義父「娘ちゃん…」(119)

義父「いつかパパと呼んでねぇ」

ニマァ

それから八年後…

~仏壇の前~

義父「娘ちゃん…ついにパパと呼ぶことは無かったね…」

グスッ

義父「あれからなんやかんやで…とうとう私はひとりぼっちになってしまったよ…」

義父「ウッウッ…」

バタッ

義父「私は…これからどうすれば…」

ガラガラッ

?「邪魔するぜ」

義父「!?」

?「よう、あんたと会うのは初めてだよな…俺は黒服、あんたの娘に金を貸していた者だ」

義父「なっ…娘ちゃんが金を!?」

黒服「あぁ。利子がついて、なんやかんやで…ざっと三百万!」

義父「さっ、三百万…!?」

黒服「あぁ、娘が死んだ今、あんたに返してもらおうと思ってニャ」

義父「そんな…まさか娘ちゃんが借金していたなんて…嘘だ…」

黒服「嘘じゃねぇよ…借用書もちゃんとある」

義父「うぐぬぬ…」

黒服「さて、キッチリ返してもらおうかな」

義父「無理でやんす…私は無職で貯金もほとんど無いでやんす…」

黒服「心配無い。あんたみたいな小太りの中年にも金を稼ぐ方法は、いくらでもあるのさ…これがな」

ニマァ

義父「た、例えば…?」

黒服「そうだなァ…例えば…」

ヌギッ

黒服「俺みてェな男に尻穴を差し出す、とかかなァァァ!」

義父「!?」

ピッカァァァ

義父「た、たくましかァ…」

黒服「さて、三百万の借金…一回七万として…どれくらい楽しめるかなァ…」

義父「い、一回って…何が一回なんですか…何が一回なんですかァァァん!?」

黒服「とっくにご存知なんだろう?」

ヒタ…ヒタ…

義父「近寄るな、んん…近寄るなァァァっはぁぁぁぁぁん!」

ビィィィィィン

義父「うふっあ…うふっあ…」

黒服「ふん、恐怖のあまり失神したか…好都合さね」

ガシッ

黒服「脱がせるぜ…優しくな」

シュルッ…

衣擦れの音が
艶めかしく響いた。

黒服「ふふ…楽しいぜ」

シュルッシュルッ

黒服「さて、お楽しみだ…」


ビリィ

黒服「ンフフフフ…」

義父「…」

黒服「さて、そろそろ目を覚ましてもらおうか」

ピシャッ

義父「んっ…」

パチリ

義父「きゃっ…」

黒服「いい反応だ」

義父「ひ、人を…人を呼びますよ!」

黒服「無駄だ、玄関には人払いの結界を張っておいた…俺は陰陽術を使えるンでね」

義父「そんな…」

黒服「さて、お前のトリセツ…読ませてもらおうか」

ジュルリ

ガシッ

義父「きゃぁぁぁ!」

黒服「さて、両手は押さえた…プッ!」

ヒュン プス

義父「ぐぬっ!」

黒服「毒針を打った。すぐに痺れて体が動かなくなるぜ」

義父「なんて奴…外道ってのはてめぇのような奴に使う言葉だぜ~!」

黒服「これが俺のやり方だ…これまでも、そしてこれからもな」

ジワジワ

義父「ぐっ、体が…手足が…動かな、い…」

黒服「我が一族に伝わる特殊な製法で調合された毒だ…全身に力が入らず動かなくなる…そして…あらゆる感覚が数十倍になるのさ」

義父「つ、つまり…?」

黒服「快楽も数十倍になるって訳さ…!」

ニマァ

義父「な、なんやて工藤…」

黒服「誰が東の高校生探偵やねん」

義父「い、いやだ…」

黒服「そうだ、その表情…その絶望に満ちた顔が俺の好物!生き甲斐!何よりも優先すべき事なンだよォォォ!」

ギュワンギュワンギュワン

黒服「かぜ、だいち、せいめい…あふれ、あつまり、はぜよ…」

ムクッ ギンッ どるるるる

義父「ち、チンポがドリルみたいに回転して…!?」

黒服「これぞ先週見たロボットアニメから編み出した必殺技よ!」

義父「なんて回転だ…そんなドリルで貫かれた快楽死するに違いない!」

黒服「それをやってやろうってんだよォォォ!」

義父「なんとぉー!」

