? 包丁って包丁じゃありませんの?」

提督「お前、一種類しか無かったら麺を切るのも綺麗じゃ無くなるし、果物切るのも難しいし、魚を切るのも大変だぞ」

熊野「どういうことです?」

提督「牛刀、出刃包丁、麺切、ペティ……まあ、色々な種類があるんだ。それぞれに適した包丁がな」

熊野「はぁ、なるほど……」

提督「ある程度はそろってるから様子見するが……ん、お、重曹安いな。これは買っておこう」

熊野「重曹って工廠にありますけど、あれじゃいけませんの?」

提督「あれを口にするのは止めておいた方が良いだろう」

熊野「それは当り前ですわ……つまり、提督は重曹を食べるつもりでお買いに?」

提督「もちろん」

熊野「……」

提督「お前今度から手作りのパンやケーキを食べるの禁止な」

熊野「どうしてですの!」

提督「重曹はお菓子とかに入れるとふっくらさせる効果があるんだ」

熊野「初めて知りましたわ……」

提督「馴れてきたって言っても、まだまだお嬢様だなぁ、熊野は」

熊野「いえ、そういう知識はお嬢様じゃなくても知らないと思うのですが」

―執務室―

提督「え家にあるのはだいたい万能包丁とかみんな知ってると思うんだけどな……」

提督「重曹に関しては、仕事柄勘違いしている奴も居るかもしれないけど」

下2

―談話室―

霧島「そんなことがあったんですか。比叡お姉様も困りものですね」

提督「だろ。霧島からも言っておいてくれよ」

霧島「比叡お姉様は言い出したら止まりませんからね……」

木曾「お、提督と霧島か。なんだ、お喋りちゅうか」

提督「霧島と姉についてな。そういや木曾も末っ子か。姉のことで何か困った事ってあるか?」

木曾「姉か……強いて言えば、最近夜がうるさいことか」

提督「川内関連じゃなくてか」

木曾「ああ、大井関連でな」

霧島「夜がうるさい……も、もしかして?」

木曾「期待と違って悪いが、どこかで買って来たカメラでな……」

提督「あー、想像できる」

霧島「行くところまで行ってますね……」

提督「で、そこにいる羽黒も何か面白い話とか無いか?」

羽黒「わ、私ですか!? そ、そうですね……景気づけ、気力あげのために、お酒を飲んでいる事でしょうか……」

霧島「いいじゃないですか。私の所でも、金剛お姉様が紅茶を振舞ってくれますよ」

木曾「俺のところはいつも通りだな」

提督「羽黒、それの何が問題なんだ?」

羽黒「……三人共、この前泥酔しちゃいまして、部屋が……」

提督「妙高までもか! ちょっと待てよ、そういえばいつしか響がウォッカを大量に持っていたが……そうでもないと、妙高が飲み過ぎるとは……」

羽黒「そ、そこまでたいした話でもないですよ? ただ、三日ぐらい部屋に入れなかっただけですから」

木曾「こっちも前にそうなりかけたことがあったような気がするな」

霧島「比叡お姉様がなにかしでかせば、私達の部屋も入れなくなるかもしれません」

提督「うちの鎮守府じゃ日常茶判事だな」

羽黒「で、ですよね」

阿武隈「そんな日常はあたし的に嫌なんですけど……」

提督「ほほう、じゃあ阿武隈は……やっぱいいや」

阿武隈「どうして!?」

提督「メンバー考えたらそんなに面白い話無いなって」

阿武隈「酷いです提督!」

提督「まあ、なんだかんだシスコン集団に負けないくらいには話題はあるよな」

霧島「シスコン集団って……言い得て妙ですけど」

木曾「俺のところは確かに話題が尽きないな」

阿武隈「あたしも! あたし……はでも運動の事が半分くらいですけど……」

羽黒「確かに話題はありますけど、あまり話せる内容では……」

提督「……濃さがあるよな! シスコン集団に負けないくらい!」

霧島「それフォローになってないです。いえ、認めますけど」

