泰葉「周子お姉ちゃん」 (36)

※SS初投稿です。
※モバマスSSです。
※オリジナル要素あり。というかほぼオリジナル要素。
※泰葉と周子が小さい頃知り合っていたら…という設定

※あまり書き溜めてないのでご容赦下さい…



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私がまだ小学生にもなっていなかった頃、子役の仕事も始めたばかりの頃の思い出。

私がお姉ちゃんに会ったのはそんなとても昔のことだ。

私の家族はお盆休みになると京都にあるお婆ちゃんたちの家へ帰省をするのが恒例になっていた。
子どもだった私からすると、夏休みはこんな古い日本家屋じゃなくて海だとかプールに行きたいと思っていたが、さすがにそんなことお婆ちゃんたちの前で言えるはずもなかった。
実際、お婆ちゃんやお爺ちゃんに会えることは嬉しくないわけじゃなかったし、会えて嬉しそうに抱きついていた私がいたのも事実だ。
ただそれでも、子どもの私にとって、京都の片田舎での生活というのは退屈なものだった。
お婆ちゃん、お爺ちゃんの家の周りは特に目新しいものはなく、よくお土産として買っていく和菓子屋のお店や、神社やお寺などがあるだけで、子どもにとって特に楽しいと思えるような場所は余り無かった。
そんなわけで、私はよく家から持ってきた人形と、お婆ちゃんたちの家に元からあった人形で遊んでいた。
どうせ外に出ても特に何もない。そう思っていたからだ。

その筈だった。彼女に会うまでは。

その日は珍しくお婆ちゃんの家の前の掃き掃除をしていた。

何で私がそんなことを…と思ったが、お婆ちゃんから「ごめんね、頼めるかい?」なんて言われて断れる孫はいないだろう。

頼んだ瞬間、「ありがとうね、泰葉は優しいね。」なんて言いながら小走りで家から出て行った辺り、

恐らく近所のお婆ちゃんたちに私のことを自慢しにいったのだろう。

お婆ちゃんもお爺ちゃんもだがとにかく私のことをご近所さんに自慢したがる。

私が子役という形で芸能界に足を踏み入れた時も、あの2人はとても喜んでくれた上に勝手に、

ご近所さんに言いふらしてくれたらしい。

ありがた迷惑とはこのことかもしれないと思った。

まだ入ってばかりの子役にそんなにたくさん仕事が入ってくるはずもなく、2人が心配していたような

テレビに出て一躍有名になんて夢のまた夢の話だ。

大体本当に売れている子役ならいくらお盆とはいえ、こんな簡単に休みが取れるはずもないだろうに…

そんなことを考えながら律儀に私は掃き掃除をしていた。

彼女は本当に突然話しかけてきた。

「何してんのー?」

突然話しかけられて、私は「ひゃっ!?」っと驚いて振り返った。

「おぉ、驚かしちゃった?ごめんごめん」

振り返って見てみると、そこにいたのは銀色のショートヘアとぱっちりとした

大きな黒いつり目が特徴的なとても綺麗な女の子がいた。

しかし、容姿よりも私の目を惹いたのは

「……えっと、お店の人?」

この近所の和菓子屋で前に見た制服だった。

「ん?あぁこの服?いやぁ実はお店の店番抜け出してきちゃってさぁ。

それでやる事も無いからここら辺ぶらぶらしていたらさ、ここら辺じゃ見かけない顔を見たのよ。

シューコちゃんとしては気になっちゃったから話しかけてみようと思ったわけ。」

「は、はぁ…」

いきなり何を言っているんだこの人は、と思った。

第一、前この制服を見た和菓子屋にはこんな人いなかったはずだが…。

「それで、名前は?」

「へ?」

「だから、あなたの名前」

「え、あ、えっと…岡崎、泰葉です」

「ん、泰葉ね。あたしは塩見周子。7歳。よろしくね!」

「あ、はい。よろしくです…。」

これが私と周子お姉ちゃんとの始めての出会いだった。

あの後すぐ、お姉さんは後ろから現れたお父さんらしき人に連れていかれた。

「げ、いつの間に…。ていうか気づくの早くない?」

「全く、店番放り出してどこにいるかと思えば…。悪いな、嬢ちゃん。こいつに何か変なことされてないか?」

「え、あ、はい。まだ何も。」

「ちょ、まだって何さ。まだって。」

「お前は黙ってろって。」

お姉さんがおじさんに叩かれた。とは言っても軽く頭をはたいた程度のものだったが

「うー、酷い!私知ってるよ!DVって言うんでしょ、こういうの!」

「お前どこでそんな言葉を…」

「前テレビで聞いた。」

「たく、変な言葉ばっかり覚えて…。とにかく、帰るからな。

店の方は今母さんとバイトの人だけで忙しいんだから、お前も手伝え。」

どうやらこのお姉さんは店番をサボってここに逃げてきたらしいということは分かった。

私は、京都の和菓子屋さんの娘と言うと、もっと和風で優雅なお姉さんみたいなものを想像していたから、

実際はこうやってサボってお父さんに叱られているような…その、ダメダメな感じだと知ってびっくりした。

「えー、私もう飽きたよ。店番するのめんどい。」

「お前それでも和菓子屋の娘かよ、ったく…。

それじゃ、迷惑かけたな嬢ちゃん。こいつは俺が責任持って連れて帰るから」

「あ、はい。お願いします…?」

「わ、ちょ、無理やり引っ張らないでって!…やすはー!」

「は、はい!」

「明日もまた来るからねー!またねー!」

「は、はい!また明日!」

そうやってお姉さんは帰っていった。

お父さんといい、まるで嵐のように現れて去っていってしまった。

私はポツンとそこにつっ立っていたが、帰ってきたお婆ちゃんから

「あら、泰葉。掃き掃除は終わったのかい?」

と聞かれてやっと自分が掃き掃除をしていたことを思い出した。

掃き掃除を再開しながらさっきのお姉さんのことを考えていた。

(あの制服のお姉さん…周子って言ってたっけ…。また明日とか言ってたけど本当に来るのかな…)

