勇者「死神のご加護がありますように」(825)

兵「おい、お前。王様がお呼だ。出ろ」

男「あん? 王が俺になんの用だ?」

兵「知るか。いいからさっさと出ろ」

男「おいおい、俺みたいなやつと王を会わせちまっていいのかよ?」

兵「貴様は黙ってついてくればいいのだ」

男「へいへい。まっ、なんにせよこんな小汚ねえところ出れるなら俺からすれば万々歳だからな」

兵「黙れというのが聞こえんのか!」

男「そうカリカリすんなよ。カルシウム足りてる? 肉ばっか食ってないで小魚も食えよ」

兵「いいから黙らんか!」

男「やれやれ、どうしてこうお堅いかね。わーったわーった。黙ってるからトイレ行かせてくれよ」」

兵「ならん! いいからキリキリ動け!」

男「だったらこの足枷外してくれよ。歩きづらくて敵わんわ」

兵「それはならん!」

男「難しい注文ばっかりしやがって」

兵「王様。連れて参りました」

王「うむ。ご苦労。下がって良いぞ」

兵「お、お言葉ですが王様。他には誰もいないとなるといささか危険では」

王「聞こえなかったのか。下がれと言ったのだ」

兵「は、はっ! 失礼いたします!」

男「おいおい、いいのかよ下げて。俺と二人きりは危険だぜ?」

王「何、大臣の手中に居るやつと二人きりのほうがよっぽど危険だ」

男「ははっ、違いない。寝首と尻穴には気をつけな」

王「うむ、忠告感謝する」

男「で、俺に一体何の用だ? まさか俺の尻穴の方が危険か?」

王「生憎そんな趣味はなくてな。すまんな」

男「おっと、それは残念だ」

王「さて、本題に入る前に1つ聞きたいのだが、男よ。魔王が復活したことは知っておるか?」

男「おお、久しぶりに名前で呼んでもらえたぜ。涙が止まらないぜ」

王「うむ、名前は一生物だからな。大切にした方が良いぞ」

男「両親に感謝しなくちゃな。それで、魔王だっけか? あーしってる知ってる。兵士たちがビクビクしてたからな」

王「やれやれ、所詮作り物の兵士なぞそんなものか。自分で始末してやるくらいの度胸はないものか」

男「で、その魔王の件と俺を呼び出したのになんの因果関係があるんだ?」

王「何簡単な話だ。その魔王討伐を貴様に頼みたいのだ」

男「おいおい、何だ? じゃあ俺は今日から勇者様か?」

王「いかにも」

男「いいのかよ、そんな名誉な称号を俺に与えて? 批判の嵐だったんじゃねえのか?」

王「うむ。賛成者など一人も居らんかったからな」

男「そりゃそうだろうよ。流石俺もお前の頭を疑っちまったぜ」

王「何心配ない。病院に連れて行かれが脳波も異常がなかったからの」

男「そりゃ健康でなによりだ」

王「で、結局どうなのだ。受けてくれるのか」

男「そりゃあんな豚箱にいるくらいなら受けるけどよ、一応俺を選んだ理由を聞かせてくれ」

王「うむ。まず初めにその手腕だ。うちの兵士100人集まっても貴様を倒せはしないだろう」

男「おいおい、大丈夫かよ国の兵隊さんよ」

王「それほどお主が強いということだ」

男「ははっ、ありがたき幸せ」

王「次に両者に対するメリットだ」

男「ほう・・・それはなんだ?」

王「そちら側とすれば牢屋からの釈放、無事戻ってくれば免罪としよう」

男「ふむ・・・だがそれだと俺が戻ってこない可能性がないか?」

王「もし帰ってこれれば一生遊んで暮らせるだけの報酬を支払おう」

男「ほぉ・・・。なるほどな。ま、旅の途中で俺が死ねば極悪人が死ぬわけだしあんたらが困ることはないということか」

王「その通りだ」

男「随分と死んだほうがメリットが多いな。まっ、そんな簡単なもんじゃないってことか」

王「そういうことだ」

男「なるほどなるほど。ま、俺からしたらメリットしかないからいいんだけどよ」

王「ということは引き受けてくれるということでいいのだな」

男「だがわからんな。何故そこまでして俺に拘る? それこそ一人の俺より兵士1000人とかにした方がいいんじゃねえか?」

王「これは最後の理由だが、私はお前を個人的に好いておる」

男「やっぱりホモじゃねえか」

王「そういう意味ではないは馬鹿者」

男「馬鹿って言う方が馬鹿なんだぞ」

王「小学生か貴様は。兎に角私はお前しかいないと思っておる」

男「あんなことしたやつによくそんなことが言えるな」

王「何かしら理由があったのであろう。お前がそんなことをするような男には私は思えん」

男「やれやれ、政治は出来ても人を見る目はなさそうだな。眼科をおすすめするぜ」

王「お主の鼻毛までしっかりと見えておるから安心せい」

男「仕方ねえだろ、あんな所にずっと入れられてたら手入れする暇もねえよ」

王「それもそうじゃな。それと嘘じゃ」

王「では頼んだぞ。勇者よ。この世の平和の為に」

男「平和とは程遠い男だがな。あいよ、畏まりました王様。ありがたく承りますでございます」

王「下手くそな敬語じゃの。ほら、餞別じゃ。持っていけ」

男「おお、俺のブツじゃねえか。わざわざとっといてくれたのかよ」

王「それ以外もちゃんと見よ」

男「これは・・・勇者の紋章か。まさか俺がこんなのつけることになるとはな。よっと、どうだ、似合うか?」

王「間違いなく世界一似合わんな」

男「うるせえよ。てか、あれは? 金は?」

王「お前に渡しても賭博か煙草代に消えるだけじゃろ。自分で稼げ」

男「よくわかってらっしゃる。良き理解者だよ、あんたは」

王「よせ、照れるではないか」

男「真顔で何言ってんだか」

王「では頼むぞ」

男「ちょっと待てよ。俺一人で行くのか?」

王「そりゃそうじゃろ。誰が好き好んでお主と一緒に行きたがるのだ」

男「確かに。ごもっともだ」

王「もし仲間が欲しいのなら自分で探すのだな」

男「おいおい、コミュ症の俺にどうしろっていうんだよ」

王「そんだけ喋れて何を言っておるのじゃ」

男「あれだ、内弁慶ってやつだ」

王「わかったわかった。はよいけ」

男「つれねえな、おい。人と喋ったの久々なんだからもう少し喋らせろよ」

王「その勢いで誰か見つけるが良い。ほれ、下がれ」

男「はいはい、わかったよ。じゃあな、王様よ。もう会うことはないかもしれんがな」

王「また会えることを願っておるぞ」

男「けっ、よく言うぜ」

勇者「さて、久々に外に出たわけだが・・・」

ザワザワ...

勇者(ま、そりゃ歓迎されねえわな)

勇者(とりあえずさっさとこの街を出るか)

勇者(薬草も防具もないけど仕方ないか・・・)

勇者(ってまあ金ねえしどっちにしろ買えねえのか)

勇者(前途多難だな、全く)

勇者(こんなに歓迎されない旅立ちの日歴代あったのかねぇ)

勇者(まあねえだろうな)

勇者(しかし足枷外してもらっただけでこんなに動きやすかったんだな)

勇者(久々すぎて忘れてたわ)

勇者(・・・はあ、煙草吸いてえ)

期待せずにはいられない

>>9
ありがとうございます!

再開します!

グサッ
グサッ
グサッ

勇者「ったく、なんでこの辺の魔物はこんな端金しか落とさねえんだよ」

グサッ
グサッ
グサッ

勇者「はぁ・・・。これじゃ煙草代稼ぐのも一苦労だな・・・」

グサッ
グサッ
グサッ

勇者「うっし、とりあえず今日はこんなもんでいいか」

勇者「宿代、メシ代、酒代、煙草代。こんだけあれば足りるだろ」

勇者「残った金で博打でもするか」

勇者「はあ・・・、早く仲間見つけないとしんどいな・・・」

勇者「独り言ばっか言って、アホみたいだな、俺」

勇者「やれやれ、豚箱が恋しいぜ」

勇者「やっと着いたか。遠すぎだろ、まじで。もう夜じゃねえかよ」

勇者「やだやだ、あんな所に閉じ込められてたせいか体がなまっちまったかな」

勇者「さっさと本調子に戻さんとな」

勇者「さて、とりあえず必要なもんでも買うとするか」


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勇者「おい、親父。いいの入ってるかい?」

薬屋「あん? 一体だれ・・・ってその紋章は勇者様!?」

勇者「おう、俺が勇者だ。もっと崇めろ」

薬屋「これはこれはとんだご無礼を! ・・・おや? どっかで見たことあるような・・・」

勇者「ほら、それは、あれだ。勇者だからだろ、うん。そんなことより何あんだよ!」

薬屋「あ、これは大変失礼しました。こちらになります」

勇者「ふ~ん・・・。おっ」

薬屋「何かお気に召されたものがありましたか?」

勇者「ピ○ス、カートンで。あ、あとライター」

薬屋「・・・え?」

勇者「いや、ほら、俺勇者じゃん? 平和願ってるじゃん? だから必要。はい、頂戴」

薬屋「あ、はい、こちらです・・・」

勇者「はいよ、サンキュ。じゃな」

薬屋「え、あの、薬草とかは・・・」

勇者「あー、この辺りじゃいらんわ。じゃな」

薬屋「・・・ありがとうございました」

チッ
ジュッ

勇者「・・・ふー。いやあ、生き返るな。やっぱ煙草はいいなあ。この頭がクラクラする感覚・・・、たまらないね・・・」

勇者「さて、とりあえず宿屋にでも行くか・・・。あぁ、美味かった。ごちそうさん」ポイッ

??「こーらー!!」

勇者「あん?」

魔法使い「そこのあなた! ポイ捨てはいけません!」

勇者「おー今時こんな偉い子がいるのか、感心感心」

魔法使い「え? えへへー、そうですか? 私偉い子ですか?」

勇者「ああ、かなりな、尊敬したわ。まじすげー。マッドリスペクトだわ」

魔法使い「そ、そんな~、照れちゃいますよ」エヘヘ

勇者「おう、その心を忘れるなよ。じゃあな」

魔法使い「はーい、お気を付けて」

魔法使い「・・・・・・・・・」

魔法使い「って、ちっがああああああああう!!」

勇者「おぉ、ナイスノリツッコミ」パチパチ

魔法使い「いい大人があんなことして恥ずかしくないんですか!!」

勇者「ああ、全然、これっぽっちも」

魔法使い「何でですか!! 罪悪感は芽生えないんですか!?」

勇者「うん」

魔法使い「これが大人だというのですか!! ゆとりゆとりという前に貴方がたがしっかりするべきなんじゃないんですか!?」

勇者「いいんだよ、大人は。口で偉そうなことだけ言ってりゃよ」

魔法使い「そんなの絶対におかしいです!! 恥を知ってください!!」

勇者「恥・・・恥・・・覚えました。おっけー、理解したわ。教えてくれてサンキューな」

魔法使い「え? あ、いえ、どういたしまして」

勇者「本当にありがとうな! じゃあな!」

魔法使い「あ、はーい、お気を付けて」

魔法使い「・・・・・・・・・」

魔法使い「って、ちっがああああああああう!!」

勇者「お前馬鹿だろ」

魔法使い「ホントいい加減に・・・って、え、あなた勇者様なんですか!?」

勇者「おう、そうだぞ。この紋章が目に入らぬか」

魔法使い「だったらなおさらですよ!! なんでポイ捨てなんかするんですか!!」

勇者「いいか、ガキ。これには海より谷よりも俺の懐よりも深ーい理由があるんだよ」

魔法使い「急に浅くなりましたね」

勇者「うるせえ黙って聞け。いいか、世の中には掃除屋っていう職業があるだろ? ところが街が綺麗だったらどうする?」

魔法使い「掃除しなくて良くなりますね」

勇者「そう、その通りだ」

魔法使い「だったらいい事ばっかりじゃないですか」

勇者「アホ。いいか、ちゃんと考えてみろ。ということはだ、もともと掃除屋だった人はどうなる?」

魔法使い「それは・・・あっ」

勇者「そう、職を失うよな? ということは失業者が溢れるだろ? そしたら世の中はどうなる?」

魔法使い「ほ、滅びる・・・!!」

勇者「随分飛躍したな、おい」

勇者「あーまあ、つまりそういうことだ。見えてるもん、聞いたもんが全てじゃねえんだよ。こうやって俺は世界の平和を守っているというわけだ」

魔法使い「なるほど・・・。確かに・・・。流石勇者様・・・。民の事をしっかり考えて・・・!」

勇者「そうだろそうだろ。俺の行動が理解して貰えて嬉しいよ」

魔法使い「疑ってしまってすいませんでした」

勇者「ま、全部嘘っぱちだけどな」

魔法使い「うがあああああああああ!!」

勇者「なんちゅう声出してるんだよ」

魔法使い「もー怒りましたよ!! これはお仕置きを受けてもらうしかありません!!」

勇者「お前が何をできるんだよ」

魔法使い「私は魔法使いです!! 魔法が使えるんです!!」

勇者「おぉ、それはすごいなー」

魔法使い「そうです!! だから覚悟してください!!」ビシッ

勇者「・・・・・・武器を向けたな」

魔法使い「・・・・・・え?」

勇者「・・・死ぬ覚悟は出来てるんだろうな」

魔法使い「え?」

勇者「死ぬ覚悟は出来てんのかって聞いてんだよ」ギラッ

魔法使い「ひ、ひいっ」ガクガク

勇者「人に武器を向けてるってことはよ、殺す覚悟と死ぬ覚悟があるかって聞いてんだよ!」

魔法使い「ご、ごめんなさい!!」ガクガク

勇者「・・・ったく。そう簡単に武器を人に向けるんじゃねえよ」

魔法使い「ごめんなさい!! ごめんなさい!!」ガクガク

勇者「あー、良い良い。俺もビビらせすぎた。悪かったな」

魔法使い「えっぐ・・・、えっぐ・・・」

勇者「卵卵うるせえよ。はぁ。まあ簡単に人に武器向けるなってこった」ヒョイ

魔法使い「あっ」グスッ

勇者「まっ、自分の思ったことをしっかり言えるのはいいことだ。そういうのは嫌いじゃねえよ。じゃあな、クソガキ」

魔法使い「・・・・・・こ、怖かったぁ」

魔法使い(・・・ていうか私なんであんなに怒られたんだろう)グスン


勇者「おっちゃん、空いてるかい?」

宿屋「・・・おや? まさか勇者様ですか」

勇者「おう、そうだ。んで、空いてるのか?」

宿屋「ええ、空いてますよ。どうぞお好きな所へ」

勇者「あいよー。あとこの辺に酒売ってるところはないのか?」

宿屋「そうですね、大体皆さん酒屋に行かれるのでちょっとわからないですね・・・」

勇者「あー、そうか。わかった、ありがとな」

宿屋「すいません、お力になれずに」

勇者「いやいや、なんもなんも。で、その酒屋はどこにあるんだ?」

宿屋「そこの広場をずっと南に向かったところにありますよ」

勇者「あー、またあの広場通るのか」

宿屋「なにかあったのですか?」

勇者「まあ色々な。よし、んじゃちょっと行ってくるわ」

宿屋「はい、お気を付けて。最近この辺りも治安が悪いので」

勇者「ふーん。ご忠告感謝するわ」

魔法使い「・・・・・・はぁ」

魔法使い(どうしてこう全て上手くいかないんでしょうね・・・)

魔法使い(私のしたことは間違ってるのでしょうか・・・)

魔法使い(見てみないふりして、賢く生きたほうがいいのでしょうか・・・)

勇者「おっ、なんだクソガキ。まだ居たのか」

魔法使い「えっ?」

勇者「おう、1時間ぶり」

魔法使い「こっ、こっ、これは勇者様、ご機嫌麗しゅう」

勇者「ビビリすぎだっつの。悪かったって言ってんじゃん」

魔法使い「悪かったで済めば警察なんてっ・・・いえ、なんでもないです」

勇者「はぁ・・・もう怒んねえって。だから普通にしろ」

魔法使い「・・・ホントに怒んないですか?」

勇者「俺が嘘つくような男に見えるか?」

魔法使い「見えます」

勇者「素直でよろしい」

魔法使い「それで勇者様はどうしたんですか? まさか私に会いに来たんですか?」

勇者「自惚れるなタコ。これから酒場に行くところだ」

魔法使い「・・・ホントにあなた勇者様ですか? やってることがゴロツキと変わりませんよ」

勇者「まあだろうな。どうだ? お前も行くか?」

魔法使い「私が飲めるような歳に見えますか?」

勇者「見えんな」

魔法使い「そういうことです」

勇者「まあいいからついてこいよ。ガキらしくジュースでも飲んでろ。奢ってやるから」

魔法使い「え、いいんですか?」

勇者「さっきのお詫びだ」

魔法使い「やったー!! さすが勇者様です!! やっぱりいい人だったんですね!!」

勇者(チョロ)

カランカラーン

勇者「よう、マスター。やってるかい?」

マスター「ん? おっと、あんた勇者かい。あぁ、やってるよ。好きなとこ座んな」

勇者「あいよ。ほら、ガキも座んな」

魔法使い「むぅ。さっきからガキガキって。私は魔法使いっていう立派な名前があるんです!!」

勇者「ああ、悪かったな。ガキの使い」

魔法使い「なんか違います!!」

勇者「いいからさっさと座れよ。マスター、とりあえずビールとミルクで」

マスター「おうよ」

魔法使い「随分慣れてますね。本当に勇者様のイメージとはかけ離れてますね」

勇者「お前は勇者に幻想を抱きすぎなんだよ。勇者だって一人の人間なんだ。好きにさせてやれよ」

魔法使い「まあその通りですけど・・・。それでもあなたは酷すぎですよ。人格を疑うレベルです」

勇者「うるせえよ。そういうお前だって魔法使いの割に馬鹿じゃねえか」

魔法使い「私のどこが馬鹿なんですか!! むきー!!」

勇者「そういう所だ、馬鹿」

マスター「あいよ、ビールとミルクお待ち」

勇者「おっ、来た来た」

魔法使い「あ、ありがとうございます」

勇者「じゃ、とりあえず乾杯といこうか」

魔法使い「はあ、まあいいですけど」

勇者「じゃっ、かんぱーい」チンッ

魔法使い「かんぱーい」チンッ

勇者「ゴクッ・・・ゴクッ・・・ぷはーっ、旨えな」

魔法使い「オヤジ臭いですよ」

勇者「馬鹿、これが正しい飲み方なんだよ。お前もチビチビ飲んでないでグビッといけよ」

魔法使い「そんな勢いで飲んだらお腹痛くしちゃいますよ」

勇者「本当に子供だな、お前は」

魔法使い「うるさいですよ。子供は子供らしくしてればいいんですよ」チビチビ

勇者「ちげーねえ」

魔法使い「ところで勇者様はお一人で旅をしてるんですか?」

勇者「逆に問うが俺についてきたいと思う奴がいると思うか?」

魔法使い「・・・すいません」

勇者「謝んな、アホ。俺が惨めじゃねえか」

魔法使い「それにしたってあまりにも軽装すぎません? 防具何もつけてないじゃないですか」

勇者「煙草代と宿代と飲み代で買う金なくなった」

魔法使い「何やってるんですか・・・。私に奢ってる場合じゃないですよ・・・」

勇者「いいんだよ、俺は。防具なんかなくたってどうにかなる」

魔法使い「冒険を舐めすぎじゃないですか? ていうか武器はどうしたんですか? 見当たりませんけど」

勇者「いいか、ガキ使」

魔法使い「略さないでください」

勇者「逆においそれと武器をひけらかしてる奴はアホだ。相手に自分の情報を与えてどうすんだよ」

魔法使い「あぁ・・・なるほど。それは一理ありますね」

勇者「というのは建前で」

魔法使い「本当になんなんですか、あなたは」

勇者「まあいいじゃねえか、俺のことは」

魔法使い「何でもいいですけどね、もう」

勇者「幻滅したか?」

魔法使い「はい、かなり」

勇者「だろうな。世の中はそんなに綺麗じゃねえってこった。善人ばかりじゃねえんだよ、この世界はな」

魔法使い「・・・でも勇者様悲しそうな顔してます」

勇者「あん? 俺がか?」

魔法使い「はい。うまく言えませんが・・・無理矢理笑ってるように見えます」

勇者「あぁ、それはお前との話が面白くねえからだな」

魔法使い「な、なんですか!! 人が心配してあげてるのに!!」

勇者「大きなお世話だアホ。ガキはガキらしく素直に生きてろ」

魔法使い「もう!! 心配して損しました!! ふんっ」

勇者「そうそう、それでいいんだよ。馬鹿が難しいこと考えてるんじゃねえよ」

魔法使い「べーっだ!!」

勇者「怒りっぽいやつだな。カルシウム不足じゃねえか? いいんだぞ、どんどんミルク頼んで」シュボッ

魔法使い「勇者様のせいですよ!! 普段はこんなに怒りませんよ!! ていうか煙草臭いです」

勇者「そんくらい我慢しろ。奢ってやってるんだから」

魔法使い「まあそこは本当に感謝してますけど・・・体に悪いですよ?」

勇者「いいんだよ、俺の体だから。どうなったって俺の責任だろうが」

魔法使い「まあそうですけど・・・」

勇者「マスター、ビール追加」

マスター「あいよー」

魔法使い「・・・もう」


「おい、テメーふざけんじゃねえよ!!」


勇者「お、なんか始まったぞ」

魔法使い「え?」

男1「あン? んだコラ!! 元はといえばテメーが悪いんだろうがよ!!」

男2「うるせえ!! お前のせいで妻には逃げられ、莫大な借金も抱えるハメになったんだ!!」

男1「んなもん知るかよ!! そんなのこの国の王でも言えよ!! 俺は何もしてねえだろうが!!」

男2「よく言うぜ!! お前がチクったんだろうが!! 俺んちに米があることをよ!!」

男1「そんなの隠してるお前が悪いだろうが!! 俺は正しいことしてんだ!! 文句あるか!!」

男2「うるせえ!! 今日こそぶっ殺す!!」

男1「上等だ!! 来いよ!!」

魔法使い「あわわわ、ゆ、勇者様大変ですよ!!」

勇者「いいぞーやれーやれー」

魔法使い「何やってるんですか!!」

マスター「はあ・・・。またか」

勇者「あん? またってどういうこった?」

マスター「ああ、ここ最近ずっとこんな調子だよ。何かあれば喧嘩喧嘩で・・・」

勇者「そういや宿屋のオヤジもなんか言ってたな」

魔法使い「何冷静に語ってるんですか!! 止めなくていいんですか!?」

勇者「つったて部外者の俺が何言ったって無駄だろ。余計なことに首突っ込んで首飛ばしたくねえもん。触らぬ神になんとやらってな」

魔法使い「・・・もう!! 見損ないました!!」

勇者「まだ下がる余地があったなんて驚きだ」

魔法使い「黙ってください!! 私が止めてきます!!」ダッ

勇者「あ、おい!!」

マスター「正義感が強すぎるのも困ったもんだな」

勇者「はあ・・・。あのバカが」

マスター「いいのか、助けに行かなくて?」

勇者「元はと言えば赤の他人だ。俺に助ける義理はねえ」

マスター「冷たい男だな」

勇者「だがまあ・・・さっきまで飲んだ四杯をただにしてくれるっつうならあの喧嘩を止めてきてやってもいいぜ?」

マスター「・・・ったく、あんたも素直じゃないね。ああ、そうしてやる。だからさっさと止めてきてくれ」

勇者「よっしゃ!! 約束忘れるんじゃねえぞ!!」

マスター「はいはい、男に二言はねえよ」

魔法使い「やめてください!! 他のお客様に迷惑です!!」

男2「あ~ん? なんだクソガキ!! 関係ないやつは引っ込んでろ!!」

魔法使い「あなたのせいで迷惑してるんです!! 今すぐやめてください!!」

男2「うるせえ!! ぶっ殺すぞガキが!!」シャキン

魔法使い「ひっ!!」

男2「一人殺すのも二人殺すのも変わらねえ・・・。テメエからぶっ殺してやる!!」

魔法使い「あ、あ」

魔法使い(あ、死んだ)

魔法使い(やっぱり力のない私なんかがでしゃばるんじゃなかったな・・・)

魔法使い(勇者様の言ったとおりだったのかな)

魔法使い(余計なことに首突っ込むべきじゃなかったのかな・・・)

魔法使い(お父さん、お母さんごめんなさい)

魔法使い(今私もそっちへ向かいます)

キンッ!!

男2「・・・あン?」

魔法使い「・・・あれ、生きてる?」

勇者「だから言ったろ、余計な事すんなって」

魔法使い「勇者様!!」

男2「テメエ・・・なんのマネだ」

勇者「いや、お前ら止めたら今まで飲んだ分タダになるって言うから止めただけだよ」

魔法使い「勇者様・・・・・・」

勇者「助かったんだから喜べよ」

魔法使い「余計な一言が多いんですよ!!」

男2「ふざけやがって・・・お前もぶっ殺・・・って、お、お前まさか・・・」

勇者「どうも勇者でーす」

男2「嘘つくんじゃねえ!! お前、あの極悪人、男だろ!!」

男1「なっ!!」

魔法使い「・・・・・・・・・・・・え?」

勇者「おう、なんだ俺のこと知ってんのか。俺も有名になったもんだな」

男1「な、なんでお前・・・捕まったんじゃねえのかよ・・・」

勇者「あ? あんなザル警備ちょちょいと突破してきたわ」

男2「死神が・・・死神が復活した・・・」

勇者「だから勇者だっての」

魔法使い「え、え、何なんですか?」

男1「お前知らねえのかよ!! こいつは男!! 一人で味方の小隊100人を殺害、400人を病院送りにした死神だぞ!!」

魔法使い「・・・え?」

勇者「あら、お詳しい。サインでもやろうか?」

男2「ふ、ふざけんな!! なんでそんなお前が勇者の紋章をつけてんだよ!!」

勇者「あ~、パクってきた」

男2「・・・は?」

勇者「だからー、脱獄して見張りぶち殺してきて兵ぶちころして王様ぶち殺して勇者ぶち殺して奪ってきた」

男2「なっ、なっ・・・」

男1「ば、化物・・・」

勇者「いやあ、お前すげえよ。そんな俺に武器向けたんだからよ」

男2「あ、いや、それは・・・」

勇者「・・・死ぬ覚悟は出来てるんだろうな」

男2「ひいっ!!」

勇者「死ぬ覚悟は出来てんのかって聞いてんだよ!!」ギラッ

男2「ひ、ひいっ」ガクガク

勇者「人に武器を向けてたってことはよ、殺す覚悟と死ぬ覚悟があるかって聞いてんだよ!!」

男2「す、すいませんでした!!」ガクガク

勇者「だったらさっさとここから失せろ!! テメーらもだ!! ここに居るやつ片っ端からぶっ殺すぞ!!」

男2「は、はい!!」ダッ

「うわあああああ殺される!!」「逃げろおおおお!!」「まだ死にたくねええええ!!」

ガラーン

勇者「・・・ったく。騒がしいやつらだ」

魔法使い「・・・あっ、あっ」

勇者「こいつはこいつでまたビビってるし」

魔法使い「・・・あなた、そんな人だったんですか」

勇者「ああ、そうだよ。何となくわかるだろ?」

魔法使い「・・・最低です。そんな人だとは思いませんでした。本当に見損ないました」

勇者「そりゃお前の主観だろ? お前の主観だけで勝手に見損なわれたくねえよ」

魔法使い「バカっ!! この死神!!」ダッ

カランカラーン

勇者「やれやれ。何なんだよ、一体」

マスター「まさかお前さんがあの男だったとはな・・・」

勇者「なんだ、あんたも知ってたのか」

マスター「そりゃ今の世界でお前さんを知らないやつの方が少ないだろうさ」

勇者「ああ、そうかい。ったく、住みにくい世の中だぜ。悪いな、邪魔したな」

マスター「なんだ、もう帰るのか?」

勇者「俺が居たらもう客入らねえだろ? 迷惑かけたな」

マスター「おいおい、お前さんが居なくなったら俺一人になっちまうだろ。寂しい思いさせるんじゃねえよ」

勇者「・・・あんたは俺が怖くねえのかよ?」

マスター「何言ってやがる。お前がどこの誰だろうと俺にとっちゃお客様だ。神様だ。それが死神だったとしてもな」

勇者「・・・ははっ。あんた変わってんな」

マスター「よく言われるよ。でもあんたにゃ言われたくねえよ。脱獄したって話し、嘘だろ?」

勇者「俺は嘘なんかつかねえよ」

マスター「嘘こけ。その紋章は王に認められなきゃつけれないだろうが」

勇者「あら、お詳しいことで」

マスター「何年生きてると思ってんだ。お前の様なひよっ子とは違うんだよ」

勇者「ぴよぴよ」

マスター「ひよこじゃねえよ、アホ」

勇者「とりあえずビール一丁」

マスター「誤魔化しやがって。まあいいけどよ。でもいいのか、そんなに頼んで?」

勇者「は? まだ三杯目だぞ? それにさっきまでのはただになったんだろ?」

マスター「ああ。それはな。だがさっき居なくなったやつらは誰も金払ってねえ。その分は誰が払うと思ってるんだ?」

勇者「・・・流石だな、おっさんよ」

マスター「何年生きてると思ってるんだ」

勇者「はぁ・・・。余計なことしたぜ・・・。ったく」

マスター「だがまあ、ちょっと依頼を聞いてくれりゃこれから飲む分もただにしてやってもいいぞ」

勇者「何? それは本当か?」

マスター「ああ。男に二言はねえ」

勇者「まあ聞くだけ聞いてやる。言ってみ」

マスター「お前さんさっきのやつらの話し聞いてたか?」

勇者「なんとなくはな」

マスター「だったらなんとなくはわかると思うが今この国は王の独裁政治だ。そのせいで俺らの生活が苦しめられてる」

勇者「ふーん。さっきの奴らは米がどうたらこうたら言ってたが何されてんだ? 自分で取れたところの何%かを納めなくちゃならないのか?」

マスター「ああ。そんなところだ。商店は儲けの何%かだな」

勇者「ちなみに何%なんだ?」

マスター「40%だな」

勇者「おうおう、予想以上だな。そんなもん生活出来ねえだろ。よくここに飲みに来れたもんだな、他の奴らは」

マスター「皆ツケばっかだよ。困ったもんだ」

勇者「それはそれはご愁傷様」

この勇者はだいたい何歳くらいかね?

勇者「で、俺はどこまですればいいんだ? 税撤廃か? パーセンテージを下げりゃいいのか?」

マスター「そうだな、今までは10%だったからな。そこまで下げてくれたらお釣りが出るレベルだ」

勇者「なるほどな。うっし、わかった。ちょっくら行ってくるわ」ガタッ

マスター「おいおい、今から行くのか?」

勇者「善は急げ、思い立ったが吉日ってあるだろ? んなもんさっさと片付けた方がいいだろ」

マスター「全く、あんたの行動力には参ったよ」

勇者「おお、勇者様を崇めろ。そして俺が死んだらお参りにはこいよ」

マスター「死んだ時には蹴りをお見舞いしに行くよ」

勇者「今から死に行くのに酷い男だよ、あんたは」

マスター「死神が何言ってんだ。ま、精々気をつけな」

勇者「あいよ。帰ったら美味い酒用意しとけよ」

マスター「ミルクも必要か?」

勇者「ああ、腹壊すぐらいたっぷりな」

>>40
今は髭や髪等がボサボサで老けて見えてますが24,5くらいのつもりです!

魔法使い(勇者様があんな人だとは思いませんでした)

魔法使い(顔は怖いし言葉遣いは悪いし態度は悪いけれどあそこまで極悪人だとは思いませんでした)

魔法使い(・・・・・・でも未だに本当に悪い人だとは思えないです)

魔法使い(はっ、何思ってるんですか私は)ブンブン

魔法使い(他の人も言ってたじゃないですか。彼は死神だって)

魔法使い(・・・でも)


勇者『見えてるもん、聞いたもんが全てじゃねえんだよ』


魔法使い(・・・私にはよくわかりません。その場に居た訳じゃないですし)

魔法使い(お父さん、お母さん。私はどうすればいいんでしょうか・・・)


勇者『ガキはガキらしく素直に生きてろ。馬鹿が難しいこと考えてるんじゃねえよ』


魔法使い(・・・そうですよね。考えてもわからないなら私の心に素直になるべきですよね)

魔法使い(うん、直接話してみましょう。一人で悩むよりましです)

魔法使い(まだ酒屋にいるんでしょうか・・・。とりあえず行ってみますか)

カランカラーン

魔法使い「あ、あの~」

マスター「ん? あぁ、さっきの嬢ちゃんか」

魔法使い「は、はい。さきほどは勝手に帰ってしまって申し訳ありません」ペコッ

マスター「ああ、いいいい。別に気にしちゃいねえよ。んで、どうしたんだ?」

魔法使い「あ、勇者様ってまだ居ますか?」

マスター「あー、あいつか。あいつなら今頃城に向かってるんじゃねえか? この国の税のこと話したら今から行ってくるってよ」

魔法使い「えっ」

マスター「本当に奴の行動力はすげえな」

魔法使い(なんだ。なんだかんだ言ってやっぱりいい人じゃないですか)

魔法使い「ありがとうございます!! 私も今から行ってきます!!」ダッ

マスター「あ、おい!!」

カランカラーン

マスター(・・・まあ酒代ただの話は言わなくていいか)

マスター(まっ、俺は酒とミルクの準備でもしとくか)

勇者「はー。でけえ城だな、おい。うちの国の倍はあるんじゃねえか?」

勇者「さて、どっから入るかな。正面から堂々と入るわけにもいか・・・」ピクッ

勇者「誰だ!!」チャキッ

魔法使い「ひ、ひいっ!!」ビクッ

魔法使い(え、え、なんで気づいたんですか!?)

勇者「・・・・・・なんだよ、お前かよ。良い子はもう寝る時間だぞ。さっさと寝ろ。だから身長伸びねえんだぞ」

魔法使い「お、大きなお世話です!!」

勇者「アホ、うるせえよ。大きな声出すんじゃねえよ」

魔法使い「あ、すいません」オクチチャック

勇者「・・・んで、なんでお前がここにいるんだよ? まさかここに住んでるとかいうわけじゃねえだろ?」

魔法使い「そ、それは酒屋のマスターに勇者様がここに居るって聞いて・・・」

勇者「はぁ・・・。あのなぁ、なんであんな飛び出してまで出ていったお前がわざわざ俺に会いに来るんだよ」

魔法使い「そ、それは・・・」

勇者「あぁ、まあいいや。それよりお前。折角俺に会いに来てくれたのは嬉しいが帰れ」

魔法使い「え?」

勇者「え、じゃねえよ馬鹿。俺はこれから危険なことをするの。また大罪を犯しに行くの。わかる?」

魔法使い「で、でもそれは私たちの為に・・・」

勇者「いいから聞け。俺はこの先人を殺す。間違いなくな」

魔法使い「・・・・・・」

勇者「そこにお前が居たら相手はどう思う? お前が人を殺そうが殺すまいお前も罪人だ」

勇者「こっから先は遊びじゃねえんだ。ガキが出る幕じゃねえ。とっとと帰んな」

魔法使い「・・・嫌です」

勇者「あ?」

魔法使い「ガキはガキらしく素直に生きるんです!! 自分のやりたいことをするんです!! 駄々をこねるんです!!」

魔法使い「馬鹿だから難しいことなんてわかりません!! あなたが悪い人か良い人かもわかりません!! だから!!」

魔法使い「あなたの戦ってる姿が見たいんです!! この目で見て何が真実かを確かめたいんです!! だからついていきます!!」

勇者「・・・・・・」

魔法使い(うう・・・。お、怒らせてしまったでしょうか・・・)

勇者「・・・・・・おい」

魔法使い「は、はいっ!!」

勇者「お前には殺す覚悟と死ぬ覚悟があるのか」

魔法使い「・・・・・・」

魔法使い(私は勇者様からなんの感情も読み取ることが出来ませんでした)

魔法使い(どんな思いでその言葉を言っているのかもわかりませんでした)

魔法使い(普通に考えればついさっき会ったばかりの人に着いていく私がおかしいのでしょう)

魔法使い(話を聞く限り極悪人、やっていることもまともな人間だとは到底思えません)

魔法使い(そんな人と一緒に死ぬ可能性もあるというのに着いていくという私はおかしいのでしょう)

魔法使い(・・・ですが私にはそれが間違った選択には思えませんでした)

魔法使い(むしろそれが最善の選択にしか思えなかったのです)

魔法使い(だから私は臆することなくはっきり答えます)



魔法使い「はい!!」ガクガク



勇者「膝震えてんぞ」

ちょっとご飯食べてきます!

おつかれさまです

>>50
ありがとうございます!
それでは再開します!

魔法使い「こ、これは武者震いってやつです」

勇者「はあ・・・。わかったわかった。そういうことにしといてやるよ」

魔法使い「ありがとうございます・・・」

勇者「でも本当にいいんだな。後悔すんじゃねえぞ」

魔法使い「ぐ、愚問です!!」

勇者「わかったよ。なんでそこまでして着いてくるかはわからんがな」

魔法使い「だからそれは」

勇者「ああ、いい、喋るな。んじゃさっさと行くぞ」

魔法使い「あぁ、心の準備が!!」

勇者「はぁ・・・。おい、ガキ使。ちょっと手を出せ」

魔法使い「ガキ使で固定なんですか。まあいいですけど」サッ

勇者「よしっ」ギュッ

魔法使い「え、え、ちょ、何してるんですか/// なんで手を握って///」

勇者「舌噛むなよ」

魔法使い「えっ?」ヒュン

ヒュン

勇者「はーい、敵の本拠地に到着でーす」

兵1「だ、誰だ!!」

兵2「い、一体どこから!?」

魔法使い「はあ!? ちょっと、一体・・・おえええ」

勇者「ああ、慣れるまできついかもな、これ」

魔法使い「そういうのは最初に・・・おえええ」

勇者「とりあえず暫く黙ってろよ。少しすれば治るから」

魔法使い「うぅ・・・はい・・・うっぷ」

兵2「お前はどこから入ってきたのだ!!」

勇者「城の外からに決まってんだろ。他にどこがあるんだよ」

兵1「そういうことではない!! 何故急に現れたのだ!!」

勇者「移動呪文は勇者の特権だろ?」

兵2「何!? 貴様が勇者だと!?」

勇者「はっは、見ろよこの紋章。カッケーだろ」

兵2「ええい、無礼な奴!! 一体ここに何の用だ!!」

勇者「依頼主Mさんより納税パーセンテージの引き下げのクエストを受けたからな。それを達成しに来た」

兵2「部外者がこの国の方針に文句を付けるでない!!」

勇者「いやあ、そういう訳にもいかないんだよね。こっちも生活がかかってるもんでね」

兵1「ほう、随分と貧乏な勇者も居たもんだな。哀れなものだ」

勇者「心配してくれてありがとよ」

兵1「減らず口を・・・。まあいい。いくら勇者と言えども不法侵入には変わりない。罪人としてここで叩き切る!!」チャキ

兵2「覚悟しろ!!」チャキ

勇者「おうおう、随分立派な両手剣だこと。ロングソードか」

兵1「そういう貴様は武器が見当たらないようだが」

兵2「防具も何もつけていないようだし・・・手ぶらで来るとは余程死にたいらしいな」

勇者「俺にはこれさえあれば十分なんだよ」サッ

兵1「ふっ、随分短いナイフだな」

魔法使い「え、見せちゃうんですか!? さっきは・・・うっぷ」

勇者「だから無理して喋るなっての。いいんだよ、今回は見せても」

勇者「それでお前ら。人に武器を向けてるってことは、殺す覚悟と死ぬ覚悟があるんだな?」

兵1「何を当たり前なことを!!」ダッ

兵2「まあ死ぬのは・・・貴様の方だがな!!」ダッ

魔法使い「き、来ましたよ勇者様!!」

勇者「おお。酔が覚めたか。そりゃ良かった」

魔法使い「言ってる場合ですか!! 相手はロングソードなんですから攻撃範囲に入られたら・・・!!」

勇者「って相手も思ってるだろうな」

魔法使い「え?」

勇者「まあ見てろよ。一瞬たりとも目を離すんじゃねえぞ。さて・・・」










勇者「死神のご加護がありますように」

兵1(相手はあの短いナイフだ。こっちが攻撃範囲に入れば相手は何もできない)ダッダッダ

兵2(だったらさっさと叩き切る!!)ダッダッダ

勇者「やれやれ、飛んで火に入る夏の虫とはこのことか」

兵1「ふん、無駄口を叩いてる場合か?」ダッダッダ

兵2「既にお前は範囲内なんだよ!! 死にな!!」

魔法使い「勇者様!!」

勇者「ドアホ、人の話はちゃんと聞くもんだぜ?」ヒュン

ブンッ

兵2「・・・なっ!? 消えた!?」

兵1「ば、バカな!! 一体どこに!?」

魔法使い「・・・あ」





勇者「後ろだ、クズ共」

ズバッ

兵2「ぐわあああああああああああああああああああ!! 足がああああああ!! 足がああああああああ!!」

兵1「な、そっちか!?」クルッ

勇者「ま、振り向いちまうよな」ヒュン

ズバッ

兵1「がっ!? ぐっ、あ、あ、足がああああああああああああああああああ!!」

魔法使い「あ、あ、あ」

勇者「どうだぁ? 足首がプラプラしてる感じはぁ? 歩けねえだろぉ? そうだよなぁ、動いたらもげちまうもんなぁ? 痛いだろぉ? そりゃそうだ、血が出てるからなぁ? なあ、今どんな気持ちだぁ? 苦しいかぁ? 痛いかぁ?」

兵2「がああああああああいてええええええ!!」

兵1「あああああああああああああああああああああああ!!」

勇者「ギャハハハハハハ!! いいねぇ!! もっと苦しめよ!! もっと泣き叫べよ!! 俺をもっと楽しませてくれよ!!」

兵2「ふ、ふざけんなあああああああああああああああああああああああ!!」ブンッ

勇者「おっと、危ねえな」ヒョイ

勇者「何だぁ? お痛をするのはその手かぁ? そんな悪い手にはお仕置きしなきゃなぁ?」スパッ

カラン ポトポトポトポト

兵2「あ、あ、あ、指がない、俺の指が、小指が親指が、あああああああああああああああああああああああああああああああああ」

勇者「ついでにお前も」スパッ

カラン ポトポトポトポト

兵1「やめろおおおおおおおおおおおああああああああああああああああああ」

勇者「どうだぁ? 力入らないだろぁ? 力を言えるために必要な小指と支えに必要な親指を切ったからなぁ? 剣が持てねえだろぉ? まぁ、もし持てたとしたって支えがないからすっぽ抜けるだろうけどなぁ」

兵2「俺が悪かった助けてくれ、助けてくれえええええええええええええええええええ」

兵1「命だけはああああああ命だけはああああああああああああああ」

勇者「いいねぇ、最っ高だねぇ!! もっと泣き叫べよ!! 喚き散らせよ!! ギャハハハハハハ!!」

勇者「・・・・・・はあ、飽きた。もういいや。おい、お前」グイッ

兵1「あっ、あっ、命だけは、命だけは」ガタガタガタガタ

勇者「けっ、何が殺す覚悟も死ぬ覚悟もあるだ。口だけのゴミクズ野郎が」

兵1「すみませんでしたすみませんでしたすみませんでしたすみませんでしたすみませんでしたすみませんでしたすみませんでしたすみませんでしたすみませんでしたすみませんでした」

勇者「ちっ。ウゼェ。おい、いいからさっさと王の居場所を教えろ。そしたら命だけは見逃してやる」

兵1「言います言います!! そこの通路を右に曲がって突き当たりを左、あとは真っ直ぐです!! だから命だけはあああああ!!」

勇者「あっそ。じゃあな。いい夢見ろよ」ドスッ

兵1「あ・・・」パタッ

兵2「あ、あ、あ、あ、あ」

勇者「お前は完全に用済みだ。テメエも寝てろ」ドスッ

兵2「がはっ・・・」パタッ

勇者「ふう・・・。場所もわかったしさっさと行くか。おい、ガキ使。行くぞ」

魔法使い「」

勇者「立ったまま気絶してやがる・・・。ホントお前は何しに来たんだよ・・・」

勇者「おい、ガキ。起きろ。寝んねの時間は終わりだ」ゲシゲシ

魔法使い「え? あ、痛い、痛いです!! 脛を蹴らないでください!!」

勇者「だったらさっさ起きろ。ほら行くぞ。あんまり人が集まっても困るしよ」

魔法使い「・・・・・・殺しちゃったんですか、この人達」

勇者「だったらどうする?」

魔法使い「・・・・・・いえ、私が選んだ道ですもんね。仕方ないんですね」

勇者「そういうこった。わかってんならキリキリ動け。死んだやつのことなんか考えても仕方ねえだろ」

魔法使い「・・・そうですね。はい、行きましょう」

兵3「侵入者発見!! 総員かかれ!!」

兵達「「「「はっ!!」」」」

勇者「・・・テメエのせいだかんな」ゲシッ

魔法使い「痛い痛い!! ごめんなさい!!」

国王「何? 侵入者を許しただと?」

兵長「申し訳ございません」

国王「謝罪などいらん! いいからさっさと始末してくれ!」

兵長「はっ。今全勢力をあげて対処しております」

国王「そうかそうか。ならば解決は時間の問題か」

兵長「だと思われます」

国王「なら良い」

兵4『兵長!!』

兵長「どうした。始末したのか?」

兵4『そ、それが現在部隊の3分の1が負傷!! 依然として対象は無傷です!!』

兵長「・・・なに? 一体何をしている!!」

兵4『申し訳ありません!! ですが報告によると何をされたかもわからぬうちに次々とやられております!!』

兵長「ちっ、使えない!! 相手は一体どんなやつなんだ!!」

兵4『はっ!! 勇者を名乗る男と少女の二人組です!!』

兵長「なっ!! たかだか二人相手に何をしている!!」

兵4『で、ですが・・・なっ!! お前、やめ、ぎゃあああああああああ!!』

兵長「おい!! 一体どうしたというのだ!!」

勇者『あーあー、マイクのテスト中、マイクのテスト中。本日は晴天なり、本日は晴天なり』

兵長「・・・貴様が侵入者か」

勇者『ピンポーン。大正解。勇者ポイント5点を贈呈しまーす』

兵長「・・・こんなふざけたやつにやられたというのか」

勇者『おいおい、酷い言い草だな。まあもうすぐそっちに行くからゆっくりお茶でもしながら待ってろよ。あ、俺はビールな』

兵長「ふん、むしろお前がそこで待ってるんだな。こっちから出向いてやる」

勇者『おーそうかい。んじゃ薬草でも大量に持ってくるんだな。俺は煙草な。出来ればピ○ス』

兵長「黙って待ってな」

勇者『ちぇっ、つれねえな。わーったわーった。あ、ゆっくりでいいぞ。俺は煙草でも吸ってるから。じゃな』ブツッ

兵長「・・・ということで国王様。私は行ってまいります」

国王「はよいけっ!!」

兵長「はっ!」

バタンッ

国王「・・・・・・行ったか」

国王「な、なあ? これでいいのだろ? そうすれば儂を殺したりしないか?」

「ああ。これでいいんだよ。テメエは俺様の言うとおりに動いていればいいんだよ」

国王「じゃ、じゃがな? 流石に40%はあまりにも可愛そうじゃないか? そちらも大変なのはわかるが・・・」

「ああ? 俺様に口答えするっていうのか?」

国王「そそそそんな、滅相もない」

「だったらテメエは何も考えなくていいんだ。俺様に全て任せればいいんだよ」

国王「・・・はい」

「ふふふ、しかし侵入者ですか。それも勇者。やれやれ命知らずな人も居たものですね」

「他の奴が始末してくれた方が楽だが・・・まあここに着いたって無駄だがな」







「俺様が葬り去ってやるからな」

面白いぞ

ちょっとコンビニ行ってきます!

>>66
ありがとうございます!

では再開していきます!

ジュッ

勇者「・・・はぁ。うめえ。なんでこんなに美味いんだ。いや、ありえねえ。吸わねえやつの気持ちがわからねえ」

魔法使い「・・・・・・そうですか」

勇者「あん? 随分湿気た顔してんな。どうした? 生理か?」

魔法使い「違いますよ!! ・・・でもやっぱりあれですね。覚悟していたとはいえやはり心に来るものがありますね」

勇者「はぁ、まだ悩んでんのかお前は。いいんだぞ、帰っても。今なら間に合うぞ」

魔法使い「い、いえ、そんなつもりで言ったわけじゃないんです!! ・・・ただあのなんというか」

勇者「まっ、所詮おこちゃまだからな。血が怖いんだもんな」

魔法使い「・・・ま、まぁ」

勇者「慣れだ慣れ。そのうち慣れる。もう時期嫌でも股から血が出てくるんだからよ」

魔法使い「・・・ホント最低ですね」

勇者「よく言われてたよ」

勇者「ていうかよ、お前本当に魔法使いなんだよな?」

魔法使い「なんですか今更」

勇者「いや、本当にお前が魔法使えるか気になったからよ。魔法使いっていうんだからそりゃ相当な呪文が使えるんだろ?」

魔法使い「・・・・・・です」

勇者「あん?」

魔法使い「だから!! 火術だけしか使えないんです!!」

勇者「・・・そうか。じゃあな。達者でな」

魔法使い「お、置いてかないで下さいよ!! 私も役に立つかもしれないじゃないですか!!」

勇者「血を見て気を失ってるやつのどこが役に立つんだよ」

魔法使い「うぐっ・・・」

勇者「それにわかったろ? 俺が噂通りの男だってことをよ。だったらもう目的達成じゃねえか。おめでとうございます。クエスト達成です」パチパチ

魔法使い「・・・いえ、それは違うと思います」

勇者「あ?」

魔法使い「私がそこまで馬鹿だと思っているんですか。勇者様」

勇者「いや、たぶんお前の予想以上に馬鹿だと思っていると思うぞ」

魔法使い「うるさいです!! 話を聞いてください!!」

勇者「わかったわかった。じゃあお前の名推理を聞かせてくれ」

魔法使い「はい。では勇者様お聞きします」

勇者「なんなりと」

魔法使い「ではなんで勇者様は毎回足から攻撃をするんですか?」

勇者「そんなもん身動きを取らせなくするためだろ。戦いの上等手段じゃねえか」

魔法使い「ええ。私は剣を扱わないのでわからないのですが多分そうなんでしょう」

勇者「だったらなんの問題もないじゃねえか。はい、推理終了」

魔法使い「・・・ですがそれは普通の戦闘の場合ですよね?」

勇者「あん? 何が言いてえんだ?」

魔法使い「簡単なことですよ。勇者様は移動魔法が使えるんですよ。なら最初から背後に回って心臓を一突きすれば終わりじゃないですか」

勇者「・・・ほぉ」

魔法使い「それにその後は指を削ぐ。・・・うっぷ」

勇者「自分で言って気持ち悪くなってるんじゃねえよ」

魔法使い「う、うるさいです!! とにかくですね。勇者様の行動は相手の怪我を最低限に抑えているように見えるんですよ」

勇者「それはお前の解釈だろ?」

魔法使い「そうとしか思えないんですよ」

勇者「だったら教えてやろう。俺は快楽犯なんだよ。相手の痛がってる姿を見るのが最ッ高に気持ちよくてね。一気に殺すよりじわじわ苦しみながら死んでいく姿がたまらないんだよ」

魔法使い「・・・・・・」

勇者「最初のやつらの命乞いとか見たか? 命だけは命だけはってよ。王国の兵士がそんなこと言ってるんだぜ。国の心配よりも自分の心配だ。実に人間らしかったね。所詮人間は口だけなんだな。その本音が聞けて俺はゾクゾクしたね」

魔法使い「・・・・・・」

勇者「だから俺は最初に聞いたのにな。死ぬ覚悟はあんのかって。なのに結局は命乞いだ。アホなやつだよ、本当に」

魔法使い「・・・・・・もうやめてください」

勇者「おっと、悪いな。ガキにはきつい話だったか」

魔法使い「・・・・・・どうしてそんなに自分を悪く見せようとするんですか」

勇者「・・・・・・」

魔法使い「もういいじゃないですか!! 自分に嘘をついてどうするんですか!! 辛くないんですか!? もっと素直に・・・ガキらしく生きればいいじゃないですか!!」

勇者「おいおい、いい歳の大人に何言ってるんだよ」

魔法使い「勇者様!! はぐらかさないでください!!」

勇者「仮にだ。もし俺がお前の言った通りだったとしよう。だがそれがなんだ? それでお前はなんか得するのか?」

魔法使い「そういう話じゃ・・・!!」

勇者「だったら俺の勝手だろうが。俺がどう生きたっていいだろうが。好きにさせてくれよ。俺に生き方まで強要すんじゃねえよ」

魔法使い「勇者様・・・」

「ここに居たか・・・」

勇者「おっと。首を長くして待ってたぞ」

兵長「驚いた・・・。まさかうちの兵を全滅させるとはな」

勇者「んなことはどうでもいい。そんなことよりお前が遅いせいで退屈な話しに付き合わされたじゃねえか。どう責任とってくれるんだよ」

兵長「それは悪いことをしたな。責任は取れないが・・・代わりにその長くなった首をとってやるから許してくれ」

勇者「怖い怖い。勘弁して欲しいな」

兵長「無理な相談だな」

勇者「まっ、いいや。さっさとケリを着けようぜ。俺が用があるのはお前じゃなくて国王様だからな」

兵長「不法侵入してまでなんの用があるというのだ」

勇者「生憎俺は貧乏でね。金がないんだ。だから納められた税をちょっと拝借したくてな」

兵長「ふんっ。やってることがコソ泥と変わりないではないか」

勇者「お、そうか? じゃあ盗賊にでもジョブチェンジするかな」

兵長「強くおすすめするよ」

勇者「国の兵の長に言われたんならお墨付きだな」

兵長「まあ残念ながら転職する間もなく死ぬんだがなっ!」ダッ

勇者「そりゃあ残念だ。折角自分の才能に気づいたっていうのによ」

兵長「さあ死ぬがいい!!」ダッダッダ

勇者(なんだ、兵長という割にやってることはただの兵士と変わらねえじゃねえか)

勇者(だったら俺もやることは変わらねえか)

勇者(兵長っていうから期待したのに残念だぜ)

勇者「まあ、いいや。ほら、こいよ」

兵長「言われなくても・・・なっ」サッ

勇者(剣を振り上げたな)

勇者(じゃあここで移動魔法っと)ヒュン

勇者(そして、斬・・・なっ!!)

勇者(何故遥か前に!?)

兵長「かかったな。お前がその様な戦い方をするのは調査済みなんだよ!!」ダッダッダ

勇者(まずい!! そっちの方向は!!)

勇者「馬鹿!! 逃げろ!!」

魔法使い「え、え?」

兵長「一体彼女になんの意味があるかわからんが・・・始末できるものから始末する!!」

魔法使い「あっ、あっ」

魔法使い(ま、まずい!!)

魔法使い(魔法を唱えなきゃ・・・!! 早く唱えなきゃ・・・!!)

魔法使い(このままじゃ本当にただの足でまといに・・・!!)

魔法使い「か、火じゅ」

兵長「遅い!!」サッ

魔法使い(あ・・・間に合わない)

魔法使い(本当に・・・勇者様と会ってからイイ事ないな・・・何度も死にかけるし・・・無駄に頭使うし・・・)

魔法使い(はぁ・・・偉そうなことばかり言っちゃいましたね)

魔法使い(生意気なガキでごめんなさい・・・死神って言ったこと謝れなくてごめんなさい・・・勇者様)

魔法使い(そしてごめんなさい・・・お父さんお母さん)

ヒュン ザクッ!!

