根暗「触手魔術なんて……」 (940)

【魔術学園・2-B】
教師「つまり、他の魔術も訓練すれば使えるようになるが一族ごとに適正があり……」

キンコーンカンコーン

教師「一族ごとに引き継いだ魔術がもっとも効率よく使える。 チャイムだな……委員長」

委員長「起立! 礼!!」

「昼休みだ?」「眠かった」「購買行かない?」

根暗(この学園に入学して二年……僕には)

根暗(友達がいない!!)キリッ

根暗(正確には一人声をかけてくるヤツはいるが……)

オタク「根暗殿! 根暗殿! 一緒にお昼御飯を食べるでござるよ!!」

根暗「えっ、あの……うん」

根暗(僕がこいつに抱いている感情は友情ではなく憎悪である)

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【入学初日】
「よし!自己紹介しようぜ」「自己紹介って何言うの?」「名前と一族の魔術で良いだろ」

根暗(……自己紹介……第一印象って大事だよね)

根暗(でも、僕の一族の魔術は……あまり良いイメージ無いからな)

委員長「君の番だぞ?」

根暗(ちゃんと説明したら変な誤解されないかな……)

委員長「……おい!」

根暗「ひゃい!!」

委員長「君の番だぞ? 自己紹介」ハァ

根暗「えっと……ごめんなさい。 その、根暗です。……あの僕の一族の魔術は……その」

根暗「触手魔術です」

ザワザワザワ

根暗(やっぱり、良い印象持たれて無いよね? ちゃんと補足しないと)

根暗「あの……触手魔術は……その……」

オタク「素晴らしい!」

オタク「触手……それはエロ同人誌に欠かせないスパイス」

オタク「触手……それは響きだけでもエロい存在」

オタク「同じクラスに触手使いがいるとは……これは捗りますぞ~!!」

根暗「……えと、違くて……あの」

クラスメイトs「……」ドンビキ

根暗(僕の学園生活……終わった)

【現在・食堂】
「おい、あそこ」「エロ触手ブラザーズがまた一緒に飯食べてるぜ」

根暗(ブラザーズじゃない!)

オタク「ふふふ、この媚薬の描写……エロいでござる」デュフフフ

根暗「あの、オタク君……食事中は……」

オタク「失敬、失敬」

僕っ娘「……やぁ。 君達、媚薬に興味あるのかい?」

根暗(女子に声をかけられた!!)オロオロ

オタク「むむ、何やつ!?」

僕っ娘「C組の僕っ娘だ。 魔法薬研究会で会長をしている」

根暗「に、2年で会長?」

僕っ娘「研究会と言っても僕しか所属してないんだ」クスクス

根暗「それって……研究会って言えないんじゃ」

オタク「なるほど! 勧誘でござるな!! 研究会に入って媚薬を作ってみないかと言うことですな!!」

僕っ娘「君達みたいな性欲の権化を勧誘なんてしないよ」

根暗(性欲の権化……)ガーン

オタク「失礼な! では、何のご用で?」

僕っ娘「……媚薬を作るのを手伝ってくれ」

【放課後・理科室】
オタク「ここで活動しているんでござるか?」

僕っ娘「ちゃんと先生の許可はもらっているよ」

根暗「あの……それで……媚薬についてだけど」オロオロ

僕っ娘「僕はあくまで知的好奇心を満たすために媚薬を作ってみたいんだが……材料の入手が困難でね」

オタク「なるほど、拙者達に材料を調達してきてほしいんですな?」

僕っ娘「あぁ、そういうことだ。 媚薬が出来たら君達に別けてあげよう」

オタク「デュフフフ、そちらは知的好奇心を満たし、此方は痴的好奇心を満たせる……良い取引でござる」

根暗(痴的好奇心?)

僕っ娘「二人とも協力してくれるんだね?」

根暗「えっ、いや、僕は……」

オタク「エロ触手ブラザーズにお任せでござる!!」

根暗「」

僕っ娘「では、まずはタカネ草を取ってきて貰おうか」クスクス

オタク「タカネ草……でござるか?」

【学外】
根暗「タ、タカネ草は切り立った崖の上に生えている特殊な薬草で……入手は飛行魔法を使えない限り困難……だって」

オタク「おぉ、根暗殿の長台詞を初めて聞いたでござる」

根暗「オタク君は……その、飛べるの?」

オタク「ふ~む、出来ないことは無いでござるが……」

根暗(何か問題があるのだろうか?)

