電「この人痴漢なのです!」 北上「え」 (75)

~ステーション~


北上「ふあああっ……寝過ごしちゃったねぇ」タッタッタッ

北上「こりゃ遅刻かな……」タッタッタッ

北上「お、ラッキ~、電車来てるじゃん」タッタッタッ


プシュー

「扉が閉まりまーす」


北上「よっと」ピョン

北上「よし、ギリギリセーフ!」


「電車が出発しまーす」


北上「ふー、やれやれだねぇ」

北上「……」

北上「……」

北上「あれ」

北上「何か違和感が……みんな、私を見てる?」


ジロジロジロ


北上「……あ」

北上「しまった、これ駆逐艦専用車両じゃん……」



SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1464347070

北上(うっわぁ、やっばい……)

北上(そうだ、隣の車両まで行けば……)

北上(……駄目だ、満員で動けないや)

北上(ま、別に犯罪おかしてるわけじゃないし、次の駅で乗り換えよっと……)


ジロジロジロ


北上(うう、けど何か視線が気になる……)

北上(みんな、どうして私がここにいるのか不思議がってるんだろうなあ)

北上(はぁ、早く次の駅に着かないかなあ……)

電「……」

北上(そだ、ラインで大井っちとお話して暇潰そ)ゴソゴソ

北上(えーと、スマホスマホ……)


ガタンッ


電「ひゃっ!」ヨロッ

北上「おっと」ガシ

電「……!」

北上「あっぶな、倒れるところだったじゃん、ちゃんと立ってないと駄目だよ~?」

電「……ち」

北上「ん?」

電「痴漢なのです……」

北上「は?」

電「この人痴漢なのです!」

北上「え?」

雷「電!どうしたのよ!?痴漢されたの!?」

北上「い、いや、私は何も……」

電「さわられたのです!肩をさわられたのです!」

暁「レディーの肩をさわるなんて、完全に痴漢だわ!」

北上「いや、違うって、その子が倒れかけてたから支えただけで……」

雷「押し倒しかけた!?確信犯ね!?」


ザワザワザワ


北上(うわあ、超騒ぎになってる……やばい……)

北上「ちょっと皆落ち着こう?そもそも、私が駆逐艦を痴漢する理由がないじゃん」

北上「痴漢って、要するにえっちな気分になりたくてする事でしょ?」

北上「けど、私は駆逐艦を見もさわっても全然えっちな気分にならないんだよ」

北上「つまり私は痴漢じゃないってこと」

北上「判る?」

暁「なんか難しい事言って煙に巻こうとしてるわ……」

雷「ど、どうしよう、何て反論したらいいの?」

電「う、うう、さわられたのです……確かなのです……」

北上「反論ない?じゃ、私は無罪ってことで」

響「……ちょっと待ってよ」

雷「響!響だわ!」

暁「駆逐艦の中でも国語の成績がいい響だわ!」

電「ひ、響ちゃん……」

雷「響なら、響ならこの難しい展開にもきちんと反論してくれるはずだわ!」

暁「響!頑張って!レディーの意地を見せるのよ!」

響「……」コクッ

北上「な、なにさ」

響「北上さんは今、こう言ったよね」

響「駆逐艦を見てもさわってもえっちな気持にはならないって……」

北上「言ったけど?」

響「じゃあ、逆に言うと……駆逐艦に触られても、えっちな気分にならないってことだよね」

北上「そ、それは……」

響「なるのかい?ならないのかい?」

北上「そ、そりゃならないよ、当たり前じゃん」

響「もし、本当にそれが事実なら、北上さんは痴漢じゃないってことになるね」

北上「そだよ、わかってんじゃん」

雷「ひ、響!なんで相手に有利になるような事言うのよ!?」

暁「そうよ!それに、北上さんは嘘を言ってるだけかもしれないじゃない!」

北上「嘘じゃないってば」

響「そう、北上さんの発言が嘘かどうかが、一番重要なのさ」

響「なら、試してみればいい」

雷「試す?」

北上「試すって……何をさ」

響「……北上さんが駆逐艦に触られて本当に気持ち良くならないかどうかを、だよ」

北上「……!」

雷「……!」

暁「……!」

電「……!」

雷「そうよ、それは良い考えだわ、さすが響ね!」

暁「昔のレディーも言っていたわ、やられたらやり返せって」

電「……さわられたのです、さわられたのです……だから」

響「他の駆逐艦の子達も異論はないかな?」


「「「「ないでーす」」」」


北上「ま、待ってよ、落ち着こう?落ち着いて話し合えば……」


サワサワ


北上「ひゃっ!?い、今お尻さわったの誰さ!?」


サワサワ


北上「や、やめ……」


サワサワサワサワ


北上(あ、これ、おかされる流れのやつだ)

