池袋晶葉「出来たぞ助手。野菜のヘタとかを育てる奴だ」 (86)

P「んー、んー? あれ、たしかここの棚に……」

晶葉「何を探しているんだ?」

P「クッキーの缶。クリップ入れに使ってたんだけど、どこにいったかなー……」

晶葉「ああ、あれなら高校生組が全部使っていたぞ。課題がどうだとか言ってな」

P「あちゃー…。クリップ買ってこないと……。な、晶葉、クリップ入れ作ってくれよ。高性能な奴」

晶葉「そんなもの、100円ショップのケースで十分だろう。それになんだ、高性能なクリップ入れとは」

P「書類を置くと自動でクリップを留めてくれるような?」

晶葉「……ふむ」

P(あ、作ってくれるかも)

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1465392165

晶葉「……止めだ。納得のいくマシンのデザインが浮かばない」

P「作ろうと思えば作れるのか?」

晶葉「アームが3本生えているような物でよければな」

P「それは、スマートなデザインじゃないな」

晶葉「ま、後で買い物に行くからその時にケースを買ってきてやろう」

P「ん、助かる」

晶葉「……ああ、そうだ。私も助手に用事があって来たのだったな」

P「なんだ? 機材の調達も限度があるからな」

晶葉「いや、給湯室に置いてある空のペットボトルと豆腐のパック貰ってもいいか?」

P「どうぞ、ご自由に」

晶葉「ありがとう。じゃ、さっそく取り掛かるとするかな」

P「……で、何をするかと思えば」

晶葉「出来たぞ助手、再生栽培キットだ。トレーに水と豆苗、カブのヘタを入れて完成だ」

晶葉「まあ、あれだ。ライラがやっていたのを見て私もやってみたくなったんだ」

P「晶葉、疲れてるか? よければ俺の膝の上にくるか?」

晶葉「遠慮する。……ともかく機械いじりばかりしているからな、たまにはこういった自然の物と触れ合ってみるのも一興だと思ってな」

晶葉「それに、育った野菜を料理上手な者に渡せば美味い料理になって返ってくる」

P「それがメインだろ」

晶葉「ま、たまにはゆっくりと植物でも眺めてみるよ。最近はなんだかスランプ気味だからな」

P「だから高性能クリップマシンのデザインが浮かばなかったのか」

晶葉「そういう事にして置いてくれ」

P「……あ、そうだ。たしかここの引き出しの奥に」

P「お、あったあった。ほら、これやるよ」

晶葉「……絵日記帳? なんでこんなものが?」

P「小学生組の為に10冊で864円で買った奴のあまり。よければそれに生育日記でもつけてみたらどうだ?」

晶葉「ほう、これは……」

晶葉「面白いな!」ニヤリ

晶葉「天才科学者池袋晶葉は休業! 無邪気に絵日記でもつけてみるか!」

P「お気に召してなによりだよ」

晶葉「……さて、豆苗とカブを眺めるか。助手、この椅子借りていいか」

P「ああ」

晶葉「よっこいせ…。ふぅ、あー……」

晶葉「…………」ジー……

P「…………」

晶葉「…………」ジー……

P「…………」

晶葉「…………」ジー……

P「そんなに見てたら穴が空くぞ」

晶葉「懐かしい比喩表現だな」

晶葉「しかし、いいものだな。ここの淡い緑色や葉の断面、土汚れか何かの跡がなんとも自然らしい」

P「そうか?」

晶葉「その自然らしさとは対照的なプラスチックの容器。だがそれに張った水が光を反射して味わい深い輝きを放っている」

晶葉「……喉が渇いた。オレンジジュース」

P「はいはい、持ってきますよ」

晶葉「気が効くな、流石助手だ」

P「まあ普段から世話になってるしなぁ。コピー機直してもらったり電気ケトル直してもらったり……」

晶葉「私は今は休業中だからな。依頼されても修理は当分先だぞ」

P「……あ、俺の家のプレステ壊れたから直してもらおうと思ってたんだっだ」

晶葉「またゲームのやり過ぎか……」