黒服「いくぜ…お祈りの時間だ…せめて楽にイケますように、とな…!」

ギュワンギュワンギュワン

義父「南無三!」

ヌプゥ

義父「はうっ…はっ、はっ…はにゃ~ん…」

トロォン

義父「は、はちみつ…」

ヨダレ ダラァ

黒服「ククッ、まだまだほんの序の口よォ…」

ギュワンギュワンギュワン
ググンッ

モッサン! ゴッサン!

義父「あびゅりぃぃぃぃぃ!」

ピクッ ピクッ

義父「うあ…あ…わたしは…何故…あぁ…娘ちゃん…娘ちゃん…」

黒服「ふはは、死んだ奴を呼んだってなぁ、来やしないんだよぉぉぉ!」

グリグリ

義父「やぁ…もぅ…いやぁ…」

義父「楽しや楽し、笑えや笑え…イヒッ、キヒヒッ…イーヒッヒッヒ!」

義父「く、くるってる…」

黒服「イーヒッヒッヒ…ヒヒヒ!」

どるるるる
どるるるる
どるるるる

義父「ぐふっ…」

黒服「おぉっと、意識を失えば楽になれるとでも思ったか?甘いねェ…とんだ甘ちゃんさ!」

グイッ
グッグッ

黒服「覚醒のツボ!」

義父「はぁぁぁぁぁん!」

シャッキリィィィ

義父「気を失う事さえ…許されないのか…」

黒服「そうさ…全ては俺が満足するまで終わらない…終わらないのさぁぁぁ!」

どるるるる

義父「ぐふっ…」

グッグッ

義父「はぁぁぁぁぁん!」

シャッキリィィィ

黒服「ソイヤッ」

どるるるる

義父「ぐふっ…」

グッグッ

義父「はぁぁぁぁぁん!」

シャッキリィィィ

黒服「ソイヤッ」

どるるるる

義父「ぐふっ…」

グッグッ

義父「はぁぁぁぁぁん!」

シャッキリィィィ

黒服「ソイヤッ」

どるるるる

義父「ぐふっ…」

グッグッ

義父「はぁぁぁぁぁん!」

シャッキリィィィ

・ ・ ・ ・ ・

そう

宴は

まだまだ終わらない…

次に開く箱にあるのは

希望か絶望か…

【続く】

~次回予告~

『今日からここが君の家だ』



『む、娘ちゃん…?』



『貴方…不快です』



カミングスーン…

・ ・ ・ ・ ・

~とある牢屋~

義父「んん…」

パチリ

義父「ここは…一体…」

ヂャラ…

義父「ぐぬっ、足に何やら違和感…!?」

ヂャラ…

義父「足枷…なんてことを…」

ウグッヒグッ…

義父「ひでぇよ…こいつぁひでぇよ…」

義父「…」

義父「腹減ったなぁ…」

コツンコツン

義父「足音…誰か来るようだ」

コツンコツン コツン

?「…」

義父「薄暗くてよく見えないな…仕方がない…」

バッ

義父「技を借りるぜ天津飯…太陽拳!」

ピカー

?「きゃぁっ!」

ピカー

義父「よし、顔を拝ませてもらお…うかっ!?」

義父は見た。
確かに、見た。
懐かしくて愛おしい
その顔を。

義父「む、娘…ちゃん…!?」

似ている?瓜二つ?
違う。そのものなのだ。
少なくとも義父にとってその顔は
娘と同じものであったのだ。

?「いきなりなにするんですか…不快です」

義父「む、娘ちゃん…娘ちゃん娘ちゃん娘ちゃん!」

ガシガシガシ

義父「生きていたんだね!よかった!あぁよかった!嬉しい!嬉しい!あはぁーん!」

?「申し訳ないですが、私は貴方の言っている娘ちゃんさんではありませんが」

義父「娘ちゃんじゃない…だと…?」

?「はい。私は…私は少女。この地下牢で食事の世話をしています」

義父「そんな…似ているというには君はあまりにも…あまりにも!」

少女「そう言われましても私は私ですので…」

義父「そん…な…」

ガックリ

義父「ぐふっ…」

バタリ
ジョロロロロ…

義父(ショックのあまり失禁してしまった…だがもうどうでもいい…どうでも、いいんだ…)

ジョロロロロ…

少女「うわぁ…」

義父(娘ちゃんそっくりの子に失禁を見られている…何やら…何やら快感が押し寄せてきて…ウムフ…)

ウ ム フ ?