木曾「こっちもアレと一緒にされるのは勘弁して欲しいんだが」

羽黒「いい姉なんですよ! お酒が絡まなければですけど……」

阿武隈「改二になったのに相変わらずついていくのがやっとで……うー……」

提督「それ一つで凄く分かりやすい反応だな」

―執務室―

提督「しかし、こうしてみると……姉妹は見事に常識枠とツッコミ枠とトラブルメーカー枠がいるよな」

提督「三姉妹のところは何故か偏ってる場合が多いが……」

下2

―食堂―

提督「語尾つけてキャラ付って間違ってる気がするんだよ」

秋津洲「それってあたしに言ってるかも?」

提督「もちろん秋津洲だけではない!」

球磨「今食事中クマ。静かにするクマ」

多摩「にゃー」

提督「そうだな。……とでもいうと思ったか!」ガシャーン

秋津洲「テーブルひっくり返したかも!?」

提督「大丈夫だ。俺のは食品サンプルだから」

秋津洲「あたしのはひっくり返ったかも!」

提督「……うるさい! 今はとにかくこの話題についてだ!」

秋津洲「無茶苦茶かも」

提督「というわけで、ここにサンプルを用意した」

球磨「サンプルクマ?」

提督「へいサンプル!」

卯月「はい、お呼びですか」

秋津洲「!?」
球磨「!?」
多摩「?」

提督「うーちゃんは俺の尽力によりあるべき姿を晒したのだ」

球磨「どう考えても魔改造だクマ!」

秋津洲「絶対に間違いかも!」

提督「何を言う。このうーちゃんをみろ!」

卯月「私は睦月型駆逐艦四番艦の卯月です。以後お見知りおきを」

提督「ちゃんとキャラが立っているだろう」

球磨「あくまで今までの対比でキャラが立ってるだけクマ!」

提督「ふっ、そんなことはない。卯月だって黙っていれば十分美少女だ。これはこれで強烈な個性を手に入れていると言えるだろう」

卯月「もう司令官ったら、一言余計ですよ♪」

球磨「はぁ……頭が痛くなったクマ……部屋に戻る……」

多摩「あっ、待つにゃー」

提督「さて、秋津洲はどうだ?」

秋津洲「あ、えーと……あたしも頭が痛いから休むかも……」


提督「……ふむ、そろそろいいぞ」

卯月「ぴょーん! ぷっぷくぷ~……はぁ、なんだか疲れたぴょん」

提督「でも面白い反応が見れただろう」

卯月「あれはしれーかんの勢いに押されただけぴょん……」

提督「なんだ、すっかり去勢されているようだが」

卯月「ぴょんを封印されただけで、なんだか、うーちゃんとしての存在が薄れていくような感じがしたぴょん……」

提督「……な、なんか悪かったな。ゆっくり休め」

卯月「ぴょん……」

―執務室―

提督「なんだろう、キャラにとって語尾って大事なものなのかもしれんな。アホ毛も生きてるって話があるくらいだし、生命にかかわる弄りは極力やめておくか」

提督「……あ、ひっくり返った料理はスタッフがおいしくいただきました。結局大層怒られたけど

下2

―雲龍型の部屋―

提督「四人で囲むこたつってのもいいよなー」

天城「そうですね」

雲龍「……」

葛城「みかんもって何やってるの、雲龍姉……って」

雲龍「たわわチャレンジ」スッ

葛城「乗った……!」

天城「はしたないですよ、もう」

提督「そもそも、たわわチャレンジってなんだ?」

雲龍「ツイッターで有名な試みです」

天城「雲龍姉様がやっているように、こう、胸の上に携帯などをおくような遊びなんです」

提督「ふーん。雲龍はチャレンジ成功だな」

雲龍「天城もやってみる?」

天城「え、それは……」

提督「やってみればいいんじゃね。何の問題も無いと思うけど」

天城「そうでしょうか……?」

提督「やれやれー」

雲龍「やれやれー」

天城「姉様まで……で、では携帯で……」

提督「おー、天城もきちんと乗っているじゃないか」

