男「……微能力?」 ナビ子「そう、微能力」(109)

チュンチュン

男「……」
男「(なんだ今の夢……)」

いつも爽やかに迎える朝だったが今日は少し違う。
いや、厳密には爽やかには迎えた。
寝ぼけ目を擦りながら今見た夢路を思い出す。
しかし、分陰も経たず自室の扉が叩かれそれを中断せざるをえなくなった。
開く扉。

妹「あれ起きてる。 珍しいじゃん。」

妹のこの言動は憎まれ口ではなく素直な驚きからくるものなのだろう。
それほどにこの瞬間は自分が寝ているのが当たり前なのだ。

ちなみに安価スレです
先に男の能力を決めます>>6
微妙な能力をお願いします
デメリットがきついから微妙、とかは無しで
例えば指パッチンをすると音を聞いた対象が目をつむるとかそんなので

髪がのびる速度が1/10になる

正しく安価をとってくれた>>6に本当に申し訳ないけどしばらく考えたが話の伸び代がなくてどうしようもなかった
本当に申し訳ないけど再安価する>>12

鏡に映った自分に物を渡せて、後でまたそれをもらえる
ただし一個だけ

通学路。
今朝の俺の部屋と同じで、それ自体は何の変哲も無い。
通勤通学で賑わうべきこの時間も人通りが少なく、それを心地好く感じていた。
友人と歩くとそんな閑静な道も賑やかになる。

友「それで昨日のテレビでやってた事を真似したんだ! そしたら母さんがさぁ……どうした?」

いつも以上に相槌をうたない俺の顔を心配そうに覗き込む。

男「あー……実は変な夢を見てな」

変に思われないかと心配しながら怖ず怖ずと開口。
友人に夢の話を一部始終話す。

男「--ってな事があってな、まぁ夢の話だが」

友「……男……お前」
友「真剣な話しかと思えば、お前もそんな夢見るんだな!」

笑いながら俺の肩を叩く友人。
俺もつられて笑顔になる。
一抹の影は心から抜け、いつも通り学校へ向う。
しかし。

男「…ッ!?」

慣れたその道で一つの異変。
なんとなしに見上げた丁字路の道路反射鏡。
そこに写る俺はこちらに右手を差し延べていた。
そのような仕種はしていない。
その手はまるで非日常に俺を誘っているようにも見えた。

右手で目を擦り再び見る道路反射鏡。
見慣れた間抜け面、右手は目の横。

男「(今のは……?)」

友「?」
友「どうした?」

男「い、いや、なんでもない」
男「今日は早く起きたからまだ呆けてるんだ」

友人にしたその返答を、自分に言い聞かせるように心内で反芻する。

今日の学校生活は、日常と呼ぶに相応しく放課後まで過ぎていった。
友人と違って部活に入っていない自分は一人で帰途を歩く。

別の友人と一緒に帰ったが帰途が違うため途中で別れる。
そして今一人。

朝来た道を辿る。
朝以上に人気がなくなるこの時間帯。

そこへ少し離れた先に荒い呼吸が横切る。
血相を変えた友であった。

男「(部活中の友がどうしてここに?)」
男「(野球部の走り込みか?)」

そう思った刹那。
俺を視野に入れた友が恐ろしい剣幕でこちらに走ってきた。

友の能力>>20
>>2みたいな感じでオナシャス

ボールを投げるか蹴るとボールの速度がその時の世界記録位速くなる

友は俺の手を掴み引っ張る。
突然の事に対処できず固まる。

友「何やってんだ! お前も能力者になったんだろ!」
友「早く逃げるぞ!」

男「“も”!? 友もあの夢を見たのか!?」

友「お前が見る一週間くらい前にな! それはいいから早く!!」

手を引かれながら走る。
振り返ると小柄な男が一人、こちらを睨んでいた。
急ぐでもなく歩みながら。

小路に入り息を整える二人。

男「(一体何がどうなってるんだ)」

友「(何がって、夢でナビ子に言われた通りじゃないか!)」

男「(ナビ子?)」

ナビ子「お呼びですか?」

男「!?」

友人の顔と唐突に現れた女性の顔を交互に見る。
友人は「驚くのも無理はないか」という顔をしている。

ナビ子「今朝ぶりですね、ナビ子です」
ナビ子「御不明な点でもありましたか?」

たしかに今朝ぶりだが、まだ夢現なのか。
とりあえず状況を把握する為に、俺はその「御不明な点」を尋ね全て端的に話すように言った。

説明が無かった理由は俺がその前に起きたからだと居直り気味に弁解された。
俺たちの様な能力者が何人もおり、合計10人再起不能にすれば願いを一つ叶えてくれる、というゲーム。
ナビ子たちの上、抽象して神的な奴の発案だそうだ。
一般の高校生よりはこのような刺激に飢えていた俺には迷惑なような嬉しいような。
能力はそれぞれの心理を少しだけ現実化したものらしく、この“ゲーム”でちゃんと使える能力もあれば一芸として鼻で笑われる能力を付与される事もあるらしい。
何でそんな事を、と聞こうとしたがナビ子に知らされてるとも思えず、これはまたの機会にした。

