ソムリエまほ「この芳醇な香り...3日ものだな」 (61)

まほ「私は戦車道の家元に生まれ、小さい頃から戦車道をして当然であると思ってきた」

まほ「しかし成長するにつれて」

まほ「自分の育ってきた環境と、周りとでは」

まほ「大きな差があることに気が付いた」

まほ「今思えば」

まほ「気がついてはいけなかったのだろう」

まほ「一度気づいてしまうと」

まほ「それを忘れることはできない」

まほ「今までは一心不乱に」

まほ「戦車のことだけを見て」

まほ「戦車道のことだけを考えてきた」

まほ「しかし周りを見てしまった」

まほ「気心の知れた友人たちと」

まほ「学校で楽しく過ごしている」

まほ「そんな姿を」

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1466245633

まほ「今までは戦車に乗っている間は」

まほ「どうやって相手に勝つか」

まほ「ということしか考えていなかった」

まほ「いや」

まほ「考えられなかった」

まほ「なのに近頃は」

まほ「どうしても集中できない」

まほ「自分がこうして厳しい戦いに身を投じている間にも」

まほ「学友たちは」

まほ「楽しく充実した日々を送っている」

まほ「なぜ彼女たちと私は同じ歳で」

まほ「同じ学校に通い」

まほ「同じ授業を受けているのに」

まほ「こんなに差があるんだ」

まほ「そんなことばかり考えてしまう」

まほ「私は西住流の後継者であり」

まほ「黒森峰高校戦車道の隊長でもある」

まほ「こんなことを考えてはいけない」

まほ「でもダメだ」

まほ「どうしても頭を離れない」

まほ「学友たちの笑顔が」

まほ「だから私は戦車道をやめることにした」

エリカ「えぇっ!?」

エリカ「いきなり私の部屋に来て」

エリカ「突然真顔で独り言ダラダラと言い出した時は気が狂ったのかと思いましたよ...」

まほ「実際私は気が狂ったのかもしれないな」

まほ「今まで戦車のことしか考えられなかった私が」

まほ「突然周りのことを羨むようになり」

まほ「挙句の果てには20年近くやってきた戦車道をやめるなどといっているのだからな」フッ

エリカ「隊長...」

まほ「というわけで私は戦車道をやめるぞ!」

まほ「そしてソムリエになるんだ!!」

エリカ「えぇぇぇぇ!!!!????」

エリカ「隊長の気持ちはわかりました」

エリカ「戦車道ばかりで青春を浪費したくない」

エリカ「だから戦車道から解放されて第二の人生を歩みたい」

エリカ「そういうことですよね?」

まほ「そうだ」

まほ「さすが副隊長」

エリカ「褒めてもなにも出ませんよ///」チャリン

まほ「(50円か、後でガリガリ君でも買おう)」

エリカ「戦車道をやめたいのは分かったんですけど」

エリカ「そこからなぜソムリエという発想が出てくるんですか?」

まほ「今まで戦車道しかしてこなかったせいで気が付かなかったんだが」

まほ「どうやら私は」

まほ「味覚と嗅覚が異常に発達しているらしい」

エリカ「!?」

エリカ「そうなんですか?」

まほ「みたいだ」

エリカ「でも私これまで何度も隊長に手料理を振るまってると思うんですけど」

エリカ「全然反応なかったですよね?」

エリカ「あれ私結構傷ついてたんですよ!!」

まほ「いやあれは味わって食べていた故なんだ」

エリカ「じゃあなんで毎回『うん...』しか言ってくれなかったんですか!?」

まほ「いやあれはだな...」

~回想~

エリカ『さ、隊長できました!』

エリカ『今日はハンバーグに付け合わせのポテトサラダ、それにスープです!』

エリカ『冷めないうちに食べちゃってください!』

まほ『うん...』

まほ『いただきます』

エリカ『(ワクワク)』

まほ『うん...』パク

まほ『(今日のひき肉は牛肉100%か...)』

まほ『(胡椒はエリカの手の大きさから考えてふたつまみといったところか)』

まほ『(ナツメグも同じくらい入っている)』

まほ『(つなぎのパン粉はいつもより少し減らして大さじ6)』

まほ『(牛乳も前回から大さじ1ほど減らしたのか)』

エリカ『あの、隊長...?』

まほ『うん...?』

エリカ『その...味はどうでしょうか?』

まほ『うん...』

まほ『(感想を聞かれたということは)』

まほ『(おそらく次回のために参考にしたいはず!!)』

まほ『(しっかりと分析して詳細な感想を伝えなければ!!!)』

まほ『(今回は煮込みハンバーグだけあってソースにも手がかかっているな)』

まほ『(まずケチャップとウスターソースが.......)』

エリカ『...』

エリカ『.....』

エリカ『あのもしかして...』