P「ま、修理に関しては今後ともよろしく」

晶葉「いい加減プレステ1は引退させてやれ。2でも3でも4でもあるじゃないか」

晶葉「ふぅー……」ジー……

晶葉「しかし、目に見えるほどの勢いで成長すれば面白いのだがな」

P「まあ、一晩もすれば結構伸びてると思うけど」

晶葉「……絵日記書くか」

晶葉「さて、茎の長さは何ミリかな。それに根っこの状態…。カブのヘタは、と……」

P「なあ晶葉。そんなしっかり書くんじゃなくて、適当にパパーっと絵を描いて、もっと気楽にやろうぜ」

晶葉「……ふむ、じゃあ。色鉛筆かクレヨンの類はあるか」

P「どっちもあるぞ」

晶葉「じゃあ色鉛筆を貸してくれ」

晶葉「ほう、これが色鉛筆か。結構カラフルな物だな」

P「え? 晶葉、使った事ないのか?」

晶葉「赤鉛筆と青鉛筆くらいか。こんな絵を描くような真似はさせてもらえる事もなかったししようと思った事もないからな」

P「……そっか」

晶葉「ふっふっふ! 緑色! 緑色の色鉛筆だぞ! それに黄緑色や黄色まで使っていいのか!」

P「ああ…、どんどん使ってくれ……」

晶葉「じゃあ、緑色で茎を…。おー……! 普段パソコンのソフトやボールペンで設計図を描くのとは違うな! 指図の為の赤青ではない、温かみのある色のように見える!」

P「……晶葉」

晶葉「ん? なんだ、助手よ! お前も一緒にお絵かきするか!」

P「もっと子供らしく生きよう、な……?」

晶葉「うん? 年相応に生きているつもりだが……」


晶葉「ふんふん……、ふふっ! ここの土の汚れの表現に悩むなぁ! 黄色の上に茶色を重ねて見ようか!」

P「……というか、結構絵が上手いな。やっぱり設計図描いたりするからか」

晶葉「だろうな。スケッチとは違って頭の中に浮かぶデザインを絵に起こすにはある程度の絵心もないとな」

P「なるほど……」

晶葉「まあ、水彩画では由愛には勝てんし、抽象画では響子に劣るがなあ」

P「そんなもんか」

晶葉「よし、描けた描けた。文面はどうしようか……。子供らしく、『と思いました』を多用してみるか」

P「よしよし……。それでいいんだ」

ーーーーーー………


晶葉「ふふん。助手よ、今日の絵日記を書いたぞ。ぜひ見てくれ」

P「お? 見ていいのか? 女の子の日記は見るもんじゃないと聞いていたが」

晶葉「私はそもそも人に見せる前提でしか書かん」

P「ああ、論文とかね……。じゃあ読まして貰いますか」

『◯月 ×日 晴れ

本日よりカブのヘタやらを育ててみることにした。
カブはともかく、豆苗は生育が早いと聞いているので楽しみだ。
まゆにスパゲッティでも作ってもらたいとおもった。



P「簡潔だな」

晶葉「上等だろう?」

P「まあな」


晶葉「さて、助手よ。ちょっとどいてくれ」

P「ん? 机の下に何かようか?」

晶葉「この絵日記を何気なくここに入れておく。するとこれを見たまゆが作ってくれるかもしれないという寸法だ」

P「なんだかせこいな」

晶葉「助手も『あー、スパゲッティ食べたいなあ』と何気なく呟くんだぞ」

P「おう。俺も食いたいしな」

晶葉「おっと、仕舞う前にアレを忘れていた」

P「アレ?」

晶葉「助手よ、赤色かピンク色のペンはあるか? 蛍光ペンが望ましい」

P「んー? たしかこの引き出しの奥に……。あったあった」

晶葉「よし、じゃあ助手よ」

晶葉「このページに『たいへんよくできました』と花丸を書いてくれ」

P「いいのか? せっかく書いたのに」

晶葉「ああ! 昔からちょっとした夢だったんだ! あんなベタベタに褒めて貰えるの!」

P「なら今から俺がナデナデしつつ抱きしめて褒めてやってもいいんだぞ」

晶葉「それはいつかの為に取っておこう。ほら、書いてくれ」

P「ああ。はなまるってどう書くんだっけ……」

P「しゃしゃっと。ほら書けたぞ」

