貴音「おや?こんなところにラーメンが」 (39)


貴音「ふむ、スープは鶏ガラベースの醤油味のようですね」ジロジロ

貴音「麺は中細ちぢれ麺ですか」

貴音「具材は、焼豚1枚メンマ4切れナルト2枚ネギ適量」

貴音「シンプルな赤のラーメン鉢ですね、好感がもてます」

貴音「この湯気の加減から見て、出来てそうたってませんね」

貴音「ふむ」

貴音「ラーメンは作りたてが一番」

貴音「時間が経ち伸び冷めたラーメン程、美味しくないものはありません」



貴音「では、いただきます」

やよい「うっうー」


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貴音「おや?やよい、どうしたのですか?」

やよい「貴音さんは、なにをやってるんですか?」

貴音「私はラーメンを食べるところですが?」

やよい「あの…そのラーメンは私のです……」

貴音「なんと?そうだったのですか、それは失礼しました」

やよい「いえいえ」



貴音「それでは、いただきます」

やよい「うっうー?」


やよい「貴音さん待って!」

貴音「?」

やよい「私のラーメンを勝手に食べないでください!」

貴音「………」

貴音「……は!?」

貴音「ラーメンを見たらつい手が勝手に動いてしまいました……」

貴音「本当に申し訳ございません」

やよい「いえ、気にしないでください」



貴音「では、やよい…いただきます」

やよい「うっうー!?」


やよい「一言声をかければ食べていいわけじゃありません!」

貴音「なんと!?」

やよい「なんで驚くんですか?」

貴音「で、ではこのラーメンは一体?」

やよい「それは私の昼食です」

貴音「ああ、そういえばもうお昼時でしたね」



貴音「では、私もお昼をいただくとしましょう、いただきます」

やよい「うっうー!」


やよい「貴音さん!めっ!です!人の物を食べちゃ、めっ!です!」

貴音「す、すみません……」

やよい「わかってくれればいいです」

貴音「ちなみにそのラーメンは、やよいが作ったのですか?」

やよい「いえ、下のたるき亭で作ってもらいました」

貴音「たるき亭で?確かお品書きにラーメンはなかったと思いましたが?」

やよい「まかないだそうです、さっきお掃除のお手伝いをしたらお礼にってもらいました」

貴音「そうでしたか、やよいは偉いですね」ナデナデ

やよい「えへへ~」



貴音「やよいは偉いです、いただきます」ナデナデ

やよい「えへへ~……うっうー!?」


やよい「頭を撫でながら食べようとしないでください!」

貴音「………」

やよい「危なかったです!気持ちが良かったから反応が遅れました!」

貴音「………やよい」

やよい「はい?」

貴音「このラーメンですが……賄い料理ということは、通常では食べられないということ」

やよい「はあ」

貴音「食とは一期一会、この機会を逃せば、一生食べられないかもしれません」

やよい「うう?」

貴音「故に!このラーメン!!私に食べさせてください!!!」

やよい「………嫌です」

貴音「………」



貴音「いただきます!!!!」

やよい「うっうー!!」ペシン!


貴音「……お尻を叩かれるとは思いませんでした」

やよい「言ってもきかない人には、お尻ペンペンですよ」

貴音「なるほど、ちなみに弟君達にも聞き分けがないときはお尻ぺんぺんを?」

やよい「長介達は1回注意したらわかってくれるので、あまりしたことはありません」

貴音「そうでしたか」

やよい「はい」

貴音「………」

やよい「………」


貴音「いた……」

やよい「うっ」サッ


貴音「だき……」

やよい「………」ググ


貴音「………」

やよい「………」



貴音「ます」

やよい「うー!」パチン!


