【ZO】始まりの「極」【鎧武】 (68)

!CAUTION!
・仮面ライダーZO×仮面ライダー鎧武のクロスオーバーです
・時系列はZO側は本編終了後、鎧武側は本編よりかなり前。双方ネタバレ満載なので注意
・クロスの都合上、一部キャラの設定に捏造が混ざっています
!CAUTION!

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1467798577

「…素晴らしい」

白衣を纏った男は、思わずそう漏らした。
眼鏡越しに注視するモニターの中では、2人の超人が戦っている。
その片方、緑の表皮に包まれた戦士の姿を見ながら、男はノートに何かをスケッチしていた。
やがてモニターの映像が終わると、一心不乱に続けていたスケッチの手も止まる。

「彼も最後に良いヒントをくれたものだ。まぁ、個人としては俗物だったがね」

わずかばかりの物思いの後、男はスケッチを元に今度は図面を書き始めた。
アウトラインの出来た絵の中に、パーツ構成と必要案件を仕込んでいく。
それは様々な分野の知識を総動員しなくてはならない荒業のはずだった。
だが、この男は全く苦にする様子がない。むしろ嬉々としてペンを進めている。

そしてまた手が止まった時、そこには一つの設計図が完成していた。
ベルトのバックルを大型にしたような、そんな奇妙な機械。

「これでいいか。一式が揃うのもそうかからないだろう、楽しみだ」

暗い部屋の中にノートを残し、男は去って行く。
残されたノートの表紙には当初書かれていた文字が打ち消し線で消され、代わりにこう書かれていた。


―『戦極ドライバー』と。

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Masked Rider ZO


          --------------→
           始まりの「極」
          ←--------------


                       Kamen Rider Gaim


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            - 1 -


革のジャケットを羽織った男がバイクを走らせる。
湾岸沿いの道を抜け、高速道路へ。
軽快に飛ばすのは東京都内へ向かう道だった。

(久しぶり、か…このあたりに来るのは)

三ヶ月といえど、日本中を転々としていた身なら当然の感慨。
だが実際のところ、この道を走っているのは男の本意というわけではない。
彼が東京に戻って来た理由のは、一通の封筒にあった。

パーキングエリアに愛車を停め、改めてその封筒を眺める。
中にはある場所の地図と、「君の望むことを教える」という簡潔に過ぎる手書き文面だけ。
旅路での宿泊中に突然ホテルのロビー経由で受け取ったため、誰か持って来たかは判然としない。
ホテルの人間が寄越したのではないと確認が取れており、緊急の連絡をしそうな知人はそもそもいなかった。

(唯一の手掛かりは…世界樹か)

封筒の裏面に描かれた大樹を象ったマーク。その下には「ユグドラシル」の表記がある。
内容物以外に送り主を特定しうる要素はこれしかないが、男に心当たりはない。

しかし、この封筒が間違って届いたものではないことだけは確かである。
表面には確かにこう記されていた。


『麻生 勝 様』


麻生―この男の名前である。

目的が皆目わからない以上、一時は無視することも検討した。
だが、行く先を固定せず動いていた麻生の宿泊先にこの封筒が届いた以上、
相手は相当な情報把握力を持っているのだろう。
ここで無視したところで同じことが繰り返される可能性が高い。

何より地図に示された場所が気になった。
この場所を知るということは、麻生にとっての「望むこと」を本当に知る相手なのではないか…。
その予感が、東京への一時帰還を決断させていた。

性質の悪い悪戯だとしたら、それは笑って済ませるしかない。
だがもし、それ以上の悪い可能性―何がしかの罠だとしても、正面から断ち切るまで。
師の遺した禍根は責任を持って断つ。贖罪にも似た旅路の中で、麻生はそう決めたのだから。


覚悟を決め、再びバイクを走らせる。
行く先は忘れもしない、あの決戦の地だった。

            - 2 -


東京といっても、その全てが大都会というわけではない。
郊外も郊外、誰の目も届かないような荒涼とした地に麻生のバイクはあった。

「変わりない…当然か」

かつての光景を思い出し、思わず一人ごちる。
今、眼前に映るのは一つの廃墟である。
元は何かの工場だったようだが、屋根上の煙突は半ばで砕け散っている。
壁面の内、木で出来た一部は完全に粉砕され、かろうじて残る内部も爆発による火災と衝撃の跡が目立つ。
だが、それだけではない。

(立ち入った痕跡がある。悪ふざけの類ではないらしい)

無造作に残された、明らかに最近ついた足跡に警戒しながらも、バイクを降りた麻生が単身廃墟を進んでゆく。
やがて足跡の先に、一つだけ扉のないまま開放された部屋が現れる。
迷いなく部屋に入り、入口から続く短い階段を降りた。

(これは…!)

部屋の中は天井も床も壁も、いつ崩壊してもおかしくないほど荒れていたが、
それを気にせず麻生は床に落ちている何かの元まで駆け寄る。
拾い上げたそれはオルゴール時計だった。
所々が黒く変色し、フレームもやや歪になっていたが、それでも見覚えのあるものだった。

懐中時計を拳の中に秘めたまま、目を閉じる。
…わずかの後に開けた手の中には、在りし姿を取り戻したオルゴール時計があった。
フレームは元通りになり、変色していたカバーも金の輝きを取り戻している。
何よりカバーを開けた時に、オルゴールの優しい音が鳴っていた。

「やはり興味深いね、君は」

咄嗟に麻生がオルゴール時計をジャケットのポケットにしまいこんだ矢先、そんな声が聞こえた。
辺りを見回す。声の主はすぐ見つかった。

視界の隅、爆発で倒れた金属パイプの上に、一人の男が腰かけている。
Tシャツと短パンの上に軽く白衣を羽織っただけと、廃墟にそぐわぬ異様なまでのラフさ。
しかしその白衣にはあの「ユグドラシル」のマークが確かにある。
そして、こういう服の着方を平気でする男を、麻生は一人だけ知っていた。

「戦極凌馬…俺を呼んだのは、貴方だったのか」

「そういうことになるね。ああ、私はさして待ってないからそのあたりは気にしなくていい」

「何故ここに呼んだ?」

戦極の言葉を遮るように、麻生は割り込んだ。
相手が止めない限り、この男は自分のペースでしか話さない。それは服装同様変わっていないらしい。

「相変わらずだね君は…まぁいい。今日は礼をしようと思ってね。
 望月氏も呼べればと思ったが、ユグドラシルの組織力を以てしても連絡がつかなかった。残念だよ」

伸ばしはじめたばかりの半端な長髪を揺らしながら、凌馬が軽く肩をすくめる。
その言葉がどこまで本気か、麻生には読めない。
だからあえて凌馬の語るに任せた。

「わざわざ御足労願ったのは、この場所なら君は逃げないと踏んだからさ。
 望月氏の研究資料の処分もご苦労だが、この時計に未練はあっただろうからね」

「…どこまで知っている?」

「三ヶ月前のことならおよそ把握している」

聞き方を変えた麻生に、凌馬が即答する。
三ヶ月。この工場が廃墟と化したのも、およそ三ヶ月前。そしてオルゴール時計。
ここにいる時点で何も知らないはずはないが、それでも想像以上に凌馬は多くを知っているように見えた。