晶葉「お、どれどれ。おぉー……!」

P「気に入ったか?」

晶葉「ああ! 助手よ!」

P「ん?」

晶葉「ありがとう!」ニコッ

P「……うん。どういたしまして」

晶葉「へへへ……。さあ、観察を続けようかな!」

P「ああ」

ここで一旦ストップとします。

初めてCuアイドルメインで書きます。

ーー 翌日 ーー


晶葉「ほへー……」

P「どうした、晶葉。普段の晶葉博士からは考えられないくらいのだらけっぷりじゃないか」

晶葉「今の私はいち少女。ただのアイドルの池袋晶葉だ。博士ではない」

晶葉「ゆえに、普段のように振る舞う理由もないだろう。いちおう天才に見えるようにそれらしい態度はとっていたが、な」

P「なるほど。普段の背筋をピンと伸ばしてむつかしい言葉を使っているのも一種のキャラ付けか」

晶葉「それに、緩い天才はもういるからな。ただの女の子というのは気が楽でいいな」

P「まあ、ほどほどにな」

ーー 翌日 ーー


晶葉「ほへー……」

P「どうした、晶葉。普段の晶葉博士からは考えられないくらいのだらけっぷりじゃないか」

晶葉「今の私はいち少女。ただのアイドルの池袋晶葉だ。博士ではない」

晶葉「ゆえに、普段のように振る舞う理由もないだろう。いちおう天才に見えるようにそれらしい態度はとっていたが、な」

P「なるほど。普段の背筋をピンと伸ばしてむつかしい言葉を使っているのも一種のキャラ付けか」

晶葉「それに、緩い天才はもういるからな。ただの女の子というのは気が楽でいいな」

P「まあ、ほどほどにな」

晶葉「ふへー……。お、豆苗が前日より伸びているのが目で見てわかる」

P「しかし、随分とだらしない格好で座ってるなあ。パンツ見えそうだぞ」

晶葉「見たければ見ればいい」

P「見ないけど」

晶葉「さて、カブの成長がなあ……」

P「どうしたんだ? 腐ってるのか?」

晶葉「いや、ほとんど成長していない。流石に昨日の今日では難しいか」

P「それはしょうがないさ。気楽にやろう」

晶葉「ああ、そうだな」

晶葉「ふぅ。ほへー……」

P「だから見えそうだって」

まゆ「……見ちゃだめですよ?」

P「ああ、まゆ。晶葉にもっと足を閉じるよう言ってやってくれ」

まゆ「ほら、晶葉ちゃん。そんなに足を開いてちゃあはしたないですよ? ちゃんと座りましょう」

晶葉「ふぅむ。まゆがそこまで言うなら……。よいしょ」

P「足組むのはいいけど、もうモロに見え……」

晶葉「む、そうなのか?」

まゆ「Pさん?」ニコッ

P「ち、注意しただけだから……」


晶葉「ところでまゆよ。豆苗を使った料理とは何がある?」

まゆ「豆苗? 豆苗…。お肉やイカと一緒にニンニクとソースで炒めたり、スパゲッティの上に散らしたり……」

晶葉「ほう。じゅるり……」

P「なんだか、スパゲッティ食べたくなってきたな」

晶葉「ああ、この豆苗の細長い茎がスパゲッティのようで……」

まゆ「うふふっ。じゃあ、その豆苗が大きくなったら作りますよぉ?」

晶葉「是非お願いする。なあ?」

P「ああ、まゆの手料理食べたいよなあ?」

晶葉「うんうん」

まゆ「あらあら……。うふふっ♪」

晶葉「……やったな」

P「ああ、まだまゆに日記見られてないけどな」

晶葉「まあいい。机の下は置き場所にしよう」

P「俺の机の下がどんどん物置に……」

晶葉「ふふん。そう言うな。……さて、せっかくだし机の下で日記を書こうかな」ゴソゴソ

P「薄暗いだろう。目が悪くなるぞ」

晶葉「心配ない。ここにはライトを備え付けておいたからな」

P「知らないうちに改造しておくの止めてくれよ」

晶葉「よし、書くか。えーと、今日は晴れてるよな?」

P「うーん? あー……。微妙に曇ってる」

晶葉「ふむ、曇りでいいか。……あと助手よ、もうちょっと足を引いてくれ。書き辛い」

P「えー……」

