【モバマスSS】お題は星の数だけ 3夜目 (197)

こんばんは、ガチャの闇が深いのでSSを書きたいと思います
まずは>>3のお題を頂戴します

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1467201842

打倒不運

では「打倒不運」でひとつ
短いかもしれませんがご容赦を
口調などは目をつぶっていただければ……

こんばんは、白菊ほたるです

アイドルをやらせてもらってます

え? 名前が何か不幸っぽい?

あ……貴方もそう思うんですね、否定はしませんけど

でも、私も精いっぱい生きてるんです

これは、私が今のプロデューサーさんと出会うお話

「はぁ……また駄目になっちゃった」

ため息と共に呟く

またプロダクションがつぶれちゃった

私のせいなのかな? 私のせいなんだろうな……

これで何回目なんだろう

まだ片手で数えられるけど、記録更新しちゃうかも

「アイドル、辞めちゃおうかな……」

夢だったアイドル

でも、私なんかができるわけない

何回も大丈夫って自分に言い聞かせてきたけど……

ひっそりと生きたほうがいいのかな?

私みたいな子は迷惑をかけずにひっそりと……

「すみません、少しよろしいですか?」

突然声をかけられてびくりとしてしまう

「は、はい……何でしょうか」

くるりと後ろを振り返る

「ひっ……!」

ものすごく大きな男性が立ってました

黒いスーツをきて、その……目つきが怖いです

ああ、ヤのつく人なんだなと思いました

私、何かしちゃったのかな?

あ……心当たりが多すぎてわからないや

前のプロダクション関係かな? それとも始めのプロダクションかな?

考えがまとまりません

でも、不思議と怖くありませんでした

どうにでもなれ、と思っている自分もいたのも事実です

「私に何かご用ですか?」

勇気をだして声をだす

ちらりと男の人をみると、目が全然笑っていなかった

お金のかたに売られちゃったりするのかな?

ひどいことされちゃうのかな?

いろんな考えが頭の中でぐるぐるします

……痛いのは嫌だなぁ

一人で考え込んでいた時、男の人が口を開きました

「私、こういう者です」

名刺を差し出され、目を通す

346プロ シンデレラプロジェクトプロデューサー

そこにはそう書かれてあった

346プロ? いくつもの部門を抱える大手のプロダクションだ

そのプロデューサーがなんで私なんかに?

「話を聞いてもらいたいのですが」

まだ疑問が解けないけど

「は、はい……」

弱弱しく返事をした

「では、近くのカフェにでも移動しましょう」

首筋に手をあててプロデューサーさんが言う

何故か、ほっとしたような顔をしているように見えた

カフェに着くまでにさんざんな目に合った

主にプロデューサーさんが……

警察の人に不審者と間違われたり

怖そうな人に絡まれたり(プロデューサーさんのほうがお顔怖いですけど……)

わんちゃんに噛まれそうになったり……

でも、プロデューサーさんは平然としていた

顔色を全然変えない人なのかな?

それとも我慢強い人なのかな?

にこりともしないけど、怒ったり、嫌そうな顔もしない人だった

「さ、着きましたよ」

いつの間にかカフェに着いたみたい

カフェっていうか、お城?

随分大きな作りの……

「好きなものを注文してくださいね」

こんなところにカフェがあるなんて知らなかった

周りをきょろきょろしてみる

スーツ姿の男性や若い女性

ん? あの女の子見たことあるような気がする

「あの、どうかしましたか?」

顔が近くにあったので「ひっ!」と情けない声をだしてしまった

「失礼しました」

首に手をやって謝られた

癖なのかな? さっきもそうだけど、このときのプロデューサーさんは少し可愛く感じる

「い、いえ……ではアイスココアをお願いします」

「わかりました」

そういうやいなや手を上げるプロデューサーさん

はーい! ご注文ですね! きゃはっ☆と可愛らしいウエイトレスさんがやってきた

「アイスコーヒーとアイスココアを一つずつお願いします」

かしこまりましたご主人様♪ とウエイトレスさんが去っていく

ここはメイドカフェというところなのかな?

メイド服っていうのかな、制服もそんな感じだし

私もああいうの似合うかな……?

「あの衣装が気になりますか?」

心を読まれたかのような質問に体が飛び上がるかと思った

「べ、別に……どうせ私にには似合いませんから」

うん、きっとそうだ

私には、あんなに笑顔が似合うメイドさんは似合わない

「私はそうは思いませんが」

えっ?

「貴女には魅力がある、それをまだ引き出されていないだけです」

何回もそういう言葉は言われてきたけど……

なんだろう、この人の言葉は違った

上辺だけじゃない、心に響く言葉だった

「でも、私がいるとプロダクションがつぶれちゃいますよ?」

これまでだってそうだったんだ

きっと、これからも……

「いえ、私が何とかします」

止めてください

私を……その気にさせないでください

また夢を追いかけたくなっちゃうじゃないですか

「私の不幸体質で皆さんに迷惑がかかっちゃいますよ?」

「私のアイドルたちは大丈夫です」

いいんですか? もう一度目指しても

「でも、私なんかじゃ……」

「いえ、貴女だからです」

アイドルになってみませんか? そう言ったプロデューサーの顔は今でも忘れない

……あれ、おかしいな?