エリカ『あまりお口に合いませんでしたか...?』

まほ『(おそらく小麦粉は大さじ3くらいか)』

まほ『うん...』

エリカ『 』

エリカ『そ、そうですか...』

エリカ『まずいものを食べさせてしまって申し訳ありませんでした...』

エリカ『今すぐ片づけるので...』サッ

まほ『(あっ、まだちょっと残ってるのに...)』ギロリ

エリカ『ヒッ、す、すみません』

エリカ『つつつ次こそは隊長のお口に合うような美味しいものを作りますから...!!』

まほ『次は(途中では下げ)ない(でくれ)』

エリカ『 』

~回想終~

エリカ「そういうことだったんですか...」

エリカ「っじゃないですよ!!」

エリカ「隊長の口数が少ないのは知ってましたけど!」

エリカ「隊長は表情に出づらいだけでとても気を遣う人だって知ってましたけど!」

エリカ「そこまでしなくてもよかったんですよ!」

エリカ「あと『次は(途中では下げ)ない(でくれ)』ってこれなんですか!?」

エリカ「こんなのわかるわけないじゃないですか!!」

まほ「私とエリカは隊長と副隊長」

まほ「以心伝心だと思ったんだ」ドヤ

エリカ「た、隊長...」

エリカ「もう...褒めてもなにも出ませんよ///」チャリン

まほ「(100円か、ガリガリ君二つ買ってみほにクール便で送ろう)」

クール便代のほうが高くつくんだよなぁ

着払いにしたらみぽりんブチキレそう

エリカ「まあそれで事情は分かりましたよええ」

エリカ「隊長はとんでもないくらい味覚が優れている」

エリカ「すごいことです大変」

まほ「褒めてもなにも出ないぞ」

エリカ「(でない...)」

エリカ「でもですね」

エリカ「それは隊長の戦車道の才能をドブに捨ててまで、その味覚を生かすべきなんですか?」

まほ「エリカ...」

エリカ「今は黒森峰で隊長をしていますが」

エリカ「卒業後はプロリーグからの誘いも来てるんですよね?」

まほ「まあ一応...」

エリカ「しかも海外からも誘いが来てるらしいじゃないですか!」

エリカ「隊長はいずれは世界を股にかけて活躍する選手になるんです!」

エリカ「私が保証します!」

エリカ「だからこんなところで、一時の感情で辞めるなんて言わないでください!」

エリカ「あなたのファンもたくさんいるんです!」

エリカ「もちろん私もその一人なんです!」

まほ「エリカ...」

まほ「さっきもいったが」

まほ「私は味覚だけじゃなくて嗅覚も優れているんだ」

エリカ「へっ?」

まほ「今度は嗅覚に関するエピソードだ」

エリカ「えっ!?私の告白と受け取られても仕方のない決死の説得は!?」

エリカ「それに関する感想とか何もなしに回想に!?」

>>10->>12

ピンポーン

みほ「はーい」

ガチャ

宅配便「こんにちは、西住さんですか?」

みほ「そうですけど?」

宅配便「クール便が届いております、差出人は、西住まほ様ですね」

みほ「(お姉ちゃんから!?)」

みほ「(なんだろう?しかもクール便って...)」

みほ「あ、ご苦労様です」

宅配便「はい、着払いなので1404円になりますね」

みほ「えっ!?」

みほ「えっ!?」

宅配便「1404円になります」

みほ「」

みほ「はい...」

アリガトーゴザイマシター

ガチャ

みほ「もーなんで着払い何だろ?」

みほ「でもそれだけ重要なものってことかな?」

みほ「とりあえず中身はっと」ガサゴソ

ガーリガーリクンガーリガーリークンガーリガーリークーーーーーーン

みほ「...」

みほ「...」ピッ

みほ「もしもし会長ですか?」


みほ「大洗女子戦車道チームに至急集まるように連絡してください」

みほ「敵は熊本です」

みほ「パンツァー・フォー」バキィ

実際に着払いの物が届くときは事前に電話があると思いますが、そこはSSということで一つ

~回想~

~バス車内~

みほ「お姉ちゃん!もうすぐ着くよ!」

まほ「あ、ああ、そうだな...」

みほ「お姉ちゃんどうしたの?体調悪いの?」

みほ「もしかしてバス酔い?もーいつも戦車に乗ってるのになんでバスで酔うの」フフッ

まほ「あぁ、すまない」

まほ「(なんだ?普段は乗り物酔いなどしないんだが...)」

ツギハー ドウブツエンー

みほ「着いたよ!」

プシュー

みほ「早く降り

まほ「オボロゲシャピシャーーーーーーーーーーーー!!!!!!!」

みほ「お姉ちゃん!?」

~回想終~

まほ「ということがあってだな」

エリカ「いやそれただのバス酔いじゃないんですか!?」

まほ「いや普段戦車に乗っている私がバスで酔うわけないだろう」

まほ「あれはきっと私の鼻が良すぎるせいで、動物園の臭いに反応してしまったんだろう」