晶葉「むー……。こら、この足が邪魔なんだ」

P「これ以上下がると俺が仕事やり辛いからさぁ」

晶葉「ならば、そら! どうだ!」

P「いひっ!? こら! 靴を脱がすな! 突っつくなー!」

晶葉「観念するんだな!」

P「えいっ! 足でやり返してやる!」

晶葉「きゃっ! あははは! やったな!」

P「くらえっ。つんつん」

晶葉「はひっ! この! 足の裏を……!」

P「痛い痛い痛い!」

晶葉「ふふん。どうだ、足ツボ攻撃は」

P「くっ! 晶葉のおへそは……、ここか!」クニッ

晶葉「ふおっ」

P「俺は足の親指を器用に動かせるからな! へそをほじくってやるぞー!」グリグリ

晶葉「ち、違っ……!? 痛い痛い! 負け、私の負けだ!」

P「ふぅ……。勝った」

晶葉「くぅ…、結構奥まで……」

まゆ「あんまりいじめちゃだめですよぉ?」

P「ご、ごめん……。晶葉、大丈夫か?」

晶葉「ああ、貫通するかと思った」

P「貫通……? ともかく、あんまりお股を押さえるなよ。はしたないから」

晶葉「わかってる。……ともかく、日記を書かせてくれ」

P「ほら、もういつもの机で書きな」

晶葉「ああ。……輝子やまゆのように机の下に籠るのも憧れていたんだが」

まゆ「あ、じゃあまゆがちひろさんのデスクに座りますから、よいしょっ。はい♪」

晶葉「いいのか……? ふふふ、では!」

晶葉「よしょ、んしょ……」

まゆ「ふふ♪ どうですか?」

晶葉「おお! 助手の机の下より広々としているな!」

まゆ「まゆは小柄な方ですからねぇ」

晶葉「それに、臭くない」

P「おい」

晶葉「さて、さっそく今日の日記を書くとするか! ライトオン!」

まゆ「きゃっ。机の下が光った」

晶葉「ふふ、ワクワクするなぁ。こんな秘密基地のような狭い空間!」


ーーーーーー…………


晶葉「ふぅ、よし。書けた!」

まゆ「うふふ。上手に書けました?」

晶葉「ああ、どうだ! 見たいか? 見たい?」

まゆ「晶葉ちゃんがいいのなら、是非♪」

晶葉「ならば見せよう! はい!」

まゆ「じゃぁ、読ませてもらいますねぇ」


『○月××日 曇り

豆苗は一晩で随分と大きくなったがカブの方はなんとも。

助手に乙女の尊厳に関わる仕打ちをされたがまゆは優しくフォローしてくれた。

そんなまゆを机の下から覗くと、そこに映るものはピンクの生地にリボンの飾り付けのかわいいものだった』

まゆ「な、なな……!? なんですか、これぇ!?」

P「ほう、それはそれは」

晶葉「私も勉強していかないとな」

まゆ「もう……。もう! そんなこと書く子にスパゲッティなんて知りません!」

晶葉「な!? ま、まゆ! それはどう言うことだ!」

まゆ「どうもこうもないです!」

晶葉「えぇい! 助手よ、出番だ!」

P「俺にどうしろと」

晶葉「まゆの機嫌を直すんだ!かわいいとか! 優しいとか! 気が効くだとか! 常に側にいてくれるから助かるとか、いつも言ってるだろう!」

まゆ「……へ? い、いつも?」

P「いや、面と向かって言うのは恥ずかしいし……」

まゆ「あの……。あき、あきは、晶葉ちゃん?」グイグイ

晶葉「な、なんだ……?」

まゆ「Pさんは、まゆのいない所でそんな事を……?」

晶葉「ああ。今日のまゆはこんな所が良かったとか、今日はここが可愛かったとかをいつもな」

まゆ「そう…。Pさんがまゆの事を、可愛いって、優しいって、お嫁さんにしたいって……」

まゆ「うふ、うふふふ、ふふ、ふへ……」

まゆ「ふへへへ……♪」

晶葉「まゆ? おーい、まゆー?」

まゆ「晶葉ちゃん!」

晶葉「は、はひ!」

まゆ「晶葉ちゃんは仕方ない子ですねぇ。でも、今回は許してあげます」

晶葉「ほっ……」

まゆ「うふふふ、ふふ、ふへへ……♪」

晶葉「なんとか機嫌を直したか……」

P「まゆは優しいからなぁ」