目の前がぼやけちゃう

まるで泣いてるみたい

「あ……何か気に障ることでも言ってしまいましたか?」

おろおろと、焦ったようにこちらを心配してくれる

たった数十分の間に、こんなにも心を動かされちゃった

ああ、この人となら私は……

「私……やります、やらせてください」

もう一度、もう一度だけ頑張ってみよう

この人となら、私の不幸体質だって……

「良い返事が聞けて嬉しいです、お名前を聞かせてもらってもよろしいでしょうか?」

今日からまたアイドルができる

私をきちんと見てくれる人のもとで

「白菊ほたるです。笑顔の似合うアイドルになりたいです」

精いっぱいの笑顔で

打倒不運とはいかないかもしれないけど

この、小さな幸せを忘れないように……



おしまい

読んでくれた方に感謝を
そして、お題ありがとうございました
ほたるちゃん不幸可愛いですね
次は>>24のお題を頂戴します

李衣菜「皆に内緒でバイクの免許を取った」

では、李衣菜「皆に内緒でバイクの免許を取った」でひとつ
短いかもしれませんがご容赦を
口調などはロックな心で目をつぶっていただければ……

かっこいいなぁ……

目の前にはなつきちの愛車

青い色の格好いいバイクが停まっている

GSX400カタナっていうらしい

バイクにカタナなんて名前つけちゃうなんてロックだね!

私もほしいなぁ……

私の視線に気づいたのか、なつきちがニヤニヤとして言う

「何だよ、だりー、そんなにバイクが気になるのか?」

「べっ、別にそんなことないよ!」

あーこれはばればれだよねぇ

「ふーん、そっか」

まだニヤニヤしてる……

「どうせなら免許とっちまえよ」

またからかわれる、そう思っていたのに

「17歳なら中型とれるぜ?」

なつきちと同じバイクに乗れるの!?

……どうしよう、すごく迷う

いつも後ろに乗せてもらってばかりだけど

なつきちの隣で一緒に走ることができる

「さすがにバイクは貸してやれないけど、勉強にはつきあうぜ」

……やっぱりすぐには答えがだせない

「やっぱりいいや」

そんな言葉を口にしてしまった

「そっか、気が変わったら相談してくれ」

ちょっとがっかりしたなつきちの顔

はぁ、私って優柔不断だな、なんて思った

その日はなかなか寝付けなかった

バイクのこと、なつきちのこと

……なつきちに話してみようかな

でも、今更言うのもロックじゃない気がする

よし! と気持ちを入れ替えてスマホを手繰り寄せる

いろいろと調べてみよう

正直な話

あのバイクは大きすぎる

スピードも凄い出るし、だいぶ怖い

転んじゃったら私ひとりじゃ起き上がれないと思う

もっと小さくて、私ひとりでも乗れそうなもの

……あ! これならもしかして

ほっとしたのか、そのページを見たまま、いつの間にか寝ちゃってた

んん……今何時だろ

スマホのロックを解くと、寝る前のページが出てきた

あ、これ見てて寝ちゃったのか

改めて上から下までスクロールして見てみる

うん、これなら何とかなる気がしてきた

今日の朝は昨日の夜よりすっきりとした目覚めだった

朝ごはんを食べて、事務所に行く途中に本屋さんに寄る

お目当ての本は……あった!

タイトルは『原付免許 一発合格!』

何て分かりやすいタイトルなんだろう

シンプルイズベストって感じで嫌いじゃないけどね

さてさて、これで勉強に勤しむとしますか!

お会計の時にカバーをかけてもらった

皆にばれちゃうと、なつきちにもばれちゃうからね

今回は自分の力だけで何とかしたい

この気持ちはにわかじゃないんだから!

そう強く思った

お客様、お釣りをお忘れです……

「あ、すみません……」

かっこわるいなぁ、私

それからは原付免許所得にむけて勉強を頑張った

移動中、レッスンの休憩中、ご飯の時

とにかく時間があれば本に目を通す

夏休み中で学校もないし、時間だけはある

でも、お仕事がきつい日はめげそうになった

試験前日の夜、最後の模擬試験

んー、文章のひっかけがいやらしい……

あれ? こんな標識あったっけ

思い出せ、思い出すんだ私

なつきちと一緒にバイク乗るんだ

試験当日の朝が来た

準備はばっちり、ぬかりはない、はず……

昨晩の模擬試験でも合格ラインだったんだから

ここまで来たら自信をもって試験を受けよう!

いつも通りの朝の支度をして、いつもとは違う電車に乗った

試験会場に着く

凄い混んでる……変装ばれないかな

キャップを深く被りなおす

アイドルだし、一応ね……

周りは男の人ばっかり、女の子は少ししかいない

「大丈夫かな」

ぼそりと呟いて、はっとする

こんなことじゃロックアイドルになれないよ!

ぱしっと軽くほっぺたを叩いた

受験料などのお金を払った後に適正試験を受ける

一万でお釣りがくるのは嬉しいかも

適性試験のほうは問題なく終わった

健康な体ってロックだよね

そしてやってきた試験本番

時間は30分かぁ、テストみたいで緊張するなぁ……

合格ラインは90%以上

わからなくなった問題は後回しにして、わかる問題を解いていく

良いペースで問題を解けていける

最後まで復習をした甲斐があった

……そして残った解けていない問題

これはひっかけなの? それとも素直に解いちゃっていいの

刻々と時間が迫ってきている

最終的にわからなくて、どちらにしようかなをしてしまった

なつきちの言う通り、か、みくちゃんの言う通り、で悩んだ挙句なつきちを選んだ

ごめんね? みくちゃん

「ぷはっ」

冷たいお茶が喉にしみる

さて、あとは発表を待つだけだ

ドキドキして結果を待つ

こんなにドキドキするのはデビューが決まった時以来かも……

あ、周りがざわつき始めた

そろそろ発表なのかな?

ああ、受かってますように

そう思ったと同時くらいに電光掲示板が数字を映し始めた

まだ私の番号は光らない

まだまだ

あ、そろそろ……

たまにつかない数字が怖くなって

もしかしたら自分の数字もつかないかも……なんて弱気になった

やっぱり、怖い!

