提督「私は愚か者」 (13)

執務室

提督「………」カリカリカリ

叢雲「………」カリカリカリ

提督「…叢雲…」カリカリ

叢雲「…何よ」

提督「あと何分で明日だ」カリカリカリ

叢雲「…4分よ」

提督「そうか」

叢雲「早いのね…3年かしら?」

提督「あぁ、明日で丁度3年目だ」

叢雲「明日…行くんでしょ」

提督「そうだな…行かないとな…」

叢雲「一応艦娘全員に明日は特別休暇だって言っといたわ」

提督「すまんな、助かる」

叢雲「いいわよ、お世話になってる身だしね」

提督「お前の口からその言葉が聞けるとは…中々レアだな」

叢雲「そんな事言うもんじゃないわよ、ほら、0時過ぎたわよ」

提督「過ぎたか……寝るか」

叢雲「そうしたら?明日早いでしょうし」スタスタ

提督「そうだな、お休み」

叢雲「えぇ、お休み」キィィ…

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提督「…俺もお前に世話になってる身だっての」

…ごめんな、叢雲…

提督「どんな言い訳がいいかねぇー…ドライブでいっか、うん」ガバッ

提督「…」

提督「……畜生……!」

『涙を拭け………浦谷』

『お前は…きっと……いい奴になれるさ…』

提督「……先輩…」

*******

叢雲「……6月27日、この日だけ私は秘書艦ねぇ…」

叢雲「吹雪に言い訳するのも大変なのよ、バカ…」キィィィ

吹雪型の部屋

「zZZ…」

叢雲「寝てるわね…起こさないように…っ…と」

叢雲「……!」ビクッ

深雪「う~ん……」

叢雲(なんだ…深雪の手か…いきなり触るからビックリしたわよ)

叢雲「……?」

叢雲「私の枕に紙切れ…」

叢雲(………?何かしら)

提督(やはり寝れない)

提督(駄目だ…色々考えてしまって寝れない、やばいこれ朝起きられないな)

提督「現在マルイチマルマル…1時間もこの状態かよ…」ハァ

提督「今のうちに出るか…?」

提督「…………出発するときの服装にでもするか」ゴソゴソ

**********

叢雲(…何よこれ)

叢雲ちゃんへ  司令官の様子が最近浮かれてないんだけど何か事情知ってる?知ってたら教えてね! 吹雪

叢雲「…」

吹雪「zZZ…」

叢雲「教えるべきかしら………」

わき腹が赤く染まった服、名前が刻まれている剣、ヒビの入ったペンダント

提督「……助けられなかった…」

『ごめんね……ていと……く…』

『私……一緒に………』

『いいか…お前は…俺の……』

『きょ…』

提督「俺は…」

提督「……何をして…生きて生きたんだ…今まで…」

提督「……」

重い足取りで寝室を出る提督、彼の目に、光は入っていなかった

まるで、昔の彼みたいに…

提督「……嘘つき野郎…」

そう彼は呟いて外に出た

紅く染まった月、それを取り囲むような雲

無音の道に響く靴の音

懐から煙草を取り出し、マッチで火をつけ、吸う

提督「………」

ヘルメットを被りバイクに乗り動き出す

エンジンの音は、大きくて、五月蝿くて、でも

どこか悲しそうだった

少年『よぉ翔!遊ぼうぜ!』

提督『おう!』

彼は活発な少年だった

少年『今日はさ、サッカーでもしようぜ!』

少年2『混ぜてくれよ―!』

翔『勿論いいよな!達也!』

達也『あたぼーよ、相棒!』

少年の名は達也、提督…翔の大親友兼相棒

友達の輪が広かった翔はいつも笑顔で遊んでいた

日の暮れるまで、男女問わず、仲良く

翔『やっべー!もうヒトゴーマルサン!早く帰らないと母さんに怒られちゃう!』

達也『俺も帰るわ!お前らじゃーなー!』

少女『気をつけてねー!』

少年2『また明日ー!』

その言葉が



どれだけ重い内容だったか

翔『ただいまー!』

母『お帰りー…って泥だらけじゃない!』

翔『今日サッカーしたんだ!楽しかった!』

母『ほらほら、早くお風呂入ってきなさい、沸いてあるから』

父『はっはっは!元気なのは良い事だ!』

翔『ほら兄さんたちも!一緒にどう!?』

兄『仕方ねーなぁーお兄ちゃんと入るか翔!』

翔『やったね!』

母さんは優しくて、父さんはよく笑い、兄ちゃんと仲が良かった

僕は楽しい毎日が、こんなにあっさり消えるものだと実感した

テレビで「深海棲艦」という化け物が見つかったと報道され、パニックになった

僕の家はテレビがなかったので次の朝に配られる新聞だけが頼りだった

僕はまだどれほど化け物が恐ろしいか、実感が湧いてなくて、遊びに出掛けた

いつも遊んでいる公園に行くと告げ僕は家を出た、両親から止められたが僕は「大丈夫」と言い走った

公園に行っても誰もいなかった、いや、誰も出ていなかった

僕はみんな怖くて出れないんだ~って思ってた

その時、達也の家の方向に爆音がした

ドカアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアン!

僕は分からなかった、突然の出来事で頭が真っ白になったが向かわなきゃいけないという思いで達也の家の方向に走った

ただただ走った

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