【デレマス】美城「武内プロデュース?特撮編」 (265)

美城専務がCPの要求にこたえ、武内Pをプロデュース!今回はその特撮編となります。

アニメ版デレマス終了後、武内P成分不足を補うつもりで書き始めたSSです。

・キャラ崩壊あり
・ご都合主義的解釈&設定あり
・この物語はフィクションにつき、実在の個人・団体とは一切関係ございません。

基本レジュメは出来ていますので、今日明日でのんびり完成させていきます。

では、よろしくお願いいたします。

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1463923452


--346プロダクション 美城専務オフィス内


美城 「…一体何事だ?シンデレラプロジェクト(以下 CP)の面々が総出とは、穏やかではないが…」

美波 「単刀直入に申し上げます…アニメ第二期、または劇場版の制作を直訴しに来ました」

美城 「ハァ…またその話か。一体何度このやり取りを繰り返してきたと思っている?」

アーニャ 「10 раз…まだ10回目、です」

美城 「2ndシーズンが終わってから、ほぼ毎月1回以上来ているじゃないか!」


蘭子 「わ、我らが情念が成就するまでは、幾度の困難も討ち果たさん覚悟!(わ、私達の願いが叶うまでは、どんな困難にも乗り越えてみせます!)」

美城 「あのな…別に私自身が、君達に試練を与えている訳では無いのだ…以前と違ってな?」

莉嘉 「えーっ、本当にーっ?」

美城 「いみじくも芸能業界最前線に立つ君たちが、だ。製作委員会の一代表に過ぎない私の一存で決めれるものでは無い事を、知らぬ訳があるまいに…」

凜 「でも、もう私達には一刻の猶予も無いんだ…こんなやり取りですら無駄に思えて来るほどにっ!!」

卯月 「はーい、凜ちゃん落ち着いてー?どうどう」

美城 「私の見込んだクール属性の君ですら、思わず敬語すら使わなくなってしまう程に追い詰められる懸念事項とは、一体何だ?」

みく 「…本当に解らないなら無能だし、解らない振りをしているのなら尚更愚かな事だにゃ」

李衣菜「海外組んだりまで、一体何を学んで来やがった?…ったくRockじゃねーぜ…」

美城 「うぉいっ!?もはやキャラまでブレてるぞアスタリスク(以下 *)!」


未央 「見ての通り…私達は今、深刻な"武内プロデューサー"(以下 武P)不足にさい悩まされているんだよ!」

美城 「見ただけでは到底分からんよ!…だが、アニメ化に際してのドキュメント形式での撮影も終わり、また武Pと人目を憚らず一緒の仕事に戻れると喜んで…」

かな子「違うの…違うんです美城専務!それ自体はすごく喜ばしい事なんです!!けど…」

智絵里「その…テレビを、画面を通じて見た武Pは、また違った魅力が有って…でもメディア露出が極端に減って、武Pロスが…」

きらり「…テレビや映画なら、何時でもその魅力をキープ出来るってゆーか、グッズ展開で幅広く楽しめるというか…キャーッハズカスィ!」

美城 「…生娘じゃあるまいし(暴言)」

きらり「生娘じゃなきゃ、アイドルなんか出来ません(建前)」

美城 「ぐぅ(普通の話し方の諸星マジ怖ぇ)」

杏 「正直、皆のパフォーマンス力が著しく低下してきててフォローが大変なんだよね…これは由々しき事態だと思うんだけど?」

美城 「…ふ、フンッ!私を脅すとは、お門違いも甚だしい。CP管轄の責任は、全て武Pにある。実力の伴わない担当と部門は、切り離すのみ…」

みりあ「 ウ ソ だ っ ! ! 」

美城 「…え?あ、み、みりあ、ちゃん?そ、そんな芸能人がしちゃいけない顔しちゃ…」オロオロ

美波 「…身も心も砂糖菓子のように甘く蕩ける、魅力的なツンデレやり取りは、他の優秀なSS作者様に任せておけば良いんです」

アーニャ 「Мета замечание … メタ発言も甚だしいです…」

蘭子 「魂を解放せよ…継母たる貴女よ。魔法使いを溺愛しているや否や?(ぶっちゃけ…美城常務。武Pの事、大好きですよね?)」

美城 「…そんな事は、無いもの」プイッ

莉嘉 「でもでも、武Pを…ええと、アラタメテ売り込んでいるんでしょー?」

美城 「そうだ。調べてみれば、彼に対する世間の評価は、アイドルたる君達に負けず劣らずという…誰に聞いた?」

凜 「ちひろさん。ちなみに専務のこの時間のアポを押さえたのもそう。じっくり何を企んでいるか聞き出してこいって」

美城 「鬼!悪魔!!ちっひー!!!」

卯月 「ちなみにこのSSでの私達は、武Pへのラブバカ言動を一才隠しません!アルパカ大好き、島村卯月ですっ!!」

みく 「全然上手いこと言えてないニャ」

李衣菜「…私達の武Pを、まさか冷やかしだけで動かすつもりじゃねーだろうな?」ギロリ

みく 「いい加減帰ってくるにゃ、李衣菜ちゃん。夏樹ちゃん経由の友達付き合いに影響され過ぎにゃ」

美城 「…そんなつもりは全く無い。冷静な判断のもと、物と成りそうな者は売り出していく。ただ、それだけの事だ」

未央 「して、その本音は?」

美城 「我々には、武P成分が足らない。火急的対策が必要だ」

智絵里「さすが美城専務、共感して頂き恐縮ですぅ!こちら、お礼の四葉のクローバー!ヨツバヨツバヨツバヨツバヨツバヨツバヨツバヨツバヨツバ…!!」

かな子「ご褒美に私謹製のクッキー詰め合わせを無理矢理食べさせてあげます…逃げないで!美味しいから大丈夫だよぉ!!」

美城 「ハァ…ハァ…ま、全く、どいつもこいつも…。落ち着きなさい。相談を受けた当初から、様々な方法を模索してきたんだ」

みりあ「わぁい!美城せんむだーい好き!いつも通りなでなで抱っこしてあげるね?」

美城 「ふ、フヒヒ…もう少し確定してから報告するつもりだったのだが、良い頃合いだったのかもしれん…」

美波 「それはどういう意味、ですか?」

美城 「今回のプロジェクトは、346プロの総力を上げた物となる。当然君達CPには、彼の最も身近な関係者として、全面的に参加してもらうつもりだからだ」

アーニャ 「конечно…武Pのためなら喜んで。ですが一体何をしようとしているのですか?」

美城 「今年10月から始まる特撮ドラマの主演を勝ち取った…名付けて"武内プロデュース~特撮編"だっ!!」

ガタッ!

アーニャ 「!ミ…ミイヌァムィ?」

美波 「そ…その特撮タイトルは?」

美城 「…マスク・ド・ライダー P」

ガタッ!!

杏 「…昭和に5作、平成に入り既に10作を越え、戦士・ユニバースマンと並ぶ日本三大特撮シリーズの主演…だ、と…?」

きらり「インドア派の杏ちゃんは、こういう方面も強いにぃ」

ガタタッ!

凜 「み、未央まで?!」

未央 「…今や人気芸能人への登龍門とも言われ、お子様はおろか奥様方の支持も熱い特撮ヒーローに、よもやあの武Pをブチ込むとは…!」

卯月 「…!(これが便乗ノリ…やってみたかったんですね、未央ちゃん!)」

莉嘉 「武Pクンが変身して戦ったりしちゃうの?かなり見てみたいかも!」

智絵里「そ、それって、カッコいい武Pが見放題って事ですよね?」

蘭子 「ぼ…望外の超展開!グリモワールが厚くなる…(な、何というサプライズ!妄想が止まらなくなっちゃうよー…)」

李衣菜「で、でもさ…芸能関係者としてあまり言いたくないけど、結局は子供番組でしょ?」

みく 「冷静に見れば所謂、玩具販売推奨番組。あまり役者の立ち入る隙は無いように思えるにゃ」

未央 「さすが芸能界随一の常識家にして、CP内のムライ中将と言われる*さん。あえて苦言を呈してきましたなー?」

李衣菜「何か暗に無個性なつまらないユニットってdisってない!?」

かな子「ノリが悪くて失望しました。みくにゃんのファンやめてお菓子を食べます」モグモグ

みく 「何でみくだけ?!あとお菓子を食べるだけでキャラ押しきってくるのは、流石に乱暴と言わざるをえないにゃ!!」

美波 「杏ちゃんは置いておいて…私と未央ちゃんの共通項って分かる?」

みく 「そしてCPリーダー自らによる、乱暴な話題転換にゃ?!」

未央 「ヒントは、家族構成だよ?」

卯月 「んー…兄弟がいる事?」

凜 「ああ、そうか。兄弟は兄弟でも…弟がいるってとこ」

未央 「ピンポーン、さっすが渋リン!ついでにさ、しまむー。私や美波ちゃんが特撮ヒーロー好きに見えるかな?」

卯月 「情報や話題として知ってるだろうけど、特別好きには見えませんね…」

凜 「だからこそ、美波さんと未央がそこまで食い付くのに疑問があったんだけど…なるほど。弟さんの影響で見たことがあったって訳か」

未央 「その通り!もちろん最初は何の興味も無かったんだけど…一緒に見ているうちに、すっかり嵌まっちゃったんだ」

美波 「そうね。弟が見なくなってからは、休日の早朝という事もあって自然と視聴習慣も無くなったんだけど…あれは何だったんだろう」

杏 「…自分とこの芸能人を売り込む事ばかり気にして、恋愛脳だけでしょーもないオリジナル垂れ流しては視聴率が落ちたと大騒ぎ」

智絵里「…あ、杏ちゃん!?お仕事の時とテンションが全く違う…」

杏 「手前の責任にしたくないという理由だけで漫画原作を引っ張ってくるも、リスペクトなんか無いから改悪し、結果誰も得をしない」

かな子「杏ちゃん、何か怒ってる!?きっとお腹が空いてるからだよ。お菓子食べる?」モグモグ

杏 「はっきり言うと…今時のドラマは特撮アニメに遥かに劣る!子供の共感を呼び、親をも楽しませようとする特撮ヒーロー物とは、志からして違うんだよ!」

きらり「私達、一応芸能関係者だしぃ…そういう事言うのはメッ!だにぃ」

杏 「良いんだよ。だって杏は、もう何時だって辞める覚悟だから!盛大に某D社をdisっていくスタイル。杏は自分を曲げないよ?」ドヤァ

みく 「みくのスタイルが盛大にdisられてるにゃ?!」

李衣菜「か、カッコいい…これぞロック!」

杏 「でも流石のプロデュース能力だね?美城専務…流石の私も、いきなりそこにブチ込んでくるとは思わなかったよ…」

未央 「…皆、覚悟して?これからの狂乱な…お祭り騒ぎな一年を…!」

美波 「そして…一年後に襲い来る、まるで仲良しの親友を引越しで失うような…今以上のロス感を!!」

杏 「怖い人だよ、アンタは。結局それは、更なる地獄への片道切符じゃんか…」ニヤリ

美城 「…それを望んだのは、他ならぬ君達だ。それが若さの特権とはいえ、事を早急に要求し過ぎたのだよ…」フッ

ドアヒラキオン ガチャッ

ちひろ「…お話は全て聞かせて頂きました。そうと決まれば、もう時間は余りありませんよ?皆さん」

美城 「…色々突っ込みたいところだが…丁度良かった。私も、君に頼みたい事がある」

ちひろ「…武Pのためならば、何なりと」ニッコリ

美波 「…それじゃあ皆、行きましょうか!武内プロデュース特撮編、レディー…?」

CP 「「「「「 G O I N !」」」」」

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皆さん、いかがお過ごしですか?
CPの島村 卯月です。

あれからの半年間。CP…いえ346プロは、全社をあげての武内プロデュースにより、上へ下への大騒ぎとなりました。

新メンバーのプロデュースをこなしながらの特撮ヒーローとの2束のわらじ…武Pさんは本当に大変だったと思います。

ですが私達CPにとっては…武Pさんには大変申し訳ないのですが、至福の時間となりました。

本編撮影時は、普段のアイドルとPの関係ではなく…同じ出演者としての同僚の立場。そして、芸能人としての先輩・後輩逆転構造の間柄。

アドバイスを請われ、不器用ながら真摯に実行する姿を見守り、良い結果が出ると共に喜びあう。

そんな新たな関係を築けた事が、新たな表情を見せてくれた事が、私達にはたまらなく嬉しかったのです。

そして怒濤の制作発表、CM撮影、仮編集へのアフレコ等を経て…放送約1週間前。

ついに第一話本編が完成し、CPメンバーだけの特別試写会を行う事となりました!