ぎゅっと目をつぶる

うう……目をあけたくないなぁ

もう自分の番号の合否は出てる、はず

あーうー! ……えーい、見てやる!

ぐっと目をあけ、られずに薄目にして

がっと顔を上げ、れれずに上目使いで

ゆっくりと電光掲示板を確認する

あれ? な……あった!

やったぁ! 私合格したんだ!!

「うっひょー♪」

嬉しさのあまり、叫んじゃった

視線が私に集まる

失敗失敗、気をつけなきゃ

誰にというわけじゃないけど、お辞儀をしておいた

なつきちに見せて驚かせてやろうかな

どんな風にすれば驚くんだろ?

もしかしたらもうばれてたりして……

そ、そんなことないよね

とにもかくにも、初めて手にした免許証

なつきちみたいに大きなバイクは乗れないけど

一緒に走ることはできるはず

どれが良いかは決まってないけど

色はおそろいにしたいな


お気に入りのヘッドフォンを耳にかける

流れる曲はもちろんロック

今日から新しいリーナをお披露目しちゃおう

私、どんどんロックアイドルになってるよね?

このまま、なつきちを追い越しちゃうかも……





おしまい

読んでくれた方に感謝を
そして、お題ありがとうございました
 
そろそろ寝ます
再開は22時頃から……

こんばんは
時間ができたので一つ書きたいと思います
>>58のお題を頂戴します

茄子カワイイ宣言

では「茄子カワイイ宣言」でひとつ
短いかもしれませんがご容赦を
口調などは目をつぶっていただければ……

「ふふーん、もっと私を褒めてもいいんですよ」

何水何子さんかと思いました

「ええと、鷹富士さんはモノマネが上手いですね」

相手の本意がわからないので、とりあえず褒めておく

うん、特徴をよくとらえたドヤ顔ですね

何かこう……お腹をこう、ね?

「……あれ?」

あれ? はこっちのセリフなんですが

「おかしいなぁ、こうすれば構ってくれると思ったんですけど」

はぁ……話が全く見えないですね

「構うも何も、人の膝の上に乗っておいて何を言うんですか」

そう、先ほどから鷹富士さんは私の膝の上に乗っている

「あ、もしかして重いですか!?」

そんなに不安そうな顔をしないでください

軽すぎて、こっちが不安になってしまいます

「いいえ、軽すぎてびっくりしています」

ちゃんとご飯は食べてますよね?

「良かったぁ、重いって言われたら泣いてるところでした」

あはは、と笑う鷹富士さん

「で、なんで私の膝の上に乗っているんですか?」

何言ってるんだこいつ、みたいな顔で見ないでくれますか

貴女はこんなキャラでしたっけ……

「最近、プロデューサーは私に構ってくれません」

意を決したような表情で

「なので、こうしてアプローチすることにしたんです」

力強く宣言する鷹富士さん

んー、訳がわからないですね

確かに最近忙しかったのは事実ですが

このプロダクションの大人アイドルは少し子供っぽすぎませんか?

「もう、話を聞いてるんですか?」

ぷくっと頬を膨らませて怒られた

鷹富士さんはこういう表情も似合いますね

「ほら、もっと私を褒めても良いんですよ?」

息を吸いこんで言う

「私は可愛いですから!」

胸を張ってドヤ顔をされている

何水さんと違って、胸部に破壊力がありますね、はい

「何をお望みなんですか?」

素直に聞くことにしました

「プロデューサーさんは鈍感ですねぇ」

鷹富士さんにこんなセリフを言われるとは……

「それに私の可愛さをわかっていませんし……」

いや、それは十分にわかっているつもりですよ

「いえ、鷹富士さんは十分に可愛いですよ?」

あ、綺麗と言ったほうが良かったですかね

綺麗ですし、可愛さも備えているというのが正しいかもしれません

一人でうんうんと頷く

「そ、そうですか、私は可愛いですね」

ええ、自信を持っていいと思います

「あ……」

ドヤ顔をしたと思ったら今度は真っ赤になってしまいました

先ほどの言葉もおかしかったですし、もしかして混乱しているのでしょうか

ここはこのまま押し切ってしましましょう

がしっと彼女の肩を掴む

「えっ、えっ? 何するんですか」

怯えた表情も新鮮です

ですが、私を見くびらないでいただきたい

「鷹富士さんカワイイ!」

相手の目をしっかりと見て、言葉を続ける

「鷹富士さん幸運カワイイ!」

ああ、涙目の貴女も素敵です

きっと、彼女の頭の中はパニックになっていることでしょう

「鷹富士さん無邪気すぎカワイイ!」

思いのたけをぶつけてしまいましょう

「鷹富士さん……えーと、とにかくカワイイ!」

褒めることがなくなってきてしまいました

「プロデューサーさん……?」

そんなに震えないでください

んー、楓さんとはまた違った魅力がありますよね

こう、いきすぎていないというか

隣人がこんなお姉さんだったら素敵だと思いませんか?

