カチューシャ「ノンナ、ナプキンある?」ノンナ「……え?」 (77)

プラウダ高校

カチューシャ「ノンナー」

ノンナ「どうしましたか?」

カチューシャ「ナプキン、持ってない?」

ノンナ「……」

カチューシャ「持ってないの?」

ノンナ「食事でもするのですか?」

カチューシャ「……は?」

ノンナ「え?」

カチューシャ「ナプキンよ。ナプキン。女の子がナプキンって言ったら、一つしかないでしょ」

ノンナ「貴方には必要ないはずです」

カチューシャ「いや、急に来ちゃったのよ」

ノンナ「う……うぅ……!! Ураааааааа!!!!!」


ノンナ「はっ!?」ガバッ!!!

ノンナ「ゆ、夢ですか……。はぁ……はぁ……よかった……」

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プラウダ高校 食堂

カチューシャ「今日の日替わりランチはボルシチじゃない! これは食べなきゃいけないわね!!」

ノンナ「……」

カチューシャ「ね、ノンナっ」

ノンナ「ええ。そうですね」

カチューシャ「そうと決まればいくわよ!!」キャッキャッ

ノンナ「……」

ノンナ(同志カチューシャに限って……ありえない……ありえるはずがない……)

カチューシャ「ノンナ、なにしてるのよ」

ノンナ「申し訳ありません」

カチューシャ「今日こそ、カチューシャはカチューシャだけの力で食券を買うわよ!!」

ノンナ「がんばってください」

カチューシャ「んー!! んー……!!」

ノンナ(そう。背伸びをして自販機のボタンをなんとか押そうとするカチューシャには、来るはずのない日。あの夢は忘れなければ)

カチューシャ「んー!! もー!! 今日は届かないのね!! ノンナ!! 肩車!!」 

カチューシャ「やっと食べられるわね。席はどこが開いてるかしら」

ノンナ「こちらにどうぞ」

カチューシャ「ありがとっ。よいしょっと。いただきまー……あら?」

ノンナ「どうしましたか?」

カチューシャ「ノンナ、ナプキンある?」

ノンナ「……え?」

カチューシャ「ナプキンがないわ」

ノンナ「あ、あなたには必要ありません!!!」バンッ!!!!

カチューシャ「ひっ!?」ビクッ

ニーナ「なんだなんだ?」

アリーナ「どうしたっぺな」

カチューシャ「え……あの……でも、ナプキンがないと……汚れちゃうし……」

ノンナ「貴方は汚れません!!!」

カチューシャ「そ、そう……。なら、このまま食べようかしら……。そ、そうよね、カチューシャぐらいの淑女になれば、テーブルナプキンはいらないわよね!」

ノンナ「はぁ……はぁ……え……?」

カチューシャ「はむっ」

ノンナ「口元が汚れていますよ」

カチューシャ「汚れないんじゃなかったの?」

ノンナ「申し訳ありません。私が勘違いしていました」

カチューシャ「ぶー。なんだかバカにされている気分だわ」

ノンナ「そんなことはありませんよ」フキフキ

カチューシャ「うぅー」

ノンナ「綺麗になりました」

カチューシャ「ありがと、ノンナっ」

ノンナ「いえ」

ノンナ(そう……。同志カチューシャには、そのようなときは未来永劫訪れることはありません。何せ、カチューシャなのですから)

