お嬢様「はじめての酔拳」 (24)
平和な学校
お嬢様「(毎日が辛いですわ……学校でご学友に虐められる毎日)」
不良女「お嬢様さんwwちょっと金貸してくれない?ww」
お嬢様「い、嫌ですわ!お金は自分の力で勝ち取る物!」
お嬢様「そう安々と貸せるものではありませんの!」
不良女「私今困ってるんだよwwwお金貸してくれないと死んじゃうかも~www」
お嬢様「嘘おっしゃい!昨日見ましたわよ!大食いしてたんじゃありませんの!」
不良女「ちっ……こっちが下手に出てたら生意気な口を聞きやがって!」
不良女「おいお前ら!」
舎妹「へい姉御!!」
不良女「お嬢様さんが生意気だから、少し痛い目に遭わせたやりなよ」
舎妹「へい!」
お嬢様「い、一体何をするつもりなの!?」
舎妹「ちょっとお嬢様先輩の胸触るっすよ!」トス
お嬢様「な、なんて破廉恥な///」グワッ
お嬢様「がぁ……!?んぅ……!」ボンッ
舎妹「姉御デキたっすよ!!初めての発剄デキたっす!!」
お嬢様「む、胸を触られただけなのに……体が吹き飛んで……」
…………
お嬢様「――――うっ……」
自室
お嬢様「あぁ……夢でしたか……嫌な思い出ですわ……」
幼馴染「ねえお嬢様さん」
お嬢様「お、幼馴染さん!?どうしてここに!?」
幼馴染「そんなの別にどうだっていいじゃない」
幼馴染「それより、お嬢様さん学校で虐められてるんでしょ?」
お嬢様「はい……」
幼馴染「なら、この映画を見るといいよ」
お嬢様「……酔拳?」
お嬢様「こ、こんな野蛮そうな映画見たくありませんわ!」
幼馴染「いいから見るの!わかった?」
お嬢様「は、はい……」
…………
お嬢様「酔拳ってなんですの……怖いですわ……」
<コレゾカンフーノシンズイ!>
お嬢様「か、かっこいいですわ……!」
お嬢様「無影拳強すぎではないですの……?」
お嬢様「……むかしドラゴン、いまドランク! 酔えば酔うほど強くなる、世にも不思議な酔八拳」
お嬢様「……私に、酔拳さえあれば……虐められなくなるんでしょうか?」
回想
不良女「お嬢様さん、口からスパゲッティ食べてよ」
お嬢様「後生です……たらこスパゲッティだけはやめてくださいお願いします」ポロポロ
不良女「私が作ったたらこスパゲッティが食えねえのか?」
お嬢様「口に押し付けないで!!むぐぅ!?」
お嬢様「からい……たらこきらい……」ポロポロ
不良女「こいつたらこスパゲッティ食っただけで泣いてやがるwww」
舎妹「姉御!ミートスパゲティできやした!!」
不良女「よっしゃ、食わせるか」
お嬢様「あぁ……」ポロポロ
回想終わり
お嬢様「くう~~~~!!腸が煮えくり返ることばかりですわ!」
お嬢様「あの人達を見返してやりたいですわ……」
お嬢様「食べ物の恨みと……女の恨みは怖いって思い知らせてやるんですの……!」メキ
幼馴染「どうやら火がついたみたいね……良かった」
一ヶ月後
ムキムキお嬢様「皆さんお早うございますですわ!」
不良女「なっ……!?誰だお前……?」
ムキムキお嬢様「お嬢様ですわ」
不良女「お嬢様って……あの小柄で姫カットで可愛らしかったお嬢様か……?」
舎妹「先輩絶対ウソっすよ、だって身長が明らかに伸びてますもん」
ムキムキお嬢様「一ヶ月、山に篭ってですわと言い続けながら酔拳の型を練習しましたの」
ムキムキお嬢様「するとあら不思議、身長も2メートルまで伸びて筋肉量も増しましたわ!」
舎妹「ひゃあ……!」ガクガク
不良女「ビビることはねえよ……どうせ外見しか変わってないはずだ」
不良女「どれ、舎妹!やつにちょっかい出してこい」
舎妹「へ、へい……!」