「わ、わたし……」

おや、うつむいてしまいました

「鷹富士さん?」

何か変なこと言ってしまったのでしょうか

「……は」

「なんですか?」

弱弱しい言葉が聞こえる

「プロデューサーさんはこんな女は嫌いですか?」

いいえ、嫌いならこんな対応はしません

「貴女は私がスカウトしたアイドルですよ?」

これが答えです

貴女をスカウトしてからこのプロダクションの人気はうなぎ登りです

彼女にも日々ファンが増え続けている

それに、こんなに魅力的な女性を嫌いになるなんてあり得ない

「カワイイ貴女をもっと褒めても良いんですね?」

優しく問いかける

彼女が再びドヤ顔ができるように

「も、もちろんです! 私はカワイイですからね」

泣きながら彼女は笑う

自分が泣かせてしまったと思うと罪悪感がある

けれど、これからもっと彼女のカワイイ面も見てみたいと思った

「プロデューサーさん、カワイイ私をもっと褒めてくださいね♪」

……よし、今日は褒めつくしてみよう



おしまい

読んでくれた方に感謝を
そして、お題ありがとうございました
こうですかわかりません><

少し燃料が足りないので補給してきます
続きは22時ころから……

補給をしつつ書きたいと思います
>>78のお題を頂戴します

大人組の前で仁奈がPのことをパパと呼ぶドッキリ

では「大人組の前で仁奈がPのことをパパと呼ぶドッキリ 」でひとつ
短いかもしれませんがご容赦を
口調などは目をつぶりやがれですよ……

それはちょっとした悪戯のつもりだった

仁奈にパパと呼ばせてびっくりさせる

すぐに種明かしをして笑って終わり

そう……なるはずだったのに

「パパ」 この一言が起爆剤になることになる

いつもの関係にひびが入ることは本当に恐ろしい

いつもの事務所

皆、各々とことをしている

何気ない風景にほっとするが

ここでちょっとした悪戯を思いついて、仁奈を手招きする

「なんでごぜーますか?」

今日はペンギンかぁ、可愛いね

頭を撫でながら言う

「悪戯を思いついたんだ、仁奈に協力してほしい」

んー、と考えこんだ仁奈は「皆が泣かない悪戯ならいいでごぜーます」と了承してくれた

「わかった」

早速、悪戯の内容をおしえるべく仁奈の耳元で内容を教える

内容は簡単、仁奈に自分のことをパパと呼ばせるだけだ

くだらない悪戯ではあるが、何人かは笑ってくれるだろう

そう、笑ってくれるはずだったのだ

そう信じていた俺に説教をしてやりたい

「パパー」

よし、演技スタートだ

「どうした仁奈? まったく甘えん坊だな」

流石というか何というか

本当の父親に甘える娘のような……

愛情に飢えているのかな、などと思った

「パパ! お仕事頑張ったから褒めやがれです」

「そっか、仁奈は偉いなぁ」

娘ができたらこんな感じなのだろうか

……悪くないかもしれない

仁奈の頭をこれでもかと撫でる

そして、周りをちらりと確認してみる

仁奈を見て、ほほ笑んでいると思っていた

しかし、現実は違った

……皆、笑ってなどいない

空気が……重い

凄く居づらい気がする

ある者はぶつぶつと呟き、ある者は能面のような笑顔をしている

あ、これ駄目だ

そう思った時には全て遅かった

「プロデューサー、いえ、お父さん」

留美さん? お父さんだなんて止めてください

「いえ、私が仁奈さんのお母さんなのだから、貴方はお父さんでしょ?」

ええ……

「仁奈ちゃん、ママと遊びましょ?」

美憂さん? 何言ってるんですか

「だって、パパがいたらママがいないと……」

そのしぐさは色っぽいですが、訳わかんないです

「ほーら、仁奈ちゃん、向こうで警察24時ごっこしよっか」

早苗さん、そのごっこ遊びは教育上よろしくありません

「やだ、私ったらごめんなさい」

口に手をやり、慎ましく謝られた

こんな表情もできるなんて驚きました

「仁奈ちゃん、ママとお昼ご飯食べましょうか」

満面の笑顔で仁奈ちゃんを連れて行こうとする楓さん

あれ、貴女はこういうの興味ないかと思いましたが……

「プロデューサーさん……いえ、パパ」

言いなおさなくていいですよ?

「私も女ですから」

ぱちりとウィンクされた

いつも穏やかな人たちがどうして……

仁奈も困っているだろうと、横目で仁奈の様子を伺う

「……ママが、ママがいっぱいでやがります♪」

まぶしすぎる笑顔をしていた

何で仁奈もこんな反応を……

気付く、いや、気付かされた

仁奈は普段から親御さんからの愛情に飢えているはずだ

こんな状況なら、火に油を注ぐようなもの……

今の仁奈からすれば、甘えられる人(ママ)が増えた

小さな子供なら我慢しろってのが無理な話だ

「パパ……ママと遊んじゃだめですか?」

仁奈……

「駄目なわけないだろう、パパも一緒に遊ぶよ」

「やったー♪」とはしゃぐ仁奈

それと同時にじゃんけんをしだす大人組

それはもう、壮絶なじゃんけんだった

「トップバッターは私よ」

ふふんと不敵にほほ笑む留美さん

「留美ママですね」

「あ、貴方にそう呼んでもらえる日がくるなんて……」

あの、ガチ泣きはやめてくださいますか?

「留美ママー、何して遊ぶですか?」

妹がたくさん居る話は何件か思い付くが、母親が複数居るのはカオスだ…

はっとしたように留美さんが反応する

「そうね、遊ぶ前にお腹空いてないかしら?」

返事をする前に、くぅっ、っと音が聞こえる

「仁奈、お腹空いたです」

えへへ、と笑う仁奈

「そういえば俺も腹減りましたね」

「そうだと思ったわ」

そして、カートを引っ張ってきた

え? それどこから用意してきたんです?

「そうだと思ったわ」

そして、カートを引っ張ってきた

え? それどこから用意してきたんです?

「細かいことはいいの。まずは召し上がれ」

出てきたのはハンバーグとご飯とみそ汁

どれも美味しそうな匂いだ

「仁奈、頂きますしようか」

仁奈はハンバーグにくぎ付けになっている

子供はハンバーグ好きだよね、俺も大好きだけど

「「頂きます」」

……どれも美味しくて、仁奈も俺も大満足だった

「さぁ、次は私よっ!」

あの、対戦相手じゃないですから

もう少し静かにお願いできます?