「驚いているようだね?もっとも、私は大層なことをしたわけじゃない。
 望月氏の不用心が過ぎただけさ」

言いながら、凌馬が傍らに置いていた何かを拾い上げる。
小型の隠しカメラの類であることは、麻生にも容易にわかった。
そしてそれを設置しておくようなことができたのは、博士本人か凌馬しかいない。
…そう、彼にはできたのだ。

麻生が凌馬に初めて会ったのは、もう4年も前のことになる。
望月遺伝子工学研究所にやってきた凌馬は、当時から奇妙な男だった。
実直で真面目な麻生と対照的に映る、軽薄な変人ではあったものの、研究の才は確実にあった。
仮にも臨床遺伝子工学の権威である望月敏郎博士が、麻生以外で助手の任を認めたのは凌馬だけである。

もっとも、麻生が彼と共にいた期間は決して長くない。
望月博士がある凶行に及ぶ前の時点で、研究所に凌馬の姿はなかった。
元々、博士の親友筋のツテで来た男である。
恩のある親友当人に呼び戻しを受けては帰らざるをえない…というのが、麻生の当時聞いた理由だった。
それ以来、連絡を取ったことはない。もっとも、連絡があったとしても麻生に確認する術はなかったが。

「最初から、博士の研究を盗むつもりだったとはな」

「勘違いしないでくれたまえ。天樹氏から呼び戻しを受けたのは事実だよ。
 ついでに言えばこのカメラ自体、望月氏の要望である観測目的にきちんと沿って置かせてもらった。
 私がしたのは、映像転送設定に少々細工をしただけだ」

飄々と凌馬が語る。

「だから三ヶ月前の映像には驚いたよ。久方ぶりに送信が再開された映像は益のあるものだったのだからね。
 私はつまらない産業スパイのような真似をする気はなかったが、今回だけは天樹氏のオーダーに感謝させてもらった。
 …まぁ、そんな過程はもうどうでもいいか。君が求めた答えを教える前に、私の研究成果をお見せしよう」

バッサリと話を切り替えると同時に、凌馬が立ち上がる。
麻生は鋭い眼光でその様を見据えていた。

求めるものに答える、と確かに文面にはあった。
あの日の戦いを知っているなら、麻生が望月博士の研究データを処分するという行動に至ることは推測できただろう。
その所在を生前の博士自身から聞き得たこの男には、麻生の移動先を簡単に絞れたことだろう。
一つ謎は解けた。だが麻生はそんなことを聞きに来たわけではない。

凌馬は白衣のポケットから2つのものを取り出した。
1つは、レモンを象った錠前らしきもの。もう1つは、黒く大型の奇妙なバックル。
麻生にはどちらも見覚えのないものだった。

「これの開発にあたり、最後のアドバイスをくれたのが君だ。その礼は成果という形でお返ししよう」

「アドバイス?どういうことだ?」

麻生の問いと共に、凌馬がバックルを腰に押しあてた。
同時にバックルからベルトが展開され、腰に巻きつく。

「この『戦極ドライバー』が腰にあるのは、君のあの姿に原因があるのさ。
 人間に外部的なエネルギーを効率良く供給するには、丹田の周辺を押さえるのが良いワケだ。
 それが望月博士の答えであり、そして4年を経て現れた君の姿がそれを証明した。
 あの当時黒かった腰のコアが赤くなり、性能で上回る金属生命体を倒したことがね」

「金属…!!ネオ生命体のことか!」

麻生の脳裏に、三ヶ月前の決戦の光景が浮かぶ。
あの日、麻生はネオ生命体と呼ばれる存在と壮絶な戦いを繰り広げ、ついには撃破した。
だがネオ生命体を倒したことで、彼を維持するための装置が爆発し、連鎖的に施設一体を炎に包んだ。
その結果廃墟と化したのがこの工場であり、この部屋こそがネオ生命体と相対した場所だったのだ。

「望月氏は惜しい人物だったよ。『侵食されない金属による完全生物』という、ある種の答えを短期間で導き出した。
 私にとって有益な協力者と成り得る可能性は少なからずあっただろう。
 惜しむらくは研究途中で恐れを為して手を引いたことだな。犠牲を厭わず進めないようでは、所詮は彼も凡俗ということだ」

「まさか、望月博士がネオ生命体の研究ではなく、創造に切り替えたのは…!」

「私の進言がきっかけだよ。理論だけでなく、実際に生命体の進化を人為的に推し進めてはどうかというね。
 ちょうど妻を亡くした後だったせいか、『感情の超越』を題目に彼はその道を邁進したワケだ。
 ああ、そうか…つまり望月氏が亡くなったのも君がそんな身の上にあるのも、全て私のせいか!」

自分の言葉に納得するように笑い出した凌馬を前に、麻生は身を震わせた。

あの戦いの後も、麻生には一つだけ謎が残っていた。
何故、ネオ生命体を生み出すような狂気が望月博士に生まれたのか。

麻生の知る博士は、音楽と実子を愛する温厚な人物だった。
だが、ある日を境に博士は狂気に走った。
結果、博士は自らネオ生命体に連れ去られ、そのまま爆炎と共にこの地に消えた。
この三ヶ月、各地に残された望月博士の資料を追っていたのは、ネオ生命体誕生を悔いた
亡き師の遺志に沿うだけでなく、誕生の原因となった狂気の由来を知るための旅路でもあった。
期を同じくして博士が妻を失くしていた事実に、麻生も旅路の中で辿りついたものの、
それは完全な答えではなかったらしい。

…全て、この男から伝播したものだったとは。
たしかにあの封筒の文面通り、「望むことを教える」のは本当だった。
だが隠されていた答えを暴いた今、凌馬の哄笑に怒りが沸いてくる。

曲がりなりにも同僚だった男だが、もはや麻生は彼を仲間とは思えなかった。

「何がおかしい…!凌馬ぁ!!」

「いやいや、科学の発展に犠牲はつきものというのは本当だと思ってね」

『レモン!』

凌馬の右手にあるレモンの錠前が、電子音声と共に淡い黄色の光を放つ。
同時に、凌馬の頭上にジッパーのようなものが出現したのを麻生は見た。
そのまま錠前を腰のバックル―あの戦極ドライバーに嵌め、すぐさまバックルに備えられた小刀に手を掛けた。

『ロックオン!』

「変身」

『カモン!レモンアームズ!インクレディブル・リョーマ!』

錠前が切り分けられると、ジッパーの中から巨大なレモンのような金属物質が現れ、凌馬の頭を覆う。
瞬間、凌馬の身体は青いスーツを纏っていた。その上に金属物質から展開された鎧が被さっていく。
最後に右手に西洋の剣であるレイピアが握られ、凌馬の「変身」は完了した。

「それが俺と博士を踏み台にして生まれたものだというのか…!」

「その通り。まだ途上も途上だが、一応の完成だからね、功労者の君には拝む権利もあるというものだ。
 さて…ではデュークの次の完成形のために、最後までプロトタイプらしく礎になってくれたまえ」

手にしたレイピアを突き出し凌馬、いやデュークが麻生に襲いかかる。
間一髪、麻生は左へと転がって避け、そして続け様に後方へ飛んだ。
斬れ味の鋭さは裂けたジャケットが物語っていた。

もはや迷わない。
人間相手に拳を振るうつもりはなかったが、凌馬がその力で襲いかかるというのなら覚悟はある。

麻生は呼吸を整え、右手を左肩の上まで掲げた。
限界まで力を込めたその手を、ゆっくりと振り降ろす。

「変…身!」

麻生の全身が発光し、一瞬でその姿が変化する。
全身が緑の表皮で覆われ、赤い目をした戦士。表皮の繋ぎ目には黄金色のラインが走っている。
その腰の中央には、たしかに真紅に染まったエナジー・コアがあった。
人体にバッタの遺伝子と生体機械を組み込んだ、ネオ生命体のプロトタイプ。
それこそがこの姿であり、望月博士の凶行を受けた証でもあった。

蜘蛛女のストップモーションは子供の頃初めて見た時大泣きしたなぁww
あの映画に大葉さん(ギャバン)が出てたのを一昨年くらいに改めて見て初めて気づいた。
ちなみに、1は前にウィザードと555、もう一個何か書いてた人?

