加賀「希望解体……?」 提督「そうだ」 (162)


――鎮守府・執務室――

加賀「……突然何を言っているの?」

提督「今の鎮守府で今のまま軍務を続けてもらうのは難しい。希望解体を真剣に考えてくれ」

提督「希望解体という形でなら我々も君の今後についてある程度の援助は出来る。資金面でも、それ以外でもだ」

提督「であるからには……」

加賀「待って。話が理解できません。一から説明してください」

提督「……では説明しよう」

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提督「まず、中枢棲姫との海上決戦において我々は勝利した。ここはいいかな?」

加賀「ええ」

提督「深海棲艦は壊滅。指揮系統を喪失した残存部隊の小規模な反抗も全て鎮圧した」

提督「それから半年。我々は深海棲艦の残党を血眼になって探した。それこそ海の底までな」

提督「だが……幾度もの執拗な調査にも関わらず、深海棲艦の痕跡はどこにも見られなかった。まるで最初から存在しなかったかのように」

提督「この調査結果を受けて、疑り深い上もようやく勝利宣言を発する事が出来たわけだ」

提督「君も聞いただろう?半年前のあの放送だ。『人類と深海棲艦との戦いは、今日この時をもって終結した事を宣言する』」

加賀「……ええ。確かに聞きました」


提督「勝利宣言から半年経った今も深海棲艦は現れない。そうなると何が残る?」

加賀「私達、ですか」

提督「そうだ。……と言っても、軍も民衆も君たちを排除したいわけではない。そこは理解してほしい」

提督「君達がいなければ勝利は無かった。世界中全てがそう思っている。君達に感謝しているんだ」

加賀「……」

提督「だが、厄介なのは君たちの艤装だ」


提督「それは……ただ維持するだけでも多額のコストがかかる」

提督「数十個なら防衛力の名目で残せるだろう。だが今この国に居る艦娘の数を考えてみてくれ」

提督「撃つべき敵を失った砲も、陸を離れない爆撃機も、長きに渡った戦争で疲弊した国にとっては目に余る無駄なんだ」

加賀「……戦争に勝利したのに、国は衰えたと?」

提督「我々は確かに勝った。勝ったが……補償も、土地も、形に残るものは何も得る事が出来なかった。侵略を防いだに過ぎないからな」

提督「得た物は少なく、失ってしまった物はあまりにも多い。国も民も悲鳴を上げている」

提督「そんな中では、過剰な兵器など削減すべきコストでしかない」

提督「一日でも早く国の復興を為すため、軍そのものをスリム化させる。それが、この国の民意が出した結論なんだ」


提督「軍としては君自身のためにも、なるべく速やかに、円満に、希望解体という形で済ませたいと考えている」

加賀「……これが…………」

加賀「これが……こんなものが私達が命を懸けて戦った結末なの……!?」

提督「……」

加賀「血を流し、友を失い、それでも敵を殺したのも全て一心にこの国の安寧を思ってこそ」

加賀「かつての『加賀』が!その乗組員達が成し得なかった護国の想いを果たすために、私、私は……!」


提督「……国は護られたよ。君の、君達のおかげだ。それは揺るぎない事実だ」

加賀「だったら……」

提督「だからこそ円満に希望解体という形で、次の人生を」

加賀「今そんな話はしていません」

加賀「……それにさっき言っていたわね。数十隻なら残せると。ならば」

提督「残す艤装のリストに君のものは入っていない」

加賀「なっ…………!?」


提督「残すべき艤装の取捨選択は既に終了している。君に決定を覆す余地はない」

加賀「何故、ですか……」

提督「いいか、加賀。君はこれから……」

加賀「理由を説明してください。私は艦載機の扱いならどの空母にも後れを取るつもりはありません」

加賀「それに必要ならばどんな訓練でも受けます。輸送でも囮でもこなしてみせます。すぐには無理でも必ず習得して」

提督「加賀。ここは君の決意を聞く場ではない」

加賀「……ッ!」


提督「君には今の鎮守府で今のまま軍務を続けてもらうのは難しい。希望解体を真剣に考えてくれ」

加賀「私は希望解体に応募しません。五航戦の子の指導があるのでこれで失礼します」

提督「君が軍の意向を理解してくれるまで面談は続けるので、そのつもりでいるように」

加賀「……あなたは、艦娘の体調を慮っていたし、戦闘における指示も的確でした。少しはまともな提督かと思っていたけれど」

加賀「わずかでも心を開いた私が愚かだったわ……」



提督「……」

提督(何をやっているんだろうな、私は……)


――鎮守府・空母道場――

瑞鶴「よーし次あの的の真ん中に当てたら今の一航戦は引退してもらって明日から私が一航戦!もう決めた!」

加賀「五航戦。馬鹿な事言ってないで心を落ち着けてから構えなさい」

『残す艤装のリストにその中に君のものは入っていない』

『ここは君の決意を聞く場ではない』

『君には今の鎮守府で今のまま軍務を続けてもらうのは難しい。特別転進を真剣に考えてくれ』

加賀「うっ……!?」


加賀(脆いものね、思い出すだけで立ちくらみを起こすなんて……何発の被弾にも耐えてきた体でしょうに。しっかりなさい、私……!)

