八幡「ある日の風景」(10)

※たまに安価出します

今日は週末、つまり休日だ。
しかも土曜日というまだ明日休みが残っているという安心感がある無敵の曜日なのである。
こんな日には11時くらいまでダラダラしつつ体力を回復させるべきだ。
しかしリア充共は毎週毎週遊びに行って飽きないのだろうか。
折角の休日なのだから文字通り休むべきだと思う。
と、いつものように堕落した思考を頭の中で巡らせているとスマホから着信を知らせる音が鳴りだした。
当然のことながら面倒なので電話には出ない。
どうせ大した用事でもないだろうし後でごっめーん☆寝ちゃってたわー☆とでも言えば大丈夫だろう。
暫く無視を決め込んでいると着信音がピタリと止んだので、また眠りにつこうと身をよじった。
誰にも俺の貴重な睡眠時間を邪魔させはしないと決意を固くしたその時、
『 お兄ちゃーん、>>2さんから電話だよー』
可愛らしい声とともに俺の睡眠はいとも容易く邪魔されてしまった。
情けねえな俺。

沙希

俺は電話を代わるためにベッドからしぶしぶ起き上がり階段を降りた
それにしてもサキさん……?誰だ…?
少し自分の記憶を掘り起こしてみる。
しかし俺の記憶の中にはサキさんなんて人は居なかっ…いや居たか。
確か苗字は……川村?いや、川本…川栄か
思い出した、川越だ。この間連絡先を交換したのを忘れていた。
小町から電話を受け取り、通話口の向こうの相手に語りかける。
「もしもし…」
『アンタ、何で電話出なかったの?』
声を聞いて思い出した。川越ではなく川崎だ。
とりあえず心の中で謝っておく。悪いことしたら謝る、これ大事。
その川崎は少し怒っているようだ。これはあの手を使うしかないな。
「いやあの、寝てたんだよ。休日はいつもこの時間まで寝てるからな」
『ふぅん、てことは今日アンタ暇なの?』
なんだか面倒なことに付き合わされそうな気がしたので嘘をつくことにした。
「いや、今日は少し予定がな……」
「何言ってんのお兄ちゃん、今日は1日寝て過ごすって言ってたじゃん」
しかしその嘘は可愛い妹によって2秒と経たずバレてしまった。
『……けーちゃんがアンタと遊びたいっていうから今からアンタの家行っても大丈夫?』
「……はい」
グッバイ俺の休日。

地の文ってこんな疲れるのか……

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