【艦これ】世にも奇妙な艦語り (32)

タモリ「皆さんは、艦娘と言う言葉を知っていますか?」

タモリ「『艦隊これくしょん』……通称艦これと言うゲームに出て来るキャラクターの名称だそうです」

タモリ「プレーヤーは提督と呼ばれ、海域を艦娘と共に突破する……今大流行りのゲームだそうですね」

タモリ「勿論、彼女たちは我々にとっては架空の存在ではありますが……」

タモリ「もしかすると、我々が架空の存在なのかもしれないですね」

タモリ「今回も彼女達……?が奇妙な世界の扉を開けてしまったようです」

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※これは『艦これ』×『世にも奇妙な物語』のクロスSSです。

あなたの好きな艦娘が「どうなっても」気にしない人は見て行って下さい。

テレビ「先週、ニューチバ国が政府軍に攻撃し負傷者334名を――」



男「千葉が独立してもう2年かぁ。お前の実家、大丈夫か?」

女「心配だけど……はい、お弁当。いってらっしゃい、あなた」

男「ああ、行ってきます」


テレビ「艦娘大募集!イケメン提督と一緒に勝利を掴みませんか?」

テレビ「通勤型なら日帰りで帰れます!お子様をお持ちの方は、幼稚園・保育園に最優先で入れます!安心ですね!」

テレビ「お給料は月に80万円!家計の助けに!お電話は012――」ピッ



女「通いの、ねぇ……」



通いの艦隊

女(私はちゃんとした名はあるが――ここでは女と呼んで欲しい)

女(結婚して2年目。子供はまだいない)

女(とある武器製造会社の品質管理部門の社員をしている)



社員「女さん、おはようございます」

女「おはよう。先週の20.3cm砲の評判はどう?」

社員「今度は改良してほしいとのことで……」

女「ならどんな風にして欲しいか聞いてきて」

社員「了解です」

上司「女くん、ちょっと」


女(上司は凄い表情で私に呼び出しをかけた。何か問題が有ったのだろうか?)

女(……冷や汗が出てきた)


上司「実は海軍の方で君が仕入れた41cm砲に不備があったらしくてね……」

上司「そこにお詫びに行ってほしいのだが……」

女「はぁ、では連絡を」

上司「いや、連絡はもうしてある。これメモね」

女「横須賀鎮守府……?」

上司「じゃあ明日、よろしくね」

夕方



男「ふぅん、そんな事があったのか」

女「他人事じゃないのよ……あー最悪……」

男「横須賀なんておしゃれでいい所じゃないか。カレーも美味しいらしいし」

女「観光でならね。あー、手土産虎屋さんの羊羹でいいのかしら……」

男「そう言えばお前宛てに荷物が届いてたぞ。あそこ」

女(大き目の段ボール、書いてあるのは海軍御用達……箱を開けてみよう)

女「こんな格好で明日行けっての……?」

白装束のような物に説明書、そして金色の髪(?)飾り。

女(あなたは『戦艦 金剛』として『横須賀鎮守府』で働いてもらいます)

女(しかも台本まで……)ペラペラ・・・


女「こんなキモいのなんて言えるかっての!」


男「おいおい、艦娘って花形じゃん。俺ら男なんて陸だぞ、陸」

男「それにご近所さんだって通いの艦隊だしさ。お前の同僚もそうなんだろ?」

女「そりゃそうだけど……」

男「芸能人に会えるって事でいいだろ?」

女「ま、そう捉えましょ……明日は早いし、もう寝るわね」

男「お前も災難だな」

翌日


女(『戦艦 金剛』の格好に着替えて、駅へと並ぶ……)

女(男性陣の視線が痛い)

女友「おっす!おはよー!」

女「おはよう、その恰好は?」

女友「これはね、『戦艦 陸奥』なんだってwwwあらぁあらぁwww」

女「上手いわねwww」

ピンポロロン♪ ハクセンノウチガワヘー

女友「っと、こうしちゃいられないよー。鎮守府に着いたら『戦艦 金剛』のキャラで行ってよー?」

女「もし行かなかったら?」

女友「さあ?捕まるんじゃね?」

女「ええっと……ヘーイ!テートクゥ!」

女友「上手いじゃんwwwじゃ、戦艦陸奥、出撃よ!」

女(電車に揺られて数十分……ようやく着いた……横須賀鎮守府)


女「あの私会社の方から来ました――」

憲兵「ああそう、では『戦艦 金剛』さんはあちらでお待ちください」

女(聞いちゃくれない……)



女(艤装と呼ばれる物を付けて海に出てみる)

女(そんなに重くは無いし足も軽い)

女(前に何か見える……とりあえず撃ってみましょうか)ドーン!