勇者「このアホが」

兵長「」ブシャー

魔法使い「ゆうしゃ・・・さま・・・?」ビチャビチャ

勇者「はぁ・・・返り血浴びちまったじゃねえか。服の替え持ってねえんだぞ、どうしてくれるんだよ」

魔法使い「勇者様・・・殺しちゃったんですか?」

勇者「あぁ、そうだが。だから言ったろ。俺はただの死神だ。それ以上でもそれ以下でもねえんだよ」

魔法使い「で、ですが今のは」

勇者「お前さっき言ってたよな? 俺が怪我を最低限にしてるってよ。そんなこと言われたからムシャクシャして殺した。そんだけだ」

魔法使い「でもあれは私を守るために・・・!!」

勇者「勘違いすんなアホ。いいか、よく聞け? 俺の移動魔法は自分以外のものも移動させることが出来るんだぞ? ここに来るとき、俺はお前をどうした?」

魔法使い「・・・・・・あ」

勇者「そういうこった。怪しむんだったらもう一回見せてやろうか? いいか、この煙草をよく見てろよ」サッ

勇者「移動魔法」ヒュン

勇者「・・・ほらな。消えただろ? そういうことだ。残念だったな。お前の迷推理が外れちまってな」

魔法使い「そんな・・・」

勇者「ほら、いい加減帰れよ? 今なら誰も居ねえぞ? ゆっくり歩いたって無事に帰れるはずだ」

魔法使い「・・・・・・いえ、最初に約束しましたから。最後までついていきます」

勇者「・・・ったく、どうなっても知らねえぞ」

ギィ・・・

勇者「どうもー、お邪魔しまーす」

国王「な、なっ、もう来たというのか!! ええい、兵長は一体何をしているのだ!!」

勇者「ん? ああ、これのことか」ゴトッ

国王「ひ、ひぃ!!」

勇者「いやあここに来るまであまりにも暇でついサッカーしながらきちまったぜ。だーれもいやしねえんだもん」シュボッ

国王「そ、そんな・・・。ざっと100人は居たはずだが・・・」

勇者「こいつを含め112人だな」ゲシッ

国王「ば、化物め・・・」ガクブル

勇者「こいつは馬鹿者だけどな」

魔法使い「・・・・・・」

勇者「・・・はぁ、無反応かよ。つまんねえな。まあいいけどよ。そんなことよりここまで着いたんだ。特典として俺のお願いを聞いてくれないでございますか?」

国王「な、な、ならん!!」

勇者「まあ・・・聞かないなら殺すだけだけどな?」チャキッ

国王「ひ、ひいいいいいい!!」

「させねえよ」

ブンッ

勇者「おっと」ヒュン

「ちっ、これを避けるか。ここにたどり着いただけあるな」

魔法使い「ま、魔物!?」

勇者「おいおい、いきなりご挨拶じゃないか。まずは名前、年齢、住所、生年月日を名乗ってからだろ?」

「テメエに名乗る名前なんか持ち合わせてねえよ」

勇者「何? お前名前ねえのかよ。愛されてこなかったんだな、可哀想に。俺はちゃんとあるぜ。男っていう立派な名前がな」

国王「なっ!! 男ってまさか!!」

勇者「あぁ、もう説明は省くぞ。どうせそれで合ってるだろうし」

「ふん、どこの誰だろうが俺様には関係ねえ。俺様が葬ってやるよ!!」

勇者「やれやれ、魔物がよく喋る。もう名乗んねえなら俺が名前を決めてやる。お前なんかトカゲみたいだからトカゲでいいや」

「ふざけんな!! 俺様にはちゃんとリザードって名前があんだよ!!」

勇者「なんだよ。だったら最初から名乗れよ。もったいぶってんじゃねえよ」

リザード「うるせえ!! もういい!! ぶち殺してやる!!」

勇者「ったくこれだから血の気の多い魔物は困るぜ。ほらっ、国王は邪魔だからどっか行ってな。まっ、マスターのとこでいいか」

国王「た、たの」ヒュン

勇者「さ、早く終わらせようぜ。このままじゃ宿代が無駄になっちまう」

リザード「そんなことを気にしている場合かよ!!」ブンッ

勇者「バーカ、そんなの当たらねえよ」ヒョイ

リザード「ちっ!! 小癪な!!」ブンッブンッ

勇者「もういいか? ならこっちから行くぞ」ヒュン

リザード「あん!? どこいった!?」

勇者「ここだよ」ヒュン

リザード「なっ!!」

ガキンッ

勇者「お?」

リザード「・・・なんてな」ニヤッ

勇者「おいおい、まじかよ」ヒュン

リザード「俺様の皮膚は並みの金属は通さねえよ。ましてやそんな小せえ小刀じゃな」ブンッ

勇者「おっと。なるほどな・・・。こりゃやっかいだな」ヒョイ

リザード「だったらさっさとくたばんな!!」ブンッ

勇者「やなこった。俺は長生きしてえんだよ。それこそ100歳くらいまでな」ヒュン

魔法使い「・・・・・・だったら煙草やめればいいじゃないですか」

勇者「お、やっと喋るようになったか。おじさん寂しかったぞ」

魔法使い「・・・ええ。珍しく勇者様が苦戦してるのに私だけ黙ってる訳にもいきませんしね」

勇者「そりゃありがてえな」

リザード「なんだ、お前も戦えたのか。だったらお前から始末してやるよ!!」ダッ

勇者「さっきみたいなヘマはすんなよ」

魔法使い「わかってますよ!!」

魔法使い(大丈夫です・・・魔物ならちゃんと戦えます!!)

リザード「ヒャハハハ!! 来いよ!!」ダダダッ

魔法使い「行きます!! 火術!!」

ゴウッ

リザード「なっ!!」

ドーン!!

勇者「ひゅ~。なんだ。ちゃんと使えるじゃねえか」

魔法使い「最初からそう言ってるじゃないですか」

勇者「しかし煙で周りが見えねえな。どこ行きやがったあいつ。死んだか?」

魔法使い「まっ、ざっとこんなもんですよ」フンス

勇者「馬鹿、まだ油断してんじゃ」

リザード「ねえよってか!!」ダッ

魔法使い「あっ!!」

勇者「馬鹿!! だから!!」

リザード「死にな!!」ブンッ

魔法使い「きゃあああああああ!!」

ブシャッ

リザード「キャハハ!! これだよ、これ!! いい感触だぜ!!」

ビチャビチャ

リザード「どんな気分だ? あん? 斬られた気分はよ?」

魔法使い「あ、あ、あ、あ」ガタガタガタ

リザード「滅多にない経験だろ? それとも初体験か? キャハハハハ!!」

魔法使い「そんな・・・そんな・・・」ガタガタガタ

リザード「なあ、答えろよ、おい」





リザード「勇者様よ」ニヤッ

魔法使い「勇者様あああああああああああああああああああああああ!!」






勇者「ははっ、最高にハイってやつだな」ボタボタ


魔法使い「勇者様!! 大丈夫ですか!?」

勇者「あー騒ぐな。耳がキンキンする。あーあ、こんなことなら防具買っとくべきだったな」ボタボタ

魔法使い「すみません・・・また私のせいで・・・」グスッ

勇者「泣くなアホ。ガキは大人に迷惑かけてなんぼだろうが。それに俺は女の涙にゃ弱いんだよ」ボタボタ

魔法使い「でもっ・・・でも・・・」

勇者「うるさいうるさい黙れ黙れ。いいから黙って聞け。あいつを倒す方法が思いついた」ボタボタ

魔法使い「ほ、本当ですか!!」

勇者「ああ。だが思った以上に出血が酷いな・・・。おい、悪いが1つ頼みがある」ボタボタ

魔法使い「は、はい!」

勇者「止血するのにお前の下着を貸してくれねえか」ボタボタ

魔法使い「え//// あ、はい、わ、私のでいいなら///」

勇者「嘘だ馬鹿」ボタボタ

魔法使い「な/// なんなんですか本当にっ/// 私の覚悟はなんだったんですかっ///」

勇者「ハハハ、愛いやつめ」ボタボタ

リザード「おいおい、そんなこと言ってる余裕あるのかよ」ニヤニヤ

魔法使い「そ、そうですよ!! 早く止血しないと!!」

勇者「ちげえよ、これは鼻血だ。興奮しすぎた」ボタボタ

魔法使い「そんな強がり言ってる場合ですか!!」

勇者「いいからさっさとケリを付けるぞ」チャキ

リザード「ほう・・・。随分小刀を隠し持ってたみたいだな。だがいくら本数があったって意味がないのはわかるよなあ?」

魔法使い「そうですよ!! あの皮膚の硬さじゃ・・・」

勇者「ドアホ。だーれがバカ正直に皮膚貫くつった」ボタボタ

リザード「あん?」

勇者「あんまり使いたくなかったんだがな・・・。仕方ねえ。これはなこうやって使うんだよ」チャキ




勇者「転移魔法」ヒュン





リザード「が、がああああああああああ!!」ブチブチブチ

魔法使い「なっ!? 内側からっ!?」

勇者「おうおう、まるでハリネズミみたいになったな。いや、ハリトカゲか?」ボタボタ

リザード「き、貴様・・・」ボタボタ

勇者「おぉ、魔物の血ってのは緑色なのかよ。グロイな」ボタボタ

リザード「黙れ!! ・・・だが勇者よ・・・残念だったな・・・」ボタボタ

勇者「あん?」ボタボタ

リザード「俺様はなぁ・・・まだ戦えるんだよお!! だが・・・貴様にはもう武器はないようだなあ?」ニヤァ

勇者「・・・はあ。バレてたか」ボタボタ

魔法使い「え、それじゃあ・・・!!」

勇者「ああ。お手上げだ」ヒラヒラ

魔法使い「そ、そんな・・・」

リザード「キャハハハ!! 馬鹿め!! 惜しかったなあ、あと一歩だったのによお!!」

勇者「・・・ああ、全くだ」ボタボタ

リザード「さあ、潔く死ぬんだな!! キャハハハハ!!」ジャキ

勇者「ああ、だがちょっと待て」ボタボタ

リザード「ああん?」

勇者「最後くらい煙草吸わせてくれよ」ボタボタ

リザード「あぁ、そんなことか。好きなだけ吸うがいいさ!! 俺様は優しいからなあ!! キャハハハ!!」

勇者「じゃあお言葉に甘えて」サッ

リザード「おいおい、何本咥えるんだよ」キャハハハハ

勇者「ま、線香替わりにな。歳の数だけ咥えるよ」ボタボタ

リザード「キャハハハハ!! そいつは御洒落だな!!」

勇者「もう一箱開けるか。まだまだ残ってるが仕方ねえか」ボタボタ

勇者「おい、魔法使い。悪いが火つけてくれねえか?」ボタボタ

魔法使い「・・・え?」

勇者「最後の頼みだ。頼む」ボタボタ

魔法使い「・・・・・・」

魔法使い「・・・・・・わかりました。ではライターを」

勇者「あぁ、違う違う。火術で頼む」ボタボタ

魔法使い「え!? で、でもそんなことしたら死んじゃいますよ!!」

勇者「どうせ死ぬんだから変わんねえだろ。殺されるなら可愛い女の娘の方がいいだろ?」ボタボタ

リザード「キャハハ、ちげえねえ!!」

魔法使い「で、でも」

勇者「なあ、頼むよ。こんなに俺が素直になることはもう一生ないだろ。一生の頼みだ」ボタボタ

魔法使い「・・・勇者様。・・・はい、わかりました」

勇者「おう。手加減なしで本気のやつ頼むわ」ボタボタ

魔法使い「・・・わかりました。では行きます」

魔法使い「業火術!!」

ゴウッ

リザード「キャハハ!! あばよ!! 勇者よ!!」

魔法使い(・・・さよなら、勇者様)

勇者「ああ、ありがとな。魔法使いよ」ボタボタ

ゴウッ

勇者(あーあ、ロクな人生歩んでこなかったな)

勇者(こんなことならもっとマシな生き方するべきだったかな)

勇者(そうすればもっとマシな死に方出来たかもな)

勇者(・・・なんて悔やんでも仕方ねえか)

勇者(まだ俺の死に際を見届けてくれる奴がいるだけマシか)

勇者(あばよ、魔法使い)

勇者(短い付き合いだったけどなかなか楽しかったぜ・・・)

ジュッ












勇者「・・・なんてな」ニヤッ









勇者「移動魔法」ヒュン

ボウッ!!

リザード「ぎゃあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!」

魔法使い「え? え?」

勇者「バーカ。誰がおめおめと死ぬかよ」ボタボタ

魔法使い「勇者様!! なんで!?」

勇者「アホ。俺の得意技はなんだった?」ボタボタ

魔法使い「それは移動魔法・・・ってまさか!?」

勇者「ああ。そうだよ。お前の火術を煙草に着火させてあいつの体内に移動させたんだよ」ボタボタ

魔法使い「そ、そんなことが・・・」

勇者「出来るんだよ。俺に苦手なことはあってもできねえことはねえんだよ」ボタボタ

魔法使い「・・・・・・臭いですね」クスッ

勇者「いいんだよ、俺はなんたって勇者様だからな」ボタボタ

魔法使い「・・・血まみれで言ってもカッコよくないですね」

勇者「だったら早く止血してくれ」ボタボタ

リザード「勇者あああああああああ!! ふざけるなあああああああああああ!!」ゴウッ!!

勇者「おいおい、ここは戦場だぜ? 油断する方が悪いんだよ、アホ」ボタボタ

リザード「許さん!! 絶対に貴様だけは許さん!!」ゴウッ!!

勇者「死ぬ奴に何言われたって怖くねえよ」ボタボタ

リザード「地獄の果までも追いかけてやるからなあああああああ!!」ゴウッ!!

勇者「地獄に行く奴が何言ってやがんだ。ま、地獄で待ってな」ボタボタ

魔法使い「勇者様!! とりあえずこれで止血してください!!」キュッ

勇者「おう、サンキュー」

勇者「・・・まっ、なんだ」












勇者「死神様のご加護がありますように」

魔法使い「やりましたね!! 勇者様!!」

勇者「あぁ。死ぬかと思ったけどな。今日ほど防具の大切さを学んだ日はねえよ」

魔法使い「本当ですよ!! 煙草やお酒ばっかりじゃなくてちゃんと防具も買ってくださいね!!」

勇者「あ、それは無理」

魔法使い「なんでですか!!」

勇者「それはそれ。これはこれ」

魔法使い「・・・もうっ!!」

勇者「ま、とりあえずさっさとこんなところ出ようぜ。焼きトカゲ食いたいなら食ってからでいいからよ」

魔法使い「いーいーでーす。ほら、さっさと帰りましょう。国王様もマスターさんも待ってますよ!!」

勇者「ああ。じゃあ頼むわ」

魔法使い「え・・・。何言ってるんですか勇者様!! 勇者様も行くんですよ!!」

勇者「ああ、だから頼む」

魔法使い「え?」

勇者「・・・もう限界」バタンッ

魔法使い「きゃ、キャアアアアアア!! 勇者様あああああ!!」

_____
___
_


勇者「・・・・・・ん?」

ガバッ

勇者「・・・・・・ここは?」

魔法使い「やっと起きましたか。寝坊助さんですね」

勇者「・・・あぁ、俺死んだのか。おやすみ」バサッ

魔法使い「何言ってるんですか。ほら、さっさと起きてくださいよ」バサッ

勇者「キャーエッチー。犯されるー」

魔法使い「はぁ、寝起きから元気ですね。とりあえず待っててください。今マスターさんを呼んできますから」

ガチャッ

勇者「・・・・・・」

勇者「あー生きてんだ。俺」

ガチャッ

マスター「おう、やっと起きたか」

勇者「なんとかな。三途の川の水が冷たすぎて戻ってきちまった」

マスター「そりゃよかった。危うく星になるところだったな」

勇者「ああ。話はお流れになっちまったよ」

マスター「そりゃなにより」

勇者「残念がるやつの方が多いだろうけどな」

マスター「ハハッ、違いない。お、そういえば国王様が感謝してたぞ」

勇者「これで恨まれたらたまったもんじゃねえよ」

マスター「だな。あと俺も感謝してるよ。ちゃんと税率も10%に戻ったしな」

勇者「そりゃなにより」

勇者「で、ここはどこだ?」

マスター「あぁ、俺の酒場だよ」

勇者「随分立派じゃねえか。宿屋もやった方がいいんじゃねえか?」

マスター「そしたらあそこの宿屋が潰れちまうだろ。優しい俺にはできねえな」

勇者「それはそれは。随分お優しいこった」

マスター「まあ、そんなことはどうでもいいんだ。とりあえずお前さんはあの娘に感謝しろよ」

勇者「あん? あのガキにか?」

マスター「それ以外誰が居るっていうんだよ」

勇者「シンディーと」

マスター「わかったわかった。いいから感謝するんだな。ここまで運んできたのもあの娘だし、お前さんが起きるまでずっと看病してたんだぜ、あの娘」

勇者「・・・・・・」

マスター「ま、そういうこった。あとはお前さんの判断に任せるよ。じゃあな」

勇者「おい・・・ちょっとまてよ」

マスター「あん? なんだよ?」


勇者「酒の約束忘れんなよ!!」

マスター「・・・現金なやつだな、お前は」

勇者「金はないがな」

マスター「全くだ」

___
_

勇者「えーでは、偉大なる勇者様の大活躍と今後の活躍を期待して・・・あ、あと税率さがっておめでとう。乾杯!!」

魔法使い「自分で言うんですか・・・。はい、乾杯」チンッ

マスター「やれやれ。まっ、約束だ。好きなだけ飲みな」

勇者「かー、うめえ!! 流石マスター、男だね。おかわり」

マスター「あいよ」

魔法使い「早いですね・・・」

勇者「そりゃ好きなだけ飲んでいいんだぞ? 飲まずにいれるかよ」シュボッ

魔法使い「体に響きますよ。あと煙草臭いです」

勇者「細かけえな、お前は。今日くらい許してくれよ」

魔法使い「いいですか。煙草は吸ってる人よりも副流煙の方が体に悪いんですよ?」

勇者「俺も副流煙吸ってるから気にすんな」

魔法使い「そういうことじゃないですよ!!」


勇者「で、何? お前わざわざここまで運んできたの?」

魔法使い「ま、まぁそうですけど・・・」

勇者「チクショウ!! なんで肌の感触を覚えてないんだよ俺は!!」

魔法使い「ばっ/// 何言ってるんですかあなたはっ///」

勇者「それに何? 看病までしてくれたって?」

魔法使い「そ、そうですよ!! 感謝してくださいね!!」

勇者「そりゃお前のせいで怪我したんだからそうだろうよ」

魔法使い「もおおおおおおおおおおおお!!」

勇者「ミルク飲みすぎて牛になっちまったか? ペッタンコのくせに」

魔法使い「勇者様の馬鹿ああああああ!!」

マスター「やれやれ素直じゃないねえ」

マスター「で、あんたはいつこの街を出発するんだい?」

魔法使い「・・・あ」

勇者「あぁ、それな。まあ怪我もしてることだし数日はここでゆっくりしてくよ」

魔法使い「・・・ホッ」

マスター「クスッ。ああ、そうかい。だったらこの街を満喫してから行きな」

勇者「そうするよ。トカゲ野郎倒してなんぼか金も入ったから武器も買わなくちゃいけないしな」

魔法使い「あとしっかり防具も買うんですよ!!」

勇者「わかってるっての。流石に身にしみてわかったよ。やっぱ人間とはちげえな」

魔法使い「そりゃそうですよ。煙草やお酒ばっか買ってないでしっかり買うんですよ」

勇者「うるせえな。お前は俺の妻かよ」

魔法使い「なっ・・・なっ////」

マスター「青春だね、全く」


_____
___
_

勇者「うぃ~、酔ったぁ~」フラフラ

魔法使い「そりゃあんだけ飲んだらそうなりますよ・・・」

マスター「お前さんはうちを潰す気か。こんなに飲んだ客初めて見たよ」

勇者「そうだろ~そうだろ~。なんたって俺は勇者様だからにゃぁ~」

魔法使い「呂律回ってないじゃないですか。今日は早く寝るんですよ」

勇者「言われなくたってわかってら~い。おい、マスタ~」

マスター「なんだよ、酒くせえな」

勇者「うるしゃい!! なぁ~今日もここに泊めさせてくれよ~」

マスター「はぁ、わかったわかった。好きに使え」

勇者「やった~。俺は明日ゆっくり寝るから起こすにゃよ~」

マスター「はいはい。じゃあな魔法使いちゃん」

魔法使い「すみません、私までありがとうございました。勇者様をお願いします。おやすみなさい」

マスター「ああ、おやすみ」

翌日

カランカラーン

魔法使い「おはようございまーす」

マスター「・・・あぁ、魔法使いちゃんか」

魔法使い「・・・ん? どうしたんですか? 随分険しい顔してますけど?」

マスター「ったく。あのバカのことだよ」

魔法使い「え、勇者様また何かやらかしたんですか!?」

マスター「ああ、盛大にな」

魔法使い「あの人は全く・・・。一体何をしたって言うんですか?」

マスター「さっき俺が部屋に行ったらよ、既にもぬけの殻なんだよ」

魔法使い「・・・・・・え?」

マスター「あのバカ。俺らに何も言わずに出て行っちまったんだよ!!」

魔法使い「そ、そんな!! だって昨日は!!」

マスター「そう思わせるためにわざと言ったんだろうよ!! やれやれ・・・」

魔法使い「勇者様・・・」

マスター「・・・おい、いいのか。魔法使いちゃん」

魔法使い「・・・何がですか?」

マスター「このまま行かせちまって良いのかってことだ」

魔法使い「それは・・・寂しいですけど勇者様の選択ですから。私は何も言えないですよ」

マスター「本当にいいのか、それで」

魔法使い「え・・・?」

マスター「あいつはなんて言ってた?」

魔法使い「・・・・・・」


勇者『ガキはガキらしく素直に生きてろ。馬鹿が難しいこと考えてるんじゃねえよ』


魔法使い「・・・そうですよね。ガキですもんね。バカですもんね。難しいこと考えなくていいんですよね」

魔法使い「マスターさん!! 今までありがとうございました!!」ダッ

カランカラーン

マスター「・・・・・・頑張んなよ。魔法使いちゃんよ」

勇者「あーだりー。防具おめー。気持ちわりー」フラフラ

勇者「こんなことなら防具なんて買うんじゃなかったぜ・・・」

勇者「でも痛いのは嫌だしなー」

勇者「・・・・・・」

クルッ

勇者(まっ、達者で暮らせや、マスター。そしてガキ)

クルッ

勇者「はー。行くか。次の街までなげえんだろうな」

勇者「・・・まあゆっくり行くか。小遣いでも稼ぎながら」


「ま、待ってくださ~い!!」タッタッタ


勇者「・・・・・・おいおい、嘘だろ?」

魔法使い「はぁ・・・はぁ・・・ふぅ。やっと追いつきました」

勇者「・・・・・・なんで来たんだよ。クソガキ」

魔法使い「それはこっちのセリフですよ!! 何勝手に居なくなってるんですか!! カッコつけすぎですよ!!」

勇者「・・・あのなぁ。こっちは急いでるんだよ。お前に構ってる暇はねえんだよ」

魔法使い「うるさいです!! 私はガキらしく素直に生きることにしたんですよ!! 文句ありますか!!」

勇者「大ありだ。馬鹿。ってか城の件でわかったろ。俺が噂通りの悪人だってことがな」

魔法使い「笑わせないでください。それこそありえない話しですよ」

勇者「何言ってんだ、お前。見てなかったのかよ。俺は移動魔法さえ使えば殺す必要のなかった男を平然を殺したんだぞ」

魔法使い「私を甘く見ないでください。今度こそ完璧な推理を見せてあげますよ」

勇者「んなもん、聞く必要ねえよ。俺は急いでるんだよ。じゃあな」

魔法使い「私に当てられるのが怖いんですか?」

勇者「あん?」

魔法使い「そんなにいい人に見られたくないんですか?」

勇者「けっ、安い挑発だな。・・・いいぜ、そんなに自信があるなら言ってみろよ」

魔法使い「えぇ、任せて下さい」

魔法使い「簡単な話しですよ。あなたの移動魔法には欠点があったんですよ。それは移動魔法の範囲です」

勇者「それはお前も見てただろうが。俺自身、そして俺以外の物体全てを移動させれたじゃねえか」

魔法使い「ええ。ですが問題は何を動かせるかじゃないんですよ」

勇者「だったら何が問題だって言うんだよ」

魔法使い「わかってるクセによく言いますね。でははっきり言いましょう。それはどこの物を移動できるかですよ」

勇者「・・・・・・」

魔法使い「おかしいと思ったんですよ。あんなに私を帰したがってたのに何故強制的に送り返さないのかったのかなって」

勇者「それはお前の意思を尊重したんだよ」

魔法使い「まだありますよ。何故リザードを殺すときにわざわざ一回煙草に火をつけさせたんですか」

勇者「・・・・・・」

魔法使い「焼き殺すだけなら私に打たせてそれを転移すればいいだけなんです。ですが自分の身の危険もあるのにわざわざ煙草に火をつけさせた」

勇者「・・・・・・」

魔法使い「そこから推理すれば簡単なことですよ。あなたの移動魔法は・・・自分が触れている物しか移動できない。違いますか?」

勇者「・・・・・・」


魔法使い「無言は肯定・・・ということでいいんですね?」

勇者「・・・はぁ。参った参った。紅参だ。まさかお前に見破られるとはな」

魔法使い「ふふふ、賢いですね、私。賢者にでも転職しましょうか」

勇者「自惚れんな馬鹿」

魔法使い「ひ、酷くないですか!!」

勇者「・・・あぁ、その通りだ。俺の移動魔法は俺が触ってるもんしかできねえよ」

魔法使い「だったら兵長さんの件は・・・仕方なかったんですよね」

勇者「あーそうだよ。お前を殺さないためにはあいつを殺すしかなかったんだよ。文句あっかよ」

魔法使い「・・・良かったです」

勇者「あん?」

魔法使い「私は勇者様が・・・噂通りの男じゃなくて安心しました」

勇者「・・・ちっ」

魔法使い「ですから安心して一緒に旅ができますね!!」

勇者「・・・・・・は?」

魔法使い「いえ、ですから」

勇者「いや、聞こえたから。聞こえてなお言ってるから。お前馬鹿か」

魔法使い「な、なんでですか!!」

勇者「あのなぁ。まずお前んちの両親はどう思うんだよ。旅になんか出させたくねえに決まってんだろ」

魔法使い「・・・・・・それは」

勇者「・・・・・・まあ、いい。そこは。だがな、火術しか使えないような使えない魔法使いを俺が連れて行くと思うか」

魔法使い「そ、それは今後成長していけば・・・」

勇者「馬鹿野郎。そんな悠長に構えてる暇なんかねえんだよ。欲しいのは即戦力だ。育つのを待ってる場合じゃねえんだよ」

魔法使い「・・・・・・」

勇者「はっきり言うぞ。連れて行っても足でまといなんだよ。お前は」

魔法使い「・・・・・・」

勇者「わかったか。戦力になるつもりなら諦めな」

魔法使い「・・・・・・」グスッ

勇者「ちっ。泣くなっつうの。イライラする」

魔法使い「・・・すみません」

魔法使い(・・・やっぱり私じゃ駄目なんですね)

勇者「ったく。さーて煙草でも吸うか」ヒュン

魔法使い(・・・・・・あ、今)

勇者「・・・って、あー。クッソ。ライターねえじゃねえかよ。これじゃ煙草が吸えねえじゃねえか」

魔法使い「・・・・・・え?」

勇者「ライター買うのにも色々買って金ねえし。畜生。ついてねえな」

勇者「・・・はぁ。煙草吸えねえなんて考えらんねえ。あーもー仕方ねえな。おい、こらクソガキ」

魔法使い「は、はいっ!!」

勇者「ライター買うまでは連れてってやる。その代わりライター買ったらさっさと帰れよ」

魔法使い「・・・素直じゃないですね」クスッ

勇者「あ? なんか言ったかコラ」

魔法使い「いえ、なんでもないです!!」

魔法使い「よろしくお願いします!! 勇者様!!」



国王「して、秘書よ。先日の件の被害者はどうなっておる?」

秘書「はい。負傷者が111人。死者が・・・1名です」

国王「なるほど。ご苦労だった」

秘書「はっ。失礼します」

ガチャ

国王「・・・死者は兵長だけ・・・か」

国王「男・・・か」

国王「全く。あやつは立派な勇者じゃよ」

国王「見えてるもの、聞いたものが全てじゃない・・・か」

国王「まあなんにせよ」








国王「死神様にご加護がありますように」


とりあえず今日はこれで終わりです!!
見てくださった方ありがとうございました!!
続きは明日書ければいいなぁ・・・とは思いますがわかりません(汗

もし更新してたら見てくださると嬉しいです!
長時間見てくださったかたありがとうございます!

勇者「おい」

魔法使い「・・・はい」

勇者「俺がなんで怒ってるかわかるか?」

魔法使い「・・・はい」

勇者「別に戦闘で役に立たないのはいい。もともと期待してなかったからな」

魔法使い「・・・はい」

勇者「夜中こっそり食べ物を食べているのも別にいい。育ち盛りだからな」

魔法使い「・・・はい」

勇者「わざわざテントを2個買ったのにいつの間にか俺の横で寝てるのもまあいい。俺は役得だからな」

魔法使い「・・・はい///」

勇者「だがな」

魔法使い「・・・はい」

勇者「なんで煙草をつけるのに業火術を使うんだよ!!」

魔法使い「ごめんなさいごめんなさい!!」

勇者「何? お前は俺を殺したいの? 殺すためについてきたの?」

魔法使い「ち、違います!! いや、だってあの時本気で来いって言ってたので・・・」

勇者「時と場合によるだろ!!」

魔法使い「そ、それにほら!! またあの技を使うときが来たときの為への練習ですよ!!」

勇者「煙草くらいゆっくり吸わせろ!! つかお前は火術以外の技を覚えろ!!」

魔法使い「す、すいません!!」

勇者「俺も吸えませんだよ!!」

魔法使い「ごめんなさいごめんなさい!!」

勇者「はぁ・・・こんなことなら前の街でお前が必死にライター買うのをやめるよう説得してきたのを振り切ってでもライター買うべきだった」

魔法使い「そ、それは駄目です!! 私の目が黒いうちはそんなこと許しません!!」

勇者「黙れ!! こっちは目の前が真っ黒になりそうだよ!!」

魔法使い「はぅ・・・」

勇者「煙草をつける時は小火術でいいの!! わかる? でぅーゆーあんだーすたん?」

魔法使い「でも小火術って消火術っぽくて火消えそうじゃないですか・・・」

勇者「馬鹿かお前は!!」

戦士「大丈夫か!? 安心するがいい。この戦士が通ったからにはもう大丈夫だ!!」

魔法使い「あ、いえ、これはちょっとしたスキンシップといいますか」

勇者「ちょっと好きにヒップをしてただけだ」

魔法使い「何言ってるんですか!?」

戦士「くっ、既に手遅れだったか・・・」

魔法使い「い、いや、私は本当に」

勇者「ああ。夜な夜な寝ているこいつの体を自由に使ってたぜ」

魔法使い「なっ、なっ//// じゃ、じゃあ私は知らぬ間に・・・///」

戦士「この悪魔めが!!」

勇者「いや、死神だがな」

戦士「どっちでもいい!! 成敗してくれる!!」チャキ

勇者「これはこれは、正義感のお強いことで」

魔法使い「子供ができてたらどうしましょう/// 名前は女の子だったら///」

勇者「お前はいつまで違う世界旅してんだよ」

戦士「覚悟しろ!! 不届きものめが!!」

勇者「おいおい、簡単に人に武器向けてんじゃねえよ」

戦士「貴様だから向けているのだ!!」

勇者「・・・死ぬ覚悟は出来てるんだろうな」

戦士「何?」

勇者「人に武器を向けてるってことはよ、殺す覚悟と死ぬ覚悟があるかって聞いてんだよ」

戦士「当たり前だ!! 困ってる人を見逃すくらいなら死んだほうがマシだ!!」

勇者「・・・ふんっ。いつまでそんなことが言えるかな」

戦士「死ぬ覚悟など既にできている!!」

勇者「・・・そうかよ」

戦士「そっちから来ないならこちらから行くぞ!!」ダッ

勇者「ああ、来いよ。格の違いを見せてやる」

すいません・・・。途中抜けてました・・・。
次のやつを>>131の前に読んでください・・・。

勇者「もういい。強制送還してやる。おら、手出せや」

魔法使い「い、嫌です!! 手を握られるのはその・・・やぶさかではないですが・・・その・・・/// と、とにかく駄目です!!」

勇者「うるせえ。ゴタゴタ言ってんじゃねえ。さあ、良い娘だ。出すんだ」

魔法使い「いーやーでーす!!」

勇者「ああ。もういい。無理矢理触ってやる。尻でも胸でも触ってりゃ効果は発動するしな」

魔法使い「そ、そういうのはもっとムードのある時にしてください!! ・・・じゃなくて///」

勇者「いいから触らせろ。もう我慢出来ねえ。大人しくしてな」

魔法使い「キャー助けてー犯されるー!!」

勇者「ゲヘヘヘ、覚悟しな」ワキワキ



「やめるんだ!! 大人しくその娘を解放しろ!!」



勇者「あん?」

魔法使い「え?」


戦士「くらえ!! 魔人斬り!!」ブンッ!!

勇者「おっと」ヒュン

戦士「これを躱すか。なかなかやるな!!」

勇者「いきなりご挨拶だなおい」

戦士「殺す覚悟があるのだから当然だ!!」

勇者「確かにな」

戦士「まだまだ行くぞ!!」ダッ

勇者「ちっ」

戦士「だああああああ!!」ブンッ ブンッ ブンッ

勇者「すげえ猛ラッシュだな」ヒョイ ヒュン ヒョイ

戦士「まだまだ!!」ブンッ

勇者「おっと、危ねえ」ヒュン

戦士「すばしっこいやつだ!!」チャキ

勇者「避けるのも一苦労だな、こりゃ」

戦士「すぐに捉えてみせる!!」

勇者「さて、お遊びもここまでにするか」

戦士「なに?」

勇者「じゃあこっちからも行かせて貰うぞ」

戦士「来い!!」

勇者「そんじゃ遠慮なく」ヒュン

戦士「なっ!? 消えた!?」

戦士「い、一体どこへ!?」



勇者「後ろだ」チャキ



戦士「なっ!?」

勇者「さ、チェックメイトだ」

勇者「さて、問題です。今君の首に当たっているひんやりとした物はなーんだ?」

戦士「・・・刃物か」

勇者「はーい。正解でーす。勇者ポイント5ポイントゲットでーす」

戦士「クソッ!!」

勇者「残念だったな。お前の冒険もここまでだ」

戦士「・・・殺すなら殺すがいい」

勇者「何?」

戦士「だがあの娘にこれ以上酷いことはするな!!」

勇者「・・・・・・」

戦士「この戦士。人生に悔いはない。・・・いや、あの娘を救えなかったことは一生の不覚だな」

勇者「・・・・・・ちっ」

戦士「さあ!! 殺すがいい!!」

勇者「ああ、お望み通りな」ドスッ

戦士「ガハッ・・・!!」バタッ

勇者「クッソ。気に入らねえ・・・」

勇者「さて」

魔法使い「一姫二太郎がいいですかね/// でも勇者様が望むなら小隊を作れるくらいでも///」テレテレ

勇者「いい加減こっちに戻ってこい、オラッ」ゲシッ

魔法使い「あ、痛っ!! ちょっと何するんですか!! そ、それに、あ、あんなことして//// 責任は取ってくださいね///」

勇者「馬鹿かお前は。嘘に決まってんだろ」

魔法使い「・・・・・・そうですか」

勇者「何残念がってんだよ」

魔法使い「なななな何言ってるんですか//// そんな訳ないじゃなですか////」

勇者「お前が望むなら今からでもしてやろうか」

魔法使い「け、結構です!!////」

勇者「そうかよ、そりゃ残念だ」

魔法使い「・・・そ、そういうのは段階を踏んでからしっかりと///」ボソッ

勇者「なんか言ったか?」

魔法使い「なんでもないですよーだ///」

魔法使い「ところでさっきの方はどうしたんですか?」

勇者「あそこで伸びてるよ」

戦士「」

魔法使い「殺しちゃったんですか?」

勇者「ああ」

魔法使い「・・・嘘付き。わかってますよ」クスッ

勇者「チッ。だったら聞くなよ」サッ

魔法使い「いい加減素直になってくださいよ」

勇者「俺は世界一素直だっての。いいからさっさと火つけろ、ライター」

魔法使い「もうっ。私はガキでもライターでもなくちゃんと魔法使いって名前があるんです!!」

勇者「おい、ガター」

魔法使い「変に略さないでください!!」

勇者「何も倒せねえところは一緒じゃねえか」

魔法使い「うるさいですよ!!」

勇者「いいからさっさと火つけてくれよ」

魔法使い「全く・・・。はいはい、いきますよ」

勇者「小火術でいいからな」

魔法使い「わかってますって」

勇者「今までの事を思い出してみろよ」

魔法使い「か、過去は振り返らない主義なんです!!」

勇者「いいからさっさとしろ」

魔法使い「はぁ・・・。小火術!!」ボッ

勇者「そうそう、それでいいんだっつうの。はあ・・・うめえ」

魔法使い「もう・・・。本当に体に悪いですよ」

勇者「俺がこれを吸わなくなったらお前もいらなくなるけどいいんだな?」

魔法使い「じゃんじゃん吸っちゃって下さい!!」

勇者「馬鹿なやつ」プハー

魔法使い「ところでこの人はどうするんですか?」

勇者「いい、ほっとけ。さっさと行くぞ」

魔法使い「でも可哀想じゃないですか?」

勇者「知るかそんなこと」

魔法使い「でも・・・」

勇者「そんなに可哀想ならお前一人でついてろ。俺は先に行くから」

魔法使い「で、でもそれだと煙草も吸えないですよ!? 大変じゃないですか!!」

勇者「木の板と木を探して摩擦で火を起こす」

魔法使い「そこまでして吸いたいですか!?」



戦士「う、う~ん」



勇者「馬鹿。お前のせいで起きちまったじゃねえか」ゲシッ

魔法使い「ご、ごめんな、いたっ、蹴らないでください!!」

戦士「・・・何? まだ生きてるだと?」

勇者「お前は殺す価値すらねえってことだよ」

魔法使い「ちょっと勇者様!! 挑発してどうするんですか!!」

戦士「き、貴様・・・て、何? 勇者だと?」

勇者「はーいどーも。希望の象徴勇者様でーす」」

戦士「勇者があんなことをしていいと思ってるのか!!」

勇者「いいんだよ。力こそ絶対だからなあ」

戦士「貴様は・・・っ!!」

魔法使い「もうっ!! いい加減にしてください!!」ポカッ

勇者「痛っ」

戦士「・・・え?」

魔法使い「すみません!! 勇者様がとんだご無礼を!!」

戦士「これは一体・・・?」

魔法使い「それは・・・」


_____
___
_

戦士「そうだったのか・・・。これはとんだ早とちりを・・・」

勇者「全くだ」

魔法使い「あなたのせいですよ!!」

戦士「本当にすまない。いや、謝っても許されることじゃないのはわかってる」

勇者「全くだ」

魔法使い「勇者様!!」

戦士「これは死んで詫びるしかない・・・」チャキ

魔法使い「な、何言ってるんですか!! そこまで必要ないですよ!!」

勇者「いいぞー死ね死ねー」

魔法使い「あなたは黙っててください!!」

戦士「ではっ」

魔法使い「ちょっと!! ストップ!! ストーップ!!」

魔法使い「はぁ・・・。危ないところでした」

戦士「済まない。助かった」

魔法使い「助かったじゃないですよ!!」

戦士「だがこのままでは私の気が済まない。せめて何かお礼がしたい」

勇者「じゃあ金」

魔法使い「黙っててください。そんな。いいですよ。人相と性格が悪い勇者様が悪いんですよ」

勇者「黙れライター」

魔法使い「うるさいです!!」

戦士「しかし・・・」

魔法使い「本当にいいですよ。気にしないでください」

戦士「・・・決めた!!」

魔法使い「え?」

戦士「私もあなた達について行く!!」

魔法使い「えぇ!?」

魔法使い「で、ですが」

戦士「私も何か目的があって旅をしていたわけではない。だったら少しでも力になりたい」

魔法使い「そ、それは・・・」

魔法使い(うぅ・・・これじゃ折角の勇者様との二人旅が・・・)

魔法使い「ど、ど~します~? 勇者様~?」

勇者「ああ?」

魔法使い(だ、大丈夫です)

魔法使い(あんだけ頑なに私を断っていた勇者様です)

魔法使い(そう簡単に仲間にはしないはず!!)

魔法使い(大丈夫!! 勇者様なら断るに決まってます!!)

勇者「ああ、うん。いいんじゃないか」

戦士「そうか。ではこれからよろしく頼む」

魔法使い「なんでですかああああああああ!?」

戦士「うおっ!?」

勇者「うるせえよ。新入りがびっくりしてるじゃねえか」

魔法使い「どうしてですか!? あんなに私の時は拒んでたのに!?」

勇者「説明いるか?」

魔法使い「当たり前です!!」

勇者「まず経験が違う。ずっと一人旅してたんなら冒険の知恵もあるだろうしかなり役に立つ。それに比べてお前。ゼロ」

魔法使い「うっ」グサッ

勇者「そして能力だ。さっき戦った感じ腕もかなりのもんだ。戦闘でも期待できるだろう。それに比べてお前。ゴミ」

魔法使い「うぐっ」グサグサッ

勇者「最後に装備。装備が良いということは金も持っているだろうからな。それに比べてお前。穀潰し」

魔法使い「がはっ!!」グサグサグサッ

勇者「以上の理由より採用。文句あるか?」

魔法使い「う、ううぅ」

戦士「何か苦しんでるがいいのか・・・?」

勇者「ああ、いつも発作だ。気にするな」

戦士「そ、そうか・・・」

戦士「では改めてよろしく頼むぞ。勇者。魔法使いちゃん」

勇者「ああ。まあ適当に頼むわ」

魔法使い「うぅ・・・。よろしくお願いします」

戦士「ま、まあそう落ち込むな。元気を出せ」

魔法使い「・・・はい。ありがとうございます」

戦士「うむ。君は笑ってる方が可愛いんだから笑っている方がいい」

魔法使い「ああ、なんて優しい・・・。それに比べてこの人は・・・」ジトー

勇者「なんだよ、クソガキ。そんな目で見んな。じとっとして気持ちわりい。今にもカビそうだ」

魔法使い「もおおおおおおお!!」

戦士「ま、まあまあ。勇者も女の子にそんな酷いことを言うんでない」

勇者「るっせえな。いいからさっさと行くぞ」

魔法使い「・・・はい」

戦士「うむ。では行こうか!! 世界の平和のため魔王を倒しに行こう!!」

魔法使い「・・・なんか勇者様より勇者らしいですね」

勇者「ああ。今すぐ紋章あげたいくらいにな」

戦士「たああああああああ!!」

ズバッ!!

戦士「やああああああああ!!」

ズバッ!!

戦士「はああああああああ!!」

ズバッ!!

戦士「・・・ふう。これで全てか」スチャッ

魔法使い「つ、強い」

勇者「これはお見事」パチパチ

戦士「よせ、照れるではないか」

勇者「これで戦闘が楽になるぜ。じゃんじゃん倒しちゃってくれ。頼むわ」

戦士「うむ。心得た」

勇者「俺はその間にでも煙草でも吸ってるよ。おい、火」

魔法使い「・・・確かにこれは私たちが戦うまでもないですね。小火術」ボッ

勇者「いや、お前は最初からずっと戦ってねえだろ」プハー


______
___
_

勇者「暗くなってきやがったな。仕方ねえ。今日はこの辺で休むか」

戦士「そうだな。いい判断だと思われる」

魔法使い「・・・はぁ・・・はぁ」

戦士「・・・疲れきってる子もいるしな」

勇者「本当にあいつはなんなんだよ」

戦士「ふふ、可愛いじゃないか。一生懸命で」

勇者「可愛くたって仕方ねえんだよ。冒険は戦争だ。遊びじゃねえんだよ」

戦士「なに、その分我々が強くいいではないか」

勇者「やなこった。俺は自分の身を守るので精一杯なんだよ」

戦士「やれやれ、よく言うよ。あんだけあの子を庇ってたじゃないか」

勇者「・・・けっ」

魔法使い(・・・疲れた。本当ならまだ進めるはずなのに・・・。・・・もしかして私の為に)

魔法使い(・・・・・・本当に私は足でまといにしかなってないですね・・・私)

戦士「さっ、では腹も空いたことだ。飯にしようか。私が作ろう」

勇者「何? お前飯も作れるのか?」

戦士「うむ。長年冒険をしてるからな。嫌でも身に付いたよ」

魔法使い「あ、で、ですが流石に悪いですよ。お疲れでしょうし。私がやりますよ」

勇者「いや、お前料理できねえだろ」

魔法使い「・・・そうでした」

戦士「ははは、気にしなくていい。君らはゆっくり休むがいい」

勇者「ああ。そうさせて貰うよ」

魔法使い「で、ですが何かお手伝いくらいは・・・」

戦士「いい、いい。魔法使いちゃんも疲れているだろう? ゆっくりしてるといい」

魔法使い「・・・・・・そうですか」

戦士「・・・・・・いや、そうだな。では悪いが火を起こすのを手伝ってくれないか?」

魔法使い「あ、はい!!」

戦士(フフッ。可愛いな本当に)

戦士「勇者。飯が出来たぞ」

勇者「ん? おお、そうか。なら食うか」

戦士「済まないな。わざわざテントを立てて貰って」

勇者「俺が寝るためだ。そりゃ必要だろ。流石にこんなきたねえ草の上じゃ寝たくねえよ」

戦士「とか言ってしっかり二つ立ててるじゃないか」

勇者「いいから飯食うぞ。腹が減りすぎてお腹と背中がくっついちまいそうだ」

戦士「ふふ、そうか。ではくっつく前に飯にしよう」

勇者「ああ、そうしてくれ」

勇者「おお随分美味そうだな、おい」

戦士「ああ、人に食べてもらうと思うとつい張り切ってしまったよ」

勇者「本当に仲間にしてよかったよ。あんたは」

戦士「それは嬉しいな」

勇者「それに比べて・・・」チラッ

魔法使い「こ、この火私がつけたんですよ!!」

勇者「はぁ・・・。うわーすげー、豪華な業火だな」

魔法使い「やめてください!! 無理して褒めないでください!!」

戦士「まあまあ。さあ、食べようではないか。温かいうちに食べてくれ」

勇者「ああ、そうだな。じゃ、いただきまーすっと」

魔法使い「あ、はい。いただきます」

戦士「ああ、どんどん食べてくれ」


魔法使い「・・・あ、美味しい」

戦士「そうか、それは良かった」

勇者「確かにこれは旨えな。冒険なんかやめて料理屋でもやった方がいいんじゃねえか?」

戦士「ふふっ、考えておこう。世界を平和にしたあとにな」

魔法使い「・・・本当に勇者みたいですね」

勇者「俺が勇者だ」

魔法使い「今すぐ譲ってください!!」

勇者「出来ることならしたいんだがな。だが残念ながらそれはできない。何故ならこの紋章ワッペンだから服にくっついてんだ」

魔法使い「そうだったんですか!?」

戦士「魔法使いちゃん、嘘だから。絶対に」


勇者「はぁ。美味かった。ごちそうさん。さて煙草でも・・・って、ちっ。ラスト一本かよ」

魔法使い「吸いすぎなんですよ」

勇者「うるせえな。俺の勝手だろ」

魔法使い「はぁ、まあいいですけどね。では」

勇者「ああ、いい。焚き火からつけるから」ジュッ

魔法使い「あ・・・、そ、そうですか」

戦士「・・・・・・」

勇者「ぷはー。うめえ。くそっ、しかし無くなっちまったか。さっきの街で買ってくれば良かったよ」

戦士「こんなこと言ったら失礼かもしれないが勇者が煙草を差し置いてまで他の物を買うとは意外だな」

勇者「あぁ。欲しかったものが意外と高くてな。くそっ、煙草が値上がりしてなけりゃ一箱買えたのによ」

魔法使い「そういえば何買ったんですか? 私も知らないんですが」

勇者「誰が教えるか」

魔法使い「いいじゃないですか、それくらい」

勇者「なんでわざわざ敵に武器の情報あたえなきゃならないんだよ」

魔法使い「なっ!?私のどこが敵なんですか!! 完全に味方じゃないですか!!」

勇者「煙草つける為に業火術つかうやつのどこが味方なんだよ」

魔法使い「も、もういいじゃないですかそこは!! 過去の話しじゃないですか!!」

勇者「いや、俺はこれを墓場まで持っていくね」

魔法使い「うぅー!! もういいです!!」

戦士「まあまあ。さっ、片付けも終わったし今日はゆっくり寝ようじゃないか」

勇者「そうだな。じゃっ、俺は寝るからお前らもさっさと寝ろよ」

戦士「うむ。心得た」

魔法使い「え? わ、私戦士さんと一緒に寝るんですか!?」

勇者「なんだよ。文句あんのかよ。戦士のことそんなに嫌いかよ」

魔法使い「い、いえ、そういうわけじゃないんですが・・・」

勇者「とりあえず俺は一人で寝たいんだよ。わかったらさっさと寝な。じゃあな」

戦士「・・・さあ、私達も寝よう。魔法使いちゃん」

魔法使い「・・・はい」

魔法使い(・・・勇者様の馬鹿)

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魔法使い(・・・・・・寝れない)

魔法使い(さっきあんなところを助けようとしてくださった方ですからそういうことはないと思いますが・・・)

魔法使い(・・・勇者様の馬鹿。少しは私の心配してくださってもいいじゃないですかっ)

魔法使い(・・・やはり私はライター以外の何でもないんですかね)

魔法使い(それでもいいってついて行きましたが・・・)

魔法使い(・・・ちょっと辛いですね)

魔法使い(・・・迷惑なんですかね、やっぱり)

魔法使い(・・・そうですよね。足でまといになってばかりですもんね)

