「幸広が道に迷うどころかおばあさんを道案内している！？今日は槍でも振りそうだな……」

　そういったのは水嶋咲だった。

「どうしたんですか？俺もケーキを食べたくない気分ですし……」

「槍どころの話じゃないな。天変地異でも起きる前触れか？」

「うう……」

　するとそこには弱気なアスランと今にも怒りそうな壮一郎が居た。

　アスランが怯えていたのは壮一郎にであった。

「壮一郎の機嫌が悪いのはいいが、アスランがサタンを持っていても怯えるなんて……」

　すると咲は幸広から彼にとって意外な言葉を掛けられた。

「咲ちゃんもどうかしたの？いつもと違うよ？」

「えっ、俺はいつも通り……だぞ？」

　ＣａｆｅＰａｒａｄｅでしたね、間違えました。

　ともかく、続きを。

　すると巻緒が幸広に続くようにいった。

「いつも通りなわけないじゃないですか、自分を『俺』なんていって……」

「何をいっているんだ、巻緒？幸広といい、冗談きついな」

　そして咲は思った。

（壮一郎は機嫌悪いしアスランは怯えている……俺もおかしくなってるとしても、謎は解かないといけない）

（俺は男なんだ、この事態……何とか解決してみせる！）

（と、意気込んでみたのはいいが。いい方法が思い浮かばないな……）

（とりあえず壮一郎の機嫌を直すために料理でも作るか）

そういって咲はガスコンロに向かった。

（とりあえずオムライスでも作るか）

　そう思いつつ咲は卵を撹拌し、ケチャップライスと卵焼きを作る。

　ケチャップライスをふわふわの卵で包めば、美味しいオムライスの出来上がりだ。

「壮一郎、オムライスできたぞ」

　ちなみにそのオムライスはメイド喫茶っぽい出来栄えだったことを追記しておく。

　すると咲は荘一郎にこんな突っ込みを受ける。

「オムライスはいつも通り何ですけどね」

「いつも通りって……」

（荘一郎にオムライス作ったのはいいがキャラ崩壊の原因は分からない）

（幸いなのは、俺のオムライスで荘一郎の機嫌が直ったことかな）

生存報告。ただし続きが思い付きません。

「それで、相談があるんだが」

　咲は思い切って壮一郎に問いただした。

「どうしたんですか？」

「いや、どうやらこんなことになってるのは俺やお前だけじゃないみたいなんだ」

　咲は今までの経緯を説明した。

「ふうん。そうですか」

　壮一郎は機嫌が戻りいつも通りになったが、巻緒はまだケーキを食べに行こうとしないしアスランは怯えたままだ。

　幸広は地図をじっと見ている。

（地図？『道に迷わなくなった』なら見る必要はないはず。分かったぞ、このキャラ崩壊の真実が！）

「幸広、何故『地図を見る』必要がある？」

「あっ、えっとその……」

　幸広はいいよどんだ。

「咲さんって単純だからこういうの気づかないと思ったんですけどね……」

　そして彼はこう続けた。

「そう、ドッキリですよ。それにみんなあなたみたいに違う自分を演じたらどうなるか試す意図もあったんです」

　説明しなければならない。

　このｓｓにおける水嶋咲は水嶋咲（俺は何で空回るんだろう） の水嶋咲だったのだ。

　つまるところ咲はキャラ崩壊しているが、このｓｓ内ではそれがデフォだったということである。

　ややこしいようだが、今まで咲の衣装や容姿に触れただろうか？

　いや、触れていないはずだ。

　もし触れたら水嶋咲が男の恰好をしており、当然メイクもしてないことに触れねばならなかった。

　このｓｓの時系列は水嶋咲（俺は何で空回るんだろう） の後だからだ。

　スレ主が同じである以上、もし衣装関連に触れたらすぐ真相に感づかれたかもしれない。

　ともかく要するに、咲以外の面々のキャラ崩壊は咲に対するドッキリだったのである。