末原「チョロ原総受けSS? って誰がチョロ原や!」※R-15 (76)



郁乃「すっえはっらちゃ~ん」

末原「……なんですか、監督」

郁乃「あれ~? 昨日の夜のことまだ怒ってんの?」

末原「別に……」

郁乃「だって、末原ちゃんがもっと、ってねだるからぁ」

末原「ねだってませんよ! それに私は“いやや”って言いましたよ!」

郁乃「そうやったっけぇ~?」

末原「もう二度と監督の家には行きません」

郁乃「ああん。末原ちゃん、本気で怒ってる~?」

末原「…………」

郁乃「でも、あんなに気持ちよさそうにしてたやん」

末原「わ、私は約束を破られたことに怒ってるんです!」

末原「いやや、言うたらやめてくれるって約束したのに……」

郁乃「ホンマに嫌やった?」

末原「いやでした」

郁乃「ホンマにぃ~?」

末原「ホンマです」




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郁乃「じゃあ、質問変えるなぁ~。気持ちよくなかった?」

末原「それは……」

郁乃「あんな可愛い声で鳴かれたら“嫌や”が“もっと”に聞こえてもしゃーないやん」

末原「…………」

郁乃「合鍵、末原ちゃんにあげるわ。いつでも来てええよ~」

末原「もらえませんよ。合鍵なんて」

郁乃「ええから、ええから」

末原「ちょっ……」

郁乃「じゃあ、私、これから用があるから~」

末原「ああ……行ってしもた……」


末原(また、流されてもうた……)

末原(どないしよ、この合鍵)






末原(そもそも、こんなことになったのも洋榎のせいや)

洋榎「恭子!」

末原「……(無視)」

洋榎「恭子!!」

末原「……(無視)」

洋榎「恭子って! なんで無視すんねん!」

末原「ああ、洋榎か。居ったんや」

洋榎「なんやねん、その態度。なんで怒ってんの?」

末原「別に怒ってへんし」

洋榎「いや、怒ってるやん」

末原「だから怒ってへんゆうてるやろ!!」

洋榎「怒ってへん人間は怒鳴らんって……」






洋榎「なぁ恭子。ヒント、ヒントだけちょうだい。いつまでもそんな態度取られたら寂しいやん」

末原「……寂しかったら江口に慰めてもらったらええんとちゃう?」

洋榎(ああ、そのことで怒ってんのか。……どこまでバレてんねやろ?)

洋榎「なんのことかようわからんなぁ」

末原「白々しい……」





洋榎「そんなんただの噂やろ?」

末原「……噂だけで怒るわけないやろ」

洋榎「なんや、証拠でもあるん?」

末原「私にはわかんねん! 二人の間に流れる空気とか雰囲気で」

洋榎「それは、恭子の主観やん。証拠やないで」

末原「なっ……!?」

洋榎「ただ単に恭子が『こう思う』『こう感じた』ってだけの話やろ?」



洋榎「私は恭子一筋に決まってるやん」

末原「……嘘や」

洋榎(しっぽ掴んでるのはセーラだけみたいやな。怜も久もバレてへんし、これくらいなら、どうとでもなるわ)

洋榎「そう見える原因は……恭子にやましい気持ちがあるからちゃうかなぁ」

末原「あっ……」

洋榎「どないしたん? なんか反応があったけど」

末原「こ、今回は許したるわ。わ、私の勘違いかもしれへんし……」

洋榎「恭子、浮気を問い詰めるときはきっちり証拠を用意しとかな」

末原「証拠?」

洋榎「そう、たとえば……恭子のポケットに入ってるこれとか」

末原「合鍵……。いつの間に」



末原「…………」カタカタ

洋榎(動揺しとるな。ここでたたみ掛けたら一発や)

洋榎「恭子、さっきから気になっててんけどな……なんでタメ口なん?」

末原「えっ……?」

末原「なに言うてんねん。『うちらしかいーひんときはタメ口でええ』って言うたん洋榎やろ?」

洋榎「“うちら”しかいーひんときはな。今は私と恭子二人っきりやん」

洋榎「二人っきりの時はイヌ語使わな。だって私は恭子のご主人様で、恭子は私の犬やねんから」

末原「な、なに言うてんねん」

洋榎「ベッドの上だけでの冗談やと思ってた? あれ、マジやで」

末原「…………」

洋榎「しつけのやり直しせなアカンなぁ、恭子」

洋榎「ほら、返事せな」

末原「…………」



洋榎「教えたったやろ? 返事のやり方。犬はなんて鳴くんやったけ?」

末原「…………わ、わん」

洋榎「行こか、恭子」

末原「ど、どこ行くん?」

洋榎「ええとこ。あと、犬は人の言葉を喋られへんやろ?」

末原「わん……」

洋榎「恭子はホンマええ子やなぁ」



洋榎「『はい』は“わん”、『OK』は“bow-wow”って鳴くねんで」

末原(どっちも同じ意味やんけ)

洋榎「『嫌』が“cock-a-doole-do”や、わかった?」

末原「わん」(犬関係なくなってるやんけ!)

