岸辺露伴は動かない ー謎の深夜放送ー(35)

ぼくの名前は岸辺露伴。
漫画家だ。
まぁ覚えてもらわなくてもいいがね。
少し奇妙な話をしよう。これはぼくが観たとある深夜放送の話だ。
『テレビの話なんかどーでもいいよ』と思うかもしれないが、まぁ少し聞いてくれ。

あれは、新しい読切の案を話しに新しい担当と喫茶店に行ったときの話だ…

仁成「改めまして、はじめまして露伴先生、私、新しい担当の『木田仁成(きだ ひとなり)』と申します」

露伴「ああ、ヨロシク」

仁成「見ましたよ露伴先生ェ~!『ピンクダークの少年』の新しい読み切り、まさか舞台モノだなんて!いやァ~驚かされたなァ~!」

露伴「そうかい、ありがとう、ちょっと最近『面白い舞台』を観たからね、暇なら君も観に行くといいぜ」

仁成「う~ん確かに行きたいんですけど、時間がないんですよねェ…」

露伴「それは残念、舞台裏まで面白い舞台はアレが初めてじゃあないかな?」

仁成「え?」

露伴「いや、何でもない、さ、新しい読み切りの話を始めよう」

仁成「そうですねェ…とりあえず、何か案はありますか?」

露伴「何かって…随分となげやりだな…君は」

仁成「露伴先生のアイディアを聞いてみたいんですよ」

露伴「あのな…きみはいったい誰に口を利いているのかわかっているのかい?アイディアなんかこの場で幾らでも出せるんだよ」

露伴「それに…」
つ原稿

仁成「も、もうこんなに!?」

露伴「どれでも好きなのを選んでくれ」

仁成「スゴいですよコレ!どれをとっても即連載です、でも…」

露伴「でも?」

仁成「私も持ってきましたよ、とっておきの『リアリティ』を」

お、累クロスの人かな

wktk

>>4
そうです。ありがとうございます!

露伴「ふぅ~ん、ってことは読み切りは全部ボツって事かな?」

仁成「い、いや、そうじゃあないですよ!ホントに!」

露伴「まぁいいや、聴こう」

仁成「露伴先生はTVって観ます?」

露伴「いや、全然…特に最近はつまらないらしいじゃあないか」

仁成「ですよね…でも、そのTVが『明日の犠牲者』を予言しているとしたら?」

露伴「…なんだって?」

仁成「これは病院で勤務している私の知人から聞いた話なんですがね、その日は夜勤で、休憩になったからTVでも観ようかなーなんて思いつつ、電源を点けたらしいんですよ」

露伴「それで?」

仁成「でもその日はすでに3時を回っててTVは『砂嵐』だったんですよ」

露伴「へぇ、夜勤は辛いね」

仁成「で、不思議な話なんですけど、知人はその『砂嵐』に見とれてしまったんです」

露伴「何であんな嫌な気持ちになるうるさい音と目がチカチカする映像に見とれるんだい?」

仁成「それも奇妙ですよね、で、しばらく見ているうちにいきなり場面がごみ捨て場のような所に切り替わったんです」

露伴「おいおいおいおいおいおいおい、ただ受信が再開されただけじゃあないのかい?」

仁成「違うんです、その後エンドロールのように人の名前が流れたと思ったら最後に『明日の犠牲者は以上です。』ってテロップが」

露伴「…面白いね、ありがとう、ぼくもTVを観てみるかな」

仁成「お役に立てて光栄です」

翌日

仁成「もしもし、露伴先生?あと数分で『砂嵐』でますよ」

露伴「わかってるよ言われなくても、ぼくだってそこまでTVに疎いわけじゃあない、それより…気になるのは…」

仁成「『砂嵐』が出る前に『気になる』とか言わないでくださいよ!怖いじゃないですか!」

露伴「ぼくが気になっているのはきみだよ仁成くん」

仁成「はァ…私…ですかァ…?」

露伴「『怖いんで『砂嵐』が出るまで電話でお話しします、そのあと寝ます』っていったいどういうつもりだ?」

仁成「いやァ…ホラーとか苦手で…」

露伴「きみが提案したんだから最後まで責任を持つべきじゃあ無いのか?」

露伴『まぁ男と二人で深夜番組を観る趣味はぼくにはないから別にいいがね』

仁成「いやァ…すみません」

露伴「もういいよ、きみには頼らないことにするから」
ガチャ

露伴『ただTVを観るだけだからナビゲーターもなにもいらないだろうしね』

露伴「それにしても…もー少し肝の据わったマシなナビゲーターを連れてくるべきだったなァ~例えば康一くんとか」

露伴「しかし、まだ『砂嵐』にならないのか…うーん…観たいときに観たいものが観れないTVほど不便なものは無いな…」

露伴『あと何分ぐらいだろうか?』

露伴「今の時間は…3:20、もう『砂嵐』が起こってもいい頃なんだが…」

露伴「…」

露伴「野球中継でも延長したか?まったく迷惑な話だ、まぁ、普段TVなんてものはろくに観ないから、こう思うのも初めてだがね、普段からTVばっかり観てるヤツは常にこんなにイライラしてるのかな?」