駆逐イ級「ギュアアアア!」ゴウチン



提督「えー、金剛が本日、近づいて来た駆逐イ級を撃沈、戦果を――」



女友「よーす、金剛ちゃん」

女「今は、ね……後、提督がイケメンとか嘘じゃないの……単なる雰囲気イケメンじゃあないの」

女「トンマそうで心配だわ」ハァ

女友「それはそうとどう?危険手当や負傷手当も付いて最高の職場よwww」

女友「昇級すれば艦娘も扱き扱えるって訳www」

女「……見ると首の方に何か付いてるわね」

女友「そ。今は私が上司って訳だ、女二等兵www」

女「サー、イッエサッー」

女友「wwwww」


ウッー!


女「て、敵襲なの!?」

女友「いーや、これで今日は終わり。基本9時5時だからねー」

女友「どうよ?基本戦闘なんてあんまりないから楽よ。演習はしないといけないけどね」

女「楽な仕事ね、まったく」




男「ふぅん、どうよ、通いの艦隊は」モグモグ

女「最初は疲れたわ。けど悪くは無いわね」モグモグ

男「ま、俺も頑張るしさ期待してクダサーイ!」

女「もー!」///



女(それから何度も海へと家へと行き帰り、戦果も挙げつつなんとか馴染んできた)

女(演じるのは相変わらず慣れないが)



女友「あー、今週は夜勤かぁー……」

女「私もだけどね。それにしても、キャラになるのは基本提督の前だけってのもいいわね」

女友「でしょwww本当に楽だよねwwwこれで自分磨きの旅(笑)でも行こうかなwww」

女「はいはい……前方に敵艦あり!」

女友「マジ!?撃てっー!」ドォン!

女友「ぐぅ……ごめん……」大破

女「女友!今ドックに運ぶからね!」

女(砲撃の音が鳴りやまない、航空戦力は夜には動かせないらしい……)

女「この野郎!」ドォン!

女(ついに近くまで来た!後は……)

戦艦ル級「まっ!待って頂戴!私は通いの艦隊の艦娘なのよ!」

女「はぁ?艦娘ってのは派手な格好してね、撃つ物なのよ?」

戦艦ル級「私は、火薬部門でミスしてこうなったの!ねぇ、あなたもでしょ!?」

女(なんてこった、敵もどうやら私と同じ――通いの艦隊らしい)ハァ

続きは夜にでも

タモリ「仏教では来世と言うものが有ると考えられています」

タモリ「つまり、死んでしまったら別の何かに生まれ変わるという訳ですね」

タモリ「輪廻転生す、ると言う、事が……まったく、うっとしい蚊だなぁ……」パチン!

タモリ「……もしかすると、あの人なのでしょうか?」

龍驤(ん……ここはどこや……?)

龍驤「千代田!千歳!皆!どこや!」

龍驤(広がっているのは蒼い物ではなく緑の海……)

龍驤「ンな物ある訳ないやろ!……はぁ」

龍驤(澄んだ空に綺麗で青々椎芝、気持ちのいい風……天国みたいやなぁ)

龍驤(艤装は……無い!?探さんと!?)


龍驤(お、何か建物があるな!)

龍驤「あの!すみません!」ウィーン ファミファミファミーマファミファミマー♪


男「いらっしゃいませ、来世不動産へようこそ」

龍驤「……」

龍驤「…………はぁ?」


来世不動産

龍驤「あのですね、ウチじゃなかった、私は今すぐ戻らないといけないんですわ!」

龍驤「MI作戦を成功させんとアカンのです!」

鶏「コーッコココココ!」バタバタ!

龍驤「うわっ!な、なんやねん……」

男「はぁ、えーととりあえず腰かけて下さい」

男「それにあなたが知りたい事が分るかもしれませんよ?」

龍驤「……まぁ少しだけ話聞こうやないか」

男「では改めまして。来世不動産へようこそ。君、お茶を」

龍驤(無愛想なネーちゃんやなぁ)

