留美「雪美ちゃんと初めてあった日」 (26)

・和久井留美さんがアイドルになる前に雪美ちゃんにあってたらというお話です。

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留美(今日は一ヶ月ぶりのお休み)

留美(とはいっても何もすることがないわね)

留美(家に居てもしょうがないわ。 気晴らしに近所を散歩しましょう)

留美(…………)

留美(外に出たはいいのだけれど散歩ってどうするのかしら)

留美(とにかく歩いてみるしかないわね)

留美(他の人達って休みの日は何してるのかしら)

留美(そういえば社長は釣りに行くって行っていたわね)

留美(あんなのどこが楽しいのかしら)

留美(あら、こんなところに公園があるのね)

留美(あの子……1人で公園で遊んでいるわ……)

留美(大丈夫なのかしら……)

留美(あっ、こっちを見たわ)

留美(こっちに歩いてきたわ……どうしましょう)

雪美「……………………?」

留美(えっ? 何? どうして黙り込んでいるのこの子)

雪美「…………………」

留美(あら、猫ちゃんも一緒だったのね)

留美(かわいらしい猫ちゃんね…でもダメなのよ…)

雪美「……………………猫……………」

留美「えっ?」

雪美「…………………猫…………好き……………?」

留美「えぇ、好きよ。 でも私猫アレルギーだからあまり近づけないでね」

雪美「……………わかった……………ペロ…………ちょっと…………後ろ…………」

ペロ「にゃっ!」

留美(えっ、何この子猫と話せるの?)

留美(公園に一人で居たし、ちょっと危ない子なのかしら)

雪美「…………………………?」

留美(そんなに見つめられると困るのだけれど)

雪美「…………………何…………してる…………?」

留美「何って…散歩よ」

雪美「………………散歩………………?」

留美「そうよ、仕事が休みだから散歩してるの」

雪美「……………そう」

留美「あなたこそ何しているの? 

雪美「……………散歩…………………ふふっ……」

留美「あらそう。 学校はどうしたの?」

雪美「…………夏休み……………」

留美「もうそんな時期なのね」

雪美「………うん……」

留美「お友達は?」

雪美「………この子…………」

ペロ「にゃぁ」

留美「そうじゃなくて、学校のお友達は?」

雪美「………………学校…………京都……………」

留美「えっ?」

雪美「………お仕事………来た……………」

留美「お仕事?」

雪美「………お仕事………アイドル………」

留美「貴女、アイドルなの?」

雪美「……………うん」

留美「そう」

雪美「…………………あなた………お仕事……………なに………?」

留美「私は留美よ。 秘書をしてるの」

雪美「…………………ひしょ……?」

留美「社長のご機嫌を取るだけのくだらないお仕事よ」

雪美「……………ここ……暑い………あっちの……ベンチ……………涼しい……」

留美「……あなた、結構自由人なのね。ちょっとうらやましいわ」

雪美「……………………雪美」

留美「雪美ちゃんね、覚えておくわ」

雪美「……………………留美……………お仕事…………楽しくない…………?」

留美(いきなり呼び捨てなんて、最近の子は怖いわね)

留美「そうね、楽しくはないけれど嫌いじゃないわよ」

留美「そりゃ会社では色々あるけど、なんだかんだで毎日平和に過ごせているもの」

雪美「……留美……不思議………楽しそうで………楽しくなさそう…………?」

留美「そうね、私も楽しんだか楽しくないんだかわからないわ」

雪美「……………………悲しい………?」

留美「悲しくなんかないわ。 そこそこの収入も地位もあるもの」

雪美「…………でも………悲しそう…………」

留美「あなたはアイドルだから分からないでしょうけど私達みたいな一般人にはこういうのが幸せなのよ」

雪美「………………?」

留美「ってあなたにいってもわからないわね」

雪美「…………うん…………」

留美「……雪美ちゃんは、お仕事は楽しい?」

雪美「……うん………でも……歌……声……小さい……」

雪美「……………からだ……かたい……」

留美「それ、アイドルとして致命的じゃないかしら?」

雪美「………でも………楽しい……毎日……」

留美「そう、なんだか楽しそうね」

雪美「それに……プロデューサー……信じてる……。だから……私…がんばれる……」

留美「良いわね、そういうの」

雪美「…………?」

留美「ううん、なんでもないわ」

雪美「………アイドル……苦手……でも……好き……」

雪美「……留美……ひしょ…………好き…………?」

留美「好きでも嫌いでもないわ」

雪美「……留美………楽しいこと…………教えて………」

留美「楽しいこと? さぁ、何かしらね」

留美「たまにバッティングセンターに行ったりカラオケに行ったりすることぐらいかしら」

雪美「……カラオケ……歌……?」

留美「そうね、歌を歌うの。 ストレス発散のために」

雪美「………歌………歌う…………一緒に………」

留美「えっ? ここで?」

雪美「……うん…………」

留美(昼間から公園で歌うなんて変質者もいいところなのだけど……)