根暗「……ん」ニョロン

オタク「いきなり、触手を出してどうするつもり……」ハッ

オタク「拙者に乱暴するつもりでしょ!エロ同人みたいに!!エロ同人に!!」

根暗「えっ、違うから……待ってて」

触手「ニョロニョロ ギュッ」
タカネ草「スポン」

オタク「おぉ、あんな高いところまで触手は届くんでござるね~」

根暗「う、うん……はい、タカネ草」

オタク「明日、僕っ娘殿に渡しに行くでござる」

【理科室】
僕っ娘「本当に取ってきてくれたんだね」

オタク「ふふふ、エロの為なら例え火の中、水の中、あの娘のスカートの中でござるよ!」

根暗(スカートの中は満面の笑みで入りそうだな)

僕っ娘「では、次は本当に火の中に入って貰おうかな?」クスクス

根暗「……火、火の中?」

僕っ娘「あぁ、次の材料は……ヒチュウ石だ」

【学外】
根暗「ヒチュウ石……火の中で複数の石が結合することで出来る特殊な石」

オタク「説明乙でござる」

根暗「サラマンダーの巣にあることが多いらしい」

サラマンダーの巣「メラメラメラメラ」

根暗「燃えてるね……」

オタク「萌えでござるな」

根暗「えと……あの、触手は火が……苦手……なので、その」

オタク「デュフフフ、拙者が取ってくるので大丈夫でござる」ヒョイ

根暗(火の中に飛び込んだ!?)

オタク「拙者の一族は火の魔術使いでござるからな。 これぐらい熱くないでござる」

根暗「す、すごい!」

オタク「サラマンダーが巣に戻って来ないか、見張っててくだされ」

【理科室】
僕っ娘「……本当に取ってきてくれたんだね」

オタク「楽勝でござったよ」

根暗(サラマンダーに見つかって、全力で逃げたけどね)

僕っ娘「次は……」

【学外】
根暗「ビリリ茸……電気を放つ茸」

オタク「説明に慣れてきたでござるな」

根暗「で、電気には……その僕の触手は強いから……」

オタク「ならば、探すだけでござるな」

根暗「……この森の中を」ゲッソリ
オタク「一緒に頑張るでござる」

オタク「中々見付からないでござるな~」

根暗「そうだね……タカネ草とヒチュウ石の方が……えっと、楽だったね」

オタク「ある場所を予想し易かった分がありますな」

根暗(……タカネ草、ヒチュウ石にビリリ茸か)

根暗「……本当に媚薬の材料なのかな?」ボソッ

オタク「そんなことどっちでも良いでござるよ」

根暗「え?」

オタク「僕っ娘殿にも何か事情があるんでござろう。 それにね」

オタク「拙者はね、根暗殿……楽しいんでござるよ。」

オタク「 放課後、僕っ娘殿に材料を渡して、次の材料を根暗殿と取りに行くのが……楽しいんでござる!」

根暗(あぁ、そうか……)

根暗(……僕も楽しかったのか)

根暗(目標を持って皆で一緒に行動している今が)

根暗「僕も……楽しかったのか」

オタク「見付けたでござる!」

根暗「えっ!?何処?」

オタク「根暗殿の足元でござる」

根暗「へ?」フミ

ビリビリビリ

【保健室】
根暗「……ん」

養護教諭「起きたか」

根暗「ここは保健室?」

養護教諭「あぁ、オタクがお前を担いで来てな」

根暗「……オタク君は?」

養護教諭「帰したぞ? お前が起きるまでは帰らないって随分とごねられたけどな」

根暗(悪いやつでは……無いんだよな)

養護教諭「お前も帰れ……暗いから気を付けろよ?」

根暗「……はい」

根暗「!?」

根暗「せ、先生……あの、こ、これは?」

養護教諭「ん? 忘却薬の調合書だ」

根暗「……忘却薬」

根暗(タカネ草、ヒチュウ石、ビリリ茸……最後の1つは一足烏の卵)

