奏「映画部野外活動記録」 (72)

※ここに警告文のあるものとする




新宿


ヘレン「待たせたわね」ヘーイ

奈緒「お疲れーっす」

小梅「お疲れ…さま…です…」

文香「ついに来ましたね…!」

ヘレン「ええ、ついにこの日が」

奏「そんな大げさな…」

ヘレン「ヘーーイ!!!」パーン

奏「痛ッ!?」

ヘレン「映画館心得その四!ピクサー作品は?」

奏「マ、マストで観る……悪かったわ、私もまだまだね」

ヘレン「そう、今日は忙しくて観れなかったズートピアをついに観ることができるのよ」





『映画部と動物の街』






SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1465433053


奈緒「ついにこの日が来たなー!」

文香「早く…早くいきましょう」

奈緒「気合入ってるなあ、文香さん」

小梅「評判…いいもん…ね…」

文香「だってウサギが、キツネが、二足歩行で、街まで作って…」

奈緒「あ、文香さん、もしかしてケモ…」

ヘレン「それ以上の詮索は世界レベルではないわね」

奏「うーん…私、CGアニメーションってちょっと抵抗あるのよねぇ…」

奈緒「あー…気持ちはわかるよ。あたしも最初はダメだったな」

小梅「私も…最初は抵抗あったけど……ベイマックスを観て…意識変わった…よ…?」

奏「そうねぇ…」

ヘレン「百聞は一見にしかずよ」


奈緒「上映開始まで何分くらい?」

ヘレン「そうね…映画館までの移動時間を鑑みて…到着してから15分少々の余裕があるわね」

文香「なら、映画のグッズ見ていいですか?」

ヘレン「かまわないわ」

小梅「グッズとか…普段買わない…」

奈緒「あたしも。あ、でも変なお菓子とかはたまに買う」

奏「ああ、あるわね」

ヘレン「買ったことないわね。美味しいの?」

奈緒「んー……」

ヘレン「………」

奏「………」

奈緒「行こっか」

ヘレン「そうね」


映画館


小梅「チケットは…?」

ヘレン「すでに購入済みよ」

文香「では心おきなくグッズを……ッ!?」

奏「?……どうかした?」

文香「グ、グッズが……軒並み売り切れています…!」

奈緒「あー、ちょっと遅かったか」

文香「そんな……」

奏「公開してから結構経つのに、凄いわね」

ヘレン「さすがピクサー。世界レベルね」

奈緒「今作のキャラは万人受けしやすそうだしなー」

文香「…………」

奏「まあ、ズートピアだったら今後もグッズ展開あるでしょうし、元気だしなさい?」

文香「……マシュマロチョコピザ買ってきます」スタスタスタ

ヘレン「あの娘、自棄よ」


奈緒「あーーッ!?」

奏「こ、今度は何?」

奈緒「ヘレンさん、今日のズートピア……吹き替え版なのか!?」

ヘレン「ええ」

奈緒「字幕版じゃないのか…」

ヘレン「今は吹き替え版しかチケットとれないのよ」

奈緒「くっそ~……」

奏「吹き替えは嫌い?奈緒、アニメ好きみたいだし抵抗ないかと思ってたけど」

小梅「吹き替えは…地雷…多いから……」

奈緒「そうなんだよなぁ…ベイマックスのおばさんとか、その時の流行の芸能人キャスティングのせいでガバガバ演技聞かされるのは本当に勘弁してほしい……」

小梅「スーパーナチュラル」

奈緒「笑うからやめろ」

奏「なるほどね…」

ヘレン「過ぎたことをぐだぐだ言うのはおよしなさい。ありのままを受け入れるのよ」

奈緒「ありの~ままの~♪」

小梅「アナ雪…観た?」

奈緒「観てない」

ヘレン「あれに関しては許すわ」

奏「心得はどうしたのよ…」


ヘレン「アナ雪はマスコミが露骨すぎたのよ」

奈緒「そうそう」

小梅「逆に…観る気…失くす…」

奏「まあ、言いたいことはわかるけど…」

文香「…………」スタスタスタ

小梅「あ…おかえり……」

奈緒「あれ、マシュマロチョコピザは?」

文香「あんなの甘いクソとほろ苦いクソをトッピングしたクソです」

奈緒「ただのクソじゃねーか」

奏「売り切れてたのね…」

小梅「人気商品…だから…ね…」

文香「今、紙ウサギのシャカシャカタイムを観たら発狂しそうです」

奏「元気だしなさい、ね?」

ヘレン「もう開場してるみたいね。予告が終わるまで20分ほど余裕があるから、今のうちにトイレ済ませてしまいましょう」



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ヘレン「この席ね」

小梅「結構…いい場所とれた…ね…」

文香「遠すぎず近すぎず、丁度真ん中あたりで首が痛くなりません」

奈緒「音響バランスもほどよくていいな」

奏「前から思ってたのだけれど…」

奈緒「ん?」

奏「みんなあれは観たくはないのかしら。あの…顔がカメラの…」

文香「ああ、映画泥棒ですか」

ヘレン「いい加減、飽きたわ」

奏「そうなの?」

小梅「新しいキャラ…欲しい…よね…」

ヘレン「あれも今年いっぱいね。そろそろどうにかしてくれないかしら」

奈緒「おっ、始まるぞ」


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上映中

文香(かわいい……かわいい……)

小梅(作中の文字も日本語になってるんだ……洋ゲーの日本版みたい…)

奏(シルバニアみたいね)

奈緒(吹き替え上手いな…誰だ?)

ヘレン(キャラクターの動きが細かいわね……)



一同(………………)


