梨子「私立浦の星女学院にて」 (43)

AqoursのSSです。

情報がない部分は色々自己補完してあります。よろしくお願いします。

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1465577466

放課後 教室






果南「見てわかると思うけれど、超がつくほどのド田舎。それなのに、女子校って……本当に何を考えてこの高校を作ったんだろうね?」


果南「なーにもわからない私でも、それくらいはわかるんだけどな」


梨子「まあ……きっと昔は色々あったんだよ」


果南「そうなのかな」


梨子「なにか聞いたことないの?」


果南「うーん、あんまり興味、なかったしね」


梨子「そっか……」


果南「どう、大都会から引っ越してきて一週間……少しくらいは慣れた?」


梨子「うーん、どうかな。ちょっとまだ……」

果南「あはは、そりゃそうだよねー」


果南「実は私、東京とか行ったことなくってさー。テレビでは見るけれど、どんななんだろう、空が見えないのかな」


梨子「そうですね。ビルも高いしここに慣れてると窮屈に感じることも多いんじゃないでしょうか」


果南「そっかー、それなら、私はここでいいかなー」


果南「梨子は、高校卒業したらあっちに戻っちゃうの?」


梨子「それは、まだ……」


果南「あ、ごめんまだ早かったよね」



果南「どっちにしても、せっかく来たんだから、内浦を楽しんでよ」

梨子「うん、ありがとう」


梨子「あ……果南ちゃん」

果南「ん?」


梨子「千歌ちゃんが言ってたことなんですけど……」


果南「ああ、スクールアイドル? だっけ。あんまり
本気にしなくても大丈夫だと思うよ」アハハ


果南「きっと来週には飽きちゃうから」

梨子「そう、なの?」


果南「でも、やりたかったらやってみたら? 梨子は可愛いし、アイドルみたいなこと、いけるんじゃない?」

梨子「む、むりですよっ!!」


梨子「あ、あの……私は本当に地味だし……インドアだし」

梨子「人前に出るの、とか……かなり、苦手で……」


果南「あー、そうなんだ。あんまりそんな風には見えなかったけど……それなら無理はしないほうがいいね。千歌はすぐに調子にのっちゃうから、嫌なら嫌ってはっきり言ってあげた方がいいかも」


梨子「そう、ですよね」


果南「最近の千歌ね、梨子のことばーっかり話すんだよ」


梨子「そうなんですか?」

果南「初めてあった時、女子大生に間違われたんでしょ?」クスクス



梨子「あ、そうなんです。そんなに老けてますかね……」

果南「大人っぽいってことだよ。梨子はちょっとネガティブ?」



梨子「そんなつもりはないんですけど……」

果南「少なくとも梨子は見た目のことでマイナスのこと言われることなんてないって」

梨子「///」

果南「それにしても……目、おっきいね? 東京の子はみんなこんな感じなのかな?」グイッ

梨子「ひゃっ……///わ、私はそんなっ」

果南「カラコン?」

梨子「し、してないですっ」

果南「ふぅん、そうなんだ。東京の子ってみんなそういうのしてるのかと思ってた」


梨子「思い込みですよ……もう、からかわないでください」

果南「ごめんごめん」

果南「じゃあそろそろ帰ろうかなー。ごめんね、宿題の邪魔しちゃって」

梨子「いえ、バスの時間を待ってただけですから」

梨子(バスが一時間に一本あればいい方っていうのは……ちょっときついかも)

梨子「げほっ、けほっ……すみません」

果南「風邪?」

梨子「いえ、違うと思うんですけど、今朝からちょっと……」

果南「安静にしてないとだめだよ?」

梨子「ありがとうございます」




千歌「――かーなんちゃーんっ!!!!」ギュッー!!!



果南「うぐぅ、いたいっ!」


千歌「あ、ごめん。それより、なんでまだ学校にいるの!?」

果南「ん、なんとなくだよ、千歌はいるかなーって見たら梨子が宿題してたから、ついね」


千歌「へー、あ、梨子ちゃん宿題やってるんだ」


梨子「することもないしね……」


千歌「うぐっ、田舎をバカにされたきぶん……」

梨子「そ、そういうつもりじゃないってば!?」


千歌「東京の人は、暇があれば、すたばに行くんでしょ? しんさく、飲んじゃうんでしょ?」



梨子「千歌ちゃんも果南さんも、東京に対する思い込み、激しいよ……」


果南「だってー気になるもんねー?」


千歌「ねー」


千歌「あ、果南ちゃん急がないとフェリーの時間大丈夫?」

果南「あ、やばいかも。じ、じゃあ私はこれで!!」

千歌「うんっ、ばいばーいっ」


梨子「船着場まで結構あるけど……大丈夫かな?」


千歌「自転車で飛ばせば多分なんとかなるんだよ」



梨子「自転車、か……しばらく乗ってないなぁ」

千歌「えー!! 自転車がないと生活出来ないじゃん!」

梨子「ま、まあ確かに……買わなきゃだよね」

梨子(駅なんてかなり遠いから使う機会も無さそうだし、だから沼津へ行くにもバスの方がよさそうだし……駅まで行くのが一苦労だよ……)

