神「捧げ物したらお前の願い叶えてやってもいーよ」 少女「まじで」 (31)

神「マジで」

少女「どんな願いも?」

神「おう」

少女「え、でもさ。そんなことしていいの?」

神「いいじゃん暇だし」

少女「えっ軽…。なんか、神様が人間に干渉しすぎるっていうのも…」

神「嫌ならやんなきゃいいんじゃないの。俺は別にお前じゃなくてもいいし」

少女「…」

神「やる?」

少女「…なんか裏がありそうで怖いんですけども」

神「あー、よくダークファンタジーとかである展開ね。願いで身を滅ぼす的な」

少女「そうそう」

神「んー、まあ、いや…。大丈夫じゃない?」

少女「さっきから軽すぎるよ」

神「俺もさすがにこれはちょっと…っていう願いは却下するからさあ」

少女「本当?ひどいことにならない?」

神「なんないなんない」

少女「じゃあ、…やろうかなあ」

神「がんば」

少女「何か捧げ物になりそうなものとってくる」

神「うーす」

少女「ただいまー」

母「あら、お帰り。どこ寄り道してたの」

少女「神社」

母「また?あんたも好きね…。蚊に刺されないようにしなさいよ」

少女「大丈夫だって」

少女「…ところでさ、お母さん。神様って何あげれば喜ぶの?」

母「は?」

少女「いや、よくお供え物とかしてるじゃん。神様にも好きなものとかあるの?」

母「…さあ、分からないけど。お供え物っていったら大体食べ物なんじゃないの」

少女「食べ物…」

母「それがどうかしたの?」

少女「ううん。あ、これ私のおやつ?」

母「そうよ。制服着替えて、手を洗って食べなさい」

少女「はーい」スタスタ

母「え、どこ行くのよ。おーい?」

少女「すぐ帰るからー」タタタ

神「…」ダラダラ

少女「神さまー」

神「お、早かったな。おつ」

少女「捧げ物持ってきたよ」

神「見してみ」

少女「はい」ポン

神「…」

少女「どう?」

神「なにこれ」

少女「ルマンド」

神「俺バームロール派なんだけど」

少女「えっ…」

神「それより以前に、初っぱなからこんなナメた物持ってこられるとは思わなかったわ。びっくりだわ」

少女「ルマンド美味しいよ?」

神「てかこれお前のおやつか何かだろ」

少女「うん」

神「神にさあ、自分の間食を…。いやまあいいけど…。賜ったわ…」バリバリ

少女「あ、いいの?」

神「まあ初回だし許してやろう。それ相応の願いになるがな」ピリリ

神「んー久々に食べると案外悪くないな」ボリボリ

少女「美味しいよね」

神「美味しいけど、ボロボロこぼれるのが嫌なんだよ」

神「主の捧げ物、承ったぞ」

少女「文句言ってるわりに完食した…」

神「そいじゃ、願いを決めてもらおうかね」ゴソゴソ

少女「ええっとね、…」

神「ちょい待ち。お前がいない間にこういうものを作ってみた」ズイ

少女「なにこれ。…捧げ物レベル表?」

神「おう。俺が捧げ物に満足したかどうかで、願いのレベルが違ってくるぞ」

少女「えー!なにそれ!」

神「当たり前だお前。まさかルマンドで億万長者になろうとしたんじゃないだろうな」

少女「…」

神「え、図星なの…。現代っ子こわ…」

少女「え、じゃあ今の満足度は?」

神「10段階評価のうち、1だな」

少女「えー!!!!」

神「お前が驚いてるっていう状況に驚くんだが」

少女「せっかくおやつ譲ったのに」

神「知るか」

神「満足度1の願いはこんなかんじだ」

少女「えっと…」

神「スマホの画面の傷をひとつ消す、明日の最高気温を一度下げる、無くしてたヘアピンを机の上に出現させる」

少女「地味すぎる」

神「それくらいの捧げ物しかできないお前が悪い」

少女「え~…。こんなのだったら正直捧げ物しないほうがよかった…」

神「これなんかどうだ、帰りがけに真っ黒でツヤツヤの石を拾う」

少女「いらねー…」

神「いいじゃないか、黒いツヤツヤの石」

少女「…はあ…」

神「露骨に落ち込むな。神に対して無礼だぞ」

少女「えー、と…じゃあ、どうしよう…」