エリカ「...」

エリカ「隊長はその前日の夜は何時に寝たんですか?」

まほ「前日の夜は楽しみすぎて眠れなかったんだ」

エリカ「当日の朝ごはんは?」

まほ「牛丼だ」

エリカ「酔い止めは?」

まほ「飲むわけないだろう」

エリカ「バス酔いですよそれ!!!」

エリカ「絶対バス酔いですって!!!」

エリカ「というかなんで朝っぱらから牛丼食べてるんですか!?」

まほ「そういえばみほは遠慮して食べてなかったな」

エリカ「当り前ですよ?」

まほ「でもまあ鼻はいいんだよ確かに」

エリカ「本当ですか?今までの話聞いてると信用できないんですけど」

まほ「そうだなあ、じゃあ」

まほ「エリカ、お前昨日の夜はピーマンの肉詰めを食べただろ」

エリカ「...どこで見てたんですか」

まほ「いや、体臭だ」

エリカ「...」クンクン

エリカ「...そんなに私臭いますか?」

エリカ「嫌味ですか?」

まほ「いや普通の人は全く分からないだろう」

まほ「私の嗅覚の鋭さだからこそ成せる技だ」

エリカ「えぇ...?」

エリカ「じゃあちょっと試してみますね」

まほ「どんとこい」

エリカ「今日の朝食」

まほ「めざし」

エリカ「最後のお風呂は」

まほ「昨夜9時」

エリカ「シャンプー」

まほ「TSUBAKI」

エリカ「ハンドソープ」

まほ「キレイキレイ」

エリカ「好きな人」

まほ「私」

エリカ「///」

エリカ「ッコホン」

エリカ「隊長の鼻の良さも十分わかりましたよええ」

エリカ「でもなんでソムリエなんですか?」

エリカ「第一隊長まだ未成年でお酒も飲んだことないでしょう」

まほ「私がいつお酒を扱うソムリエになるといった」

エリカ「えっ、違うんですか?」

まほ「当り前だ、そもそも私はワインよりビール派だ」

エリカ「どっちも飲んだことないでしょ!」

エリカ「それで」

エリカ「お酒以外のソムリエって何なんですか?」

まほ「エリカは知らないのか」

まほ「まあまだ女子高生だし無理はないな」

まほ「仕方ない教えてやろう」

まほ「私がなりたいのは」

まほ「パンツソムリエだ!」

エリカ「はぁ?」

エリカ「あの隊長、私の聞き

まほ「パンツソムリエだ!」

エリカ「あの

まほ「パンツソムリエだ!」

エリカ「...」

エリカ「...ぁ」

まほ「パンツソムリエだ!」

エリカ「わかりましたから!!!!」

エリカ「それで、パンツソムリエって具体的に何をする職業なんですか?」

まほ「...」

エリカ「隊長?」

まほ「...」

エリカ「隊長聞いてますか?」

まほ「...エリカ」

まほ「お前も来年は黒森峰の隊長になるんだから、人に請うのではなく自分で情報くらい集めろ」

エリカ「いやなにさらっと重大発表してるんですか」

エリカ「私来年隊長になるんですか!?」

エリカ「そんな...隊長のように立派で素敵な方の後任なんて...」

まほ「早く調べろ」

エリカ「だから!!私の告白ともとれる言葉を全部流すのやめてくださいって!!!」

エリカ「...」スマホポチポチ

エリカ「えーっと、パ、ン、ツ、ソ、ム、リ、エっと」

エリカ「ってなにもでてこないじゃないですか!!」

エリカ「pixivで調べても1件しかでないって相当ですよ!?」

まほ「当り前だ、私が世界初のパンツソムリエになる女だからな」

エリカ「なんで調べさせたんですか!!!」

まほ「エリカに隊長としての自覚を持ってもらおうと思ってな」

エリカ「///」チャリン

エリカ「ってごまかされませんよ///」チャリン

まほ「(300円とは、こちらでも隊長の自覚が芽生えたか)」

エリカ「それで、パンツソムリエって何をする職業にするんですか?」

まほ「エリカはソムリエという職業について詳しく知っているか?」

エリカ「まあ一応知ってますけど」

エリカ「ソムリエ(仏: sommelier[† 1][† 2][† 3]、女性単数形:sommelière[† 4])は、レストランで客の要望に応えてワインを選ぶ手助けをする、ワイン専門の給仕人。」

エリカ「ですよね?」

まほ「おまえ、Wikipediaを丸丸読んだだけだろ」

エリカ「しょうがないじゃないですか!まだ未成年なんだし!」

まほ「まったく、しょうがないやつだ」

まほ「だがまあだいたいその通りだ」

エリカ「でも、レストランの給仕人ですよ?」

エリカ「そのまま当てはめると」

エリカ「パンツソムリエ(仏: slip de femme sommelier[† 1][† 2][† 3]、女性単数形:slip de femme sommelière[† 4])は、レストランで客の要望に応えてパンツを選ぶ手助けをする、パンツ専門の給仕人。」