「仁奈ちゃん、水遊びでもしない?」

あ、話は聞いてもらえないんですね

「仁奈はペンギンですから遊びてーです!」

今日は暑いから、気持ちよさそうだなぁ

「よーし、じゃあ決定ね」

あれ? このビニールプールはいつの間に?

「よっと」

おもむろに洋服を脱ぎだす早苗マ……さん

「何してるんですか!?」

「あ、水着来てるから安心して」

にしても、目の前で着替えることはないでしょうに……

「夫婦なら大丈夫でしょ♪」




……眼福でした、仁奈も楽しんでもらえたみたいだ

「次は……私です」

俺に立ちはばかるのは……美憂さん!

「美憂ママー」

とびかかるような勢いで抱き着く仁奈

「仁奈ちゃんは甘えん坊さんね♪」

あ、美憂さんが一番ママっぽいな

……とは声に出していえるわけなかった

「仁奈ちゃん、ママと一緒にお昼寝しましょうか」

留美さんのご飯を食べて、早苗さんと水遊びをして

子供が寝ちゃう要素満点だな

「美憂ママー」

仁奈がぽやぽやと返事をする

「お布団はあっちよ」

手を繋ぎながら移動する姿はまさに親子そのもの

くいっと袖をひっぱられる

美憂マ……さん?

「パパも一緒に……この子も寂しがるので」

「そうですが、俺は一応男ですよ?」

「親子は川の字で……寝るんですよ、ね?」

……頬を染める美優さんにぐっときました

仁奈もぐっすり寝ているみたいだ

「真打の登場です!」

かっこいいポーズですね楓さん

でも、仁奈が寝てるので静かにお願いします

「うふふ、良く寝ていますね」

つんつんと仁奈のほっぺを突いている

「今日はありがとうございました」

なんだかんだで皆さんのお世話になってしまった

「いいえ、気にしないでください」

「ママは娘のために頑張れる生き物ですから」

楓マ……さん

「さて、これからは夫婦の時間ですね」

あ、嫌な予感がする

「この子も一人じゃ寂しいと思いませんか?」

おもむろにシャツに手をかけながら言う

「弟か妹を作りましょ、お父さん?」




……危ないところだったけど残りの三人が止めてくれた

ふぅ、今日は疲れたなぁ

同じ布団で寝ている仁奈はまだ夢の中

子供がいる生活も悪くなさそうだ

俺もそろそろ考えないといけないかな……

「んぅ……パパぁ」

はいはい、ここにいますよっと

「「「パパ♪」」」

皆さん勘弁してください……




おしまい

読んでくれた方に感謝を
そして、お題ありがとうございました
眠いので寝ます


再開は午後あたりから……


(主に公式関連で)仁奈ちゃんを見かけると「俺がパパにならなきゃ(責任感)」という気持ちになる

こんにちは
一つ書きたいと思います
>>112のお題を頂戴します

料理対決

では「悪質なセクハラファンにからまれる文香・ありす」でひとつ
表現はマイルドですがご容赦を
口調などは目をつぶっていただければ……

失礼しました
「料理対決」でひとつ
短いかもしれませんがご容赦を
口調などは目をつぶっていただければ……

腹減ったな……

この一言が事の発端になった

まゆと響子、家事スキルが高い彼女たちが料理対決をすることと相成った

別に対決じゃなくても、両方とも食べるよ?