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上映終了

ヘレン「……………」

文香「……………」

小梅「……………」

奈緒「……………」

奏「……………」

ヘレン「……移動しましょう。駅のほうに世界レベルの喫茶店があるわ」


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ちょっと離れますー

一旦乙

因みによく勘違いされてるけど、ズートピアの制作はディズニーアニメーションで、ディズニーピクサーとは別会社だよ

戻りましたー

>>11

オチいわれちゃったなあ…


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喫茶店

ヘレン「さあ、感想戦よ」

文香「最高。最高最高、最高」

ヘレン「落ち着きなさい」

奈緒「いやぁ~、でも本当に面白かったなあ!」

奏「ええ。素晴らしかったわ」

小梅「CGは…どうだった…?」

奏「まったく違和感なかったわ。作りこみがハンパないわよね」

ヘレン「世界レベル」

奈緒「いろんな種類の動物がいて、それでいて全ての動物にしっかりとした設定がされてるから観ていて飽きないよな」

ヘレン「それにリアルの動物の動きをちゃんと表現できているのも感動したわ。それによって、セリフが無くても動物的な行動によって感情が伝わるようになってる。上手いわ」

文香「動物たちに合わせた街や乗り物も世界観に説得力を増してますよね」

小梅「私達の…住んでる世界と…同じ感じだった…ね…」

文香「あそこに住みたいです…」

奈緒「意味を多分に含んでるなあ」


ヘレン「吹き替えに関してはどうだったかしら?」

奈緒「文句なし!」

奏「上手かったわよね、上戸彩」

奈緒「まあ、凄い上手かったかって言われたら微妙だけど…」

ヘレン「でも、あの演技があのキャラの初々しさを出していたわよね」

奈緒「うん、キャラに合ってた」

小梅「厚切りジェイソン…出てたらしい…けど…」

奏「どのキャラだったのかしらね」

文香「あとキツネのニック」

奈緒「超かっこよかったよなー!」

奏「あれは惚れるわね…」

文香「素晴らしかったです…」

小梅「『よしよし、もう本当に頑張るんだから』」

文香「…ッ!!!!!」ガタッ

ヘレン「座りなさい」

文香「最高」スッ

奈緒「最高」


ヘレン「ストーリーもよく出来ていたわよね」

文香「最初は単純なバディものかと思っていましたが、根底にあるのは人種問題なんですよね」

ヘレン「ええ。しかもそれを子供にも解りやすく、なおかつ物語として無理なく表現できているのは恐れ入るわ」

奏「私としては、夢を目指す人へのエールにもなる作品になっているのも魅力的だったわ」

小梅「お話も…終ったかと思ったらまだ実は…っていうのが…」

奈緒「上手くどんでん返ししてきたよなぁ」

ヘレン「あと、個人的に気に入ってるのはアナ雪のセルフオマージュね」

奈緒「えっ!?そんなのあった!?」

文香「私はゴッドファーザーのパロディが嬉しかったです。気づきませんでしたが、他にもパロディがあったのかもしれませんね」

奏「はぁ……流石ね……」

一同「世界レベル」


ヘレン「それでは評価は…」

奈緒「文句なしのSランク」

文香「同じくSランクです」

奏「Sランク」

小梅「S…です…」

ヘレン「私もよ。満場一致でSランク。世界レベル映画に認定!」ヘーイ

一同「わー」パチパチパチ


小梅「もう一回…観たいね…」

奈緒「そうだなー!」

文香「………」ポチポチポチ

ヘレン「あら、どうしたの?」

文香「この感動をありすちゃんにも伝えようと思いまして……今度いっしょに観に行く約束をしているんです。ええと、ズートピア最高…やっぱりピクサーは凄いですね…っと」

奏「あら、デート?ふふ…微笑ましいわね♪」

奈緒「デート映画にも持って来いだよなー。流石ピクサー!」

ヘレン「世界レベルのデートを楽しんでくるといいわ。ピクサー映画で」

一同「ピクサー万歳!」

文香「あっ、もう返信が…」

文香「……………」

小梅「なんて…返ってきた…?」

文香「『ズートピアはピクサーじゃなくてディズニーアニメーションですよ。ちなみにアナ雪やベイマックスもそうですね。にわかだと思われてしまうので気をつけたほうがいいですよ』……だそうです」

ヘレン「…………」

奈緒「…………」

小梅「…………」

文香「…………『クソリプ乙』…っと」


第二話 「映画部と俺ちゃん」に続く

>>11
とりあえず今度からそういう野暮な突っ込みは話が完結するまで待つようにしようか

一応このへんで
ズートピアがピクサーじゃないって映画観た後に気づきました。僕はにわかです。でも総製作指揮の人がピクサーとディズニーアニメーション両方のチーフらしいし同じ様なもんでしょう