エリカ「という感じになるんですけど」

まほ「私のイメージ通りだな」ウンウン

エリカ「いや意味わからないんですけど...」

まほ「言葉の通りなんだが」

まほ「客の要望に応えてパンツを選ぶ手助けをしたいんだ」

エリカ「そもそもその客って何ですか?どこの世界にパンツを選ぶのを手伝ってもらう客がいるんですか!?」

エリカ「それは下着屋の店員のすることでしょう!」

まほ「エリカはまだ人にパンツを選んでもらったことがないのか...」

エリカ「あるわけないじゃないですか!!」

まほ「おまえは何か勘違いをしてるんじゃないのか?」

まほ「私のいうパンツというのは」

まほ「使用済みパンツのことだぞ?」

エリカ「ハァ!?」

エリカ「いやいや、女の子同士で一緒に下着を選びに行くとかそういうことじゃないんですか?」

まほ「そんなことするやつがいるわけないだろう」

エリカ「(隊長、戦車道ばかりやってたからそんな体験したことないんだ...)」

エリカ「今度一緒に下着買いに行きましょうね...」

まほ「下着は親が買ってくるものだろ」

エリカ「(だからあんな糞ダサ下着ばかり持ってたのね...)」

まほ「エリカは使用済み下着はいらないのか?」

エリカ「わ、わたしはべつにそんなの...」

まほ「そうか、私のいらないパンツをあげようと思ったんだが」

エリカ「そそそそういえば最近持ってるパンツのゴムが一気に切れちゃって足りないんですよね」

まほ「それなら私のパンツをやろう」

エリカ「え、えーいいんですかー(棒)」

まほ「もちろんだ、ほら」スッ

エリカ「ありがとうご...」

エリカ「いやこれ毛糸パンツじゃないですか!!」

まほ「いやせっかく母上が買ってきてくれたんだがどうも落ち着かないんだ」

まほ「なんというか毛糸が素肌にあたってかゆいんだ」

エリカ「(直履き!?)」

まほ「まあ合う合わないは人それぞれだからな」

まほ「もし気にいったら大切にしてくれ」

エリカ「(隊長の直履き毛糸パンツ!)」

エリカ「(この毛糸も隊長の毛の糸なのかもしれない!!)」

エリカ「大切にします!!」

まほ「ほら、やっぱり使用済みパンツは需要があるじゃないか」

エリカ「ハッ」

エリカ「私はたまたま持っていたパンツのゴムが連鎖的に切れただけです!」

まほ「まあいい」

まほ「そこまでいうなら実際に活動してみようじゃないか!」

エリカ「活動って...」

エリカ「何をするんですか?」

まほ「とりあえずお小遣いの範囲で新聞広告を出してみた」

エリカ「」

エリカ「ちなみにどこに?」

まほ「中日新聞だ」

エリカ「何面?」

まほ「一面」

エリカ「むちゃくちゃ本気じゃないですか...」

まほ「無論、実家に置きっぱなしのボコグッズを売り払ったお金を足しにした」

まほ「置いていったということはいらないってことだろ」

エリカ「(3日後にはボコになってそう...)」

まほ「昨日の朝刊に載ったはずだからきっと大量の依頼がメールボックスに来ていることだろう」ワクワク

エリカ「そんなにうまくいきますかね...」

まほ「さてとチェックチェックっと」ポチー

まほ「...」

まほ「...」ゴシゴシ

まほ「...4件」

エリカ「ほら、やっぱり」

エリカ「いくら新聞に公告載せてもそんなわけのわからない肩書の人に」

エリカ「わけのわからないことのためにお金なんか払う人いませんよ」

まほ「...しかも1件はみほだ」

まほ「件名にも本文にも何も書いていないんだがこれはどういう意味なんだ」

エリカ「あっ、画像が添付されてますよ」ポチー

<血まみれのボコの画像>

まほ「........」

まほ「ボコグッズを処分したのはエリカで

エリカ「ちょちょちょっと!なに罪を擦り付けようとしてるんですか!!!」

エリカ「自分がやったことなんですからちゃんと責任取ってくださいよ!!」

まほ「......」

まほ「まあいいや」

まほ「そんなことよりほかの依頼メールを読もう」

エリカ「(切り替えの早さはさすが西住流)」

エリカ「(ただ問題を先送りにしただけだけど)」

まほ「さて一通目は」

まほ「名前はペッパーランチさんか」

まほ「変わった名前だな」

エリカ「いやそれ多分本名じゃないと思いますけど」

エリカ「(まあ十中八九戦車道関係者だと思うけど)」

エリカ「(そもそも広告に)」

<パンツソムリエ:西住まほ>

エリカ「(なんて書いてても知らない人が依頼してくるわけないじゃない!)」

まほ「ふむ、なになに...」

以前、姐さんと友達と三人でCV33に乗ったのですが、その時の狭い室内には姐さんのいい匂いでいっぱいでした。
しかし私と姐さんは基本的には別車両。同じ車両、しかもあんな狭い戦車に同乗することはまずありません。
帰ってからは姐さんのウィッグをこっそり持って帰って我慢していたんですが、もうそれでは満足できません。
私の満足できるようなパンツをどうかお願いします。

