仁奈「おつかいでごぜーますね!」(25)

-事務所-

仁奈「プロデューサー!出来たでごぜーますよ!」

P「お、早いな仁奈ちゃん。どれどれ…」

仁奈「…」ドキドキ

P「…全問正解だ!今日の宿題もバッチリだったな」

仁奈「わー!ぜんもんせいかいだぁ~!数字の野郎も克服でごぜーます!」フンス!

P「えらいえらい。そんなえらい仁奈ちゃんにはお小遣いをあげよう」ヒョイ

仁奈「100円!これで仁奈も成金の気持ちになれるでごぜーますね」

P「難しい言葉を知ってるな仁奈ちゃん…しかも微妙に間違ってる気がするぞ」

仁奈「『ゴチャゴチャ言ってるとシメちゃうわよ~!』」ケラケラ

P「突然早苗さんの気持ちになって俺もビックリだ~!」

\ワハハハハ…/

ガチャ

ちひろ「ただいま戻りました~…あら、仁奈ちゃん来てたのね。」

仁奈「ちひろおねーさん!こんにちは!」ペコリ

ちひろ「こんにちは~ちゃんと挨拶できましたね!えらいえらい」

P「今日は褒められてばっかりだな仁奈ちゃん。いいことあるかも知れないぞ?」

仁奈「ホントでごぜーますか?!よ~し、今日は『良い子』の気持ちになってみんなに褒められまくりやがるでごぜーます!」

P「おう、良い子になるのは素晴らしいことだ!アイドルの仕事も頑張ってくれよ?」ピピピピ…

P「…っと電話か。もしもし、○○プロダクション、Pです」

友紀『あ、もしも~し!プロデューサー!』

P「友紀か。どうした?…ん、公衆電話かコレ?」

友紀『うん、スタジオの公衆電話。あたし朝出るときに事務所に携帯忘れてたんだよねぇ~テレビの前の机にない?』

P「テレビの前…コレか。あったぞ、出る前の持ち物点検ぐらいちゃんとだな…」

友紀『あ~!小言は帰ってきてから聞くから!今日どうしても出ないといけない電話掛かってくるの忘れてて!届けてくれないかな?…ってか着信来てない?青のランプついてる?』

P「いいや?静かなもんだぞ。ランプも点いてないな」

友紀『よかった~ゴメンだけど現場まで持ってきてよ!すぐそこのスタジオだから!』

P「すぐそこなら自分で取りに来なさい。俺はお前のお父さんじゃないぞ。」

友紀『そういうお説教のほうがよっぽどお父さんっぽいよ!5つぐらいしか違わないくせに!あたしこの後すぐ撮影入るんだよ!』ヒメカワサーン!『はいはい!直ぐ行きますから!…頼みます!プロデューサー様!』

P「ったく…はいはい持ってくるよ。え~と今日の友紀の予定…○×スタジオだろ?」

友紀『そうそう!じゃあよろしくね!…はーい!姫川入りまーす!!』ガチャッ!ツーツーツー…

P「…はぁ。しょうがない奴め」

仁奈「友紀おねーさんでごぜーますか?」

P「そうだよ。仁奈ちゃんはああいう『だらしない女』になったらいけないよ」

仁奈「だらしないとダメですか」

P「あぁ。節度を守ってビールを飲めって言うのにグビグビ飲…んでないな最近」

仁奈「?」

P「ネギを振り回してジャガイモ打ってみたり料理の腕も…最近響子と菜々さ…菜々に教わって上がってきてるなアイツ」

ちひろ(誰のせいだと思ってるんだろうこの人…)