洋榎「ほな、すっぽんぽんになって、仰向けに寝てみ?」

末原「クックドゥドゥルドゥ」

洋榎「発音がちゃう。cock-a-doole-doや。はよすっぽんぽんにならな“しつけ”すんで」

末原「クックドゥドゥルドゥ、クックドゥドゥルドゥ!」

洋榎「……やっぱ、中止。ムードに欠ける」

末原「最初からわかってたやろ!」

洋榎「恭子ってエッチの時、『嫌や、嫌や』連発するやろ? それが全部、cock-a-doole-doになったらオモロいなぁと思って」



末原「もうええわ。私、帰る」

洋榎「なに勝手に帰ろうとしてんねん。しゃべってもええってだけで、恭子が私の飼い犬なのは変わらんで」

洋榎「今日は私が恭子の身体に全部舐めたら解放したるから」

末原「全部……?」

洋榎「全部は全部や。はよ、脱がな。舐められへんやん」

末原「…………」

洋榎「恭子、はよせな。……私の機嫌がいいうちに」

末原「…………」カタカタ



洋榎「恭子も実は期待してんねやろ~?」

末原「し、してへんわ!」

洋榎「ホンマに~? ほな、確認してみるわ」

末原「確認? ……ちょっ、どこに手ぇ突っ込んでんねん!」

洋榎「濡れとるやないかい!」

末原「なんやねん、それ……」



末原「嫌やって、そんなとこ舐めたら!」

洋榎「はははっ、恭子はリアクション上手やなぁ」

末原「んっ……いやや……アカンて……ぁくっ……」

洋榎「上の口は、いやや言うても、下の口は正直やでぇ」

末原「オッサンか! んくっ……あぁっ……んっ、いややって……」

洋榎「トロトロやなぁ……いくらでも溢れてくるやんけ」

末原「だから、オッサンか! そんな実況いらんねんっ……ぁっ……あんっ」

洋榎「ここかぁ? ここがええんか? ええか、ええか、ええのんかぁ~?」

末原「鶴光か! ええねん、そんな小ボケ挟んでこんで。普通にしてーな」


ぴちゃ、ぴちゃ……。

洋榎「…………」

末原「……ぁ、んっ……っっ……」

末原(黙ってやられたらやられたで、めっちゃ恥ずかしい……)


………………
…………
……


疲れた。
ちょっと休憩。



末原「ホンマに全身舐められた……」

末原「あー、疲れた……。帰って寝よ」

咲「末原さん」

末原「宮永か。久しぶりやなぁ。…………なんで大阪おんの?」

咲「末原さんに会いに来たんですよ」

末原「わざわざ長野から!?」

咲「はい。……ところで、末原さんは今までなにをしてたんですか?」

末原「な、なにをって……普通やで」

咲「普通? 答えになってませんね。もう一度聞きます。どこで、誰と、なにをしていたんですか?」

末原「ひ、洋榎とカラオケ」

咲「ああ、カラオケですかぁ。最近のカラオケっていろんなサービスがあるんですねぇ」

末原「そうやな。衣装貸してくれたりとか」

咲「お風呂がついてたりとか?」

末原「さすがにそれはないわ」

咲「じゃあ、どうして末原さんの身体からシャンプーの香りがするんですか?」



末原「シャンプー……」

咲「それに末原さんがいつも使ってるシャンプーの銘柄と違いますよね? どうしてですか?」

末原「じ、実は私、疲れてくると体からシャンプーの香りが……」

咲「あ゛ぁ?」

末原「すみませんでした」

末原(こ、怖……。どっから出してん、その声……)



咲「かすかに別の女の匂いがする……」

末原「宮永は将来、警察犬いらずの麻薬捜査官になれそうやな」

咲「…………」

末原「痛い痛いっ! 爪をたてたらアカン! 抉れる! 肉とれる! ごめんなさい、ごめんなさい」

末原「いたぁ……。私、敏感肌やねんで。赤なってるやん」



咲「私というものがありながら……」

末原(え? なにそれ。私ら付き合ってんの?)

末原(いつから? 本人に自覚ないねんけど……)

末原(でも……)チラッ

咲「…………」

末原(『そんなん知らんし』、って言うた瞬間、殺されそうな気ぃする)

咲「…………」ゴォォォォ

末原(なんかで出てる、出てる! 怪物オーラ的な何かが出てる!)