瑞鶴「加賀さん加賀さん!今の見てた!?これぞ正射必中……って、ちょっと!大丈夫?」

加賀「ただの立ちくらみよ……それよりいつから私は五航戦の子に心配されるほど落ちぶれてしまったのかしら」

瑞鶴「あーはいはい栄光の一航戦サマを心配した私が馬鹿でした愚かでした頭七面鳥でごめんなずいずーいっと!」

瑞鶴「ったく、赤城さんといい元気なくて張り合いないから声かけてあげてるのに……」

加賀「赤城さんが……!?五航戦、今の話は確かなの?」


瑞鶴「別に嘘ついてもいい事ないでしょ?何かスッカラカンみたいな感じであっちにフラフラ歩いてったわ」

加賀(今朝はそんな様子見せていなかったけれど、まさか……)

加賀「……五航戦。予定より少し早いけれど、今日の指導はここまでです」

加賀「後は自力で努力しなさい。努々鍛錬を怠らないように」

瑞鶴「えぇー!?まだ教えて貰いたい事いっぱいあるのに!」

加賀「……先の一射、見事だったわ」

瑞鶴「え……ちょっと!加賀さん!?どこ行くの!ねーぇ!褒めるならもっと徹底的に褒めてよー!」


――鎮守府・屋上――

加賀「赤城さん」

赤城「……加賀さんですか」

加賀「私は、提督に希望解体の勧告を受けました」

赤城「……そうですか。加賀さんも、なんですね」

加賀(目に力が無い……やはり、赤城さんも……)


赤城「ねぇ、加賀さん。……私達って何だったんでしょうね?」

赤城「人の都合で造られ、人の都合で戦わされ、人の都合で解体され……」

加賀「提督は艤装を解体するだけだとおっしゃっていたわ。私達を排除する意思はないとも」

赤城「……艤装を捨てる事と私達が捨てられる事にどんな違いがあるんですか?」

加賀「それは……」

赤城「戦う事しか知らない私達が突然武器を奪われて人込みに投げ出されて!」

赤城「それで一体どれだけ生きていけると計算しているんですか!?まともな人生を歩めるとでも!?」


赤城「艦娘を造ったのなら!艦娘を望んだのなら!艦娘に救われたと少しでも感じているのなら!」

赤城「どうしてそれをこうも簡単に見捨てられるのですか……!?」

加賀(……なんて惨めな吐露。戦場においてあれだけ凛々しかった貴女が……でも、無理もない)

加賀(貴女は誰よりも深海棲艦との戦いに真剣だったもの……そんな人から武器を奪って、一体何が残るというの?)

加賀(今の赤城さんを見ていると、まるで鏡を見せられているような……そんな錯覚さえ起こしてしまう)

加賀(何より、友人の嘆くさまを見て冷静になりかけている私自身が情けない……)


赤城「私は、私達は……ただ、国のために……人の世のために尽くしてきたのにっ……!」

赤城「なのにっ……!」

加賀「赤城さん、部屋に戻りましょう。ここは冷えるわ……」

赤城「戦いの中で生きて死んだ艦娘が極楽浄土に行けるのなら……私も……」

赤城「私も、いっそ沈んでおけばこんな目には……!」

加賀「赤城さんっ!!!!」


赤城「っ!」

加賀「それだけは、言っては駄目」

赤城「う、うぅぅぅ……!うぁあああああああああああああああ……!」

加賀「肩を貸しますから……」

加賀(まるで幼子のよう……いえ。戦いを奪われた艦娘など、幼子と変わらないわね)

加賀(私も……)


――鎮守府・一航戦の部屋――

赤城「……すみません。みっともない所を見せてしまって」

加賀「誰だって泣きたい時くらいあります。あれはきっと、貴女が今までずっと我慢してきた分が漏れてしまっただけ」

加賀「辛い事があったのなら、涙くらい流したってバチは当たらないわ」

赤城「加賀さん……」

加賀「何か温まるものを持ってきますから、少し横になっていて」

赤城「……はい」


――鎮守府・執務室前廊下――

加賀(赤城さんの好物で温まるもの……カレーかしら)

加賀(……辛い物は状況に即してないわね。肉じゃが……は私の好物だし)

加賀(間宮さんのところでお汁粉でも作ってもらいましょう)

『ちょっとそれどういう事!?』

『事実の経緯は先ほど述べた通りだ』

加賀(!!)