魔法使い(・・・だったら居ない方がいいんですかね)クスン

戦士「・・・魔法使いちゃん。もう寝たか?」

魔法使い「・・・ふぇ?」

戦士「起こしてしまったなら申し訳ない」

魔法使い「あ、いえ。起きていたので大丈夫です」ゴシゴシ

戦士「そっか。私が横にいると寝づらいか?」

魔法使い「そ、そういうことじゃないんです!! 大丈夫です!! ・・・ただ」

戦士「悩み事か? 私が力に慣れる事なら力になる。話してみるだけでも話してくれないか?」

魔法使い「戦士さん・・・。ありがとうございます」

戦士「なんのこれしき」

魔法使い「・・・あのですね・・・その・・・やっぱり私ってこのパーティにいらないんですかね」

戦士「・・・・・・」

魔法使い「私弱いですし、体力ないですし、料理できないですし・・・勇者様の言う通りですね」

魔法使い「足で纏いにしかならないですし私のせいで無駄にお金かかりますし・・・」

魔法使い「この装備も実はさっきの街で勇者様が買ってくださったんですよ。そんなボロい服着てたら俺まで弱く見えて恥ずかしいって言いながらですけどね」

魔法使い「きっとそのせいで煙草も買えなかったんだと思います。私の装備なんて買わなければライターなんて何本も買えたんですもんね」

魔法使い「ホント・・・私勇者様の邪魔しかしてないですね・・・これなら居ない方が・・・」

戦士「・・・そんなことないさ」

魔法使い「でもっ!!」

戦士「そんな居ても居なくても変わらない人だったら装備なんか与えないで見殺しにするはずさ」

魔法使い「それは・・・私が無理矢理ついてきたから・・・」

戦士「それでもだよ。だったら最初から連れて行かないさ。勇者は移動魔法が使えるんだろ? 嫌なら寝てる間に無理矢理でも送り返してるさ」

魔法使い「・・・・・・」

戦士「勇者も何か思うところがあって魔法使いちゃんを連れていってるんだろうさ。それが何かは本人しかわからないだろうけどね」

魔法使い「・・・戦士さん」

戦士「だから君は難しいことなんか考えなくていいのさ。勇者も素直じゃないからちゃんと言葉にはしないだろうけどね」

戦士「君は間違いなくここに居ていい。今日入ったばかりの私が言うのもおかしな話だがね」

魔法使い「・・・ありがとうございます」

戦士「少しは役に立てたか?」

魔法使い「はい、本当にありがとうございます」

戦士「それは良かった」クスッ

ガルル

戦士「・・・・・・敵か!?」ガバッ

魔法使い「えっ!?」

戦士「今鳴き声がした」

魔法使い「本当ですか!?」

戦士「仕方ない。行くぞ、魔法使いちゃん!!」

魔法使い「は、はいっ!!」

バサッ

戦士「・・・・・・ってあれ?」

シーン

魔法使い「あれ、いませんね?」キョロキョロ

戦士「・・・おかしい、確かに」

魔法使い「きっと聞き間違えですよ」

戦士「・・・そうか。まあいい。だったら寝るか」

魔法使い「はい、そうですね」

戦士「・・・・・・」

_____
___
_

魔法使い「勇者様ー!! 朝ですよー!!」

バサッ

勇者「ふわぁ・・・。もうそんな時間かぁ?」

魔法使い「そうですよ。もう朝ご飯も出来てますよ」

戦士「おはよう、勇者」

勇者「はいはい、おはようさん。ふわぁ」

戦士「随分と眠そうだな、君は」

魔法使い「本当ですよ。一番最初に寝てたのに」

勇者「うるせえよ。朝弱いんだよ、俺は」フワァ

魔法使い「もう・・・。とりあえず朝ご飯食べましょう」

勇者「はいはい。食いしん坊だこと」

戦士「・・・勇者」

勇者「あん?」

戦士「昨夜のやつ、君だろ?」

勇者「は? 何の話をしてんだ?」

戦士「だったらなんでそんなに眠そうなんだ?」

勇者「言ってんだろ。俺は朝弱いんだよ」

戦士「とぼけなくてもいい」

勇者「わけわかめ。お、今日の朝飯はワカメのスープかこりゃ嬉しい」

戦士「・・・全く」

勇者「お前も意味わからん話ししてないでさっさと食おうぜ。俺は早く街に行って宿屋で寝たいんだよ」

戦士「・・・ああわかったよ。すまんな、訳のわからない話をして」

勇者「全くだ」

_____
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_

勇者「やっと着いたか」

魔法使い「大体の魔物を戦士さん一人で倒してましたけどね・・・」

勇者「俺は楽できていいぜ」

戦士「君もしっかり敵を倒してたじゃないか」

勇者「危うく武器の持ち方を忘れるところだったからな」

戦士「生憎私はナイフの使い方は心得てないからな。忘れても教えられなくて申し訳ないな」

勇者「忘れた時はロングソードの使い方を習うよ」

魔法使い「わ、私も火術の使い方は教えれますよ」

勇者「そりゃいい。自分の煙草を自分でつけれるぜ」

魔法使い「そういえば私人に教えるのは苦手なんでした」

勇者「流石馬鹿だな」

魔法使い「う、うるさいです!!」

戦士「クスッ」

勇者「さて。煙草煙草ー!!」ダッ

魔法使い「全くもう・・・」

戦士「いいのか? 買わせて?」

魔法使い「そりゃ体に悪いのであんまり良くないですが・・・でも煙草ないと私の居る意味がないので」ハァ

戦士「ハハハッ、それは仕方ないな」

魔法使い「えぇ。とりあえず私が居ていい理由が見つかるまではライターに徹しますよ」

戦士「でも一人で買い物に行かせたらライター買ってきちゃうんじゃないか?」

魔法使い「・・・・・・」

戦士「・・・・・・」

魔法使い「ま、待ってください勇者さまあああああ!!」ダッ

戦士「やれやれ」クスッ


勇者「買えた買えた」ホクホク

魔法使い「今まで見たこともないような笑顔ですね」

勇者「朝からずっと我慢してたんだぞ!? この気持ちがわかんねえのか!?」

魔法使い「いや、私は吸いませんので。それにたかだか3時間くらいじゃないです」

勇者「たかだか3時間!? ふざけてんのか貴様は!! ここが戦場だったらお前は既に蜂の巣だ!!」

魔法使い「え、え?」

戦士「荒ぶってるな。よっぽど煙草が欲しかったんだな」

勇者「魔法使い早く! 火術! 早く」

魔法使い「な、名前で・・・!! はい、行きますよ勇者様!! 小火術!!」

勇者「すぅ・・・。かぁ~うめえ!! サンキュー魔法使い!!」

魔法使い「は、はいっ!!」キラキラ

戦士「・・・まあ、魔法使いちゃんが幸せそうだからいいか」

「あ、あの・・・」

勇者「・・・あん?」

戦士「あ、元に戻った」


村人「すいません、私村人というものなんですが・・・あなた勇者様ですよね」

勇者「そうそう。俺勇者」プハー

村人「え、あなたがですか!? すみません、てっきりこちらの方かと・・・」

戦士「ん? 私か?」

勇者「なんだとー。どっからどう見ても俺が勇者だろ。ほら、勇者ワッペンつけてるし」

魔法使い「煙草片手に言っても説得力ないですね」

戦士「そしてワッペンじゃないだろ」

村人「も、申し訳ございません。それであの・・・申し訳ないのですがお願いを聞いていただいてもよろしいですか・・・?」

勇者「やだっ。勇者間違える人の頼みなんてやっ」

魔法使い「何ダダこねてるんですか!! 子供ですか!!」

勇者「お前には言われたくねえよクソガキ」

魔法使い「なんですとおおおお!!」

戦士「・・・それで頼みというのは」

村人「え、あの、放っておいてもいいのですか?」

戦士「・・・えぇ。いつものことなので」

村人「で、では。その頼みというのは私の娘を助けていただきたいのです」

戦士「なるほど・・・。ご心中お察しします・・・」

村人「ありがとうございます・・・」

戦士「ところでその娘さんというのはどちらへ?」

村人「はい・・・。実はこの村は500年ほど前、オロチに村を荒らされたのです」

戦士「・・・オロチというのはあの八岐大蛇のことか?」

村人「・・・はい。ところがそこへ勇者様が通りかかってくださったのです」

戦士「ほう・・・」

村人「そこで勇者様はお一人で討伐しに向かってくださったのです。ですが・・・」

戦士「何かあったのですか?」

村人「両者とも力はほぼ互角。両者ともあと一撃を貰えば死ぬという状況の時オロチが勇者様へ交渉を持ち出したのです」

戦士「それは一体・・・?」

村人「10年に一度村の娘を一人生贄に捧げろ、そうすれば村を荒らすことはしないというものでした」

戦士「・・・勇者はそれを飲んだのですか?」

村人「・・・はい」

戦士「そんなっ!!」

村人「・・・勇者様と言えども人の子。無理に勝負して死ぬよりはそちらの方がいいとお考えになったのだと思います」

戦士「それでも!!」

村人「いえ、勇者様には魔王を倒すという使命があったのだから仕方ないのです」

戦士「オロチも倒せない奴が魔王を倒せるか!!」

村人「・・・確かにその勇者様は魔王にやられたと聞きます」

戦士「それはそうだ!!」

村人「ですが村人たちは感謝しました。全員死ぬところが一人で済むのですから・・・」

戦士「・・・・・・」

村人「私もそれは仕方ないと思っていました・・・。ですが・・・ですが!!」

戦士「・・・今年はあなたの娘さんが選ばれたということですね」

村人「・・・はい。自分勝手なのは承知です。今まで散々見殺しにしといてと思われると思います」

戦士「そんなこと・・・」

村人「いえ、良いんです。私も他の方が言ったら今更何言ってるんだと思うに決まっています」

戦士「・・・・・・」

村人「そこを知ってなお、無理を承知でお願いします。お願いです!! 私の娘を助けてください!!」

戦士「・・・・・・」

村人「妻も死に、私にはもうあの娘しかいないんです!! どうか・・・どうか・・・報酬ならいくらでも払います」

戦士「・・・・・・わかり」






勇者「ダメに決まってんだろ」






戦士「なっ!!」

村人「勇者様・・・」

戦士「何故だ勇者!! この方の話を聞いてなかったのか!!」

勇者「ちゃーんと最初から最後まで聞いてたよ。ソラでセリフ全部言えるくらいにはな」

戦士「だったら何故!?」

勇者「あのな、まずこれはこの村の問題だ。この村がどうなろうと俺の知ったこっちゃない」

戦士「勇者!!」

勇者「それに今までそうして来たんだろ? それでこの村の平和は守られてきたんだ。だったらいいじゃねえか」

戦士「それでもこの人の娘さんは!!」

魔法使い「そうですよ、勇者様!!」

勇者「知るかよ。それこそこいつの話し通りだ。虫が良すぎるだろ。今まで散々村ぐるみで人殺しといて自分の娘だけ助けろ? 笑わせんな」

戦士「それを知ってなお頼んでいるこの人の気持ちがわからないのか!!」

勇者「さっぱりだね」

戦士「貴様・・・!!」

勇者「それにお前が行ったらお前が死ぬかもしれねえんだぞ。それでもいいのかよ」

戦士「当たり前だ!! 困ってる人を見捨てるくらいなら死んだほうがマシだ!!」

勇者「ああ、そうかい」


勇者「だが悪いな。俺は魔王を倒さなくちゃいけねえんだ。時間も限られてるんだよ」

戦士「・・・目的の為なら犠牲は仕方ないとでも言うのか」

勇者「そういうこった。お前らも結局捨て駒だ」

戦士「何い!?」

勇者「最後は俺が魔王を倒せばいいの。そうすれば世界は平和になるの。お前らが死んだってな」

戦士「貴様・・・!!」

勇者「いいじゃねえか。魔王を倒すために死んだ仲間たち。美談になるぜ?」

戦士「私はまだしも魔法使いちゃんまでも・・・・・・・・・貴様には失望した!!」

勇者「目先のことしか考えてねえ馬鹿に言われたくねえよ」

魔法使い「勇者様!!」

戦士「・・・もういい!! 私はこのパーティを抜けさせてもらう!!」

勇者「どうぞご勝手に」

魔法使い「そんな!! 戦士さん!!」

戦士「魔法使い!! 君も来るんだ!!」

魔法使い「・・・え?」

勇者「おう、連れてけ連れてけ。メシ代も減るし願ったり叶ったりだ」

魔法使い「・・・・・・勇者様」

戦士「口は悪いと思っていたが心まで腐ってるとは思わなかったよ。貴様には失望したよ」

勇者「やっと気づいたのかよ。お前もガキと一緒で馬鹿だったんだな」

魔法使い「・・・・・・」

戦士「ふん・・・。影でしっかりやってる奴だと思っていたが私の勘違いだったようだな」

勇者「だからずっと言ってただろ。人の話を聞かないやつだな。耳ちゃんとついてるのか?」

戦士「黙れ!! これ以上貴様と話しているのは時間の無駄だ!!」

勇者「はいはい。黙ってますよ」

戦士「・・・村人さん。その八岐大蛇はどこにいるのですか」

村人「は、はい、ここから南の方角の洞窟に住んでいます」

戦士「そうか。把握した。では必ず娘さんを助け出してきます」

村人「・・・申し訳ありません」

戦士「いえ、戦士として当然のことをするまでです。ほら、行くよ、魔法使いちゃん」

魔法使い「でもっ・・・でもっ・・・!!」

戦士「いいから。あんな奴に着いてったら見殺しにされるだけだ。さあ早く」

魔法使い「で、でも勇者様にもきっと考えがあって・・・」

戦士「ないよ、あんな奴に!! 昨日言ったことは根本的に間違えていたんだ」

魔法使い「で、ですが!!」

戦士「魔法使いちゃん!!」

勇者「ああ、そうそう。おい、ガキ」

魔法使い「は、はい!!」





勇者「行くんだったらその装備全部置いてけよ。売って金にするから」





魔法使い「・・・・・・・・・・・・え?」

戦士「貴様は・・・どこまで・・・!!」

勇者「いやいや、人の物を取ったら泥棒だぜ?」

戦士「だったら貴様のその煙草も私が倒した魔物から稼いだ金だ!!」

勇者「おお、そうだったな。これは失敬。んじゃ俺が倒した魔物がこんくらいだから・・・よし、煙草は平気だな」

戦士「貴様・・・!!」

勇者「じゃあほらよっ。これはお前らのもんだ」ポイッ

戦士「チッ!!」

勇者「薬草や魔法瓶が入ってるから使いたきゃ使えばいいし。売るなら売ればいいさ」

戦士「どこまで貴様は・・・」

勇者「クズなんだってか? そりゃそうだ。俺はあの死神の男だからな」

戦士「なっ・・・!! 貴様があの・・・!!」

勇者「納得の理由だろ?」

戦士「・・・許さん!! ここで成敗してくれる!!」チャキ

勇者「おいおい。そんなことしてる場合かよ? 今にもこいつのガキは食われるかもしんねえんだぞ?」

戦士「・・・チッ」

勇者「おら、さっさと行った行った」シッシ

戦士「貴様・・・覚えておけよ!! 絶対にまた見つけ出して私が殺してやる!!」

勇者「はいはい、覚えてればな」ヒラヒラ

戦士「どこまでも・・・!! ほらっ、魔法使いちゃん行くよ!!」

魔法使い「・・・・・・・・・・・・」

戦士「・・・くっ。仕方ない、引っ張って連れて行く」

勇者「お達者でー」

戦士「ふんっ!! 地獄へ落ちろ!!」ダッ

魔法使い「・・・・・・・・・・・・」

勇者「おお、怖い怖い」

勇者「さて・・・。おい、村人っつたか?」

村人「・・・申し訳ありません。私のせいで・・・」

勇者「謝るくらいだったら最初から頼むんじゃねえよ」

村人「・・・・・・そうですね」

勇者「そういうこった。んで? なんでお前は自分でオロチだかオロシだから知らねえが倒しに行かなかったんだ?」

村人「・・・最初は私もそう思ったんです。ですが私じゃ倒すだけの力量はない」

勇者「まあそうだろうな」

村人「そこで倒せなかった時のことを考えたら行けなかったんです・・・」

勇者「・・・ほう」

村人「私がオロチの契約を破棄すればオロチは怒りこの村を破壊すると思ったのです」

勇者「なるほどな。娘も助け出せない。村も終わり。最悪な結末だな」

村人「・・・ええ。ですからそれだけは避けたかったのです」

勇者「だったら失敗しても村は助かる余所者に頼んだというわけか」

村人「・・・・・・はい。騙して申し訳ありません」

勇者「別に騙しちゃいねえだろ。言ってねえだけだ」

村人「・・・ですが私はどうしても娘を救いたかったのです!! どんな手を使ってでも!!」

勇者「この村がどうなってもか?」

村人「・・・・・・気づいてらしたんですか」

勇者「なんとなくだがな」

村人「・・・流石勇者様ですね」

勇者「いんや、俺はただの死神だよ」

村人「勇者様・・・どうかお願いです。どうかあの娘を救っていただけませんか!! 報酬はいくらでも払います!!」

勇者「やれやれ、いくらでもとか簡単に言うんじゃねえよ」

村人「それほど私は真剣なのです!!」

勇者「別に俺に頼む必要ねえじゃねえか。あいつらは無償で行ってくれたんだぜ?」

村人「・・・・・・ですが」

勇者「あいつらじゃ勝てなさそうってか?」

村人「・・・本当に勇者様には敵いませんね」

村人「別にあの方たちが弱いとは思っていません・・・。ですが、あの噂の勇者様・・・男様と比べるとどうしても」

勇者「やめろよ、名前に様つけるんじゃねえよ。むず痒い」

村人「それは申し訳ございません・・・」

勇者「うわあ鳥肌立ってきた・・・」

村人「・・・・・・お願いです、男さん!! どうかあの娘を救ってくださりませんか!!」

勇者「・・・お前はこの依頼に命かけれるか?」

村人「・・・え?」

勇者「お前はこの依頼に自分の命をかけれるか? 自分の命を捨ててまでも娘を助けたいのか?」

村人「・・・・・・はい。私の命でいいならいくらでも」

勇者「・・・そうか」

村人「それに娘が助かれば私の命なんてないしな」ハハハ

勇者「まあ確かにな」

村人「ええ。ですから私の命など惜しくはありません」

勇者「だったら依頼は成立だ」

村人「本当ですか!! ありがとうございます!! ありがとうございます!!」

勇者「ああ。だが依頼料は前払いだ」

村人「あ、あぁ。そうですね。わかりました。いくらでも支払います」

勇者「いや、金はいい」

村人「え? で、ですが・・・」

勇者「代わりにこれを持て」ヒュン

村人「お、おっと。・・・これは?」

勇者「何、なんて事ない。ただのナイフだ」

村人「で、ですがこれと依頼料になんの関係が・・・?」

勇者「なに、簡単だ」



勇者「これでお前の腕を貫け」



村人「・・・え?」

村人「な、何故ですか」

勇者「だから依頼料だっての。お前が腕を貫く。そうすれば俺は助けに行く。貫かなければ契約破棄だ」

村人「で、ですがそれだと勇者様にメリットが・・・」

勇者「お前、俺の噂を知ってるだろ?」

村人「・・・ええ」

勇者「それが答えだ。俺はな、人が苦しむ姿が最ッ高に好きなんだよ。だからお前が苦しむ=俺の幸せだ」

村人「・・・そんな」

勇者「ほら、やるならやる。やらないならやらない。俺は忙しいんだよ」

村人「・・・・・・」

勇者「娘を助けてえんだろ。だったらお前の命なんかどうでもいいんだろ。違うのかよ」

村人「・・・・・・」

勇者「・・・・・・はあ。結局こんなもんか。契約は破棄だ。じゃあな」




村人「・・・・・・待ってください」

勇者「・・・あん?」

村人「やります!! やらせてください!!」

勇者「・・・そうかよ。だったらさっさとしな」

村人「・・・・・・はい」ゴクッ

サッ

村人(・・・おかしいな。とっくに覚悟は決めたつもりだったんだけどな)

村人(命なんかよりも大切なはずだったんだけどな)

村人(それがどうだ。たがだか腕を貫くだけでこんなに躊躇して)

村人(傷つくのってこんなに怖いものなんだな・・・)

村人(それを勇者様やさっきの戦士さん、あんな小さな魔法使いちゃんだってこんな思いをしながら旅してるのか・・・)

村人(なのに私はお金だけで解決しようなんて・・・なんて浅はかだったんだ)

村人(全く関係のない私の娘の為に傷ついて貰うと言うのに私だけのうのうと傍観するだけ)

村人(・・・そんなことあっちゃならないよな)

村人(・・・・・・だったらこんな腕ぐらい!!)ギリッ

村人「だあああああああああああああああああああああああ!!」

ザクッ

村人「があああああああああああああああああああああああああ!!」

勇者「クフッ・・・クフフ。ギャハハハハ!! いいねえ!! 最ッ高だねその苦痛に歪んだ顔!! それだよそれ!!」

ボタボタボタ

勇者「・・・ふう。よし、契約成立だ。これを使いな」サッ

キュイン

村人「があああああああああ・・・・・・あれ? 痛みが引いてく・・・」

勇者「これが薬草の効果だ。知らなかったろ?」

村人「・・・・・・ははは。知らなかったよ。薬草がこんな効果だったなんて」

勇者「貴重な体験だったろ?」

村人「そうですね・・・。知った気になってたことでも意外と知らないことが多いんですね」

勇者「よかったな。無知の知を体験できて」

村人「はい。ありがとうございます」

勇者「おいおい、傷つけさせた張本人に何言ってんだよ。お前あれか? マゾにでも目覚めちまったか?」

村人「違いますよ。とりあえずありがとうございます」

勇者「変なやつ」

村人「ははは、勇者様ほどじゃないですよ」

勇者「うるせえよ。喧嘩売ってんのかよ」

村人「いえいえ、滅相もない。とりあえず、これで依頼を受けてくださるんですよね」

勇者「ああ、仕方ねえな。言っちまったもんは仕方ねえ」

村人「ありがとうございます!!」

勇者「やれやれ、こんなことしないで金にしとけば良かったぜ」

村人「いえ、ちゃんとお金も払いますよ」

勇者「いんや、いらねえ。男に二言はねえんだよ」

村人「クスッ。そうですか」

勇者「ああ。んじゃとりあえず行ってくるよ」

村人「はい。お願いします」

勇者「・・・っと、忘れてた。その前にちょっと頼みがある」

村人「ええ。なんなりと」

勇者「ああ、じゃあな―――」

村人「え、そんなことでいいんですか?」

勇者「ああ。大事な頼みだ。ぜってえしくるなよ」

村人「あ、はい。分かりました」

勇者「だったらとっとと行け。時間がねえ」

村人「はっ、はい!!」

ダッ

勇者「さて、じゃあ俺も準備するか」

勇者「・・・・・・でもこれじゃ金が足りねえな」

勇者「・・・仕方ねえ。防具と・・・はぁ、ナイフも売るか」サッ

勇者「おい、おま・・・っと、そうだ、いねえんだった」

勇者「・・・・・・はぁ、ライターも買ってくか」

勇者「こりゃ煙草も結構売らなくちゃいけねえな・・・」


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戦士「だああああああああああ!!」

ズバッ

戦士「大丈夫? 魔法使いちゃん?」

魔法使い「・・・・・・はい」

戦士(・・・・・・やっぱり元気ないな)

戦士(クソッ! あんなやつの何がいいんだよ!!)

戦士「ねえ・・・魔法使いちゃ」

魔法使い「ああああああわかりません!!」

戦士「えっ!?」ビクッ

魔法使い「あ、すみません!! 大きな声出しちゃって!!」

戦士「い、いやそれはいいが。一体どうしたんだ?」

魔法使い「ええ・・・。勇者様が何を考えているのか考えていたんですよ」

戦士「・・・何?」

魔法使い「でもさっぱり分かんなくて・・・。はあ、やっぱり馬鹿じゃわかんないんですかね」

戦士「・・・あいつがそんな高尚なことを考えているはずがない。考えているのは自分のことばかりだよ」

魔法使い「いえいえ、それはないですよ」

戦士「・・・何故君はそんなに彼を信じれるんだ」

魔法使い「最初は私もそりゃショック受けましたよ。だってその装備は俺の金だから返せー! って。普通言いませんよね!!」

戦士「そうだ!! そんな男なんだぞ、彼は!! それにあの噂の死神なんだぞ!?」

魔法使い「その噂は噂ですよ」

戦士「何故そう言い切れる!!」

魔法使い「まだ戦士さんが入る前ですけどちょっと色々ありましてね。そこで思ったんですよ。そんな人じゃないって」

戦士「それはその時だけ優しい顔してたんじゃないのか!!」

魔法使い「その時も悪く見せようと必死でしたよ。勇者様。今思えばちょっと可笑しいですね」クスッ

戦士「だが・・・」

魔法使い「まあですから今回もきっと私じゃ考えつかないようなことを考えてるはずなんです」

戦士「・・・何故君はそこまで彼を」

魔法使い「それは・・・・・・ま、まあいいじゃないですか!!」

戦士「・・・私にはわからない。何故君がそこまで彼を信じれるか」

魔法使い「直にわかりますよ。素直じゃないんですよ。彼は」

戦士「だが、彼は着いて来なかった。君がいうことが本当ならついてくるのが普通じゃないか?」

魔法使い「そ、それは・・・きっと何かあるんですよ!! 絶対!!」

戦士「本当か?」

魔法使い「・・・・・・なんか私も不安になってきました」

戦士「まあ、彼が来ようが来まいが関係ない。君は私が守る。この命に変えても」

魔法使い「・・・戦士さんって男らしいですね」

戦士「あぁ。よく言われるよ」


_____
___
_

戦士「ここが魔物の住み家のようだな」

魔法使い「そ、そうですね」チラッ

戦士「そんなに振り返っても彼は来ないよ」

魔法使い「・・・うぐっ」

戦士「結局彼はそんなやつだったんだよ」

魔法使い「そ、そんなはずは・・・」

戦士「これが現実だよ」

魔法使い「・・・・・・」

戦士「・・・彼のことは忘れるんだな。その分私が君を守るから」

魔法使い「戦士さん・・・」

戦士「さっ、準備はいいかい。行くよ」

魔法使い「・・・・・・はい」

ギィ

八岐大蛇「・・・うん? 何やつじゃ? 妾の食事の邪魔をするのは?」

娘「・・・うぅ」ガタガタ

戦士「我が名は戦士!! 貴様!! その娘を解放するんだ!!」

魔法使い「そ、そうです!! 食べるのをやめてください!!」

八岐大蛇「随分と勇ましいな。だが、それは無理な注文じゃ」

戦士「だったら・・・力づくでも奪い返す!!」チャキ

八岐大蛇「ほう・・・。だったら仕方ない・・・。応戦するまでよ」

戦士「・・・魔法使いちゃん。後から援護を頼むよ」

魔法使い「は、はいっ!!」

戦士「娘ちゃんは離れてて!!」

娘「は、はい!!」タタタッ

戦士「さて・・・行くぞ!! 魔物!!」ダッ

八岐大蛇「やれやれ。自ら死に急ぐとは愚かじゃの。まあよい。妾の好みじゃしな。さっさと倒して食すだけじゃ」

戦士「できるもんならやってみろ!!」


戦士「喰らえ!! 魔人斬り!!」ブンッ!!

八岐大蛇「がはっ!! なかなかの威力ではないか」

戦士「もういっちょ!! 隼斬り!!」ヒュンヒュン!!

八岐大蛇「ぐっ!!」

戦士「さらに辻斬り!!」スン!!

八岐大蛇「がはっ!!」

魔法使い「つ、強い・・・!!」

戦士「伊達に一人旅してないからね!!」

八岐大蛇「ふんっ。やらっれぱなしは癪だのぉ。こちらからも行かせて貰うぞ」

ブンッ

戦士「ガハッ!!」ドスッ

魔法使い「戦士さん!!」

戦士「くそっ!! しくじった・・・。済まない、魔法使いちゃん。薬草を使ってもらえるか」ドクドク

魔法使い「は、はい!!」キュイーン

戦士「ふぅ・・・。助かったよ。薬草はあと何枚ある?」

魔法使い「えっと・・・あと9枚ですね」

戦士「そうか・・・。クソッ!! 買い物をあいつに任せたのが馬鹿だった!!」

魔法使い「・・・・・・」

戦士「魔物の防御力も高そうだしな・・・。全部使っても足りるか・・・」

戦士「・・・いや、私はどうなってもいい。魔法使いちゃんだけは守りきる!!」

魔法使い「戦士さん・・・」

戦士「引き続き後ろからの回復は頼むぞ!!」

魔法使い「はいっ!!」

八岐大蛇「相談は終わったかのぉ? ではいくぞ」

戦士「こい!!」ダッ

_____
___
_

戦士「はあ・・・はあ・・・はあ・・・」

八岐大蛇「なんじゃ? もう終わりか?」

戦士(くそっ・・・硬すぎる・・・)

戦士「魔法使いちゃん!! 薬草を!!」

魔法使い「せ、戦士さん!! もうないです!! 魔法瓶もあと一つしかないです!!」

戦士「な、何!!」

八岐大蛇「はっはっは!! 残念じゃったのぉ。もう少し楽しめるかと思ったのじゃがなぁ」

戦士「クソッ!!」

八岐大蛇「・・・これで終いじゃ」ブンッ

戦士「ガハッ!!」ドスッ

魔法使い「戦士さん!!」

戦士「・・・・・・」

八岐大蛇「残念じゃったの。まぁ少しは楽しめたからよしとするかのぉ」

八岐大蛇「さて・・・では今度はそちらの娘の番じゃ」

魔法使い「ひ、ひぃ!!」

ブンッ

八岐大蛇「む? なんじゃ、まだ起きるのか」

魔法使い「戦士さん!!」

戦士「・・・はぁ・・・はぁ・・・その娘には手を出すな!!」ボタボタ

八岐大蛇「ほぅ。なかなか仲間思いなやつじゃのぉ」

魔法使い「戦士さん!! 血が!!」

戦士「・・・・・・ははは、大丈夫さ。君は死んでも守るからね」ボタボタ

魔法使い「・・・戦士さん」

戦士「・・・さぁ!! 八岐大蛇よ!! 食うなら私を食うがいい!! だがこの娘と魔法使いちゃんは許してやってくれ!!」ボタボタ

八岐大蛇「・・・・・・ほぅ?」

戦士「頼む!! 私の最後の願いだ!!」ボタボタ

八岐大蛇「まぁよかろう。そちは美味そうじゃしのぉ」

戦士「・・・ありがとう」

魔法使い「そ、そんな!! 駄目です!!」

戦士「・・・いいんだ。どうせ私は長くない。だったら私が死ねば済む話しだ」


魔法使い「でもっ・・・でも!!」

戦士「・・・いいんだよ。約束しただろ。命をかけてでも守るってね」

魔法使い「そんな!! そんな!!」

八岐大蛇「ではお別れじゃ。ではな、戦士よ」

戦士「・・・あぁ」


ガブッ

ゴクンッ


八岐大蛇「・・・ふむ。美味であった」

魔法使い「戦士さああああああああああん!!」


_____
___
_

戦士(・・・・・・暗いな)

戦士(そうか・・・そういえば食べられたんだったな)

戦士(なんか体もベタベタするし・・・・・・)

戦士(胃液か血かもわからんな・・・)

戦士(・・・・・・でも最後まで正義を貫けたよな?)

戦士(魔法使いちゃんも娘ちゃんも元気でやっていける事を願うよ・・・)

戦士(それにしても・・・)

戦士「・・・・・・やっと死ねる」









勇者「誰が死なすかよ」ヒュン

戦士「ゆ、勇者・・・?」

魔法使い「勇者様!!」

勇者「おぉ。ヌメヌメしてる。きたねっ」

魔法使い「勇者様!!」

戦士「貴様・・・何故・・・うぐっ」ドクドク

勇者「いいからお前はこれでも食ってろ」

戦士「むぐっ!?」

魔法使い「ちょ!! 勇者様!! 薬草は食べるものじゃありません!!」

勇者「あ、そうなの? 使い方しらんかった」

魔法使い「何やってるんですか!!」

八岐大蛇「貴様・・・。高尚の妾の食事を邪魔するとはなにごとじゃ」

勇者「あん? 現代語でしゃべろよ? 何言ってるかわかんねえよ」

八岐大蛇「貴様・・・どうやら死にたいようじゃな」

魔法使い「なんでいきなり喧嘩腰なんですか!!」

戦士「・・・・・・勇者」

魔法使い「戦士さん!! 良かったです!!」

勇者「あん? なんだ、元気になってなによりだな」

戦士「勇者・・・何故私を殺させてくれなかった・・・」

魔法使い「え? え?」

勇者「おいおい、まだしゃべんなよ。ギリギリ動ける程度だろ?」

戦士「黙れ・・・。何故だ・・・。今なら華々しく死ねたのに」

魔法使い「戦士さん何言ってるんですか!!」

勇者「なんだよ。生き残って感謝されてこそ怒られる義理はねえぞ?」

戦士「黙れ・・・。・・・貴様に私の何がわかる!!」ギリギリ

魔法使い「戦士さん!!」

勇者「あん? わかるか馬鹿」

戦士「だったら・・・」

勇者「はぁ・・・。だったら教えてやるよ」

勇者「俺は死神なの。お前の死ぬ時は俺が決めるの。わかる?」

戦士「そんな理由で・・・」

勇者「そう。そんな理由。俺は生きたがってるやつを殺すのは好きだけど死にたがってるやつを殺す趣味はないの」

勇者「死にたがってるやつが無理矢理生きさせられる。死にたい死にたい思いながら生きてるやつが死に場所を探して生きる」

勇者「そして生きたいと思った時に殺す。あぁ、考えただけでもゾクゾクするねえ!!」

戦士「この変態が・・・」

勇者「褒め言葉として受け取っておくよ」

戦士「このっ・・・」

勇者「お前、ここ数日楽しくなかったか?」

戦士「・・・え?」

勇者「一緒に飯食って美味い美味い言って、一緒に寝て、一緒に冒険してどうだった?」

戦士「・・・それは」

勇者「楽しかったろ?」

戦士「・・・・・・」

勇者「お前が何してどんな理由で死に場所を探してんのか知らん。どんな心の闇抱えてんのかは知らん。だが」

勇者「お前は生きてていいんだよ」

戦士「・・・・・・」

勇者「まっ、そういうことだ。生きたくなったらいつでも言えよ。殺してやるから」

魔法使い「勇者様!!」

戦士「・・・私は生きてていいのか?」

勇者「さっき言ったろう」

戦士「・・・私はいらない子じゃないのか?」

勇者「バーカ。お前が居なくなったら誰が飯作んだよ」

戦士「・・・私は化物じゃないのか?」

勇者「ちげーよ、アホ」

戦士「そうか・・・そうだったのか・・・」

戦士「・・・・・・私は生きてていいのか」

勇者「よしっ、殺す!!」

魔法使い「台無しです!! 勇者様!!」

八岐大蛇「茶番は終わったのか?」

勇者「何? わざわざ待っててくれたの? ショ○カーですか?」

八岐大蛇「妾に舐めた口を聞くとはよっぽど死にたいらしいのぉ。安心せえ、すぐに殺してやる」

勇者「そっくりそのままお返しするよ」

魔法使い「っていうか勇者様!! 防具はどうしたんですか!?」

勇者「あん? 売った」

魔法使い「何やってるんですか!!」

勇者「だって煙草吸うにもライターなかったんだもん」

魔法使い「それでもそこまでかからないじゃないですか!!」

勇者「ジッ○のいっちゃんいいやつ買った」

魔法使い「馬鹿なんですかあなたは!! ていうか早くナイフ構えてくださいよ!!」

勇者「それも売った」

魔法使い「何しに来たんですか!!」

勇者「まあまあ怒るなって」

魔法使い「怒るに決まってるじゃないですか!!」

勇者「戦士は・・・まあ無理だな。動けそうにないわな」

戦士「・・・すまん」

勇者「戦士が戦死しなくてなによりだ」

魔法使い「・・・・・・寒いです。勇者様」

勇者「だったらお前の火術で暖めろよ」

魔法使い「そういう意味じゃないです!!」

勇者「まあ落ち着けよ。ナイフは売ったつったが誰も武器はないなんて言ってねえだろ」

魔法使い「・・・え?」

勇者「まあ見てなって。ちょっと待ってろよ、今勇者セットから出すから」ゴソゴソ

八岐大蛇「ふんっ!!」ブンッ

勇者「おっと、あぶねえ。さっき待ってくれたならもうちょい待てよ」ヒュン

八岐大蛇「黙れ!! 妾は腸が煮えくり返っておるのだ!!」


勇者「はいはい。今出しますよーっと。おっ、あったあった」ガチャ

戦士「・・・なっ!?」

魔法使い「え、それって・・・」

勇者「勇者七つ道具の1つだ」

魔法使い「なんでそんなの持ってるんですか!?」

勇者「そりゃ裏のルートからちょちょいと」

戦士「流石噂通りの男だな・・・」

勇者「そりゃどうもっと」

八岐大蛇「・・・なんじゃそれは」

勇者「あぁ。これは人類の科学の結晶だよ」




勇者「てれれてってれー。サブマシンガンー」




戦士「なんと・・・」


八岐大蛇「ほう・・・。それが人類の武器か」

勇者「ああ。まだ市場じゃ出回ってないだろうがな」カチャカチャ

魔法使い「な、なんでそんなもの持ってるんですか!!」

勇者「死神ともなると悪い友達がいっぱい居るんだよ。あの街の武器屋さん怖かったろ?」

魔法使い「そ、そういえば・・・。ていうかあそこで買ったのこれだったんですか」

勇者「ちょっと値が張ったけどお友達価格で買わせて貰ったんでね」

八岐大蛇「まあなんでもよい。どうせ結果は変わらん。さっさと来るがよい。来ないなら妾から行くがな!!」ブンッ

勇者「だからあぶねえっての。こっちは防具がねえんだよ」ヒュン

八岐大蛇「ええい、ちょこまかと!!」

勇者「それが俺の戦い方なんでね。よっと」ジャキッ

勇者「それじゃあ・・・こっちからも行かせてもらうぜ」ダダダダダダダダダ

魔法使い「うわっ!! すごい音です!! これなら!!」

八岐大蛇「・・・ふむ。こんなもんかえ?」

魔法使い「・・・え?」


八岐大蛇「これじゃったら戦士の剣の方がよっぽど痛かったのぉ」

勇者「あーやっぱり対人間用の武器じゃダメか」

魔法使い「ちょ、ちょっと!! どうするんですか!!」

戦士「これは私が行くしか・・・ぐっ!!」ズキッ

勇者「お前は無理すんなっての。ていうかガキは知ってんだろ。こういう時はどうするかは」

魔法使い「・・・あっ」

勇者「そういうこった。オラ、もういっちょ行くぞ」ジャキッ

八岐大蛇「なんぼでもくるがよい。そんなの痛くも痒くもないしの」

勇者「じゃっ、遠慮なく」ダダダダダダダダ

八岐大蛇「じゃから無駄じゃと」

ヒュン

八岐大蛇「・・・がああああああ!!」ダダダダダダダダ

戦士「な!? 一体何を!?」

勇者「ちょっとした移動魔法応用編さ」

八岐大蛇「じゃ、じゃが妾はまだ・・・」

勇者「ほら、もういっちょ」ダダダダダダダダ

ヒュン

八岐大蛇「がはっ!!」ダダダダダダダダ

勇者「まだまだ!!」ダダダダダダダダ

ヒュン

八岐大蛇「がああああああああああ!!」ダダダダダダダ

勇者「あーらよっと」ダダダダダダダダダ

ヒュン

八岐大蛇「ぐわあああああああああああ!!」ダダダダダダダダ

勇者「やべー超楽しいいいいいいい!!」ダダダダダダダダ

戦士「あ、悪魔だ・・・」

魔法使い「そりゃ死神なんて名前つきますよ・・・」

勇者「アハハハハハハ!! ・・・ってあれ?」ダダダダダダダ・・・

戦士「・・・どうした勇者!?」

勇者「弾切れだ」

戦士「な!?」

八岐大蛇「ぐ、ぐ・・・。やっと終わったか・・・」

戦士「・・・・・・もう少しだったのに」

八岐大蛇「残念だったのぉ・・・。だがもう終いじゃ・・・」

勇者「まじかよ。やっちまった・・・」

戦士「ちっ、勇者この剣を使え!!」

勇者「いや、使いたいのは山々なんだがな」

戦士「・・・何か問題でもあるのか?」

勇者「訓練してない奴が使うと骨折れんだよ」プラーン

戦士「なっ・・・なっ・・・」

八岐大蛇「・・・・・・万策尽きたようじゃな」

勇者「ああ、俺はもう何も出来ねえよ」プラーン

八岐大蛇「・・・・・・妾をここまで追い込んだ者は初めてじゃったが・・・残念だったな・・・。貴様にはここで死んでもらう」

勇者「いやいや、そういうわけには行かねえよ」

八岐大蛇「・・・・・・何?」

勇者「バーカ。まだ俺は何もできねえって言っただけじゃねえか。なんか勘違いしてるみたいだがこの戦いは俺とお前だけのもんじゃねえんだぞ?」

八岐大蛇「・・・・・・だが戦士はもう」

勇者「アホかお前は。こっちにはもう一人頼もしい仲間がいるじゃねえか」

八岐大蛇「まっ、まさかっ!!」

勇者「守られるだけの女じゃねえってとこを見せてやんな」




勇者「魔法使いよ」





魔法使い「業火術!!」ゴウッ!!

八岐大蛇「ぐ、ぐわあああああああああああああああああああああああ!!」ゴウッ!!

魔法使い「・・・やったんですか?」

勇者「ああ。お手柄だ。クソガキ」

魔法使い「やった・・・やったー!!」

戦士「・・・まさか魔法使いちゃんにこんな力があったなんて」

魔法使い「見ました、勇者様!? 私が倒しましたよ!?」

勇者「ちゃんと見たっての。騒ぐな、馬鹿」

魔法使い「・・・私ちゃんと役にたてましたよね。・・・もう足で纏いじゃないですよね」ウルッ

勇者「・・・・・・自惚れんな、馬鹿っ」プイッ

魔法使い「・・・アハハ」ウルッ



八岐大蛇「・・・バカな奴らじゃ」

魔法使い「なっ!?」

戦士「まさかまだ!?」

勇者「いや、もう襲ってはこねえよ」

八岐大蛇「・・・・・・貴様らは・・・小娘一人のために・・・・・・後悔するがいい・・・」ゴウッ

魔法使い「・・・え? どういうことですか?」

戦士「・・・いや、私にもわからん」

八岐大蛇「・・・・・・命の重さを・・・・・・思い知るがいい・・・そして・・・・・・自分の愚かさを呪うがいい・・・・・・」

パラッ

魔法使い「・・・灰になっちゃいましたね」

戦士「・・・それにしても今のは一体どういう意味だったんだ?」

勇者「・・・・・・」

魔法使い「うーん・・・。まあ、悩んででも仕方ないですしね。帰りましょう」

戦士「・・・そうだな。ほら、娘ちゃんもこっちにおいで」

娘「あ、はい!! すみません!! 本当にありがとうございました!!」

勇者「あぁ、居たのか。気づかなかったぜ」

魔法使い「勇者様!!」

娘「すみません・・・。私何もできなくて・・・」

魔法使い「いえいえ、良いんですよ。お気持ちだけで嬉しいですよ」

娘「でも・・・」

勇者「いいんだよ。お前の親父から報酬はたっぷり貰ったから」

娘「え?」

魔法使い「身も蓋もない話ししないでください!! ていうかその報酬はどうしたんですか!?」

勇者「だからジッ○に」

魔法使い「勇者様の馬鹿あああああ!!」

戦士「ま、まあ何はともあれ皆無事で良かったよ」

勇者「死にたがってたやつがよく言うぜ」

戦士「そ、それは・・・」

魔法使い「もういいじゃないですか!! ほら、早く帰りましょう!!」

勇者「・・・あぁ、そうだな」

魔法使い「・・・・・・勇者様?」


勇者「いってええええええええええええええええええ!!」

魔法使い「・・・え? あ、あぁ!! 骨折してたの忘れてました!!」パッ

勇者「むかついた。置いてく」

魔法使い「あ、ちょ、わ、わざとじゃないんですよ!!」

勇者「移動ま」

魔法使い「あああああ、待ってください!!」

戦士「ほら、魔法使いちゃん。私の手を掴んで!!」

魔法使い「は、はい!!」

ヒュン


_____
___
_

勇者「・・・・・・着いたようだな」

魔法使い「・・・え? ・・・勇者様何言ってるんですか。場所間違えてますよ? おっちょこちょいですね」

戦士「・・・・・・これは」

娘「・・・・・・え?」

魔法使い「ほ、ほらっ。早くちゃんとした場所に戻りましょう。ね?」

勇者「いや、ここで・・・」

魔法使い「そんな訳ないじゃないですか!!」

戦士「・・・・・・」

勇者「現実を見ろ。魔法使い」

魔法使い「嫌です!! 聞きたくないです!! やめてください!!」


勇者「この焼け野原があの村だ」


娘「いやあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!」

戦士「・・・そんな・・・私は・・・」

勇者「言ってたろ、あいつが。命の重さを思い知れって。自分の愚かさを呪えって」

魔法使い「そんな・・・そんな・・・!!」

勇者「受け止めろ。これがお前らの行動の招いた結果だ」

戦士「・・・・・・私は何てことを」

魔法使い「あっ・・・あっ・・・」

娘「」ダッ

魔法使い「娘さん!!」

娘「無いっ!! 無いっ!! 私の家が!! ここにあったはずなのに!!」

魔法使い「・・・・・・」

娘「どこ!? どこなの!? 私の家はどこ!? どこどこどこどこ!?」

戦士「・・・そんな・・・私は・・・」

勇者「言ってたろ、あいつが。命の重さを思い知れって。自分の愚かさを呪えって」

魔法使い「そんな・・・そんな・・・!!」

勇者「受け止めろ。これがお前らの行動の招いた結果だ」

戦士「・・・・・・私は何てことを」

魔法使い「あっ・・・あっ・・・」

娘「」ダッ

魔法使い「娘さん!!」

娘「無いっ!! 無いっ!! 私の家が!! ここにあったはずなのに!!」

魔法使い「・・・・・・」

娘「どこ!? どこなの!? 私の家はどこ!? どこどこどこどこ!?」

戦士「・・・これが・・・私の・・・目先の事しか考えていなかった罰なのか・・・」

勇者「わかったろ。お前がどんだけ馬鹿だったか」

戦士「・・・・・・」

魔法使い「・・・・・・」

娘「あはははははははははははははははははは!!」

勇者「この光景を見てもまだ死にたいって言えるか」

娘「そっかーカクれんぼか!! おうちとパパをさがせばイイんだねー?」

戦士「・・・・・・いや・・・私はこの罪を背負って生きてかなければならない・・・・・・どんな顔をして彼らに会いに行けるというのだ・・・」

勇者「そういうことだ。お前の行動で生ききたかった奴が大量に死んだんだ」

戦士「・・・・・・・うっ」

勇者「もう死にてえなんて言うんじゃねえぞ」サッ

娘「パパどこー? 隠れんぼしてないで出てきてー? パパー? パパー?」

戦士「・・・うっぐ・・・そうだな・・・・・・すまない・・・娘ちゃん・・・・・・皆・・・・・・」


村人「娘ええええええええええええええええええええ!!」

娘「・・・・・・・・・・・・・・・パパ?」

戦士「・・・・・・・・・・・・・・・え?」

娘「・・・パパああああああああああああああああああああああああ!!」ダッ

村人「娘ええええええええええええええええええええええええええ!!」ダッ

ダキッ!!

娘「パパ!! どこ行ってたのよ!! 心配したんだからね!!」

村人「良かった・・・。生きてて・・・本当に良かった!!」

娘「パパ!!」ギュッ

村人「娘!!」ギュッ

魔法使い「・・・え? ・・・え? どういうことですか?」

戦士「・・・勇者。私は幻覚でも見ているのか?」

勇者「お前に何が見えているかは知らんが俺には親子が抱き合ってる姿が見えるな」

戦士「・・・・・・一体どういうことだ?」

おお!! 娘ちゃんが生きてる!!」
「良かった!! 助かったんだな!!」
「やったー!! 呪いが解けたんだ!!」
「・・・でもやっぱり家はねえな」
「そんなもんこれから作っていけばいいだろ!!」
「・・・そうだな!! 今は娘ちゃんの無事を祝おう!!」
「「「「「「バンザーイ!! バンザーイ!! バンザーイ!!」」」」」」」

戦士「ほ、他の皆も・・・。お、おい!! 勇者一体どういうことだ!?」

魔法使い「そ、そうですよ!! これは一体どういうことなんですか?」

勇者「あん? 俺が知るかよわけねえだろ」

勇者「・・・でもまあ。そうだな」














勇者「死神のご加護でもあったんじゃねえの?」

勇者「まっ。なんにせよよかったじゃねえか。さっさと部外者は去ろうぜ」

魔法使い「・・・そうですね!! ハッピーエンドなら良いんですよね!!」

戦士「・・・君は」

勇者「あ? なんだよ?」

戦士「・・・いや、いうのは野暮ってもんだな。なんでもないよ」

勇者「あぁ、そうかよ。だったら先急ぐぞ。俺は宿屋で寝たいんだよ」

戦士「・・・あぁ。そうだな」



村人「ゆ、勇者様~!!」



勇者「あん?」

村人「黙って行っちゃうなんて酷いじゃないですか!!」

勇者「なんだよ? 俺は先急いでんの」

村人「せ、せめてお礼くらいは・・・」

勇者「はぁ? 俺は前金貰っただろ? 今更いらねえよ」

村人「で、ですがここまでしていただいて・・・。せめてお金くらいは・・・」

勇者「あのなぁ。これから家立てたり畑作ったりなんだりすんのに金かかんだろ。俺に渡してる余裕なんかあるわけねえだろ」

村人「しかし・・・」

勇者「はぁ、わかったわかった。貰うよ」

村人「で、ではっ」

勇者「今はいらねえよ。さっきのでたっぷり貰ったろ。これは貸しだ」

村人「え?」

勇者「俺がまたここに立ち寄った時にでも酒を奢れ。絶対忘れんなよ」

村人「勇者様・・・。はいっ!! わかりました!!」

勇者「ぜってえ忘れんじゃねえぞ? わかったな。じゃあな。あばよっ」

村人「・・・・・・はいっ!! ありがとうございます!!」

娘「・・・ところでパパ。パパはなんで無事だったの?」

村人「・・・あぁ。それはな」
_____
___
_

勇者「おい。頼んだとおり全員集めたか?」

村人「はいっ。これで全員です」

村人1「おいおい。勇者様。俺らはなんで集められたんだ?」

勇者「えーこほん。今日はなんとこの勇者様があの八岐大蛇を退治してくださります」

村人2「な、なんだって!!」

村人3「それは本当ですか!?」

勇者「はい。ですが条件があります」

村人4「何だよ!! あの忌々しいやつを退治してくれるならなんでもいいぜ!!」

村人5「そうですよ!! お願いします!!」

勇者「その条件というのはこの村の建物を全て焼き払います」

村人6「なっ!!」

村人7「なんじゃと・・・」

ザワザワ

勇者「その条件で良いのならやつを倒します」

村人8「い、家が焼かれるのは・・・」

村人9「いくらなんでもねぇ・・・」

ザワザワ

村人「・・・・・・」

勇者「やれやれ。なんでもいいって言ってこれかよ」

勇者「いいか聞け!! クズ共!!」

勇者「家なんかはいつでも建てられんだよ!! それこそ死ぬ気になりゃな!!」

勇者「だがな!! 死んだやつは死ぬ気になっても生き返らねえんだよ!!」

勇者「お前らの大事な娘や息子が死んでもいいっていうのかよ!!」

勇者「どうなんだよ!! クズ共!!」

「「「「「・・・・・・」」」」」

村人8「・・・そうだよな。命より大切な物はねえよな」

村人9「ええ!! そうね!!」

ソウダソウダー!!

村人「皆・・・」

勇者「やれやれ。本当に目先のことしか考えられねえな人間ってのは」

勇者「じゃあお前ら。お前らにこれを配るから全員行き渡ったら、皆で手を繋いで円を作れ。異論は認めねえ」

勇者「あん? これは何かって? お前らこんなのも知らねえのかよ?」

勇者「はぁ・・・。いいか? これは直前まで居た街に戻ってこれる代物だ」

勇者「原理? 知るか馬鹿。んなもん自分で調べろ」

勇者「・・・・・・おい、準備はいいか?

勇者「よし、んじゃお前らをこれから違う場所に送る」

勇者「いい子にしてろよ? なんたって俺を何日も泊めてくれた命の恩人の家だからな」

勇者「あ、そうそう。こっちに帰ってくるタイミングを言ってなかったな」

勇者「カウンターにライターが着いたら戻ってこい。んじゃあな」ヒュン

娘「・・・そんなことがあったんですか」

村人「あぁ。だから全部勇者様のおかげだよ・・・」

娘「なのにあんなに怖がってしまって・・・。申し訳ないことをしました・・・」

村人「それはまた今度謝らなくちゃいけないな・・・」

娘「・・・そうね」

村人「だが、勇者様は今度またここに立ち寄るって言った」

娘「本当!?」

村人「ああ。だからその時にちゃんと謝ろうな」

娘「はい!」

村人「ふふふ・・・。それにしてもいい男だったな。彼は」

娘「・・・そうね」

村人「・・・おい、お前まさか」

娘「・・・えぇ。今度来るまでには綺麗になってないとね」

村人「・・・あぁ。そうだな」

魔法使い「・・・やっぱり勇者様が何かしたんですね?」

勇者「は? なんの話だ? 勝手に感謝されただけだよ」

戦士「・・・君は本当に」

勇者「何だよ。まっ、そりゃタダで酒が飲めるなら万々歳じゃねえか。むしろ儲けたよ」

戦士「・・・魔法使いちゃんの言った通りだったな」クスッ

魔法使い「でしょ?」

戦士「ああ。ビックリするほどいい男だな。彼は」

魔法使い「そうですよね!! そうですよね!! わかっていただけましたか!!」

戦士「ふふっ。魔法使いちゃんがゾッコンな理由もわかったよ」

魔法使い「なっ/// そ、それはっ///」

勇者「なんだよ二人してゴチャゴチャ喋って。うるせえな」

魔法使い「なななな何でもないですよ!!////」

勇者「ったく。本当に女が二人集まるとうるせえな」

魔法使い「・・・・・・・・・・・・・・・・・・え?」

戦士「なんだ。君は気づいていたのか」

勇者「当たり前だ」

魔法使い「・・・え、ちょっと、どういうことですか」

勇者「なんだ、お前気づかなかったのかよ?」

魔法使い「何がですか!!」

戦士「あはは、ごめんね。私は女なんだよ」

魔法使い「・・・・・・へ?」

勇者「なんつー間抜けな面してんだよ、お前は」

魔法使い「え、だって、その・・・えー!?」

戦士「ごめんね。なんか騙したみたいになって」

魔法使い「なんで言ってくれなかったんですか!!」

戦士「別に騙してた訳じゃない。聞かれなかったから答えなかっただけさ」

魔法使い「た、確かに・・・」

戦士「それで、勇者。私は生きる目標を見つけたよ。生きたくなったよ」

勇者「ほー。そうかよ」

戦士「私を殺すかい?」

勇者「・・・まっ。その目標が叶うまでは待ってやるよ」

戦士「ふふっ。そしたら君は私を殺せなくなるぞ?」

勇者「あん? どういう意味だ?」

戦士「内緒だ。馬鹿者」

勇者「意味わからん」

戦士「・・・魔法使いちゃん」コソッ

魔法使い「は、はい」

戦士「君とはライバルになりそうだね?」コソッ

魔法使い「・・・・・・え?」

戦士「そんだけ。じゃっ」

魔法使い「え? え? それって」

勇者「おい、何喋ってんだよ。さっさと行くぞ。じゃねえと置いていくぞ」

戦士「待ってくれよ、勇者。私はどこまでもついていくよ」

勇者「あん? ・・・まぁ魔王城までだけどな」

戦士「いいや。私はその先までも着いて行くよ」

勇者「は? 何言ってんだお前は?」

戦士「ふふっ。直にわかるさ」

勇者「あぁ、そうかよ。まあどうでもいいけどよ。おい、ガキ。本当に置いていくぞ?」

戦士「私は別に二人でもいいんだよ?」

魔法使い「・・・です」

勇者「あん?」

魔法使い「そんなの駄目ですううううううううううううううう!!」


これで終わりです!
長かったですが読んでくださった方ありがとうございます。
雰囲気を大事にされてる方は申し訳ありませんでした・・・汗

これからしばらく忙しいので一気に更新できないと思いますが
需要があるようなら少しづつでも更新していければいいかなと思います。

読んでくださった方ありがとうございました!

需要?そんなもんあるに決まってんだろ

結局村は八岐大蛇の呪いで燃やされたんだよな?

>>244
勇者と村人がヤッたんだよwwwwww

長編の予感


沢山のコメントありがとうございました!!

>>244,245
一応八岐大蛇の呪いのつもりです!!

勇者「この村がどうなってもか?」
村人「・・・・・・気づいてらしたんですか」

という伏線()をどこかで入れたので・・・笑

>>246
自分自身も予想以上に長くなってびっくりです汗
もっとパパッと終わらせるつもりだったんですが・・・笑
最後までお付き合いいただけると嬉しいです!

あと勇者ポイントは先に使われている方がいらっしゃったんですね汗
違う作者で申し訳ないです・・・汗
面白そうなので是非探して読んでみたいです!

それでは今日は少しですが投下して行たいと思います!

勇者「お前ら正座しろ」

魔法使い「で、ですがここ砂漠の上・・・」

勇者「せ・い・ざ」

魔法使い「・・・はい」

戦士「あぁ・・・」

勇者「さて、問題です。何故お前らは正座させられてるんでしょうか」

戦士「・・・はい」アツイ

勇者「はい、戦士君」

戦士「水を飲みすぎて何度も勇者に街まで戻って貰い迷惑をかけてるから」

勇者「それもあるが今回は目を瞑る。次」

魔法使い「・・・はい」アツイ

勇者「はい、クソガキ」

魔法使い「く・・・煙草がなくてイライラしてるから」

勇者「お前水禁止な」

魔法使い「えぇっ!?」

勇者「お前ら本気でわかってないのか?」

魔法使い「・・・」

戦士「・・・」

勇者「はぁ・・・。だったら教えてやるよ」







勇者「何で毎晩毎晩俺のテントに入ってくるんだよ!!」







魔法使い「・・・え? そんなことですか?」

戦士「器が小さいな君は・・・」

勇者「しばくぞお前ら」

夜中更新みてて206でほろってきたのに210で涙ひっこんだわ
面白かった 乙

勇者ポイントって多分、勇者「魔王倒したし帰るか」かな? ポイント扱い

魔法使い「だって砂漠の夜は寒いじゃないですか」

勇者「だから勇者七つ道具2を売って温かい布団を買ったじゃねえか!!」

魔法使い「え!? あれ売っちゃったんですか!?」

勇者「あぁ。重いし扱いづらいしな」

戦士「本音は?」

勇者「弾買う金がねえ」

魔法使い「煙草の買いすぎですよ・・・」

戦士「だから言ったじゃないか。私は布団なんていらないと」

勇者「ふざけんな。俺は一人でゆっくり寝たいから買ったんだよ。なのにお前らのせいでむしろ暑苦しいんだよ」

戦士「だったら移動魔法でテントに送り返せばいいじゃないか」

魔法使い「そ、そうですよ!!」

勇者「ガキ。お前は黙ってろ」

魔法使い「何でですか!!」

勇者「今回は珍しくお前よりも戦士が悪いからだ」

魔法使い「・・・え?」

>>251
ありがとうございます!!
わざわざありがとうございます!!
今日の分の更新終わったら読んでみます!!