千歌「――ということで梨子ちゃん、千歌と一緒にスクールアイドル、しよっ」

梨子「は、話が急すぎるよっ!?」

千歌「えーだってぇ」


千歌「ねーねー、どうしたら一緒にスクールアイドルしてくれるの?」

梨子「どうしたらって……私には無理だよ」

千歌「そんなことないよっ、梨子ちゃんすっごい可愛いんだからっ」

梨子「うぅ」

千歌「果南ちゃんだって、梨子ちゃんが来てくれると嬉しいって!」

梨子「え!?」

梨子(果南さん興味ないみたいなことって言ってたのにー!?)

梨子「と、いうか果南さんもやってるの!?」

千歌「? 当たり前じゃん」

梨子「え」

千歌「メンバーはね、九人くらい欲しいの」

梨子(九人……)

千歌「だーかーらー」

梨子「――と、とりあえずバスの時間だよ千歌ちゃん!」

千歌「あー!! やばいっ、はやくいこっ!!!」


梨子(表情がコロコロ変わるなあ……可愛いけれど)


◇――――◇

バスの中



千歌「ここのみかんはねー、すっごい美味しいんだよっ」

梨子「本当にみかんばっかりだね」

梨子「でも、静岡ってみかんのイメージなかったな」

千歌「ここだけじゃなくて、静岡のいろんなところでみかん作ってるんだよ!!」

千歌「青島みかんとか」

梨子「うーん……?」

梨子「みかんといえば和歌山とかえ――」

千歌「そういうところよりここの方が、美味しいもんっ!!」


梨子「そ、そっか……そう、かも?」

千歌「えへへ、今度一緒に食べようね」

梨子「うん」

梨子「千歌ちゃんは、普段遊びに行くときは沼津まで行ってるの?」

千歌「行くときもあるけど、大体は果南ちゃんのお家まで行くんだよ」

梨子「果南さんの家って、淡島だよね」

千歌「そうなの」

梨子「毎回フェリー使うのってちょっと大変じゃない? 金銭的にも……」

千歌「そうなの……だからその辺りにいる人に声かけたりしてついでに乗せてもらったりとか……」

梨子「ええ……?」

千歌「もう千歌のことは知ってるから、乗せてくれる人もいるんだよ!」

梨子「へぇ……」

梨子「千歌ちゃんは果南さんと仲が良いんだね」

千歌「うんっ、あ……明日果南ちゃんち、行ってみる!?」

千歌「ううん、行こうよ!」

梨子「明日……は、大丈夫だけど……」

千歌「やった! じゃあ果南ちゃんに電話してみるねっ!?」


プルルルルル

千歌「かっなんちゃーん、かっなんちゃーん」


梨子(果南さんの話をするとき、すっごい楽しそう……)

千歌「む……でない」





千歌「――電話にだれもでんわっ!」



梨子「……」

千歌「あ、いまのはね電話とー、だれも、でんわの――」


梨子「説明しなくて……いいから」

千歌「?」


プルルルルル

千歌「あ、かかってきた!」


果南『もしもし何かあったの?』

千歌「あ、果南ちゃん! 明日果南ちゃんち行っていい!?」

果南「明日? それは構わないけど」

千歌「じゃあ梨子ちゃんも連れてくねっ」

果南『え、梨子も来るの?』

千歌「うんっ、大丈夫かな?」

果南『大歓迎。じゃあいつもの時間で来る?』

千歌「そうするねっ、じゃあまた明日!」


梨子「どう?」

千歌「じゃあ明日の10時頃に船着場に集合!」


◇――――◇


梨子「えーー! 来れない!?」

千歌『ご、ごめんっ。うちの手伝いしろって、言われちゃって……』

梨子「そんなあ」

千歌『で、でも大丈夫だよっ。近くに係りの人がいるでしょ!? その人に声かければ、次の船に案内してくれるからっ』

梨子「え、私……一人で果南さんの家に行くの!?」

千歌『……いかないの?』

梨子(千歌ちゃんが行くって言ったから来たのにー……)