【理科室】
僕っ娘「…………本当に取ってきてくれたんだね」

オタク「今回は苦労したでござるよ。 根暗君が保健室送りにされましたからな」デュフフフ

根暗「は、ははは」

僕っ娘「それは……すまなかったな」

オタク「媚薬の為なら何のそのでござる」

僕っ娘「……そうか」

オタク「今日は何を取ってきたら良い?」ワクワク

僕っ娘「今日は一足烏の卵を取ってきてくれ」

根暗「……」

オタク「では、早速行くでござる♪」

根暗「オタク君……先に行ってて」

オタク「む? 承知」

僕っ娘「……」

根暗「……き、君は、何をする気なんだ?」

僕っ娘「何のことかな?」

根暗「……僕達が集めてるのは、媚薬の材料なんかじゃないだろ?」

僕っ娘「……気付いちゃったか」

根暗「……ぼ……忘却薬なんか何に使うつもりだ?」

僕っ娘「……ねぇ、根暗君。 何も聞かずに一足烏の卵を取ってきてくれないか?」

『エロ触手ブラザーズにお任せでござる!!』

根暗「……」

僕っ娘「取ってきてくれたら、少しぐらい……その、気持ちいいことしてあげても良いぞ?」

『僕っ娘殿にも何か事情があるんでござろう。』

根暗「……」

僕っ娘「オタク君には秘密にしてくれ。 何、気が付かない方が悪いんだ」クスクス

『 放課後、僕っ娘殿に材料を渡して、次の材料を根暗殿と取りに行くのが……楽しいんでござる!』

根暗「……気付いているんだよ」

僕っ娘「へ?」

根暗「オタク君も……気付いているんだよ!」

根暗「それでも気付かないフリして、騙されてる君のことまで思いやって……」

根暗「そういうやつなんだ……彼は!!」バンッ

僕っ娘「ひっ」

根暗「……エロ触手ブラザーズを嘗めるな」ギロ

【理科室前】
オタク「……」

根暗「……待っててくれたんだ」

オタク「根暗殿……」

根暗「……何?」

オタク「エロ触手ブラザーズではかっこつきませんな」ニコ

根暗「そうだね」ニコ

【理科室】
ヤンキー「よう、僕っ娘。 媚薬出来たかよ?」

僕っ娘「……まだ、出来てない」

DQN「何だよ~、まだかよ」

不良「媚薬なんて待たずに犯しちまおうぜ?」

僕っ娘「ひっ」

ヤンキー「待てよ! 処女でも痛くねぇぐらい強力な媚薬だぜ? 試すには処女も必要だろ?」ナデ

僕っ娘「や、止めろ!」

ヤンキー「良いのか、逆らって?」

DQN「お前の家の秘伝魔法薬の材料を流出させても良いのかな?」

僕っ娘「……下衆め」クッ

不良「あ? 調合書を見られたお前が悪いんだろ?」

僕っ娘「盗み見た君が言うのか?」

ヤンキー「まっ、何時までも待てないから明日までに出来なかったら諦めるわ」

僕っ娘「へ?」

ヤンキー「媚薬無しでブチ犯す」

僕っ娘「……」ビクビク

DQN「じゃあね、僕っ娘ちゃん。 また明日~」

【屋上】
僕っ娘(……忘却薬が間に合わなかった)

僕っ娘(僕は……今日犯されるのか)

僕っ娘「一族が代々引き継いできた秘伝薬を……守らないとね」

オタク「その辺、kwsk」

根暗「……」ムス

僕っ娘「君達……」

僕っ娘「……騙して悪かったね」

僕っ娘「一族が代々引き継いできた秘伝薬の調合書を不良達に見られてしまってね」

僕っ娘「他の魔法薬を研究している一族に流出されたくなかったら……媚薬を作って犯させろって……」

僕っ娘「……調合書をあんな奴等に見られたのは……僕のミスだが……嫌だ」

僕っ娘「嫌だよ……あんな奴等に犯されたくない…………けて」

オタク「……」
根暗「……」

僕っ娘「僕を……助けて」

オタク「全く最初からそう言ってくだされば良かったのに……根暗殿」

根暗「……」つ一足烏の卵

僕っ娘「何で?」

根暗「僕が保健室に送られた聞いた時……申し訳なさそうな顔をしたから」

オタク「僕っ娘殿が根っからの悪女に思えなかったでござる」デュフフフ

僕っ娘「君達……」

根暗「早く忘却薬を作ってしまおう」

不良「何て、上手くは行かないんだよな」

僕っ娘「なっ」

DQN「折角材料が揃ったのに残念だったね~」

ヤンキー「はー、媚薬の完成を楽しみにしてたのに……残念だわ」

オタク「……僕っ娘、忘却薬を作ってくるでござるよ」

僕っ娘「……しかし」

ヤンキー「精力剤とでも偽って飲ませる気だったのか?」

不良「忘却薬と解って飲むわけないだろ?」

DQN「さっさと脱げよ! 僕っ娘ちゃn」ドコン

不良(DQNが……)
ヤンキー(オタクに……)

不良・ヤンキー(蹴り飛ばされた!?)