戦士「私の何が悪いというのだ」

勇者「ったりめえだろ!! 何度もテメエをテントまで送り返したのになんで何度も戻ってくんだよ!!」

戦士「私は諦めが悪いからな」

勇者「ガキみてえに黙って寝てるならまあ100歩譲って許したよ」

魔法使い「戦士さん・・・何したんですか・・・」

戦士「はて」

勇者「はて、じゃねえよ!! 何ちゃっかりベルト外そうとしてんだよ!!」

魔法使い「なっ/// 何してるんですか戦士さん!!」

戦士「魔法使いちゃんはまだしも私は合法だ。ならいいじゃないか」

勇者「よかねえよ、アホ」

戦士「それにしても何なんだ、あのベルトは? 妙にゴツゴツしてて外せないし」

勇者「俺の特製ベルトだからな。こんな時用に作ってんだ。そう簡単には外せねえよ。諦めな」

戦士「・・・まあ仕方ない。勇者に嫌われては元も子もない。潔く静かに横で寝るよ」

魔法使い「そうしてください」

勇者「だから一人で寝かせろつってんだろ」

戦士「しかし君の移動魔法は本当に便利だね。自分と体に触れている物ならどこへでも飛ばせるのか?」

魔法使い「あ、確かにそれ気になりますね」

勇者「どこへでもってわけじゃねえよ。・・・説明しなきゃダメか?」

戦士「できれば」

勇者「じゃあやだ」

戦士「・・・・・・」

魔法使い「・・・・・・」

勇者「・・・はぁ。わかったよ。言えばいいんだろ、言えば」

魔法使い「最初からそうしてくださいよ」

戦士「君は本当に素直じゃないな」

勇者「黙れ。はぁ・・・長くなるが途中で寝るんじゃねえぞ」

戦士「うむ。心得た」

魔法使い「はい!!」

勇者「特に魔法使い」

魔法使い「名指しですか!?」

勇者「いいか、耳の穴かっぽじって聞けよ。勇者様の偉大なる話だ。こんな高尚な話し他じゃ聞けねえからな」

戦士「うむ」

勇者「あー。まあ移動の種類さえ知ってりゃ十分だろ」

魔法使い「え、種類があるんですか?」

勇者「いいから黙って聞いてろ馬鹿。まあ、馬鹿のお前にわかるかどうかは知らんがな」

魔法使い「馬鹿にしないでください!!」

戦士「それで種類というのは?」

勇者「あぁ。その種類ってのは4つに分かれんだ。視界、記憶、距離、対象といった4つだ」

魔法使い「それぞれどう違うんですか?」

勇者「今から言うっての。まず視界だな。これは視界内のある特定の位置に移動、転送する方法だ。これが一番魔力の消費も少ない」

戦士「ふむ」

魔法使い「・・・??」

勇者「やっぱりわかってねえじゃねえか。馬鹿。簡単に言や俺が敵の攻撃を躱す時に使ってる奴だ」

魔法使い「あぁ。なるほど。だったら最初からそう言ってくださいよ」

勇者「むしろさっきの説明でわかんねえのはお前くらいだよ」

勇者「次に記憶だ。もう最初から馬鹿にわかるように言うがこれは俺がわざわざ街に戻って水を取りに行く時に使ってる奴だ」

魔法使い「なるほど」フムフム

戦士「やっぱりそれも怒ってるじゃないか・・・」

勇者「そりゃだるいからな。もちろん一回でも見たことがあるとこにしか使えないからな。記憶が曖昧でも駄目だ」

戦士「なるほど。しかしすごいな。それでは毎回街をしっかり覚えてるというのか」

勇者「んなことしてたら頭がパンクしちまうだろうが。入口だけ覚えてりゃいいんだよ」

戦士「それは随分要領がいいな」

勇者「何年使ってると思ってんだよ。嫌でも手の抜き方くらい覚えるわ」

戦士「そういうものか」

勇者「根本が真面目なお前にはわからんか知れないがな。んで次に距離だ。これは一番簡単だが危険なやつだな」

魔法使い「え? 簡単なのに危ないんですか?」

勇者「簡単な物が安全で安心とは限らねえんだよ。物を得るのには物を盗るのが一番楽だがその後の事を考えたら安心は出来ねえだろ?」

魔法使い「なるほど・・・」

魔法使い「でも距離はどこが危険なんですか?」

勇者「わかんねえからってすぐ人に聞くんじゃねえよ。ちっとは自分で考えろ。考える力を養え」

魔法使い「・・・うむむ?」

戦士「・・・そうか。なるほどな」

勇者「戦士はわかったか」

魔法使い「え? 本当ですか?」

勇者「流石だな。誰かとは大違いだ。お前は選んで正解だったよ」

魔法使い「誰のことを言ってるんですか!!」

勇者「逆に誰だと思うんだよ」

魔法使い「・・・わかってますよーだ」イジイジ

戦士「私は二人旅でもいいんだぞ?」

魔法使い「それは駄目です!!」

勇者「ああ。それはダメだ。あまりにも危険すぎる。主に俺の貞操が」

魔法使い「・・・ほっ」

戦士「ふふっ。それは残念だ」

勇者「じゃぁ一応答え合わせと行こうか」

戦士「あぁ、そうだな。まず簡単な理由は場所などを特に思い描かなくても距離さえ設定すれば自動でそこまでたどり着くからだろう」

勇者「ほう。んで?」

戦士「危険な理由だがそれは長所でもある距離を設定するだけという点だろう」

魔法使い「どういうことですか?」

勇者「馬鹿は黙ってろ」

魔法使い「うぅ・・・」

戦士「まあまあ。で、何故かといえばそれ以上でも以下でもないからだ」

魔法使い「???」

戦士「あー、魔法使いちゃん? もしその設定した先に大きな岩があったらどうする?」

魔法使い「・・・あ!! とっても危険です!!」

戦士「そういうことだよ」

魔法使い「なるほど・・・」

勇者「ちなみに城に侵入した時にはそれを使った」

魔法使い「何してくれてるんですか!?」

勇者「無事だったからいいじゃねえか。結果オーライだろうが」

魔法使い「死んでたらどうするつもりだったんですか!? というかどうやって位置を計算したんですか!?」

勇者「目算」

魔法使い「・・・命があって良かったです、私」

戦士「よく無事だったな・・・」

勇者「まっ、慣れだ慣れ。お前も一々剣降る時に角度だなんだ考えねえだろ?」

戦士「そういうものか」

勇者「そういうもんだ。んで、最後が対象だ。ぶっちゃけこれがいっちゃんダルい」

魔法使い「え? そうなんですか?」

勇者「あぁ。特に対象が動くものだったりしたらな。戦闘ではよくこれを使うがな」

魔法使い「あ、敵の内部から攻撃するあれですか?」

勇者「その通りだ。馬鹿でもわかる説明出来るとは・・・やっぱり俺はすげえな」

魔法使い「正解したのに馬鹿にされるんですか!?」

戦士「しかし何故だ?」

勇者「言うなればすべての複合だからな。移動魔法の集大成みたいなもんだ」

戦士「なるほど・・・。確かに言われてみればな。視覚で相手を選び、それを記憶。そして貫くための距離を考えなくてはいけないのか」

勇者「そういうこった。頭も魔力も一番使うからな」

魔法使い「そうだったんですか・・・。移動魔法もなかなか大変だったんですね・・・」

勇者「だから俺をあまり酷使させるんじゃねえよ」

魔法使い「勇者様も私をライター替わりに使ってるじゃないですか」

勇者「ライター買うぞ」

魔法使い「それはもう、馬車馬のように使ってください!!」

戦士「ところで君の言ってたジッポだかはどうしたんだ? 相当いい物だったんだろ?」

勇者「あー。なくしちまった」

魔法使い「・・・またですかぁ? 本当に仕方ないですねぇ、勇者様はぁ」ニコニコ

勇者「俺は物持ちがわりいんだよ」

戦士「フフッ。聞くだけ野暮だったかな」

勇者「まっ、最初の質問に答えるなら知らねえところへの移動はほぼ不可能だな。それこそ正確な距離がわかってれば別だがな」

戦士「だからいきなり魔王城に行かないわけか」

勇者「そういうこった」

魔法使い「はい!! 勇者様質問です!!」

勇者「時間の無駄。却下」

魔法使い「ちょ、ちょっと!! 酷くないですか!? かなりまともな質問ですって!!」

勇者「・・・はぁ。なんだよ、言ってみろよ」

魔法使い「前の村あるじゃないですか? あの時って勇者様の記憶の景色と魔法を使った時の景色が違ったじゃないですか? なのになんでちゃんとした場所についたんですか?」 

勇者「・・・魔法使いが・・・まともな質問・・・だと」

魔法使い「ちゃんとそう言ったじゃないですか!!」

勇者「まぁ答えるとすればあれは記憶と距離を使ったからだな。あそこのあたりに大きな木があったろ? そこからおおよその距離で跳んだんだよ」

魔法使い「・・・なんでわざわざそんな面倒くさい真似をしたんですか? まるで村が焼けるのを知っていたかのように?」クスッ

戦士「フフッ。そこは聞かないであげなよ」クスッ

勇者「久々に試したかっただけだよ。いいだろ。どうでも。おらっ、さっさと行くぞ」

魔法使い「あ、勇者様!!」

勇者「あん? なんだよ」

魔法使い「水がなくなっちゃいました!!」

勇者「干からびろ」

_____
___
_

勇者「着いたな」

戦士「ふぅ・・・。しかし暑かったな・・・」

魔法使い「あぁ・・・干からびます・・・。水・・・、水・・・」

戦士「しかし門が閉まっているな・・・。どうしたのだろうか・・・」

勇者「ま、あそこに見張りの兵がいることだし聞きゃいいじゃねえか」

戦士「それもそうだな」

勇者「じゃあ頼むぜ、戦士」

戦士「・・・別にいいが何故君が聞かないんだ」

勇者「いや、俺コミュ症だから」

戦士「どの口が言う」

勇者「この口」

戦士「私の口で塞いでやろうか。そうすれば喋れるようになるかもしれんぞ」

勇者「もっと喋れんくなるは馬鹿」

戦士「すまない、ここを開けてもらえないか?」

兵1「ならん!! ここから先は虫の一匹も通すことができん!!」

戦士「一体何故だ?」

兵2「今この国は鎖国をしておるのだ!! 余所者を入れることなどできん!!」

魔法使い「勇者様、鎖国ってなんですか?」

勇者「首の付け根あたりにあるやつ」

魔法使い「それは鎖骨です」

戦士「何をやってるんだ君たちは・・・」

兵1「何!? 勇者だと!?」

勇者「ん、ああ。俺が勇者だ。よろぴく」

魔法使い「気持ち悪いですよ、勇者様」

兵2「だったらなおさらダメだ!! 誰が勇者など通すか!!」

勇者「・・・あん?」

戦士「・・・何故だ?」

兵1「王様の命令だ。それ以上でも以下でもない」

魔法使い「・・・勇者様ここの王様になにか迷惑をかけたんですか?」

勇者「なんで最初から俺が悪いって決めつけんだよ」

魔法使い「だったらなんだって言うんですか」

勇者「俺の格好良さに嫉妬してるんだろ。Shit!」

魔法使い「なんで急に英語なんですか・・・。でもここを通れないと先に進めませんよ・・・」

兵2「さあ、さっさと諦めて帰るんだな!!」

兵1「もうここに立ち寄るな!!」

魔法使い「こんだけ嫌われてたら話し合いもできなさそうですしね・・・」

戦士「仕方ないか・・・。どこか迂回出来るところでも探して・・・」

勇者「・・・はぁ。お前らは馬鹿かよ。さっきの説明はなんのためにしたんだ?」ポンッ

魔法使い「ちょ、ちょっと勇者様っ/// 頭に手を置いてどうしたんですか///」

戦士「・・・そうだったな」

勇者「そういうこった。見張りご苦労さん。じゃあな」ヒュン

兵1「なっ!? き、消えた!?」

兵2「い、一体どこに!?」

勇者「はーい、到着でーす」ヒュン

魔法使い「えぇ!? ちょっと勇者様これ不法侵入じゃないですか!?」

勇者「いいんだよ。バレなきゃ犯罪じゃねえんだよ」

戦士「・・・相変わらずチートのような能力だな」

勇者「そりゃ勇者だからな。強くなきゃいけねえだろ」

戦士「・・・まぁそうだな」クスッ

勇者「そんなことより・・・平和が!! 平和が俺を呼んでいる!!」ダッ

魔法使い「はぁ・・・。本当にこの人は・・・」

戦士「あはは、まあまあ」

「侵入者だ!! 捕えろ!!」

勇者「何!? どこだ!?」キョロキョロ

魔法使い「私達ですよ、勇者様」

戦士「ちっ。もうバレたというのか」

勇者「そりゃ勇者の紋章外してなかったらな」

戦士「何で外さなかったのだ!?」

勇者「いや、だってワッペン」

魔法使い「もうそれはいいですから!! 何気に入ってるんですか!!」

戦士「遊んでる場合ではない!! 来るぞ!!」

勇者「あぁ・・・。俺にはやらなきゃいけないことがあるからな・・・。さっさとかたを付けるぞ!!」

戦士「セリフは格好いいんだがな・・・」

魔法使い「タバコの為ですからね・・・」

兵1「貴様よくも舐めた真似を・・・」

勇者「んなもん突破される方がわりいんだろ」

兵2「自分の不始末は自分でかたを付ける!!」

勇者「出来るもんならやってみな!!」ヒュン

兵1・2「「」」クルッ

キンッ

戦士「なっ!! 二人共一斉に後ろを!!」

勇者「ありゃ? バレてる感じ?」

兵1「残念だったな!! 沈黙魔法!!」キュイン

魔法使い「そんな!! 兵士さんが魔法を!? こうなったら火術!! ・・・あれ?」

戦士「なっ!! まずい!! 沈黙魔法をされたら!!」

勇者「・・・・・・っ!?」

戦士「いや、喋れるから。そういう効果じゃないから」

勇者「ぷはっ。なんだちげえのか」

兵2「だが残念だったな!! これでもう貴様は魔法を使えない!!」

勇者「あん? なんだそんなことかよ」ニヤッ

兵1「・・・なぜそんなに余裕があるのだ!!」

戦士「勇者!!」

魔法使い「流石勇者様です!! まだ勝ち筋があるのですね!!」

勇者「残念だったな。そう簡単に俺はやられたりしねえよ!!」

魔法使い「お願いします!! 勇者様!!」



勇者「参った。降参だ」プラーン

魔法使い「・・・・・・・・・は?」

「「今だ!! 確保!!」」

勇者「ちょ、おい、痛えって。もっと優しくしろよ」

魔法使い「な、なにしてるんですか勇者様!!」

戦士「そうだ!! なんで諦めたんだ!!」

勇者「いや、だって俺移動魔法使えないと平均以下の能力だし」

戦士「なっ、なっ」

兵2「こっちのやつらも確保しろ!!」

「「はっ!!」」

魔法使い「え、あ、ちょっと!! やめてください!!」

戦士「くそっ!! 離せ!!」

「ええい!! 大人しくしろ!!」

勇者「そうだそうだ」

魔法使い「あなたはどっちの味方ですか!!」

ちなみにShitググりました
「動詞:大便をする(この時点で乙)。
言葉:悔しがるとき、『~。クソッ!』」
汚い言葉が一番適切だとゆーほどらしいです。
流石勇者wwwwwwwww

兵1「こいつらを牢に閉じ込めておけ!!」

「「はっ!!」」

勇者「あー。なんか懐かしい・・・この感じ・・・」

魔法使い「言ってる場合ですか!! どうするんですか!!」

勇者「そりゃお前、豚箱に入れられるに決まってんだろ」

魔法使い「その後ですよ!!」

勇者「まぁそれは追々考えりゃいいだろ」

戦士「君は捕まるのに慣れすぎだ・・・」

「いいからとっとと歩け!!」

勇者「あ、おい、ちょっと待ってくれよ。その前に煙草買わせてくれよ。もう我慢できねえんだよ」

「黙れ!! そんな時間はない!!」

勇者「あ、おい、馬鹿!! 俺の平和が!! 俺の平和があああああ!!」ズルズル

魔法使い「自分の心配より煙草の心配ですか・・・」

戦士「ふざけてる場合じゃないはずなんだがな・・・」

ガチャン!!

兵3「ここで大人しくしてろ」

勇者「おーい、見張りさんよー。わざわざ手錠なんかつけんなよ。左手が下げれなくてだるいんだが」

兵3「捕まった奴が文句言うんじゃねえよ。じゃあな」スタスタ

勇者「おい、晩飯はいつ出るんだ?」

兵3「明日の朝まで我慢してな」スタスタ

勇者「おいおい、まじかよ。行っちまったし」

「ちょっと勇者様ああああ!! どうするんですかああああ!!」

勇者「お、なんだ、お前ら近くに居るのか。おーい、元気かー」

「そんなわけないじゃないですかああああああああ!!」

勇者「そんだけ叫べりゃ元気だろ」

「しかし、どうするんだ、勇者? 武器も取り上げられてしまった」

勇者「そうだな。俺の勇者様セットも取り上げられちまったしな」

「だったらどうするつもりだ。このままでは捕らえられたままか、下手すれば殺されることだってあるぞ?」

「えええええ!! 殺されちゃうんですか!?」

勇者「まあまあ。落ち着けって。ちょっとは俺を見習えよ」

「それは勇者様がおかしいんです!!」

勇者「まあマイホームだしな。あぁ、やっぱり良いな、ここは。冷たい床、臭い部屋。たまんねえ」

「そんなこよりもだな、一体どうするつもりだ、お前は」

勇者「どうするも何も、なーんもしねえよ。寝て朝飯を待つだけだ。タダ飯が食えるなんて願ったり叶ったりじゃねえか」

「勇者!!」

勇者「まぁまぁ。今は黙って寝ようぜ。果報は寝て待てってな。じゃっ、おやすみ」

「お、おい勇者!!」

勇者「・・・・・・」

「ほ、本当に寝たのか・・・こいつは・・・」

「・・・仕方ないですね。私達もやることがないですし寝ますか。・・・こんなとこで寝れるとは思えませんが」

「あぁ、ここで寝られるやつの気がしれないよ・・・」

_____
___
_

兵3「おい、起きろ。朝飯だ」

勇者「・・・ん? おぉ、もうそんな時間か。久々に一人だからぐっすり寝れたぜ」

兵3「いいからさっさと飯食いな。早くかた付けたいしな。ほら、お前らも食いな」

勇者「そうだぞ。ちゃんと食わねえと動くときに動けねえぞ」

「・・・はぁ、全く」

勇者「しかし靴履きながら寝たから足痺れちまったぜ。・・・よっと、脱げた。片手だと脱ぐのも大変だな」

兵3「そりゃかわいそうにな」

勇者「そう思うなら水持ってきてくれねえか? 喉カラカラなんだよ。おかわり」

兵3「はぁ・・・仕方ねえな。ちょっと待ってろ」スタスタ

勇者「さんきゅー。はぁ。しかし不味そうな飯だな。腹一杯食うためにベルトも外さんとな」カチャカチャ

兵3「お前は喋ってないと死ぬのかよ、うるさいやつだ」

勇者「生まれて来るとき口から出てきたらしいからな。俺は」

兵3「ははっ、そりゃ傑作だ。ほらよ、水だ」

勇者「おぉ、お前いい奴だな。国の兵士にもこんな奴が居たのか」カチャカチャ

兵3「まあな。ていうか今の王が気に入らねえっていうのもあるけどな」

勇者「おいおい。兵士がそんなこと言っていいのかよ? お前もこっちの仲間入りだぜ?」カチャカチャ

兵3「内緒で頼むぜ。水やったんだからそれくらい許せよ」

勇者「あぁ。それは構わねえけどな。ていうか何が気に入らねえんだよ、王の」ポトッ

兵3「いや、お前らは知ってるだろうがこの国今鎖国してるだろ。そのせいで物資が入ってこねえしな。全く。嫌になるぜ」

勇者「そら大変だ。いいとこねえじゃねえか。王様」カチャカチャ

兵3「そうとも言い切れねえんだがな。この砂漠の国に水が入ってるのは今の王のおかげだしな。まっ、どういう仕組みかは俺にもわからんがな」

勇者「ふーん」カチャ

兵3「っていうかお前さっきからカチャカチャうるせえな。どんな食いか・・・!?」

勇者「情報提供ありがとよ。感謝してんぞ」

兵3「な、なんで手錠外れて・・・ぐっ」スパッ

勇者「安心しろ。お前は殺さねえよ。気が合いそうだしな」

兵3「な・・・おま・・・zzz」

「勇者様!! どうしたんですか!?」

勇者「ちょっと黙ってろ・・・よっと」カチャカチャ・・・カチャッ

戦士「一体なにがあったんだ・・・って勇者!? 何故出れた!?」

勇者「おぉ、元気そうで何よりだ。はいはい、とりあえず説明はあとは。今開けるから待ってろ」カチャカチャ

戦士「それは一体・・・」

勇者「それもあとで説明する・・・っと、よし。扉は開いたな。今手錠外すから待ってな」カチャッ

戦士「あ、あぁ」

勇者「ちょちょいの・・・ちょいっと。よし、オッケーだぞ」カチャカチャ・・・カチャッ

戦士「す、済まない。助かった」

勇者「なんのなんの。さっ、じゃぁ行くか」

戦士「そうだな」

魔法使い「ちょ、ちょっと待ってくださいよ!! 華麗にスルーしないでくださいよ!!」

勇者「えー。お前も助けなきゃ駄目?」

魔法使い「ダメですよ!!」

_____
___
_

魔法使い「なんで私にこんな酷い対応するんですか!!」

勇者「昔から言うだろ。好きな子ほど意地悪したくなるって」

魔法使い「なっ、なっ///」

戦士「勇者。私はマゾヒストだ。どんどん意地悪してくれ」

勇者「テメエはテメエで何言ってんだよ」

魔法使い「戦士さんが壊れていく・・・」

戦士「目標の為にはどんな犠牲も厭わないのだよ」

魔法使い「もっと方法を考えてください!!」

戦士「ところでこれは一体どういうことなのだ?」

魔法使い「そうです!! 何なんですか、それは!!」

勇者「あん? どれだよ。見張りを眠らせた物か? それとも鍵を開けたものか?」

魔法使い「全部ですよ!!」

勇者「注文の多いやつだな」

戦士「しかし私も気になる。一体何なんだ?」

勇者「まあ、あれだ。全部勇者7つ道具だ。説明終わり」

魔法使い「短すぎですよ!!」

勇者「うるせえな。見張りが起きんだろ。沈黙魔法(物理)かけてやろうか?」

魔法使い「な、何をするつもりですかっ」ビクッ

勇者「ぶん殴る」

魔法使い「ガキ大将ですか!!」

戦士「勇者。頼む。教えてくれ」

勇者「へいへい。わーったわーった。ピッキングセット、睡眠薬、簡易ナイフだよ」

魔法使い「で、ですがいつそんなものを手に入れたんですか?」

戦士「そうだ。勇者様セットは取られたではないか」

勇者「・・・なんか他の人に勇者様セット言われるとイラってくるな」

勇者「あのなぁ。俺がみすみす捕まるようなやつに見えるか? 捕まることに関してはプロだぞ?」

魔法使い「そんなプロ嫌ですよ」

戦士「全くだ」

勇者「いいか、プロって言うのはな、いつどんなとき何が起きてもいいように準備してんだよ。それがプロとアマの違いだね」

魔法使い「しかも急に語りだしましたし・・・」

戦士「得意分野だけやたら喋るタイプなのかもな」

勇者「兎に角俺は常に捕まることを想定して準備してんだ」

魔法使い「頼もしいですけどそれはどうなんですかね・・・」

戦士「じゃあ一体どこにそんなものを隠し持ってたのだ?」

勇者「一つはお前が前に気にしてたところだよ」

魔法使い「それって・・・。ちょ、勇者様っ/// なんて所に隠してるんですか///」

勇者「お前は何想像したんだよ」

戦士「魔法使いちゃんは思春期だね」

魔法使い「じゃ、じゃぁ他にどこがあるって言うんですか!!///」

勇者「お前が何を想像したのかは知らんが間違いなくそこではねえよ」

戦士「・・・・・・そうかベルトか」

魔法使い「・・・ふぇ?」

勇者「御名算」

魔法使い「・・・あ、そういえば勇者様のお手製だって言ってましたね」

戦士「なるほど・・・。分厚かったのはそのためか」

勇者「そういうこと。まあ、睡眠薬はそこじゃねえけどな」

魔法使い「え? じゃ、じゃぁ今度こそ・・・////」

勇者「だから絶対違うっての」

戦士「では一体どこに隠してたというのだ?」

勇者「もうメンドクセーから答えるが靴ん中だ」

魔法使い「う、うわあぁ」

勇者「テメエ臭そうだとか思ったろ。嗅がすぞこら」

魔法使い「お、思ってないですってば!!」オロオロ

戦士「しかしすごいな・・・。よくそこまで色々と思いつくもんだ」

勇者「褒めても何も出ないぞ」

戦士「いや、むしろ出させてあげよう」

勇者「黙れ変態」

戦士「褒め言葉として受け取っておくよ」

魔法使い「でもどうやってその睡眠薬を見張りさんに飲ませたんですか?」

勇者「誰が一回でも飲ませたっつた。水で麻酔薬を溶かしナイフをちょっとつけといただけだよ」

戦士「なるほど、それで斬りつければ相手の体に回るということか。しかし色々と隠し持ってるものだ、君は」

魔法使い「ほ、他にも何か体に隠してるんですかっ!?」

勇者「ああ。俺は歩く兵器だからな」

魔法使い「じゃ、じゃあ逆の靴には何が入ってるんですか?」

勇者「あ、こっちはコンドー○」

魔法使い「勇者様のアホオオオオオオオ!!」

「あ、あの」

勇者「・・・あん? おい、お前ら。何か言ったか?」

戦士「いや、私は何も言ってないが」

魔法使い「はい。私もです」

勇者「そうか。じゃあ空耳か」

「あ、あのっ!!」

勇者「あん? どこだ?」

魔法使い「あっ!! 勇者様こっちです!! ここに誰か捕らえられてます!!」

「お、お願いです!! お願いがあるんです!!」

勇者「あん?
 なんだ。捕まってんのか。だったら俺は関係ねえな。さっさと行くぞ」

「そ、そんなっ・・・」

魔法使い「勇者様!! ですが!!」

戦士「・・・いや、残念だがこれは勇者の言う通りだ」

魔法使い「せ、戦士さんまで。なんでですか!!」

戦士「それは・・・」

勇者「いいか、クソガキ。ここに居るってことはまともな人間じゃねえんだよ」

魔法使い「で、でもとてもそんな人には!!」

勇者「・・・あのなぁ。そいつの見た目がどうでもあれ犯罪者なの。ここはそんな甘い場所じゃないの。わかる? 経験者が言ってんだ」

戦士「そういうことだよ、魔法使いちゃん。君は余りにも人を信じすぎだ」

魔法使い「・・・そうですね」

勇者「珍しく物分りがいいじゃねえか。だったらさっさと行くぞ」

魔法使い「・・・はい」

「お、お願いです!! 待ってください!!」

勇者「はぁ・・・。あんたもしつこいね。お前に構ってる暇はないの。さっさとここから脱出したいの。わかる?」

戦士「そういうことだ。残念ながらな」

「私のことはいいです!! ですから姉を助けてあげてください!!」

勇者「だーれが犯罪者の言うことなんざ聞くかよ」

戦士「・・・いや、この子は」

「お願いです!! このままだと今日処刑されちゃうんです!! 私は置いていっても構いません!! ですから姉をお願いします!!」

戦士「・・・勇者。この子は」

勇者「いい奴だって言いたいのか? 100歩譲ってそうだったとしたって俺には関係ないね」

戦士「だが・・・」

勇者「それとも何か? また命を掛けて守るとでも言うのか? テメェの命を捨ててまで助けるやつかよ?」

戦士「い、いや、そういうわけではないのだが・・・」

勇者「変わらねえんだよ。事は一刻を争うんだ。なのにこいつの為に貴重な時間を使うつもりか? 時は金なりだぜ。ガキの頃に習わなかったのか」

戦士「・・・・・・」

勇者「そういうことだ。こいつがどんな奴だろうと関係ないね。こいつは赤の他人だ。自分の命が最優先だろうが。お前らにこいつが命かける程の価値があんのかよ」

魔法使い「それは・・・」

戦士「・・・そうだな。その通りだ」

勇者「テメエらはホイホイ助けすぎなんだよ。死んだほうが良い命だってあるんだよ」

魔法使い「勇者様・・・」

勇者「そういうことだ。残念だったな。お前も姉貴も一緒にお陀仏だ。よかったじゃねえか。天国で仲良くな。いや、ここに居るってこたぁ地獄か」

「お願いです・・・。私はいいです・・・。だからお姉ちゃんだけは・・・」

勇者「はぁ・・・。やれやれ、どうして肉親がそんなに大事かね。俺にはわからんね。俺は肉親を殺してでも生き残りたいがね」

魔法使い「・・・・・・・・・」

戦士「勇者・・・それは・・・」

勇者「何でだよ。それが普通じゃないのかよ。むしろお前らこそ綺麗事ばっか並べてて疲れないのかよ? 素直に生きるのが一番だぜ?」

「・・・私は本気です」

勇者「・・・あん?」

「・・・私はどうなっても構いません。何をされても構いません。ですからお願いします。一生のお願いです」

勇者「・・・ほぉ~何をされてもって言ったな」ニヤッ

「はい。嘘偽りのない言葉です」

勇者「だったら俺がお前を助けたらやらせろ」

魔法使い「・・・なっ!!」

戦士「勇者!! 君は何を言ってるんだ!!」

勇者「いやぁ、よく見りゃなかなか可愛い顔してるしよ。胸もでかいしな」

魔法使い「だ、だからって!!」

戦士「やっていいことと悪いことがあるぞ!!」

勇者「知るかよそんなもん。なんか勘違いしてるかも知れねえが俺はもともとこっち側の人間だ。何しようと勝手だろ」

戦士「だ、だからって!!」

勇者「幸いゴムもあることだしなぁ。心置きなくできるってわけよ」

魔法使い「で、ですが!!」

「構いませんよ」

魔法使い「・・・え?」

「私は構いません」

勇者「・・・あぁ、そうかい」ニヤッ

あぁ、くそっ!駄目だ。
例の勇者ポイントの伏線を辿ったss観たよ。

さっきまでの感動がパーだ
ついついこのssと比べて楽しそうな勇者一行に嫉妬してしまう。

「それで姉が助かるのならば安いものです」

勇者「ギャハハ!! そうかよ!! そいつはいいぜ!! とんだ淫乱野郎だな!!」

「・・・神よ。申し訳ありません。ですがここはお見逃しください」

勇者「死神の前で神頼みとは洒落た真似してくれるねぇ!!」

魔法使い「ダメですよ!! そんな自分を簡単に売っては!!」

「・・・いえ。いいのです。これが運命だったのでしょう」

勇者「・・・グダグダ言ってんじゃねえよ。さっさと脱ぎな」

「・・・・・・わかりました」

勇者「早くしなっ!!」

「・・・はい」スッ

勇者「イイねぇ!! その恥ずかしそうな顔!! そそるねえ!!」

魔法使い「・・・いい加減にしてくださいっ!!」ドンッ

勇者「あ、おい、馬鹿っ!!」

カランカランカラン・・・

「・・・・・・え?」

魔法使い「・・・え?」

勇者「おい、こら、クソガキ!! テメエのせいでピッキングセットが転がってちまったじゃねえか!!」

戦士「・・・・・・ほぅ」クスッ

勇者「クッソ!! ここからじゃ届かねえし時間もねえ・・・。チッ。仕方ねえ、さっさと行くか」

魔法使い「・・・勇者様!!」

勇者「このクソガキ!! 俺の楽しみを邪魔しやがって!! ここから抜け出したらタダじゃおかねえからな!!」

魔法使い「・・・はいっ!! 勇者様!!」

「あ、あの・・・」

勇者「しゃべりかけんな!! もう時間がねえんだよ!! ほらっ、さっさと行くぞ!!」

戦士「・・・あぁ、そうだな」

魔法使い「・・・はいっ!!」

勇者「ちっ。あと少しだったってのによお!!」

ダッ

「・・・・・・・・・」

「・・・死神様。ありがとうございます」

戦士「・・・何が転がっていったって?」

勇者「あん? ピッキングセットに決まってるだろ。見てたろ、お前も」

戦士「私にはどう見ても放り投げたようにしか見えなかったがな」

勇者「んなわけあるか!! クッソ!! 久々にボインが拝めると思ったのによ!!」

魔法使い「ひ、久々!? ちょっと勇者様!! どういうことですか!!」

勇者「テメエは黙ってろクソガキっ!!」

戦士「そんなに見たいなら私は構わんが?」

勇者「誰がお前のペチャパイなんか見るか」

戦士「おやおや、それは残念だ」

勇者「クッソ。イライラする。誰か殺さなきゃ気が済まねえ・・・」

戦士「・・・何が死神だ。聞いて呆れるよ」

勇者「あん? いいんだぞ? 契約を早めてここでぶっ殺してやっても?」

戦士「君がそれで悦べるなら本望さ」

勇者「けっ。歪んでんな。テメエは」

戦士「ああ。お互いにな」

兵4「脱走囚発見!! ただちに捕えろ!! 殺しても構わん!!」

「「「「はっ!!」」」」

魔法使い「た、沢山来ました!!」

勇者「ちぃ!! つくづくついてねえなあ、今日は!!」

戦士「何、死神は憑いているじゃないか」

勇者「憑いてるんじゃねえよ。俺が飼ってんだ」

戦士「やれやれ。何を言ってるんだか」

魔法使い「勇者様は臭いですね」

勇者「黙れクソガキ!! 靴の匂い嗅がせんぞ!!」

魔法使い「す、すみません!!」

戦士「さて、翼の折れた死神さんはどこまで戦えるかな」

魔法使い「神頼みでもしといた方が良いんじゃないですか? さっきの方みたいに」

勇者「・・・あぁ。そうだな」



勇者「死神のご加護がありますようにってな!!」ダッ


とりあえず今日は終わりです!
明日書けるかどうか分かりませんが・・・汗
見てくださった方ありがとうございました!


>>291
そんなに感動するお話なのですか・・・。
私もハンカチ片手にこれから読みたいと思います!

兵4「総員かかれ!!」

「「「「はっ!」」」」

勇者「ったく、たかだか俺しか動けねえのに何人で来んだよ。数の暴力反対。いじめっ子かお前らはよ」

戦士「言ってる場合か。倒さなくてはどうにもならんぞ」

勇者「だからってお前は武器もない、ガキは魔法使えない、俺は人並み以下だぜ」

戦士「くっ」

勇者「はぁ・・・。俺がどこまで戦えるかなっ」スパッ

キンッ!!

兵5「馬鹿め。どこから手に入れたか知らないがそんな短い刀でどうするつもりだ」

勇者「本当にな」

兵5「ふんっ!!」ブンッ

勇者「あぶねっ。殺す気かよ」ヒョイッ

魔法使い「勇者様後ろ!!」

兵6「死になっ!!」ブンッ

勇者「っぶね!! 不意打ちとは卑怯な!!」ヒョイッ

_____
___
_

勇者「はぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・」

兵4「勇者よ。随分ボロボロになったな」

勇者「・・・なに。こんなの俺の肺に比べりゃまだまだ綺麗だよ」

兵4「ふんっ。よくこの状況を見てそんなことが言えるな」

魔法使い「そんな・・・」

戦士「囲まれてる・・・」

兵4「残念だったな。もうツモだ」

勇者「流局ってわけには・・・いかねえよな」

兵4「そういうことだ。死になっ!!」バッ

兵5「はあっ!!」バッ

ズバッ!!

勇者「・・・アホが。むしろこれを待ってたんだよ!!」

兵5「うわあああああああああああ!!」ドクドク

兵6「お前には言われたくないね」

勇者「そりゃどうも」

兵7「いつまで躱してられるかな。さっさと諦めた方が身のためだぜ」

勇者「もう待ってらんねえんだよ!! 俺は煙草が吸いてえんだよ!!」

兵8「残念だったな。その願いは叶わずに終わりそうだな!!」ブンッ

勇者「ちっ!!」ヒョイ

兵5「こっちもだ!!」ブンッ

勇者「がっ!!」

魔法使い「勇者様!!」

兵6「やぁ!!」ブンッ

勇者「ぐっ!!」

戦士「勇者!!」

勇者「黙れ。こんなのカスリ傷だ」

兵4「ふんっ・・・。いつまでその強がりを言ってられるかな」

勇者「そっちこそいつまでその威勢が持つかな。さっ、根比べと行こうぜ」

>>314の前に>>315を読んでください・・・。
申し訳ない・・・。

兵4「な、なにっ!?」

勇者「戦士!!」カランカラン・・・

戦士「こ、これは兵士の剣・・・。まさか最初から彼は・・・」

勇者「おいおい。お仲間を斬るとは兵士の風上にもおけねえな」

兵5「あっ・・・あっ・・・」

兵4「ち、違う!! わざとではない!!」

勇者「知るかよ、そんなこと。わざとでもわざとじゃなくても殺人は殺人なの。わかる?」

兵4「そ、そんな俺は!!」

勇者「戦士!!」

戦士「やあああああああああ!!」ズバッ

兵6「がああああああああ!! 腕があああああああ!!」カランカラン

勇者「よっと」スパッ

兵7「ぐっ・・・あ、あれ・・・・・・zzz」パタッ

戦士「はあああああああああ!!」ズバッ

兵8「ぐわあああああああああああああ!!」カランカラン

勇者「さて、場の流れが変わちまったようだな。兵士さんよ」

兵4「そ、そんな・・・俺は・・・俺は・・・」ブツブツ

勇者「あー、駄目だこりゃ。完全にイッちまってんな。仲間殺しちまっただけだろ。何をそんなに気に病むことがあるんだよ」

戦士「・・・・・・・・・・・・」

兵4「違う・・・俺は悪くない・・・俺は悪くない・・・」ブツブツ

勇者「ちっ。うるせえな。少し黙ってろ」スパッ

兵4「俺は・・・俺は・・・・・・zzz」

勇者「一応他のやつらも寝かせとくか」スパッ スパッ

兵8「がっ、がっ、がっ・・・・・・zzz」

兵6「うわああああああああ・・・あああ・・・あぁ・・・zzz」

戦士「・・・彼は眠らせなくていいのか」

兵5「あっ・・・あっ・・・」ドクドク

勇者「必要ねえだろ。直に死ぬ。ほっといてもいいだろ」

戦士「・・・・・・勇者。頼む。寝かせてあげてくれ。せめて死ぬときくらい安らかに逝かせてあげてくれ」

勇者「・・・はぁ」

戦士「・・・済まない。身勝手なお願いだとはわかっている」

勇者「俺的には苦しんで姿がそそるんだが・・・まぁ飽きたしいいか」

戦士「・・・ありがとう。勇者」

兵5「あっ・・・あっ・・・」ピクッ・・・ピクッ・・・

勇者「おいおい、酷い面してんな。そんなに生きたかったのかよ。残念だったな。お前の物語はこれで御終いだ。残念でした。ほらよっ」スパッ

兵5「あっ・・・あっ・・・あ・・・・・・zzz」ドクドク

勇者「・・・さて、行くか」

戦士「・・・・・・あぁ、そうだな」

魔法使い「・・・・・・はい」


「回復魔法!!」キュイン


戦士「なっ!! 援軍か!?」

魔法使い「勇者様!!」

勇者「よく見ろアホども」

戦士「・・・って、さっきの」

魔法使い「良かった!! 無事だったんですね!!」

「皆様大丈夫でしたか!? 大変です、そんなに怪我をなされて!! 回復魔法!!」キュイン

勇者「おぉ。傷が引いていく。こりゃいい」

戦士「・・・・・・良かった。彼は辛い思いをしないで済むのだな。済まない。助かったよ」

「いえ、私の方こそありがとうございました」ペコッ

勇者「無事出たらヤらせてもらうけどな」

魔法使い「勇者様!!」

勇者「それよりピッキングセット返せよ。もう使わねえだろ」

「あ、はい。本当にありがとうございました」

勇者「知るかよ。俺は落としちまったんだからよ」ジャラッ

戦士「君は本当に素直じゃないね」

魔法使い「って、何かポケットに他にも入ってません?」

勇者「ん? ああ、手錠持ってきた」ジャラッ

魔法使い「なんで持ってきたんですか!?」

勇者「捕まった記念として取っとこうかなって」

魔法使い「なんの記念ですか!! 嫌ですよそんな記念!!」

勇者「だって勿体無いじゃん。捨てるの」

魔法使い「物を捨てれないタイプですか!!」

勇者「そんなことよりお前姉貴はどうしたんだよ。やっぱり助かるためのハッタリか?」

「ち、違います!! それが既に牢屋の中が空になっておりまして・・・」

魔法使い「あ、じゃあ無事脱出できたんですかね!!」

戦士「・・・・・・いや、それは」

勇者「馬鹿かお前は。今頃きっと処刑台の上だ」

魔法使い「そ、そんな!!」

「っ!!」ダッ

戦士「あっ!! 君!!」

魔法使い「勇者様!! 私たちも早く追いかけないと!!」

勇者「は? なんでだよ。知るかよ。俺らはさっさとここを出るぞ」

魔法使い「で、でも助けてもらったじゃないですか!」

勇者「あのなぁ、魔法の使えないお前、移動魔法の使えない俺が行ってどうにかなるもんじゃねえだろ。精々戦士が使えるくらいだろ」

戦士「・・・・・・だったら私は行こう」

勇者「あん?」

魔法使い「え?」

戦士「私は彼女に助けられた。体の怪我はもちろん、心の方もな」

魔法使い「え? それってどういう・・・」

勇者「ふーん。だったら勝手に行けばいいじゃねえか。俺はさっさとここから出るぞ」

戦士「あぁ。そうさせて貰うよ」

魔法使い「ま、まさかまた死んでもいいなんて・・・」

戦士「いや、それはない。私は生きて帰ってくる。だから先に行っててくれ」

魔法使い「・・・・・・私も行きます」

戦士「え? だが・・・」

魔法使い「確かに私は何もできないですし居ても足で纏いになるかもしれません」

戦士「だったら」

魔法使い「でもこれはあれです!! 戦士さんが自ら死にに行かないように監視するためです!!」

戦士「・・・そうか。じゃぁ頼むよ」クスッ

魔法使い「はい!! 任せて下さい!!」

勇者「そうかよ。じゃあな。俺は行くぜ」

戦士「・・・あぁ、無事でな」

魔法使い「はい!! あとで会いましょうね!!」

勇者「人の心配してる場合かよ。ほら。さっさと行け」

戦士「あぁ!!」

魔法使い「勇者様も頑張ってくださいね!!」

ダッ

勇者「・・・やれやれ。どうしてあいつらはあんなに死に急ぐかね・・・」

勇者「まっ、俺には関係ないがな」

勇者「さて、俺は煙草でも買ってこよー」ルンルン

戦士「おい!! 君!!」

「え? あ、先ほどの。どうしたのですか?」

魔法使い「私たちもお姉さん助けるのに協力しますよ!!」

「で、ですが!!」

戦士「君は姉を助けたいのだろ? だったら形振り構ってる暇はないのではないか?」

「・・・・・・そうですね。すみません、お願いします」

戦士「何。私も助けられたからね。おあいこだ。任せろ。君は私が守る」

魔法使い「せ、戦士さん!!」

戦士「・・・無論、私も死ぬ気は更々ないがな」

「・・・・・・戦士さんは男らしいですね」

戦士「い、いや、それなんだがな・・・・・・」

魔法使い「そんなことより早く行きましょう!! 間に合わなくなりますよ!!」

戦士「そ、そんなことだと!?」

「・・・待っててください。お姉様」


今日はここまでで。
また明日書けたら書きます!!


コメントありがとうございました!
もう少ししたら投下して行きます!

_____
___
_

「こっちです。ここから上がれば処刑台に出るはずです」

魔法使い「なんでそんなこと知ってるんですか? や、やっぱり何度も此処へ・・・」

「ち、違いますよ!! ただ、こちらからとても強い魔力が感じられるのです」

魔法使い「え? そんなのわかるんですか!?」

戦士「・・・・・・そうか、君は僧侶なのか」

僧侶「はい。その通りです」

魔法使い「へぇ。僧侶さんってそんなのわかるんですか。すごいですね」



『皆の者!! 集まったか!!』



戦士「っ!! まずい!! 処刑が始まってしまう!!」

魔法使い「そ、そんな!! 急ぎましょう!! 僧侶さん!!」

僧侶「はいっ!!」

兵長「今からこの犯罪者の処刑を行う!!」

僧侶姉「・・・・・・」

兵長「罪状は勇者を擁護するような発言、王国への批判、及び我らが王への殺人未遂罪だ!!」

ザワザワ

兵長「このような悪質な犯罪者を生かしておいていいものか? 否!! この行為は決して許されるべきではない!!」

ソウダソウダー!!

兵長「よってこの者は死罪とする!!」

ワアアアアアア!!

兵長「・・・さて、罪人よ。何か言い残したことはないか?」

僧侶姉「・・・・・・貴方達は騙されているわ。このままでは苦しむのは貴方がたよ」

兵長「貴様・・・まだそんな事を!!」

フザケンナー!! ビュッ

僧侶姉「痛っ!」ガッ

ソウダソウダー!! ビュ ビュ ビュ

僧侶姉「くっ・・・・・・」ガッ

兵長「静粛に!! さて、では処刑に移る!! 罪人よ、来い!!」

僧侶姉「このままでこの国も・・・・・・あなたたちも・・・・・・」

兵長「黙らんか!!」ドスッ

僧侶姉「がはっ!!」

兵長「貴様ら!! この者を処刑台まで連れていけ!!」

「「はっ!!」」

兵1「ほらっ、さっさと歩け!!」ゲシッ

僧侶姉「うっ!!」

僧侶姉(あぁ・・・・・・駄目・・・・・・)

僧侶姉(このままではこの国は滅びてしまうわ・・・・・・)

僧侶姉(神よ・・・お願いです・・・どうにかこの国をお助けください・・・)

僧侶姉(ごめんね・・・僧侶・・・)

僧侶姉(不甲斐無いお姉ちゃんを許して・・・・・・)




僧侶「ま、待ってください!!」

僧侶姉「そ、僧侶!!」

兵1「なっ!! お前らは!!」

兵2「何故ここにいる!!」

戦士「死神様がまだ死ぬ運命じゃないと言っていたからかな」

兵長「き、貴様ら!! 何しに来た!!」

魔法使い「無論、その人を助けるためですよ!!」

僧侶「お姉様を解放してください!!」

僧侶姉「駄目よ僧侶!! 来てはいけないわ!!」

僧侶「嫌です!!」

僧侶姉「このままではあなたも死んでしまうわ!!」

僧侶「嫌です!!」

僧侶姉「良い子だから言うことを聞きなさい!!」

僧侶「嫌ですっ!!!!」

僧侶姉「僧侶!!」

僧侶「もう・・・嫌なんです・・・ただ言うことを聞くのが良い子だというなら・・・・・・私は良い子になんてなりたくないです!!」

僧侶姉「・・・僧侶」

兵1「ちっ!! 始末してくれる!!」スチャ

兵長「待て!!」

兵1「し、しかし兵長!!」

兵長「私が相手をする」

兵1「なっ!!」

兵2「へ、兵長直々にですか!?」

兵長「あぁ。少しは骨がありそうだからな。貴様らはその女を断頭台へ!!」

兵1・2「「は、はっ!」」

戦士「なっ!! 待てっ!!」ダッ

兵長「行かせやしない!!」ブンッ!!

戦士「くっ!!」

キンッ!!

兵長「貴様の相手はこの俺だ。逃がしはしないぞ」

戦士「そうか・・・。だったらさっさとケリを付ける!!」

兵長「出来るものならな!!」ブンッ

戦士「ふんっ!!」ブンッ

キンッ

兵長「ほう・・・。これを受けるか・・・」

戦士「何を。止まっているかと思ったよ」

兵長「ハッハ!! 随分大口を叩く!!」

戦士「あぁ。誰かのが伝染ってしまったようだよ」

兵長「だが、これは受けきれるかな!!」スンッ

戦士「なっ、早い!!」

グサッ

戦士「かはっ・・・!!」ボタボタ

魔法使い「せ、戦士さん!!」

僧侶「か、回復魔法!!」キュイン

戦士「はぁ・・・はぁ・・・助かったよ、僧侶ちゃん」

兵長「一撃で死ななかったか。そこは褒めてやろう」

戦士「ま、まだまだ!!」

兵長「ふんっ!!」ブンッ

戦士「がっ!!」ザクッ

兵長「たぁ!!」ブンッ

戦士「ぐっ!!」ズバッ

兵長「たああああああああああああああああああ!!」ブンッ

ブシャッ!!

戦士「がああああああああああああああああああ!!」ボタボタ

僧侶「か、回復魔法!!」キュイン

戦士「ぐっ・・・はぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・」

兵長「・・・なんだ、こんなものか?」

魔法使い「そ、そんな・・・。戦士さんがこんな一方的に・・・」

兵長「つまらん。時間の無駄だったな」

戦士「くっ!!」

戦士(くそっ!! 沈黙魔法が解けてれば!!)

兵長「もういい。準備は出来たか」

兵1「はい」

兵長「さっさとその女を処刑しろ」

兵1・2「「はっ!!」」

戦士「ま、待てっ!!」

兵長「ふんっ」ブンッ

戦士「がはっ・・・!!」ズバッ

兵長「雑魚は黙ってな。やれ」

兵2「はっ!!」

僧侶「ま、待ってください!!」

兵長「それでは刑を執行する。紐を切れ」

兵1「はっ」

スパッ

ゴウッ!!

魔法使い「だ、駄目です!!」

僧侶「待って!! 待って!! 神様!! 神様!!」

僧侶姉「・・・ごめんね・・・僧侶。情けないお姉ちゃんでごめんね・・・」

僧侶「お、お姉さまああああああああああああああああ!!」

ドオオオオオンッ!!

僧侶「あっ・・・あっ・・・そんな・・・」

戦士「また私は・・・誰も救えなかったのか・・・」

僧侶「神様・・・・・・・・どうして・・・・・・・・・」

兵1「へ、兵長!! あの女が居ません!!」

兵長「何っ!? どういうことだっ!!」 

ザワザワ

僧侶「・・・・・・えっ?」

兵長「ふざけるな!! どこへ消えたというのだ!!」

魔法使い「・・・!! 皆さん!! あれっ!!」




勇者「ここだ、馬鹿共」




魔法使い「ゆ、勇者様!!」

僧侶「お姉様・・・・・・・・・お姉さまあああああああああああああ!!」ダキッ

僧侶姉「・・・・・・ごめんね・・・心配かけて」ナデナデ

勇者「うむ。眼福眼福」

戦士「勇者…君ってやつは…」

兵1「き、貴様は……勇者!!」

ユ、ユウシャ!? ザワザワ…

勇者「おう。昨日振り。いい夢は見れたか?」

兵2「ふ、ふざけるな!!」

魔法使い「勇者様!! 来てくれたんですね!!」

勇者「ああ。煙草吸おうと思ったら火無くてな。いやあ、参った参った」

魔法使い「…クスッ。今の私は魔法が使えませんよ?」

勇者「だからちゃんと状態異常を直す薬草も持ってきたっつうの。ほら、お前ら食え」

魔法使い「ですからそれはそういう使い方じゃないですって!!」

戦士「しかしよく買えたな、この街で。しかも金も無いのに。あ、まさかわざわざ他の街で買ったのか?」

勇者「いんや、この街の店からかっぱらってきた」

戦士「なっ!?」

魔法使い「はあああああああああぁ!? 何してるんですか!?」

ザワザワ

店妻「あんた!! 店の鍵閉めなかったのかい!!」

店主「い、いや!! ちゃんと閉めたぞ!!」

魔法使い「犯罪ですよ!! ていうかどうやって閉まってる店から物取ってきたんですか!!」

勇者「ピッキングセットでちょちょいと」

魔法使い「何やってるんですかああああああああああああああ!!」

戦士「あぁ…なんて事を…」

勇者「いいじゃねえか。どうせ俺らは脱獄犯なんだし。今更罪の一個や二個変わらんだろ」

魔法使い「あぁ……もう目眩が……」

勇者「なんだ貧血か? ついにあの日が来たのか? 今日は赤飯か?」

魔法使い「とっくに来てますよ!! ってそうじゃないです!!」

兵長「貴様ら…舐めおって…」

勇者「ばーか。舐められる方が悪いんだよ。舐められたくなかったら強くなんな」

兵長「だったらここで叩き切る!!」

勇者「ばーか。秒で終わらせてやるよ」

戦士「待て、勇者!!」

勇者「あん? なんだよ?」

戦士「…そいつは私にやらせてもらえないか」

兵長「ふんっ。散々やられといて今更なにを」

勇者「あぁ、いいぞ」

兵長「ふっ。さっきの戦いを見てないからそんな即決できるのだ。あれだけ一方的な戦いだったのによくそんなことが言えるな」

勇者「本人切っての希望を無下にするわけにゃいかねえだろ。俺は意思を尊重するタイプだからな」

魔法使い「……本音は?」

勇者「楽できるならそれでいい」

魔法使い「ですよねー」

勇者「まっ。お前はそいつと戦ってろよ。俺は昨日の恨みをここで晴らす」

兵1「ふんっ。恨まれる筋合いなどない」

兵2「侵入者には当然の裁きだろ」

勇者「ふっざけんな!! テメエのせいで何時間煙草吸えてねえと思ってんだ!! ブチ殺すぞファッキン!!」

魔法使い「う、うわ…。滅茶苦茶怒ってますよ勇者様…」

兵1「まあいい。昨日同様早々に終わらせてやる」ジャキ

勇者「そりゃこっちのセリフだ。さっさとぶちのめしてやるよゴミ共が。さっさと煙草吸わせろ」

兵2「だったら行かせて貰うぞ!!」ダッ

勇者「おうおう、国の犬がキャンキャン吠えてら。いいぜ、来いよ。戦士はさっさと親犬潰しとけよ」

戦士「あぁ。任せろ」

兵長「何度やっても同じ結果だがな」ジャキ

戦士「それはどうかなっ!!」ダッ

魔法使い「み、皆さん頑張ってくださーい!!」

魔法使い(…あれ? 私役立たず?)

兵2「だあああ!!」ブンッ

勇者「ばーか、当たらねえっての。移動魔法を取り戻した俺は無敵なんだよ」ヒュン

兵1「だったら!!」

勇者「唱えさせるかよ。移動魔法」ヒュン

クルッ

魔法使い「あぁ!! また二人して後ろを!!」

兵1「沈黙…」

勇者「どこ見てんだタコ。目付いてんのかよ」

魔法使い「あ、あれ!? 移動してない!?」

兵1「なっ!!」

勇者「ハッタリだ馬鹿」スパッ

兵1「がっ!! まだま……zzz」

兵2「お、おい何寝てんだよ!!」

勇者「いい子は寝る時間だよ。オメエも寝てろ」スパッ

兵2「うっ……ば、ばかな…zzz」

勇者「はい、お掃除終了。こいつらに起きられても厄介だし豚箱にでもぶち込んでおくか」ヒュン

魔法使い「ず、随分あっさり倒しましたね……」

勇者「こんなモブキャラに時間かけてられるかよ」

魔法使い「そのモブキャラにやられてたじゃないですか…」

勇者「人の目は前を見るためについてんだ。過去なんざ振り返っても仕方ねえんだよ」

魔法使い「よく言いますよ。未だに煙草付けるのに業火術使ったことを言うくせに」

勇者「それより後ろ見てみろよ」

魔法使い「えっ!?」クルッ

勇者「バカが見るー」

魔法使い「なんなんですかああああああああああああ!!」

勇者「いいから戦士の方を見ろよ」

魔法使い「あっ!!」

戦士「はああああっ!!」ブンッ

兵長「くっ!!」キンッ

戦士「まだまだ!! 隼斬り!!」ヒュンヒュン

兵長「ぐあっ!!」スパッ

戦士「たああああっ!!」

兵長「ぐうっ!! さっきより随分いい動きではないか」キンッ

戦士「そりゃ彼の前で格好悪いところ見せれないからな」

兵長「それはそれは……残念だったな!!」ブンッ

戦士「がはっ!!」スパッ

魔法使い「せ、戦士さん!!」

僧侶「か、回復ま」

戦士「やめろ!!」

僧侶「えっ…?」

戦士「済まない。1対1の真剣勝負をさせてくれ」ボタボタ

兵長「ふんっ…。それで勝負になるのかな…」

戦士「これで勝てないようなら魔王にはカスリ傷も与えられないだろ」ボタボタ

兵長「違いない」

戦士「だから私は…負けるわけにはいかないのだよ!!」ダッ

兵長「そうか…。君のような兵が欲しかったものだ」ダッ

戦士「それは無理な注文だな!!」ブンッ

兵長「それは残念だな!!」ブンッ

キンッ!!

戦士「はああああああああああ!! 辻斬り!!」スン!!

兵長「……居合斬り!!」スッ

ズバッ

戦士「が……はっ…!!」ボタボタ

魔法使い「せ、戦士さん!!」

僧侶「そ、そんな……」

兵長「ふっ…。勝負あったようだな」

戦士「…………あぁ。そうだな」ボタボタ

戦士「………私の勝ちだ、兵長よ」ボタボタ

兵長「……見事だ、戦士よ」フラッ

バタッ

魔法使い「か、勝ったんですか…」

勇者「あぁ。そのようだな」

魔法使い「や、やった!!」

勇者「まっ、こんなやつに負けるようだったら置いてくつもりだったがな」

魔法使い「ゆ、勇者様!!」

僧侶「と、兎に角回復しなくては!!」キュイン

戦士「…あぁ。ありがとう、僧侶ちゃん」

僧侶「こ、こちらの方にも」キュイン

勇者「やれやれ、聖職者は優しいこった。夜は激しいんだろうけどな」

魔法使い「最低です!! 勇者様!!」

僧侶「……あ、あぅ////」

僧侶姉「…すみません。助けて頂いて」

勇者「おっ!! そいつも可愛いからもしかしたらと思ったけどやっぱりお姉さんも綺麗だな。バインバインだし」

僧侶姉「あ、あらあらー?」

魔法使い「勇者様のバカ!!」

戦士「すまない…。彼はちょっとな…」

勇者「なんだよ。可哀想なやつを見る目で見やがって。殺すぞ」

魔法使い「と、兎に角助かってよかったですよ!!」

僧侶「本当にありがとうございます。なんとお礼を申し上げたらいいか…」

勇者「だから一発で」

魔法使い「いい加減にしてください!!」

ガッ

勇者「…あん? 何すんだよガキ」

魔法使い「わ、私は何もしてな…あ、痛っ!!」

フザケルナ-!! ザイニンガー!!

戦士「くっ!! 何をする!!」

勇者「ほう……。俺に石を投げつけやがったな…愚民どもが……」ピクピク

勇者「おいこら愚民ども!! テメエら誰に向かって石投げつけてやがんだ!!」

「黙れ!! そいつらも処刑しろ!!」「そうよそうよ!!」「ふざけるな!! 何が勇者だ!!」

勇者「…そうかそうか。そんなに殺されてえか、死に急ぎやろう共。だったらお望み通り殺してやるよ!!」

「出来るもんならやってみろ!!」「そうだそうだー!!」

勇者「ほぉ……。おい、テメエら。死神と呼ばれた男を知ってっか?」

「死神ってあの…」「100人を殺したあの殺人鬼か?」「それが一体どうしたんだよ!!」

勇者「知ってんなら話がはええ。それが俺だ」

「…え?」「で、でも捕まったんじゃ!!」「だ、だがここも脱走した男だぞ、こいつは!!」「と、ということは!!」

勇者「あぁ。テメエら良く石なんか投げれたな。殺人鬼に向かってよ!!」

「あ、あ…」「こ、殺される…」「み、皆逃げろ!!」

勇者「ブッ殺されたくなかったらここから消えな!! さもねえと皆殺しだ!! ヒャハハハハハハハハハ!!」

キャ、キャアアアアアアアアアアアアア!! ニゲロ!! コロサレルー!!

勇者「必死に逃げな愚民がああああああ!! 群れねえと何もできねえクズ共があああああ!! 顔バレなきゃ何でも出来ると思ってるクズ共がああああああ!!」

ウワアアアアアアア!!

僧侶「」

魔法使い「そ、僧侶さん氷ついてますよ…」

戦士「そりゃ初めてあんな姿見たら失神もするよ…」

僧侶姉「す、すごい方なのですね、勇者様って…」

魔法使い「あの人は違う意味でですがね…」

シーン…

勇者「ちっ。尻尾巻いて逃げ出しやがったかクズ共が。残ったやつ全員皆殺しにしてやるつもりだったのによ」

魔法使い「勇者様の場合本当に出来るのが怖いです…」

戦士「楽しそうに笑いながら皆殺しにしてる勇者が頭に浮かぶよ…」

僧侶姉「あ、あはははは」

勇者「まあいい。さっさとこんな気に食わねえとこ出んぞ」

戦士「そうだな。あまりいい気分でもないしな」

勇者「っと、その前にヤることことヤらんとな。どうです? お姉さんも一緒に?」

僧侶姉「え、えっと~」

魔法使い「勇者様!!」





「馬鹿ね。人の国でこんなに暴れて無事に出れると思ってるのかしら?」





勇者「あん?」

魔法使い「ゆ、勇者様!! もしかしてこの国の王様じゃないですか!?」

戦士「まさか女王だったのとはな…」

僧侶「あ、あれは…」

僧侶姉「勇者様!! 気をつけてください!! あれは魔物です!!」

魔法使い「えぇ!?」

戦士「そ、そんな。どっから見ても人間にしか見えん…」

僧侶「ですがあれからはとても強力な魔力を感じます!!」

勇者「おい、お前。何で俺が移動魔法を使えることを知ってんだよ」

女王「そんなの決まってるじゃない。魔王様がおっしゃってたのよ」

勇者「…なに?」

魔法使い「魔王……」

女王「魔王様は全知全能なの。だから貴方達のことなんて何でも知ってるの」

戦士「そ、そんなまさか…」

勇者「おいおい、プライバシーの侵害だぜ? 俺のサイズまでバレてるっていうのかよ」

魔法使い「心配するべき点はそこじゃないですよ!!」

勇者「まあだったら。魔王もバカだな」

女王「…なんですって?」

勇者「だってそうだろ? わざわざ負けるってわかっててお前を送り出してんだ。残念だったな。お前は人柱だ。いや、魔物柱か?」

女王「あら、馬鹿ね。負けるのは貴方がたよ。そんなこともわからないのかしら」

戦士「言わせておけば…!! 勇者行くぞ!!」ジャキッ

勇者「本当ならこんな街滅びてもいいからさっさと先に行きてえんだがな…。俺は今ムシャクシャしてんだ。加減は出来ねえぞ?」スッ

女王「加減なんていらないわよ。本気で来たところで貴方方は私に傷一つつけれないのだから」

魔法使い「舐めないでください!!」

女王「あら、一番の役立たずが何を言ってるのかしら」

勇者「全くだ。それは大いに賛成だ」

魔法使い「なっ!! だ、だったら私の強さを見せてあげますよ!!」

女王「そう? 無駄だと思うけどね」

魔法使い「くっ!! 行きます!! 業火術!!」ゴウッ!!

