幸子「ボクはカワイイですからね!」 P「はいはいカワイイカワイイ」 (103)

P「輿水さん、今日から俺がプロデュースしていくからよろしく」

幸子「はい。こんなにカワイイボクをプロデュースできるなんて、アナタは幸せ者ですね!」

P「……それ、地でやってる?」

幸子「む、失礼なことを言いますね!ボクがカワイイのは事実じゃないですか!」

P「オーディションの時はそういうキャラ作りかと思ってたが……」

P「まぁいい、売り出す方向性も変わらないし輿水さんはそのままでも問題ないか」

幸子「ボクのことは幸子って呼んでください。苗字で呼ばれるのは他人行儀ですし、呼び捨てで構いませんから」

P「そうか?じゃあ幸子、改めてよろしくな」

幸子「プロデューサーさんにはボクのカワイさを世間にプッシュするお手伝いをさせてあげますね♪」

P「はいはいカワイイカワイイ」

幸子「なんですかそのやる気のない感じは!」

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1465384952

P「今日はレッスンを見学させてもらうぞ」

幸子「汗を流す健康的なボクも素敵ですからね!」



P(キレは悪くないし魅せ方もわかってる……ただ)

幸子「プ、プロデューサーさん……どうですか、やっぱりボクは、カンペキ、ですね!」ゼーハー

P(小柄ゆえに体力が少し不安だな、こりゃ)



P「うん、想像以上に踊れていて驚いてる。この調子でレッスンを続ければライブも思ったより早く立てそうだ」

幸子「ほんとですか!あ、いえ!当然ですよね!ボクはカワイイですから!」

P「はいはいカワイイカワイイ。今日はここまでにしよう。ほら、送ってくからシャワー浴びて着替えてこい」

幸子「はい。トレーナーさんもありがとうございました!」


P「あ、トレーナーさん。……はい、今後は持久力をつけるような内容中心で……はい、よろしくお願いします」

P「今日の挨拶回り、好感触だったな。幸子のこと気に入ってもらえそうだ」

幸子「当たり前です。ボクを誰だと思ってるんですか!フフーン!」

P「敬語や礼儀作法もしっかりしてたし、アピールも忘れない。いい感じだったな」

幸子「そうでしょう、そうでしょう!もっと褒めていいんですよ、プロデューサーさん♪」

P「ん?もっと褒めろってのは……こういう感じことか」ワシャワシャ

幸子「わわ!セットがメチャクチャになっちゃうじゃないですか!」

P「事務所に戻ってきたし今日はもう予定ないからいいだろ」

幸子「それとこれとは別です!まったく、プロデューサーさんは乙女心がわかってませんね!」

P「あいにく男心しか持ち合わせてないんでね。髪の毛わしゃわしゃな幸子もカワイイぞ」

幸子「どんなボクでもカワイイのは当然ですからね!」

P「はいはいカワイイカワイイ」

幸子「素直じゃないですねぇ。でも許してあげますよ、ボクは優しいですから♪」

P「今日はレコーディングだな、喉の調子はどうだ?」

幸子「ボクに調子の悪い瞬間なんて存在しません!いつでもこのカワイイ声を届けてみせますよ!」

P「はいはいカワイイカワイイ。うん、いつも通りでいいぞ。いってこい」



P(何度かのリテイクを重ねて休憩となった……)


幸子「プロデューサーさん、ちょっと相談なんですけどいいですか……」

P「ん、Cメロのところだよな。そこはリズムより歌詞の感情に力こめた方がいいと思うぞ」

幸子「え……なんでボクが聞きたかったことわかったんですか?」

P「そりゃ幸子のプロデューサーだからな」

幸子「答えになってますか、それ?いやそれより、リズムより感情、ですか?」

P「確かにあそこで曲調も変わるからメロディを追うので精一杯になるんだろう」

P「それなら多少外しても感情込めて歌ってみたほうが良いかもしれんぞ」

P「いつも通りでいいって言ったろ?外さないようにって大人しくなるくらいなら、幸子らしく自分をもっと出していけ」

幸子「ボクらしく、いつも通り……そうですね、カワイイボクの気持ちを全力で伝えるだけで、名曲間違いなしですからね!」



幸子「~♪」

P(吹っ切れたみたいだな。良く歌えてる)