続きまた後で書きますー

>>19

いえ、今回は完全に僕が不用意に間隔を空けてしまったミスです。みんなもピクサーだって勘違いしてると思い込んでたから大丈夫やろって思っちゃった

>>11さん、ご丁寧にありがとうございました。ごめんね


渋谷

奈緒「おまたせー。いや~、悪い悪い、仕事が押しちゃって…」

文香「いえ、私たちも今集まったばかりですから」

奏「今日は小梅は残念だったわね」

文香「年齢制限がありますからね」

奈緒「黙ってれば問題ないと思うけどなぁ」

ヘレン「地方の映画館ならともかく、今日はみんなの都合上、渋谷になってしまったからしょうがないわ。人の多いところでは目立ったことをするものじゃないもの」

奈緒「こういう時にアイドルっていう肩書きは邪魔になるよなー」

奏「まあまあ」

ヘレン「言ったでしょう。ありのままを受け入れなさい」

奏「じゃあ、行きましょうか」

奈緒「ああ。楽しみだなー、デッドプール!」






『映画部と俺ちゃん』


ヘレン「今回は上映開始まで40分ほど時間があるわ」

奈緒「あっ、じゃあ東急ハンズ見ていいか?」

奏「いいけど……あんまりゆっくりはできないわよ?」

奈緒「大丈夫、大丈夫。ちょっと見るだけだからさ」

文香「何か欲しいものでも?」

奈緒「ヘアケアグッズ見ようかなって」

奏「ああ…これからの季節、大変そうだものね」

奈緒「梅雨はマジで死活問題なんだよなぁ…」

ヘレン「じゃあ、行きましょうか」



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東急ハンズ

奈緒「ヘアケア関連は何階だ?」

奏「この階じゃない?」

文香「東急ハンズ…初めて来ましたが、本当に色んなものがありますね」

奈緒「ブックカバーとかもあるみたいだぞ」

文香「ほう……」マジマジ

奏「湿気対策系のヘアケアグッズの方がいいのかしら?」

奈緒「うーん、ヘアアイロンとかかなぁ」

奏「アイロン効くの?」

奈緒「効くよ!……多分」

奏「試したことないの?」

奈緒「えっ?…いや、だって、なんか怖いだろ。アイロンだぜ?髪をアイロンするんだぜ?」

奏「大丈夫よ。女子高生ならみんなやってるわ」

奈緒「女子高生たちの、爪の甘皮処理だの、ピアスの穴だの…考えただけでぞわぞわってなる」

奏「前に撮影でピアスしていなかった?」

奈緒「ああ、あれ挟むタイプのやつ」

奏「ああ……」


奏「で、どうするの?何か買う?」

奈緒「うーん…一応今日はどういうものがあるのか見るだけのつもりだったから…もう行こうか」

奏「そう。文香、そろそろ行きましょう」

文香「えっ…ああ、はい」

奈緒「ヘレンさんは?」

奏「そういえばさっきからいないわね…」キョロキョロ

奈緒「電話してみようか」ポチポチ

奈緒「……………」prrrrrrrrrr

奈緒「………出ないぞ」ピッ

文香「ヘレンさん、いつも映画を観る日は早めにマナー&機内モードにしちゃいますからね」

奏「もう、どこにいったのかしら…!」



~20分後~

ヘレン(あんたが主役……このタスキ、いいわね……)

奈緒「あっ!いたぞー!」

奏「こんなところに……!」

文香「はぁ…はぁ……ま、待ってください…」

ヘレン「ヘーイ、このタスキ、世界レベルだと思わない?」

奈緒「そんなこと言ってる場合じゃなーい!もう時間ないぞ!?」

ヘレン「WAO」

奏「走るわよ…ッ!」

文香「は、走るのですか…」



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映画館


奏「ギ、ギリギリ間に合った……」

奈緒「ハァ……ハァ……」

文香「はぁ…はぁ…う゛ッ…ゴホッゴホッ!……ォア゛ッ…はぁ…はぁ……」

奏「大丈夫…?」

ヘレン「体がなってないわね」ヘーイ

奏「貴女が原因でしょう!」

奈緒「なんでこの人、息切れしてないんだ…人間か、本当に……」


奈緒「チケットは?」

ヘレン「あるわ。はい」

奈緒「ありがと……って、また吹き替えかぁ…」

奏「あら、前回の例もあるし、大丈夫じゃない?」

奈緒「実写の吹き替えは更に地雷度が増すんだよなあ」

ヘレン「この時間はそれしか取れなかったのよ。もう開場してるし、行くわよ」

奈緒「はーい」

文香「いたた……なんでしょう、臀部に謎の痛みが…」

奏「運動不足でしょ」

ヘレン「この席ね」

奈緒「またいい席とれたな」

奏「ツイてるわね」

ヘレン「始まるわよ」

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上映中



奈緒(面白い始まり方だ……スタッフクレジットのところの小ネタがまた…)

文香(意外とグロシーンがあるんですね……)

ヘレン(メタネタが豊富ね……映画ネタも多い……)

奏(ベ、ベッドシーンもあるのね……ロマンチックとはほど遠いけど……あ、そっちもいけるのね、デップー)




一同(インド人……………………)