加賀(この声は……五航戦の……)


――鎮守府・執務室――

提督「今の鎮守府で今のまま軍務を続けてもらうのは難しい。希望解体を真剣に考えてくれ」

瑞鶴「クビって事!?」

提督「そうではない。だが希望解体という形でなら我々も君の今後についてある程度の援助は出来る。資金面でも、それ以外でもだ」

瑞鶴「……じゃあ希望解体に応募しなかったらどうなるの?」

提督「君が残りたいと願おうと願うまいと、軍組織のスリム化は国策だ。遠からず指名解体か整理解体の波が各地の鎮守府に押し寄せる」


提督「仮にその時がくれば君自身の問題が指摘され、無かったとしても大本営にでっち上げられるだろう」

提督「解体する数が多いからな、コストカットの名目で渡すべきものも渡すまいとなる。……国も必死なんだ」

提督「そうなってしまえば私からはもうどうする事も出来ない。君を着の身着のままでこの鎮守府から追い出す事になってしまう」

提督「瑞鶴。軽薄に聞こえるかもしれないが……」

提督「私は提督として、君にできるだけ多くのものを受け取ってから新たな人生を歩んでほしいと、本心から願っている」

提督「希望解体という道を、真剣に考えてくれないか」


瑞鶴「……」

提督「……」

瑞鶴「その指名解体の波ってのはいつ来るの?」

提督「具体的な日時の断定はできない。だが近々、確実に来る」

瑞鶴「それが提督さんの判断な訳?」

提督「そうだ。政治の動向や信頼できる記者との情報交換の中から導き出した推論だ」


瑞鶴「……わかった。それなら私は提督さんの判断を信じる。希望解体、応募するわ」

提督「ありがとう、瑞鶴……すまない」

瑞鶴「謝らないでよ。私達が要らなくなったって事は、世の中それだけ平和になったって事でしょ?」

瑞鶴「じゃあ私はそれでいい。平和が一番!そもそもそのために戦ってきたんだし!」

提督「……そうだな。ああ、そうだ……この平和が、私達への一番の報酬だものな」

瑞鶴「うん!」

提督「……強い人だ、君は。私なんかではとてもかなわないと再認識させられたよ」


瑞鶴「へっへーん、これでも歴戦の空母ですからね!……ね、提督さん。最後に一つだけ聞いていい?」

提督「何でも聞いてくれ。私に答えられる範囲で回答しよう」

瑞鶴「深海棲艦との戦いが終わったから沢山の艦娘が解体されるって事はさ……艦娘が在籍してた鎮守府そのものの数もグッと減ると思うの」

瑞鶴「深海棲艦は色んな所に急に現れるから各地に鎮守府が必要だったけど、これからはそういう時代じゃなくなるんだし」

瑞鶴「大きい所を除いて、鎮守府……海軍そのものも縮小されるんじゃない?戦時下に非常召集した予備役とか、もう必要ないでしょ」

瑞鶴「もしかして……提督さんも、軍隊辞めさせられるんじゃないの?」


提督「胸に刺さる質問だな。ああ、まったくその通りだ」

提督「知っての通り、元々私は戦争が始まってから艦娘を指揮する提督としての適性アリとして徴兵された民間人に過ぎない」

提督「本職の軍人の方々からは疎まれ続けてきたからな。戦争が終わったのなら一番に退役勧告が来るのもやむなしだろう」

瑞鶴「へぇー……そんなに嫌なら軍の中から提督決めれば良かったのに」

提督「技術者曰く、艦娘を指揮するには希少な先天的資質が必要なんだそうだ。説明されても訳が分からなかったが」

提督「それで全国から提督の適正がある連中が集められて、訓練の後安い賃金と重い責任を押し付けられて、最後はこうして辞めさせられていく訳だ」

提督「まったく、出来の悪いお伽噺だよ」


提督「君達がこの鎮守府から去った後が、私の番だ。それがいつになるかは分からないが……」

瑞鶴「別に、今すぐ辞めてもいいんじゃないの?」

提督「そうはいかない。提督として、一緒に戦ってきた君達の今後から目を逸らして逃げ出すようなマネはできない」

提督「もっとも『提督』なんて地位の意味するところも、随分と様変わりしてしまったがね……」

瑞鶴「ふーん……じゃあ、私達を希望解体に導くのが提督さんの最後のお仕事ってわけだ」

提督「そうなるな。……やがて自分を見捨てる組織の為に働き続ける姿というのはさぞ滑稽だろう。笑ってくれても罵ってくれても構わんよ」


瑞鶴「別に罵りもしないし貶しもしないよ」

瑞鶴「ただ、やっぱり提督さんって責任感ある人だったんだなぁって。ちょっと安心した」

瑞鶴「ね、提督さん。お互いこれから大変だけど……多分、大変って言葉じゃ足りないくらい大変だろうけどさ」

瑞鶴「それでも、頑張ろうね!翔鶴ねぇが心配しないように!」

提督「……ああ。もちろんだとも」

瑞鶴「よっし!それじゃあ私ちょっと将来設計してくるからこれで失礼しまーっす!」


――鎮守府・執務室前廊下――

瑞鶴「ッ……!」

瑞鶴(泣くな、泣くな、泣くな泣くな泣くなっ!翔鶴ねぇが心配しちゃう!)