P「幸子、初ライブが決定したぞ!」

幸子「ついにステージに立てるんですね!やっぱりボクの魅力は生で伝えるのが一番ですから!」

P「そこまで大きくないライブ会場だが、まずは一歩ずつだ」

幸子「フフーン!ボクのカワイさを世間にアピールすることに場所や規模は関係ありませんよ!」

P「うん、幸子のそういう前向きさが好きだよ」

幸子「す、好きなのは当然です!プロデューサーさんはなんといってもこのボクを一番近くで見られる最初のファンでもあるんですから!」

P「そうだな。それじゃ、これからライブに向けての調整をしていくぞ」

幸子「この衣装いいですね!まぁボクのカワイさには霞んでしましますけど!」

P「気にってくれたようで何よりだ。動きずらいとかないか?軽くステップしてみろ」

幸子「……体は問題ないですね。ただブーツのヒールが少し高くて……」

P「身長を考えてちょっと高めにしたからな。よし、もう少し低めでかけあってみる」

P「幸子、こないだ撮影したジャケ写、できあがったぞ。これプレ版」

幸子「いいじゃないですか!」

P「初CDになるからな。まずは興味を引くようにと幸子のビジュアルで押す形になった」

幸子「さすがプロデューサーさんはわかってますね。こんなにカワイイボクがジャケットになっていたら誰もが手に取ってしまいますよ!」

P「俺もいいと思うし、んじゃこれで決定かけるぞ」

P「今日はCDショップでイベントだな」

幸子「CDの手売りと握手会、ですか」

P「ライブ前だし、ここでしっかりアピールしてこい」

幸子「任せてください!ここに居合わせた人は余さずファンになっちゃいますよ。なんてたってボクはカワイイですから!」

P「はいはいカワイイカワイイ。その調子で頼むぞ」



幸子「カワイイボクのデビューCDです!ぜひ聞いてください!……ありがとうございます!」

幸子「今度ライブもするので絶対来てください!貴方の顔もう覚えましたからね!」


P(一歩間違えたら高飛車な振る舞いに取られかねんが、幸子はそこのところのラインを読むのが上手いな。ウザカワイイ、とでもいうのか)

P(レスポンスも早くてしっかり拾っていくし、案外バラエティ向きかもしれんな)

P「いよいよ初ライブだな……おい、大丈夫か幸子?」

幸子「ボ、ボクに限って緊張なんてし、してませんよ……!」

P(ガクガクじゃねぇか)

P「……幸子。ちょっと手、出してみろ」

幸子「ふぇ?て、手ですか?はい、それでどうし……あ、プロデューサーさんの手……」ギュ



P「わかるか?俺もこんなにブルっちまってる。大の大人なのにな」

P「でもこれは緊張とか不安、というより武者震いなんだ」

P「もうすぐ幸子が初めてステージに立つ。その晴れ舞台をこんなに近くで見られるんだからな」

P「プロデューサーとして、ファン第一号として、幸子がこのステージに上がるのが楽しみで仕方なかったんだ」

P「緊張するな、なんて無理な話だ。その緊張ごと楽しんで、幸子のカワイさを見せつけてこい」

幸子「……ふ、ふふーん!プロデューサーさんも情けないですね!まぁ仕方ないですよ、ボクの記念すべき日をこんなに真近で見られるんですからね!」

幸子「その震えはカワイイボクの責任ですから、もう少しだけ手を握ることを許可します!ほ、ほらもっと強くギュッとしてください!」



ワーワー    キャー
  ボクノカワイサニメロメロデスネ!!