オタク「飲むわけない? ぶっ倒して無理矢理飲ますに決まってるでござろう」

根暗「僕っ娘さん、行こう」

僕っ娘「あ、あぁ」

不良「待て、コラ!!」

オタク「一人、行ってしまったか。 まぁ、根暗殿に任せるでござる」

ヤンキー「てめぇ、2対1でやるつもりか?」

DQN「エロ触手ブラザーズの片割れが調子のってんじゃねぇよ」

オタク「貴様らにエロとか言われたくないな」デュフフフ

【理科室】
僕っ娘「着いた!……乳鉢と乳棒は」ハァハァ

不良「作らせねょよ!」ビリビリ

根暗「危ない!!」バッ


僕っ娘「根暗君!?」

根暗「……最近、良く痺れ……るな」

不良「エロ専門の触手魔術が戦闘特化の雷魔術に勝てると思うなよ?」

根暗「……くっ」ドゲザ

不良「何だ許してほしいのか? あっ、その女を触手で犯したら許してやるぜ」ハハハ

根暗「……君は勘違いしている」ニョロン

【廊下】
教師「最強の魔術?」

教師「君達はそういう議論が好きだね」

教師「最強って言われたら迷うが……私が推すのは世界を征服仕掛けた男が用いた魔術かな?」

教師「え? その魔術の名前は何だって?」

教師「それはね……触手魔術」

【理科室】
触手A「ギュ」
触手B「ギュッ」
触手C「バシンバシン」

根暗「触手魔術はね……」

根暗「戦闘特化の魔術なんだよ」

僕っ娘(……不良を逆さ釣りにして鞭打っている)

不良「離せ! 離せ!! 気持ち悪いんだよ!!」ビリビリ

根暗「き、君が言うようにエロいことにも使えるけど……試してみたい?」

不良「はぁ? ……止めろ? 止めろ!?」

根暗「君が僕っ娘君にやろうとしたことじゃないか」ニッコリ

アァーーーーーー!!

【屋上】
オタク「今のは不良の声ですな」

ヤンキー「」
DQN「」

オタク「あっちも終わったでござるか」フゥ

【理科室】
僕っ娘「僕の一族の秘伝薬に関することを全て忘れよ……」

僕っ娘「ふぅ……これでよし」

オタク「本当にこれで忘れたんでござるか?」

僕っ娘「あぁ、大丈夫だ。 薬を飲ませて、忘れさせたいことを額に指を当てながら告げる……であっている。」ペラペラ

僕っ娘「覚えてたとしても、不良はもう何もしてこないだろうしね」チラ

根暗「……?」

オタク「では、彼等は保健室に運んでおくでござるよ」カツギ

根暗「ね、ねぇ、オタク君……さっきから強すぎない?」

オタク「ふふふ、火の魔術と肉体強化を得意とするバリバリの戦闘一族出身でござるからな」

根暗(だからって、男3人を担ぐなよ)

僕っ娘「……なぁ、君達!」

根暗「な、何?」
オタク「何でござるか?」

僕っ娘「魔法薬研究会に入らないか?」

オタク「どうするでござる? 根暗殿」

根暗「……媚薬を作れるなら入っても良いよ」クス

僕っ娘「全く……君達は」

僕っ娘「ようこそ! 魔法薬研究会へ!!」

こんな感じの話をポツポツ投下していきます

【魔術学園・2-C】
教師「つまり、一口に魔術の家系と言っても研究を重視した探究家と魔物や悪魔の討伐を重視した退魔家が存在する……」

キンコーンカンコーン

教師「ということだ。 チャイムだな……委員長」

秀才「立ちたまへ! お辞儀をしたまへ!!」

教師「お前は普通に言えんのか?」

僕っ娘(ふぅ、やっと昼休みか)