瑞鶴「……よし!ハイ切り替えた!とりあえずなんか美味しいもの食べよっと!」

加賀「ぁ……」

瑞鶴「か、加賀さん!?いつからそこに!?もしかして今の聞いてたの!?うわっ恥ずい!屈辱!」


加賀「……ごめん、なさい。盗み聞きしてしまったわ。私と、同じ話をしていたから」

瑞鶴「いやー、お恥ずかしながらクビに……ってえぇ!?加賀さんも!?」

加賀「……あまり大きな声で言わないでもらえるかしら。明るい話題ではないのだから」

瑞鶴「あ……ごめんなさい」

加賀「五航戦……貴女は、どうして……受け入れられるの」

瑞鶴「へ?」


加賀「放り出されるのよ?戦いしか知らない私達が。戦いの無い世の中に……」

瑞鶴「……うん。まぁ、それはそうだけどさ。しょうがないじゃん!」

加賀「しょうが、ない……?」

瑞鶴「戦争が終わった、敵が居なくなった。疲弊した国の経済立て直したい、だから無駄な軍事費削るって。どこもおかしくないよ」

瑞鶴「加賀さんが政治家でもここから削るでしょ?」

加賀「それはそうかもしれないけれど……でも、私達は幼子のようなもの。いえ……体が成長しない分、幼子より立場は悪いかもしれない」


加賀「そんな人が溢れかえって……戦後の混乱の中で、どうやって生きてけばいいの?」

瑞鶴「何でもやって生きていくしかないんじゃない?仕事くださーいって言うか、自分で商売見つけるか」

加賀「そんな事、とても……」

瑞鶴「どうやって生きていくかなんて、最初から決まってる奴の方が少ないと思うなー」

瑞鶴「加賀さんだって計画段階では戦艦になるはずだったんでしょ?それが今じゃ空母なわけで」

加賀「……」

瑞鶴「大丈夫大丈夫、色々やってる内にきっと自分の生き方が見つかるって!」


瑞鶴「それにさ、仮にこれから何もかもうまくいかなくて……崩れ落ちていくだけの人生だったとしてもさ」

瑞鶴「最終的にはただ死ぬだけだよ。翔鶴ねぇがいる所に行くだけ……そう思ったら気持ちが楽になったの」

加賀「……」

瑞鶴「結局、私達のこれからはアイツらと戦ってた頃となんにも変わらないんだよ。敵が空腹とか病気になるだけで」

瑞鶴「血も涙もドバドバ流して、力不足で色んなモノを失って、それでも歯を食いしばって。今の自分に出来る事を死ぬまでやり続ける」

瑞鶴「……生きようとする事って、多分世の中と戦う事なんだと思う」


瑞鶴「戦いの中で生きて死んだ艦娘は、極楽浄土に行けるんでしょ?」

瑞鶴「だったら私は戦って生きる。何をしてでも、誰を頼ってでも!いつか翔鶴ねぇと会った時に、色んな思い出いっぱい話せるように!」

加賀「……強いわね、貴女は」

瑞鶴「お?栄光の一航戦サマサマが五航戦の私に敗北宣言?衰えたもんずいねー……加賀は耄碌した女ずい」

加賀「撤回します。やっぱり貴女はただの小生意気な五航戦だわ」

瑞鶴「ふふっ。そうそう、やっぱり加賀さんはそうじゃないとね!」

加賀「……ありがとう、瑞鶴」

瑞鶴「んっ!?加賀さん今なんて言った?よく聞こえなかったからもっかい言って!もっかい!」

加賀「二度は言いません。私は赤城さんにお汁粉を持って行かなければならないの。これで失礼するわ」

瑞鶴「あー!またちょっとしか認めてくれないのー!?」




瑞鶴「……行っちゃった。あの人もうちょっとまっすぐに気持ちぶつけてくれればいいのになー」

瑞鶴「さて、大見得切った手前泣き言は言ってらんないわね!何して暮らしてやろうかなーっと!」


――間宮食堂――

加賀「間宮さん、お汁粉を頂けるかしら」

間宮「あら加賀さん!ちょっと待っててね、今温めますから」

加賀「ええ」

加賀(間宮食堂……ここも後何回通えるのか……)

加賀(あそこで話してるのは……香取と鹿島かしら?)