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--346プロダクション CPルーム内(別名:武内Pオフィス)


かな子「はーい、みんなー?お菓子にジュースは行き渡ったー?」

李衣菜「音声・画質・調整。ええと…うん、問題ないね!」

莉嘉 「へへっ…何かこういうの、ワクワクするよねー?」

みりあ「うん!でも映画見る時よりドキドキする!」

未央 「はい皆さん、静粛に!…それじゃあ早速試写会と行きますか。総合司会は私、本田 未央…」

凜 「引っ込め、未央ー!」

未央 「っと、いきなりそりゃないよ、渋リン!」

CP 「「「アハハハハハ!」」」

卯月 「凜ちゃんも皆も、凄く楽しそうです!」

みく 「久々のCP勢揃いだから、自然とテンションもアップしちゃうにゃ!」

未央 「業界的観点の解説を杏ちゃん。視聴者的観点の解説をミナミンに、各々お願いするよ?」

杏 「極めて個人的な観点から、勝手に裏を想像しちゃうよー?」

きらり「もう少しこのやる気を仕事で見せてくれたら、武Pチャンも楽になると思うにぃ」

杏 「ま、真顔で言うな!」

CP 「「「アハハハハハ!」」」

美波 「皆さんが少しでも楽しく見れる手助けが出来るよう、微力ながら精一杯務めさせて頂きます!」

アーニャ 「あ…Я люблю!!!」

CP 「「「??????」」」

美波 「あ、アーニャちゃん…そ、そんなぁ…」カオマッカ

アーニャ 「あ、ご、ゴメンナサイ…」カオマッカ

蘭子 「…ドンマイ。私なんかしょっちゅうだから」サトリガオ

智絵里「な、ナンデヤネン!…蘭子ちゃん、キャラ忘れてるよ?」

李衣菜「カーテンは閉めたよね?…それじゃあ皆、部屋の電気消したら再生するよー?」


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【マスク・ド・ライダーP 第1話~アバン】


夕暮れ迫る頃、一人のサラリーマンが家路を急いでいる。

サラリーマンとはいえ、その容姿は世間の常識から見れば規格外の何者でも無い。
180を越える長身。鍛え抜かれたその肉体は、無難な背広越しにもその存在感を際立たせている。

そして何よりも特徴的なのは、清潔にまとめられた髪の下の面構えだ。
目の座った三白眼、薄い唇、通った鼻筋。
人の情けを全く感じさせないそれは、暴力を生業とする者を想像させる。

だが、彼を知る者達はその第一印象を一笑に伏す。現に今、彼はすれ違う人々から囁くような笑顔を引き出していた。

なぜなら、巨漢に似合わぬキビキビとした歩みの最中、小さな児童書を片手で器用に捲りながら…彼は表情1つ変えず滂沱の涙を流していたからだ。

原題「A Dog of Flanders and Other stories」…日本では「フランダースの犬」として知られる児童書をパタリと閉じ、彼は一人ごちる。

「…パトラッシュとネロの事を思うと、とても哀しい気持ちになります。せめて…せめて最期は、最高の笑顔をもって天に召されたと信じましょう」

鼻を一すすりし、そっとハンカチで涙を拭うこの青年…「パワー オブ スマイル」を座右の銘に、日々人々の笑顔のために戦う男。

その名は武内、20代半ば。大手芸能プロダクション346に属するれっきとした…アイドルプロデューサーである。



…と、急に彼は厳しい顔つきでとある方面を見据える。神経を研ぎ澄まし耳を澄ますと、かすかに少女たちの悲鳴を聞き取った。

「…しまった!待っていて下さい、今すぐ向かいますから!!」


場面は変わり、全身を黒いライトアーマーで覆った何者からに追われ、裏道を必死に逃げ回る二人の少女たちが映し出される。

「…ほら、みりあちゃん!もうすぐ表通りだから頑張って!」

「莉嘉お姉ちゃん…待って…もう、足が…きゃあっ!!」

揉んどり打つように地面に転がる二人。
大人達の脚力の前では、逃げおおせるはずもない。


…Iレベルハユウニ20ヲコエテイマス

…ホカクタイショウトシテジュウブンナレベルダナ

…ツレカエルゾコレデノルマタッセイダ!

マスク越しのくぐもった声で、何事かを呟きあう男たちの手が二人に伸びる。思わず身をすくめ堅く目を閉ざす少女たち…だが、聞きなれた声が彼女達の耳を打つ。

「…莉嘉さんっ!みりあさんっ!大丈夫ですか!?」

「えっ?!」




危機的状況からの一転に理解が追い付かず、思わず呆然とする二人。

「…ハアッ!」

その目の前で、武内は突入ざまに一人をタックルにて壁に打ち据え、その反動を乗せ大きく振り上げた長い足の踵落としを向かいの一人の肩に叩き込む。

リーダーらしき男は数メートル先で狼狽気味に様子を伺っている…今のうちだ。武内は少女たちの目線にまで身をしゃがめ、素早く二人の状態を確認しつつ、落ち着かせるために声をかける。

「…よく頑張りましたね?もう、大丈夫ですよ…」ニコッ




次第に状況を理解していくに従い、二人の顔に満面の笑顔が広がっていく。

「た…武内クン!」

「武内の…お兄ちゃんだぁ!」

抱きついてくる二人の頭を撫でた後、そのまま彼は左右に軽々と抱き抱え、両手を太い首に巻き付けるよう促す。

「二人ともしっかり掴まり、ぎゅっと目をつむっていてください…ジェットコースターみたいなものです。すぐ終わりにしますから、ね?」

「分かった!」

「うん!」



彼に全幅の信頼を寄せるが故、何の疑いも不安も無く素直に目をつぶりしがみつく二人。
彼女たちに汚いものを見せたくはない。奴らの姿も、怒りの衝動に駆られる自分の姿も…。

リーダーらしき男がナイフを持ち突っ込んできたのはその瞬間だった。両手を塞がれたと踏んだ上での行動だったのだろう。が…彼の真骨頂は足の方だったのだ。

…ズ、パッ…!

一瞬…いや、意識を失う直前まで、男は武内に何をされたのか分からなかっただろう。

彼は突っ込んでくる勢いをそのまま利用し、足払いで相手を回転させて浮かせた後、踵落としで男の体を強かに床に叩きつけたのだ。


再び裏道を静寂が支配した。武内は二人を左右に抱えたまま表通りに向かう。

「…終わりました。もう目を開けて良いですよ?」

「んん…って、武内クンここもう表通りじゃない?!」

「皆見てて恥ずかしい…いいから、下ろして!」

「駄目です。足を怪我しているでしょう?このままお家まで送らせて下さい」



ジタバタと抵抗するも、しっかり支える武内の手は外せない。

「…あれえ?お兄ちゃん、泣いてたの?」

「え?いや…みりあさんからお借りした本を読んで」

「えー?ププッ…武内クン、大人なのにー?」

「嬉しいな!また良い本貸してあげるね!」

「はい。お願いします」



「ブーッ!私も武内クンに本貸してあげる!カブトムシ図鑑!」

「カブトムシ、好きですよ…」

早々に抵抗を諦めた二人は、武内の視線の風景を楽しみつつ何気ない会話に興じていくのだった…。


【アバンパート 終了】
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--346プロダクション CPルーム内(別名:武内Pオフィス)


CP 「「「・・・・・・」」」

CP 「「「・・・・・・」」」

CP 「「「・・・・・・」」」

CP 「「「・・・・・・」」」

CP 「「「・・・・・・」」」



李衣菜「…(あ、アバン終了で止めて、電気点けて正解だよね?ね!)」アセアセアセアセ

未央 「…(せ、正解正解!…李衣菜ちゃんグッジョブ・)」コクコクコクコク

みく 「…(ってゆーか…何なんコレ…何なんコレ?!)」フルフルフルフル

杏 「…(濃厚過ぎんだよ重すぎなんだよ刺激が強すぎて皆戸惑ってんじゃんまだアバンだけなんだよ?)」アタタタタタ

アーニャ 「…(…девственница…危うくミナミより先に大人の階段を登ってしまう所でした…)」サスサスサスサス

かな子「…(お、お菓子食べてなければ情報過多で即死だったよ…)」モグモグモグモグ



美波 「…ハッ!あ、危なかった…こ、この程度のエロ話など、だ、大学生で大人なわ、私には効きませんけど、それが何か?」ハアハアハアハア

杏 「ダメージ、受けまくりじゃん…第一、エロ話じゃないし」

未央 「…み、みなみんと杏ちゃんの意識が帰ってきてくれたのは行幸だったよ…正直、総合司会じゃなかったら、わ、私もまだ意識飛ばしてたいもん…」

杏 「み、未央、どうする?取り合えずアイドリング的に、杏が武Pと無関係な話から解説していこうか?」

未央 「お、お願い…皆が混乱から戻ってきたら、改めて何だかよく分からないこのダメージの原因を追求しておこう…今後のためにも」



美波 「…いきなり一人で見なくて良かった…珍しく参加率100%だった要因の1つは、皆、無意識にこうなる可能性を怖れていたからなんだわ…」

未央 「武P成分過剰摂取による、心のオーバーヒート対策ね…じゃ、じゃじゃじゃじゃあ、杏ちゃん?早速だけど、始めようか」

杏 「オッケー。…OP削除した分を、全て掴みのアバンに割り振ってきてたよね?」

未央 「確かに、30分番組にしては長かった気がしたよ。その心は?」



杏 「マスク・ド・ライバー最初のクライマックスは、何といっても初変身シーンなんだ。ここで最大のインパクトを与えるために、変身後の姿が映っちゃうOPをあえてカットした」

凜 「…ハッ!いけないいけない。最初からクライマックスだったよ…」フゥ

卯月 「…ハッ!私、参上!」バッ

未央 「おかえり、しぶりん。しまむー」

杏 「OPが間に合わなかったんじゃないか、って意地悪な見方もあるんだけどね?特撮は画面効果にどうしても時間がかかるし」

未央 「番組構成まで演出として捉えてるんだね?」

杏 「そう。恐らくアバンとAパート間にCMとして入るのは、無難なマックのハッピーセット等のファミリー向けと…前作ド・ライバー商品関連のみと見た」



未央 「そこまで徹底するんだ?関係各位への連絡と調整考えるだけでゾッとするよ…」

杏 「そう…1つの番組にはご存じの通り様々な人、企業が参加する。自身と他社の利害関係が複雑に交差する、いわば魔窟!」

蘭子 「…ハッ!深淵からの呼び声!?」

アーニャ 「Добро пожаловать、ルァンコ」

杏 「たった一回きりの放送のために、見たいCMが入り、予告テロップも粋、提供場面でのお遊びまで楽しませる番組は、良いスタッフにより良い連携が出来ている証拠なんだ!」



