杏奈「Hな気分になれるアメ」 (33)


あんゆり


百合子「杏奈ちゃん、今日はお買い物手伝ってくれてありがと!」

杏奈「うん、杏奈も楽しかった…… よ」

百合子「この本ずっと欲しかったんだー」

杏奈「…… 百合子さんは、ネットで本を買わないの?」

百合子「うーん…… あんまりしないかなー、私は本との『出会い』を大切にしたくて、本は本屋さんで見つけて買うってことにしてるから」

杏奈「そうなんだ……」

百合子「いつも私のお買い物に付き合わせちゃってごめんね、私が本を探してる時暇だよね……」

杏奈「ううん…… 杏奈、百合子さんが本を選んでる時、本を見つけた時の嬉しそうな顔…… す、好きだから……」

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そう、杏奈は百合子さんのことが好き

百合子「あ、うん……」

目を丸くして驚いている百合子さん

杏奈「百合子さんは…… 杏奈のこと…… 好き?」

百合子「う、うん! もちろん杏奈ちゃんこと大好き…… だよ!」

杏奈「だったら…… していいよね……」

百合子さんの肩に手をかけ、目を閉じてゆっくりと杏奈の顔を百合子さんの顔に近付ける

二人の唇が重なるまであと少し……

百合子「わー! そ、そう言えば!」

振りほどかれる杏奈の手

杏奈「……」

百合子「も、もうすぐ杏奈ちゃん誕生日だったよね? 何か欲しいものとかある?」

いつもこう、百合子さんはする直前に急にへたれて話題をそらしちゃう……

杏奈「……」

百合子「あ、杏奈ちゃん?」

欲しいもの? そんなの決まってる

杏奈「百合子さんからの愛」

百合子「…… も、もっと形に出来るものがいいかな……」

杏奈「…… 百合子さんがくれるものだったら、何でも嬉しいよ」

百合子「わ、わかった! 杏奈ちゃんが喜んでくれそうなもの頑張って選ぶね!」

杏奈「うん、期待…… してるね」

お家のベッド、その上に寝転がりながら想う

杏奈は百合子さんのことが好き、百合子さんも杏奈のことが好き…… 多分

だけど百合子さんはいつも杏奈の好きから逃げちゃう

やっぱり女の子同士のキスなんて気持ち悪いって百合子さんは思ってるのかな

百合子さんの好きと杏奈の好きは違うのかな……

もうすぐ杏奈の誕生日、恋人の誕生日にキスをプレゼントするなんてよくあるお話だと思うけど……

杏奈「期待、してるよ? …… 百合子さん」

今日は杏奈の誕生日、台本を取りに事務所に行ったら

「杏奈、誕生日おめでとー!」

みんな集まってお祝いしてくれた

杏奈「み、みんな…… ありがとう」

未来「はいこれ、プレゼント」

杏奈「ありがとう未来、大切にするよ」

静香「はい、プレゼントよ」

杏奈「ありがとう静香」

奈緒「みんなおはよー! んー、なんや盛り上がってんなー まるで誰かの誕生日みたいやん~」

志保「まるでっていうか実際そうなんですけど」

奈緒「え」

未来「今日は杏奈の誕生日ですよー」

奈緒「ホンマか」

静香「まさか忘れてたんですか」

奈緒「あ、いやー…… ついうっかりっていうか~」

奈緒「ちょ、ちょっと待ってぇな、今なんかプレゼントっぽいもの出すから」

杏奈「そ、そんな気を使わなくても……」

奈緒「あ、あった! これあげるわー」

杏奈「これ……」

恵美「ただのアメじゃ~ん」

志保「いつもと同じじゃないですか」

奈緒「ちゃうねん、これはただのアメやなくて、舐めた人がHな気分になるアメやねん」

志保「は?」

翼「面白そー!」

星梨花「『えっちな気分』ってなんですか?」

静香「星梨花は聞かなくていいから」

奈緒「これを舐めた人はドキドキして仕方なくなるからデェトの時とかに舐めさせたらイチコロやで~」

杏奈「え、えっと……」

志保「杏奈も困ってるじゃないですか、いい加減冗談はやめてください」

奈緒「そこまで言わんでもええやん…… ド○キで買てきたから絶対効果あるに決まっとるわー」

静香「ただのパーティーグッズじゃないですか……」

翼「わたしにも一個くださーい」

恵美「アタシもアタシも~」

奈緒「はーい、お一人様一個やで~」

静香「貴女たちは何に使う気なのよ」

星梨花「あ、それならわたしも」

志保「星梨花はいいから!」

杏奈「……」

杏奈(Hな気分になれるアメ…… もしこれを百合子さんに舐めさせたら……)

午後からは百合子さんとデートの予定

集合場所で百合子さんを待ってる間、ずっと奈緒さんから貰ったアメのことを考えていた

どう見てもただのピンク色のアメ、多分特別な効果なんて無い普通のアメ

だけどもし、もしこれが本当に効果があったなら……

百合子「杏奈ちゃーん」

杏奈「百合子さん」

百合子「ごめんね、待った?」

杏奈「ううん、百合子さんこそお仕事の後で疲れてない?」

百合子「大丈夫! 杏奈ちゃんに会えるって考えながらお仕事頑張ったから!」

杏奈「百合子さん……」

百合子「お昼ご飯食べにいこっか?」

杏奈「うん……」

お昼ご飯の後、百合子さんが「杏奈ちゃんに見せたい場所がある」と言われて連れてこられたのは…… 図書館?