千歌『果南ちゃんには連絡しておくからっ、じゃあそういうことで、お願いっ!!!』

梨子「ちょっ――」


プツッ



梨子「……もう、ひどいよ」

梨子「どうしよう」ポツン


梨子「あわしまマリンパーク行きに乗ればいいのかな……」


梨子「観光客みたいな人もいるし……あそこかな」




曜「あれ、あれれ?」





曜「――梨子ちゃんじゃんっ、どうしたのー?」

梨子「え、曜ちゃん!? よかった……いいところに」

曜「どうしたの? なにかあった?」

梨子「あのね――」



――――



曜「あーまた千歌ちゃんがやらかしちゃったかー」

曜「ごめんね、私からも謝るよ」

梨子「う、ううんいいの」

曜「悪気はないんだけど、時々こういうことあって。私からも言っておくからさ、許してあげて?」

梨子「だ、大丈夫だよっ」

曜「よかった。で、果南ちゃんちかー……そこの船結構な頻度できてるから次ので乗れば大丈夫」

梨子「そうなんだ、ありがとう」


曜「果南ちゃんちに一人で行くんだ?」

梨子「うん……」

曜「大丈夫? まだ果南ちゃんにそんなに慣れてないだろうし……気を使っちゃうかな」

曜「ほんとは私もいけたらいいんだけど、この後練習があって……」

梨子(練習……? そっか、飛び込みの選手、なんだっけ)

梨子(全日本の強化指定メンバーに選ばれてるって言ってたけど……もしかしなくても、凄すぎること、だよね? 渡辺曜って検索したら出てくるし……そんな人が目の前にいるって……)


梨子「本当に大丈夫だよ? 果南さん、優しいし二人でいても安心するから」


曜「そっか……じゃあついでだしマリンパークの中も見てきなよ。ちょっとは楽しいと思うよ」


梨子「うんっ、なにからなにまでありがとう」

曜「なんにもしてないってー、じゃっ、また学校でねーっ」



梨子「じゃあね!」

曜「やばっ、コーチに怒られる!!!」

曜「じゃっ!!!」ビュンッ






梨子「……やっぱり自転車いるんだなぁ」

梨子「というか曜ちゃん漕ぐのはや……」



◇――――◇

梨子「ここがマリンパーク……こんなところにお家があるなんてすごいなあ」

梨子「わ、イルカがいる……そ、そっかここはもう水族館なんだもんね」

梨子「って、果南さんはどこにいるんだろう。ダイビングショップが家って言ってたけど」

梨子「連絡先知らないしなあ……千歌ちゃんが連絡してくれるって言ってたんだけど」


梨子「ちょっと歩いてみようかな」



トコトコ

梨子「あ、イルカのマーク。あれが果南さんちのダイビングショップ、かなあ? 入ってみよう」

カランコロン


梨子「……おー、お店だ」

梨子「そういえばダイビングのことって全然知らないな。よく芸能人がダイビングのライセンスとったとか言ってるけど……」

梨子「あ、これがスーツ、か。これが……うわっ、たか……」

梨子「へぇ、いろいろあるんだね」

梨子「果南さんは……いない、か。お店番してる時もあるって聞いたんだけどなあ」



梨子「――あの店員さん……おじいさん、だね」

梨子「そういえば、果南さんはおじいさんと暮らしてるって……じゃああの人に聞けばわかる、かも?」


梨子「あの、すみません……」

梨子「このお店の、松浦果南さんに用があってきたんですけれど……ご存知、ないですか?」

梨子「え、ダイビング、してる!?」

梨子「外の桟橋を見てればいつか出てくる……ですか」

梨子「い、いえ謝らないでください。私が勝手に用があるだけですからっ」


梨子「では……ありがとうございました」

梨子「桟橋は……あそこかな」


トコトコ



梨子「……綺麗な海」

梨子「……都会も好きだけれど、こういうのもいいかもね。どうせ、卒業までしかいないんだし」


ザッバーンッバシャ



梨子「きゃっ――あ、果南さんっ!!」

果南「――え、梨子! あれれ、連絡があって、梨子が来るの12時過ぎって聞いたんだけどなあ」


梨子「もう、千歌ちゃんたら……」


果南「まーた千歌かー、ごめんね」


梨子「それ、ダイビングってやつ、ですか?」



果南「ん、そうだよ。趣味ダイビングって、ちょっとだけかっこいいって思わない?」


梨子「うん、そう思う……」


梨子「でもダイビングって、酸素ボンベとかいらないの?」


果南「ああ、そういうのもあるけど、今日は素潜り、気楽だしねー」

梨子「そうなんだ……色々あるんだね」




果南「よしっ、ひゃー水吸ってスーツが重いなー」ジーッ




梨子「きゃっ、だ、だめだよっ。ここ人がいっぱいいるんだよ!? み、みられちゃうよっ」

果南「え?」

梨子「か、果南さん、女の子なんだから、だめだよっ////」

果南「い、いや――ちゃんと下に水着着てる、からね?」ホラッ


梨子「あ、そ、そうだよねっ、ごめんっ。私ったらなに言ってるんだろう」///

果南「そんな人前で裸になるわけないでしょ?」クスクス

梨子「あ、あはは……」

梨子(果南さんって、スタイルいいなー……)