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上映終了



ヘレン「……………」

文香「……………」

奈緒「……………」

奏「……………」

ヘレン「……移動しましょう。駅のほうに世界レベルのレストランがあるわ」


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レストラン



ヘレン「感想戦よ」

奈緒「面白かったな」

文香「はい」

奏「あら、そんなレベル?もっと『最高』って言うかと思ったけど」

文香「いえ、最高であるのは間違いないのですが…」

ヘレン「ネタもアクションも申し分なかったわ」

奏「じゃあ、なんで…」

奈緒「うーん……なんだろう、吹き替えだからかなぁ…」

ヘレン「あのセリフ回しは字幕で観るべきだったわね」

奈緒「うん。あの下ネタまみれのクッソ最低なセリフ回しは最高だった。ただ、頭に入ってくるまでに時間がかかるというか…」

文香「咀嚼しきれないですよね。字幕の方が自分のペースで観れるので、セリフがスッと入ってきますから」

奏「ああ、なるほどね」


ヘレン「ストーリーはどう?」

文香「話としては主人公が悪と戦うという単純なものですが、時系列をバラバラにすることによって飽きがこなかったです」

奏「いい演出だったわよね」

奈緒「なんかあれ、既視感があるんだよなぁ…」

ヘレン「なんとなくタランティーノっぽかったわね」

奈緒「あー!レザボアドッグスかぁ!」

文香「ああ…まあ、言われてみれば…」

奈緒「それにしても、予算ない感じが割りと顕著に出てたな」

奏「そう?そんなに感じなかったけど」

ヘレン「64億くらいらしいわよ」

奈緒「マジかよ……邦画息してないぞ…」

文香「邦画だって、邦画だって頑張ってますから…」

奈緒「邦画もいい加減にテンプレ演出とクソみたいな脚本と照明やめてくれないかなぁ」

文香「いやまあ、それは…」

ヘレン「今はデッドプールの感想戦よ。余計な話は止めなさい」


奏「とにかく小ネタが満載だったわね」

文香「本編はもちろん、スタッフロールからその後まで」

奏「エンドロール中に帰ってしまった人は惜しいことをしたわね」

奈緒「観ている側に呼びかけるメタな演出も、なかなか良かった。あれは本来はタブーなんだろうけど」

ヘレン「ああいう小ネタも、単純な話を飽きさせない工夫よね」

奈緒「うんうん。ただ、小ネタに動きが少ないかな」

文香「もっと制作費があれば、動きのある小ネタも出来たかもしれませんね」


ヘレン「こんなところかしらね…それでは評価は…」

奏「Sランク」

奈緒「うーん…字幕版を観るまではなんとも……今のところAランクかなぁ…」

文香「私もAです」

ヘレン「私はS。では、A+ってところかしらね」

一同「異議なし」


奈緒「ところで、作中に出てきたチミチャンガってなんだ?」

奏「さあ…?」

文香「ブリトーを揚げたものですね」

奏「ブリトー?」

ヘレン「コンビニで売ってる、ハムやチーズをラップサンドしたあれね」

奈緒「あー、あれかぁ」

奏「一度、食べてみたいわね」

奈緒「だな」

ヘレン「じゃあ、作りましょうか」

奏「え?」


文香「作れるんですか?」

ヘレン「簡単よ。コンビニで買ったブリトーを油で揚げれば完成よ」

文香「まあ、理屈はそうですが……」

ヘレン「事務所で早速作ってみるわよ。帰りにコンビニに寄っていきましょう」

奈緒「大丈夫かなぁ…」

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事務所 給湯室

ヘレン「鍋はどこかしら?」

奈緒「ここ鍋はないぞ」

奏「フライパンならあるけど…」

ヘレン「じゃあ、それで」

文香「ヘレンさん、料理の経験は…?」

ヘレン「ないわ」トクトクトク

奏「えっ!?」

ヘレン「安心なさい。世界レベルのチミチャンガをご馳走してあげるわよ」カチッ


ジュー ジュー パチパチ パチッ


奈緒「油少なくないか?」

ヘレン「そうね」トクトク

文香「火を止めてからでないと危ないのでは…」

奏「ちょっと、火の勢い強いんじゃ…」

ヘレン「このくらいダンサブルな火力じゃないと世界レベルにはなれないのよ」ヘーイ

文香「はぁ…」

ヘレン「テンションが上がってきたわ!ヘーーイ!」


パチパチッ ボウッ!