ポニテ「僕っ娘、お昼一緒に食べない?」

僕っ娘「あぁ、良いぞ」

ポニテ「何か良いことあったの? 最近、楽しそうじゃん」

僕っ娘「あぁ、実はな……魔法薬研究会に新しく会員が入ってきたんだ♪」

ポニテ「それは目出度い。 研究会(個人)からの脱却だね」

ポニテ「それで、誰が入ってきたの? 1年生?」

僕っ娘「いや、同級生だ」

ポニテ「へぇ、私の知ってる人かな?」

僕っ娘「どうかな? 根暗とオタクって言うんだが……」

ポニテ「え……」

ポニテ「えぇ! エロ触手ブラザーズじゃない!!」

僕っ娘「その呼名、結構広まってるんだね」

ポニテ「あんた、そんな奴等入れて大丈夫? 変なことされてない?」

僕っ娘「あぁ、されてないぞ?」

ポニテ「……本当かな。 だってエロ触手ブラザーズだよ?」

僕っ娘「彼等が一体何をした」

ポニテ「よし! 決めた!! 今日だけ私も魔法薬研究会についていく」

僕っ娘「それは構わないが……部活は良いのか?」

ポニテ「親友の貞操の危機だからね」

僕っ娘「どれだけ信用無いんだ……彼等は」ハァ

【理科室】
僕っ娘「それでは本日の活動を始めよう」

オタク「デュフフフ、承知!」

根暗「……」

ポニテ「……」ジトー

根暗(凄い見られてる。 というより、この娘は誰だ? 新しい会員か?)ビクビク

ポニテ(根暗の方は一見、ただの何処にでもいる内気な男子っぽいな)

ポニテ(オタクの方は……前髪長すぎだろ? 口元しか見えない! 後、笑い方キモい!)

僕っ娘「あぁ、彼女はポニテ。 僕のクラスメイトだ。 体験入会しに来てくれたんだ」

根暗「あっ、なる……た、体験入会…か」

ポニテ(どもり過ぎでしょ)

オタク「全く、根暗殿ったらいきなりアナルなんて……下ネタが過ぎますぞ」デュフフフ

根暗「ちが……そんなこと言ってな……い」アタフタ

ポニテ(なっ! どもっているフリをして下ネタを言ったの?)

ポニテ(根暗の方も侮れない)ガルルル

根暗「!?」ビクッ

根暗(何か凄い威嚇されてるな)

僕っ娘「今日は材料の採取に行こう」

【学外】
オタク「ここに来るのも何だが久しぶりでござるな」

根暗「前は……えっと、ビリリ茸を取りに来たとき、だよね?」


僕っ娘「探して欲しい薬草一覧表を作ってきたからこれを元に探してくれ」

オタク「バラバラに探すでござるか?」

僕っ娘「……一人で探すのも危ないから二人一組で行動しよう」ギュッ

根暗(何で、僕の袖を掴む?)

ポニテ「……私はこのオタクとか」

オタク「ポニテ殿、よろしくでござる!」

ポニテ「変なことしようとしたら、こめかみを蹴るからね」ギロリ

オタク「デュフフフ、その時は死してもパンツを凝視してやるでござそうろう」

ポニテ「ジャージに着替えてくる……」

オタク「ノゾミガタタレター!!」

僕っ娘「仲が良いみたいで結構だ」

根暗(仲が良い?)

根暗(……結構、薬草って生えてるんだな)ヌキヌキ

僕っ娘「なぁ、根暗君」

根暗「ひゃい! あの……え、何?」

僕っ娘「今日のお茶……どうだった?」

根暗(ん?お茶? あぁ、理科室で振る舞ってくれたやつか)

根暗「け、結構な……そのお手前で」ハァハァ

僕っ娘「ふふふ、そんな大したモノではないよ。 お茶自体はね」

僕っ娘「それで、どうだい?」

根暗(お茶自体は?)ハァハァ

根暗「……な、何を入れたの?」ダラダラハァハァ

僕っ娘「さて、何を入れたんだろうね?」クス

根暗(この前、怒鳴った仕返しかな? それとも他に気に触ることしたかな?)ダラダラハァハァ

僕っ娘『僕はあくまで知的好奇心を満たすために』

根暗(もしくは何らかの薬の実験台にされた!?)ガビーンハァハァ

僕っ娘「ねぇ、君 ……息が荒いよ?」ズイッ

根暗(本当に何を飲ませたの!?)ハァハァハァハァハァ///

ポニテ「……」

オタク「~♪」

ポニテ(鼻唄交じりで楽しそうに薬草探してる? 何なのこいつ)