梨子(ウエスト引き締まってて、胸もおっきくて、足も長い……水着だと、スタイルの良さがよくわかる。羨ましいなー)ジッ

果南「?」

梨子「い、いえ」

梨子「それより、寒くないんですか? まだ春だから水温も冷たいんじゃ……」

果南「そうだね、ちょっと寒いかも。でも冬が終わって我慢できなくってさ」

果南「伊豆の海はね、結構有名なんだよ。そりゃあ沖縄とか南の方には勝てないかもしれないけど、全国からたくさんダイビングしに人が来るの」


梨子「へえー、知らなかったです!」

果南「梨子もどう?」

梨子「でもダイビングってライセンスとか……」

果南「素潜りなら大丈夫っ!!」

梨子「す、素潜りはちょっと……自信ない、かな?」

果南「あはは、そっか。でも、海の中は本当に綺麗なんだよ。重力から解放されたみたいで」

梨子「そうなんですか……」

梨子「果南さんはライセンスとか、取ったってことですよね?」

果南「うん、おじいちゃんに取らされたの」

梨子「あー、なるほど。ダイビングショップですもんねっ」

果南「そういうこと、じゃ、そろそろうちに行こっか。私が着替えないとだし」

梨子「はいっ」

果南「ここに来るのにお金払ったよね?」

梨子「? 払いましたけど」

果南「そっか、じゃあ着替えたら水族館の中も見にいこうか!」

梨子「あ、行きたいですっ」

梨子「げほっ、げほっ」

果南「? 昨日から、大丈夫?」

梨子「すみません……大丈夫ですっ」

果南「それならいいけど……」


梨子(ちょっとだるい……かも)


◇――――◇

水族館



果南「あんまりおっきくないけれど、どうだった?」

梨子「……」

果南「梨子?」

梨子「え、あ……楽しかったですっ」フラ…

果南「ちょっと梨子、大丈夫?」

梨子「ちょっと……だるい、です」

果南「顔色悪いよ、とりあえずもう一回、うちに行こうか」

梨子「すみません……」




◇――――◇

果南の部屋


梨子(あー、これは熱あるかも……)

果南「お茶持ってきたよ、少しは落ち着いた?」

梨子「えっ、と」

果南「おでこ、かして」

梨子「え」


コツンッ


果南「ん……」

梨子(な……///か、果南さんの顔、こんな近くっ///)

果南「……やっぱり熱いよ」

梨子「そ、そうですよね///」

果南「なんか顔赤くなった?」

梨子「え!? そ、それは果南さんが変なはかり方するから……」

果南「あ……ごめんね、千歌と同じ感覚でやっちゃった」

梨子(千歌ちゃんはいつもこんな風なことされてるの……?)


果南「梨子はしっかりしてるから、あんなやり方失礼だったよね。じゃ、これ体温計」

梨子「そ、そうじゃなくて風邪うつっちゃうかも……」

果南「いいよいいよ、気にしないで。それより、梨子のことの方が大事でしょ」

梨子「……果南さん」




梨子「ん、37.8……」



果南「うわー、熱あるね。どうする、今日は帰る?」

梨子「そう、ですね」



果南「ちゃんと帰れる? 船着場から家まで結構な距離あるんでしょ? 親御さんに連絡とか……」


梨子「お、親は明日まで東京に、行ってて……」

果南「あちゃー……」


梨子「で、でも大丈夫です。少し休めば……」



果南「だめだよ。今動いたら余計悪化しちゃう、しばらく休んで船の最終までに落ち着かなかったら――泊まっていきな?」

梨子「え……?」



果南「その、嫌なら……止めないけどさ、私は大歓迎だし梨子にとってもそっちの方がいいと思うよ」

果南「まあ、様子見て……って感じだね」

梨子「わかり、ました。このままなら……お願いします」

果南「おっけー。あ、おでこだしてー。熱さまシート貼るから」

梨子「自分で出来ますよ//」

果南「いいからいいからー」


ピトッ

梨子「ん……きもちいい」

果南「ね、きもちいいよね、それ」

果南「嫌じゃなかったらベッド使って?」

梨子「いいんですか?」

果南「いいっていいって。眠くなったら眠っちゃってもいいよ、まあ……私もいるから眠れないかもしれないけど……」

◇――――◇


梨子「……」ウト…ウト

梨子(なんで、だろう……果南さんと話してると、安心する……)