カチューシャ「今日のボルシチはまぁまぁね」キャッキャッ

ノンナ「ふふ。そうですか」

ニーナ「さっきのふぐだいちょう、なんだったべな?」

アリーナ「さぁ。わかんね」

別の日 試合会場

まほ「よろしく頼む」

カチューシャ「練習試合だからって、手は抜かないわよ」

まほ「こちらもだ」

カチューシャ「ん?」

まほ「どうした?」

カチューシャ「エリカはどうしたの?」

まほ「ああ……。体調不良だ」

エリカ「くっ……」

カチューシャ「情けないわね、お腹なんて擦って。拾い食いでもしたのかしら?」

エリカ「うるさいわね……。放っておいて……」

カチューシャ「副隊長がこのザマじゃあ、カチューシャたちの勝ちは目に見えてるわね。あーっはっはっはっは」

エリカ「ああ、もう……ただでさえ余裕がないっていうのに……!!」

まほ「辛いなら、今日は見学していろ」

エリカ「いえ、問題、ありません……。隊長の足だけは引っ張りませんから、試合に出してください」

カチューシャ「ホントにヤバそうね。見学していたらいいじゃない。木陰でカチューシャがマホーシャを倒すところを見ていればいいのよ」

エリカ「ふざけ……ないで……。同じ女なら、この辛さ、わかるでしょう……」

カチューシャ「え?」

ノンナ「カチューシャ。作戦会議を始めましょう」

カチューシャ「あ、うん」

クラーラ「カチューシャ様。敵将の戯言に耳を傾けてはいけません」

エリカ「た、たわごと……ですって……!? くっ……うぅ……」

カチューシャ「……エリカ、大丈夫なの?」

ノンナ「カチューシャ。行きましょう」グイッ

カチューシャ「わわっ。ちょっとノンナ!! 手を引っ張らないで!!」

エリカ「はぁ……」

まほ「随分と重いようだな」

エリカ「すみません。でも、試合に支障はありません」

まほ「もし足りなくなったら言え。タンポンしか持っていないが」

エリカ「あ、ありがとうございます」

試合終了後

まほ「いい勉強になった」

カチューシャ「なによ、エラソーに。カチューシャが手加減したおかげでマホーシャが勝ったんだからね。ふんっ」

ノンナ「いい試合でした」

エリカ「そうね……」

カチューシャ「結局、エリカの体調は治らなかったのね」

まほ「あと二日ぐらいは続くかもしれないな」

カチューシャ「病院行ったほうがいいんじゃない?」

まほ「そうだな。場合によっては検討しよう。今回は特にひどいようだからな」

カチューシャ「エリカって定期的にお腹痛くなるわけ?」

まほ「……ん?」

カチューシャ「なに?」

まほ「カチューシャ……まさか……」

ノンナ「さぁ、帰りましょう。同志カチューシャ」

クラーラ「ボルシチが待っています」

カチューシャ「ボルシチがあるの!?」キャッキャッ

クラーラ「はい」

まほ「待て、カチューシャ。お前は――」

ノンナ「……」

まほ「……!?」ビクッ

ノンナ「До свидания」

まほ「あ、ああ……」

ノンナ「ふふ」

まほ「……」

エリカ「隊長……? どう、されましたか?」

まほ「病院に行ったほうがいいのは、カチューシャのほうかもしれない」

エリカ「は?」

まほ「いや、なんでもない。私たちも戻ろう」

エリカ「は、はい」

まほ(もしカチューシャが18歳の誕生日を迎えても、来ないのであれば……危ういな……)

プラウダ高校

カチューシャ「はぁー、おいしかったぁ」

ノンナ「よかったですね」

カチューシャ「ふわぁぁ……なんだか、ねむくなってきちゃったわ……」

ノンナ「こちらにどうぞ」

カチューシャ「ありがとう……ノンナぁ……」モゾモゾ

ノンナ「ふふ……」ナデナデ

カチューシャ「すぅ……すぅ……」

ノンナ「やはり、カチューシャは……ふふっ……」

カチューシャ「うぅ……しゅくせい……してやるんだからぁ……」

ノンナ(そう。カチューシャはずっとこのままなのです。カチューシャが赤飯を食べることはありません)

ノンナ(貴方は無邪気にボルシチを食べていればいいのです)

ノンナ「カチューシャはこのままで十分なのですから」ナデナデ

カチューシャ「ふふっ……もう、おおきくなれないってばぁ……」

ノンナ「どのような夢を見ているのでしょうか」

大洗学園艦 寮

みほ「あ、もしもし。お姉ちゃん、どうしたの?」

まほ『みほ。頼みたいことがある』

みほ「私に?」

まほ『お前はカチューシャと良好な関係にあったな?』

みほ「そ、そうかな? カチューシャさんがどう思ってるのかは知らないけど、私はカチューシャさんのこと尊敬してるし、好きだよ」

まほ『それはカチューシャにも伝わっているはずだ。そこでお前にカチューシャのことを頼みたい』

みほ「えっと、それは……」

まほ『カチューシャが女かどうか、調べてくれ』

みほ「……!?」

まほ『頼むぞ。事態は急を要する』

みほ「え!? お姉ちゃん!? まって!! お姉ちゃん!!」

みほ「き、切れちゃった……」

みほ「カチューシャさんが女かどうかって……」

みほ「どう調べたら……」オロオロ

翌日 大洗女子学園

みほ「って、昨日いきなり言われたんだけど……」

優花里「カチューシャ殿は立派な女性だと思うのですが」

沙織「みんなでお風呂入ったことあるしね」

華「そのときにしっかりと見ましたわ。確かにカチューシャさんは女性でした」

みほ「だよね。だったら、お姉ちゃんは何を勘違いしてるんだろう……」

麻子「オリンピック選手に女性でありながら男性と判断されてしまった選手も実在する」

沙織「な、なにそれ?」

麻子「カチューシャさんはその逆なのかもしれない」

華「あのような愛らしい肉体で、男性だと……?」

優花里「俗にいう男の娘ってやつですか?」

みほ「おとこのこ?」

沙織「えー? そんなの絶対に目が行っちゃうとおもうんだけど」

麻子「西住さんにそういった依頼がきたということは、疑われているのではないか? 事態は急を要するとも言われたなら、戦車道連盟によってプラウダ高校の出場停止もありえるのかもしれない」