>>18
多分それは違う方かと…。
デレマス×仮面ライダーSSは幾つか書いていますが、ライダーのみのクロスは初ですので。
あ、直近だとこちらになります。

【デレマス】I meet J【仮面ライダーJ】
【デレマス】I meet J【仮面ライダーJ】 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1464707339/)

「それでいい、君がZOにならなくてはデータ取りの意味もない」

「ZO?どういう意味だ…?」

レイピアに警戒しながら、麻生は聞き返した。
ネオ生命体との戦いの中で、この姿を「ライダー」と呼ぶ者はいたが、「ZO」などと呼ばれたことはない。

「『究極の原点』という意味らしい。名付けたのは君に似た馬鹿真面目な親友だ。
 私の趣味には合わない名前だが、まぁセンスそのものは悪くないだろう。
 何よりあの金属生命体と混同しなくて済むのが利点だ。
 …もっとも、この名前を使うのは今日で最後かもしれないが」

「そう上手くいくと思うな!」

デュークのレイピアを、前進しながらかわす。
斬れ味は鋭いが、いかんせん剣捌きは極めて直線的だ。
歴戦の戦士である麻生―ZOには簡単に見切れる程度のものでしかない。
そのまま一気に拳を打ち込むことも簡単だった。

だが、いくら攻撃しても弾かれる。
肉薄して打ち込んだアッパー気味のパンチも、抉り込むような膝蹴りも、
鋭いチョップすらも鎧に傷一つ付けられず、デュークの身を揺らすことしかできなかった。

「これは…ネオ生命体!?」

拳脚の威力を削いだ金属の鎧、その感触と硬さはかつてZOが戦った者によく似ていた。

「片手落ちな真似をするワケがないだろう?
 私なりに解釈し、改良させてもらった。もちろんそれは耐久力だけではない」

「ぐおっ!?」

自信に満ちた声がデュークから漏れると共に、ZOの身体が派手に吹っ飛ばされる。
無造作で大振りなパンチだが、その威力はZOの鋭いパンチを上回っていた。
受け身を取って立て直しはしたが、同時に戦極ドライバーの小刀が動く。

『レモン・スカッシュ!』

デュークの持つレイピアが黄色く発光する。そしてそのまま突きを入れてきた。
通常でも切れ味が鋭い一撃がより強化されているなら、直撃を受けてはひとたまりもない。

だが、突きの当たった感触はデュークに伝わらなかった。

「ほう…」

感嘆の声と共に、デュークが正面から視線を外す。ZOの姿は頭上にあった。
わずかな電子音だけで攻撃に気付き、必殺の突きに合わせて跳躍していたのである。
そのままデュークの胴体を射抜くように空中から蹴り込む。

今度は揺らぐでは済まず、デュークが後方に倒れる。
それでもわずかの間の後、何事もなくデュークは起き上がってきた。

(さして効いていない…なんて装甲だ!)

「さすがZO、少しはやるじゃないか。誉めてあげよう」

ZOの焦りと対照的に、デュークは未だ余裕を崩していない。
戦闘の技量という点では、明らかに戦極凌馬は素人だ。
にも関わらず余裕があるのは、ZOとデュークとで相当なスペック差があるためだった。
反射的なものだったとはいえ、あの跳び蹴りはそれなりの威力が乗っている。
それだけの攻撃を放つにはデュークの隙を突いてゆくしかない。
いくら戦闘経験が貧困であろうと、凌馬の頭脳がそんなことをそう何度も許すだろうか?

「では次のテストだ」

淡々とした凌馬の声と共に、また電子音が聞こえる。

『レモン・オーレ!』

再び、レイピアが黄色く発光する。
だが声が違う。しかも突きが届く間合いよりも遠い。
警戒したZOを襲ったのは突きではなく、衝撃波だった。

デュークが薙ぎ払うようにレイピアを振ると、剣閃そのままに衝撃波が飛んでいく。
元々武器の分だけあるリーチ差をさらに広げられ、上空までカバーされては反撃もままならない。
連続して飛来する刃をZOはなんとか避けるが、全て抜けるには早過ぎた。
直撃こそ受けてはいないが、それでも幾つかは肌を掠め赤い傷を付けている。

同時に衝撃波をかわす中で、ZOの視界にあるものが目に入った。

「凌馬、やめるんだ!このままだと巻き込まれるぞ!」

「何を言っているやら。まだデータは取り終えていないよ?」

制止の言葉を無視し、デュークがまた剣閃を飛ばす。
ZOは後方へひたすら飛び退り、部屋の出入り口の階段を飛び上がった。
頭上から激しい異音が響いたのはその直後だった。


天井が崩落し、室内を覆い尽くす。
あの日の戦いの舞台が、完全に塵と消えた瞬間だった。

            - 3 -


「ハァ、ハァ…どう、なったんだ?」

崩壊する部屋を間一髪抜け出したZOは、息を切らしながら変身を解除していた。
デュークの放ったあの衝撃波は広範囲をカバーする。当然、空中へも攻撃の余波がゆく。
それ故にZOのかわした攻撃は、そのまま部屋の天井へ致命的なダメージを与えていた。
元々、工場全体を巻き込む爆発事故が起きた場所である。迂闊な天板への攻撃はたやすく決定打となる。
それがわかるか否かが、実際にこの場から脱出した者と、映像で戦闘を見ただけの者の違いだった。

(博士が、救ってくれればいいが…)

今は亡き師に麻生は祈った。
天井の落ちたこの室内には出入り口はこの一つしかない。ならば、まだ凌馬がいるはずだ。
いくら憎むべき所業をした男とはいえ、このまま放置して彼を死に至らしめることはできない。

崩落が落ち着いたの見計らい、麻生は凌馬を探そうとする。
…だが、麻生の身体はかつての室内ではなく、後方へと弾き飛ばされていた。

「なんだ、これは!?」

己を弾き飛ばした者の姿に、麻生は眼を見開く。
無論、デュークではない。怪物、いや怪人だった。
まるで東洋の龍の首に、人の胴体を足し合わせたそれはまさしく龍人である。
体表は深緑に染まっているが、その身体は金属に似た鈍い光沢を放っている。