頃合いが整い俺の能力を尋ねた。
それも覚えていないの、と言わんばかりにため息をつかれた。

ナビ子「説明されるよりもやって見た方が早いですよ」
ナビ子「鏡面反射する物はお持ちですか?」

男「(鏡面反射? 普通の鏡ならあるが……)」

友「(何で持ってんだよ……)」

男「(いや、俺だって人並みに身嗜みを……まぁいいや)」
男「(これをどうするんだ?)」

ナビ子「何かを持った手を鏡に映してください」

男「(何か……ペンケースでいいか)」

ペンケースを持った手を鏡に映す。
すると、本来ペンケースを持った手が映るはずの鏡には何も持っていない俺の手が映った。
途端、鏡から手が出てきた。

ナビ子「その手にペンケースを渡してください」

言われるがままの行動をする。
鏡から出てきた手はペンケースを持ち、そのまま引っ込んでいった。
鏡にはペンケースを持った俺の手。
今の俺は何も持っていない。

ナビ子「今度は鏡に手を翳してください」

再び言われるがままの行動をする。
すると今度はペンケースを持った手が鏡から出てき、ペンケースを放った。

ナビ子「それがあなたの能力です」

ちょっとした怪談だなこれ。

男「(こ、これだけ?)」

ナビ子「はい」
ナビ子「このような微妙な能力を主宰は『微能力』といって笑われていました」

男「……微能力?」

ナビ子「そう、微能力」
ナビ子「それでは御武運を」

業務的にこちらの無事を祈ると、ナビ子は消えてしまった。

男「(……お前の能力は?)」

友「(円球状の物を投げたり蹴ったりすると超早くなる、って能力だそうだ)」

男「微妙じゃねぇじゃん!!」

小柄な男の能力>>30
>>2みたいな感じでオナシャス

ksk

友「(馬鹿! 声!)」

男「(すまん……とりあえず場所を変えよう)」

小路から出る。
だが、時宜が遅かった。
左方向に小柄な男、先刻とは違い何故かヘルメットやプロテクターを付けていた。
幸いまだ遠くに居たため、右方向に踵を返した。
その時。
刹那、隣にいた友が前方に吹き飛んだ。
友がいた場所を向くと、そこでその小柄な男が転がりながらも受け身を取っていた。

小柄な男は俺を視界に捉えるとこちらに頭を向けてきた。
咄嗟に身体を反らす。
身体を反らした俺の背中を掠めて小柄な男が飛んでいった。
誇大ではなく、正に飛んでいったのだ。
狙いである俺に当たらなかったのが誤算だったのか、塀に激突する小柄な男。
呻きうずくまる。
塀にはヒビ。

機会とみて、背中をおさえる友の肩を組み別の小路へと逃げ込む。
ながらも、歩みは止めず出鱈目に動いた。

友「ぐっ……」
友「なんなんだあいつ、離れてたのに一瞬で俺に頭突きしてきやがった……」

男「恐らくアレがあいつの能力なんだろう」

友「て、テレポートか?」

男「テレポート……」
男「いや、あいつは友に頭突きした後に派手に転がってた」
男「もし自身を特定の場所に転送できたとしたらエネルギーは生じない……はず」
男「それに俺に当たり損ねて壁にぶつかった時、塀にヒビが入ってた」

友「じゃあ高速移動かなんかか」

男「そんなとこだろ……違うみたいだ」
男「くそ見つかった!」

友「え!? どこだ!?」

男「上! 屋根の上だ!」

驚いたではすまない。
その小柄な男は屋根の上からこちらを確認し、いそいそと降りてこちらに向かってきた。

友「俺はもう大丈夫だ! 逃げるぞ!」

男「え?」

友「早く!」

おかしい。
あの小柄な男。
急いで降りていたとはいえ、それは人並の速さ。
この時点であいつの能力がテレポートではないことを確信した。
人よりも高速で走るわけでもない。
それにあいつは平屋の屋根からこちらを視認した。

あの場から逃げてまだ30秒も経っていないのに、平屋とはいえそんな短時間で登れるものだろうか。
塀にヒビを入れるほどの頭突き喰らった友がもう大丈夫というのもおかしい。

男「お前の能力は?」

友「え! さっき言った通りだよ!」

男「だよな」

離れた距離の友への頭突きは軽傷で済み、間近の壁にはヒビを入れた。

男「……たぶんだが」
男「あいつは短距離だけ瞬間的に跳躍できるんだ」

友「少しの距離を超早くジャンプできるって事か?」

男「あぁ」
男「登るのが早くて降りるのが遅かったんだ」
男「それと多分その移動距離も決まってる」
男「攻撃された友が軽傷で済んだところを見るに、5~6mきっかり」
男「1mくらいの距離からぶつかった時に塀にヒビが入ったのも、余った距離分だけ破壊エネルギーとして伝わったんだろう」