きらり「…ハッ!何だか杏ちゃんらしくない事を言ってる気がする…大丈夫かにぃ?」

杏 「起きて早々失礼な。ついでに智絵里ちゃんも起こしてあげてくれる?」

きらり「了解だにぃ。智絵里ちゃーん?しっかりー!」

智絵里「…ハッ!あともう少しでウサミン星のうさぎさんに会えるとこでした!」

杏 「智絵里ちゃん?それは夢だ。夢からはいつか覚めなきゃいけないんだよ…」

美波 「…でも、そういうスタッフロールに乗らない無名の協力者の皆さんの存在を、私達は忘れてはいけないわね」



未央 「まとめも入った所でこの話題は止めて…杏ちゃん、他に何かある?」

杏 「あーこれは個人的に聞きたかった事なんだけど…そういえば莉嘉ちゃんとみりあちゃんは?」

莉嘉 「…」カオマッカ

みりあ「…」カオマッカ

未央 「意識が飛んでた訳じゃ無いみたいだけど…どったの?」

莉嘉 「さ、撮影の時は気にならなかったんだけど…」

みりあ「いざ見てみると…あ、あんなにくっついてたんだなあ…って」

莉嘉 「…あーもうっ!私どうしちゃったんだろー?」

みりあ「あ…熱いの、止まんないよー!」



CP 「「「あー…(目覚めちゃったかあ…)」」」

杏 「ま、まあいいや。二人とも、このアバンで武Pと一緒に撮影したパートはどこまで?」

みりあ「?何言ってるの杏ちゃん?」

莉嘉 「やだなあ杏ちゃん、これ全部私達だよ」

杏 「はぁ?!仮にも素人とアイドルだよ?こんな危険な身を張るアクションは、普通代役かスタント雇うものなの!」

みりあ「え?武P自身がド・ライバーもやるんじゃないの?」

未央 「いや流石にそれは無い」



莉嘉 「でも武Pクン、アクションシーンはほとんど一発オッケーだったよ?スゴいよね!」ポヤポヤ

みりあ「ね!…カッコ良かったなー…ちゃんと私達を守りながら気をつけてくれて…」ポヤポヤ

美波 「…これ絶対武道やってるわよね…体つきを見たときからそうじゃないかと思ってたけど…」ブツブツ

アーニャ 「похотливый…さらっとトンデモ情報を紛れ込ませないで下さい」



杏 「マジでか…ま、とにかく貴重な情報をありがとう」

凜 「…(う、羨ましいッ!)」ギリッ

智絵里「…(わ、私も武Pに守ってほしいですッ!)」ギリッ

未央 「…自重なさいって二人とも。大人気ない…」

杏 「…あ、杏の話はこれでおしまい。それにしても…そっか。皆出演者だから、話せば自然と撮影秘話や裏話になるんだ…」

美波 「こういうお話も、一人だけで見てたら分からなかったわね…」



未央 「それじゃあ皆の意識も帰ってきた所で、みなみんの話を聞こうかな?」

美波 「…それじゃあ今後のためにも、なぜ私達に、武P成分過剰摂取による心のオーバーヒートが起きたのか…そこを解説していくね?」

未央 「うんお願い。まずは敵(?)を正確に把握しないと、覚悟も対策も出来ないからね」


アドバイスありがとうございます!
以降修正対応させて頂きます。

思ったよりも時間がかかっている上、ちょっと用事が入ってしまいました。今日はアップできなさそうです。すいません。

このペースだと2、3日かかりそうなので、品質維持のためにも気長にお付き合いください。

ちなみにレジュメは未だ三分の二が残ってます…



美波 「二つあって、まず一番の理由は…この短いアバンの中に、武Pのグッとくるレアな表情が超・凝縮されまくっている事!」

CP 「「「そ、それだーっ!!」」」

美波 「既に永久保存確定事項!…あまりに…あまりにも良すぎるのよ!」



蘭子 「…我々と邪神との邂逅は、二つの四季を跨がるに至るが…(…私達と武Pのお付き合いは、一年以上の長きに渡りますが…)」

アーニャ 「к сожалению…彼の表情が変わるのをほとんど見たことがありません…」

李衣菜「たまに良い表情をしている時も…大体私達がどうにかなっちゃってる時ばかりだから…」

きらり「携帯で写真に残すことも出来ないにぃ…」

卯月 「今では…ホンの僅かな表情の違いを読み取り、一喜一憂している私達…」

凛 「その…私達が一年以上をかけてコツコツと積み重ねてきた武P表情の心のメモリーを…」

みく 「この番組は、たった5分のアバンで軽々と超えてしまったのにゃ!」



美波 「もうね?初視聴者の皆さんにはね?怖い顔ながらも喜怒哀楽のある、ギャップの素敵な愛されキャラとして認識されると思うの」

智絵里「それ自体は、とても良いことだな、って。」

かな子「でも…私達だけの武Pが、普通に身近になりすぎて…」

卯月 「付き合いが長い私達だからこその、ショックですよねえ…」

杏 「こりゃよっぽどの監督かカメラマンだよ?この短期間で武Pの魅力を的確にフィルムに焼き付けるなんて…一体何者なんだ?」

???「…(フフフ…詮索は余計な課金を生みますよ?)」


未央 「笑顔・怒り顔・哀しい顔・泣き顔・真面目な顔…どれもレアだけど、特に良いこの笑顔は、コンサート後位しかお目にかかれないもん」

みりあ「未央ちゃん、それ当たりだよ!」

未央 「へ?何が?」

莉嘉 「武Pクンね?アクションは得意なんだけど、とにかく演技での表情が堅いんだって。何回も何回もやり直しで可哀想になっちゃったくらい」

みりあ「でもね?CPコンサート後に私達を出迎えた時の事を思い出しながら演技したら、自然と出来たんだって」

未央 「そ、そっか…」


蘭子 「…(な、何だかよく分からないけど、何か悔しいです!)」ヌヌヌ

卯月 「…(笑顔といえば私、島村 卯月!私にも…私だけに、微笑んでほしい位なのに!)」ヌヌヌ

杏 「こらこら。仕事。演技。ドラマだから




美波 「…そ、それじゃあ気を取り直して、次に行くね?二番目の理由は…苗字ではなく名前呼びな事!」

CP 「「「それもだっ!!!」」」

未央 「一度言葉使いをくだけさせようとしたものの、見事に立ち消えちゃったからねえ…」

杏 「フッフッフー。でも皆、これに関しては安心だ!今回のお仕事では、嫌でも名前呼びせざるを得ない!なぜなら…」

CP 「「「登場人物表記が名前だから!」」」


莉嘉 「でも皆、気をつけてね?…本読みやリハで何回か呼んでもらって、大分慣れたと思ってても…」

みりあ「いざ本番になって、武Pの必死な声で名前を呼ばれちゃうと…一瞬頭の中が真っ白になっちゃうんだから!」

CP 「「「…確かに!!!」」」

未央 「その危険性、分かるかも…あの低音ボイスで責められると、何かゾクゾクするというか…」ポヤポヤ

美波 「…どんな無茶なお願いでも、聞いてあげたくなっちゃうんだよね…」ポヤポヤ

杏 「おーい…帰ってこーい。」


美波 「ハッ!…そ、そうよね?ごめんなさい、取り乱しちゃって…」

未央 「と、とにかく、これで武P成分過剰摂取による、心のオーバーヒートの原因は明確化したわけだ」

杏 「そろそろ鑑賞会の再開といこうか。李衣菜ちゃん?」

李衣菜「オッケー。…それじゃあ皆、また部屋の電気消したら再生するよー?」


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【マスク・ド・ライダーP 第1話~Aパート】


時は20X5年。

一見平和な日本では、何度めかのアイドル戦国時代を迎えていた。

華やかなアイドル業界を光とするなら、やはりそれに寄り添うような影もまた存在する。

「F.I.P.」(通称:フィップ)と呼ばれる謎の組織により、有名無名なアイドル達が連れ去られるという事件が後を絶たなくなったのだ。

警察をも超える武力を持つと噂される彼らだが、未だその正体はおろか、足取りすら掴む事すら出来ない。

一種のテロリスト並の危険性と、証拠1つ残さぬ隠密性…。更には、一般人には手を出さないという暗黙の了解が、警察の捜査の手を鈍らせている事は、誰の目にも明らかだった。


アイドルを抱える芸能プロダクション各社は、自衛のための対策を余儀無くされる。

アイドルに最も身近な、アイドルを最もよく知る担当「プロデューサー」に特殊装備を施し、身辺警護を行わせるようになったのだ。

アイドルという歌姫を護るべく、命を懸けて身も心も捧げる、現代に甦った武装騎士。
いつしか人は彼らをこう呼ぶようになった…

「マスク・ド・ライバー P」(タイトルロゴ)



「…始めまして。346プロ所属、CPをプロデュースしております、武内と申します。」

「?!と、唐突に何だ貴様は?き、危機的状況を理解していないとでも?(?!な、何ですかあなたは?この状況を理解していないんですか?)」

まず"二拝二拍手一拝"の、二拝の内の最初の一拝とは、社会人として当然の礼節「初対面時の挨拶」を指す。

斜め45度の会釈と共に、両手を名刺に添え、確実に相手との距離を詰め、会話ペースを物にする。


「…せめて、名刺だけでも。」

「こ、降臨の時…(は、はじめまして…)」

南無三!…げんに狼狽しながらも、蘭子の手には既に彼の名刺が握られているッ…。
これは名刺分の自己紹介を自然と強いられる武Pによる強力な呼び水!

「…ま、まあ良い。残された僅かな生の一時、貴様を地獄へと誘う者の名をしかと刻むが良い!我が名は蘭子…"蘭子・ラビリンス"!しかと覚えよ…!(…い、良いわ。僅かな時間しか会わないけど、しっかり私の名前を覚えてね?蘭子って言います…!)」

「蘭子・ラビリンスさん、ですね?」


ちなみにこのやり取りは、彼の誠心誠意溢れる志から自然と滲み出てくるものであり、ニンジャ的なものとは一切関係が無い事を明記しておく。

「蘭子さん…良い、お名前です。それに、貴女の良さを引き立たせるゴスロリ調のトータルコーディネート。お若いのに、既に唯一無二な強力な個性を発揮されています…」

「や、躍動の時はこれから…さらなる覚醒の時を待て(そ、そんな。私なんかまだまだで…もっと頑張らないと)」

「それで、その…蘭子さん。アイドルに、興味ありませんか?」

「…は?(…は?)」


残る二拝の残り一拝の段階で、彼は出し惜しみせず彼女自身の魅力を伝え、プロデュースを申し出る…武P伝家の宝刀「スカウト(説得)」だ!

武内Pにとって、F.I.P.所属の闇アイドルに対する見方は、大別して二つに分けられる。

1つは誘拐された他芸能事務所所属の者。この場合、速やかに相手を確保し、所属先に帰す。
そしてもう1つは、アイドルの才溢れる無所属の闇アイドルか素人…これ即ち、漏れ無く彼にとっての"スカウト対象者"となりうる。



「わ…我が心が、堕天使たちの世界の…禁断の扉を開けぬ訳など無い。戯れを言うな!我が僕よ、やれ!!(…わ、私がアイドルに興味が無い訳がありませんっ。私をバカにしてるんですね!戦闘員の皆さん、やっちゃいなさい!!)」

「…闇に呑まれよ!(キーッ!)」

「やみのま!(キーッ!)」

「魂の礼拝を!(キーッ!)」

「キーッ!(キーッ!)」

ガッ…ガカッ…ビシッ…ザシュッ…ドッ…!!

「ぐうっ…ば、バカになど…っ、しては…いませんっ!わ、私は…本気で、貴女をっ!!」


"二拝二拍手一拝"の、二拍手の内の最初の一拍手とは、時と場合と空気を読まない武Pに対し、必ず襲い来る不信への対応…言わば"手痛い洗礼の儀式"!

この際、襲い来る敵からの攻撃に関しては、それすらも"メッセージ"として捉え、極力受け止め、流し、避け、反撃は決して行わない。

そして二拍手の残り一拍手が、武Pの真骨頂。
傷付きながらも尚、"武"では無く"言葉"による「熱き魂の打撃」を、夢見る少女の"心"に叩き込むのだ!

バシィ!

「ぐうっ…い、今…あなたは、楽しいですか?」

「?!」



グイッ…

「あなたは…はぁっ…はぁっ…今、夢中になれる何かを…心動かされる何かを持っていますか?」

「わ…我が禁忌に触れようというのか?!(貴方に…私の何が分かるというの?!)」

ドスッ!

「すっ!…す、少しでも…君が夢中になれる何かを探しているのなら…ガハァッ!…一度踏み込んでみませんか?」

「こ、言の葉は不得手…秘めたる真意を伝える秘術は無いものか…(言えない…アイドルに憧れながら成れず、闇アイドルに甘んじていたなど…)」


「…し、質問しても良いでしょうか…アイドルに憧れる立場から、闇アイドルに至るには…どのような経緯があったのですか?」

「?!(?!)」…トゥンク…

「とても…とても、大事な事だと思うのですが」

「…よ、よかろう!聞くがよいっ!!」


蘭子は夢中になって話をした。




一人の少女はアイドルの夢を持ち、自らを律し、鍛え、芸能界の扉を開いた。
だが彼女の不幸は、自分なりの明確な理想とビジョン…自己プロデュース能力を持っていた事だった。

個性を追求すればするほど世間と剥離し、理解者はいなくなる。
やがて彼女は表街道を歩む事を諦め、闇アイドルの道を選ぶ。

そこでの自己プロデュースは過酷を極めた。
何度も人を信じ、仲間を信じ、ファンを信じ、裏切られてきた。
絶望を抱えたまま、F.I.P.の誘いに乗り、今に至る…と。



何も多くを望んでいた訳では無い。
ただ、分かってくれようと歩み寄る優しさと、信じた道を力強く後押ししてくれる強さを持つ、たった一人の存在が欲しかっただけなのだ。

「改めて言います。少しでも君が夢中になれる何かがあるのなら……もう一度、踏み込んでみませんか?そこにはきっと、別の世界が広がっています」

いつの間にか戦闘員からの攻撃は止んでいた。彼女の心がそうさせたのだ。

「…やがて我も、真の魔王への覚醒が?(…私なんかが、またアイドルを目指しても良いのかな?)」…トゥンク…


彼の"二拝二礼一拝"は、彼の望む最も理想的な形で実を結びつつあった…つまり「変身」せず、スカウトを成功させるという心の無血開城・平和的解決である。

「…もちろんです」

「我が背中に…翼を授けん?(貴方が…私を支え、夢へ導いてくれますか?)」…トゥンク…

「…大丈夫。私が全ての責任をもって受け止めますから」

彼女はついに意を決して声に出す。



「わ、私!貴方となら…F.I.P.を抜けてアイドルに…!」

Prrrrr… Prrrrr… Prrrrr…

ふと鳴り響く武内Pの携帯音。
これは、緊急連絡用の物だ。

「失礼…至急の件なようです。少しお待ち下さい」

「…あ、うん。」



思わず素で返してしまう蘭子。

武Pからの熱き"スカウト"により、今の蘭子は一時的ながらF.I.P.の洗脳から解放され、素の人間性が露になっている。

何しろ訓練生の時も、裏アイドルの時も、F.I.P.でさえ…アナスタシア以外は、彼女の話すら聞いてくれなかったのだ。

そんな溜まりに溜まった鬱憤を全て武Pにぶつけた結果、彼は解決策まで提示してくれた。今や彼女の信頼度は、最高潮にまで達していたのだ。が…



「はい、武内です…凛さん?!今は大阪でのサイン会のはずでは?」

〈もう終わった!それよりも何、このバイタル数値は?またこんなダメージ受けて!!〉

「ううっ…我が贖罪…謝罪を…(ううっ…私のせいで…ごめんなさい…)」

「あ、いえ、問題ありません。慣れていますから…それにしても、サイン会はあと一時間は行う予定でしたよね?」



〈それが、智絵里ちゃんからの連絡で、凛ちゃん急にやる気出しちゃって!〉

〈しぶりんが、並んでる人に連続でハグし始めた時はどうしようかと思ったよ…あ、始めましてらんらん!話は聞かせてもらったよん〉

「んなっ…い、何時の間に?らんらん?!(なっ…話聞かれてたんですか?それに、らんらんって私の事ですか?)」

「ハァ…卯月さんも未央さんも、凛さんに便乗せず止めてあげて下さい…」




武Pの携帯に、大阪から緊急連絡をしてきたのは、クール属性の王道を行く"凛"、最高級の笑顔を持つキュート属性"卯月"、パッション属性を絵にかいたような"未央"の三人組だ。

「それに、仕事中の他人のバイタルチェックは禁止されているはずですが?」

〈仕事中は見てませんーちゃんと休憩中と仕事終わってから見てましたー!〉

〈凛ちゃん、武Pさんの前だと子供みたいです〉

〈しぶりん、大人気無えー!〉

「し、深淵からの…(あ、あの…)」

「皆さんが気にされる程の怪我ではありません」

〈そういう事を言う前に怪我するなって言ってるの!〉




師から徹底的なまで「肉を切らせて骨を断つ」闘い方を叩き込まれている彼にとって、戦いに影響が出ない程度のダメージは前提事項。

そんな彼から言わせれば、所有義務のある"バイタルチェックメーター"は、ダメージ表示が大げさ過ぎるのだ。

「た、魂の礼拝を…?(も、もしもし…?)」

〈治療しに来た智絵里ちゃんが、あまりの凄惨さにそのまま卒倒して倒れちゃった時の事、もう忘れちゃったの?!」

〈あのですね?何度も言いますが、私達は武Pさんを心配して…〉

「こ…これは如何なる事…?(な…なんなのなの?)」




何故そこまで?という程に、彼は相手の思いを真正面から受け止める…自ら傷付く事をまるで厭わず。CPメンバーはそんな彼の姿が痛々しくて、とても見ていられないのだ。

「はあ…困った人たちですね。どれだけプロデューサーに過保護なアイドルなんですか…」

〈あんたに言われたくないよ!〉

〈武Pさんよく言いますね?!〉

〈どの口がそれを言うんだ?!〉

「…!(…何か、ずるい!…)」

アイドルと連絡を取り合う彼の姿は、信頼関係に裏打ちされた"仲良しの喧嘩"であり、彼女が望んでやまなかった関係その物だ。

だが今の彼女にとっては"当て擦り"にしか見えず、正直ムクレていた。そんな時、戦闘員の一人が蘭子に近付き囁く。



「…騙されてはなりません。奴は所詮、彼女達のプロデューサー。甘言をもって蘭子様を籠絡した後、F.I.P.の情報のみ引き出し打ち捨てるに違いなく…今のように」

「そ、それは真か?!(そ、そんなあ?!)」

「奴が"変身"する前に捕獲するよう我等にお命じ下さい…確実な確保のため"あの形態"となって!」

「あの…忌まわしき姿に、か…(あ…あの形態になるのは、嫌だなあ…)」

…この時点で、彼女は気付くべきだった。彼女の取り巻き=戦闘員は"熊本弁"の使用が暗黙のルール。

にも関わらず、この戦闘員"だけ"は使用していない事を…だが彼女の心は今混乱の極致にあり、冷静さを欠いていた!



「…(…)」

〈…あれ?何か蘭子が異様に静かなんだけど?〉

〈しまった。つい夢中になって、蘭子ちゃんの事を忘れてました!〉

〈ご、ごめんねーらんらん。しぶりんみたいに、ヘソ曲げたりしてないよね?〉

〈待ちなよ。〉

「…ふう。蘭子さん、失礼しました。…では、改めて貴女の考えをお聞かせ下さい…?ら、蘭子…さん?」

会話を強引に一区切りつけた彼は、"二拝二礼一拝"の内の"最後の一拝"…「スカウト再押し」を試みる。期は充分に充ちていたはずだった。

だが彼は読み違いに気が付いていない…とっくにその期を逃している事を!




「ぐ…グリモワールの風ッ!(ば…バカーッ!)」

…ブゥオウッ…ドカッ!!