女王「だから言ってるでしょ無駄だって」

女王「じゃぁ。私の技を見せてあげるわ。水術!!」ザバッ

魔法使い「えっ!!」

シュン

戦士「か、かき消された」

魔法使い「そ、そんな…」

女王「うふふ、残念ね。火と水の相性くらいわかるでしょ? 貴方は何もできないの、わかる?」

魔法使い「うっ…」

戦士「ちっ!!」

勇者「おい、余裕ぶっこいてる場合か?」ヒュン

女王「なっ!?」

魔法使い「ゆ、勇者様!!」

戦士「いつの間に!?」

勇者「さっさと死にな。糞ババア」

ズバッ

戦士「や、やったか!?」

魔法使い「流石勇者様!! 移動魔法があると別人ですね!!」



女王「なんてね。効かないわよ」



魔法使い「えっ!?」

戦士「そ、そんな馬鹿な!? 完璧に捉えたはず!!」

勇者「ちっ。テメエ体まで水かよ」ヒュン

女王「あら、気づくのが早いわね。流石勇者ね」

戦士「な、なんだと!?」

女王「そうよ。だから私には剣も通らない。言ったでしょ? 傷一つつけられないって」

魔法使い「そ、そんな…」

戦士「一体どうすれば…」


女王「まっ。残念だけど諦めて。もういいかしら? 私もう飽きちゃったのよ」

戦士「ま、まだだ!!」

女王「ふーん、そう。でも無駄よ」

戦士「やって見なくてはわからないではないかっ!!」ダッ

勇者「馬鹿っ!! 無駄に突っ込むな!!」

女王「ふぅ、馬鹿ね。水術!!」ザバッ

戦士「なっ!! ガハッ!!」ブシャッ

魔法使い「せ、戦士さん!!」

僧侶「っ!! 回復魔法!!」キュイン

戦士「くっ。僧侶ちゃん、助かったよ」

僧侶「いえ、大丈夫です!!」

女王「ふーん、厄介ね、その子。その子から潰しましょうか」

戦士「ばっ!! やめろ!!」

女王「やめろと言われてやめるバカがいるかしら。水術!!」ブワッ!!

戦士「避けろ!! 僧侶ちゃん!!」

ブワッ!!

僧侶「あっ!!」

戦士「くっ!! 間に合わない!!」ダッ

僧侶姉「さ、させないわよ!!」ガバッ

僧侶「お、お姉さま!!」

魔法使い「お姉さん!! そのままだとお姉さんが!!」

僧侶姉「…いいのよ、この子に助けてもらった命だもの。この子の為に使わないと」

僧侶「お姉さま!! やめてください!!」

僧侶姉「……いいのよ、僧侶。貴方はちゃんと生きて。私の分もしっかりね」

僧侶「お姉さま!! 離してください!!」

僧侶姉「……神よ……どうかこの子をお守りください……」

僧侶「お姉さまあああああああああああああああああああああ!!」


僧侶姉「…神のご加護がありますように」


ブシャッ!!

勇者「馬鹿が……。居るか居ねえかもわからねえ神なんかに頼ってんじゃねえよ……」ボタボタ

僧侶「ゆ、勇者様!!」

僧侶姉「勇者様!! 何故!!」

勇者「いやぁあまりにもエロい体してるからもう我慢できなくてよ。つい抱きついちまったぜ…。いやぁ、想像通りいい体だったぜ。柔らかくてな。俺のは硬くなっちまったがな……」ボタボタ

僧侶「そ、そんなことより回復しなくては!!」

勇者「いや、こんなもん唾付けときゃ治るっての。それにもう魔力もねえんだろ。とっときな」ボタボタ

僧侶「き、気づいてらしたんですか!!」

勇者「あぁ。勇者様は全知全能だからな…」ボタボタ

僧侶姉「勇者様……」

勇者「おい、お姉さまよ。神なんかに頼ってんじゃねえよ。この世には神も仏もいねえんだよ。救いの手なんか差し出してくれる優しい神なんか存在しねえんだよ。…居るのは人の死、不幸を喜ぶ死神だけだ」

僧侶姉「……」

勇者「だから願うんだったらこう願うんだな」




勇者「死神のご加護がありますようにってな」

女王「あら、随分ボロボロになったわね、勇者。そんな怪我で何ができるのかしら?」

戦士「勇者!! 大丈夫なのか!!」

魔法使い「そうですよ勇者様!! 大人しく回復してもらったほうが!!」

勇者「うるせえな、お前ら。いいから見とけっての」

戦士「ま、まさか何か作戦が!!」

女王「ほう。それは面白い」

勇者「あぁ。目ん玉くり抜いてよく見てな」ヒュン

魔法使い「え? ステージから降りて何するんですか?」



勇者「すいませんでしたああああああああああ!!」バッ




僧侶「え、えぇ!?」

魔法使い「な、なぁっ!?」

戦士「ど、土下座!?」

女王「…なんの真似かしら、勇者」

勇者「今まで大変んなご無礼を!! どうか私の命だけはお許しください!!」

魔法使い「な、何してるんですか勇者様!!」

勇者「馬鹿野郎!! 勝目なんかあるわけないだろ!! 何もできねえんだぞ、こっちは!!」

魔法使い「で、ですがっ!!」

女王「…ふーん。随分諦めが早いのね。でも私のことをババア呼ばわりして許されると思ってるのかしら」

勇者「申し訳ございません!! 好きな子には意地悪したくなるタイプです故!!」

戦士「な、なっ」

勇者「その潤った肌、水のように透き通った肌!! 素晴らしい限りでございます!!」

女王「あら、それは皮肉かしら?」

勇者「滅相もございません!! 気分を悪くされたのならば申し訳ございません!!」

女王「ふーん。まあいいわ。そこまで言うなら許してあ・げ・る」

勇者「ありがとうございます!!」

戦士「お、お前と言うやつは…っ!!」

女王「貴方方は良いのかしら? 泣きつくなら今のうちよ?」

戦士「誰が…!! くそっ!! 見損なったぞ勇者!!」

女王「あれ、だったら私に勝負を挑むというの? 馬鹿な子ね!!」

戦士「黙れ!! 喰らえ!! 魔人斬り!!」ブンッ

女王「だから無駄だと言ってるでしょ」バサッ

戦士「クッ!! 捕らえれない!!」

魔法使い「そ、そんな…」

僧侶「何か手はないんですか…」

勇者「あぁ!! 流石女王様!! 素晴らしい!!」











勇者「なんていうかと思ったかよ糞ババア!!」ヒュン

女王「なっ!!」

ダバアアアア!!

魔法使い「こ、これは!?」

戦士「大量の砂!?」

勇者「何が透き通った肌だよ馬鹿が!! 水なんだから当たり前だろタコ!! むしろ背景が透けてるわ!! ボケっ!!」

戦士「そうか…。ステージから降りたのも砂に直接触るため…」

僧侶「な、なるほど…」

魔法使い「あっ!! 土が茶色くなっていく!!」

勇者「おうおう、土に染み込んでいってるな」

女王「勇者貴様……。ふんっ、この程度の砂……、すぐに抜け出してやるわ……」

勇者「遅えんだよ、ババア。やっぱり年取るとトロイな」

女王「何だと……!!」

勇者「さて、これでもう当たんだろ。なぁ?」

勇者「魔法使い」

魔法使い「はいっ!!」ゴオオオオオオ

女王「ば、馬鹿!! やめなさい!!」

勇者「バーカ。やめろって言われてやめる馬鹿がどこにいるんだよ」

女王「私が悪かった…!! だから…命だけは…!!」

勇者「うるせえよ、タコ。さっさと消えな」

女王「魔王様…!! お助けください…!!」

勇者「残念だったな。お前は犠牲になったんだよ。魔王の情報収集のな」

女王「そんな……魔王様……魔王様……」

勇者「やれ、魔法使い」

魔法使い「はいっ!!」




魔法使い「業火術!!!!」ゴウッ!!





女王「ああああああああああああああああああ魔王様ああああああああああああああああああ!!」

魔法使い「やったんですか…?」

勇者「あぁ、そういうこと……」フラッ

戦士「ゆ、勇者!!」

僧侶「か、回復魔法!!」キュイン

勇者「うっ…はぁ助かった…。貧血なのに叫びすぎたぜ…」

魔法使い「全く…。無理しすぎなんですよ、勇者様は…」

勇者「うるせえよ、クソガキ。お前の火力が足りねえのが悪いんだろうが。ていうかそろそろ氷術か雷術くらい覚えろや」

魔法使い「う、うぐっ……」

戦士「ま、まあ勝ったからいいじゃないか」

魔法使い「そ、そうですよ!!」

勇者「甘やかし過ぎなんだよ、お前は」

僧侶「…ふふっ」



「ああああ!! なんてこった!!」

勇者「あん?」

街人1「女王様が死んでしまったらどうやって水を集めればいいんだ!!」

街人2「この国はもう終わりだ!!」

僧侶姉「それはこれから皆で湖でも探して…」

街人1「もう水は一滴もないんだぞ!! 湖探す前に干からびちまうよ!!」

街人2「そうだ!! それも全てお前らのせいだ!!」

僧侶姉「そ、そんな……」

魔法使い「酷すぎます!! 僧侶さん達はこの国の為に!!」

勇者「だが実際にこれで水がなくなったのは事実だ。俺らが女王を殺ったからな」

戦士「しかしこれは国のためにも!!」

勇者「まっ、別に俺はこの国がどうなろうと知ったこっちゃねえからな。さっさと行こうぜ」

魔法使い「で、ですがっ!!」

僧侶「……そうですね。行ってください」

魔法使い「そ、僧侶さん!! ですが!!」

僧侶「勇者様のおっしゃる通りです。貴方方は目的があるはずです…。それなのにここまでして頂いてむしろ感謝しきれないほどです。ここから先は私たちの問題です」

魔法使い「僧侶さん……」

勇者「そういうこった。国の在り方まで干渉してどうすんだよ。そんなの自分らでどうにかしな。文句ばっか言って何もやらない国民が悪いんだよ。生きたきゃ働け」

戦士「……うん、そうだな」

魔法使い「……そうですね。怠けることばかり覚えても仕方ないですもんね」

僧侶「はいっ。ですから皆様方は魔王を倒してください。私には祈ることしかできませんがどうかご無事で」

勇者「神に祈っても仕方ねえよ。祈るなら」

僧侶「死神様に…ですよね?」クスッ

勇者「そういうこった」

戦士「そうか…では行くか。僧侶ちゃんもこの国の為に頑張ってくれ」

僧侶「はいっ! ありがとうございます!!」



ポツポツポツ…



魔法使い「…え? 雨…?」

僧侶「……え?」

街人1「あ、雨だ…」

街人2「な、なんで砂漠に雨が…」

僧侶姉「これは……」

ザアアアアアアアアアアアア!!

勇者「おうおう、土砂降りだなこりゃ」

戦士「な、何故一体雨が!?」

魔法使い「あっ!! 勇者様が土を飛ばしたところに水が溜まっています!!」

僧侶「ゆ、勇者様……」

戦士「こ、これも勇者の仕業なのか!?」

勇者「はぁ? 天候まで支配出来るわけねえだろ。知らねえよ、たまたまだろ」

街人1「恵の雨だ…。恵の雨が降ってきた!!」

街人2「おぉ神よ!! 感謝します!!」

勇者「けっ、都合のいいやつらだぜ。普段信じてもいねえくせに都合のいい時だけ神を信じやがって」

僧侶「…これも勇者様のおかげなのですね。感謝致します」

勇者「だから言ってんだろ。俺は関係ないってな。むしろ感謝するならガキにするんだな」

魔法使い「え? わ、私ですか? 何でですか?」

勇者「自分で考えな、バカ」

魔法使い「ちょ、ちょっとどういうことですか!?」

勇者「おらっ、行くぞ」

魔法使い「ちょ、ちょっと待ってくださいよ!!」

戦士「私にもわからんが…まぁいいか。たまにはわからないことがあっても」

僧侶「そうですね。世の中はわからないから楽しいのですよね」

戦士「そうだな…。じゃぁ、僧侶ちゃんも達者で」

僧侶「はいっ。本当にありがとうございました!!」

戦士「あぁ。ではな。おいっ、待ってくれよ、勇者!!」ダッ

兵3「おい、待ちな、勇者」ザッ

勇者「おっ、これは見張りさんじゃねえか。お目覚めかい?」

魔法使い「なっ!!」

戦士「くっ!!」ジャキッ

兵3「おいおい、構えるな、物騒なやつらだな」

魔法使い「何しに来たんですか!!」

兵3「けっ、酷いやつらだな。折角お前らの物持ってきてやったってのに」

魔法使い「…え?」

勇者「おいおい、いいのかよ。国の兵士がそんなことして。女王様に裁かれんぞ?」

兵3「だーれが殺したんだよ。誰が」

勇者「なんだ、知ってんのか」

兵3「そりゃな。国中の噂になってるからな」

勇者「やれやれ、噂ってのは怖いな」

兵3「全くだ。お前は身にしみてると思うけどな」

勇者「おっしゃる通りで」

兵3「まっ、なんにせよ俺はあんたに感謝してるよ。女王様を殺してくれてありがとよ」

勇者「いいのかよ、そんなこと言って。ばらすぞ」

兵3「持ってきてやったんだ。チャラにしてくれや」

勇者「しゃーねえな」

兵3「まっ、これで物流も元に戻るだろ。あとはオアシスでも見つかりゃ文句なしだな。女王じゃなくなったことで捕まるやつも減るだろうし俺の仕事も減って楽になるしな」

勇者「そっちが本音だろ」

兵3「ばれたか?」

勇者「そりゃな」

兵3「こりゃ参ったね。流石勇者様。全知全能だこった」

勇者「あぁ。毎朝5時に南側向いて3回お祈りしな」

兵3「起きれりゃな」

魔法使い「い、いつの間にこんなに仲良くなってたんですか…」

戦士「男の友情というのはわからんな…」

兵3「まっ、達者でな」

勇者「そっちこそな」

兵3「あ、そうそうあとな」コソッ

勇者「なんだよ」

兵3「魔王倒して女寄ってきたら何人か回してくれよ。使い回しでもいいからよ」コソッ

勇者「お前妻いるんじゃねえのか?」

兵3「男だから仕方ねえだろ?」

勇者「…バレないようにしろよ」ニヤッ

兵3「あぁ。噂は怖えからな」ニヤッ

魔法使い「二人共すっごく悪い顔してます…」

戦士「どうせロクでもないこと話してるんだろうな…」

勇者「まあ考えといてやるよ。じゃあな」

兵3「あぁ。死ぬんじゃねえぞ、死神様よ」

勇者「誰に言ってやがんだ、バカ」

僧侶姉「…僧侶」

僧侶「はい、なんですかお姉さま」

僧侶姉「僧侶はいいの? 彼に着いていかなくて?」

僧侶「……いえ、この国を立て直さなくちゃいけませんからね」

僧侶姉「…行きなさい」

僧侶「…え、ですが」

僧侶姉「この国は私がどうにかするわ。だから僧侶は自分のやりたいことをしなさい。今までずっと我慢してきたんだから」

僧侶「…で、でも」

僧侶姉「……私ね、嬉しかったのよ。ただ言うことを聞くのが良い子だというなら私は良い子になんてなりたくないって言ってくれたとき。やっと本音を言ってくれたんだって」

僧侶「……」

僧侶姉「そんなに私が頼りないかしら? 私じゃこの国を任せられない?」

僧侶「そ、そういうわけでは!!」

僧侶姉「だったら行きなさい。助けて頂いた分働いて来なさい!!」

僧侶「お姉さま……。はいっ!! 分かりました!!」

勇者ハーレムルートかよ、読む気失せたわ

僧侶姉「うん、それでいいのよ。……でもね、最後にお願いがあるの」

僧侶「…? なんですか、お姉さま?」

僧侶姉「それ!!」

僧侶「えっ??」

僧侶姉「……最後くらい、お姉ちゃんって呼んでよ。……貴方はそう思えないかもしれないけどね」

僧侶「そ、そんなことありません!! 私はずっとずっと……」

僧侶姉「……だったらお願い、聞いてくれるかしら?」

僧侶「……はいっ!!」




僧侶「お姉ちゃん!! ずっとありがとう!! 私……行ってくるね!!」ダッ




僧侶姉「……えぇ。いってらっしゃい。自慢の妹」

僧侶姉「……さて、私も頑張らないとね!!」

僧侶「勇者様~!!」トテトテ

勇者「……あん?」

魔法使い「あ、僧侶さん!!」

戦士「おや、どうしたんだ?」

僧侶「わ、私もご一緒に旅させてください!!」

勇者「はぁ?」

魔法使い「なっ!! またライバル出現ですか!?」

戦士「ま、まぁ確かに回復役がいてくれると楽にはなるが…」

勇者「俺は別に構わねえがいいのかよ? この国はよ?」

僧侶「はいっ!! …お姉ちゃんがいるので大丈夫です!!」

勇者「……そうかよ。だったら勝手にしな」

僧侶「…はいっ!!」

魔法使い「あぁ…また女の人が増えてしまいました…」

戦士「まあ楽しくなりそうだからいいじゃないか」クスッ

僧侶「皆様もよろしくお願いします」ペコッ

魔法使い「…そうですね!! よろしくお願いします!!」

戦士「あぁ、よろしく頼むよ、僧侶ちゃん」

勇者「いいからとっとと行くぞ。さっさと雨宿りしたいしな」

魔法使い「そうですね…。びちゃびちゃですよ、もう」

勇者「下がか?」

魔法使い「死んでください!!」

僧侶「そうですね。では雨宿りついでに約束を果たしましょうか、勇者様」

勇者「……あん?」

魔法使い「…………え?」

僧侶「やはり約束はしっかり果たさなくてはダメですよね…。不束者ですがよろしくお願いします」ペコッ

勇者「ばか。あれは助けた場合だろ? お前が勝手に助かったんだ。約束なんてねえよ」

僧侶「いえ、それでも私の気が済みません」ニコッ

勇者「……いや、まぁ、お前が良いって言うならいいけどよ」

戦士「こ、これは強敵が現れたな…」

僧侶「初めてなので優しくしてくださいね////」テレッ

勇者「お、おう…。いや、でも待て、今日は疲れたしゆっくり寝たいっていうか」

僧侶「勇者様は寝たままでも大丈夫です//// わ、私が////」

勇者「あ、いや、そうじゃなくてだな…」

魔法使い「……です」

僧侶「……はい?」





魔法使い「そんなの絶対駄目ですうううううううううううううううう!!」

ハーレム最高!想像しただけでチンコ勃起っきしてきたわ!神SS認定!


今日は終わりです!!
ありがとうございました!!

長くて非常に申し訳ないですがもう少しお付き合いください汗

>>375
むしろ今まで読んでくださってありがとうございます!!
なんとか楽しめるように頑張るのでよろしくお願いします汗


>>380
ありがとうございます!!
期待に添えるか解りませんが今後もよろしくお願いします!!


沢山のコメントありがとうございました!
今日も少ないですが投下して行たいと思います!

戦士「はあああああああああああああ!!」ズバッ

龍「ぎゃおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」

ズドーン!!

戦士「はぁ…はぁ…やったか?」

魔法使い「……みたいですね」

僧侶「うぅ……やっと倒せました……」

戦士「僧侶ちゃん本当に助かったよ……。君のおかげで大分戦いが楽になった……」

魔法使い「とは言ってもかなり長期戦になりましたけどね……」

僧侶「はい……。私ももう魔力がありません……」

戦士「本当にお疲れ。いい活躍だったよ」

魔法使い「そうですね。薬草買わなくていいんでお金もかからないですしね・・・」

僧侶「皆様のお役に立てているなら光栄です」

魔法使い「ええ!! 素晴らしい活躍ですよ!! ……それに比べて」

勇者「ん? 終わったのか?」スパー

魔法使い「あなたは何をしてるんですかあああああ!!」

勇者「いやだって鱗硬いじゃん。俺のナイフが通るわけないじゃん。移動魔法で飛ばすのも勿体ないじゃん」

魔法使い「だからってもうちょっと何かあるじゃないですか!! なんであなた一人煙草吸ってるんですか!!」

勇者「手持ち無沙汰で」

魔法使い「あぁ…私たちの頑張ってる中この人は……」

勇者「いいじゃねえか、倒せたんだし。結果オーライ」

戦士「君は全く…。本当に掴みどころがない男だな…」

勇者「下に掴むところはあるけどな」

戦士「掴んでいいのか?」

勇者「遠慮しときます」

僧侶「ま、まあまあ。今まで勇者様に助けて頂いてばかりだったのでたまにはいいじゃないですか」

勇者「おぉ。僧侶。お前だけだ、俺をわかってくれるのは」

戦士「はぁ…。しかしこれだけ長い間居るのに勇者のことを全然知らないな。私たちは」

魔法使い「…………」

勇者「まっ、お疲れさん。今日はさっさと宿屋行ってゆっくり休もうぜ。なんたってもうすぐ魔王城だからな」

戦士「そうだな…。気づけばそんなところまで来たのだな…」

魔法使い「長かったような…短かったような感じですね…」

僧侶「そうですね…」

勇者「なんにせよお前らと旅するのも明日で最後だな」

魔法使い「……あ」

戦士「……そうだな。そうなるのか」

僧侶「……なんだか寂しいですね」

勇者「おいおい、何湿気た面してんだよ。もうこんな辛い思いしなくて良いんだぜ。あとは寝て起きるだけで生活が保証されんだ。そんないいことはねえだろ」

魔法使い「それはそうですけど……」

勇者「もう硬いベットやテントで寝ないで済むんだ。これ以上ない幸せだぜ?」

戦士「……それはそうだが」

勇者「だったらいいじゃねえか。ほら帰んぞ。掴まれ、お前ら」

魔法使い「……はい」

勇者「うっし。んじゃ帰んぞ。移動魔法」ヒュン

_____
___
_

勇者「はい、到着。便利だね、こりゃ」ヒュン

僧侶「本当ですね。他の冒険者さん達はさっきの道を引返していたのかと思うと相当苦労なさったのでしょうね」

勇者「本当にな」

戦士「…良し。それじゃぁ必要な物を揃えて宿屋に行こう」

勇者「そうだな。さっさと買い物済ませようぜ。煙草もねえしな」

戦士「やれやれ、本当に君は。もうすぐ魔王城だというのに緊張感のないやつだ」

勇者「今更気取ったって仕方ねえだろ。俺は俺なの。俺らしく生きるの」

戦士「はいはい」

魔法使い「…………」

勇者「あん? なんだガキ? 元気ねえじゃねえか?」

魔法使い「……あ、いえ。何でもないです」

僧侶「お疲れなのでしょう。沢山歩きましたしね」

勇者「やれやれ、体力のないガキだな」

戦士「今日何もしてない君には言われたくないだろうさ」

勇者「うるせえな。向き不向きがあるだろ。今日は偶々相手が悪かったんだよ」

僧侶「まあまあ。ほらっ、買い物に行きましょう。お店閉まっちゃいますよ」

勇者「そうだな。おい、ガキ。ちっとは根性見せな。買い物くらいできんだろ」

魔法使い「……はい。そうですね。行きましょう」

勇者「うっし。じゃあ俺は煙草買ってくっからお前ら他の物頼んだぞ」

戦士「全く君は…」

僧侶「まあまあ。ほら、行きましょう。魔法使いちゃん」

魔法使い「…はい」

_____
___
_

勇者「おう、お前ら買い物は終わったか?」

戦士「あぁ。ちゃんと勇者用の装備も買っておいたぞ。流石に防具無しで魔王に挑むのはマズイと思ってな」

勇者「それはお優しいこった」

僧侶「そうですよ。むしろ今まで防具無しでよくここまで来れましたね」

勇者「いや、一回買ったんだけどな。重くて売ったんだよ」

僧侶「そ、そうなんですか…」

戦士「全く、君は…」

勇者「ほら、買い物終わったんだったらさっさと宿屋で寝んぞ。明日ははええからな」

僧侶「そうですね。そうしましょう」

戦士「そうだな」

勇者「おい、行くぞお前ら。ガキ、行くぞ」

魔法使い「………はい」

戦士「……魔法使いちゃん?」

勇者「おい、親父。部屋は空いてっか?」

宿屋「はい。全部屋空いておりますよ」

勇者「それはありがてえな。そっちはどうか知らんがな」

宿屋「ははは、全くです」

勇者「だったら一人一部屋貸してくれ」

宿屋「ありがとうございます」

戦士「おい、勇者。こっちはもうほとんど金を使い切ってしまったぞ。そんな余裕…」

勇者「心配すんな。俺が持ってる」ジャラッ

戦士「なっ。珍しいな、お前が金を残すなんて…」

勇者「まっ、あと1日だけだからな。一箱ありゃ十分だと思ってな」

戦士「…そうか」

勇者「そういうこと。今日はゆっくり寝て疲れでもとんな。ちゃんと風呂入れよ。歯磨けよ。じゃあな」

戦士「…じゃっ、勇者の好意に甘えて今日はゆっくり寝るか」

僧侶「そうですね。それがいいと思います」

魔法使い「…………」

勇者「……うっし、準備完了。あとは寝るだけだな」

勇者「煙草は……まあいいか。あいつも寝てんだろ」

コンコンッ

勇者「…あん? 誰だ?」

ガチャッ

魔法使い「……失礼します」

勇者「ナイスタイミング!!」

魔法使い「……え?」

勇者「いやぁ、丁度お前を呼びに行こうと思ってたんだよ」

魔法使い「え、えっ、そ、それって////」

勇者「いやぁ、煙草吸いたくて仕方なかったんだよ。何、お前、エスパー?」

魔法使い「……ですよね。そんなことだろうと思ってましたよー」

勇者「何いじけてんだよ、お前」

魔法使い「…別に期待なんかしてませんでしたよ。はぁ」

勇者「とりあえず火つけてくれよ。ほらっ」

魔法使い「…はいはい、わかりましたよー。火術」ボッ

勇者「ん。サンキュー。はぁ……旨えな」スパー

魔法使い「……そんなに美味しいんですか?」

勇者「あぁ。酒はこの世から無くなってもいいが煙草はダメだな」

魔法使い「……一口ください」

勇者「は?」

魔法使い「一口吸わせてください」

勇者「お前未成ね…いや、いいか。ほらよっ」

魔法使い「ありがとうございます」

勇者「間接キスだな」

魔法使い「なっ/// ど、どうでもいいじゃないですか、そんなことっ////」

勇者「いいからさっさと吸って返せよ」

魔法使い「うぅ、わかりましたよ。すぅ……っ!? ゴホッゴホッ!!」

勇者「まあ最初はそうなるわな」

魔法使い「ゲホッゲホッ!! なんですかこれ!!」

勇者「煙草だよ。平和の象徴だ。ちなみにタールは21な」

魔法使い「知ってますよ!! うぅ…まずい。よくこんなもの吸えますね」

勇者「ガキにはわかんねえよ。ほら、返せ」

魔法使い「言われなくても返しますよ…。うぅ…喉がイガイガする…」

勇者「まあ煙草なんか吸ってもイイ事ねえからな。百害あって一利なしだ。吸わないに越したことはないね」

魔法使い「だったらなんで吸うんですか……」

勇者「……まあいいじゃねえか。紳士の嗜みだ」スパー

魔法使い「……よくわかんないです」

勇者「良いんだよ、ガキにはわからなくて」

魔法使い「またそうやって……」

勇者「それより何しに来たんだよ。まさか煙草に火をつけに来たわけじゃねえだろ」

魔法使い「……それは」

勇者「まさか一人で寝るのが怖いのか。怖い夢でも見たのか」

魔法使い「そ、そうじゃ…ないとも言えませんけど」


勇者「だったら戦士か僧侶と一緒に寝ろよ。俺は一人で寝たいんだよ」

魔法使い「……そう……ですけど」

勇者「じゃっ、そういうことだ。さっさと寝ろよ」

魔法使い「…………」

勇者「……はぁ。わかったわかった。一緒に寝てやる」

魔法使い「……え?」

勇者「二度は言わねえよ。嫌ならさっさと出てきな」

魔法使い「い、いえ、そんなことはないです!! ありがとうございます!!」

勇者「大人しく寝ろよ。…ふぅ、ご馳走さん。ほら、さっさと寝るぞ」

魔法使い「…はいっ」

勇者「ちゃんと寝る前にトイレ行っとけよ。漏らすんじゃねえぞ」

魔法使い「そ、そんなことしませんよっ!!」

勇者「だったら明かり消すぞ」

魔法使い「あ、はいっ」

魔法使い「……おやすみなさい、勇者様」

勇者「あぁ」

魔法使い「…………」

勇者「…………」

魔法使い「……寝ちゃいました? 勇者様」

勇者「お前は10秒も黙ってらんねえのかよ」

魔法使い「……勇者様私思ったんです」

勇者「黙って寝ろよ。何語りだしてんだよ」

魔法使い「私こんなに長い間勇者様と一緒に居るのに勇者様のことなにも知らないな…って」

勇者「話聞けよ。いいだろ、そんなこと。どうせ明日までの付き合いだ。気にすんな」

魔法使い「……だからこそですよ」

勇者「あん?」

魔法使い「だからこそ聞くなら今しかないかなって思ったんです…。このままだともう聞く機会も無い様な気がして…」

勇者「はぁ……」

勇者「何お前? ヤケにテンション低いと思ったらそんなこと考えてたのかよ」

魔法使い「そ、そんなことってなんですか!!」

勇者「あのなぁ、忘れてるかもしれないけど俺は犯罪人なの。人沢山殺してんの。そんなやつの話聞いてどうすんの? 人殺しにでもなりたいのかよ?」

魔法使い「私は勇者様がそんな人には思えないんです!!」

勇者「お前が思おうが思うまいが事実は変わらねえんだよ。俺は人を殺した。大量にな。だから捕まった。これは変わらねえだろうが」

魔法使い「で、でも理由が!!」

勇者「ムカついたから殺した。以上。おやすみ」

魔法使い「勇者様!!」

勇者「ちっ。うるせえな。そんなに騒ぐんなら自分の部屋で寝ろや。俺は眠たいの。わかる?」

魔法使い「……お願いです。勇者様。本当のことを話してください」

勇者「……うるせえガキだな。何でそんなどうでもイイ事を知りたがるかな」

魔法使い「勇者様にとってはどうでもいいかもしれないですが、私にとっては大事なことなんです!!」

勇者「……はぁ。わかったわかった」

魔法使い「じゃ、じゃあ!!」

勇者「俺も甘くなっちまったもんだな。こんなガキの言うこと聞くなんて」

魔法使い「勇者様…!!」

勇者「……いや」

魔法使い「…? どうしました勇者様?」

勇者「……なんでもねえ。長くなるぞ、それでもいいのか」

魔法使い「はい!!」

勇者「眠くなったら寝ろよ。明日に支障出るようだったら止めるからな」

魔法使い「はいっ!!」

勇者「はぁ…。面倒くせえな。んで、なんで俺があんなに殺したかか」

勇者「あぁ…どこから話せばいいんだろうな……」

勇者「……まぁいいか。全部話しちまうか。どうせ明日で縁も切れんだ」

魔法使い「…………」

勇者「そうだな。これはずっとずっと昔の話だ」

勇者「俺がお前よりもまだちいせえ頃の話だ」


今日はこれで終わりで!
少しの間過去のお話になりますがよろしくお願いします!
いつも沢山のコメントありがとうございます!
励みになってます!

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_

八百屋「居たぞ!! 捕まえろ!!」

果物屋「待てコラ!! いい加減にしやがれ!!」

男「……」

ヒュンッ

八百屋「…ちっ!! また消えやがった!!」

果物屋「くっそいい加減にしろよあのガキ!! 何個盗めば気が済むんだ!!」

八百屋「畜生!! 次こそとっ捕まえてやる!!」

果物屋「……何回言っただろうな、そのセリフ」

八百屋「……本当にな」

果物屋「ちっ。覚えとけよ」

八百屋「はぁ。また仕入れ直さなくちゃな」


男「……」

男「……」モグモグ

男「……酸っぱい」

「よぉ。随分美味そうなもん食ってんじゃねえか」

男「……っ」クルッ

「おっと。悪い悪い。別に驚かせるつもりは無かったんだがな」

副隊長「隊長。何してるんですか」

女隊長「いやぁ、なんかガキが一丁前に美味そうなもん食ってからたかれねえかと思ってよ」

副隊長「何してるんですかあなたは…。って、あれ、この子」

女隊長「あん? なんだよ、知ってんのかこいつ?」

副隊長「この子ですよ! 最近この辺の物が盗まれてる事件の犯人は!」

女隊長「おいおい、まじかよ。こんなガキに盗まれてんのかよ。そりゃ盗まれる方が悪いだろ」

副隊長「……一応国の兵士なんですからそんな身も蓋もないこと言わんといてくださいよ」

男「……なに、おばさん。何か用?」

女隊長「おばっ…!?」

副隊長(あ、やばい)

女隊長「ほう・・・クソガキ。どうやら死にたいらしいな…」ピクピク

男「……」

女隊長「私はなぁ……ピッチピチのハタチだっつうの!!」ガバッ

男「……」ヒュン

女隊長「……あん?」

副隊長「えっ!? 隊長を避けた!?」

男「……」ダッ

女隊長「おい!! クソガキ待てコラ!!」ダッ

副隊長「うわあ…子供相手にムキになってるよこの人…」

男「……」タッタッタ

女隊長「よ~し、追いついたっ!!」ガバッ

男「……」ヒュン

女隊長「なにぃ!?」スカッ

副隊長「き、消えた!?」

男「……」タッタッタ

女隊長「……」

副隊長「あーあ。逃げられちゃいましたね」

女隊長「……」

副隊長「まっ、逃げられたものは仕方ないですよ。さっ、城へ戻りましょう」

女隊長「……おもしれえ」

副隊長「……え?」

女隊長「あのクソガキ…。次会った時ぜってえとっちめてやる」ゴゴゴゴ

副隊長(うわぁ、なんか変なスイッチ入っちゃったよ)

女隊長「ふっふっふ。ブチ殺す……。この私におばさんって言った罪はデカいぜ…」ゴゴゴゴ

副隊長「どっちが悪者ですか。人には見せれない顔になってますよ」

女隊長「うるせえ!! やられっぱなしは主義じゃねえんだ!! もうギッタギタのボッコボコにしてやる!!」

副隊長「国の兵士の言うことじゃありませんよね、それ」

女隊長「おい!! 明日もこの時間来るぞ!!」

副隊長「……どうせ止めても無駄なんですよね」ハァ

女隊長「ったりめえだ!! あいつを捕まえるまでは毎日だ!!」

-翌日-

男「……」モグモグ

女隊長「よぉ。テメエまたここに居たのか」

男「……なに、おばさん」

女隊長「い、いや、なに、ちょっと、お話に、来ただけ、だ」ギリギリギリ

副隊長(うわぁ、めっちゃ青筋浮いてるよ)

男「…別に僕が話すことはないよ」

女隊長「お前には無くてもな……こっちには大アリなんだよ!!」ガバッ

男「……」ヒュン

女隊長「男ならちょこまかと逃げてんじゃねえよクソガキ!!」ダッ

男「……」ダッ

女隊長「待てこらあああああ!! 人の話を聞きやがれええええええ!!」ダッダッダ

副隊長「うっわぁ、全力ダッシュだよ。…って、あ。また逃げられた」

女隊長「……」

副隊長「……」

女隊長「なんだよ?」ギラッ

副隊長「え、あ、いや」

女隊長「滑稽か」

副隊長「え?」

女隊長「逃げられたのが滑稽か!!」

副隊長「い、いや、そんなことは」

女隊長「そうだよな、この国の兵をまとめる隊長なのに子供一人に逃げられるだもんな。そりゃ滑稽だよな」

副隊長「そ、そこまでは」

女隊長「笑えよ。笑いなさい。哀れな私を笑うがいいわ。ほれ。オーホッホッホ!!」

副隊長「あ、あはははは」

女隊長「………明日もやんぞ」

副隊長「……はい」

-翌日-

男「……」モグモグ

女隊長「よぉ」

男「……また来たの。おばさん」

女隊長「だから…おばさんじゃねえっつってんだろ…っ」ピクピク

副隊長(めっちゃ我慢してる…)

男「……で、なんの用? 追いかけっこはもう嫌なんだけど」

女隊長「だったら逃げるんじゃねえよ…っ」ピクピク

男「だったら追ってこないでよ」

女隊長「うるせえな…。お前の口が悪いのがいけねえんだよ。お前の目上の人に対する口の聞き方親に習わなかったのかよ」

副隊長(隊長が言うんですか、それ…)

男「…いないし」

副隊長「…え?」

男「親、いないし」

女隊長「………」


「「居たぞ!! 捕まえろ!!」」

男「……」ヒュンッ

女隊長「あ、おい!!」

副隊長「…行っちゃいましたね」

八百屋「……くっそ、またかよ!!」

女隊長「……おい、お前ら」

八百屋「あん? 誰……って隊長様!!」

果物屋「こ、これはこれは!! お疲れ様です!!」

女隊長「んなこたぁどうでもいい。おい、あいつはなんだ」

八百屋「あいつですか? あいつはいっつも俺らの店から物を盗んでいく悪ガキさ」

女隊長「それは知っている。名前はなんていうんだよ」

八百屋「……そういえば知らないな。もう3年くらいになるのに」

果物屋「そういえばそうだな」

副隊長「3年ですか!?」

女隊長「…………」

八百屋「あぁ、そんくらいだろ。一度も捕まえれたことはねえがな」

果物屋「被害総額は相当なことになってるよ、全く」

女隊長「ちょっと待て。その頃からあいつはずっと一人で盗んでたのか?」

八百屋「あ、あぁ、そうだな」

女隊長「親とかの姿は?」

果物屋「そういや見たことねえな…」

副隊長「じゃぁ本当に……」

女隊長「…そうか。協力感謝するよ」

八百屋「頼むぜ、隊長様」

果物屋「なんとかしてくださいよ。お願いします」

女隊長「……あぁ。なんとかしてやりてえよ」

副隊長「………」

-城-

女隊長「……ふぅ」ギシッ

コンコン

女隊長「開いてるよ」

ガチャ

副隊長「失礼します」バタン

女隊長「おー。まあ適当にどっか座れや」シュボッ

副隊長「疲れきってますね。あと煙草やめたほうがいいですよ」ギシッ

女隊長「うるせえよ、吸ってないとやってられっか。ったく、上のお偉いさん達はなんで私に書類を回すかね。明らかにタイプじゃねえだろ」

副隊長「それだけあなたが頼りにされてるんですよ」

女隊長「いーや、違うね。奴らは私に仕事を押し付けて楽したいだけさ。ふざけやがって。前だってよ」

副隊長「はいはい。何度も聞きましたよ、その話は」

女隊長「……なあ」

副隊長「はい? なんですか?」

女隊長「何歳に見えた」

副隊長「それは子供の方ですか? それとも隊長の方ですか?」

女隊長「ガキの方に決まってんだろ。しばくぞ」

副隊長「冗談ですよ。そうですね……8歳くらいですかね」

女隊長「そうだよな……。そんなもんにしか見えねえよな……」

副隊長「…気になるんですか」

女隊長「……まあな」

副隊長「珍しいですね。隊長がそんなにナイーブなの」

女隊長「るっせえな。いいだろ、たまには。私だって女なんだよ。重い日くらいあるっての」

副隊長「…そういうところが女らしくないんですよ」

女隊長「テメエは女に幻想を抱きすぎなんだよ。女同士の話なんて下ネタのオンパレードだっつうの」

副隊長「……聞きたくなかったです」

女隊長「お前に見えてるもん、聞いたもんが全てじゃねえんだよ。そうやって世の中は嘘と偽りでできてんだよ」

副隊長「…嫌な世の中ですね」

女隊長「全くだ」

副隊長「そんな世の中だからこそ、あんな子が出てきちゃうんですかね……」

女隊長「……かもな」

副隊長「どうするつもりですか、あの子を」

女隊長「どうするのが正しいと思う?」

副隊長「私にはわかりません…」

女隊長「だよなぁ。何が一番正しい選択だったのかなんてわかりやしねえもんな」

副隊長「そうですね…。でもその時一番正しいと思ったことを選びこの国を導いてきたのは隊長じゃないですか。隊長には正しいことを選ぶ能力があると思うんです」

女隊長「つったってそれは戦場の話だろ? 今回のガキの件とは……まてよ」

副隊長「どうしたんですか? 隊長?」

女隊長「なんだ、そうかよ!! 一緒にしちまえばいいんじゃねえか!!」

副隊長「え、あの、一体…」

女隊長「よし!! そうと決まりゃ早速行動開始だ!!」

副隊長「あの説明を……」

女隊長「お前のおかげだ、ありがとな。だが私はやる事ができた。さっさと出て行きな」

副隊長「……はい。失礼します」

バタンッ

副隊長「……はぁ」

副隊長(どうしてあの人は大事な部分を説明しないかな…。それに人の話を聞かないし)

元帥「やれやれ、またあの女に振り回されておるのか」

副隊長「こ、これは元帥!! お見苦しいところを!!」

元帥「あぁ、よいよい、そんなに畏まらんくて良い」

副隊長「そ、そうですか。ではお言葉に甘えて」

元帥「うむ。それがよかろう。あまり固くなっても仕方ないぞ。まぁ、いざ、というときに固くならないのも困りものだがな」

副隊長「……なんの話ですか、それは」

元帥「分かっておるくせに、このむっつりスケベが」

副隊長「……お言葉ですが、そんな真顔で言われてもジョークかどうかわかりませんよ」

元帥「そうか。もっと表情筋の鍛錬をする必要があるようだな」

副隊長「そんな大げさなものじゃないですけどね…」

元帥「それで? 今回あの問題児は何をしようとしてるのだ?」

副隊長「問題児ですか…。一応あれでもハタチなんですけどね」

元帥「儂からすればまだまだ子供じゃ。あやつがふた桁もいかぬ頃から知っておるが何も変わっておらんからな」

副隊長「え、隊長ってそんなに小さい頃からここに居るんですか?」

元帥「なんじゃお主、知らんかったのか。下僕がそれで良いのか」

副隊長「いえ、下僕じゃないです。私の評価ってそういう感じなんですか」

元帥「別によかろう。あながち間違っておらんだろ」

副隊長「えー」

元帥「まああやつは父の影響で入ったらしいからの」

副隊長「え、そうなんですか? 一体誰が隊長の父なんですか?」

元帥「いや、残念ながらすでに死んでしまったよ」

副隊長「あ。…そうなんですか」

元帥「残念ながらな。だがあやつは最後まで国の為に尽くしてくれた。やつは国の誇りじゃよ」

副隊長「……そうですか」

元帥「まあそんな奴じゃがお主がなんとか支えてやってくれ。決して悪い奴ではないからの」

副隊長「…えぇ。それはわかっておりますよ」

元帥「では頼んだぞ。今回も何かやらかしてくれるようじゃが後始末は頼んだぞ」

副隊長「任してください…とは言えないですがなんとかやってみますよ」

元帥「うむ。素直なことは良きことだ。それでは儂はやることがあるでな。さらばじゃ」

副隊長「はい。お疲れ様です」

スタスタスタ

副隊長(元帥もなかなか変わった人だよな…)

副隊長(しかし隊長は本当に何をするつもりなんだろう…)

副隊長(はぁ…また仕事が増えそうな気がする…)

副隊長(でもまぁそれで救われる子がいるならいいか)

副隊長(まっ、明日になればわかるか)

副隊長(どうせ明日忙しいなら今日はさっさと寝よう)

-翌日-

男「……」モグモグ

女隊長「よぉ」

男「……どうも」

女隊長「なんだ、随分素直じゃねえか」

男「もう何言っても無駄な気がしたからね」

女隊長「随分と諦めが早いな。早い男は嫌われんぞ」

男「……」

女隊長「ちっ、だんまりかよ」

副隊長「むしろなんでわかると思ったんですか」

女隊長「うるせえな。まあいい。ここに来るのも今日が最後だ」

男「……そう」

副隊長「隊長……いいんですか、それで」

女隊長「あぁ……いいんだよ」

女隊長「だってこいつ城に連れてくし」

副隊長「…………は?」

男「……」

女隊長「いや、だから」

副隊長「いや、意味はわかりましたよ」

女隊長「だったらなんの問題もねえじゃん」

副隊長「大アリですよ!! なんて言ってこの子を城に居させるつもりですか!! それに誰がこの子を育てるんですか!! お金はどうするんですか!!」

女隊長「おお、一気に喋るね。呼吸困難になるぞ」

副隊長「大きなお世話です!! その辺しっかり考えてるんですか!?」

女隊長「当たり前だろ」

副隊長「本当ですかー」ジー

女隊長「お前は私に対して不信感を抱きすぎなんだよ。私がお前に何をしたって言うんだよ」

副隊長「胸に手を当てて考えてください」

女隊長「嫌だよ、いやらしい気分になるし」

副隊長「ど、どこを触るつもりですか///」

女隊長「照れんなっての。ったくウブだね、お前は」

副隊長「うるさいですよっ!! 兎に角どうするつもりか説明してください!!」

女隊長「んなもん簡単だろうが。まず城に居させる方法だが、んなもん兵士にしちまえばいいじゃねえか」

副隊長「…なっ!!」

男「……」

副隊長「ちょ、ちょっと待ってくださいよ!! この子はまだ子供ですよ!?」

女隊長「知るかよ。むしろこんだけちいせえガキが移動魔法使えんだ。育てたらかなりの戦力になんだろ」

副隊長「そうですが…」

女隊長「ここで悪事働くよりは城でまともに働く方がましだろ」

副隊長「た、確かに…。で、ですがお金の問題と育てる人はどうするんですか?」

女隊長「そんなもん全部私がやるに決まってんだろ。私が母親だ」

副隊長「…またあなたはそうやって大変なこと背負い込んで」

女隊長「ちなみに父親はお前な」

副隊長「はあっ!?」

女隊長「何? お前私にシングルマザーさせるつもりだったのかよ。それは余りにも酷ってもんじゃねえか?」

副隊長「い、いやいや!! え、だって、その…えぇ!?」

女隊長「ちなみにお前に拒否権はないからな」

副隊長「ですよねー」

女隊長「まあお前が結婚したら私一人で育てるから安心しな。その時はお役御免だ。嫌だったらさっさと結婚しな」

副隊長「……はぁ。いいですよ、わかりましたよ。当分結婚する予定もありませんしね」

女隊長「寂しいやつだな」

副隊長「あなたのせいですよ…全く」

女隊長「よし、決定。ということだ、ガキ。ほら、城に行くぞ。今日から私がお前の母親だ」

男「……いらない」

女隊長「あん?」

男「……親なんていらない」

副隊長「………」

女隊長「あん? なんでだよ? 照れなくていいんだぞ」

男「……別に今まで困らなかったし」

女隊長「お前は困らなかいかもしれないが店の人は困ってんだよ」

男「……僕には関係ないし」

女隊長「あのなぁ…」

男「……それにまたどうせ捨てられるし」

女隊長「…………」

男「……だったら最初から一人の方が」

女隊長「このバカタレ!!」

男「……っ」ビクッ

女隊長「お前には私がそんなやつに見えんのかよ!!」

男「……だって他人じゃん。優しくする意味ないじゃん」

女隊長「良いか!! よく聞けクソガキ!! ガキはガキらしく素直に生きてろ!! 馬鹿が難しいこと考えてるんじゃねえよ!!」

男「……でも」

女隊長「だああああああもうっ!!」

ギュッ

男「……え?」

女隊長「……寂しかったんだろうが。ガキが強がってんじゃねえよ」

男「……」

女隊長「私が最後までお前を責任もって育てる。だから安心しろ」

男「……本当に?」

女隊長「あぁ」

男「……どこにもいかない?」

女隊長「あぁ、約束する」

男「……絶対に絶対?」

女隊長「絶対に絶対だ」

男「……信じていいの?」

女隊長「当たり前、このバカッ」

男「うっ、うっ……うわああああああああん!!」ギュッ

女隊長「バカ…。男がそんなことで泣いてんじゃねえよ」ギュッ

副隊長「……良かったですね、隊長」

女隊長「あぁ…」

男「グスッ…」

女隊長「ほら、そろそろ泣きやめよ。そういやお前名前何て言うんだよ」

男「……忘れた」グスッ

女隊長「……何?」

副隊長「……3年も名前呼ばれかなかったそうなるかもしれませんね」

女隊長「……男だ」

副隊長「…はい?」

女隊長「コイツの名前は男だ!! 私が決めた!! 異論は認めねえ!!」

副隊長「え、えー。そ、それでいいんですか…」

女隊長「良いんだよ。私が決めたんだから間違いねえ。なっ、良いだろ、男?」

男「……うんっ」コクッ

副隊長「……いいんだ」

女隊長「素直でよろしい」ウンッ

女隊長「それじゃあやることやって城に行くぞ。お前の新しい家だ」

男「……うん」コクッ

副隊長「ところでやることってなんですか?」

女隊長「あぁ。まあ服買ったりなんだりすることは色々あるがまずこの街でやらなきゃいけないな」

副隊長「なんですか、それ?」

女隊長「あぁ…。おい、男」

男「……何?」

女隊長「お前、物を盗むことはいいことだと思うか?」

男「……ダメなこと」フルフル

女隊長「悪いことをしたら人はどうしなきゃいけない?」

男「……わかんない」

女隊長「……そうか。いいか、男。悪いことした時にはな、『ごめんなさい』しなくちゃいけないんだ」

男「……ごめんなさい?」

女隊長「あぁ。そうだ。お前はこれから今まで盗んできた人のところに『ごめんなさい』しなくちゃ駄目だ。できるな?」

男「……うん」コクッ

_____
___
_

女隊長「おい、いるかー?」

八百屋「どちらさんだい…って隊長さん!! どうしたんですか?」

女隊長「果物屋はどこにいる?」

八百屋「あ、はい、呼んできましょうか?」

女隊長「……そうだな。そっちの方がいいかもな。頼めるか?」

八百屋「はい、行ってきやす!!」

ダッ

女隊長「……いいか、お前は怒られるだろう。もしかしたら殴られるかもしれない」

男「……」

女隊長「でもお前は悪いことをした。だから逃げちゃいけねえ。わかるか?」

男「……うん」

女隊長「だったら腹括れ」

男「……うん」

八百屋「連れてきましたよ。隊長さん」

果物屋「どうしたんですか、隊長さん?」

女隊長「あぁ。この前のガキの件だ」

八百屋「おぉ!! 遂に捕まえたんですか!?」

女隊長「いや、私が育てることにした」

果物屋「……はい?」

女隊長「流石に子供を捕まえるわえにもいかなかったからな。だから私が責任を持って育てることにした」

八百屋「正気ですか!?」

女隊長「あぁ。そこでご本人から挨拶がある。おい、男、出てこい」

男「……」ヒュン

果物屋「なっ!? …お前というやつはっ!!」

八百屋「今まで散々やってくれたな!! どうしてくれんだ!!」



男「……ごめんなさい」ペコッ


ちょっとコンビニ行ってきます!

俺の缶コーヒーもお願いします


雨すごい…。
ただいま戻りました!

>>444-445
すいません、タバコとコーラで許してください!汗

再開します!

八百屋「なっ…」

果物屋「い、今更謝ったておせえんだよ!! お前のせいでうちがどんだけ損したと思ってんだ!!」

男「……ごめんなさい」ペコッ

果物屋「謝って許される問題じゃねえだろうが!!」

男「……ごめんなさい」

果物屋「こっ、この…!!」

八百屋「……まぁ待て」

果物屋「なんだよ!? あんたは許すっていうのかよ!? あんだけ盗られて!?」

八百屋「……」スタスタ

男「……」

八百屋「……おい、ボウズ」

男「……はい」

八百屋「なんであんなことをした?」

男「……生きるため」

八百屋「……そうか」

果物屋「生きるためだ? どういうことだよ?」

女隊長「……こいつには親が居ないんだよ」

果物屋「……な、何!? あ、あんなに前からずっと一人だったって言うのかよ…」

八百屋「……おい、小僧」

男「……はい」

八百屋「俺はお前を絶対許さねえ。金も全部払ってもらう」

果物屋「お、おいっ!! 今の話聞いてなかったのかよ!? 俺も事情知らなかったからあんなにキレたがそれを聞くと流石に可哀想じゃ…」

八百屋「……ツケだ」

果物屋「……え?」

男「……」

八百屋「お前、城で働くんだろ? だったらその金でたまにここに買いに来い。それで許してやる」

男「……ごめんなさい」

八百屋「バーカ。そういう時は『ありがとう』って言うんだよ小僧。覚えとけ」

男「……ありがとう」

八百屋「おう」

女隊長「……済まないな」

副隊長「……優しいんですね。皆さん」

八百屋「何。いつもお世話になってんだ。こんくらい屁でもねえさ」

女隊長「…そうか、それは助かる。まっ、今後は贔屓にさせてもらうよ」

八百屋「ははっ、むしろこっちが助かるよ。…それにガキのイタズラくらい許してやれないで何が大人だってな」

女隊長「…あぁ、そうだな。子供の間違いを正してやるのが大人の努めだよな」

副隊長「…そうですね。それができない親が子供を捨てちゃうんでしょうね」

八百屋「あんたらはそんな親になるんじゃねえぞ。あの子を頼むぞ」

女隊長「あぁ。世界で一番素敵な男に育ててやるよ。なんたって私の子供だからな」

八百屋「それは心強い」

女隊長「あとこいつのな」

副隊長「私はついでですか…」

八百屋「ハハッ、早速尻に敷かれてんな、親父さんよ」

副隊長「えぇ…。困ったものですよ」

女隊長「それじゃあ私達は行くよ。本当に済まないな」

八百屋「いいってことよ」

果物屋「その代わりこの国のこと、お願いしますよ」

女隊長「あぁ、任せろ。じゃっ、行くか」

副隊長「そうですね、買い物もしなくちゃいけませんしね」

男「……」コクッ

女隊長「じゃあな。またな」

副隊長「それではさようなら」

男「……じゃあね」フリフリ

果物屋「…おう」

八百屋「……おい、小僧!!」

男「……なに?」

八百屋「……たまには顔見せに来いよ」

男「……ありがとう」

_____
___
_

女隊長「ただいまー!! よーしよし、いっぱい買ったな!!」

副隊長「……買いすぎじゃないですか。いくらなんでも」ドッサリ

女隊長「いいんだよ。備えあれば患いなしっていうだろ?」

副隊長「はぁ…。なんだかんだやっぱり女の子なんですね」

女隊長「んだよ。文句あんのかよ」

副隊長「いえ、全くもってないです。重かったなーとか給料大分なくなったな、なんて思ってません」

男「……おじゃまします」

女隊長「…おいおい、男。お前は何を聞いてたんだよ」

男「……?」

女隊長「いいか、ここはもうお前の家だ。私、あいつ、お前の家だ。だから遠慮なんかいらねえ」

男「……」

女隊長「帰ってきたらただいま…だろ?」ニカッ

副隊長「そうですね。その通りです」

女隊長「あと、お前もだ」

副隊長「はい? 何がですか?」

女隊長「今後一切私に敬語禁止」

副隊長「で、ですが立場というものが…」

女隊長「いいか、私達は家族なんだよ、か・ぞ・く。わかるか? 家族で敬語なんか使うんじゃねえ」

副隊長「うっ…。わ、わかり…わかったよ、隊長」

女隊長「…まぁいい。そのうち慣れるだろ。男もだ。私のことは母さん、あいつのことは父さんって呼べ。わかったな」

男「……うん」コクッ

女隊長「返事は『レンジャー!』だ!!」

男「れ、レンジャー!」

副隊長「何やらせてるんで…だか…」

女隊長「よーし!! じゃあ帰ってきたとこからやり直し!!」

男「れ、レンジャー!」

副隊長「はぁ…」

女隊長「ただいまー!! よーしよし、いっぱい買ったな!!」

副隊長「はいはい、ただいま」

女隊長「じゃぁ、副隊長。おかえりのちゅーして?」

副隊長「ば、馬鹿言うんじゃありませんっ///」

女隊長「やれやれ、冗談だっての。顔真っ赤にしやがって」

副隊長「う、うるさい!! いい加減にしなさい!!」

男「……」

女隊長「ほら、男。入ってこいよ」

男「……れ、レンジャー!」

副隊長「いや、もうそれはいいから」

男「……お父さん、お母さん」

副隊長「なんだい」

女隊長「おう、なんだ」



男「…えっと、ただいま」



副隊長「…」クスッ

女隊長「…まっ、最初はそんなもんか」クスッ



副・女「「あぁ、おかえり。男」」


今日はこれで終わりです!!
暫くの間このくらいかこれ以下の投下量になりますがよろしくお願いします!!

沢山のコメントありがとうございました!


沢山のレンジャーありがとうございました!

今日も短めですが投下していきたいと思います!
ゆっくりめですのでゆっくり読んでください!