ネオ生命体とも異なる、謎の怪物が麻生に襲いかかる。
崩落の衝撃とデュークから受けたパンチの痛みはあったが、それで足を止めるわけにはいかない。
突っ込んでくるのを逆手に取って怪人の側面を回り、背後を取る。
怪人が追ってくることを確認すると、麻生は廃墟の出口へ向かって走り出した。

(これであの怪人を凌馬から離すことはできたか…)

距離を稼ぎ、そのまま怪人をおびき寄せる。
そしていよいよ追い付かれそうになったその瞬間を狙い、麻生は振り向き様にパンチを繰り出した。

「せいやああッ!!」

雄叫びと共に放たれた拳が怪人に触れる直前、麻生は再びZOに変身していた。
真っすぐ追ってくる怪人の顔にパンチが突き刺さる。
だが同時にZOにも怪人の拳が直撃していた。
完全にクロスカウンターの形となった両者は、お互い後方へ吹き飛ばされる。
立ち上がったのもほぼ同時だった。

ZOが殴った怪人の表皮は強靭なものだった。
あくまで体表である以上、デュークの金属鎧には劣るがそれでも有効打を与えるのは容易ではない。
そして、同時にパンチ力も並ではない。

(ならば次はおそらく、飛び道具が来る!)

デュークが近距離戦の後に放った衝撃波のビジョンが、ZOの脳裏に浮かぶ。
直後に怪人も、口から火球を打ち出し遠距離から攻撃してくる。
衝撃波に比べれば弾速は遅く、範囲も狭い。それでも間合いを詰めるには障害となる。
ならばと、廃墟に転がるドラム缶や柱を盾に防ぎながら接近しても、
拳を放つ度に的確なカウンターで全て相討ちにされた。

近付けば耐久力を活かしたカウンターが、距離を離せば一方的に火球に打たれる。
このままではジリ貧だと、ZOは自覚した。

幾度目かの相討ちの後、ついにZOは賭けに出た。

(これでダメならそれまでだ!)

踵を返し、出口へと駆ける。
逃げさんとばかりに怪人がその背中を追う。
だが出口付近まで怪人が迫った時、廃墟に猛然と何かが突っ込んでくる。

それはバイクだった。
出口付近に置いた愛車を回収し、ZOがアクセルを全開にした。
廃墟内に突入すると同時に緑色の炎のようなオーラに包まれたバイクは、
ZOに似た深緑に染め上げられていた。

緑の弾丸と化したスーパーマシン・Zブリンガーが怪人に激突し、そのまま廃墟の壁を粉砕していく。
その衝撃は強靭な表皮越しにもダメージを与えていく。
やがて施設内を貫通するようにして突き進むZブリンガーが最後の壁を越える。
一際大きな衝撃音の後、盛大なブレーキ跡と共にZブリンガーは廃墟外に停止した。

「やったか…?」

吹き飛んだ怪人の姿を、バイクから降りたZOは注視していた。
これ以上の破壊力を出すのは、今のZOでは難しい。
それでも倒せるという保証はない。結果はこの目で見る他ないのだ。

廃墟外の荒涼とした大地に倒れた怪人は、起き上がった。
全身に無数の傷を負った、重傷というのも生易しい状態ではあるが、それでも生きている。
だがその直後、ZOの目前で怪人は傷から夥しい血を流し、再び膝から崩れ落ちた。

ZOは手を出していない。怪人も、自ら倒れ伏したわけではない。
…原因は、ZOの後方から放たれた衝撃波だった。

振り返ると、そこには間違いなくデュークの姿があった。
鎧に降りかかった何がしかを振り払ってはいたが、装甲に傷はない。
あの崩落をもってしても、さしたるダメージはなかったのだ。

「素晴らしい。マシンを使ったとはいえ、セイリュウインべスを正面から倒すとは」

「やはり貴様の差し金か…」

「ほう、気付きが早いね。まぁそうでなくては君じゃないか」

悪びれもせず、凌馬は平然と肯定した。
ネオ生命体亡き後、誰も近付いていないはずのこの場所で何か起きるなら、
呼び出した当人である凌馬が使役していると考えるのが自然だ。
その怪人―セイリュウインべスとやらが、戦闘における技量以外においてデュークに似た性質を持っていたなら尚更である。
だが同時に、その使役した相手に平然とトドメを刺す神経が麻生には気に入らなかった。

「なぜ殺して切り捨てた…!どんなからくりか知らないが、貴様が呼び出したものだろう!」

「心外だね、どうせ君もトドメを刺しただろうに。
 それに私の手駒をどうしようと、私の勝手だ」

取り合わぬまま、デュークが再びレイピアを手にする。
そう来るのならば、ZOもまた構えを取るしかなかった。

「データ取りを続けようか?幸い君も、もう少し戦えるようだからね」

            - 4 -


デュークが襲いかかってくる。
廃墟外の開けた場所なら、回避の制限はない。
最悪は逃走することも可能だろう。

だが、麻生は逃げる気などなかった。
自分とネオ生命体のデータを元に創られた恐ろしい力を持った凌馬が、この先何をするかわからない。
デュークとの初戦、そしてインべスとの戦いで消耗した身であろうと、
せめて彼の身に付けている一式だけでも破壊しなければ―

「んんんん…ぅおおおおッ!!」

レイピアをいなして一気に接近すると、気合いと共にパンチを放つ。
半端な攻撃が通じないのはもうわかっている。
かといってZブリンガーでの体当たりは、視界のクリアなこの場所では直撃を望めない。
この渾身のパンチは現状の最大火力と言ってもいい。

―砕けなかった。
ネオ生命体の腹部すら貫く威力の拳が、衝撃を逃がさない完全な形で入ったはずだ。
なのに、デュークの鎧をわずかに欠けさせることしかできなかった。
渾身なだけにフォロースルーが長くなるのは避けられない。
その刹那に電子音声が聞こえた。

『レモン・スカッシュ!』

気付いた時には遅かった。
お返しとばかりに突き刺されたレイピアは、発光と共にZOの左腕を容易く貫通していた。

「ぐあっ…!!」

「感情を力にしパワーを上げる、よくある強化手段だな。
 効果もそれなりにあるようだが、そんな不安定なブーストで私に勝てる道理などないさ」

「俺は諦めない。絶対に止めてみせる!」

苦悶の声を上げながらも、左の二の腕を押さえつつ追撃をいなし、わずかながら距離を取り直す。
気を抜けば意識が飛ぶ痛みを伴う深手だ。
それでも麻生は、ZOは闘志を失わなかった。

…だが闘志で不利が変わるわけではない。
気迫で追い上げてもあの鎧を破れなかったのは、今まさに自分が実証してしまった。
そして鎧を破る術がなければ状況は変わらない。

「ふむ…まだ底には遠いと思ったが、それが限界か。そろそろテスト終了といこう」

余裕をまったく崩さぬまま、デュークが淡々と話す。
そして言葉通り、トドメを刺すべく戦極ドライバーに手を伸ばそうとした。
衝撃波にしろ強化された突きにしろ、直撃すれば良くて重傷は免れまい。

ZOが一気に突撃したのは、まさにその瞬間だった。
ドライバーの小刀に手を掛け、それが振り降ろされきるまで。
そのわずかの間に握りが甘くなったレイピアを蹴り飛ばす。
どんなパワーがあろうと、注意力が抜けていればそれに劣る力で抗うことができる。
そしてそのまま、奪ったレイピアを右手で持ち鎧を突く。