露伴「…」

露伴「…」

露伴「一体いつまでこうしろっていうんだ?まさかあの担当、手柄が欲しくてぼくに嘘をついたんじゃあないのか」

露伴「もういいや、漫画でも描こう、普段ぼくは次の日に差し支えるから徹夜はしないんだがね」

ザーーーーーーーーーッ

露伴「!」

露伴「『砂嵐』…かな?」

ザーーーーーーーーーッ

ザーーーーーーーーーッ

ザーーーーーーーーーッ

露伴「やっぱり目がチカチカして気持ちが悪いな、部屋が暗ければ倒れてるぐらい強い映像作用だな」

ザーーーーーーーーーッ

露伴「…」

ザーーーーーーーーーッ

露伴「やっぱりぼくは『砂嵐』に見とれることは無いな、どうしても目がチカチカするし、暇になってしまう」

ザーーーーーーーーーッ

露伴「…とはいえ、何かの参考になるかもしれないし、『砂嵐』をスケッチしておくかな」

ザーーーーーーーーーッ

露伴「なかなか『砂嵐 』が終わらないな…」

露伴「もしかして…担当が言ってたみたいに『砂嵐に見とれる』必要があるのか?」

ザーーーーーーーーーッ

露伴「だとしたら…」

♪♪~♪

露伴「!」

露伴「こ、これはッ!『砂嵐』から心の底から暗くなるような妙なクラシック音が流れているッ!」

♪♪~♪

露伴「これは面白い現象だ!スケッチしておいてよかったよ」

♪♪~♪
パッ

露伴「映像がゴミ捨て場にッ!これがあの担当の言っていた放送か?」

露伴「新聞にもこの時間は『放送なしだッ!』これはスゴいぞ!あの担当の言っていたことは本当だッ!」

ポーーーーン

NNN臨時放送

露伴「ンン~?なんだァ?NNN…臨時…放送ォ~?」

露伴「チャンネルは教育テレビのハズだけどなァ~?」

露伴「ンン~?おかしいなァ…?電気屋の店員も『いきなりチャンネルが変わる』なんてクレーム聞きたくないから、不良品なんて消費者に買わせるハズは無いんだけどなァ~?」

露伴「まぁ、その人が新入りで不良品かどーかわからないぐらいポンコツの社員だってなら話は別だがね」

露伴「それともコレがあの担当の言ってた『放送』なのか」

露伴「とりあえず見てみるかな」

♪~♪

♪~♪

露伴「このクラシック音もなんだか慣れてきたな、そろそろエンドロールのように人の名前が流れてもいい頃じゃあないか?」

露伴「…まだかなァ~?やれやれ、ホントにTVというのは退屈なものだな」

亜藍 初(14)
飯得 朔(26)
鵜屋良 茶南(89)
鉈刃 柄(64)
和屋 軟(9)
棚間 歩拉(34)

露伴「こ、これはッ!あの担当が言っていたエンドロールじゃあないか!」

露伴「スゴいぞ!噂は本当だッ!」

露伴「この『NNN臨時放送』こそがッ!『明日の犠牲者』を放送する番組なんだ!」

露伴『まぁ犠牲者なんて見せられていい気分はしないがね、とりあえず貴重な体験だからスケッチしておくかな』

岸辺 露伴(27)

明日の犠牲者は以上です。

露伴「ンン~?ぼくの名前があったような気がするがが気のせいか?」

伏線じゃなくて描写不足だと・・・もういいよ

露伴「見間違いかなァ~?」

顔が白い男「…」

露伴「ん?」

露伴「おかしいなァ~?今テレビに人が写ったような?」

露伴「まぁ明日…いや、もう『今日』か?あの担当に色々聞いてみるかな」

翌日

露伴「ンン~、やっぱり寝不足だ、やっぱり睡眠は日付が変わる前に取るべきだな」

露伴「とりあえず…」
プルルルル

仁成「あ、露伴先生、昨日どうでした?」

露伴「バッチリ見ることはできたよ、ただ…あれは観た人も『明日の犠牲者』に入るのかい?」

仁成「いやァ…そんなことは…それを観た私の友人も生きてますし…」

>>23
そう見えたならすみません。そこがうまいこと書けてなかったんだと思います。

露伴「そうか、ならぼくの名前が出てきたのも、変な『顔が白い男』(だったと思う)もぼくの見間違いかなァ~?」

仁成「『顔が白い男』は友人も見たらしいですよ、怖かったって言ってました」

仁成「っていうか露伴先生…?名前が出てきたって?」

露伴「いや、まだ確証はないがね」

仁成「確証はない?だって出てきたんでしょう?」

露伴「あのなぁ、君」

露伴「いかにぼくが『リアリティ』を求めているとは言っても、あんなずーっと同じような場面でエンドロールみたいに人の名前が流れるだけの番組に集中が切れないわけないだろう、だから『岸辺』って言う名字だけ見て錯覚したのかもしれないってこと」