P「幸子、よかったぞ!良いステージだった」

幸子「プロデューサーさん!大成功ですよ!ボクはカワイイですからね……ってまた髪を……いえ、もっと褒めてください!フフーン!」

幸子「ほらほら、プロデューサーさん!早く次のお店に行きましょう!」

P「まだ買うのか?俺の腕は2本しか生えてないから持てる量に限界がだな……」

幸子「もうお疲れですか。本来ならボクの荷物持ちが出来ることを光栄に思うくらいですよ!」

幸子「でもそうですね、そこの公園のベンチでひと休みましょうか!ボクは優しいですからね!」

P「ふう、一息ついた。ちょっと飲み物買ってくるわ。待っててくれ」

幸子「はい、あまりレディを待たせちゃいけませんからね!ダッシュで行ってきてください!」

P「へいへい、今日の幸子テンション高いな……」

幸子「プロデューサーさんとオフが重なってたので駄目元で誘ってみたら二つ返事で『いいぞ』なんて気軽すぎですよ……」

幸子「誘う前のボクのドキドキは何だったんですか……もう」

P「お待たせ。紅茶とコーヒーどっちがいい?」

幸子「絶対ボクがブラックコーヒー飲めないのを知ってて聞いてますよね……紅茶いただきます」

P「ほい……っぷはー。生き返るわー」

幸子「缶コーヒーをエナドリばりに飲む人初めて見ました」

P「いやー、癖になってんだな。ドリングはがぶ飲みするもの」

幸子「お腹壊しても知りませんよ。それにしたってよくそんな苦いの飲めますね」

P「お子さまにこの美味しさはまだわからんか」

幸子「子供扱いしないでください。ボクだってコーヒーくらい飲めますよ!その、ミルクとお砂糖たくさん入れれば!」

P「そうムキになるなって、ありすみたいだぞ」

幸子「……女の子と二人で出掛けてる時にほかの子の名前を出すのはどうかと思いますよ」

幸子「プロデューサーさん、女の子の扱いも知らないなんて可哀想ですね!」

P「仕事の移動中とかにもよく事務所の子たちの話するだろ?」

幸子「それはそれです!今はプライベートの時間なんですよ!こんなカワイイボクと折角のデ、デートのときくらいは」

P「お、いまの見たか幸子!犬が空中でフリスビーキャッチしたぞ!」

幸子「……」

幸子「プロデューサーさん!ドッキリってなんなんですか!」

幸子「しかもアイドルに激辛のおまんじゅう食べさせるなんて!ボクのカワイイ喉が傷ついたらどうするんですか!」ケホケホ

P「その点は大丈夫だ、大事を取ってこの先しばらくはライブやレコーディングや歌番組の予定入れてないからな」

幸子「妙なところでアフターケア万全にしてまでやりたかったんですね!」

P「幸子の反応のよさはTV的に非常に撮れ高あるからなぁ。期待以上のリアクションだったぞ」

幸子「嬉しくありません!そもそも最近バラエティ、特に体当たりロケ系のお仕事が増えてきてますし……」

P「幸子はカワイイからな」

幸子「理由になってませんよ!」

P「いや、まじめな理由なんだぞ?」

P「幸子はそのカワイさと小柄な外見からは想像もできないほど、どんなことでもチャレンジする根性も、ここ一番の胆力もある」

P「さっきも言ったように反応もよいしツッコんでほしい時にちゃんと欲しい言葉を返せてる。これってなかなか出来る事じゃないからな」

幸子「そう……ですか?」

P「そして、その姿を見た人たちが幸子の歌やダンスを知ると、さらに驚くことになる」

P「幸子はその強烈なキャラクターにまず目がいきがちだが、だからといって歌やダンスが苦手というわけでないからな」

P「普段TVのバラエティでいじられている幸子の親しみやすさと違う、キラキラした純粋なアイドルたる部分、とでも言おうか」

P「そんな【カワイイアイドル輿水幸子】を更に浮かび上がらせるギャップ性を生むんだ」

P「バラエティに出演するのは幸子の認知度を高めて、幸子のアイドルたる部分を見てファンになってもらうことの近道だからな」

P「バラエティとライブの2本柱、しばらくこの路線でいくぞ」

幸子「……」

P「ん?呆然とした顔で俺を見てるが……バラドル路線、嫌か?どうしてもと言うならまた考え直すが……」