しかし、寸前で身体を横に振られる。
胴体を貫通するはずだったレイピアが脇に逸れ、かすめる。
ZOとデュークが後方へ飛び退いたのはほぼ同時だった。

「自力が無理なら相手の力を逆用するか。面白いことをする」

他人事のように言いながら、デュークは自らの鎧を確認する。
そこにはたしかに鎧に傷がある様が見て取れたはずだ。
麻生は剣術が得意なわけではないが、それでも凌馬よりはずっと有効に使える。
ならば、このレイピアは逆転の一手になる。

そう、状況は逆転したはずだ。
なのに、デュークから漏れる声は全く余裕を失っていない。
ZOにはその声色が恐ろしく感じられた。

「悪い考えじゃないけど、あいにくその手は有効じゃないんだ」

『ロック・オフ』

「…!?何っ!!」

デュークの言葉と、機械音声に驚く余裕はなかった。
戦極ドライバーからレモンの錠前を取り外すと、凌馬の変身が解ける。
同時に、ZOの手に握られていたレイピアが霧散していく。
そしてすぐさま凌馬が錠前を再セットすると、再びレモンに似た金属鎧が展開され、
デュークの手にまたレイピアが握られていた。
欠けたはずの鎧も、何事もなかったかのように再生されている。

「残念だったね。いい線行ってたのは事実だけど、これでは勝てない。
 何より私がしたいのは君の能力テストだ。こういうお遊びは不要だよ」

「お遊び…だと?」

「おや、気に障ったかい?私は事実を言っただけだが」

あえてカンに障る言い回しをしているのか、それとも戦極凌馬の素か。
もはやそれに噛みつく余力も薄れていた。
レイピアを取り戻された今、デュークに通じる可能性があるのは、もはやZブリンガーでの突撃のみ。
だが左腕に深刻なダメージがある今、フルスロットルでZブリンガーを動かせるかどうか自体怪しい。
下手をすると逃走することすらできないかもしれない。

(それでも…ここで止めなければ、博士の遺志すら無駄になる!)

気迫と裏腹に、じりじりと下がる。攻めに出る方法はない。
最後にあるのは、相討ち覚悟でデュークを拘束し、あの錠前そのものを破壊することだけだった。
そしてそれすらも既に警戒されている。

『レモン・オーレ!』

デュークからの衝撃波が次々と飛ぶ。
耐えながらもさらにZOは後退していく。
このままでは近寄らずしてトドメを刺されてしまう。

やがて、ZOの足に何かがぶつかる。
これ以上後退することもできないと知ったその時。


―光が、広がっていた。

            - 5 -


「何が…起きている?」

戦極凌馬の声が聞こえる。初めて聞く、余裕のない声。
それが相当に驚いたものであるのはすぐに理解した。

(今のは、一体何なんだ…!)

麻生自身もまた、自らの変化に戸惑っていた。
わかっているのは、一瞬だけ自分の全身が黄金の輝きを放ったこと。
その瞬間に左腕の傷が塞がっていた。
それだけではない。拳に、脚に、力が行き渡る感覚。

デュークが自ら接近してくる。
理解不能な事象を前に、危険だと判断したのだろうか。
だが次の瞬間、不用意に突き出されたレイピアはZOの左拳に受け止められていた。
レイピアの切れ味が変わったわけではないはずだ。
なのにZOはデュークの抵抗をものともしない力で刀身を握り、そして平然としている。

そのまま力尽くでレイピアを奪い、投げ捨てる。
武器を迷わず手離したデュークの判断は正しかった。
無理に握ったままであれば、凌馬の右手首ごと捻じ切るほどの力だったのだから。

「貴様、何をした!?私の研究を上回るだと…!!」

「さぁな…」

驚愕する凌馬に、そのままパンチを繰り出す。
今度はロックオフする猶予などない。
ZOの右フックは、デュークの左肩の鎧を砕いていた。

続けざまに受けるダメージに、デュークも大振りなパンチで反撃を試みる。
ZOがパンチで迎え撃つ。押されたのはデュークの方だった。
そのまま、後退しようとしたデュークの腹部をZOのチョップが薙ぐ。
手刀の一撃は鎧をあっさりと切り裂き、その下のスーツまで触れていた。

「まさかインべスを、ヘルヘイムの力を…!」

「インべス?」

何かを察したデュークの視線を、ZOも追う。
凌馬が使役していたあの怪物の死体がない。いや、なくなりつつある。
代わりに液状化した何かが、ZOの全身を流れる黄金色のラインに沿って足元から流れ込んでいた。

(吸っている…この怪人の力なのか?)

ふと自らのエナジーコアを見ると、真紅のはずのそれに黄金色の輪ができている。
これが怪物の力なのかどうかはわからない。
ただ、これが長く続かないことは直感的にわかっていた。
既に輪は今にも消えそうなほど薄い。
ならば、この一時的なパワーが消える前に勝負を付ける他ない。

「凌馬、これで終わりだ!」

ZOが地を蹴る。
ネオ生命体にトドメを刺した跳び蹴り―ライダーキック。
その足先では緑色のオーラに混ざり、金の閃光が放たれている。

「ふざけるな!!」

『レモン・スパーキング!』

デュークもまた、激昂のままドライバーを3連続で操作する。
そして、跳躍し迎え撃つ。
レモンに似た球型のオーラが、デュークを包み込む。


正面から2つのキックが激突する。
そして、どちらもが吹き飛ばされた。

…先に立ち上がったのはZOだった。
だが、エナジーコアから金色の輪が消える。
同時に片膝を突いたまま、変身が解けていく。
既に体力の限界を超えた麻生は、そのままの体勢で動けなくなっていた。

「そうか…それも、大自然の助力とやらか」

かろうじて動く首で見上げると、そこには生身の凌馬の姿があった。
足元を見ると、ドライバーと錠前が転がっている。
それを拾おうとしているのは事実だが、しかし再び襲ってくることはないと麻生は悟った。
凌馬は傷を負っていた。鎧を切り裂いたチョップと、キックの激突によるものだ。
致命傷ではないようだが、とても戦える状態ではないのは顔を見るだけでもわかる。

「最後に良いデータが取れた。いいサンプルだ、ZO」

「待て、凌馬…ッ!」

麻生の言葉に、凌馬は足を止めた。
いや、止まらざるを得なかったのか。足の動きは相当に鈍い。

「貴様はなぜ、その力を使う!」

「ここまで、私を追い詰めた君になら…明かしてもいいだろう」

息を上げながらも、凌馬は言葉を紡ぐ。
動けずとも、麻生は鋭い眼光でその先を待った。

「ヘルヘイムの森、というものがある…インべスという怪物が住み、異常な繁殖力で世界すら侵略する植物。
 それが異世界から流入している。あと10余年も経てば、世界を飲み込むだろう」

「なんだと…」

「私のいるユグドラシルは、ヘルヘイムを秘密裏に研究し解析していた。
 望月博士の下で得た遺伝子工学の知識も、そのために使わせてもらったよ。
 その成果が環境に適応する戦極ドライバーであり…ヘルヘイムの力を限定的に利用するロックシードだ」

