【ゴルゴ13】戦車の裏で (36)

杏「大洗女子学園の廃校は、戦車道の全国大会で優勝したことで取り消しとなったはずです。」

辻「大洗女子学園の廃校は決定事項だ。予定通り、廃校とさせて頂く。」

杏「大会で優勝したら廃校の件は取り消しにするという約束だったはずです。」

辻「単なる口約束だ。誓約書もない。残念だが諦めて貰おう」

杏「…」

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辻(何が全国大会で優勝したら、だ。あんなものまぐれでしかないだろう)

辻(それにあんな小娘一人のために既に決まった廃校を変える必要なんて馬鹿馬鹿しい話だ。)

辻(学園艦ひとつを解体すればそれこそ莫大な金が動く。それをうまく動かすことができれば、金は私のものになる。)

辻(だがあの小娘は大きな障害だ。排除しなければ…)

~学園艦~

みほ「どういうことなんですか?」

辻「言った通りだ。大洗女子学園は本日をもって廃校だ。ここはもうあなた達の学園なんかじゃない。」

梓「そんな!せっかく優勝したのに!」

あや「戦車はどうなるの!?」

辻「戦車は文科省の預かりになる。君達は転校が決まるまで地上で待機だ。」


3日後

ドン!

ゴルゴ13「…」

千代「あら、失礼。ぶつかってしまいましたわ。」

ゴルゴ13「…戦車乗りだな」

千代「!?」

~教育局~

辻(さて、学園艦の住民は全て退去したが…)

辻(あの小娘が何かしら動いているらしいが、無駄だ。)

ガチャ


辻「…私だ。この間言った角谷杏、あと西住みほを始末しろ。ああ、やり方は任せる。」

~ボコミュージアム~

みほ「ボコ!がんばれ!ボコ!」

あんこうチーム「…」


男1「…いいか、あのボコを応援しているガキが…」

男2「知ってるさ、西住みほだろ。」

男3「周りのヤツはどうする?」

男1「好きにしろ。」

男4「じゃあやっちまってもいいんだな…ぐふふ」

男5「いいからさっさと行こうぜ…?」

男1「どうした?」

ゴルゴ13「…」

男3「な、なんだテメェは!」

ゴルゴ13「…」

男3「邪魔しようってのか?」

男2「誰だか知らねぇが、聞かれたんなら仕方ねぇ」

男1「やっちまえ!」

ドガッ!

バキッ!

バコッ!

バスッ!

バキーッ!


男5「う…うう…」

男4「強い…強すぎる…」

ゴルゴ13「…お前達を雇ったのは…」

男1「う、うるせぇ!逃げるぞ!」

ゴルゴ13「…」

ー同時刻ー


杏「大洗女子学園の廃校取り消しに協力して頂きたいのですが…」

亜美「ええ、せっかく優勝したのに約束を反故にされたらたまったものじゃないわ。それに、私も不満があったしね。」

亜美「西住流、島田流には私が言っておくわ。」

杏「わかりました。じゃあ私は戦車道連盟の理事長に会って来ます。」

亜美「わかったわ、でも気をつけてね。」

杏「はーい」

ガチャ バタン

亜美(…大洗の廃校、何がキナ臭いわね)

亜美(廃校にするにしたって、何も急に、それも約束を反故にしてまでする必要があるのかしら)

亜美(あの役人…何かあるわね…おそらく、角谷さんや西住さんにもなにかしらやるのかも、考えられるわね…)

ーボコミュージアムー

みほ「…?」

優花里「どうしました?西住殿」

みほ「…いや、なんでもないよ。」

辻「そうか…そのまま監視を続けろ」

辻「戦車道の理事長と会ったか…」

辻「どうせ戦車道で決着をつけるつもりなんだろう…そうだ。いいことを考えた。」


ー1日後ー

辻「しかしですね…まぐれで優勝した学校を残すなんて…」

カン!

しほ「戦車道にまぐれなし!あるのは実力のみ。」

辻「…わかりました。そちらの誓約書にハンコを押させてもらいます。」

辻(…だが、その誓約書が彼女達に届くことはない。)

杏(約束は取り付けた。あとはこれをみんなに見せるだけ…)

ブロロ…

杏(あの車…さっきからついてきてるような…)

杏(逃げよう…!)

ブロロー!

バッ!ドサッ!

杏(轢き[ピーーー]気だ!)

杏「ハァ…ハァ…」

ブロロロー!

杏(間に合わない!)

杏「…ッ!」

ビシッ!

ギャギャギャ!

グワッシャーン!!

バアン!