みほ「それは大変だね。なんとか、調べてみないと」

大洗女子学園 廊下

典子「聞いた!?」

妙子「はい!! 聞いてしまいました!!」

あけび「バレー部員の勧誘をしていただけなのに……盗み聞きしちゃいましたね……」

忍「でも、プラウダ高校が出場停止になったら……!!」

典子「戦車道の人気が高まっている今、強豪校のスキャンダルは私たちにとってもダメージは大きい」

妙子「そうですね。バレー部の復活にも影響がでちゃうかも」

あけび「キャプテン、私たちにできることってあるんですか」

典子「少し頭を使って、あとは根性で探すんだ!!」

忍「えーと、まずカチューシャ先輩が男の子だったら、どうなるんですか?」

妙子「どっちにしても可愛いよね」

あけび「うんっ」

典子「いやいや、そうじゃないだろ!!」

忍「カチューシャ先輩が男であった場合、なんとしても隠ぺいしなきゃいけないってことになりますか」

典子「カチューシャ先輩が無事に卒業するまではな」

大あら女子学園 戦車倉庫

エルヴィン「聞いたか!! プラウダのカチューシャ隊長は実は男だったらしいぞ!!」

おりょう「な、なんだって!?」

左衛門佐「まことか!?」

カエサル「確かなのか」

エルヴィン「ああ。情報は確かな筋から入手している。廊下でアヒルさんチームがそう言っていたからな」

おりょう「なんてことぜよ……」

左衛門佐「男であることを捨て、女で生きていくなんて、どれほどの覚悟なのか……!!」

カエサル「それだけ戦車に乗りたかったということだろうな」

おりょう「明治では女装は違法だったぜよ……!!」

エルヴィン「ではライナー・マリア・リルケか」

カエサル「カリグラだろう」

左衛門佐「徳川家光だ」

おりょう・エルヴィン・カエサル「「それだぁぁ!!」」

カエサル(しかし、そのような情報が大洗だけに出回っているとは考えにくい。ひなちゃんにも聞いてみよう)

おかしなミス

>>21
大あら女子学園 戦車倉庫→大洗女子学園 戦車倉庫

アンツィオ高校

カルパッチョ「プラウダ高校、カチューシャ隊長は実は男の子だったらしいです」

アンチョビ「なんだと!?」

ペパロニ「大ニュースじゃないっすか!?」

アンチョビ「いや、まてまて。そんなことがありえるのか。カチューシャはどう見たって女の子だろうに」

カルパッチョ「けれど、あれぐらいの容姿なら見分けがつかないこともあります」

ペパロニ「あぁ、体が小さいとわかんないよな」

アンチョビ「だとすれば、一大事だぞ。前年度の優勝校であるプラウダの隊長が男だったなんて全国に広がれば……!!」

カルパッチョ「高校戦車道の名に傷がついてしまうことに……」

アンチョビ「それだけは避けねばならない!! 戦車道が盛んな高校の入学者が減る可能性だってあるんだ!!」

ペパロニ「どうするんすか?」

アンチョビ「まずは根回しだ」

カルパッチョ「根回し?」

アンチョビ「同じ強豪校には口裏を合わせてもらうほかない」

ペパロニ「姉さん、マジっすね。んじゃ、私も協力しますよ。最初はサンダースの隊長あたりから丸めこむっすか」

サンダース大付属高校

ケイ「こりゃあ、スキャンダルね」

アリサ「本当なんですか」

ケイ「それを確かめるために、ミホが動いているっていう情報もあるわ」

ナオミ「けれど、情報が錯綜しすぎていて、もう何が真実なのかわかっていないのでは?」

ケイ「そうなのよねー。どうしよっか」

アリサ「その話が事実だとしても、プラウダ高校が出場停止処分を受けるだけなら、静観してもいいんじゃないですか」

ケイ「そうも言ってられないわよぉ。なにせ、私たちは知っちゃったんだから」

アリサ「隠せばいいだけです」

ケイ「隠し事はしたくないわね」

アリサ「隊長!!」

ケイ「カチューシャがメンなのかどうか、徹底的に調べようじゃない」

ナオミ「そうなるか」

ケイ「とりあえず、信頼できる情報が欲しいわね。あそこに聞いてみましょ」

アリサ「どこですか?」

聖グロリアーナ女学院

ダージリン「……」ズズッ

オレンジペコ「ダージリン様……」

ダージリン「こんな格言を知ってる? 苦痛には限度があるが、恐怖には限度がない」

ローズヒップ「ダージリン様が怖がっていらっしゃいますわ」

アッサム「カチューシャ様とは古くからの友人であり、また良きライバルだった。その相手がまさか男性だったなんて……。ショックは計り知れませんわ」

オレンジペコ「どうされますか?」

ダージリン「ふっ。落ち着きなさい、オレンジペコ。こんなときこそ、紅茶を飲むのよ」

ダージリン「英国淑女たるもの、常に余裕をもち、優雅でなければ」ズズッ

ガシャーン!!!