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魔法使い「……誰ですか、男って」

勇者「俺だよ」

魔法使い「どうしてこうなっちゃったんですか!?」

勇者「ハッ倒すぞ」

魔法使い「だ、だってあんなに大人しかった男君がこんな荒んだ大人に!!」

勇者「あんな師匠だったんだ。仕方ねえだろ」

魔法使い「…師匠?」

勇者「ん? あぁ、これから説明していく。眠いならいいが」

魔法使い「いやいや、何言ってるんですか。最後まで聞かせてくださいよ」

勇者「…そうだな、そんじゃ次は俺が国の兵士になった時の話だ」

魔法使い「えぇ!? 本当に兵士になったんですか!?」

勇者「うるせえ。黙って聞け。そうだな、あれは……」

_____
___
_

コンコンッ

元帥「入れ」

女隊長「失礼するでござる」ガチャ

元帥「……お前はまともな敬語も使えんのか」

女隊長「許してくれよ、私は剣しか習ってこなかったんだ。長い付き合いだ、わかってくれ」

元帥「…まぁよい。お前の親父に免じて許してやろう」

女隊長「恩に切るぜ」

元帥「それでなんの用じゃ。まさか遊びに来たわけでもあるまい」

女隊長「わかってるくせによく言うぜ」

元帥「儂の思い違いの可能性もあるからの。一応確認じゃ」

女隊長「だったら要件だけ言うぞ。軍に一人入団させたい」

元帥「うむ。わかった」

女隊長「はええな」

元帥「だから確認じゃと言ったろうに。それともなんじゃ? 断って欲しかったのか?」

女隊長「いや、それは面倒だからやめてくれ」

元帥「だったら良かろうに。はい、入団決定。明日のヒトフタマルマルにロビーで入団式を行う」

女隊長「ったく、適当だなあんたも。いいのかよ、それで」

元帥「いいんじゃよ。それにどうせ書類を提出しろと言ったところで、文面なぞ名前以外書けんじゃろ」

女隊長「それもそうだな」

元帥「だが興味はある。どんなやつなんじゃ?」

女隊長「そうだな。名前は男。これは私がつけたがな。生年月日不明、住所不明だ」

元帥「本当に参考にならん書類になるところじゃったな」

女隊長「本当にな。危うく資源の無駄使いをするところだったよ」

元帥「うむ、紙は大事じゃからな」

女隊長「あんたも髪を大事にしな」

元帥「まだそんな歳じゃなかろうに」

女隊長「以外と老いるのは早いもんだぜ? 気づかぬうちに抜け落ちてるかもしれねえぞ?」

元帥「そうじゃな。だが安心せい。儂の母方の祖父はフサフサじゃったから儂も大丈夫じゃ」

女隊長「それは良かった。親に感謝するんだな」

元帥「感謝しても感謝しきれんくらい感謝しておるよ」

女隊長「そうかい、そりゃいいことだ」

元帥「さて、では儂はもう寝るかの。お前もさっさと寝るんじゃな。肌が荒れるぞ」

女隊長「今更心配されてもおせえよ。どんだけ徹夜させられてると思ってやがんだ」

元帥「文句は曹長に言うんじゃな」

女隊長「全くだ。クッソ、あの野郎、マジで気に食わねえ」

元帥「…気をつけるんじゃぞ。やつは何を考えておるかわからんからの」

女隊長「あぁ。気をつけとくよ。んじゃ私は美容の為に寝るとするよ」

元帥「そうじゃ、女隊長よ」

女隊長「あん? なんだよ?」

元帥「名前は一生物だからな。大切にしてやるんじゃぞ」

女隊長「言われるまでもねえよ」

ガチャ

副隊長「お疲れ様です、隊長」

女隊長「あのなぁ、だから言ってんだろ? 敬語禁止だ」

副隊長「で、ですが今は仕事中…」

女隊長「返事」

副隊長「……わかったよ。それで、認められたの?」

女隊長「あぁ。二つ返事だよ。明日のヒトフタマルマルにロビーだってよ」

副隊長「随分とお早い決定で」

女隊長「あいつは本当に適当だからな」

副隊長「隊長は言えないよ。それにあの人あれでかなりやり手だからね」

女隊長「信じらんねえけどな。人を見抜く才能はかなりのもんだからな」

副隊長「だからこそ元帥なんていう立場に立ててるんでしょうけどね」

女隊長「人には何かしら長所があるもんなんだな」

副隊長「じゃあ早く男に伝えようか」

女隊長「そうだな。あいつまだ起きてんのか?」

副隊長「うん。お母さんが戻ってくるまでは起きてる、って言ってたよ」

女隊長「そうかい。そりゃ嬉しいな」

副隊長「随分懐かれたね」

女隊長「そりゃなんたってお母さんだからな。息子ってのはなんだかんだ言ってマザコンなんだよ」

副隊長「いや、それはどうだろう…」

女隊長「まあいい。さっさと戻ろうぜ。あいつも一人で寂しがってるだろ」

副隊長「そうだね。戻ろうか」

女隊長「手でもつないでいくか?」

副隊長「魅力的な提案だけど遠慮しとくよ」

女隊長「ちぇっ、つれねえな」

ガチャ

女隊長「おい、男。戻ったぞ」

男「……」ボー

女隊長「どこ見てんだよ、あいつ。おい、男。帰ったぞ」

副隊長「ただいま、男」

男「……うん? あ、僕か。おかえり、お母さん、お父さん」

女隊長「おいおい、お前自分の名前まだ覚えてねえのかよ。ていうか今まで何してたんだよ」

男「別に。ボーッとしてた」

女隊長「よく飽きなかったな」

男「慣れてるからね」

女隊長「…そうかい。それよりお前の入団が決まったぞ」

男「……本当?」

女隊長「嘘ついてどうすんだよ。明日の12時にロビー集合な」

男「レンジャー!」

副隊長「まだ言ってるの、それ」

女隊長「んじゃさっさと寝るぞ。歯磨けよ。トイレ行ったか? 漏らすんじゃねえぞ」

男「……うん」コクッ

女隊長「よーし、じゃあ明かり消すぞ。おい、副隊長。お前も早く布団に入れや」

副隊長「え? いやいや、僕の布団は違う部屋にあるんだけど」

女隊長「いいか、家族ってのは皆で寝るもんだ。だからお前も来い」

副隊長「い、いやいや、そこまでは流石に…」

女隊長「お前はこいつに悲しい思いをさせるつもりか? あ?」

男「……」

副隊長「うっ…。わ、わかったよ…」

女隊長「それでいいんだよ。よし、じゃあ男は真ん中な!!」

男「……うん」コクッ

女隊長「そんじゃおやすみー。いい夢見ろよ」

副隊長「落ち着け…素数を数えろ…」

女隊長「テメエは何ブツクサ言ってやがんだ」

女隊長「………」

副隊長「………」

男「………」モゾモゾ

女隊長「なんだ男。寝れねえのか」

男「……うん。こんなフカフカなの初めてだから」

副隊長「………」

女隊長「……そうか。まあ直に慣れる。だから心配すんな」

男「……うん」

女隊長「……」ギュッ

男「……何? 手握って」

女隊長「大丈夫だ。私は居なくならねえ。だから安心して寝な」

男「……うん。おやすみ」

副隊長「………」ギュッ

女隊長「……おやすみ。男」

_____
___
_

チュンチュン

女隊長「お前ら新しい朝だー!! 希望の朝だ!! 喜びに胸を開け!! 大空仰げ!!」バサッ

副隊長「う、う~ん。もう朝ぁ…」

男「……おはよう」

女隊長「おっ、随分男は目覚めが良いな。それに比べてお前は何だ副隊長。シャキっとしろシャキっと」

副隊長「朝は弱いんだよ…。おはよう」フワァ

女隊長「なんだよ、お前。枕が変わると寝れないタイプかよ」

副隊長「そういうことにしといて」

副隊長(素数数えすぎたとは言えないし)

女隊長「んじゃ、さっさと朝飯にすんぞ。私は腹が減った。朝飯をご所望だ」

副隊長「…まさか僕に作れと?」

女隊長「そういうこと」

副隊長「…はぁ。まあいいけどね」

副隊長「だけど料理できないようじゃ苦労するよ」

女隊長「うるせえな。いいだろ、お前が作れるんだからよ」

副隊長「…はぁ、やれやれ。君の夫は大変だね」

女隊長「うるせえな。その分私が稼いでくるから許してくれ」

副隊長「…妻より稼ぎの少ない夫って」

女隊長「別にいいだろ。そのうち女の方が強くなる時代が来るっての」

副隊長「はぁ…。面目丸つぶれだよ」

女隊長「愛さえあれば問題ないだろ」

副隊長「あればね」

女隊長「…ないのかよ」ショボン

副隊長「え? あ、いや、そういうわけじゃ!!」

女隊長「だったらさっさと飯を作れ!!」

副隊長「……ちょっとグッと来た僕がバカだったよ」

______
___
_

女隊長「そんじゃ両手を合わせて~」

「「いただきます!!」」

男「……いただきます」

女隊長「ん~!! 美味い!! おかわり!!」

副隊長「食べるの早すぎだよ。ちゃんと噛んで。あと朝から食べ過ぎじゃない?」

女隊長「良いんだよ、朝飯は力の源だ。ちゃんと食わねえと一日元気に過ごせねえよ」

副隊長「まぁそうだけど限度があるよ。太るよ?」

女隊長「その分動いてっからいいんだよ」

男「……ご馳走様」

女隊長「…はあ? お前全然食ってねえじゃねえか」

副隊長「あ、あれ? 口に合わなかった?」オロオロ

男「……お腹いっぱい」

女隊長「……まぁ今まで果物一個とか過ごしてきたらそんなもんか。でもちゃんと食わねえと大きくなれねえぞ? ただでさえそんなほっせえ体してんだからよ」

男「……夜食べる」

女隊長「……仕方ねえか。少しずつ食う量増やしていけよ。今日からお前も国の兵士だ。体力もたねえぞ」

男「…うん」コクッ

副隊長「でも時間まで大分あるけどどうするの?」

女隊長「とりあえずゆっくりしてようぜ。珍しく私も暇だしな」

副隊長「そうだね。じゃあ僕は食器を片付けるよ」

女隊長「すまんな」

副隊長「そう思うなら少しは家事覚えてよ」

女隊長「まっ、そのうちな」

副隊長「やれやれ」ハァ

女隊長「男ー。遊ぼうぜー」

男「…うん」コクッ

女隊長「とりあえずこれが花札な。いいかー、ルール教えるから覚えろよ」

男「…うん」コクッ

副隊長「あなたは何を教えてるんですか!!」

______
___
_

女隊長「そんじゃそろそろ行くか」

男「…うん」コクッ

副隊長「うわー、めっちゃ花束上手くなってるよ」

女隊長「将来ギャンブラーになりそうで怖いな」

副隊長「だったら教えるなよ!!」

女隊長「男、とりあえずこれに着替えろ」

男「…うん」コクッ

副隊長「随分立派な軍服だね。僕なんて最初お下がりだったのに」

女隊長「まあこいつに合うサイズなんてなかったからな」

副隊長「隊長のは?」

女隊長「あん? なんだ、私の過去知ってんのかよ。ストーカーかよお前」

副隊長「違うよ!! 元帥から聞いたんだよ!!」

女隊長「何だよ、だったら最初から言えよ」

副隊長「言う暇もくれなかったくせによく言うよ」

女隊長「まああれだ。私がそんな物持ちいい訳ねえだろ」

副隊長「…まぁ確かに」

男「……着替えた」

女隊長「ん? おー、よく似合ってるじゃねえか」

副隊長「本当だね。うん、いいと思う」

女隊長「よし、男良いか? お前は今から軍人だ。軍人たるもの弱い姿は見せてはいけない。わかったか」

男「……うん」コクッ

女隊長「返事が小さい!! 蚊みてえな音出してるんじゃねえ!! テメエの口は何のためについてやがる!! もっと声を張れ!! それと返事はレンジャーだ!!」

男「れ、レンジャー!」ビシッ

女隊長「よーし!! では作戦に移る!! 今回の任務は『ロビーへの集合』だ!! 遅れるんじゃねえぞ!! ついてこい!!」

男「レンジャー!」ビシッ

副隊長「何やってんのさ、二人共…」

_____
___
_
元帥「皆の者集合したか」

「「「「「はっ!!」」」」」

元帥「それでは本日より新しく入団した者を紹介する。男、参れ」

男「レンジャー!」ビシッ

元帥「れ、レンジャー?」

女隊長「あいつマジでやりやがった」クスクス

副隊長「あなたは……」

男「……えっと、本日より入団させて頂くことになった男です。よろしくお願いします」

パチパチパチ

元帥「う、うむ。では貴様は暫くの間女隊長の指導のもと訓練に励め。良いな?」

男「レンジャー!」

元帥「げ、元気があってよろしい」

女隊長「ぶふっ!!」

副隊長「あなたは何仕込んでるんですか…」

元帥「それではこれで解散とする!! 各自所定の場所へ戻れ!!」

「「「「「はっ!!」」」」」

女隊長「おう、男お疲れさん」

男「……完璧?」

女隊長「ああ、最高だったよ」

副隊長「違う意味でですけどね…」

男「……?」

元帥「おい…女隊長。貴様は何をしておるのだ…」

女隊長「おぉ、これはこれは元帥。お疲れ様でございました」

副隊長「本当にお疲れ様です…」

元帥「お疲れ様ではないはドアホ。貴様はいたいけな子供に何を教えておるのだ」

女隊長「完璧だったろ?」

元帥「笑いこらえるのに必死じゃったわ」

副隊長「あーあなたもそっち側でしたか」

男「……?」

元帥「とりあえずそいつのことは頼むぞ。生かすも殺すも貴様次第じゃ」

女隊長「おう、任せろ。世界に名を轟かす男にしてやるよ」

副隊長「……変なふうに轟かせそうで怖いですけどね」

元帥「一応訓練所の申請はしておる。今後も使うようであれば随時申請しといてくれ」

女隊長「おう、何から何まですまんな」

元帥「そう思うんじゃったら問題を起こすでない。処理するこっちの身にもなれ」

女隊長「あぁ、善処しとくよ」

副隊長「本当に申し訳ありません…」

元帥「うむ、それでは副隊長。男と女隊長を頼むぞ」

副隊長「はい」

女隊長「は? 私も頼まれるの? どゆこと?」

副隊長「わかってください、20歳児」

女隊長「なるほど、わからん。おい、男行くぞ」

男「……うん」

副隊長「早速訓練するの?」

女隊長「そりゃな。私だけサボるわけにもいかねえだろ」

副隊長「そっか。じゃあ男、頑張ってね」

男「……うん」コクッ

女隊長「よし、じゃあ行くぞ!! 着いてこい!! 男二等兵!!」タッタッタ

男「レンジャー!」タッタッタ

副隊長「やれやれ…。いつ直すんだか」

-訓練所-

女隊長「よし、では今から訓練を行う!!」

男「レンジャー!」

女隊長「それと訓練中は私のことを師匠と呼べ!! わかったか!!」

男「レンジャー!」

女隊長「よーし!! では貴様、志望する武器はあるか!!」

男「…レンジャー」スッ

女隊長「あん? 何だ、お前。一丁前に長剣がいいのか?」

男「レンジャー」コクッ

女隊長「自惚れるな馬鹿者!!」

男「れ、レンジャー!」ビクッ

女隊長「貴様に長剣など10年早いわ!! 貴様の様な貧弱な体で長剣が扱えるものか、馬鹿者!!」

男「れ、レンジャー!」


女隊長「おい、貴様!! 何故長剣がいいと思ったんだ?」

男「…師匠が使ってるから」

女隊長「……そうか。それは素晴らしい理由だ。だがしかーし!! 貴様には早い!!」

男「れ、レンジャー!」

女隊長「戦場とは生き物だ!! いつどう戦況が変わるかもわからん!! そんな中扱いづらい武器など使って何になる!! かっこよさなど二の次だ!! 恥を知れ!!」

男「レンジャー!」

女隊長「そんなもやしの様な見窄らしい体をした貴様にはこれで十分だ!!」

男「……ナイフ? これで勝てるの?」

女隊長「誰が口答えしていいと言った!! 返事は全てレンジャーだ!!」

男「れ、レンジャー!」

女隊長「いいか!! 殺すのに武器などさほど重要ではない!! 其の辺の石でも充分凶器になる!! 使えるものは全て使うのだ!! 貴様にはそれを学んでもらう!! わかったか!!」

男「レンジャー!」

女隊長「よーし!! では早速訓練に入る!! 準備は良いか!!」

男「レンジャー!!」

死神より

オマエはなにを代償にする?

女隊長「貴様にはまずこの『処刑君一号』を相手にしてもらう!! こいつは動かないただの木偶の坊だが同じ木偶の坊のお前にはこれで十分だ!!」

男「レンジャー!」

女隊長「良いか、まず基本的な戦い方だが一番最初に足を狙う!! 何故だかわかるか!!」

男「レンジャー!」

女隊長「そうだ!! 敵の機動力を奪うためだ!! 機動力さえ奪ってしまえば木偶の坊となんら変わりない!! その後ゆっくり敵を倒せばいいのだ!! わかったか!!」

男「レンジャー!」

女隊長「では行けっ!! まず足を斬るのだ!! その後背後に周り首を狙え!!」

男「レンジャー!」ヒュン

スパッ

ヒュン

スパッ

女隊長「…あ」

男「レンジャー!」ヒュン

女隊長「あぁ…。そうだ、こいつ移動魔法使えるんだ…。懐に入るための方法とか教える必要ないじゃん…」

>>483
つ りんご

-城-

女隊長「……ふぅ」ギシッ

コンコンッ

女隊長「入れー」

ガチャ

副隊長「お邪魔するよ」

女隊長「おう。なんだ。何の用だ」シュボッ

副隊長「また煙草かい。体に悪いよ」

女隊長「あいつの前じゃなかなか吸いづれえだろ。許してくれよ」フゥー

副隊長「だったらこれを機にやめればいいじゃないか」

女隊長「そんな簡単にやめれるんだったらとっくにやめてるよ」

副隊長「今年からじゃないか吸い始めたの…」

女隊長「うるせえな。で、何の用だよ」

副隊長「いや、対した用じゃないんだけどね」

死神(笑)とかwww中二病かよwww

女隊長「だったら家で話せよ。私もこれ終わらせたら帰るからよ」

副隊長「いや、流石に本人の前で聞くのはどうかなって思ったからさ」

女隊長「男の話か?」

副隊長「そうそう。どうだったの、訓練は?」

女隊長「はぁ…。どうもこうもねえよ」

副隊長「そんなにダメだったの?」

女隊長「いや、逆だ。あいつは100年に1人の実力だ」フゥー

副隊長「……え?」

女隊長「あいつは強すぎる。あとひと月も訓練すれば実践で使えるレベルだ」

副隊長「そ、そんなに強いの!?」

女隊長「あぁ。移動魔法があそこまで強いと思わなかったよ」

副隊長「そうか…。それがあれば基本動作はほとんど必要ないもんね…」

女隊長「そういうことだ。あと1月で人体の構造や隊形を教えて移動魔法の精度上げて応用法を教えりゃ並みの上等兵よりいい仕事をするだろ」

副隊長「そ、そこまで…」

女隊長「あぁ…。恐ろしい逸材だ」

>>488
名ま…なんでもないです

副隊長「……その割には嬉しくなさそうだね」

女隊長「……そうだな」

副隊長「…やっぱり実践に送り出すのは嫌なの?」

女隊長「…あぁ。いくら使えるからってあまりにも若すぎる」

副隊長「でも隊長もこのくらいの歳には入団してたんじゃないの?」

女隊長「バカタレ。私は普通の人間だ。訓練やら研修やら含めてやっていたら実践に出る頃には12にはなってたよ」

副隊長「…そう考えると異例すぎるね」

女隊長「ああ。だから私はまだ時期尚早だとは思う。だが実力は申し分がなさすぎる」

副隊長「…悩み所だね」

女隊長「本当にな。…流石にこんな若さから血を見せたくはないからな」フゥー

副隊長「そうだね。でもまぁ、何も事件が起きなければ問題ないんでしょ」

女隊長「…そうだな。何もないことを祈るしかねえな」

副隊長「フフッ。優しいね、隊長は」

女隊長「…あぁ。これが母になるってことなのかもしれねえな」

-1ヶ月後-

男「…移動魔法」ヒュン グサッ!

女隊長「…完璧だ。移動魔法の使い方もバリエーションが増えたしな。…合格だ。もう私に教えることは何もない」

男「……師匠」

女隊長「おめでとう!! 貴様は無事長きに渡る訓練を終えた!! 今日をもってここを卒業だ!!」

男「……師匠!!」

女隊長「もう私はお前の弟子などではない!! 立派な兵士だ!! 胸を張って国の為に尽くすがいい!!」

男「……いえ、師匠はいつまで経っても師匠です! 自分は師匠の弟子であることを誇りに思います!」

女隊長「くっ…。泣かせることを言うでない!! さあ!! とっとと荷物をまとめて出て行け!!」

男「師匠!」

女隊長「…返事はどうした。いつものあの返事はどうした!!」

男「うっ……ですが…」

女隊長「…頼む。最後の師匠命令だ」

男「うっぐ…、れ、レンジャー!!」

副隊長「台本持たせて何やってるんですか」

女隊長「おい、馬鹿。良いところだっただろうが」

副隊長「いやいや、何してんの」

女隊長「何って見りゃわかんだろ。今から部屋に戻るところだよ」

副隊長「少しもそんな雰囲気なかったよ!!」

女隊長「で、なんだよ。大事なとこ邪魔したんだからそれなりの用事なんだろ?」

副隊長「あ、あぁ、うん。元帥が呼んでたよ」

女隊長「あ? なんでだよ?」

副隊長「僕も知らないよ。また何かしたんじゃないの?」

女隊長「なんでお前は真っ先に私が悪いと思うんだよ」

副隊長「今までのことを思い出してみなよ」

女隊長「馬鹿野郎!! 人間の目はな、未来を見るために前についてんだよ!!」

副隊長「いい台詞が台無しだよ!!」

女隊長「ちっ、仕方ねえ。訓練が終わった報告も兼ねて元帥のところ行ってくるか」

副隊長「そうしてよ。僕は男を連れて部屋に戻ってるから。行くよ、男」

男「……」コクッ

コンコン

元帥「入れ」

ガチャ

女隊長「おい、なんだよ。折角いいところだったのに邪魔しやがって」

元帥「いや、貴様らに何があったかなぞ知るわけもなかろう。兎に角座れ」

女隊長「…なんだよ、大事な話かよ」

元帥「あぁ。それもとびっきりな」

女隊長「…じゃあ座らせてもらうよ。それでなんだよ」ギシッ

元帥「実はな、地下牢から数名盗賊が脱獄したらしい」

女隊長「……なんだと?」

元帥「詳しい時間などはまだわかっておらん。先ほど見張りが交代を告げに行った時に牢が開いてるのを発見したそうじゃ」

女隊長「…ということは長くて3時間か」

元帥「そのようじゃな。そこで貴様らの小隊にそいつらを捕まえて欲しいとの要請が来た」

女隊長「なるほどな。よし、わかった」

元帥「それとな……」

女隊長「なんだよ。他にも何かあるのかよ?」

元帥「…男の訓練は終わったのか?」

女隊長「ああ。それがどうした」

元帥「…今回の任務には男も加わって欲しいとのことだ」

女隊長「…なんだと?」

元帥「今回の任務は貴様らの小隊に男を加え任務に望んで欲しいとのことだ」

女隊長「なっ!? ふざけんな!! なんであいつもなんだよ!!」

元帥「落ち着け、隊長。貴様の気持ちもわからんでもない」

女隊長「だったら何故!!」

元帥「まず今の軍の現状じゃ。先の争いによって多くの人を失った。だから一刻も早く即戦力が欲しいというのが現状じゃ」

女隊長「だがいくらなんでも!!」

元帥「…そして男の育った環境じゃ。それに不信感を持っているやつらも多い。本当に信用にたる人材なのか、とな」

女隊長「……」

元帥「これが会議で出た意見じゃ。儂も反対したんじゃが…力及ばずに済まない」

女隊長「……いや、私も熱くなりすぎた。悪い」

元帥「ということだ。申し訳ないが頼む。引き受けてはくれないか?」

女隊長「……あぁ。わかったよ」

元帥「…大きな声じゃ言えんがこの件、曹長が大きく関わっているという噂がある」

女隊長「……何?」

元帥「気をつけるんじゃぞ。なんじゃったら男はその場に居させるだけでもいいと儂は思っておる」

女隊長「…そうさせてもらうよ」

元帥「くれぐれも気をつけるんじゃぞ」

女隊長「ご忠告感謝するよ」

_____
___
_

女隊長「貴様ら全員集まったか!!」

「「「「「はっ!!」」」」ジャー」

女隊長「今回の任務は盗賊を牢屋にブチ込むことだ!!」

「「「「「はっ!!」」」」ジャー」

女隊長「いいか!! 一人の取り逃しも許されねえ!! そして一人の脱落も許さねえ!! わかったか!!」

「「「「「はっ!!」」」」ジャー」

女隊長「よっしゃ!! いくぞテメエら!! 目にもの見せてやれ!!」

「「「「「はっ!!」」」」ジャー」

副隊長「……そろそろ男の掛け声直してあげようよ」

女隊長「いいじゃねえか、わかりやすくて」

副隊長「……まぁ男もそのうち気づくよね、うん」

男「……」

女隊長「どうした、男? 緊張してんのか?」

男「……」フルフル

女隊長「そうか、そりゃ心臓に毛が生えてるこった」

副隊長「…しかし、曹長は何を考えてるんだ。こんな子供に任務を与えるなんて」

女隊長「…私にもわからん。だが男には指一本触れさせねえ!!」ギリッ

副隊長「…そうだね。さっさと片をつけよう」

女隊長「行くぞ男!! 私に着いてこい!!」

男「レンジャー!」

盗賊1「おーい、誰もいねえのかよ。こっちから出てきてやったんだ。出てこいよ」

盗賊2「おいおい、国の兵士が怖気づいてんのか? あぁん?」

兵1「居たぞ!!」

盗賊3「お、やっとこお出ましか。待ちくたびれたぜ?」

女隊長「総員かかれ!!」

「「「「はっ!!」」」」

男「レン…え?」グイッ

女隊長「お前はもうちょいここで待ってな」

男「……」コクッ

女隊長「そいつのことは頼むぞ、副隊長さんよ!!」

副隊長「うん、任せて」

盗賊4「おら、来いよ!! ぶっ潰してやるぜ!!」

兵2「それはこっちのセリフだ!!」ダッ

盗賊5「今までの鬱憤ここで晴らすぜー!!」

兵3「はああああ!!」

盗賊4「おらよっ!!」ブンッ

兵3「がはっ!!」ズバッ

盗賊6「ハハハハ!! 弱えんだよお前ら!!」ブンッ

兵4「くっ…。こいつら強い…」キンッ

盗賊2「違えよ!! お前らが弱すぎるんだよ!!」ブンッ

兵5「だああああっ!!」ズバッ

盗賊1「何が国の兵士だ!! 聞いて呆れるぜ!!」ブンッ

兵7「くっ!!」ズバッ

副隊長「そ、そんな…。まるで歯が立たない…」

男「……」

盗賊3「よええ!! 弱すぎるぜ!! もっと骨のあるやつは居ねえのかよ!!」

女隊長「…おい、お前ら。私が相手してやるよ」

兵1「た、隊長…。すみません…」

盗賊2「ほう…。なかなかいい女じゃねえか」

女隊長「そりゃどうも。あんた見る目あんじゃん」

盗賊3「カッカッカ!! 強気だね!! 気に入った!!」

盗賊5「ちゃんと俺にも回せよ!! 溜りに溜まってんだ!!」

女隊長「やれやれ、品のねえ男共だな。安心しな。すぐにまた豚小屋に叩き込んでやるからよ」

盗賊4「言うねえ。できるもんだったらやってみな!!」ダッ

盗賊1「いくぜ、お前ら!!」ダッ

「「「「「おうっ!!」」」」」

女隊長「ふん、自ら私の懐に入ってきてくれるなんてありがたい限りだね」

盗賊3「カッカッカ!! 今すぐ身包み剥がしてやるよ!!」ダッダッダ

女隊長「そんなに死に急いでどうすんだよ。まっ、そんなに死にたきゃ願ってやるよ」

女隊長「死神のご加護がありますようにってな!!」


お風呂入ってきます!!
なんだかんだ今日長くなりそうです・・・汗

盗賊1「馬鹿が!! 死ぬのはそっちだよ!!」ブンッ

女隊長「バーカ。誰がそんな攻撃当たるかよ」ヒョイ

盗賊1「なっ!?」

女隊長「攻撃ってのはな、こうやってやるんだよ!!」ブンッ

盗賊1「ぎゃああああああああああ!!」ズバッ

盗賊2「何やられてんだよ、馬鹿が!!」

女隊長「馬鹿はお前だよ。どこ見てんだ」ブンッ

盗賊2「い、いつの間…ぐわああああああああああ!!」ズバッ

盗賊3「おいおい、マジかよ…」

盗賊4「な、なんだこいつ、やべえぞ!!」

女隊長「そいつに喧嘩売ったのはお前らだよ!!」ズバッ

盗賊3「かあああああああああああああ!! 足があああああああああああ!!」

盗賊4「があああああああああああ!!」

盗賊5「ま、待て!! やめ、ああああああああああああああああああ!!」ズバッ

女隊長「待てって言われて待つ馬鹿がどこにいんだよ」

盗賊6「お、俺らが悪かった!! だから待ってくれ!!」

女隊長「武器を向けたろ?」

盗賊6「…え?」

女隊長「人に武器を向けてたってことはよ、殺す覚悟と死ぬ覚悟があったってことだろ?」

盗賊6「そ、それは…」

女隊長「そんな覚悟のない奴が武器を人に向けてんじゃねえよ!!」

盗賊6「す、すいま…があああああああああああああああああ!!」ズバッ

女隊長「ったく、私もとんだ甘ちゃんだね」

女隊長「……峰打ちだ、馬鹿共」

副隊長「さ、流石隊長…」

男「……すごい」

兵2「た、隊長!! 流石です!!」

女隊長「お前らお疲れさん。そいつらを連れてってさっさと休みな」

兵3「はっ…すみません」

女隊長「誰かが誰かをカバーする。それがチームだろうが」

兵4「隊長…」

女隊長「おら、さっさとそいつらを連れて行きな」

兵5「はっ!」

兵6「よし、お前ら運ぶぞ!!」

「「「「「「はっ!!」」」」」」

女隊長「うむうむ。良きかな良きかな」ウンウンッ


「甘えんだよ、バーカ」


女隊長「なっ!! が…っ!!」ズバッ

副隊長「隊長!!」

男「…っ!!」

盗賊7「だーれが6人って言った? あん?」グイッ

女隊長「くっ…。しまった…」

兵7「き、貴様!! 隊長を離せ!!」

盗賊7「誰が離すか。仲間を散々やってくれたようじゃねえか」

女隊長「ぐっ…。お前らはさっさとそいつらを牢にぶち込め!!」

盗賊7「誰が喋っていいって言ったよ!!」ザクッ

女隊長「が……っ!?」

兵3「隊長!!」

女隊長「いいから早く行け!!」

盗賊7「黙れって言ってんだろ!!」ザクッ

女隊長「あああああああああああああ!!」

兵4「…くっ!! 隊長に従え!! 行くぞお前ら!!」

「「「「「「…はっ!!」」」」」」ダッ

盗賊7「おいおい、行っちまったぞ。随分薄情だな、おい」

女隊長「…ばーか。…上官の言うことを聞くのは当たり前だろうが」ボタボタ

盗賊7「…そうかよ。だったら残念だったな。誰にも看取られず死にな!!」



男「やめろ!!」


盗賊7「……あん?」

副隊長「お、男!!」

女隊長「ば、バカ!!」

男「師匠に酷い事するな!!」

盗賊7「おいおい、どうしたんでちゅか~僕? 迷子でちゅか~?」

女隊長「や、やめろ!! お前は隠れてろ!!」

盗賊7「あん? テメエは喋んじゃねえよ!!」グイッ

女隊長「ぐっ…っ!!」

男「やめろ!!」

盗賊7「おいおい、誰に舐めた口聞いてんだよ? ぶっ殺すぞ、ガキが?」

女隊長「男!! やめろ!! 逃げろ!!」

男「……」キッ

盗賊7「…気に入らねえガキだ。潰す」

副隊長「男!! やめなさい!!」

女隊長「男やめろ!! 頼む!!」

男「……」

盗賊7「かかってこいよ、クソガキがっ!!」

男「……レンジャー」

ヒュン

盗賊7「…あん?」

ヒュン

男「……死ね」

盗賊7「なっ!?」

女隊長「やめろおおおおおおお!! 男おおおおおおおおおおおお!!」

スパッ

ゴロンッ…

ブシャアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!

男「……」ポタポタポタ

女隊長「あっ……あっ……!!」

副隊長「………くっ」

女隊長「男!! どうして!!」

男「……大丈夫、師匠?」

女隊長「なんで!! なんで殺しちまったんだよ!!」

男「……訓練の成果出た?」

女隊長「男っ!!」

男「……僕悪いことしたの?」

女隊長「そうだよ!! 殺しちゃ駄目だろ!!」

男「……そっか」

トコトコ

女隊長「…男?」

男「……ごめんなさい」ペコッ

女隊長「━━━━━━━━っ!!」

男「……許された?」

副隊長「……」

女隊長「…………」

男「……師匠?」

女隊長「……帰ろう、男」

男「……レンジャー」ビシッ

女隊長「………うっ」ダキッ

男「……どうしたの、師匠?」

女隊長「………ううっ」ギュッ

男「……血、付いちゃうよ?」

副隊長「……隊長、戻りましょう」

女隊長「……あぁ」

男「……?」

-城-

女隊長「………」

コンコンッ

女隊長「……どうぞ」

ガチャ

副隊長「……失礼するよ」

女隊長「……悪いな、報告頼んじまって」

副隊長「いや、大丈夫だよ。そっちこそ怪我は大丈夫?」

女隊長「……あぁ、なんともないよ」

副隊長「…そっか」

女隊長「…あぁ」

副隊長「……男は寝たよ」

女隊長「……そうか」

副隊長「……うん」

女隊長「……なぁ、副隊長」

副隊長「…何?」

女隊長「…私は母親失格だ」

副隊長「そ、そんなこと!!」

女隊長「慰めはやめてくれ」

副隊長「……」

女隊長「…私は息子に人殺しをさせちまった。私のせいでな」

副隊長「……」

女隊長「それに聞いたか? 死体に向かって『ごめんなさい』だってよ。ははっ、なんだよ、それ…っ」

副隊長「……隊長」

女隊長「…私はあいつに何も教えれなかった。戦いしか教えれなかった。大事な事を何一つ教えてやれなかったんだ。1ヶ月何してたんだってな」

女隊長「なあ…。私は何すればいいのかわかんねえ…。私はどうすればいいんだよ…。私は何を教えりゃいいんだよ…」

副隊長「………」

女隊長「結局私は剣しかねえのかよ…。子供一人育てられねえのかよ!!」

ギュッ

女隊長「……」

副隊長「……ごめん、僕も悪いんだ。僕も何もしてあげれなかった」

女隊長「……」

副隊長「ご飯作って、一緒に寝るだけ。他のことは全部隊長に任せきり。何が父親だよ」

女隊長「……」

副隊長「…だから隊長だけが背負い込むことじゃない。僕にも責任がある」

副隊長「犯してしまった罪は消えない。だからこれからその罪を償っていくしかないよ」

副隊長「人の目は未来を見るために前についてるんでしょ?」

女隊長「……」

パンパンッ!!

副隊長「た、隊長!?」

女隊長「…って~、染みるな。でも目が覚めた。そうだよな、母親が凹んでる場合じゃねえよな」

副隊長「…うん。しっかり男を育てていこうよ」

女隊長「あぁ。どこに出しても恥ずかしくねえ男にしてやるよ!!」

-翌日-

ガチャッ

女隊長「…失礼します」

副隊長「失礼します」

男「…します」

元帥「…来たか。まあ座るがいい」

ギシッ

元帥「…それで今回貴様らを呼んだのは他でもない。昨日の件だ」

副隊長「……はい」

元帥「……男。貴様があやつを殺したのか」

男「……」コクッ

元帥「……そうか」

元帥「…何故じゃ。何故殺したのだ?」

男「……師匠が危なかったから」

元帥「…師匠?」

女隊長「私のことです」

元帥「むっ、そうか…。隊長が危なかったから殺した、そういうわけじゃな?」

男「……」コクッ

元帥「…そうか。よかろう。だったら正当防衛じゃ。今回はお咎めなしじゃ」

副隊長「元帥…」

女隊長「…ありがとうございます」

元帥「うむ。ではもう良い。下がれ」


「ちょっと待ってくれませんかねぇ?」


元帥「……」

男「……?」

「そいつはどうですかねぇ? 私にはそうは思えませんねぇ?」

元帥「ノックをせずに入ってくるとは些か非常識ではないか? 曹長よ」

曹長「あぁ、これは失敬」

元帥「それで…どういう意味じゃ。曹長。説明せよ」

曹長「いや、ですからそのままの意味ですよぉ。私には彼が明確な意思を持って殺したのではないか…そう言ってるんですよぉ」

元帥「何故そう思うのじゃ?」

曹長「簡単ですよぉ。そんなどこから来たかもわからない子供ですよぉ? そんな子の言うことを信用するんですかぁ?」

女隊長「貴様…っ!!」

副隊長「落ち着いて、隊長!!」

女隊長「…くっ!!」

曹長「それに育ててるのが隊長ですよぉ? 敬語もまともに使えない奴が育てた子なんて人格が歪むに決まってるじゃないですかぁ」

男「……師匠の悪口、許さない」

曹長「…はいぃ?」

男「……斬る」チャキ

女隊長「男!! やめろ!!」

曹長「ほらぁ、見てくださいよ元帥。このようにすぐ暴力で解決したがるぅ。そんな子がまともなはずないじゃないですかぁ」

元帥「…貴様も口が過ぎるぞ、曹長」

曹長「おやおやこれは失敬。ですがこれでわかっていただけたでしょうぅ? どれほどこの子が危険かぁ?」

元帥「……貴様は男をどうするつもりじゃ?」

曹長「何、私も鬼じゃないですぅ。私が責任持って育てますよぉ」

女隊長「…何?」

元帥「…どういうつもりじゃ、曹長」

曹長「いえ、実力は今回の件で充分わかりましたぁ。ですから私がしっかり教育すればぁ、国にとってかなり有益になるじゃないですかぁ?」

元帥「だったら隊長でも変わりないではないか」

曹長「その結果があれですよぉ? 信用できるんですかぁ? 今後何人も殺すようでは国の名誉も下げることになるんですよぉ?」

女隊長「させません…」

曹長「はいぃ?」

女隊長「そのような事決してさせません!! 私がしっかり指導します!! 今後同じようなことは絶対にさせません!!」

曹長「おやおやぁ、今後同じようなことがあればあなたの首もかかってくるんですよぉ? お父様から受け継いだ大事な大事な役職を手放すことになるんですよぉ?」

男「……」

曹長「もしたかが子供のせいで職を失ったとなればぁ、お父様もさぞ悲しむことでしょぉ。いいんですかぁ? お父様を裏切ることになってもぉ? ハイリスクノーリターンですよぉ?」

女隊長「…それでも」

曹長「はいぃ?」

女隊長「それでも!! 私はこの子を育てます!! 大事な息子なんです!! 家族なんです!! 息子の間違いを正してやるのが親の使命なんです!!」

曹長「…ほぉ」

副隊長「…責任でしたら私も取ります」

曹長「おやおやぁ、副隊長。あなたはもっと利口な人だと思っていたんですがねぇ」

副隊長「…私も彼の父親です。確かに血は繋がっていないかも知れません。ですが、私にとっては大事な息子なんです!!」

男「……」

曹長「…やれやれ、そんな子供の何が大切なのか私にはわかりませんがねぇ」

元帥「曹長」

曹長「はいはい、わかりましたよぉ。まぁ、精々今後問題を起こさないようにしてくださいねぇ? 次起こしたら…わかってますねぇ?」

女隊長「…はい」

副隊長「…畏まりました」

曹長「まっ、今回はこれでよしとしましょぉ。ではぁ、私は失礼しますぅ」

ガチャッ

元帥「…ったく、何しに来たんじゃか、あの男は」

男「……ごめんなさい」

副隊長「……」

女隊長「男、お前は今何に対して謝ってんだ?」

男「……僕が悪いことしたから」

女隊長「何が悪いことだったんだ?」

男「……わかんない」

女隊長「馬鹿野郎!!」

パンッ

男「……っ」

副隊長「隊長!!」

元帥「……」

女隊長「…私がなんで叩いたかわかるか?」

男「……僕を嫌いになったから」

女隊長「馬鹿野郎!! ちげえだろうが!!」

ギュッ

男「……師匠?」

女隊長「クソッ…。私は何してたんだよ…」

男「……泣いてるの?」

女隊長「…何で泣いてると思う?」

男「…悲しいから」

女隊長「何で悲しいんだ?」

男「……わかんない」

女隊長「……っ!!」

副隊長「隊長…」

元帥「……」

女隊長「…男。人を殺すことはイイ事か? ダメなことか?」

男「……ダメなこと?」

女隊長「…そうだ。なんでダメだと思う?」

男「……わかんない」

女隊長「……それは死んだら生き返らないからだ」

男「……死んだらダメなの?」

女隊長「……あぁ、駄目だ」

男「……なんで?」

女隊長「…悲しむ人が居るからだ」

男「……どうして?」

女隊長「…お前は私が死んだらどう思う?」

男「……死んじゃうの?」

女隊長「仮の話だ、バカッ」

男「……悲しい」

女隊長「じゃぁお前が死んだら私がどう思うと思う?」

男「……わかんない」

女隊長「…悲しいに決まってんだろうが」ギュッ

男「……どうして?」

女隊長「…好きだからに決まってんだろうが」

男「……好きって何?」

女隊長「…居なくなったら嫌だってことだ」

男「……じゃぁ僕師匠好き」

女隊長「…そうか、ありがとうな」

男「……うん」

女隊長「…じゃぁその好きな人が人を殺したらどう思う?」

男「……悲しい」

女隊長「……どうしてだ?」

男「…好きな人が悪いことした。だから悲しい」

女隊長「…そうだ。じゃぁ私はなんで怒った?」

男「……僕が人を殺したから」

女隊長「…そうだ。じゃあ私はなんで叩いた?」

男「…僕が悪いことをしたから怒ったから」

女隊長「…どういう気持ちで叩いた?」

男「……もうしちゃダメって思いで叩いた」

女隊長「……あぁ、そうだよ…。そうなんだよ」ギュッ

男「……ごめんなさい」

女隊長「…それはどういう意味のごめんなさいだ」

男「……人を殺してごめんなさい。悲しませて、怒らせてごめんなさい」

女隊長「……もうしないか?」

男「…うっぐ、しません。…もうしません、ごめんなさい」

女隊長「……もうするんじゃねえぞ、バカッ」グスッ

男「……うっぐ、うわああああああああああああああああああん!!」

女隊長「……よしよし。わかればいいんだよ」ナデナデ

元帥「……流石だな」

副隊長「……えぇ。私はまた何も出来ませんでした」

元帥「…お前は隊長を支えてやってくれ。育児に不安になることも多いはずじゃ。お前はその悩みを聞いてやるんじゃ。それが夫の努めというもんじゃ」

副隊長「……はい、わかりました」

元帥「今後も大変なこともあるはずじゃ。何度も何度も挫けそうになることもあるじゃろう。だが、貴様らなら乗り越えられる。そうじゃろう?」

副隊長「……はいっ」

元帥「うむ。それでは引き続き男を頼んだぞ」

副隊長「…はい」


男「うわああああああああああああん!! ああああああああああ!!」

女隊長「もう泣くんじゃねえよ…。こっちまで釣られるだろうが…バカッ」グスッ


今日はこれで終わりです!!
長くなって申し訳ない!

明日は多分来れないと思いますが今後ともよろしくお願いします!!

人を殺す技術教えといて殺しちゃ駄目って…
女隊長も死神のご加護とか言ってるくせに殺しはできないと

やっぱり親は子供を叱るときに理由を言ったら、
良い育児の仕方だろうな

曹長「ほらぁ、見てくださいよ元師。このようにすぐ暴力で解決し…………
うわあああぁぁぁあぁぁあ!!!!」ヒュンザシュッ
男「」


沢山のコメントありがとうございました!

>>531
自衛隊のように殺す訓練をしても殺しをしないところもあります。
軍対軍の戦争の場合、殺さずに捕虜として生かしておくことができます。
このように殺す訓練をしても殺さないでおくことができるはずなんです。
むしろ殺す訓練をしているからこそ、殺さずに相手の動きを奪うことだってできるはずです。
女隊長はそんな風に育てたかった…んだと思います!

設定甘いところとかあるかもしれませんが許してください!
では今日は短めに投下して行きます!

_____
___
_

勇者「その後もまぁ、色々問題はあったが俺は師匠のおかげでなんとか乗り越えてきた」

魔法使い「……感情って難しいんですね」

勇者「あぁ。形に見えねえからな。それが良いところでもあり悪いところでもあるんだろうけどな」

魔法使い「師匠さん相当苦労したんでしょうね…」

勇者「本来人と関わることで自然と身につくものだろうからな。それを一からとなるとなかなか大変だったろうな」

魔法使い「師匠さんに感謝ですね」

勇者「全くだ」

魔法使い「それ以降勇者様は人をその…殺しはしなかったんですか?」

勇者「そうだな」

魔法使い「……そうですか」ホッ

勇者「…あぁ、あの日まではな」

_____
___
_

男「たっだいまーっと」

師匠「男おおおおおおお!! おかえりいいいいいいい!!」ダッ

男「……」ヒュン

ドンッ

師匠「うげっ!?」

男「…なんちゅー声出してんだよ」

師匠「おいコラ!! テメエ何避けてやがんだ!! 折角私がおかえりのハグしてやろうと思ったのによ!!」

男「アホ。何歳だと思ってやがる。もう18だぞ、俺も」

師匠「馬鹿野郎!! 何歳になってもお前は私の息子だ!! だから私には抱きつく権利がある!!」

男「ねえよ」

中佐「おかえり、男。久しぶりだね」

男「おぉ、元気か親父? 師匠がまた何かやらかさなかったか?」

師匠「なんで私がやらかす前提なんだよ、テメエはよ」

男「いや、大佐になってやりたい放題やってんのかなって」

師匠「やるかアホ。ちゃんと大人しくしてたは」

中佐「いや、それはどうだろう…」

男「ほれみろ」

師匠「うるせえよ。それよりお前はちゃんと伍長になれたのかよ」

男「ったりめえだ。俺を誰だと思ってやがる」

師匠「私の息子だ」

男「いや、そうだが釈然としねえ」

師匠「っていうかお前はいつになったら私をまたお母さんって呼んでくれるんだよ!!」

男「師匠はいつまで経っても師匠だっつったろ」

師匠「それはお芝居の中だろうが!!」

男「俺は有言実行の男だからな」

師匠「あぁ…これが反抗期なのか…。母、挫けそう」

男「むしろ今までよく挫けなかったな。師匠、あんたやっぱすげえよ」

師匠「だーかーら!!」

中佐「ま、まあまあ。兎に角おかえり、男。1年ぶりくらいかな」

男「そうだな。10ヶ月くらいだとは思うけどな」

師匠「だというのにこいつは…。親の気持ちも知らないで…」

男「だからっていきなり息子に抱きつきに来るか、普通」

師匠「他所は他所、家は家だ」

男「そうかよ」

師匠「それにしても背も伸びたな。ガキの頃はあんなに小さかったのに。今じゃ私よりでかいもんな」

中佐「僕もいつの間にか越されちゃってたもんな」

男「育ち盛りだからな」

師匠「それに比べて私は歳を取ったもんだよ。気づけば三十路だ。最初にあんたに言われた通りおばさんになっちまったよ」

男「そうか? あんまり変わったようには見えねえけどな」

師匠「おっ。嬉しいこと言ってくれるね。今日はご馳走にしてやるよ」

中佐「作るのは僕なんだけどね…」

男「なんだよ、師匠。お前未だに親父に飯作らせてんのかよ。いい加減作れるようになれよ」

師匠「るっせえな、人には向き不向きがあるんだよ」

男「お前には不向きが多すぎんだろ」

師匠「お前っつた!! こいつ親に向かってお前って言った!!」

男「…はぁ。元気でなによりだよ」

中佐「ははは、これでも男が帰ってくるまでそわそわしてたんだよ」

男「何?」

師匠「馬鹿言うんじゃねえよ、中佐!! 私が親バカみてえじゃねえか!!」

中佐「いや、実際そうでしょ」

師匠「確かに」ウンッ

男「認めんな、アホ」

師匠「はぁ…。いつからこんなに口が悪くなっちまったんだか…」

男「口が悪くなったのは明らかにお前のせいだろ」

師匠「昔は『レンジャー!』って私の後ろ着いて来てたのによ」

男「まだ言うか。ていうか師匠のせいで俺がどんだけ恥かいたと思ってやがる」

師匠「んなもんいつまでも気づかねえお前が悪いだろ」

男「わかるか、アホ。おかげで未だに『レンジャー』って呼ばれるんだよ」

中佐「あはは、それは可哀想に」

男「微塵も思ってねえだろ」

師匠「まあまあいいじゃねえか。愛称で呼ばれるのはいいことだろ」

男「ちなみに俺らの中であんたの愛称は『アラサー』だけどな」

師匠「あいつらシバく!!」

男「愛称で呼ばれるのはいいことなんだろ」

中佐「なんでまたそんな愛称に…」

男「由来は『今日も荒ぶってるな、大佐』略して『荒佐』から来てんだ」

中佐「それはまた…」

師匠「それじゃあ久々に花札でもやろうぜ!!」

男「嫌だよ、師匠弱いし」

師匠「うるせえ。あんなもんただの運だろ」

男「そう思ってるから弱いんだよ。それに俺眠いし」

師匠「だったら一緒に寝よう!! そうしよう!! 久々に川の字で!!」

男「だから俺はもう18だっつうの。それに師匠寝相悪いし」

師匠「んなわけあるか。寝てる時一度も手を離したことねえだろ」

男「だから俺がラリアット食らう羽目になるんだろうが」

師匠「細かい男だな。そんくらい許せよ」

男「ふざけんな。いい加減子離れしやがれ」

中佐「そうだよ、大佐。君ももういい大人なんだから」

師匠「我慢することが大人だって言うなら私は大人になんかならなくていい!!」

男「いい加減にしやがれ」

男「俺は明日の朝、元帥に報告しに行かなくちゃならねえんだ。寝坊するわけにはいかないの。だからゆっくり寝させろ」

師匠「ちっ、あの野郎邪魔しやがって」

男「俺は元帥さまさまだけどな」

師匠「わーったよ。今日は見逃してやる」

男「今後も是非そうして欲しいものだ」

中佐「じゃ、とりあえず今ご飯作るからそれまでゆっくりしてなよ。積もる話もあるだろうし」

男「悪いな親父。恩に切るよ」

中佐「ご馳走作るから楽しみにしててよ」

男「ありがとよ」

中佐「その感謝を半分でも大佐に言ってあげればいいのに」クスッ

師匠「そうだそうだ!!」

男「やなこった。つけあがるだけだろ、こいつは」

中佐「…まぁ確かに」

師匠「酷い言われようだな、おい」

男「今までの師匠の行動が招いた評価だよ」

_____
___
_

男「ふぅ…。ご馳走様。流石だな親父。美味かったよ」

中佐「お粗末さま。そう言って貰えると作った甲斐があったってものだよ」

師匠「いやぁ、しかし本当に上手いな。いい夫を捕まえたぜ」

中佐「ははは、形だけだけどね…」

男「……」

師匠「うっし、ご馳走さん」シュボッ

中佐「もう…。男が大きくなったのをいい事にここでも吸って…」

男「……煙草ってそんなうめえのかよ?」

師匠「ん? 吸ってみっか?」

中佐「大佐!!」

男「んじゃ遠慮なく」スゥー

中佐「あぁ!?」

男「っ!? ゲホッゲホッ!! なんじゃこりゃ!?」

師匠「これが煙草だよ」

男「まっず!! よくこんなの吸ってられんな…。水…」

中佐「全く…。もう吸うんじゃないよ」

男「もう二度と吸いてえとは思わねえよ」

師匠「まっ、最初はそんなもんだよな。やれやれお前もまだガキだな」

男「煙草がうまいと感じることが大人だって言うなら俺は大人になんかならなくていい」

師匠「まあ煙草なんか吸ってもイイ事ねえからな。百害あって一利なしだ。吸わないに越したことはないね」フー

男「吸わねえよ。つかだったら師匠はなんで吸ってんだよ」

師匠「…そうだな。一番最初に吸ったときは嫌なことを忘れるためだったかな。煙草吸うと頭クラッとすんだろ。その時は辛いこと考えなくて済んだからな」

中佐「……それって」

男「そうかい」

師匠「詳しく聞かないんだね。優しいこった」

男「…別に。興味がねえだけだよ」

師匠「…そうかい」

男「んじゃ俺は寝るぞ。おやすみーっと」

中佐「じゃあ僕も皿洗い終わったし寝るかな」

師匠「おぉ、そうか。ありがとな。んじゃおやすみー」

中佐「うん。じゃあまた明日ね」

男「……おい、待てよ。なんで親父は部屋の外に出ようとしてるんだ?」

中佐「ん? だって寝るんでしょ?」

男「この部屋で寝ないのかよ」

中佐「そうだね。僕の部屋もあるしね」

男「おい、師匠いいのかよ。さっき散々一緒に寝ようって言ってたじゃねえか」

師匠「でも中佐と二人で寝るってのはな」

男「……あんたら家族じゃねえのかよ」

中佐「そ、それは…」

師匠「まあ婚約関係にはないからな」

中佐「…そうだね」

男「……そうかい」

中佐「…男?」

男「俺がいない間もあんたらは別々に寝てたのか?」

師匠「そうなるな」

男「……何が家族だ」

中佐「…え?」

師匠「……」

男「アホらし。寝るわ。じゃあな。おやすみ、中佐、大佐」

中佐「ちょ、ちょっと男!」

ヒュン

中佐「…どうしたんだ、男」

師匠「……」


今日はこれで終わりです!
明日もこのくらいだと思いますがよろしくお願いします!


沢山のレスありがとうございました!
短めですが投下していきます!