加賀(鹿島の方は随分と楽しそうだけれど……)


香取「鹿島、本気なの?」

鹿島「ええ本気ですよ香取姉。鹿島は夜の蝶になります!うふふっ♥もう勤め先も決まってるんですよ」

香取「夜の蝶って……あなたもう少しまともに稼ぐ事を考えた方がいいわよ?」

鹿島「はぁー……いいですか香取姉、職に貴賤無しです。夜の仕事はダメなんて偏見ですよ?」

鹿島「何であれ、自分の適性にあった職業に就くのは素晴らしい事なんですから!」

香取「貴女にそういう適性があるとは思えないから真意を問うてるのよ……」


鹿島「私はお酒が好きです。美味しい物を食べるのが好きです。そしてお金も好きです」

鹿島「男の人の魅力を見つける事が得意です。しれっと高い物を頼むのが得意です。何時間同じ人とお話ししてもちっとも苦になりません!」

鹿島「そして自分の容姿も性格も多くの男性に好感を持って頂けるに値すると自負しています!」

鹿島「なにより!クリスマスの時に提督さんに秘蔵の酒の栓を開けさせた、あの快感に勝るものを知りません!」

香取「そこは嘘でも教え子の成長とかそういう練巡っぽい事を言うべきじゃないかしら」

鹿島「これを才能と言わずになんと言いますか!?私がそういう職業に就かないのはむしろ世界の損失です」

香取「もう好きにしなさい……貴女、何があっても死にそうにないわね」

鹿島「お褒めに預かり光栄です♥うふふふふっ……ああ、楽しみ!早く解体になーれっ!」


加賀(本当、逞しいわね……真似できないわ)

間宮「お待たせしました。お汁粉です」

加賀「……間宮さんは」

間宮「?」

加賀「……いえ、なんでもありません。お汁粉、ありがたくいただきます」

間宮「はい。美味しく食べて下さいね!」


――鎮守府・一航戦の部屋――

加賀「赤城さん、待たせてしまったかしら?」

赤城「Zzz……」

加賀(眠っている……泣き疲れてしまったのね)

加賀(今は、一人にしておいた方がでしょう。このお汁粉は冷める前に私が……いえ、それは良くないわね)

赤城「……かないで」

加賀「……え?」


赤城「いかないで……!ぅ……見捨てないで……!まだ戦えます……わたし……たたかえる……!」

赤城「……だから……だから……」

加賀(うなされている……夢の中でさえ苦しめられて……)

加賀「……」

加賀(手を握るだけなんて、何の意味も無いのかもしれないけれど)

赤城「ぅ……ぁ……」

加賀「せめて今夜だけでも。貴女の涙を、拭わせて下さい」

今日はここまでです


――翌朝・一航戦の部屋――

加賀「ん……」

加賀(いけない、座ったまま寝てしまっていたのね。赤城さんは……)

加賀(居ない……)

加賀「……探しに行きましょう」

加賀(お汁粉が空になっているあたり、少しは元気になってくれたのかもしれないけれど)

『だってよ!このままで収まる訳ねぇだろ!?』

加賀(廊下で口論……?また、希望解体関連かしら……)