雪美「……歌……歌う………練習………」

留美「えっ…本当に歌うの?」

雪美「大丈夫……曲……ある……」

留美「そういう問題じゃないのだけれど」

雪美「……歌詞………知らない?」

留美「一応知ってるわよ」

雪美「……じゃぁ…………大丈夫……」

留美「そうじゃなくて、外で歌うのがダメって話よ」

雪美「……大丈夫……大声…………違う………」

留美「恥ずかしくないの?」

雪美「…………? ……恥ずかし…ない……よ………?」

留美「流石はアイドルね」

雪美「………ふふっ……なんてったって………アイドル……」


雪美「………歌い出し………大丈夫………?」

留美「どうしてもやるのね」

雪美「…………うん……きっと……楽しい………」

留美「もうヤケよ、やりましょう」

雪美「ふふっ………」

ちひろ「あっ、雪美ちゃん! こんなところにいたんですね!」

雪美「……ちひろさん……」

留美(お母さん……じゃなさそうね)

ちひろ「あら、雪美ちゃんのお母さんですか?」

留美「違うわよ、たまたまそこを通りかかっただけ」

ちひろ「あっ、そうなんですか失礼しました!」

留美「あなた、子どもをこんなとこに1人にしてたらダメじゃない」

ちひろ「すみません!」

雪美「…留美……違う……私が……勝手に……来た……」

留美「あらそうなの」

ちひろ「ずっと見ていてくれたんですか?」

留美「そうでもないわ、つい10分ほど前にあっただけ」

ちひろ「そうなんですか、ありがとうございます!」

留美「あなたはプロデューサー?」

ちひろ「申し遅れました。私、シンデレラプロダクションのアシスタントの千川ちひろです!」

留美「そう、私は和久井留美よ」

雪美「……ちひろさん……留美………連れて行く……」

ちひろ「えっ?」

留美「連れて行くって、何も聞いてないのだけれど」

雪美「……だめ……留美……来て…………どうしても……」ギュッ

留美「雪美ちゃん、いきなりどうしたの?」

雪美「……とにかく………来て………」

留美「来てってどこにいくのよ」

雪美「………撮影……見て……どうしても……」

ちひろ「うぅん、雪美ちゃんはこうなると頑固なんですよねぇ」

留美「大変なのね」

ちひろ「……申し訳ないのですが来ていただくことはできませんか?」

留美「えぇ…そもそもなんで行かなきゃだめなの?」

雪美「……留美……楽しそう……違う……・」

留美「あら、失礼ね」

雪美「……アイドル………楽しくする………お仕事……………だから………」

留美「あら、私を楽しませてくれるの?」

雪美「……うん…………」

留美「そこまで言うのなら見ていてあげるわ」

留美「どうせ私も暇だし」

ちひろ「それではお願いします」

雪美「ふふっ……」

――――――スタジオ

留美「ここで見ていればいいの?」

雪美「……うん……見てて……」

ちひろ「それじゃぁ雪美ちゃん、頑張ってください」

雪美「……うん……モバP……頑張ってる……どこかで……」

雪美「だから……私も……頑張る……」

ちひろ「その意気です。 いってらっしゃい」

ちひろ「本当にここまでついてきて頂いてすみません」

留美「大丈夫よ、どうせ私も暇だったし」

ちひろ「あの、もう撮影が始まるのでこっそり途中で抜けてもらっても構いませんよ」

留美「帰ったほうがいいかしら?」

ちひろ「いえ、そういうわけでは……」

留美「最後まで見ていくわ」

――――――――――

彩華「アイドルクラブAYAKAのお時間ですぅ♪」

彩華「この番組はぁ、色んなアイドルを招いて色んなお話を聞いちゃう番組ですぅ♪」

彩華「クラブってついてるけどとーっても健全な番組な番組ですぅ♪」

彩華「今日のゲストは雪美ちゃんですぅ」

雪美「……………よろしく………」

彩華「かわいい~!」

雪美「………………」

彩華「すっご~い! 顔も手もちっちゃ~い♪」

雪美「……………」

彩華「ゆ、雪美ちゃん? 雪美ちゃ~ん?」

雪美「………………」

彩華「なんか黙ってるとすっごいお人形さんみたいでかわいいぃ~♪」

彩華「ほっぺたも真っ白でぷにぷにぃ~♪」プニッ

雪美「…ンギャァッ」

彩華「きゃっ! も~びっくりサプライズぅ~♪」

雪美「…ペロのまね……まねだよ…」

彩華「意外とリアル~、やっぱ猫飼ってるだけはあるよねぇ~」

留美(確かに今のはリアルだったわね)クスッ

ちひろ(あっ、今笑った。 この人凛としていてカッコイイけど笑うと可愛らしい)

ちひろ(こんなときプロデューサーさんならスカウトするんでしょうか)

ちひろ(な~んて、私はアシスタントですから今は雪美ちゃんを見守って居ましょう)

彩華「きゃ~! 雪美ちゃん彩華の髪にペロちゃんをいれようとないで~」

ちひろ(………大丈夫かしら……)

