北上「駆逐艦北上だよ~」 (65)

~提督の部屋~

北上「ねー、提督いいでしょ~?」

提督「ううーん、けど予算がねえ……」

北上「例の新型魚雷、どうしても欲しいんだよ~」

提督「ううーん……」

北上「ね?ね?私普段から頑張ってるし、ちゃんと戦果も出してるでしょ?」

北上「ちょっとくらい我儘言ってもいいじゃん、ね?」

提督「……う、うん、北上さんには普段からお世話になってるし……判った、何とかしてみる……」

北上「やりぃ♪」

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北上「ふんふふーん♪」

大井「あら、北上さん随分機嫌がいいですね?」

北上「ふふふー、実は例の新型魚雷が手に入りそうでさ」

大井「ああ、海軍が新開発してるってアレですか、良く手配つきましたね」

北上「ちょっと提督に無理言ってね……うーん、けど良く考えると我儘過ぎたかなあ?」

大井「問題ないんじゃないですか?北上さんはその程度の要求を通せるくらいの戦果は出してるはずです」

北上「そかな?」

大井「そうですよ」

北上「ならいっか~」

電「よいしょよいしょ……」ズルズル

北上「あれ、駆逐艦じゃん」

電「あ、北上さん、お疲れ様なのです」

北上「何運んでんの?」

電「はい、遠征で入手した資材を倉庫に運ぼうかと……」

北上「へー、重そうだねえ、どれどれ」ヒョイ

電「あ」

北上「なにこれ、軽っ」

電「か、かえして下さいなのです!」ピョンピョン

北上「いや返すけどさ」ポイ

電「ひゃっ」ズシン

北上「駆逐艦も大変だよねぇ、こんな非力なのに戦闘に駆り出されて」

電「……」

北上「ま、怪我しない程度に頑張んなよ~」

電「……」

大井「北上さん、手伝ってあげないんですか?」

北上「へ?何で私が駆逐艦を手伝わなきゃなんないのさ」

大井「いえ、以前からちょくちょく駆逐艦を手伝ってあげてたじゃないですか」

北上「あー、あれは駆逐艦がショボすぎるから見てられなかっただけだって」

北上「けど、荷物運びくらいなら一人でもできるでしょ」

大井「そうですか」

北上「それよりさ、新型魚雷が手に入ったら何処で試し打ちする?」

大井「そうですね、じゃあ新しく侵攻できるようになった海域ででも……」

~朝~

~北上の部屋~


北上「んー……もう朝~?」ファー

北上「ふー、昨日は結局遅くまで大井っちと魚雷談義しちゃってたし……まだ眠いなあ……」ゴロゴロ

北上「今日は非番だっけか?じゃあもうちょっと寝てようかな……」


グゥー


北上「……」

北上「だめだ、お腹すいた……」

北上「しっかたなたなあ……ちょっと顔洗ってご飯食べてから二度寝しよっと……」ムクリ

北上「えーと、洗面台で……」トコトコ

北上「顔を……」

北上「……」

北上「あれ、洗面台ってこんなに高い位置にあったっけ……」

北上「というか……」ピョンピョン

北上「蛇口に手が届かないじゃん……」

北上「あれ、けど昨日は普通だったよね?」

北上「んー、寝ぼけてるのかな私……」トコトコ

北上「あっ」ガシッ


バターン


北上「いったぁ……な、なに?何かに足引っかかって……」

北上「……あれ?」

北上「私のパジャマの裾って、こんなに長かったっけ」

北上「ブカブカじゃん」

北上「良く見たら肘んとこも……あ、あれ?」

北上「あれあれあれ?」ゴソゴソゴソ

北上「えええ!?」






北上「胸も超ペタンコになってる……」

北上「ちょ、待って?私は確かにそれほど大きくはなかったけど」

北上「こんなに小さくもなかったはずだよね?」

北上「どうなってんのこれ……」

北上「……」

北上「……ひょっとして」

北上「……」

北上「私の身体全体が、幼くなってる?」

北上「い、いやおかしいよねコレ」

北上「艦娘がいきなり幼くなるなんて話、聞いた事ないし……」

北上「そ、そうだ、提督だ」

北上「こんな時は提督に相談すれば……」トコトコ

北上「うう、扉のノブ掴むのも背伸びしないといけないのか……」ガチャッ

北上「あっ……」ガシッ


バターン


北上「ああー、もう、このパジャマ歩きにくい!」

北上「脱いじゃおっか……」モゾモゾ


「ちょっと貴方!廊下で何してるの?」


北上「え?」

雷「見かけない顔だけど……廊下でパジャマ脱いだりしちゃだめよ?」

北上(雷じゃん、何言ってんだろ)