雲龍「我が妹ながら素晴らしいわ」

天城「そ、そうでしょうか……」

雲龍「提督もやってみます?」

提督「俺? ははは、じゃあやってみようかな。それ」ゴスッ

天城「もう、出来るわけ無いじゃないですか」

提督「そりゃそうだ」

雲龍「仰向けになれば……」

提督「それ、たわわじゃねーだろ」

雲龍「ですね」

天城「……あれ、そういえば葛城は」

葛城「ブクブク」

天城「!!? ふ、二人共! 葛城が泡を吹いて倒れてます!」

雲龍「えっ」

提督「……まさか、二人のたわわを見てそれほどまでにショックを受けたのか」

―執務室―

提督「たわわチャレンジは恐ろしいな。轟沈の可能性も秘めている」

提督「ま、まあ鎮守府内で流行っているわけでもないし大丈夫でしょう」

下2

―談話室―

提督「――みないな話をしてな」

最上「姉妹にもいろいろあるんだね」

高翌雄「でも楽しそうですね」

提督「二人ともそういうのは無いのか?」

最上「僕の所はそれぞれに趣味があるからね。姉妹での関わり、というとそこまではないかな」

提督「仲良さそうな鈴谷と熊野でもギャルっぽいとお嬢っぽいだもんなー」

高翌雄「そういう意味でしたら、私の所もですね。仲は勿論良好ですけど」

提督「二人共面白い話題ないのかー。まあ比較的真面目組だもんな」

最上「比較的、というのがどういう意味かは聞かないでおくよ」

提督「と、すると……そこの置いてあるおやつをこっそり取ろうとしている阿賀野さーん!」

阿賀野「はっ、はうっ! なんでしょうか!」

提督「そっちも四姉妹だよな。何か面白い事無いの?」

阿賀野「ええ、阿賀野型は優秀なんだよ。そんなこと、あるわけないじゃない、ふふん」

提督「……」
高翌雄「……」
最上「……」

阿賀野「どうして三人共疑惑の目で阿賀野を見るの?」

提督「はあ、阿賀野型は優秀については否定はしない。が、もう夜なのにお菓子を食べようとするのはいかがなものか」

阿賀野「……の、能代達はちゃんと優秀だもん!」

最上「自分を外すことに抵抗は無いんだね」

高翌雄「馬鹿め…と言って差し上げますわ」

―談話室―

提督「――みないな話をしてな」

最上「姉妹にもいろいろあるんだね」

高雄「でも楽しそうですね」

提督「二人ともそういうのは無いのか?」

最上「僕の所はそれぞれに趣味があるからね。姉妹での関わり、というとそこまではないかな」

提督「仲良さそうな鈴谷と熊野でもギャルっぽいとお嬢っぽいだもんなー」

高雄「そういう意味でしたら、私の所もですね。仲は勿論良好ですけど」

提督「二人共面白い話題ないのかー。まあ比較的真面目組だもんな」

最上「比較的、というのがどういう意味かは聞かないでおくよ」

提督「と、すると……そこの置いてあるおやつをこっそり取ろうとしている阿賀野さーん!」

阿賀野「はっ、はうっ! なんでしょうか!」

提督「そっちも四姉妹だよな。何か面白い事無いの?」

阿賀野「ええ、阿賀野型は優秀なんだよ。そんなこと、あるわけないじゃない、ふふん」

提督「……」
高雄「……」
最上「……」

阿賀野「どうして三人共疑惑の目で阿賀野を見るの?」

提督「はあ、阿賀野型は優秀については否定はしない。が、もう夜なのにお菓子を食べようとするのはいかがなものか」

阿賀野「……の、能代達はちゃんと優秀だもん!」

最上「自分を外すことに抵抗は無いんだね」

高雄「馬鹿め…と言って差し上げますわ」

提督「でも実際阿賀野の妹達はしっかりしてるよな。姉より」

阿賀野「そんな強調しなくても!」

高雄「でも、私も二人の妹が改二になっているので、理解は出来ますよ」

提督「そういえばそうか。やっぱ、姉としては複雑か」

高雄「いえ、妹が皆さんのお役にたてているのに、誇りに思わない以外ありませんわ」