――鎮守府・廊下――

加賀「ちょっと貴女達、まだ朝早いのだから……」

龍田「あら加賀さん、ごめんなさいねー。天龍ちゃんちょっと荒れちゃってて~」

長月「だったらどうする?反乱でも起こすか?同艦隊のよしみだ、付き合うぞ」

天龍「ああそうしようぜ!他の艦娘にも掛け合って待遇を……!」

長月「待て、冗談だ。ちょっとは自分の言葉の影響力を考えろ……あんたに説得されたら駆逐の大半は本当に蜂起するぞ」

長月「あんたや皆の多くの努力と犠牲の上にやっと成ったこの穏やかな海を、自分の手で台無しにする気か?」


天龍「……だが!だったらお前ら駆逐共はどうやって生きていきゃいいんだ!?」

天龍「俺や龍田はいい。だがお前は……お前らはどうすんだよ、そのちっこい体で世間に投げ出されて!」

天龍「お前らくらいのガキはなぁ!学校行って笑ってるのが仕事なんだよ!」

長月「侮ってくれるな。艦娘として生まれた時点であんたと私の知能レベルは同じだぞ……入れ物が違うだけに過ぎん」

天龍「その体が小さいってのが問題なんだろうが!……せめて俺達と一緒に来いよ!守ってやっから!」

長月「ふっ……だったらこの鎮守府に居る駆逐全員の世話をあんた一人に見てもらおうか?数十隻いるわけだが」


長月「それに養ってくれるというのなら妥協はしないぞ?」

長月「あんたの望み通り私達は『年相応の人間の子供』として現在と全く変わりない生活水準を要求するだろう」

長月「あんたにそれが出来るのか?私達と同じく、ただの女に戻るあんたに?誰一人悲しませないと断言できるか?」

天龍「あぁ上等だよ!十人だろうが百人だろうがやってやろうじゃねぇか!」

長月「そうか……あんたはそう言えてしまう人だったな。……だが私はいい、その中には入りたくない」

天龍「生意気言いやがって……!カッコつけてんじゃねぇ!」


天龍「いいか!その小せぇ体じゃ人間の世の中は渡っていけないんだ!お前、そのままじゃ死ぬんだぞ!!!」

長月「……ありがとう天龍さん。あんたが心底私達の事を心配してくれているのは、駆逐艦なら全員知ってるよ」

長月「だが私はこの体に生まれたんだ。駆逐艦として、これまで生きてきた人生があるんだ。私はそれを否定したくない」

長月「生きにくいからといって、自分の存在から目を背けるような生き方はしたくない」

天龍「……ッ馬鹿、野郎が……!」

長月「心配無用、艤装が無くても私は船だ。船として生きた記憶と誇りがある限り」


長月「自分の航路は自分で拓くさ……どこで航海が終わるとしてもな」

長月「ダメで元々、生き方に海図などありはしない。私も、あんたも。お互いの無事を祈りながら、自分の海をゆこう」

天龍「……ケッ。なんだよ、いっちょまえに粋がりやがってよぉ!クソッ目にゴミが入っちまったじゃねぇか!」

龍田「私達が思ってたより、ずーっと強くなってたのねぇ……ほら天龍ちゃん。ハンカチ」

天龍「ずま゛ね゛ぇ……ズビッ!」

加賀(みな、自分なりの答えを出しているのね……)

ジリリリリリリリリリリリリリリリリッ!!!!

加賀「!?」

天龍「警報だと!?」

龍田「あらあら~?」

長月「考えたくはないが……行くしかないな!」

加賀(このタイミングで……深海棲艦の残党が?それは、あまりにも……)

加賀(都合が、良すぎる……)


――鎮守府・艤装格納庫前――

赤城「加賀さん!!」

加賀「赤城さん……」

赤城「警報です!敵です!深海棲艦が現れたんです!」

赤城「私達の戦いは、終わっていなかった!!!!!深海棲艦は残っていたんです!!!」

加賀(なんて嬉しそうに……)


赤城「私達は艦娘、海を守る盾!敵が何度でも現れるのなら、何度でもそれを討ち果たさなければ!」

加賀「ええ……」

赤城「一航戦・赤城!出ます!緊急事態です、作戦は無線通信でお願いします!」

加賀(なぜ?とても良くない予感がする……私が赤城さんを守らなければ……)

加賀「私も出ます。天龍さん、提督への連絡お願いします」

天龍「おう!」


――鎮守府正面海域――

赤城「敵影ナシ。でも慢心しては駄目。ですよね、加賀さん」

赤城「警報が鳴ったんです、敵は確実にこの海域に居るのですから……!」

加賀「……ええ」

『あー、こちら提督。赤城、加賀。聞こえたら応答せよ』

赤城「提督。私達は既に配置について警戒に当たっています。敵の位置情報は掴めましたか?」

赤城「発見次第最大の火力を叩き込みます。先手必勝です!」


『……いいか、赤城。落ち着いて聞いてくれ。先ほどの警報は誤報だ』


『……いいか、赤城。落ち着いて聞いてくれ。先ほどの警報は誤報だ』

赤城「……………………………………ご、ほう?」

『誤報だ。海上の浮遊ゴミを見間違えたそうだ』

赤城「…………」

赤城「提督。冗談を、言っている、場合じゃ……ないんですよ?わたしは、これから、せんとうを」

『冗談ではない。警報は誤報で、君の敵などどこにも居ない。速やかに帰投しろ』

赤城「……………………………………嫌」


『なんだと?』

赤城「帰投命令には従えません!敵はいます!見つけてみせます!わた、わたしは空母なんです!一航戦の赤城なんです!」

『赤城!命令に背くつもりか!』

赤城「うるさい!!私を作った人間のくせに私を否定しないで!!!!」

『……ッ!』

『加賀!赤城の隣にいるんだろう!彼女を止めてくれ!加g』

赤城「はぁ……はぁ……!や、やっと……静かになりましたね……」

加賀「……赤城さん。いくら貴女とはいえ命令違反、そして通信装置の破壊は看過できないわ」


赤城「……加賀さんまで、私を否定するんですか?」

赤城「艦娘として生まれる事を願われたから、艦娘として生きて死にたいってそんなに悪い事ですか!?」

赤城「それが嫌なら作らなければよかったじゃないですか!こんな、何の役にも立てない命なんて要らなかったのに!」

加賀「……希望解体を言い渡されたのは貴女だけではないわ」

赤城「ああそうでしょうね!人間どもは私達全部を捨てる気なんですから!それに大人しく従う事こそ狂ってるんですよ!」

加賀「戦いにしか価値を見出せず、戦いが終われば消えてしまう……それでは、深海棲艦と変わらないわ」

赤城「それでよかったんですよ!要らなくなったのなら眠っている間に殺してくれればよかった!」

赤城「後付けの都合で存在の意義を奪われるくらいなら……!何も感じない、戦う機能だけの鉄塊でいた方がよかった!!!」


赤城「……ッもう嫌!敵の居ない世界は嫌!艦娘じゃない、誇れない私なんて嫌!全部全部嫌、嫌、嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌!!!」