晶葉「だから、常日頃から面と向かって言ってやれと言ってるだろう」

P「まあ、ちょっと恥ずかしいし」

晶葉「喜ぶぞ、まゆ」


晶葉「さて、豆苗の観察もいいが久々に開発でもするかな」

P「お、天才博士池袋晶葉の復活か?」

晶葉「いいや、教育テレビ。その工作番組。人呼んで天才工作少女晶葉ちゃん、と言った所だ」

P「……ふむ。ファンや世間には晶葉は機械系の博士というイメージが定着している。しかし、あえてここでセロハンテープや牛乳パック、そんなもので子供向けの工作をする晶葉。これは普段の難しい機械を弄る晶葉とのギャップ。そして元々の発想力と手先の器用さ。この二つを持ってすればメインの視聴者たる子供達の知育に繋がり、共にテレビを見るであろう親御さんにも晶葉の顔を覚えてもらえるし、もしその家庭に兄弟姉妹がいるのならそこから学校へ、塾へと話は広がり……」

晶葉「……希望的観測がすぎるぞ」

P「ごめん」

晶葉「さて、助手よ。カッターナイフを用意しろ。ビニールテープもだ」

P「うん? カッターナイフは危ないからだめだ」

晶葉「ふむ、じゃあこのペットボトルを半分より少し上で切ってくれ。大人に頼めばいいんだろう」

P「ああ、ちょっと待ってくれよ」


P「ふう、ほら、切れたぞ」

晶葉「ああ、ありがとう。さて、あの……」

P「うん? 切り口が不満か?」

晶葉「いや、さっき工作番組について色々と言っていただろう?」

P「ああ」

晶葉「せっかくだから、その工作のお姉さんの気持ちで取り掛かってみようかとな」

P「お、是非やってみせてくれ。今後の為になるからな」

晶葉「ああ! でも、笑うなよ……?」

P「笑わないさ」

P「さあ晶葉はかせ、今日は一体何を作るの?」

晶葉「えー…、あー……。その、今日はこのペットボトルを使ってクリップ入れを作るぞっ♪」

P「わあ、便利」

晶葉「まずはペットボトルを中心より少し上で半分にしよう」

P「半分に切ったものがこちらです」

晶葉「切り口で指を切ったら危ないからな。ビニールテープで切り口を補強しよう」

晶葉「はい。それじゃあペットボトルの蓋を開けて、その上半分を逆さにして下半分に差し込むと完成!」

P「晶葉はかせ、これはいったい?」

晶葉「ふふふ、この漏斗状になった上半分にクリップを入れると……」

P「おお、するすると入って行きますね」

晶葉「これでクリップを入れるのが楽になるな!」


P「でも、取り出す時にドバッと出て来そうだな」

晶葉「取り出す時は上半分を外して、もとの形にはめ合わせれば……。ほら、少しずつ出てくるぞ!」

晶葉「……というわけで、プレゼントだ。助手よ」

P「晶葉……」

晶葉「その…、買ってきてやってもよかったんだが、せっかくだし作ってみようかと思って……。作りが甘いとか! ちゃちいとか言うんじゃあないぞ!」

P「言わないよ。ありがとうな、晶葉」ナデナデ

晶葉「……えへへ」

P「さて、問題はこれに入れるクリップがあまりないんだよな」

晶葉「……買いにこう」

またここで一旦ストップします。

あのクリップ入れ、実用性はともかくプレゼントとして貰えたら結構嬉しかったです。

ーーまた翌日ーー


まゆ「あら…、そろそろ豆苗も収穫の頃合いですかねぇ……」

P「明日には収穫かな」

まゆ「でも、豆苗って再収穫まで1週間はかかるはずですよ?」

P「ライラにある程度育ってる物を貰ったそうだ」

まゆ「ああ、それで」

P「……それにしても、こっちのカブのヘタはなかなか伸びないな」

まゆ「まぁ、豆苗ほど早くはないですから……」

P「頑張れ、頑張れ……!」

まゆ「カブ、頑張って……」

P「晶葉が飽きる前に、結果を出せよー……!」

晶葉「さて、豆苗を育てるやつの水を換えるかな。……って、どうしたんだ? 2人してそれを眺めて」

まゆ(カブ忘れられてる……)