幸子「いえ、違います!……ボクが思ってる以上にプロデューサーさんはボクのこと見てるんだなと思いまして」

P「そりゃお前のプロデューサーなんだから担当アイドルのこと見るのは当然だろ」

幸子「む……そうでなくてもボクがカワイすぎるのでプロデューサーさんが夢中になってしまうのも無理もありませんからね!」

P「はいはい、カワイイカワイイ。ほら、マンゴーラッシー飲んどけ。今日明日は喉労わるぞ」

幸子「ありがとうございます……でもやっぱり激辛に納得したわけじゃありませんからね!」

P「収録おつかれ、今日はこれであがりだ」

幸子「最近忙しくなってきましたね!まぁボクの魅力に皆さんようやく気付いたってだけなんですけど♪」

P「軌道に乗り始めたしこの調子でいこう。ひとまず今日は直帰だから送ってくぞ」

幸子「プロデューサーさんは事務所に戻るんですか?」

P「いや、今日は俺もそのまま直帰だな」

幸子「では晩御飯を食べに行きましょう。カワイイボクがお腹を空かせてますよ?」

P「へいへい、なんかリクエストあるか?」

幸子「お店をプランニングするのは男性の仕事じゃないですか」

P「ファミレス行くか。もしくは牛丼屋」

幸子「まぁボクはプロデューサーさんと一緒ならどこでもいいですから」

P「ハンバーグ……いや、洋風よりも今は……ううむ」

幸子「ボクの話を聞き流すなんて酷いですよプロデューサーさん!」

ハイイラッシャーイ アイテルセキドウゾー

幸子「で、来たのが定食屋さんですか」

P「俺の腹が和食を求めてたんだ」

幸子「確かにそういうときありますね。無性にコレが食べたいって」

P「それで、何にする?俺はもう決まってるが」

幸子「随分はやいですね。んーえっと……」

P「すみませーん!」

幸子「ちょ!まだ決まってないって見てわかりますよね!」

P「迷ったときはフィーリングでいいんだよ。あ、から揚げ定食1つ」

幸子「え、あ、焼き魚定食お願いします!」

幸子「まったくプロデューサーさんは……でも慌てるボクもカワイイですよね」カチャカチャ

P「はいはいカワイイカワイイ。そして美味い」モグモグ

幸子「からあげを咀嚼したまま褒めないでください」

P「それにしても幸子の焼き魚の食べ方、めちゃくちゃ綺麗だな」

幸子「フフーン!これくらい当然ですよ!」

P「なぁ、ひとつ聞いていいか?」

幸子「何ですか、プロデューサーさん?」

P「お前の振る舞いやテーブルマナーを見ると、裕福な家の育ちってのはわかる」

P「そういった家庭で利き手の矯正されなかったのか?」

幸子「んー、イメージが少し古い気がしますね、それ。学校でも左利きはボク以外にも何人かいますよ?」

P「あー、俺の親世代までくらいなのか。左利きは矯正すべきって考え」

幸子「それに両親はボクを溺愛してましたから、その年代であったとしても矯正されなかったでしょうね」

幸父「おい見ろ、幸子は左利きか!これは天才に違いない!」

幸母「こんなにカワイくて、そのうえ天才なんて、ママもパパも嬉しいわ!」

幸子「フフーン!フフーン!」クレヨングリグリ



幸子「……なんてホームビデオもありますし。事実カワイイですからね!」

P「幸子はご両親から愛情いっぱいに育ってきたんだな」

幸子「むしろ子離れできてないくらいですよ。ボクが寮に入る時も大騒ぎでしたから」

P「目に浮かぶようだ。アイドル活動自体は理解してくれてるんだよな?」

幸子「二人ともファンクラブの会員ですし、デビューから今までの全CD・DVD・BD・出演した全番組の録画もしてます。ライブにも皆勤賞です」

P「想像以上だったわ……ん?てことは幸子インザスカイのライブも……」

幸子「もちろん会場にいたらしいですよ。って、プロデューサーさん?」

P「いや、ちょっと近いうちに菓子折りもってご挨拶に行かねばと……」ダラダラ

幸子「大丈夫です、喜んでましたよ。『やっぱりウチの幸子は天使やったんや!』と大満足だったそうです」

P(幸子のルーツを見た気がする……)