赤城「私は帰りません!空母としてここで死ぬまで戦います!」

赤城「私の嫌いなものが私の敵!全て、全て!海の底に沈めてやる!!!!」

加賀「……頭にきました。構えなさい、赤城さん」

加賀「その結論はあまりにも幼稚よ。貴女がどうしても戦いを望むというのなら」

加賀「私は、貴女を止めるためにこそ戦います」


赤城「結局、私に弓を引くんですね。仲間だと思っていたのに……!貴女だって一航戦だったのに!」

加賀「私は今でも貴女の友達で、一航戦です。だからこそ……」

加賀「親友のこれ以上の醜態を黙って見過ごすわけにはいきません」

赤城「第一次攻撃隊、全機発か……!」

加賀「そして、決着は既についています。……攻撃開始」

赤城「真上……直上!?」

ズドォォォンッ!!!!

赤城「そん、な」

加賀「視野が狭まっているのが錯乱している証拠です」

加賀「長話の最中に私が発艦させた事にさえ気づけなかったのだから、貴女はもう戦えない。その資格が無い」

赤城「い、や……!わ、たしは………………たた、か……」

加賀(なんとか気絶で済ませる事が出来たけれど、あと一歩遅かったら……)

『…………!加賀!加賀!聞こえるか!?』

加賀「聞こえていますから、そんなに大きな声を出さないで」

加賀「状況は終了しました、今から帰投します。……入渠の準備を、お願いします」


――鎮守府・執務室――

加賀「鎮守府正面海域において深海棲艦ではない敵と遭遇、これを殲滅しましたが、赤城さんが大破してしまいました」

提督「その深海棲艦でない敵とやらは。今後も現れるのかな?」

加賀「いいえ。二度と現れないでしょう。そんな事は……もうさせません」

提督「……分かった。ではこの報告は上には回さない。私の中にしまっておく」

提督「加賀。……赤城の事を、頼む。彼女を本当の意味で救ってやれるのは、多分君だけだ」

加賀「分かっています。赤城さんには何度も助けられてきましたから……今度は、私が助けます」


――夜・一航戦の部屋――

赤城「……」

加賀「赤城さん、入渠から戻っていたのね。お汁粉を持ってきました。今度は冷めていません」

赤城「ありがとう、ございます……」

加賀(涙を流しながらもぐもぐと……やはり、食べ物は粗末に出来ないのが貴女なのね)

赤城「……時々、自分の単純さが嫌になるんです」

加賀「……」


赤城「生まれた理由すら否定されて、宙に浮くだけの命になって」

赤城「今すぐ消えてしまいたいのに、呼吸するだけで胸が締め付けられるように痛むのに」

赤城「それなのに……どうして、お腹は空くんでしょうね」

赤城「どうして……こんなお汁粉なんかを、涙が出るほど美味しいと感じてしまうのでしょうね……」

加賀「……それが貴女だからよ」

赤城「それが、私……」


加賀「そう。貴女は決して、戦うだけの機械じゃない。一航戦の空母・赤城が貴女なら、お汁粉を美味しいと思ったのも貴女」

加賀「赤城さん。自分の存在を狭い範囲で決めつけては駄目」

加賀「貴女は……お汁粉の美味しさを、もっと多くの人に伝える存在にだってなれるはずよ」

赤城「……何ですか、それ。馬鹿にしているんですか?」

加賀「私は冗談が嫌いです」

加賀「自分だけの心で感じ、自分だけの眼で見つけ、自分だけの意思で自分自身の命の定義を創り出す」

加賀「そうして生きていく人が増えれば増えるほど、世界の新たな側面が開かれる。意思の数だけ世界は広く、大きくなっていく」

加賀「きっとそれが、貴女が……私達が命を持って生まれ変わった事の意味」


加賀「貴女の中に、貴女にしか抱けない『美味しい』という気持ちがある限り。貴女の命は世界を拡げ続けていくのよ」

赤城「加賀さんが何を言ってるのか、正直よく分かりません……」

加賀「……」

赤城「ただ……加賀さんなりに励まそうとしてくれたのは、伝わりました」

赤城「海での妄言も、先ほどの嫌味も撤回します。何度も不快な思いをさせてしまって、ごめんなさい」

加賀「いいえ。貴女が少しでも元気になってくれたのなら、私はそれで」


赤城「……それにしても、加賀さんってこういう時とっても詩的ですよね」

加賀「!?」

赤城「いえ、かっこよかったって事ですよ?『貴女の命は世界を拡げ続けていくのよ』きりっ!」

加賀「やめてくださいあれはその場の勢いです。恥辱を感じます」

赤城「うふふふ……まぁ、とにかく美味しい物でも食べに行きましょうか。お汁粉だけでは腹の虫が収まりません」

加賀「流石に気分が高揚します」


加賀(今なら確信が持てる。私達は戦うだけの存在ではない)