末原(よし。できるだけかわいく謝ろう。そうしたら宮永の態度も軟化するかも……)

末原「私が軽率やったわ。堪忍して♪」

咲「お仕置き、確定ですね」

末原「お仕置き!?」



咲「痛い事と恥ずかしい事、どっちがいいですか?」

末原「……なにするつもりやねん」

咲「どっちがいいですか?」

末原「なにされるかわからんのに、決められるわけないやろ!」

咲「それもそうですね。じゃあ、どっち体験してもらってから決めてもらいましょうか」

末原「恥ずかしい方で! 痛いのはいやや」

咲「へぇ……恥ずかしい方がいいんですかぁ」

末原(さっきの爪のたて方からして、痛い事はホンマにヤバそうや)

咲「でも、恥ずかしい事が好きなんて、末原さんって本当に変態なんですね」

末原「は、はは……」

末原(変態はお前やろ……なんてツッコミを入れるほど私はアホやないで)



咲「準決勝でおっきなリボンをつけてたじゃないですか? あれ、かわいかったですよね」

末原「そ、そうかな。私としては恥ずかしかってんけど」

咲「もう一度つけて下さい」

末原「ええよ」

末原(なんや、恥ずかしい事ってその程度か。たいしたことないやん)

咲「あと、服も持ってきたんです」ガサゴソ

咲「知り合いに国広さんって方がいて、その人に――あっ」ガチャン

末原「落としたで。拾うわ……低周波電気治療器?」

咲「それは、痛い事用なんで、今日は使いませんよ」

末原(『こんなん、なにに使うねん』とか、『どこに貼って痛い事させるつもりやねん』とか、『今日は使いません、って今後使うつもりなんかい』とかいろいろツッコミたいけど、黙っとくで。機嫌損ねたらなにされるかわからんからな)



咲「どうぞ」

末原「……なにこれ?」

咲「服です」

末原「布やん」

咲「龍門渕高校のバザーで買ってきたんですよ。末原さんに似合うと思って」

末原(宮永の中で私のイメージどうなっとんねん)



末原「あのな、私が思う服の存在理由って、『体温をコントロールするため』と『大事なとこを隠すため』やと思うねん。これ、どっちも満たしてへんで?」

咲「でも、国広さんはそれよりもっと布が小さい服で外を出歩いてますよ?」

末原「ただの露出狂やんけ!」

咲「国広さんは常識的ないい人ですよ」

末原「常識的な人はこの服を着ぃひんわ!」

末原「大事なとこ隠そう、という気がこの服に皆無やんけ!」

咲「そうですかぁ……。じゃ、そこの木陰で着替えてきて下さい」

末原「軽く流すなや! それに木陰って! 熱湯コマーシャルでも、もうちょっと配慮するわ!」

咲「……?」

末原「ピンとこんかったらええわ」

咲「早く着替えないと人が来ちゃいますよ?」



末原「着替えたで……」

咲「わぁー、かわいいです」

末原「うぅぅ……防御力ゼロやん、この服……」

咲「すぐ近くに姫松高校がありますよね。お散歩に行きましょうか」

末原「お散歩って、この服で学校行くんか!?」

咲「はい」

末原「授業なくても部活で学校来てる子、いっぱい居んねんから! 知り合いに会ったらめっちゃ気まずいやん」

咲「そうじゃないとお仕置きにならないじゃないですか」

咲「ほら、ついてこないと一人で露出を楽しんでる人になっちゃいますよ?」

末原「待って」



末原「み、宮永! 腕組んでええ?」

咲「は?」

末原「腕組んだら、乳首チラチラせえへんし……」

咲「……末原さんって自ら誘発させてますよね」

末原「誘発!? なにを?」



末原(ここ、めっちゃ通学路やん! ヤバイヤバイ……)

咲「着きましたね」」

末原「もう満足したやろ? 帰ろうや。ちなみに宮永は部外者やから校舎内には入られへんで」



咲「外周を一周してきて下さい」

末原「……は? なに言うてんの?」

咲「10分以内ですよ」

末原「いや、だから……」

咲「よーい、スタート。1……2……3……」

末原「まず、ストップウォッチ止めて!」

咲「10分過ぎたら……ひどいですよ?」

末原「なにがっ!?」

咲「8……9……10……」

末原「ああ、もう! 走ってこればええんやろ!」タッタッタッ



末原「……」タッタッタッ

末原(アカン、めっちゃ恥ずかしい……ハズい、ツラい、メゲたい……)タッタッタッ

末原(この角、曲がれば宮永の死角や)

末原(宮永は知らんやろうけど、ショートカットする方法があんねん)

末原(この道は麻雀部の人間しか通らんし、その麻雀部は現在部活の真っ最中。だから、この道行けば絶対に誰にも会わへん!)