義父「ハァ…ハァ…」

ヌッチョリ

少女「…です」

義父「?」

少女「貴方…不快です」

義父「うぐっ…返す言葉も無い…」

少女「どうでもいいです、これ以上変態さんを相手にする程暇じゃないですから」

ドン

少女「これが今日の食事です。また明日同じ時間に来ますので、それでは」

義父「あ、ちょ…」

テクテクテク

義父「行ってしまった…」

義父「てか牢屋の外に置いてったんだが…手がギリギリ届く距離に…くそっ、嫌がらせかよ!」
チョイチョイ

義父「と、届くか…くぅっ」

チョイチョイ

義父「よし、あとは引き寄せるだ…」

ガシャーン
ビシャー

義父「お約束ぅぅぅ!」

ビシャー

義父「あぁ、なんてことだ…だが、待てよ…胃に入れば何でも同じ筈…よって地面にぶちまけられても食べられる!」

義父「見たところ、お粥…一面に飛散している。悲惨な光景だが、悲観するにはまだ早い」

義父「地面の泥や土と混ざっているが、四の五の言ってはおられんのさ、これがな」

義父「食うぞ…私は…地面にぶちまけられたお粥を…食うぞ!」

ズムッ

義父「姿勢を低くして…地面のお粥に口を…近づける…そして、すする…すすったるねん!」

ズズズ…
ンクッ

義父「…」

モチュモチュ

義父「…」

義父は泣いた。
何故か分からぬが泣いた。
空腹に粥が染みたのか。
惨めさに辛くなったのか。
自分にも分からなかった。
ただただ泥まじりの粥が
たまらなく美味かったのは確かだった…

~翌日~

義父「…」

コツンコツン

義父「来た…」

コツンコツン

少女「…」

ヒョイ

少女「汚い…本当に不快です」

カチャカチャ

少女「はい、今日の分の食事です。それじゃ」

コツンコツン

義父「今日は手の届くところに置いてくれたか…」

チョイチョイ
スッ

義父「ふぅ、ようやくまともに食べれるか」

義父「今日はなにかな…ぬっ?」

ナマニク

義父「生肉…それも鶏の生肉!?」

義父「これを食べろというのか…そう言うのか!」

ガシッ

義父「馬鹿にしやがって!」

ムッシャー

義父「ぐむ、ぐむ!」

ムッシャー
モチュモチュ

義父「鶏肉を生で食べるのは危険…しかもこんな不衛生な場所で…危険極まりない、だがな!」

モチュモチュ

義父「生きてやる…生き延びてやる…その為に私は!」

モチュモチュ

義父「食う…食うのだ…生肉だろうと、なんであろうと!」

・ ・ ・ ・ ・

その後

案の定下痢になった。

義父「うぐっ、ひぃぃぃぃぃん!」

ブリュブリュブリュッセル!

義父「止まらない…便の流れが止まらない、止めることなど、できない!」

ブリュッセル
ブリテン
ブリヂストン!