蘭子の周辺を風が舞い、前に突き出した左手の平に集約し渦となる。その渦は彼女の感情ままに武Pを襲い、彼を向かいの壁に叩きつけた。

「ぐうっ!…ら、蘭子さん?一体どうしたと…?」

「怒ってるの!もう、知らないっ!!」

〈あー…これは…〉

〈悪いことしちゃいましたかね…〉

〈無視した訳じゃないんだけどなあ…完全にヘソ曲げちゃったね、らんらん〉

「ムゥ…や、止め!(むぅ…す、ストップです!)」

攻撃を一旦止め、蘭子は考える…戦闘員からの"提言"は確かに聞くべき処がある、それでも…彼女は武Pの"説得"を信じたかった。

だから、彼が本当に彼女の心を理解してくれているのか…一度だけ、確認してみようとしたのだ。



「…よもや、降誕の時を前に瞳の力を曇らせるとは…我が何故激怒したか、理解出来るか?(…まさか、スカウト成立直前にこんな事になるなんて…何で私が怒ってるか、分かりますか?)」


「いえ。…実は全く思い当たる節がなく、少々戸惑っております…」


〈…う、わ。〉

〈あっちゃー…〉

〈最悪だ…!〉




彼唯一の欠点として、最大の特徴の1つに「乙女心に対して全くKYな処」があげられる。

CP程の長い付き合いともなれば、それは大層イジリ甲斐のある最高の玩具となるのだが…初対面の少女にとっては唯の嫌がらせと取られかねない。現に今がそうだった。


「…やれ。(…やっちゃって下さい、戦闘員の皆さん。)」


ガッ…ガカッ…ビシッ…ザシュッ…ドッ…!!


「…闇に呑まれよ!(キーッ!)」

「やみのま!(キーッ!)」

「魂の礼拝を!(キーッ!)」

「キーッ!(キーッ!)」




「ら、蘭子さん?ぐ、グワーッ!」


〈…こうなるともう説得は無理だね。ガツンといった方が早いってば〉

〈ああっ…武Pさんのバイタル数値が面白いように減っていきます!〉

〈しぶりん、どこまで武Pが他の女の子に優しくするの嫌うのさ…。それにしまむーは楽しまない〉

「はあっ、はあっ…ま、待ってください!こ、これは…F.I.P.の仕業!!」

〈一応、聞いとこっか〉

「…ヤツラによる洗脳のせいで、彼女の精神が極めて安定性を欠く事に起因しているのに違いありません!…な、何て酷いことを!!」

〈洗脳はされていると思うけど、今のは武Pさんの対応が悪いと思います〉



〈何で、ただひたすら謝る選択肢が無いのさ…女の子が怒るのは、理屈じゃないんだよ?〉

〈未央?どうせ言っても分からないだろうし、この際武Pが納得してるのならもう結構だよ〉

「バカバカバカバカ!もーとっととやられちゃえばいいんだ!…出でよ、我が僕の集約し偶像よッ!!」

…ズ ズ ズ ズ ズ …!

「…ムゥ、これはいけませんっ!」

F.I.P.は、アイドル毎の"プロデューサーシステム"を採用していない。その代わりの方法として、"スター"を媒体とし、アイドルが"自身のファン"を自在に操る技術を独自に開発していた。

まず第一に"F.I.P戦闘員"とする事。第二は、その"戦闘員"をデジタライズした上で寄せ集め、3m程の巨人戦闘員"ゴーレム"とする事。



蘭子は4人の戦闘員(ファン)をデジタライズした上で寄せ集め、ゴーレムを産み出したのだ!

「フフフ…見るがよい!我が悪魔の力を纏いし我が巨人…"ギガンテス"、爆・誕!!(フフフ…見なさい!私のアイドル力を結集した巨人、ギガンテスを!!)」



…キュイイッ…ン ッ !!


ベルトが発光・回転し、周辺にデジタライズによる光と煙が充満する。シルエット状に浮かび上がる武Pの姿が、除々に変化を遂げていく。


「…城を目指す少女は、何かを願うものです。」


唐突に語りだす武P。そのシルエットは、既に彼のそれでは無くなっている。


「想いの形は、それぞれに違う。その全てが、星のように大切な輝きだと、私は思います。」


「闘いへの序章詩(カウントダウンバトルポエム)」とも呼ばれるそれは、敵への刑執行を伝える狼煙…熱い鉄拳制裁により、奴等に反省を促す。


「部署という枠にとらわれていては見つけられなかった可能性を、彼女は私に指し示してくれました。」



次第に光と煙が集束していく。姿を現すのは、背広の意匠をあしらった鈍紫光を放つ漆黒の甲冑。

「一番大切なのは、彼女達が"笑顔"であるかどうか…それが私のプロデュースです。」

グオンッ…!

鋭い目と体を走るラインに、ライムグリーンの光が鈍く浮かび上がる。
アイドルという歌姫を護るべく、命を懸けて身も心も捧げる、現代に甦った武装騎士。 その名は…!


「…マスク・ド・ライバー P …只今、参りました。」





「グォオォゥッ!!」


ゴーレムの唸り声を合図として突如、ゴーレム化から洩れた戦闘員ら三人がド・ライバーを襲う!


「ぐへへ…ら、蘭子ちゃあん!」

「僕たちずっと一緒だよう!」

「へへ…こ、この後楽しみにしててねえ!」


ゴーレム内の"輩"の影響を受け、やはり暴走している戦闘員の動きは、統率を失った事によって予測不能なものとなっている。だが…


…ガッ・ゴッ・ドッ!!

…ドサァッ…


頭突・裏拳・膝蹴を一切無駄の無い流れるような一閃で叩き込まれ、地にひれ伏す戦闘員達。



スチャッ…シャコゥッ、スパッ!

そのままベルト脇左右にセットされている"名刺ホルダー"から武P名義の"名刺カード"を取り出し、片手四枚ずつ時間差で二閃、下から横へのモーションでゴーレムの胸元に叩き込む!

…ヒュ・シュウッ…ズガガガガガガガッ!!!

「グォオォゥッ?!」

深々と突き刺さった八枚もの"名刺"に狼狽するゴーレム。だが、まだ終わりでは無い。
ド・ライバー=武Pの声紋と登録された言葉に反応し、名刺カードは様々な効果をもたらす。


「…せめて、名刺だけでも。」


ズバババババババンッ!!

「ガアアアアッ?!」

ド・ライバーの一言で、名刺カードが"手裏剣爆弾"化、連続爆発を起こす!




「…グアッ?!」


…連続爆破の煙に紛れ、ド・ライバーの姿が見当たらない。慌てて辺りを見回す…ふとゾクッとするような圧力を感じ、ゴーレムは斜め上方を見やる!


「!!」


ゴーレムは驚愕する。遥か上方約10mの高さにそびえ立つ鉄骨の"横"に、三角飛びの要領で"張り付き"、今まさに飛び掛からんとするド・ライバーの姿を見出だしたからだ!


…ヒュッ……ド・ンッ!!!!


声を上げる間も無く衝撃を受け、意識を失う直前にゴーレムが見たものは…自身の腹に空いた貫通穴…!

…ズザーーーッ…!!

貫通・着地したままの勢いで、膝立ち状態のスライディングで"着陸"するド・ライバー。数メートル程進んでようやく止まった彼は、ただ一言を呟いた。


「…ド・ライバー、キック。」




フッ…と力無く倒れ込もうとする蘭子の体を、しっかり抱き止めるド・ライバー。

アイドル力を強制的に吸い上げていたゴーレムとのリンクが強制的に切れ、緊張と体力が切れたのだ。


「…ゴーレムへのダメージが蘭子さんにフィードバックされないか心配だったのですが…勝負を一瞬で決めたのが、効を奏しました」


ホッと一息つくド・ライバー=武P…たが、そこに!




「…Р а н к о ! ! !」


…ヒュ…ド・カ カ カッ!!!


ド・ライバーと蘭子の周辺に、氷の柱が突き刺さる!!

とっさに蘭子を庇い、氷柱の攻撃をやり過ごすマスク・ド・ライバーP。攻撃方向を見やると、そこには!

「…」

鉄骨の上から、F.I.P.の"アナスタシア・ブリザード"が…冷たく紅い瞳を光らせ、彼を見下ろしていた…。



【Aパート 終了】
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--346プロダクション CPルーム内(別名:武内Pオフィス)


凛 「…ああ。こうやって私達出てくるんだ」

卯月 「なるほどなるほどー。それでああ繋がる、と…」

未央 「これアフレコのみだったから、正直物語のどの辺りだったのか把握しきれなかったよ…何かしぶりんが、複雑な顔してるけど…?」

卯月 「武Pさんの、凛ちゃん口説き文句が採用されちゃったから…ね?」

未央 「…ああ!嬉しいやら恥ずかしいやら、大切な想い出だから他人に触れられたくなかったやら…アイテテ!しぶりんギブギブ!!」

凛 「やめなよ、未央。」




李衣菜「武Pショックは、皆大分克服できたみたい。それにしても…結構えげつないRockな話だね?こうして通しで見てみると」

杏 「作り物というチープさを逆手にとって、日常ドラマでは扱えないハードなネタをぶちこんでくるからね。原作からしてそうだったから」

みく 「韓流ドラマとかのノリが好きな人にはいいかもにゃ。空想前提の世界観の中で、必死なキャラクターのリアクション、ドラマを楽しむみたいな」


杏 「それはともかくさ…今回の仕事はネタバレ防止が徹底し過ぎてて全容がはっきりしないんだよー」

智絵里「私達に渡されたシナリオは、登場シーンの前後だけでした…あと大まかな初期設定くらい、かな?」

かな子「ドッキリ企画に印象は近いかなー…シナリオがギリギリで間に合わなかった線はないかな?」

杏 「ないねー。明らかに情報制限に意図を感じるよ…逆に現場スタッフの負担が心配になる位」

美波 「まあ最初のうちだけだと思うわよ?三話くらいから敵の動きも本格化してくるみたいだし…」

アーニャ 「Почему нет?…何故ミィナミ知ってますか?」

美波 「へへー…自分の出番が気になっちゃって、ド・ライバー関連雑誌を買い占めてきたの」




杏 「あーその手があったかー」

未央 「私も弟に買ってきてもらおうかな?ネタバレ厳禁とか言ってる場合じゃないし」

きらり「最近のマニア誌はスゴいにぃ…アイドル雑誌みたーい」

莉嘉 「あー!武Pクンのポスターだあ!」

みりあ「こっちはクリアファイルが付録についてるー!」

蘭子 「これが…我が友の心の言葉!フフ…どうやら、禁断の扉を開いたようね(あ、スゴい…武Pさんインタビューだって!ふふ…緊張してるせいか、首に手回してますよ)」

美波 「番宣用だけじゃなく各々撮りおろしがあるから、油断ならないのよねー…」

凛 「ふーん…(幼年テレビ情報誌のディスプレイくん、マニア向け特撮誌のスペースシップ、役者寄りの特撮OT、玩具情報紙誌のフィギュア姫か…年間定期購読、予約しておこう)」




みく 「それにしても、まさかアーニャちゃんが敵役で出てくるとは思わなかったにゃ」

アーニャ 「Я также…敵役なので、役作りのためにCPの皆と離れ離れで、ずっと寂しかったです…」

美波 「アーニャちゃん、頑張りました!」ナデナデ

莉嘉 「でもでも、凄くかっこよかったよ?」

アーニャ 「フフ…спасибо…ありがとう。凸レーションも、あのお店も可愛いかったですね、ミィナミ?」

きらり「アーニャちゃんも美波ちゃんも、今度一緒に行こっ?お茶もケーキも美味しいよ?」

かな子「美味しいから大丈夫だよ?」

智絵里「ナンデヤネン!」ビシッ



李衣菜「第一話は蘭子ちゃん無双だったよね?大変だったでしょ?」

蘭子 「…月は満ちて、太陽は滅ぶ。漆黒の闇夜に解き放たれし翼…」

みりあ「そっかー。撮影よりその前の訓練の方が、夜遅くまでかかって大変なんだねー」ナデナデ

蘭子 「堕天使を同胞へ導く滴り。この魂を磨き抜き、必ずや獲得してみせよう…蒼き翼を!(ううっ。アクション苦手なんです…でも頑張りました!)」

智絵里「蘭子ちゃん、偉いよ。私、同じ事やれって言われても、自信無いもの…」

かな子「今回は私達、アイドルの役で良かったね…」

杏 「さあ…それはどうかなあ?」

蘭子 「?(?)」

杏 「Bパート見てみないと何とも言えないけど、蘭子ちゃんのその後次第で、何となく私達の流れが見えるかも」




未央 「…さて、そろそろまとめに入ってCMパートに行こうと思うんだけど…他に何か言いたい事ある?」

アーニャ 「…」カオマッカ

蘭子 「…」カオマッカ

未央 「二人とも顔真っ赤だけど…どったの?」

アーニャ 「да…さ、撮影の時から気になっていたのです。が…武Pの苦しむ姿や声が…」

蘭子 「その…内なる劣情が沸き上がって…(何かこう…ゾクゾクッと来て…)」

アーニャ 「…это отвратительно!ミィナミ、私、どうしたんでしょうか?!」

蘭子 「しゃ…灼熱の太陽が、我が身を焦がす!(あ…熱いの、止まんないよー!)」

CP 「「「…!!(… わ か る わ ! !)」」」

凛 「…ようこそ、神の領域へ!(…じゃあ残していこうか、私たちの足跡!)」ファサッ

美波 「歓迎するわ…二人とも、何も恐れる事は無いのよ?」ジアイノメ

みく 「武Pショックが、むしろ酷くなって燦々たる有り様にゃ?!」




杏 「ま、まあいいや。今の段階で杏が言っておきたいのは、この後のCMの事!」

未央 「その心は?」

杏 「アバンに続けてAパートも長めにして変身シーン入れてきたよね?次に間違いなく"変身ベルトCM"入れてくるよ?賭けてもいいね!」ドヤァ

未央 「了解。みなみんは何かある?」

美波 「…Aパート後半からマスク・ド・ライバーが登場してきたんだけど、中の人は武Pさんでは無く、着ぐるみ専門の役者さん…"スーツアクター"さんが演技を行っています」

莉嘉 「知らなかったなー」

みりあ「私もー」




美波 「スーツアクターさんが凄いのはね?動き辛く、肌も露出しない着ぐるみを着ながら…筋肉と肉体だけで、武Pさんに成りきるだけで無く、ド・ライバーのアクションを"乗せて"こなすところなの」

きらり「武Pちゃん大きいから、スーツアクターさん探すのも大変だったろうにぃ…」

美波 「容姿や声にも頼れない。でも筋肉と肉体だけで雰囲気を造り出す。…音声をカットして字幕だけで見るとその凄みを実感出来ます」

杏 「…逆に、何回か見てシーンを覚えたら、画面を見ないで声だけ聞いてると、声優さんがどれだけスーツアクターの肉体の動きや呼吸に合わせて演技を"乗せて"いるかが分かるよ?」

美波 「ぜひその点も注意して見て楽しんでほしいです!」

未央 「…はい。皆さん、貴重なご意見ご感想、どうもありがとうございました!それではABパートの間のCMを見てみましょうか。李衣菜ちゃん?」

李衣菜「オッケー。…それじゃあ皆、また部屋の電気消したら再生するよー?」



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【CMパート その1】(ナレーション:武内駿輔)

何も無い真っ白な部屋を、武Pがゆっくり歩いていく。歩きながら目線を向け、語りかける。

「今…あなたは、楽しいですか?」

「あなたは今、夢中になれる何かを…」

「心動かされる何かを、持っていますか?」

部屋中央の台座に鎮座する変身ベルト。脇に立ち止まり、手慣れた作法で装着する武P。

「少しでも…君が夢中になれる何かを探しているのなら、一度踏み込んでみませんか?」

「…変身。」キュイイッ!