果南「……」

梨子「すぅ……すぅ」

果南「……千歌ならすぐ眠っちゃうんだけどね」

果南「大変だろうな、慣れない土地に来て……体調崩しちゃうのも、仕方ないよね」

果南「この調子じゃ、帰れそうもないね。よーし……梨子のためにもご飯はどうしようかなー」


◇――――◇

梨子「んっ……」

梨子「あれ、何時……って、夜!?」

梨子「ああ……寝ちゃったんだ。果南さん、起こしてくれればよかったのに。……いや、あのままじゃ帰れなかったかもしれないよね」

梨子「まだちょっと……だるい、な」


梨子「果南さんは……」

果南「――お、起きたね?」

梨子「あ、果南さん……すみません、私……」

果南「かわいい寝顔見させてもらいました」

梨子「////」

果南「もう19時だけど、ご飯どうする? 食欲あるかな?」

梨子「19時!? 私、かなり眠っちゃって……」

果南「あはは、少しは良くなった?」

梨子「多少は……。あ、食欲ならありますけど……どうするんですか?」

果南「何か作ろうと思って」

梨子「わ、悪いですよっ」

果南「もうっ、さっきから悪い悪いって、ちょっとは人に甘えることも必要だよ。千歌なんて甘えてばーっかりで」

果南「だから、ね?」

梨子「……すみません」

果南「……何か食べられないものとかある? 嫌いなものとか」

梨子「……ぴ」

果南「ぴ?」



梨子「――ピーマン……///」



果南「へぇ、ピーマン苦手なんだ。なんか可愛いね?」

梨子「どういう意味ですかー!」

果南「うそうそ、わかったちょーっと待っててね?」



◇――――◇

梨子「これ、果南さんが作ったんですか?」

果南「うん、どうかな?」

梨子「おいしいです……ほんとに。料理得意なんですか?」


果南「得意ってほどじゃあないと思うけど、家でするの私しかいないから」

梨子「あ……」


果南「おじいちゃんに任せ続けるのも、あれでしょ?」

果南「梨子は料理が好きとか言ってたよね」


梨子「一応言いましたけど……そんな自慢できるほどじゃ」

果南「じゃあ今度、食べさせてね」

梨子「わ、わたしのでいいなら」

果南「ふふっ、やったー」

果南「千歌も連れてくね」

梨子「大丈夫かな……」

果南「ふふっ、大丈夫大丈夫」



梨子「あ……果南さん、千歌ちゃんから聞いたんですけど、果南さんもスクールアイドル、してるんですか?」


果南「ん、してるよー」


梨子「どうして……」


果南「うーん、千歌がやろーって言ってきたから。まあやることもないしいいかなーって」


梨子「か、軽い……」

果南「そんなものじゃないかな? 考えたってわからないし……生きてればいつか、嫌でも考えなきゃいけない時も、くるんだし」



果南「そんなただの大人になるまでのこの期間くらいは、そうやってなんでもしてみるのも……楽しそうだって思わない?」

梨子「……」


果南「少しでも興味があるなら、飛び込んできてほしいな。こういう結果になったのも、梨子がこんな辺境の場所に、新しい風を吹き込んでくれたおかげたから」

果南「もし、あのみゅーず?ってのが居た音ノ木の生徒だからってことで誘われてるって思われてるなら……それは違うよ? 私はみゅーずのことよく知らないし、単純に梨子と一緒に何かできたら楽しいかなって、たった一週間過ごしただけだけど……そう思ったんだよね」

梨子「……////」

梨子(な、なんだろ真っ直ぐこんなこと、言われるなんて思ってなかったよ///)ドキドキ

梨子(あ、あれ……私なんか、ドキドキ、してる?)

梨子「……ぁ」

果南「あはは、ごめんねこんなこといきなり言っちゃって」

梨子「い、いえ嬉しいです……ほんとに」ドキドキ

果南「そっか、また考えてくれると嬉しいな」

果南「……なんか梨子、また顔赤くなってない? 大丈夫?」ジッ

梨子「だ、大丈夫ですからーっ」ドキドキ




梨子(な、なにこれぇっ////)


◇――――◇

次の日


果南「よかった、熱が下がって」

梨子「ほんとにありがとうございました」

果南「気をつけて帰ってね?」

梨子「はいっ」

果南「あと、さ」

梨子「?」

果南「よかったら、私に敬語使うのやめてよ。なんか変な感じしちゃうんだよねー。ほら千歌とか曜も敬語使ってないでしょ? だからさ」

梨子「でも、いい……の?」

果南「うん」

梨子「じ、じゃあ……果南、ちゃん」

果南「ふふ」

梨子「うわー、なんか恥ずかしいよ」ドキドキ

梨子(昨日からなんなのさ……これ。果南ちゃんは女の子、だよ……)

果南「そういうことで、これからもよろしくっ」

梨子「うんっ」

果南「今度はマリンパークの中ゆっくり見ようね。熱があってよく覚えてないでしょ?」

梨子「あはは……そうなんだよね」






鞠莉「――ちょぉっと! かーなんっ!!」


鞠莉「私という人がありながら浮気はだーめっ」

果南「いやいや意味わからないしっ」


鞠莉「いくら浮気がジャパニーズ文化だからって」


果南「ある芸能人の言うこと間に受けちゃだめっ」


鞠莉「もー細かいなー」



果南(同じ島に住んでて学年も同じで……でも鞠莉と話すようになったの最近、だよね。千歌並みに人と距離を縮めるのがはやいというかなんというか)


梨子(金髪……お人形みたい。あれ、この人って)