杏(車がいきなり曲がって…)

杏(ともかく、逃げよう。)






ゴルゴ13「…」

辻「…勘弁してくださいよ。失敗しただなんて。」

辻「まあいい、要は奴らを負けさせるか試合を中止させればいいんだからな。」

辻「まあ、中止のほうがいいな、また後で連絡する。」

辻(角谷杏は無理だったか…ならばあの西住の小娘にターゲットを絞るか…)

ー試合前日ー

男1「まさか戦車の中に爆弾を仕掛けることになるとは…」

男1「だがこいつを試合の時、あの小娘どもが乗り込んだ瞬間に爆発させて中止させるとは…」

男1「あの野郎もとんでもねぇこと考えやがる!」

男1「まあいい、上手くやれば大金が貰えるからな…」

「やっぱりそういうことだったのね」

男1「あ?」

ドサッ

男2「」

男1「!」

亜美「話は聞かせてもらったわよ。」

男1「…」

亜美「手を挙げなさい、こいつは本物よ。」

男「…ふふ…」

亜美「何がおかしいのかしら?」



男1「まさかこんなことになるとはな…」

男1「俺達は角谷杏と西住みほを始末すること。そうすれば大金が手に入るからな。」

亜美「何故そんなことを?」

男1「簡単だ、大洗の廃校にヤツら2人はジャマな存在だと上から言われてな。」

亜美「上というのはやはり…」

男1「だが途中、変な野郎にボコボコにされるわ、車がいきなりパンクして事故って仲間が二人死んじまうとは…」


男3「…」スチャ

男3(そうだ。そのまま注意を惹きつけてろ)

男3(あの女のどタマにこいつをぶち込んでやるぜ)

男3(あのガキ二人だけだったのに…仕方ねぇ)

スッ

男3「ん?」

バキ!

男3「グワァ!」

亜美「!」

男1「!」

ゴルゴ13「…」

男1「て、テメェは…」

男1「くそぉー」ガチャ

バキュゥーン!

ゴルゴ13「…」

男1「ち…ちくしょう…」

ドサッ

ゴルゴ13「…」

亜美「あ…あなたは…?」

ゴルゴ13「…戦車道の審判長、蝶野亜美一等陸尉…」

亜美「ど、どうして私を…」

ゴルゴ13「もう彼女達が危険な目に遭うことはない。あんたは明日の試合で公平な審判をするだけだ…」

亜美「…角谷さんや西住さんを助けたのは…」

ゴルゴ13「俺は依頼された仕事をやっただけだ…」

亜美「依頼主は」

ゴルゴ13「それは教えられない…」

ザッ…

亜美「…」




ー次の日ー

辻「…!?」

辻(何故だ、何故あいつらが戦車に乗ったのに爆弾が爆発しないんだ!)

辻(まさかあいつら失敗したのか!?使えない連中だ…!)

辻(もうこうなったら負けるのを祈るしかない…)

辻(カール自走臼砲だってある!負けるはずがない!)



















ゴルゴ13「…」

ー回想ー

ゴルゴ13「西住常夫…西住流戦車道家元、西住しほの夫…」

常夫「そうです。今回はあなたに依頼をお願いしたいのです。」

(辻の写真を見せる)

ゴルゴ13「…」

常夫「彼は辻康太。学園艦の教育局の局長なのですが…」

常夫「彼は入学者数が少ない、大した実績がない、という理由で強引に学園艦を廃校にしているのです。しかも、その必要もないというのにです。」

ゴルゴ13「権力を盾に横暴を繰り返している、ということか…」

常夫「それだけではありません。彼は、学園艦の解体の金を横流しし、私腹を肥やしたり、反対している者達の一人を、暴力団やヒットマンなどを雇い、見せしめとして殺害したという情報を得ました。」

ゴルゴ13「…」

常夫「私の依頼はその辻康太を殺害することと…もう一つ」

ゴルゴ「…?」

(杏とみほの写真を見せる)

常夫「この二人の命を狙ってくる者の始末を頼みたい。」

ゴルゴ13「…この二人はなんだ?」

常夫「その写真の、髪を二つに縛っている子は角谷杏、辻が今度廃校にする大洗女子学園の生徒会長です。」

常夫「彼女はかなりのやり手で、一度大洗女子学園の廃校を取消しの交渉に成功しました。」

ゴルゴ13「…なるほど、廃校にするときに彼女のような存在は邪魔だから消す可能性がある…」

常夫「そうです。そしてもう一人の子。」

常夫「彼女の名は西住みほ…」

ゴルゴ13「西住…」

常夫「彼女は大洗女子学園戦車道チームの隊長で…私の二人目の娘です…」

ゴルゴ「…」

常夫「彼女…いやあの子は弱小のチームを率いて全国優勝を果たした。」

常夫「だからこそ、辻はあの子を見せしめとして狙ってくるでしょう。」

ゴルゴ「…」

常夫「あの子は優しい子だ。とても戦車道には向かないほどに…」

ゴルゴ「しかし、結局戦車道をすることになってしまった…か」

常夫「私は、あの子に何もしてやれない…今回の件だってそうだ…あなたに頼むことしか出来ない。」

常夫「報酬は用意できている。引き受けてくれますか…?」

ゴルゴ13「…わかった…引き受けよう」

常夫「すまない、ゴルゴ13、いや、Mr.デューク・東郷」

ー回想終了ー



大洗女子学園の勝利!






辻「くそっ!結局廃校は取消しになった!金も全て水の泡だ…!」

辻「あの役立たず共め…」



ピリリリリ!


辻「おい!どういうことだ!ふざけて…」

『おまえの仲間は、全員始末しておいた…あとはおまえだけだ。』

辻「なっ!誰だ貴様!」

『今から死ぬ奴に…名乗ることはないだろう。」

辻「!お、おい待て!どういうことだ!おい!」




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