P「ん? ああ、やっぱり眺めてみると案外いいものだと思ってな」

晶葉「ふふ! そうだろうそうだろう! この私が目をつけたのだからな!」

P「明日には収穫できると思うけど、何がいいかな」

晶葉「スパゲッティ、だな!」

P「なぁ! やっぱりそれだよなぁ!」

晶葉「……ちらっ」
P「……ちらっ」

まゆ「うふふっ! 今からメニュー考えて、材料を揃えておかないと♪」

まゆ「じゃあ、今から揃えられる物だけでも揃えましょうか。お買い物行ってきますね」

P「ああ、頼むな」

晶葉「いってらっしゃい」

バタン

晶葉「さて、水を換えないとな。最近の日課だ」

P「うむ、晶葉が興味あるなら鉢植えを買って何か花を育ててみるか?」

晶葉「ふむ……。なら、朝顔とかいいかもしれないな! 早寝早起きで良い癖がつきそうだ」

P「なら、支柱も買って……。中学生組が小学生の頃使っていたものをまだ持っているなら譲って貰えるかな」

晶葉「それに、グリーンカーテンと言ったか? 葉っぱが伸びて、日を遮ってくれるアレ!」

P「ああ! いいなあ、あれ。俺も憧れるなあ……」

晶葉「是非一度やってみたいものだ」

P「朝顔なら押し花とか、花を絞って色の付いた水を和紙で吸って模様を作るやつとかも出来るな」

晶葉「おお! 実に女の子らしい遊びだな!」

P「そして、子どもらしい。晶葉は少し大人っぽく振る舞いすぎてるきらいがあるからな」

晶葉「む? そうか?」

P「ああ、だからこんな事でもいいから、もっと子どもっぽくな」

晶葉「だが、子どもっぽくとはどうすればいいんだ?」

P「よし、晶葉。リピート アフター ミー」

晶葉「オケー」

P「ソフトクリーム食べたい」

晶葉「ソフトクリーム食べたい」

P「もっと気持ちを込めて」

晶葉「ソフトクリーム食べたいっ」

P「もっと駄々こねて」

晶葉「ソフトクリームたーべーたーいー!」

P「おねだりするように」

晶葉「ソフトクリームー! ソフトクリーム食べたいーっ!」グイグイ

P「俺の袖を引っ張る動作をプラスするとは。やるな、晶葉」

晶葉「ふっふっふ。伊達に私もアイドルやってるわけじゃないという事だ」

P「これだけしっかり演技ができるなら、そこまで心配する必要はないな」

晶葉「ああ。……なんだか、ソフトクリーム食べたくなってきた」

P「そうだなぁ。でも、まゆに買い物に行ってもらっている以上俺たちが外に出るのはなぁ」

晶葉「なにか冷たいものを買って帰って貰えるよう頼んでみようか」

P「連絡しておくよ」

晶葉「ふぅ、話しこんでいるうちに水換えが随分時間がかかってしまったな」

P「ほら、早く豆苗を戻してあげな」

晶葉「ああ! ここまできて枯れる、なんてのは悲しいからな!」

P「あと、カブはどうなんだ? 最近は」

晶葉「ああ、カブ? カブは……」

晶葉「まあ、うん……」

P「おいおい」


晶葉「よし、今日の絵日記を書くために観察を行うか」

P「もうだらしない格好しちゃダメだぞ」

晶葉「ああ、助手も一緒に眺めよう」

P「そうだな。ゆっくりぼうっと眺めてみるか」

晶葉「ふふっ、ならば……」

P「お? 俺のコロコロ椅子を持ってきてどうしたんだ」

晶葉「助手よ、窓辺で眺めよう! 共に! えへへっ」

P「……ああ!」

晶葉「よしよし、さあ助手。この椅子に座ってくれ」

P「おう」

晶葉「ふふ、そして……。よいしょっ!」ポフッ

P「お?」

晶葉「ふふっ……。少しお尻の形に合わないが、案外心地よいものだな。膝の上は」

P「いいのか? こんな所に座っても……」

晶葉「言ったろう? 一緒に見ようと」

晶葉「助手と同じ目線……、とまではいかないがだいぶ近い位置なんじゃないか?」

P「なら、よっこいせ! もっと深く座りな」