オレンジペコ「だ、ダージリンさま!?」

ローズヒップ「ダージリン様が動揺していますわ!!」

アッサム「仕方のないことね……」

オレンジペコ「あ、あの……真実であるとは限りませんし……その……」

ダージリン「大丈夫……大丈夫よ……。サンダースのケイさんには、こう伝えて。カチューシャが男性だなんて、ありえない、と。わたくしがそれを証明してみせる、と」

数日後 プラウダ高校

クラーラ「――」

ノンナ「――」

カチューシャ「ちょっと、日本語でカチューシャにもわかるように喋りなさいよ」

ノンナ「それが今、大洗女子学園からみほさんと角谷さんがお見えになっているようです」

カチューシャ「練習試合の申し込みでもあったの」

ノンナ「いえ」

カチューシャ「ふぅん。だったら、遊びにきたのね。仕方ないから歓迎してあげるわ」

カチューシャ「迎えにいくわよ、ノンナ! クラーラ!!」

クラーラ「С удовольствием」

ノンナ「はい」

カチューシャ「来るならくるっていいなさいよね、まったく! ミホーシャもマナーがなってないんだから!」キャッキャッ

クラーラ「(嬉しそうですね)」

ノンナ「(みほさんだけは、特別視しているようだから)」

カチューシャ「日本語でしゃべりなさいってばぁ!!」

カチューシャ「いらっしゃい。私のプラウダ高校へ」

みほ「突然、ごめんなさい」

杏「やぁやぁ、カチューシャ」

カチューシャ「それで、今日は何の用? カチューシャたちも暇じゃないのよ」

みほ「……」

杏「私から言うよ」

みほ「けど、会長……これは、私がお願いされて……」

杏「いいんだ。こういうのは私の役目だよ」

みほ「会長……」

カチューシャ「なによ? 深刻そうな顔して」

杏「カチューシャにとある疑惑がかかっているんだ」

カチューシャ「疑惑ぅ?」

杏「とりあえず、お風呂にでも行こうか」

カチューシャ「なんでよ!?」

杏「いいかいいから。まずはお風呂だ」

カチューシャ「いやよ!!」バッ

杏「なんで? たまにはいいじゃん」

カチューシャ「他のことなら、付き合ってあげるわ。けど、お風呂はダメ」

杏「一緒に入ったこともあるじゃん」

カチューシャ「あのときは、あのとき。今は別なの」

杏「カチューシャ……」

ノンナ「申し訳ありません。カチューシャがこう言っているので、入浴は別の機会にしてもらえますか」

杏「……ごめん。そういうわけにはいかないんだ」

カチューシャ「ど、どういうこと?」

杏「カチューシャ、頼むから一緒にお風呂に入ろう」

カチューシャ「いやったら、イヤ!!」

みほ「あの!! カチューシャさん!! ここで、一緒にお風呂に入らなきゃ……入らなきゃ……!!」

みほ「プラウダ高校は出場停止になるかもしれないんです!!」

カチューシャ「え……」

ノンナ「どういう意味ですか」

みほ「カチューシャさん、本当は男の子じゃないんですか?」

カチューシャ「……え?」

杏「そういう噂が流れている」

カチューシャ「な、なんでよ!! 確かにノンナみたいにおっきくないけど!! 私はもう、色々とおっきいんだから!!!」

みほ「それを証明するためにもお風呂に入って欲しいんです!!」

カチューシャ「それじゃ、えーと、あと3日だけ待ってくれない?」

杏「もう一刻を争うんだ」

ノンナ「待ちなさい」

カチューシャ「ノンナ!」

クラーラ「聞き捨てなりません。カチューシャが男などと、無礼にもほどがあります」

カチューシャ「そうよ!! もっと言って!!」

ノンナ「私たちは何度も見ています。カチューシャの女の子な部分を!!」

クラーラ「とっても女の子です!! むしろ!! 女の子よりも女の子でした!!」

カチューシャ「なんだか……はずかしいんだけど……」モジモジ

杏「身内の証言だけじゃあ、もう無理なところまできているんだ。私がもう少し気づくのが早かったら、止めようもあったんだけどねぇ」

ノンナ「止めようがあった、とは?」

みほ「カチューシャさんが男の子だって噂は、いつの間にか全国に広がってるみたいで……」

カチューシャ「なんでよ!?」

杏「サンダース、聖グロリアーナ、黒森峰、継続、知波単、マジノ……どの学校でも、カチューシャの噂で持ち切りだ」

カチューシャ「ど、どこから噂が流れたのよ!! 噂を流したやつを粛清してやる!!!」

みほ「どこから流れたかは分かりません。けど、カチューシャさんが女の子であることはここで証明できるはずです」

杏「確認、してもいい?」

カチューシャ「ひっ……」

ノンナ「カチューシャ、逃げてください」

クラーラ「ここは私たちにお任せください、カチューシャ様」

カチューシャ「ノンナ! クラーラ!!」

杏「邪魔する気?」

ノンナ「貴方がカチューシャを困らせるのであれば」

みほ「お願いします。カチューシャさんのためでもあるんです。そこをどいてください」

クラーラ「Извините」

ノンナ「逃げて!! カチューシャ!!」

カチューシャ「ぐっ……!!」テテテッ

杏「いけぇ、かわしまぁー」

桃「うおぉぉ!!!」

ノンナ「ふっ!!」ガシッ!!!