果南「ごめんね、この人は小原鞠莉。同じ高校の三年生だよ」


梨子「あ、見たことあります……」


鞠莉「へー、私もあなたのこと知ってるよっ!!」


梨子「え?」


鞠莉「ジャパニーズシティガールっ! 桜内梨子ちゃんでしょ!?」


梨子「どうして……」


果南「うちの高校人数少ないし、梨子は転校生だしで知らない人はいないって」

梨子「そうなんだ……」


鞠莉「私ね、私ね、あそこの淡島ホテルに住んでるのっ。是非泊まりに来てね!」


梨子「淡島ホテル……え、それってすごいんじゃ」

果南「そうだよー、鞠莉はお金持ちだよ」



鞠莉「梨子がシティガールなら、私はマネーガール!!」

梨子「あ、あはは」



果南「なんかそれだと汚い人みたいになるからやめなよ」

鞠莉「えー?」


果南「梨子、船でちゃうよ」


梨子「あ、うん」

果南「じゃあね梨子!」

鞠莉「ばいばいー!」



梨子「あ、うんっ、さようなら!」




梨子(強烈な人だな)アハハ

◇――――◇


月曜日




千歌「ほんとにごめんね、梨子ちゃん」

梨子「だ、大丈夫だよ」

千歌「だって、曜ちゃんが……梨子ちゃんはかんかんに怒ってたって」

梨子「ええ……?」

曜「千歌ちゃん前もこういうことあったでしょ? だからそれくらい言わないと直らないかなーって」

梨子「なるほど……」

千歌「じゃあ怒ってない?」

梨子「怒ってないよ」

千歌「よかったー……じゃあさ梨子ちゃん。今度うちの温泉に入りにきてよっ!!」

梨子「え、でも……」

曜「千歌の家は旅館だから、普通はお金を払わなきゃだけど、たまに入らせて貰えるんだよ」

梨子「そうなんだ……いいの?」

千歌「うん、きてきてっ」





果南「――おーい、千歌ー」

梨子「」ドキ


果南「お、曜と梨子もいたんだ」

梨子「この前は、ありがとう」//


果南「いいっていいって。それより千歌、練習するんじゃないの?」

千歌「うん、しよーっ! 梨子ちゃんと曜ちゃんもしようよっ!」

曜「私は無理だってばー」

果南「そうだよ、曜は練習忙しいんだから」

千歌「むぅ……梨子ちゃんは?」


梨子「私は……ちょ、ちょっと考えさせて?」

千歌「見学でもいいよ?」

梨子「……」

果南「校舎の裏でやってるからさ、よかったら来てみてね」

梨子「あ……はいっ」

果南「いくよ千歌」

千歌「おっけー!」

曜「二人とも何かしだしたんだねー」


梨子「曜ちゃんは……しないの?」

曜「ちょーっと忙しいからね……」

梨子「……練習、大変なの?」



曜「うん、全日本に選ばれてからね、最近酷いんだよー。身体がおかしくなっちゃいそう」


曜「優勝するにはその技じゃない! こっちだーって、あはは」

曜「私はこの技で飛びたいって、言ってるんだけどねー」



梨子(大変なんだな……)





曜「飛び込みは好きだけどさ……このままだと、ちょっとわかんない、な……」ボソッ



曜「スクールアイドル? だっけ、ちょっと面白そうだよね。梨子もやってみたら?」



梨子「私は……運動も苦手だし」


曜「苦手でも、楽しめたらいいんじゃない? 楽しめるのが、なにより大事なことだしね。梨子が出来ないから楽しめないっていうんなら……仕方ないけど」


曜「じゃ、私はいくねーっばいばい!」


梨子「うん、また明日」




梨子「……練習、見に行ってみようかな」

次でおわります。


◇――――◇



梨子「えっとたしかこの角をまがると」


梨子「――? だれかが、角の向こうを覗いてる……」

梨子「あのー……」


善子「ひゃっ、な、なによ急に!?」


梨子「え? ごめんなさい驚かせるつもりは――」


善子「――このヨハネを驚かせるだなんて、あなたさては天界の使いね!?」



梨子「ん?」

善子「堕天したヨハネのことが恋しくて、こんな下界まで使者を送るだなんて、大天使ミカエルも堕ちたものね」

梨子(あ、変な子だ……)