雷「貴方名前は?」

北上「は?北上だけど」

雷「きたかみ?北上さんと同じ名前?」

雷「うーん、けど駆逐艦にきたかみって名前の子いたかしら」

北上「駆逐艦?」

雷「そ、あなた駆逐艦でしょ?」

北上「いやいやいや、違うにきまってるでしょ」

雷「え?」

響「雷、こんな所にいたのか」

雷「あら響」

響「早くしないと朝礼が始まってしまうよ?」

雷「そ、そうだったわね……ほら貴方も行くわよ!」ガシッ

北上「え、ちょ……」

雷「話はあとで聞いてあげるから!」

~食堂~

阿武隈「はい、8時になったので駆逐艦朝礼始めるよ~」


「「「はーーーい!」」」


雷「ふう、何とか間に合ったわね」

北上「はぁ……はぁ……はぁ……何か少し走っただけでめちゃくちゃ疲れたんですけど……」

暁「あら、雷その子は?」

雷「うん、何か廊下でもぞもぞやってたから連れてきたの」

暁「へえ、随分小さい子ね?」

阿武隈「そこ!私語は厳禁よ!」

雷響「「はーい!」」

阿武隈「では話を戻します!」

阿武隈「最近、駆逐艦内での規律の乱れが目立ってきてます」

阿武隈「朝礼にもパジャマで来てる子が何人かいるしね?」

阿武隈「朝礼はその日の任務割り振りや注意点を伝達する場所なので、今後はちゃんと制服を着て来るように!」


「「「はーーーい」」」


阿武隈「えーと、他には報告事項無かったよね」

阿武隈「じゃ、今日の朝礼はこれまで!」

阿武隈「今日も怪我が無いように過ごしましょう!」

暁「もう、怒られちゃったじゃない」

雷「まあ、そんな事もあるわよ」

響「君、大丈夫?」

北上「はぁ……はぁ……だ、大丈夫だけど」グッタリ

暁「それで、この子も駆逐艦なの?」

雷「ええ、きたかみって言うらしいわ」

響「きたかみ?」

暁「北上さんと同じ名前?」

北上「い、いや、同じ名前って言うか、本人なんだけどね……」グッタリ

雷「え?」

北上「重雷装艦北上ね、私」

雷「……」

暁「……」

響「……」

雷「ああ、なるほど!」

北上「判ってもらえた?まあこんな幼くなってるから仕方ないとは……」

響「北上さんに憧れて物まねしてるってことなんだね」

北上「え?」

暁「確かに今の名乗る感じは良く似てたわ」

雷「その髪型とかも北上さんの真似って事なのかしら、随分気合が入ってるわね」

北上「いや、違うってば」

響「うんうん、その言い方も凄く似てるね」ナデナデ

北上「ちょ、なんで撫でるのさ」ブンブン

雷「あはは、この子何だか可愛いわね?」ナデナデ

北上「こ、こら止めろってば!」

阿武隈「はいはい、貴方達何騒いでるの?」

雷「あら、阿武隈」

阿武隈「次の演習は貴方達だったでしょ?準備は進んでる?」

暁「ええ、今日は電が準備当番の日だから、やってくれてるはずよ」

阿武隈「ならいいけど……あら?貴方は……」

北上「お、阿武隈ちょっと聞いてよ、この子達じゃ話にならなくて……」

阿武隈「……」

北上「阿武隈?聞いてる?」

阿武隈「……かわいい!」

北上「え?」

阿武隈「か、かわいい!何この子!何処の子!?配属されたばかりの子なの!?私知らないけど!」ギュー

北上「ふわっ」

北上「ちょ、苦しいってば!」ジタバタ

阿武隈「キャーキャー!かわいい!」ギュー

北上「むぎゅう……」

雷「その子、配属されたばかりみたいなの」

雷「廊下で迷子になってたから連れてきたわ」

阿武隈「名前は何て言うの?」ギュー

響「きたかみって言うらしいよ」

阿武隈「きた……かみ……?」ピタッ

北上「うううっ」モゾモゾ

暁「ええ、あの北上さんと同じ名前みたいね」

雷「ほら、恰好も何だか北上さんと似てるでしょ?」

雷「きっと同じ名前の北上さんに凄く憧れてこんな恰好してるんだと思うわ」

阿武隈「そ、そうなんだ……」

北上「ぷはっ……やっと腕から出られた……」

北上「もう、だからさっきも言ったけど、私は重雷装艦きたかみ何だってば!」

雷「ね?ね?北上さんのものまねよ!似てるわよね!」

阿武隈「そ、そうね……良く見ると北上さんにそっくりかも……」

阿武隈「髪型も、体型も……」

