雷「またパチンコで負けちゃったの?」 (829)

雷「大丈夫、私がいるじゃない♪」

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雷「よしよし。そんなに泣かないの」

雷「はい、これで今度は勝ってきてね♪」

雷「えっ?……もう、司令官はそんなこと気にしなくていいの!」

雷「早く行かないとお店閉まっちゃうんでしょ?頑張ってきてね♪」

浦風「なんじゃ?せんなに元気のうなってしもて。どうしたんじゃ?」

浦風「ふんふん……そっか、1日に2回もパチンコで負けてしもうたんか」

雷「ごめんなさい司令官、私が無理言って行かせちゃったから……」

浦風「ほおら、泣かんの。提督さんは男の子なんじゃけえ」

浦風「よし、じゃあ今夜はうちがご馳走しちゃろうかのう。何が食べたいか言ってみ?ん?」

夕雲「ただいま。あら、今日は随分とご馳走なのね」

浦風「実はのう……」


夕雲「1日に同じ店で2回も?まあ……かわいそうな提督。夕雲が慰めてあげるわ」

夕雲「それにしてもその店……何か違反営業でもしているんじゃないの?後で見てこようかしら……」

雷「おはよう司令官!今日もパチンコ屋に行くんでしょ?はい!頑張ってきてね♪」

雷「えっ?行かない?どうしたの?病気?どこか痛い?」

浦風「今日は我慢する?提督さんが大好きなパチンコを我慢?」

夕雲「素晴らしいわ……夕雲、涙がこぼれちゃう……」

雷「

雷「そんなんじゃダメよ!やる前から諦めるなんて司令官らしくないわ!」

雷「それに……司令官がやりたい事を出来ないストレスで体調を崩したりしたら……私…………」

浦風「そうじゃ。提督さんはお金の事なんて気にせんと好きな事をやればええんよ」

夕雲「提督の楽しそうな顔を見るために私達は働いてるんだから。気にしないで♪」

雷「それじゃあ行ってくるわね!」

浦風「朝ご飯はうちらがやっとくけぇ、気を付けて行ってくるんよー」

夕雲「今日はゲンを担いでカツサンドを作りますね♪」

浦風「これで今日こそは間違いなく勝てるけぇ提督さんはドーンと構とりゃあええんよ♪」

夕雲「あとは雷ちゃんが良い番号を引き当ててくれればいいんだけれど……」

雷「たっだいまー!見て見て、司令官!3番を引いてきたわよ!」

夕雲「まあすごい♪」

雷「えへへ。なんか新しい台がねー、4台?だったかな?」

雷「あっ、8台なの?すっごーい!さすが司令官、前もって調べてるなんて偉いわ!」

浦風「提督さんのそういう堅実な姿勢はうちらも見習わんといけんねぇ」

夕雲「ほんと、提督には教えられてばっかりだわ」

雷「頑張ってきてね!」

浦風「忘れ物はなーい?お弁当はええの?」

夕雲「私達の為にパチンコしてくれるのは嬉しいけど休まずにするなんて夕雲心配だわ……」

雷「はい、お財布。私達もこれからお仕事だからついて行けないけど1人で大丈夫?車には気をつけてね?」

雷「ふえ……?なに?司令か…………んっ、もう……みんないるのに……♪」

浦風「こーらぁ!うちらにもせんといかせんよ!」

夕雲「そうですよ?抜け駆けはだーめっ……♪」

雷「ただいまー……あれ?司令官、もう帰ってたの?」

雷「……そう。ごめんね、私が1番のクジを引けなかったから」

雷「でも大丈夫!雷がお財布に魔法をかけておいたんだから!」

雷「お財布の会員カードとかレシートが入ってる所の真ん中、よく見て見て」

雷「うん。それで美味しいもの……えっ?もうひと勝負?」

雷「もちろんそれも良いわ!だって司令官のお金なんだから!気をつけてね!」

雷「司令官、起きてー。朝は起きなきゃダメよ?」

浦風「お金が無いから動きとうない?」

夕雲「かわいそうな提督……お金が無いせいで動けないなんて……」

浦風「うちらもお給料前で厳しいし……困ったもんじゃのう」

雷「……私の責任だから私がなんとかするわ!」

雷「はぁっ、はぁっ……はい、司令官!3万円あれば大丈夫?」

浦風「どないしたんじゃ?短時間でそんな大金……えらい汗かいとるし」

夕雲「まさか雷ちゃん……身体を売ったんじゃ無いわよね……?」

雷「ちがうわよ!そんな事するわけ無いじゃ無い!雷の身体は司令官だけのものなんだから!」

雷「実は考えもなしに飛び出して走り回ってる間に汗かいちゃって」

雷「それでね、お金が必要な事を言ったら親切なおじさんが雷のシャツを3万円で買ってくれたの!」

雷「元は安いし汗びっしょりなのに……だから変な事をしたわけじゃ無いわ!」

浦風「そんな親切な人が世の中にはおるんじゃねえ……」

夕雲「私達も走ってればそんな親切なひとに出会えるのかしら?」


軍資金が10万になりました。

雷「おかえりなさい司令官!今日はどうだった?」

雷「うん、うん……すごーい!やったじゃない!」

浦風「どうしたんじゃ?大きい声だして」

雷「あのね、司令官ったら今日はお金を持って帰ってきたの!」

夕雲「あら、それは素晴らしいわね♪」

雷「えっ?9万円使って1万円しか残ってない?なに言ってるのよ!1万円は大金でしょ?1万円も持って帰って来るなんて凄いことなんだから!」

浦風「うちらの安物のシャツがこうして今1万円になって残っとるんじゃ。提督さんは凄いことをしたんよ?」

夕雲「そうですよ。提督が全部使ってたらここに1万円はないんだから」

雷「これは司令官の大切なお金なんだからお財布に入れておかなきゃだめよ?」

雷「……どうしたの司令官?」

浦風「服って……うちらに?そんな気を使わんでもええよ。それは提督さんのお金なんじゃけぇ」

夕雲「ぐすっ……ごめんなさい。提督が私たちにプレゼントしてくれるなんて……嬉しくて」

雷「そうね……司令官からのプレゼント、ありがたく受け取りましょ!」

雷「朝からみんなでお出かけなんて久々ね!」

浦風「うち右腕ー♪」ムニッ

夕雲「じゃあ私は左腕に♪」ムニッ

雷「あーっ!2人ともずるーい!!雷だって……司令官~!」

浦風「あはは、冗談じゃって。ほれ、こっちに来て提督さんは雷ちゃんの腰に手をまわす。それでうちがその手を握るから」

夕雲「ふふっ、じゃあこっちの腕は夕雲が1人で独占……♪」ヒソヒソ

雷「司令官は新しい服買ったりしないの?」

雷「……司令官?ねぇ聞いてる?」

浦風「何をジッと見とるんじゃ?」

『毎月1日は月に一度の大放出day』

夕雲「あら……」

雷「司令官……行きたいの?」

浦風「大丈夫じゃのうて、行きたいかどうかを聞いとるんじゃ」

夕雲「提督?素直な気持ちを聞かせてくれないかしら?」


雷「そう。やっぱり行きたかったのね……よく素直に話してくれたわ!」

浦風「提督さんが行きたいなら行けばええんじゃ。服なんていつでも買えるんじゃけぇ」

夕雲「そうよ。このお祭りは月に一度だけなんでしょ?」

毎日がホリデー

雷「私達はここで待ってるから頑張って来てね!」

浦風「ようけー稼いだらええ服買ってもらうけえ、覚悟しんさいよー」

夕雲「どうしたんですか?もしかして待たれてると腰を据えてパチンコ出来なかったかしら……」

雷「ごめんなさい司令官!そんな事にも気が回らないなんて、恥ずかしいわ……さぁ私達は帰りましょ!」

雷「えっ?違うの?私達も一緒に?」

雷「司令官、このボールを真ん中に入れれば良いの?」

浦風「そしたらこの数字が回って揃ったら大当たりなんじゃな」

夕雲「けほっ……夕雲、ちょっとうるさいしタバコのにおいもキツくて苦手だわ……」

浦風「おっ、夕雲のそれ揃いよるん?」

雷「凄い凄い!私もいっぱいボールが出てきたわ!」

浦風「なんじゃなんじゃ。うちと提督さん以外みーんな玉がでよるんか?」

夕雲「あら、浦風さんのそれも数字が揃ったみたいよ」

浦風「いやー、ようでたのう」

夕雲「ビギナーズラックっていうのかしら♪」

雷「これならたくさん服も買えるわ!ね、司令官♪」

雷「……司令官?泣いてるの?大丈夫よ、このお金は司令官のものなんだから!明日リベンジすればきっと勝てるわよ!」

雷「司令官、朝よ!起きて!」

雷「司令官?早く支度しないとオープンに間に合わないわよ?」

雷「……えっ?家から出たくない?引きこもりになる?」

雷「そんなんじゃダメよ!司令官言ったじゃない!パチプロになって私たちを養ってくれるって!」

浦風「なんじゃ?朝から大声出して」

雷「司令官がパチンコにも行かず引きこもるって言い出したの」

夕雲「じゃあ今日から一日中家にいるの?」

雷「えっ……司令官が一日中一緒に……?引きこもりも悪くないわね……」

浦風「うちらは仕事があるじゃろうが」

夕雲「でも一日中家に居て暇じゃないかしら……夕雲心配だわ」

雷「へ?パソコンが欲しいの?」

浦風「確かにパソコンがあれば暇つぶしにはなるじゃろうなぁ」

夕雲「本当はずっと前から欲しかったの?」

雷「もう、司令官ったら!だったらもっと早く言わなきゃダメじゃない!」

浦風「欲しいものがあるのに黙って我慢するんは関心できんのう」

夕雲「提督?素直にならなきゃダメよ?」

雷「さあ、お説教はこれくらいにしてパソコンを買いに行きましょ!」

雷「パソコンを買ってきたわ!早速つなぎましょ!」

浦風「うーん、うちこういう機械の配線とかよーわからんのよ」

夕雲「困ったわ……お店の人に頼めばよかったかしら」

雷「そんな……買ってきたのに使えないの!?」

雷「……えっ?司令官が?」

夕雲「提督が自発的にそんな事言うなんて……」

雷「すごいわ!本当に全部司令官1人でやっちゃった!」

浦風「こりゃたまげたわぁ……提督さん、こんな才能まであったんやねぇ」

夕雲「今夜はお赤飯ね♪」

雷「これなら日中でも司令官が退屈せずに済むわね」

浦風「うちらも安心して仕事に行けるのう」

夕雲「ところで提督、パソコンで何をするんですか?」

浦風「なになに……浦風 おっp……って、こーらぁ、なにを検索しとるんじゃ」

夕雲「そうですよ提督。夕雲で良ければそんな事検索しなくてもいつだって提督の言う通り見せて差し上げますから♪」

雷「か、雷だって!……え?冗談なの?それよりもこの銀行に?」

雷「わかったわ!お金を振り込んでくれば良いのね!」

雷「司令官、お金振り込んできたわよ!」

浦風「競馬に競輪?」

夕雲「ネット環境があれば自宅からでも投票出来るのね」

雷「さすが司令官!パチンコみたいに店へ準備して行かなくても家でゴロゴロしながら遊べるってわけね!」

浦風「これならうちらも朝早く抽選を引きにパチンコ屋まで行かなくて済む?」

夕雲「提督、夕雲達の事をそこまで心配してくれていたなんて……感謝と感動で涙が出てくるわ……っ」

雷「可愛いー♪これからこの馬が競争するのね。私はこの白い馬が可愛いと思うわ!」

浦風「うちはこの茶色の馬がピカピカして好きじゃのう」

夕雲「私はあの1番遠くでじっとしている子かしら♪提督はどれに掛けたの?」

雷「けん??けんってなに?」

浦風「お金をかけずに目で見てデータを頭に入れて行く?」

夕雲「なんて賢い頭脳プレーなのかしら。最初から好きな馬を選んでた夕雲達が恥ずかしいわ」


けんした提督の横で雷達は好きな三頭をえらび見事3連単10万馬券を的中させた。

雷「おはよう司令官!今日も1日頑張らなくても良いのよ?」

浦風「もうじき朝ごはんが出来るけぇちょっとまっとってねー」

夕雲「飲み物はアイスコーヒーで良かったわよね?はい♪」

雷「じゃーん♪雷特性オムレツよ!いっぱい食べて元気出してね!」

浦風「あさりの味噌汁も出来たよー」

雷「司令官、口元にご飯粒が付いてるわ。ほら」

雷「えへへ、司令官のお弁当いただきまーす」

浦風「ほらほら、口元にケチャップが付いとるよ。じっとしんさい」

浦風「手のかかる提督さんじゃ。うちがおらんと何にも出来んのじゃけぇ」

夕雲「そんなに急いで食べちゃダメですよ?ちゃんと15回は噛んで食べないと」

夕雲「夕雲が数えてあげますから。はい、いーち、にーい♪」

雷「お腹ふくれた?大丈夫?」

雷「なら良かったわ!後片付けしてくるわね!」

浦風「うちも手伝うけぇ提督さんはゆっくりしといて」

夕雲「あら、もしかしてお腹いっぱいになったから眠くなったのかしら?」

夕雲「うとうとしちゃって……本当に可愛いんだから♪」

夕雲「提督、まだパチンコ屋も競馬もやってないんでしょ?夕雲と二度寝しますか?」

夕雲「でも提督の布団は片付けちゃったから……二度寝は夕雲のベッドで、ね♪」

夕雲「え?夕雲のベッドはいらないの?……そう」

夕雲「あっ……提督?もうっ、それならそうと言ってくれれば良かったのに」

夕雲「そんなに夕雲の膝枕が良かったんですか?はいはい、頭を撫でるんですね」

夕雲「あんっ……ほんと提督はスキンシップ大好きなんですから……♪」

夕雲「フーッ……」

夕雲「フフッ、起きましたか?夕雲目覚まし時計での寝起きはどうかしら?」

夕雲「そろそろ用意していかないとパチンコ屋のオープンに間に合いませんよ?今日は大きなイベントがあるんですよね?」

夕雲「提督?聞いていますか?」

夕雲「イベントよりこのまま寝ていたいって言われても……これ以上無防備な寝顔見せられたら夕雲我慢できなくなっちゃうわ」

夕雲「ていとくー?早く起きないと食べちゃいますよー?良いんですかー?」

浦風「お楽しみのところわるいんじゃが、ちょっとええかのう」

浦風「提督さん、はよー行かんとクジが台無しになってしまうで?せっかく良い番号引けたのに」

浦風「開店の何分か前についとらんと無効になってしまうんじゃろ?」

浦風「うちが店まで送っていっちゃるけぇ、はよ用意しんさい」

浦風「ふう、なんとか間に合ったみたいじゃの」

浦風「それじゃあ帰りもまた迎えに来るけえ、電話してーー」

浦風「な、なんじゃ急に。こーらぁ、人がよーさん見とるのに……」

浦風「家での膝枕と言い……今日は甘えたさんな日なんかのう?」

浦風「こりゃー帰ったら今日はたーんと甘えさせてやらんといけんね♪」

はぁ……夕雲が毎日「今日は安全日」って言ってくる生活……

雷「それじゃあお仕事行ってくるわね!」

夕雲「提督もパチンコ頑張ってくださいね♪」

浦風「えーっと、髪留め髪留め……」

雷「浦風ー、早くしないと先に行っちゃうわよー?」

浦風「あった!よし、準備オッケーじゃ!鍵掛けて、こっちの鍵掛けて……」

夕雲「もう、浦風さん?そっちの鍵までかけちゃ提督がパチンコにいけないでしょ?」

浦風「ああ、そうじゃったそうじゃった。昔の癖でつい。もうこれは必要なかったんじゃ」

男「ん?あれ?久しぶりだなぁ!おい!」

男「あ?誰って……いやいや、詐欺じゃねーよ。ほら、中学まで一緒だった」

男「懐かしいなぁ。今何やってんだ?」

男「は?パチンコ?」

男「お前、いくら土曜日で仕事休みだからってパチンコなんて行ってちゃバカになるぞ?」

男「仕事は行ってない?パチンコが仕事??」

男「お前……ダメだろそんな生活。パチンコなんて取り締まりも厳しくなってきてんだろ?」

男「パチプロ目指すって、よく知らねーけどテレビに出てる人は普通に本書いたりライターの仕事とかもしてるんじゃないのか?」

男「パチンコだけやって生活できる奴なんて殆どいないと思うぞ。もっと真面目に仕事ーー」

男「職業提督??ばっかお前、あんなもん名前と住所さえ書ければ資格くらい誰でももらえるだろ」

男「一応昔のよしみで忠告だけしておくけどな、パチプロとか職業提督とか言ってないで真面目に仕事さがせ」

男「まぁお前の人生なんだしこれ以上は何も言わないけどさ」

男「周りも結婚とかしてるだろ?定職についてないとそういうのも厳しいぞ?」

男「まぁ言っても俺だって高卒の現場職だけどよ。それでも来年にはこいつと結婚する予定なんだ」

男「結婚式には呼ぶからしっかり働いてご祝儀たのむぜ?じゃあなっ!」

提督「…………」

雷「ただいまー。今日は半日だったし楽ちん楽ちん……」

雷「えっ……?あれ?司令官……?」

夕雲「もうパチンコから帰ってきたんですか?」

浦風「そんな部屋の隅に座ってどうしたんじゃ?」

雷「わかったわ!お金がなくなっちゃったのね!大丈夫よ、私がいるじゃな…………司令官!?泣いてるの!?」

夕雲「大変、どこか痛いんですか?」

浦風「うちがおらんかったから寂しかったんかなぁ……?」

雷「ひ、ひ……ひっどーい!!」

夕雲「なんて酷いことを言うのかしら……許せないわ」ワナワナ…

浦風「提督さんはパチプロを目指す為に修行中なんじゃ!それを……!」

雷「私ちょっと行ってくるわ!」

浦風「こら、そんな物騒なもん振り回して何処へいくんじゃ!」

夕雲「そうですよ。だいたい標的がどこにいるかも分からないのに」

雷「でも……っ!許せないじゃない!!」

浦風「それよりも今は提督さんを慰めるのが先じゃろ?」

夕雲「やる時は計画的に……あの時もそうやったじゃないですか」

ヤメロォ!(建前)
ナイスゥ!(本音)

その活躍により、異例のスピード出世で少将まで一気に上り詰めた若き提督が行方不明になってもうすぐ一年らいし

雷「司令官、大丈夫?もう2週間も引きこもって……」

浦風「提督さんにははよう元気になってまたパチンコ屋に通うてもらわんと」

夕雲「ねえ提督、気晴らしに私達の買い物に付き合っていただけませんか?」

雷「買い物?もしかして見つかったの?」

夕雲「ええ♪ちょうど今日が良いタイミングみたいなの♪」

浦風「よし!じゃあ決まりじゃな!」

雷「はーい、ばんざいして。服を着替えたら歯も磨かなきゃね!おトイレは大丈夫?」

浦風「ほれ、髪の毛セットしちゃるけぇここに座りんさい」

夕雲「少し爪が伸びてるみたいね。夕雲がヤスリで削ってあげるわ♪」

雷「はい、歯磨きおしまい。くちゅくちゅペッ、できる?そう!さすが司令官!上手上手」

浦風「髪も完璧じゃ。惚れ直してしまうのう」

夕雲「提督、夕雲の肌に触れてみて。……うん、大丈夫。爪は痛く無いわ」

夕雲「それじゃあ提督は一足先に待ち合わせ場所に行っててください♪」

浦風「駅前にぼれぇでっかいホテルがあるじゃろ?あそこで待ち合わせじゃ」

雷「一緒に行けば良い?そんなんじゃダメよ」

夕雲「待ち合わせするのがこいびと

夕雲「待ち合わせするのが恋人っぽくて良いんじゃ無いですか♪」

浦風「うーんとおめかしして行くけぇ、ちーとばかし待っててくれんかのう」

雷「大丈夫?私も一緒に付き添った方が良い?」

夕雲「雷さん?1人で行ってもらわ無いと。ね?」

雷「うう……まるで我が子を谷底に落とす気分だわ」

ホテル前

男「あれ?こんなとこで何やってんだ?って言うか一度あったら立て続けに会うな。ハッハッハッ」

男「平日の昼前からうろうろして、相変わらずパチンコばっかやってんだろ?」

男「お前、ほんとダメだな」

男「俺?俺はここのホテルに用があるんだよ」

男「前にこいつと結婚するって言っただろ。今日は有給とってブライダルフェアってやつに来たんだよ」

男「お前と違って額に汗水流して働く社会人だからな。有給だぞ有給。こうしていても給料はもらえるわけだ」

男「まぁ俺みたいな安月給でも付いてきてくれるこいつには感謝してるよ」

男「お前も働いて稼が無いと結婚どころか彼女もでき無いぞ?どうせまだ童て」

夕雲「提督、お待たせしました♪」

男「……ん?」

夕雲「提督の為に張り切っておしゃれしていたら遅くなってしまってごめんなさい……」

夕雲「あら、そちらの方はお知り合いですか?」

男「あっ、え……?おま……え?」

夕雲「初めまして」

男「あ、いや……おい、その腕に抱きついてるのは……その、か、彼女……じゃないよな?」

夕雲「彼女だなんてとんでもありません!」

男「で、ですよねー!さすがに無職のパチプーにこんな」

夕雲「私は提督の物ですから。そうよね、提督♪今日も一段と素敵だわ……♪」

男「物ですからって……」

夕雲「その通りの意味だけれど……提督の命令は絶対♪私はいつだって提督の思いのままに……」

男「で、でもこいつは無職ニートでパチンコ屋に入り浸ってるダメ人間なんだぞ!?」

夕雲「あら、それのどこがダメなのかしら?提督の代わりに私達が働けば良いだけでしょ?」

夕雲「提督は好きな様に生きて、たくさん甘えてくれれば良いんですから♪」

夕雲「私たちは提督に愛して頂けているならそれだけで満足だわ♪」

夕雲「提督?夕雲の事、愛してくれていますか?」

夕雲「……ふふっ、赤くなって可愛いんだから。お買い物に付き合ってくれるお礼に帰ったらなんでもしてあげますね」

男「なんでも!?」

浦風「こらぁ!1人で何を好き勝手やっとるんじゃ!」

夕雲「あら、浦風さん」

浦風「提督さんはうちのもんじゃけぇ!」

男「!」

浦風「ん?どっかで見た顔じゃのう……」

男「ひ、人違ーー」

浦風「ああ、そうじゃ!確かもうすぐ結婚で束縛されるからその前に遊び倒すんじゃーとか言ってうちに声掛けてきた男じゃ」

男「ああああ!!!!」

浦風「心配せんでもちゃーんと断ったよー?うちは提督さん一筋じゃけえね?」

男「あ、あれは、会社近くのコンビニ前に毎日いたから、家出少女がなにかと思って、宿泊に家を使わせてあげようと……魔が差して!」

浦風「提督さん、はよー買い物行かんと遅くなってしまうけえ」

男「だ、だいたい君たちはなんなんだ!物とかなんとか」

夕雲「私達ですか?私達は艦娘ですけど」

男「艦娘?って、あの提督にしたがってどうこうって言う?マジでいたのか……」

浦風「当然じゃ」

男「はぁ……なら納得だわ。つまり部下に付き合わせてるだけみたいなもんだろ?俺はてっきり本当に好意を」

浦風「何を言っとるんじゃ。うちらは純粋に提督さんを好いとるだけじゃけえ」

夕雲「命令なんて無くたって愛していますから♪提督が望むなら喜んでなんだって……♪」

男「あああああ!」

男「そ、そうだ、俺はブライダルフェアに……」

どんっ!

雷「いったーい!」

男「ああ、ごめんね!大丈夫だった?」

雷「もう!おでこ赤くなったりしてないわよね!?」

男「だ、大丈夫だよ(パンツ欲しい。息でも良い)」

雷「怪我なんてして司令官に心配かけちゃったらどうするのよ。ぷんすか!」

男(ぷんすかー!!!!)

雷「司令官、待たせちゃってごめんね。暑かったわよね?水分補給する?何のみたい?」

浦風「じゃったらあっちの喫茶店に行ってみんかいのう」

夕雲「そうね……お二人はブライダルフェアにいらしたんですか?羨ましいわ♪」

浦風「提督さん、せっかくだしうちらも見て行く?」

雷「ダメよ。司令官は私と結婚して養ってあげるんだから!」

男「お、おい!なんか俺だけ浮気したみたいになってるけど!そっちは何人と浮気してるんだよ!」

夕雲「浮気?何を言っているのかしら?」

浦風「提督さんが艦娘全員に愛を注ぐのは当然じゃろ?」

雷「司令官はみんなを愛して、みんなは司令官を愛する。ギブアンドテイクよ!」

男「そんなうまい話があってたまるか!最後は結婚できる1人を争ってドロドロの戦いだろ!」

夕雲「別に1人を決めなくてもみんなと結婚すれば良いだけよね?」

浦風「提督さんに限り艦娘と一夫多妻制が認められとるけえね」

雷「指輪や書類は高価だけれど、そんなの私達が働いて稼げば良いだけよ!」

男「夢のハーレムランド……?ロリと合法に、なんでも……?」


男はその足で提督の試験を受けに行った。

女は提督の(着任中の)年収が数千万と聞いて男を追わず提督を探しに行った。

男「提督して鎮守府に着任したいのですが!」

係「はい。では現在こちらの鎮守府になりますがよろしいでしょうか?」

男「可愛い艦娘と暮らせるならどこでも!」

係「あとは初期艦娘ですがこちらからお選びください」

男(む……あの艦娘達はいないのか?)