舎妹「胸触るっすよ?」トス
ムキムキお嬢様「そういえばこの間、発剄とか言ってましたわよね?」
ムキムキお嬢様「貴方が体験させてくれたおかげで何となく原理は理解できました」ボン
舎妹「」
ムキムキお嬢様「体全体のエネルギーを胸板に集中させる…今の私に不可能なことではないですわ」
不良女「おうおうやってくれるじゃんお嬢様さん?」タンタン
ムキムキお嬢様「ピーガプースタイルですか、中々味のあることをするんじゃないですの」
ムキムキお嬢様「ですが、これで貴方の流派もバレバレですわ!ボクシングなんて……」
お嬢様「それはどうかな?」シャァッ
ムキムキお嬢様「ハイキックっ……!?なるほどボクシングと思わせた構えは上腕部に意識を逸らすための作戦……!」
不良女「正解……!そして私の足はお嬢様さんの首を死神の鎌のように刈り取る……!」
ムキムキお嬢様「まあ、貴方にしては頑張ったと言ってあげますわ」カン
不良女「クリーンヒットしたのに……手応えがまるでねえ……!」
ムキムキお嬢様「先程の発剄の応用ですわ」
ムキムキお嬢様「エネルギーを側部に集めて、ダメージを軽減したんですの」
ムキムキお嬢様「発剄は攻撃に展開されることが多いですが……その実、最もディフェンスに向いている技術なのですわ」
不良女「これは、一筋縄ではいかないようだね……」ブオッ
ムキムキお嬢様「やれやれ、やっと本気を出すんですのね」
ムキムキお嬢様「ですが、貴方の攻撃は私に一切通らないと断言しますわ!」
ムキムキお嬢様「もう一度蹴りを私に放ってきなさい!受け止めてあげます!」
不良女「お言葉に甘えて……!!」ガォン
ムキムキお嬢様「――――えっ?」
ズォォォォォ!!ガシャーンッ!!
ムキムキお嬢様「っぅ……!痛いですわ……!貴方の先ほどの蹴り、急に2本にわかれましたわ…!」
ムキムキお嬢様「一体どういうトリックを使ったんですの!?幻影と言うんじゃありませんわよね?」
不良女「キックの軌道が見えていたことは褒めてやる、あの2本はどちらも本物だよ」
ムキムキお嬢様「そ、それはありませんわ!物理的に、キックを放つ際はもう片方の足は自らの身体を支える文字通り『足かせ』になる!」
ムキムキお嬢様「ほぼ同時に、2本の足で蹴りを放てるはずがありませんわ!」
不良女「私の足を見てみなよ」
ムキムキお嬢様「義足……!?」
不良女「機械の足だよ」
不良女「人間の足が、片方でしかキックできないならさぁ……?」
不良女「機械の足にして……両方の足でキックできるようになった方がいいよねぇ?」ニヤァ
ムキムキお嬢様「狂ってますわ……!」
不良女「それは褒め言葉として認識しておくよ」ドドドド
ムキムキお嬢様「むぅ……!多角的な攻撃に対処しきれませんわ……!ブロッキングが……!」ドパン
ムキムキお嬢様「ここは一旦退散……!退散ですわ!」
不良女「床を蹴って板を飛ばすなんて漫画かよ……」シュゥゥゥゥ
不良女「クッソ……足がオーバーヒートしちまった……」
不良女「おーい舎妹ー大丈夫かー?」ペチンペチン
舎妹「うぅ……姉御……?」
舎妹「ぁ……お嬢様さんはどうなったすか……?」
不良女「あいつバケモノだよ、私が本気出しても殺せなかったし」
舎妹「あ、姉御に勝てない人間なんかいるわけないじゃないっすか!!」
不良女「だから言ったろ、あいつはバケモノだって……人間じゃねえよ」
舎妹「そ、そうっすか……」
不良女「取り敢えず師範呼んでこい師範、私の種もバレちまった」
不良女「もしかしたら次、負けるかもしれねえからな……」
舎妹「わ、わかったっす……!」トタタタタ
自室