神「以外と小さい願いを考えるほうが難しいのだな」

少女「…」

神「どうする?」

少女「あ、…じゃあ…。うーん、ヘアピンで…」

神「承知した」クルッ

少女「…」

神「よいぞ」

少女「何が?」

神「帰って」

少女「え、ピンは」

神「机の上に置いておいた。次はなくすなよ」

少女「ちょ…地味すぎる…」

神「まあ明日はもっとマシな捧げ物を用意してくるんだな。小娘よ」

少女「テンション下がるわー」

神「おい」

少女「じゃあまた明日」

神「おう。気をつけて帰れよ」ヒラヒラ

少女「…地味…」ボソッ

神「何回言えば気が済むんだ」

少女「ただいまー」

母「おかえり。何だったの?」

少女「ちょっとね」タタタ

ガチャ

少女「…あ、あった」

母「何が?」

少女「無くしてたヘアピン」

母「ああ、あの可愛いやつね。どこにあったの?」

少女「あ、…ええと。ポッケの中に入れっぱなしだった」

母「そう。よかったわね。小さい物だけど、なくすんじゃないわよ」

少女「はーい」

母「ご飯できてるから着替えてきなさい」

少女「うん」

少女「…」

少女「やっぱ地味だ」シュル

少女「いってきまーす」

母「はーい」

少女「…」タタタ

友「少女ちゃーん」

少女「あ、おはよー」

友「…あれ?そのヘアピンどうしたの」

少女「昨日見つかったんだ」

友「そっかー。結構探してたもんね、見つかって良かったね」

少女「うん」

友「ってか今日小テストだよ。勉強した?」

少女「あ、…してない。やばい」

友「赤点だと先生怒るよー」

少女「うん…」

少女「…」チラ

友「どこ見てるの?」

少女「あ、いや。ううん…」

友「…神社?あそこさあ、なんか不気味だよね。朝でもなんか怖い」

少女「ん…」

神「失礼な娘っこだなあ。お前だって田舎くさいわ」

少女「早く行こう友ちゃん」

少女「…」

教師「で、ここが…」

少女「…」フワ

教師「よしじゃあ、今日はここまで。午後の数学では予告通り小テストを行う」

「えーまじかよ」

「きいてねー」

教師「昼休みがあんだろ勉強しろ馬鹿たれ」

少女「…」ムー

友「やっぱあるね」

少女「うん…。どうしよ、数学苦手なのに」

友「数学だけはダメだよね、少女」

少女「どうしよ…。再テスト絶対やだし」

友「昼休みで公式全部覚えちゃおうよ」

少女「…」

少女「はっ」ピコーン

友「少女?」

少女「ごめんちょっと家に忘れ物した!」ダッ

少女「はあ、はあ」

神「こん」

少女「神さま、あのね、はぁ。午後の小テストがね、」

神「とりあえずスカートを直せ。腿が丸見えだぞ」

少女「…」バッ

少女「…捧げ物なんだけど」

神「ああ。午後にある試験を合格点にしてほしいのだな」

少女「そう。…ええと、それってレベル何くらい?」

神「それを言ってしまえば面白くないだろう馬鹿め」

少女「…」

神「で、ブツは?」

少女「こ、これ」

神「ふむ?」

少女「購買部で買ったパン5つ」

神「っほーう、あそこの工房のやつか。あれはなかなかいい。ふわふわでな」

少女「で、どう?」

神「待て待て。ふむ、メロンパンと焼きそばパンと…」

少女「じ、時間ないんだって。予鈴前に戻らなきゃ」バンバン

神「あだだ、分かった分かった」

神「そうさな、これは…レベル2くらいかな」

少女「えー…。700円くらいはしたのにぃ?」

神「金額ではないのだ。俺が価値を見いだすかどうかだな」

少女「結構気に入ってたのに…」

神「それでだな、お前の願いの件だが」

少女「あ、うんうん」

神「未来視だと、お前はテストで55点をとって見事再テストだ」

少女「そんな!」

神「合格点にはあと5点足りない」

少女「じゃあどうにかしてよ、お願い!」

神「分かった。ではお前は戻れ。俺がどうにかしておく」

少女「よっしゃあ!!!!!」ダッ

神「…こういうときだけは足が速い」

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