-翌日-

コンコン

ガチャ

男「失礼するぞ」

元帥「返事を待ってから入らんかい」

男「それは申し訳ない。以後気をつけるよ」

元帥「そう言って待ってた試しがないがの」

男「3歩歩いたら忘れちまうんだよ」

元帥「随分と鳥頭じゃの」

男「それで俺はなんできたんだっけ?」

元帥「もう良いわ。どうじゃ、伍長になった気分は?」

男「別になんら変わりはねえよ。ただ小隊をまとめるのは面倒くせえな。俺は自分で戦ってたいぜ」

元帥「お前らしいのお」

男「個人行動の方が楽なんだよ」

元帥「追々慣れるじゃろ。それより訓練中なにか面白いことはなかったのか?」

男「そういえば最後の試練中山賊に襲われたは」

元帥「随分と運のないやつらじゃな」

男「どっちがだ?」

元帥「相手じゃよ。それでどうしたのじゃ?」

男「ふん縛って洞窟に置いてきた」

元帥「何故連行しなかったんじゃ」

男「いや、なんかすっげえ反省してたみたいだし」

元帥「貴様何をしたのじゃ」

男「別にいつも通りだよ」

元帥「それは不憫じゃな」

男「それにピッキングの方法も教えてもらったしな。道具もくれたし」

元帥「何を教えてもらっておるじゃ…。どうせ道具は奪ったんじゃろうが」

男「くれたら豚箱入りは勘弁してやるっつたら快くくれたぞ。等価交換だろ?」

元帥「ホントやりたい放題じゃな、お主は」

男「まあいいじゃねえか。次やったら知らねえぞって釘刺しといたから」

元帥「それは比喩か? それとも事実か?」

男「とりあえず報告終わったから俺は戻るぜ」

元帥「シカトか。儂寂しい」

男「あ、そうそう。そういやもうすぐ国王になるんだって? おめでとさん」

元帥「なんじゃ知っとたのか。就任してから驚かしてやろうと思ってたんじゃがな」

男「かなり有名だぜ、その話。まさか軍から国王が出るとはな。びっくらこいたよ」

元帥「残念ながら准将も大臣になる予定じゃがな」

男「何? 准将ってあれだろ、元曹長だろ? マジかよ…」

元帥「間違っても殺すんじゃないぞ?」

男「師匠の悪口を言われたらわからんな」

元帥「笑えない冗談はよせ。あの時は本気で殺すかと思ったわい」

男「多分本気で殺す気だったと思うぞ? 覚えてないが」

元帥「…じゃろうな」


男「いいじゃねえか、過ぎた話だろ。それ以降誰も殺してないんだ。許してくれ」

元帥「それはお主の母のおかげじゃろ。しっかりと感謝するんじゃな」

男「……そうだな」

元帥「なんじゃ、何かあったのか?」

男「…いや、ちょっとな」

元帥「言うてみ。話すだけでも意外と違うもんじゃぞ」

男「…随分優しいこった」

元帥「儂は個人的にお前を好いておるからな」

男「げっ、マジかよ。今度からケツ向けないようにしよ」

元帥「そういう意味ではないは馬鹿者。どうして素直に人の好意を受け取れないのじゃ」

男「行為を受け取りたくないからかな」

元帥「本当にアホじゃな、貴様は」

男「師匠に似たんだろうよ」

元帥「で、何があったんじゃ?」

男「…あのよ、あいつらってなんで婚約してないと思う?」

元帥「……そうじゃな。貴様はどう思っておるのじゃ?」

男「…俺は俺のせいなのかなって思ってる」

元帥「…そうか」

男「だってよ、もうあれから10年経ってんだ。ずっと一緒にいるってことはそういう事だろ? なのに婚約もしてない。おかしくないか?」

元帥「…ふむ」

男「ずっと俺を育ててくれたからな。そんな暇無かったんだろうよ。俺のせいでタイミングを失ったんだと思ってる。違うか?」

元帥「…そうじゃな。10年も一緒に居ればな。今更婚約という気持ちもあるかもしれんな」

男「だろ? だからなんとかしてあいつらをくっつけてやりたいんだが…」

元帥「…だが貴様はそれでいいのか?」

男「…どういうことだ?」

元帥「そのままの意味じゃ。二人が婚約しても貴様は心から祝福できるのか?」

男「そりゃぁ…」

元帥「貴様何故大佐のことを師匠と呼んでおるのだ。中佐は親父なのにじゃ」

男「……」

元帥「貴様は自分がやつの息子だということを認めたくなかったのではないか? それじゃと…」

男「んなわけあるかよ。何歳離れてると思ってんだ。ずっと師匠って呼んでんのは昔からの癖だよ」

元帥「……それが貴様の選択か?」

男「…おう。俺は親孝行者だからな」

元帥「…そうか。それが貴様の選んだ道だというなら儂は何も言わん」

男「そうかい。相談に乗ってくれてありがとよ。んじゃな」

元帥「おい、男」

男「…なんだよ?」

元帥「後悔だけはするのではないぞ」

男「……あぁ。大丈夫だよ」

゙チャ

男「……ふぅ」

准将「おやおやぁ、どうしたんですかぁ? 浮かない顔してますねぇ?」

男「……これはこれは准将。大臣になるそうで。おめでとうございます」

准将「おやおやぁ、ありがとうございますぅ。そちらこそ伍長おめでとうございますぅ」

男「…ありがとうございます」

准将「しかしぃ、まさか君が伍長になるとはねぇ。よく今まで人を殺さないでこれたねぇ」

男「えぇ、大佐と中佐の教えが良かったんじゃないですか?」

准将「ふぅ~ん、それはどうですかねぇ? 山賊を取り逃すような男に育ったのにですかぁ?」

男「…よくご存知で」

准将「残念ですねぇ。私が教育していればぁ、そんな子に育つことは無かったんですがねぇ」

男「……」

准将「まぁいいですぅ。今からでも遅くはないでしょぅ」

男「…何がですか?」

准将「現在ぃ、私は戦争や魔物に対抗するためにぃ、特殊部隊を作ってるのですよぉ」

男「…左様ですか」

准将「そ・こ・でぇ、是非君にもその部隊に入っていただきたいのですよぉ」

男「…申し訳ないですが遠慮しておきます」

准将「おやおやぁ、何故ですかぁ? 給料だっていい値段お支払いしますよぉ?」

男「おれ…自分はその様な器ではありません」

准将「謙遜なさる必要はありませんよぉ? 現状軍で一番強いのは君だと専ら噂ですよぉ?」

男「それは根も葉もない噂ですよ」

准将「そんなことないですよぉ? 移動魔法を駆使しぃ、様々な状況も打破してきた君が弱いなんてことは有り得ないんですよぉ」

男「…それに自分は過去、あなたを殺そうとしましたからね」

准将「そんなこと水に流しましょぅ。気にすることありませんよぉ」

男「…申し訳ありません。やはり無理です」

准将「そうですかぁ…。それは非常に残念ですねぇ」

男「申し訳ありません」

准将「まぁ、今回は良しとしましょぅ。で・す・がぁ? 私は諦めるつもりはありませんよぉ?」

男「お誘いは嬉しいのですが、今後も断り続けることになるでしょう。申し訳ありません」

准将「おやおやぁ? 随分嫌われていますねぇ?」

男「……」

准将「否定も無しですかぁ。まぁ、良いですぅ。ではぁ、今回はここでぇ」

男「…お疲れ様です」

准将「あぁ、そうそぅ。山賊の件はぁ、今回不問としますがぁ、今後は知りませんよぉ?」

男「…肝に命じておきます」

准将「そ・れ・とぉ。私は君を諦めるつもりは更々ないですからねぇ?」

男「…そうですか」

准将「えぇ」

准将「…どんな手を使ってでもねぇ」


今日はこれで終わりです!
明日はそこそこ書くつもりなのでよろしくお願いします!

「特価交換」ってアレ?
男「さて、今日のギルドの依頼は…」

准将「残念ですねぇ。私が教育していればぁ、そんな子に育つことは無かっ
……ゴフッ…………貴様ぁ」ヒュンズドッ
ドタッ
男「」

>>566
これも続いてるのか


メール欄に書かないで欲しい

>>572
いちいち殺すなwww


>>1
言葉のつなぎは、「~は」しめは、「~わ」だよ
2ちゃんでは、わざとなのか知らんのか全部「~は」になってるけどね


沢山のレスありがとうございました!

>>571
すみません、読んでないのでわかんないです…汗

>>573
すみません、メール欄になんかしてました?汗

>>574
ありがとうございます! 気をつけます!

じゃあ投下していきます!

_____
___
_

ガチャ

男「今帰ったぞー」

師匠「おい、男!! お前明日は暇か?」

男「あん? まあ訓練終わったし暇だけど」

師匠「よしっ!! 中佐、どうせお前は暇だろ?」

中佐「え、酷くない? そのいい方」

師匠「じゃあ仕事あんのかよ?」

中佐「……ナイデス」

師匠「うっし!! んじゃ決まりだ!!」

男「
は? 何がだよ?」

中佐「本当だよ。何がだい?」

師匠「決まってんだろ」

師匠「家族旅行だ!!」

男「え、いや、いいよ」

師匠「馬鹿野郎!! 仕事にも一区切り付いた!! 明日は休み!! そうなるとやることは一つ!!」

男「家でゆっくりだな。おやすみ」

師匠「ふーざーけーるーなー!! 行くっつたら行くんだよ!!」

男「嫌だよ。明後日小隊の顔合わせがあんだよ。疲れた顔で行きたくねえよ」

師匠「つっても全員顔見知りだろうが。今更取り繕っても無駄だろ」

男「うるせえ。俺はインドア派なんだよ」

師匠「だったら尚更だ!! 少しは太陽に顔出して来い!!」

男「いいよ、充分研修で顔出したよ。もう顔見知りだ」

師匠「それでも!!」

男「…はぁ。あのなぁ、そもそも俺らは家族じゃねえだろ。血もつながってねえ、婚約もしてねえ。それで何が家族なんだよ」

師匠「…ッ!!」

中佐「男っ!! 何てことを!!」

男「育ててくれたことは心の底から感謝してる。だが俺がいない時は別々に暮らしてたんだろ? それで何が家族だ」

師匠「……」

男「俺が愛だと感じてたものは違ったんだな。結局は軍の強化の為に育てたんだろ? 移動魔法なんて珍しいからな」

師匠「そ、そんな…」

男「だったらもういいだろ。もうこんな家族ごっこ」

パチーン

男「……」

中佐「…大佐に謝れ」

男「は? なんでだよ?」

中佐「大佐がどんな気持ちでお前を育てたと思ってるんだ!!」

男「知らねえよ、人の気持ちなんかわかんねえよ。大佐の気持ちもあんたの気持ちもな」

中佐「男!!」

男「だってそうだろうが。俺がいなきゃ別々で暮らすようなやつらの気持ちなんかわかるかよ」

中佐「…」

男「だから言ってんだろ。育ててもらったのは感謝してるってよ。だが俺ももう18だ。一人で生きていける。だからもうごっこ遊びは終わりだ」

中佐「お前は何をそんなに怒ってるんだ!!」

男「わかんねえだろ? 人の気持ちなんて? そういうことだ」

中佐「なんでそんなことを言うんだ!!」

男「一々うるせえな。もうあんたらとは家族じゃねえっつってんだよ」

中佐「…何?」

男「今まで育ててくれてありがとよ。心配すんな、今まで俺にかかった金は全部払う」

中佐「男!!」

師匠「……」

ドサッ

男「こんだけありゃ足りんだろ? 今までの給料全額だ」

中佐「おい、待て!!」

男「…それでは失礼します、中佐、大佐」

ヒュン

中佐「男…」

師匠「……」

-街-

ヒュン

男「……はぁ」

八百屋「ん? おぉ、男じゃねえか。久しぶりだな、おい」

男「あん? あぁ、八百屋の親父か。ご無沙汰だな」

八百屋「なんだ? また盗みに来たのか?」ニヤッ

男「それは本当に悪かったって」

八百屋「ちょっとしたジョークだろうが。どうした? 元気ないが?」

男「あー、ちょっとな」

八百屋「どうしたんだよ? 親子喧嘩か?」

男「まあそんなところだ」

八百屋「一体何が原因なんだ?」

男「あぁ、えっとだな―――」

八百屋「なるほどな」

男「今回の件に関して全面的に俺が悪いんだがな」

八百屋「そうだな。ずっと育ててきてくれたのに酷い言い草だな」

男「あぁ。大人気なかったよ」

八百屋「バーカ。18なんてまだまだガキだよ」

男「そんなもんか?」

八百屋「そんなもんだ」

男「でもよ、このままなあなあな関係が続くのは良くねえと思ったんだよ」

八百屋「どうしてだ?」

男「あいつらまだ婚約すらしてねえんだよ」

八百屋「何? そうだったのか?」

男「そうなるだろ? ぶっちゃけ俺も知らんかった」

八百屋「既にお前を引き取った時には婚約してるもんだと思ってたよ」

男「俺もだ」

男「まあきっとその原因が俺だからさ。あいつらももういい歳だろ? このままずるずる行ったら自分の子供も作らずに一生終えそうだろ?」

八百屋「…まぁ確かにな」

男「だから俺が居なくなれば婚約もするだろうし自分の子供を作る暇も出来んだろ」

八百屋「それにしたってやり方が不器用過ぎんだろ」

男「…それは本当にな」

八百屋「しかし本当にそれでいいのか?」

男「どういう意味だ?」

八百屋「それでお前も、大佐達も幸せなのかって話だよ」

男「…そりゃ幸せだろ。どこの誰かわからんガキ育てるよりも自分らの子供の方が可愛いに決まってんだろ」

八百屋「……本気で言ってんのか?」

男「あぁ」

八百屋「だとしたらお前はとんだ親不孝者だよ」

男「…何でだよ?」

八百屋「お前、今年で育ててもらって何年目だ?」

男「10年目だな」

八百屋「そうだな。10年っつたら相当だよな? そんだけ育てた息子が可愛くないってか? ふざけんな、クソガキ」

男「……」

八百屋「途中、元曹長…今の准将か? そいつが代わりに育てるつってたんだろ? 嫌いだったらさっさとそいつに預けてんだろ」

男「……まぁ」

八百屋「だろ? なのにずっと育ててくれたんだ。お前は既にあいつらの立派な息子なんだよ」

男「でも」

八百屋「デモもストもねえんだよ。いいか、わざわざお前が家族でなくなる理由はねえんだよ」

男「……」

八百屋「血の繋がりがない? 関係ないね。血の繋がりがあったお前の両親はお前を見捨てただろうが」

男「…そうだな。その通りだ」

八百屋「気を悪くしたなら謝る。言葉が悪かったな」

男「いや、気にしてねえよ。何年前の話だと思ってやがる」

八百屋「…そうかい」

八百屋「まっ、なんだ? まだ婚約してねえのは中佐が意気地なしだってことだな」

男「ははっ、ちげえねえ」

八百屋「だがお前はそこに居ていいと思うぜ。わざわざ消える必要はねえよ」

男「…そうかい。ありがとな」

八百屋「あとは中佐がちゃんと婚約を申し込めば万々歳か、お前からすれば」

男「…あぁ、そうだな」

八百屋「なんだ? まだ問題でもあるのか?」

男「…いや、なんもねえよ。さぁ、俺は親父の説得にでも行くか」

八百屋「その前にちゃんと謝れよ」

男「……はい」

八百屋「ったく」

男「ありがとうな。わざわざ相談に乗ってくれてよ」

八百屋「気にすんな。そのかわり親泣かせんじゃねえぞ」

男「…あぁ。わかったよ」

-城-

男「……」コソッ

シーン

男「…はぁ。誰もいねえか」

中佐「何が誰も居ないって?」

男「っ!?」クルッ

中佐「やあ、おかえり」

男「……ただいま」

中佐「さっ、ご飯できてるよ」

男「……」

中佐「…どうしたの? 食べないの?」

男「……何で何も言わねえんだよ」

中佐「……僕も頬を叩いてしまったからね。悪いのはお互い様さ。だからこの件は水に長そう」

男「……あんたはそれでいいのかよ」

中佐「…え?」

男「なんで親父は師匠と婚約しねえんだよ!! 何年間待たせてやがんだ!!」

中佐「なっ!! そ、それは…」

男「俺のせいか?」

中佐「そ、それは違う!!」

男「…だったら何でだよ」

中佐「……自信がないんだ」

男「何?」

中佐「僕は大佐よりも出世も出来てないし彼女を守るだけの力もない。そんな彼女と結婚して本当に幸せに出来るのかなって。僕なんかで釣り合うのかなって」

男「…だったらなんでずっと俺の親父やってたんだよ」

中佐「…嬉しかったんだ。仮とはいえ僕を夫として選んでくれて。チャンスなんか有りっこないと思ってたからね」

中佐「それでずっと二人で君を育ててきて…幸せだったんだ、僕は。大佐も楽しそうだし、君も成長して、本当に毎日が幸せだったんだよ」

中佐「…でももちろんこれ良いのかという思いもあったよ。君の言う通りこれじゃ家族ごっこだ」

男「…」

中佐「だけどもしこれで断られたら…今までの生活は終わってしまうんじゃないか。そう思うとなかなか言い出せなくてね」

中佐「ずるずる引張ていたら…気づけば10年だ。もうどのタイミングで言えばいいのかも分かんなくなっちゃったよ」

男「…何弱気なこと言ってんだよ。馬鹿か、お前は」

中佐「……本当にね」

男「ごちゃごちゃ難しいこと考えてんじゃねえよ!! 好きなら好きって素直に言えよ!!」

中佐「男…」

男「失敗なんか恐れてるんじゃねえよ!! 前だけ見て生きてろよ!!」

中佐「……そうだね。男の言う通りだ」

男「…今言わなかったら一生後悔するぞ」

中佐「…うん。そうだね。僕…今から告白してくるよ」

男「…あぁ、そうしろ。あんたの思いをハッキリ伝えてきな」

中佐「うん!! ありがとう、男!! 行ってくる!!」

男「…行ってこい、馬鹿親父」

バタンッ


男「……」

男「何が失敗なんか恐れてるんじゃねえよ…だ」

男「一番失敗を恐れて何もできなかったのはどこの誰だってな」

男「今言わなかったら一生後悔するぞ…か」

男「……ん?」

男「これは…師匠の煙草か」

男「…嫌なことを忘れるため…か」

男「……」

シュボッ

男「……」スパー

男「ハハハ、確かにこりゃ旨えや」

男「こりゃやめらんなくなるのも無理はねえな」

男「……はぁ」

男「煙が目にしみるな」

ガチャッ

中佐「大佐!!」

師匠「…どうしたんだよ、中佐。ノックくらいしろよ」

中佐「あ、あぁ、それはごめん」

師匠「…んで、なんの用だ?」

中佐「…大事な話があるんだ」

師匠「まさか男が帰ってきたのか!?」

中佐「…帰ってくるかもしれないね」

師匠「…どういう意味だ?」

中佐「大佐。聞いて欲しいことがあるんだ」

師匠「…なんだよ、珍しく真剣な顔して」

中佐「あぁ。とっても大事な話だ」

師匠「…なんだ。言ってみ」

中佐「うん…。聞いてくれ」

中佐「僕はずっと…この10年間楽しかった」

中佐「男の成長はもちろん、君と過ごした日々もとっても楽しかった」

中佐「…でもね、僕の心はずっとモヤモヤしてたんだ」

中佐「婚約もしてない、即席で出来た家族。そんな関係でずっと男を育てていいのか」

中佐「…男の言う通りだよ。これじゃただの家族ごっこだ」

中佐「最初はそれでも良いかなって思ってた。こんな日々が毎日続くなら」

中佐「…でもやっぱりそれじゃダメだったんだよ」

中佐「男もずっとそれを感じてたんだろうね」

中佐「そんなモヤモヤした状態で過ごしたくなんかない」

中佐「…僕はもうこんな中途半端な関係は嫌だ!!」

中佐「だからお願いだ、大佐!!」

中佐「僕と本当の家族になってくれ!!」

師匠「……」

中佐「…返事を聞かせてもらってもいいかな?」

師匠「…それはお前の本当の気持ちか?」

中佐「あぁ。そうだよ」

師匠「…私は料理も出来ねえぞ?」

中佐「その分僕が作るよ」

師匠「…全然女らしいところなんてねえぞ?」

中佐「そんなことない。とっても魅力的だよ」

師匠「…すぐに凹むような女だぞ」

中佐「その時は僕が支えるよ」

師匠「…本当に私で良いんだな?」

中佐「君じゃなきゃ嫌だ」

師匠「…そうか」

ギュッ

師匠「………何年待たせんだよ、ばかっ」

中佐「…ごめんね、ずっと自信が持てなかったんだ」

師匠「…馬鹿。最初にお前を選んだ時に気づけよ。この鈍チン」

中佐「ごめん」

師匠「嫌われてんのかと不安になったんだぞ、馬鹿」

中佐「…ごめん」

師匠「…今まで待たせた分、取り戻させろよ」

中佐「…あぁ。幸せにするよ」

師匠「……だったら行動で証明してくれ」

中佐「…うん。わかったよ。大佐」

師匠「…なんだ」

中佐「…目、瞑って」

師匠「…あぁ。初めてだからな。大事にしてくれよ」

中佐「…うん」

______
___
_


ちょっとお風呂入ってきます!


再開します!

-翌日-

師匠「というわけで家族旅行に行こう!!」

男「……は?」

師匠「だから家族旅行だ!!」

男「…昨日断っただろうが」

師匠「昨日断られた理由は本当の家族じゃなかったからだ。だろ?」

男「…まぁそうだな。だったら」

師匠「だがしかし!! なんと!! 私達は昨日籍を入れてきた!!」

中佐「あはは、心配かけたね」

男「……お早いこった」

師匠「善は急げというだろ? ほら、もう断る理由はねえ。行くぞ」

男「だったら二人で行ってこいよ。夫婦水いらずでよ」

師匠「馬鹿者!! 家族旅行だと言ってるだろうが!! 新婚旅行なんて後回しだ!!」

男「…親父可哀想に」

中佐「いや、今回は僕も大佐に賛成だよ。折角本当の家族になったんだ。男にも一緒に来て欲しいんだ」

男「…はぁ、そうかよ。わかったわかった降参だ。行けばいいんだろ」ヒラヒラ

師匠「よーし!! では早速出発だ!! 各自準備に取り掛かれ!!」

男「…待て、どこに行くんだよ」

師匠「返事はレンジャーだ!!」

男「いや、良いから。なんだよそのテンション。高すぎだろ」

師匠「だって、お前、折角の旅行だぞ!! 上げてかなくてどうするんだよ!!」

男「…だからどこに行くんだよ」

師匠「…私の親父の別荘だ」

男「……そうか」

師匠「あぁ。ずっと親父に顔見せてねえからな。そろそろ見せに行かなきゃな。枕元で立たれても嫌だしな」

男「…もう大丈夫なんだな?」

師匠「バーカ。もう10年以上も前だっての。今更気にするかよ。それにな…」

男「…なんだよ」

師匠「こんなに大事な家族が出来たんだ。孫の顔くらい見せてやらなきゃ嘘だろ?」

_____
___
_

師匠「よっし、到着!! うわ~、久々だなぁ」

中佐「うわぁ。いい景色。湖までついてるし」

男「随分と良い所に建てたな、おい。家も立派なこった」

師匠「でも10年以上空けてるからな。中は大変なことになってそうだけどな」

中佐「あはは、これは大掃除から始めなきゃいけなさそうだね」

男「うっし。じゃあアウトドア派の俺は外の散歩でもしてくるぜ!!」

ガシッ

師匠「…テメエも掃除すんだよ」

男「はーなーせー!! 自然が俺を呼んでるんだよ!!」

師匠「うるせえ!! 黙って掃除しろ!!」

男「助けてくれええええええええ!!」

師匠「この辺りにゃ誰も住んでねえ!! 大人しく諦めな!!」

中佐「…今日も平和だなぁ」

_____
___
_

師匠「うっし。こんなもんだろ」

中佐「ふぅ。大分綺麗になったね」

男「もうやだ…。何もしたくない…」

中佐「あ、あははは。お疲れ、男」

師匠「なんだよ。もうくたばってんのかよ。体力のないやつだな。そんなのが伍長なんて世も末だな」

男「うるせえ体力オバケ。お袋とはタイプがちげえんだよ」

師匠「……あ」

男「あん? なんだよ?」

師匠「中佐!! 聞いたか!! 男が!! 男がお袋って!!」

中佐「うん、言ったね」ニコッ

男「…ちっ。なんだよ。良いだろ、なんて呼んだって」

師匠「馬鹿!! 嬉しいんだよ!! やっとあんたのお袋って認めてもらえたと思うと!!」

男「…そうかい」

師匠「何でまた急に呼んでくれたんだよ?」

男「…いい加減ケジメつけなきゃいけないからな」

師匠「あん?」

男「…なんでもねえよ、馬鹿」

師匠「馬鹿って言うな!! そこは馬鹿お袋って言ってくれ!!」

中佐「…馬鹿はいいんだ」

師匠「だって念願のお袋って言ってくれたんだ…。やっと…やっとこれで本当の家族なんだな…」

中佐「……うん、そうだね」

男「…ちっ。そんなことで泣くんじゃねえよ」

師匠「馬鹿…泣いてねえよ。煙草の煙が目にしみたんだよ」

男「…そうかい。そういうことにしといてやるよ」

師匠「…ここが親父の墓だ」

中佐「……」

男「……」

師匠「おい、親父。聞こえてるか? 悪いな、散々待たせちまって」

師匠「まあ許してくれよ。時間にルーズだったのは親父もだろ? あんたは私の気持ちがわかるだろ?」

師匠「まっ、それでだ。今回は大事な報告がある。耳の穴かっぽじってよく聞けよ?」

師匠「なんと!! 私に家族が出来たんだ!! どうだ!! 見たか!!」

師匠「あんたは散々私に女らしくねえ、お前なんか結婚出来んのかって言ってくれたが見やがれ!! ちゃんと出来たわ、ボケ!!」

師匠「私には勿体ないってか? うるせえ。いい男だろ? こんないい男と結婚出来た私は幸せ者だよ」

師匠「そして息子も出来た。まあ口は悪いがいい子に育ったよ。私の自慢の息子だ」

師匠「親父。私は今とても幸せだ。こんな良い夫、息子を持てて私は幸せだ」

師匠「あんたは私の自慢の親父だよ」

師匠「ありがとな、私を育ててくれてよ」

師匠「…さて、残念だが明日からまた仕事があるんだ。だからもう帰らなくちゃいけない。悪いがここでお別れだ。でもなんだ。心配すんな」

師匠「また来るよ。親父」

師匠「…うっし。んじゃ帰るか」

中佐「…そうだね。帰ろうか」

男「……そうだな」

師匠「んじゃ帰りは移動魔法で帰ろうぜ。腹も減ったことだし」

中佐「そうだね。なにか美味しいもの作るよ」

師匠「…私が作ろうか?」

中佐「…え゛っ!?」

師匠「…なんだよ」

中佐「ほ、ほら男!! 早く帰ろう!!」

師匠「誤魔化しやがって…」

中佐「行こうよ、ね!」

師匠「…まあいい。帰ろうぜ」

男「…あぁ」ヒュン

男(…また来るよ、爺さん)

_____
___
_

師匠「ふぅ、ご馳走さん。やっぱ中佐の飯は旨えな」

男「全くだ」

中佐「お粗末さまです」

男「どっかの誰かが作るとか言い出したときは冷や汗かいたけどな」

師匠「……んだよ? 今まで散々作れって言ってたくせに」

男「練習してから作りやがれ」

師匠「へいへい。中佐、今度暇な時でも教えてくれよ」

中佐「あぁ、もちろんだよ」

師匠「うっし。期待してろよ、お前ら!!」

男「とりあえず薬草は買っておくよ」

師匠「んだと!!」

中佐「まあまあ…。とりあえず大佐はお風呂入っておいでよ」

師匠「ん? あぁ、済まんな」

男「何? 風呂も炊けないの?」

師匠「うるせえ!! これから花嫁修業すんだよ!!」

男「夫に教わる花嫁がどこにいんだよ…」

中佐「ま、まぁまぁいいじゃないか。意欲があるだけ嬉しいよ」

師匠「おぉ、中佐!! 流石は私の夫だ!!」

男「いいからさっさと入ってこいよ。あとがつかえるだろうが」

師匠「はぁ…。本当に効率厨だな、お前は。もっと人生楽しめよ。冷めてんな、お前は」

男「その前に風呂が冷めるだろうが。はよ入れ」

師匠「わかったわかった。入りますよーだ」

ガララッ

男「ったく…」

中佐「ハハハ、仲が良くていいじゃないか」

男「親と話してる感じはしねえがな」

中佐「それはそうだね」クスッ

中佐「…それにしても、ありがとね、男」

男「あん? 何がだ?」

中佐「昨日のことだよ。男のおかげで今日という日を迎えれたんだ。本当に感謝してるよ」

男「何言ってんだ。むしろ親父のおかげだろうが。こっちこそ感謝してるよ」

中佐「…そうかい。そう言ってもらえると嬉しいよ」

男「…大切にしろよ」

中佐「言われるまでもないさ」

男「…そうかよ。あーあー、お熱いこった。俺だけ水風呂にしてもらえば良かったぜ」

中佐「じゃあ僕が先に入って冷ましといてあげるよ」

男「あぁ、そうしてくれ。とびっきり冷たくしといてくれよな」

中佐「わかったよ」クスッ

師匠「おーい、上がったぞー」

中佐「あぁ、わかった…って、ブーーーーー!!」

男「あん? 一体どうしたんだ…って、なっ!?」

師匠「あん? なんだよ?」

男「なんだよじゃねえよ!! テメエなんつう格好で出てきてやがんだ!!」

師匠「あん? 真っ裸だけど? なんか問題あるか?」

男「そこが問題なんだよ!!」

師匠「おいおい、家族だろうが。このくらい慣れろよ。ったく、これだから童貞は」

男「そういう問題じゃねえだろうが!! 早く着やがれ!!」

師匠「なんだよ、男? 私に興奮してんのか? おいおい、お袋の裸見て興奮するとかやばいぞ、おい」

男「いいからさっさと着ろ!!」

師匠「ったく、しょうがねえな。ほら、これでいいんだろ?」

男「全く…」

師匠「なかなかナイスバディーだっただろ?」

男「何が悲しくてお袋の裸なんか見なくちゃいけないんだよ…」

師匠「慣れろ。というか中佐。さっさと風呂入れよ。冷めるぞ」

中佐「は、はい///」ヒョコヒョコ

師匠「? 何前傾姿勢になってんだよ。変な歩き方だな」

男「お前のせいだ、馬鹿者」

_____
___
_

師匠「というわけで一緒に寝よう!!」

男「…お袋。接続詞って知ってるか?」

師匠「うるせえな。いいから寝ようぜ!! 家族記念に!!」

中佐「…ま、まぁ僕はいいけど///」

男「そして親父はいつまで照れてやがんだ」

師匠「ほら寝ようぜ!! な、な!!」

男「…はぁ、今日だけだかんな」

師匠「おっ? やけに素直じゃねえか? どうした? やっぱ私のナイスバディーのおかげか?」

男「…やっぱりやめた」

師匠「嘘嘘!! さっ、寝ようぜ!!」

男「はぁ…。何でこの歳で一緒に寝なきゃならんのだか」

師匠「よしっ!! じゃあ明かり消すぞ!!」

男「うーい」

中佐「…うん///」

フッ

師匠「……今日はありがとな」

男「…なんだよ急に」

師匠「旅行も全然旅行らしくなかったし、一緒に寝るのも私の我侭だし…本当は嫌なんだろうけど私のために…何から何までありがとな」

中佐「……」

男「……別に。本当に嫌だったら移動魔法で消えてるっての」

師匠「…そうか」

男「それに…まぁ、なんだかんだ楽しかったよ」

中佐「…うん、僕もだよ」

師匠「そうか…それは良かった…」

男「…いいからさっさと寝るぞ。明日も朝はええんだろうが」

中佐「…うん、そうだね」ギュッ

師匠「…そうだな」ギュッ

男「…はぁ。まぁいいや。今日だけな」

師匠「…あぁ、わかってるよ」クスッ

男「…じゃぁ寝るぞ。おやすみ…親父、お袋」

中佐「……あぁ、おやすみ、男」

師匠「……おやすみ」

男「……」

中佐「……」

師匠「……はぁ、幸せな一日だったよ」

師匠「ありがとな、中佐、男」

師匠「……また皆であそこに行きたいな」


今日はこれで終わりです!
長いな…。
なんとか1000以内で終わらせたいですね…。

しばらく来れないと思いますがよろしくお願いします!


お久しぶりです!!
待っていてくれた方ありがとうございます!!

それでは投下させていただきます!!

-数日後-

師匠「ということで新婚旅行に行ってくる」

男「唐突だな、おい。家族旅行行ったばっかりだろ」

師匠「バカ、こういうのは早めに行くべきだろうが。日付が経つにつれて行きづらくなるだろうが」

男「そういうもんか?」

師匠「そういうもんだ」

中佐「まっ、そんなわけだから留守番頼むよ、男」

男「あぁ、わかったよ。可愛い妹作ってきてくれよ」

中佐「ちょ、ちょっと男!!///」

師匠「あぁ、任せろ」

中佐「な、何言ってるのさ!!///」

男「期待してんぞ」

師匠「将来はお前と結婚させてやるよ」

男「その頃には俺ももう40だろうが」

師匠「愛さえあれば関係ないだろ」

男「わかったから早く行ってこいよ」

師匠「おう。んじゃ行ってくるぜー」

中佐「もう…。じゃ、行ってくるね。ご飯は自分で作れる?」

男「お袋とは違うからな」

師匠「子供が作れるからいいだろ」

男「代わりにならねえよ。少なくとも俺は」

中佐「ほ、ほら早く行くよ!!///」

師匠「ったく、照れ屋なんだから本当に。はいはい、じゃ行ってくるよ」

男「おう…って、おい。煙草忘れてんぞ」

師匠「ん? あぁ、もう必要ねえよ。捨てていいぞ」

男「何? 子供作るから体気にしてんのか?」

師匠「それもあるが…まぁ、その、なんだ?」

師匠「…今が幸せだからかな」

師匠「そういうことだ。じゃあ行ってくるよ」バタンッ

男「…………」

男「…はぁ、久々に一人か」

男「一人だとこの部屋も随分広く感じるもんだな」

男「しかし遂に親父とお袋の子供が出来んのか」

男「…………」

男「…うん、これで良かったんだよな。俺は何も間違ってねえ」

男「…………」

男「……煙草か」

男「…………」シュボッ

男「……ふぅ」

男「……あぁ、こりゃ心が落ち着くな」

男「………」

男「……うっし、買い物行くか」ヒュン

-街-

男「おう、八百屋の親父。また来たぜ」

八百屋「ん? おう、丁度いい!! 聞いたぜ。婚約したんだってな、あいつら」

男「あん? なんだ、もう知ってんのかよ」

八百屋「そりゃな。もう話題はそれで持ちきりだ」

男「そうか…」

八百屋「まっ、なんにせよよかったじゃねえか。これでお前も安心だろ?」

男「…そうだな」

八百屋「それで、お前は何しに来たんだ?」

男「いや、買い物以外に何があるんだよ」

八百屋「ハッハ、確かにな。だが珍しいな、お前が買い物に来るなんてよ」

男「あぁ、あいつらは新婚旅行に出かけたからよ。飯自分で作んなきゃならねえんだよ」

八百屋「何? お前、飯作れるのか?」

男「お袋と同じレベルだ」

八百屋「……ちょっと待ってろ。何か作ってやるから」

八百屋「ほらよ」

男「おぉ、済まねえな。このご恩は忘れねえよ」

八百屋「しっかし今後どうするつもりだ? 暫く帰ってこないんだろ?」

男「果物でも食ってりゃどうにかなんだろ」

八百屋「体に悪いぞ」

男「ダイエットだよ」

八百屋「ただでさえもやしみたいな体してんのにこれ以上痩せてどうするんだよ」

男「果物を食べるのにもやしとはこれは如何に」

八百屋「燃やすぞ」

男「まあどうにかなるだろ」

八百屋「…はぁ。今後もここに寄れ。何か作ってやるよ」

男「いいのか?」

八百屋「あぁ、構わねえよ」

男「じゃぁもやし炒めで」

八百屋「共食いかよ」

-城-

男「ふぅ…。食った食った。八百屋の親父に感謝だな」

准将「おやおやぁ? これは男ではありませんかぁ」

男「…これは准将。お疲れ様です」

准将「えぇ、お疲れ様ぁ。珍しいですねぇ、こんな時間に会うなんてぇ」

男「…そうですね。現在、両親共出払っているので外食をしてきた帰りなのです」

准将「…ほぅ。そうなんですかぁ。なるほどなるほどぉ…」

男「はい。それでは失礼します」

准将「おっとぉ、ちょっと待ってくださいぃ」

男「……なんですか?」

准将「特別部隊に入る気にはなりましたかぁ?」

男「…申し訳ありませんがその気はありません」

准将「…そうですかぁ、それは残念ですねぇ」

男「えぇ。そういうことです。では失礼します」

准将「……えぇ、わかりましたぁ。それではぁ」

ヒュン

准将「そうですかぁ…。今は大佐も中佐も居ないんですかぁ…」

准将「ふむぅ…」

准将「残念ですねぇ…。素直に特別部隊に入れば良かったものぉ…」

准将「ですが仕方ないですねぇ…」

准将「本人にその気がないというならぁ…」

准将「…少々手荒になっても仕方ないですよねぇ」

准将「……仕掛けるなら今しかないですねぇ」

-翌日-

ヒュン

男「はぁ、美味かった。やるな八百屋め。あんな美味い飯作れるなんて思ってもみなかったぜ」

男「しかしもう夜か…。はええな」

男「………しかし暇だ」

男「…とりあえず食後の一服でもするか」

男「…良いよな? 18はお袋が勝手に決めた誕生日だもんな、うん」

男「本当はもう20かもしれねえもんな。大丈夫大丈夫」

男「……」シュボッ

男「ふぅ…。食後はやっぱり旨えなぁ…」

男「何がもう吸わないだってな。無理だろ、こりゃ」

コンコンッ

男「やべっ!! あいつらもう帰ってきたのか!? 消さねえと」ジュッ

コンコンッ

男「匂いは…、仕方ねえか。待ってろ今開ける」

ガチャッ

男「おいおい、随分早かった…」

ブンッ

男「うわっと」ヒュン

兵1「ちっ!! 外したか!!」

男「…誰だお前。随分過激な挨拶だな」

兵1「名乗る必要などない!! 貴様は黙って捕まればいい!!」

男「なんで捕まらなきゃならねえんだよ。俺が何したって言うんだよ」

兵1「黙れ!! 大人しく着いてこい!!」

男「嫌だよ。なんで理由もわからねえのに着いていかなきゃならねえんだよ」

兵1「そうか…。だったら…実力行使するしかないようだな!!」チャキ

男「随分血の気の多いこった。何のために人間は口がついてるんだよ」

兵1「お前ら!! 入ってこい!!」

「「「「「「「はっ!!」」」」」」」

男「…おいおい、まじかよ」

兵1「大人しく降伏するなら今だぞ」

男「悪いな、あいつらが帰ってきた時に俺が居ないと心配するだろうからそういう訳にはいかねえんだ」

兵1「そうか、交渉決裂か」

男「交渉なんて高尚なもんじゃねえだろ。脅しだろ、ただの」

兵1「総員かかれ!!」

「「「「「「はっ!!」」」」」」」

男「はぁ…。何だって言うんだよ」

兵1「喰らえ!!」ブンッ

男「どこ振ってんだよ?」ヒュン

兵1「なっ!?」

男「はい、一人目」サクッ

兵1「が……ッ!!」バタッ

男「はい、次ー」

兵2「なるほど…。一筋縄ではいかなそうだな」

男「たりめーだ。大佐の息子だぞ?」

兵2「はあああぁぁああぁ!!」

ヒュン

男「そっちじゃねえっての」サクッ

兵2「かは……っ!!」バタッ

兵3「やああああぁあああぁぁ!!」ブンッ

ヒュン

男「はい、残念でしたー」サクッ

兵3「うっ……!!」バタッ

兵4「こっちだああああぁぁああぁあ!!」ブンッ

ヒュン

男「わかってるっつうのっ」サクッ

兵4「があああぁぁああぁぁああぁ!!」バタッ

兵5「くっ!!」ブンッ

男「…はぁ、キリがねえな」ヒュン

兵5「ちっ!! どこに……があああぁぁあぁ!!」バタッ

兵6「まだまだあああぁぁぁ!!」

男「流石にしんどいな…」

「たああああぁぁぁあああぁぁぁ!!」ブンッ

兵6「かは………ッ」バタッ

男「あん?」

師匠「大丈夫か!! 男!!」

男「いつの間に帰ってきてたんだよ。気づかなかったぜ」

師匠「今さっきだよ!!」

男「親父はどうしたんだよ?」

師匠「今応援を呼んでる!!」チャキッ

男「そりゃありがたいな…っと」サクッ

兵7「うぐ……っ!!」バタッ

師匠「…誰も殺してないのか」

男「お仲間だからな。殺すわけにもいかんだろ」

師匠「……立派なもんだ。こんだけ相手に」

男「まあさっさと終わらせようぜ。俺もゆっくりしたいんでな」

師匠「……あぁそうだな。おい、お前ら!!」

「「「「「………」」」」」

師匠「テメェら人の息子に何してやがる!! 訳を言え!!」

「「「「「………」」」」」

師匠「シカトか…。いい度胸じゃねえか!! テメェら全員覚悟しとけよ!!」

「「「「「………」」」」」

兵8「ひ、怯むな!! 掛かれ!!」

「「「「「は、はっ!!」」」」」

男「おぉ、怖い怖い」

師匠「言ってる場合か」

男「やれやれ…。こりゃ長引きそうだな」

師匠「あぁ…。だが、男には指一本触れさせねえッ!!」チャキ

男「嬉しいこと言ってくれるね」

兵1「…………」

男「よっ」サクッ

師匠「たあああぁぁぁああぁ!!」ザクッ

男「ほっ」サクッ

師匠「らあああああぁぁぁああぁ!!」ザクッ

男「あーらよっと」サクッ

師匠「はああああぁぁぁあああぁあぁっ!!」ザクッ

「「「「「「………」」」」」」バタッ

男「……ふぅ。やっと終わったか」

師匠「…のようだな」

男「ったく、一体何だって言うんだよ。俺が何したっていうんだよ」

師匠「心当たりは?」

男「………ないぞ」

師匠「なんだい、今の間わ」

男「……まぁ、なんだ? とりあえずこいつらどうする?」

師匠「話逸らしやがって…。あぁ…、とりあえず元帥にでも突き出しとくか?」

男「そうだな。んじゃ元帥のとこにでも行くか」クルッ

師匠「だな」クルッ

兵1「………貰ったあああああぁぁああああぁぁあああああああ!!」ダッ

男「なっ!?」

兵1「油断したなああああぁああぁ!! 馬鹿がああああぁぁああぁぁ!!」

男「まずいっ!!」

兵1「命令とかもう関係ねえええぇえぇ!! 殺してやるうううううぅぅぅう!!」

男「やばい、間に合わな…」

兵1「死ねええええええええええぇぇぇええええぇぇええ!!」

師匠「男おおおおおぉぉぉぉおおおぉぉ!!」

ブシャッ!!

ポタポタ…

兵1「キャハハハハハハハハハァアアアア!!」

兵1「やったああああぁああぁ!! 俺はやったんだああああぁぁああ!!」

兵1「これで昇格間違いなしだあああぁあ!! ざまあみやがれええええぇぇえ!!」

ポタポタ…

兵1「おい、なんか言ってみろよ? どんな気分だ、おい?」

男「……おい、なんでだよ」

兵1「あぁん?」

男「なん……で……、こんなことしたんだよ……」

兵1「どうでもいいんだろうが!!」

男「ふざけん……なっ!!」

兵1「キャハハハハアアアアァァ!!」

男「おい!! 返事しろよ!!」

男「お袋おおおおおぉぉぉぉおおおぉおぉ!!」

師匠「……………」ポタポタ…

男「師匠!! なんで!!」

師匠「静かにしやがれ……、傷に染みるだろうが……」

男「なんで俺なんかを庇ったんだよ!!」

師匠「アホ……大切な息子だからに……決まってんだろ…」

男「何言ってやがる!! 自分が一番大切だろうが!!」

師匠「わかってねえな……自分より…大切な…物なって…山ほどあるわ……」

男「いい加減にしろ!! もういい、喋るな!!」

師匠「世界の終わり…みたいな…顔してんじゃねえよ……バカっ。でもな…」

男「でもじゃねえよ!! 良いから黙ってろ!!」

師匠「黙ってろ……。いいか……男……、聞いてくれ……。これが最後の言葉になるだろうから……」

男「く……っ!! ふざけんなよ……やめてくれ…っ!!」

師匠「辛いことも……そりゃあかった……。でもな……お前が……ちゃんと成長してくれて……私は……本当に……嬉しかった……」

男「礼ならちゃんとする!! だから……だから…っ!!」

師匠「大切な……大切な……息子だよ……お前は」

師匠「良かったよ…お前が……息子で……」

男「っ……!!」

師匠「あぁ……私は……胸を張って…言える……よ。お前は……世界一の……男…だ」

男「………」

師匠「理解して…もらえるかわからないが……死神に……願ってくれ」

男「死神に……?」

師匠「ガハッ……!!」ベチャッ

男「抜かしたこと言ってる場合じゃねえ!! 早く医務室に!!」

師匠「兎に角聞け…。いいか……この世に……神なんて…いねえんだ……」

男「何言って…」

師匠「うるせえ…黙って聞け…。神ってのは……人を幸せにしてくれねえんだよ……」

師匠「あいつらは……見なきゃいけない人が多いからな……全員…見れねえんだ…」

男「………」

師匠「馬鹿…そんな悲しい…顔すんじゃねえよ…。死神に…願えば……死んだあと……幸せに…してくれんだ……」

師匠「良くも悪くも……死神は……信仰しているやつが…少ねぇ…だから……全員……見てくれるはずだ……うぐっ!!」

男「師匠!!」

師匠「幸せ……だったよ」

男「死なないでくれ!!」

師匠「あり…が……とう」

男「死ぬな!!」

師匠「……あばよ」

男「待てよ!! まだ言ってないことがたくさん…っ!!」




師匠「……死神の……ご加護が…あります……よう……に」






男「………」

男「……おい、師匠?」

師匠「………」

男「……何寝てんだよ。風邪ひくぞ?」

師匠「………」

男「……おい、まだ寝るにははええぞ」

師匠「………」

男「親父と結婚して…煙草もやめて…自分の子供作って…」

師匠「………」

男「これからだったんじゃねえのかよ…。なぁ?」

師匠「………」

男「今幸せだったんじゃねえのかよ? おい?」

師匠「………」

男「…返事しろよ!! 師匠!!」

師匠「………」

男「………」

兵1「キャハハハハハ!! バーカ!! もう死んでんだろうが!!」

男「……許さねえ」

兵1「あ~ん?」

男「お前は絶対許さねえ…」

兵1「だったらなんだ?」

男「コロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロス」

兵1「」ゾクッ

男「コロス」

ヒュン

兵1「まっ」ズシャツ

バタッ

ブシャアアアアアア!!

中佐「大佐!! 男!!」

男「………」

中佐「……こ、これは…一体」

男「………」

中佐「っ!? 大佐っ!!」ダッ

男「………」

中佐「おい!! 男!! どういうことだ!!」

男「……うるせえ」

中佐「…え?」

男「テメエはどこ行ってたんだよ!! お袋の大事な時によッ!!」ガッ

中佐「男……苦し……」ギリギリ

男「お袋は…お袋は……っ!!」ギリギリ

中佐「かっ……はっ…」

男「……っ!!」バッ

中佐「ゴホッ…ゴホッ…!!」

男「……誰だよ」

中佐「………え?」

男「誰がこんなことしたんだよ!!」

中佐「…噂だと…准将が…」

男「…あいつ!!」ダッ

中佐「ちょ、ちょっと男!!」

男「うるせえ!! あいつは許せねえ!!」

中佐「男!! 落ち着いて!!」

男「むしろテメエはなんでそんなに落ち着いてられるんだよ!! ふざけんな!!」

中佐「……」

男「この腰抜けがっ!!」ダッ

バタンッ

中佐「……男」

兵9「居たぞ!! やれ!!」

兵10「大丈夫だ!! 死にはしない!!」

「「「「「「「はっ!!」」」」」」」

男「どけ、テメエらあああああああああああああああああああああああ!!」

兵11「怯むな!! いけっ!!」

男「邪魔すんじゃねええええええええええええええええええ!!」

ヒュン

ザクッ

兵9「が…っ」

ブシャアアアアアアア

兵10「なっ…!!」

兵11「て、撤退だ!!」

男「逃がすかよおおおおおおおおおおお!!」

_____
___
_

中佐「こ…これは……死体の山…」

「「「「「「「「…………」」」」」」」」グチャ

男「………」ピチャッ…ピチャッ…

中佐「男!! どうして!!」

男「テメエは許せるのかよ!! お袋を殺したやつらをよ!!」

中佐「…許せないよ…そんなの許せるわけないじゃないか!!」

男「だったら良いだろうが!! 何人殺したってよ!!」

中佐「君は!! 大佐の教えを覚えてないのか!!」

男「何が…っ!!」

『……人を殺してごめんなさい。悲しませて、怒らせてごめんなさい』

男「あっ……あっ……」

中佐「……思い出したかい」

男「俺は……また……」

中佐「あぁ……。だからもう……」

男「……俺はもうあいつの息子じゃねえ」

中佐「……え?」

男「あは、あははははは、ギャハハハハハハ!!」

中佐「男……?」

男「そうか…結局……俺はただのガキだったんだ!! やっぱり捨てられたガキだもんなぁ!!」

中佐「何を言って…」

男「師匠…ありがとよ…、俺に…人の殺し方を教えてくれてよぉ!!」

中佐「待て!! 男!!」

男「邪魔だああああ!!」グサッ

中佐「ガハ…ッ!! ……お、男……」

男「ギャハハハハハハハ!! 楽しいなァ!! 人を斬るのはよォ!!」ダッ

中佐「……ま、ま…て」バタッ

男「殺すぜ!! 皆殺しだァ!!」

兵101「き、来たぞ!! 退けええ!!」

男「ギャハハハハハ!! 死ね死ね死ね!!」

『…男。人を殺すことはイイ事か? ダメなことか?』

男「……っ!!」

『……ダメなこと?』

男「違うっ!!」

『……それは死んだら生き返らないからだ』

男「黙れ黙れ黙れ!!」

『……死んだらダメなの?』

『……あぁ、駄目だ』

男「……だったら何で」

『…悲しむ人が居るからだ』

男「なんで死んじまったんだよおおおおぉぉぉぉおおおぉぉお!!」


『……ごめんなさい』

男「……ごめん、師匠」

『…それはどういう意味のごめんなさいだ』

男「……人を殺してごめんなさい。悲しませて、怒らせてごめんなさい」

『……もうしないか?』

男「…うっぐ、しません。…もうしません、ごめんなさい」

『……もうするんじゃねえぞ、バカッ』

男「……ごめん…ごめん」

男「……うっぐ、うわああああああああああああああああああん!!」

『……よしよし。わかればいいんだよ』

男「畜生…畜生おおおおおおおおぉぉぉぉぉおお!!」スパッ

_____
___
_

准将「……まだかぁ…まだ男は捕まらんのかぁ…」

ガチャッ

准将「おぉ、遂に捕ま……」

男「……残念だったなぁ……直接来てやったぜ…」

准将「なっ!! まさかぁ…選りすぐりの兵士達がぁ……っ!!」

男「何が……特殊…部隊だ…。束になろうが…大したことなかったぜ……」

准将「ばっ、馬鹿なぁ……」

男「さぁ……お前で…最後だ……覚悟…しな…」チャキッ

准将「まっ、待つんだぁ!! 悪かったぁ!! 私が悪かったからぁ!!」

男「死にな……クソが……」

准将「待ってくれぇ!! 待ってくれぇ!!」

男「さぁ……今……か……ら…」

バタッ

准将「……何ぃ?」

男「………」

准将「……気絶…してるのかぁ?」

男「………」

准将「フハハッ、フハハハハハハァ!!」

准将「残念だったなぁ、男ぉ? あと少しだったのになぁ?」

准将「これも全てぇ、貴様が悪いのだぁ!!」

准将「最初からぁ、私の誘いに乗っていればぁ、誰も死ななくて済んだものぉ…」

准将「お前のせいでぇ、全員死んだのだぁ!!」

准将「フハハハハハハハハァ!!」

男「………」

准将「さてぇ…だが私に武器を向けた罪は重いぃ……。私はご立腹だぁ…。実に気に食わぬぅ。なのでぇ、貴様にはここでぇ、死んで貰うぅ!!」

元帥「……待つのじゃ、准将よ」


准将「おぉ、これはこれは元帥殿ぉ…。良い所に来ましたねぇ…」

元帥「…何を言っておる。むしろ貴様の首が危ういのではないか?」

准将「そちらこそ何を言っているんですかぁ? 私はぁ、命を狙われていたんですよぉ?」

元帥「……先に仕掛けたのはどっちだ」

准将「おやぁ、聞き捨てなりませんなぁ? 誰かが私に命令されたとでもぉ、言ったのですかなぁ?」

元帥「………」

准将「無言は否定と受け取りますよぉ? 噂じゃ人は裁けないのですよぉ…」

元帥「貴様…よくぬけぬけとそんなことが言えたなあ!!」

准将「怒らないでくださいよぉ、全くぅ…。裁きたけれればしっかり証拠を集めるんですなぁ…」

元帥「貴様は……っ!!」

准将「とぉ、いうわけでぇ。さっそく男を死罪にしましょうかぁ…」

元帥「……何?」

准将「当たり前じゃないですかぁ…。これだけの人数を殺しぃ、尚且ぅ、この私に牙を向いたのだぁ。これはぁ、死罪に値するぅ」

元帥「……ならんっ!!」

准将「おやぁ、何故ですかぁ? 元帥殿ぉ? どうしてそこまで擁護するのですかぁ?」

元帥「…やつはそんな人間ではない。何か理由があったはずだ」

准将「なぁにを馬鹿なことぉ!! それにぃ…いくらあなたが擁護したところでぇ…死罪は免れないと思いますがねぇ…」

元帥「……准将よ。今日は何日だ?」

准将「何をいきなりぃ? 今日はぁ……っ!! まっ、まさかぁ!!」

元帥「…その通りだ。明日から儂はこの国の王となるのだ」

准将「そんなことが許されるはずがないぃ!! 職権乱用ではないかぁ!!」

元帥「貴様にだけは言われたくないのぉ、大臣よぉ?」

准将「……くぅっ!!」

元帥「…というわけじゃ。男は無期懲役とする!! これならば問題なかろう!!」

准将「…後悔しても知りませんよぉ?」

元帥「馬鹿者。儂は人を見る目はあるのだ。安心せい」

准将「…こんな大きな事件を起こしてもですかぁ?」

元帥「それは儂の目に留まらなかったものが起こした事件じゃからな」

准将「…ふむぅ。まぁいいでしょうぅ。精々その男を死罪にしなかった事ぉ、後悔するがいいぃ!!」

元帥「儂からすれば貴様が大臣だということが一番の後悔じゃよ」

准将「……数年後ぉ、生きていられるといいですねぇ?」

元帥「まだまだ儂の寿命は先じゃよ」

准将「…だといいですねぇ。さぁ、用が住んだならさっさと出て行ってくださいぃ」

元帥「言われなくともそうするつもりじゃ。男はこちらに任せて貰うぞ」

准将「…えぇ、どうぞお好きにぃ」

元帥「あぁ、それではな」

バタンッ

准将「………」

准将「糞がぁ!! ふざけおってぇ!!」ダンッ

准将「ちぃ…」

准将「……まぁ、良いぃ。これからは大臣になるのだぁ」

准将「これで理想の軍が作れるというのだぁ!!」

准将「フーハッハッハッハ!!」

__________
_______
_____
___
_

見張り「ここで大人しくしてるんだなっ!!」

ガチャン

男「………」

見張り「ちっ…!!」

スタスタスタ

男「………」

コツコツコツ

王「……よぉ、男。元気にしておるか?」

男「………」

王「…だんまりか。まるで昔に戻ったようじゃの」

男「………」

王「…まぁよい。今回の騒動じゃが、死者101名、負傷者400名ということになっておる」

男「………」

王「…安心せい。中佐は生きておる。まだ意識は取り戻さないがな」

男「………」

王「そして知っておるとは思うが貴様は無期懲役ということになった。よほどのことがない限りここから出ることはできないのぉ」

男「………」

王「…そういうことじゃ。ではな、男よ」

男「……頼みがある」

王「……なんじゃ? 言うてみい」

男「………師匠を」

王「………」

男「師匠を、師匠の親父と同じ墓に入れてくれ」

王「……うむ。わかった。他にはなにかないか?」

男「………」

王「…そうか。では儂はもう行くぞ」

コツコツコツ

男「………」

男「……なんで死罪じゃねえんだよ」

男「……俺は師匠の元に行けねえのかよ」

男「……ハハッ、そうか、元々行けねえや」

男「……これだけ殺して天国に行こうなんざ虫が良すぎるよな」

男「……あぁ…もう嫌だ…」

男「……こんなことになるなら」

男「……最初から、助けて貰わなけりゃ良かった」

_____
___
_

コツコツコツ

男「………」

王「……男。残念な知らせじゃ」

男「………」

王「……中佐が、息を引き取った」

男「………っ!!」

王「……自殺じゃ。医務室のベットで血まみれなところを発見された」

男「………」

王「そして……これが遺書じゃ」ガサッ

男「………」

王「……読むのじゃ。貴様にはこれを読む義務がある」

男「………」ガサッ

男「………」

王「………」

男「……なぁ、もう一つ頼みがある」

王「……なんじゃ?」

男「……中佐も師匠と同じ墓に入れてやってくれ」

王「……あぁ、わかった」

男「………」

王「……それではな」

男「………」

王「……強く生きるのじゃぞ」

コツコツコツ

男「………」

男「……は、ははは、なんだよ、それ」

男「……あの時のこと謝れてもいねえのになんで死んじまったんだよ」

男「……なんで生きるのを諦めちまったんだよ」

男「……なのに俺には自分で死ぬなってか」

男「……クソ…ふざけんじゃねえよ」

男「………」

男「……俺のせいだ」

男「……俺が、あいつらを殺したんだ」

男「……あは、あははは、ギャハハハハ!!」

男「あぁ、当分死ねないな!! どんな顔して会いに行けっつうんだってな!!」

男「いいぜ!! わかったよ!! 生き抜いてやるよ!! どんなことをしてでもなぁ!!」

男「人殺しの罪を背負って、死神の名を背負って生きてやるよ!!」

男「とりあえずその前にあんたら二人のために祈ってやるよ!!」

男「死神のご加護がありますようにってなぁ!!」

男「ギャハハハハハハハ!!」

_____
___
_

勇者「…こうして今の俺に至るわけだ」

魔法使い「………」

勇者「わかったろ。俺はこんな最低な人間なんだよ。わかったらさっさと寝な」

魔法使い「……でも、勇者様は私たちを助けてくれたじゃないですか」

勇者「あん?」

魔法使い「……身を挺してまで私たちを助けてくれたじゃないですか」

勇者「……勘違いするな。俺は死ぬわけにはいかねえんだよ。何があってもな」

魔法使い「ですが…」

勇者「前に言ったろ? お前らは結局捨て駒だ。魔王戦の為に取っておいてるだけだ」

魔法使い「………」

勇者「魔王と戦うことになればお前らなんて簡単に切り捨てる。そう言ったろ」

魔法使い「……いえ、それは違います」

勇者「……あん?」

魔法使い「だったらわざわざ最後まで私を連れて行くわけがないんです。こんな足で纏い壁にもならないじゃないですか」

勇者「だからずっと帰れって…」

魔法使い「ですが結局一度も帰すことはありませんでした。おかしくないですか?」

勇者「だったら今すぐにでも…」

魔法使い「…結局…師匠さんとの…勇者様のお母さんの教えを守ってるじゃないですか」

勇者「………」

魔法使い「どんなことをしてでもとは言いながら人は殺さない。勇者様のお母さんのように、困っている人が居れば助ける」

勇者「………」

魔法使い「しっかり守ってるじゃないですか…」

勇者「……これは罰なんだ」

魔法使い「……え?」

勇者「もちろんこんなことで許されるわけがねえってのはわかってる。中佐と師匠は相当を俺を恨んでるだろうからな」

魔法使い「そ、そんなこと!!」

勇者「違わねえんだよ。俺のせいで二人共死んだんだ。恨まねえはずがねえ。俺が奴らの幸せをぶち壊したんだ」

魔法使い「………」

勇者「だから俺はもうあいつらみたいな奴を出すわけにはいかねえ。守られてばかりじゃなく、守らなくちゃいけねえんだ」

魔法使い「…勇者様」

勇者「…そのためにはどんなことでもする。俺が仕留めそこねたから師匠は死んだんだ」

魔法使い「……」

勇者「だから俺は目的の為には手段を選ばねえ。相手を殺してでも大切な物は守る。もうあんな後悔はしたくねえ」

魔法使い「……」

勇者「だから俺は助けなきゃならねえ。殺した102人分の命を取り戻さなくちゃいけねえ。辻褄を合わせなきゃならねえんだ」

魔法使い「え? 102人?」

勇者「……あぁ。中佐も師匠も俺が殺したからな」

魔法使い「……」

勇者「辻褄を合わせ。ただそれだけだ。魔王を倒せば本来死ぬはずだった大勢の命が救われる。お前らが死んだところでお釣りが来るくらいだろ」

魔法使い「勇者様…」

勇者「だから俺はどんな手を使ってでも魔王を倒す。例えお前らが死んだとしてもな」

魔法使い「……」

勇者「わかったか。だったらさっさと寝な」

魔法使い「……ですが」

勇者「お前がどんだけ喋ろうと俺はもう寝る。おやすみ」

魔法使い「……おやすみなさい」

勇者「………」

魔法使い「………」

魔法使い(……魔王の為に取っておいてる…か)

魔法使い(……ですが、勇者様…悲しい目をしてました)

魔法使い(それは本心ではないような…無理して言っているような…そんな…目でした)


チュンチュン

勇者「おい、ガキ。起きろ」ゲシッ

魔法使い「うぐっ…。痛い…」

勇者「おら、さっさと行くぞ。いよいよ魔王討伐の日だ」

魔法使い「……勇者様」

勇者「…さっさと準備しやがれ。俺は先に外行ってるぞ」

魔法使い「……あっ」

バタンッ

魔法使い「………」

魔法使い「……勇者様の目…。真っ赤だった…」

魔法使い「きっと…勇者様にも思うところがあったんでしょうね…」

魔法使い「………」

魔法使い「……うん。とりあえず準備しよう」

魔法使い「…勇者様のためにも…魔王を倒さなきゃですよね」

_____
___
_

魔法使い「す、すみません!! 遅くなりました!!」

戦士「やあ、おはよう。魔法使いちゃん」

僧侶「おはようございます」

勇者「ったく、おせえんだよ、クソガキが」

魔法使い「…申し訳ありません」

勇者「魔王が怖くて寝れなかったのか? あん?」

魔法使い「……えぇ、そうですね」

勇者「……」

戦士「まあそりゃそうだろうね。私も昨日はあまり寝付けなかったからな」

僧侶「えぇ、私もです」

勇者「あぁ…そうかい」

魔法使い「えぇ…。ですが頑張りましょう!! 魔王を倒して、皆で帰りましょう!! ね!!」

勇者「………」

戦士「…あぁ、そうだな!! 皆で帰ろう!!」

僧侶「えぇ!! そうですね!!」

勇者「…まっ、精々頑張んな」

戦士「全く…。君はそうやって…」

僧侶「まあまあ。兎に角行きましょう。魔王城はもうすぐですよ!!」

魔法使い「はい!! 皆さん頑張りましょう!!」

戦士「おう!!」

僧侶「はい!!」

勇者「……あぁ、そうだな」

魔法使い「じゃ、張り切って行きましょう!!」

「「おー!!」」

勇者「お前がしきってんじゃねえよ」ゲシッ

魔法使い「いてっ!!」

魔王「我は私情を持ち込まれて戦うのか」ノゾキノゾキ

魔法使い「ちょ、ちょっと何するんですか!!」

勇者「朝っぱらから騒々しいんだよ」

魔法使い「なんですとー!!」

勇者「……ありがとな」ボソッ

魔法使い「え?」

勇者「…うるせえなっつたんだよ、バカッ」

魔法使い「な、なんですか!! もう!!」

勇者「おら、さっさと行くぞ。クソガキ。置いてくぞ」

魔法使い「…まったく」

魔法使い(…本当はちゃんと聞こえてましたよ)

魔法使い(本当に素直じゃないですね…)

魔法使い(…魔王…絶対に倒しましょうね。勇者様)

勇者「本当に置いてくぞ」

魔法使い「ま、待ってくださいよー!!」


今日はこれで終わりです!!
長いなぁ…。

もうすぐラストなのでよろしくお願いします!!