オタク「むむ、ポニテ殿! 手が止まっているでござるよ!!」

ポニテ「はいはい、ちゃんと採取するわよ」

オタク「それでよし!」デュフフフ

ポニテ「……ねぇ、何であんたそんなに楽しそうなの?」

オタク「む? それは僕っ娘殿が媚薬を作ってくれるって約束してくれたからに決まっているであろう?」キリッ

ポニテ「……あっそ」

ポニテ(やっぱり、ただの変態か)

オタク「……それに、嬉しいんでござるよ」

ポニテ「嬉しいって……何が?」

オタク「根暗殿を受け入れてくれる人が増えたのが」ニコ

ポニテ「……はぁ?」

オタク「拙者と違い、根暗殿は言動は普通でござる。 それなのに、触手魔術の一族というだけで皆に気持ち悪がられている」

オタク「俺は嫌なんだ、生れた一族だけで差別する魔術社会が……」グッ

オタク「だから、僕っ娘が根暗と仲良くしてくれたのが……スゲェ嬉しかったんだ」

ポニテ「……あんた、口調変わってるわよ」

オタク「オタクシリアスverでござるよ」デュフフフ

ポニテ「はぁ……もういいわ」

オタク「……ポニテ殿も良かったら、根暗殿と仲良くしてやって欲しいでござる」

オタク「……彼は」

根暗『……エロ触手ブラザーズを嘗めるな』ギロ

オタク「人の為に怒れる……イイ漢でござるからな」ウホッ

ポニテ「……はいはい、考えといてあげる」

ポニテ(ふざけてるけど、悪いやつじゃ無いのかな?)

オタク「そろそろ、理科室に戻るでござるよ」

【理科室】
根暗「」ブルブル

僕っ娘「あ、おかえり! 二人とも」ツヤツヤ

オタク(理科室に帰ったら部屋の端っこで根暗殿が両手で顔を覆ってしゃがんでずっと震えていたでござる……何を言っているか解らないかも知れないが拙者も良く解らない)

ポニテ「……あんた、根暗に何したの?」

僕っ娘「何もしてないぞ?」ニッコリ


僕っ娘「やはり、人手があると一度に大量の薬草を手に入れれるな」

オタク「結構、長時間頑張ったでござるからな」

ポニテ「本当ね……森の中は虫が多くて嫌だわ」

オタク「ジャージ履いていって良かったでござるね」

ポニテ「そうね……」ハッ

ポニテ(私をジャージに着替えされる為にセクハラを!?)

オタク「ジャージの方がお尻のラインがエロいし良いことずくめでござる」フンス

ポニテ「やっぱり、ただの変態か!!」ケリッ

オタク「ヌホッ! 本当にこみかみに!!」バタン

ポニテ「肉体強化特化の退魔の一族だからね? 女だからって嘗めないでよ!」フンス

僕っ娘「さて、外も暗くなってきたし帰ろうか」

ポニテ「そうね。 じゃあね、エロ触手ブラザーズ」ノシ

オタク「」
根暗「」ブルブル

【2-C】
キーンコーンカンコーン

秀才「立ちたまへ! お辞儀をしたまへ!!」

教師「次、普通に言わなかったらカピバラになる魔術かけるからな?」

秀才「カピバラ!?」

ポニテ「……」ソワソワ

僕っ娘「どうした? ポニテ」

ポニテ「いや、今日も研究会あるのかなって……」

僕っ娘「あるけど……君も来るのかい?」

ポニテ「う、うん……僕っ娘が心配だからね」

僕っ娘「僕のことを心配してくれるのは有り難いが……君、陸上部だろ?」

僕っ娘「練習を2日もサボって良いのかい?」

ポニテ「大丈夫、大丈夫!」

ポニテ「……陸上部に私の居場所なんて無いしね」ボソッ

僕っ娘「ん?」

【廊下】
オタク「今日も研究会でござる」

根暗「」ブルブル

オタク「今日一日震えてたでござるね? 行くの止めとくでござるか?」

根暗「だ、大丈夫……僕も行くよ」

オタク(何をされたのでござろう?)