その場で光に包まれ、武Pがマスク・ド・ライバーPに変身を遂げる。



ヒュッ…バッ!

軽い足技を披露した後、ガシャッ…とベルトのギミックを作動させ、名刺をベルトに装填するド・ライバー。

「そこにはきっと、別の世界が広がっています」

シュイン…ッ!ストッ。
宙から出現した小さな子供用ベルトを片手で受け止め…

「…マスク・ド・ライダーP DX変身ベルトを、今…君の手に。」

小さなベルトを差し出しながら、カメラの前にしゃがんだド・ライバーが、力強く頷く。

「…良い、笑顔です。」


【CMパート その1 終了】
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ス、スイマセン。

前半と後半の比率が、従来は5対5だけど
一話は7対3の特別編成というネタです(震え声)。

前半は仕込み(用語解説等)が多かったので長くなりましたが、後半は大分かっ飛ばせそうです。

ダラダラごめんなさい。
では、続きを。



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--346プロダクション CPルーム内(別名:武内Pオフィス)

杏 「ほら、やっぱりここで変身ベルトCM入れてきたよ?杏大正解!」

きらり「武Pちゃん、1話の息絶え絶えだったセリフを落ち着いた良い雰囲気で言ってて、めちゃくちゃ格好良かったにぃ…」

蘭子 「フフ…秘めたる記憶が、呼び戻される…(思い出すだけで、顔が綻んできちゃうよ…)」

智絵里「格好良かったねぇ?…それにしても、子供番組のCMにしてはずいぶん大人っぽいCMだったけど…」

杏 「それはね?ベルト発売前の僅かな回にしか流れない、ネタバレ防止用の言わば"特別ver."だからなんだよ!」

美波 「ちなみに、こういう役者メインのCMや呼び掛け予告等は、肖像権やら役固めしてないからみっともないとか放映一回きりの契約だとか…」

アーニャ 「тогда…色々な理由から商品映像に未収録になる事が多いので、オンエア映像は消さずに取っておくのがマニアの嗜みなのだそうです…よ?」


未央 「そしてそして…何とスポンサー様から、マスク・ド・ライバーP 変身ベルトの試作品が届いておりまーす!」

かな子「パチパチパチー。いつもありがとうございます!スポンサー様、大好きです!」

みく 「スポンサー様へのフォローも忘れない…かな子ちゃん、成長したにゃ!」

凛 「ふうん?…ちょっと貸して見せてよ」

未央 「おや意外。まさかしぶりんから言い出すとは…ほい、皆の名刺カードも渡しとくね」




凛 「…」サッ

卯月 「凛ちゃん、迷わずその細い腰に"子供用"ベルトを巻きました」

李衣菜「皆様ご存じの通り、ベルトを巻かなくても動作確認は可能です!」


凛 「…」スッ

卯月 「数ある名刺カードの中から、武P名刺"のみ"を取り出したー…期待を裏切りません!」

李衣菜「そして…武P名刺をスラッーッシュ」

ベルト「…良い、笑顔です。」タケピーイケボ

凛 「…!」…パァッ!





卯月 「…頂きました。凛ちゃん思わず良い笑顔!」

李衣菜「そして再び…武P名刺をスラーッシュ。他のアクションを試そうとさえしないっ!」

ベルト「…良い、笑顔でした。」タケピーイケボ

凛 「…!!」…パァッ!!


李衣菜「渋谷選手。ほとんど変わらない僅かな違いの名セリフに、喜びを隠しきれなーい!」

卯月 「良かった、良かったね?凛ちゃん!」

莉嘉 「あー!私も遊びたーい!」

みりあ「貸して貸してーっ?」

凛 「?!」





李衣菜「…いつの間にか会場は、ベルト争奪戦の様相を呈しております。以上、現場でした!」

卯月 「ううっ…り、凛ちゃん…」

未央 「いい加減、止めて差し上げろ。壊したら大変なんだから」

みく 「ん?…もう一本CMあるっぽいにゃ」

杏 「?…戦士シリーズと違って、なりきりグッズ以外の玩具CMはあまり流れないはずなんだけどな…ま、見れば分かるか」


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【CMパート その2】(ナレーション:佐藤利奈)

「プロデューサーさん、スタドリですよ、スタドリ!」

ビックリして振り向く武P。

「疲労回復、学力向上、証拠隠滅完全犯罪!
良い子の君にも飲みやすい、アレルギー成分0の青リンゴ味!」

腰に手を当て、スタドリを飲み干すパパ、ママ、お姉ちゃん、少年。

「マスク・ド・ライダーP スタミナドリンク!
これで皆、良い笑顔!」

マスク・ド・ライバーPに肩を抱かれ、笑顔で頷きあうお姉ちゃんと少年。

「全国の有名店、スーパーコンビニで発売中!アーケードカードゲームで使えるスペシャル名刺、当たる!」


【CMパート その2 終了】
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--346プロダクション CPルーム内(別名:武内Pオフィス)


杏 「…って、何でだーっ?メイン商品より、サブ商品の方がCM時間が長いの、お、か、し、い、だろうがよっ!?」バンバンバンバンッ!・

未央 「アレルギーなんかより常習性の方がよっぽど問題だっつーの!!」ババンッ!・

蘭子 「煩わしー、構成ねー…(無いわー、これは無いわー…)」アキレ

凛 「…あのちひろさんが、タダで協力するなんて、何か変だと思ってたんだけど…」ハァ…

美波 「ま、まさかスタドリの全国販売…しかも子供向けだなんて…」フルフル

アーニャ 「YATTA…私これ知ってます!…"鳶が油揚げをさらう"ですよね?」ドヤァ

卯月 「…鬼!悪魔!チッヒー!!」ガタガタ




莉嘉 「ええと…つまり、どういうことだってばよ?」メヲコシコシ

みりあ「何で主力商品の変身ベルトよりスタドリの方がCM長いのかって事だよね?」ムクナメ

きらり「スポンサー料の違いか、会社間・会社内の力関係が如実に表れてるにぃ…」シンダメ

智絵里「き、きらりちゃん?芸能人がしちゃいけない顔になってるよ!」ソレイジョウイクナイ

かな子「おいしいから大丈夫だよ」サンプルゴクゴク

李衣菜「何だかよく分からないけど…Rockだねっ?」ビシッ!

みく 「…それじゃあ、続けてBパート行くよ?皆、準備は良いかにゃー?」パチッ

李衣菜「…えっ、酷くない?」


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ヒーリング中のド・ライバーと卯月の邪魔をさせる訳にはいかない!

「全くもう…ここはやっぱ、私が露払いしないとダメかな?!」


♪:挿入歌「ミツボシ☆☆★」(唄;本田未央)


先陣をきって飛び出したのは"未央"。明朗快活、場の空気を読むのに長ける、三人のリーダーだ。


ギャ,ギン,ッ!


「もう…乱暴だなあ?女の子にきらわれちゃうぞ?…っとぉ!」


ガカッ!


彼女の能力は近接戦闘術"ミツボシ"。"闘気"ならぬ"元気"を纏い、その粒子で攻防力を高め戦う。そんな彼女の戦闘スタイルは悲壮感の欠片も無く、戦場は明るく楽しいステージと化す!


「…はーしれ、ミ、ツ、ボッシッ。とぉ!!」

ドンッ・ドドド、ンッ!


戦闘員のうち三人を一息に打ち倒しも、勢い余って宙に浮いてしまう未央。そこにすかさず残り三人の戦闘員が襲い掛かる!



「はわわーっ?滞空中は無理だってば!」

…ヒュドドドドッ!


まさにその時、横殴りに戦闘員らに打ち据えられる"氷の連弾"!!


「…油断しないでよ、未央?!」

「ありがと、しぶりん!…でも、武Pとしまむーに絡んでた人には言われたくないなあ…」


現346プロの中で"紅のまゆ"と並び賞される驚異の新人アイドル、通称 "蒼の凛"。彼女の能力は攻・守・公・私とあらゆる局面において自在な応用力を誇る「蒼の氷結」法!


グウオオオ…ッ!!

「「…?!速いッ!」」

ズシャァッ!!


六人もの戦闘員を失いながらも、アナスタシアの冷静さはいささかの綻びも見当たらない!その僅かな間で、彼女は蘭子の物よりも洗練されたゴーレム錬成を完成させ、一撃すら放ってみせたのだ!!




「こ、コイツは手強そうな…って、しぶりん!どこ行くの?!」

「"ソッチ"は未央に任せるよ!私は…"コッチ"を、叩く、からぁっ!!」

「!…Дерьме!!」


…ギャリィィィンッ!!


♪:挿入歌「Nation Blue」(唄;渋谷凛、アナスタシア)


1・2・3のワンステップ、ツーモーション、スリーアタックで、一気にアナスタシアの懐に飛び込み"氷の拳"を叩き込む!

それを強引に"氷の壁"で捩じ伏せた彼女は、"氷の剣"の連斬で追い討ち、凛も瞬時に剣で対向する!





ギャ,ギン,ギシッ,ギリッ!

「…?!(同系統?!)」

「…?!(同系列?!)」

…バシィンッ!


互いを押し返すように弾け飛ぶ二人は、全く同時に"氷の連弾"を離れ間際に解き放つ!


ズガガガーッ!

「…!!(…同程度!!)」


初めて全力をぶつけて均衡する相手と出逢い、無意識に凄惨な笑顔を浮かべている事に、二人は全く気付いていない!


「「…(この娘…)」」

…ズッ,シャアッ!…




「「…や る !」」





一方の未央も、ゴーレムを寄せ付けまいと全力の抵抗を続けている。


「…ミー、ツー、ボーッ…シッ!!」

ドドドド、ンッ!

…グウ、オオオ…!!


「…~固ったいなぁー、もうっ!」

ザシャアッ!


一旦距離を置くため、打撃の勢いで空中を舞い着地した未央の横に、ヒーリングを終えたド・ライバーと卯月が並ぶ。

「…ありがとうございます、未央さん。おかげで助かりました」

「…へへっ!そんな気にしなくても…」

気遣いを忘れない武Pに何か一言…と未央が話しかけた矢先、揉んどり打つように凛も着地してくる。



ザシャアッ!

「凛ちゃん!」

「ちっ!…悔しいけど"やる"ね、あの娘!!」

「…凛さん?アイドル以前に、女の子がしてはいけない顔をしていますよ?」

無意識に首の後を撫でながら、ド・ライバーは一人ごちる。

「…凛さんと戦いながら、ゴーレム制御もこなすとは、賞賛に値しますね。ですが…」


…オ・オ・オ・オオオン…

「…Как вы пришли ?…」


「アナスタシアさん、ゴーレム。共に尚も健在…何かしらの"ケジメ"が、必要なようですね…」

眼光鋭く見上げながら、ド・ライバー=武Pは覚悟を決める。一刻でも早く、蘭子を病院に運び、CIを迎えに行かなければならない。




「…準備は良いですか?皆さん。」


力強く頷く三人。ド・ライバー=武Pは、三人の"名刺カード"を手に取り、"ベルト"のレバーに手をかけた!

ガシャッ…ジャキィッ!

"名刺カード"を纏めて三枚"ベルト"に装填!レバーを引く事で、カードはバックル内部にセットされる!

〈ユニット・フォーム!〉

…キュイイー…ンッ!

ベルト内部の"プロデューサーシステム"にエネルギーが充填され、ド・ライバーと三人のアイドルの体が光の粒子を纏い出す!



「…行きますよ、卯月さん、凛さん、未央さん!ユニット・フォーム!!」


「「「ニュージェネレーション!!!」」」


♪:挿入歌「流れ星キセキ」(唄;島村卯月、渋谷凛、本田未央)


…彼女達三人のユニット名、それが「ニュージェネレーション」!(以下 NG)
デシタライズ分解されたNGの光の粒子が、漆黒のド・ライバーと一体化し、その体をキュート・クール・パッションのトリコロールカラーに染め上げる!


「…マスク・ド・ライバーP…NGフォーム!」


CP内で最も三属性バランスが良く、汎用性に優れるという特徴は、そのままマスク・ド・ライバーPフォーム時の特性となる。



ガシャッ…ジャキィッ!

〈ユニット・ライブ!〉

グォンッ…!


光粒子の煙幕の中を、ライムグリーンの眼光を放ちながら歩み出るド・ライバーNG。再びベルトのレバーを引き、NGの全能力を結集した"必殺の一撃"を放つ、全ての準備は整った!


「Покажите мне…正面から捩じ伏せなさい、我が同士達よ!!」

グウオオオ…ンッ!


ズッ,シャアッ…ズシャッ…ズシャッ、ズシャッズシャッズザッズザッ…!!


互いに加速を始め、ただ一発の右拳に全力を乗せ、力と力の真っ向勝負を挑む!!





「う、おおおぉぉーーっ!!」


ド・ライバー…否、武Pの想いを一身に受け、彼の叫びに同調し、NGもまた精一杯の力を声に込め上げる!!


「「「流れ星ー…キセキッ!!!」」」


固く握られた拳に宿るは想いの強さ!固く、早く、重く、光の槍はそのままゴーレムのドテッ腹を貫き通す!!


…ヒュッ…ド・ンッ!!!!…ザシャアッ…


グウオオオ…


ズ,ズンッ…


最後の咆哮を上げながら、その巨体をゆっくりと崩れ落とすゴーレム。その瞬間、大爆発と共に、デシタライズの光の本流が迸る!


バッ・キャアアァー…ン!!!!


