提督「深海棲艦鹵獲命令」 (35)


提督「マジクソッスわー……ふふぁー」

大淀「ちょっと、机に灰落ちてますよ」

提督「だってぇー、また無茶ぶり飛んできたんだぜー」

大淀「無茶ぶりですか?」

提督「おう……あ、落ちる落ちる……灰皿どこよ?」

多摩「ほれ」

提督「え、なんで机の下にあったの?」

多摩「落ちてたにゃ。溜まってた吸殻と灰を片付けたの誰だと思ってるにゃ」

大淀「私ですよ」

提督「ありがとう多摩」

多摩「かまわんにゃ」

大淀「私ですよ!」

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―――

大淀「で、改めましてなにがあったんですか?」

提督「よーしよしよし。相変わらずたまご肌だなぁ」

多摩「んあぁぁ……」

大淀「ちょっと、聞いてください」

提督「んー、多摩そろそろ終わりだって」

多摩「もうちょっと撫でろにゃ。撫でながらでも話はできるにゃ」

提督「あいあい」

大淀「はいはい。仲がいいのはわかりましたから」

提督「じゃあささっと言われた事を言うとな。深海棲艦捕まえろって言われた」

大淀「……はい?」


提督「ほら、最近さ。陸の連中が艦娘のパチモンみたいの作ってるじゃん?」

大淀「あー陸娘とか武器娘とか言う奴ですね」

多摩「戦車とかヘリとか色々居るって聞いたにゃ」

提督「でな? その娘ら使って陸の敵であるマグマ軍を鹵獲したりしてるみたいなんだよ」

多摩「知ってるにゃ。まともに会話できないらしいにゃ」

提督「まぁなんにせよ、今までお荷物だったぶり返しじゃないけど。
    調子こいててさ。こっちの上に『三年以上やってて深海棲艦の一体も鹵獲できないんですかー?』って」

大淀「それで売り言葉に買い言葉で深海棲艦鹵獲しろって命令が来たんですね」

提督「そう。海上と陸上じゃルートとか難易度も違うってのに……」

多摩「で、どうするにゃ?」

提督「命令が来た以上一応は作戦を行わないといけないし」


大淀「目標は?」

提督「流石にイ級とか連れてきてもなぁ……可能かどうかは置いといて
    同じ連れてくるなら最低限会話が可能なクラスが望ましいな」

多摩「姫とか鬼とかにゃ?」

提督「そうそう」

大淀「単純に厳しくないですか? そういう強力な個体を倒さず逃がさず連れてくるのは」

多摩「そういう連中は奥地に居る事が多いしにゃ」

提督「ま、その辺は実働部隊と話し合って決めよ」

大淀「誰にやらせるんですか?」

提督「そりゃ単純に練度高い奴から選抜する」


―――

提督「悪いな急に呼び出して」

川内「どしたの? メンバーの選出からしてなんかもう嫌な予感するんだけど」

龍驤「せやねん。自分で言うのはあれやけど、めっちゃガチやん」

提督「実はな、深海棲艦を捕まえてきて欲しくて」

蒼龍「捕まえる……って捕虜にするって事ですか?」

提督「そうだ。陸の連中と張り合ったというか、挑発に乗った上の連中からの命令でな」

扶桑「わかりました。提督の為に頑張りたいと思います」

龍驤「ちょ、流石に甘いんちゃうか? そんなさっくり……」

大淀「ちなみに捕獲対象は姫級もしくは鬼級で、とのことです」

霞「はぁ!? 普通に倒すのも面倒な相手に手加減して捕まえろっての!?」

提督「まぁできたらで構わないんだ。無理はしないでくれ。
    あくまでも命令がきたから最低限行動を起こそうってだけだからさ。
    勝利条件は普段通り、サブミッション程度に考えてくれ」