桃「通してもらうぞ!! ブリザードのノンナ!!!」ググッ

ノンナ「私に勝てるのなら……!!」グググッ

杏「んじゃ、あとよろしくー」テテテッ

ノンナ「しまった!?」

クラーラ「通しはしま――」

みほ「カエサルさん!! エルヴィンさん!! 優花里さん!! お願いします!!」

エルヴィン「ここはパンツァー・カイルでいくぞ!!! カエサル!! グデーリアン!!」

優花里「了解!! 目標を包囲します!!!」

カエサル「我らが隊長の通る道は開けてもらうぞ!!」

クラーラ「囲まれた……!!」

カチューシャ「急になんなのよ!! どうして私がこんな目に……!!」

杏「はい、みつけたー」

カチューシャ「ひぐっ」

みほ「カチューシャさん、一緒にお風呂に入るだけでいいんです」

カチューシャ「今日は……今日だけは、ダメなのー!!」ダダダッ

杏「逃がしは――」

ニーナ「こごがら先は、とおさねえ!!」

杏「なっ……」

カチューシャ「ニーナ……!?」

ニーナ「カチューシャたいぢょう。いっでください」

カチューシャ「……礼はしないわよ」

ニーナ「礼なんて、いらねえだ!」

杏「西住ちゃん!! カチューシャを追って!!」

みほ「はい!!」

カチューシャ「はぁ……はぁ……。どうしてこんな日に……走らなきゃいけないのよぉ……」

カチューシャ「はぁ……はぁ……こ、ここまできたら……」

沙織「カチューシャさん」

カチューシャ「ひぃ……」

華「お願いします。確認だけさせてください」

麻子「すぐに終わる」

カチューシャ「うぅぅ……」

ダージリン「お待ちなさい!!」

沙織「え……!?」

ダージリン「それ以上、カチューシャに近づかないで」

カチューシャ「だ、だーじりん……」

ダージリン「大洗のみなさん。根も葉もない噂に踊らされてどうするの。カチューシャは、誰がどうみても、女の子ですわ」

沙織「いや、そうなんですけどぉ」

麻子「確認しなければこの事態は収まらないぞ」

華「一連の騒動を解決するためには、カチューシャさんとお風呂に入らなければいけないのです」

ダージリン「誰が何と言おうとも、カチューシャは立派な淑女よ。納得できないというなら、わたくしがお相手になるわ」

沙織「うっ……」

カチューシャ「ありがとう、ダージリン」

ダージリン「気にしないで。あら、カチューシャ、走った所為か随分と汗をかいてしまっているわね」

カチューシャ「え、ええ」

ダージリン「早く、汗を流さないと風邪を引くわ。さ、行きましょうか」グイッ

カチューシャ「ど、ど、どこへよ!?」

ダージリン「決まっているでしょう……」

ダージリン「お風呂よ」

カチューシャ「イヤ!!!」バッ!!!

ダージリン「お待ちなさい!!」

オレンジペコ「作戦、失敗ですね」

ダージリン「次の作戦よ。今度は力づくでカチューシャを捕まえるのよ」

アッサム「了解」

ローズヒップ「がんばりますわー!!!」

沙織(ダージリンさんって、容赦ないなー)

カチューシャ「も、もうだめ……なんで……わたしがこんなめに……はぁ……はぁ……」ガクッ

ケイ「ハロー、カチューシャ?」

カチューシャ「はぁ……はぁ……も、もう……いいわよ……すきにしなさいよ……」

ケイ「ん? どうしたの?」

カチューシャ「はやく、服を脱がせば……? 疲れちゃったわよ……」

ケイ「……」

カチューシャ「ほら!! カチューシャを好きにしたらいいじゃない!!!」

ケイ「んー。なら、好きにさせてもらうわね」

みほ「カチューシャさん!!」

カチューシャ「みほーしゃ……はぁ……はぁ……」

ケイ「ヘイ、ミホ。カチューシャが欲しかったら、私を倒すことね」

みほ「え……」

カチューシャ「ま、またダージリンみたいに……安心させて……うらぎるつもりね……同じ手は……つうようしないし……わたしはあきらめてるから……」

ケイ「勘違いしないで、カチューシャ。私は心から信じてるわ。カチューシャは男の子じゃないってね。だって、確かな情報は何一つなかったもの。なら、カチューシャは素敵なレディよ。間違いないわ」

