ウォッカ「兄貴、ジェームズ・ボンドのカクテルを作りましょうぜ!」 (13)

ウォッカ「兄貴、ジェームズ・ボンドのカクテルを作りましょうぜ!」

ジン「ジェームズ・ボンドのカクテル?」

ウォッカ「あの007こと、ジェームズ・ボンドが愛飲してるカクテルで」

ウォッカ「正式名称はヴェスパー・マティーニとか言うらしいんですがね」

ウォッカ「なんとジンとウォッカを混ぜ合わせるカクテルなんですぜ!」

ジン「なに……!」

ジン(ウォッカ……やっと俺の気持ちに……)

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ジン「本当にいいのか……?」

ウォッカ「いいもなにも、言い出したのは俺ですぜ」

ジン「それもそうだな……俺としたことが……」

ウォッカ「じゃあさっそくやりましょうぜ」

ジン「おい……まさか今からか?」

ウォッカ「へい」

ジン「フン、仕方ない奴だ……」ヌギ…

ウォッカ「兄貴? 珍しいですね、コートを脱ぐなんて」

ジン「え、だって――」

ウォッカ「まあ、酒飲んだら火照っちまうかもしれませんしね」

ジン「あ……ホントにカクテル? 比喩とかじゃなくて?」

ウォッカ「へい!」

ジン「あ、そう」

ウォッカ「分量は……まずドライジンを3オンス」トクトク

ジン「……」

ウォッカ「ウォッカは1オンス、と」トクトク

ジン「……」

ウォッカ「あと、リレ・ブランっていう食前酒のワインを半オンス」トクトク

ウォッカ「こいつはなかなか入手困難らしくて、手に入れるのに苦労しましたぜ」

ジン「……そうか」

ウォッカ「あとはこれに氷を入れて……よく冷えるようシェーク!」

ウォッカ「どうです、兄貴!?」シャカシャカシャカ

ウォッカ「俺のバーテンぶりも少しはサマになってるでしょう?」シャカシャカシャカ

ジン「……ああ」

ウォッカ「知り合いの店で、ちょいと修行しましてね」シャカシャカシャカ

ウォッカ「あ、さっきから俺ばっかりやっててすいやせん。兄貴もやりますか?」シャカシャカシャカ

ジン「いや……続けてくれ」

ウォッカ「これをグラスに注いで、レモンの皮をそえたら……出来上がり!」

ウォッカ「さ、兄貴、飲んでみて下せえ!」スッ

ジン「……」ゴクッ

ウォッカ「どうですかい?」

ジン「……失恋の味がするな」

ウォッカ「え……!?」

ウォッカ「兄貴、そりゃどういう意味――」

ジン「ウォッカ……」

ジン「しばらくの間、お前と組んで仕事をするのはやめることにする」

ウォッカ「へ!?」

ジン「じゃあな……」スタスタ

ウォッカ「あ、あのっ、兄貴!? ちょっと待って下さい!?」

ジン「ああ、これだけは言っておく。お前のバーテンぶり、なかなかよかったぞ」

スタスタ…





ウォッカ「兄貴っ! 兄貴ーっ!!!」

……

……

ウォッカ「――ってなことがありましてねえ」

ウォッカ「俺……兄貴になにか悪いことしちまったのかな……」

ベルモット「ウォッカ……あなた、まだまだ“男心”ってものを分かってないのね」





― END ―

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