善子「ミカエルに伝えておいて、これ以上ヨハネに構うなら、魔界の炎で――」


梨子「千歌ちゃん達の練習、見てたんですか?」


善子「ふぇ!? ち、違うわよっ!」

梨子「だって今……」

善子「ちがうったら、ちーがうっ!!」

梨子「そっか、私は二年生の桜内梨子です。あなた学年と名前は?」

善子「一年生、津島善――ヨハネよっ!!」



梨子「あ、一個下なんだね。ヨハネちゃん? 本名なの?」


善子「そうよっ!」


梨子「珍しい名前……」


善子「まあ、人間界じゃあ珍しいかもね」


梨子「ええ……?」


善子「と、とにかく私はあの人たちのしてることに興味があるとか、そういうのじゃないからっ!!!」


タッタッタッ


梨子「なんだったんだろう……」


梨子「練習、覗いてみよう」



梨子「!?」






果南「ちがうちがう、動画じゃこういう風に踊ってるでしょ?」

千歌「うぅ、難しいなあ」



梨子「果南ちゃんが踊ってる……」

梨子「かっこいい、かも」///

梨子「や……私やっぱり、なにか変……」

梨子「今日は帰ろう……でも、楽しそう、だな」



◇――――◇



次の日 朝




梨子「え、私のことを呼んでる?」

梨子「誰が――」



花丸「あー、ルビィちゃんこの人ズラ!」

ルビィ「ひっ」

梨子「えっと、私に用があるって……あなたたちですか?」





花丸「そうズラっ! 一年生の国木田花丸です! こっちはお友達の黒澤ルビィちゃんズラ」




ルビィ「るるるる、ルビィです! よろしくお願いしますっ!!」




梨子(ふたりとも小さくてかわいい……)

梨子「二年生の桜内梨子です、よろしく……で、用って」

ルビィ「あ、あの……梨子さん、梨子さんはあの音ノ木坂から来たって、聞きました」

ルビィ「μ'sって、どんなグループ、だったんですか?」

花丸「ルビィちゃんはスクールアイドルもプロのアイドルも大好きなんです」

梨子「あ、そうなんだ……でも、ごめん。私は直接µ’sの人たちを見たことがなくて。年代も違うし……」

ルビィ「そ、そうですか……」

梨子「でも、凄かったみたいだよ。本当に銅像が立っちゃうんじゃないかってくらい」クスクス

ルビィ「そうなんですか」キラキラ

梨子「アイドルが好きなんだ、ルビィちゃん、だっけ。可愛いし、自分でなってみたいとか思わないの?」

ルビィ「る、ルビィなんか……むり、です」

花丸「そうだっ、無理じゃないズラルビィちゃん! ルビィちゃんは可愛いんだから、やってみよう!!」

梨子「本物のアイドルに挑戦するのに自信がないなら、それこそスクールアイドルでもやってみたら?」

花丸「スクールアイドル! ルビィちゃん、やるズラ!!」

ルビィ「む、むりだよぉ!!」

梨子「ここの学校でも放課後、校舎の裏で練習、してるみたいだよ」

花丸「初耳ズラ」

梨子(まだ募集かけてないのかな?)

ルビィ「そんなのが……」

花丸「ルビィちゃん、放課後見に行こう!!」

ルビィ「うぇぇ……お、お姉ちゃんに怒られるよぉ」

花丸「ダイヤさんも、話せばわかってくれるズラ!!」

ルビィ「でも、お家のこともあるし」


花丸「――梨子さん、どうもありがとうございました!!」


花丸「いこっ!!」





梨子「あの子たちなら可愛いし、きっとできるよね?」





「――わたくしの妹がお手数おかけしたみたいですわね」




梨子「え?」



ダイヤ「突然すみません。おはようございます。はじめまして。ここの生徒会長をしております、三年生、黒澤ダイヤと申します」


梨子(うわっ、綺麗な人……生徒会長なんだ……そういえば集会で話してたような)


梨子「は、はじめまして桜内梨子ですっ」


ダイヤ「ええ、東京からの転入生ですわよね。存じ上げております」


梨子(この人……丁寧すぎない?)

ダイヤ「さきほどは妹の黒澤ルビィがお世話になりました」

梨子「いえ、全然……」


ダイヤ「それならよかったですわ。まーた妹が他の方にご迷惑をおかけしたかと心配しておりましたの」



梨子「そう、なんですか」




梨子(ルビィちゃんのお姉ちゃん……あんまり似てないかも)