ヘレン「ヘエエエエエエエエエエエエエエエエエエイ!!???」ビックゥッ


奈緒「うわあああああ!!?引火したぞ!!???」

ヘレン「ヘイ!?ヘイ!?ヘイヘヘーーーイ!!???」アタフタ

文香「ヘレンさん、落ち着いて…!」

ヘレン「ヘイ、ヘイ、ヘイヘイ、へへヘエエエエエエエエエ!!!!??」ガタガタガタ

奏「だ、誰か消火器ーッ!!!」





外伝 「奈緒と奏と応援上映」に続く

第二話はここまでー
みんな火の扱いには注意しようね


外伝はまたそのうちー


prrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrr

ピッ

奏「もしもし」

奈緒『あ、奏?奈緒だけど、今、電話大丈夫か?』

奏「ええ、問題ないわ」

奈緒『突然だけど、奏はキンプリって知ってるか?』

奏「キンプリ?」

奈緒『うん、キングオブプリズム。略してキンプリ』

奏「ごめんなさい。聞いたことないわね」

奈緒『そっかー、知らないかー、そっかー」

奏「……なによ、含みがあるわね。映画?」


奈緒『そうそう、今ネットで流行ってるアニメ映画なんだけどさあ。観に行かないか?』

奏「映画部のみんなで?」

奈緒『いや、個人的に。みんなも誘ってみたんだけど、忙しくてダメなんだってさ』

奏「ふーん。つまり、デートのお誘いってこと?」

奈緒『で、でーとぉ!?』

奏「何を期待してるのかしら?うふふ♪」

奈緒『そ、そんなんじゃない!ただ、一人で観に行くのもなんかあれだし…』

奏「どうだか♪」

奈緒『ほ、本当だぞっ!?』

奏「ふふっ……いいわ、付き合ってあげる」

奈緒『おっ、本当か!?じゃあ、明日でいいか?明日休みだろ?』

奏「オフの日も把握済みってわけ?いいわよ」

奈緒『じゃあチケット予約するからな!へへへ…初キンプリ応援上映、楽しみだなぁ…♪』

奏「うん?」

奈緒『え?』

奏「応援上映?」

奈緒『うん』

奏「なによ、それ」

奈緒『なんか、上演中にキャラクターたちの応援をしていいみたいだぞ。あたしもよく解らないけど』

奏「変わった上映スタイルね…」

奈緒『じゃあ明日の午後4時に新宿に集合なー!おやすみー』

奏「はい、おやすみ……」ピッ

奏「応援上映ね…」



外伝 『奈緒と奏と応援上映』


新宿



奈緒「おっす、待った?」

奏「今来たところよ」

奈緒「じゃ、電車乗るぞ」

奏「えっ?新宿で観るんじゃないの…?」

奈緒「うーん、そのつもりだったんだけどな。チケット取れなかった」

奏「人気なのね」

奈緒「応援上映となると特になー。何十回も観に行く人もいるらしい」

奏「何十回」

奈緒「うん、何十回」