>>666
そんな縁起の悪い数字踏むなんて…。流石魔王…!!


すみません、お久しぶりです!!
待っててくださった方大変ありがとうございます!!

今日はちょっとですが更新したいと思います!!

僧侶「……ここが魔王城ですか」

戦士「…如何にもという感じだな」

魔法使い「なんかこう…オーラが出てますね」

勇者「どうでもいいがさっさと入ろうぜ。もう疲れたぜ、俺わ」

魔法使い「人に散々体力ないっていう割にだらしないですねぇ」

勇者「俺は頭脳派だからな」

魔法使い「何を言ってるんですか」

勇者「日本語講座開いてやろうか?」

魔法使い「そういう意味じゃないです」

戦士「だがそうだな。ここで立ち往生していても仕方あるまい」

勇者「だろ? ほら、行くぞ」

僧侶「…えぇ、そうですね」

魔法使い「ちょ、ちょっと待ってください!! 心の準備が!!」

勇者「そんなもの昨日のうちにしとけ。おら、行くぞ」ズルズル

魔法使い「あぁ!! 引っ張らないでください!!」

ギィ

魔法使い「いーやー!!」

勇者「うるせえ。反響して余計にうるせえ」

戦士「……しかし随分と閑散としているな」

僧侶「そうですね…。もっと沢山魔物がいるものだと思っていましたが…」

勇者「…確かに妙だな。静かすぎるな」

戦士「…罠か?」

魔法使い「うぇ!? だったらやばいじゃないですか!! ここは一時作戦を練って!!」

勇者「んなもん考えるだけ無駄だろうが。とりあえず進むぞ」

魔法使い「ゆ、勇気と無謀は違うと思います!!」

勇者「だったらお前作戦思いつくのかよ」

魔法使い「……」

勇者「そういうことだ。ほら、行くぞ」

魔法使い「あぁ!! そんな殺生な!!」

_____
___
_

コツコツ

戦士「…しかし本当に一匹も居ないな。まさか場所を間違えたか?」

僧侶「…いえ、それはないと思います。奥の方に強い魔力を感じます」

勇者「あぁ、そういえばそんな能力あったな。忘れてたわ」

戦士「だが何故こんなにも静かなのだ。今のところトラップも何もないし…」

勇者「さあな」

魔法使い「やっぱり私たちに恐れをなして」ガクガク

勇者「足震えてんぞ」

戦士「しかし魔王城だというのにこんな手薄でいいのか?」

勇者「知るかよ。俺にはお偉いさんの考える事はさっぱりわかんねえよ」

戦士「うーむ…。だが…」

勇者「そんなに悩んでたら白髪まみれになっちまうぞ」

戦士「なるか、馬鹿」

僧侶「でも妙ですね…。奥の方からは強い魔力を感じるんですが…。それも複数…」

勇者「…何? それはどのくらいだ?」

僧侶「…数えきれないくらいです」

戦士「なんだと!? だったら何故各地に配置しないのだ!?」

魔法使い「や、やっぱり恐れをなして」ガクガク

勇者「…待てよ」

戦士「なんだ!? 何かわかったのか!?」

魔法使い「やはり私の言う通りというわけですか!?」ガクガク

勇者「んなわけあるか。いや、まだ憶測でしかねえが…」

僧侶「っ!? 勇者様!! 魔力が一斉に消えました!!」

魔法使い「に、逃げ出したんですか!!」キラキラ

勇者「ちげえよ馬鹿!! くっそ!! 遅かったか!!」

戦士「勇者!! 説明を…」

ヒュン

「グルルルル…ッ!!」

戦士「なっ!?」

魔法使い「ま、魔物が沢山!!」

勇者「…こういうこった」

僧侶「し、しかし何故急にこんな大勢が!?」

勇者「説明はあとだ。このマザーファッカー共を潰すのが先だ」

戦士「…そうだな」ジャキッ

僧侶「…わかりました。援護は任せてください」

魔法使い「た、タンマ!! こ、心の準備が!!」

「ガウッ!!」ダッ

魔法使い「きゃああああ!! きたあああ!!」

ヒュン

勇者「待ってくれるわけねえだろ、タコスケ!!」スパッ

魔法使い「うっ…。ありがとうございます…」

勇者「足引っ張るんじゃねえよ…っと!!」スパッ

戦士「魔法使いちゃん!! 戦うしかないよ!!」ブンッ

魔法使い「は、はいっ!!」

戦士「たあああああああ!!」ブンッ

勇者「あーらよっと」スパッ

魔法使い「ひ、火術!!」ゴウッ

「ガウガウ!!」ガブッ

戦士「く…っ!! これしき…はああああぁあ!!」ブンッ

「キャインッ!!」

僧侶「回復魔法!!」キュイン

戦士「…ふう。ありがとう、僧侶ちゃん」

僧侶「いえいえ」

勇者「喋ってる場合じゃねえぞ!! さっさと潰すぞ!!」

「「「はいっ!!」」」

_____
___
_

「ガウガウッ!!」

勇者「…ちっ。キリがねえぞ、こいつら」

魔法使い「はぁ…はぁ…。何体居るんですか…」

僧侶「……うぅ」

戦士「……」

「ガウッ!!」ダッ

勇者「だああああ煩わしい!!」スパッ

魔法使い「これじゃあ魔王の所になんて着きませんよ!」

勇者「くっそ! 今日中にたどり着くのか?」

戦士「…勇者。先に行け」

勇者「……あん?」

戦士「こんなの所で時間を使っている暇はない…。ここは私に任せて先に行くんだ!!」

魔法使い「戦士さん!! ですが!!」

勇者「…そうだな、行くぞ」

魔法使い「勇者様!! 一人で残す何て危険すぎます!!」

勇者「アホ、誰が戦士一人置いてくっつった」

魔法使い「え?」

勇者「おい、僧侶。お前も残ってやれ」

僧侶「えっ? 私もですか?」

魔法使い「ちょ、ちょっと!! 私と勇者様で魔王倒すんですか!?」

勇者「ん? そのつもりだけど?」

魔法使い「正気ですかっ!?」

勇者「正気で勝機あると思うぜ」

戦士「ゆ、勇者、それはいくらなんでも…」

僧侶「流石に二人では厳しいかと…」

勇者「なんだ、お前ら? 俺らのこと信じてねえのかよ?」

魔法使い「はいっ!! 心もとないです!!」

勇者「お前に発言権はねえよ」

魔法使い「酷くないですか!?」

戦士「し、しかし…」

勇者「いいからお前らはちゃっちゃとこいつら倒して俺に追いついてくれよ。待ってんぞ」

僧侶「…まぁ勇者様がそういうなら」

戦士「…わかった。ま、それまでに倒していてくれるとありがたいんだがな」

魔法使い「ちょ、ちょっと待ってくださいよ!!」

勇者「やだ。じゃあ頼んだぞ、お前ら」ヒュン

魔法使い「ちょっ」ヒュン

ヒュン

勇者「よっしゃ、走れ、魔法使い」ダッ

魔法使い「うぇっ!? な、なんでほんのちょっとしか移動しないんですかぁ!!」ダッ

勇者「魔力が勿体ないだろうが。ほら、急がねえと追いつかれんぞ」

「ガウッ!!」

魔法使い「いーやぁー!!」

戦士「行かせやしない!!」

ズバッ

魔法使い「戦士さん!!」

戦士「早く行けええええぇ!!」

魔法使い「…はいっ!!」

ダッ

勇者「ほんじゃま、頼むぜー」ヒラヒラ

戦士「…さて」

「ガウッ!!」
「グルルルルル!!」

戦士「…倒し終わるかね、この量?」

僧侶「私たちに選択肢なんてありませんよね?」

戦士「…そうだな。倒すしかないんだな!!」チャキッ

僧侶「…えぇ。早く倒して追いつきましょう」

戦士「…あぁ。そうだな」

「ガウガウッ!!」バッ

戦士「はああああぁぁぁ!!」

ズバッ

僧侶「お見事です」パチパチ

戦士「まだまだああああぁ!!」

戦士(…無事を祈るぞ勇者。魔法使いちゃん)

短いですが今日は終わりです!
散々待たせてこの量で申し訳ないです、汗

現在オンボロのパソコンを使っているのでいつ調子悪くなるかわかりませんが
調子のいい日はできるだけ更新したいと思います!


すみません、お久しぶりです!!
長い間すみません!!

投下していきます!!

_____
___
_

勇者「ここだな…」

魔法使い「如何にもって感じの扉ですね…」

勇者「引き返すなら今だぞ?」

魔法使い「な、何言ってるんですか…。今更帰れるわけないじゃないですか」ガクガク

勇者「だから膝」

魔法使い「む、武者震いです!!」

勇者「お前魔法使いだろ」

魔法使い「そういうことじゃないですよ!!」

勇者「今から帰ってジョブチェンジするか?」

魔法使い「しないですよ!!」

勇者「なんでだよ、帰れよ」

魔法使い「どんだけ帰したいんですか!!」

勇者「いや、だって邪魔だし」

魔法使い「何言ってるんですか!! 今まで超役に立ってたじゃないですか!!」

勇者「どの口が言うんだよ」

魔法使い「この口です!!」イー

勇者「何だ、口突き出して。キスしてやろうか?」

魔法使い「な、な、何言ってるんですか/// そ、そういうのは帰ってからに…///」

勇者「バーカ、嘘に決まってんだろ」

魔法使い「だあああああああああああああ!!」

勇者「本当にアホだな、お前は」

魔法使い「なんなんですか、最後の最後まで!!」

勇者「それに全部終わったらもう会うこともねえだろうが」

魔法使い「……本当にもう会えないんですか?」

勇者「当たり前だろうが。会う理由もねえだろうが」

魔法使い「………」

勇者「それにお前らを王の所に連れて行ったら俺の報酬が減るだろうが」

魔法使い「………」

勇者「まっ、そういうこった。だからキスするならこれが最後のチャンスだぜ?」

魔法使い「……じゃぁしましょうか?」

勇者「……あん?」

魔法使い「キス…しましょうよ」

勇者「……冗談に決まってんだろ」

魔法使い「……私は冗談じゃないですよ」

勇者「……」

魔法使い「……勇者様」

勇者「…………」

勇者「……バカたれ」ビシッ

魔法使い「いたっ」

勇者「ドアホ。大人をからかうんじゃねえよ」

魔法使い「……馬鹿」ボソッ

勇者「うるせえよ。それにお前みたいなガキにするわけないだろうが」

魔法使い「…むぅ」

勇者「ほら、さっさと行くぞ」

魔法使い「……まだ、師匠さんのことを忘れられないんですか?」

勇者「……あん?」

魔法使い「…師匠さんの事…まだ好きなんですか?」

勇者「………」

魔法使い「どうなんですか…勇者様」

勇者「……んなわけないだろうが」

魔法使い「……勇者様」

勇者「そもそも師匠は俺を恨んでんだ。そんなことが許されるわけないだろうが」

魔法使い「……そんなことないと思います。師匠さんは勇者様を恨んでいないと思いますよ」

勇者「……お前に何がわかるんだよ」

魔法使い「……いえ、確かになにもわかりません」

勇者「だったら!!」

魔法使い「でも最後に”ありがとう”って言ってたじゃないですか。師匠さんの言葉を信じれないんですか?」

勇者「……それが本音かどうかわかんねえだろうが」

魔法使い「…どうして!? どうして信じられないんですか!?」

勇者「…形がねえからかな」

魔法使い「……」

勇者「どうにもな、ガキの頃の経験のせいかな。食べ物や金っていう形のあるものしか信じれなかったせいかな」

魔法使い「でも師匠さんにそれより大事なことを教わったんじゃないですか!?」

魔法使い「…それだと勇者様が不幸です」

勇者「…何言ってんだ。金も時間も自由ある。何一つ不自由しねえだろ。これのどこが不幸なんだよ」

魔法使い「…いいえ、それだと足りないものがあります」

勇者「…なんだよ」

魔法使い「それは仲間です」

勇者「……」

魔法使い「だから…」

勇者「…くふっ!」

魔法使い「……え?」

勇者「アハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ!!」

魔法使い「ゆ、勇者様?」

勇者「あぁ、なんて愚かなんだ、お前は!! 俺に仲間が必要? 俺が不幸? 最ッ高のジョークだよ!!」

魔法使い「……」

勇者「んなわけねえだろうが!! 俺は一人でなんでもできる!! 何一つ困ることなんてねえ!!」

ギュッ

勇者「………」

魔法使い「…もういいじゃないですか」

勇者「………」

魔法使い「…もう素直になってもいいじゃないですか」

勇者「………」

魔法使い「…もう無理しなくてもいいじゃないですか」

勇者「……俺は……いいのか?」

魔法使い「……はい」

勇者「……俺は…誰かと一緒にいてもいいのか……」

魔法使い「えぇ。神や死神が許さなくても私が許します」

勇者「……そうか」

魔法使い「えぇ。ですから私には全てさらけ出してください」

勇者「……そうか」ギュッ

魔法使い「だから今は私の胸を貸しますよ」

勇者「……バカ。そんな胸ねえだろうが」

魔法使い「もー!! まだ発展途上なんです!!」

勇者「…ははっ。そうかい。期待してるよ」

魔法使い「そうです!! だから期待して待っててください!!」

勇者「…あぁ、楽しみにしてるよ」

魔法使い「…えっ、それって」

勇者「…うっし。こんなとこでくすぶってても仕方ねえな。最終決戦と行こうか」

魔法使い「ちょ、ちょっと勇者様!! 今のって!!」

勇者「…うっせえよ。続きは終わってからだ」

魔法使い「……期待していいんですよね?」

勇者「…あぁ。期待して待ってろ」

魔法使い「…えぇ、楽しみにしてます」

勇者「…じゃぁ行くぞ、魔法使い」

魔法使い「…はいっ!! 勇者様!!」

すみません、次のを>>715の前に読んでください…。

勇者「……」

魔法使い「どうして素直になれないんですか!? もっと自分に優しくしてもいいじゃないですか!!」

勇者「…俺は幸せになっちゃいけねえんだよ」

魔法使い「どうしてですか!!」

勇者「俺は沢山の人を殺した。沢山の人の幸せを奪った。人を不幸にする死神だからさ」

魔法使い「でもそれは…」

勇者「仕方なくなんかねえんだよ」

魔法使い「で、でもやり直せるはずです!!」

勇者「無理なんだよ。人の犯した罪は消えない。死んだ人は生き返らねえんだよ」

魔法使い「……」

勇者「だから俺は魔王を倒して表面上の罪は消す。そして莫大な富を貰って適当な所で好きなように過ごす。そうすればこれ以上不幸になる人はいねえだろ」

魔法使い「……いいえ、それは違いますよ」

勇者「…何が違うっていうんだよ」

ミス、短い、長い間放置と申し訳ありませんでした…。
パソコンの調子悪い+リアルが忙しくなかなか更新できませんでした…。

もうすぐ終わりなのですが、次回もちょっと間隔が開く+短いかもしれませんが
よろしくおねがいします!

保守してくださった皆さん、コメントを下さった皆さんありがとうございました!


すみません、お久しぶりです!
ageありがとうございました!!

ほんの少しだけ投下します!

ギィ

魔王「…ふははは!! 遂に来たか人間共!!」

魔法使い「っ!?」ゾクッ

勇者「……」

魔王「よくぞここまで辿り着いた!! 褒めてつかわす!!」

魔法使い(な、なんて禍々しい妖気…。これが…魔王っ!?)

勇者「…だったら何か記念品でも贈呈してくれるのか?」

魔王「物よりもよっぽど素晴らしいものだ!! この我と話すことができたのだ!! 一生誇ってよいぞ!!」

勇者「そりゃどうも」

魔王「だが残念だったな…。誇れるのもあと数分だ…」

勇者「あぁ、だろうな。もうすぐお前が死ぬ。そうすれば何の価値もなくなるもんな」

魔王「……ふはははは!!」

勇者「ん? 何がおかしいんだ?」

魔王「…戯言を!! 力の差もわからぬとはな!!」

勇者「おいおい、そりゃこっちのセリフだ」

魔王「身の程を知れ!! 貴様らなど我からすればスライムと変わらぬ!!」

勇者「まじか。最近のスライムは随分とお強いこった」

魔王「ほう…。我に喧嘩を売っておるのだな?」

勇者「当たり前だろうが。なんの為にはるばるここまで来たんだよ」

魔王「…良かろう!! ならばさっさと地獄へ送ってやる!!」

勇者「…やれやれ、気の短いこった。肉ばっか食わねえで魚食え、魚」

魔王「ここまで来たことを悔やむがいい!!」

勇者「…来るぞ、魔法使い」

魔法使い「っ!! はいっ!!」

魔王「ふははははははははははははは!!」

勇者「…さて。あんたが地獄に行った後、幸せに過ごせるよう願ってやるよ」

勇者「死神のご加護がありますようにってな!!」ダッ

魔王「来るがいい!! 勇者よ!!」

勇者「…言われなくもそのつもりだよ!!」

ヒュン

魔王「…なに!? どこだ!?」

ヒュン

勇者「どっち向いていやがる!!」

魔王「なっ!?」

魔法使い「う、後ろをとった!!」

勇者「先手必勝…ってな!!」

スンッ!!

魔王「…なんてな」ニヤリ

ヒュン

魔法使い「…えっ?」

勇者「…っ!? あぶねえ!! 避けろ!!」

魔法使い「ひ、ひぃっ!!」スンッ!!

勇者「大丈夫か、クソガキ!?」

魔法使い「は、はい、なんとか…。で、でもなんで勇者様が急に私の目の前に…」

魔王「くくく…」

勇者「…ちぃ!! やっぱりそうだったか!!」

魔法使い「え、え? 何がですか?」

勇者「…あいつも移動魔法を使えるんだよ」

魔法使い「…えっ!?」

魔王「ふははは!! その通りだ!! まぁ気付かれたところでなんてことはないがな!!」

魔法使い「えっ!? で、でも魔王は勇者様に触れていませんでしたよ!?」

勇者「あぁ。あいつは物に触れなくても発動できるんだろうよ」

魔法使い「そんなのってありですか!?」

勇者「実際そうなんだから仕方ねえだろうが」

魔法使い「そ、そんな…。は、反則すぎます…」

魔王「ふははははは!! だから言ったであろう!! 貴様らなどスライムと変わらんとな!!」

魔法使い「そんな…」

勇者「…さぁて。こいつは参ったな。ガキの火術も意味ねえんだろうな」

魔王「無論だ。我に貴様らの攻撃が届くことは未来永劫ないのだ!!」

魔法使い「ゆ、勇者様!! どうすれば!?」

勇者「落ち着けクソガキ。慌てたって良い考えなんざ生まれやしねえ」

魔法使い「うっ…」

勇者「考えろ。何か方法があるはずだ」

魔法使い「で、ですが…」

勇者「それとも白旗でもあげるか?」

魔法使い「…そういうわけにもいきませんよね」

勇者「そういうこった。こいつを倒して王から金巻き上げようぜ」

魔法使い「…もう少し勇者らしいことは言えないんですか」

勇者「俺は欲望に忠実だからな」

魔法使い「…多分歴代最低の勇者なんでしょうね」

勇者「あぁ。金輪際、俺を超える勇者は現れねえだろうな」

魔法使い「でしょうね…」

勇者「…だからさっさと記録に名を残して帰ろうぜ」

魔法使い「…えぇ、そうですね!!」

魔王「ふむ、辞世の句は詠み終わったか?」

勇者「バーカ。そんなもん詠むくらいなら呪文を詠むっつうの」

魔王「やれやれ、まだ実力の差がわからぬのか? 我はずっと貴様らを見ていたのだ。奇襲も通用しない今、貴様らに勝ち目など億分の一も残っておらぬ」

勇者「おいおい、ストーカーかよ。国の兵士に被害届出すぞ?」

魔王「国の犬が何匹かかってこようと我の敵ではないわ」

勇者「おっしゃる通りで」

魔法使い「…でも勇者様。本当にどうするんですか?」

勇者「そうだな。とりあえず何個か思いついたから、試さなくちゃいけないことがあるな」

魔法使い「え!? ほ、本当ですか、勇者様!?」

勇者「あぁ。まぁ見てなって」

魔王「ほう…。面白い…。やってみるがよい!!」

勇者「まず一つ目っと」サッ

魔法使い「ナイフを取り出してどうするつもりですか?」

勇者「…飛んでけ!!」ヒュン

魔法使い「えぇ!? いつも通りじゃないですか!?」

魔王「…くだらん」ヒュン

グサッ!!

勇者「がっ…!!」

魔法使い「ゆ、勇者様!! と、とりあえず薬草です!!」キュイン

勇者「ハァ…ハァ…。あぁ…死ぬかと思った…」

魔法使い「何やってるんですか!! 通用しないって言ったばっかりじゃないですか!!」

勇者「うるせえな…。試してみただけだよ」

魔王「くだらん…。実にくだらん!! 我を馬鹿にしているのか!!」

勇者「んなわけあるかよ。こっちは死に物狂いで頭働かせてんだよ」

魔王「…だったら興ざめだ。さっさと死ね」

バッ

魔法使い「これは…爆薬!?」

勇者「ばっ、あぶねえ!!」

ヒュン

勇者「掴まれ、魔法使い!!」

魔法使い「は、はいっ!!」ガシッ

魔王「砕け散れぇ!!」

バンッバンッバンッ!!

魔王「……ほう、これを避けるか」

ヒュン

勇者「当たり前だろうが!! こんなん食らったら死ぬわ!!」

魔法使い「壁もこんだけボロボロですからね…」

魔王「だが、これで終わらんぞ」

ヒュン

勇者「ガアッ!!」

魔法使い「ゆ、勇者様!!」キュイン

勇者「はぁはぁ…。壁の破片を飛ばしてくるとはな…。良いコンボじゃねえか…」

魔王「貴様に褒められたところで嬉しくはないわ。さっさとくたばれ」

勇者「どアホ。最終決戦がそんな短く終わったら興ざめだろうが」

魔王「最終決戦にしては役不足すぎるな」

勇者「大根役者で許してくれ」スッ

魔法使い「…あっ、煙草。ということは…」

勇者「いんや。普通に点けてくれ」

魔法使い「…え?」

勇者「そろそろ我慢の限界だ」

魔法使い「ちょっと!! そのくらい我慢してくださいよ!!」

勇者「こんなときだからだよ。早くつけてくれ」

魔法使い「っ!! もうっ!!」ボッ

勇者「…ふぅ。やっぱ生き返るわ」

魔王「…随分と余裕だな。これだけ追い込まれておるのに」

勇者「こんなのピンチのうちに入らねえよ。おい、魔王」

魔王「…なんだ?」

勇者「見ろ」

魔王「…なに?」

勇者「この煙草を良く見てみ」

魔王「それがどうしたと…」

ヒュン

魔王「…ガッ!?」ザクッ

魔法使い「…えっ!?」

勇者「ふ~ん。やっぱりな」

魔法使い「ど、どうして魔王にナイフが刺さってるんですか!?」

魔王「貴様…。小癪な…」

勇者「おいおい、魔王さんよぉ。何が未来永劫届かないってぇ? えぇ?」

魔王「…つくづく癪に障る男だな」

勇者「俺の上司がむかつくやつだったからなぁ。いいのかぁ、ナイフを引っこ抜かなくてよぉ?」

魔王「ふんっ。この程度の攻撃効かぬわ!! 引き抜くまでもない!!」

勇者「ほう…。そうかいそうかい」

魔王「これで終わりか? ならば…」

勇者「そうはいくかよ!! 魔法使い!! 業火術だ!!」

魔法使い「は、はいっ!! 行きます!!」

魔王「効かぬと言っておるだろうが!!」

魔法使い「っ!! ごうかじゅ」

勇者「ひざかっくん」ガクッ

魔法使い「つ……って、えええええええぇぇぇ!?」ゴウッ!!

魔王「……何?」

魔法使い「ちょ、ちょっと勇者様!! 何してるんですか!! 狙いずれちゃったじゃないですか!!」

勇者「うるせえな。いいんだよ、これで」

魔法使い「何がですか!! 全然違う天井の方に…って、まさか!?」

勇者「御名答」ニヤリ

バンッ!!

ガラッ

魔法使い「天井の瓦礫が!!」

勇者「そのまま砕け散れぇ!!」

魔王「チィッ!!」

ヒュン

魔法使い「あぁ!! 結局避けられちゃいました!!」

魔王「無駄だと言っておろうが!!」

勇者「…ここだ」

ヒュン

グサッグサッ!!

魔王「…グッ!!」

魔法使い「魔王が串刺しにっ!!」

勇者「どうだ? ありったけのナイフをねじ込んでやったぜ?」

魔法使い「さ、流石勇者様です!! で、でもどうやって…」

魔王「…ふんっ。甘い。甘すぎるぞ!!」

勇者「…何?」

魔王「我は魔王であるぞ!! この程度の攻撃など微塵も効かんわ!!」

魔法使い「そ、そんな…。あれだけの本数が刺さってるのに…」

勇者「おいおい、まじかよ…。なんちゅう体力してんだよ。少しはへばれよ」

魔法使い「ゆ、勇者様!! ですがチャンスです!! このまま一気に攻め込みましょう!!

勇者「…残念なお知らせだ。もうナイフがねえ」

魔法使い「そ、そんなっ!!」

魔王「ふはははは!! もう万策尽きたか!! 我は少しも傷ついてはおらぬぞ!!」

魔法使い「で、でもこれくらいのピンチ何度もあったはずです!! 勇者様なら他の手があるはずです!! ね、ねぇ、勇者様?」

勇者「………」

魔法使い「ゆ、勇者様…?」

勇者「…悪いな、魔法使い」

魔法使い「そ、そんな……嘘ですよね? また相手を油断させるための嘘ですよね…?」

勇者「せめて魔王が自分に刺さったナイフを使って攻撃してくれりゃな…」

魔王「…誰がそんなことをするか!! 貴様に渡すくらいならずっと体に残したままにするわ!!」

勇者「……くっ!!」

魔法使い「……でも…でも…あ、ほら、まだ瓦礫とか!!」

勇者「無駄だ。俺が触れる個数なんて限界がある」

魔法使い「そ、そんなのやってみなくちゃ!!」

勇者「魔法使い…。もう無駄なんだよ…」

魔法使い「………そんな……そんなのって……」

魔王「ふははははは!! チェックメイトのようだな!!」

勇者「……仕方ねえか」

魔法使い「……え?」

勇者「……おい、魔法使い」

魔法使い「は、はいっ!! 何ですか!? 良い策でも思いついたんですか!?」

勇者「…あぁ、とっておきのな」

魔法使い「本当ですか!?」

勇者「…あぁ。必殺技を思いついたぜ」

魔王「……何?」

魔法使い「や、やったじゃないですか!! これで勝てますね!!」

勇者「……あぁ」

魔法使い「……勇者様?」

勇者「おい、魔法使い」ワシャワシャ

魔法使い「ど、どうしたんですか、勇者様? 急に頭を撫でたりして? く、くすぐったいですよ///」

勇者「…お前は俺を信じられるか?」

魔法使い「当たり前ですよ。今更何言ってるんですか?」

勇者「…お前は今まで楽しかったか?」

魔法使い「まぁ辛いこともたくさんありましたが…そうですね、楽しかったです!」

勇者「…お前はこれからも楽しく生きていけるか?」

魔法使い「当たり前ですよ! 戦士さんに、僧侶さん。他にもマスターに村人さんとも楽しくやっていきたいです! もちろん、勇者様ともです!」

勇者「……そうか。良い仲間が沢山できたな」

魔法使い「はいっ!!」ニコッ

勇者「それじゃぁ…」



勇者「俺が居なくても大丈夫だな?」



魔法使い「……え?」

勇者「…ま、そんだけ仲間が居りゃ大丈夫だろ」

魔法使い「この手って……まさか!? 離してください!! 勇者様!!」

勇者「達者で暮らせよ」

魔法使い「やめてください!! 勇者様!! 離して!!」ブンブンッ

勇者「俺はお前のこと……いや、いいか」

魔法使い「勇者様!!」ブンブンッ


勇者「あばよ。魔法使い」

魔法使い「勇者様ああああああああぁぁぁぁぁぁあああぁぁぁ!!」

ヒュン


今日はこれで終わりです!!
次回ラストにできたらいいなぁ…。

長い間明けてすみませんでした!!
保守、コメント、本当にありがとうございました!!

次回はここまで明かないよう頑張ります…。


コメントありがとうございました!!
今日、明日で完結させたいと思います!!

それでは投下します!

_____
___
_

戦士「はあああああああああああ!!」

ズバッ

戦士「はぁはぁ…」

「グルルルル!!」

戦士「ちっ!! まだ居るのか!!」

僧侶「…うぅ、このままじゃ全然進めないですよ」

戦士「くそっ!! 早く行かないと間に合わないぞ!!」

僧侶「こ、このままでは…」

ヒュン

魔法使い「うっ…」ドサッ

僧侶「…って、魔法使いちゃん!?」

戦士「何!? もう魔王を倒し終えたのか!?」

魔法使い「っ!! 戦士さん、僧侶さん、急いでください!!」

僧侶「え…?」

戦士「何故だ? 魔王を倒し終えたから戻ってきたんじゃないのか?」

魔法使い「違うんです!! このままでは勇者様が危険です!!」

戦士「落ち着け、魔法使いちゃん!! 何があったんだ!!」

魔法使い「今、勇者様は一人で魔王と戦っているんです!!」

僧侶「えっ!? 一体何故!?」

魔法使い「勇者様は一人で死ぬ気です!!」

戦士「何っ!? それは本当か、魔法使いちゃん!!」

魔法使い「はい!! そのようなことを言ってました!!」

戦士「くっ!! 急ぐぞ、僧侶ちゃん!! 魔法使いちゃん!!」

僧侶「は、はいっ!!」

魔法使い「はいっ!!」

魔法使い(無事でいてください、勇者様!!)

_____
___
_

勇者「………」

魔王「ほう…。勝ち目がないと踏んで小娘一人逃がしたか」

勇者「…あぁ、そうだよ。俺はこのまま戦い続けるほど馬鹿じゃないんでな」

魔王「賢明な判断だな。だがいいのか? 貴様は逃げなくて」

勇者「自分を飛ばせるほど魔力も残ってないからな」

魔王「ふんっ、馬鹿な男だ。自分の身より大事なものなど存在するわけがなかろう」

勇者「…俺もそう思ってたんだけどな。どこで間違えたんだろうな」

魔王「ふんっ、愚かだな。あんな小娘一人の為に自らの命を犠牲にするとはな!!」

勇者「全くだ」

魔王「だがその勇気に称えて楽に殺してやる。光栄に思え!!」

勇者「あぁ、その前に一つ答え合わせをしようぜ。どうせ死ぬんだ。もう少しくらいお喋りしようぜ」

魔王「…ふむ、よかろう。何についてだ?」

勇者「お前の能力についてだよ」

魔王「…面白い。付き合ってやろう」

勇者「心の広い魔王で助かったよ。じゃあまずお前が魔法を使える範囲についてだ」

魔王「ほう…。言ってみるがいい」

勇者「何、簡単な話だ。俺の発動条件は『手に触れている物』だ。だが、お前の発動条件は俺と反対の『手に触れていない物』ってだけだ」

魔王「なるほど。何故そう思ったのだ」

勇者「簡単な話だ。さっき攻撃をするとき爆薬をわざわざ投げてから呪文を使ったんだ。そんな面倒な真似普通ならしねえだろ」

勇者「他にもある。お前の体に刺さっている無数のナイフがそれを証明してんだよ」

魔王「それは先にも説明したであろうが。貴様の手に渡らぬようにあえてそのままにしておるのだよ」

勇者「だったらどっか別の場所にでも飛ばせばいいじゃねえか。わざわざ俺に向けて使う必要もねえだろ? それに刺しっぱにする必要もな」

魔王「…ふははははは!! その通りだ、勇者よ!! 気付いたのは貴様が初めてだ、褒めてつかわす!!」

勇者「そりゃどうも。お前も初体験できてよかったな」

魔王「だがそれだけ気付いたところで…」

勇者「ったく、せっかちな奴だな。他にもちゃんとあるっての」

魔王「…何?」

勇者「お前、自分の見える範囲でしか物を移動できないんだろ?」

魔王「…何故そう思った」

勇者「俺が普通に攻撃した時、お前は俺に反撃ができた。だが、煙草に視線を移させた時。それと天井に視線を移した時。お前は俺から攻撃を喰らったんだ」

魔王「…なるほど。だがそれはないな」

勇者「…何でだ?」

魔王「その意見には大きな矛盾があるからだ」

勇者「…いいぜ、言ってみろよ」

魔王「我は貴様らのもとへ魔物を送り込んだ。だがそれは目で見える範囲ではない。目で見える範囲だけというのならそのようなことをできるわけがなかろう」

勇者「…なるほどな」

魔王「残念だったな、勇者よ。面白い意見だったがそれまでだ」

勇者「…はぁ。あのなぁ、俺が気付いてないとでも思ってんのかよ?」

魔王「…ほう、何をだ?」

勇者「自分の目で見えないなら見えるようにすりゃいいんだろうが」

魔王「…なるほど。しかし、どうやってだ?」

勇者「ずっと俺らのことを見ていた水晶に決まってんだろうが。言わせんな恥ずかしい」

魔王「…ふははははは!! その通りだ、勇者!! 流石にここまで辿り着いただけのことはある!!」

魔王「だが、しかし!! 今更気付いたところでどうした!! 今の貴様に何ができる!!」

勇者「……あぁ、全くだ」

魔王「…しかし、貴様をみすみす殺すのは勿体ない。どうだ!! 我と共に世界を我がものをしないか!!」

勇者「ほぉ…。魅力的な提案だな」

魔王「そうだろう!! だったら!!」

勇者「…だが悪いな」

魔王「何…?」

勇者「俺は『死神』だ。腐っても『神』なんだよ。たかだか『魔王』の下につくなんてまっぴらごめんだね」

魔王「…バカな男よ!! 自分の置かれている状況が理解できていないとはな!!」

勇者「…あぁ、自分でもそう思うよ。何言ってるんだろうな、俺は」

魔王「前言撤回だ。貴様のような馬鹿などいらん!!」

勇者「賢明な判断だな」

魔王「交渉決裂のようだな」

勇者「どうやらそのようだな」

魔王「もうよい。ではさっさと死ぬがいい!!」

勇者「どうやらお別れの時間の様だな」

魔王「あぁ。地獄で会える日を楽しみにしておるぞ」

勇者「…やれやれ、こんなときは雰囲気的に雨が降るべきなのに随分と快晴だこった」

魔王「残念だったな!! 悲劇のヒーローになれなくてな!!」

勇者「本当にな。…あぁ、綺麗な太陽だこった」

魔王「最後に見る景色がこのように綺麗なもので良かったな」チラッ

勇者「…あぁ」





勇者「本当にな!!」ヒュン




魔王「何っ!? まだ魔力が残っていたというのか!?」

ヒュン

勇者「簡単に人を信じてるんじゃねえよ、馬鹿が!!」

魔王「チィッ!! 小癪な!!」バッ

ヒュン

勇者「…振り返っても無駄だ。そっちじゃねえよ」

魔王「くっ!! しかし無駄だ!! 貴様にもう武器はない!!」バッ

勇者「…あぁ。そうだな」

ヒュン

魔王「それにもう我の傷は癒えておる!! 我にダメージを与えても無駄だ!!」バッ

ヒュン

勇者「…あぁ。その通りだ」

魔王「だったら何をしようと無駄であろう!!」バッ

ヒュン

勇者「…いや。それは違うな」

ガシャン

魔王「…なんの音だ」

勇者「自分の手を良く見てみろよ」

魔王「…これは」

勇者「さぁ、ここで登場。勇者7つ道具、最後の1つ」



勇者「手錠だ」



魔王「…それがどうしたというのだ。両手を使えなくなったところで我は痛くも痒くもないぞ」

勇者「まぁ、見てろって。お前の手錠の鎖部分にもう一つ手錠をつける」

ガシャン

勇者「んでもってもう片方の輪の部分にもう一つ手錠の鎖をつける」

ガシャン

勇者「ほんで最後にその手錠を俺につける」

ガシャン

勇者「はーい、これで完成でーす」

魔王「…貴様は一体何がしたいのだ」

勇者「やれやれ、馬鹿はどっちだよ」

魔王「何?」

勇者「俺とお前の呪文の発動条件を思い出してみろ」

魔王「…まさか」

勇者「そう。お前は『手に触れてない物』しか移動できない。逆に俺は『手に触れている物』しか移動できない。そして俺は今、お前の目に映らない背後に居る」

魔王「…くっ!!」

勇者「これでお前は俺に、もう何もできやしねえんだよ」

魔王「だがそれがどうした!! いくら我の体に刺さっているナイフを何度突き刺そうと我は死にやしないぞ!!」

勇者「…あぁ、そうだろうな」

魔王「それに貴様の仲間が来るのを待ったって無駄だ。その時点で貴様の仲間は我の目で捉える事が出来る」

勇者「じゃぁ今お前の目にナイフを突き刺してやろうか?」

魔王「それも無駄だ。我の治癒能力をもってすればすぐに癒えることだろう」

勇者「…ですよねー」

魔王「だったら結局無駄なことよ!!」

勇者「…なぁ」

魔王「…なんだ?」

勇者「太陽って知ってるか?」

魔王「…何を藪から棒に」

勇者「良いから答えろよ」

魔王「当たり前だ。今丁度見えているだろうが」

勇者「なんで太陽が出ている時ってあんなに暑いんだろうな」

魔王「そんなもの太陽が熱を持っておるからであろう。詳しくは知らんがな」

勇者「ってことはよ。ここまで熱が届くってことは本体は相当熱いんだろうな」

魔王「それがどうした…ってまさか!!」

勇者「あぁ、そのまさかだよ」

魔王「馬鹿か貴様!! それでは貴様も死ぬぞ!!」

勇者「…あぁ。だろうな」

魔王「ふざけるな!! 考え直せ!!」

勇者「…まぁいいじゃねえか」

勇者「一緒に宇宙旅行にでも行こうぜ」

魔王「やめろおおおおおおお!!」

ヒュン

パリーン

魔法使い「あっ!!」

戦士「どうした!! 魔法使いちゃん!!」

魔法使い「す、すいません!! 魔法瓶を落としちゃいまして…」

僧侶「なんだ、そんなことですか。それなら良かったです」

魔法使い「すみません!! 驚かせてしまって…」

戦士「何、気にするな。それより魔物もあと少しだ」

「グルルルルル…」

僧侶「…そうですね。早く倒して勇者様のもとへ向かいましょう」

魔法使い「…はい」

魔法使い(勇者様…。どうかご無事で…)

ヒュン

勇者(…っ。息ができねえ)

ヒュン

勇者(くそっ、まるで海に潜ってる居る様だ…)

ヒュン

勇者(…考えるな。他のことを考えろ)

ヒュン

勇者(…あぁ、月ってこんな形をしてたんだな)

ヒュン

勇者(…地球ってあんな色だったのか)

ヒュン

勇者(…遠すぎる。全然近づけねえ)

ヒュン

魔王「やめろ!! 考え直せ!!」

ヒュン

勇者(ちっ…。なんであいつは普通に喋れるんだよ…)

ヒュン

勇者(くそ…意識が遠くなってきた…)

ヒュン

勇者(もう魔力も残りすくねえ…太陽まで着くのか…?)

ヒュン

勇者(…でももう少しだ)

ヒュン

勇者(…大分熱くなってきた)

ヒュン

勇者(…もうすぐ…もうすぐだ…)

ヒュン

勇者(…あと少しだ)

ヒュン

魔王「ちぃっ!! こうなったら太陽ごと移動させてやる!!」

勇者(っ!! ちぃっ!!)

ヒュン

グサッ

魔王「ぐあああああああああ!! 見えぬ!! 何も見えぬ!!」

ヒュン

勇者(…あぁ……もう…力が…出ねえ…)

魔王「熱い!! 熱い!!」

勇者(…だが…放っておいても…勝手に…近づいていくし…いいか)

魔王「暗い!! 熱い!!」

勇者(……あばよ…僧侶…戦士………魔法使い)

魔王「やめろ!! やめろおおおおおおぉおおおぉおおおおぉおぉぉぉぉ!!」

勇者(……今そっちにいくぜ……親父……お袋)


勇者「死神のご加護がありますように」


すいません、ちょっと出かけます!


すみません、友人から急に呼び出されたので…。
再開します!

______
___
_

戦士「はああああああああ!!」

ズバッ

魔法使い「や、やっと倒し終わりました!!」

僧侶「戦士さん、回復術です!!」

キュイン

戦士「あぁ、ありがとう、僧侶ちゃん」

魔法使い「戦士さん、僧侶さん!! 行きましょう!!」

戦士「そうだな!! 先を急ごう!!」ダッ

僧侶「はいっ!!」ダッ

魔法使い「っ!!」ダッ


_____
___
_

魔法使い「戦士さん、僧侶さん!! ここです!!」

僧侶「……あれ?」

戦士「どうしたんだ? 僧侶ちゃん?」

僧侶「……魔力を感じません」

魔法使い「えっ!? ということは魔王はっ!!」

僧侶「もしかしたら、勇者様が…!!」

戦士「本当か!? よしっ、行くぞ!!」

魔法使い「はいっ!!」


ギィ

魔法使い「勇者さ……ま?」

戦士「……誰もいないだと?」

僧侶「…え?」

魔法使い「ゆ、勇者様ー!! 隠れてないで出てきてくださいよー!!」

戦士「…二人ともどこに行ったというのだ?」

僧侶「わかりません…。ですがこの近辺に居ないのは確かです」

魔法使い「勇者様ー!! 勇者様ー!!」

戦士「…まさか勇者と魔王が同時に」

僧侶「……その可能性は高いと思います」

魔法使い「勇者様ー!! どこですかー!!」

戦士「……魔法使いちゃん」

魔法使い「勇者さ…ってあれ、これは…」ヒョイ

戦士「それは……」

僧侶「……勇者様の紋章」

魔法使い「………」

戦士「……こんなにボロボロになるまで戦っていたのだな、彼は」

僧侶「……うっ」

魔法使い「な、何泣いてるんですか、僧侶さん!! 勇者様が勝ったんですよね? ね?」

戦士「……魔法使いちゃん。だが彼は…」

魔法使い「あ、あれですよ!! きっと先に帰っちゃったんですよね? 全く、薄情な人ですね!!」

僧侶「……魔法使いちゃん」

魔法使い「私との約束も放ったらかして先に帰るなんて…許せません!!」

戦士「魔法使い!!」

魔法使い「……っ」

戦士「…彼は、きっと」

魔法使い「そんなはずないです!! 勇者様は…勇者様は…!!」

戦士「……魔法使いちゃん。帰ろう?」

魔法使い「うぅ…勇者様……勇者様ああああああああぁぁぁあぁああぁぁああ!!」

魔法使い(…私たちは魔王城をあとにしました)

魔法使い(4人で来た道のりを3人で帰りました)

魔法使い(とてもとても長い道のりでした)

魔法使い(途中、戦士さんが)

戦士「勇者が居ればな…」

魔法使い(と、呟いたのを私は聞いてしまいました)

魔法使い(…私たちはそれでも歩き続けました)

魔法使い(砂漠の街に着いた時、僧侶さんのお姉さんが)

僧侶姉「…ありがとうございます、皆さん」

魔法使い(と、笑顔で言ってくれました)

魔法使い(一か所だけ地面が黒くなりました)

魔法使い(僧侶さんはこのまま王様の所まで着いてきてくれるそうです)

僧侶「私たちは王様に伝える事くらいしかできませんから…」

魔法使い(そう寂しそうに言いました)

魔法使い(…それからも私たちは歩きました)

魔法使い(後ろを振り返ったりしながらゆっくりと歩きました)

魔法使い(村に着いた時、村人さんが)

村人「…私は彼に感謝を伝える事すらできないのか」

魔法使い(そう呟きました)

魔法使い(村娘さんは)

村娘「…彼は素晴らしい勇者様でしたね」

魔法使い(それだけ言うと走り去ってしまいました)

魔法使い(村の至る所から)

「ありがとうございました、勇者様!!」

魔法使い(そう聞こえました)

魔法使い(村には沢山の家が並んでいました)

魔法使い(…私たちは歩き続けました)

魔法使い(魔王城をあとにしてから大分時間が経ちましたが歩き続けました)

魔法使い(そして私の居た街に着きました)

魔法使い(私たちはマスターの居る居酒屋へ向かいました)

魔法使い(マスターは温かく迎えてくれました)

マスター「…あいつはどうしたんだ?」

魔法使い(戦士さんや僧侶さんが事情を説明すると)

マスター「………そうか」

魔法使い(そう一言だけ呟きました)

魔法使い(そして棚に置いてあった大量のビールを飲み始めました)

魔法使い(その後皆にもお酒を出してくれました)

マスター「…あの馬鹿が」

魔法使い(そう小さく呟きました)

魔法使い(…次の日、私は自分の家へ向かいました)

魔法使い(旅へ出た時と少しも変わっていませんでした)

魔法使い(ほんの少しだけ、埃をかぶっていたくらいでした)

魔法使い(私はお花屋さんへ行き何本かお花を買いました)

魔法使い(それを花瓶へ差し込み水を入れました)

魔法使い「…ただいま、お父さん、お母さん」

魔法使い(それだけ言うと皆のもとへ戻りました)

魔法使い(そしてまた歩き始めました)

魔法使い(…私たちは歩き終えました)

魔法使い(とうとう目的の街に着きました)

魔法使い(何度も振り返りながらゆっくり歩いたのに後ろからは誰も来ませんでした)

魔法使い(私たちはお城へ向かいました)

魔法使い(とても立派なお城でした)

魔法使い(私たちは門番の人に事情を説明し、中に入れて貰いました)

魔法使い(私は一縷の望みにかける事にしました…)

魔法使い(……ですがそこに勇者様の姿はありませんでした)

魔法使い(戦士さんと僧侶さんが王様にこれまでのことを報告しました)

魔法使い(私の街で起こった事、八岐大蛇の出た村の事、砂漠の街で起こったこと)

魔法使い(……そして魔王城での事)

魔法使い(王様は話を聞き終えた後)

王「そうか。よくぞ無事帰還した」

魔法使い(淡々とそう言いました)

魔法使い(そして、)

王「何。奴のことだ。そのうちひょっこり顔を出すであろう。…儂はいつまでも待っておるよ」

魔法使い(そう自信満々に言い切りました)

魔法使い(…うじうじ考えていた私が馬鹿みたいに思えました)

王「お主らもそう信じているじゃろう?」

魔法使い(さも当然かのようにいうその言葉に私たちは…)

「「「…はいっ!!」」」

魔法使い(自信満々でそう答えました)

_____
___
_

魔法使い(あれから数カ月が経ちました)

魔法使い(ですが勇者様はまだ帰ってきていません)

魔法使い(あの後、王様は私たちに、)

王「何でも望むものを与えよう。なんでも言うがいい」

魔法使い(そう言いました)

魔法使い(僧侶さんは、)

僧侶「孤児だった私は運よく姉に助けられました。ですがそうもいかない子達も居ると思います。そんな子の為に大きな孤児院を作ってください」

魔法使い(と言いました)

魔法使い(その言葉通り現在はとても立派な孤児院を製作中とのことです)

魔法使い(僧侶さんはそこで孤児の面倒を見ながら教会のお仕事もするそうです)

僧侶「これから毎日忙しくなりますね!!」

魔法使い(とても楽しそうにそう言ってました)

魔法使い(戦士さんは、)

戦士「勇者が平和にしてくれたこの世界を維持するためにも是非この国の軍に入隊させて欲しい」

魔法使い(そう言いました)

魔法使い(入隊してすぐに元帥の称号を与えられたそうです)

魔法使い(戦士さんは、『そんな恐れ多い!!』と最初は拒否していたらしいですが立派に仕事をこなしているそうです)

魔法使い(それと勇者様が言っていた『特殊部隊』を解隊するよう命じたらしいです)

魔法使い(大臣は猛反発したそうですが、魔王の居ない今、必要ないと判断され無事解隊されたそうです)

魔法使い(…ざまあみろです)

魔法使い(それでも必死に兵を集めようとする大臣を見張りつつ街の警備も頑張っているそうです)

戦士「勇者が帰ってきた時がっかりさせないよう、しっかり国の平和を守るよ」

魔法使い(頬笑みながらそう言っていました)

魔法使い(私はと言うと、)

魔法使い「一人で旅に出て困っている人を救いながら魔法のお勉強をしたいです」

魔法使い(そう言いました)

魔法使い(そして現在絶賛旅の途中です)

魔法使い(戦士さんや僧侶さんには危ないからやめろと言われましたが)

王「よかろう。ではお主にこれを与えよう」

魔法使い(そう言い、500Gと銅の剣をくれました)

魔法使い「…私魔法使いなのですが」

王「キングジョークじゃ」

魔法使い(その後倍以上のお金と、)

王「お主が持っている方が、奴も喜ぶであろう」

魔法使い(そういい勇者の紋章を私にくれました)

魔法使い(そして私は旅に出ました)


魔法使い(私はその後色んな街を回り、困っている人を助けました)

魔法使い(どんなことをしたかは割愛しますが私もやればできるんです!!)

魔法使い(もう守られるだけの役立たずなんかじゃないです!!)

魔法使い(…ですから安心してください、勇者様)

魔法使い(いつ戻ってきても大丈夫ですよ)

魔法使い(あっ、ただ約束を破ったことについては怒ります!! 許しません!!)

魔法使い(でも戻ってこない方がもっと怒ります!!)

魔法使い(ですから早く戻ってきてくださいね、勇者様)

魔法使い(…私はいつまでも待っていますから)

魔法使い(…勇者様が無事であることを願っていますよ)



魔法使い「死神のご加護がありますように」



まだ続きがあるはずだよな…(´・ω・)

チャポン

「……はぁ、釣れねえな」

ゴロン

「…どうしたもんかねぇ。このままじゃ3日連続野菜生活だ。ベジタリアンかっつうの」

ザッ

「…やっと見つけました」

「………」

「……ここに居たんですね」



魔法使い「勇者様」


「……あん? 誰だ? 俺はあんたみたいな若いねえちゃん知らねえぞ?」

魔法使い「そりゃそうですよ。もうあれから5年も経っているんです。少しは成長しますよ」

「はて、なんのことだ? というか人違いじゃねえか?」

魔法使い「そんなはずはありません。私が見間違えるはずなんてありませんから」

「おいおい、こんな全身火傷まみれの奴とお前の探している奴を間違えるなんて、そいつに可哀想だぜ?」

魔法使い「気付いてもらえない私の方が可哀想ですよ」

「…やれやれ、話の聞かないお嬢さんだこった」

魔法使い「……どうしてずっと顔を見せてくれなかったんですか?」

「……こんな火傷まみれの奴の顔を誰が見たいって言うんだよ」

魔法使い「…私はずっと見たかったです」

「…そりゃ変った趣味をお持ちで」

魔法使い「……私…ずっと待ってたんですよ…」

「………悪かったな」

魔法使い「……本当に…本当に…馬鹿っ!!」ダッ

ギュッ

「……なんだ、殴らねえのか?」

魔法使い「…本当なら会って最初はビンタの1つでもしてやろうと思ってたんですけど…なんかもうどうでもよくなりました」

「……悪かったな、心配掛けて」

ギュッ

魔法使い「……勇者様。私、もう結婚出来る歳になりましたよ」

「………そうか」

魔法使い「……この続きまで言わせる気ですか?」ジトー

「……いいのか? こんな火傷まみれの30過ぎのおっさんとでよ」

魔法使い「…えぇ。他に貰い手も居なさそうなので優しい私が貰ってあげますよ」

「……バーカ。俺が妥協してやってんだよ」

魔法使い「…それに私が居ればライターいらずですよ?」

「……もう炎は懲り懲りだよ」

チュッ

_____
___
_

魔法使い「……というように、私も色んな人を救ってきたんです!! もう役立たずなんかじゃないですよ!!」

「……そうかい。逆に俺が役立たずになっちまったようだな」

魔法使い「いいんですよ、心配しなくて。今までの分、私がしっかり守ってあげますよ!!」

「…そりゃ頼もしいこった」クスッ

魔法使い「もー!! 馬鹿にして!! …というか勇者様。魔王城で一体何があったんですか?」

「あぁ。ちょっと太陽までデートしてきた」

魔法使い「えぇっ!?」

「おう、聞けよ。なんと地球は青かったんだぜ」

魔法使い「そんなことはどうでもいいです!! だからそんなことに…」

「名誉ある負傷ってな」

魔法使い「…というか良くそれで無事でしたね。何で助かったんですか…」

「…まぁ、そうだな」

「死神のご加護でもあったんじゃねえの?」


これにてくぅ疲です!!

設定の甘いところや、ミス、誤字脱字、長期間開いたりと至らないところも多々ありましたが、2か月以上もの間お付き合いありがとうございました!

俺も↑だな

とにかく乙でした(`・ω・)b
面白かったよ

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