晶葉「ふおっ! な、なんだか腰が怪しい位置に」

晶葉「……しかし、誰かの膝の上に乗るなんて、何年ぶりかな」

P「ああ……」

晶葉「なんだか温かくて、優しいような……。ふふっ!」

晶葉「見ろ、助手よ! 窓から差し込む光を反射して、水が輝く様がとても綺麗だ!」

P「そうだなぁ。それに、豆苗の葉も濡れていて、青々としてとても新鮮そうで美味しそうだ」

晶葉「……カブは変わらないな」

P「ほら! カブの白い所とかなんかいい感じだろう! あれも葉が生えたら美味しいはずだから!」

晶葉「ふうむ。もう少し様子を見るか」

P「ほっ……」

晶葉「……えへへっ」パタパタ

P「こらこら、足を振らないでくれ。スネに当たってるから」

晶葉「おっと、すまない。膝の上がなんだか楽しくてな」


晶葉「助手よ、両腕を私の腰に回してくれないか?」

P「こうか?」

晶葉「ああ! なんだか滑り落ちそうだからな、シートベルトは大事だ」

P「ほら、ぎゅっとしてやるから」ギュッ

晶葉「……そういえば前に、抱きしめて、頭を撫でながら褒めてやってもいいと言っていたな」

P「え? ああ、そう言えば」

晶葉「せっかくこう抱きしめてもらっているんだ。褒めるのはともかく、その……」

晶葉「もう一個の方も、ついでにやってくれても、いいんじゃないか……?」

P「甘えん坊さんめ。よしよし」ナデナデ

晶葉「私だってまだまだ子どもだ! 少しくらい甘えてもいいだろう! ……でも」

晶葉「ふふっ…! 気持ちいいなぁ、よしよししてもらえるのは……♪ えへへぇ……」

P「お気に召してなによりさ」


晶葉「ふふふ…。適切な気温の中で、信頼できる者の膝に座り、優しく撫でてもらう……」

晶葉「……赤ん坊か、私は」

P「14歳なんてまだまだそんなもんさ」

晶葉「だが、悪い気はしない。むしろなんだか、ふあぁ……」

P「よしよし」

晶葉「眠く、なって……」

晶葉「ふぅ…。助手よ、少し眠らせてもらおう……。身体を預けたぞ……」

P「ああ、確かに」ナデナデ

晶葉「ふふっ、おやすみ……」

P「おやすみ、晶葉」

晶葉「へへへ…。くう、すぅ……」

P「おや、もう寝ちゃったか。毛布でもかけてやりたい所だが」

晶葉「すぅ、んん…。スパゲッティ……」

P「まあ、少しなら大丈夫だろう」

P「……まだまだ甘えていい年頃なんだから、しっかり甘えてくれよ。晶葉」

ここでまたストップです。


今日中に終わればいいな。
遅くて月曜日の夜には完結です。



ーーーーーーーー…………


晶葉「くぅ…、んん……。んー……?」

まゆ「つんつん」

晶葉「なん…、だ……?」

まゆ「あ、起きちゃいました?」

晶葉「ふあぁ…! んー……、よく寝たなぁ」

P「おはよう、晶葉」

晶葉「ん? ああ、助手か。……そうか、膝の上で眠らせてもらっていたんだったな」

P「たっぷり3時間は晶葉を堪能させてもらったよ」

晶葉「ふふっ、どうだった?」

P「とりあえずトイレに行かせてくれ……」

晶葉「ん、ああ」


晶葉「んあー……、尻が凝っているな」

まゆ「寝返りもなしですからねぇ」

晶葉「ああ、スカートに皺がよってしまったな」

まゆ「さて、まゆは台所に戻りますね」

晶葉「台所? ……そういえば、なんだかいい匂いがするなあ」

まゆ「うふふっ、期待して待っててくださいねぇ」

晶葉「ふむ、いったい……」

P「ふぅ……。漏れるかと思った」

晶葉「ああ、助手よ。今日の晩御飯はまゆが作ってくれるのか」

P「そうだぞ。お待ちかねの……」

晶葉「お待ちかねの?」

P「スパゲッティだ」

晶葉「おおぉ!」


晶葉「今日か! 今晩か! 待ちかねたんだ、この時を!」

晶葉「……でも、豆苗の収穫は明日じゃないのか?」