義父「あ゛み…」

ミチィ

義父「あ゛み…すずき…」

シロメ グルンッ
アワ ブクブク

義父「…」

プスッ ピープスー

義父「もうガスしかでねェ…なぁんもかんも…出し切っちまったよ…」

ガクリ

義父「…」

義父「この状況、なんとかせねばな。臭いが酷くて眠ることさえできないこの状況を、な…」

ウーム

?「何かお困りかえ?」

義父「だ、誰だ…いつの間に私の背後に!?」

?「ワシにとって背後をとるなど造作もない事さね…そう、このワシにはのぅ」

義父「あんたは一体…」

?「ワシは消毒ババア…SBさね」

義父「消毒ババア…?」

SB「うにゃ。名の通りあらゆるものを消毒するババアじゃよ」

義父「消毒…それはなんという好都合!」

SB「と、言うと?」

義父「見ての通りこの牢屋には一面便がぶちまけられている…これをどうにかしたいんだ」

SB「ヒッヒッ…つまりワシに消毒しろと?」

義父「うん」

SB「よかろうて…消毒がワシの生き甲斐じゃからな」

義父「助かるよ」

SB「見るがいい…これが生涯を消毒に捧げた女の姿よ!」

ファサァァァ

義父「SBが舞いだした…」

ピッピッ

義父「ぬっ、何か液体が飛んできた…」

ペロッ

義父「これは消毒液!」

SB「そう、ワシの着物は消毒液に浸しておってな…舞う程に消毒液をまき散らすのじゃよ!」

ファサァァァ
ピッピッ

義父「なるほど、あきれるくらいに効率的だ」

ファサァァァ
ピッピッ

義父「あぁ…消毒されてきた…実感…実感実感実感!」

ムクムクムク
ビィィィン

義父「勃起!」

ゴールデンカムイィ…

義父「か~ら~の~」

キュキュキュッ
シコ
プシャァァァ…

義父「萎え」

SB「早いのう。というか消毒したばっかりなのに、また汚したのかえ」

義父「すまん、消毒してくれ」

ボロンッ

SB「仕方がないのぅ…」

ススッ

義父「な、なにをする!?」

SB「…フェラ」

義父「SBが姿勢を低くして…うわぁぁぁ!」

カポネン

義父「…?」

SB「…」

ニヤリ

義父「快楽が来ない…」

SB(ふぇふぇふぇ…これぞSBの必殺技…サイレントフェラよ!)

義父(直接脳内に…SB、あんた一体何者なんだ!?)

SB(ふぇふぇふぇ…なぁに、ただのババアさ…かつての勇者と共に世界を救った者の…なれの果てさね!)

義父(ゆ、勇者…?あんた、一体何を言って…)

SB(さて、そろそろサイレントはお終いさ…ここからは…過激にいくのじゃよ)

ヌパッ

義父「え…」

カポネン

SB「死ねィ!」

カポポポポポポ

義父「にゅるむりゅぅぅぅ!果て死ぬぅぅぅ!」

ビィィィン
ビィィィン
ビィィィン

SB「ふぇふぇふぇ!」

カポネン

義父「あ、うあ゛…うま…う」

シロメ グルンッ

義父「これは…これはまるで…せかい…ゆれて…まわり、こわれる…!」

プヒャン

義父「…」

カポネン
カポ…

SB「…」

ピタッ

SB「ふむ、少々やりすぎたかのぅ。しかしあのお方は、こんな奴の何を恐れているのやら」

テクテクテク

?「ふん…かつての英雄も、そいつの危険性に気づけぬと見た」

SB「ぬっ、黒服どの…」

黒服「そいつは危険なんだよ…少なくとも我々の計画の邪魔になる存在だ」

SB「そうかえ…まぁいいわい、とりあえず依頼通り精子は空にした。ワシの仕事はここまでじゃ」

黒服「ご苦労。報酬はいつも通りでよろしいな」

SB「うむ、ではさらばじゃ」

ザザッ
ヴワン

黒服「黒い霧に包まれ消えた…ふん、相変わらず気味の悪いババアだ」

黒服「さて、こいつをどうするかだ…」

ガチャリ キィ…
テクテクテク

黒服「このまま楽に死なせるのはつまらんからな…しばらくは生かしておいてやろう…ふふ、せいぜい足掻くがいいさ」

・ ・ ・ ・ ・

義父「…」

ザワ

義父「!」

義父「少女ちゃんの気配!」

テクテクテク

少女「…」

義父「やぁ」

少女「…おはようございます」

テクテクテク
ドンッ

少女「今日の分の食事です」

義父「いつもありがとう」

少女「…」

義父「今日も、話を聞いていくかい?」

少女「…はい」

・ ・ ・ ・ ・

義父「…でね…だから…うんそうそう…だよ…」

ペラペラ

少女「…」

義父「だよね…だから…うん…いやいや…へぇ…」

少女「…」

義父(少女ちゃんは僕の他愛もない話を真剣に聞いていた)