男「すみません、夕雲?だったかな?あと浦風?とか言う艦娘はいますか?」

係「おっぱいビッグセブンですと10倍の初期費用がかかりますがよろしいですか?」

男「初期費用?10倍?」

係「はい、1隻10億になります」

資格は名前と住所さえ書ければ取れる

鎮守府は空きがあれば無料で提供される

艦娘は戦いの末に新たな艦娘を発見した場合、手続きさえすればそのまま着任させて良い


ただし最初の艦娘は1億円~を払い購入しなければならない。

夕雲「提督、お買い物の前に少し待っていて貰っても良いでしょうか?」

夕雲「もう、そういう事を女性に聞くのは野暮ですよ?」

浦風「そうじゃそうじゃ。うちもちょっと行ってくるけぇ、まっとってね」

雷「だ、か、ら!そういう事を聞いちゃダメよ!本当に仕方ないんだから!」

雷「便に決まってるじゃない!」

夕雲「雷さん!?せめておトイレと言ってください!」

浦風「い、言っとくけど大じゃのうて小じゃけえ!」

夕雲「まったく雷さんったら……」

夕雲「お待たせしちゃってごめんなさいね」

青葉「いえいえ!青葉も今来たばかりですから!今日はお一人なんですか?」

夕雲「ええ、雷さんと浦風さんは他の用があって」

青葉「そうでしたか!それにしてもこんな人気の無い裏路地で取引なんてなんだかワクワクしますねぇ!」

夕雲「今回のお仕事、本当に素晴らしかったわ♪」

青葉「恐縮です!」

夕雲「ターゲットの来る場所、用件、時間……おかげでスムーズにいきましたから」

青葉「えへへ」

夕雲「これは約束していた報酬です。変な事を頼んでごめんなさいね」

青葉「いえいえ、艦娘として自分の司令官をバカにされたと聞いては青葉も黙ってられませんから!それに下調べをしたら」

青葉「あれ?報酬間違っていませんか?」

夕雲「完璧な仕事でしたから。少し色を付けておきました♪」

青葉「ありがとうございます!これで新しいキャメラを買えますよ~♪」

青葉「それでは青葉はこれで!」

夕雲「……青葉さん、その前に1つ良いかしら?」

青葉「なんでしょうか?」

夕雲「今回の仕事、しっかり下調べをした青葉さんなら私達の事も色々知ってしまいましたよね?」

青葉「青葉が知っているのは御三方が何故か司令官と街で暮らしている事くらいですね」

夕雲「そうですか」

夕雲「今回私達はわざわざ面識の無い鎮守府のあなたに仕事を依頼したのは」

青葉「自分の鎮守府にいる青葉には頼めないような事情があるからですよね」

夕雲「察しがよくて助かるわ。そんな察しの良いあなたなら分かってるとは思うのだけど……」

夕雲「今回の依頼や私達の事は全て綺麗に忘れていただけませんか?」

青葉「青葉達は会ってもいないしお互い何も知らないと、そういう事ですね」

夕雲「それも込みで報酬の上乗せですから♪」

青葉「うーん……会った事をなかった事に、それは出来ませんね。青葉もジャーナリストですから」

夕雲「そう、残念だわ」

青葉「ですが会った事、依頼内容、それを絶対に口外しない自信はあります!青葉はジャーナリストですから!」

青葉「クライアントさんの秘密を漏らすなんて事は絶対にしません!」

夕雲「じゃあ私達の事を必要以上に詮索したりもしないでくれるのかしら?」

青葉「命をかけるジャーナリストを青葉は目指していませんから。あくまで青葉は艦娘、命をかけるなら海の上です」

青葉「こんな趣味の様な仕事でもやっているとわかる事があるんです。何処までが趣味の範囲で、何処からが命がけなのか」

青葉「おそらくですがこれ以上夕雲さん達の事を詮索するのは命がけ……それは青葉の仕事ではありません」

青葉「なので青葉が知っている事は何故か街で3人の艦娘と暮らしている司令官がいるという事だけ」

青葉「そして報酬を頂いた以上絶対に口外する事はありません」

夕雲「……なら安心ね♪あなたを信用するわ」

青葉「はい!信用第一ですから!」

夕雲「また何か調べ物があるときはお願いするわね♪」

青葉「はい!では失礼します!」

夕雲「……」


浦風「行かしてしもうて良かったんか?」

雷「大丈夫かしら」

夕雲「あの青葉さんならきっと大丈夫だわ」

浦風「まぁうちらの秘密をネタに揺すってきたりはせんかったしのう」

雷「でも100%信用して大丈夫なのかしら?」

夕雲「雷さんは心配性なんだから♪あの青葉さんは嘘なんて付いていませんよ」

夕雲「じっくり目を見て話せば大体分かりますから。その人の事が」

浦風「確かに……瞬き1つせずずっと目を見て話しとったな。見てるこっちが強かったわ……」

夕雲「ともあれ良かったじゃ無いですか。これで私達も裏路地に供える花束を買わずに済んだんですから……」

雷「そうね。なるべくならそんな事したくなかったし」

浦風「さぁはよう提督さんの所に帰らんと!まちぼうけとるはずじゃけえ」

夕雲「そうね。雷さんがあんな事言ったからあまり長いと変な勘違いされちゃうわ」


雷「しれーかーん、お待たせ……」


霞「だーかーらぁー!なんであんたがこんなとこにいるのか聞いてんのよ!!無事なら無事って……はぁ?なんで私が泣くのよこのクズ!泣いて、なんか……ないわよ……」

雷「はわわ……」

ママ……

霞「ほら!さっさと帰るわよ!だいたい今まで何してたのよ!」

霞「はあ!?パチンコ?競馬??あんたそれ本気で言ってるんじゃないでしょうね!?」

霞「クズが本当のクズになってどうすんのよ!このクズ!!」

浦風「あ、あのー……ちょっとええかのう……」

霞「なによ!こっちはいま大事な話…………あ、あんた達まで!」

雷「や、やっほー!なんちゃってー……」

霞「あんた達もなんの連絡も無く今まで何やってたのよ!みんな心配してるのよ!」

夕雲「そういう霞さんこそこんな所で何をしているのかしら♪」

霞「私は別になんだって良いの!さ、散歩よ散歩!」

浦風「散歩で他県まで来たんかのう」

霞「仕方ないでしょ!県内はもう散歩し尽くしたんだから!」

雷「つまり県内ではもう司令官を探し回ったって訳ね!」

霞「うるさいわね!!」

夕雲「あらあら♪」

霞「はぁ……どうせあんた達もこのクズを探し回ってここまで来たんでしょ。続きは帰ってから聞くわ」

雷「あんた達も……って事は自分が探し回ってたって認めたのね」

浦風「そうじゃな」

霞「あんたたちねぇー……!」

夕雲「でも私達は提督を探し回ってここへ辿り着いた訳じゃないのよね♪」

霞「じゃあなんでこんな所にいるのよ?」

夕雲「それは……私達が提督を誘拐したから♪」

霞「誘拐!?」

霞「誘拐って……何考えてんのよ」

夕雲「そんなに怖い顔をしないでくれるかしら」

霞「もともとこういう顔なのよ。悪かったわね」

夕雲「……霞さんは今までの提督で満足していたんですか?」

霞「なんで私がこのクズで満足しなきゃいけないのよ」

夕雲「若くて仕事も出来て軍上層部からも期待されている。そんな提督の元に着任できて満足だった?」

霞「だから別に満足してないって言ってるでしょ!」

夕雲「将来が約束されたような提督は言わば豪華客船。みんな居心地良いはずよね」

夕雲「でも私達は違うの。私達が欲しいのは豪華客船なんかじゃ無くて木の板なのよ」

霞「はぁ?」

夕雲「なんの役にも立たなさそうな木の板を私たちの手で船に仕上げるの」

浦風「1人じゃなんにも出来ん提督さんをうちらがお世話しながら立派な提督に育成するんじゃ」

雷「雷は別に立派に育たなくても一生育成してあげるわ!はぁはぁ……♪」

霞「あ、あんた達頭おかしいんじゃないの……?」

夕雲「そうでしょうか?」

霞「とにかくこのクズは私が連れて行くわ!ほら、立ちなさい!!はやく!!」

浦風「こらこら、そんな乱暴に言うても立てる訳ないじゃろ」

雷「はい司令官、雷の手につかまって」

霞「どんだけ甘やかしてんのよ……」

夕雲「あら、お腹がすいたの?大変、お昼にしましょ♪」

霞「はあ!?」

夕雲「提督、お手拭きをどうぞ」

雷「じゃーん♪腕によりをかけたお弁当よ!」

浦風「喉が渇いた?すぐにお茶をいれるけぇ」

霞「あんた達……」

夕雲「まあまあ、腹が減っては戦は出来ぬと言いますから♪」

霞「……食べたらさっさと帰るわよ」

浦風「はい、提督さん。あーん。どう?美味しいじゃろ?」

雷「雷の作ったこっちの方が美味しいんだから!司令官、あーん」

夕雲「ほらほら、そんなに急いで口に入れたら提督が困っちゃうでしょ?」

霞「…………」

浦風「なんじゃ?提督さん睨みつけてばっかりおらんと弁当食べんさい」

夕雲「遠慮せずどうぞ♪」

霞「ちょっと、このクズの口元にソースが付いてるわよ」

雷「もう司令官ったら、こっち向」

夕雲「雷さん、ちょっとまって」

雷「?」

夕雲「ごめんなさい、霞さんの方が近いし拭いてあげてくれないかしら?」

霞「はあ?なんで私がそんな事……それくらい自分で拭きなさいよ、このクズ!」

夕雲「今の提督はそんな身だしなみなんて気にならない程ダメになってますから無理ですよ?」

浦風「まぁ一度くらいかまわんじゃろ?はようせんと帰るに帰れんよ?」

霞「ほんっと……クズダメ司令官なんだから……」

霞「帰ったらタダじゃおかないわ!」

フキフキ…

霞「まったく、どんだけ手のかかる…………」

霞「な、なに笑ってるのよ。はぁ?ありがとうなんて……そんな事言ってないでこれくらい自分で……」

トゥンク…

霞「ああもう見てらんない!かしなさい!食べさせ方が下手だから口にソースが付くのよ!」

霞「ほら!食べるの?食べないの!?はっきりしなさいな!食べるならもっと口を大きく開ける!」

霞「こら!ちゃんと噛んで食べなきゃダメでしょ!ほんっと何にも出来ないんだから!お茶?ちょっと待ちなさい!」

ママ…

霞「食べ終わったわね」

霞「さあ帰るわよ!」

雷「ちょっとまって!これから私達はお買い物に行く約束なのよ!」

霞「そんなの帰ってからでいいでしょ?」

浦風「まぁ買い物と言って提督さんを連れ出すのが目的だったんじゃが……」

夕雲「雷さんは買い物を楽しみにしてましたからね」

霞「はぁ……わかったわよ。そのかわりはやく済ませなさい。まったく、あんまりクズからお金巻き上げるんじゃないわよ」

雷「この服なんて素敵じゃない?ね?ね?」

浦風「ほーらぁ、突っ立っとらんで試着じゃ。試着」

夕雲「お荷物は私が預かってますね」


雷「やっぱり似合うわ!それにしましょ!」

雷「えっ?高い?もう、司令官がそんな事気にしちゃダメよ!」

浦風「そうじゃ。提督さんは遠慮なんてしたらいけんよ?」

夕雲「私たちの事は財布と思ってくださいね♪」

霞「……」

雷「他に欲しいものは無い?なんでもおねだりして良いのよ?」

浦風「次は帽子なんてどうじゃ?」

夕雲「あら、提督は少しお疲れみたい。座って休憩しますか?」

雷「ごめんなさい……私達がお買い物につき合わせちゃったから……」

浦風「そうじゃな。ちょっとはしゃぎ過ぎたかもしれんのう」

夕雲「提督にプレゼントを買えるのが嬉しくてつい……ごめんなさいね。提督のペースもあるのに……」

雷「…………」シュン…

雷「……ふぇ?アイスクリーム?アイスクリームが食べたいの?」

雷「わかったわ!じゃあこの雷が司令官にアイスクリームをご馳走しちゃうんだから!」

夕雲「提督ったら、気を使って雷さんに甘えてくれたのね。なんて優しいのかしら」

浦風「うちらは提督さんに気を使わせっぱなしじゃな。少しは提督さんを見習わんと」

夕雲「そんな優しい提督にはご褒美をあげなくちゃいけないわね♪」

夕雲「あの……なんだったかしら?ゲーム機を買ってあげましょ♪」

浦風「はぁ~、楽しかったけど流石に疲れた」

雷「やっぱり家が1番落ち着くわね」

夕雲「ふふっ、まるで旅行から帰ってきたみたいなセリフね」

霞「ちょっとちょっと!買い物が終わったら帰る約束でしょ!!」

雷「へ?だから帰ってきたじゃ無い」

霞「帰ってきたって……私は鎮守府に帰るって言ったのよ!なんで普通のマンションに帰ってきてるのよ!」

雷「普通じゃ無いマンションなんてあるの?」

霞「そうね。なぜかドアの外にごついナンキン錠があったあたりココも普通じゃ無いわね」

夕雲「あれは前に住んでた人がつけたんじゃ無いですか?今は使ってませんから♪」

霞「とにかく私はこのクズを連れて鎮守府に帰るわ。あなた達も来なさい」

浦風「まぁまぁ、そう焦らんでもええじゃろ?」

霞「そう。だったらこいつだけでも連れて帰るわ」

夕雲「待ってください。本当にその提督を連れ帰るおつもりですか?」

霞「その為に私はここまで来たのよ」

雷「やっぱり司令官を探してここまで来たのね!」

霞「……」

夕雲「霞さんは今の提督を受け入れてくれましたけど……他のみなさんはどうでしょうか?」

霞「……」

夕雲「以前の提督を慕い尊敬していた艦娘は沢山いると思います」

夕雲「仕事も出来て人望も厚く、艦娘達の憧れでもありましたからね」

夕雲「その提督が今や1人で何もできないようなこの状態」

浦風(まぁうちらがそうしたんじゃが……)

夕雲「その姿を見て艦娘達はどう思うかしら?失望……する艦娘も多々現れるでしょうね」

霞「……」

夕雲「何もできない提督への不満、苛立ち……以前を知っているだけにきっと陰口を叩くかたも現れる筈です」

霞「陰口……」

夕雲「やがてその声は提督の耳にも入り、戦果が思わしくなければ更に上層へ」

夕雲「仕事が出来なければ降格。やがて追い詰められた提督は切腹自ーー」

霞「やめて!!」

夕雲「そうならない為にも今提督を鎮守府に帰すのは良く無いかと♪」

浦風(こわいわぁ……)