カチューシャ「ケ、ケイ……」

みほ「ケイさん……」

ケイ「ミホにしては焦りすぎたんじゃない? カチューシャをいじめてるようにしか見えないよ」

みほ「けど、ここまで広まっていたら、こうするしか……」

ケイ「まずは信じましょう。それが戦車道ってもんじゃないの?」

みほ「……!」

ケイ「それとも、みほの戦車道はこういうことだったわけ?」

みほ「そ、そんなことは……」

アリサ「ほら、立てる?」

カチューシャ「え、ええ」

ナオミ「逃げるぞ」

ケイ「あとは任せるよ!」

アリサ・ナオミ「「イエス、マム」」

みほ「あ……待って……」

ケイ「さーて、ミホ。私はただ信頼できる情報が欲しいの。そもそもカチューシャが男の子っていう噂はどこから発生したの?」

みほ「私はお姉ちゃんから……」

カチューシャ「も、もうはしれないわよぉ」

アリサ「あーもーだらしないわね」

ナオミ「肩車だ」

アリサ「グッドアイディア!」

ナオミ「はい」ドサッ

アリサ「ふぐっ!? わ、私が肩車するんですかぁ!?」

ナオミ「だらしないところは見せるな」

カチューシャ「うぅぅ……」ギュゥゥ

アリサ「やってやりますよぉ!!!」

ナオミ「その調子だ」

アンチョビ「止まれ、サンダースの精鋭よ!!」

アリサ「アンツィオ……」

ナオミ「立ちはだかるなら、容赦しない」

ペパロニ「おっもしれぇ。戦車じゃ負けても、ケンカじゃ負けねえぞ!! シュッ! シュッ!!」

ナオミ「ほぅ……?」

ナオミ「急ぐぞ」

アリサ「了解!」

カチューシャ「はぁ……はぁ……」

ペパロニ「さんだーず……つええ……」

アンチョビ「正面から向かっていくやつがあるか」

カルパッチョ「ペパロニさん、大丈夫?」

アンチョビ「しかし、カチューシャのやつ、顔色がかなり悪かったな」

カルパッチョ「ええ……」

アンチョビ「どう思う、カルパッチョ」

カルパッチョ「確認するまでもないかもしれませんね」

アンチョビ「そうだな……」

ペパロニ「どいうことっすか?」

アンチョビ「だが、まだ確信は得ていない。我々の判断だけでは衆人を納得させることはできない」

カルパッチョ「では、追いますか」

ペパロニ「ねえねえ、姉さん、せつめいしてくださいっすよー。つまりカチューシャは女なんっすか?」

アリサ「ちょっと、どうしたのよ!?」

ナオミ「なんだ?」

アリサ「カチューシャの様子がおかしくて……」

カチューシャ「はぁ……はぁ……はぁ……」

ナオミ「熱があるな」

アリサ「えぇ!? ど、どうしたら!?」

ナオミ「落ち着け。カチューシャ、頭痛は?」

カチューシャ「うん……あたま……いたい……」

ナオミ「だったら……」

エリカ「早く寝かせてあげなさいよ」

カチューシャ「エリ……カ……」

アリサ「そ、そうね!! 休める場所は……」

エリカ「向こうにベンチがあるわ。そこに行くわよ」

ナオミ「分かった」

カチューシャ「はぁ……はぁ……」

エリカ「どう?」

カチューシャ「ちょっとはマシ……」

エリカ「よかった」

カチューシャ「足……しびれちゃうわよ……」

エリカ「そんなことを気にするようなタイプじゃないでしょ、あなたは」

カチューシャ「それも……そうね……」

アリサ「ふふん。膝枕が様になってるわね」

エリカ「うるさいわね!」

ナオミ「お前は気が付いていたの?」

エリカ「見ればわかるでしょ。同じ女なんだから」

ナオミ「そうか」

アリサ「わからなかった……」

エリカ「けど、不思議ね。あれだけ崇拝していたノンナがカチューシャの症状に気が付かなかったなんて」

ナオミ「そうだな……。いや、それよりもカチューシャが男というのはどこから出回った噂なんだ。その噂がなければ、こんな大騒ぎにはならなかったはずだ」

エリカ「……」

ケイ「バッカモーン!!!! 女かどうか確認しろってどういうことよ!?」

まほ「……」

ケイ「そんな言い方をすれば誰だって勘違いするに決まっているでしょ!?」

まほ「すまない」

ケイ「ソーリーで済んだらポリスはいらないのよ!!! 分かってるの、マホ!!!」

まほ「あ、ああ……」ビクッ

みほ(お姉ちゃんがすごい怒られてる……)