お嬢様「別角度から同時に押し寄せるキックの対策が思いつきませんわ……」
幼馴染「お嬢様さん頭まで筋肉になっちゃったの?」
お嬢様「し、失礼ですわね!!」
幼馴染「あのね、多角的な攻撃なんて対策は簡単だよ?」
幼馴染「相手はガードが甘いところに攻撃を打ち込んでる」
幼馴染「それがわかっていれば……攻撃を誘導できるよね?」
ムキムキお嬢様「……!!」
翌日
ムキムキお嬢様「おはようございますですわ!」
不良女「おはようお嬢様さん」
ムキムキお嬢様「今日の放課後、グラウンドに来てくださいですわ!」
不良女「いいよ」
放課後
ムキムキお嬢様「逃げずに来るなんて関心しますわ!」
ムキムキお嬢様「では……お手合わせ願います」スクッ
不良女「んっ?昨日とは打って変わってスタイルが全く別だね」
不良女「左足を前に出して、右足を後方に引く……そしてなぜか左手は構えているにも関わらず右手はだらんと下がっている」
不良女「なにか企んでいるのかい?」
ムキムキお嬢様「別に企んでいませんわよ」クイクイ
不良女「手招きとは……よほど命知らずかな?」ドン
ムキムキお嬢様「いらっしゃい愚犬」タタン
不良女「急にリーチが伸びたっ……!?」ボゴンッ
不良女「わ、私はお嬢様さんのパンチが届かない絶妙な間合いでキックを放とうとしたのに……!」
ムキムキお嬢様「足さばき……瞬歩ですわ」
不良女「瞬歩……?」
ムキムキお嬢様「通常、パンチするときは右足を踏み出しながらストレートですわよね?」
ムキムキお嬢様「しかし、瞬歩は右足を二回踏み出すんですの」
ムキムキお嬢様「このようにね」タタン!
不良女「それがリーチが伸びた正体……!」
不良女「でもそれじゃあ重心移動が疎かになって威力が下がるはず…!」
ムキムキお嬢様「……震脚!」ニヤァ
ムキムキお嬢様「二回目の踏み出しの時、発剄を使いエネルギーを集中させた右足で強く地面を踏みつけるんですの」
ムキムキお嬢様「車が猛スピードで走っている時にブレーキをかけたら慣性の法則で前に吹っ飛びますわよね?」
ムキムキお嬢様「新客はそれと同じ……前に進むエネルギー……!」
不良女「前に進むエネルギー……震脚か……」
不良女「それってつまり……直進的な攻撃ってことだよね?」
ムキムキお嬢様「…………」
不良女「直進的な攻撃は避けやすいし捌きやすい……」
不良女「いくらか軌道修正は可能なんだろうけれど、気をつけていれば回避可能だよ」
ムキムキお嬢様「はい」
不良女「じゃあこっちからもう一度仕掛けるね?」ズン
ムキムキお嬢様「まぁ、こうなると思ってましたわ……そりゃ右側ががら空きなんですから右側を狙いますわよね」ツン
不良女「足離せよ……!」ドンドン
ムキムキお嬢様「貴方の片足捕まえましたわよ!!」クル
不良女「そ、その技はシャレにならない……!し、死んじゃうから……!」
ムキムキお嬢様「ド ラ ゴ ン ス ク リ ュ ー」
不良女「」バコン
ムキムキお嬢様「あら?不自然に捻った所為で足が取れちゃいましたわ」ポロ
ドラゴンスクリュー
https://www.youtube.com/watch?v=Lik0-SqDWGk
ひどい時は靭帯が切れる
震脚
https://www.youtube.com/watch?v=fssv2uN5o2E
1:08から
達人だと震脚の打撃で内蔵破裂させることができるらしい
僕はアパートで震脚の練習をしていたら大家さんと下の階に住んでる人が鬼の形相で乗り込んできた
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