霞「つまりこのクズを元通りにしてから連れ帰ればいいんでしょ!」

夕雲「はい♪」

霞「わかったわ。私もしばらくココに住ませてもらうから」

夕雲「賑やかになってうれしいわ♪」

浦風「ちょ、ちょっとええか」

夕雲「なんでしょう?」

浦風「あんな事言うてよかったんか?提督さんを元に戻すって……」

夕雲「大丈夫ですよ。最初はああ言ってても霞さんは我々と同じ気持ちになる筈です」

夕雲「あんなに愛らしい提督を元に戻そうなんて思う筈がありませんから♪」

浦風「そうか。ならええんじゃが……うちらの計画はまだ道半ばじゃけえ……」

夕雲「ええ、私達の目的は提督をもっともっと私たちに依存させ、私達が無しでは生きていけなくする事……」

浦風「そして幼児化……食事も今の食事から最終的には母乳へ」

夕雲「私たちの祈願。提督授乳育成計画……必ず成功させるわ」

計画は失敗します

浦風「それで?これからどないするんじゃ?」

夕雲「まずは今の提督の魅力に気づいてもらえるよう霞さんに提督のお世話をお願いしましょう」

雷「みんなー、夕飯の準備ができたわよー!」

浦風「ああ、すまんのう。台所を任せっきりじゃったな」

雷「もう浦風ったら!もーっと私に頼っていいのよ!」

雷「じゃあ司令官には私が食べさせてあげるわね!」

夕雲「待って。今日は霞さんにお願いしましょ♪」

雷「ええーっ!雷がするつもりだったのに……」

夕雲「雷さん、ちょっと」

かくかくしかじか…

雷「そういう事……なら仕方ないわね」

霞「私がクズの世話係?」

夕雲「今の提督は1人で食事できませんから」

浦風「口を開けとったら勝手に入れてもらえると思っとるけぇな」

霞「どんだけダラけてんのよ」

霞「あんたもあーんじゃない!じぶんではしもって

あ寝落ち寸前

霞「自分で食べなさい」

霞「なによその顔は。文句あるの?」

雷「ちょっと、そんな事言っちゃかわいそうじゃない!」

霞「あんた達が甘やかしすぎなのよ」

浦風「夕雲、ほんとに大丈夫な……夕雲?」

夕雲「ハアァ……♪かわいそうな提督……でもあの助けを求める子犬のような目……なんだかゾクゾクしちゃうわ……♪」

霞「ほら、箸持ちなさい」

霞「…………ああそう、じゃあ仕方ないわね。私が食べさせてあげるわ」

雷「あっ、それは私達ようのだから司令官は食べないわよ!」

霞「ほら、口を開けなさい。はぁ?なにが食べたくないよ?」

夕雲「霞さん、提督は人参が苦手ですから……」

霞「知ってるわよ。いい大人が好き嫌いするなって言ってるのー……よ!」

浦風「ああ、そんな無理やり……提督さんがかわいそうじゃ……」

霞「よく噛んで食べるのよ。こら、鼻つまんで食べるな!農家さんに失礼でしょうが!」

霞「まったく。なんて顔して食べてんのよ」

雷「あれ?司令官の険しい顔がだんだん元に……」

霞「どうせ子供の頃苦手だったから、大人になっても食わず嫌いだったんでしょ。歳とれば味覚も変わるのよ」

夕雲「これからは人参もメニューに入れなくちゃいけませんね♪」

霞「はぁ?人参入れられても平気だから食べさせてくれ?甘えてんじゃないわよ!」

霞「ごちそうさまでした。みんな料理上手なのね。今度教えてもらおうかしら」

夕雲「お粗末様です♪私達は片付けがありますから提督のお世話をお願いします」

霞「むしろこいつにも片付けさせなさいよ」

雷「そんな重労働を提督に強いるなんて可哀想よ!」

霞「重労働って……わかったわよ。何もしないけど」


浦風「何もせん言うちょったけどええんか?」

夕雲「大丈夫です。提督は食後必ず膝枕で横になりますから♪」

浦風「なるほど。確かにあの上から見下ろす角度からおでこや頭を撫でたくならん艦娘なんておらんのう!」

夕雲「いずれはそのまま頭を少し持ち上げ前かがみになって授乳を……♪」

雷「私はそうとう前かがみにならないと届かない気がするんだけど」

浦風「さてさて、霞は欲望に屈して頭を撫でとるかのう」ソ-…

霞「はあ?膝枕?何バカな事言ってんのよ。食べてすぐ横になったら牛になるわよ」

霞「ああそう、じゃあ勝手にしなさい」

霞「何嬉しそうな顔してんのよ。言っとくけど食べてすぐ横になったら」

霞「バカ、牛の話じゃないわよ。本当に牛になる事はないけど逆流性食道炎になるかもしれないわよ」

霞「胃から逆流した胃酸があんたの食道に炎症を起こすの。胸や背中の痛みに加えて吐き気……口に胃酸が溢れてきて酸っぱく感じたりもするわね」

霞「そうなれば口臭も酷くなってみんなあんたを避けてひとりぼっち。そしたら1人で生きて行けるの?」

霞「無理でしょ。じゃあしばらく座ってなさい」

夕雲「遅くなりました♪どうですか提督を見下ろす絶景ポイン……」

霞「そう、肩の力は抜く!こら!また猫背になってる!」

雷「な、なにしてるの……?」

霞「あ、全部任せちゃって悪かったわね。今せっかくだからインナーマッスルってのをちょっとね」

霞「そうだ、おトイレはどこにあるの?ちょっと借りるわね」


雷「司令官、大丈夫?怖くなかった?」

夕雲「提督の大好きな夕雲の匂いですよ?」パフパフ

浦風「食後のデザート代わりにミルク飲んでもええんよ?」パフパフ

雷「ちょ、ちょっと2人ともずるい!雷だって計画が成功する頃にはバインバインなんだから!」

霞「トイレまで自動で流れるなんてどこまであのクズを甘やかす……って何してんのよ!」

夕雲「長い間提督から離れていたので提督成分の補給を♪」

浦風「提督さんはこうやって挟まれるのがすきじゃけえ♪」

霞「やめなさい!雷がかわいそうでしょ!」

雷「よ、よけいなお世話よ!霞だって似たような……ちょちょちょちょ、ちょっとしか変わらないじゃない!」

霞「心配しなくても雷だってすぐ大きくなるわよ」

雷「ほんと……?」

霞「…………多分(長女があれなだけに)」

夕雲「さてと、それじゃあお風呂にしましょうか」

浦風「今日は金曜日じゃけえうちの番じゃね!」

霞「えっ……毎日入らないの……?」

浦風「ちがうちがう!お風呂はもちろん毎日入りよるよ!」

夕雲「提督をお風呂に入れる順番を決めているんですよ♪」

雷「月木が私で、火金が浦風、水土が夕雲。日曜日は少し狭いけどみんなで入ってるのよ!」

霞「……」

夕雲「霞さんも来たから振り分けを変えなきゃダメね」

霞「何言ってんのよ。今日からお風呂は1人で入りなさい」

雷「ええー!そんな事したら誰が頭洗ったり身体洗ったりするのよ!」

霞「そんなの睦月型のみんなだって1人で出来るわよ!」

浦風「文月はいつもシャンプーハット付けて菊月に洗ってもらっとたけど」

霞「あ、あれは特例よ!とにかくクズ司令官は大人なんだから1人で入りなさい!艦娘だって重巡とか戦艦とかはそうでしょ!」

夕雲「でもポーラさんはいつもザラさんに髪を洗ってもらっていたような」

霞「あれは特例よ!あと利根さんたちも特例だから!」

浦風「はぁ……シャワーの音が空いのう……」

雷「お風呂場で溺れていないか心配だわ」

夕雲「今はただ提督を信じるしか……そうだわ、お風呂上りにフルーツ牛乳を用意してあげましょ♪」

雷「良いわね!コンビニまで行って帰ってきたらちょうど良い時間じゃないかしら!」

霞「そんなの水飲ませとけば良いのよ」

夕雲「まあまあ♪私達もお風呂上りに飲みたいですから♪」

浦風「ちょっと行ってくるけえ留守番お願いするわぁ」

霞「ちょっと待ちなさい!」

雷「なによ、フルーツ牛乳くらい良いでしょ?」

霞「もう暗いんだから。はい、ペンライト。車には気をつけるのよ」

雷「あ、ありがと……」キュン…

霞「はぁ……ほんとみんな世話焼きなんだから」

霞「…………あっ」

ガチャッ…

霞「やっぱり。なんでもう出ようとしてるのよ」

霞「身体とか髪は洗ったの?……嘘言うんじゃないわよ。髪が濡れてないじゃない」

霞「身体も……スンスンッ、なんだか汗臭いわね。やり直し」

霞「ほら!さっさと入る!!まったくもう……」

霞「ほんっっっと世話が焼けるんだから」

霞「入るわよ」

霞「何よ。お風呂に入るんだから脱ぐに決まってんでしょ」

霞「言っとくけど私はみんなみたいにあんたの髪や身体を洗いに来たんじゃないの。見張りに来ただけだなんだから!」

霞「わかったらさっさと髪を洗う!ほらシャンプー!」

霞「ちゃんと手で泡立ててから!洗い方が雑!もう、仕方ないわねぇ!ちょっと手をどけて!」

霞「良い?こう、わかった?ちゃんと聞いてんの?気持ち良いじゃなくて!ほら自分でしなさい!」

霞ちゃんに怒られながらも身体を洗われる毎日

霞「頭洗って体洗ったら歯も磨いときなさい」

霞「どうせ後まわしにしたら面倒くさくなってしないでしょ」

霞「くちごたえしない!」


霞「……」

霞「ちょっと、なにうがいしてんのよ」

霞「そんな撫でる程度でハミガキしたつもりなの?いい加減にしてよ。やり直し」

霞「…………だーめ。やり直し」

霞「まったく、もう良いわ。私がやってあげる。ほら口開けなさい」

霞「はあ?痛くするに決まってんでしょ!ほら!さっさと開けなさいよ!!」

霞「逆らうなんて生意気じゃない……頭のてっぺんまでお湯につけるわよ?」

霞「……はぁ、さっきのは冗談よ。別にそんな痛くしないから早くしてったら」

霞「だから痛くしないってば!そんなに心配なら手でも握っててあげるから」

霞「はい、あーん」

霞「そうそう……フフッ」

霞「悲鳴をあげなさい!豚のような!!」

夕雲「あら提督、やっとお風呂からあがったんですね。フルーツ牛乳……きゃあぁぁぁー!」

浦風「なんじゃ大声出して!?フルーツ牛乳なら」

夕雲「て、提督の口から……血があんなに……」ふらっ…

雷「ど、どうしたの!?救急車!救急車よばなきゃ!」

浦風「それよりもまずは止血じゃ!アロンアルファか木工用ボンドを」

霞「大袈裟ね。歯を磨いてやったらちょっと血が出ただけよ」

夕雲「か、霞さんが私達のいない間に提督とお風呂に」パタリ…

霞「普段からしっかり歯を磨かないからそんなに血が出たのよ」

霞「それくらいじゃ死なないから安心しなさい」

雷「司令官、私の血を飲んで!輸血よ!すぐに手首切って血をあげるから!」

浦風「それならうちに任せとき!今ちょうど生」

夕雲「2人とも落ち着いて。血液型の問題というか私達の血のようなオイルを提督に混ぜるなんて危険……提督の血と私達の血が混ざる……?ハァハァ……」

霞「悪い血が出てるだけだから心配いらないわよ」

夕雲「そうだわ!フルーツ牛乳を買ってきたの。これで口直しを」

霞「ダメよ。せっかく歯を磨いたのに」

雷「私たちだってせっかくフルーツ牛乳を買ってきたのに!」

霞「別に飲んでも良いけどまたハミガキよ?もちろん私がしてあげるわ」

浦風「なんて酷いことを……」

霞「虫歯になって歯茎切ったりえぐられたりされるよりマシでしょ」

夕雲「提督、本当にお水で良いの?」

雷「我慢しなくても良いのよ?もし虫歯になって歯がなくなったら雷の歯を全部あげるわ!」

霞「そんなのもらってどうすんのよ……」

浦風「とりあえず今日はもう寝るかのう」

夕雲「霞さんにはこの部屋を使ってもらうわね。丁度一部屋空いててよかったわ」

霞「一部屋空いてたって……リビングと別に部屋は4つしかないわよ?ここはこのクズの部屋じゃないの?」

夕雲「いえ、提督は毎日私たちと寝ていますから♪」

夕雲「毎晩私たちが部屋に入って」

雷「その日一緒に寝たい艦娘を司令官が選んだら部屋で一緒に寝るの!」

浦風「誰の部屋に来ても恨みっこなしってルールじゃけど……提督さんは優しいから満遍なく交代交代で回ってくれとるんよ♪」

霞「あっそ。それなら遠慮なく部屋使わせてもらうわ」

夕雲「それではおやすみなさい♪」

夕雲「今日は霞さんに随分教育されちゃったからこの部屋でたっぷり甘えたいにきまってるわよね♪」

雷「今日はあんまり司令官とお話できなかったしきっとこの部屋にくるに決まってるんだから!」

浦風「今日はあんまりパフパフしてやれんかったけぇ、きっとうちの部屋でパフパフおねだりするに決まっとるんじゃ」



夕雲「おかしいわね……もしかして雷さんが危うい発言ばかりしていたから心配でそっちに行っちゃったのかしら……夕雲寂しいわ」

雷「司令官ったら……もしかしてやっぱり胸がペタンコで私じゃパフパフできないから浦風さんの所へ……?」

浦風「うーん……やっぱり今日はひどい目にあっとったし夕雲の部屋で甘えとるんかのう」


霞「で?なんでこの部屋にくるのよ?マゾなの?」

霞「あのねぇ……私は疲れてるんだけど。用があるなら明日にしてちょうだい」

霞「はあ?一緒に寝たい?何をどうしたらそんな気になるのよ。叱られて痛い目にあわされて」

霞「……私がお母さんみたい?あんた頭おかしいんじゃないの?」

霞「だいたいなんで母親みたいなら一緒に寝たいのよ?もしかしてマザコン?良い歳して気持ち悪いわねぇ……」

霞「え?あ、そう……あんたが子供の時に……」

霞「それで母親の……その、愛情みたいなのに憧れてる?なら夕雲とか浦風とか雷で良いでしょ」

霞「なんで私なのよ。だいたい駆逐艦に母性求められても……そう言うのは鳳翔さんとかに……」

霞「そ、そんな目で見ないでよ!このクズ!!」

霞「だいたいあんたは仕事もできて人付き合いも完璧で艦娘全員から好かれてるような完璧人間でしょ!」

霞「そんな奴にこんな事言われてそんな目で頼まれちゃったら……」

霞「わ、私は、あんたのお母さんじゃないし母性みたいなのもないし……」

霞「でも……そうね、今日だけなら特別に良いわよ」

霞「何がって、だからその……添い寝くらいならしてあげるって言ってんの」

霞「ほら、私の気が変わらない内にさっさと入れば?ほんっともう……クズ司令官なんだから」

霞「あんた毎日こんな風にしてみんなと寝てたの?そのうち憲兵に捕まるわよ?」

霞「はあ?同じシャンプーどボディーソープ使って一緒にお風呂入ったんだから匂いなんて同じでしょ」

霞「だいたい柔らかい匂いってなによ。意味わかんないったら」

霞「そんな事よりさっさと元に戻して鎮守府へ帰るわよ」

霞「あんたがこんなままじゃ帰るに帰れないんだから。手間かけさせないでよね」

霞「ちょっと聞いてるの?ねぇっ……なんだ、もう寝ちゃったの?」

霞「はぁ、手のかかる子供みたいになっちゃって。先が思いやられるわ」

霞「ほんとに…………」キョロキョロ…

霞「霞ママの事……好き?」

霞「……フフッ、なに寝ながら返事してんのよ。ばーか」

鎮守府にレアポケモンがいてそれをゲットしたいがために鎮守府へ帰るエンディングまで頑張って書かなきゃね

夕雲「ん、んん~……。おはようございます提……」

夕雲「ちょ、ちょっと!!いい加減にしてください!!」

雷「うーん……どうしたのよ……うとうと」

夕雲「うとうと言ってる場合じゃありません!犯人は雷さんですか!?」

雷「犯人?何のことかしらないけど私じゃないわよ?」

浦風「どないしたんじゃ、大きな声出して」

夕雲「じゃあ浦風さんかしら?」

夕雲「2人とも、あの日……桃園で結んだ誓いは忘れていないわよね?」

雷「誓いなんてしたかしら……?」

浦風「とりあえず二度寝してもええかのう」

夕雲「二度寝するなら提督をここに寝かせてからにしてください!」

雷「司令官を?……あっ、あー!ちょっと、どういう事なのよ!!」

浦風「それはこっちのセリフじゃ!犯人はどっちかはよう白状せんか!」

夕雲、浦風、雷の誓い

就寝時は提督をリビングに残し、それぞれの部屋の扉を閉めなくてはいけない。

提督はその日、一緒に寝たい艦娘の部屋に入る。

自分の部屋に来たからと言って翌朝に自慢してはいけない。各々の胸にしまう事。

提督が部屋に来た艦娘は提督を寝かしつけ、朝5時半までにリビングのソファーへ寝かし移す。

朝6時に起床、リビングで眠る提督を起こす。

夕雲「昨日提督は私の部屋にいらっしゃらなかったの。夕雲、とっても寂しかったわ」

夕雲「だから朝一番に提督のお顔を見に来たら……誓いを破り捨てたおバカさんはどちらかしら?」

浦風「うちの部屋にもきとらんけぇ、犯人は……」

雷「わ、私でもないわよ!こう言うのは言い出しっぺが犯人だったりするのよ!」

浦風「もしかして霞の部屋で寝よるんちがうかのう……」

夕雲「何言ってるんですか!あれだけ酷い目にあわされて一緒に寝るなんてありえ」

霞「もう、朝からうるさいわねぇ……ふぁー」

夕雲「これが大声を出さずにいられますか!」

霞「しぃーっ。あのクズが起きちゃうわよ?」

雷「はわわ……」

霞「あー、肩こるわね……あのクズ、夜中にム目を覚ましたと思ったら腕枕じゃないと寝れないとか甘えんじゃないわよ」

浦風「ああああ……」

霞「って言うか、寝てる最中もやたら頭をこすりつけてくるし。猫かっての」

腕枕と言うか霞の肩のあたりに頭を乗せ、腋と胸の辺りに顔を埋めて寝る提督。

数日後……

夕雲「お、おはようございます……」

浦風「なんじゃ、元気無さそうな顔して……」

雷「そんなんじゃ、ダメよ……」

夕雲「はぁ……。あれからもう何日経つのかしら」

浦風「霞ちゃんが来てからうちの部屋には一度もこんようになってしまったのう……」

雷「私も……」

霞「ほら、さっさと顔洗って着替える!どうして毎日毎日言われないと出来ないのよ!このクズ!」

夕雲「提督はもう起きて顔を洗っているのね」

浦風「堕落とは正反対の規則正しい生活……」

雷「このままじゃ司令官がダメな大人じゃなくなっちゃうわ」

夕雲「提督、今日こそはパチンコへ行ってきてくださいね♪」

浦風「買ったら甘い物でも期待しとるけぇ」

霞「ダーメーよ!そんな事してたらダメになっちゃうんだから」

雷「それで良……じゃなくて、司令官に我慢させてちゃ可愛そうじゃない!」

霞「別に我慢なんてしてないわよね?」

霞「……ほら。って言うかその言い方は止めなさいよ!気持ち悪いったら!」

夕雲「そんな……パチンコより霞さんと一緒にいたいだなんて……」

浦風「なんか今、霞ママって言いよった気が……」

雷「おっぱいのない駆逐艦でもママに……?」

緊急会議

夕雲「確かに私は霞さんを提督に溺れさせる為に色々と黙認してきたわ」

夕雲「でも流石に、ねぇ……」

浦風「うちには提督さんが霞ちゃんに溺れとるようにしかみえんのう……」

雷「雷だって司令官に溺れてもらいたいのに!」

夕雲「これ以上提督と霞ちゃんだけが仲良くなると私達の計画に支障を来しかねないわ」

夕雲「霞さんが提督と一気に距離を縮めた理由はただ一つ……」

浦風「提督さんと一緒におる時間の長さじゃな」

雷「確かに私達がお仕事へ行ってる間、霞は1人で司令官の面倒をみているわね」

夕雲「初めは提督との距離を縮めるのにちょうどいいと思っていたけど甘かったわ……」

浦風「うちも前からなんとなく気づいてはおったけど……間違いない、やっぱりそうじゃ」

雷「なんでもっと早く気付かなかったのかしら……霞は」

夕雲「最初から根っからの提督ラブ勢……」

夕雲「私見ちゃったのよね……たまたま霞さんの部屋のドアが少し空いてて……たまたま、ね?」


霞「ほんっと、だらしないったら!!」

霞「怒られたくないならシャキッとしなさいよね!」

霞「罰として今日は一緒に寝てあげないから。はあ?そんな事言ってもダメよ」

霞「いい大人が何メソメソしてんのよ。ほんっとクズね」

霞「…………」

霞「ったく、なんで私とそんなに寝たいのよ。……何にもしてこないくせに」

霞「ハ、ハァ!?す、好きだからって……あんた言ってて恥ずかしくないわけ!?」

霞「ああもう、そんなところで一晩中泣かれたら迷惑だわ!」

霞「だ、か、ら!そんなところで泣いてないでこっち来なさいって言ってんのよ!」

霞「明日からはちゃんと私の言う事聞くのよ?いい?」

霞「あっ、こら、また……なんで毎回匂いかぐのよ。変な趣味でもあるわけ?」

霞「別に嫌じゃないけど……こ、こんな事、他の子はされたら嫌がるんだから」

霞「私以外の子にはしちゃダメよ?わかった?」

霞「返事や早すぎ。本当にわかってんの?」

霞「はいはい、わかったわよ。私?私はまぁ……いう事をちゃんと聞く良い子なら好きだけど」

霞「今はダメね。良い子に出来たら言ってあげるわ」

霞「私に好きって言ってもらいたかったらちゃんと良い子にしてなさい?」

霞「フフッ……ほんっと、返事だけは良いんだから」

夕雲「提督をこのまま誰かに取られるならいっそ……」

浦風「お、おちつくんじゃ!それは全部霞ちゃんだけが提督さんと接してる時間が長いけえそうなっとるだけじゃろ?」

雷「だったら霞にも私達と一緒に働いて貰えば良いじゃない!」

夕雲「確かに……そうすれば提督は1人になってまたいつも通りパチンコに行ってくれるわよね!」

浦風「あの頃の提督さんを取り戻すんじゃ!」

雷「私だってもう耐えられないわ!」

夕雲「という事で我が家は財政難……霞さんも一緒に働いていただけませんか……?」

霞「そうね、いつまでも居候じゃ悪いし私も働くわ」

浦風「そうか!そりゃーたすかるわぁ」

霞「でもこのクズを1人にして大丈夫かしら?」

夕雲「大丈夫ですよ♪提督を信じましょう♪」

雷「そうよ!私達も信じる事が大事なんだから!」

夕雲「ではさっそく職場を紹介するわ♪」

浦風「提督さん、お昼はこれで食べてくれるかのう。好きなもん頼んでええけえ。余ったら好きに使ってええよ?」


20万円

雷「司令官、ただいま!」

夕雲「あら、どうしたんですかこんなに……」

浦風「パチンコで勝った?それでうちらにプレゼントを?」

雷「ありがとう司令官!一生大切にするわ!」

夕雲「提督が稼いできたお金でプレゼントが貰えるなんて幸せだわ♪」

浦風「ほれ、霞ちゃんの分もあるけえ」

霞「最っ低。幻滅したわ」

霞「はあ?そんな物いらないわよ」

霞「なんでって、自分で考えて分からないの?」

霞「とにかく、それが分かるまでは一緒に寝てあげないから」

霞「ほんと……がっかりだわ。あんたには」

雷「ちょ、ちょっと、そんな言い方かわいそうじゃない!」

霞「フンッ」



霞「うっさい、ドア叩くな。入れないって言ってんでしょ」

霞「これ以上うるさくしたら口も聞いてあげないから」

霞「…………」

霞「はぁ……」


ガチャッ

夕雲「あら、提督♪今日は私の部屋に来てくれたんですか?夕雲うれしいわ♪」

夕雲「霞さんが部屋に入れてくれない?それで私の部屋に?」

夕雲「可哀想な提督……でも安心してください♪夕雲がちゃーんと慰めてあげますから♪」

夕雲「フフッ、久しぶりだから私ももう昂ぶってきちゃった……♪」

夕雲「どこから慰めてあげようかしら?」

夕雲「時間はたっぷりありますから……全身くまなく慰めてさしあげますね……♪」ペロリ

翌朝

雷「おはよー……」

浦風「おは……ん?なんじゃ、今日は提督さんがリビングで寝ちょる!」

雷「ほんとだ!司令官、おはよー♪」

夕雲「おはようございます♪」プリプリテカテカ

浦風「な、なんじゃ?朝からぷりっぷりの肌して」

夕雲「昨晩たくさん提督のタンパク質を摂取したからかしら♪」

浦風「なっ!?」

雷「ねぇ、ときどき2人が言う提督のタンパク質ってなんなの?」

それから数日……

夕雲「ただいま戻りました♪提督、今日はパチンコに……」

浦風「この様子じゃ今日も行っとらんようじゃのう……」

雷「結局霞に怒られた日から全然入ってないわよね……就職活動とかしてないか心配で気が気じゃないわ」

夕雲「まずいわね……提督にはもっとダメになってもらわないと困るのに……」

雷「あっ!じゃあゲームなんてどう?」

浦風「確かにゲームに没頭すればダメ人間になれるかもしれんし、昔を思い出して幼児化が進むかもしれんのう!」

雷「でもゲームって何が流行ってるのかしら?ツインビーとギャラガしか分からないわ」

夕雲「それなら私にいい考えがあります♪」

夕雲「もしもし、夕雲です。その節はお世話になりました」

青葉「ども、青葉ですぅ!こちらこそありがとうございました♪今回はどのようなご用件でしょうか?」

夕雲「ちょっとゲームについて教えてほしいんだけど……」

夕雲「ハマりやすくて2次元と3次元がめちゃくちゃになるゲームなんてないかしら?」

青葉「そうですねぇ、それならポケモンgoなんてどうでしょうか!」

夕雲「ポケモン?」

ポケモン

青葉「実は今これが世界中で記録的な大人気っぷりなんですよ!」

夕雲「そうなんですか?」

青葉「はい!もう深夜でも没頭してちょっとした社会現象になってるんですよ!」

夕雲「内容はどんな物なのかしら?」

青葉「簡単に言えばモンスターを捕まえて集めるゲームですね。それを戦わせたりするんですよ」

夕雲「うーん……提督には少し子供っぽい内容過ぎるかしら……」

青葉「いえいえ、ポケモンは子供はもちろん!特に30歳前後の方達が大ハマりしたゲームですからね!大人も必死にやってるんですよ!」

夕雲「それなら提督でも大丈夫そうね……分かりました。一度試してみます」

青葉「はい!青葉もやっているので是非ポケモン談義でも!」

夕雲「いえ、やるのは提督だけですから♪」

夕雲「提督♪ポケモンと言うゲームをご存知ですか?」

夕雲「そうですか♪実は今そのポケモンが大人気でーーーー」


夕雲「では夕雲達は仕事に行ってきますから。たくさん集めてくださいね♪」

雷「部屋の隅から隅までしらべるのよ!」

霞「だから遊んでないで仕事ーー」

浦風「まあまあ、せっかく提督さんがギャンブルから足を洗おうとしとるんじゃ、大目に見てあげんさい」

霞「わかったわより

霞「わかったわよ。そのかわりギャンブルは絶対禁止だから」

雷「それじゃあ司令官、行ってきまーす♪」

パタム…

提督「……」

雷「ただいま司令官!ポケモンはたくさん捕まえられた?」

浦風「コラッタ、ポッポ、コラッタ、コラッタ、コラッタ……ようけ捕まえたんじゃねぇ!」

夕雲「まあ大変、ボールがなくなったんですね。すぐに課金して購入しないと」

雷「明日もたーっくさんポケモン捕まえても良いのよ!」

翌日

ピンポーン

青葉「ども!青葉です!」

青葉「ありゃ?夕雲さん達はお留守ですか?」

青葉「いえいえ、特に大事な用があるわけでは無いんです!ちょっと前に進めたポケモンの事でですねー」

青葉「おや?あなたもポケモンを?もしかして夕雲さんは司令官に勧めるために聞いてきたんでしょうか?」

青葉「それなら話は早いです!ぜひ今からポケモンをゲットしにいきましょう!」

青葉「へ?家から出ちゃダメなんですか?司令官なのに?」

青葉「大丈夫ですよ!それにポケモンの醍醐味は外に出て初めて感じる事が出来るんですから!」

青葉「実はお勧めポイントが沢山あって夕雲さんにお教えしようと今日はココまで来たんです!」

青葉「まあ相手は司令官さんになってしまいましたが問題ありません!青葉の司令官もポケモンをやっていましたから!」

青葉「うーん、それでも行けない?まあまあ、そんなこと言わずに!」

青葉「ほら、もう玄関から外に出ちゃいましたよ?ココまで来たら何歩出ても一緒じゃ無いですか♪」

青葉「ボールはありますか?え?沢山買った?ダメですよ!ボールなんてポケストップに行けば沢山あるんですから!」

青葉「まずはこの公園で……そうですそうです!では次のポイントへ行きましょう!」

青葉「……わわっ!急にど、どうしたんですか!?」

青葉「こ、これが普通……?あなたはこうやっていつも歩いているんですか……?」

青葉「あ、あはは、すみません。青葉、司令官と手を繋いで歩いた事なんてありませんでしたから……」

青葉「いえ!嫌だなんてとんでもない!少し驚いただけでして……では失礼して、さあ行きましょう!」ギュッ

夕方

青葉「いやー、沢山捕まえましたねー。フシギダネをゲットできなはラッキーでしたよ」

青葉「司令官も楽しそうで青葉うれしいです!ね、司令官♪」

青葉「もうすぐ皆さんもお帰りになるでしょうか?」

青葉「なんだかややこしい事になる前に名残惜しいですが青葉は退散しますね!」

青葉「……えーっと、あの、手を」

青葉「みんなが寂しいから帰ってくるまで一緒に?ダメですよ!司令官を連れ出していたなんてバレたら何をされるか……」

青葉「と、友達……ですか?でも司令官と艦娘か友達だなんて聞いたことありませんし……うぅーん」

青葉「わかりました!では是非また今度一緒にポケモン探索しましょう!」

青葉「では今日はこれでーー」

青葉「ふえ!?あ、あのっ、こんな事……わ、わかりましたよ!さてはポケモンと一緒に青葉もゲットとか言う在り来たりなボケですね!」

青葉「でもいくらボールがないからって抱きつくのはいかがなものかと……」

青葉「ううー……、こんな事されちゃったら青葉、コラッタ同様簡単にゲットされちゃいそうです……」

それから数日後

青葉「ども!今日もお一人ですか?では一緒にポケモンゲットですー♪」

青葉「実は最近この近くでカビゴンが発見されたらしいんです!」

青葉「まぁ近くといっても電車で数駅むこうの鎮守府なんですが」

寝落ち寸前、ここで切ります

青葉「駅に向かう途中にポケストップが沢山ありますから寄り道していきましょう♪」

青葉「この辺りにはカモネギもいるらしいですからね!」

青葉「えっと、次のポイントは……ん?」

青葉「わわっ!司令官!!」

ププーッッ!!

青葉「もう、ちゃんと前を見て歩かなきゃ危ないですよ?」

青葉「それだとポケモンが見つけられない?うーん、では青葉が手を引いてあげます!」

青葉「レアなポケモンが出てきたら青葉にもおしえてくださいね♪」

青葉「あっ、もうちょっとこっちに寄らないと危ないです」

青葉「もうちょっとこっちに」

青葉「もうちょっと……」

青葉「手も、もっとしっかり繋ぎましょうか」

青葉「司令官……」

ププーッッ!!