光の本流を背に黒いシルエットを浮かび上がらせながら、ゆっくりと振り向くド・ライバーの目が光る。





「…Все это замечательно…見事、デス…」

…パタタッ…ガクッ


相対すアナスタシアは、鼻と口から一筋の血を流し、ガックリと膝をつく。
シンクロ率の高いゴーレムとのリンクにより、フィードバックによるダメージを受けたのだ。

思わず歩み寄ろうとするド・ライバーを手で制し、アナスタシアは気丈にも立ち上がりながら停戦を申し出る。


「выход…どうやら、ここまでのようです。手を抜かれているようでは、私達もまだまだ、ですからね?」

「…」





いつの間にか意識を取り戻した戦闘員達が、気絶した仲間を抱え、アナスタシアの後に配している。

そのまま去ろうとしたアナスタシアは、陰を落としながら囁くようにド・ライバーに語りかけた。


「…F.I.P.には、敗北者たるルァンコの居場所は既にありません。…поэтому…故にルァンコの身柄は、私達が勝利するその日まで貴方にお預けします。」


ふうっ…と一息をつきながら、武Pはマスクを外す。思わず小さなため息をついたアナスタシアの声を、NGは聞いたような気がした。


「…お任せ下さい。蘭子さんは"私が責任をもって"面倒を見ます…"楽しみ"に、していて下さい。」


その言葉の意味を理解したアナスタシアは、一瞬輝くような笑顔を残し、その場から姿を消した…。


「спасибо…"楽しみ"に、しています、ネ?」






フォーム・アウト!

バシュウッ…!

「…っと。これはいけませんね…そろそろ時間ですか…」

ベルトから、光と煙と共にNGの名刺カードが強制排出される。慣れた手つきでカードを受け止める武Pの周りで、デシタライズ処理によりNGが実体化する。

「…皆さん、お疲れ様でした。この後はフリーですから、ゆっくり休んで下さい」

プロデューサーシステムにより招集をかけられたアイドル達は、戦闘時に減少した体力・気力・アイドル力回復のため、戦闘後元いた場所に強制送還される。

「あーあ。この時間じゃ、余り大阪を満喫できないなあ?」

「疲れちゃってそれどころじゃないですよう」

「一応私達アイドルなんだからさ、あんまり自由は出来ないんじゃない?ね、プロデューサー」

手を首の後に回す武P。彼女達の労には報いたいが、自分が就いていない場所での行動は慎んでほしいのが、正直な気持ちだったからだ。


「ほらね?武Pの顔見れば、言いたいことは全部解るんだから」

「はいはい。今日は素直にホテル戻って、パジャマパーティーにしますって」

「…武Pさん?蘭子ちゃんとCIの件、頑張って下さいね?」


転送デジタライズの光に包まれながら、最後まで好き勝手な事を言い合うNGの面々。だが武Pは、無条件に蘭子を受け入れるという彼女達に感謝していた。


「…皆さん、ありがとうございます。明日はここ、東京で皆さんをお待ちしていますから」

「「「お土産、楽しみにしててね?」」」


…光の粒子が僅かにたゆたい、彼女達の姿もまた消える。武Pもまた歩き出す。



まずは蘭子を病院に連れていき、CIの送迎も行わなければならない。CIの皆さんには、約束反故の詫びとして夕食の一つもご馳走せねば…。


今日も武Pは忙しい。それがアイドルプロデューサー、それがマスク・ド・ライバーPとしての、かれにしか出来ない"仕事"なのだから。



【Bパート 終了】
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【マスク・ド・ライダーP 第1話~ED & Cパート】

(※以下、〈〉内=EDテロップ表記)


〈出演〉


〈武P/マスク・ド・ライバーP:武内プロデューサー(346プロ)〉


〈卯月:島村卯月(346プロ/CP/NG)〉

〈凛:渋谷凛(346プロ/CP/NG/PK/TP)〉

〈未央:本田未央(346プロ/CP/NG/PK/TP)〉


…あの日から約三ヶ月が経過した、晩夏の日差しも眩しいお昼時。
黒と紫のゴスロリがよく似合う一人の銀髪の少女が「喫茶&軽食 凸レーション」を訪れていた。



ドアを開けると、軽やかなドアベルの音を聞きつけ、リスのように小さな二人組がお出迎えしてくれる。

「いらっしゃいませー!…あー、蘭子ちゃんだー!」

「蘭子ちゃん、やみのまっ!」

「…フフッ、闇に飲まれよっ!(お疲れ様ですっ!)」

紆余曲折を経、蘭子は今346プロのアイドル候補生としてレッスンに励む毎日を送っている。



今日は担当プロデューサーとの待ち合わせで、通い慣れつつあるお気に入りのこの店にやって来たのだ。

「外は暑かったでしょお?…あ、武Pちゃんがランチおごってくれるって。ご注文は?」

店長代理のきらりも含め、今ではすっかり三人と仲の良くなった蘭子だった。

「日時計が、新たな贄をと囁いている!(いつもの"きらりんの手ごねハンバーグ"でお願いします!)」




〈蘭子:神崎蘭子(346プロ/CP/RE)〉

〈きらり:諸星きらり(346プロ/CP/凸R)〉

〈莉嘉:城ヶ崎莉嘉(346プロ/CP/凸R)〉

〈みりあ:赤城みりあ(346プロ/CP/凸R)〉


「我が友よ、闇に飲まれよっ!(武Pさん、お疲れ様ですっ!)」

「…暑い最中、お呼び立てしてしまい、申し訳ありません。お疲れ様です、蘭子さん。」

蘭子が通された個室で、小さなティーカップを片手にランチ後のティータイムを楽しむこの青年…「パワー オブ スマイル」を座右の銘に、日々人々の笑顔のために戦う男。

その名は武内、20代半ば。大手芸能プロダクション346に属するれっきとした…アイドルプロデューサーである。





〈杏:双葉杏(346プロ/CP/CI)〉

〈智絵里:緒方智絵里(346プロ/CP/CI)〉

〈かな子:三村かな子(346プロ/CP/CI)〉


あの闘いの後、闇アイドル時代とF.I.P.に関連する記憶のほとんどを、蘭子は失っていた。

F.I.P.所属の闇アイドルによって施された術によるものとの診断結果だったが、様々な裏切りに傷つけられてきた彼女の繊細な心にとっては、むしろ良かったのかもしれない。

だが、彼女は全てを失った訳では無かった。ある日346プロに差出人無記名で送られてきた蘭子の私物の中から、彼女が"グリモワール"と呼ぶスケッチブックが発見されたのだ。

この"グリモワール"には、闇アイドル時代に蘭子がたった一人で築き上げてきた自己プロデュースの全てが記録されていた。

武Pはこれを基とした研鑽・肉付けを行い、彼女を「Rosenburg Engel」としてデビューさせる事にした。今日はその記念すべき初仕事の事前打合せなのだ。



その打合せの最中、彼は小さな箱を取りだし、彼女に差し出す。…それは、"スター"を施したゴスロリ調の細く小さいチョーカーだった。

武Pは担当するアイドルのデビューが決まると、必ず自身で特注した物を渡していた。蘭子の目から、自然に涙が溢れだす。

「…わ、我が友よ…これは堕天使の証?!…感謝する。運命の扉は今開かれた!!(…武P?!ありがとう。これが夢にまで見た"アイドルの証"なんですね!)」




彼女の表情が光り輝く。それは、彼がこの世の中で最も尊ぶもの。


「…我が魂の、赴くままにっ!(頑張りますっ!)」


…この輝きを守り続けなければ。あの娘との約束のためにも…彼は、思わず呟いた。




「…良い、笑顔です。」







♪:ED曲「Star ! ! 」(唄;CINDERELLA PROJECT)



〈アーニャ:アナスタシア(346プロ/CP/LL/PK)〉

〈美波:新田美波(346プロ/CP/LL)〉

〈みく:前川みく(346プロ/CP/*)〉

〈李衣菜:多田李衣菜(346プロ/CP/*)〉


…その頃、346プロの前に一人の清楚な女性…いや、少女が立っていた。

道行く人々が気にする様子は全く無い。何故ならそれは、346プロが出来た頃から幾度となく繰り広げられている光景だからだ。

だが彼女…"美波"の決意は、他のアイドル希望者達と少々意が異なる。アイドル自体に全く興味が無いわけでは無いが、彼女の目的はあくまで"親友の奪還"にあったからだ。


「…待ってて、アーニャちゃん。私もアイドルになって、必ず貴女の元に辿り着くから!!」


決意を新たにする彼女の手には、武Pの名刺が握られていた…。




〈挿入歌〉

〈S(mile)ING!(唄;島村卯月) 〉

〈ミツボシ☆☆★(唄;本田未央) 〉

〈Nation Blue(唄;渋谷凛、アナスタシア) 〉

〈流れ星キセキ(唄;島村卯月、渋谷凛、本田未央) 〉

〈M@STERPIECE(唄;765PRO ALLSTARS)〉



〈ED曲〉

〈Star ! ! (唄;CINDERELLA PROJECT) 〉




時は少し戻り、場所が変わって…。

「F.I.P.」本拠地。

「アイドルの能力を使い、意のままに世界をコントロールする」事を目的とする、悪の秘密組織のアジトである。

その地下に設けられた巨大な部屋では…この組織の長である「女王」が、彼女の忠実な部下である「アナスタシア」との会談を行っていた。



〈友情出演〉

〈プロジェクトクローネ:???(346プロ/PK)〉


〈スペシャルサンクス〉

〈女王:???(346プロ)〉

〈スタドリ提供:千川ちひろ(346プロ)〉


〈制作協力〉

〈346プロ〉

〈765プロ〉



「ふっ…"マスク・ド・ライバーP"か…Iレベル50を越える君を遥かに上回る戦闘能力を持つとはな…」

「Да ...しかも"ド・ライバー単体"だけの検証数値です。"プロデューサーシステム"においては、最早想像を絶する恐るべき戦闘力を誇ります…」

「数値はあまり重要視していない。大事なのはその"概念"と"応用"だ…"数値"は後でどうにでもなる。そういう意味では、君の身体を張った奴のデータは大いに参考となった」

「Спасибо…ありがとうございます。ですが、代わりに我が同士ルァンコを、みすみす受け渡す結果となってしまいました…」

「何の問題も無い。君も含め、私自らが選び出した"特別な存在"さえ残っていれば、な!」


バンバンバンバンッ!


突如闇を切り裂き、下から上へと照らされた複数のスポットライトの光の中から、不敵な笑みを浮かべた"少女達"がせり上がってくる。



その光の柱の一つにアナスタシアも自ら歩み入り、柱の数は合計九本となった。"女王"は高らかに宣言する!!


「フフフ…着々と次の準備は整いつつある!我が選びし九人の"デビュー"も間近だ…この"プロジェクト・クローネ"が、な!!」



【ED & Cパート 終了】
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※ごめんなさい。現時点での誤植です。

・タイトル
「武内プロデュース?特撮編」→「武内プロデュース~特撮編」(文字化けしました)

・凜(レスNo.4~54)→凛

・み、未央、どうする?(レスNo.46)→み、未央ちゃん、どうする?

・デシタライズ→デジタライズ(全般)

・かれにしか出来ない"仕事"(レスNo.194)→彼にしか出来ない"仕事"

・〈未央:本田未央(346プロ/CP/NG/PK/TP)〉 (レスNo.195)→〈未央:本田未央(346プロ/CP/NG)〉


以上…他にもあるかもしれません。


ちなみに残りは

・CPによるB&Cパート 感想

・美城&ちひろによる次展開の仕込み

・次回予告

となります。


今日中には完成させたいなあ…。




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--346プロダクション CPルーム内(別名:武内Pオフィス)


凛 「はぁ…最近、奈緒と加蓮がニヤニヤしてたのが気になってたんだけど…これの事だったんだ…」

未央 「スポットライトの中に立ってるからシルエット状で黒影になってるんだけど…意外と分かるもんだね?」

卯月 「奈緒ちゃん、ノリノリのドヤ顔でした…」

凛 「加蓮が、それ横目に見て笑い堪えてブルブルしてるのもね…」

アーニャ 「Было весело…この時はPKが一緒で、寂しくなかったです。皆、結構ノリノリで…フミカ以外は」

美波 「…文香ちゃん、明らかに狼狽してるものね…それを見て、ありすちゃんが心配してるのも」

杏 「確かに"346プロ全社を上げて"とは言ってたけどさ…CP踏み台にして、しっかり"プロジェクト・クローネ(以下 PK)"売り込む気満々だよね」



卯月 「売り込むといえば…"女王"さんって、結局どなたが演じられてるんでしょう?」


CP 「「「…?!」」」ザワァッ?!


卯月 「…シルエットだし、ウェーブで表情は分からないし、音声エフェクトがかかってるし…バカな私には、分からなくって」

未央 「…!(さ、さすがしまむー!皆が気になって仕方無いけどあえて突っ込まなかった点をえげつなく無邪気にエグってきやがる!)」


卯月 「?…私、気になりますっ!!」


凛 「…!(追い討ちで逃げ場を断った?まさに…しまむー!んーもう、このウヅキエルが!)」




卯月 「…アーニャ、ちゃんっ♪」

アーニャ 「?!」ビクゥ!

卯月 「"女王"さんと共演してるのはー、アーニャちゃんだけ、ですよねー?」

アーニャ 「…!」ガタガタ…

卯月 「"女王"さん、誰なのかなー?教えてほしいなー?」チラッチラッ

アーニャ 「…К、Красивый замок…アアッ、さ、察して下さい!これ以上は、もう…」

美波 「…止めてあげて、卯月ちゃん!アーニャちゃんのライフ値は、もう0よっ!?」


CP 「「「…!(誰かこの状況、何とかしてっ!)」」」ブルブル






李衣菜「…そんな事よりもさっ?!まーた私達の出番だけ無かったじゃんかっ?!」バンバンバンバンッ!

みく 「ちょっ…り、李衣菜ちゃん!気持ちは分かるけど落ち着くにゃ?!予告、予告で出てくるんだにゃ!EDスタッフロールにも出てたから大丈夫だにゃ…きっと!!」

李衣菜「きっと?きっとって何さ?!もうこういう"不幸弄られ特性"に我慢ならないのっ!みくだってそうおもうでしょ?!」

みく 「そ、それはそうだけれどもにゃっ…!」


卯月 「…"そんな事"…?」ユラリ…

未央 「?!ちょいっ、しまむーステイッ!」


凛 「…!(…ヨシッ、良いねじ込み!さすが"*"。何時もの"KY"な部分が、今回は話題転換の切っ掛けになりそう!…いいね、皆?)」



CP 「「「…!(…了解!)」」」サムズアップ




きらり「…そもそも"*"のお二人は、どんな役柄だったんだにぃ?」


CP 「「「…!(…巧い、さすがきらりん!)」」」グッ!