ヘルヘイム。初めて知る脅威。
それが事実だとしたら、たしかにこれだけの力が必要になるのも事実だろう。
凌馬が呼び出したあのインべスはZOの力、それもZブリンガーを持ち出してようやく倒せた相手だ。
そしてインべスを介して発現したあの金の力がヘルヘイムのものならば、あまりにも強大。
ZOがごくわずか借り受けた程度でデュークを超えるなら、本来のヘルヘイムはこの程度では済まないだろう。
…理には、適っている。

「私のこの力は、ヘルヘイムの侵食を押さえ、人類が生き延びるために使う…そういうことだ」

「違う!!」

凌馬の言葉を、力強い言葉で遮る。
この男は自分のペースでしか話さない。
それが事実をねじ曲げるほどのものだというのは、かつて近しかった麻生にはわかる。

「凌馬、貴様は…他人などどうにも思っていない。
 自分の研究、自分の成果を示すためにヘルヘイムという存在を利用しているだけだ!」

「なぜそう思う?」

「ここを再び戦場にした意味に気付いたからだ。
 望月博士を完全に抹殺する、その理由だけで部屋ごと消し飛ばす…
 そんなことを平然とする人間が、人類を生き延びさせるための戦いなどできない!」

麻生の糾弾が廃墟に響く。

あの部屋には、望月博士の遺体がまだ残っているはずだった。
かつての戦いの後、博士の息子を救うために麻生は亡骸を残して去る他なかったのだ。
それでも見守ってくれていると信じ、この地に眠る博士に麻生も祈った。
利用した相手とはいえ、凌馬にとっても望月博士の存在が小さくないと信じて。

しかし、デュークがあのインべスに淡々とトドメを刺した時、ある疑念が半ば確信となって浮かんでいた。
あの時デュークが天井を落としたのは、別に崩壊を予期できなかったからではない、と。
生体プールに繋がるという特異な状態だったがゆえに、未だ形を残している望月博士の遺体。
それが生き返る可能性を万に一つも残さぬため、全てを崩落させた。
…麻生自身が攻撃を避けた結果という、最悪の形で。
凌馬がわざわざこの地に麻生を呼んだのは、麻生を確実に呼ぶというだけではなかったのだ。

凌馬は無表情だった。
もはやヘルヘイムに対する正義を気取ろうとする素振りも、麻生に対する弁解もない。
やがて漏れ出たのは、哄笑。
否定はない。麻生の推断を、凌馬は認めていた。

「やはり、興味深いよ君は。貴虎に似ているが、同じ馬鹿真面目でも君には通じないらしい」

「誰だか知らないが、その貴虎というヤツは不幸だな…!」

「不幸?それはないよ。彼はヘルヘイムを乗り越えて世界の王になる男だ。
 そう…私のドライバーによってね」

この男の真意を、麻生は悟った。
同時に、やはり貴虎という者はこの男がいる限り不幸になるのだろうとも。
ドライバーやあの謎の錠前という己の研究成果こそ至上とする以上、
貴虎が今の麻生とどれだけ似て、どんなに真面目で勇敢だろうと凌馬には利用する対象に過ぎない。
麻生が凌馬の真意を見抜けたのは、望月博士の凶行を機に他人への見極めを鋭敏にしていたからだ。
そうでなければ、やはり騙されていただろう。研究所時代のように。

よろよろと、凌馬が鈍い足取りで後退しはじめる。
その先に見えたのは白塗りのボックスワゴンだった。
車体には緑色で、あの世界樹の絵が描かれている。
おそらく凌馬を迎えに来たのだろう。

「貴様もヘルヘイムも、俺が止めてみせる…!」

「言うだけならなんとでもできるさ。ヘルヘイムの一端に触れただけの分際で。
 それどころか、ヘルヘイム以前にユグドラシルすら君には追えまい。
 まぁ、もし追ってくるというのなら…また良質なデータを提供してくれたまえ」

ワゴンから降りてきた別の白衣の男が、凌馬を車へ乗せる。
麻生を無視して消えたのは、麻生が凌馬を最後まで睨み続けていたせいか、
それとも本当に取るに足らないと考えたせいか、わからない。

一つだけ確かなのは、麻生はまだZOとして、戦い続けなければならないということだった。
まだ、立ち止まれない。
重くなった身体を奮い立て、愛車を転がし始めたその時、麻生はようやく気付いた。

(そうか…コイツじゃない。お前の、力だったんだな…)

            - 6 -


「凌馬!」

「やぁ貴虎。血相を変えてどうしたんだい?
 …ああ、すまないね。実戦用ロックシードの最終調整は今日一杯までかかるよ」

凌馬の研究室に入ってきた上品なスーツを着た男―呉島貴虎に、凌馬は事も無げに言い放つ。
だがその姿は何事もなかったとは言い難い。
白衣とTシャツを横断する形でついた一条の傷を見れば、誰だって何かあったと気付くものである。
そもそも貴虎は、凌馬がユグドラシル医療チームの制止を無視して外出したと知ってここに来たのだ。

「どうしたも何も、手傷を残したまま抜け出せば心配して当然だ。
 そもそもその傷はただごとじゃない。何があった?」

「君が気にするような話ではないが、ロックシードの性能試験で少々やり過ぎた部分があったのは否定しない。
 そのおかげで改善点も見つかったがね。メロンロックシードの調整前に気付いて良かった」

「メロン?…ああ、私用のだったな。感謝はするが、無茶なことは私に任せろと言ったはずだ。
 お前が倒れてはプロジェクトアークも進みようがない」

貴虎の反応は予想通りのものだった。
全幅の信頼。さらに自ら背負って立つ気概。
まさか性能試験として『ZO』と交戦してきた、などとは夢にも思っていない。
彼は期待に正しく応えてくれる。あの麻生と違って。

「ご心配痛みいる、というところか。だが早々に仕上げねば安心して眠れもしない」

「…わかった、好きにしろ。その調子では連れて行ってもまた脱走しそうだ。
 だが本当に無理だと思ったらすぐ相談してくれ。日程の調整は私がいくらでもする。
 では、先に戻っているぞ」

結局、貴虎だけが去っていく。
研究室には残ったのは凌馬ただ一人だった。

…また、モニターを注視する。
ZOとネオ生命体の戦いを観察した時のように、今度はZOと自身の戦いを。
あの戦場にもまた、凌馬の配置した監視カメラがあった。

(基本性能自体はなんら変わりない。参考になるのは、このバイクくらいか)

途中までは予想の範疇を超えなかった。
唯一、ZOがZブリンガーでインべスに突撃した瞬間だけ、少し見返す。
前方から車体全体をカバーするように展開されたオーラは、別件で抱えていた問題を解決するものだった。
凌馬自身はバイクに乗らない。移動の足は徒歩と自転車で、それ以上に自動車で送迎されることの方が多い。
それ故にバイクを使うという発想に思い至らなかった。

さっそく、ノートにスケッチをはじめる。
ロックシードから展開できるバイクに、エネルギー開放装置を載せた簡易設計案はすぐに出来た。
時間を掛けて書いているのは車体のデザインだった。
ドライバーがそうであるように、外見や口上にこだわるのが凌馬なのだ。

