モバP「愛媛では水道からみかんジュース出るって本当なのか?」 (41)

P「ただいまー。ふう、朝っぱらから会議は身も心も疲れる……」

薫「あ、せんせぇおかえりー!」

晴「みかんあるけど、食べるか?」

P「みかん? ……おお、たくさんあるじゃないか。これ、どうしたんだ」

清良「私の実家から送られてきたんですよ。ひとりでは食べきれないので、皆さんにおすそわけです」

P「清良の?」

清良「ええ。知り合いの農家の方から、段ボール箱何箱分かもらったそうで」

P「へえ。そういえば、清良は実家が愛媛だったっけ」

薫「かおるも昔は愛媛にすんでたよ!」

晴「オレも、生まれた場所は愛媛だな」

清良「あら」

P「そうか。よくよく考えると、ここにいる俺以外の3人はみんな愛媛出身なんだな」

P「あ、俺もみかんひとつもらおう」


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P「愛媛といえば、ひとつ気になってたことがあるんだけど」モグモグ

晴「ん?」

P「水道からみかんジュースが出るって本当なのか?」

清良「ああ、あれですか」

晴「ポンジュースが出るってやつだろ? そんなわけないのにな。手洗ったらべとべとになるし」

P「やっぱりガセなのか」

薫「でもかおる、見たことあるよ? じゃぐちをまわすと、ポンジュースが出てくるの!」

P「え、ほんとか!?」

清良「あれは、噂を逆手にとって後から作ったものなんです。デパートや空港に設置されたりしているんですよ」

P「そうなんだ……松山空港には何度か行ったことあるけど、気づかなかったなあ」

晴「たしか、決まった日にしか出ないんじゃなかったか? 空港だと」

P「なるほど」

P「ポンジュースといえば、東京のスーパーでも売ってるやつだよな」

清良「はい。愛媛のみかんジュースの代表ですから」

晴「甘すぎず、みかんのほどよい酸っぱさを生かしたおいしいジュースだ」

薫「あはは、はるちゃん、ぐるめりぽーたーみたい!」

晴「小さいころは結構飲んでたからな。今もオレンジジュース飲みたいときはポンジュースにしてるぜ」

P「そういえば、ポンジュースの『ポン』ってなんなんだ?」

清良「ええと……なんだったかしら」

晴「デコポンのポン?」

薫「はいはーいっ! かおるしってる!」

薫「あのね。ポンジュースのポンは、にっぽんいちのぽんなんだよ!」

薫「にっぽんいちのみかんジュースになりますようにって、名前がつけられたんだって! おじいちゃんにおしえてもらったの!」

P「へー、そうだったのか」

P「薫は物知りだなあ」ナデナデ

薫「えへへー♪」

P「よし! せっかく愛媛出身のアイドルがそろってるんだ。今日は薫先生に、愛媛県についていろいろと教えてもらおう!」

薫「うん、いいよー」

薫「今日はかおるが、せんせぇのせんせぇになってあげまー!」

P「先生の先生か」

薫「うん! せんせぇがせんせぇじゃなくて、せんせぇなのはせんせぇの………あれれ? よくわかんなくなっちゃった」

薫「でも、おもしろそうだからがんばりま!」ニコニコ

P「かわいいなあ」

清良「かわいいわ」

晴「確かにかわいい。オレたちも手伝うぜ、薫」

P「愛媛といえば、みかんの次は温泉だよな。ほら、道後温泉」

P「やっぱり、何回も行ったりするのか」

晴「あー……温泉は行くんだけど、道後温泉はいかないな」

清良「私も、あまり」

薫「かおる、いったことないかも」

P「え。そうなの」

清良「道後温泉は、基本的に外からのお客さん用の観光地ですから。地元の人達は、近場の温泉ですませることが多いんですよ」

晴「そっちのほうが時間かからないし、人も少なくて快適だからな」

薫「かおる、おんせんすき!」

P「なるほど……地元民と観光民じゃ行く場所が違うのか」

P「でも、3人とも温泉好きなことには変わりないみたいだな。どうりで肌がきれいなわけだ」

清良「うふふ。おだてても何も出ませんよ?」

清良「はい、あーん」

P「あーん」パク

晴「出てるじゃねーか」

薫「かおるもたべさせてあげるー!」

晴「オレはやらないぞ」

薫「はい、あーん♪」

P「おいしい」

清良「もうひとつ、いかがです? はい、あーん」

P「これもおいしい」

清良「………」ジーー

薫「じーー」

晴「………」


晴「ほら、食えよ! ほらっ!」カアァ

P「もがが」

P「ひとくちにみかんっていっても、いろんな種類があるよな」

P「今俺たちが食べてる、これは?」

晴「これはいよかん」

清良「いわゆる普通の温州みかんと比べると、大きめで皮が厚いのが特徴です」