俺のセリフは無視されることとなり、続行となる

女子って怖いなぁ

「うふ……やっぱり和食ですよね」

こちらはまゆサイド

油をあまり使わない和食、塩分はお察しください

素早い手つきで調理に取り掛かっている

お、土鍋を用意したのか

ふっくらと炊き上がり、おこげができるのが素晴らしい

「まゆちゃんが和食なら、こっちは洋食で」

こちらは響子サイド

並ぶ食材は和食とはだいぶ異なる

パスタが見えることから洋食なのだろう

色とりどりの野菜がまぶしい

「プロデューサーさんの好みはわかってるんですよぉ」

丁寧にだしをとり、これはみそ汁だろうか

あ、なめこが鍋に投入された

なめこは食感が楽しくてみそ汁の具としては嬉しい

一度沸騰したら、火を止めて味噌を投入する

味噌の風味が飛ばないようにする細かな仕事だ

「さて、どんどん行きますよぉ」

小さな鍋をふたつ取り出しコンロにかける

取り出したのは切干大根

続いておあげに、ニンジン

切干大根は実家でよく食べてたっけ

副菜としてなかなか強力なやつだ

「こっちも負けないからねっ」

響子が野菜をカットしはじめた

トマト、レタス、きゅうりに茄子

茄子以外はサラダに使うのだろうか

茄子は塩を振ってあく抜きしているようだ

そして取り出したるはトマト缶

「まだまだいくよー」

フライパンが温まったらチューブのニンニクと、輪切りのとうがらしを入れた

しばらく炒めて、匂いを引き出したらトマト缶を入れる

甘味がでるくらい煮こむのだろう

その間に別のフライパンで茄子を炒めだした

そこで同時にツナ缶を投入

茄子がツナの旨みを吸ったところで煮込んでいる鍋へ

これはシチリアーナか

トマト、ツナ、茄子が織りなすのはいくら食べても飽きない味

まゆのように響子も俺の好みを熟知しているようだ

「まゆも頑張ってますよぉ」

頬をぷくりと膨らませてこちらにアピールする

いつの間にかぶつ切りにしたイカを煮込んでいる

……後から入れられるのはもちろん大根

この二人のコンビネーションはすさまじいの一言だ

「うふっ……」

まゆが笑みと取り出したのはちいさな木の樽のようなもの

そして、あたりに立ち込めるこの匂いは……

「まゆの手作りですよぉ」

糠漬けか! アイドルとして忙しいのに糠床の世話までしていたというのか

これは俺も愕然としてしまう

綺麗な色をしたきゅうりに茄子、それにニンジン

程よく漬かっていて実に美味そうだ

ああ、あれで白飯をかっ食らったら最高だろう

この料理対決、わからなくなってきたぞ

いつの間にか自分も楽しみになってしまっている

残り五分です。アナウンスが入る

この声はちひろさんか

姿が見えないと思ったらこんなことしてたんですか

貴女もノリノリなんですね……

両者ラストスパートとかける、お互い器に盛りつけた後にタイムアップを告げるベルが鳴り響いた

まゆも響子もやり切った顔をしている

二人の表情からして期待が持てると言うものだ

俺の腹の虫はさっきから大音量を奏でている

「どっちの料理を先に食べれらるんだ?」

俺の発言の後に急いでじゃんけんをし始めた

早く食べさせてくれ……

「まずは私の料理を食べてくださいね♪」

じゃんけんに勝利したのは響子

まゆ、世界の終わりみたいな顔をしないでくれ……あとできちんと食べるから

「どうぞ召し上がれ」

サラダにスープ、そしてメインのシチリアーナ

鮮やかな色が食欲をそそる

まずはサラダから頂こう

トマトにきゅうり、レタスと普通のサラダだ

しゃっきりとした野菜の歯ごたえが良い

ん、このドレッシングは手作りか

玉ねぎを細かく刻んだ酸味が強いドレッシング、これが実に美味い

すっきりとした味わいが食欲を増進させる

次はスープを頂く

これはビシソワーズ、ジャガイモを使った冷たいスープだ

滑らかな口当たりとジャガイモ優しい味が嬉しい

これまた手作りのクルトンが良い味を出している

飲み進めていくとスプーンが柔らかな層に当たった

まるでゼリーのような感触

恐る恐るすくって口に入れる

これはコンソメのゼリーか、某グルメ漫画で見たことがあるが実在するとは……

ビシソワーズの味を損なうことがないバランス感はさすが響子といたところだ

ではメインのシチリアーナを頂くとしよう

このパスタだけは先に二品と違う暖かな料理

良い匂いがあたり一面に広がり、唾液の分泌が止まらない

はやる気持ちを抑え、フォークにスパゲッティを巻き付ける

頂きます、と心の中で唱え、フォークを口に運ぶ

……これは、美味い!

スパゲッティは程よい硬さにゆでられている

そこにトマト、ツナの旨み、そして茄子

いくつもの味が口の中を楽しませてくれる

これがパスタ料理の醍醐味と言えるだろう

「ごちそうさまでした」

いやぁ、美味かった

響子の料理はいつ食べても上手いなぁ

ありがとうと響子に言うと俯いてしまった

しかし、これはまゆにとって不利な勝負になるんじゃないだろうか?

「大丈夫ですよぉ、プロデューサーさん♪」

俺の考えを読んだのか、まゆが笑う

腹が少し満たされた俺にどう食べさせてくれるのか楽しみだ

「さぁ、私の番ですねぇ♪」

おお、これぞ日本の食卓という光景だ

白飯、みそ汁、漬物、そして煮物

最近実家に帰ってないなぁ……母ちゃんの手料理食いたいな

「では、いただきます」

「召し上がれ♪」

まずはみそ汁から頂く

一口飲むとだしの香り、そして赤みその絶妙な塩加減

具はなめこと豆腐か

これも俺の好みドストライクだ

白飯にかけて食べたいが我慢する

次は煮物だ

照りと匂いが素晴らしい

では、いただきます

箸でイカと大根を掴み、口の中へ

……柔らかな大根とイカの食感

そしてこの味付け

体が白飯を求めている

急ぐように茶碗から米を口の中に入れる

あっつ! 炊き立てをはふはふしながら食べる

日本人しかわからない幸せだわこれは……

箸が止まらないとはまさにこのことだろう

凄いいきおいで煮物と白飯がなくなっていく

「お漬物を忘れないでくださいねぇ」

おっと、これは失礼

糠漬けの独特な風味、そして、しゃっきりとした食感

箸休めとして最高だ

この若さでこの味を出せるとは驚愕の一言だ

「ごちそうさまでした」

はぁ……食った食った、もう食えない

久しぶりに手料理を満喫できた

たまにはこういうのも悪くないかもしれない……

「プロデューサーさん、どちらの料理が美味しかったですか?」

もう少し余韻に浸りたかったのに……

「これ答えないとだめですかね」

「駄目です♪」

即答ですか、ちひろさん……

二人からの視線を感じる

笑っているが、目の奥から伝わるそれは少しだけ怖い

……実に困った

優劣なんてできればつけたくないのだろうが

「響子ちゃん」

「はい、まゆさん」

お互いに見つめあい頷く

「次は食べさせっこ対決にしましょうか♪」

「そうですね、プロデューサーさんも決められないみたいですし」

え? もうお腹いっぱいだよ俺

「あープロデューサーさんがはっきり言わないからですね♪」

思いっきり他人事ですよね、ちひろさん

……逃げちゃおうかな……逃げられないよなぁ

この二人を目の前に新たに覚悟をし直すのだった


おしまい

読んでくれた方に感謝を
そして、お題ありがとうございました
少し席を外します

再開は夜くらいから……

再開します
>>148のお題を頂戴します

悪質なセクハラファンにからまれる文香・ありす

では「悪質なセクハラファンにからまれる文香・ありす」でひとつ
短いかもしれませんがご容赦を
口調などは目をつぶっていただければ……

ふう……

今日も疲れました

最近は仕事にも慣れてきたのですが、忙しさには慣れません

けれど、楽しいこともたくさんあるんです

私の先輩でもある、鷺沢文香さん

彼女とおしゃべりするのがとても楽しいんです

「お疲れ様です」

事務所の扉をあけて、周りを見る

今日は誰がいるのかな

あ、ソファの所に文香さんがいます

何やらスマホを構っているみたいです

「文香さん、お疲れさまです」

「きゃあ! ……あ、ありすちゃん?」

慌ててスマホを隠す文香さん

「はい、ありすです」

急に声をかけてびっくりさせちゃったのかな

「すみません……私、ぼーっとしてて」

「私こそ急に声をかけてすみません」

二人で同じようにお辞儀をして謝る

「あはは、二人で同じことしてますね」

タイミングも一緒で、なんだか面白い

「ふふ……そうね」

文香さんも口に手を当ててくすくすと笑っている

「そういえばスマホで何を見てたんです?」

あれほど慌ててたので気になってしまった

「ぁ……」

え?