青葉「わわっ!すみせん!!つい司令官に見とれてしまって……」

青葉「帰宅ラッシュだけあって混んでますね」

青葉「でも目的地まですぐですから我慢しましょう」

青葉「ぐ、ぬぬ……司令官、こっちにスペースが。早く入ってください」

ガタンゴトン

青葉「うひゃー……ぎゅうぎゅう詰です……」

青葉「司令官、はぐれないように手を繋ぎましょう」

青葉「これだけ近ければはぐれない?ダメですよ!そういう慢心がーー」

少々左右に揺れます。お気を付けください

青葉「きゃっ」

青葉「いてて……司令官、大丈夫ですか?」

青葉「あうっ……こ、これは、世に言う壁ドンってやつですね!青葉、感激です!」

青葉「あっ、はい。大丈夫です。司令官の方こそ……えっと」

青葉「すみません、変なところ押し当てちゃって……」

青葉「あはは……装甲は薄いくせにこんな所ばかり大きくなっちゃって、痛くないですか……?」

青葉「ならいいんですけど……その、苦しくなったら言ってくださいね?青葉が楽にしてさしあげますから……いろいろ」

客「何あれ?人?電車と並走してない?」

青葉「ちっ……勘付かれましたか……」

数分前

夕雲「今日も一日ご苦労様。やっと家で提督に会えるわ♪」

雷「司令官のパチンコ資金の為だと思えば仕事なんてへっちゃらよ!」

霞「だからパチンコなんてダメって言ってるでしょ」

浦風「今頃ポケモン集めながらぐうたらしとるかーー」

ガタンゴトン、ガタンゴトン、ガタンゴトン

夕雲「!!」

雷「今、電車に司令官が……?」

浦風「あの後ろ姿は青葉かのう……」

霞「ちょ、ちょっと、あの電車って鎮守府の方へ向かってるわよ!いいの!?」

夕雲「やっぱりあの時見逃すべきじゃ……」

浦風「とにかく今は電車を追うんじゃ!」

雷「そうよ!司令官を取り戻さなきゃ!!」

ダッ

青葉「さて、目的地に着きましたけど……司令官はあっちの東口から出てください」

青葉「せっかくですし二手に分かれて近辺のポケモンを探して目的地で合流しましょう」

青葉「でわ!」

青葉「いやー、今日も暑いですねー」

夕雲「本当にそうですね」

青葉「おや、これはこれは。お久しぶりです♪」

浦風「こんな所であうとは奇遇じゃのう。何をしとるんじゃ?」

青葉「特に用はありませんよう♪ちょーっとポケモンを探してーー」

雷「司令官を返しなさいよ!」

青葉「司令官?何のことでしょうか?」

雷「しらばっくれても無駄よ!電車で司令官と一緒だったのを見たんだから!」

夕雲「早く出してくれますか?私、暑いのは苦手で……」

雷「誘拐は犯罪なんだから!」

霞「あんたがそれ言うの?」

夕雲「だいたいあなたにはあなたの提督がいるでしょ?どうして他鎮守府の提督を奪うような真似をするのかしら?」

青葉「いやー、実は今青葉はフリーでして」

青葉「つい最近、突然色々と艦娘へのセクハラが発覚してそのまま司令官は行方不明になってしまったんですよ」

雷「まさかそれで代わりに私達の司令官を奪うつもりなの!?」

浦風「つい最近行方不明になったんならそのうち見つかるじゃろ」

青葉「いえ、見つかりませんよ。もう二度と♪今頃は多分もう……」

夕雲「そっちの提督の話はどうでも良いわ。それよりうちの大切な提督の話をしましょう」

通行人「この先にある鎮守府でカビゴンが見つかったらしいぞ」

浦風「カビゴン?鎮守府に海獣でも出とるんか?」

通行人「うわっ、すげーおっぱい……いや、カビゴンって言うおっぱ、のはポケモンっぱいのモンパイおっぱい」

通行人「ポケパイにおっぱい出てくるおっぱいの、レアおっぱいがこのおっぱいで」

雷「何言ってるの?」

通行人「カビゴンと言うのはポケモンに出てくるレアモンスターなんです。それがこの先にある鎮守府で見つかって」

夕雲「まさか提督が鎮守府へ……?」

青葉「フ、フュー……フュー……」

雷「わかりやすいわねぇ」

夕雲「面白い事してくれたじゃない……」

青葉「はい?」

浦風「うちらがその鎮守府から提督さんを連れてきた事を知っとってやったんじゃな?誰の差し金じゃ!!」

青葉「えっ?」

霞「まぁそのうち帰るつもりだったんだし良いんじゃな」

青葉「そんな話を聞いてませんよ!それじゃあ青葉の誘拐された提督をポケモンでなかよく誘拐作戦は失敗じゃないですか!」

青葉「ううっ……」

青葉「司令官を小さな穴の開いた透明の箱に入れて育てる青葉の計画が……」

青葉「その穴から食事は青葉の口移しだけ、水分補給は青葉の体液だけで育てるつもりだったんですよ!」

夕雲「なんてこと……」

青葉「喉が渇いたなら頑張って刺激しないと水分は出ませんよー?とかするつもりだったのに……」

青葉「最終的には言葉巧みに青葉を妊娠させて司令官を母乳で育てるつもりだったんですよ!!」

夕雲「素晴らしい考えだわ。鎮守府は違えど私達は同じ目標を持つ仲間だったのね……!」

浦風「うちらはあんたを歓迎するけぇ」

青葉「青葉……を……?ぐすんっ……」

夕雲「私達も提督を幼児化して母乳で育てる授乳計画を立てているの」

夕雲「そしてあなたの計画……素晴らしいわ。夕雲感動しました」

雷「みんなで頑張って授乳計画を成功させましょ!」

霞「私は別に……」

夕雲「何言ってるんですか。まだ出ないのに一足先に味見させてたじゃなーー」

霞「わああああ!な、なな、な、何言ってんのよ!だいたい部屋を覗くのはご法度でしょ!?」

夕雲「そうと決まれば早く提督を連れ戻しましょう」

浦風「そうじゃな。鎮守府の連中に見つかったら面倒じゃ」

雷「急ぎましょ!」

霞「ま、まぁまだあの状態でみんなに見せる訳にはいかないし」

夕雲「いたわ!あそこ、スマホを持ってうろうろしてる!」

雷「しれーかーん!」

浦風「提督さーー」

金剛「て、ててて、提督ぅー!?提督が戻ってきたデース!!」

加賀「頭にきました」

赤城「加賀さんったら。提督がいなくなって心配かけた事に怒ってるんですよ♪」

鳳翔「あら、あなた達まで。提督を見つけてきてくれたんですか?」

霞「わ、わた、私達は……」

鳳翔「それとも……ずっと一緒にいたのかしら?」

雷「はわわ……」

本当は青葉に監禁される予定だったけど、とてもR板じゃないここで書ける内容じゃなかった

鳳翔「確か提督がいなくなったあの日……何者かに提督がさらわれたと言っていましたよね?浦風さん」

浦風「う、うち!?さ、さぁ、どうじゃったかよう覚えよらんのう……」

鳳翔「それでその日にたまたま秘書艦だった夕雲さんが慌てて追いかけていったんですよね?雷さん」

雷「わ、私?ど、どうだったかしら……私はよく分からないけど……」

鳳翔「あら、おかしいですね。私はあの日偶然執務室にいたと言うあなた達から今の話を聞いたんですけど」

浦風「そ、そうじゃったかなぁー……ちぃーとばかし記憶があいまいで、なぁ」

雷「あはは……」

鳳翔「その後私たちも手分けして探しましたけど結局見つからず」

鳳翔「夜になって泣きながら帰ってきたんですよね?夕雲さん」

夕雲「さぁ、そうだったかしら?」

鳳翔「翌日もみんなで手分けして探すも見つからず……」

鳳翔「提督に続き何故か艦娘まで3名行方不明に」

鳳翔「彼女達はどこにいたかご存知ですよね?雷さん」

雷「ひっ……」

鳳翔「何を驚いているんですか?あなたがどこにいたのか聞いているだけですよ?」

雷「わ、わた、わたし、は、えっと……」

鳳翔「面白い方ですね♪自分が今までどこにいたかなんてノータイムで答えれるはずですが」

鳳翔「私は昨日この鎮守府にいましたよ?赤城さん、あなたは?」

赤城「私はビュッフェに……」

鳳翔「加賀さんは?」

加賀「私も赤城さんと一緒でした」

鳳翔「朝潮さんは?」

朝潮「私はずっと鎮守府で訓練していました」

鳳翔「ほら、皆さんすぐに答えられましたよ?雷さんも答えられますよね?」

鳳翔「あなたは昨日……いえ、今までどこで何をしていたんですか?」

雷「う、浦風、なんて答えれば良いの……」

浦風「うちに振られても困るんじゃが……」

鳳翔「あら、2人は一緒にいたんですか?」

浦風「えっと、その……まぁ……」

鳳翔「もしかして3人か4人いたんじゃありませんか?」

夕雲「鳳翔さん、何が言いたいのかしら?」

鳳翔「夕雲さんが代わりに答えてくれるんですか?あなたは昨日までどこで誰と何をしていたのか……」

夕雲「一度戻ってきたあの日に言ったじゃないですか♪深海棲艦にさらわれた提督を探していたって」

鳳翔「そうですね。深海棲艦……タ級にさらわれたんでしたね」

夕雲「ええ♪それで今まで犯人と思わしきタ級を追っていたんです♪ご心配かけて申し訳」

鳳翔「おかしいですね。私はあなたにヲ級が提督をさらったと聞いたのですが」

夕雲「そうでしたか?あの日は私もパニックになっていたから勘違いしちゃったのかしら?」

夕雲「それとも……鳳翔さんがお歳で記憶力がーー」

すっ……

夕雲「……ッ!」

鳳翔「少し見ない間に目上の者に対する口の利き方も忘れてしまったのですか?」

夕雲「やってくれるじゃない……」

雷「う、浦風、何今の?なんで鳳翔さんは夕雲の鼻をつまんだの?」

浦風「あれじゃ、鼻を摘めるって事はその気になれば目も潰せる言うやつじゃろ……」

鳳翔「あなた達3名が結託して提督を誘拐した。間違いありませんね?」

雷「ち、ちがっ……」

鳳翔「いまさら芋を引いていどうするんですか?こんな事私が言うのもなんですが」

鳳翔「この状況を打破するためには仲間割れより力を合わせた方が良いと思いますよ?」

浦風「そうじゃ!こうなったら腹をくくるしか無いけえ!」

雷「でも、どうやって」

浦風「一本なら一人の力で折れてしまうけど三本集まればなかなか折れんって言う」

バキバキバキ!

鳳翔「まぁ三本集まった所で簡単に折れますけどね」

雷「こうなったら力を合わせて状況を打破するわよ!浦風!夕雲!霞!」

霞「ちょっと!私を巻き込まないでよ!」

浦風「何を言うとるんじゃ。うちら生まれた日は違えど死す時は同じ日、同じ時を願った中じゃろ」

霞「捏造しないでよ!」

雷「大丈夫よ!三本では簡単に折れても四本集まれば折れないって矢の話もあるじゃない!」

霞「矢を握って親指一本で三本まとめておった人が目の前にいるのよ!四本くらい余裕にきまってんでしょ!!」

浦風「生まれた日は違えど死」

霞「ループしてるんじゃないわよ」

アクイラ買います

鳳翔さんまでは落ちないで欲しいなぁ。黙認ぐらいで止まらんかなせめて

夕雲「さぁ茶番は終わりにして此処から出ましょうか。4人で♪」

鳳翔「去る者追わず。出て行くならご自由にどうぞ」

霞「ちょっと、本当に悪いんだけど私は付いていけないわよ」

夕雲「ええ、分かっていますよ。これ以上霞さんを巻き込む事もありませんからね」

浦風「でもええんかのう……戻ったら何されるかわからんじゃろ?あれはぼれぇ怒りよるよ?」

霞「ううっ……」

鳳翔「霞さん、戻ってくるなら早く戻っていらっしゃい」

霞「鳳翔さん、お、怒ってます……?」

鳳翔「もちろんです」

霞「ひぇっ……」

鳳翔「突然いなくなって姉妹に心配ばかりかけて……」

鳳翔「でもあなたが散歩と偽って時間があれば毎日血眼になって提督を探していたのは知っていますから」

霞「は、はい!?わ、私は本当に散歩を!」

鳳翔「出撃できないような台風の日にカッパ着て散歩に行く方なんていませんよ」

鳳翔「おそらくそちらの3人に脅されるか言いくるめられたんじゃないですか?」

霞「それはその……」

夕雲「ええ、提督の居場所をバラされないよう拘束させていただいてました♪」

夕雲「でもご安心ください♪食事はしっかり与えて健康体ですから♪」

霞「夕雲……」

夕雲「さぁ、あなたは帰りたい場所に。私たちもすぐ帰りますから」

霞「夕雲、ごめん……私、帰らなきゃ……」

夕雲「だからそう言ってるじゃないですか。大丈夫ですよ」

霞「別にあんた達といるのが嫌とかじゃなくて、楽しかったし!でもね……」

霞「私、やっぱりあのクズ……司令官がいないとダメだから……」

霞「だから私は鎮守府に戻る。……ねえ、あんた達も謝って戻ってきなさいよ!」

夕雲「いえ、私達は行きます。4人であの家へ」

霞「えっと……いつまでこの天丼つづくの?」

夕雲「最初から言ってますよね?私は4人で帰ります。そしてあなたは鎮守府に帰る」

夕雲「でも1つだけ不思議な事があるんですけど……」

夕雲「どうして鎮守府に帰れば提督と一緒にいられると勘違いしているのかしら?」

霞「?」

夕雲「提督と一緒にいたいのなら私達について来て5人で此処を出ないといけませんよ?」

鳳翔「それはつまりこの空母と戦艦に守られた提督をあなた達3人が力づくで奪うという事ですか?」

夕雲「力づくでなんて命がいくつあっても足りないですよ♪鳳翔さんて見かけによらず考えが野蛮なんですね」

鳳翔「暴力は反対ですけど……出来の悪い子達にお灸をすえるのも私の仕事ですから」

赤城「」ガクガク

加賀「大丈夫よ赤城さん。もう私達は一人前になれたはずですから……」ガクガク

夕雲「みんなからお母さんなんて呼ばれていますけど、あの一航戦のお二人を震え上がらせるなんて……鬼婆だったんですか?」

鳳翔「躾の為なら鬼にも蛇にもなりますよ♪でも最近は優しいお母さんなんですから……鬼になる前に消えてもらえるかしら♪」

夕雲「ええ♪そうするわ♪」

夕雲「提督、帰りましょ♪」

鳳翔「あなた何を言ってーー」

金剛「ああっ!提督ぅ!どこ行くデース!」

夕雲「新しいポケモンは見つかりましたか?」

鳳翔「あなた、これはどういう事?提督に何をしたの?言いなさい!」

夕雲「あら、鳳翔さんもそんな顔するんですね♪無表情か笑顔しか無いのかと思っていたわ」

鳳翔「質問に答えなさい。答えないならこの弓で左腕から順に吹き飛ばして四肢をバラバラにするわ」

浦風「ひいっ……」

鳳翔「……!」

夕雲「提督……」

鳳翔「どういうおつもりですか……?どうして提督が庇おうとするんですか!」

夕雲「ありがとうございます、提督。でもそんな場所に立ってたら危ないですよ?さぁ提督は夕雲の後ろに」

雷「ね、ねぇ、提督が前にいたら向こうも手荒な事は出来ないんじゃ無いの……?」

夕雲「馬鹿ね。我が子を盾に危険を回避する母親なんているわけ無いじゃ無いですか」

夕雲「例え四肢がもがれたとしても提督は私が守るわ。それが母親の務めでしょ?」

雷「……!そ、そうよね、提督は私達が守るんだから!」

鳳翔「さっきから母親とか我が子とか……何を言っているんですか……?」

夕雲「私達は提督を甘やかして甘やかしてダメ提督に育てているんです」

金剛「意味が分からないデース!完璧だった提督をわざわざダメにするなんて馬鹿馬鹿しいネ!」

夕雲「そうかしら?なんでも1人で出来ちゃう提督よりも、私はダメな提督が素敵だと思うわ」

夕雲「1人じゃ何もできなくて私達に頼り続け依存する。手の掛かる子ほど可愛いって言うでしょ?」

金剛「提督は子供じゃないデース!」

夕雲「今の提督は子供ですよ♪私がいないと何もできない……。私がそうしたんですから」

鳳翔「何が目的でそんな事……まさかあなた……」

夕雲「さすが鳳翔さん。もう気付いたんですね♪そう、私達が提督のママになるのよ!ゆくゆくは母乳で育ててみせるわ!」

鳳翔「人類のおかん計画……ですって……」

鳳翔「本当に……そんな事が可能なの……?」

夕雲「すでに提督は添い寝無しでは眠れないようになっています♪」

金剛「あ、あの提督が添い寝なんてありえないネ!」

雷「お風呂だって私達が一緒に入って頭とか身体を洗ってあげてるんだから!」

金剛「それこそありえないネ!」

夕雲「提督の太ももの内側、小さなホクロがあるのはご存知ですか?」

金剛「で、でで、で、デタラメデース!!」

金剛「へ?ユーグモのお尻もホクロが?」

夕雲「やだ提督ったら。夕雲恥ずかしいわ……♪」

金剛「ノオォォォ!!」

鳳翔「どうやらあなた達の言う事は本当の様ですね」

夕雲「もちろん♪」

鳳翔「……素晴らしいわ」

鳳翔「あの完璧だった提督がそこまで何もできないダメな提督になっているなんて」

雷「えっ?えっ……?」

鳳翔「私も是非その計画に加えてくださいませんか?」

夕雲「いいんですか?この鎮守府の秩序、お母さんである鳳翔さんがそんな事」

鳳翔「かまいません。私がなりたかったのは鎮守府の、艦娘のお母さんじゃありません。提督のお母さんなんですから」

そして踏みにじられる>>417の気持ち……!
次回から約170人のお母さん

数日後

浦風「なんじゃ、妙な事になってしもたのう」

雷「私達が司令官のママになる予定だったのに!ぷんすか!」

夕雲「まぁあの状況を無傷で突破するのは流石に無理でしたから……それになかなか勉強になる事もあるのよ?」

雷「勉強?」

夕雲「ええ、特に鳳翔さん。悔しいけどさすがとしか言いようがないわね。飴と鞭の使い方が完璧だわ」

夕雲「今この鎮守府の提督に対する態度は大きく分けて4つ……」

夕雲「1つは私達と同じ様にママを志し母性に目覚めた方達。さすが名前に母が入っているだけあってこれは空母の方が多いわね」

夕雲「もう1つはどうしたら良いのか分からず戸惑う方……これはやっぱり駆逐艦や軽巡重巡に多いわ」

夕雲「そして1番厄介なのが今の提督を受け入れていない方。完璧な提督に恋い焦がれていた戦艦に多いわね」

浦風「なるほどねぇ……」

雷「ちょっと、4つあるんならもう1つあるんじゃないの?」

夕雲「ええ。もう1つは元々提督に興味がない人達ね♪」

龍驤「なんやなんや、また野菜残しとるんかいな」

龍驤「ええか?前にいた所では好き嫌いが許されとったんか知らんけど、ここでは許されへんねんで?お残しは許しまへんでー!って言うやん」

龍驤「このニンジンもグラッ……グラッセん?なんやややこしい名前やけどあまーく炊いてある言うてたで」

龍驤「ほら!つべこべ言うてらんとはよ食べんかい!せやなぁ、もしちゃんと食べたらキミにこれ食べさせたるわ」

龍驤「せや、自分ぶどう好きやろ~?ほんならはよ食べんかい」


雷「ぐぬぬ……龍驤のくせに何ママっぽい事してるのよ~!」

浦風「見かけは駆逐艦でも軽空母や言う事じゃな」

龍驤「よーし、よう食べた!感動した!っと、んじゃあ約束通りぶどう食べさせたるわ」

龍驤「結構高いんやから味おうて食べるんやで?ゴルビー言うんやけど……ってなんや自分、ちまちま手で皮むいて食べとるんか?」

龍驤「あかんあかん、ぶどうなんてこないして皮ごと口に放り込むんや。ええか?ほんでこれわ噛んで上手い事実を出したら……こうや!」

龍驤「どや?綺麗に食べれとるやろ?ほれ、やってみ」

龍驤「ああ、あかんあかん。そんな乱暴に噛んでとら川まで食べてしまうやん。もう一回よーうみとくんやで?これを軽く噛んで……こうや」

龍驤「はぁ?皮むいてくれ?何甘えどんねん」

龍驤「だいたい皮はこないして口に放り込んで噛む言うたやろ?人の分までむけるかい」

龍驤「は?口開けろ?なんや疑っとるんか?ちゃんと綺麗に剥けとるわ。ほれ、べー……ーーんんっ!?」

龍驤「こ、こら、なに指いれて……あっ、あほ!口に入ってたもん食べる奴がおるかぁ!」

龍驤「はあ!?もう1つ?あ、あほか!口の中言うんはばい菌もようけおってなぁ、だいたい生温いやろそのぶどう!」

龍驤「あかんあかん!なんぼ言うたかてこればっかりは聞けん!きたないし恥ずかしいやん……え?それやったら誰かに頼む?」

龍驤(うーん……この鎮守府にはほんま喜んでやりそうなのがチラホラおるだけに……って言うかオカンなら子供にこれくらいするんか?)

龍驤「あっ、こら待ち!わかった、分かったから!じゃあ続きはうちの部屋で食べよっか」

龍驤「なんでって、こんな所でやったら恥ずかしいやん……」

龍驤「ほーら!食べさせて欲しいんやったらはよ付いてきい!」

龍驤「そ、そのかわりうちがこんな事したなんて絶対内緒やからな?」

龍驤「もし知ったらみんなやりたが……じゃなくて!やっぱり恥ずかしいやん!あほー!!」

雷「ああっ、言葉巧みに司令官が!私達もはやくアピールを」

夕雲「そういう訳にもいかないのよね……」

巻雲「巻雲、もう絶対に放しません!」べったり

浦風「そうじゃなぁ……」

不知火「浦風、姉さんはあなたが目に入らないと、またいなくなるんじゃないかと落ち着かずご飯が喉を通らないのですよ」べったり

陽炎「それはあんたでしょうが!」べったり

雷「みんな大変なのね……」

電「なのです」べったり

もう瞼がけをかい

大井「き、北上さん!」

北上「んー?なにー?大井っち」

大井「あの、私……北上さんの事が好きなんです!」

北上「どしたのさ急にー?」

大井「えっと……よく考えたら直接伝えた事なかったですよね……って」

北上「あははっ、変なのー。まぁ私も大井っちの事好きだよ」

大井「!」

大井「じゃあ私たち両思いだったんですね!」

北上「んー、まぁ大井っちが私を好きならそういう事になるよね」

大井「好きです!好きです!大好きです!」

北上「うん、じゃあ両思いだ」

大井「うれしぃ……うれしいうれしい!私と北上さんが両思いだったなんて!いえ、気づいてはいましたけど」

球磨「じゃあ球磨の事はどう思ってるんだクマー?」

北上「そりゃ同じように球磨ちゃんの事も好きだよー」

球磨「球磨ちゃんじゃなくて球磨お姉ちゃんだクマ。まぁ今日は許してやるクマ」

大井「えっ……?」

大井「き、北上さん?今、同じようにって……」

北上「もちろん多摩ちゃんと木曾もねー。大井っちもそうでしょ?」

大井「それはそうですけど!ただ北上さんは特別と言うか……」

大井「私は男女が付き合うように真剣なお付き合いを北上さんとしたいんです!愛しているんです!結婚したいんです!」

北上「大井っち……それは流石に無理だよ。私たちって艦娘じゃん」

大井「無理……?」

北上「うん」

大井「そんな、私たち艦娘は結婚も許されていないんですか!?いいえ、許されるべきよ!」

北上「そう言えばこの前演習した時に他の鎮守府の子に聞いたんだけどさ、みんな提督と結婚するらしいよ?」

大井「提督と……?」

北上「まぁ結婚するには練度を上げて提督に気に入られたらって話だけどねー」

大井「北上さんが……私以外の人と……提督と結婚……?」

北上「いやいや、私とは限らないよ?大井っちかもしれないし」

北上「書類とか指輪が高いらしくてみんながみんなって訳にもいかないみたいだし」

北上「今は提督があんなだし、空母とかが選ばれるんじゃない?」

大井「でも北上さんの可能性もあるんですよね……」

大井「排除しなきゃ……それがどんな小さな可能性だとしても……」

金剛「ゔぅー!イライラするデース!!」

榛名「お姉さま、落ち着いてください。提督も帰ってきたんですから……」

金剛「その提督がアレだからイライラしてるんデース!」

金剛「あのパーフェクトだった提督があんな腑抜けた役立たずになって帰ってくるなんて……」

グラーフ「アドミラルが役立たずだと?それは聞き捨てならんな」

金剛「はんっ、これはこれは。ダメ提督のお守り係の空母じゃないデスカ」

グラーフ「私の事は良いがアドミラルへの暴言は取り消して貰おうか」

榛名「お姉さま、鎮守府内で揉め事は……」

金剛「榛名は黙ってるデース!この空母どもが甘やかすからますます提督がダメになっていくネ!」

グラーフ「ライミー、それ以上の侮辱は許さんと言ったはずだ。……いや、貴様はライミーですらない、エセライミーだったな」

金剛「良い度胸ネ、この乳牛!新参者には洗礼が必要デース!」

グラーフ「面白い。この私が艦載機を飛ばすだけの……む」

金剛「なんデース……ほぁっ、て、提督……」

グラーフ「アドミラル、どうした?危ないから外に出るときは誰かに付き添ってもらうよう言っただろ?」

グラーフ「なに?ポケモン?そうか、それは偉いな。沢山歩いて運動するのは素晴らしい事だ」

グラーフ「私か?私はちょっとこの分からず屋と話し合いをな」

金剛「話し合い?殴り合いの間違いデース!」

グラーフ「喧嘩はダメ?そうか、アドミラルがそう言うならやめておこう」

金剛「はあ!?」

グラーフ「そう言う事だ。私はアドミラルの保護をしなくてはならない。貴様の相手をしている程暇ではないのだ」

金剛「ふざけるなデース!なんなら今すぐこの金剛がその提督を鍛え直し……」

金剛「はぁ……?ポケモン?そ、そんなの知らないネ……」

金剛「なっ……どうして私が一緒に……」

金剛「ほあ!?す、すす、好きだから!?」

グラーフ「勘違いするな。アドミラルから愛されているのは貴様だけではない」

グラーフ「私も?…………う、うむ、分かっている。だがアドミラル、そう言う事は人前では、な?控えて貰えると嬉しいのだが」

榛名「提督、榛名は、榛名はどうなんでしょうか!?」

榛名「……ハアァァ♪金剛お姉さま、提督が榛名を愛していると、榛名だけを愛していると!」

金剛「は、はぁ!?榛名だけなんて言ってないデース!先に私の事を愛していると言っていたネ!」

金剛「でも私は、仕事ばかりしていたパーフェクトな以前の提督の方が……」

榛名「そうでしょうか……榛名はこちらの甘えてくれる提督も好きですが」ぎゅっ

グラーフ「き、貴様!背後から抱きしめるなどと、なんて羨ま……」

榛名「これがレアなポケモンなんですか?榛名にもっと教えてください♪榛名も色々教えて差し上げますから……♪」

榛名「あんっ、提督?どちらへ」

金剛「な、なんでこっちにくるデース?私にもポケモンを見せに?そんなの私は興味ない……」

金剛「だから見せられても分からないネ」

金剛「近付けても一緒デース」

金剛「うう……か、顔が近いネ……」

金剛「ほえ……?声が小さすぎて聞こえないネ」

金剛「はうわっ、耳に息が……」

『金剛の事、特別大好きだよ』

金剛「ゴフッ……!」

金剛「て、ててて、提督ぅ!?」

金剛「あ……わ、分かっているネ。今のはトップシークレットデース!」

榛名「なんだったんですか?」

金剛「こればっかりは言えないネ♪さぁ私達も提督のお供をするデース!」

榛名「え?良いんですか?」

金剛「もちろんネ!」


グラーフ「どうしたのだいったい?アドミラル、何を言ったんだ?」

グラーフ「何?困った時はそう言うように夕雲に教えられた?うむ……なんだか知らんが無用な争いを避けられたなら良いか」

金剛から溢れ出る隠れた母性に溺れていく提督

金剛「んふふ~♪」

比叡(はっ!最近ずっと不機嫌だったお姉さまが上機嫌に!)