仁成「そ、それは確かに」

仁成「露伴先生なら集中が切れないと思ったんだけどなァ…」
ボソッ

露伴「なんだって?」

仁成「い、いや、何でもないですよ、露伴先生、起きるの早いですねェ…」

露伴「ぼくの家の近くに棲みついてる野良猫が子猫を産んだらしくてね、毎日うるさくてこの時間に起きちゃうんだよ、って、そんなことはどーでもいいだろう!きみは今『集中が切れないと思った』とか言ったなッ!そんなに言うならきみがあの番組を見てみればいいさッ!」

仁成「き、聞こえてたァ…」

露伴「すみませんの一つも…」
ブブ…ブブ

露伴「ん?TVがおかしいな?ぼくはスイッチ弄ってないぞ?」

岸辺露伴(27)

露伴「テレビにぼくの名前…?」

お迎えの時間です

現世に別れは言いましたか?

顔が白い男「ではお別れです」
グイイイン

露伴「テ、テレビから腕がッ、こ、こいつッ!」
ゴゴゴゴゴ

仁成「先生?先生?」
ツーツー

露伴「何て事だッ!『放送』はまだ終わっちゃあいなかったッ!」
ゴゴゴゴゴ

露伴「リモコンに触ろうとするとすり抜けてしまうッ!く…こういう…『スタンド』…か…このままこの白い手に掴まれていれば確実に窒息死する…だが、姿は見えたぞッ!『顔が白い男』ッ!『ヘブンズ・ドアー』ッ!」

露伴「これで『岸辺露伴に攻撃できない』と書けば…」
ペラペラ

犠牲者はあなたです
犠牲者はあなたです
犠牲者はあなたです
犠牲者はあなたです
犠牲者はあなたです
犠牲者はあなたです
犠牲者はあなたです
犠牲者はあなたです
犠牲者はあなたです
犠牲者はあなたです
犠牲者はあなたです

露伴「なッ!この『顔が白い男』は本体じゃあないのかッ!」

露伴「『犠牲者はあなたです』の文字で『ヘブンズ・ドアー』が使えないッ!ま、まさかッ!『スタンド』はこの番組自体かッ!この『顔が白い男』もその中の一部にすぎない、完全に自立し、『無作為に選んだ人間を事故や病死や突然死を誘発する能力』の『スタンド』ッ!」

露伴「ぼくは首を絞められているが、死因は『急性心筋梗塞』とかになるんだろう…それにしても、早く引き剥がさなくてはッ!」

顔が白い男「もう少しですよ」
グググ

露伴「うぐっ…な、何か生き物にテレビを消すように命令しなければッ!」

露伴「植物…は動けない…他に生き物…生き物…ハッ!」

露伴『仁成くん、きみが一言多い話をごまかすのだけが取り柄のクソポンコツ担当でよかったよ!』

露伴「『ヘブンズ・ドアーッ』」
ドシュウウウ

顔が白い男「それではさような…」
プツッ

露伴「ハァ、ハァ…近くに野良猫が棲みついていて、偶然とはいえ仁成くんとその話をしておいてよかったよ」

野良猫「ニャー」

露伴「ぼくが、野良猫に書き込んだのはッ!」

『テレビの配線がネズミに見える』

露伴「大成功みたいだね、やれやれ…今回ばかりは運が悪ければ死んでいたな…」

露伴「この日のためにせっかく買っておいた新型テレビを壊すことになってしまったのが少し悔やまれるがね…まぁテレビなんか見ることもないし、漫画には支障をきたすことはない」

露伴「とりあえず…さっきの体験は貴重だ、後でスケッチしておこう」

露伴「…と思ったが今日はあのポンコツ担当と集英社に行く予定だったな…始発までそんなに時間もないし…電車内で描くとするかな…さすがに少し疲れたしね」

露伴「それにしても…テレビにあんな怪奇現象が起こるなんてね、何かを創ろうとする強い意思にはそういった現象が付随するものなかもしれないな」

露伴「この先もあの番組はひっそりと続いて、どこかで誰かが同じようになっていくのかと思うと少し後味が悪いがね」

岸辺露伴は動かない ~謎の深夜放送~
おわり

あとがき

今回は都市伝説の『NNN臨時放送』と露伴先生をクロス(?)しました。
少し描写不足の部分もありましたが何とか書けました。
本当の都市伝説のNNN臨時放送は犠牲者云々で顔が白い男が出ておわりですが、その男が露伴先生を殺そうとする方が面白いかなと思ってああしました。

何はともあれ読んでいただいてありがとうございました!
次は夢系都市伝説か他漫画とのクロスか…

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2016年08月01日 (月) 00:42:53   ID: zKg22DFq

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