北上「そっくりって言うか、本人だってば……」ハァ

阿武隈「喋り方も、ため息のつき方も……」

北上「おーい、阿武隈?阿武隈は判るよね?ここまで言えば私が本物だってわかるよね?」

阿武隈「何かだるそうな目つきと仕草も……」

北上「阿武隈?阿武隈やーい?聞いてる?」

阿武隈「……」

阿武隈「超似てるわ!この子、相当なファンと見た!」

北上「え?」

阿武隈「髪型や体型はともかく、喋り方とかため息のつき方とか相当観察しないとわかんないはずだもん!」

阿武隈「ね?そうでしょ?」

北上「い、いや、私は……」

阿武隈「かわいい!」ギュー

北上「ちょ」

雷「かわいいわ!」ナデナデ

暁「可愛いわね!」ナデナデ

響「かわいいね」ナデナデ

北上「う、ううう……」

阿武隈「そうだ、配属されたばかりって事は、この子まだどの部隊に所属するか決まってないのよね」

雷「多分そうなんじゃないかしら、もし決まってたら掲示板に張り出されてるはずだし」

阿武隈「じゃ、この子私達の部隊に入れちゃおっか?」

暁「いいんじゃないかしら、丁度一人足りなかったし」

響「電もきっと賛成するんじゃないかな?」

雷「そうね、電なら賛成すると思うわ」

阿武隈「じゃ、決定ね?貴方は今日から第六駆逐隊の一人です!」

北上「むぐぐ、苦しいってばぁ……」モゾモゾ

北上「はぁ……やっと解放された……」グッタリ

阿武隈「ああ、けど今から演習なのよね」

阿武隈「北上ちゃん、どうしよっか」

暁「流石にここまで小さい子を参加させるのは可愛そうじゃないかしら」

響「そうだね、まだ早くかも」

阿武隈「うーん、そうよねぇ……北上ちゃんはどうしたい?」

北上「……え、なにが」

暁「今からね、駆逐艦用の演習があるの」

雷「そうそう、けど怖いようなら参加しなくていいのよ?」

北上「……いやいやいや、怖いはずないじゃん、演習でしょ?」

暁「けど、砲撃とかで大きな音出るわよ?」

北上「大きな音って……」

雷「こう、ドカーン!って感じ」

北上「……」

阿武隈「そうね、やっぱり参加はやめといたほうが……」

北上「……参加する」

暁「え?」

北上「駆逐艦の演習くらいでビビってるって思われたらヤだしさ~」

北上「身体は幼くなってるけど、重雷装艦の力……見せたげるよ」

雷「お、おおおー……」

暁「北上ちゃんがまた物まねしてるわ」

阿武隈「北上ちゃんえらい!かわいい!」グリグリ

北上「あ、頭撫でないでってば」

~演習場~

北上「うーん……勢いで演習受けるって言っちゃったけど」

北上「よく考えるとこの子たちから逃げるチャンスだったんだよねえ」

北上「……」

北上「ま、いっか」

北上「幼くなった自分の性能をちょっと試してみたいってのもあるし」

北上「ここは素直に演習受けとこっと」

響「電は何処かな、演習の標的を準備してくれてたはずだけど」

雷「あ、向こうにいるわ」

暁「おーい、電~」ブンブン

電「電ちゃんたち、おはようなのです!」

雷「うん、おはよ~」

響「何か手伝う事とか残ってるかな」

電「大丈夫なのです、もう準備は……」

北上「演習の標的って何使うんだっけ?」

暁「浮き輪よ、海流に乗って動くようになってるの」

北上「へ~」

電「……」ジー

北上「ん?私の顔に何かついてる?」

響「ああ、紹介がまだだったね、この小さい子は今日から第六駆逐隊に配属された……」

電「……北上さんがいるのです」

北上「おぉ……」

暁「あら、電は北上ちゃんと知り合いだったの?」

電「北上……ちゃん?」

暁「ええ、この子小さいし、北上さんと区別つける意味でも『ちゃん』をつけようって阿武隈が」

電「……」

北上(電、説明しなくても私の事が判るんだ)

北上(阿武隈にも気づかれなかったからちょっと厄介かなーと思ってたけど)

北上(そうだよね、ちょっと洞察力ある子なら気づくよねぇ)

修正

電「電ちゃんたち、おはようなのです!」



電「雷ちゃんたち、おはようなのです!」

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