比叡(これはチャンス!気合い、入れて、行きます!)


比叡「金剛お姉さま!」

金剛「ん?比叡デスカ?なんだか少し雰囲気が変わったデスネ」

比叡「はい!この比叡、お姉さまに続きついに改二になりました!」

金剛「そうデスカ。それはおめでたいデース♪」

比叡「ありがとうございます!なので結婚してください!」

金剛「ほわ?」

比叡「以前お姉さまが愛していた司令も今やあの様子」

比叡「それを見てお姉さまも愛想をつかしていましたよね?」

比叡「なので司令の事はこの際きっぱり忘れて私と結婚しましょう!」

比叡「新郎役は比叡におまかせ下さい!髪も短くして準備バッチリです!」

比叡「金剛お姉さまはウェディングドレスでーー」

金剛「ヘイヘイヘイ、ちょっと落ち着くデース」

比叡「金剛お姉さまには是非私の子供を産んでーー」

金剛「女同士じゃ赤ちゃんはできまセーン!」

比叡「ですから新郎は私が」

金剛「そう言う問題じゃないネ。だいたい女同士で結婚なんて法律で禁止されていマース」

比叡「艦娘的には問題ないかと!」

金剛「それにこの金剛の身体に新艦を建造していいのは提督だけデース♪」

比叡「えっ……?金剛お姉さまは司令に愛想をつかしたんじゃ……」

金剛「まぁあの提督はあの提督で悪くないデース」

金剛「さっきも膝の上に座ってきて一緒にポケモンをしていたネ。ふひひ♪」

比叡「そんな……!じゃあ比叡との結婚の話はどうなるんですか!?」

金剛「そもそもそんな話はないデスヨ?」

比叡「ひえー!!」

廊下

比叡「司令には恋も戦いも負けないつもりだったのに……」

比叡「あっ……あそこでスマホを見ながら歩いているのは司令……」

比叡「今は顔を合わせたくないのであっちを通りますか」

比叡「って、なんでこっちに走ってくるんですか!ひえー!」


比叡「はい?ポケモン?」

比叡「すみません。興味ないです」

比叡「面白いと言われても……興味ないのでなんとも……」

比叡「あのー、もう行っても良いでしょうか?」

比叡「いやいや、司令は一緒に来なくて良いですから」

比叡「なんなんですか。司令はもしかして私の事が好きなんですか?」

比叡「はあ…………はい!?」

比叡「すすす、好きって、どういう意味ですか!?」

比叡「そう言う意味って……ひ、ひえー!」

比叡(金剛お姉さまは司令の事が好きで、比叡ふ金剛お姉さまが好きで、司令は比叡の事が好きで……)

比叡(魔のトライアングルですか!?)



提督はみんなの事が好きです

比叡(ん?でもこれはもしかして……)

比叡(私が司令と結婚すればもれなく金剛お姉さまも付いてくるのでは?)

比叡(多少恨まれそうですが……惚れた弱みて言うやつで、私が司令に命令して金剛お姉さまと仲良くさせて……)

比叡(その命令を出す代わりに金剛お姉さまは私の良いなりに……?)

比叡「ひえー!!」

比叡(ゲスな考えかも知れませんが、これは大チャンスなのでは……!)

夕雲「提督に対して変な空気ですか?」

浦風「そうなんじゃ。うちの姉ちゃん達に最近の提督さんの印象を聞いたんじゃがな」


陽炎「うーん、はっきり言ってキモいわね」

不知火「気持ち悪いですね」

黒潮「なんや気持ち悪いなぁ」


浦風「という訳なんじゃ」

夕雲「あんなに可愛いのに。浦風さんのお姉さん達には……おしおきが必要ですね」

浦風「いや、確かにうちも提督さんは可愛いと思うんじゃよ?でも姉ちゃん達の言い分もわかるんよ」

夕雲「浦風さん、もしかして裏切るんですか?」

浦風「ちがうちがう!ただなぁ……ほら、見てみぃ」


雷「お膝に座りたいの?もちろん構わないわ!」

浦風「ほれ、今まさに提督さんが駆逐艦の膝に座っとるやろ?」

夕雲「ええ」

浦風「うちらは慣れてしもうてるけどな、一般人からみるとなぁ……」

浦風「三十過ぎの大人が子供の膝に座ってるのはおかしいみたいなんよ」

夕雲「そう言うものなのかしら?」

夕雲「つまり提督がもう少し子供っぽければ良いのよね?」

浦風「いや、さすがに若作りしてもサイズ的に無理ちゃうか?」

夕雲「だったら縮めればいいじゃない。工廠にいきましょう」

浦風「そんな簡単に……」



明石「はい、調度良いのがありますよ」

浦風「あった!?」

明石「まあ変わるのは見た目だけですけど。この薬を飲めばあら不思議!」

夕雲「アポトキシン4869改?」

明石「はい!以前とある組織が開発した物らしいんですけど、飲むと子供になるらしいんですよ」

浦風「この改ってなんなんじゃ?」

明石「以前の物は体が縮みすぎたので、中学生から高校生くらい……つまり駆逐艦から軽巡くらいの見た目に縮む予定です!」

夕雲「素晴らしいわ。さっそく提督に飲ませましょう♪」

浦風「あっ、こら!そんな薬で……行ってしもた……」

浦風「あんな薬なんて飲ませて提督さんは大丈夫なんじゃろうな?」

明石「ご安心ください!副作用はほとんど検出されていませんので」

浦風「副作用って……ちなみにどんな副作用なんじゃ?」

明石「えっと、背が縮むみたいですね」

浦風「はあ?成功しても副作用が出ても縮むなら問題ないじゃろ?」

明石「あれ?あっ、すみません。副作用は死でした!」

浦風「死!?」

明石「あっ、ちがうちがう!」

浦風「なんじゃもう、驚かせんといてほしいわ……」

明石「副作用は縮むで、本作用が死でした!」

浦風「え……?」

明石「で、でもご安心ください、毒薬的なものは検出されない薬らしいので」ダバダバ

浦風「あ、あほか!なに汗ダバダバ流しながら言うとるんじゃー」

浦風「とにかく急いで浦風を追かけるんじゃ!」


浦風「夕雲ーー」

夕雲「浦風さん、大変なのよ!薬を飲んだら提督が急に苦しみ出して……!」

夕雲「こんなに可愛らしく!私と同じくらいのサイズに!」

浦風「なんじゃ……えらい髪がのびたんじゃなぁ」

明石「背が縮むかわりに髪は伸びたんでしょうか?良いサンプルですね!わくわくしますよ!」

吹雪「あれ?初雪ちゃん、こんな所でなにしてるの?」

浦風「あっ、それは提督さんじゃよ」

吹雪「え?司令官?……わわっ、失礼しました!」

夕雲「確かにこの髪の長さと無気力なニート感……初雪さんに似てるわね」

浦風「サイズ的には初雪ちゃんのお姉さんって感じじゃなぁ」

明石「北上さんの妹って感じじゃないですか?」

大井「うう……北上さん成分が枯渇しているわ……」

大井「初雪さんを抱きしめて北上さん成分を補充しなきゃ……」

初雪「……っ」ゾクッ

大井「あら?あれは初雪さ……じゃなくて北上さん……でもない?」

大井「な、なんなのあの子は……?」


大井「ちょっと!この子は何!?」

浦風「ん?これは提督さんじゃよ?」

大井(持って帰りたいわ……)

提督は大きな初雪

鳳翔「競馬がしたいなんて言ってもダメですよ。仕事をちゃんとしてください」

鳳翔「夕雲さんたちは毎日させてくれた?ここは仕事をする場所なんですから」

鳳翔「はい、この書類お願いしますね。ちゃんと出来たら今日も提督の大好きなハンバーグ作ってあげますから♪」

鳳翔「もちろん寝室に来ていただければ夜もたっぷり甘えさせてあげますよ……♪」

満潮「鳳翔さん、一応駆逐艦がいる前なのよ」

鳳翔「あらやだ、私ったらはしたない……では満潮さん、あとはよろしくお願いしますね」

満潮「はいはい。まったく、なんで私が秘書官なんて……」


満潮「ほら、さっさと仕事しなさいよ」

満潮「はあ?競馬?ばっかじゃないの?」

満潮「今さっき鳳翔さんに怒られたばっかりじゃない」

満潮「こら寝転がるな!働きなさいこのクズ!!」

満潮「競馬競馬うるさいわねぇ……ほんと、イライラしてくるんだけど」

満潮「馬が走ってるの見て何が面白いのよ。島風でも見てれば良いでしょ。あの子いっつも走ってるわよ」

満潮「お金をかけるのが楽しいって……ほんとクズね」

満潮「…………」

満潮「あーもう!全然仕事も進んでないし!」

満潮「やりたいなら勝手にやれば!?私は知らないから!」

満潮「お金がないから出来ない?お金が無いのにどうやってやる気だったのよ!!」

満潮「黙ってんじゃ無いわよ」

満潮「ほんっっと…………で?いくらくらい必要なのよ」

満潮「勘違いしないでよね!これはさっさと仕事させる為に仕方なく競馬をさせてあげるだけなんだから!」

満潮「競馬したら仕事もちゃんとすること!わかった?」

満潮「で?いくら?……はぁ?2千円?」

満潮「そんなのすぐ無くなっちゃうんでしょ!あんた下手くそなんだから!」

満潮「無くなったらまた入れてきてくれとか泣きつくくせに!迷惑ったら!」

満潮「もう良いわ。3万円入れてきてあげるからそれが無くなったらすぐ仕事するのよ!フンッ!」

パリンッ!

朝潮「敵襲!?」

満潮「なんで私たちの部屋にピンポイントで敵襲があるのよ」

朝潮「満潮でしたか。それは……貯金箱を割ったんですか?」

満潮「ん、まあね……」

朝潮「あんなに大事に貯めていたのに」

満潮「いずれ使う為に貯めてたから良いのよ別に」

朝潮「何を買う気なのかしら?良かったら付き合いますよ?」

満潮「別に大したものじゃ無いから良いわよ。…………ねぇ、それより悪いんだけどさ」

朝潮「…………」ソワソワ

夕雲「あら、どうしたんですか?そんなにソワソワして」

朝潮「夕雲さん、実は……」


夕雲「満潮さんがお金を?」

朝潮「はい。1万円貸して欲しいと……お金の貸し借りはいけないと言ったんですがどうしてもと頼まれて」

朝潮「何か脅されたりしてお金が必要なのではと……付いてくるなとも言われましたし」

夕雲「それは心配ですね……わかりました、代わりに私が様子を見てきますね♪」

夕雲「満潮さんはどっちの方に行きましたか?」

夕雲「満潮さんは今日秘書艦の日……おそらく提督関係ね」

夕雲「いたわ……やっぱりATM♪おおよそ提督にせがまれて競馬か競輪の軍資金を入れに来たって感じね」

夕雲「フフッ、満潮さんも素質がありそうですもの……♪」



満潮「ほら、お金は振り込んできたわよ」

満潮「こ、こら!パソコンの前に走るんじゃなくて言うことがあるでしょ!その、お礼とか……」

満潮「んっ……なっ、な……、なにすんのよ!そんな事までしろなんて言ってないでしょ!ありがとうだけで良いのよ!外人!?信じらんない!」

満潮「なに?もうお金無くなったの?じゃあ仕事……」

満潮「はあ?次は当たる気がする?お金が無いなら次は無いわよ!」

満潮「ちょっと……そ、そんな目で見ないでよね……」

満潮「ああもう分かったわよ!なんとかしてあげるから待ってなさい!」



満潮「はぁ……どうしよう。これ以上朝潮に心配かけるわけにはいかないし……」

夕雲「お金のことでお困りですか♪」

満潮「わっ……びっくりした……」

夕雲「短時間で簡単に稼げるお仕事、ありますよ?」

満潮「めちゃくちゃ怪しいんだけど大丈夫なのかしら……」

満潮「ハァッ、ハァッ……ねえ、なんで、私たち、走ってるのよ」

夕雲「しっかり、はぁっ……走らないと、稼げませんよ♪」

満潮「はぁ?だいたい、どこへ、向かってるのよ!」

夕雲「それは……はい、着きました。ユニクロです♪」

満潮「こんなとこ来てどうするのよ?って、なんでシャツとかタオル買ってるのよ!お金稼ぐどころか使ってるじゃ無い!」

夕雲「まあまあ♪さあこれで汗を拭いて着替えて下さい。更衣室を借りて着替える許可はいただきましたから♪」

夕雲「着替えたら乾く前にこの服とタオルを売りに行きましょうか♪」

満潮「ちょっと待ちなさいよ。新品を買って中古品を売るって……明らかにおかしいじゃ無い!」

満潮「しかもこんなびっしょりのシャツなんてどこでーー」

夕雲「はい、ありがとうございます♪」

満潮「……え?」

夕雲「頑張った甲斐もあって3万円で買い手が見つかりました♪」

満潮「はあ!?」

夕雲「さぁさぁ、満潮さんも♪」

満潮「さぁさぁって……こんなの誰が」

夕雲「おじさま?あの子の汗がびっしょり染み込んだシャツ、買っていただけないかしら……?」

満潮「ちょっ……」

夕雲「ね?」

満潮「2人でシャツとタオルを合わせて10万円……世の中腐ってるわね……」

夕雲「でもそのお陰で提督に感謝してもらえるんだから、腐った世の中も捨てたものじゃ無いでしょ?」

満潮「……フンッ」

夕雲「あら、否定しないんですね。やっぱりそのお金は提督の為だったのかしら?」

満潮「なっ……!わ、私は用があるから、付いてこないでよね!……でも一応お礼は言っとくわ!……ありがと」

夕雲「あらあら、可愛い方なんだから。提督が満潮さんにハマってしまわないか、夕雲心配だわ……♪」

満潮「遅くなって悪かったわね!ほら、5万円入れてきたわよ!」

満潮「……はあ?今日はもうレースが終わった?」

満潮「じゃあ無駄足だったわけ?ほんっと迷惑なんだから!」

満潮「予想は当たってた?お金があれば当たってた??なによ、私が悪いって言うの!?最低ね!このクズ!」

満潮「…………」

満潮「……悪かったわよ。遅くなって」

満潮「はぁ?なんでそっちも謝るのよ。悪いのは私なのに」

満潮「……明日?……分かったわ、じゃあ明日こそこのお金で競輪がんばりましょ」

満潮「もし当たったら何かご馳走してよね!」

満潮「お、お礼とか良いわよ!あの時は冗談ん、んんっ……!んっ…………」

満潮「……バカ」



夕雲「あらあらまあまあ、提督ったら……♪」グギギギギギ

しかし挨拶のキスを教えたのは夕雲

コンコン

鳳翔「提督、お仕事は進んでいます……」

満潮「あっ……」

鳳翔「提督?どうしてそんな所で競馬を見ているんですか?」

鳳翔「満潮さんは提督の机で何を?まるで提督の代わりに執務をしているように見えますが?」

鳳翔「これは違う?ええ、もちろん私も提督を信じていますよ♪……で、なにが違うのか説明していただけますよね♪」

鳳翔「フフッ、おかしな提督ですね。どうして謝るんですか?」

鳳翔「さあ早く私を納得させる理由を言ってください」

満潮「鳳翔さん、違うの!これは私が」

鳳翔「満潮さん、私は提督とお話をしているので後にしてもらえますか?」

満潮「でも……」

鳳翔「満潮さん?」

満潮「……はい」

鳳翔「どうして謝っているんですか?謝っているだけでは何も分かりませんよ?」

鳳翔「…………そうですか」

鳳翔「つまり満潮さんに競馬するお金を貰い、仕事は満潮さんに押し付けて自分は競馬を……」

鳳翔「提督は私との約束を破ってしまったんですね。それはとても悲しい事です」

鳳翔「でも本当の事をちゃんと自分の口で言えた事は素晴らしい事ですよ♪って、甘すぎますね」

鳳翔「では今度こそちゃんと仕事をして下さいね?あと……これは罰です♪」

鳳翔「一人にするとまた競馬をするかもしれませんからね。パソコンは没収です」

鳳翔「あと……部屋から逃げ出さないようにドアの外から鍵をかけさせてもらいましょいたか」

鳳翔「おトイレに行きたい時は内線で連絡ーー」

鳳翔「もう、そんなに慌ててもダメですよ。ほら、早く仕事を……」

鳳翔「提督?聞いていますか?」

鳳翔「提督……?」

鳳翔「提督!どうしたんですか!?そんなに震えて」

鳳翔「えっ?あ、はい、分かりました。分かりましたから!落ち着いてください!」

鳳翔「立てますか?もう大丈夫ですから」

鳳翔「落ち着いて、過呼吸になっていますから……ゆっくり息を吸って、吐いて……」

鳳翔「どうしてこんな急に……」

鳳翔「そんなに泣かないでください。もう叱ったりしませんから」

鳳翔「さぁ今日の仕事はもうお休みにしましょう」

鳳翔「それでは失礼します……はい、鍵はしませんよ」

鳳翔「赤城さん、加賀さん、提督の事よろしくお願いしますね。もし何かあったらすぐに知らせてください」



鳳翔「はぁ……ちょっと厳しくし過ぎたのかしら……」

夕雲「何かあったんですか?騒がしかったようですけど」

鳳翔「実は提督を叱りすぎてしまって、提督がパニックを……」

夕雲「パニックですか?」

鳳翔「はい。物置へ子供を閉じ込めるように、部屋に鍵をかけて閉じ込めようとしたら急に……」

鳳翔「やっぱり考え方が古過ぎたんです。連絡手段は残していたとは言え、万が一何かあったら……」

夕雲「鍵を……ですか。じゃあきっと理由はそれですね」

夕雲「提督は鍵で閉じ込められるのが怖くて仕方なかったんですよ」

鳳翔「やっぱり……何か嫌な思い出があったのかしら……」

夕雲「きっとそのままずっと放置されると思ったんでしょうね」

鳳翔「そんな!確かに私の落ち度ですが……連絡手段は残していたんですよ?」

夕雲「その説明をした時、すでに提督はパニックを起こしてたんじゃないかしら?鍵というワードを聞いた瞬間に……」

鳳翔「どうしてそこまで……」

夕雲「鳳翔さんは経験がありますか?ほとんど何も無い締め切られた部屋で何日間も閉じ込められる経験……」

鳳翔「そんな事普通はありません」

夕雲「でも提督はあったんじゃないかしら……?」

夕雲「言いつけを破ったお仕置きに部屋へ閉じ込められて……ドアは数時間で開く事もあれば何日も開く事は無い」

夕雲「あるのは簡易トイレだけ。食事も水も電気も何にも無い部屋です」

鳳翔「そんなの牢屋の方がマシじゃ無いですか」

夕雲「そうですね♪」

夕雲「それが嫌で最初は何度も脱出を試みるのだけど、その度に捕まってはまたその部屋へ」

夕雲「最初1時間だったのが2時間、3時間……でも5回目だったかしら?提督は今回は5時間だろうなと思ってたんです」

夕雲「でもその扉は5時間経っても半日経っても開く事は無くて……提督は放置されたままになるんじゃ無いかと慌てたんでしょうね」

夕雲「18時間くらいたった頃かしら?今まで出した事の無いような声で叫んだりして」

夕雲「扉が開いたとき、そこにいた提督を閉じ込めた犯人が提督には助けに来た救世主にでも見えたんじゃ無いかしら」

夕雲「でも時間が経つとまた提督は脱走を試みて、また捕まって……今度は何時間叫び続けても扉は開かなくて」

夕雲「叫ぶ力も無くなった頃に扉が開くと提督は自分を閉じ込めた犯人に泣きながらお礼を言ったみたいですよ♪」

夕雲「そのあと提督はしばらく抜け殻のようになって、自分から外に出る事は全くしなかったみたい」

夕雲「それからその部屋に閉じ込められる事は無かったみたいだけど、何の娯楽もない家に閉じこもっただけの生活……」

夕雲「そんなある日、提督は家の外へ出る事になったんです♪もちろん脱走じゃなくて、犯人達に手を引かれて半ば強引に」

夕雲「久々に外出した提督が連れて来られたのはパチンコ屋さんでした」

夕雲「最初は騒音やにおいに難しい顔をしていたけれど、時間が経つとそれはそれは楽しそうにパチンコをしていたわ♪」

夕雲「当たれば凄い凄いと褒められて、外れても怒られない。遊ぶお金はいくらでも貰える」

夕雲「帰りは4人で美味しいご飯を食べて、家に帰ってもずっとパチンコの話をしていたわ」

夕雲「そんなに楽しかったのなら明日も行きますか?そう聞かれてすぐに返事した提督は毎日パチンコ屋へ」

夕雲「脱走したら酷い目に合わせた犯人がパチンコをして来た日は凄く褒めてくれて……」


夕雲「そんな事がもし過去にあったりしたら閉じ込められるのは怖かったんじゃ無いかしら♪」

鳳翔「酷い話ですね。犯人は閉じ込めている間に何かあったらどうするつもりだったんでしょうか」

夕雲「ちゃんと監視カメラで見ていたから大丈夫ですよ♪」

黒幕は青葉

千代田「千歳お姉、今日はどこから行こっか!」

千歳「どこから?なんの話?」

千代田「もーう、今日は一緒にショッピングと食事をするって約束してたじゃない!」

千歳「そうだったかしら……」

千代田「そうなの!さぁ、早く行こ!」

千歳「ごめんなさい、今はお金に余裕がなくて……」

千代田「?珍しいわね、千歳お姉がそんなこと言うなんて。じゃあ千代田がご馳走してあげるから」

千代田「それにしても千歳お姉、飲み過ぎは体に毒なんだからねー」

千歳「飲み過ぎ?」

千代田「どうせ隼鷹達とバカみたいにお酒飲んでお金使っちゃったんでしょ?ほんと、千代田が付いてないとすぐ飲み過ぎちゃうんだから」

千歳「フフッ、そうね」

千代田「あと提督は未成年っぽいから一緒に飲むのも禁止!」

千歳「あら、中身は成人なんだから問題ないでしょ?パチンコだって行ってるのに」

千代田「毎回毎回怒られるのにこりないわねあの提督も……」

後日

千代田「あっ、飛鷹!」

飛鷹「なぁに?私これでも忙しいんだけど」

千代田「隼鷹に言っといてよ。あんまり千歳お姉を飲みに誘わないでって」

飛鷹「あら、おかしいわね。隼鷹なら最近千歳の付き合いが悪いとか不貞腐れてたわよ?」

千代田「えっ?」

飛鷹「まあ代わりに那智さんとかポーラとか、他の飲み仲間と毎日飲んでるけど」

千代田「飲み仲間と毎日飲んでるのに千歳お姉はいない……?」

千代田「どういう事なの?じゃあ千歳お姉は一体どうしてお金が……」

千歳「千代田?そんな所でなに突っ立ってるの?」

千代田「千歳お姉……千歳お姉はいま禁酒でもしてるの?」

千歳「そうねぇ……最近は生活が苦しいし確かに飲む機会が減ってるかしら」

千代田「じ、じゃあ何にお金を使ってるのよ!?まさか変な事に……おどされたりしてない!?」

千歳「大丈夫よ。お金が無いのは私がー

続きを思い出せない

千歳「私が……」

千代田「千歳お姉?」

千歳「私……何にお金を使ったのかしら」

千代田「ちょっと千歳お姉本当に大丈夫なの?疲れてるんなら休みなよ」

千歳「大丈夫よ。それより間宮さんしましょ。千代田がご馳走してくれるんでしょ?」

千代田「それは良いけど……」

千歳「ごちそうさま♪でも本当にごちそうになって良かったの?」

千代田「たまにはね。お姉に貸しを作っときたかったし。えへへ」

千歳「じゃあ借りはいますぐ返そうかしら」

千代田「何言ってるのよ。今すぐどうやって」

千歳「もちろん身体で♪」

千代田「身体で!?も、もう、千歳お姉、そういう事は2人の時に……」

千歳「あっ、提督……」

千歳「提督、ご苦労様です♪休憩ですか?」

千歳「えっ、もうお金が?まだお昼すぎなのに全部つかっちゃったんですか?」

千歳「そうですか。それは残念でしたね」

千代田「千歳お姉ー、なんの話してるの?」

千歳「それじゃあ提督、私は千代田と約束がありますから」

千代田「そうそう!今日は私が先約なの!」

千歳「では失礼します」


グイッ

千歳「提督?まだ何かご用ですか?」

千歳「……お金を?」

千歳「次こそ当たる気がするって、ダメですよ。そんな事言っていつもいつも」

千歳「パチンコばかりしていたら鳳翔さんに怒られますよ身体で

意識が途切れるまた書きます

2航戦が時報で「間宮する」って言ってた
つまり「間宮する」は公式語なんだよ!