友「あんなごてごてな装備になってきたのもダメージを減らすためか!」

小男「君の能力の対策でもあるんだよ」

前方の丁字路右から声、後に姿。

男「友……能力バレてるのか?」

友「……ここ最近能力を使ってピッチングしててな」
友「それが面白くて面白くて……それを見られてたみたいでランニング中にあいつが俺に近づいて能力者か聞いてきて……驚いて逃げちまって、今……」

男「アホめ」

聞いてきた、という事は能力者かどうかはナビ子が教えてくれるわけじゃないのか。

小男「姿を現したのは確認したい事が1つあってな、聞いてくれ」
小男「君も能力者なのか?」

男「能力者じゃなかったら?」

小男「無駄な行動をしたくないんだ」
小男「君が能力者じゃないのなら失せてくれ、用があるのはそこの君だけだ」

男「……」
男「(友、俺に案がある)」

友「(おう)」

男「(幸いあいつとの距離は10m以上あって、俺の能力はバレてない)」
男「(俺の能力を警戒してるのもあるだろうが、すぐに仕掛けて来ないならさっきの推理は信用できるものだろう)」
男「(そこでだ……)」

しばらく小声で話すこちらに対し、小柄な男が苛立ち始めているのがはっきりわかった。

男「……よし逃げろ!」

算段通りバラけて逃げる俺たち。

小男「ちっ……せめて『はい』か『いいえ』くらい言ってけよクソガキ」
小男「まぁいい、どうせ一般人傷つけてもペナルティーがあるわけじゃないしな」

無いのかよ。
雑なルールめ。

小男「能力も分かってるし、まずは君からだ!」

友「お、俺か!」



まずは明白な方から襲いに行ったか。
案の定だ。

友「野球部ナメんなぁぁぁ!!」

雄叫びをあげて住宅街をジグザグに逃げる友。
しかし、能力を利用しながら少しずつ距離を縮めてくる小柄な男。

少しずつ息が乱れる友。
縮まる距離。
その時。
前方に男の姿。

小男「(合流するのか……させるか!)」

迫る速度を上げる小柄な男。
縮まる距離、その距離50m。
35m。
20m。
5m。

小男「(今だ!)」

男「曲がれ友!!」

刹那、右に曲がる友。
誘い込んだのはト字路こと丁字路。
能力により前方に突っ込む小柄な男。
友への攻撃は宙をかき、男の前へ転がる。

男「いらっしゃいお客さん」
男「これでもどうぞ」

丁字路の道路反射鏡に手を翳す男。
瞬間、道路反射鏡から手が伸び、仰向けに寝る小柄な男の上にスクールバッグが放られた。

小男「ぐぁ! お、重い!」

硬球を投げる男。
受け取る友。

男「友、コントロールは?」

友「もーまん、たい!!」

友が投げた球は手から離れた同時に吸い込まれるように小柄な男の顎に当たる。

ヘルメット、プロテクター、コルセットなどには唯一守られていない顔。
小柄な男は白目を向き失神してしまった。
顎は……確実に折れている。
それもそのはず、この時の球速は時速171km。
死んでいてもおかしくない。

男「○○で人が倒れてますので救急車お願いします」

友「はぁ~終わったぁ~」

その場に胡座をかいて座り込む友。

友「それにしても、そのバッグの重りどうしたんだ?」

男「これか、これは」

バッグを開け逆さまにして中身を撒く。
散らばる瓦礫。

男「こいつが塀にヒビ入れてたから、その割れてる部分を取って詰めたんだ」
男「最初にペンケースで能力を試した時に中身が入ってても『1つの物』として扱われるのを知ったからな」
男「あれがなかったら思いつかなかった」
男「それよりも学校にボール取りに行く方が大変だったぞ」

友「あ、あはは……」

男「友は常時何でもいいからボール持っとけ、な」

友「そうだな……あ」

男「どうした? まだ背中痛いのか?」

友「いやぁ今回のポイント、俺に入ったみたい」

男「……」

対極を映す鏡。
こちらの非日常を映し出すのであれば、鏡の中の日常に手を差し出したくなる。
そんな虚脱感がどっと押し寄せてきた。

遠くからサイレンが聞こえる。

戦い終えた後、友が胸を押さえてうずくまった。
肋骨に2本ヒビが入っていたらしい。
実際に「肋の2、3本いっちまった」なんて事がある事に驚き、自分ではなくてよかったと安堵。

あれから数日、再び日常を過ごす暇。
あれだけの事があった。
改めてナビ子に聞くと、やはり能力者の所在情報は開示されていないとの事。
それなら大人しく過ごしていればいいかといえばそうでもなく、2ヶ月に一回は能力者を倒さなければいけないらしい。
参加させといて怠けるのは許さないと。
正に勝手。

こんな出来事を誰にも話せないのは歯痒いが肋を折られるよりはと我慢。
俺よりは戦闘向けの能力の友は、寝台に臥しているため協力も仰げず。
快癒するまでは俺一人で、少なくとも一人は倒さなければならない。

