【モバマス】卯月「西洋骨董屋根裏堂?」 (15)

未央「もうしまむー!今どこにいるの?」

卯月「えぇっと、ちょっと近くまでは来てると思うんですけれど」

未央「だから一緒に行こうって言ったのに、一人で大丈夫だって言い張るから! 」

未央「たるき亭の角を左…ってヤバい!しまむーちょっと待って!充電アンド充電が切れ―…」

卯月「未央ちゃん!?」

切れちゃいました。

充電が切れそうな時に何で充電を2回も言ったのでしょうか?


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それにしても、この歳で迷子になるなんて。

別プロダクションの先輩アイドルみたいに方向音痴って訳では無いと思っていたんですが。

何回も通った事のある道だったから一人で大丈夫って言ったのに。

揶揄われそうだな。

うーん…

さっきからずっと同じ所をグルグル回っているような気がします。

本格的に方向音痴になってしまったのでしょうか。

あと、さっきまでは人でごった返して居たのに、今は誰も居ません。

まるで、元の世界と切り離されたような…

なんて。

蘭子ちゃんや飛鳥ちゃんが好きそうな事を考えていると、ふと視界に映るモノがありました。

さっき迄は無かったはずのモノ。

周りは雑居ビルが建ち並ぶ、そんな場所。

そこに忽然と佇む、場違いな洋館がありました。

お店、なのでしょうか?

看板らしきものには【西洋骨董屋根裏堂】の文字。

骨董屋さん?

気がつけば、豪奢な扉を開けていました。

プロデューサーさん達と待ち合わせをしているにも関わらず、見えない腕にひかれるかの様に。

怒られそうだなって思いながらも扉の先にある階段を登ってしまいます。

上って

昇って

登った先に居たのは一人の店員さん。

紫色のドレスが、なんかこう、エッチぃです。

その店員さんの腕には黒猫。

その黒猫が「Miau♪」と小さく鳴きました。

歓迎、してくれているのかな。

「あら?…久方振りに地平線の迷い子かしら?」

「お嬢さん、【西洋骨董屋根裏堂】へ」

「ようこそ!」

と、店員さんは艶かしい感じで歓迎の言葉を口にしていましたが、思わず私は目を擦ります。

瞬きをする度に店員さんの姿が変わるのです!

少女から乙女へと。

乙女から婦人へと。

婦人から老婆へと。

老婆から少女へと。

時計の針がグルグルと捻れるような不思議な感覚。

このお店は、少し危ないのかもしれない

そんな風に思いはするものの、何故か店を出ようとは考えませんでした。

まるで、月が地球に惹かれるように

抗えざる何かに身を委ねるように

…何ででしょう。

多分シリアスな場面なのに。

頭の中で蘭子ちゃんと飛鳥ちゃんが目をキラキラさせてます。

あと凛ちゃんが何故か頷いています。

そんな私の考えを知ってか知らずか、店員さんは続けます。

「気になるモノが在るのなら 」

「どうぞ手に取ってご覧になって頂いて構いません」

「此処は隔たる地平を超えて様々なキセキが集まる場所」

「それが当店【西洋骨董屋根裏堂】」

「Here we go! オーケー、シンデレラガール!」

「今夜のイカレたメンバーを紹介するぜッ!」ヒャッハー

…何ででしょう。

多分シリアスな場面なのに。

ここがライブ会場みたいなノリになっています。

店員さんは結構おちゃめさん?

あと、輝子ちゃんが居た気がします。

………


………あれ?

なんかさっきまですごい盛り上がっていた気がします。

みくちゃんみたいにネコ耳を付けた人達がかっこいい感じで踊っていたような…

それで此処にあるモノを紹介していたような

確か………

白銀の甲冑(所々赤い…?)

少女のマリオネット(可愛いです)

黄金のランプ(願いを叶えてくれそうです)

ひび割れた仮面(何故割れているんでしょうか?)

深紅の宝石(すごくおっきいです)

死神の鎌(!?)

野ばらの紡錘(つむつむ?)

未来のサングラス(春菜ちゃん的にサングラスはどうなんだろう?)

ラップみたいにこれらを紹介してくれてたような。

そんな事を思いながら気になったソレを見ていると

「あらぁ、この仔がお気に召しましたか?」

卯月「…え?い、いや最近ちょっとプロデューサーさんに人気も出てきたからサングラスぐらいかけろよって言われたからでして」

卯月「ほんのちょっと、興味があるかな?なんて、どちらかと言うとですよ!どちらかと言うと!」

あ、私も2回同じ事を言っちゃいました。

未央ちゃんの事言えませんね。

「その仔は一つになる相手を 」

「自分で選ぶ性格の気難しい仔です」

「その仔が身を許すならお代は結構」

「対価は、然るべき刻が訪れたら、金銭以外で何れ支払って頂きますので」

「では、お買い上げ」

「ありがとうございます♪」

………あれ?外?

目の前にはたるき亭。

後ろを振り返るとそこには…雑居ビル。

洋館の面影なんて何処にもありません。

さっき迄の出来事は夢だったのでしょうか?

それとも、白昼夢?

そんな愕然とした気持ちで佇んでいました。

~♪

あ、電話…プロデューサーさん?

卯月「もしもし、どうかしましたか?」

モバP「卯月!?良かった、やっと繋がった」

卯月「え?どう言う事ですか?」

P「いや、どう言う事って。未央の携帯の充電が切れた後、俺の携帯から電話かけてたんだけど繋がらなくてな」

P「何か事件に巻き込まれているんじゃないかと思ったんだが、大丈夫か?今どこら辺にいる?待ち合わせの時間過ぎてるから迎えに行こうか?」

卯月「待ち合わせ…?あ、ごめんなさい!今たるき亭の近くまで来ていますのでもうすぐ着きます!」

P「そうか。まぁ切羽詰まっているってわけでもないから、急ごうとして怪我するなよ?」

卯月「わかりました。もう少しだけ待っていてください」

そう言って電話をきる。

もう一度振り返ってみても、そこには雑居ビルが建ち並んでいるだけ。

あれ?

何で私、振り返ったんでしょう?

何か、探していたんでしたっけ?

うーん…思い出せません。

あ、そうだ。早く待ち合わせ場所に行かないと。

待ち合わせ場所に向かおうとした時、左手に何かを握っているのに気がつきました。

…サングラス?

サングラスなんて買いましたっけ?

うーん…やっぱりこれも思い出せません。

まぁ、良いか。

プロデューサーさんにも変装用のサングラスぐらいかけろよって言われましたし。

そんな風に思いながらサングラスを―――

Miau♪

猫の鳴き声が聞こえます。

見ていないのに、その猫は黒猫だと、何故か思いました。

以上です。
内さまクロスSSの続きを書いていたと思ったらなぜか違うの書いてました。
連休中にはそちらも仕上げます。

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