漫「末原先輩?」

末原「いきなりかい!」



漫「えっ……その服、……私服ですか?」

末原「この服はその……衣装的な、その……」

漫「衣装!? 末原先輩、アイドルになりはるんですか?」

末原「こんな丸見えのアイドルおるかいっ!」

漫「アイドルじゃない……丸見えの衣装……まるでアダルトビデ……ハッ!」

末原「ちゃうで! 漫ちゃんが思てんのとちゃうで!」

漫「だったら……」

末原「これはアレや。クールビズ的なアレや」

漫「クールビズ的なアレ……?」

末原「漫ちゃんは地球のためになんかしてる?」

漫「特には……」

末原「一人一人ができることって些細な事しかないけど、塵も積もれば山となるって言うやろ?」

漫「はぁ……」



末原「熱中症になったらアカンから、クーラーをつけるなとは言わん。でも、クーラーをガンガンにつけて寒いから長袖着てるって、それはちゃうやろっ! って私は言いたい」

末原「でも、言うだけやったらアカンな。実践せな。つまり、この服はそういうことや」

漫「は、はぁ……」

末原「漫ちゃんもエコの精神、大事にせなアカンで」

漫「は、はい……」

末原「ほんなら、私、急いでるから」

漫「お、お疲れ様です」



末原(先輩としての威厳をギリギリ守れた……)タッタッタッ

末原(いや、守れてないかも知れへんけど、守れたことにしとかな、私の精神が守られへん……)タッタッタッ



末原「はぁ、はぁ。よっしゃ、一周」

咲「…………」カチッ

咲「あー、残念でしたね」

末原「え? 10分過ぎてもうたん!?」

咲「はい。10分と1秒52ですね」

末原「1秒52って、宮永の押すタイミング次第でどうにかなったんちゃう?」

咲「10分ここで待っていて思ったんですけど、ここって本当に人が来ないんですね」

末原「まあ、ここはなぁ」



咲「んー……」チュッ

末原「ひゃっ……んっ……」

咲「んっ……ふんっ……」

末原「ぷはっ……!」

末原「い、いきなり、キスすんなや……」

咲「息切れした末原さんを見てると……私、なんだか堪らなくなっちゃいました」

末原「堪らなくって……、もしかして、ここでするつもりなんか! アカンって、後ろ学校やで!」

咲「知ってますよ」

末原「こんなとこ同じ学校の人にみられたら、学校来れんなるやん」

咲「末原さん」

末原「なんや?」

咲「そんなこと、知ったこっちゃないです」



末原「いややって、バレるからっ!」

咲「末原さんが声を抑えれば可能性は減りますよ」

末原「声が、出てまうの、んっく……ぁんっ……知ってるやろ」

咲「そんな顔しないで下さい。そんな顔されたら冷静でいられなくなっちゃいます」

末原「や、もう冷静やないやろ、んっ……」

咲「本当は、キスだけにしておこうと思ってたんですが」

末原「はぁ……んっ……あっ……」

咲「そんな格好して、誘惑してくるから……」

末原「なんや、その理不尽!」

咲「学校の裏で……立ったまま……最後まで、しちゃいましょうか……」

末原「いややから! あっ……あむ……んっ……」


……………
………
……


寝る。
だぶん、ここが半分くらい?(予定)
今日か明日までには終わらせる。
寝ます、ごめん。



末原「疲れた……」

末原「この身体のダルさ……。寝不足だけや絶対ないなぁ……」

末原「今日一日で、何人と何回やってんねんって、話やな……」

末原「私がしたいことって、こんなんとちゃうのに……」

竜華「わぁ、末原さんやん」

末原「清水谷……」

竜華「どないしたん?」

末原「別に……」



竜華「んー、なんか落ち込んでるように見えるけど……」

末原「たいしたことやないねん」

竜華「なんか悩みがあるんやったら聞くで」

竜華「悩みは人に話すだけで、軽くなったりするもんや、って監督が言うてたわ」

竜華「それに、毎日会う同じ高校の友達より、たまにしか会わん他校の私の方が話しや
すい事あると思うねん」

末原(清水谷が言ってることも一理あるかもしれんな……)

末原「……じ、実はな――」



末原「――、ということやねん」

竜華「なるほどなぁ」

末原「私だって、別にそういうことがしたないわけやないねん」

末原「でも、会って即、ってなんやねん! 動物やないねんから」

末原「なんかあるやん! 映画見たりとか、食事したりとか、そんな心の交流が! そういうの一切ないねん!」

竜華「はー……」

末原「感情を共有することって大事やん? おいしいもん食べておいしいって気持ちを分かち合ったり、感動する映画観て感想を言い合ったり、そういう普通がしたいねん」

竜華「わかるわぁ」

末原「みんな、私が恥ずかしがってんの見て楽しんでるだけやねん!」

竜華(それもわかるわぁ)