奏「新宿がダメだとしたら、今日はどこで観るの?」

奈緒「多摩」

奏「多摩!?」

奈緒「ああ、そこしか取れなかった」

奏「多摩…」

奈緒「行ったことないなあ、多摩」

奏「私もよ」

奈緒「電車一本で30分くらいで行けるみたいだから、行こうか」



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電車

奏「混んでるわね」

奈緒「平日なんだけどな。しょうがない、席が空くのを待とう」

奏「ええ。ところで、そのキンプリってどういう映画なの?」

奈緒「ええと……もともとプリティリズムっていう女児向けアニメがあったんだけど、キンプリはそのスピンオフ作品なんだよ」

奏「え…女児向けアニメを観に行くの…?」

奈緒「いや、キンプリはイケメンがたくさん出る大きいお友達向け」

奏「はぁ…」

奈緒「で、プリズムショーっていう「歌」「ダンススケート」「おしゃれ」を競うショーみたいなのがあって。主人公はイケメンユニットのプリズムショーを見て、憧れて養成学校に入学する……っていうのが大まかなあらすじ…らしい」

奏「うーん、よく解らないけど、とにかく観れば解るかしらね」

奈緒「そうそう」

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多摩センター駅



奏「着いたわね」

奈緒「おぉ~…なんか思ってたより綺麗な駅だな」

奏「大きいわね」

奈緒「なんかちょっとおしゃれだぞ……多摩になにがあるっていうんだ?」

奏「こっちに行けばいいのかしら?」

奈緒「ああ、多分……って、駅前もちょっとおしゃれだな…」

奏「道も広いわね……」

奈緒「若い女の人がいっぱいいるぞ。もしかして、みんなキンプリのお客さんか?」

奏「そんなまさか…」

奈緒「あっ、あれ!」

奏「ピューロランド…!」

奈緒「そっか、ピューロランドってここにあったのか…」

奏「だから女性が多いのね。納得だわ」

奈緒「帰りに寄ってみるか?」

奏「いいわね」

映画館


奈緒「ここかな…わっ、ロビーに女の人がいっぱいだ…!」

奏「団体が多いみたいね」



女A「あ、○○さんですか?」

女B「あ、ハイ。もしかして△△さん?」

女A「はいそうですー!リアルでははじめまして…!」

女B「今日はよろしくおねがいしますー!」



奏「知らない人同士も集まって観るのね」

奈緒「ツイッターとかのオフ会だろうなぁ」

奏「私の知らない世界ね…」

奈緒「とりあえず、チケット発行してくる」

奏「お願いね」


<モウキノウトカタノシミデネレナクテー!

<センキョケッカタノシミデスネ!

<モウミンナカッコヨクテシンジャイソウ!