 

「ちょっと待ちなよ!」


雷「だ、誰!?」

暁「何処にいるの!?姿を現しなさい!」

電「さわられたのです、さわられたのです、だから、さわりかえすのです」サワサワ

北上「ちょ、や、やめ……」


「とぅっ!」


響「だ、誰かか駆逐艦達の中から飛び出してきた……あ、あれはまさか」

「速き事、島風の如し……」

「そう、私の名は……」



島風「島風だよ!」ズサァ

雷「し、島風よ、島風だわ、体育の成績には定評のある島風だわ!」

響「島風、何故止めるんだい?私達は北上さんの言葉が正しいのか確認しようとしてるだけだよ?」

電「ここもさわるのです、ここも、ここも……」サワサワ

北上「や、だ、だめだってば、ほ、ほんとに……」モジモジ

島風「北上さんは、無実です!」

暁「何ですって?何か証拠でもあるのかしら?」

島風「証拠って要するに、北上さんが駆逐艦に興味がないって事を証明すればいいんだよね?」

響「ああ、そうなるね」

島風「なら話は速いよ!だって、私と北上さんは……」

島風「恋人同士なのです!」

雷「え……」

響「……え」

電「はぁ、はぁ、北上さん、苦しそうなのです、もっと仕返しするのです……」サワサワ

北上「や、やだよ、こ、こんな、満員電車で駆逐艦に触られて、あ、あたし……」モジモジ

暁「こ、恋人同士ですって!?」

島風「です!」

雷「そんな……駆逐艦なのにもう恋人がいるだなんて……」

暁「さ、流石、体育の成績がいいだけあるわね」

響「待つんだ島風、もしその話が本当だとして……どうしてそれがさっきの話に繋がるんだい?」

響「北上さんがもし島風と恋人同士であるなら……それは寧ろ、北上さんが駆逐艦に興味がある証拠になると思うんだが」

島風「それがならないの!」

響「どういう事だい?」

電「北上さん、ぷるぷる震えているのです……もう、我慢出来ないのですか、けど駄目なのです、まだまだ悦楽の時間は終わらないのです……」

北上「んんんっ、んんんっ///」ビクビク

島風「北上さんは私と恋人同士なんだよ?もし北上さんがえっちな気持になったら……その気持ちは島風にぶつければいい話なの」

島風「こんな所でわざわざ痴漢なんてする必要無いよね?」

雷「あ……」

暁「そ、そうね、それは納得のいく答えだわ」

響「確かに……これは一本取られたね」

島風「おぅ!」

雷「ごめんね、北上さん、私達、ちょっと早とちりしちゃったみたい」ペタペタ

暁「そうね、もっと北上さんの話をよく聞くべきだったわ」ペタペタ

響「けど北上さんも悪いんだよ、こんな良い恋人がいるなら先に言ってくれればよかったのに」ペタペタ

北上「ひゃっ、い、いまさわんないで、だ、だめだからっ」ビクッ



「「「ごめんなさい北上さん」」」


ペタペタペタペタ


北上「だ、だめ、だめだってばぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」ビクビクビク

~ステーション鎮守府~


北上「はぁ……はぁ……はぁ……」ガクッ

島風「北上さん、だいじょーぶ?」

北上「な、なんとかね……」

島風「おぅ!」

北上「え、えっと、島風だっけ?さっきはありがとね」

北上「初対面の私の恋人のフリなんてしてくれてさ」

北上「助かったよ、あのままだと私、きっとやばかった」

島風「そんなのいいってば、困った時はお互いさまってね?」

島風「じゃ、私はもう行くね!」

北上「あ、うん、ほんと助かっ……」

島風「おぅ!」ピュー

北上「うわあ……ほんとに速いなあ、あの子」

北上「って、私も急がなきゃ遅刻しちゃうかな」

北上「ま、遅刻したら遅刻したで別にいいんだけどね~」

~駆逐艦クラス~


白雪「はい、授業始めますよ、席についてください」


「「「はーい!」」」


雷「そう言えば、そろそろ新しい先生が来るらしいわよ」

電「そうなのですか?」

響「今は白雪がやっててくれてるけど、色々限界があるよね」

暁「どんな先生なのかしら?素敵なレディーならいいんだけど」

ガラガラガラッ


北上「ごっめーん、ちょっと遅れちゃったね~」

電「……!」

雷「……!」

暁「……!」

響「……!」