やがて、ノートには2台分のデザインが完成していた。
サクラハリケーンと、ローズアタッカー。
実戦用ロックシードの意匠に合わせた仕上がりだ。
自分が乗ることを考えない以上、レモンロックシードの意匠には合わせなかった。

デザインが仕上がったところで、ようやく凌馬にとって本命の映像に進む。
戦闘直後よりはかなりマシとはいえ、少なからず痛みが残る腹部を強引に押してまで来たのは、
誰にも見られぬ状況であの謎の現象を一刻も早く確認するためだった。

(…これだ)

ZOが金色の光を放った瞬間を、カメラは確かに捉えていた。
ヘルヘイムの果実やインべスの研究においては第一人者だと自認している凌馬でも、
このような現象は知らなかった。
だが、似た現象なら心当たりがある。

(たしか、インべスはロックシードや実を食べると強化されたな…)

そこから凌馬は、インべスにさらなる上位存在がいるのではないかと推測を進めた。
ZOがそれに似た存在であるなら、ヘルヘイムの産物たるインべスを吸収し、無事であった理由にはなる。
その上位存在を確かめるには、自ら探索に向かう他ない。

結果如何では、あのリンゴのロックシードの再建造も一考に値する。
今度こそ黄金の果実の存在を立証できたなら…それは凌馬の明確な目的になるだろう。

そして、凌馬の発見はもう一つあった。

(ヘルヘイムの力は固体化してから展開するより、凝縮液体化する方がエネルギー効率が良い…のか?)

また、ノートに筆が進む。
今度は戦極ドライバーに似た何かだ。
ロックシードを開くのではなく、絞り取る。
その発想に基づいた赤いドライバーだった。

「始まりを超えた創世、ゲネシスといったところか。
 私は『原点』から前に進ませてもらうよ、麻生君」

理論実証に先だって完成したデザインを前に、邪悪な笑みを浮かべる。
だが、限界が来ていた。痛み止めの効果がなくなるギリギリの時間だ。
それを悟った凌馬は笑みを消し、研究室をから足早に退出した。

            - 7 -


麻生は再び廃墟にやって来た。
今度こそ、ここで亡くなった者を弔うために。
数日前にここで受けたダメージが回復しきったわけではなかったが、
それでも気持ちが身体を動かしていた。

死者を悼むこと自体、今の凌馬は冷笑するだけだろう。
もしまた、自分を襲ってくるというのなら受けて立つまで。
念のために廃墟内まで愛車を押して来た。
傷の残る身なのは凌馬も変わらないはず。ならばZブリンガーの一撃は勝負を決めるだろう。

その心配も杞憂に終わり、再びあの場所に立つ。
崩落の影響で空の光が差し込むようになった部屋は、かつて張り巡らされた機材の類も全て鉄屑に変えていた。
ならば、もう遺体は…。

部屋の中央に花だけを置き、去ろうとした瞬間だった。

「あんたは出来過ぎたヤツだな」

誰かの声がする。それはこの間、凌馬が立っていた場所から聞こえた。
スポーツマン然としたラフな格好をした、黒めの肌の男である。
だが、麻生には不思議と彼の素性が伺いしれなかった。

「凌馬の関係者か?」

「おっと、早とちりしなさんな。オレはただの観客さ。
 …少なくとも、今のアンタの敵じゃあない」

たしかに男は敵意を出してはいない。
ならば、麻生も必要以上に警戒するのはやめた。
それでもこの場所にいる時点である種の疑念は拭えないが、自分から事を構えるつもりはない。

「アンタはあの時起きたことを、正確に理解したようだな」

男が部屋の中央を見やる。

今しがた、麻生が置いた弔いの花。それは2束あった。

「何故、それが貴方にわかる?」

「観客だからな。見てたのさ、この間の戦いも。
 どうも戦極凌馬は、アンタがインべスを吸収して強くなったと思い込んでるみたいだったがな。
 ま、それでも面白いことをするんだから、泳がせておく分には飽きないヤツだよ」

軽く笑いながら、男はそう言う。
凌馬のやることを知っていながら、面白いことと言い切ってしまうこの男は、
なるほど観客であり傍観者なのだろう。

「ま、アイツのことは置いとこう。
 …にしても最後の手段とはいえ、迷いなくかつての仇敵と組むとは。
 人間の言葉で言えばドラスティックな手段ってヤツか。ドラス、とでも呼ぶかね」

「ドラス…そうだな。そう呼ぶのもいいかもしれない。
 最後まで名前らしい名前もないまま倒してしまった、俺のけじめでもある」

麻生が苦笑する。
今となっては、あの時起きたことは自分の記憶として思い出せた。

かつての戦いの後、この廃墟に放置されていたのは望月博士だけではない。
ZOが倒したネオ生命体―ドラスもまた、残っていた。
限界を越えるダメージと生体プールの破壊で戦う力は残っていなかったが、それでも生きていた。
パパと慕った博士の身体を、少しでも長く形を保ったまま眠らせるために。

だが、デュークの放った衝撃波で博士の遺体は…砕け散っていた。
同時に、眼の前に現れたかつて自らを倒した相手。
生体プールも博士も完全になくなったその時、ドラスはあのセイリュウインべスに背後から取りついていたのだ。
インべスがZOにことごとく相討ちを狙うことができたのも、Zブリンガーで轢かれてなお立ち上がったのも、
何もインべスが優れていたわけではない。かつてZOと戦ったドラスだからこそできた芸当だった。
それもデュークの不意を突いて倒すため。自らの復活という打算は、考えていなかった。

そして取りついたインべスをもデュークに瀕死に追い込まれた時。
…セイリュウインべスの身体ごと、自身を生体プール化してZOと一体化したのだ。
かつて逆に、自らの身にZOを取り込んだ時にその身体構造は理解していた。ならばできる。
それでも、麻生に伝わったドラスの意識の断片は、途切れ途切れでしかない。


―アイツを倒してくれて…アリガトウ…―


それが、かつてZOと死闘を演じた敵の、本当に最後の言葉だった。
デュークは、ZOがヘルヘイムの力の一端に触れたから撤退に追い込まれたのではない。
自らが捨て去った者達の総力に敗れ去ったのだ。

「これからあんたはどうするんだい?
 アイツもヘルヘイムも止める、なんて啖呵切るのはいいが、簡単じゃないぞ」

男の言葉で、麻生の意識が引き戻される。
完全に信用はできない。だが、気まぐれでも彼に名前を付けようと考えてくれた人間だ。
だから話す気になった。

「簡単じゃないだろうな。だからといって、俺に退く気はない。
 あの錠前みたいな装備には、俺やドラスの力も使われてる。ならこれは俺の問題だ。
 だから、止める。それが博士の遺志であり、ドラスの遺志でもある」