P「幸子、前に雑誌で掲載した手書きコラムのコーナー、結構好評だぞ」

幸子「あぁ、最近ファンレターで『さっちゃんの達筆マジ最高!』とか書かれてたのはそういうことですか」

P「どういう内容だよ……それでそのコラムなんだが連載の形にしたいと先方から連絡あったんだが、どうだ?」

P「手書きだけあって大変だろうし、とりあえず本人に確認してからと言っといたが」

幸子「いいですよ。大変なのをやらない理由にはしたくないですし、それにボクに不可能はありませんから!」

P「幸子ってプロ意識高いよなぁ。よし、それじゃOK出しとくから近いうちに打ち合わせだな」

幸子「フフーン!もっと褒めてください!プロデューサーさんに褒められることで、ボクはもっと頑張れるんです♪」

P「はいはいカワイイカワイイ」

幸子「だから褒めかたが雑なんですよ!もっと心を込めて言って下さい!」

幸子「プロデューサーさん!遊園地ですよ、遊園地!」

P「他事務所の先輩アイドルの口癖を盗るんじゃありません」

幸子「何ですかそのテンションの低さは。こんなにカワイイボクと遊園地に行けるだけでもどれほど幸せなことか理解してください!」

P「いや、俺は無理やり付き合わされてるんだが」

幸子「長かった海外ロケが終わって連休もらえたんですし、1日くらいいいじゃありませんか」

幸子「そもそも!そのロケだって半ば拉致のように連れてかれたんですから、プロデューサーさんは大人しくボクの言う事にしたがってください!」

P「いやぁ面白かったよなぁ、765プロの我那覇さんとアマゾン探索ロケ」

P「二人とも違う撮影と称して集合して、本当の企画を発表した瞬間の反応といったらもう」

幸子「今まで何度か響さんとはお仕事ご一緒してますが、今回が一番つらかったですよ……」

P「オンエアはまだ先だが、すでに局の方では続編を企画してるぞ。原付で日本横断でもさせようかなと」

幸子「どんなアイドルですかそれ!まずボクは原付乗れないので不可能ですよ!」

P「そうか、幸子はサイコロの旅が御所望か。企画書作ってみるわ」

幸子「言ってない!言ってないですからね!」

P「なんて冗談はさておき、旅番組自体は真面目に考えてるぞ。幸子向きだしな」

幸子「旅番組に向き不向きなんてあります?体も張らないし誰でもできそうですけど」

P「発想が鍛えれてきたな、うん。旅番組自体は向き不向きはハッキリしてるぞ?」

P「まず仕切りができなきゃいけない」

P「番組全体の流れもそうだが、道中は店員や一般の人とのやりとりも多いからな。うまく回せる人がいないと」

P「もちろんそれぞれの事柄に対してのリアクション、あと食レポも切っても切れない要素だな」

幸子「そう考えると確かに限られそうですね」

P「その点幸子はゲストとしてのにぎやかしも、個人で場を動かすこともできるからな」

P「共演者次第で立ち回りを変えても違和感ないってのは案外貴重なんだ」

幸子「ふふん、いいですねぇ!もっと褒めても褒め足りませんよ♪」

P「だから次はカワイイボクと142'sで旅番組でもしてみるか」

幸子「それはボクの負担が大きすぎます!」

幸子「仕事の話はまた今度にして、いまは精一杯ボクをエスコートしてください!」

P「わかったよ。幸子は何か乗りたいアトラクションとかあるか?」

幸子「そうですね、いますぐ!というのは特に」

P「んじゃ近場から攻めてみよう。あ、絶叫系とか大丈夫か?」

幸子「スカイダイビングさせた人とは思えない発言ですね」

P「それじゃ近くのは……現在地がここだから、絶叫系があるな。そこ行ってみるか」

幸子「結構並んでますねぇ。ボクのカワイさに免じて先頭にいけませんかね?」

P「無理に決まってる。てかバレたら騒ぎになるんだから目立たないようにって言ったろ」

幸子「わかってますよ。列に割り込まずちゃんと並ぶボクも……いい子でカワイイですね!特別に撫でてもいいんですよ?」

P「はいはいカワイイカワイイ……あー、幸子。俺トイレ行ってくるから並んでてくれ。すぐに戻る」

幸子「へ?はい、わかりました……ってもう行っちゃいました。そんなに我慢してたんでしょうかね?」

マエカラフタリズツオネガイシマース!