そこでまず始めたのが俺の能力を細部まで把握する事。
この能力、日常では非常に便利。
鏡に入れられるものは一つだけだが、重さ・長さなどの際限はないらしい。
取り出す場合も入れた鏡からだけでなく、入れた物よりも大きい鏡であればどこからでも取り出せる、未来の道具のような能力だった。

次に能力者の捜索。
GPSも付いていない能力者を探す方法を考えるのは一苦労した。
思い付いたのが、新聞やニュースの出来事を頭に入れる事。
友のように軽はずみに能力を披露したり悪用してる奴も居るはずと考え、ここ最近に起きている事件などの中で不可思議なものを優先して調べた。
不意に理解できないような様々な事件が世の中に溢れているのだと思う。
虱潰しにそれをしている中、一つの記事が目に留まる。

不審者の能力>>55
>>2みたいな感じでオナシャス

自分が与えた衝撃がその場で発生しない
解釈は任せる

『超常現象! 突如撥ねる水溜まり!』
『独りでに揺れるブランコ!』
『戦没者の闊歩!? 撮影者に迫る謎の足音!!』
『九十九神? 徘徊する電話ボックス』

それは霊現象などの事例を取り上げていた記事。
一般人からの投稿らしく動画のURLも載せられていた。
見てみると、1つ目が誰も通っていない水溜まりが突然飛沫をあげて飛び散る動画。
2つ目が止まっていたブランコが風も無いのに突然強く揺れ始める動画。
3つ目が誰も歩いていないトンネルの奥から足音だけが近づいてくる動画。

4つ目だけが文章としての情報しかなく、夜に電話ボックスが動き回ってるというふざけた噂だそうだ。

いつもなら馬鹿げてると思うような内容ばかりだが、能力者に触れた今の俺からしたらこれほど惹かれる記事はなかった。
調べていく内にこの動画の投稿者が全て同一人物である事が分かり、ブランコが置かれている公園が隣街にある事を思い出した。

男「(一番手近な候補はこれだな)」
男「(水溜まりやブランコの動画を見る限りでは念動力)」
男「(念動力といえば超能力の中でも最高クラスの能力だけど、微能力であれば下位互換と呼ばれる性能のはず)」
男「(例えば木の葉しか動かせないとか、そよ風しか吹かせられないとか)」

男「(でも、そうなるとトンネルの音の説明が……)」
男「うーん……」

この動画の投稿主。
他にもたくさんの動画を大型動画投稿サイトに投稿しており、抜粋すると。
炭酸飲料が入ったペットボトルを振ってから開けてみた』『ワサビを丸かじりしてみた』『きな粉をストローで吸ってみた』
など、お世辞にも面白いとは言えないものばかり。
しかし、3ヶ月前から超常現象のような動画をサイトに挙げ始めた。

つまり、最低でも能力者を一人は倒している。
それが運によるものか実力によるものかは分からないが、今の俺には対峙するのに不安が残る。

だが、悩むには時間をかけすぎた。
動画の投稿間隔は4日に一回。
俺に残された期間は一週間。
行動範囲は主に隣街及び接している街。
あくまで“主に”。
この当てをはずすともう手立てはない……。

俺は、ふふっと小さく笑みを漏らした。
まるで幼くなった様にこの状況を楽しんでいる。

探し出して絶対倒す。
別に日々を退屈だなんて思ってはいなかったが、こんな面白いゲームを降りるなんて嫌だからな。

あれから数日が経ち、好機の知らせ。
この投稿主が次の撮影を予告したのだ。

タイトルは『近くの廃工場を探検してみた』。
心霊現象を取り上げるテレビ番組では、こういった動画を撮る奴は大抵ろくな事にはならない。

当然ながら場所の詳細は明記されていなかったが、隣街の外れにある廃工場と予想し当て込んだ。

男「(張るか……)」
男「(後はどうやって相手を再起不能にするかだな)」

男「ここか」

廃工場に着き、外観を見上げる。
夜分のため、少し離れた場所の街頭が工場を怪しく照らす。
普段なら人気があってもこんなところには入りたくない。

自ずと後手になってしまった前回の戦いとは違い、今回は綿密に計画を練って先手を取る事ができた。

フェンスの切れ目から敷地に入り、割られた窓から中に侵入。
工場内は俺の動悸が響くかと思うくらい不気味にも静か。
機械等はそのまま放置されており、隠れて待ち伏せするのに適した場所もちらほら。