晴「あと、ちょっと酸っぱめだよな」

薫「あのねー、いよかんのいよは、伊予の国のいよなんだよ!」

P「ほうー。伊予の国っていうと、愛媛県の……」

清良「昔の国名ですね。そこからとられて、いよかんという名前が生まれたんですよ」

晴「オレも知ってる。信長の野望で出てきた」

P「晴、信長の野望やってるのか」

晴「梨沙が無理やりやらせてくるんだよ。あいつ、戦国公演に出てから戦国時代にハマってるから」

晴「オレも嫌いじゃないんだけど、伊予の国で始めると弱すぎてすぐゲームオーバーになるんだよなあ」

P「ああ……河野家か……あの辺はちょっときついよな」

P「今はみかんの生産量、和歌山に抜かれてるんだっけ」

清良「そうですね。最近はずっと、あちらが日本一です」

晴「けど、温州みかん以外の、はっさくとか清見とか、あの辺も一緒に数えると変わってくるらしいぜ」

清良「かんきつ類全体の生産量だと、和歌山を抑えて日本一になるらしいわ」

薫「にっぽんいち! ポンジュースと同じだね」

P「かんきつ類か……ゆずとか?」

柚「呼んだ?」にゅっ

P「呼んでない」

柚「違ったかー」

晴「今、どっからでてきたんだ?」

清良「うちの事務所で、和歌山出身といえば……」




芽衣子「あ、楓さん。なに食べてるんですか?」

楓「清良ちゃんからもらったいよかんよ」

芽衣子「いよかんかあ。いいなあ、私にもいっこください♪」

楓「ええ」

芽衣子「もぐもぐ……うん、やっぱりみかんはおいしいですね」

芽衣子「朝からおいしい気分だから、今日はなんだかいいことありそう!」

楓「いよかんを食べて、いいよかん……ふふっ」

P「愛媛って、方言はどんなのがあるんだ?」

晴「方言? そんなに訛ってはないと思うけど……」

清良「『なにをしているの?』を『なにしよん?』と言ったりしますね」

薫「おばあちゃんはね、アイスを食べるとき『ひやい』って言ったりするよ?」

晴「冷たいって意味だな、それは」

P「『ぞなもし』は使わないのか?」

晴「見たことないぞ、使ってるヤツ……」

清良「さすがに古すぎますね」

P「ふうん」

P「……単語だけだとちょっとイメージしづらいな」

清良「なら……こほん」


清良「Pさん、なにしよん? あんたもええ歳なんやけん、いなげな本をこっそり引き出しに隠すのはやめとき?」

P「? いなげ?」

晴「P……おまえ……」サササッ

P「え? なんで引かれてるの? 俺は今何を言われたんだ?」

薫「? なんのおはなし?」

晴「こっちにこい薫。お前はオレが守るからな」

薫「?」キョトン

清良「うふふ」

P「愛媛は確か、サッカーチームがなかったか?」

晴「愛媛FCだろ? J2の」

P「そうそう。強いのか?」

晴「まあ……はっきり言って微妙だな。一度もJ1に上がれてないし」

晴「去年はそこそこよかったけど、今年はまた10位あたりをふらふらしてるし」

晴「オレも応援してるんだけどなあ……」

P「まだ春は来ない感じか」

楓「晴ちゃんだけに?」にゅっ

P「あなた和歌山県民でしょう」

楓「みかんを食べすぎて手が黄色くなるところは同じですから」

P「なんですかその共通点の挙げ方」

薫「手がすっぱいにおいになるんだよねー」

清良「あるある、ね」

P「愛媛のスポーツ関連っていうと……そうか、野球か」

薫「あ、かおる知ってる! まさおか……まさおか……」

晴「次の文字は『し』」

薫「まさおかし……あっ!」

薫「わかった! しき!」

志希「呼んだ?」にゅっ

P「呼んでない」

志希「違ったか~」

晴「さっきからいろんなヤツが出てくるな」

清良「正岡子規の出身地ということで、野球と俳句に関する活動は盛んですね」

清良「プロ野球チームはありませんけど、ヤクルトスワローズの春のキャンプ地になっている関係で、毎年坊っちゃんスタジアムでヤクルトの試合があるんです」

P「坊っちゃんって、あの夏目漱石の?」

清良「その坊っちゃんです。舞台は愛媛でしたから」




P「高校野球のほうは……最近は、春に準優勝とかしてたような」

晴「オレが生まれた年に甲子園優勝したらしいんだけど、さすがに全然覚えてない」

薫「えっとねー。何回も空振りしてるところがテレビに映ってたよ!」

清良「楽天の松井選手に、一試合での奪三振の記録を作られた試合ね。たしか、22三振だったかしら」

P「昔はすごく強かったらしいんだけどな。愛媛の高校野球」


晴「あとは……そうだ。二つをくっつけた俳句甲子園っていうのがあるんだよ」

P「俳句甲子園?」