白雪「北上さん、遅いです、てっきりもう今日は来ないのかと思っていました」

北上「いやあ、はっはっは、ちょっと立て込んでてさぁ」

白雪「まあ、授業は始まったばかりですから良いのですが……」

白雪「みなさん、この方が今日からこのクラスの担任を務める北上さんです」

北上「重雷装艦の北上だよ~、宜しくね~」

雷「あ、あの人は今朝の……!」

響「ああ、島風の恋人さんだね」

暁「つまり大人の女性って事よね……なら先生の資格十分じゃないかしら」

電「……」

雷「電?どうかしたの?」

島風「ぐぅ……」zzz

北上「はい、そこうるさいよ~」

北上「って、なんか今朝見た顔の駆逐艦多いなぁ」

北上「けど、私は顔見知りだからって甘い顔は見せないから、そのつもりで~」


「「「「はーーーーい」」」」


北上「よろしい」

北上「えーと、それじゃ白雪、一時限目はなんだっけ?」

白雪「体育です」

北上「え?けど皆教室にいるじゃん」

白雪「はい、ですから保健体育です」

北上「あー、なるほどねぇ」

白雪「それでは北上さん、あとの授業はお願いしますね」

北上「ほーい」

北上「えーと、じゃあ教科書開いて~」


ザワザワザワ


北上「艦娘の身体は外見的に普通の女性と同じだけど内蔵機器は随分と違うんだよね」

  「何が違うかっていうとまず消化器系、免疫系、生殖系が全部違う」

  「特に生殖系に関しては機能はあるんだけど子供は作れないようになってる」

  「でないと艦が無秩序に増える事になってしまうからね、次に免疫系は……」

雷「せんせー!」

北上「はい、そこのちっさい子」

雷「判らないわ」

北上「え?何処が?」

雷「全部」

北上「えー、マジで、こんなの教科書読めばわかる内容じゃん」

雷「北上さんの説明、大雑把過ぎるんだもの」

北上「うーん、他に判んない子っている?」

響「判らないね」

暁「判らないわね」

電「わからないのです」

島風「ぐぅ……」zzz

白雪「判りません」

北上「全員判んないの?まいったなあ……」

北上「えーと、教科書には図も載ってるんだけど、これ見ても判んない?」


「「「「判りません」」」」


北上「図見ても判んないとなるとちょっと打つ手ないねぇ」

雷「そんな……それじゃ、授業が進まないわよ」

白雪「困りましたね……」

暁「もう、大人のレディなんだから、何か良い知恵はないの?」

響「……ちょっと待ってよ」

雷「響!響だわ!今朝の電車でも卓越した理論で場を掌握した響だわ!」

白雪「響さん、何か妙案でもあるのですか?」

響「……」コクッ

北上「けど、これもう絶対無理だと思うよ、私、やっぱ教師向いてないわ」

響「いや、北上さんには十分教師の素養があると思うよ」

北上「そうかなぁ?」

響「うん、だって北上さんは私達と違って大人の女性……暁の言葉を借りるなら、レディだからね」

響「北上さんの存在自体が、私達の良いお手本になると思う」

北上「ふふふ、そこまで言われると照れるけどねぇ」

響「だから、今回の件だって北上さんの身体を使えば簡単に解決するはずさ」

北上「ん?身体を……使う?」

白雪「ああ、そうですね、北上さんは大人ですし」

雷「そっか、北上さんに直接見せてもらえばいいんだ」

電「流石響なのです!」

北上「え、直接見せてもらえばって……ごめん、ちょっと意味が判んない」

白雪「えーと、言葉で説明するのは少し難しいですね……そうだ、北上さん、少し教台の上に寝転がってもらえますか?」

北上「え?こ、こうかな?」


ゴロン


白雪「はい、ありがとうございます」

北上「んで、これでどうすんのさ」

白雪「雷さん、響さん、暁さん、お願いします」

雷「任せてよ!」

響「了解、左足でいいよね」

暁「じゃ、私は右足に行くわね」

北上「え?なになに?怖いんだけど」

ガシッ    ガシッ




ガシッ    ガシッ


北上「ちょ、何で手足をつかむのさ、起き上がれないじゃん」

白雪「けど、暴れられるとちゃんと勉強ができませんから」

北上「べ、勉強?」

白雪「はい、私達は駆逐艦で、まだまだ色んなことを勉強しなくてはならないんです」

北上「み、耳元で喋んないでよ、くすぐったいじゃん」

白雪「けど、教科書だけでは理解が及ばない事が沢山あるのです」