手には包まれた大きな一枚鏡。

一歩足を出す度に足元の砂利やガラス片が音を上げ工場内に響く。

機材の影に隠れしゃがみ込む。

男「(とにかく準備だ)」
男「(今日は金曜日、最低3日間は粘れるな)」

包みを剥がれ露わになる鏡。
手を翳すと鏡から膨れたリュックサックが放られた。
そのリュックサックから色々と物を取り出す。

その時、工場内にガラスが鳴る音が響く。

男「(だ、誰か入ってきたッ!?)」
男「(思っていたよりもはるかに早い!)」

動揺した男は半歩後ろに下がる。
その際、足元の砂利が擦れる。

すぐに冷静さを取り戻し、人が入ってきたであろう方向を覗き込む。
刹那、振り上げられた鉄パイプが視界に入った。

咄嗟に身体を反らしたが、振り下ろされた鈍器は左肩に衝撃を与えた。
男は低く呻きながらも後ろに飛び距離をとる。
左肩には力が入らず手はだらりと重力に従う。

男「(痛い痛い痛い痛い痛い!)」

凡々たる人生を送ってきた男には鈍器で殴られるような経験は無く、二重に衝撃を受けた。

?「ったく、なんで人がいんだよ」
?「お前も能力者か?」

鉄パイプで身体を支えるように立ちながら質問する。

男「(こいつが投稿者か)」
男「(雑な推理だったが当たって良かった……この状況は良くないか)」

痛みで思考が回らない。

男「の、能力者?」
男「俺はここに肝試しに来ただけだ! なんで殴られなきゃいけないんだよ!」

投稿主「あー……なんか悪い事したな」

一先ずはこれで乗り切ろう。
一旦引いて態勢を立て直す。

投稿主「でもさ」

不意。
鉄パイプを挙げ、再び俺に振り下ろす。

咄嗟に手に持っていた物を頭上に掲げ防御する男。
ガシャン。

男「しまった! 鏡が!」

投稿主「しまった? お前やっぱり能力者だな」
投稿主「しかも鏡を使わなきゃいけないみたいだな、残念」

男「……」

先手を打とうとして結局は後手。
能力を貰って初戦闘が友人と共闘、能力者探しも上手くいき、こうして現に能力者を探す事に成功した。
むしろこの瞬間までが上手く行き過ぎたんだ。
これはそのツケかなにかだろう。

投稿主「……おい」

男は割れた鏡の縁を投稿主に投げた。
鏡の縁は空気の抵抗を受けながらも回転し投稿主に命中。

投稿主「ぐっ……てめぇッ!」

間髪を入れずに鏡の破片を拾い投げつける。
何度も何度も。
拾う手は赤く滲む。

いくつかの破片は投稿主を掠め、一つが片瞼を裂いた。
投稿主は目を片手で覆い怯んだ。
寸秒、投稿主は血を拭うが眼前に男の姿を捉えられない。

投稿主「どこ行ったくそ野郎!」



ここだよ!、と言いたい気持ちを抑え身を潜める男。

男「(隠れた……隠れられた……)」

男は物陰から投稿主を見る。
投稿主は憤慨して辺りを凝視し、時折怒りを言葉に出している。

男「(あとはガラスを踏む音を頼りに不意打ちをかますか……ッ!?)」
男「(なんでだ……ガラスを撒いたはずなのになんであいつから物音一つ聞こえないんだ!?)」

驚いたのも束の間、窓際から砂を踏む足音。

あいつの仲間か!?

姿を出さぬように隙間から覗く。
誰もいない、しかし。
足音は確実に窓際からこちらに近づいている。

なんだよこれ……まるで心霊現象……!
違う、これはあいつの足音だ。
きっとこれがあいつの能力なんだ。
今の状況、あいつが投稿していたトンネルの動画とほとんど同じ。
差し詰め、足音を後からあるいは任意のタイミングで鳴らす……いや。
水溜まりやブランコの件も考慮すると、あいつの能力は「衝撃を後から発生させる」能力……!。

今あいつは足音に驚いた俺がボロを出すのを待っているのだろう。
これに気付けたのは良かった、くだらない動画を見ておいて本当に良かった。

一分くらいして工場内に響く怒号は止んだ。
この瞬間、男の推測は核心に変わった。

やっぱりだ。
あいつは足音一つ立てずに歩いている。
この光景を俺が撮れば心霊動画として少しは再生数稼げそうだな、そんな場合じゃないけど。
だけどどうするこの状況。
鏡は割られたし、手元にあるリュックサックにはもうほとんど物が……これは!
……出来るか分からないけど、一か八かやってみるか。

投稿主が工場内をうろうろと歩き回っているその時。
工場の外からガサガサという音。

投稿主(外、逃げられちまったか)
投稿主(無駄に傷を負っちまったし、くそ野郎……白けたから今日は帰りたいが撮らないとな)

今度は工場内から砂利を踏む音。
音の方向に振り向く投稿主。
その視線の先には男。

投稿主「かかってくんのか逃げんのかはっきりしろやオラぁ!!」

機材や柱を鉄パイプで叩きながら威嚇するように音を立てて男に迫る投稿主。

男(情緒不安定かよ!)

投稿主「痛いのは一瞬だと思うからさ」
投稿主「一発だけでいいからガツン!と受けてくれねぇかなぁ?」

男「どんな理屈だよ!」

投稿主「そうかいそうかい、それなら!」

突如、男の背後で近くの機材が音を立てて壊れ散らばった。

男「!?」

破片に足を取られ尻餅を付く男。
破片が尻に当たり痛みが走る。

男(し、しまった! 手当たり次第に叩いてたのは機材に衝撃を蓄積するためか!)