竜華「つまり、末原さんは純愛がしたいやね?」

末原「純愛……。そうや、私、純愛がしたいねん!」



末原「でも、ホンマはわかってるんや。私に純愛なんてやる資格なんてないって……」

竜華「どないしたん、急に……」

末原「流されてる私が悪いって……」

竜華「末原さん、もしかして疲れてんのとちゃう?」

末原「昨日の夜もたいして寝かしてくれへんかったし、今日は今日で疲れる事ばっかやったし」

竜華「そうやろ? 末原さんがネガティブに考えてしまうのは疲れが原因やと思うわぁ」

末原「そうかな……?」

竜華「そうやって! 疲れてたらなんでもマイナスの事を考えてまう、ってうちの監督も言うてたし」

竜華「そや! 末原さん今から家に来えへん?」

竜華「私が元気になる料理を作ったるで」

末原「そこまでしてもらうのは、なんか申し訳ないわ」

竜華「私と末原さんはライバルやなくて、もう友達やん。友達やったら助け合うのって普通ちゃうかなぁ」

末原「友達……かぁ。ほんなら今回は清水谷に甘えよっかな」

竜華「ほな、行こか」

末原「あ、ああ……」

竜華「…………」



末原「旨っ、めっちゃ旨いな」

竜華「チャーハンやねんから、誰が作ってもたいして変わらんよ」

末原「丁度ええくらいにパラパラしてるし、清水谷、料理上手やねんな」

竜華「褒め過ぎやって、末原さん」

――ピロリン、オ風呂ガ沸キマシタ

竜華「あ、お風呂沸いたみたいやわ。末原さんどうぞ」

末原「お風呂までお借りすんのは気が引けるわ……」

竜華「気にせんでええよ」

末原「いや、でも……」

竜華「うちのお風呂、この前改築してん。泡がボコボコって出る機能もついてんねんで」

末原「へー、泡でるんや」

竜華「実は、そのことを末原さんに自慢してみたかったりして……」

末原「そっか……」



竜華「だから、気ぃ使わんでええから! そうや、なんやったら一緒に入ろうや」

末原「一緒に!?」

竜華「二人くらい余裕では入れるし、おしゃべりしながら入ったら嫌なこと忘れるって」

末原「そうかな……」

竜華「入ろうや末原さん」

末原「そうやな、入ろか」

竜華「…………」



末原「広いし、綺麗な浴室やな~」

末原「毎日、このお風呂に入れるなんてうらやましいわ」

竜華「そうでもないよ。変に広いから冬場は寒いし……」

末原「贅沢な不満やなぁ」

竜華「んー、でも今日は末原さんがおるから温かいわぁ」

末原「な、なに言うてんの!? 温かいのはお湯やろ」

竜華「末原さんとおるから、心も温まんねん」



竜華「胸についてるの……」

末原「え? これ?」

竜華「痣やないよね?」

末原「や、痣やで。昨日タンスの角にぶつけて……」

竜華「…………」

末原「嘘です。キスマークです……」

竜華「誰につけられたん?」

末原「えっと、誰やろ……?」

竜華「誰につけられたか、わからんの!?」

末原「3人まで! 3人までに絞れんねん。その中の誰かやねん!」

竜華「へぇ……」

末原「そんな、まじまじと見んといて」



竜華「キスマークって初めて見たわぁ……」

竜華「生々しいな……」

末原「恥ずかしいから見んといてや」

竜華「つい数時間前まで、エッチしててんもんな」

末原「え、エッチとかいうなや!」

竜華「痛そうやなぁ」

末原「や、全然痛ないで」

竜華「はむっ……」

末原「ちょっ!? なにしてんの!?」

竜華「んー、ほらツバつけば治るとか言うやん? そんな感じで……」

末原「それは傷口の話やろ!」



竜華「んっ……はむっ……じゅるっ……」

末原「ぁ……っ、し、清水谷? 冗談にしては度が過ぎてへん?」

竜華「これだけは信じて欲しいねんけど、最初はな、ホンマに善意で声かけてんで」

末原「最初は?」

竜華「でも、末原さんの話聞いてたら、ムラムラしてきて……」

末原「なんやねん、それ」

竜華「末原さんが、つい、数時間前までそういうことやってきたばっかりやと思うと……なんか背筋がゾクゾクしてもうて……」

末原「やっ、……普通にお風呂入るだけとちゃうんか」

竜華「なんか、股がきゅうきゅうして苦しい……」

末原「や、そんなん知らんって」

竜華「末原さん……やり方教えて……」

末原「教えて、言われても」

竜華「これから、どうやったらええん?」

末原「知らんがな」



竜華「だって、末原さんこういうことに詳しいビッチさんやろ?」

末原「なっ……! 清水谷、言葉選ばな本気で怒るで」

竜華「うん……、怒られたい。末原さんにやったらめちゃめちゃに怒られたい」

末原「変なモードに入ってもうてるやん!」

竜華「末原さんはどこ触ったら気持ちええの? ここ?」

末原「ひゃん! いややて!」

竜華「ここなんやぁ、末原さん、腋の下弱いんやぁ。他は? 他どこなん?」

末原「あっ……くっ……んっ……っ……アカンて」

竜華「末原さんっ……。次はどこ触ったらええの? キスは勝手にしてええもんなん? 胸触ってええの?」

末原「アカン、んっ……て」

竜華「ゴメンな、末原さん。ゴメンな……」

末原「謝るなら、最初から……んんっ……あっ、いっ……く」

竜華「はぁ……はぁ……、興奮しすぎて息が苦しいっ……苦しいのにやめたない……どうしたらええの?」 

末原「んんんっ―――っ」ビクン


………………
…………
……




末原「私、きっと舐められてるな」

末原「物理的になくて、精神的に! や、物理的にも舐められてるけど……」

末原「きっと、隙が多いんや。だから、流されんねん」

末原「今日から、流されたりせん新しい末原恭子に生まれ変わるんや」