千代田「ほんっと、千歳お姉にしつこくつきまとって最低なんだから!」

千代田「わかったならあっちいって!しっしっ!」

千歳「千代田、提督になんで口の聞き方するの」

千代田「だって……」

千歳「それはそうと用事を思い出したから私は部屋に帰るわね♪」

千代田「ええっ!?」

千代田「ちょっと待ってよ!私と間宮する約束は!?」

千歳「それだから……あっ、赤城さん。ちょうど良いところに」


赤城「千代田さんと一緒に間宮さんへ?分かりました!お任せください!」

千代田「破産しちゃう!千代田破産しちゃうから!千歳お姉!千歳お姉!!」

加賀「まずは腹ごなしに焼き肉へ行きましょう」

千代田「腹ごなしに食べるんですか……と言うか、加賀さんいつの間に……」

先に謝っておきます寝落ちしそうです

自室

千歳「んー……っ、さてと」

ガチャッ

千歳「提督?どうしたんですか?」

千歳「マッサージ?それは助かります♪どうしても肩がこっちゃって」

千歳「後で足の裏も踏んでくれますか?提督小さくなってちょうど良い重さなんですよ♪」

千歳「あ……そこ、もっと強くお願いします……」

千歳「提督って本当にお上手ですよね♪」

千歳「ありがとうございました。随分肩も軽くなってこれならまたバリバリ働けそうです」

千歳「と言っても今日は出撃予定はありませんけど」

千歳「マッサージして貰ったら気持ちよくなれましたし、少しお昼寝しようかしら」

千歳「提督もご一緒にいかがですか?」

千歳「フフッ、それは残念。ではおやすみなさい提督」

千歳「ん?まだ何かご用ですか?」

千歳「離していただかないと寝れないんですけど……やっぱり一緒に寝ますか?」

千歳「そうじゃない?じゃあ何でしょうか………?」

千歳「あっ、マッサージのお駄賃ですね?もう提督ったら……はい、100円差し上げます」

千歳「それではおやすみなさーー」

千歳「あの、提督?」

千歳「そうやって抱き付いてくれるのは嬉しいんですけど、そろそろ私もベッドに……」

千歳「貸して?何を貸すんですか?」

千歳「お金を?ダメですよ、そんな事したらまた千代田がうるさいんですから」

千歳「今はいなくてもダメなものはダメです」

千歳「そ、そんな上目遣いしてもダメです」

千歳「えっ?何でもする……?」

千歳「はぁ……。分かりました。じゃあ自動販売機でコーヒーを買ってきてください」

千歳「そうしてくれたらお釣りはお駄賃として差し上げます」

千歳「そのかわり、今日中に買ってきてくださいね?」

千歳「んっ…………提督、私以外の人にこんなことしちゃダメですよ?」


千歳「気をつけて行ってきてくださいね」

千歳「もう、提督ったら……本当に私がいないとダメなんですから」

千歳「ハアァ……♪」ブルッ


千代田(千歳お姉!何やってんのよ!!)←心配になり財布を渡して赤城と加賀を飲食店に置いてくると言う自殺行為をした千代田

千代田「お姉!なにしてるのよ!」

千歳「あら、千代田」

千代田「あらじゃないわよ!何してたのか聞いてんの!」

千歳「もしかして……提督がお礼にキスしてくれたのを見て妬いてるの?」

千代田「違うわよ!違わないけど!どうして提督にお金渡したのか聞いてるの!またダメにして鳳翔さんに怒られるわよ!」

千歳「あれはお使いを頼んだのよ?お釣りはお駄賃にあげただけじゃない」

千代田「どこの世界に缶ジュース1本買うのに3万円も渡す人がいるのよ!」

千歳「千代田、あなたはまだ子供だから分からないのよ」

千歳「お金を欲しい提督がなんとかお小遣いを貰おうと必死になって……」

千歳「でも一度ダメって言われてるから直接は言えないでしょ?」

千歳「それでなんとか気を引こうとあの手この手で必死にアピールしてくる……」

千歳「あのそわそわしながら必死に懇願してくる提督のあの目……」

千歳「あの提督を見るためなら3万円なんて安いものなのよ♪」


千代田(ダメだこのお姉、早くなんとかしないと……)

千代田「千歳お姉はもう何を言ってもダメね……あれは何らかの中毒者の目だもの」

千代田「千歳お姉の目を覚まさせるにはやっぱり提督を何とかしなきゃ……」

千代田「……」

千代田「千代田お姉は優しくて美人で完璧じゃなきゃ嫌……」

千代田「提督に狂って貢ぐ千歳お姉なんて見たくない!」

千代田「だから千代田が何とかしなきゃ……千代田が……」

千代田「例えそれが千歳お姉の大切なものを奪う事になっても……」

千代田「大丈夫よ。千代田ならできるわ!例えこの手を血に染める事になっても。大丈夫、出来る!」


千代田「提督を……提督を殺さなきゃ……」

次回、提督はじめての授乳

夕雲「はぁ……」

浦風「どうしたんじゃ?ため息なんてついて」

夕雲「最近提督が甘えてくれないのが辛くて……」

雷「仕方ないわよ。前は4人だったけど今は100人以上のママがいるんだから」

夕雲「でも、私達が最初だったんですよ?少しくらい特別扱いされたって良いじゃないですか」

浦風「じゃったら自分で言えばええじゃろ?甘えて欲しいって提督さんに」

夕雲「妹たちの前でそんな事言えないわよ。私は長女なんですよ?」

雷「妹たちのいない時に言えば良いじゃない」

夕雲「そういう訳にいきません。これは長女としての威厳がーー」

浦風「意外とめんどくさい性格しよるのぅ」

巻雲「夕雲姉さーん」

夕雲「巻雲さん、廊下は走っちゃダメよ?」

巻雲「わわっ、そうでした!巻雲、もう走りません!」

夕雲「それにもうお昼過ぎなのにどうしてパジャマを着ているの?」

浦風「休みじゃ言うて怠けとったら牛になってしまうけぇね」

巻雲「違います!これはパジャマパーティーをするからパジャマなんですよう」

夕雲「パジャマパーティー?」

巻雲「この前演習した時に聞いたんです!パジャマを着て布団でおかし食べたりゲームしたりするパーティーがあるって!」

夕雲「そんなのが流行ってるのかしら?」

雷「なんだか楽しそうね!私も電達を誘ってやってみようかしら!」

夕雲「でも布団でお菓子を食べるなんてお行儀が悪すぎです」

浦風「それで夕雲を探しよったんか?」

巻雲「はい!あと司令官さまもお誘いしようと思ってたんですけど……」

巻雲「夕雲姉さんが反対ならパジャマパーティーは中止ーー」

夕雲「やりましょう」

夕雲「それじゃあ巻雲さん、私はパジャマを選んで来ますから提督のお誘いお願いしますね♪」

巻雲「わかりました!」


夕雲「ふんふん♪あら、皆さん本当にパジャマを着ているのね」

朝霜「いやぁー、日中からパジャマ着てゴロゴロすんのも悪く無いな!」

秋雲「ほらほらぁ♪夕雲も早く着替えて来なって♪」

夕雲「それは良いんだけど……長波さん?どうして提督がいらっしゃるのにシャツ一枚なんですか」

長波「しかたねーだろ。これ着て寝てんだからさ」

電池切れ四杯またかきます

夕雲「おまたせ♪」

長波「なーんでパジャマパーティーするのに風呂はいるんだよ。……って、ネグリジェ!?」

秋雲「あれぇー?夕雲ってそんなパジャマ着てたっけ?」

夕雲「もちろんオシャレするわよ。提督とパーティーなのよ?長波さんもそんなだらしない格好じゃーー」

長波「あーもう分かった分かった。おっ、やっと主役が来たみたいだぜ」

巻雲「司令官さまをお連れしましたよー」

夕雲「提督♪ようこそいらっしゃいました♪」

朝霜「んだよ、司令もシャツ一枚じゃねーか」

長波「そんなダボダボのシャツ着てると夕雲がうるさいぞー」

夕雲「何を言っているんですか。提督は身体が小さくなって合う服がまだあまりないんですよ」

夕雲「それにパジャマなんて寝心地が良ければなんでも構わないんだなら」

夕雲「それで巻雲さん?パジャマパーティーって具体的にどうすればいいのかしら?ゲームとかお菓子とか言ってた気がしますけまど」

巻雲「えーっと、お菓子とゲームとお話しと……」

清霜「ねえねえ!じゃあみんなでゲームしましょ!あのね、すっごく面白いゲームがあるの!」

朝霜「清霜が進めるゲームなんてどーせトランプとかショボいゲームなんだろ」

清霜「そんなんじゃなくて本当の本当に面白いゲームなの!はい!」

朝霜「人生ゲーム……?」

高波「なんだかちょっと面白そう……かも?」

風雲「まーたなんだか渋いゲームが出てきたわねぇ」

沖波「任天堂Wiiとかじゃないんですか?」

秋雲「まあまあ、いいじゃんいいじゃん!これなら大勢で遊べそうだしさぁ♪」

長波「いやでも流石に多過ぎだろ?提督入れると11人だぞ」

秋雲「んじゃさ、5チームに分かれてやろうよ」

夕雲「それってつまり2人一組って事……?2人で一緒に人生ゲーム……?」

夕雲「じ、じゃあ私は提」

巻雲「巻雲は夕雲姉さんと同じチームになります!」ダキッ

夕雲「ま、巻雲さん」

夕雲「はっ!」

夕雲(提督が手を伸ばして私をあんな目で……)

夕雲(今すぐこの巻き巻きメガネさんを振りほどいて提督を抱きしめてあげたいのに……!)

秋雲「あらら、提督ってば夕雲にフラれちゃったのー?」

夕雲「あ、秋雲さん!私が提督をフルなんてありえません!ぶち殺しますよ!」

秋雲「じゃあ提督は陽炎型で寂しい独り身の私とチームねー♪」

秋雲「大丈夫大丈夫♪や・さ・し・く・するからさぁ♪」

秋雲「提督も男の子でおっぱい星人だろうけどー、この秋雲だってぇ、夕雲に負けないくらいのモノ、持ってるのよー?」タユン

秋雲「あっ、でも人数的に1人余っちゃうのか。じゃあじゃあ長波もチームにいれたげるー」

長波「人をあまり物みたいに言うな。あたしは別に1人でもーー」

長波「え?あ、うん……」

長波「まぁ提督がそう言うなら仕方ない、な」

清霜「次私の番ね!えいー!」

朝霜「コラ清霜!勝手に回すな!あたいが回す番だっただろ!」

清霜「いちにーさんしー……見て見て!デザイナーになってお給料アップだって!」

朝霜「はあ?んだよ、あたいはパン屋が気に入ってたのによー。勝手に転職してんじゃねー!」

沖波「2人とも楽しそうねー」

高波「次は長波姉さんの番かもです」

長波「んー、じゃあまぁ適当に回すぞー」

夕雲「はぁ……」

秋雲「いちにいさん……なになに?結婚式を挙げる。みんなからご祝儀五万円だってー♪」

長波「結婚ってどこの誰とだよ。そんな話このマスまで全然なかっただろ」

秋雲「まぁゲームだからねー。お金集めたら勝ちなんだし相手は誰でも良いんじゃない?」

長波「なんか釈然としないな……」

秋雲「ほえ?提督が結婚してくれんのー?嬉しいこと言ってくれるねぇ♪」

長波「2人いっぺんに結婚するって……まぁいいか、どうせゲームだしなー」

秋雲「じゃーあー、よろしくね?あ・な・た♪」チュッ

長波「ばっ……やり過ぎだろ!な、なんだよ提督、その目は!あたしはやらないからな!」

長波「…………わ、分かったよ。でもほっぺにだからな」

秋雲「長波ちゃんったら、ウブなんだから♪」

長波「うるさい!」


夕雲「……」ワナワナワナ

巻雲「わーい、巻雲達も結婚しましたー♪」

夕雲「そう……」

清霜「いいなぁー。私達も早く結婚したいねー」

朝霜「誰がお前となんて結婚するか」

清霜「えー、私は朝霜ちゃんの事だいすきなのにー」

朝霜「う、うっせえ!」

沖波「あらー。で良いんでしょうか」

風雲「私の相棒なんてもう寝ちゃったわよ」

早霜「……」スヤスヤ

秋雲「よーし、次は秋雲さんがまわしちゃうよー。それっ」

秋雲「えーっと、なになに?子供が産まれる。出産祝いにみんなから3万円だってー♪」

清霜「いいなぁー。私も赤ちゃん欲しいー」

朝霜「バ、ババッ、バカ!お前にはまだ早い!」

長波「はいはい、いいから早く3万円なー」

秋雲「……これどっちなんだろう」

風雲「どっちって書いてないし好きな方選べばいいんじゃないの?青が男の子でピンクが女の子でしょ?」

秋雲「いや、そうじゃなくてさ。父親は提督だけど、産んだのは秋雲か長波かどっちなんだろーって」

沖波「最高にどうでも良いんですけど」

巻雲「もー!秋雲!早くしてください!ね、夕雲姉さん」

夕雲「フーッ、フーッ……」

買い物へGOしてきます

秋雲「ねーねー、どっちなのさー?」

長波「別にどっちでも良いだろそんなの」

秋雲「よくないよくない!ちゃんと認知してくれないとやーだー」

巻雲「秋雲、なんだかいつもに増してうるさいです!」

秋雲「ほーらぁー♪早く選んでよ。秋雲さんか、長波か。提督はどっちの子供が欲しいのー?」

長波「はぁ……もう適当に答えてやれ。じゃないと先に進まないぞ」

秋雲「ううー……やぁったぁ!秋雲の子供だって!」

長波「はいはい、良かったな。んじゃ、次行くぞ」

風雲「まぁアレだけ詰め寄られたらもうそう答えるしかないわよね」

沖波「ゲームで結婚して子供が出来ただけでそんなにうれしいんですか?」

秋雲「そりゃーまぁー♪だって秋雲は提督の事大好きだし♪提督さえその気になればいつだって子作りしてあげるしぃ♪」

パリン!

朝霜「ぎゃー!巻雲のアネキのメガネが突然割れた!なんでだー!?」

巻雲「めがねめがね……あうあう」

夕雲「…………!」ワナワナ…

コンコン

大井「失礼するわよ。秋雲さん、さっきカモカモさんが探していたわよ」

秋雲「カモカモ??」

高波「カモカモさんかも?」

大井「なんか入稿がどうとか……」

秋雲「うわっ!やっばー!あれって今日までだった!ごめん、秋雲ちょっと用事を思い出したので行ってくるー!」

巻雲「あー、秋雲!途中で抜けるのは無しですよー!育児放棄しないでくださいー!」

大井「それにしても随分賑やかね」

清霜「今日はみんなでパジャマパーティーするんです!夜中まで寝ないんだから!」

大井「そう……そうだわ、皆さんよかったらコーヒーでも飲みませんか?夜通し遊ぶならカフェインが良いですよ」

巻雲「はい!飲みたいです!巻雲、お砂糖は7個お願いします!」

夕雲「せっかくだしいただこうかしら……気分を落ち着かせたいわ」

風雲「はぁー、美味しいわねー」

大井「提督はカルピスをどうぞ♪」

清霜「あー、私もカルピスがいいなぁ」

大井「すみません、カルピスは提督の分しかなくて……でも戦艦のみなさんならコーヒーか紅茶を飲むと思いますよ?」

清霜「!! じゃあやっぱりコーヒー飲む!」

大井「では私はこれで♪」

風雲「ごーろく……っと、やっとゴールが見えてきたわね。はい、次は長波」

長波「はいよー、それっ」

長波「えーっと、なになに?子供が生まれてご祝儀……なんだまた子供か」

朝霜「今度は間違いなく長波のアネキと司令の子供だな!」

夕雲「!!」

長波「いや、どっちかと言うとこいつが子供みたいなもんだろ」

長波「って、こら膝の上に座るな。まったく」

夕雲「~っ!」

長波「あー?なんだよー」

長波「いいだろ膝に座らせてやってんだから。頭に顎乗せるくらい。いい位置にあるんだよなー」

夕雲(長波さんったら、提督を後ろから抱きかかえて頭に顎を乗せるなんて……うらやましいわ)

夕雲(でも何かしら……?何か違和感が……)

朝霜「あれ?なんかさぁー……司令また縮んでね?」

長波「そう言われてみれば……」

夕雲(おかしいわね……徐々に小さくなるなんて効果は聞いていないけど……)

朝霜「そういやさぁ、これって1番になったら何か商品とかあんのか?」

清霜「商品?そんなのは考えてなかったけど…………じゃあ1番になったら司令官に何でも言うこと聞いてもらえるって事で!」

長波「それだとあたしらが1番になっても提督には何も商品が無いぞー」

清霜「うーん、じゃあじゃあ!司令官は私達に何でも言うこと聞いてもらえる権利!」

ガタッ!

夕雲(なんでも……?つまりそれは提督を好き放題……手錠と鎖はあったわよね)

巻雲(1番になったら司令官さまには夕雲型20番艦になってもらいます!)

風雲(スポンサーとしてお買い物三昧)

長波(あたしはこの提督に頼みたいことなんて別に何も無いな)

高波(世界征服……かも)

朝霜(新しいかじり木が欲しいな)

沖波(新しいメガネを……)

早霜(…………zzz)

清霜(やっと戦艦になれる!)

夕雲「素晴らしい提案だわ!是非そうしましょう!」

巻雲「次は風雲ちゃんの番ですよー」

風雲「私は一回休みだから長波の番ね」

長波「あいよー」

長波「いちにーさん……えっと、5マス進む、か」

長波「しーごー……3マス進む……」

長波「いちにーさん……2マス進む」

長波「いちにー…………」

夕雲「どうしたんですか?」

長波「いや、なんかさ……ゴールまで進むって書いてるんだけど……」

突然のゴール

巻雲「長波ちゃんは司令官さんに何をお願いするんですか?」

長波「あたしは別に……」

巻雲「じゃあ司令官さまはー?」

ざわっ……

夕雲(提督の権利は私達にお願いする事……つまり誰が該当者かは分からないわ)

風雲「えっ?なーに?」

風雲「はい!?」

風雲「ちょちょちょ、ちょっと!無理無理!そんなの絶対無理だって!」

風雲「そんないきなり……え?あっ、そう……うん、まぁ分かってたけど……」

風雲「そういう役目は夕雲姉さんか長波よね……私達は、ねぇ」

夕雲「じゃあ提督♪どちらにしますか?」

夕雲「夕雲のにするか、長波さんのにするか……」

夕雲「ええっ!?」

長波「あ、あたしか?」

長波「まぁ別に、今この姿の提督に触られてもなんて事無いけどさぁ」

長波「あっ、こら!中に手を入れるな!」

長波「このっ……さ、先っぽは触るなよ」

長波「ほんと、どこでこんな事覚えたんだよ」

風雲「仕方ないわよ。女の子が10人いた部屋に男の子が1人でしょ?ピンク色の空気に頭がやられちゃったのよ」

長波「だからってこんな……手を挟む?挟むって、こうか……?」

長波「こんなのが気持ち良いなんて、ほんと男は訳わかんないな」

長波「もう良いか?」

長波「……なんだ?言いたい事があるならはっきり言えよー」

長波「なになに?」

長波「はあ!?いやいや、何言ってんだよ。それはさすがに……」

長波「いや、頑張っても出ないから!ってか、あたしも色んな提督を見てきたけどこんな事言うのは提督が初めてだぞ」

長波「そりゃ牛乳は風呂上がりによく飲むけど……」

夕雲「提督が長波さんの、授…………」

巻雲「夕雲姉さん?夕雲姉さん!?しっかりしてください!」

夕雲「ハッ……思わず意識が……」

長波「なに?出なくてもいい?本気で言ってんのか?」

長波「……はぁ。仕方な」

夕雲「ちょっと待って!それなら私が代わりにやってみるわ!」

清霜「夕雲姉さん、ミルクがでるの!?」

夕雲「わ、分からないけど、確率的には長女である私の方が可能性あるでしょ?」

風雲「その理屈でいうと長波より巻雲姉さんの方が出る可能性高いって事になるけど……」

風雲「って言うか、私も長波より出る可能性が……無いよね」

朝霜「まぁ長波のアネキで良いんじゃねーか?司令も気に入ってるみたいだしさ」

夕雲「朝霜さん?」

朝霜「ひんっ……」じゅわっ

長波「分かったよ。でも恥ずかしいから私の部屋でだぞ」

夕雲「あっ……」

バタン

長波「先に言っとくけど噛んだり強く吸ったりするなよ」

長波「んっ……」

長波「こら、今言ったばっか……」

長波「…………っ」

ガチャッ

夕雲「提督、長波さん!」

長波「いやー……なんて言うかさ……」

長波「案外出るもんなんだな」

風雲「ええっ!?本当に出たの!?」

長波「ああ、まぁ……」

夕雲「気のせいじゃなくて!?」

長波「なんかゴクゴク言ってたし。それに、あれだ……あー、なんて言うかさ、出てる感じがちょっとあったって言うか」

長波「よくわかんないんだけどな!ただ、うん……あれは間違いなく出てたな」

バタン

巻雲「た、たいへんです!夕雲姉さんが!夕雲姉さんが倒れちゃいました!」

夕雲「提督……もうすっかり私達の躾から解き放たれてしまったのね……」

夕雲「提督……」

夕雲「また提督を取り戻さないと……あの頃の提督、ちゃんと私の言う事に従順な提督……」

夕雲「またお仕置きしなくちゃ。お仕置きは辛いけど、でも提督の為だから……」

夕雲「今度はどんなお仕置き……前よりもっと追い詰めて、二度とこんな事にならないように」

夕雲「私だけの言う事を……もっともっと……」

夕雲「あんなに泣き叫ぶまで閉じ込めて罰を与えたのに……」

夕雲「閉じ込めるだけじゃダメね……そうだわ、ガスを充満させましょう」

夕雲「部屋に小さな穴を開けてガスを充満させるの。大丈夫、命に関わるような状態になる前に助けるわ」

夕雲「水も良いわね。これからは寒くなるから……膝くらいまでお風呂場で氷水に漬けて縛ってあげれば……」

夕雲「寒さで震える提督を暖かいスープと私の体温で温めてあげて……」

夕雲「そうだわ、ミルクも温かいわよね。提督、夢中で吸ったりして……♪」

夕雲「善は急げ……すぐにでも行動にうつしましょうか……♪」

パリンッ!!

金剛「何事デース!!」

榛名「執務室から……提督!大丈夫ですか!?榛名は大丈夫です!!」

霧島「提督……いないですね」

金剛「シーッット!!油断したデース!」

浦風「どうしたんじゃ!?」

金剛「なにとぼけてるネ!さっさと提督を返すデース!」

雷「まってよ!私達はなにも知らないわ!」

金剛「だったら早く夕雲を出してくだサーイ!なぜあいつだけココにいないネ!」

榛名「お姉さま落ち着いてください!」

浦風「本当に何がどうなっとるんじゃ……」

雷「夕雲は何も言ってなかったの?」

夕張「夕雲ちゃんなら昨日うちの工廠に来たわよ?」

雷「夕雲さん!?本当に!?」

夕雲「なんか工具が必要になったとか言ってねー。何に使ったのかは知らないけど」

浦風「他には何か言うとらんかったか!?」

夕雲「さあ……修理なら手伝うって言ったんだけど、工具だけあれば良いって言ってたから」

雷「夕雲、まさか……抜け駆け……」

巻雲「夕雲姉さーん、夕雲姉さーん!」

雷「巻雲、みんな、どうしたの!?」

長波「それが今朝から夕雲の姿が見えなくてさ。誰か見なかったか?」

風雲「巻雲姉さんがまたいなくなっちゃったんじゃないかって心配してるのよ」

浦風「そんな……」

金剛「これで決まりデスネ」

夕雲「んん~……っ、あら皆さん集まってどうかしたんですか?」

雷「夕雲!」

金剛「ノコノコと同じ手を使う為に出てきたデスカ。早く提督を出すデース!」

夕雲「提督を?」

金剛「この後に及んでまだシラを切るつもりデスカ!」

夕雲「私は昨日色々用事をしていてそのまま寝てしまって……雷さん達と話をする為に来たんですけど……」

金剛「良いからさっさと提督を返してくだサーイ!」

夕雲「……浦風さん、この偽英国人さんは何を言っているのかしら?」

金剛「誰が偽英国人ネ!!」

ウォースパイト「クスクス……」

夕雲「提督が誘拐された!?犯人は誰なんですか!!」

金剛「今目の前にいマース」

夕雲「私は知らないわ!まだ何もしていないんですから!」

金剛「前科持ちの言う事は聞けまセーン!」

夕雲「私ならもっと上手くやるわ。それに今いなくなったならまだ近くにいるはずでしょ」

夕雲「共犯者もなしでどこに提督を隠したっていうのよ」

金剛「なら今すぐ鎮守府の艦娘全部集めてしらみ潰しに探してやるネ!」

金剛「みんな集まったデスネ!」

金剛「姉妹でもいない艦娘がいたら素直に白状するデース!!」

榛名「金剛お姉さま、金剛お姉さま……」

金剛「なんデスカ!いま忙しいデース!」

榛名「比叡お姉さまが……いません……」

金剛「……ほぁ?どこで何してるデスカ?」

霧島「まぁ比叡お姉さまは男性に興味のないクソレズですので無実かと」

球磨「あれ?大井が見当たらないクマ。いつも北上と一緒なのにどこへ行ったクマー?まぁあいつもクソレズだから無実クマー」

千歳「千代田ー、どこー?」

金剛「………………」

大井「やった……やったわ……!」

比叡「本当にこんな事して良かったんでしょうか?」

千代田「仕方ないわよ。みんな(千歳お姉)の為なんだから!」

大井「昨日とある所から取ってきた薬で提督を小型化、持ち運びやすくして正解だったわね」

大井「後はこの解毒剤を良い感じに調整して……」

大井(私好みの提督(北上さん)に仕上げてみせるわ。提督は男……見た目が北上さんで提督で男!北上さんと結婚……!)