「同じ力を持つ者同士の同族殺し…か」

「殺すかはわからない。でも、覚悟は出来ている」

麻生は本気だった。男にもそれは見えただろう。

「…強い眼だ。だが、アイツはともかくヘルヘイムをあんたは知らんだろう?」

「そうだな。でも、それが命を大事にしないものであるなら、やっぱり俺が止めるべきだろう。
 望む望まないに限らず、力を得た以上は俺にできることをするつもりだ」

男がわずかに押し黙る。
そして、お手上げとばかりに両手を上げながら、軽く溜息をついた。

「やっぱりあんたは出来過ぎたヤツだ。オレが可能性やヒントを見せてやるまでもなく、
 自分の力も、進化も見据えてやがる。手を差し伸べてやる必要はなさそうだ」

「色々あったからな。大自然は俺を助けてくれたが、立ち上がったのは俺の意志だ」

麻生はこれからのことを考えた。
狂気の原因はわかったが、望月博士の資料を追う旅をまだ終える気はない。
むしろ、凌馬がそれを引き継いだ形になった以上、さらに厳しいものになる。
その凌馬とも、そして大自然と相反するヘルヘイムの森とも戦う道が待っている。
だが後悔はない。指一本でも動く限り、麻生はできることを、為すべきことをするだろう。

「これから忙しくなりそうだな、アンタも。
 …ほら、誰かが呼んでるぞ?」

男に言われて振り返ると、そこにはバッタがいた。
大自然の中より立ち上がった時からついてきた、ただ一匹の相棒。
彼から送られたイメージは、5体の怪人が森へ侵攻する光景だった。

「行くのかい?」

「ああ、世紀王とやらが怪人を蘇らせているらしい。
 ヘルヘイムとも凌馬とも関係なさそうだが、だからといって俺がこの手で救える人を見捨てる気はない。
 どこまでも行くさ、恐れずにな」

「そうか。…見守ってるぜ、お前のことも」

男の言葉を背に受け、麻生は愛車の元へゆく。
そのままフルスロットルで発進すると、駆け抜けるその姿が緑のオーラに包まれ、
ZOとZブリンガーは廃墟から姿を消した。

「さて、オレはユグドラシルに潜り込みでもするかな。
 ヘルヘイムに立ち向かうのが誰にしろ、当分は楽しめそうだ」

麻生のいなくなったかの地で、男はポケットから何かを取り出す。
それはオレンジ。普通の果物だ。
だが男が軽い念を送ると、それは機械的な姿に変わっていく。
やがてそれは、凌馬の持つレモンのものとも違う錠前となっていた。

「アイツのロックシードに、お前の覚悟を合わせるとこういうものになるか。
 …さて、コイツを託して勝鬨を上げてくれるような役者は、いつ出てくるかね?」

再び念を送り、元通りのオレンジになったそれを花束の隣に供えると、男は音もなく姿を消す。
太陽の日差しが花とオレンジを照らしていた。

            - 8 -


…どれだけの時間が経っただろう。

ついにその日は来た。
ユグドラシルの計画が世界中に明かされて数日後、ヘルヘイムの脅威は世界中を襲った。
それは東京の隅にある片田舎も例外でない。
開かれたクラックからずんぐりとした身体の初級インべスと、無数の植物が溢れ出す。

そしてインべスの魔の手が一人の少年に迫ったその時。

「…ライダー!!」

少年の声に応え、Zブリンガーがインべスを吹き飛ばす。
バイクを降りたZOはすぐさま少年の元に駆け寄る。
望月宏。望月博士の実子である。

「間に合った…!怪我はないか、宏君?」

「うん。お兄ちゃんが来てくれるって、信じてた」

「そうか。俺はここで清吉さんのところに避難するんだ」

言葉と共に、ZOが宏の手に何かを握らせた。
手を開き、そこにいつか見たオルゴール時計があることを確認すると、宏は全力で逃げていく。
それを追わんとするインべスをZOは片っ端から倒していった。

あの後、幾多の戦いに巻き込まれながらも、麻生は凌馬とヘルヘイムの足取りを追っていた。
凌馬の属するユグドラシルという組織は想像以上に巨大だったが、2人の協力者を得てその組織に迫った。


謎の男と出会った日、世紀王との戦いで共闘した瀬川耕司―仮面ライダーJ。

ユグドラシルとつながる組織、財団に反抗すべく戦っていた風祭真―改造兵士レベル3「MASKED RIDER」。


彼らもまた、この瞬間にヘルヘイムを迎え撃っている。
そして彼らだけではない。
ユグドラシル日本支部のある沢芽市にも、ライダーを名乗り戦う者達がいるという。
そこに凌馬の言っていた麻生に似た男―貴虎もいるのなら、やはり自分と同じように抗うだろう。
もし彼自身がいなくとも、凌馬は既にこの地を離れているはずだ。ならば希望はある。

ZOの拳が何十体かのインべスを打ち倒した時、クラックから新たな怪人が現れた。
それまで倒した個体と違い、マントを羽織っている。
拳を打ち合うも、重さはそれまでのインべスと明らかに違う。

「オーバーロードインべス…真からの情報にあった通りか」

「ほう、ただの人間ではないな。何者だ?」

問われたものは、もう決まっている。
究極の原点。想像外にある者。最後のネオ生命体。
そして、あの『極』のはじまり。
様々な者の意思を越え、改めて麻生はその名を叫んだ。

「仮面ライダー、ZO!」


[END]

これにて終了となります。お目汚し失礼いたしました。

ライダーのみのクロスは先達もかなりいらっしゃるので、正直踏み入れるべきか迷いました。
実際、戦闘要員に成りえない人物とのクロスとは勝手が違い、気付いたら3連バトルという構図に…。

一応、少しだけ本編内小ネタに触れておこうかと。ネタバレ要素あるので一応注意。

・今回の場所について
主な舞台になったのは『ZO』最終決戦の地となったあの廃工場。
そことエピローグで宏少年が襲われた町を「東京」と明示したのは、町の方の場所を原作で確認できてしまったせい。
ドラスが町中に現れてマリキュレイザーぶっ放すシーンにて、電柱に貼られた住宅会社の看板が市外局番「03」のものという…。
そこからバイク飛ばしてるので廃工場側はもうちょっと距離あるかもしれませんが、
それでも日が暮れるまでに宏少年を町に帰しているので地方を越えてしまうほど遠くはないハズ。
関東地方内から東京都方向に向かう途上にはあると推測されます。

・経歴不明の人々
『鎧武』終盤で黄金の果実回収にあたり、戦極さんが舞の摘出手術をやってしまうワケですが、
きちんと縫合まで出来た(少なくとも見た目上は)あたり、生体手術の知識をきちんと学んでいることになるハズ。
実際はワインを飲んでいた=血塗れの暗喩だったと思われますが、明示できなくなったがゆえに
「短期間で手術を終え、ワインを煽る余裕まであった」ということになり、素人仕事とは考えにくいワケです。
元々、凌馬が呉島天樹氏の元にいた頃に何やってるのかが不明瞭だったこともあり、
遺伝子研究所時代の描写がごくわずかしかない麻生と組ませる余地があったという次第。

・誰か名前を呼んでやれ!
『ZO』は単発劇場作品ということもあり、「ZO」も「ドラス」も実はその名では呼ばれていません。
そのあたりの由来をクロスに持っていったのが今回のネタになります。
ドラスの方は実際は望月博士が呼んでいた可能性がありますが、
ZOに至っては博士も「ライダー」呼びなので誰かが名付けないと自称できないのです。
あと、原作だと変身前の麻生さんの名前自体呼ばれてません。凌馬を旧知の仲にしたのはこれも原因。
この反省が『J』での地空人による改造説明シーンになったと思われます。

…ということで、今回はこれまでになります。
お付き合いいただき本当にありがとうございました。

それでは、また決戦の廃墟で。

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