P「ま、まぁとにかくだな!家を出るときや事務所を出るときに忘れ物をしちゃうような人はだらしないんだ!忘れ物をしたら自分が困っちゃうだろう?」

仁奈「そーでごぜーますね。忘れ物をしたら仁奈も困っちまいますね!」

P「そして届ける人も余計なお仕事をするハメになってしまうんだ」

仁奈「なるほど~!大事なことを忘れやがるのは『だらしない』って証拠でごぜーますね!」

P「そうだ。仁奈ちゃんまた一つ賢くなったな!」

ちひろ「プロデューサーさん…」

P「はい、なんでしょう?」

ちひろ「今日はこの後会議があるって…」

P「あっ、忘れてた」

ちひろ「…」

P「…」

仁奈「プロデューサーもなかなか『だらしない』ことしやがりますね!」

P「」

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仁奈「おつかいでごぜーますね!」

P「仁奈ちゃん本当に大丈夫か?」

仁奈「バッチリでごぜーますよ!仁奈にまかせとけ~♪」

ちひろ「ごめんなさいプロデューサー。私も電話番で事務所から動けないので…」

P「いえいえ安請け合いした俺にも責任があるんですが…マジで大丈夫?仁奈ちゃん」

仁奈「しつけーってんですよ!仁奈にまかせとけば大丈夫でごぜーます!」

P「そこまで言うなら…いいか仁奈ちゃん、友紀がいるのはここから歩いて30分の○×スタジオだ。仁奈ちゃんも行っただろ?」

仁奈「きぐるみいっぱい着て写真撮ったですね!」

P「そうそうあそこだ。ウチの行きつけでよく行ってるから道も覚えているはずだが…」

仁奈「分かるですよ!事務所を出やがりまして四つ目の交差点を左でごぜーます!」

P「完璧だぜ仁奈ちゃん。じゃあこのうさぎさんのポシェットをあげよう」

仁奈「わ~うさぎさんだ~!菜々おねーさんみてーですね!」

P「…そ、そうだな。このポシェットの中に友紀の携帯とお小遣いを入れておくから、帰りにお菓子を買ってもいいぞ」

仁奈「…!お菓子!いいですか?!」

P「おう!さっきの100円と新しく400円入れといたからな。これで500円あるぞ。さて仁奈ちゃん500円で346円の買い物をしたらお釣りはいくらだ?」

仁奈「…154円ですね!」ドヤァ…

P「数字の野郎を克服しただけはあるな仁奈ちゃん。じゃあそろそろ出発だ、車に気を付けるんだぞ!」

ちひろ「いってらっしゃい。困ったら戻って来てもいいからね!」

仁奈「大船に乗った気持ちでいやがれ~♪」

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-30分後、○×スタジオ-

スタッフ「はーい!10分休憩で~す」

友紀「お疲れさまで~す!」

友紀(そろそろプロデューサー来たかな?)キョロキョロ

友紀(ツイてないな~こういう日に携帯忘れるなんて)

友紀(まぁ持ってきてもらったお詫びにこのあとご飯でも奢って…)

仁奈「~♪」キョロキョロ

友紀「…」

友紀「?!」

仁奈「あ、友紀おねーさん発見だぁ!」

友紀「に、仁奈ちゃん?どうしてここにいるの?!」

仁奈「おつかいでごぜーますよ!」

友紀「プロデューサーは?一緒じゃないの?」

仁奈「一人できやがりました!」ゴソゴソ

仁奈「はい!携帯電話でごぜーます」ヒョイ

友紀「あ、ありがと…あ、そのポシェット可愛いね」

仁奈「プロデューサーから貰いやがりました!モコモコうさぎさんでごぜーます」

友紀「へぇ~よかったじゃん!あ、この後どうするの?帰る?」

仁奈「お菓子が仁奈を待っていやがります!事務所に帰ろ~♪」

友紀「…?そっか。終わるまで待ってくれれば一緒に帰るけど?」

仁奈「それにはおよばねーです!一人で帰るぐらいできやがります!」

友紀「そ、そう?じゃあ気を付けて帰ってね?携帯ありがと~」ナデナデ

仁奈「帰りもちゃんと帰ってまた褒められやがります!バイバ~イ!」

仁奈「その前にお菓子!買って帰ろ~!」タタタタタ…

友紀「バイバ~イ…」

友紀「…」

友紀(大丈夫かな…?)