まほ「ふむ、この姐さんという人の住所は...」

まほ「なんだ、アンツィオの学園艦じゃないか」

まほ「パンツの送付先も同じところか...」

まほ「だったら自分で取ればいいじゃないか!なぜ私にわざわざ依頼してくるんだ!」

エリカ「だったらやめればいいんじゃ...」

まほ「いや、それは西住流の信念に反する」

まほ「ということで早速行動開始だ」ピポパ

まほ「もしもし?」

??『ん?誰だ?』

まほ「西住まほだ」

??『はぁ!?なんでまた私なんかにいきなり』

まほ「少し頼みたいことがあってな」

??『なんだ?私が力になれることなら手伝うぞ!』

まほ「実はお前の使っているパンツを譲ってほしいんだ」

??『はぁ!?何言ってるんだ!?』

まほ「今言ったじゃないか」

??『いや言ったことの意味が分からないといっているんだ!』

まほ「詳しく言うとだな」

まほ「わが校に戦車道歴史博物館という施設があるんだが」

まほ「そこに弱小アンツィオ高校を1回戦突破に導いた英雄ドゥーチェ・アンチョビコーナーを作りたくてな」

まほ「本人にゆかりがあるものを一つ展示したいんだ」

まほ「そこで、おまえのパンツかウィッグのどちらかを寄贈して欲しいと思ってな」

アンチョビ『そういうことか...ってこれは地毛だ!!』

アンチョビ『でもそういうことなら...』

アンチョビ『今履いているパンツを寄贈しよう!』

まほ「おお、ありがたい!」

まほ「(こいつなかなか有能だと思っていたが、こんな嘘に騙されるとはもしや意外と...)」

まほ「では、今から言う住所に送ってくれ」



まほ「じゃあここまで送ってくれ、送料は着払いでいい」

アンチョビ『なあ、これって黒森峰に送らなくていいのか?』

まほ「うむ、そこには中継してくれる友人がいるんだ」

アンチョビ『(この住所どこかで見た気がするんだが...)』

アンチョビ『(...偶然か)』

まほ「ということで以上だ、突然済まなかったな」

アンチョビ『あぁ、今度はアンツィオに遊びに来てくれ!』

アンチョビ『ペパロニやカルパッチョたちと精一杯のもてなしをしよう!』

まほ「........」

まほ「楽しみにしている」

まほ「ペパロニによろしく伝えておいてくれ」

まほ「それでは」ピッ

エリカ「誰に電話してたんですか?」

まほ「アンチョビだ」

エリカ「えぇ!?ご本人登場じゃないですか!!」

まほ「無事パンツを送らせることに成功した」

エリカ「あの人有能じゃなかったの!?」

まほ「ちなみに配達先はペパロニの実家だ」

エリカ「それはマズいでしょ!」

エリカ「差出人がアンチョビになってる中身はパンツの荷物をもしペパロニの家族が受け取ったら家庭崩壊しますよ!!」

エリカ「しかもアンチョビは部下にパンツ送りつけた変態になっちゃいますよ!!!」

まほ「...」

まほ「...うっかり失念していた」

まほ「まあいいか」

エリカ「また問題先送りにしてるし...」

まほ「さあ、次の依頼メールを見てみよう」

エリカ「知りませんよどうなっても」

まほ「ええと、名前は大洗のグデーリアン」

まほ「...」

エリカ「...」

エリカ「.....どうするんですか」

まほ「.....この前余ったボコグッズでも送っておこう」

エリカ「道連れにしていくスタイル」

まほ「なぜこんなに知っているやつばかりなんだ!」