幸子「さぁいよいよですね!ワクワクしてきました!」

P「あぁ楽しみだな」ガサゴソ

幸子「二人ずつ座るタイプですし、順番からボクの隣はプロデューサーさんですね!」

幸子「カワイイボクの隣に座れて嬉しいですよねプロデューサーさ……ん?」

P「おう、こんな真近で見物できるのは嬉しいぞ」カッパ

幸子「え、な何でいつの間にレインコートなんて着てるんですか?それによく見たら他の人たちも着てますし!」

P「さぁ後が詰まっちゃいけないから乗っちゃおうなぁ」グイグイ

幸子「いやおかしいですよ!プロデューサーさんそんなの持ってなかったですよね!あ!まさか並ぶ前にお手洗いに向かったのは!」カタカタカタカタ

P「何のことかわからないな……あ、ほらもう頂上だぞ」カタカタカタカタ

幸子「納得できませんよ!気付いたんならボクの分までガボゴボガボガボゴゴ!」

P「いやぁ楽しかったなぁ幸子ォ!」

幸子「……水も滴るボク!セ、セクシーですね!こんなびしょ濡れのボクもカ、カワイイですね!」

P「はいはいカワイイカワイイ。幸子のメンタルは天井知らずやでぇ……」

幸子「もういいです!濡れてしまったものは仕方ありません!ほら、もう一度乗りましょう!1度濡れてしまえば2度目も同じです!」

P「次はお化け屋敷がいいなぁ」

幸子「絶対入りませんからね!」

幸子「おはようございます、プロデューサーさん」

P「おはよう、幸子。今日は久々のオフだったろ、どうした?」

幸子「コラムの清書をしようと思いまして。事務所でやる方が捗るんですよ」

P「自分の部屋だと誘惑多いしな。空いてる机好きに使っていいぞ」

幸子「ではプロデューサーさんの向かいの机、使わせてもらいますね。そういえばちひろさんは?」

P「銀行やら郵便局やら日用品の買い出し」

P「俺が日中事務所にいるときしか出れないから、こういう日にまとめてやるんだよ」

幸子「そうだったんですか。普段プロデューサーさんにエナドリ売ってるところばかり見てるので」

P「幸子の中のちひろさん像はどうなってるんだよ」

P「……」カタカタ

幸子「……」カリカリ

P「……んー?」カチカチ

幸子「……」カリカリ

P「……それなら、こっちか……」カチカチ

幸子「プロデューサーさんって独り言多いんですね」

P「こういう作業の時はどうしてもなー」カタカタ

幸子「いまはどんなお仕事してるんですか?」

P「今度のライブのセットリスト作り」カチカチ

幸子「気になりますね」

P「一通りできたら見せるよ」カチカチ

幸子「約束ですよ!」

P「ん。それより手が止まってるぞ」カタカタ

幸子「そんなにボクが気になるんですか?無理もないです、ボクはカワイイので!」

P「はいはいカワイイカワイイ……っと着信か、はい○○です。お世話になっております」

P「はい……その件でしたらこちらで会場も確保しましたので……はい、そうです」


幸子「……」チラ


P「あーはい、その日でしたら……少々お待ちを、確認します」ペラペラ


幸子(電話しながらスケジュール帳を見るプロデューサーさんの表情……やっぱり素敵ですね……)


P「お待たせしました。そうですね、その日でしたら夕方以降になってしまいますがよろしいですか?」


幸子(初めて見た時はロケ撮影の待機中で……いつもと少し違ったその顔に、釘づけになって……)


P「その翌日なら午前が空いてますが、いかがですか?……いえ、全然構いませんよ」ハハハ


幸子(プロデューサーのスケジュール帳、書き込みが凄いですからね」

幸子(話しながら頭の中で予定を組み替えてるんでしょうか?いつもより空気がピリッとしてるというか……)


P「では午前の10時にお伺いしますので。はい、承知致しました……はい、失礼します……ふぅ」ピッ


幸子(ここ!この電話を切った瞬間の一瞬の脱力!アンニュイな感じでイイ!)