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仁奈「ガリガリさんはうめーですねー」ペロペロ

仁奈「うめぇ棒とチューチューゼリーも買って万全でごぜーます♪」ペロペロ

仁奈「残りは貯金して『ろうご』にそなえやがります」ペロペロ

\ワンッ/

仁奈「…?」キョロキョロ

\ワンワンッ/

仁奈「あ…子犬さんでごぜーます。可愛いなぁ」ナデナデ

\クゥーン…/

仁奈「元気ねーですね…ちゃんとご飯食ってやがりますか?」

\ワンッ…/

仁奈「おっ、おっ!そんなフラフラしてたらあぶねーですよ!やっぱりおなか減ってやがるんですね…」チラッ

仁奈「…」ガサガサ

仁奈「ほら、うめぇ棒でごぜーますよ」ポイッ

\ワンッ!/

仁奈「そんなに急がなくても取らねーですよ」ニコニコ

\ワンワンッ/

仁奈「…子犬さんもひとりぼっちでごぜーますか?」

仁奈「…仁奈も『事務所』に来るまでひとりぼっちだったでごぜーます…」

\ワフ?/

仁奈「…」ニコッ

仁奈「でも、今はプロデューサーもちひろおねーさんも友紀おねーさんも!ほかにもいーっぱい周りにいやがります!」

仁奈「だから仁奈、寂しくねーし、ひとりぼっちでもねーです!」

\ワンワンッ/

仁奈「子犬さんも仁奈がいるからひとりぼっちじゃありませんね!」ナデナデ

-数時間後-

カァー、カァー

仁奈「わぁ!もう日が暮れてきやがりました!大変でごぜーます!」ナデナデ

\クゥーン…/

仁奈「子犬さん…ひとりぼっちになっちゃう…でも仁奈も帰りやがらないと…」オロオロ

仁奈「…子犬さんも事務所に来やがりますかね?」

\バウッバウッ!/

仁奈「?!」ビクッ

\ワンワンッ!/タタタタタ…

仁奈「あっ…子犬さん…」

\クゥーン…/

\バウッ!/

仁奈「!」

仁奈「もしかして…おかーさん、でごぜーますか?」

\バウッ!/

仁奈「…!」ニコニコ

\バウッ!/タタタタ…

\ワンッ!/タタタタ…

仁奈「バイバ~イ!達者で暮らしやがるんですよ~!」ノシ

\ワォ~ン!/

仁奈「…」ニコニコ

仁奈「さぁて、仁奈も帰るとしやがりましょう!」スック

…オーイ!

仁奈「あっ…プロデューサー!」

P「おーい!仁奈!何してたんだ、こんな時間まで!心配したんだぞ!」

仁奈「ごめんなさい…子犬さんと遊んでやがりました…」

P「子犬?」キョロキョロ

P(うめぇ棒の袋…)ヒョイ


P「ハァ…」ガシガシ

仁奈「うわっぷ!なんでごぜーますか?!なでねーでくだせー!」ワッシワッシ

P「帰ろう。みんな心配してるからな…」

仁奈「おー!事務所にむかって出発だぁ♪」

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友紀「ハァ…ハァ…やっぱり一緒に帰ればよかった…!あたしのバカバカ!」タッタッタ…

友紀「仁奈ちゃーん!どこー?!」タッタッタ…

カァー、カァー

友紀「ハァ…ハァ…もう…どこに行ったの…?ごめんなさいプロデューサー…」

P「友紀!」

友紀「プロデューサー!やっぱりどこにもいな…く…て…」

P「…」シーッ

仁奈「…zzz」

P「子犬と遊んでたんだと、さ」

友紀「よ…よかったぁ~」ヘナヘナ…

P「仁奈ちゃんも見つかったし、事務所に帰ろうか」

友紀「うん…ちひろさんにも連絡入れとくね。」

P「おう。…腹減ってきたな、帰ったら皆で飯でも行くか」

友紀「いいね!…ビールは?」

P「仁奈ちゃんの健闘を讃える会だぞ?」

友紀「…そうだね、仁奈ちゃん今日はご馳走だぞ~?」プニプニ

P「こらこら仁奈ちゃんをつつくな…お疲れさま、仁奈ちゃん」

仁奈「…zzz」ニコニコ

おわり

終わりです。ありがとうございました

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