北上「く、くすぐったいってば」

白雪「ですから……北上さんには、教材になってもらいます……」

北上「きょう……ざい……?」

白雪「はい、大人の艦娘の身体が、どうなっているのか……それを勉強する為の、教材です」

北上「え、ちょ、ちょっとタンマ」

電「……」ゴソゴソ

北上「ちょ、何でこの子私のパンツ降ろそうとしてんの、待ってってば!」

暁「もう!暴れないで!それでも大人のレディーなの!?」

雷「ごめんなさいね、北上さん、けどこれって必要な事だと思うの」

北上「必要無いってばこんな事!」

電「……北上さん、大丈夫なのです」ゴソゴソ

北上「だ、大丈夫って、助けてくれんの?」

電「目を閉じてじっとしてれば、すぐに終わるのですよ……」ゴソゴソ

北上「全然大丈夫じゃないじゃん!」

電「……北上さん、緊張しているのですか?」

電「でじゃあ、今の状況を恋人である島風に脱がされてるんだと解釈すればいいと思うのです」

響「そうすれば……きっと気が楽になるのです……」

北上(だ、駄目だ、このままじゃ脱がされちゃう……」

北上(し、島風……そ、そうだ、確かあの子もこの教室に……)

北上(お願い!あの時みたいに助けて!)

島風「ぐぅ……」zzz

北上(あ、だめだこれ、完全におかされる流れのやつだ)

 


「んぁー、ちょっと待ちなって~」



白雪「誰ですか授業の邪魔をするのは」

暁「そうよ、これを見逃すと立派なレディーにはなれないのよ?」

電「北上さん、どうしても足の力を緩めないなら、電にも考えがあるのです……」サワッ

北上「ひゃっ」



「とあー」ズサー


響「駆逐艦の中から転がり出てきた……き、君はまさか!」



 

「正直、面倒くさいんだけどねぇ」

「けど、こんなに騒がしいと寝てらんないんだわ」



望月「望月でぇーす」

雷「も、望月!授業を休んで保健室で仮眠を取る能力に秀でている望月じゃない!?」

響「目覚めていたのか、望月」

望月「仮病がばれて追い出されたんだけどさぁ、まだ眠いんよ」

電「ふふふ、お臍を責められたくらいでそんな声を上げるなんて、北上さんはかわいいのです」

北上「くっ、ふ、お腹に力が入らない……こ、このままじゃ、足が、足が……」

暁「なら教室の隅で寝てればいいじゃない、どうして授業を妨害するのかしら?」

望月「んー、その授業ってのが、そもそも間違いなんだよねぇ」

暁「どういう意味?」

望月「暁はさ、さっき北上さんの事を大人のレディーって言ってたよねぇ?」

暁「ええ、言ったわ」

望月「確かに、私らと違う大人の女性の身体なら、色々と参考になると思うんだけどさぁ」

白雪「何が言いたいのですか、望月さん」

望月「その前提条件自体、もう間違ってんだよね」

響「……望月、まさか」

電「ほら、北上さん、少しずつ足が開いてきちゃってるのです、どうしたのですか、このままだとパンツ脱がされちゃうのですよ」

北上「そ、そんな事言ったって……くっ、だ、だめ、お腹触んないで……ち、力が入らなくて、ぬ、脱がされちゃう……」

望月「……そう、北上さんは」

望月「まだ、生えてないんだよね」

白雪「……!?」

雷「……!?」

暁「……!?」

響「……そうか、北上さんは……まだ大人の身体じゃないんだね……」

電「北上さん、どんな気持ちですか……駆逐艦に押さえつけられて、脱がされるのは、どんな気持ちなのですか……」

北上「お、お願い、そ、それだけは許して、それだけはっ///」

望月「そゆ事だよ、だからこの騒ぎは無意味な行為なんだ」

望月「お願いだから、しずかに寝させておくれ~」

白雪「そ、そうですね……北上さんの身体が大人の生理条件を満たしていないのであれば、教材として使用する意味はありません」

響「確かに、これは一本取られたね」

望月「だしょー?」

雷「見て、確かに北上さんは生えてないわ」

白雪「それならそうと言ってくださればよかったのに」

暁「きっと恥ずかしかったのよ……けど、親近感はわくわね」

響「うん、良く見ると身体のラインも私達の物に近いからね」

電「やりとげたのです」フー

北上「う、うう……み、見ないでよぉ……」



キーンコーンカーンコーン


 

