魔王「四天王がいつも会議でいがみ合ってて困る」 (31)

― 魔王城 ―

剣魔将「これより四天王会議を行う」

理魔将「こうして四人で顔を突き合わせるのも、ずいぶん久しぶりのことですね」

竜魔将「ケッ、とっとと始めようぜ!」

剣魔将「……幻魔将は、まだ来ていないのか。相変わらずルーズな奴め」

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幻魔将「ヘロー」ヘラヘラ

剣魔将「遅いぞ、どこに行っていた」

幻魔将「ボクは幻を司る将……どこにいるか報告する義務はないさ。幻なんだから」

竜魔将「あぁん!? なに気取ってやがんだよ!」

剣魔将「もういい、これで四人全員揃った。さっそく会議を始めるぞ」

剣魔将――

騎士のような姿をした魔族で、魔界一の剣の達人。四天王のリーダー格。


理魔将――

不気味なローブをまとった魔族。高い知力と魔力を併せ持つ。


竜魔将――

猪突猛進な巨大な竜で、破壊力と耐久力は魔王軍一を誇る。


幻魔将――

幻術での搦め手を得意とする。掴みどころのない性格をしている。

剣魔将「勇者パーティの進撃はとどまるところを知らぬ」

剣魔将「先日も北のノース王国が勇者どもの手によって、解放されたという」

竜魔将「へっ、あんなの小国じゃねえか。オレに任せりゃすぐ取り戻してみせらァ!」

理魔将「やれやれ、あなたは図体も大きければ、叩く口も大きいですね」

竜魔将「ンだとォ!?」

剣魔将「勇者どもをこれ以上のさばらせるわけにはいかない」

剣魔将「我ら四天王の手で、確実に勇者どもを葬り去らねばならん」

竜魔将「よっしゃ、だったらオレにやらせてくれよ」

竜魔将「オレの爪で、勇者どもを一人残さず引き裂いてやる!」

理魔将「おやおや、また大口ですか。逆に引き裂かれる未来が見えるようですよ」

竜魔将「テメェ……!」

理魔将「剣魔将、ここは私にやらせなさい」

理魔将「私の魔法と知略で、勇者たちを地獄に叩き落としてやりますよ」

幻魔将「あーあ、なんか立っちゃってるよ」

理魔将「立つ?」

幻魔将「死亡フラグってやつがさ~」クスクス

幻魔将「どうせ策士、策に溺れる……なんてことになるんじゃな~い?」

理魔将「いってくれますね、幻魔将……!」

幻魔将「ここはボクに任せておくれよ」

幻魔将「ボクの幻で、勇者たちを戦わずして仕留めてみせるさ」

竜魔将「幻ィ? そんなスカスカなもんで、あの勇者どもを倒せるかよ!」

幻魔将「おいおい、今のはちょいとカチンときたよ」

幻魔将「脳みそがスカスカなキミなんて、ボクのいいカモなんだよ?」

竜魔将「上等だ……!」ビキッ

剣魔将「三人とも、やめろ」

剣魔将「ここは確実に勝たねばならん。やはりこの私が出るのがベストだろう」

竜魔将「あん? おめえ、いつまでもリーダー面してんじゃねえぞ!」

剣魔将「なんだと?」

理魔将「今は一応あなたをリーダーとして立てていますが……」

理魔将「私がその気になれば、いつでもあなたなど引きずり落とせるのですよ」

剣魔将「ほう……ずいぶんなめた口を聞くようになったな、未熟者ども」

幻魔将「剣で幻は斬れない……これ常識」

幻魔将「ボクとキミがやり合ったら、100%ボクが勝つだろうね」

剣魔将「愚かな奴らだ……そこまで言われて黙ってはおれんな」

剣魔将「魔界一の剣士の実力、とくと味わい――」



「よさぬかッ!!!」



四天王「!!!!」ビクッ

竜魔将「ま……」

理魔将「魔王様……」



魔王「貴様ら、四人集まるといつもいつもいがみ合いおって!」

魔王「たとえ能力が優れていても、そんなことでは勇者に足をすくわれるぞ!」

魔王「よいか、次の四天王会議でこのような醜態を晒したら、絶対に許さんからな!」



四天王「…………」

一週間後――

剣魔将「皆さん、おはようございます」

剣魔将「定刻になりましたので、これより四天王の定例会議を行います」

竜魔将「はい」

理魔将「はい」

幻魔将「はい」

剣魔将「ノース王国を解放した勇者パーティは着実にこの魔王城に近づいてきています」

剣魔将「皆さん、なにか勇者たちを食い止める有効な策はありますか?」

理魔将「はい」サッ

剣魔将「理魔将、どうぞ」

理魔将「勇者及びその仲間は強敵です」

理魔将「ここは四天王の軍を結集させて勇者に挑むべきではないかと」

剣魔将「おっしゃる通りですね」

竜魔将「でしたら先陣は私の率いる竜の軍勢にお任せ下さい」

竜魔将「竜の攻撃力のタフネスがあれば、勇者たちもひとたまりもないはず」

幻魔将「それに私の幻術師集団を加えれば、勝利はさらに盤石になるかと」

剣魔将「素晴らしい。とてもいいコンビネーションですね」ニッコリ

剣魔将「ならば私も魔剣士兵団を出しましょう」

理魔将「私も魔術師団を派遣しましょう」

理魔将「このホワイトボードの図のように……」キュッキュッ

理魔将「剣と竜の軍団を、幻術と魔法がサポートする」キュキュッ

理魔将「この万全の布陣には、勇者パーティといえどなすすべがないに違いありません」

剣魔将「ええ、そのとおりです。必ずや勝てます」

竜魔将「絶対に勇者を倒しましょう」

理魔将「ええ」

幻魔将「我々が力を合わせれば、絶対勝てますよ」

剣魔将「では、四天王会議を終わります。各自、準備に――」





魔王「待ていッ!!!」

剣魔将「なんでしょう、魔王様?」

魔王「やっぱり……元に戻そう……」

理魔将「へ?」

魔王「今分かった。四天王の会議なんて多少いがみ合ってるぐらいでなきゃいかんわ」

魔王「なんか……どっかの会社の会議を見てるみたいで全然ムードが出ない……」

剣魔将「あの……そもそもの話、我々は元々仲良し四人組だったんですけど……」

魔王「え、そうだっけ?」

理魔将「だけどそれじゃ魔族っぽくないからいがみ合えって言われて、いがみ合って……」

竜魔将「いがみ合ったら、やっぱり足をすくわれるから仲良くしろ」

幻魔将「仲良くしたら、ムードが出ないから元に戻せ、ですか」

剣魔将「我々は一体どうすべきなんですか!」



四天王「ハッキリして下さい、魔王様!!!!」



魔王「ご、ごめんなさーいっ!」








― 終 ―

四天王なのに4人しかいない…

>>26
5人だったら四天王じゃないしな

>>27
龍造寺四天王「」
最上四天王「」

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