清良「簡単に言えば、俳句のうまさを競う全国大会のことです。ちゃんと他の県からも選手が集まってくるんですから」

P「へえ、そんなものが。みんなは出たことあるのか?」

晴「ない」

薫「はいく、むずかしくて……」

清良「友達は出ていましたけど、私は観戦だけでした」

P「ふーん、そうなのか」

P「なんなら、今度事務所のみんなでやってみるか。俳句甲子園」

清良「あら。それは楽しそう」

晴「めちゃくちゃ人数いるからな、このプロダクション」

薫「かおるもはいくをべんきょうしまー!」

清良「私は少しだけわかるから、薫ちゃんに教えましょうか」

薫「きよらせんせぇ!」

清良「ふふっ……あ、薫ちゃん。口元にみかんの汁がついてる」

薫「え?」

清良「じっとしていて。今拭いてあげるから」フキフキ

薫「ありがと! えへへ、ちょっとくすぐったいね♪」

晴「………」

晴「なんか、姉妹みたいだな」

P「晴も間に入っていいんだぞ」

晴「べつに。うらやましいわけじゃねーし」

P「そうかそうか」

晴「……なんだよ、そのにやけ顔」

P「べつに」

晴「………」プイ

晴「そ、そろそろレッスンだから! オレ、先に行ってるからな!」

P(かわいい)

レッスン終わって


晴「そろそろお昼か。腹減った……」

薫「かおるも……おなかぺこぺこ」

清良「せっかくだし、みんなでお昼を食べにいきましょうか」

晴「お、賛成!」

薫「やったぁ!」

P「俺もついて行っていい?」

清良「ええ、もちろん」


P「そういえば、『愛媛で外食するときはこれをよく食べる!』とかはあるのか?」

清良「うーん。特にはないと思います」

晴「うどんの店が結構多いから、うどん食べる時はちょっと多いかもな」

P「ああ、そうか。香川県が隣だもんな」

薫「たぬきうどん!」

P「さぬきうどん、だな」

薫「あっ……間違えちゃった。えへへ」

清良「あ……」

P「どうかした?」

清良「いえ。ひとつ、松山の駅前に有名なお店があったなぁって」

P「そのお店とは?」

清良「イタリア料理店で、スパゲッティがメインなんですけど……とにかく量がすごいんです」

P「量がすごい?」

晴「ああ、あそこか。あれはすごいよな。初めて行ったときは絶対普通サイズじゃなくて小サイズにしないと」

清良「それでも三人前くらいはあるのよね……」

薫「かおるもいったとこある! パパと一緒に食べたんだけど、たくさんあってびっくりしちゃった!」

P「みんな行ったことあるんだな」

清良「場所が場所ですから。松山に住んでいる人なら、一度は行ったことあるって人が多いと思います」

清良「量に対して値段は安めですし。おいしいですし」

P「へえ。俺も次に松山行ったときは、食べてこようかな」

P「さて。ご飯トークで腹もさらに減ったことだし、どこかに食べに行くか」

P「車出してくるから、みんなは準備を」

清良「あ、今日は私が運転しますよ」

P「え? いいのか?」

清良「いつも送迎してもらっていますし、たまには私が」

P「そうか。それなら、お願いしようかな」

清良「はい」

薫「きよらお姉ちゃんのうんてんだー!」

晴「………」

P「ん? どうした、晴」

晴「あ、いや。今、なんとなく思い出したんだけどさ」

晴「車の運転がらみで、伊予の早曲がりって言葉があるんだよ」

晴「向こうから来る車を無視して、急いで右折するって意味なんだけど……これ、愛媛県で多いらしいんだ」

P「ああ。だから伊予って名前がついてるのか」

晴「うん。それで……つまり、それだけ愛媛は運転荒い人が多いのかなあと今思った」

P「そうか……べつにそういうわけではないと思うけどな」

晴「だよな……」



P「……ただ、それはそれとして」

P「なにか、嫌な予感が」

その後


ぎゅいいいいいん!!

ぶろろんぶろろん!!


P「ちょ、清良! 荒い! 運転荒い!」

清良「今、呼ばれた気がしたわ……このハンドル……ええ、手に馴染む。わかるわ、この子も風を感じたがっている……!」

晴「なんか変なスイッチ入っちゃってるぞ!?」

薫「あははは! ジェットコースターみたい!」

P「運転! やっぱり俺が運転やる!」

清良「コードネーム、ナイチンゲール。タルトのように渦をまいていきます……!」

P「やめろォ!」



おしまい

おわりです。お付き合いいただきありがとうございます
本当はタルトの話とか著名人の話とかもっといろいろやりたかったんですが、間延びしそうだったのでやめました


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