投稿主「はいおしま、い!」ブン!

男「させるか!!」

男は振り下ろされた鉄パイプを両手で受け止めた。

投稿主「なに!?」

男「で、できた……さぁ受け取れ! 俺!!」

受け止めた鉄パイプをぐいと押し返す。
すると投稿主の背後から二本の手が伸び、鉄パイプの両端を掴む。

投稿主「なんだぁ!?」

手を離す間もなく鉄パイプごと背面に引きずられ窓に身体を打ち付ける投稿主。
そのまま鉄パイプで首を絞められるように窓に張り付けになる。

投稿主「かはっ!」
投稿主「な、なんで窓ガラスから手が!」

男「不利な状況の相手に説明するのは死亡フラグみたいで嫌だが」
男「俺の能力は鏡から出る手に物を渡す事ができる能力」
男「あんたの言う通り俺の能力には鏡、正確には鏡面反射をする物が必要だったがそれはあんたに割られちまった」
男「だから俺は寒さを凌ぐ為に用意してたエマージェンシーブランケットを割れていない窓の外側に付けて鏡面としての反射率を上げて鏡の代用にした」
男「後は窓から出る手と渡した物であんたを挟んでこの状況だ」

投稿主「べらべらと喋りやがって!」ジタバタ

男(聞いたのはそっちだろ)

投稿主「ぐ、ぐるじい゙……」ジタバタ

男(もう少しかな)

投稿主「ぐ、あ゙っ、かっ……」カクン

男(やっと気絶したか)
男「ナビ子、俺が倒した人数は?」

ナビ子「一人ですね」

「よし」と小さく言い、掲げていた右手を下げる。
すると鏡の手の右手が消え左手だけ引っ込み、窓に鉄パイプが吸い込まれた。
投稿主の身体はずるりと床に倒れた。

男「はぁ、こんな行き当たりばったりじゃ今後身がもたねぇな」

男は鈍く痛む肩を庇いながら私物を片付け、また救急車を呼んで家路に着いた。

次の敵の能力>>76
>>2みたいな感じでオナシャス
ついでに敵の性格や特徴>>78

次からはスラスラ書けるように努力しますm(__)m

右足で踏んだ場所から風を出せる

友の姉
男(主人公)が好き

俺の両親は寛大にして寛容だ。
悪い言い方をすれば放任主義。
しかし、今回の戦いで擦り傷・切り傷・打撲を負った理由を慌てながら聞いてきたが「こけただけ」と言われてあっさり信じるのは如何なものか。
それも好都合だが。

今回の勝利で二ヶ月の猶予が設けられた。
とはいえ、傷は癒えたがまだ療養したい、というわがままを言う余裕はない。
初戦とは違い今回は準備をしたうえでのあのザマ。
ただでさえ攻撃的な能力ではない俺の能力、抜かりを無くすことに尽力する必要がある。

男「――ということがあってな、なんとか倒せたよ」

友「すげぇじゃん」

男「(……その一言で済ますのか)」
男「怪我の具合はどうだ?」
男「さすがにまだ全快じゃないだろ」

友「いやぁ、なんだか俺の骨密度が超良かったらしくてな」
友「それでひびが綺麗に入ってて、一ヶ月もしないでしっかりくっついたぜ」

男「すごいなカルシウム」

友「ビタミンDもな」
友「んで、次どうする?」

お互い同意とはいえ他人に暴力を奮うのに未だに抵抗が俺とは違ってこいつはノリが軽い。
こいつのこの軽さもゲームを続けていく以上は重要なのかもな。

男「目星は付いてる」ススイー
男「これだ」ズイ

スマホを友の顔に近づける。
そこに映る記事に友の視線が向く。

友「『怪奇! フライングヒューマノイド!』?」

男「そう、これが次の狙い」

友「この目撃情報ってウチの近所じゃん」
友「それにこの写ってるの、どこかで……」
友「ってかこんな近くにいるもんなんだな、能力者」

男「速攻で能力者に遭遇しておいてよく言うよ」

友「あ、あれはたまたまだ!」

男「よくある方が困るわ」

学校の帰り。
地理の把握も兼ねて、今後の作戦や連携を話ながら友の家まで着いていく事にした。
連携がとれれば俺にない攻撃性と友の能力の足りない部分を補い合う事ができる。
と考えたのだが、正直な話微能力とは呼べないこいつの能力を俺が補えるのか疑問に思う。
詳しくは「投げた球は初速の勢いに関係なく時速約170km、蹴った球は時速約130Kmで放たれる」というのが友の能力らしい。
なんとも羨ま妬ましい。

