大原みちる「パンの亡霊は流石に食べられませんよねー」 (24)

デレマスSSです。

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うん。そうだな。そこに気が付いたか。

いや、だから。うん確かに俺が悪いよな。

まあだから口を閉じてくれないかな。うん。

みちるの八重歯が獣の……いやすっごくセクシーなんだ。

なんていうかチャーミングな部分だよな。

みちるの口はすごくセクシーだ。

だからな。まあ、口は閉じてくれ。

お願いだからさ。

うん。えらいぞ。みちるはちゃんと口を閉じてくれた。

うん。これで俺の話は聞けるよな。聞いた上で食べないでくれるよな。

みちる。……あははーって言っている目が笑ってないのはなんでなのかあえて聞かないからな。

……そうか。俺を食べるのは最後にしてくれるのか。優しいな。

そうだよな。まだみちるパンを持っているもんな。

……フラグじゃないよな。

まずは状況を整理しようか。

……いやいや。問答無用とか言わないでくれないか。頼む。

話せば分かる。きっと分かり合える。

なあ、そうだろ。スカウトした時みたいにな。話そう。

お金は出すからご飯食べに行こうか。

……ああ、お金で解決できないってことはよく分かっているから。

そういう問題じゃないよな。なあ、口を開かないでくれ。

いや、出来れば歯を鳴らさないでくれないか。威嚇されているみたいなんだ。

まあ、分かるよ。人類がパンを飼いならす前の時代。

旧石器時代の人類はトングを鳴らすことでパンを威嚇して捕らえていたんだ。

今でも大原ベーカリーでトングを鳴らしている人いるだろ。

その人は昔の人類の風習を守っているんだ。

……話を逸らそうとしているって?

まさか。なあ。話は変わってないからな。

話を戻そうな。俺は昨日家に帰っていないんだ。

それは知っているだろ?

なんたってみちるがいい匂いのしたパンを連れてここに来た時、俺は仮眠を取っていたんだ。

うん。そこまではオーケー。みちるもよく知っているよな。

そう、そしてみちるはコーヒーを淹れてくれたんだよな。

美味しかった。うん、本当。

まあ、それでだ。少し横道に入ろう。

みちる、ブレックファーストっていう語源を知っているか。

……うん、よく知らないか。

ちょっとした雑学なんだけど、断食を破るっていうのが語源になっているんだ。

つまり寝ている間はなにも食べていないだろ。

それを破るから朝食っていうことになるんだ。うん、そうだ。

え、みちるは夢の中でもフゴフゴしているのか。

初めて知ったぞ。

えっ……ああ、パンを枕にしているのね。

それで寝ている間にもフゴフゴと……

あっ、冗談だったんだな。ナイスジョーク。うん。面白いな。興味深い方の面白いってことだ。

をかしだ。をかし。あっ、お菓子食べるか?

……そうそう。机の中にあるぞ。

杏を誘き寄せるためにな。ははは。

えっ、机の中にお菓子があるのになんでみちるのパンを食べたんだって?

……美味しそうだったからだよ。

ああ、すごくお腹空いていたし、ほら、寝ている間は断食しているって言ってただろ。

そういうことだよ。つまりそういうことだ。

つまり。なっ。みちるが美味しそうなパンを持ってきたからさ。

つい……よくあることだろ?

ごめん。俺が悪かった。みちる。口を開かないでくれ

……俺はご飯じゃない。勿論パンでもない。

Pってパンのことじゃないんだ。

……みちるの目は透き通っているな。

なんていうか。グルグル目で……ひっ……いやなんでもない。

俺はなにも見ていない。俺はご飯じゃない。

同じ場所をずっとグルグルとして真っ黒になったとかよく分からない。

おい、やめてくれ。俺は獲物なんかじゃない。

でもみちるが悪いんだ。みちるが誘惑するから。

あんな美味しそうなパンの匂いに。

俺のためにコーヒーを淹れてくれるっていうから……


テーブルの上にあるパンは俺も食べていいって勘違いしちゃったじゃないか!


みちるが悪いんだ。畜生。畜生。こんなのって…

……えっ、なに。別に俺がパンを食べたことは全然気にしてないって?

さっきから。パンパンって事務所が鳴っている?

うん。そういう話なの。俺は食べれないのは分かっているって。

うん。うんうん。俺があまりに怖がるからちょっとからからっただけなの。

そうなの。はぁ……

……いやいや。みちるはそんなこと……

いや、待って。パンパンってもしかしてラップ音?

ああ、そうなんだ。ラップ音なんだ。

へえ、事務所が結構悪霊の住処にねぇ……

誰が言ってた?小梅?よしのん?

……そうかそうか。

へぇ。さっきまで俺が寝てた姿をじっと見てたんだ。

へえ。いやいや、全然俺は怖がってないぞ。

いやいや、怖がるなんて感情は実家に置いてきたし。

俺は怖くないからな。なっ。

……ひぃ。今、パンパンって鳴った。なんか鳴った。

怖くないなんて嘘怖い。

あっ、ごめんな。思わずみちるにな。

セーフ。これはセーフ。スケベかもしれないけど故意じゃない。

うん?どうした。口を閉じられると困るけど。ちょっとこっち向いて。

ノットセクハラだよな。みちるに抱き着くのはセーフだよな。

うん。ごめん。離れる。

えっ、もう少しこうしていてもいいって。

ごめん。ちょっと腰が抜けちゃってな。ごめんな。

みちるの頬って柔らかいんだな。

……うん。モチモチだな。すごくスベスベしているし。なんだか落ち着く。

ごめんな。こんな情けない姿見せちゃって。

甘えてもいいって言われてもな。なんかな。

えっ、ドキドキするって?

俺もだ。すごいドキドキしている。

……ラップ音とかダメなんだ。

ホラー系の話は好きだけど自分が体験するとなるとめっちゃ怖い。

あははーって笑っている目が笑ってない。

なんでだよ。怖いよ。亡霊も怖いけどなんかみちるも怖いよ。

うん。ごめん。離れる。そうかそうか。旨かったよ。

えっ、怒ってない。そうなんだ。

……うん。みちるがいいなら毎日パンを届けてくれ。

みちるのパンなら毎日大丈夫。美味しいから大丈夫だよ。

うんうん。それじゃあ、またな。


……えっ、亡霊は俺の机の下にいるって。

待って。行かないで。怖い。すごい怖い。

えっ、覗くの?一人で?ホラーなら死ぬやつだよ。

みちる……なんであんなに冷たいんだ……

大丈夫。今なら俺は無敵。みちるを抱いた今なら余裕。


おい、お前。いや、知ってたけど。

なんか来るんじゃないかなって思っていたけど。

ラブコメとか犬でも食わないんですけどって言っているお前だ。

美味しそうなパンを頬張ってリスみたいだな!

ラップ音もお前が出していたんだな!

森久保ぉぉぉぉ!!!!!!!

短いですが終わりです。

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