足柄「ちなみに実際に捕まえることできたらなにか報酬があったりするの?」

提督「俺にできる限りの事はしよう」

大淀「大本営からも特別報奨がでますので期待してください」

霞「はぁ、仕方ないわね。期待しないでよね」

川内「よっしゃー、夜戦だ夜戦だー」


龍驤「……一個聞いてもええかな?」

提督「なんだ?」

龍驤「仮に、深海棲艦をうちらが捕まえたとして。どないすんの?」

大淀「まぁ『こっちも深海棲艦捕まえたぜーふふーん』で終わるわけはないですよね」

提督「そうだな。そもそも陸の連中がマグマ軍をどうやって従わせてるのかもこっちは知らないからな」

足柄「……戦争してる相手にこういうのもおかしな話だけど解剖とかそういうのは……」

霞「任務はこなすわ。でも、あんまり乗り気にはなれないわね」

蒼龍「どうなんですか提督? できれば、聞かせてもらいたいんですけど」

提督「安心しろ、とは言えないが。一応ウチで預かる形になる筈だ」

川内「そんなの大丈夫なの」

提督「結局はさ上の連中が陸と張り合ってるだけだ。
    だから無茶ぶりに対して俺も流石に色々と条件を出してな、
    実際に深海棲艦を鹵獲した場合その所有権をもらえるようにしてもらった」

大淀「そもそも陸がどうやってマグマ軍を従わせているのかも不明ですし、
    そのやり方が深海棲艦にも通用するとも思えませんから下手に内地に送るわけにもいきませんしね」

多摩「ま、提督は常にみんなの事を考えてくれてるにゃ。
    元々急な無理難題にできる限りで対応した提督はよくやってると思うにゃ。
    それに余裕があって可能なら、と任務の条件も緩いにゃ。頑張っていこーにゃ!」

提督(……なんで多摩が締めた?)

大淀(久しぶりにしゃべったと思ったら仕切り役を盗られた上に〆られました)


―――

提督「……でさー、なんでこうなった?」

北方「……かえれ!」

提督「俺の居場所だよ。居させてくれよ、むしろそっちが帰ってくれよ」

港湾「わざわざ来てあげたのにその言い分はどうなの」

軽巡棲鬼「お腹減った」

駆逐棲姫「……」

提督「……誰か説明!」

霞「……川内さんパス」

川内「え、うそん。……足柄さんにタッチ」

足柄「からの龍驤ちゃんに流し」

龍驤「……え、じゃあ」

扶桑「えんがちょ切りました」

蒼龍「エッピーバリア!」

龍驤「……マジか」

提督「誰でもいいからはよ」


―――

 港湾「……久しぶりね。少し変わったかしら」

 マグマ軍近衛兵「変わった……か。だとしたら人間共の影響かも知れんな」

 港湾「人間の?」

 近衛「最近多くの兵が鹵獲されてな、戦場で敵として現れる事も多々あるんだが。
     はて洗脳でもしているのかと思い、潜入し調べてみたんだが」

 港湾「危ない事をするのね。一歩間違えば貴方の命もなかったでしょうに」

 近衛「私もそう思っていたが、実際その心配は無駄だった」

 港湾「どういう事?」

 近衛「知ってるか? 人間に鹵獲された我々がどんな扱いを受けているのかを」

 港湾「……」

 近衛「週に一度休みがあって毎日三食色んな地域の食事がでるんだぞ!?」

 港湾「なっ!?」

 近衛「布団は柔らかく、娯楽も多い……修理も早いし友達もたくさんできる!」

 港湾「そ……そんな夢みたいな話が……!」

 近衛「それを知ったらな……やる気がなくなってしまってな。
    今では侵攻してきた奴らに上手いこと捕まえてもらえないかとそればかり考えて――
    あっ! ツングースカ! 勝手に歩兵を喰うな!」

 港湾「……」

―――
――


港湾「というやり取りがあって」

龍驤「要するにこっちが捕まえるまでもなく向こうからやって来たんや。どないせいっちゅうねん」

提督「えー……」


【と言うわけで】

提督「鹵獲命令改め交流命令」

大淀「上層部はおかしいのではないでしょうか? どうですか、抗議の電文でも飛ばします?」

提督「まぁまぁ、それで変にこじれても面倒だしさ。心配してたような事にはならないようだしいいじゃないか」

多摩「だにゃー。それに……」



霞「あーもう! ポロポロ落っことして汚いわね! んーしなさいんー、拭いてあげるから」

北方「んー」

龍驤「あーあー……服にもついてるで。……これ、服でええやんな?」

川内「着替え持ってくる?」

港湾「おしゃれ! お洒落したい!」



多摩「なんかもうどうでもよくなってくるにゃ」

提督「それな」

大淀「でも、どうするんですか本当に。流石に鬼やら姫やらがこの数居たら鎮守府半壊くらいしかねないですよ?」

提督「あ、それは大丈夫。さっき名目上は捕虜としてどうこうとか話してたら武装類全部預けてくれたから」

大淀「なにそれ」

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