阿賀野「うんうん、やっぱりお姉ちゃんはそう思うよね。妹が良く出来た子なら、嬉しい以外ないよね」

提督「阿賀野は改二とか関係無いんだし、もっとちゃんとするべきだろう」

阿賀野「提督さん、人には向き不向きがあるんだよ」

提督「阿賀野に諭されるとなんか自分もダメ人間のように感じて来るよ」

―執務室―

提督「姉より優れた妹もいっぱいいるよな。逆もまた多いと思うけど」

提督「やっぱ、色々な姉妹があって面白いよな」

下2

―大鳳の部屋―

提督「そろそろ年賀状の時期だな」

大鳳「そうですね。提督は誰かに送るんですか?」

提督「そりゃあ、家族やら友人、はたまた気を使うべき人物とか」

大鳳「大変そうですね」

提督「そういうわけで、書道の道具を準備した」

大鳳「書道、ですか?」

提督「筆で書くとなんかそれっぽいだろ。気持ちが篭っているような感じがして」

大鳳「それを言うと台無しですけどね」

提督「大鳳もどうだ?」

大鳳「私もですか。はい、新年の書初めもありますし、少し書いてみましょうか」

提督「書初めか、書く文字は決まっているのか?」

大鳳「いえ、まだですね。でも、練習ついでに考えてみます」

提督「だな。さて……」ズリズリ

大鳳「固形墨ですか。なかなか本格的ですね」

提督「本番用ならもっといい墨を使うけどな。大鳳も使うか?」

大鳳「いえ、自分用がありますので」

提督「そっか。なら俺も今年の初もうでの文字も考えてみるかな」

大鳳「年賀状はいいんですか?」

提督「筆と墨の確認もしておきたいから、今はいいの」

大鳳「そうですか」

提督「さて、書初めは一年の抱負を書くという。まずは望みを書いてみればいいんじゃないか」

大鳳「……」

『幸運』

提督「あぁ……切実だな」

大鳳「はい……」

提督「じゃあ俺は……」

『勝利』

大鳳「なるほど。それもまたいいですね」

提督「だろう。しかし、大鳳も字が上手じゃないか」

大鳳「提督こそ。意外と基本をしっかりと押さえていますね」

提督「そうでもない。久しぶりに書いたせいか、字のバランスが悪いからな」

大鳳「なるほど、提督から見れば、これでは十分ではないと……私ももっと精進しなければ」

―執務室―

提督「ふう、今回は真面目に書いてしまった」

提督「……隣で切実な願いを綴っている人が居たら、そりゃあねえ」

下2

提督「黙祷」

扶桑「……」

山城「……」

大鳳「……」

陸奥「……」

瑞鶴「待って」

提督「なんだ、どうかしたのか」

瑞鶴「それはこっちのセリフなんだけど!? 雪風も状況がわからなくて目を白黒させてるわよ!」

雪風「ゆ、雪風は沈みません!」

初霜「沈むような場所じゃないですよ!」

提督「ふむ、一応説明をすると、かくかくしかじかなことがあってな」

瑞鶴「それ久しぶりに聞いたわね……でも、だいたい分かったわ」

初霜「でも、私達にお願いしても運を分けることはできませんよ?」

扶桑「それでも、叶えたい願いがあるの」

大鳳「私に足りないものは多くあります。幸運は、もっとも足るものです」

陸奥「わらにもすがりたい気持ちってあるわよね」

瑞鶴「辛い! ここまで本気で願われるとそれはそれで辛い!」

山城「はっ、苦しみを感じているということは、もしかして幸運を吸い取れているのでは!」

大鳳「なんだか、運が良くなってきているような気がしてきます」

陸奥「もっとよ! もっと思いに力を籠めるの!」

瑞鶴「なんだか目が怖いんだけど……提督さん、なんとかしなさいよ!」

提督「しょうがないな……雪風、これをもって、この紙に書いてある手順通りに言ってあげてくれ」

雪風「はい!」

初霜(大幣ですね。自分で作ったんでしょうか)