友の家の前に着いた時、友の携帯が軽快な音を発した。

友「もしもし」
友「あーじゃあ、おでん! 餅巾着5個につみれ5個ね!」

男「(偏食すぎだろ)」

友「よろしくー」プツ
友「悪い悪い、姉ちゃんからだった」
友「帰りにコンビニ寄るからなんか買ってくるか、だって」

男「もう暖かいのにおでんかよ」

友「それがいいんじゃん」

友と別れ、俺も帰路につく。
地理を把握する事ができたのは良かった。
緑豊かな公園、薄暗い路地、砂利敷きの駐車場、高層ビル。
もし1対1の状況になっても身を潜めて体制を立て直せる場所はいくらでもある。
あとは……。

腹の虫が鳴く。

適当に空腹を満たすか。

男「(コンビニ……あった)」

辺りを見渡す男の視野に一軒のコンビニが入る。
男がコンビニに入ろうとすると中からコンビニ袋を手に提げた女の子が出てきた。
道を譲る男。
女の子は軽くお辞儀をして男の横を抜けた。

男「(背丈は小中学生くらいなのに金髪ピアス……あの年からもうギャルなのか、なんか悲しい)」
男「(まぁいいか)」
男「すいません、大根10個ください」

路地から路地に入り、相手から姿を隠す事に成功した男。
手鏡を使い路地から相手を覗く。
鏡は端にその姿を捉えた。

男(うわマジで空飛んで……いや、飛んでるというより跳ねてるな)
男(ということは推進力は働いていないのか、単純に跳躍力関連の能力か?)

男(跳躍力だとしても、軽く3階くらいの高さまで跳んでからの着地は普通ならただでは済まない)
男(攻撃に関しても、走る俺よりも速く物が飛んできたのは能力を使ってのことだろうか)
男(跳躍、着地時の緩衝、投擲の三点を行える能力)
男(……今の一瞬じゃさっぱりわからん)

男は周囲の様子を伺いながら相手が飛んでいった先にそろりと動き出した。

男「(ここはひとつ……確かめるか)」

建物から建物に飛び辺りを見渡す相手を確認し、男は路地から飛び出した。

相手がこちらを視認するまで数秒、相手は男に気付き迫る。
鬼気迫る。
男は踵を返して走った。
その数秒で得た情報は一つ。

男「(スカート……女か……)」

攻撃を加えることへの抵抗感がさらに高まる。

先とは違い相手の視界から逃れないように路地を避け逃げる男。
手鏡を使い後方を確認して思考する。

男「(息がきれる前にこないだのあそこまで行ければ……)」
男「(投擲だけを見る限り、相手も俺の能力をまだ知らないわけだし、この追いかけっこを罠だと警戒して迂闊には近づかないだろう)」
男「(悟られる前にできるだけあの女の能力を知る)」

逃げた果てに男がたどり着いたのは砂利敷きの駐車場。
四方を木に囲まれたそこには出入り口が一つだけ。
着いたと同時に上から眼前に人影が降り、ふわりと一陣の風が舞う。
それは見間違う事なく女性だった。

男(女の子か……)

少女「ん、あんたコンビニですれ違った男じゃん」

男(!?)
男(この子、あの時の子か……)

少女「優しい人は好きだよ」
少女「私のためにやられてくれたらもっと好きになっちゃうかも!」ダッ

男(来る!)

少女が踏み込んだ足元から突風が吹き、いくつかの砂利が宙に舞う。
少女は左足を軸にし、その砂利を蹴りをした。
瞬間、その蹴り足を中心に舞った砂利が散弾のように男の方へと風に乗って飛んでいった。
男は突然の広範囲攻撃に成す統べなかった。
小粒の砂利は視界を塞ぎ、大粒の砂利は男の全身に衝撃を与えた。
その衝撃によろめきながらも近くの車体に身を隠す。

男(痛い痛い痛い痛い痛い!!)

痛みが男の思考を邪魔する。
隠れている車のシャーシの下からこちらに風が吹き、再び砂利が放たれる。
ガラスは砕け散り、パンパーは外れて後方へ吹き飛んだ。
自分の身体が受けた衝撃を目でも確認してしまい、恐怖心が動く事を煩わせる。

男(これはダメだ……ここに逃げたのが完全に裏目に出た……)

男(突風……自然現象を不自然に起こすのが彼女の能力か……)
男(威力も凄まじい……“しょぼい”という能力の定義にそぐわなすぎる……)

再び男の周りを風がよぎる。
今いる車体から大型のトラックに男が飛び退いた瞬間、無数の砂利や石が襲いかかる。
一撃目で装甲が薄くなった車体はその勢いに耐えきれず、風が吹くままにその巨体を転がした。
二撃目が止むと同時に、砂利を踏む音がゆっくりと男に近付き始めた。

男(歩いてくる?)
男(まだこちらの手の内がわからないからか? それともこのトラックは撃ち抜けないからか?)
男(いや、考えるのはそこじゃない)
男(……風を起こすトリガーはおそらく体で衝撃を起こす事)
男(たぶん自分が飛ぶ時は地面を踏んで自分を風に乗せて飛んだはず)
男(砂利を飛ばしてきた時も踏んでから風が吹いてきたし……)

他の不安要素を払拭するように、男は無理矢理確証をつけて考察を終わらせた。

男(となると距離を保つのは寧ろダメだ)
男(かといって距離を縮めると蹴られかねない、が)
男(どちらにしろ、俺ができる事は一つだ)

男は鞄をまさぐり、手鏡を出す。
手鏡は無数に男の顔を移し、その顔は徐々にしかめていった。

男(マジで……)
男(でも、ここなら鏡はたくさんある!)