末原「しっかりと自分を持つで!」

末原「……でも、自分をしっかり持つってどないしたらええんやろ」

末原「自立? 一人暮らし? でもまだ高校生やし……」

末原「……旅やな! 一人旅して自分を鍛えよう」

末原「そういえば家族旅行はもちろんのこと、部活の合宿だってみんなについていっただけやしな」

末原「泊まるとこを自分で予約して、自分一人で移動すんねん」

末原「そうなったら、自分の責任で行動せなアカンし、誰かについていったらええか、みたいな甘えもできひん」

末原「よし、一人旅すんで!」



末原「私一人で何かするって、あんましてこんかったしなぁ」

末原「なんか想像したらワクワクしてきた」

末原「よし、決定や! 一人旅しよっ!」

末原「どこ行こかな~。沖縄? 北海道でもええなぁ」

末原「…………」カチカチ

末原「飛行機……高いなぁ」

末原「うーん……。近場にしよかな。目的は一人旅することやしな! 場所は大切やない」

末原「京都とか奈良とかそのへんにしよかな~」

末原「日本文化に造詣が深い女……ええなぁ、大人やなぁ」

末原「松実館……ここよさそうやなぁ」

末原「よし、予約の電話すんで!」

末原「…………」

末原「めっちゃ緊張してきた……」

末原「そうや、相手さんに失礼があったらアカンし、予約するときのマナーをネットで調べよ」

末原「だいたいわかった。電話かけるで」

末原「…………」

末原「メモ帳とか用意した方がええかな?」

末原「…………」

末原「……喉渇いたな。お茶飲んでからにしよ」



30分後……

末原「よし、かけるで。今度こそかけるで」

Trrrr……Trrrr……Trrrrr

末原「あ、あれ? 出えへんな……。この時間は電話したアカン時間帯なんかな……」

Trrrr……Trrrr……Trrrrr

末原「不安になってきたわ……。ここは縁がなかったってことでやめと……も、もししし、末原です」

末原「ちゃうんです、私が言いたかったのは、もししし、やなくて、もしもし、なんです」

末原「いえ、末原です。私の名前は末原恭子です」

末原「ご、ごごご宿泊です。はい。……はい。一人です」

末原「それは……ええっと……安い方で。あ、どっちも同じ値段なんですか。ほんなら、え、ええ感じの方で!」

末原「そうですよね、ええ感じの方、言われても困りますよね。ど、どっちでも不満言いません、絶対!」

末原「はい……はい。お手数おかけします、はい。では、失礼します」

末原「はぁ……。緊張した……」

末原「不意打ちやったから、めっちゃきょどってもた……。切ろっかなーと思ってた時に出んねんもん……」

末原「でも、頑張ったなぁ私」

末原「たいしたことないんやろうけど、私にとっては大きな一歩や」



【松実館】


末原「へぇー、すごいですねぇ。めっちゃ尊敬します」

宥「そ、そんなことないです」

末原「旅館なんて、大人やないですかぁ」

宥「手伝いをやっているだけですから」

末原「手伝いでもすごいですよ。あ、もしかして、予約のとき電話口におったのも松実さんやったんですか?」

宥「は、はい」

末原「私、もうテンパってもて、なに言うてるかわかんなかったでしょ?」

宥「そんなことは全然……」

末原「松実さん、同い年やのに私よりめっちゃしっかりしてるし……」

宥「末原さんの方がしっかりしていると思います……。インターハイのインタビューなんて私はしどろもどろでしたし」

末原「あんなん、馴れです。全然すごないですよ」



憧「宥姉。……あれ? そっちにいるのは姫松の……」

末原「末原です」

憧「ああ、あの噂の……」

末原「噂?」

憧「いえ、こっちの話です」

末原「……?」

宥「では、お部屋をご案内しますので」

末原「あ、はい」

憧「……ふふっ」


末原(奈良に来てわかったわ……。やっぱ、田舎はええ人多いな)

末原(ここに人を騙そうなんて人おらんわ! ええとこやなぁ)



憧「すーえはらさんっ」

末原「さっきの……ええっと、新子さん」

憧「憧でいいですよ」

末原「なら、憧ちゃんで。どないしたん?」

憧「末原さんとお話がしたくて……」

末原「私と?」

憧「末原さんの雀風って、私の理想に近いくて憧れてたんですよ」

末原「初めて言われたわ、そんなん」

憧「インハイの準決なんて、何度もビデオを見返してます」

末原「準決勝? あれあんま格好いい闘牌やなかってんけどなぁ」

憧「そんなことないですよ!」

末原「そ、そうかな」

末原(嬉し恥ずかしいぞ……。自分の麻雀褒められるって、なんかこそばいなぁ)

憧「できれば、一度、憧れの末原さんと卓を囲みたいんです」

末原「褒め過ぎやって」

憧「どうですか?」

末原「ええよ、ええよ」

憧「すぐ準備しますね」

憧「…………」ニヤッ



憧「すみません。面子が集まらなくて……三麻でもいいですか?」

末原「かまへんよ。三麻も得意やし」

憧「ありがとうございます。やっぱり、末原さんクラスになると心も広いんですね」

末原「褒めても、なんも出えへんで」

憧「友達の初瀬です」

初瀬「よろしくおねがいします」

末原「こんにちは」

憧「初瀬は中学のときの同級生で、今、晩成高校の麻雀部なんですよ」

初瀬「は、はい」

憧「初瀬も末原さんのファンなんだよね?」

初瀬「え?」(そんなこと言った事ないんだけど……)

憧「そうだよね?」ズイッ

初瀬「は、はい。ファンです」

末原「そうなんや」

末原(……私って奈良で人気なんか? そういえば、インターハイでも対戦相手からサイン求められたこともあるし……全国区か!?)