まほ「これじゃ全然、世界を股にかけるパンツソムリエ感がないぞ!」

まほ「もっと某国のお偉いさんとかから依頼が来てほしいんだ!!」

エリカ「来るわけないじゃないですか...」

まほ「この前あいつ日本に来てたじゃないか!」

まほ「あのアメリカの

エリカ「海兵隊に殺されますよ....」

まほ「大洗のモジャ毛の依頼は解決したし」

エリカ「いやそれでいいんですか」

まほ「最後の依頼に移ろう」

まほ「えっとなになに」

まほ「黒森水没子さんか」

エリカ「!?」

まほ「変わった名前ばかりだな」

エリカ「いやわざとすっとぼけてるでしょ!!」

まほ「黒森峰に人のパンツを欲しがるようなやつはいない」

エリカ「それを職業にしようとしてる人がいるんですけど」

まほ「まあ今は黒森峰の話じゃないだろう」

エリカ「えぇ...そういうスタンスでいくんですか...」

まほ「それで依頼内容は...」

エリカさんのパンツ3日ものが欲しいです



エリカ「もう隠す気ないじゃない!!」

エリカ「しかもなによ3日ものって!!」

エリカ「10年物のワインみたいな言い方するんじゃないわよ!!」

まほ「エリカ」

エリカ「だいたいそれじゃ私が毎日着替えてないみたいじゃない!!」

まほ「エリカ」

エリカ「私はちゃんと毎日お風呂に入ってるわよ!!」

まほ「エリカ!」

エリカ「っはい!」

まほ「落ち着け」

エリカ「いや落ち着いてられるわけないでしょ!!!」

エリカ「今まで普通の友達だと思ってたやつがいきなり私のパンツ欲しがってるんですよ!?」

まほ「エリカ」

まほ「今履いてるパンツをよこせ」

エリカ「」

エリカ「(隊長に言われるとなんか興奮するわ...!)」

まほ「なあエリカ、頼む」

エリカ「い、嫌ですよそんなの!」

エリカ「なんで隊長に来た依頼のために私が一肌脱がなきゃいけないんですか!」

まほ「ほう、一肌脱ぐとパンツを脱ぐをかけている...」

まほ「つまり、くれるということか」

エリカ「違いますよ!!」

まほ「でもエリカ」

まほ「確かお前に」

まほ「私の毛糸パンツあげたよな」

エリカ「」

エリカ「いやそれは...」ダラダラ

エリカ「隊長が自分からくれるっていってたんじゃないですか!!」

まほ「エリカ...」

まほ「隊長たるもの」

まほ「人に借りを作りっぱなしでいいのか...?」

まほ「そんなことでは来年の隊長は...」

エリカ「いやいやいやいや!!」

エリカ「それとこれとは別でしょう!!」

エリカ「なんでパンツあげないと隊長にはさせないみたいな言い方してるんですか!!」

まほ「そう言ってるんだが」

エリカ「堂々と言わないでください!」

まほ「もしエリカが協力してないのなら」

エリカ「なら?」

まほ「小梅を隊長にする」

エリカ「それが一番ダメでしょ!」

エリカ「仲良くしてる同級生のパンツ欲しがるようなやつ隊長にしちゃダメでしょ!!」

まほ「おまえだって私のパンツ欲しがったじゃないか!!」

エリカ「それとこれとは別でしょう...」

まほ「別じゃないだろう...」

まほ「それでエリカ、どうするんだ?」

まほ「依頼に応えてくれるのか?」

エリカ「依頼に応えるっていえば格好付きますけど」

エリカ「これずっとパンツの話してるだけですからね?」

まほ「エリカ、私はお前に来年は隊長をやってほしいと思ってるんだ」

エリカ「...さすがにもう褒めてもなにも」