文香さんの顔が凍り付いた

「文香さん?」

今まで見たことがない表情に驚いてしまう

何故だろう、凄く不安になる

いつも伏し目がちな文香さんは完全に俯いてしまった

「だ……だいじょう……ぶ」

ぼそりとか細い声が続く

「私は……大丈夫だから、ね?」

そう言って文香さんは笑うが、目がまったく笑っていなかった

「そうですか……あ、そうだ聞いてくださいよ! 今日の収録でですね」

この空気を変えようとして、とりあえず話題を変えた

このあと、プロデューサーが送ってくれるまでおしゃべりをした

文香さんもいつもの様子みたいだったけど

無理やり笑っているような違和感と

何か焦っているような気がしていた

「私は……ここから歩いて帰りますから」

「お疲れ様でした、文香さん」

ふりふりと手を振ってお別れをする

「お疲れ様でした、ありすちゃん……プロデューサーさん」

手を振り返す文香さん

んー、やっぱり私の気のせいなのかな

「プロデューサー、今日の文香さん変な感じしませんでした?」

尋ねてみる

「そうでしょうか、私はそんな感じはしませんでしたが」

私以上に文香さんを見ているプロデューサーが言うなら間違いはないだろう

うん、きっと私の気のせいなんだ

そう言い聞かせて、今日のことは忘れることにした

美味しいイチゴのケーキを文香さんに差し入れよう

お気に入りのお店のケーキ

きっと文香さんも気に入ってくれるはず

うきうきした気持ちを隠せずに文香さんを探す

「文香さん、これどう……」

言葉を言い切ることができなかった

「う……うぅ……」

文香さんが泣いている

大粒の涙をながしながら

「ぁ……ありすちゃん」

こっちに気付いた文香さんが顔を上げる

長い間泣いていたのだろう

綺麗な文香さんの目は真っ赤に充血していた

「すみません……みっともないところ見せちゃって」

目をこすりながら文香さんが言う

「本の内容があまりにも感動的で……」

嘘だ

今のはそんな理由じゃない

根拠はないけど……そう、女のカンってやつです

「この前のスマホのことですか?」

カマをかけた

「な……なんのことかわからない」

目が泳いでますよ……

「話してもらえませんか?」

私じゃ力になれませんか?

まだ小学生ですけど、私にもできることがきっとあるはずです

「……」

文香さんは何も言ってくれない

……やっぱり私じゃ無理なんですね

あ、私も泣いちゃうかも……

そう思った時だ

文香さんがスマホを差し出してきた

「……これ」

そういう文香さんは顔を赤くして、ふるふると震えていた

スマホの画面に映し出されていたものは

映っていたものは……

これはなに?

頭がおいつかない

ただの写メなのに

ただの写メ? 違う、これはただの写メなんかじゃない

誰の写メ? 文香さんなのだろう、多分……

多分と言うのは顔を手で隠しているからだ

……差し出されたスマホに移っていたもの

文香さんの……あられもない姿の……写メ

「ぁ……え……?」

声にならない声がでる

そうか、この前もこれのせいで……

おうちょっとぶちころがしてくるわ

「文香さん……説明してもらえますか?」

動揺して声が震えちゃうけど、続ける

辛いかもしれないけど、文香さんに聞かなくちゃ

「……うん」

文香さんがゆっくりと口を開いた

悪質なファンに困っている、というかこれはもう犯罪だ

近所の人らしいけど、脅されている

幸いなことにまだ直接的に手を出されてはいない

これを聞いてほっとした

いや、ほっとできる状況じゃないのはわかってる

>>166
奇遇だな、俺も今から行く所なんだ(村上組由来のM4A1を装備しつつ)

「すぐにプロデューサーに相談しましょう」

これは大人に対応してもらったほうが早いはず

「良いですね、文香さん」

「……ちょっと待って、ありすちゃん」

何で止めるんです

「写真……ばらまくって……」

「そんなの脅し文句ですよ」

「でも……もし本当だったら? 私……アイドルできなくなっちゃう」

……言葉に詰まる

「私が耐えれば……きっとあの人も……」

こんな時どう言葉をかけてあげればいいの?

自分が子供で何もできないことを痛感する

結局、この日は話を聞いてあげられることしかできなかった

家に帰って、お母さんに出迎えられて

安心したのか大声で泣いてしまった

……文香さんは今どうしてるんだろう?