李衣菜「"NG"や"CI"と同じだよ?!武P担当の"アイドルユニット"の一つとして、346プロに所属してるんだ!」

みく 「しかも!私達は346プロに常在。武P専属オペレーターとして、様々なフォローを行うのにゃ!!」

美波 「…それ、多分二話からのお話よ?ド・ライバーお約束の、専用戦闘車お披露目回らしいし」

みく 「…そういえば、専用戦闘車の発進シークエンスだって説明を受けてたような…」

李衣菜「ううっ…私達にしては珍しくRockな役柄だから、頑張って撮影に挑んでるんだけどなあ…」

みく 「まさか再び、デビュー先送りの気分を味わう事になるなんて思わなかったにゃ…」

みりあ「二人とも、泣かない泣かない♪」ナデナデ

卯月 「あのう…女王の件は…」

未央 「…?!(…この期に及んで、まだ尚ぶっ混んでくるか?!)」

凛 「…!(…卯月…逞しい子っ…!)」




智絵里「…そ!そういえば、初めて"アイドル"の戦闘シーンが出てきたねっ?卯月ちゃん達、カッコ良かったよ!!」

かな子「そ、そうそう!何か魔法少女ものみたいで、私は可愛かったと思ったなー?!」

杏 「…合成用のグリーンシートの前で、何の世界観のヒントも無い中で演技するの、大変だったでしょ?」


卯月 「え?エヘヘ…そ、そうですか?私達、頑張りました!」エヘガオwピース

未央 「…!(キ,キター!このCIが作ってくれたビッグウェーブ、乗らない手は無いねっ!)」

凛 「…!(…行くよ、アーニャ!)」

アーニャ 「…!(…Да !"流れ"を"大波"で、断ち切って見せます!)」

美波 「…!(あんまり巧くないけど、可愛いから良し!)」




未央 「…そうそう!でも私は楽しかったなー?文字通り"戦闘ごっこ"してるみたいで!!」

凛 「…うん、楽しかった。立ち位置の確認とか、体捌きの手順覚えるのが大変だったけど…ね、アーニャ?」

アーニャ 「Это было весело !…歌の踊りとはまた違うセッションみたいな感じで…最後まで演じきれた時は、最高の気分でしたね、リン?」

蘭子 「我々は本来、相容れぬ存在…故に、堕天使との共演により我が力はさらなる覚醒を遂げる!(それに、敵味方だと一緒に写る事自体が少ないから、同じカメラフレームに居れるだけでもテンションが上がるんですよ!)」

アーニャ 「…Это правильно!それ大事な事ですよね、ルァンコ?」


卯月 「…武Pさんも撮影にはずっと立ち会ってて、スーツアクターさんと動き合わせしたり…あ。時間の空いてる時は、私達皆でアドバイスをしあってました!」

美波 「…対等の立場での武Pさんとの触れ合い…確かに、悪くないわね?」


きらり「…そういえば杏ちゃん、さっきから言葉少なに何をしているのかにぃ?」

杏 「んー?…一話見て大体の設定や構成も分かったし、今後のストーリー展開を予想してた…この"名刺カード"を見ながらね」

莉嘉 「え?杏ちゃん、この後私達がどうなるか分かっちゃうの?!」

杏 「順番は分からないけれど…要素だけなら、多分"コイツ"が答えてくれる。」


みりあ「"コイツ"って…"変身ベルト"の事?」






美波 「"今後のストーリー展開"…確かに今、最も気になる話題だわ。雑誌には向こう一ヶ月分しか掲載されないし、そもそも情報規制も厳しいからよく分からないし…」

杏 「"今後のストーリー展開"の話をする前に…まずはこの"変身ベルト"と"名刺カード"の事を、皆に知ってもらう必要があるんだけど。」

美波 「うん。出来る限りフォローするね?」




杏 「…そもそも、この"変身ベルト"は"成りきりグッズ"と呼ばれる商品で…劇中の"ド・ライバー"に"成りきって"、"追体験を楽しむ"物なんだ」

美波 「その"追体験を楽しむ"には、家庭用ゲーム機で言うところの"ハード"にあたる"変身ベルト"と…」

杏 「"ゲームソフト"にあたる"名刺カード"の両方が必要となってくる。…ちなみに、この"名刺カード"の販売の仕方がまたエグく、小さな子供達の細やかなお小遣いを絞り尽くすようなコレクション性の高い代物で…」

美波 「個人的な恨み辛みは後にして、説明の続きをお願いします。」

杏 「…あー、ゴメン。とにかくやって見せた方が早いね。じゃあこれから、皆の前で一話の"追体験"を見てもらおうか。」





未央 「…一体、何が始まると言うんです?」

杏 「まあまあ、見てれば分かるって。…美波ちゃん?悪いけど、その"名刺カード"の中から、NGメンバーのカードだけ抜き出してくれる?」

美波 「はい、杏ちゃん?卯月ちゃん、凛ちゃん、未央ちゃんの各名刺カード。合わせて三枚!」

杏 「サンキュー…せっかくだからちゃんとやるかー。ベルト巻いて…っと、ベルトのバックル開いて、カード三枚セットしてっと…」

未央 「…(杏ちゃん、元々子供みたいな体型だから、違和感が仕事しないなー…)」

杏 「コラコラ、失礼な事考えない。…それじゃ、行くよー…?」




ガシャッ…ジャキィッ!

〈ユニット・フォーム!〉 システムボイス

〈…キュイイー…ンッ!〉システムオン

〈行きますよ、卯月さん、凛さん、未央さん!〉タケピーイケボ

〈〈〈ニュージェネレーション!!!〉〉〉NGボイス



ガシャッ…ジャキィッ!

〈ユニット・ライブ!〉 システムボイス

〈グォンッ…! 〉システムオン

〈う、おおおぉぉーーっ!!〉タケピーイケボ

〈〈〈流れ星ー…キセキッ!!!〉〉〉NGボイス

〈ズガガガーン!〉バクハツオン





CP 「「「うわあーーっ?!」」」


みく 「ば、番組のまんまにゃ?!」

李衣菜「…ろ、Rockだねっ?!」

蘭子 「わ、我が友の囁きが、これ程とは…?!(た、武Pのセリフがこんなに入ってるんですか…?!)」

莉嘉 「…杏ちゃん、カッコ良いー!!」

みりあ「私もやってみたーい!」


杏 「…フウッ。"番組が最高の取説"ってね?…それにしても予想以上に再現性が高いよ!こりゃ検証が滾るね!!」ドヤァ


美波 「…"追体験"?…"再現性"…"検証"!そうか、分かった!!」




蘭子 「ピィッ?!」

アーニャ 「Я был удивлен !…どうしたのですか、ミィナミ?!」

美波 「お、驚かせちゃってゴメンね?蘭子ちゃん、アーニャちゃん。でも分かったの、先の展開を知る方法が!」


アーニャ 「?…私がどうなるかも、分かりますか?ミィナミ、アンズ?」

杏 「もちろん!…この"変身ベルト"には"追体験データ"が既に先行入力で登録されてるんだ。"名刺カード"は、それを引き出すキーでしかない!!」

美波 「…そう!つまり、"名刺カード"を適当に組合せ、反応のあったものこそが"今後のエピソード"になるって訳!!」

杏 「幸い、普通なら揃えるだけで大変な"名刺カード"を全てサンプルとしてお預かりしてるからね!」




美波 「…!(ちなみに"何が"とは言わないけど、今は"ソフト側"に音声&動作データが入るようになっていて、後乗せ追加修正が可能となりつつあります。)」


杏 「…!(玩具だけのオリジナルモードも増えたから、一概に物語の先読みは出来ないんだけど…ここでは昔の方式で行くからね?)」




きらり「…ね、ね、杏ちゃん?ちょこーっとベルト、貸して欲しいにぃ?」

杏 「お、試しちゃう?良いよー、ガンガンやっちゃって?」

莉嘉 「ハイ、みりあちゃん!私達のカード持ってきたよ?!」

みりあ「二人ともありがとう!…っと、ベルト巻いて…セットして…じゃあ、やってみるね?!」




ガシャッ…ジャキィッ!

〈ユニット・フォーム!〉 システムボイス

〈…キュイイー…ンッ!〉システムオン

〈これからは、アイドルとしての皆さんを私が支えます。きらりさん、莉嘉さん、みりあさん!〉タケピーイケボ

〈〈〈私達、凸レーションですっ!!!〉〉〉凸Rボイス


ガシャッ…ジャキィッ!

〈ユニット・ライブ!〉 システムボイス

〈グォンッ…! 〉システムオン

〈あなた達自身の力を信じて下さい…私と共に!!〉タケピーイケボ

〈〈〈レッツゴー…ハッピーッ!!〉〉〉凸Rボイス

〈ズガガガーン!〉バクハツオン






みりあ「わぁーいっ!うまく行ったーっ!!」

莉嘉 「私達も、武Pクンと一緒に戦えるんだね?楽しみだなーっ!」

きらり「二人とも良かったにぃ?…でも、お店の方の凸レーションは、一体どうなるのぉ?」

杏 「…多分CPとPKとの戦いの激化で、お店自体に被害が生じてしまうんだ。武Pは改めてきらり達をスカウト。お店と同名のアイドル"凸レーション"として戦うんじゃないかな?」

莉嘉 「そこまで分かっちゃうんだぁ?!」

みりあ「他には他にはー?」

杏 「CPでの中では遅いデビューとなるため、実力不足に悩む事になると思う。でも武Pによって、自分達の本当の魅力に気が付くって感じかな?」

きらり「今の杏ちゃん、凄いと言うより、何か怖いにぃ?!」



杏 「!…うわ…気が付いてしまった…智絵里ちゃん?かな子ちゃん?」

智絵里「ど、どうしたの杏ちゃん?さっきまでのイケイケな勢いが、すっかり消えちゃってるよ?!」

杏 「…杏が二人に言ってた、私達の流れが見えるって話。私達、多分最低でも一回以上は戦う事になりそうだよ?」

かな子「え?無理ムリ無理ムリ!何でベルトもカードも使わないうちから分かるの?」

杏 「だって話の流れ上、絶対そうじゃん?特に前期は、私達CIと卯月ちゃん達NGが、交互に戦うスタイルになるよ…」

みく 「ちょっと待つにゃ?!私達"*"も準レギュラーにゃ!」

李衣菜「そうだ、そうだ!」

杏 「それにしたって三交代制だよ?凸Rがいつ合流してくるか…後は」


美波 「…」ドキドキ

アーニャ 「…」ドキドキ

蘭子 「…」ドキドキ


杏 「…あの三人の動向次第かな?…あーあ、嫌な予感、してたんだよなあ…」




美波 「そ、それじゃあ…アーニャちゃん、任せたからね?」ドキドキ

アーニャ 「Переместить вас…うまく、行くと、良いのですが…」ドキドキ

蘭子 「…血の盟約に従い、我と共に魂の共鳴を奏でん…!(…大丈夫、きっと共演出来ますよ…!)」ドキドキ




ガシャッ…ジャキィッ!

〈ユニット・フォーム!〉 システムボイス

〈…キュイイー…ンッ!〉システムオン

〈ようやく、夢のユニットが実現しました…!美波さん、アーニャさん、蘭子さん!!〉タケピーイケボ

〈〈〈ラブライカ&ローゼンブルクエンゲル!!!〉〉〉LL+REボイス


ガシャッ…ジャキィッ!

〈ユニット・ライブ!〉 システムボイス

〈グォンッ…! 〉システムオン

〈今こそ、あなた達の想いの強さを見せる時です!!〉タケピーイケボ

〈〈〈メモリーズッ!!!〉〉〉LL+REボイス

〈ズガガガーン!〉バクハツオン





杏 「…ああ。かなり後半になりそうだけど、美波ちゃんと蘭子ちゃんの尽力で、アーニャちゃんはF.I.P.抜け出してCP参加するんだね?ドラマチックな展開が期待出来そう」


アーニャ 「Хорошо!…やりました、ミィナミ?ルァンコ!」パァッ

美波 「良かったね?…私達、最後は一緒なのね!?」パァッ

蘭子 「みんなと見せるから…色あせない輝きを!(敵なのは最初のうちだけ…仲間になるまで挫けず頑張ろう!)」パァッ



未央 「…おい、しぶりんや?」

凛 「…何だい、未央さんや?」




未央 「…何かこの状況、昔あった気がしない?」

凛 「…"私達だけ"、チームの足並みがバラバラなこの状況の事だね?」

未央 「私はリーダー、しぶりんはエースって言われてるけどさ…」

凛 「NGのセンター…中心は、やっぱ卯月なんだよね…」

未央 「で、さ…うちのセンター、何時の間にどこ行ったのさ?」

凛 「…知らない、分からないよ…」



杏 「…ねえ、そんなに気になるなら、やって見れば?皆やってるよ、みくちゃん。李衣菜ちゃん。」

みく 「み、皆お子ちゃまだにゃ?あ、あんな玩具に一喜一憂しちゃって!」

杏 「…仕事じゃん。ま、杏はどっちでも良いけど…」

李衣菜「ま、全くRockじゃ…まあそこまで言うなら?やってみない事も無いけどさ。」

杏 「…("不幸弄られ特性"なのは、この面倒くささの影響大だと思うよ…自業自得ってヤツ)」




凛 「…(相変わらずだな…"*"は)」

未央 「…ねえ、しぶりん?私達また、同じ過ちを繰り返しちゃってないかな?」

凛 「ど、どういう事?」

未央 「つまり、さ…そうなる可能性がある事は充分分かっているはずなのに…見て見ぬ振りをしていないか?って事!」


みく 「さあて、ベルト。ベルトっと…あれぇ、見当たらないにゃあ?」

李衣菜「カード、カードっと…おやあ?こっちも見つからないよ。Rockじゃないなぁ?」


凛 「…!(…クッ、この大変な時に強引な振りを噛まして来るとは…まさに"*"!)」

未央 「しぶりん、この振りはヤバイって!しまむーは…しまむーはどこ?!」

凛 「?!…ああっ、う、卯月…そ、そんな!」





…ババァーンッ!