加賀(失う悲しみを知っている。分かち合う喜びを知っている)

加賀(そして、この世界にはたくさん美味しい物がある事も知っている……それも、私達。だから……)







――数週間後・執務室――

提督「二人とも、希望解体に応募するという事でいいんだな?」

赤城・加賀「「はい」」

提督「……ありがとう。約束通り、出来る限りの支援はさせてもらうよ」

提督「それで、今後何をするかは決まっているのか?」

赤城「私は牧畜に関わってみます。お肉も牛乳も大好きなので」

提督「うん、実に赤城らしいな。……安心したよ」


赤城「その節は御迷惑をおかけしました。本当に……」

提督「いや、私の言い方も悪かった、許してくれ。……何はともあれ、進みたい道が見えたのなら何よりだ」

提督「それで、加賀は?」

加賀「私は歌を歌います」

提督「……何だって?」

加賀「演歌です」

提督「……んんん?すまないちょっと待ってくれ。理解が追いつかない」


赤城「あら、提督ご存知なかったんですか?加賀さんって歌上手なんですよ」

加賀「自分ではそこまでだとは思っていなかったのだけれど。周りの反応を見る限り才能があるようだから」

加賀「私の歌で、日本を震わせます。人々の気持ちに火を付けてみせます」

提督「ハ……ハハハハ!!!そうか!演歌歌手か!そりゃあ楽しみだ!」

加賀「……」

提督「あー、いや、すまない。流石にそこまで突拍子の無い未来を堂々と宣言する奴はいなかったから、ついなぁ」


提督「あんまり気持ちよく言い切るもんだから、こっちまでスッキリした気分になってしまったよ!」

提督「だがそうだな。加賀の声なら確かにいい歌になるだろう。そもそも突拍子が無いなんて私が決める事でもないな!失敬失敬」

提督「……応援しているよ。頑張ってくれ、二人とも」

赤城「ありがとうございます。でも……提督も頑張らないと、ですよ?」

加賀「職を失うのは貴方もですからね」

提督「分かっているとも。私もこれから、何でもやってみるさ。君達が幸せになるのを見届けるまで、死ぬ気はないからな」

加賀「……そう。なら、いいけれど」







――2年後・商店街――

歌手「あの人だかりは……運転手さん、ちょっと止まってもらえるかしら」

運転手「あいよっ」

肉屋「さぁさぁ今日は七面鳥が安いっ!安いよー!なんで安いのか分かんないくらい安いよー!ずいずいっと買っちゃってー!」

歌手「お肉屋さん?七面鳥、一つ貰えるかしら」

肉屋「はい毎度ありー!おねーさん着物綺麗だね……ってあーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!」

歌手「世の中狭いものね。元気にしていたかしら?」


肉屋「この美声を聞いてもまだ元気ないように見えるの?耄碌したずいねー」

歌手「相変わらずの小生意気さね。いっそ感心します」

肉屋「へへーん!ね、それより見てよこの美味しそうなお肉!どこから仕入れたか知ってる?」

歌手「……まさか」

肉屋「そう、そのまさか!いやー、ほんっとーに世の中狭いよね!」

歌手(あの人も……元気にやっているのね)


肉屋「他にも戦災孤児を集めて育ててる眼帯のおねーさんだとか、海運会社で辣腕振るってる緑髪の少女だとか」

肉屋「商売してたら、色んな嬉しい噂が聴こえてきてさ。……皆、頑張ってるみたいだよ」

歌手「それは……とても、良い事ね」

肉屋「……うん」

運転手「すみませーん!そろそろ次の予定詰まってますんでー!」

歌手「あら……もう行かなくては。その七面鳥、包んでもらえるかしら」

肉屋「はい毎度ありー!重いよ、その細腕で持てるかな?」


歌手「舐めて貰っては困るわ。これでも鍛錬は続けているのだから」

歌手「貴女ももっと励みなさい。少したるんできたのではないかしら?」

肉屋「へいへい、参考にさせていただきますーっと」

歌手「私達のこれからは、私達が作るのだから。ある日これまでの価値観が全て壊れて、新しい時代が始まっても……」

肉屋「相変わらず回りくどいなぁ。結局、お互い頑張っていきましょう!って事でしょ?」

歌手「……ええ、その通り。結局、人から人に言える事なんて、それだけだもの」

歌手(そう、それだけ。……それだけを心に持って、生きてゆこう)

歌手(たとえ艦娘でなくなっても、歌手でなくなっても、私が私である限り、これからもずっと……)

終わりです。ここまで読んでいただき、ありがとうございました

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