まほ「だ、だが、その、直接的な言葉で……言うのも……あれかと……」

ケイ「女同士で何を恥ずかしがることがあるのよ!? 生理とかメンスとか恥ずかしくもなんともないじゃない!!」

まほ「うぅ……」

ケイ「ほら!! 言ってみなさい!! 生理! 生理!!」

杏「ケイ、その辺にしようか」

みほ「ケイさん、あんまり大声でいうことじゃないですから」

ケイ「そう? ともかく、マホ。カチューシャのところに行くわよ」

まほ「反省……している……」

ダージリン「見つけましたわ」

エリカ「今、眠ったところよ」

カチューシャ「すぅ……すぅ……」

ダージリン「良い寝顔ね。けれど、ここまできて後には退けないわ」

アリサ「何をするつもり?」

ダージリン「わたくし、気になることは徹底的に調べ上げる性質なの」

ナオミ「まて!」

ダージリン「遅いですわ」バッ

エリカ「なっ……」

カチューシャ「うぅ……」ブルルッ

ダージリン「ほら、ごらんなさい。カチューシャは淑女で間違いありませんことよ」

オレンジペコ「わぁぁ!?」

アッサム「すぐに修正を!!」バッ

カチューシャ「うぅん……」

ローズヒップ「確かに、女の子よりも女の子でしたわね。大人の女性、とはいえませんけど」

ダージリン「そうかしら? 確かに部分的には幼いところもありますが、既にカチューシャは大人でしたわよ」

アリサ「私の位置からはバッチリ目視ができました……」

ローズヒップ「何が見えましたの?」

オレンジペコ「それは……」

ノンナ「カチューシャ!!!」

エリカ「しーっ」

ノンナ「す、すみません。逸見さん」

エリカ「貴方に譲るわ」

ノンナ「はい……。申し訳ありません」

カチューシャ「うぅん……」

エリカ「ところで、ノンナ」

ノンナ「はい?」

エリカ「カチューシャは今、生理中みたいだから、あまり無理はさせないほうがいいわよ」

ノンナ「……は?」

エリカ「だからカチューシャは――」

ケイ「しっかりと謝るのよ。私も謝るけど」

まほ「分かっている」

みほ「ケイさん、お姉ちゃんも十分反省していると思うので――」

「Ураааааааааааааааа!!!!!!」

ケイ「OH!?」

まほ「なんだ、今の獣の咆哮は……」

みほ「こっちから声が……」

ノンナ「モウイチド、イッテミナサイ……!!」

エリカ「ちょっと、まって……わたしが何を言ったっていうのよ……」

ノンナ「カチューシャはテンシナのデス。ソノヨウナ……ケガラわシイ……コトなど……!!」

エリカ「カチューシャだって、もう18歳でしょ!? ないほうがおかしいわよ!?」

ノンナ「マダ……いイマスか……」

クラーラ「ノンナ!!」

ノンナ「クラーラ……」

クラーラ「認めるしか、ありません。カチューシャ様は……大人になっていたのです……」

ノンナ「カチューシャ……」

カチューシャ「しゅくせーしてやるんだからぁ……すぅ……すぅ……」

ノンナ「そうですか……。カチューシャは……既に……大人の女として……生きていたのですね……」

ノンナ「いえ……私は気づいていた……。時々、入浴を断られるときがあった……。そのときカチューシャは女の子の日だった……」

エリカ「わかってたの?」

ノンナ「認めたくはありませんでした。夢にまで見てしまうほどわかっていたのに。けれど……私は……否定したかったのです……。カチューシャにはずっとこのままでいてほしかったから……」

ダージリン「ノンナ。こんな言葉を知ってる?」

ノンナ「はい?」

ダージリン「愛はガラスのようなものだ。いいかげんにつかんだり、しっかりつかみすぎたりすると割れる」

ダージリン「ノンナ、貴方の愛情はとても素晴らしい、それ故に脆い」

ダージリン「カチューシャのことを想うのなら、その成長も喜びとしなさい」

ダージリン「でなければ、カチューシャも貴方も、壊れてしまいますわ」

ノンナ「はい……」

ダージリン「これで解決ですわね。みなさんで紅茶でも飲みましょうか」ズズッ

オレンジペコ(あれ……ダージリン様がこの場を締めていいんでしょうか……?)

カチューシャ「うぅ……なんだか……うるさいわねぇ……」

ノンナ「カチューシャ。おはようございます」

みほ「気分はどうですか?」

エリカ「痛いところは?」

アンチョビ「私のナプキンは必要ないか?」

カチューシャ「ど、どうしたの?」

カルパッチョ「カチューシャさんが心配で、みんなが見守っていたんです」

カチューシャ「こ、ここまですることないじゃない」

まほ「カチューシャ」

カチューシャ「な、なによ?」

まほ「この一件、全ては私の軽率な発言が原因だ。すまなかった」

カチューシャ「え?」

まほ「本当にすまない」

カチューシャ「なにがどういうこと?」

杏「一から説明するとだな……」

カチューシャ「だから、みんなして私をお風呂にいれようとしてたのね」

みほ「ごめんなさい!!」

ケイ「ホント、謝って済むもんじゃないけど、ソーリー、カチューシャ」

アンチョビ「騒ぎを大きくしすぎたな」

ダージリン「わたくしも、責任の一端はあるから、謝罪をするわね」ズズッ

オレンジペコ「せめて、頭をさげてください」

杏「ごめんよ、カチューシャ。けど、本当にプラウダ高校が出場停止処分になってもおかしくなかったからさ」

カチューシャ「それはわかったわ。マホーシャが発端みたいね」

まほ「ああ……」

カチューシャ「けど、ノンナ」

ノンナ「はい」

カチューシャ「私が女の子であることは、貴方が説明できたはずでしょ」

ノンナ「カチューシャ天使説を唱えてた私には、できませんでした」

カチューシャ「これからは唱えなくていいから。私はもう大人なのよ。16歳のときからね」

沙織(結構、遅いような)