義父(誰でも知っているような昔話、自分の子供の頃の話、テレビや漫画の話…少女ちゃんは産まれてからこの地下牢から出たことが無いらしく、どんな話にも興味をもってくれた)

義父「でね…」

少女「あ…あの…」

義父「ん?あぁ、そろそろ帰る?」

少女「は、はい…」

義父「うん、じゃあまた明日」

少女「はい」

テクテクテク

義父「行ったか…」

ヌギッ

義父「さて、一人になったし…」

モゾモゾ

義父「メンタリズムメンタリズム…時空を捉えて…手力…スーパーフリーーダム!」

パシャッ
タパパッ

義父「ふぅ…」

義父(…私はいったいいつまでこうしていればいいんだろうか)

義父(とは言ったものの、ここから出て何をする訳でもなく)

義父(ここにいて…毎日、少女ちゃんと会えればいいのかもしれない)

義父(あぁ…考えても答えはでないか…食事を済ませて早く寝よう)

カチャカチャ

義父「今日は蜂蜜うどんか」



蜂蜜うどんとは?
まだ芯が残るくらい固めに茹でたうどんに
蜂蜜をたっぷり絡ませ
仕上げにザラメをまぶした
激甘なうどんである!

義父「食うか…」

ズゾゾゾゾ
ハムハム

義父「甘いね、どうにも」

ハムハム
モチュモチュ

義父「小麦粉の匂いと蜂蜜の匂いが混ざって…若干の吐き気を催すんだな、これが」

モチュモチュ

義父「だが、箸が止まらないのも事実…やめられないとまらない…とめることなんて、できない…」

モチュモチュ
ゴクン

義父「はぁぁ…///」

恍惚!

義父「あぁ…気分がいいな…」

フワァ ビクンビクン

義父「う゛ぁ…と、時の流れが数字で見える…」

ビクンビクン
シロメ グルンッ

義父「甘味に支配された…もはや私はただの糖質だ…」

ビクンビクン
ジョワ~

義父「アイアム…シュガー…」

バタリ

・ ・ ・ ・ ・

『義父さん』

『まだ、パパとは呼んでくれないんだねぇ…』

『ごめんなさい…私のパパは世界にたった一人なんです…』

『そっか…』

『ごめんなさい…』

『いや、そんな顔しないで。私は…それでも君の父親だから…パパにはなれなくても…父親、だから』

『義父、さん…』

・ ・ ・ ・ ・

ボヤ~

義父「んん…寝ていたか」

ムクリ

義父「娘ちゃん…」

ウッウッ

義父「娘ちゃんはもういない…いないんだ…なのに何故私はまだ…こうやって生きている…もはや意味を無くした人生だ…生きていても…無駄なんだ…無駄なんだ!」

コツンコツン

義父「!」

テクテクテク

少女「…」

義父「少女ちゃん…」

少女「今日の分の食事です」

義父「あ、あぁ…ありがとう…」

少女「…」

少女「…泣いて、いるんですか?」

義父「!」

少女「…」

義父「…」

少女「あの…」

義父「…るな」

少女「え…?」

義父「しゃべ、るな…」

義父「あの娘と同じ顔で!喋るな!何故私の前に現れた!?何故私にあの娘を思い出させる!?何故…何故なんだ…」

ガクリ

義父「もう食事を運んでこなくていいよ…このまま静かに死なせてくれ…」

少女「…」

タッタッタ

義父「…」

義父「これでいい…娘ちゃんが死んだ時点で私の人生は終わっていたんだ…もう終わりにしなければ…いけないんだ…」

バタリ

義父(このまま…餓死しよう…)

・ ・ ・ ・ ・

義父「…」

義父(あれから何日経ったのか…)

義父(空腹で頭が回らない)

義父(そう、私は食事をとっていない…なのに)

義父(少女ちゃんは毎日、食事をもってくる)