~食堂~


望月「いやあ、北上さん大変だったねぇ」

北上「大変どころの話じゃないんだけどさ、結局パンツ返してくれなかったし」

望月「んぁー、まあ涼しくていいんじゃね」

北上「はー、何か教師って面倒くさいねえ、こんな事までやんなきゃなんないの?」

望月「気楽にやりゃいいんだよ、気楽に~」

北上「そだけどさー……ん」ブルッ

望月「どったのさ」

北上「ごめん、ちょっとトイレ」

望月「あー、じゃあ席とって待ってるよ~」

北上「あんがとね~」

~トイレ~


北上「うー、トイレトイレ、と……」コンコンッ


コンコンコ


北上「入ってるのか……えと、次は」コンコン


コンコンコ


北上「こ、ここも?えーい次は」コンコン


コンコン


北上「ううう、次で最後じゃん、まさか全部ふさがってるってオチはないよね?」コンコン


シーーーン


北上「あ、良かった誰も入ってないや」ガチャ

電「……え」

北上「……あ」

電「……」

北上「ありゃりゃ、電が入ってたんだ」

電「……」

北上「ごめんね、ノックしたんだけど返事なかったし、てっきり……」

電「……ち」

北上「え?」

電「痴漢なのです!この人、やっぱり痴漢なのです!」

北上「え、ちょ」

雷「痴漢!?痴漢ですって!?」バーン

暁「駆逐艦専用トイレに痴漢ですって!?」バーン

響「それは聞き捨てならないね」バーン

電「見られたのです!電がおしっこしてる所を正面から見られたのです!」

雷「正面から!?完全にアウトじゃない!」

北上「い、いやだからノックしても返事がなかったからさ」

北上「と言うか、別に私は電がおしっこしてる所を見ても何も思わないからね?」

北上「痴漢でもなんでもないから」

響「……確かにそれが事実なら北上さんは痴漢じゃないね」

北上「あ、なんか既視感」

響「北上さんが言ってる事が本当かどうか、試す方法か一つある……それは……」



提督「おーい、北上さん、会議にも出ずに何やってるの」ガチャ

雷「……!」

電「……!」

響「……!」

暁「……!」

北上「ありゃ、提督、今入っちゃだめだよ」

提督「え?どうして?」

北上「どうしてって……」

提督「ん?あれ?何でトイレに撮影カメラが?」

電「はわわわわわ!カット!カットなのです!」

提督「え、どしたの?」

電「司令官さん、駄目なのです、せっかく台詞をちゃんと言えたのに!駄目なのです!」ポカポカ

提督「ちょ、私なんて叩かれてるの?北上さん?」

北上「あー、今ちょっと駆逐艦と映画取ってんの」

提督「映画?」

電「また次も台詞ちゃんと言えるか判らないのに!駄目なのです!」ポカポカ

北上「こないだ駆逐艦達とゲームして負けちゃったんだよね」

北上「で、その題しようとして映画作りの手伝いしてんの」

提督「そ、そうだったんだ……ごめんね?電」ナデナデ

電「ううう、仕方なのいです……」

提督「で、どんな映画なの?」

北上「んー、何か痴漢冤罪の話らしいけど、私も詳しくは知らないや」

提督「おー、中々社会的なテーマを扱ってるんだね」

提督「台本とかあるの?」

電「はいなのです」スッ

提督「へー、なかなか本格的ね、どれどれ」

提督「駆逐艦専用トイレに間違ってはいってしまった北上さんは痴漢と間違えられてしまう」

提督「何とか無罪を主張するが、駆逐艦達には信じてもらえない」

提督「追い詰められた北上さんは駆逐艦からある条件を突きつけられる」

提督「それは駆逐艦達から……」

提督「……」

提督「え?」

電「どうかしたのですか?」

提督「えっと、この台本、というかシナリオ考えたのは誰なのかな」

電「電なのです」

提督「え」

電「はわわ、何か誤字とかあったでしょうか……」オロオロ

提督「い、いや……あの、これ」

電「はい」

提督「北上さんが駆逐艦達からおしっこかけられるって書いてあるんだけど」

電「社会派なのです!」

北上「え、マジで?私そこまで読んでなかったわ」

電「大丈夫なのです、北上さんならできるのです」