雪風「高天原に神留まり坐す――」

扶桑「あ、あぁ……」

山城「心が洗われるようだわ……」

大鳳「……」

陸奥「これで来年は安泰ね」

瑞鶴「……変な始めかたせずに、初めからこれをすればよかったんじゃ」

~~~~~~~~

提督「雪風にはご褒美に間宮券をプレゼントしておいた。一週間分くらい」

提督「いや、不幸艦じゃないけど、なんか効果出そうな感じあったし……」

下2

提督「真冬の北方航海は危険がつきまとう」

霞「すごく今更な話ね」

提督「普通の航海であれば、海氷をさけ、流氷に気を付けなければならない」

霞「そこは問題無いわ。船と違って私達は小回りが利くから」

提督「さらに磁気嵐も無視できない要素だ」

霞「そこは妖精さんの謎テクノロジーで効果は受けないわよ」

提督「……急な気候の変化や霧の多さはさすがに嫌だろう!」

霞「まあ、そこは……」

提督「ほーれみろ! やっぱり冬場は危険なんだ!」

霞(相変わらずこいつのこういうところはうざいわね)

提督「よーし、今から皆にも話に行くぞー!」

霞「……今回はまだマシかしらね」

―食堂―

提督「そういう訳で、冬の海は気を付けてくれ」

大鳳「……どうしてそれを私に」

提督「最近特に運が悪そうだから」

大鳳「否定はしませんけど、図星なだけにすごく喧嘩を売られている気分です」

提督「そんなことはない。ただ純粋な気持ちで注意を促しているだけだ」

大鳳「確かに、北方の流氷にはたまに当たることがありますから、気を付けなければなりませんけど」

提督「だろ」

瑞鶴「あら、提督さんと大鳳じゃない。二人で食事?」

大鳳「はい。あ、ここいいですよ」

瑞鶴「ありがと」

提督「瑞鶴も冬場の北方は気を付けろよ」

瑞鶴「いきなり何の話よ。でも、氷が流れて来たりすることは確かにあるわね」

提督「足を取られると危険だから、気を付けろって話だ」

瑞鶴「氷が流れている場所で戦いなんてほとんど起きないわよ。相手も避けるわけだし。それでも接触するのはルートを間違えたか運が悪いくらいのものじゃない?」

提督「ふうん、ルートか、運ねぇ」

大鳳「……」

瑞鶴「そういえば、この前北方海域に行ったとき、オーロラが見えたの!」

提督「へえ、良かったじゃないか」

瑞鶴「ええ、そこまで観測されるものじゃないから、運が良かったわ」

提督「へえ……」

大鳳「……」

提督(ここまで運の話をされたことについても運が悪いと言うべきか)

大鳳(やはり来年は開運を願うべきですね……)

~深夜・母港~

提督「なーんて、やっぱオーロラの話をしたら見たくなるよなぁ! というわけで、誰も見ていない内にボートに乗り込んで……」

提督「……」

提督「なんだ、何かがいつもと違うような……」


―執務室―

霞「もしかして気付いた? このまま戻ってくれれば何もしないんだけど」

夕張「いえ、提督でしたらそのまま行きますよ。提督でしたらね」

明石「念押しの意味は分かるんだけど、変な信頼よね」

霞「……はぁ、二人共、あれを」

夕張「はい! ボートの自爆スイッチです!」

明石「このために周囲の物を片付けておいたんだけど……気付いてもやっぱり行くわよね」

霞「はい、ぽちっと」




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              ノi|lli; i . .;, 、    .,,            ` ; 、  .; ´ ;,il||iγ
                 /゙||lii|li||,;,.il|i;, ; . ., ,li   ' ;   .` .;    il,.;;.:||i .i| :;il|l||;(゙
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                 ゙゙´`´゙-;il||||il|||li||i||iiii;ilii;lili;||i;;;,,|i;,:,i|liil||ill|||ilill|||ii||lli゙/`゙
                    ´゙`゙⌒ゞ;iill|||lli|llii:;゙|lii|||||l||ilil||i|llii;|;_゙ι´゚゙´`゙
                         ´゙゙´`゙``´゙`゙´``´゙`゙゙´´






<ナンジャコリャー!!


夕張「あ、提督が空高く舞っていますね」

明石「多分大丈夫でしょ」

霞「普段なら見逃すけど、流石に作戦中は許されるわけ無いでしょうに。ほんとバカなんだから」


例において最後が雑ですみません。

明日また立ててきます。
1000ネタはいつもどおり何でもありの夢落ちで

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