義父「…勘弁、してくれよ」

~翌日~

カチャカチャ

義父「…」

義父(また来た…食う筈もない食事を…くそっ、イライラさせる…)

カチャカチャ トン

少女「…」

義父「…」

少女「あの…食事、置いておきます…」

義父「…チッ」

少女「!?」

義父「もう食べないって言ってるだろ…何故持ってくる?」

少女「…」

義父「答えれよ…答えれよォォォ!」

少女「…」

義父「ったく………っ、ぐっ…」

フラッ

義父「ぐぁぁっ、うぐっ!」

少女「!」

少女「ど、どうしたんですか!?」

カチャカチャ バタン
テッテッテ

少女「だ、大丈夫ですか!」

義父「…」

ガシッ

義父「…」

少女「!?」

義父「ふふ、演技だよ…心配して牢の中に入ってくるのを待っていた…」

少女「そ、そんな…」

義父「ふふ…もはや全てがどうでもよくなった…」

ジュルリ

義父「キヒヒッ…白い肌…まぁるい瞳…真っ赤な血の通った唇…キヒヒッ…うぅまそぅぅぅ…」

少女「いや…いやぁぁぁ!」

義父「なぜいままでこうしなかったのか…たかが娘ちゃんに似ているだけの小娘を…こうやって襲わなかったのか…キヒヒッ…ヒヒッ…欲望のままにやれば、こうも気分がいいのだから…なぁ、少女ちゃぁん…」

ジュルリ

少女「や、やめてくだされ…やめてくだされぇぇぇぇぇ!」

義父(恐怖のあまり口調が変になっている…)

少女「やぁ…」

義父「ふふ…」

ザザッ

?「待てぃ!」

義父「だ、誰だ!いつの間に私の背後に!」

?「若い蕾を乱暴につみ取り欲望のままに犯す愚行…人、それをレイプという…」

義父「だ、誰だ貴様は!」

?「貴様に名乗る名は無い!」

シュパーン

?「私は便乗レイパー…通称BRだ!」

義父「び、BR…?」

BR「そう。他者のレイプに便乗して参加する奴さ!」

少女「外道め~!」

義父「なるほど…ならば私の邪魔はしないという事だな」

BR「いかにもタコにも」

そのBRという男は
いわゆるヒョロガリであった。
長身で、黒のスーツを着ていた。
社会の窓は全開で
いまにも何かが飛び出してきそうな勢いであった。

BR「さぁ、早くやるんだ。私は便乗して君に続くから!」

義父「お、おう」

ガシッ

少女「やっ…痛いっ…」

義父「暴れるなよ…おいBR、こいつ押さえとけや」

BR「がってん承知の助!」

ガシッ

少女「っ…」

BR「あぁ…いい匂いだ」

スンスン

少女「やぁ…匂い嗅がないでよぉ…」

BR「いいや、嗅ぐね!」

スンスン スンスン スンススーーン!

BR「ハリアーーーー!」

ビクンビクン

BR「ぐふっ…」

ガクリ

少女「え…」

BR「死んだ」

義父「な、なにぃ!?」

ピトッ
ミャク ハカリー

少女「し、死んでる…」

義父「ばかな…」

少女「脈が無い…死んでいます」

義父「いきなり出てきて死んだ…なんという急展開だ」

少女「丁重に弔いましょう…死者にもはや罪は無いのですから…」

義父(自分を犯そうとしていた男を…なんという慈愛の心だ…)

義父(こんな愛は見たことがない…なんて素晴らしいんだハラショー…それに比べ私ときたら…)

義父(急に自分が惨めになってきた…仕方ない、舌を噛もう)

ガリッ トチュウ…

義父「ぐふっ…」

バタリ

少女「また死んだふりですか?もうひっかかりませんよ?」

義父「…」

少女「…」

義父「…」

少女「…ま、まさか…」

義父「その、まさかさ…ぐふっ…」

テテテテッ
ミャク ハカリー

少女「み、脈が無い…し、死んでる…」

少女「…義父さん」

ポロッ

少女「なぜでしょうか…涙が…短い付き合いでしたが、悪い人ではなかった…です」

ガシッ アタマ ワシヅカミー

少女「埋めて墓つくったろ!」

アナホリ
ホリホリホリホリホリホリ…
ホリホリホリホリホリホリホリホリホリホリ!