――――――――――

ちひろ「お疲れ様です」

雪美「………どうだった……?」

ちひろ「よかったですよ」

雪美「……留美は………?」

留美「なかなかおもしろかったわ」

雪美「……ふふっ……留美……見てた……」

雪美「……くすって……笑った……見た……」

留美「あら、バレてたのね」

雪美「……よかった……楽しんで……くれた……」

留美「えぇ、なかなかおもしろかったわ」

留美「普段テレビなんてニュースぐらいしか見ないけれど…たまにはこういうのもいいわね」

雪美「留美……明日も………遊ぼ……?」

留美「明日はダメよ、お仕事があるもの」

雪美「…………夏休み……………違う……?」

留美「たまたま平日に代休を取っただけで夏休みってわけじゃないの」

留美「でも、強いていうなら一日だけの夏休みってところね」

留美「次のお休みは秋になるかもしれないし」

雪美「…………パパ……ママ……一緒……………」

留美「あらそう、ご両親も大変なのね」

雪美「………留美……お仕事……楽しい……?」

留美「何度も同じことを聴くのね、楽しくはないわ」

雪美「……辞めないの……?」

留美「やめたら生活できないじゃない。辞められないのよ」

雪美「……ずっと……楽しくない…………大変……」

留美「だけど、生活のためなら仕方ないでしょう?」

雪美「……私……アイドル……なる前…………」

雪美「……パパ…………ママ……お仕事……いつも……1人……」

雪美「…寂しい……」

雪美「……アイドル……初めて……身体……硬い……」

雪美「……踊れない………声……小さい………歌えない……」

雪美「……とても……辛い……モバPの…せい……」

雪美「……でも……毎日……楽しい…………」

雪美「……だから……アイドル……なって……よかった……」

留美「辛くても自分の行きたい道を行けってことかしら?」

雪美「……そう……………たぶん……」

留美「まさかこんな小さな女の子に説教されるなんて思わなかったわ」

ちひろ「す、すみません」

留美「ううん、いいの。 なんだかすっきりしたわ」

ちひろ「えっ?」

留美「ちょっと色々あってね、最近仕事辞めようかと思ってたのよ」

留美「そしたら社長が一日休んでいいから考えなおしてくれって夏休みをくれたの」

留美「でも、反対に辞めたくなっちゃったわ」

留美「これからはもっと雪美ちゃんみたいに自由に生きるわ」

雪美「……………うん」

留美「それじゃぁね雪美ちゃん。 今日はありがとう」

雪美「……またね………きっと……また……会う気がする……」

留美「私もなんだかそんな気がするわ。 またね」

――――――――――――――――――――

留美(一日ぶりに戻った職場は私が居ない分を埋めようと大忙し……というわけもなく、いつもと変わらない日常)

留美(ドラマのように辞表叩きつけたわけでもなく、いつもの書類を出すように静かに出したわ)

留美(周りからは奇人を見るような目で見られて、何より私自身どうかしてると思ってるわ)

留美(幸い貯金はあるからしばらくはなんとかなりそうね)

留美(明日からどうしようかしら)

留美(まぁいいわ。 今日はとことん飲みましょう)

留美「マスター、もう一杯……。うんと強い奴を。」

モバP「すいません。 隣いいですか?」

留美「何よ。もしかしてナンパ?」

モバP「いえ、仕事のお話です」

留美「仕事ね…私、今日辞表を出してきたの」

留美「その私に仕事のお話なんて悪趣味ね」

留美「あら。名刺、頂戴します……へぇ、芸能事務所のプロデューサーなの」

モバP「詳しい話はまた後日させて頂きますのでもし興味があれば…」

留美「明日」

モバP「えっ?」

留美「どうせ明日も明後日も何もないもの。だったら明日にするわ」

モバP「良いんですか?」

留美「えぇ、お城へ向かう馬車は速いほうが素敵でしょ?」

留美「って、流石に臭すぎたかしら?」

モバP「そんなことありません。 アイドルには必要なことです」

――――――――――翌日

モバP「本当に来てくれたんですね」

留美「あら、信用なかったかしら?」

モバP「やっぱり昨日の今日でしたし、それに飲んでらしたので……」

留美「そうね、昨夜はどうも……みっともないところをみせてごめんなさいね」

モバP「いえいえ、和久井さんことを知られてよかったです」

留美「それで、アイドルって本気なの?」

モバP「もちろんです」

留美「まぁいいわ。 昨日付き合ってもらったお礼に今日は話を聞いてあげる」

モバP「ありがとうございます」

雪美「……おはよう……」

モバP「おはよう雪美」

留美「あっ」

雪美「ふふっ……」

モバP「えっ、雪美知り合いなのか?」

雪美「……うん…………ううん……はじめまして……」

留美「ふふっ、そうね。 初めまして……雪美ちゃん」


終わり

以上です。
これからも和久井留美さんをよろしくお願いします。
あと膝の上の恋人こと佐城雪美ちゃんもよろしくお願いします。

前作です。
【デレマスSS】若葉「モバPさん、私のことをママと呼んでください~」
【デレマスSS】若葉「モバPさん、私のことをママと呼んでください~」 - SSまとめ速報
(https://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1467547201/)

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