そんなことを考えながら竹箒を動かしていた。


こうして私と周子お姉ちゃんの初めての出会いはあっさりと終わってしまったのである。

取り敢えずここまで

具体的にどこが読みにくいか教えて下さると助かります…

1です。アドバイスありがとうございます。
取り敢えず地の文とセリフで2行分空けてみるようにします。

明くる日、私はまた昨日と同じように家の前の掃除をしていた。

お母さんからは「珍しいわね、泰葉が進んでやりたがるなんて」

と言われたけど、別に私だって進んで掃除がしたかった訳じゃない。

ただ何となく、本当にまた昨日のお姉さんが、しゅうこと

名乗っていたあのお姉さんが来てくれるのではないかと思っていたからだ。

暑い夏の日、汗を拭いながら掃除をしていると、


「はい、これ。」


お姉さんは本当に来てくれた。

「ひゃっ!冷たっ……えっと、アイスですか?」

「そ、家の冷蔵庫に2個あったから持ってきたんだ。

いやぁ、こんなあっつい日に掃き掃除を頑張るレレレのおじさん

みたいな泰葉ちゃんには、ご褒美が必要かなと思ってさ。」


レレレのおじさんって何だろう…と思いつつも、断るのも失礼だと思ったのでアイスを貰った。

アイスは冷凍庫から取り出してまだ時間がそれほど経っていなかったのか、ひんやりと冷たかった。


「はぁ…。ありがとう、ございます。…でも和菓子屋なのにアイスなんですね。」

「そ、和菓子屋なのにアイス。でもフランス料理店の人だって

和食を食べないかって言われたら多分食べるでしょ?それと一緒よ。」

「はぁ…(何か違う気もする)」

貰ったアイスはバニラ味だった。舌で触るとまだかなり冷たかったので、

ゆっくりと舐めながらアイスを食べていると、お姉さんが突然謝ってきた。


「それはそうとして、昨日はごめんね。家のお父さんが邪魔してあんまりお話出来なくて。」

「いえ、別に…。というか、昨日の話からだと、

お姉さんが店番サボったのが悪いんじゃないんですか。」

「む、まぁそりゃそうなんだけどさ…。いやぁ、泰葉は真面目だねぇ(ナデリナデリ」

「ちょ、急に頭撫でないで下さい///」

「ほれほれ~♪」

「むぅ…」


そんなことをしている内に玄関が開いて、人影が覗いてきた。

お婆ちゃんかと思いきや、この時間はまだ二度寝していそうなお母さんが出てきた。

実家に帰るとお母さんは基本的に家事をお婆ちゃんに任せてぐーたらしていることが多い。

普段は結構しっかり者のお母さんが実家に帰るとぐーたらし始めるのは、

最初は驚いたが今では既に見慣れたものだ。

「泰葉、誰か来たの…?あら、えっとあなたは…」

「あ、お母さん。えっとこの人は…」

「初めまして、あたし塩見周子って言います。この近くの和菓子屋の一人娘です。」

「あぁあの和菓子屋さんの娘さん…。あんまり泰葉と年齢変わらなそうね?」

「はい。まだ7歳ですから。」

「7歳なのにしっかりしてるわねぇ」

「いえいえ、そんな。店番で慣れてるからですよ」


一体誰なのだ、この人は。私も昨日今日会っただけだから、

この塩見周子という人のことをよく分かっていないことは重々承知していたつもりだった。

それにしたってこのさっきまでとの変わりようはなんなんだ。

まるで、狐に化かされているかのようだった。

小さい私は呆気にとられたまま二人の会話を聞いていた。

「良かったわね、泰葉。ここでも友達ができて」

「え、友達?」

「友達でしょ?」


お姉さんはそう聞いてきたが…私たちは友達、なのだろうか。

少なくともこのお姉さんは私にとって昨日初めて会った

ばかりの不思議なお姉さんといった印象しかない。


でも、不思議と嫌な感じはしなかった。まだ出会って

全然時間も経っていないけど、一緒にいると心地よかった。

だから


「…うん。友達、ですね」

「でしょ?良かったぁ、友達と思われてて」

「自信無かったんですか…」

「そらまぁ。でも嬉しいよ、泰葉から友達と思われてて」

「そ、そうですか」

そんな風に喋っているとお母さんが取り敢えず

いつまでも外で喋ってないで中に入ってはどうかと提案してきた。

という訳でお姉さんを家の中に招き入れて遊ぶこととなった。


「さて、何して遊ぶ?」

「えっと、でも私あんまり遊ぶような道具持ってなくて…」

「え、でもあそこに置いてあるのってお人形でしょ?

いいじゃん、お人形遊び。ザ・女の子の遊びって感じでさ」

「はぁ…」


という訳でお人形遊びをする運びとなった。

正直京都まで来て友達とお人形遊びをすることになるとは

思わなかったので、少し緊張していた。

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