男「それでですね、龍驤さんには……」

龍驤「ちょっと待ったぁ!ウチは艤装探してるんや!それがどこに有るか早く教えんかい!」

男「ふぅ……では龍驤さん。ここはどこか分りますか?」

龍驤「ここがぁ?ここはアレや、あそこや……えーと、うーんと……どこやここ」

男「天国です」

龍驤「ンな馬鹿な事があるかいな!」オチャデス 

男「事実です。ではこれを」ピッ

龍驤「テレビ……?」


テレビ「MI作戦成功させるでー!」


龍驤「ウチが映っとるけど」


テレビ「そうだよね!私も千代田姉も頑張るんだから!」

テレビ「空、綺麗やなぁー。ウチ、生まれ変わるならカモメかセミになりたいわ」

テレビ「セミ、ですか?龍驤さん」

テレビ「だーて、鳴いてるだけなんて楽そうやもん。あはは!」


男「以上です」

龍驤「おい」

男「ここは一つの区切り……次に生まれ変わる物件を紹介する場所です」

龍驤「ウチは……死んだか」

男「実感が無いようで。あ、物件と言いますのは次に生まれ変わる魂の受け入れ先の事ですね」

龍驤(それにしても色んなのがあるんやなぁ)

龍驤(ニホンザル♂、大富豪……これ一番人気あるんやな。よく分からへん虫やら多いもんや)

龍驤(すぐ入れる所もあるみたいやし、基準が分らんなぁ)

男「どんな物件がいいか決まりました?」

龍驤「せやなぁ……」ウーン

男「分ります、皆さん悩まれるんですよ」

龍驤「じゃあ、艦娘で行きたいのですが……」

男「艦娘……これ、最近だと結構キツイですよ。待遇がイカンですし」

龍驤「アカンのですか?」

男「前世の行いで決まるんですよ、とりあえず生年月日を書いて下さい」

龍驤「しゃーないなぁ……」カキカキ ハイ

男「ではお持ちを」カタカタ・・・ ピッピッ

男「こちらをご覧ください、これはお客様が生前に善悪問わず行った回数の記録です」

龍驤「この114154は?」

男「これは今まで顔を洗った回数ですね」

龍驤「この893は?」

男「これは提督に暴言を吐いた数ですね」

龍驤「……マジか?」

男「はい。部屋に行っては無能だとかつっかえへんとか言ってらしたようで」

龍驤「これは多い人が居るんですか?」

男「居りますよ」

龍驤「まさかマイナスとk」

男「マイナスですね」

龍驤「こ、この1919回ってのはなんなんや!?」

男「アリを踏んだ回数ですね」

龍驤「じゃあこの334ってのは!?」

男「提督からの求婚を断った回数ですね」

龍驤「これもマイナスかいな……」

男「今のは悪い行いのものですが、良い行いもしてますよ」

男「この72と言う回数ですが、励ました人が立ち直れた回数なんですよ」

男「そうそう出来ないのでプラスになりますよ」

龍驤「ホンマかいな!でもいい事だけはよー覚えてるもんやなぁ」ハハハ

男「艦娘は物件で例えるとマンションのような物ですし、多少の苦情は来てします物ですよ」

龍驤「そうなんですか……」

男「それでですね、そのトータルポイントが1919810ポイントですね」

龍驤「多いですん?」

男「少ないですね」

男「そのポイントですと、人にも成れない事はないのですけれども……審査が厳しいんですよ」

男「艦娘も同じですね」

龍驤「どこのが良いんですか?」

男「土佐犬はどうです?」

龍驤「争いはもう嫌やで……」

龍驤「もっとこう……長生きできるのとかあらへんですか?そうや!のんびりしたのがええわ!無いか?」

男「でしたら……ミル貝なんてどうです?160年は生きますよ」

龍驤「えぇ……そこまでは生きたくないわぁ……他の!他のは?」

男「でしたらホスルタインなんてd」

龍驤「ウチの事馬鹿にしてるんか?ああ?」

男「でも胸が大きくなれますし、のんびりできますよ。良ければ内見します?」

龍驤「出来るんか?」

男「ええ」



龍驤「……なぁ」

男「はい」

龍驤「これさ、ただ牛見に来てるだけやん」

男「お気に召さないようで?」

龍驤「てっきり少しの間牛になれるかと思っとったわ」

龍驤「ってかこんなんじゃ何も参考にならんへんわ!」


男「どれもお気に召さないようで」

龍驤「せやな。後マダイは論外やからな、君」

男「では自由な物件を、ですか……」

男「セミなんてどうです?クマゼミ、ミンミンゼミ……種類も多くて人気なんですよ」

龍驤「うーん、どこがいいか分からんへんねんけど」

男「例えば、セミは土の中で7年過ごすんです。そして1週間に地上に出る……」

男「この一週間はどんな快楽の100倍は感じることが出来るんです!」

龍驤「なにそれ!?詳しく聞かせて!」

男「その快楽がなんと一週間も続くんです。艦娘の時とは比べ物にならないくらいに」

龍驤「おおお!」

男「セミの鳴き声って実は喜びの声なんですよ」

男「それにセミは艦娘や人間と違ってポイントが貯めやすいんですよ、来世にかけるってのも一つの手ですね」

龍驤「成程なぁ……気に入ったで!」

男「ではこちらにサインを」




龍驤(こうして、ウチはセミになった。幸いにも元居た鎮守府内の土地にと取り計らってくれた)

龍驤(7年のも土の中で過ごした……)

龍驤(退屈も何も感じない。だってセミやしな)

龍驤(そして今日!ウチは地中を出て、セミになった!)