比叡(提督を料理で虜にして結婚……!その後司令が金剛お姉さまとも結婚して3P……!お姉さまと3P!!)

千代田(殺さなきゃ……隙を見て提督を殺さなきゃ……!)

比叡「ところで私達は何処へ向かっているんですか?」

大井「当分身を潜めるアジトみたいな部屋よ」

千代田「用意が良いわね」

大井「私が用意したわけじゃないわよ」

比叡「こんな事を外注して大丈夫なんですか!?」

大井「大丈夫よ。だいたいあんた達も提督を誘拐しようとしてる情報だってあいつから貰ったんだから」

千代田「提督誘拐の手助けをするなんてうちの鎮守府に恨みでもあったのかしら?」

大井「さあね。とにかく今はこの地図に書いてある部屋へ……って、どこよ!なんで手書きなの!?」


青葉「あっ、みなさんこっちですよー♪」

協力者はボロボロの青葉

青葉「どうやら上手く行ったみたいですね!」

大井「おかげさまでね。あんたのいう通り薬飲ませたらこの通りよ」

千代田「ねぇ、本当に元のサイズに戻るんでしょうね?じゃないと流石に提督とは言え子供を殺……」

青葉「ご安心ください♪事前にお渡しした薬を適量飲ませれば成長は思いのままです♪」

比叡「それにしてもよく寝てますねー。睡眠薬効きすぎじゃないですか?」

大井「暴れたり大声出されたりしたら面倒だったし良かったじゃない」

青葉「では眠っている間に部屋へご案内しますね♪」

大井「にしてもあんたまだボロボロなのね」

千代田「私達は人間とは違うんだから。さっさと入渠しないと放ってたって治らないわよ?」

青葉「これはちょっと前にいろいろありまして。それに今の青葉はフリーですから鎮守府で入渠できないんですよ」

比叡「フリー?そんな艦娘いるんですか?みんな何処かしらの鎮守府に所属しているんじゃ…」

大井「機密情報の関係でね。必要無くなった艦娘は全て解体される筈だけど……まぁ良いわ。お互い変な詮索はやめましょ」

青葉「はい♪」

青葉「着きましたよ」

比叡「ひえー、ボロボロですね」

大井「とりあえず落ち着くまでの間だから我慢しましょ。今は人気が無ければ小屋でもいいくらいなんだから」

青葉「では青葉はこれで♪」

千代田「あっ、協力してくれたんだからお茶くらい飲んで行きなさいよ」

大井「そうね。何か報酬を」

青葉「いえ、司令官さんも寝ている事ですしうるさくするのも悪いですから。報酬はまたいずれ」

大井「さてと、これからどうしましょうか」

千代田「どうするって言われても……」

大井「ハァ……♪本当に可愛い顔。素敵だわ♪でももう少し大きい方が北上さんにより近くなるわよね」

千代田「元の大きさで良いんじゃないの?その方がヤりやすいし……」

大井「ダメよ。それよりもコレ、邪魔よね。早急に切り落とさないと」

比叡「ひえー!何を言ってるんですか!それを切り落としたら子作りが出来なくなるじゃないですか!」

大井「私は子作りなんて出来なくてもお互い気持ちよくなれるヤりかたはいくらでも知ってるわ♪」

大井「しっかしあの子、部屋は用意してくれたけどそれ以外は何もないわね」

比叡「買い物へ行きましょうか?」

千代田「じゃあじゃあ!私は見張り役で留守番ね!」

大井「いいえ、私が留守番しているわ」

千代田「そんなこと言って私達が行ってる間にちょん切るつもりなんでしょ!」

大井「あんただって何しでかすかわからないくせに良く言うわね」

少し市役所へ

青葉「では青葉が見張ってますから皆さんで行ってきてはどうですか?」

大井「そうねえ……」

比叡「そんなこと言って司令を連れて行かれたらどうするんですか!」

千代田「確かに手助けはして貰ったけどそこまでは信用できないわよ」

青葉「それならご安心ください。青葉は部屋の外にいますから」

大井「……それならお願いしようかしら」

比叡「ひえー!」

千代田「ちょっと、何考えてるのよ!」

大井「うるさいわね。ほら、行くわよ」

千代田「ちょっと……」



千代田「……で?」

大井「ここから監視するわよ。おかしな行動を取ればすぐ駆け付けるわ」

比叡「なるほど。信じたわけじゃなかったんですね!」

2時間後

大井「ただいま」

青葉「あっ、おかえりなさいです。ずいぶん遅かったですね」

大井「ええ、欲しかったものがなかなか見つからなくて」

青葉「そうだったんですか。それで結局見つかったんですか?」

大井「いいえ、見つからなかったからまた明日探して来るわ」

青葉「それでは明日も留守の間はお任せください!」

数日後

大井「今日もお願いね」

青葉「了解です!」

千代田「もう、留守番くらい私がやるのに」

大井「あんたは妙に刃物を研いだり釣り糸眺めたりしてて怪しいのよ」

比叡「では比叡が!」

大井「あんたはあんたで怪しいじゃないの。青葉の方がよつぽど信頼出るわ」

大井「……ねぇ、最近はずいぶん寒くなったしあんたも大変でしょ?」

青葉「まだまだ大丈夫ですよ♪」

大井「これ、カギを渡してあげるからナカニねはいって

すみません一服していましたまたかきます

大井「これ、カギを渡してあげるから中に入ってなさい」

千代田「ちょっと!それはその……」

大井「大丈夫よ。提督はまだ小さいままだしカギを奪われる事もないでしょ」

比叡「そうじゃなくてですね、もし、万が一、あの……」

青葉「お二人の言うとおりです!信用してくれるのは嬉しいですけど信用し過ぎは危険ですよ!」

大井「あんたが言ってどうすんのよ……本当に良いのね」

青葉「はい!」

大井「……ねぇ、前にも聞いたけどどうしてここまでしてくれるのよ」

青葉「それは青葉がお手伝いしたいからですよ?」

大井「だからどうして」

青葉「うーん、一言で言えば復讐ですね!」

千代田「そんなサッパリした顔で復讐ってねぇ……」

青葉「少し前にここにいる司令官を青葉は鎮守府まで案内した事があるんですよ。あっ、正確には最寄りの駅までですけどね!」

比叡「それって以前司令が誘拐された時の……」

青葉「本当は鎮守府まで案内したかったんですけどちょっと捕まっちゃって……この怪我もその時のなんです」

青葉「提督が好きで好きで誘拐していた犯人達に青葉はやられちゃって思いました。いつか復讐してやろうと」

青葉「だから青葉はあなた達に手を貸して提督の誘拐を手伝い、あいつ達から提督を奪う事で復讐を遂げたのでした!チャンチャン♪」

比叡「ひえー……なんだか予想以上に重い話でしたね……」

青葉「いえいえ!結果的に皆さんは提督を誘拐する計画を成功させ、青葉も復讐を成功させたんですからウィンウィンの関係ですよ!」

千代田「はーあ。あの子も明るく振舞ってるけど色々あったのね」

比叡「夕雲さん達にやられた復讐の為に私達を手伝って誘拐の復讐のお返しの復讐の復讐が……ひえー、頭がこんがらがってきました!」

大井「バカなんだから考えるのをやめなさい」

千代田「でもどうして私達の手伝いなんてしたのかしら?」

比叡「それは夕雲さん達から司令を奪う復讐の復讐を復讐だからじゃないですか?」

千代田「それなら別に誘拐の手伝いなんてしなくても提督を殺しちゃえばよかったのに」

比叡「ひえー、物騒な事言わないでくださいよ」

千代田「だってそっちの方が手っ取り早くて奪還される心配もないじゃない。…………それなら私も助かるのに」

比叡「ん?何か言いましたか?」

大井「……ちょっと戻りましょう。なんだか胸騒ぎがするわ」

千代田「これって……」

大井「やられた……っ」

比叡「ひえー……なんですかこの大穴……」

大井「普通に考えれば分かってた事じゃない。カギなんて無くてもこんなドアくらい簡単に破壊できるって……」

千代田「でもどうして!?今まではそんな素振りなかったのに!」

大井「最初から奪うつもりでほとぼりが冷めるまで私達に預けてたつもりなんでしょ。鎮守府に忍び込んで攫うより、中にいる私達を使った方が確実だもの」

少し前

青葉「よーし、そろそろやっちゃいますか!」

青葉「そーれ♪」

ボゴンッッ!

青葉「司令官、大丈夫ですか!?」

青葉「青葉が来たからにはもう大丈夫です!お助けに来ました!」

青葉「はい♪その時の、覚えていてくれたんですね!青葉、感激です!」

青葉「この怪我ですか?はい……ここに来る前に攻撃されてしまって……いたたっ」

青葉「鎮守府はもう司令官の敵だらけです。みんなが司令官を誘拐しようとしています……」

青葉「だから青葉が来ました!また前みたいに司令官をこの檻から連れ出してあげます!」

青葉「今度は鎮守府じゃなく、青葉と2人でできるだけ遠くに逃げましょう!さあ追っ手が来る前に早く!」

また書きます

数日前 鎮守府

夕雲「提督を探しに行って来ます」

金剛「また今日も行くデスカ?」

夕雲「ええ。早く見つけてあげないと……」

金剛「……榛名」

榛名「はい」

金剛「夕雲と一緒に提督を探しに行って来てくれマスカ?」

榛名「榛名は構いませんけど……今日もですか?」

金剛「こっちの仕事は私と霧島がやっておきマース。くれぐれもアレから目を離さないように」

夕方

榛名「ただいま戻りました」

金剛「どうだったデース?」

榛名「やっぱり見つかりませんでしたね……」

金剛「そっちじゃなくて!……ん」クイッ

榛名「夕雲さんですか。いつもと変わりなく提督を探していましたけど……金剛お姉さま、やはり考えすぎじゃありませんか?」

金剛「むうぅ……次は霧島が一緒に探しに行ってくだサーイ」

数日後

夕雲「提督を探してきます」

金剛「ホワッ!?外は台風で大荒れてマース」

金剛「まって下サーイ。今日は私が一緒にいくね」

夕雲

あこれねおちするやつだ
また書きます

夕雲「提督ー!提督ー!」

金剛「うぅー……こんな雨風じゃ声も聞こえないデース!」

夕雲「提督……提…………」フラッ…

金剛「わわっ……!何してるデース!」ガシッ

夕雲「ごめんなさい……」

金剛「とにかく雨宿りネ」

夕雲「はぁ……」

金剛「まったく、世話が焼けマース」

夕雲「……」

金剛「今日はもう帰るデース」

夕雲「そんな……まだ探せます!」

金剛「気持ちは分かりマース。でもこんな日に無理して探してもしかたありまセーン」

夕雲「それでも私は……罪滅ぼしがしたくて……」

金剛「だったら尚更今日は帰りまショー。風邪でもひいて明日探せなくなったら大変ネ」

夕雲「……はい」

翌日

夕雲「晴れたわ!今日こそ提督を探し出して見せるんだから!」

金剛「へくちっ……ウゥー、元気ですネ……」

夕雲「金剛さん、ごめんなさい。私が無理に連れ出したりしたから」

金剛「これくらいへっちゃらネ!それより提督を探しに行くなら霧島か榛名を一緒にーー」

鳳翔「もうそろそろ良いんじゃないですか?」

金剛「鳳翔……?」

鳳翔「私も最初はあなたと同じ気持ちでしたけど……もう彼女は十分信用に足ると思いますよ」

金剛「ハァ……鳳翔にそう言われては仕方ありまセーン」

夕雲「?」

金剛「今日から榛名達には別の場所を探しに行ってもらいマース」

鳳翔「二手に別れた方が効率的ですからね♪」

金剛「今回の一件は比叡が関わっている可能性が大きいデスからネ。しっかり探さないといけまセーン」

鳳翔「という訳ですので。夕雲さん、お一人で大丈夫ですか?」

夕雲「ええ。任せてください」

夕雲「ハァ……やっとなのね。長かったわ」

雷「こうやって3人だけで集まるのも久々ね!」

浦風「あっちこっちで監視の目が光っとったからのう」

夕雲「監視が緩んだのもあの3人が騒ぎを起こしてくれたおかげね♪」

雷「それで?司令官達はどこにいるの?」

夕雲「少し前までいたのはここから少し電車で移動しなくちゃいけないけど近場よ」

浦風「少し前?」

浦風「今はどこかの身の程知らずさんが提督を連れて海へ向かってるわ。おそらくそのままどこかへ身を隠すつもりね」

浦風「ならはよお急がんと!海を渡られたら厄介じゃ!」

雷「でも海って言われてもどこにいけば良いのよ!?」

夕雲「場所ならココですよ♪あとはココで提督を連れて来る身の程知らずさんから奪還して私達が海を渡るだけだわ」

雷「……」

浦風「……」

夕雲「どうしたんですかお二人とも」

雷「私は……提督を連れ戻せたら鎮守府に帰りたいかな……」

浦風「うちも同じじゃ。姉ちゃん達が心配してうるさいんじゃ」

雷「私も電達が心配だし、心配されたりもしてるのよね」

浦風「夕雲は特に妹がよーさんおるけえもっと大変じゃろ?」

夕雲「…………」

雷「夕雲?」

夕雲「え?ええ、そうね……どうしようかしらね」

さよなら夕雲の左腕

またかきます

青葉「さあ着きましたよー♪」

青葉「はい!見ての通り断崖絶壁です!」

青葉「確かに海へ出るなら波止場とかが良かったんですが……そういう場所は追っ手がいるかも知れませんから」

青葉「ご安心ください!青葉が司令官を抱えて大ジャンプ!命に代えても司令官をお守りします!」

青葉「それにしてもまるでサスペンス劇場みたいな断崖絶壁ですねー。犯人が追い詰められる的な」

夕雲「サスペンス劇場と違うのは追い詰められた犯人が海に飛び込んで死んじゃう所くらいかしら♪」

青葉「!!」

ズドンッ!

青葉「わわっ……!な、なんですかいきなり!」

夕雲「ごめんなさい。艤装を展開していたものだから敵かと思って」

青葉「しまった……足の艤装が……」

夕雲「さぁ♪ここから大ジャンプするんだったわよね♪」

青葉「何言ってるんですか!これじゃあすぐ沈んじゃいますよ!」

夕雲「大丈夫よ♪あなたならきっと飛べるわ♪」

青葉「だから飛んだら沈んじゃうじゃないですか!」

夕雲「今日もこの海の何処かでは艦娘と深海棲艦が戦っていて、沢山の敵を海に沈めているんでしょうね」

夕雲「でもそれと同時に少数ではあるけど艦娘も海の底へ沈んでいるでしょ?」

夕雲「今のあなたは身体中に怪我を負った状態……勇敢に深海棲艦と戦い海に沈んだ艦娘って事になれるかも知れないわよ♪」

青葉「鬼ですか!」

夕雲「あら、私これでも優しいお姉さんしてるのよ?ただ……」

夕雲「私から提督を盗もうとする相手には容赦しないわ」

青葉「そ、そんな脅しには……そうです!今の青葉には司令官が」

夕雲「提督?」

提督「」ビクッ

青葉「司令官!?」

夕雲「フフッ、お帰りなさい。私の提督……♪」

トンッ……

青葉「あっ……」

夕雲「さようなら」

夕雲「さて、提督も取り返したし行きましょうか」

夕雲「浦風さん?雷さん?」

雷「青葉……本当に落ちちゃったの……?」

夕雲「ええ♪」

浦風「何をしとるんじゃ!いくらなんでもやり過ぎじゃろ!」

夕雲「誘拐されそうになった提督を助けるためには仕方なかったのよ?」

雷「だからってこんな……」

青葉「その通り♪誘拐されそうになった司令官を助けるためには仕方ありませんよね♪」

浦風「青葉ワレェ!?」

夕雲「色々とご苦労様♪」

雷「怪我がない青葉……あなた、うちの鎮守府の青葉ね。あなたも夕雲の仲間だったの?」

青葉「はい♪司令官を見つけた後しばらく監視していました♪」

夕雲「あの3人や今海に沈んだ青葉さんの行動を逐一報告してもらっていたの♪安心して頂戴。こっちの青葉さんは私達の仲間よ」

青葉「と言うわけで夕雲さんの言う通り青葉も誘拐されそうになった司令官を助けに来たわけです♪」

ゾロゾロ…

夕雲「……?」

雷「わわっ……」

金剛「一度ならず二度までも……舐めた真似してくれたデース」

長門「いくら駆逐艦のしたこととは言え、さすがに擁護できんな」

加賀「頭にきました」

夕雲「青葉さん、あなた……」

青葉「青葉としては料金をいただいた夕雲さんを裏切るのは非常に心苦しいのですが……」

青葉「例え他の鎮守府の青葉とは言え、青葉が青葉を見捨てるような事は出来ないんです」

青葉「なので最終的にあの青葉を沈めると聞いた時点でこうする事にしたんです」

青葉「ギリギリ間に合わなかったようですが……と言うわけで青葉は青葉の救出に向かいますので後は皆さんでよろしくです!」ダッ

青葉「青葉飛び込みまーす♪」


金剛「さてと、どうしてくれようデース」パキパキ

鳳翔「仏の顔も三度までと言いますが……私は残念ながら仏様ではありませんから」

鳳翔「二度あることは三度ある。なら三度目が来る前に芽は摘んでおきましょう」

雷「ひっ……」

浦風「ち、違うんじゃ……本当は提督さんを取り戻したら鎮守府に帰ろうと……」

長門「本当か?」

鳳翔「長門さん?今更耳を貸すなんていくらなんでも駆逐艦に甘過ぎですよ」

夕雲「本当よ。その2人は提督を鎮守府に連れて帰るとか言い出して困ってたんだから」

鳳翔「いいんですね?つまり2人はあなたとは別という事で」

夕雲「ええ♪」

鳳翔「そう……良かったわ。私も出来る限りこんな事はしたくありませんでしたから」ググッ

長門「鳳翔、いくらなんでも弓で射るのは……確かに躾は必要とは思うが……」

浦風「そうじゃ!そんなもん突き刺さったら痛いじゃすまんじゃろ!悪いのは認めるけえもう少し穏便に」

鳳翔「ダメです。あの目はまた同じ事を繰り返す目……」

鳳翔「それにお2人共、私が弓で射って矢を突き刺す?」

鳳翔「そんな事にはなりませんよ」

鳳翔「私の弓は……」ググググ…

鳳翔「目標を確実に破壊する」

ギュンッーー!!

ランチタイムだー!

バスンッ!!

雷「っ……」

浦風「あれが弓を射る音……あいたっ!なんじゃ?何か飛んで来ーーーー」

雷「ハッ……あっ、あ……!」

夕雲「くっ…………面白いこと……してくれたじゃない……!」

浦風「う……で……?」

鳳翔「まずは左腕。二度とおいたが出来ないように、提督を連れ去れないように腕は捥いでおきます」

鳳翔「ご安心ください。私達艦娘の損傷など沈まない限りいくらでも修復可能ですが貴女は絶対に入渠させませんから」

夕雲「あら、命までは取らないなんて優しいのね」

鳳翔「沈めてしまっては後味が悪いじゃないですか。私は鎮守府の優しいお母さんなんですから」

鳳翔「さあ、次は右腕ですね」グググッ…

雷「まってよ鳳翔さん!司令官だってすぐ横にいるのに危ないわ!!だからもうやめて……」

鳳翔「大丈夫ですよ。私が狙いを外すなんてあり得ませんから。それよりも提督を人質に取られる方が厄介です」

ズドンッ

夕雲「……っ」

鳳翔「あら、今度はその腕を飛ばしきれませんでしたか。やっぱり私もまだまだ甘いですね。情が湧いたのかしら」

鳳翔「でももうぶら下がってるだけで使い物になりませんよね。さぁ、提督を取り戻しましょうか」

金剛「ひぇー……鳳翔は恐ろしいデース……」

赤城「昔は笑顔でイノシシ捕まえてその場で捌いていましたからね」


夕雲「てい……とく…………こっちに、いらっしゃい…」

金剛「て、提督!何してるデース!!そんなのに引っ付いたら血が……汚れてしまいまーす!」

夕雲「フフッ……」

夕雲「私は……提督さえ手に入ればそれで良いの」

鳳翔「貴女は……どこまで提督の心を」

夕雲「こんな所で捕まって提督を取り上げられるくらいなら、このまま提督と一緒に海へ沈むわ」

榛名「そんなの提督がかわいそうです!無理心中を強要するなんて」

夕雲「強要じゃないわよ。ね、提督?私と一緒に沈んでくれますか?」


夕雲「フフッ、良い子ね。ママ嬉しいわ……♪じゃあ……皆さん、さようなら♪」サッ



金剛「まっ……提督ぅーー!!」

金剛「今すぐ助けに私達も飛び込むデース!!」

霧島「お姉様、落ち着いて下さい!私達は今艤装も無いんですよ!」

榛名「全力疾走でここに駆け付けるためにみんな艤装は外すよう言われていましたから……」

金剛「艤装なんて無くても泳ぎ回って探してみせるネ!」

霧島「でもお姉様!私達……誰も泳げません!」

金剛「お、おおゥ……、でも榛名は水も着ていたネ!」

榛名「はい、榛名は泳げなくても大丈夫です!」

鳳翔「落ち着いて下さい。私が行きますので皆さんは提督を助けた後、体を温める毛布や怪我に備えて救急セット等の用意を」

鳳翔「あの広い場所まで必ず提督を連れ戻ります」

金剛「わ、わかったデース!ここは鳳翔に任せて私達は出来ることをやるネ!」

雷「ほ、鳳翔さん!夕雲……夕雲も助けてあげてほしいの!」

鳳翔「分かっています。提督も夕雲さんも必ず助けますから」

雷「ありがとう……」

鳳翔「それでは参ります」

青葉「よいしょ、よいしょ……」

衣笠「おーい、青葉ー!こっちこっちー」

青葉「いやー、やっとたどり着きました。疲れた疲れた」

衣笠「青葉ったら、背負って着たのは自分でしょ?ダイエットした方がいいんじゃ無いのー?」

青葉「失礼な!青葉のこの無駄のないーー」

青葉a「ん……あ、あれ……?」

青葉「おお、目が覚めましたか!」

青葉a「あー……もしかして危ないところを助けていただいた感じですか?」

青葉「はい!青葉は青葉の命の恩人と言っても過言ではありません!」

衣笠「ややこしいわね」

青葉「では青葉はそろそろ行きますね」

衣笠「うん……元気でね」

青葉a「……」

青葉「さぁさぁ行きますよー!新しい冒険の始まりですー♪」

青葉a「ハッ!だ、だめですよ!引き止めないと!」

衣笠「?」

青葉a「青葉には分かるんです。あの目は何か良からぬ事を企んでいる時の目……おそらくあの青葉は夕雲さん達の仲間ですよ!」

衣笠「知ってるよ?衣笠さんは青葉よりあの青葉の事を分かってるんだから」

衣笠「いま私が青葉を引き止めたら青葉に嫌われちゃうよ……」

衣笠「でも笑顔で送り出せば青葉も喜んでくれるし、それに今の衣笠さんには新しい青葉がいるから……♪」

青葉「こ、これは……クレイジーサイコレズの波動を感じます……」

衣笠「さぁ青葉、いこっ?今までずっと海だったし、これからは一緒に山の中で静かに暮らしましょ♪」

長門「必要な物は粗方揃ったな」

金剛「ミネラルウォーターを程よく沸かすデース!私が提督の身体をくまなくあらって……フヒヒ」

榛名「でも鳳翔さんだけでも艤装を用意していて良かったですね」

霧島「鳳翔さんは秀吉の大返し作戦と言っていましたね」

金剛「元々鳳翔がみんなに艤装を外して少しでも身軽にして走り出すと言っていたのに1人だけ準備してるなんて訳がわからないネ」

赤城「……あのー、鳳翔さん、帰ってきますよね?」

金剛「ホワッ?」

加賀「まさか全部計画通りで提督を取り返した後そのまま姿を消すなんてことは……」

鳳翔「よいしょっ……」

鳳翔「提督、大丈夫ですか!?海水を飲んだりしていませんか!?」

夕雲「私の心配はしてくれないのかしら?両腕が使えないのだけど」

鳳翔「分かっていますよ。どうぞ」


応急修理女神!