P「ん、どうした?俺の顔をじっと見て」

幸子「ふぇ!?い、いやプロデューサーさんの顔なんて見てないですよ!」

幸子「むしろプロデューサーさんがボクの顔を凝視してたんでしょう!まったく仕方ない人ですねぇ!」

P「俺はスケジュール帳とにらめっこしてたっつーの。しかしこの日か……あとで調整だな」

幸子「さっきは空いてるって言ってましたよね?」

P「バッチリ聞き耳立ててるじゃねぇか。予定は埋まってたが、他のよりは動かしやすいからそう言ったまでだ」

P「代案日すら調整次第でいけるかもしれないですが……だとすんなり決まらんかもしれん相手だったからな」

幸子「お相手によっても対応が変わるんですね」

P「そんなもんだ。それより幸子は筆進んでるのか?」

幸子「な、ボクを誰だと思ってるんですか!これくらい余裕ですよ!」

P「んじゃお互いちひろさんが帰ってくるまでに終わらせるぞ」

P「終わってなかった方が相手にジュース1本な。よーいスタート!」カチャカチャカチャターン

幸子「ちょ!いきなりすぎですよ!絶対負けませんからね!」カリカリカリ

P「……はい、この度は本当に申し訳ありませんでした……はい、では失礼します」

幸子「……」

P「車乗れ、事務所に戻るぞ」

ブロロロロ…

P「さて、色々言いたいことがあるが……」

P「なぜ箱の中に入ってたんだ」

幸子「……今日は」

P「クリスマスなのでプレゼントはボクですよ!……とか言うつもりか」

幸子「こ、これには深い理由があるんです!」

P「よし言ってみろ」

幸子「プレゼントがボク自身なんて、喜ばない人はいないじゃないですか!」

P「いきなり明後日の方向にぶっ飛んでるな。それで?」

幸子「だから最近忙しそうなプロデューサーさんのために事務所で準備していたんです!」

幸子「入ってから気付いたんですが、箱に空気穴をつけなかったので少し頭がフワフワしてきて、そのまま眠ってしまって……」

P「そして箱を見たちひろさんが間違えて宅配の集荷に出してしまった、と。そういうことか」

幸子「……ごめんなさい。ご迷惑をおかけして……」

P「まぁいい。ひとまず幸子が無事でなによりだ。怒ってないし迷惑なんて思ってないよ」

幸子「……よくないですよ」

P「幸子?」

幸子「年末年始の特番やイベントで、プロデューサーさんは最近ずっと忙しくて」

幸子「他の皆さんの付き添いが増えて、最近は朝のスケジュール確認以外でボクと時間とれなくて……」

幸子「その時間でもプロデューサーさんは疲れてるのに笑ってくれて」ポロ…

幸子「少しでも元気になってもらえたらなって思ってしたことなのに、こんな……」ポロポロ

P「幸子……ありがとな、俺の為にしてくれて」

幸子「でも逆にもっと迷惑をかけてしまいました……こんなボクはカワイくない、です……」

P「はいはいカワイイカワイイ……心配すんな、その気持ちだけでめちゃくちゃ元気出た」

幸子「でも……」

P「クリスマスも仕事一色だわーってテンション下がってたから、どんな形でも幸子からのサプライズがあるなんて嬉しいぞ」

P「幸子も悪気があったわけじゃないとわかったから、話のネタにでもしたほうが有意義だ」

P「あと中身を確認せず集荷に出したちひろさんも、幸子に謝りたがってたぞ」

幸子「ちひろさんが……」

P「私の不注意で幸子ちゃんが危険な目に!ってな」

P「だから事務所戻ったらみんなでまた話して謝れば、それでこの話はおしまいだ」

幸子「う……はい、わかりました」

P「しかし幸子のこんな落ち込んでる姿が見れるとはな。これがある意味プレゼントだよ」

幸子「ひ、ひどい事言いますね!ボクは繊細な心を持ってますから落ち込んだりもしますよ!」

P「調子出てきたな。よし、途中でケーキでも買ってくか」

P「事務所にいる奴ら巻き込んでプチクリスマスパーティーするぞ。ケーキの選択は幸子チョイスだ」

幸子「唐突ですねぇ。ふふん、でもいいでしょう。ボクのセンスがあれば皆さん納得の選択をしてあげます!」

幸子「ボクに一任するあたり、プロデューサーさんはわかってますね♪」

P「シンデレラガール……ここに到達するまで思えば色々あったな」

幸子「そうですね、まぁ選ばれるのは当然のことですよ!ボクはカワイイですから!」

P「はいはいカワイイカワイイ……っておい」

幸子「」ギュー

P「……そろそろ離れていいんじゃないか?」

幸子「駄目です。もう少しだけ……」ギュー

P「ほら、もういいだろ。これから授賞式ライブだ、衣装にシワつくぞ」

幸子「……」

P「そんな甘えんぼだったか?感謝の気持ちなら、俺でなく選んでくれたファンの人たちに」

幸子「あの!式が終わった後、プロデューサーさんにお願いがあります」

P「お願い?」

幸子「はい、プロデューサーに大切なお願いです」

P「……ああ、わかった聞いてやる。だからいまは置いといてライブに集中しろ。話は全部終わった後だ」

P「そして」スッ

幸子(あ、頭にプロデューサーさんの手が……)

P「戻ったら嫌ってほど頭撫でさせろよ」ポンポン

幸子「……はい!仕方ないですね!ボクはカワイイですから!」

P「はいはいカワイイカワイイ……よし、いってこい!幸子の晴れ姿、袖から見てるぞ!」

『今年のシンデレラガールズに選ばれたのは……輿水幸子さんです!』



幸子「今日という日を迎えることが出来たのも、ひとえに応援してくれたファンの皆さんのおかげです!