杏奈「わぁ……」

百合子「どう? 杏奈ちゃんだったら気に入りそうかなーって思ったんだけど……」

杏奈「す、凄い! これってゲームに出てきそうな図書館だ!」

それは木造の大きな建物で、街の外れにポツンと立っているのに独特の雰囲気を出している、まるでRPGに出てくる封印の書物が安置されているような……

百合子「だよね! 私もここ初めて見つけた時に、まるでゲームとかおとぎ話とかに出てきそうな雰囲気あるなって思って、杏奈ちゃんなら絶対気に入るって思ったんだ」

杏奈「中、入っていいの?」

百合子「うん、大丈夫だよ」

杏奈「やったー!」

図書館の中も外観と同じくとっても趣があって、日の光が余り入らないのか薄暗く、少し埃っぽい中に本の匂いが充満していて

杏奈「中、結構広いね…… ほんとにダンジョンみたい!」

百合子「あ、杏奈ちゃん」

杏奈「何? 百合子さん」

百合子「は、はぐれないように…… 手、繋いでいこうか…… ?」

杏奈「…… うん!」

図書館の中は何故かまったく人が居なくて、よりダンジョン感が高まると同時に、百合子さんと二人きりって考えると別の意味での興奮も高まってきた

杏奈「あ、ここ地下室もあるんだね!」

百合子「そう、地下室の最奥の開かずの部屋」

杏奈「部屋の中に安置されている封印の書物」

百合子「そこに記されている禁忌の呪文……」

杏奈「探しに行こう!」

百合子「うん!」

もちろん地下室には開かずの部屋も封印の書物も無い、ただの蔵書スペースだったけど

所々切れた蛍光灯の照らす地下室は地上よりも更に雰囲気があってまるで今にも異世界への扉が開きそうだった…… でも少し埃が多すぎるかな

百合子「んっ、けほっ」

百合子さんも咳してるし

杏奈「百合子さん大丈夫?」

百合子「う、うん…… ここ凄い埃っぽいね、杏奈ちゃんアメとか持ってる?」

杏奈「あ、うんアメなら奈緒さんにもらった奴が……」

百合子さんに手渡す時に奈緒さんの言葉を思い出す、これは『Hな気分になれるアメ』

もしこれに効果があるなら百合子さんと……

杏奈「はい、これ」

百合子「ありがとう」

口の中でアメを転がす百合子さんの顔をじっと見つめてみる、そんなにすぐに効果は現れないとは思うけど……

百合子「えっと…… な、何か私の顔に付いてるかな……」

杏奈「あ、ううん 何でも無いよ」

やっぱりただのアメなのかな……

杏奈「ねぇ百合子さん、そのアメってどんな味がするの?」

百合子「どんな味…… うーんすっぱいような甘いような……」

杏奈「それじゃわかんない……」

百合子「うーん…… そう言われても……」

杏奈「…… じゃあさ、杏奈にもそのアメ舐めさせて」

百合子「えっ…… ?」

百合子さんを壁際に追い詰める

杏奈「壁ドンって言うのかな、これ……」

百合子「あ、杏奈ちゃん…… ?」

杏奈「もう逃げちゃダメだよ……」

百合子「だ、ダメだよ杏奈ちゃん…… こ、こんなところで……」

杏奈「だってここ誰も居ないよ? それに今からするのは、口移しでアメを舐めるだけだから…… キス……じゃないよ」

百合子「キスじゃない…… ?」

杏奈「うん……」

百合子「そ、それなら……」

目を閉じて唇を重ねる、これはキスじゃなくてアメをもらっているだけ……

百合子「んっ」

アメを探すため百合子さんの口の中に舌を入れる、自分以外の口の中の味って…… 変なの

アメ…… あった…… 舌を絡ませて手前に転がす

味はすっぱいような甘いような…… 確かによくわからないかも……

もっとアメを転がして味わいたいのに百合子さんの舌が邪魔してくる……

二人で舐めたらいつもより早くアメが小さくなっちゃう…… もっと長くアメを舐めていたいのに……!

杏奈「んっ……!」

舌先に神経を集中させていたら、いつの間にか百合子さんの腕が杏奈の背中に回されて抱き締められてた

杏奈の体と百合子さんの体が強く密着して…… 変な感じ……

二人の体がくっついて繋がって、一つの体になったような

いつの間にかアメはずいぶん小さくなって、アメを舐めようとしても百合子さんの舌を舐めることになっちゃう

それでもアメの最後の一欠片まで味わうために必死で舌を動かした、百合子さんの舌と自分の舌を絡めながら

百合子「っはぁ……」

杏奈「アメ…… 舐め終わっちゃったね……」

百合子「ど、どんな味だった…… ?」

杏奈「…… 百合子さんの味がした」

百合子「へっ……」

杏奈「今まで舐めたどんなアメより、お菓子より、甘い百合子さんの味…… もう一度味わいたいんだけど…… いい?」

百合子「…… うん、いいよ」


おわり

(*>△<)<望月杏奈さん誕生日おめでとうございます。
読んでくれた方ありがとうございます。

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