卯月 「ガンバリマス。ガンバリマス。」ガクガク



みりあ「あ、ガンバリマスロボだ!」

きらり「しっ!あまり見ちゃいけませんっ!」

莉嘉 「きらりちゃん、きらりちゃん。口調、口調。」


李衣菜「ああっ!ベルトを巻いた上に、凛ちゃん、奈緒ちゃん、加蓮ちゃんのカードを手にした卯月ちゃんが?!これは一体…」

みく 「お笑い草にゃ?そんな生まれたての小鹿のような足取りで"ユニットライブ!"出来ると思ったら大間違いにゃ!」


杏 「うぉっとみくちゃん、メチャクチャ変身ベルトに詳しいでやーんの!」


未央 「お笑いノリで、何でもかんでも煽ってんじゃあないよっ!」

凛 「卯月はあんたら"*"と違って繊細なの!!…ほーら卯月、良い子だからそんなカードをポイッしよう?」


李衣菜「なんか…」

みく 「酷くない?」


卯月 「…大丈夫…信じてますから、凛ちゃんの事…!」ブルブル

凛 「私の事信じてくれるのは嬉しいけど、今回信用ならないのはド・ライバー制作陣だからね?!」





杏 「…それにしても意外!普通は味方の組合せのみを試そうとするのですが、今回は明らかに敵の組合せ!!」

美波 「敵の組合せでもベルトは反応してくれるのか?成りきりは成りきりでも"ヤられる"成りきりグッズは前代未聞(※)!…興味深く見守ります!」

(※…現実では無いと思います。無いよね?)

未央 「おい、こらCPリーダー?!身内も信用ならないよ、本当にさ!!」

凛 「そんな事してる間にもっ…ああっ、卯月!そのレバーを引いちゃ…ダメーっ!!!」




ガシャッ…ジャキィッ!

〈ユニット!〉 システムボイス

〈…キュイイー…ンッ!〉システムオン

〈F.I.P.の闇アイドル?…あ、貴女は、凛さんでは無いのですか?!〉タケピーイケボ

〈〈〈トライアドプリムス!!!〉〉〉TPボイス


ガシャッ…ジャキィッ!

〈ユニット・ライブ!〉 システムボイス

〈グォンッ…! 〉システムオン

〈…CP?NG?何それ…私は凛…TPの凛さ!〉リンボイス

〈〈〈トランシング、パルスッ!!!〉〉〉TPボイス

〈ぐわあっ!…り、りんさ…〉タケピーイケボ

〈ズガガガーン!〉バクハツオン




杏 「…こ…」


CP 「「「…(これはヒドイ)!」」」


美波 「た、武Pさん、爆発してましたけど…」

杏 「音質が変わって別音に聞こえるけど、あれは爆発音では無くデジタライズ解除音。つまり、武Pの変身が解けちゃうんだ」

凛 「ほ、本当に知らなかったんだよ!まさかド・ライバーでも私がクローネに入るだなんて…」

杏 「ま、でも想像はつくわな…」

凛 「そ、それはそうだけど…。だって音声仕事なんてさ?ゲーム・グッズ・ナレーション・アプリ等々…全部まとめて録るじゃない?」


未央 「…」


凛 「事務所の方でまとめてさ?スタジオ代高いから、借りた時に一気録り!一々細かくどこの仕事かなんて把握出来ないよ…」

未央 「フウッ…ゴメン、しぶりん。ほら、しまむー?これで分かったでしょ?しぶりんはしまむーを騙そうだなんてしないって」

卯月 「…ご、ごめんなさい凛ちゃん…あの時の事思い出したら、何だかいても立っても居られなくなっちゃって」




杏 「一応フォローで言っておくと…ゲームやアプリ、玩具用の音声は"単語"ごとに収録される事が多いんだ」

未央 「"単語"ごとに収録しておけば、その単語の組合せで色んな意味を持たせられる。現場もギリギリまで調整出来る。けど…」

杏 「収録した本人の意思とは無関係な言葉が、無尽蔵に増やされていく…ちょっと怖い話だよね?」


凛 「ゴメンね?卯月…もう今度から卯月を不安がらせないって決めてたのに…」

卯月 「ううん。私の方が悪いの…ごめんなさい」

未央 「…やれやれ。一時はどうなる事かと思ったよ…」





杏 「あーあ。それにしても、武Pと敵味方に別れての戦いかあ…アーニャちゃんと対照的な立場が実にドラマチックだね?」

未央 「…ん?」

杏 「味方時の淡い恋心と、敵に植え付けられた敵心の葛藤に身を焦がし、必死に追いすがる武Pを見ると何故か涙が止まらない!」

未央 「…んん?」

杏 「NGとTPの友情の板挟みとなり、気分はロミオとジュリエット!…そんな乙女心の駆け引きまくりな立場に、実は凛ちゃん、喜びを隠しきれないんじゃない?」


凛 「…フフッ…まあ、悪くないかな…ハッ!」


卯月 「…凛ちゃん…?」


凛 「う、卯月?ウソウソ!そんな事これっぽっちも思ってないからっ!!」




卯月 「…笑えないんです…」

杏 「?今の会話に笑える部分なんて無いけど?」

未央 「その笑いじゃないよ?!」


卯月 「…笑顔なんて、誰でも出来るもんっ!!」ドタタッ!

未央 「?!ベルトは置いていきなさい、しまむー!!」

凛 「さ…三人じゃなきゃ、ヤラァッ!!」ドタタッ!

未央 「!!しぶりんまで?!廊下は走らないの!!」


杏 「フウッ…ようやく行ったね…」

未央 「…杏ちゃんが何を望んでいるのか、さっぱり意味が分からないよ…」


杏 「…"女王"の件、蒸し返されずに済んで良かった…」

未央 「それだけかい」

アーニャ 「…Да !…346プロの平和は守られました…」

杏 「それにしても"女王"…奴は一体、何専務なんだ…」



みく 「…馬鹿話はそろそろ止めにして、予告上映に行くにゃ!」

杏 「入ってないよ?」

みく 「…は?」

杏 「予告だけ間に合わなかったみたい。本放送迄には間に合わせるって言ってた」

みく 「…にゃ?!」



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ありがとうございます。これで

・CPによるB&Cパート 感想

終了しました。残る

・美城&ちひろによる次展開の仕込み

・次回予告

は明日夜アップにさせて下さい。

今日中に終わらなくてごめんなさい。


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--346プロダクション 美城専務オフィス内


ニ"ャ"-マタデバンナシギャーアバレンナジョオウノケンハモーイーワギャー…


美城 「?…今日は何だか騒がしいな…」

ちひろ「今ちょうどCPの皆さんが、美城専務提供の"マスク・ド・ライバーP 第一話"を観賞中なんです。…中々評判が良いみたいですよ?」

美城 「…ああ、そういう事か。全く落ち着かない連中だな?少しはPKの落ち着きを見習って欲しいものだが…」

ちひろ「…。(私のプロジェクトでCPが楽しんでくれたのなんて、初めてじゃないか?これは早くPKにも見てもらわなくちゃ!)」ニコニコ

美城 「本放送開始もまだだというのに…この程度で騒いでいたら、春から夏の商戦に向けたテコ入れに付いていけんぞ?」

ちひろ「…。(春から夏にかけて、まだまだ色々仕込んでいくから!…楽しませるよー?)」ニコニコ

美城 「…言いたい事があるなら、はっきり言いなさい。何だ?さっきからニヤニヤして…」

ちひろ「何でもありません。第一、私はいつだって笑顔ですよ?そうじゃありません?」ニコニコ




美城 「…フン、まあ良い。それにしても、撮影…立ち会いというのは、待ち時間が長いにも関わらず疲れるものだな…」

ちひろ「いつもお疲れ様です♪そんな貴女には、スタドリ&エナドリをお求め易い価格設定で…」

美城 「隙あらば勧めて来るのは、いい加減勘弁願いたい。」

ちひろ「誠心善意の心づもりなのですが…」



美城 「…それはそうと、君に一任した例の件…首尾はどんな感じだ?」

ちひろ「…私の"グリーン呑みニケーション"を嘗めて頂いては困りますね?既に"彼女"経由で、先方の"プロデューサー"からの大筋の許可は取り付けてあります。」

美城 「ほう?あの"アメリカに出向中"というプロデューサーと良く連絡が取れた物だ。…何か問題はあるか?」

ちひろ「先方から、当社から提出した基本提示項目に対し、幾つかの"提案"が提出されています。」

美城 「…"提案"?修正"要項"では無く、か?…ちょっと見せてみろ。」



ちひろ「こちらになります。」

美城 「フム…主にシナリオ…ストーリー面でか…なるほど。我々にまず"提案"し、監督や脚本家と直接話をするための"仁義"を通した訳だな?」

ちひろ「…如何致しますか?」

美城 「先方の思惑は分かった。"夢のコラボ実現"という話題性だけで、当社的には充分釣りが来る。出来る限り先方の希望に沿うように」

ちひろ「…よろしいのですか?」

美城 「何を驚く?先方の提示は、言わば双方が"win・win"となる物だ。拒否する理由が無い…フフ、それにしても…」

ちひろ「?」




美城 「流石、弱小プロダクションから超売れっ子へと育て上げた"名プロデューサー"だと思ってな?」

ちひろ「…普通なら、売れっ子の立場を利用して、自身にばかり有利な条件を吹っ掛けて来る物ですが…そうでは無い、と?」

美城 「その通りだ。しかも、穏便に見せながら"物作り"…いや"アイドルの魅せ方"に関しては貪欲。…アイドルPたるもの、こうでなくてはな…」

ちひろ「…武Pさんにとっても、良い刺激になる、ですか?」ニコニコ

美城 「…フンッ!彼は彼で、忙しさにかまけてアイドルの"魅せ方"にまで気が回っていないようだからな…まあ、私の無茶振りのせいなのだが」



ちひろ「フフッ…ああ。そういえば、もう一つ報告が。」

美城 「何だ?」

ちひろ「スタドリの一般販売に続き、エナドリの一般販売にも目処が立ちまして。春の商戦に間に合うよう、既に手配しておきました」

美城 「おいっ?!私は聞いてないぞ?!」

ちひろ「?今言いましたから。」

美城 「何で私が聞いていない物が、既に絶賛大量生産中なのかと聞いている!」




ちひろ「だって、そういうものですから。…大丈夫!このお陰で昨年対比125%の売上を達成予定です!!」

美城 「一番納得行かんのは、製造法と成分配合のパテント代が10%という事だ!どこの夢の国みたいな暴利を貪っているんだか?!」

ちひろ「当然の権利です。…では。」ニコニコ


ドアシメオン ガチャッ


美城 「…奴一人が"win・win"な気がする…鬼、悪魔、ちっひー…!」ガタガタ


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【次回予告】(ナレーション:立木 文彦)


--ついにその全容を露にする"プロジェクト・クローネ"の脅威!!


フレデリカ「ダディャーナザァーン!オンドゥルルラギッタンディスカ-?!」クロウィッグファサー


ありす「私の名前は"橘"ですっ!第一裏切ってもいないですし、何より文香さんはそんなダミ声なんかじゃありませんっ!!」


フレデリカ「ウゾダドンドコドーン!」クロウィッグフリミダシー


ありす「…(ムカッ)!」ビスビスビスビスビス…


フレデリカ「…あっ、ちょっ、ありすちゃ…あばら骨の間つつかないで?…地味にっ、痛っ!」

文香 「…あ、ありすちゃ…」オロオロ





--その脅威に翻弄されながらも、必死に闘うCPメンバー逹!!


みく 「…うん!みくはいつでもステージに立つ準備できてるよ?!」


李衣菜「…よしっ!今の私、最高に熱くてロックな気がするっ!!」


武P 「…今日は少々、Rockに行くとしますか…にゃっ!…"・ω・ver!!"」





--だがその闘いは、次第に武内プロデューサーの体をも蝕んでいく!!


前川 「…アイドルは、登録された基本データに基づき、デジタライズを行う度にある程度復元力による自己修復が行われますが…」


多田 「アイドルでは無い武Pがデジタライズ粒子を浴び続けた場合、ある一定量を越えた段階で自己崩壊が始まってしまうんです…」


武P 「…くっ…他のアイドルの皆さんには、まだ…黙っていて、もらえますか?」



凛 「…(…う、嘘…た、武Pが、いなくなっちゃう?)」





--そして物語は、更なる急展開へと雪崩れこんで行く!!


女王 「…何故、アイドルの力は、ファンのためにしか使ってはいけないのか…疑問に思った事は無いのか?」

凛 「わ、私は…っ!」

女王 「私と共に来い、凛!そうすれば…武Pを救うどころか…その"者"を手に入れられる!!」


蘭子 「天界の扉は既に開かれた!…聖なる泉の元で描かれしこの紋様は、すなわち…我を次なる覚醒へと導く、魂の天球儀…!(…あの時の私ではもうありません!貴女には他に戻るべき場所があるはずですっ…!)」

美波 「…アーニャちゃん!やっと…やっと会えたっ!」

アーニャ 「…Почему здесь ?!…来るな…来ないでっ…ミィナミ、ルァンコ!」


きらり「…あ、ああ…お父さんと…"ママ"のお店が…っ…うっ…えっ…うぐっ、ぐすっ…!」

莉嘉 「?!…きらりお姉ちゃん、しっかりして…ねぇっ、きらりちゃん!?」

みりあ「きらりお姉ちゃん?泣かないで…泣かないでよ…ぐすっ…うあっ…ああああ!」





--そこに現れる二つの影!!彼らは果たして、敵か?味方か?!


♪:挿入歌「M@STERPIECE 」(唄;765PRO ALLSTARS)



○○○P「…お前の、アイドルに対する想いは、そんな程度のものだったのか?武内!!」


武P 「!!…ハリウッドにいるはずの貴方が、何故今こんな所に?!」


●●P 「おおっと!この俺も忘れてもらっちゃ困るぜぃっ?!」


武P 「?!…○○○先輩の後任として、アイドルと共に世界中を回っている貴方まで!!」





--次回の「マスク・ド・ライバー P」に、ご期待下さい!!


○○○P「…団結した俺たちは、きっと無敵だ!今日は俺とこいつ、そしてお前で…"トリプル・ド・ライバーP"だな!!」


【次回予告 終了】
-----------------

完。


お付き合い頂き、誠にありがとうございました。

書きたいことを書きたいだけ書いたら、とんでもないボリュームになってしまいました。

それでいながら一番書きたかった部分には全く到達せず。

書きたいことの触りだけ、BCパート感想部&予告に投入し、一区切りとしました。

残り、今のが後2つ分位でしょうか…長くなりそうで躊躇してます。
さすがに話数毎には書きませんよ?!

重ね重ね、読んで頂きありがとうございました!申請出してきます。

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