龍驤(初めての空、風、風景……)

龍驤(感じるものすべてが最高やった!)

龍驤(セミ最高!セミ最高!Foooooooooooooo!)

龍驤(ん?ここは……提督の部屋やないかい!)

龍驤(次生まれ変わるならセミがおすすめするで!)ミーンミンミンミン!

龍驤(セミ最高ーーーーーーーーーーー!)ミーンミンミンミン!ミーンミンミンミン!ミーンミンミンミン!



提督「うるせぇ!」マドシメル

タモリ「RPG……今でこそゲームのジャンルですが、元々はTRPGと言うテーブルで誰かと囲んでワイワイと」

タモリ「行うゲームのジャンルだそうです。ゲームマスターが一人とプレーヤーが数人……」

タモリ「さいころを振れば、ほらそこには奇妙な扉が」

那智(私、那智は艦娘として日々を生きている)

那智(しかしそんな私にも夢がある)


那智「はぁ……」

提督「どうした?那智、元気ないな」

那智「いや、そんな事……」

提督「ハハハ、元気だせって!な?」

那智「提督、その――」

金剛「ヘーイ!テートクゥ!」ギュー!

那智「いや、なんでもない……」


那智(私は――提督が好きだ)



夢見る機械

続きは明日書くずい

すまんずい

那智(普段から私はよく「酒飲み」だの「マジメ」だのよく言われる……)

那智(素面の私を知る者は姉妹と提督ぐらいだろう)

那智(さて、今宵も晩酌と行こう……ん……?無いな)

那智(私が隠しておいた秘蔵の『熊野那智の滝』が無い……)ゴソゴソ

那智(いや、アレは先週熊野とバカみたいに飲んでもう残っていないんだったな)

那智(となると、達磨だよな……クソ!どこの誰が持ち出したんだ)


妙高「那智、何してるの?」


那智「妙高姉さん」

妙高「どうかしたの?」

那智「実はな……って、それ私のじゃないか!返して下さい姉さん」

妙高「あんまりお酒飲むとダメよ?」

那智「済まない、これから――」

妙高「えっ、提督と晩酌の約束なの?はぁ…もう…。…提督の…ばか…」

那智「いや、今日は隼鷹と千歳で」

妙高「まったくもう……これは預かりますからね!」

那智「……!それに触るな!」ドン

パリン

妙高「」ウィーンウィーン……プシューン…


那智「……姉、さん……?ひっ!」

那智(腕は肘から取れていて、どこか機械的な―いや、機械だ。間違いない)

那智(重油か何か漏れてもいない、どう言う事だ?大本営がこうしたのだろうか?)

那智(いつの間にか逃げていた。そして台所へと走る)

那智(この時間帯なら、足柄がそこでトンカツか何か作っているだろうから)


足柄「あら、那智じゃない!トンカツあるけど食べるぅ?」

那智「いや、いい。それよりもだな」

足柄「落ち込んでいるわね!」

足柄「こんな日は、カツを揚げなきゃ!ねえ!」

那智「か、感謝する」


那智(じゅわりと揚げたての匂い、狐色の衣、青々しい千切りキャベツ、一欠けのレモン、それにカゴメのトンカツソース)

那智(ご飯とみそ汁も付いている。食べれば少しは落ち着くのだろうか)

那智「美味いな……さっくりとしているぞ」

足柄「これはすごいわ、みなぎってきたわー!大量のカツを揚げるわー!」

那智「いや、そこまでいらないのだが」

那智(もしかすると夢なのかもしれない。そう夢だ)

那智(今日は寝てしまおうか)



那智(朝、私は執務室へと行く。今日は私が秘書艦だから)

提督「おはよう、調子はどう?」

那智「まぁまぁだな」

那智(ふと、何か机の横の本棚に封筒がある)

那智「提督それは一体――」

提督「ああ、気にしないでくれ」

那智「……?まぁいいのだが。今日の予定は――」

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