そう考えると不安になって、lineを送る

しばらくすると

『今から寝るところです』と返事が来た

おやすみなさいと返信して

いつの間にか眠ってしまった

時計のアラームで起こされる

今日は学校も仕事もお休み

どうしようかな、お母さんとお買い物でも行こうかな

そういえば文香さんもお休みだった気がする

午前中はお母さんと出かけて、午後は文香さんのお家に行こう

少しでも文香さんを元気づけてあげなきゃ

早速、文香さんにlineを送る

『待ってますね』短いけど、文香さんらしい文での返事

よし、まずはお母さんとお買い物に行こう

夏物のお洋服を見ながらぶらぶらしよっと

久しぶりに自然と笑えたような気がして、くすりとした

午前中にお買い物をすませ、文香さんのお家へ向かう

手にはお母さんに持たされたお菓子

文香さん、喜んでくれると良いな

「確かここのお店だよね」

何回か来たことはあるけど、お店がいっぱいあって迷ってしまう

けっして方向音痴じゃない、と思う

あれ? お店には閉店とかかれた札がかかっている

おかしいな、いつもなら文香さんが出迎えてくれるのに

裏でご飯食べてるのかな、文香さんに電話しようとして

とりあえずガラス戸に手をかけるとスムーズにあいた

……何やら声が聞こえる

男性の声と女性の声

女性は文香さんで、男性は文香さんのおじさん?

言い争っているみたいだけど……

うん? 内容がおかしい

嫌な予感がして、いつでもプロデューサーに電話を掛けられるようにしておく

「文香さーん、いませんかー?」

わざとらしく大きな声で

「ありすちゃん……? きちゃ駄目」

弱弱しい声と騒がしい音

振り回した腕が何かにぶつかるような音……

迷うことなくコールをタップする

それから、文香さんの声がした場所へ急ぐ

男性の怒ったような声が聞こえて、足が止まる

……頑張れ私!

自分をはげまして、扉を勢いよく開けた 

「文香さん!」

文香さんがいた

……見たことない男性に抑えつけられている

「ありすちゃん……!」

私と目が合った文香さんが叫ぶように私の名を呼ぶ

ほっぺたが赤くなっているのを私は見逃さなかった

文香さんの綺麗な顔を、叩いた?

誰が? ……きっとこいつだ!

ふつふつと怒りがこみあげてきて

手に持っていたお菓子を投げつけてから、体当たりをした

もう頭の中はぐちゃぐちゃだ

男の人に力で敵うわけないのに

でも、体が勝手に動いちゃった

思いっきり腕をふりまわす

遠慮なしの全力で、その男に向けて

文香さんから離れろ!

文香さんを触るな!

自分で何を言っているかはわからない

とにかく文香さんをどうにしかしなきゃと夢中だった


やっぱりびくともしない

けれど、私をうっとおしく思ったのか

文香さんを離して、こちらに振り向いた

こんな奴が文香さんを……!

また怒りがこみあげてきて、男のとびかかった

やっぱりびくともしない

けれど、私をうっとおしく思ったのか

ようやく文香さんを離して、こちらに振り向いた

こんな奴が文香さんを……!

また怒りがこみあげてきて、男にとびかかった

思いっきり力を込めて顔をひっかく

文香さんはもっと痛かったはずだ

お前だって痛い目に合えばいいんだ!

これはさすがに痛かったのだろう

声にならない叫びをあげる男を見て、いい気味だと思った

でも、それはほんの数秒で……

がしりと両腕で捕まえられたと思ったら

天井と地面が逆さまになった

「っ……」

背中を強く打ちつけて息ができない……

苦しい……!

男がにやついた顔をして近づいてくる

髪の毛を片手で捕まえられて

無理やり私を起き上がらせると、右手を振りかぶった

そして、ばちんという大きな音とほっぺたに鋭い痛み

……ものすごく痛い

じわりと目の前がぼやけるけど我慢する

絶対に泣かない!

こんな奴のために泣いてやらない!

きっと、もう少しでプロデューサーが来てくれるはず

だから、泣かない!

文香さんを安心させるために、文香さんと目が合ったとき

満面の笑顔をしてみせた

私は大丈夫だから

文香さんが無事なら……そういう意味も込めて

けれど、また叩かれるのも嫌だ

さて、今度は噛みついてやろう

そう思った時

「もう……やめてぇぇぇ!」

今まで聞いたことのないような大きな声とともに

文香さんが男を突き飛ばした

それはすごい衝撃で

まるで車がぶつかったみたいな勢いで男が吹っ飛んだ

そして、がつっという鈍い音がして、男の体が停まる

男の体はびくりとも動かない

あれ? まさか……なんて不吉なことを思った時

「ありすちゃんっ!」

体が暖かくて柔らかいものに包まれた

ああ、文香さんに抱きしめられてるんだ

あったかくていい匂いがする

「文香さん……」

安心してしまったのか涙が出てきた

「ぐすっ……文香っ……さん」

見れば文香さんも泣いていて

プロデューサーさんが来るまでずっと泣き続けていた

後で聞いた話ですけど、男の人は逮捕されたようです

この話を聞いたちひろさんと村上さん、櫻井さんがぶつぶつ言ってて怖かったな

文香さんのおじさんもショックを受けていて

これからは文香さんをできるだけ一人にしないようにすると息巻いていました

さて、話を戻します

私と文香さんは一週間ほどお休みをもらいました

文香さんは落ち着く時間が必要とのこと

私はもしものことがあるといけないので検査と体を休めるために

でも、二日もあると暇になってしまいます

なので、残りのお休みは文香さんと過ごすことにしました

美味しいお菓子を持っていって、おしゃべりを楽しむんです

「文香さん、こんにちは」

「ありすちゃん……いらっしゃい」

文香さんの笑顔がとても綺麗で

どきっとしたのは秘密です




おしまい

読んでくれた方に感謝を
そして、お題ありがとうございました
設定ガバガバだと後できづきました、すみません

もうひとつ書きたいところですが
ここでお開きとさせていただきます
また読んで頂く機会があればよろしくお願いします

HTML化を依頼してきます


・巴の実家の裏社会の力(コンクリ)
・桃華の実家の絶大なる力(社会的権力)
・ちひろ(ちひろ)
因果応報で当然だが、男は死んだ方がましな感じendだな

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