まほ「お前の戦車道の腕だけじゃない」

まほ「顔や性格、料理の腕まで全てを評価したうえで言っているんだ」

エリカ「そ、そんなに褒めたって」

まほ「なあエリカ、明日一緒に出掛けないか」

エリカ「またそうやって都合のいいことばかり」

まほ「お前は私が好きなんだろう?」

エリカ「もう///やめてください///」

まほ「だってさっき『(この毛糸も隊長の毛の糸なのかもしれない!!)』とか思ってたじゃないか」

エリカ「なんで分かるんですか!!」

まほ「西住流読心術だ」

エリカ「西住流ってつけりゃいいとか思ってません?」

エリカ「まあわかりましたよ」

まほ「じゃあ...」

エリカ「ただし」

まほ「ただし?」

エリカ「この依頼を最後にパンツソムリエはやめてください!」

まほ「...」

エリカ「私は、戦車道をしている隊長が好きなんです!」

エリカ「パンツソムリエの隊長もちょっといいかなとは思いましたけど...」

エリカ「こうやって依頼をこなす姿を見ると」

エリカ「やっぱり違うんです!」

エリカ「隊長の口はパンツを舐めるためではなく、指示を出すためにあるんです!」

エリカ「だからお願いです、どうか戦車道に

まほ「初めからそうするつもりだ」

エリカ「えっ!?」

まほ「あのなぁエリカ」

まほ「私がこんな未来のないような職業を目指すわけないだろう」

まほ「三つの依頼に実際に向き合ってみて分かった」

まほ「この職業はあまりにもニッチすぎる」

エリカ「いまさら!?」

まほ「たぶんこれじゃご飯が食べられない」

エリカ「そんなの新聞広告出す前から分かることでしょ...」

まほ「まあおまえが戦車道をしている私が好きといってくれたし」

まほ「これからはまた戦車道に集中できるようになれそうだ」ニコ

エリカ「こ、今度は告白と受け取られても仕方のないようなことを流さないんですね///」

まほ「真剣な告白くらい私にもわかるさ」

エリカ「////」

まほ「パンツソムリエへの夢はとりあえず封印だな」

まほ「これからはエリカだけのパンツソムリエになろう」

エリカ「いや結構です」

まほ「なんで!!今完全に二人は結ばれただろ!!」

まほ「カップルならパンツソムリエやってもいいだろ!?」

エリカ「ダメです」

まほ「そんなあ...」

エリカ「......」

エリカ「.....まあちょっとだけなら」

まほ「いいのか!!」

エリカ「....はい」ヌギヌギ

エリカ「.....どうぞ」スッ

まほ「はぁ~~!!これがエリカのパンツか!!」ピチョッ

まほ「んっ?室内なのに雨」クルッ

みほ「お姉ちゃんただいま」ニコ

エリカ「」ダラー

まほ「エ、エリカーーーーーーーー!!!」

まほ「みほ!なんでエリカをボコボコに....」

まほ「あっ.....」

まほ「あれはだな、すべてエリカがやったんだ」

まほ「だから被疑者死亡のため捜査終了!以上だ」テクテク

みほ「や~ってやるや~ってやるや~ってやるぞ~」ガシッ

まほ「なあみほ、私は違うんだ」

みほ「お姉ちゃんのパンツは」

みほ「情熱的な赤色に染まるんだよ」ニコ

まほ「」

【完】

最後までお付き合いいただきありがとうございました
このSSが少しでも読者の方の人生の糧になれば幸いです

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