少女「うばらっしゃぁぁぁ!」

ホリホリホリホリホリホリホリホリホリホリ!

少女「よし、適度な穴が掘れました。義父さんを埋めるとしましょう」

ポイッ

少女「あとは土をかけて…」

ウメウメ…
ウメウメウメウメウメウメウメウメ!

少女「うばらっしゃぁぁぁ!」

少女「最後に墓石を乗せて…完成です!」

ドンッ

墓の下からの声「ありあとあした~」

少女「どういたしまして、です」

墓の下からの声「ゆっくり休ませてもらうとするよ…ぐふっ…」

少女「はい…ゆっくり…おやすみなさい…」

少女「…」

少女「不思議…」

少女「悲しいのは確かなのに…」

少女「不愉快では…ないのです…」

少女「私は…義父さんに父性を感じていたのでしょうか?」

少女「今となっては…もう…」

ザザッ

少女「背後に気配!?」

テクテクテク

黒服「…」

少女「黒服さん…」

黒服「何を…何をやっているだぁー貴様ぁぁぁ!」

少女「…」

黒服「貴様に命じたのは義父の食事係だ…なのに何故義父が死んでいる!?」

少女「すいません…いえ、すいますいません」

黒服「貴っ様~ふざけているのか!」

少女「はい」

黒服「そいつは生かしておいてこそ価値があったんだ…それを!」

少女「そう言われましても…義父さんは勝手におっ死んだんですよ…私は何もしていません」

黒服「だが貴様が原因なのだろう…そうなのだろう!?」

少女「しらね」

黒服「くっ、貴様ぁ…いつになく強気だな…私に飼われている分際で!」

ズイッ

黒服「しつけが必要のようだな!」

ヒュッ
ピシャッ

少女「あうっ!」

黒服「ふふ…貴様は私の所有物だ…ならばそれらしく私に従うのだ!」

少女「…」

ジッ

黒服「何だその眼は…何だその眼は、と言っている!」

ピシャッ

少女「あうっ!」

ピシャッ ピシャッ ピシャッ

少女「し!ど!い!」

黒服「まだぶたれたいか!どうなんだ!」

少女「…」

少女「…」

少女(今までの私なら…このまま諦めて黒服さんのいいなりだった…でも、今の私には…『抗う精神』があるッッ!)

ズイッ

黒服「っ!?」

少女「今日!私は生まれ変わる!黒服さん、貴方を倒して!」

ヒュッ ズムッ

黒服「ぐぁぁぁぁぁ!みぞおちに重い一撃が!左ジャブなのに、なんて重い一撃なんだぁぁぁぁぁ!」

少女「ジャブじゃありません…利き足をスイッチしたんです…これは左で撃つストレートです!」

黒服「なんて奴…だ…」

バタリ

黒服「ぐふっ…」

少女「気絶しましたか…この隙に逃げるとしますか」

テッテッテ

墓の下からの声「…」

黒服「…」

墓の下からの声「みじめだな、黒服さんよぉ」

黒服「貴様…私を笑うか!」

墓の下からの声「あぁ…笑うさ…あんたが私をこんな風にしたも同然だからな…あんたさえいなければ…こんな事にはならなかったんだ!」

黒服「何を世迷い言を…もとはと言えば貴様の娘が借金などするからだろ」

墓の下からの声「そうかもしれん…だが…私は…」

黒服「そうやって何もかも誰かのせいにしていればいいさ…所詮貴様も…うっ、ぐぁぁ…ぐふっ…」

墓の下からの声「死んだか」

墓の下からの声「しかし、なぜ黒服は私を飼い殺すような真似をしたんだ…私に何か秘密が…あるのだろうか…」

墓の下からの声「まぁいい…今となっては、何も意味をなさない…私はもはや…死人同然だからな…」

墓の下からの声「娘ちゃん…少女ちゃん…しばらく眠らせて…もら、う…」

シーン

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