優花里「けど、よかったですね。カチューシャ殿の疑いも晴れましたし、プラウダはこれからも試合に出ることが出来ます」

カチューシャ「当然じゃないの。こんなところで出場停止なんて、後輩たちに示しが……うっ……」

ノンナ「大丈夫ですか」

カチューシャ「やっぱり、ちょっと気分悪い……」

クラーラ「部屋で休みましょう」

カチューシャ「そうするわ……。ミホーシャ……今日は、遊べなくて、残念ね……」

みほ「い、いえ!!」

カチューシャ「また、顔を洗って出直してきなさい……そしたら、ちゃんと遊びましょう……」

みほ「はい、そのときはよろしくお願いします」

カチューシャ「ピロシキィ……」

ノンナ「До свидания」

ケイ「んー。忙しい一日だったわねー」

アリサ「全くです」

まほ「この詫びはいつか必ず」

ケイ「終わったことはいいでしょ。反省はしても後悔はしない! じゃないと、毎日をエンジョイできないわよ! まほっ! それじゃ、みんな! また会いましょ!」

麻子「ケイさんは本当に良い性格をしているな」

華「素敵なお人です」

ダージリン「さて、わたくしたちも戻るわよ」

オレンジペコ「なんだか、私たちが一番の悪者だったような」

アッサム「気にしてはダメよ」

ローズヒップ「みなさまー!! ごきげんよーですわー!!」

アンチョビ「高校戦車道の危機は去ったな」

ペパロニ「これもドゥーチェのおかげっすね!!」

カルパッチョ「え?」

ペパロニ「ドゥーチェ! ドゥーチェ! ドゥーチェ!」

アンチョビ「いや、流石にそこで私を煽てるな。すごく恥ずかしい」

まほ(カチューシャがエリカに対して言った言葉は、分かったうえでだったのか……。私もまだまだだな)

みほ「お姉ちゃん……」

まほ「お前にも迷惑をかけたな」

みほ「確かにあのときはびっくりしたけど……。でも、お姉ちゃんは戦車道が……ううん、カチューシャさんのことが心配だったんだよね。それはすごく伝わったよ。だから、私も真剣になったし、みんなだって……」

まほ「当然だ。優勝校の一角が出場できないなど、あってはならない。みほもエリカもそんな大会は面白くないだろう」

エリカ「わ、わたしは別に」

みほ「わ、わたしも」

まほ「そうか。だが、こうして動いたということは、プラウダを救おうと考えたからのはずだ」

エリカ「ま、まぁ……」

みほ「えへへ……」

エリカ「こっちをみて笑わないでよ」

みほ「ごめんなさい!」

沙織「なによりさ、カチューシャさんのこと、みんなが好きなんだと思うけどな」

華「はい。手段は強引でしたが、守りたかっただけです」

杏「だからじっくり調査しよって言ったんだけどね」

桃「時間が足りませんでした」

柚子「すみませぇん」

まほ「私も、物事を伝えるときはもっと明朗にすることを心掛ける。さよなら」

みほ「バイバイ、お姉ちゃん!!」

カチューシャの部屋

カチューシャ「みんなには悪いことしちゃったわね」

ノンナ「カチューシャは何も悪くありませんよ」

カチューシャ「今度は、万全の状態で出迎えるわよ」

ノンナ「はい。分かっています」

カチューシャ「それか……ミホーシャに……紅茶を……いれて……それか、ら……エリ、カ……」

カチューシャ「すぅ……すぅ……」

ノンナ「……」

ノンナ(成長を喜べ……。そうですね。いつまでもカチューシャとて子どものままではない)

ノンナ(戦車乗りとして、女としてカチューシャは一流でなくてはならないのですから)

ノンナ「これからは厳しく……」

カチューシャ「すぅ……すぅ……」

ノンナ「カチューシャには……厳しく……」

カチューシャ「のんなぁ……」ギュゥゥ

ノンナ「……」ナデナデ

数週間後 プラウダ高校

カチューシャ「ノンナ? どうしたの?」

ノンナ「カチューシャ……その……お腹が……いたく、て……」

カチューシャ「お腹が痛いならお手洗いに行ったらどう?」

ノンナ「そちら……では……なく……」

カチューシャ「あぁ……。それはカチューシャにはどうにもできないわね」

ノンナ「いえ……カチューシャ……傍にいてください……それだけで痛みも和らぎます……」

カチューシャ「一緒にいるぐらいならいいけど」

ノンナ「あと……その……あの……」

カチューシャ「なによ」

ノンナ「ナプキンを……貸しては……もらえませんか……?」

カチューシャ「私はタンポン派よ? タンポンならあげるわ」

ノンナ「え……いや、タンポンは抵抗が……」

カチューシャ「なら、カチューシャがいれてあげるわ。お手洗いにいきましょ」グイッ

ノンナ「ま、まって……!? そんな急に……!? か、カチューシャ!!」

トイレ

ニーナ「でなぁ、昨日のドラマがまたおもしろぐってぇ」

アリーナ「へえ、私もみでみようがなぁ」

クラーラ「詳しく教えてください」

ニーナ「それがなぁ」

『う……うぅ……!! うぅぅ……』

ニーナ「な、なんだべ!?」

アリーナ「声が……」

『Ураааааааа!!!!!』

バンッ!!!

ノンナ「はぁ……はぁ……!!」

クラーラ「ノンナ……」

ノンナ「もう……ウェディングドレスは着れません……!!!」ダダダッ

ニーナ「ふぐだいちょー!?」

カチューシャ「なによ。逃げなくてもいいじゃない」

島田邸

愛里寿「お母様」

千代「どうしたの、愛里寿?」

愛里寿「出血しました」

千代「練習で怪我をしたの?」

愛里寿「いえ、何故か下着が血だらけで」

千代「……」

愛里寿「病気でしょうか?」

千代「……ちょっと、待っていて」

愛里寿「はい」

千代「……」ピッピッ

しほ『はい?』

千代「そ、相談が……ありますの……」

愛里寿(あとでみほさんに聞いてみよう)


おしまい。

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