ダイヤ「都会からこんな田舎へ、環境の変化で大変かもしれませんが……どうかお楽しみになって。それと、わたくしが力になれそうなことがあったら、言ってください」



梨子「は、はいっ、ありがとうございます!」



ダイヤ「では」ペコリ…





梨子「綺麗な人だったな……」


◇――――◇



昼休み



梨子「一人でこの学校を探検するのも悪くないよね」

梨子「ええと、まだ行ってないのは……プールがあるところ、か」


梨子「この先だったよね確か」


梨子「プール、どんな感じなんだろう。使われてるのかな。さすがに鍵とかかかってる、よね……」


ギイィ

梨子「開くんだ……」

梨子「うわ、五十メートルプールだ……まだ掃除はされてないみたいだけど、これはすごいや」

梨子「都会だと土地がないから五十メートルはなかなかないもんね」

梨子「ん、あそこでお弁当食べてる子は……」






梨子「――ヨハネちゃーん!!」

善子「へっ」

善子「あ、あなたは……」

梨子「どうしてこんなところでお弁当を食べてるの?」


善子「ぅ……そ、それは」


善子「私、沼津から通ってて疲れるから、お、お弁当くらい一人で食べたいだけっ」


梨子「へー沼津からなんだあ。私も一人で行動するの、結構好きだよ」


善子「ふぅん、あなたはどうしてこんなところへ? さしずめ、ヨハネのチャームにかって――」


梨子「私、二年生だけど転校してきたからこの学校のことよくわからなくって。一人で探検してたの」


善子「転校? どこから?」


梨子「東京の秋葉原から」


善子「と……東京!?!?」


善子「うそ」

梨子「本当だよ」

善子「じ……自慢!?」


梨子「へ?」



善子「なによなによ、東京から来たからってなによ! 私だって魔界から来たんだからねっ、トーキョーなんて、ヨハネの魔法なら一瞬で……」


梨子「――このノートの名前、本名?」


梨子「津島……善子ちゃん」






善子「うわああああっ、ちがう! これは人間界に紛れ込むための名前で、真名はヨハネよっ!!」

梨子「そっか」


梨子「善子ちゃんは」


善子「ヨハネ!!」


梨子「よ……よっちゃんは……どうして沼津からここへ?」


善子「よっちゃ……まあ、いいわ。私だって、廃校になりそうな学校来たくなかったわよ……まあ色々あって」


梨子「そっ、か……」

善子「あなたこそ、どうして?」

梨子「親の都合で、ちょっとね」

善子「ふぅん。友達はできたの?」

梨子「? うん」

善子「な、なによ、ヨハネをからかいに来たのねっ!」

梨子「ど、どういうことー!?」

梨子「よっちゃんだって、もう友達みたいなものだと思うけど……」

善子「と、ともだち……べ、別にヨハネは一人でもいいしっ」

善子「まあでも……そんなに私と話したいなら別にいいけど」


梨子「そっか、じゃあ学校で見かけたら話しかけるね」


善子「……うん」



ポツポツ…


梨子「え、雨? さっきまで晴れてたのに」



善子「は……、ヨハネの魔力で」



梨子「いやいや」



善子「私は運が悪いから、私が外に出るといっつも雨が降っちゃうのー!!」


梨子「そ、そうなの!?」


ザアアアアア




善子「きゃあああ! 早く戻るわよ!!」


◇――――◇

授業中


梨子「ほんとによっちゃんが入ったら雨やんだよ」



曜「……すう、すう」


千歌「すぴー……すぴー」



梨子「ふたりとも毎回授業中、眠ってる……」



◇――――◇



放課後



梨子「あ、果南ちゃん……」

果南「どうしたの?」

梨子「もしかしたら今日スクールアイドルに興味がある子がいくかもしれません」

果南「え、なにがあったの?」

梨子「話しかけてきた一年生がそういうの、興味あるらしくて、それで」

果南「へぇ、ありがとう梨子。千歌も喜ぶよ」

梨子「わ、私は全然///」

果南「あとは、梨子が来てくれると嬉しいな」


梨子「き、今日は私も見に行く、よ」

果南「本当!? 嬉しい!」

梨子「ぅ」ドキドキ

果南「体調はどう?」

梨子「少し咳は出るけど、よくなったよ」

梨子「果南ちゃんの、おかげ//」

果南「そんなことないって。梨子が頑張ったからだよ」

梨子「//」


梨子「あの、あとから行くから、先に行ってて?」


果南「おっけー、待ってるよ!」



梨子「うぅ、なんか果南ちゃんと話すとドキドキする……大人っぽいから、かな」



◇――――◇



校舎裏


梨子「あ、今日もよっちゃん見てる」


梨子「やっぱり興味あるのかな」


梨子「――よっちゃん、なにしてるの?」


善子「ひゃあっ、リリー驚かさないで!!」


梨子「り、リリー……?」


善子「そう、リリーよ! 小悪魔リリー」


梨子「よ、よくわからない、なあ」


梨子「それよりよっちゃん、今日はどうして覗いてたの?」


善子「私と同学年の子二人が、この向こうに行ったから気になっただけ」

梨子(同学年の女の子ふたり……あのふたりかな?)

ソーッ


梨子(あの子達だ! 話してるみたいだけど)


梨子「よっちゃん、興味あるってこと、だよね?」


善子「べ、べつにっ」


梨子「やってみたいなら、やってみない? 実はね、私もあの子たちがやってること、ちょっと興味あるんだ」


善子「え、リリー"も"?」




梨子「くす……うん、ふたりなら新しいことするのも、少しは怖くなくなると思わない?」


善子「……そう、かも」


善子「でも私、運が悪いし、みんなに迷惑かけるかも」



梨子「……」









梨子「――そんなの関係ないよ、さ、話を聞きにいこ?」








おわり。

おわりです。サンシャイン、楽しみですね。各種カップリングに無限の可能性を感じます。

見てくださった方はありがとうございました。

このSSまとめへのコメント

このSSまとめにはまだコメントがありません

名前:
コメント:


未完結のSSにコメントをする時は、まだSSの更新がある可能性を考慮してコメントしてください

ScrollBottom