貴音「わかりました」

やよい「わかってくれましたか?」

貴音「はい、もうラーメンを食べようとしません」

やよい「そうですかー」

貴音「さあ早く私の目の前からラーメンを持ち去ってください!」

やよい「ならラーメン鉢を鷲掴みしている高音さんの手を離してください!」

貴音「早く、早く!このままでは…また食べようとしてしまいます!」

やよい「いや、だから貴音さんが離してくれれば……」

貴音「私が本能に負けて食べてしまう前に、早く食べてください!」

やよい「あ、握力がすごいですぅ……ラーメン鉢を掴んだ手が…微動だにしません……」

貴音「もう……もう駄目です……やよい…弱い私を許してください……」

やよい「貴音さん!本能に負けないでください!」

貴音「いた……だき……」

やよい「貴音さーーーーん!!」



貴音「…ます♪」

やよい「うっうー!!」パシーン!


やよい「最後の最後で素が出ちゃいましたね」

貴音「出てしまいましたね、お恥ずかしいことです」

やよい「貴音さん」

貴音「はい」

やよい「私お腹がとーっても空いてるので」

貴音「はい」

やよい「そろそろラーメンを食べさせてください」

貴音「……はい」

やよい「それじゃあ」

貴音「………」



やよい「いただきまーす!」

貴音「お待ちください!」


やよい「なんですか?」

貴音「後生です、やよい後生ですから……」

貴音「一口だけ…食べさせてもらえませんか?」

やよい「貴音さん…」

貴音「一口…一口だけでいいので…お願い致します……」

やよい「貴音さん……」

貴音「やよい………」

やよい「貴音さん………」


やよい「嫌です」



貴音「ありがとうございます、一口だけいただきます」

やよい「うっうー!!!」バチン!!


やよい「私、嫌ですって言ったと思ったんですけど?」

貴音「まさか、今の流れで断られるとは思わなかったので……つい」

やよい「私も心が動かされました」

貴音「それでしたら」

やよい「でも、一口と言いながら麺のほとんどを箸で掴んだ貴音さんをみたら」

貴音「………」

やよい「あ、これはもうダメかなーって」

貴音「………」

やよい「………」

貴音「……う」

やよい「……?」



貴音「うっうぅうっ」ポロポロポロ

やよい「泣きたいのはこっちかなーって」


貴音「ううっうぇうっ」ポロポロ

やよい「………」

貴音「うええうぇうぅ」ポロポロポロ

やよい「………」


やよい「……貴音さん」

貴音「うえ?」ポロポロ

やよい「はい、あーーん」

貴音「ふぇ?」

やよい「えへへ、さすがに全部の麺はあげれませんが、これくらいなら」

貴音「やよい……」

やよい「あーーんですよ、貴音さん」

貴音「うぅ……感謝します」



貴音「出来れば、焼豚半切れとナルト1枚メンマ1切れも一緒にいただいてもよろしいですか?」

やよい「………」


貴音「では、まずはスープを……」ズズ


貴音「ふむふむ……やよい、もうひと匙スープをいただいてもよろしいですか?」

やよい「麺とヤキブタ半切れとナルト1枚メンマ1切れを箸で持ちながら待機している
    私の右手が疲れてきました、スープを味わう前に麺を食べてください」

貴音「わかりました、では……あーーん」

やよい「あーーん」

貴音「ぱく、ちゅるちゅる、もぐもぐ」

貴音「ごっくん……ふぅ」



貴音「やよい、ご馳走様でした」

やよい「はい」


貴音「やよい……」

やよい「はい?」

貴音「ラーメンをいただき、真にありがとうございました」ペコリ

やよい「貴音さん……」

貴音「本当に感謝いたします」

やよい「え、えへへへ……喜んでもらえたらそれでいいです!」

貴音「はい、とても嬉しかったです」

やよい「えへへ」

貴音「ふふ」

やよい「ラーメン美味しかったですか?」





貴音「スープは冷めて麺は伸びきってたので、美味しくはなかったですね」

やよい「誰のせいだと思ってるんですかーーー!うっうーーーー!!」バチーーン!!




おわり


終わりです
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