奏「す、凄い熱気ね…」

奈緒「おまたせ~」

奏「奈緒、開場したらすぐに入りましょう。たとえ予告中でもあの人達の前を横切って視界を塞いだりしたら、殺されそうだわ…」

奈緒「んな大げさな……まあ、いいけど」

係員「お待たせいたしました!これよりキングオブプリズム、ご入場いただけます!」


―――――――――――――――
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―――――――――――


奈緒「この席だな」

奏「真ん中だけど、結構前寄りね」

奈緒「あれ?横にお客さんいないぞ?」キョロキョロ

奏「あんまりいい席じゃないのかしら」

奈緒「えぇ~?失敗したかなぁ…」

奏「ねえ、あの人、セロリ持ってない?」

奈緒「セロリ!?なんで!?」


<キョウモヨロシクオネガイシマース!ゲンキニイキマショウ!

<ヨロシクオネガイシマース!


奈緒「!?」ビクッ

奏「こんなのもあるのね…」

奈緒「そっか、応援上映だから声出していいのか…」

奏「あ、映画泥棒」

奈緒「み、みんな赤いサイリウム振ってるぞ…」

奏「サ、サイリウムもありなのね…」

奈緒「普段ステージで見慣れてはいるけど、これはなんというか…」

奏「異質な空間ね…」

奈緒「本当に映画館なのか、ここは…」


<エイベックスー!

<タカラトミーアーツー!

<タツノコプロー!

奈緒「は、始まるぞ……」

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―――――――――――

上映中


<ハイ、ソフトクリーム!アーン!


奈緒「こちら側のセリフが用意されている…」

奏「自転車……なにこれ…なにこれ……」

奈緒「ゆ、油断するな奏!気を抜いたら負けるぞ、これは!」

奏「ええ、そうね…!」


奈緒(何故尻から蜂蜜が……)

奏(分身……全裸……)

奈緒(なんだこれ…クッソ面白いが、死ぬ……死んじゃう……!)

奏(勢いに押し殺される……!)

奈緒「………勝とう?生きて帰ろう?」

奏「ええ…生きて帰れたら、美味しいもの食べましょう」


<ガンバレー!


奈緒&奏(頑張る……)


『カヅキ先輩がお前なんかに負けるわけねーだろ!』


<ソウダソウダー!


奈緒(お、なんか熱い展開?)

奏(本筋かしら…)


『EZ DO DANCE……EZ DO DANCE……』

<バーニンッ!


奈緒&奏「えっ」



『 EZ DO DANCE  ! 』バーン



奈緒&奏「」




―――――――――――――――
―――――――――――――
―――――――――――


上映終了


<オツカレサマデシター!


奈緒「…………」

奏「…………」

奈緒「…………」スタスタスタ

奏「……………」スタスタスタ


―――――――――――――――
―――――――――――――
―――――――――――

映画館 外


奈緒「ぐぅぅ……卑怯だろぉ…あんなのぉ……」

奏「なにあれは……面白いっていう次元を超えてるわ…」

奈緒「すげえよ…凄いしかでてこない…」

奏「疲れたわ…」

奈緒「応援上映ってあれだな。あたし達への応援だったんだな」

奏「あれが無かったら死んでたわよ、私達」

奈緒「やられたなぁ……」

奏「負けたわね……」

奈緒「……いや、このまま帰れないよ。負けたままで帰れるか」

奏「え?」

奈緒「ピューロ行こう、ピューロ。あそこで楽しんだらもうそれは勝ちだよ…」

奏「わけが解らないけど、なんとなく解るわ…」

奈緒「行こう…キンプリに…多摩に勝とう……」

ピューロランド前


奈緒「…………」

奏「………閉まってるわね」

奈緒「くぅぅぅぅぅぅそぉぉぉぉぉぉ…………」

奏「諦めましょう…惨敗よ…」

奈緒「ふぁああああああああああああああああああああっく……」

奈緒「閉まったピューロランドってこんなにも人を受け付けない雰囲気を醸し出すのね…」

奈緒「……帰るか」

奏「なにか食べてく?」

奈緒「いや……なんか、お腹いっぱいだ」

奏「私も」


奈緒「あ、評価は?」

奏「評価とかいいでしょう…ランクつけられないわよ、あれは…」

奈緒「……だな」

奏「いうなればランクKよ」

奈緒「キンプリのK?」

奏「そう」

奈緒「…………」

奏「…………」

奈緒「…あ、今度キンプリ4DX上映やるって」

奏「行きましょう。今度こそ勝つわよ」

奈緒「ああ」


終劇

これにて終了ですー

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