北上「い、いやけど流石に本物は使わないよね?」

電「大丈夫なのです!」

北上「ははは、だよねえ」

電「駆逐艦の体内の免疫系で浄化され排水された水は真水とほぼ同じなので大丈夫なのです!」

北上「え?結局本物使うの?え?」

電「大丈夫なのです!」ニコ

提督「ねえねえ雷」

雷「どうしたの?提督」

提督「電って、何か雰囲気変わってる気がするんだけど」

雷「ああ、それはきっと研修受けたせいだと思うわ」

提督「研修って……ああ、この鎮守府に配属される前に受けたって言う、あれ?」

雷「ええ」

響「ああ、あの研修はきつかったね」

暁「そうね、教官が厳しかったわ」

雷「けどその研修もちゃんと乗り切ったからこそ、私達は一人前の駆逐艦になれたのよね」

提督「え、その研修と電と何か関係があるの?」

雷「あー、電ってちょっと影響受けやすい所あるのよ」

雷「スポンジみたいに色んな物を吸収しちゃうの」

提督「それは知ってるけど」

雷「それでね、その時の研修で」

「今話したように、雷撃時は魚雷の速度と相手との距離、双方の移動速度を計算して撃つ事」

「場合によっては1発目は観測射撃扱いにして2発目を本命にするといいかもしれないわ」

「はい、今日の授業はここまで」

「じゃ、残った30分は何時もの通り、私が理想とする艦娘の話をするわね?」

「その人は本当に素敵な人なの、勿論艦娘としても完璧だけど、その本質は優しさと可愛さと美しさにあるの」

「普段は飄々としてるんだけど、割と気持ちよい事に流されやすい人なの」

「そこがまた可愛いんだけど……はい、電、起立!」

電「はいなのです!」

「その人の名前を言ってみて?」

電「北上さんなのです!」

「北上さんは?」

電「かわいいのです!」

「はい、良くできました!花丸です!」

電「やったあ!嬉しいのです!」

「ああ、北上さんにまた会いたいなあ」

「北上さんが研修に来ないかなあ」

「一緒に電車で登校して授業受けて食事して……」

「そうやって一緒にいるうちに北上さんは我慢できなくなって私に手を……」

「き、北上さん、駄目よ、電車の中でなんて……」

「け、けど、北上さんがいいって言うなら……」

「いや、待てよ、別のパターンでもいいかもしれないわ」

「そう、痴漢をしてしまった北上さんを私は拒絶するの」

「後悔の念に襲われる北上さん……そこで私が手を伸ばす」

「絶望が希望へ転化され、それはやがて愛の炎に……きゃー!」


電「……やがて愛の炎に」カキカキカキ

提督「な、なるほど、そんな教官がいたんだ」

雷「研修終わってから今日までは別に何の影響もなかったのよ?」

雷「けど、1ヶ月ほど前に北上さんが建造されたじゃない?」

提督「あー……」

響「電はそれ以来、北上さんにべったりなのさ」

提督「な、なるほど」



白雪「駄目ですよ電さん、北上さんが困ってます、やはりお茶か何かで代用すべきです」

北上「おー、いいねえ、白雪は判ってるよね」

白雪「そ、それほどでもありません///」

島風「私の出番はまだー?さっきからずっと寝てる演技なんだけど」

島風「状況から見て、私がヒロインだよね?北上さんが主人公で」



提督「……えーと、雷?」

雷「どうしたの提督?私達も早く北上さんの所に戻りたいんだけど」

提督「その教官が研修した駆逐艦って、どれくらいいるの?」

雷「えーと……」



響「多分、100人以上いるんじゃないかな」

「はー、今日も北上さんの素晴らしさを駆逐艦達に伝えられたわ」

「やっぱり宇宙の真理を広めるのって、楽しいわね」

「けど……はぁ」

「その楽しさも、北上さんに会えないのは辛さを癒してはくれないわ……」

「北上さん、今何をやってるかな……」

「きっと、私の事を思ってくれてますよね」

「北上さん……」

こうして大井っちの教えを受けた駆逐艦達は


北上さんと仲良く楽しく


末永く暮らしましたとさ


めでたし、めでたし

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