まゆ「スーパーに行ったらタイムセールをやっていて、ほら! こんなにいい食材がとっても安く買えたんです!」

P「それでちょっと予定を早めて、な?」

P「それに、見てみろよ。あの豆苗を」

晶葉「ん? ああ……! 昼寝をする前より、だいぶん伸びているじゃないか!」

P「いい夢を見ていたんじゃないか? 豆苗が答えてくれたんだよ、晶葉に」

まゆ「それに、ほら! カブまで新しい芽を出してるんですよ!」

晶葉「ふわあぁ……!」

まゆ「……まあ、今日は使う予定はないですけど」


まゆ「じゃあ、もう少し待っていてくださいね!」

晶葉「うん! とびきり美味しいのを頼むぞ!」

P「さあ、晶葉。収穫しようか」

晶葉「よし! ハサミでいいよな!」

P「ああ、指を切らないようにな」

晶葉「言われずとも!」

晶葉「ふふっ。じゃあ、私が毎日精魂かけて育てた豆苗を収穫しよう!」

P「3日間、水を換えただけだろう」

晶葉「こんなにお手軽に食材が手に入る。いいものを作ったものだ、この野菜のヘタとかを育てるやつ」

P「作るもなにも、水と野菜を入れただけだけど」


晶葉「よし、じゃあ…。ちょき、ちょき、と……」

P「やったな。収穫完了だ」

晶葉「おお…! 見ろ、助手よ! 私が育てた野菜だぞ!」

P「ふふ……。よしよし」ナデナデ

晶葉「えへへ! さて、収穫したが豆苗はこれで終わりではないぞ! まだまだ伸びてくるからな!」

P「だからカブと一緒にもっと育てよう、な?」

晶葉「さあ、まゆのもとへ持って行こう!」

P「ああ、美味しいのを作ってもらおう!」



まゆ「ん…、よし。あとは豆苗がくれば……」

晶葉「まゆよ! 望みの品はこれだろう!」

まゆ「あ、来たきた♪ うふふっ、あとはこの上に豆苗を散らせば完成ですよ?」

晶葉「おお…! すでに美味しそうじゃあないか!」

まゆ「さ、豆苗を洗って、散らしてください?」

晶葉「な? わ、私がやるのか? 料理など経験は……」

まゆ「いや、その作業は料理に含まないと思うけれど……」

晶葉「ふふふ……! だが、今の私ならできるな! 根拠のない自信だが、理屈など必要あるまい!」

まゆ「その意気ですよ! さあ、ほら♪」

晶葉「うむ!」


ーーーー……


晶葉「……というわけで出来たぞ! 今日の晩御飯!」

P「おお! 美味しそうじゃないか! さすがまゆは家庭的だな!」

まゆ「もう! そんなに褒めても……! うふふふっ♪」

晶葉「ほら、その豆苗を散らしたのは私だ」グイグイ

P「多すぎず少なすぎず、いいセンスだ」

晶葉「ふふん! そうだろう!」

まゆ「さあ、冷めちゃわないうちに食べましょう? ね?」

晶葉「よし! フォーク、っと」

P「それじゃあ……」


「「「いただきます!」」」


『◯月 ×△日 晴れ

今日は助手と一緒に豆苗をながめおひるねをした。
そして私が眼をさますとそれはいつの間にやら大きくなっていた。

ハサミで豆苗を切った時のあのかんしょく、きかいいじりでは味わえないフシギな体験はとてもきちょうだった。

まゆの作るスパゲッティは、レストランでも味わえないようなとても美味しいもので、それをみんなで笑いながら食べるというのはなんと幸せな事だろう。

これからも野菜のヘタとかかいわれ大根でも育てていこうと思った。』


晶葉「ふぅむ、ひらがなが多すぎたか? 漢字を書くのは面倒だからなあ。ともかく、今日の絵日記は……」

晶葉「おしまい!」

お付き合いありがとうございました。
これにて完結です。

なにかとオーバーテクノロジーでびっくりドッキリトンデモメカばかり作らされてる晶葉博士。
たまにはこんなのもいいよね?

それではネタが浮かべば、またいつか。

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