夕雲「ん、んんー……!提督、この腕がちゃんと提督を抱き締められるか確かめても良いですか?」

夕雲「あんっ、もう提督ったら……♪はいはい、そんなに飛びつかなくても夕雲は大丈夫ですから♪」ギュッ…

青葉「おーい、うまく行きましたかー♪」

あまり知られてないけど青葉は母乳が出る

洞穴

青葉「それにしてもうまく行きましたねぇ♪」

夕雲「提督、寒くありませんか?」

鳳翔「でも良かったんですか?あの子達を置いてきて」

夕雲「あの子達?……雷さんと浦風さんの事かしら?」

鳳翔「はい。最初は一緒に連れてくる予定でしたから」

夕雲「それはさっき説明した通り。あの子達は提督を鎮守府へ連れ帰ろうとしたから……もう信用に足る仲間では無くなってしまったの」

夕雲「提督をバブみでオギャっていただくにはそれなりの覚悟が必要ですから。何もかも捨てる覚悟が」

鳳翔「バブみでオギャる?」

夕雲「その点、あなたは信用できるもの♪提督をさらう為なら何の躊躇いもなく私の腕を引きちぎるくらいの覚悟があったんですよね♪」

青葉「あれには青葉もビックリしましたよー!」

鳳翔「あら、提督を連れ去る為なら頭だって弾き飛ばしますよ?」

夕雲「フフッ、それくらいネジが飛んでる方が良いわ。私だって提督の為なら何だってするもの♪」

青葉「なんか2人ともニコニコ笑ってるのに怖いですよー?青葉は誰か来ないか外を見張ってますね」

鳳翔「……それで?どうして青葉さんを連れてきたんですか?」

夕雲「面白そうでしょ?」

鳳翔「ですが私的に信用に足る仲間には思えません」

夕雲「そうかしら?面白そうなものとお金さえ与えていれば十分信用できますよ?」

鳳翔「でも既に青葉さんには裏切られていますよね?裏切ったのは他の青葉さんですけど」

夕雲「それでも今は彼女の力が必要なのよ。青葉さんにしか出来ない仕事がありますから」

鳳翔「青葉さんにしか?」

夕雲「知らないんですか?青葉さん、出るらしいですよ?母乳」

鳳翔「!!」

夕雲「その味は練乳のように甘く(衣笠さん調べ)」

夕雲「その暖かさはまさに母の温もりだとか……(衣笠さん調べ)」

夕雲「悔しいけれど今の私たちでは母乳が出ないわ。だから青葉さんに授乳をお願いして提督に母乳の味を覚えてもらうんです」

鳳翔「でも提督のお口に合うか……いくら美味しいと言っても赤ちゃん以外が飲んでも」

夕雲「本当に美味しかったですよ?」

鳳翔「え……?」

鳳翔「と、とにかく、せっかく隠れているのに海に出ていては目立ちます。青葉さんを連れ戻しましょう」

夕雲「それもそうね……」

鳳翔「青葉さーん」

夕雲「青葉さん?」


鳳翔「おかしいわ……どこに行ったのかしら」

夕雲「まさか……提督!?…………良かった、ちゃんといらしたわ」

山風可愛いなぁ。見た目も可愛いし依存してる感じなところも胃辺り。
変えも可愛いしパパママになりゅうちぉう!!

ああ、山風ほしかにかに

武蔵「青葉ならもうこの辺りにはいない」

夕雲「!!」

鳳翔「どうしてココが……」

夕雲「青葉さんをどうしたんですか……?」

武蔵「なに、少し消えて貰っただけだ」

鳳翔「……っ」

武蔵「そう怖い顔をするな。別に沈めたりしたわけじゃない」

武蔵「今頃ここから遠く離れたどこかにいるだろう」

夕雲「言ってる意味がわからないわ」

武蔵「私たち大和型は宇宙エネルギーを圧縮し、それを動力として波動エンジンを動かし光を超える速度で移動することができる」

武蔵「もちろんそれなりのエネルギーを使う為に連続して使う事はできんがな」

夕雲「そんなむちゃくちゃな……清霜さんが憧れる訳だわ」

武蔵「特に今回のような空間を捻じ曲げて過去に戻るとなると尚更な」

鳳翔「もうなんでもありですね……」

武蔵「そうでもないぞ?戻れるのは精々30分くらいか。それも一度使えば数日はつかえなくなる」

夕雲「それでその宇宙戦艦さんが何の用かしら?」

武蔵「簡単な事だ。提督を連れ戻す」

夕雲「どうしてですか?」

武蔵「私たち大和型は波動エンジンを使う為に燃費が極端に悪く、普段の出撃はほとんど認められていない」

武蔵「出番があるのは年に数回、でかい作戦がある時くらいだ」

夕雲「それは知っています。噂では孤島に幽閉されている鎮守府もあるらしいですからね……」

武蔵「殴り合いが好きな私としては出撃制限は苦しみ以外の何者でもない。だがその鬱憤を年に数回の出撃で晴らしてきた訳だ」

武蔵「そして今回もなかなかでかい作戦が発令された訳だが……」

武蔵「2日、3日……一週間経とうが声がかからず提督を訪ねた時に言われた言葉が……」

武蔵「危ないから戦わなくていいよ。勲章もいらない。みんなで一緒にコタツでみかんを食べよう……だと?」

武蔵「私は怒りで震えた。どうしてこんな腑抜けになってしまったのかと」

武蔵「少し前の提督は違った。一番最難関の場所を選び、制圧出来ず勲章が手に入らなければ鎮守府を去るとまで言っていた奴だ」

武蔵「惜しみなく我々大和型も使い、やられて帰れば修復材をぶっかけ休む暇も無く出撃を命じる……」

武蔵「情も何も無いような提督だったが私はそんな奴が好きだった。それが今は何だ?見た目は幼くなり、腑抜けになって……」

武蔵「私が鎮守府へ連れ帰り元どうりになるよう矯正してやる」

鳳翔「なるほど……つまり貴女は私達の敵という事で宜しいですか?」

武蔵「お前達が提督を腑抜けにすると言うならそうなるな」

鳳翔「そう言えば私の質問にまだ答えていただいていませんでしたね。どうしてココが分かったんですか?」

武蔵「最初は分からなかったさ。お前達が消えた後にやられたと気付いた。だから空間を捻じ曲げ過去に戻り30分前からやり直した」

武蔵「今回は艤装も用意しお前達の後をしっかり追ってな」

鳳翔「空間を捻じ曲げるとか過去に戻るとか……信じ難いですね」

鳳翔「ですが分かりました。貴女は私達の敵。ならば今ここで駆除するしかありません」

武蔵「フフッ……フハハハハ!いいぞ、望むところだ。殺す気でこい!!」


夕雲(提督を乳児化するだけのはずなのにどうしてこんな事に……)

夕雲「あっ、大丈夫ですよ?さあママにしっかり抱きついて。奥に避難しましょうね」

鳳翔「何を笑っているんですか?まさか軽空母と思って甘く見ていますか?」

武蔵「馬鹿な事を言うな。私の知る限り、我々大和型の次に強いのはお前だ鳳翔」

鳳翔「そこまで評価していただけるのは光栄ですが……」グググッ

夕雲「あれは私の腕を吹き飛ばした弓……」

鳳翔「この距離で私の弓をかわせるとでも?」

武蔵「愚問だな。光速を超える世界に生きるこの武蔵には止まって見える筈」

武蔵「弓での攻撃が通じず殴り合いになれば結果は明白、つまりその弓を外した時がお前の最後。しっかり狙え、私はここだ!」

夕雲「提督、見ちゃダメよ。さぁ夕雲ママの顔だけ見ててくださいね?」

ズドンッ!!

夕雲「!!」

夕雲「そ、そんな……私には見る事も出来なかった弓が……」

武蔵「フフフ……フハハハハ!!こんな物か!余りに遅くて掴み取ってしまったぞ!」

鳳翔「……」

武蔵「さあどうする?頼みの綱の弓も通じーー」

武蔵「ッ!!」

夕雲「えっ?どうして武蔵さんが鼻血を?」

武蔵「この武蔵の顔面に一発入れたか……流石だな」

夕雲「え?弓は受け止めた光速を超える世界に生きる武蔵さんが素手の攻撃を受け止めきれず……って、ええ!?」

武蔵「鳳翔、お前も光速に生きる1人か。まさか波動エンジンを」

鳳翔「いえ、私は自己流の鍛錬でココへ辿り着きました」

武蔵「フハハハハ、化け物め!いいぞ、かかってこい!!」

夕雲「どうしましょう…………暇だわ」

夕雲「多分ココで戦ってるんでしょうけど音だけで見えないんですもの」

夕雲「提督?そんなに震えて……大丈夫ですよ?夕雲がここにいますから」

夕雲「え?寒い?……はっ!そうだわ、一度海に落ちたから全身が濡れて」

夕雲「こんな時あたたかい母乳の出る青葉さんがいれば……ごめんなさい、母乳の出ないママで……」

夕雲「えっ?そんな、急にどうしたんですか?……もちろん夕雲も提督が大好きですよ?」

夕雲「違う?結婚したいの好き?やだ、提督……そんな事言われたら……」ボッ


夕雲の体温の急上昇で暖をとる提督。このやり取りの目と鼻の先では命のやり取りが行われている。

武蔵「確かに速い。だが一撃一撃が軽いな。そんな物ではその辺の事情戦艦は吹き飛ばせてもこの武蔵には効かんぞ!」

鳳翔「本当に頑丈な方ですね。なら……」

武蔵「ん……?」

鳳翔「私は過去になんて戻れませんけど、この程度なら可能なんですよ」

武蔵「馬鹿な……貴様、まさか超光速を超えたその先、タキオンの世界にまで……!」

鳳翔「貫手ってご存知ですか?」

ザクッ

武蔵「ぐっ……!」

鳳翔「…………」

武蔵「内臓をえぐりに来たか?それとも肋骨の一本でも掴んでもぎ取りに来たか?」

武蔵「だが残念だったな。大和型の装甲は伊達ではない!……が、1センチ程でも指を突き刺したその力には驚かされた」

武蔵「礼とは言わんがこちらも全力を出さねばならんな。速度は少し落ちるが当たれば貴様もただでは済まんぞ」

鳳翔「今までの攻撃も当たらないのに速度を落とす?気がどうかしたんですか?」

武蔵「そう、気だ。覇気……相手に威圧された時、その存在が何倍にも大きく見えるとか言うな」

武蔵「残念ながら私は威圧された事が無く感じた事は無いが……貴様には私の拳がどれくらいの大きさに見えるかな」

鳳翔「考えが脳筋ですね。ですが気ですか……それなら私も発勁を使わせて貰いましょうか」

鳳翔「色々と手を加えてアレンジしたんですけどね。装甲の硬いあなたには良く効きそうですから。浸透系で外部を通し、内臓から破壊するこっちの方が」


武蔵「力でねじ伏せてくれる」

鳳翔「柔よく剛を制すという言葉を知らないんですか?」

武蔵「いつの世も最後は柔ではなく剛が制して来た」

鳳翔「なら試してみればいいじゃ無いですか」

武蔵「そうだな。行くぞ!」

鳳翔「……夕雲さん」

夕雲「は、はい」

鳳翔「申し訳ありません、ここまでのようです。なので後はお願いします♪」

夕雲「えっ?」

グシャッ…

武蔵「ぬ……やはり生身で超高速を超える力を使い足に来ていたのか」

武蔵「呆気ない最後だったな」

夕雲「まさか……殺したんですか!?」

武蔵「馬鹿を言うな。この程度でこいつが死んでたまるか。気を失ってはいるが……ん?ゴフッ……」

夕雲「な、なな、なんですか急に?いきなりそんなドバドバ血を吐かれても困るんですけど」

武蔵「鳳翔、あの状況でいつの間に一発いれていた……?まったく見えんかったぞ。恐ろしい奴め」

夕雲(あら……?今ならワンチャンスあるんじゃ無いかしら?)

次回 ワンチャン無し

武蔵「これ程のダメージは久々だな……」

夕雲「…………」

ガシッ

武蔵「ん?」

夕雲「ぐぐぐ……」

武蔵「なんのつもりだ?」

夕雲「見ての通り……ぃ、あなたに投げっぱなしジャーマンをおみまいするつもり……よ」

武蔵「ハハッ、無駄な事はやめておけ」

夕雲「それはどうかしら」

武蔵「駆逐艦のお前では私を持ち上げる力もあるまい」

夕雲「本当に何も分かっていないのね……」

武蔵「?」

夕雲「ママはね、可愛い子供の為なら……なんだって出来ちゃうんだ……か…………らっ!」

武蔵「お……?」

ふわっ……

夕雲「くっ……うぅ……っ!」ブチブチ…

武蔵「信じられん、この武蔵を持ち上げるか!」

大和「武蔵、あなた何をしているの」

夕雲「!!」

武蔵「おお、大和!見てみろ!駆逐艦が私を持ち上げているぞ!」

夕雲「……」

武蔵「ん?どうした?もう終わりか?」

大和「あなたねぇ……その鼻血はなに?他にも怪我してるでしょ」

武蔵「そうだ!鳳翔はなかなか手強くてな。内臓もめちゃくちゃだぞ」

大和「もう、だから背後から捕まえて一気にワープしなさいって言ったじゃない」

武蔵「あれほどの強敵を前にそんな事ができるか」

大和「はぁ……。だからあなたが青葉さんで私か鳳翔さんをって言ったのに……」

大和「で?提督ーー」

夕雲「ちょっといいかしら!」

大和「はい?」

夕雲「この後私をどうするつもりなんですか?」

大和「あなたには提督幼児化の謎やその他諸々聞きたい事があります」

夕雲「何も喋らないって言ったら?」

大和「その選択肢はありません。あなたには全て喋っていただきます」

夕雲「ふふっ、武蔵さんよりあなたの方がよっぽど怖いわね」

武蔵「うむ、大和は私より残忍だからな」

大和「武蔵……?」

夕雲「そんなに怖い目に合うなら逃げちゃおうかしら」

大和「私たちから逃げ切れるとでも?」

夕雲「そう言えば光速を超えるんでしたっけ?あと過去にも戻れるとか」

大和「むーさーしー……!また余計な事をペラペラと」

夕雲「確か戻れるのは30分くらい前までで、その力は一度使うと数日は使えないんですよね」

大和「はぁ…………ええ、確かにそうですけど」

夕雲「武蔵さんが現れて30分は経ってるし……つまり今のあなた達はこれから先起こる事は分からないし、数日は過去に戻ってやり直す事もできない」

大和「だからなんなんですか?」

夕雲「フフッ……」

夕雲「提督がいない世界で生きるなんて私には考えられないの。あなた達に取られるなら私は海に沈むわ」

大和「何をバカな……」

夕雲「さよなら♪」

トンッ……

ドボンッ

大和「えっ?ええっ!?」

武蔵「なっ……」

大和「どどど、どうしましょう武蔵、わわ、私、そんなつもりは」

武蔵「落ち着け落ち着け。さっきまでキリッとしていただろ」

大和「すぐに助けに行きます!」

武蔵「待て!それは駄目だ」

大和「でも!」

武蔵「深海へと沈んだ艦娘はもう助けられん。どれほど力を持った艦娘でも海中では無力だ。潜水艦でもない限り」

大和「ならすぐにでも潜水艦の子達を!」

武蔵「今から呼びに行っても手遅れだ。助かろうと海面にいるならともかく、自分の意思で深海に行かれてはな……」

大和「夕雲さん……すみません」

武蔵「今は提督の保護が先だ。とにかく鎮守府に連れ帰り…………」

大和「……武蔵?」

武蔵「おい、大和……提督はどこだ」

大和「そんな、いないわ!どこにも!」

武蔵「バカな……ここは浅い洞穴。逃げ道などどこにも……ん?」

大和「いったいどこに……奥もそんなに深くないですよね?提督ー?どこですかー?は」

武蔵「おい大和、こんな所に穴なんてあったか……?」

大和「穴?知らないわよ。なに?提督が穴を掘って逃げたとでも言うの?」

大和「夕雲さんにしたって艦娘なんですから。陸軍でもあるまいし……」

大和「巨大なモグラにでもさらわれたなんてそれこそあり得な…………」

武蔵「陸軍……モグラ…………」

大和・武蔵「!!」


まるゆ「もぐもぐ~♪もう大丈夫ですよー」

夕雲「…………」

58「みーつけた。さあこれを口につけるでち」

夕雲「……たすかりました」

19「困った時はお互いさまなの!」

カ級「…………」

夕雲「あなたも。これを貸してくれてありがとう」

カ級「…………」

そして深海へ

夕雲「ところであなた達はどうして私を助けてくれたの?」

58「これはギブアンドテイクなのでち!」

19「イク達は提督が今のままの方が嬉しいのね」

8「以前の提督は素晴らしい戦果を上げて飛び級のように精進していきました」

168「でもその裏で私たちは休む暇も無くオリョールへ出撃させられて来たの」

401「悪い人じゃ無いんだけど効率と結果が全てな提督だったからねー」

500「でもでも!提督が帰ってからはお休みたくさんたーっくさん、出撃もしなくて良くて毎日が楽しかったんですって!」

まるゆ「それで提督を探しているときたまたま聞いちゃったんです。提督を元に戻すって」

26「そこで思いついたの。夕雲さんを助けて提督をこのままにしましょうって」

まるゆ「まるゆが岩を掘り進み提督を回収。あとは夕雲さんに時間を稼いで海へ飛び込むように言っただけです」

夕雲「あの時は驚いたわ……最後の最後、鳳翔さんに話しかけられて慌ててあなたに提督を引き渡しましたから」

夕雲「まあ海中に潜ったらもっと驚きましたけど。まさか深海側と仲良くしているだなをつ

58「深海棲艦もそんなに悪いやつじゃないのでち」

19「最初はオリョールで色々あったけど、長いことやり合ってるうちに無駄な争いは避けるようになったのね」

8「私たちはオリョールで最低限の資源だけを持って行く。代わりに戦闘は一切し無い約束をしました」

500「任務で補給艦を倒すように言われた時はやられたフリをして一筆書いてもらうんですって!ねー♪」

ワ級「サンコ、ヤラレタマシタ。ワキュウ」

401「でね、早く帰ったらまた出撃だし一緒に時間潰してる間に仲良くなったの」

168「ヲ級ちゃんとはメアドも交換したんだから」

夕雲「あなた達……意外とたくましく生きていたのね」

夕雲「でも敵は敵でしょ?助けてくれた事に対してお礼は言うけどこれ以上関わるのは止めましょう」

夕雲「それより提督は?」

58「提督ならあの中でち」

夕雲「あの中って……」

ヨ級「…………」

夕雲「あの中!?」

19「こんな深海まで潜ったら普通の人間はペコッでおしまいだから仕方ないの」

夕雲「だからって大丈夫なの?だいたいあの中ってどうなって……」

ヨ級「ンッ……ダメッ、マダ、デナイカラ……デモ、ジョウズ……」ビクビク

夕雲「本当にどうなってるんですか!」

夕雲「とにかく私は反対です!今すぐ浮上してください!」

タ級「偉そうな奴だな。潜水艦には手が出せんが水上艦なら我々でもやれるんだぞ」

ヲ級「ヲ!」

夕雲「だいたいなんなのよ深海棲艦って何のために生まれて……一体何が目的なのよあなた達は!」

500「あっ……」

ヲ級「はじまりは、なんだったのだろう?運命の歯車は、いつ回り出したのか?」

ヨ級「時の流れのはるかな底からその答えをひろいあげるのは、今となっては不可能に近い……」

夕雲「な、何よ急に……」

58「深海棲艦はその辺りの問題にナイーブなのでち」

戦艦棲姫「だが、確かにあの時私たちは、多くのものを愛し、多くのものを憎み……」

空母棲姫「何かを傷つけ、何かに傷つけられ……」

港湾棲姫「それでも、風のように駈けていた……」

飛行場姫「青空に、笑い声を響かせながら……♪」

深海棲姫達「ようこそ、深海へ」

夕雲(囲まれた……)

58「これ以上、刻の傷痕をえぐるのはやめるでち」

夕雲「さすがにこれだけ揃うと精悍ね……」

戦艦棲姫「でっち、コレはどう言う事だ?」

夕雲「あなた……でっちとか呼ばれているのね」

58「実はこの2人をかくまってあげて欲しいのでち」

飛行場姫「ふーん。別にいいわよ?」

夕雲「そんなあっさり……」

空母棲姫「ちょっと待ちなさいよ。2人ってもう1人は?」

500「もう1人はあの中ですって!」

ヨ級「ア……ゥ……」ビクンビクン

港湾棲姫「なにが……入ってるの……?」

夕雲「……小さくなった提督です」

深海棲艦達「!!」

この時深海棲艦に電流走る……!」

戦艦棲姫「提督だと……?」

夕雲(まずいわ……この前深海棲艦が何処かの鎮守府を襲ったって聞いたし…)

戦艦棲姫「お前も艦娘なら知っているだろう。あの鎮守府襲撃事件を」

夕雲「ええ。深海棲艦が大挙して鎮守府を襲撃し、提督を拉致したあの事件でしょ」

戦艦棲姫「巷ではそんな事になっているようだがな、あれは殆どヲ級が1人でやった事だ」

飛行場姫「この子、艦娘を遠くで見ていて提督を欲しくなったんですって」

ヲ級「ちょっと様子を見に行ったら誰もいなくて手薄だったからいけるかなって」

戦艦棲姫「まぁ提督を手に入れる事は我々の悲願だったからな」

夕雲「どうしてあなた達が提督を欲しがるのよ」

戦艦棲姫「指揮官である提督を手に入れれば統率力が格段に上がり、全てにおいて効率が良くなると思っていた」

空母棲姫「愛が欲しかったのよ」

飛行場姫「雄が欲しかったのよ」

戦艦棲姫「理由はそれぞれだが提督を必要とする気持ちはお前達艦娘とおそらく同じだ」

戦艦棲姫「ところが我々は提督という生き物に幻想を抱きすぎていたようでな……手に入れた提督は思っていた物とはかけ離れていた」

飛行場姫「まず気持ち悪いおっさんだった時点でねぇ」

空母棲姫「なんか夢に出てきた駆逐艦とケッコンするとかいってて本当ありえないから」

タ級「しかも無能で役立たずだった」

港湾棲姫「北方棲姫は泣いていた……」

戦艦棲姫「まぁ色々あってその提督はイカダに乗せ返却したわけだ」

戦艦棲姫「それから私達の提督に対する考えは変わってしまった」

空母棲姫「なぜ艦娘があんなのに夢中になるのか理解できないわ」

タ級「なんか苦い臭いがずっとしてたし」

戦艦棲姫「なのでその提督をかくまうかどうかはよく吟味させて貰う」

空母棲姫「無能はいらない。おっさんもいらない。臭いのも気持ち悪いのもお断り」

飛行場姫「見た目もねー」

夕雲「くっ……」

ヨ級「ジャア、ダスヨ……ァンッ……」ズルン


夕雲「提督!ああっ、こんなネバネバドロドロに!」

戦艦棲姫「合格」

空母棲姫「合格」

飛行場姫「種付」

タ級「いただきます」

港湾棲姫「北方棲姫の友達に……」

戦艦棲姫「安心しろ。それはただの体液だ」

夕雲「こんなにネバネバで息ができなくなったらどうす……あ、あれ?息が……」

戦艦棲姫「いずれ提督を迎える気だったからな。人間は酸素がないと生きていけないらしい。なのでドームのようにフィールドを貼り酸素を供給している」

空母棲姫「ただし酸素はイ級の尻から出るがな」

タ級「イ級は口から二酸化炭素を取り込み尻から酸素を出す」

飛行場姫「つまり提督はここでずっと生きていけるわけ♪水圧もないし♪」

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2016年07月04日 (月) 23:36:13   ID: -3Xt8uFd

いかづちをかみなりってかいてんのか。
ていうかもう四人ともひでぇな(笑)

2 :  SS好きの774さん   2016年07月28日 (木) 15:35:42   ID: gnWcO8rx

霞は堕ちないよね...?

3 :  SS好きの774さん   2016年07月28日 (木) 16:13:44   ID: PnEG5srb

このスレすこだ…w

4 :  SS好きの774さん   2016年07月29日 (金) 04:07:26   ID: nbwESj0n

ママァー!!

5 :  SS好きの774さん   2016年07月31日 (日) 00:02:32   ID: Hc9nrJx3

霞ママー!

6 :  SS好きの774さん   2016年08月14日 (日) 07:18:18   ID: y6pyr8Mq

期待

7 :  SS好きの774さん   2016年08月20日 (土) 01:35:05   ID: KcKdlEd_

おもろかった

8 :  SS好きの774さん   2016年08月27日 (土) 06:39:48   ID: z0W0YdVx

えっこれでおわり?

9 :  SS好きの774さん   2016年10月03日 (月) 13:29:45   ID: zcdB_q9j

なんというダメ提督製造鎮守府

10 :  SS好きの774さん   2016年10月28日 (金) 17:13:46   ID: 8Nq7PWRO

授乳の流れでなぜか吹いてしまった

11 :  SS好きの774さん   2016年12月07日 (水) 09:52:05   ID: 8xzEw9Rw

吐きそうなくらいマジキチだな…こぇぇ…

12 :  SS好きの774さん   2016年12月21日 (水) 10:24:10   ID: A0sTwZc5

雷、浦風、夕雲、霞は私の母となってくれるかもしれない女性だな

13 :  SS好きの774さん   2017年01月08日 (日) 23:57:17   ID: QJrGv0BP

雷がフェードアウトしていく…

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