憧「でも、三麻って統一されたルールがなくて、いろいろ大変――」

末原「ルールはそっちに全部合せるで」

憧「ん!?」

末原「君らが普段やってるルールでええで。細かいルールは全部そっちに合せるから」

憧「今なんて言いました?」

末原「……? 細かいルールは全部そっちに合せる……って」

憧「『全部』、『私達のルール』でいいんですね?」

末原「う、うん……。だからそう言ってるやん」

憧「今から、紙にルールを書きますね」

末原「その都度、口で言ってくれたらええで」

憧「後で知らなかったって言って揉めるのも嫌ですから」

末原(遊びの麻雀やから、適当でええのに。キッチリせな気が済まん性格なんやろか?)

憧(ラッキー、手間が省けた)

憧「(カリカリ……)」

憧「こんな感じでいいですか?」

末原「細かっ! そんで、字ぃ小っちゃ!」

末原「ルールでわからんとこあったらちょくちょく見るから、見えるとこ置いといて」

憧「はい。じゃあ、このルールが絶対って事で」



憧「北は抜いてドラ扱い、ツモ損なしの東風戦で20,000点持ち/25,000点返し、赤ドラは2枚ずつです」

末原「ええよ」

憧「じゃあ、始めましょうか」


…………
………
……


憧「ロン」

初瀬「飛んじゃった……」

憧「初瀬、『1』にするね」

末原「……?」

初瀬「んっ……」

ヴィィィィィィィ……

末原(最近聞いたことあるで、この音。確か監督の部屋で……)


――郁乃「末原ちゃんにプレゼントがあんねん」

――末原「なんですか、そのローター的なモノ。わけわかんないんですけど」

――郁乃「これ、ローター的なモノやなくてぇ、ローターやで~」

――末原「そんなんなにに使うんですか!?」

――郁乃「わかってるくせに~」

――末原「ちょっ、振動の威力、尋常やないですよ! とれたての鮎でもそこまでビチビチしませんって! ちょっ、やめて……」


末原(トラウマの扉がまた一つ開いたで……)

初瀬「んっ……」

末原(そういうの二人っきりの時にやれや)

末原(私に火の粉が飛んできたらいややし、かかわらんこと)

末原(私だって学習してるんや)

ヴィィィィィィィ……



【起家・憧】

憧「北」

末原「ドラ表示牌が西ってことは、ドラ2かぁ。怖いなぁ」

憧「北」

末原「お?」

憧「北」

末原「おお!?」

憧「北」

末原「ドラ8確定やん!」

憧「なんか玄になった気分」

初瀬「カン!」

初瀬「新ドラは……」

末原「西!(表示牌)……。ってことは、全乗っかりやんけ」



タンッ
タンッ




憧「リーチ」

タンッ
タンッ




憧「ツモ……。リーチ、ツモ、表裏合せてドラ……」

末原「もう、数え確定やからえかよ」

憧「ドラ16です」

末原「理不尽なドラの数を聞くと三麻って感じがするなぁ」

憧「初瀬も末原さんも飛んじゃいましたね~」

末原「こんな早くツモられたら防ぎようがあらへん」

憧「じゃあ、初瀬、『2』にするねー」

ヴヴィィィィィィィ……

初瀬「ああっ……くっ……」

憧「それじゃあ、末原さんもどうぞ」

末原「ん? なんやこのピンクなローター的なものは……」

憧「ローターです」

末原「やっぱり?」



末原「なんでせなあかんねん!」

憧「『全部』、『私達のルール』でやるって言いましたよね?」

末原「言うたけど……」

憧「ほら、ここに書いてあるじゃないですか!」

末原「……ホンマや」

憧「それに、おかしいと思ったのなら初瀬のときに言えばよかったじゃないですか!」

末原「それはそうやけど」

憧「はぁ……」

末原「なんやねん、そのため息は!」

憧「私が憧れてた末原さんはどんな状況になっても不満を言わず、前だけを向いて……」

末原「わかったわ! やればええねやろ!」



ヴィィィィィィィ……

末原(なんやねん、この麻雀)

末原(ガチで血を抜く鷲頭麻雀と不健全さではタメ張れるやんけ)



タンッ
タンッ




憧「リーチ」

末原(親のリーチ……)

初瀬「カン」

末原「(ビクッ!!)」

末原(カン、って聞いただけで、なぜか反射的にビクッ、ってなってもた……)