男はトラックの影から飛び出し、付近に落ちているバンパーを拾い少女に襲いかかった。

少女「私の攻勢に見えるんだけど自分から来るのかい?」
少女「策がないなら降参も手だよ!」

少女からも男に接近する。
男はそれに合わせてバンパーが当たる距離でそれを振る。
しかし、少女は難なく避ける。
5キロ強あるバンパーはその重みで男をよろめかす。
すかさずバンパーに対して少女は踏みつけを行うが、体をひねりバンパーを振り回避。
その勢いに任せて少女に、地を滑らせるようにバンパーを振った。

刹那、少女の姿は男の視界から消えた。

少女「い、今のは危なかったー!」

空から少女の声。
少女の体は空に舞い、3メートルくらいの高さを上昇していた。

男(今だ!)

男は付近の車のサイドミラーに手をかざした。
そのサイドミラーから手が伸び、男に物が手渡された。

少女(なに? 懐中電灯? いやあれは!)
少女「ネットランチャーか!」

少女は男の意図を察知して身構えた。

男(知ってるのか……でも)

男は咄嗟にしゃがみ足元の砂利を拾い、落ちてくる少女に放った。

いくつかの砂利は少女の体に当たり、その一つが少女の靴底に当たる。
途端に少女の体はさらに急上昇した。

少女「キャッ!?」

想定外の上昇に宙でバランスを崩す少女。

男(よし! 思った通りだ!)
男(舞った砂利をわざわざ蹴っていたのに違和感を覚えたが、接近したときにも足を使ってきて確信した)
男(彼女の能力は“踏んだ箇所から風を出す”能力)
男(あとはそのまま体から落ちて再起不能、運良く体勢を立て直してもこっちにはネットランチャーがあるから……)
男(この高さ、再起不能で済むか? )

宙にいた少女はその姿を消し、天を仰ぐ男の身体を下敷きにして地に伏せていた。
男は手を広げ、落ちてくる少女を捕まえたのだ。
それは男にも思いもよらないことであり、考えるよりも先に体が動いたとはこのことかと衝撃を受けた。
後に身体に走る痛みの方の衝撃、これも言葉にならないものだった。

少女「いたた……」

涙で滲む視界からうっすらと見える少女は軽傷はおろか無傷に見えた。

少女「あんたまさか……私を助けたの?」

質問に答えず、なるべく痛みを感じない体勢を探し自身の体を揺らす男。
応えられるはずもなく痛みに悶える。

少女「……ん」

体躯を起こす少女に、男はゲームの終わりを覚悟した。
数秒が過ぎ、目から涙がひいて視界が開ける。
少女の手は差し伸べられるように男の前にあった。

少女「手……掴める?」

訳もわからないまま男は言われるがままに少女の手を掴んだ。
途端に男の体は引き起こされた。
加減の欠片もなく引かれたので、外れた肩の痛みで自由がきかない男の体は引かれるのとは反対の方向に倒れる。
その体の下に入るように少女は男と肩を組んだ。

少女「歩ける?」
少女「私の家近いからするまで匿うよ」

痛みで思考も回らない男は示されるまま、少女に操られるように足を前に動かす男。

男「(“するまで匿う”? まさか治療か?)」

牽かれるままに着いたのは大きな二階建ての一軒家。
鍵、鍵と呟きながら片手間に自身のポケットに手を入れる少女。
この家、どこか見覚えがあるような…。
その時。

友「男?」

背後から友の声。
咄嗟に少女が能力者であることを知らせようとしたが。

友「どうしたの姉ちゃん?」

それよりも早く友の口から放たれた言葉に衝撃を受けた。

俺は友の家にあがった。
聞く話によると少女……この女性は友の2才上の姉であることがわかり、友と友姉はお互いに能力者であることをその話の中で初めて知ったらしい。
一つ屋根の下にいて気づかないものかとも思ったが、自分の家も似たようなものなので気に留めるような疑問でもなかった。

友姉「積もる話があると思うけどひとまずは回復。 さっさとナビ子呼んで治してもらって。 その間は私とこいつで守るからさ」

男「……ん、ん?」

幸い回復中に他の能力者が来る事はなかった。
たしかに友のような超攻撃的な能力を知っている上で回復に関しては不安があったがまさか直接的な回復サポートがあるとは思わなかった。
聞かれたことしか応えないナビ子に苛立ちをおぼえたが、キッと睨む俺に対し「聞かれなかったから」と応えた友にはそれ以上の感情を抱いた。
全快した後、友姉に知っている限りのルールを聞いた。

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