幸子「これから皆さんにボクのスペシャルライブを……」



P「幸子……初ライブではガチガチだったのに、立派になったな。堂々として」

P「……」

P「お疲れ様でーす…て、さすがにこんな遅くじゃ誰もいないか」

幸子「あ、ほんとに誰もいないんですね。みなさんからお祝いのメッセージは携帯に来てますけど」

P「時間が時間だからな。式後に何かするのはチビッコ連中には厳しいし、後日みんなでお祝い会する予定だ」

幸子「それ聞いてしまってよかったんですか?」

P「事務所のみんなが祝うのはわかりきってるだろ?いつか、までは言ってないし」

幸子「そういうことにしといてあげましょう。それはそうと、プロデューサーさん」

P「なんだ?」



幸子「コーヒー、淹れてください」

幸子「ボク、プロデューサーさんの淹れてくれたコーヒーが飲みたいです。それがお願いです」

P「……OK、お姫様の御所望とあればすぐにでも」

幸子「プロデューサーさん?」

P「ん?コーヒーならお湯沸くまでもう少し待っててくれ」カチャカチャ

幸子「いえ、そのままでいいですよ」

幸子「プロデューサーさんは、初めてボクと会った時のこと、覚えてますか?」

P「なんだ藪から棒に……覚えてるよ。オーディションの時だな」

P「開口一番『こんなにカワイイボクをプロデュースできるチャンスをあげますよ!』なんて、忘れられんよ」

幸子「そのあと正式にプロデュースが決まったとき、キャラ作りだと思った、なんて言ってましたね」

P「あぁ、まさか地だったとは思いもしなかった」

幸子「でも、採用したんですね」

P「キャラかどうかは関係なかったよ。一目見たときその時、確かにこの子には光るものがあると直感が告げた」

P「業界風に言うならティンときたってやつだ」

幸子「ボクはカワイイですからね、プロデューサーさんがそう感じるのも無理ありません」

P「あぁそうだな。そして、それが正しかったと今日証明されたわけだ。ほら、幸子はこっちのカップな」

幸子「ありがとうございます。では、いただきます……甘いですね、これ」

P「ミルクとお砂糖たっぷりだからな」

幸子「ふふ、やっぱり覚えててくれたんですね。ボクの言葉ですから当然です」

P「たまたまだよ」

幸子「……たまたまじゃないですよね」

P「……」


幸子「もし、プロデューサーさんの淹れてくれたコーヒーが甘かったら」

幸子「もし、プロデューサーさんがボクの何気ない一言まで覚えていてくれていたら……」

幸子「伝えようと思っていたことがあります」

幸子「プロデューサーさんはいつもボクのことを考えてくれて、ボクのことを見ていてくれて」

幸子「そんなプロデューサーさんと一緒だったボクも……ボクは」

P「幸子」

幸子「はい」

P「俺もさすがにここまでくればわかる。だがその前にいいか?」

幸子「……なんでしょう?」




P「その感情は一時的なものだ」

P「確かに俺は幸子のことを考えて、幸子のことを見ている」

P「だがそれは幸子がアイドルで俺がプロデューサーだからだ」

P「だから、またよく考えて」

幸子「関係ないです!」

幸子「他にも言いたいことがありそうですが、そんなもの知りません」



幸子「気の迷いとか、勘違いとか、そんなことはどうでもいいんです」

幸子「この気持ちそのものは、まぎれもない事実ですから。それすら嘘だとはプロデューサーさんにも言わせません」

幸子「ボク、考えましたよ。考えて、悩んで、思い出して……」


幸子「結局、再認識しただけ、でしたけど」

幸子「……プロデューサーさん」


幸子「ボクは、アナタのことが好きです」


幸子「返事を、お願いします。いつもみたいに茶化して逃げないでください」

P(言わせてしまったか……こうなるんじゃないかとは薄々感じていたさ)

P(俺も考えていた……どうやったら幸子を傷つけず断れるか、と)

P(……)

P(……実際に告白される前まではな)

P(幸子の成長を一番近くで見てきたんだ、だから親心のようなものかもしれんが……)

P(いや、こんな言い訳がましく思ってる時点で俺も、そうなんだろうな)

P「……」

幸子「何かしゃべってください……緊張しすぎてお腹痛くなってきました」

P「はは、自分でここまでお膳立てして大事な所はうつむいて言っちゃうとか、何というか幸子らしい」

幸子「だから茶化さないでください!うぅ、凄く恥ずかしいんですからね!」

P「……うん、あの幸子が勇気をだして言ってくれたんだもんな……わかった」

P「ごめん、幸子。いまは答えられない」

幸子「っ!……え、いまはって……?」

P「俺とお前はプロデューサーとアイドル。年齢だってまだ14だ」

幸子「関係ありませんよ」

P「あるんだよ、大人になると立場とか責任ってのが。だから今すぐその返事に答えることはできない」

幸子「……つまり?」

P「もう少し待ってほしい。そのときは、ちゃんと答え出すから」

幸子「……ここにきてヘタレ全開ですね、プロデューサーさん」

P「うっさい、俺だって相当悩んだっての」

幸子「……まぁいいでしょう。プロデューサーさんのヘタレは知ってましたし。それに……」

P「それに?」

幸子「悩んだってことは、つまりはそういうこと事ですもんね!なら待ちますよ、ボクはいい子ですから!」

P「……やっぱり幸子は強いな」

幸子「フフーン!そうさせたのはアナタですよ?いつか責任とってくだいね!」

ブロロロロ…キキッ

P「さ、着いたぞ」

幸子「せっかくなのでボクの部屋でお茶でもどうですか?」

P「男の俺が女子寮に入れるかっての」

幸子「むー、わかりました。じゃあまた明日ですね」

P「シンデレラガールの発表後だ、しばらく忙しくなるから気合入れてけよ」

幸子「フフーン!望むところです、ドンとこいですよ!ボクはカワイイですからね!」



P「……あぁ、幸子は本当に可愛いな」

幸子「そうでしょうそうでしょう……って、ふぇ!?い、いつもみたいに茶化されると思ってるところに不意打ちですよ!」

P「はは、幸子お前いますげぇニヤついてるぞ。鏡見るか?」

幸子「み、みみ見ませんよ!もう……プロデューサーさん!」

P「ん?」

幸子「なら、そんなカワイイボクのために、これからもよろしくお願いしますね!大好きですよ♪」





おわり

くぅ疲
幸子はカワイイ、これ真理。

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2016年08月05日 (金) 04:22:40   ID: npZ8OXZI

膝から崩れ落ちる程にカワイイな幸子は

名前:
コメント:


未完結のSSにコメントをする時は、まだSSの更新がある可能性を考慮してコメントしてください

ScrollBottom