初瀬「もう一個、カン」

初瀬(あとは、ベタ降り……)タンッ

タンッ
タンッ






憧「ツモ。13……14で、数え役満、24000オール」

末原(ツモられたら防ぎようがあらへん)

憧「また、二人、飛んじゃいましたね~」

末原「そ、そやな……」

憧「じゃ、『2』にしますよ~。末原さん」

末原「ぐっ……んっ……」



【親・初瀬】


タンッ
タンッ




初瀬「ポン」【中中中】

タンッ
タンッ




末原「リーチ」

憧「……」ニヤッ

憧「コレハ勝負手ダナァ」

憧、打【發】

初瀬「ポン」

憧「勝負!」

憧、打【白】

初瀬「ポン」

末原(なんで『白』まで鳴かしてんねん)タンッ

初瀬「ロ、ロン。大三元」

憧「ワー、責任払イデ2人トモ、飛ビダー」

末原「『3』はアカンて!」

憧「ルール、ルール♪ 私もするんですから」


………………
…………
……



初瀬「憧……私、もう限、界……はぁ、はぁ……」

初瀬「もう、麻雀のことなんて考えらんないぃ……あこぉ……」

憧「私も……」ジィー

末原「なんで私を見つめてくんねん!」

憧「だって、さっきから眼で誘惑してきてるじゃないですかぁ」

末原「しとらんわ!」

初瀬「末原さん……」

末原「なんで君もこっち来るねん」

末原「私は、つい数時間前に初めましてした人間とやるほど軽い女やないで!」

憧「たしか、首筋が性感帯なんですよね」

末原「あっ……ってなんでそんなん知ってんねん」

憧「ふふっ、噂どおり」

末原「その噂の出所、どこや!」

憧「耳の裏側とか腋とか背中……」

末原「あっ……んっ、ん、あぁァ……いややって、ひぃぁ!」

………………
…………
……



ちゅんちゅん


末原(朝かぁ……)

末原(鳥の声で目覚めるなんて、爽やかな朝やなぁ。気分も爽快や)

末原「て、んなわけあるかい!」

末原(変な体勢で寝たから首痛い、喉渇いた、下着もべちょべちょやし……、なんやねん! もう最悪や)

憧「あ、おはよう、恭子」

末原(いつの間にかタメ口やし、呼び捨てなってるし)

憧「んー……」

末原「なんでキスしようとしてんねん。寝起きやから喉カラカラやし、口ん中ねちゃねちゃしてるからしたないわ!」

憧「その、ねちゃねちゃがいいのよ」

末原「私のまわりにはレベルの高い変態しかおらんのか!」

憧「はむっ……んっ……」

末原「んんっ……」


………………
…………
……



末原「また、流されてもた……」

末原(私が密室にほいほいついていったり、招き入れたりするから流されんねんやろなぁ)

末原(そういったシチュエーションになる前に、NOと言おう)

末原(迫られてからやったら遅いんや)

末原(こちらから先手を打てばええねん)

末原(……完璧や!)

郁乃「末原ちゃん?」

末原「監督!? なんで奈良におるんですか?」

郁乃「阿知賀女子に練習試合の申し込みにきてん。そしたらたまたま末原ちゃんを見つけて~、びっくりしたわぁ」



郁乃「末原ちゃん、今から大阪帰るの~?」

末原「はい」

郁乃「私もやから、車乗っておいで~?」

末原(車……密室に近いなぁ……)

末原「NOです!」

郁乃「なんで~?」

末原「私は自立した女に生まれ変わったからです。電車とバス乗って帰ります」

郁乃「自立~?」

末原「はい。私、自立した女を目指すんです」

郁乃「でも~、電車やバス使ったらお金かかんで~。末原ちゃんのお金ってゆうても、元々は末原ちゃんのお父さんとお母さんのお金やろ?」

郁乃「タダで戻れる手段があるのに~、あえてお父さんとお母さんのお金使って帰ることが自立かなぁ~?」

末原「……それもそうですね」

郁乃「ほな、乗って行き~」

末原「ありがとうございます」



末原「……? 信号、青になりましたよ」

郁乃「はっ! アカンアカン。ぼーっとしてた~」

末原「危ないですよ」

郁乃「このままやったら事故起こしそうやなぁ……。どっか休憩できるとこ寄ってええ~?」

末原「そうした方がええですね」

末原「じゃあ、そこにマクドあるんで、そこ寄りましょか?」

郁乃「ん~、マクドよりぃ~、向こうのお城みたいな建物の方がよくないかなぁ~」

末原「なんのお店なんですか?」

郁乃「口では説明しにくいなぁ、行ってみたらわかるよ~」

末原「そうですかぁ」

郁乃「ほな、決定やね~」

郁乃(ホンマに、末原ちゃんはチョロかわいいなぁ~)





カン。



一万字程度の小ネタのつもりが、一万八千字超えちゃった。

読んでくれてありがとう。

それじゃあ、おやすみ~。

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