根暗(まさか、触手であんなことさせられるなんて)

「ポニテ、今日も部活サボるんだって」「やっぱり、ずるしてたんだ」「卑怯よね?」

根暗(ポニテ?……昨日見学に来てた子か)

オタク「ポニテ殿がどうかしたんでござるか?」

根暗「オ、オオ、オタク君!?」アタフタ

陸上部A「何よ、いきなり」

陸上部B「あんたには関係ない話よ」

オタク「そんなツレ無いこといってたら触手の刑でござるよ?」ウィンク

根暗(ウィンクするな! ……しょうがないな)ニョロニョロ

陸上部A「ひっ! キモい!」

陸上部B「卑猥!!」

陸上部C「エロい!!!!」グッ

陸上部A・B「え?」

陸上部C「……しょうがないわね、教えてあげるはポニテのこと」

陸上部A(無かったことにしようとしてる……)

【数日前・陸上部】
陸上部長「次のリレー大会の選考会を始める! 各々全力で走ってくれ!!」

陸上部長「もちろん、魔術を用いるなどは禁止だがな」

陸上部長「それでは、先生スタートの合図をお願いします」

陸上顧問「あいよ。 よ~い、ドン!!」

陸上部長「なっ!」

陸上部A「はぁ?」

陸上部B「嘘!?」

陸上部C「あいつ……何考えてるの?」

ポニテ「……はぁはぁはぁ」ゴール

陸上顧問「そんなに堂々と……肉体強化を使われると反応に困るな~」

ポニテ「私……使って……」

陸上部長「肉体強化を使わずに100m4秒か?」

ポニテ「私は……私は……」ダッ

【現在・廊下】
陸上部A「肉体強化特化の家系だとは聞いてたけど」

陸上部B「バカよね……そんなに堂々と使うなんて」

オタク「確かにバカでござるな」

オタク「肉体強化において重視すべきは強化比率……これを謝れば自身の肉体を傷付ける可能性があるでござる」

オタク「そんな肉体強化の家系のポニテが加減のミスをした? ハッ、そんな結論に至るとは……バカ共が」

陸上部A・B「なっ!」

陸上部C「これは陸上部の、身内の話よ! あんたにそんなこと言われる筋合いはない」

オタク「信じてもやれん奴等が身内だと?」ギロ

陸上部A・B・C「」ビクッ

オタク「デュフフフ、話してくれてありがとうでござる。 根暗殿、早く研究会に行くでござるよ」

根暗「う、うん」

根暗(オタク君……どちらが本性なのか)ビクビク

【理科室】
オタク「すまない、遅れたでござるよ」

根暗「……ども」

僕っ娘「根暗君、来てくれたか?」

僕っ娘「昨日はやり過ぎた……ごめん」

根暗「う、うん……僕も、改めて考えると……わ、悪くなかったかも」オロオロ

ポニテ「本当にあんた、根暗に何したの?」

オタク「拙者にも挨拶するでござるよ」

僕っ娘「やぁ、オタク君」

オタク「こんにちは、僕っ娘殿と」

「―卑怯者殿」

根暗「……」

僕っ娘「……卑怯者?」

ポニテ「…………」ギリ

オタク「いやはや、拙者達を変態扱いしていたポニテ殿が神聖なスポーツで反則をする卑怯者だったとは」デュフフフ

ポニテ「あんたに何が解るの?」グッ

オタク「卑怯者の気持ちなんて解らないでござるよ~」デュフフフ

ポニテ「卑怯者って……卑怯者って言うな!!」ダッ

僕っ娘(ポニテ! 肉体強化してる!!)

ドカ!!

オタク「2日連続でこめかみを蹴られるとは」

ポニテ「何で倒れないのよ……」

オタク「倒れたく無いからでござる」

ポニテ「……」

オタク「拙者はエロ同人誌が好きでござる」

ポニテ「はぁ?」

オタク「触手凌辱モノが好きでござる! 女騎士のクッコロモノも好きでござる! 」

オタク「どんな一族に生まれても、どんな魔術に特性があってもな……人には生き方を選ぶ……好きを選ぶ権利があるんだよ」

ポニテ「……」

オタク「……ポニテは陸上が嫌いなのか?」

ポニテ「……陸上が好き……走るのが大好き……練習して……速くなった時……凄い嬉しくて」ポロポロ

ポニテ「私……使ってない! 肉体強化の魔術なんか使ってない!!」

オタク「拙者は信じるでござるよ! 卑怯者と言って悪かったでござる」ニコ

ポニテ「……ありがとね、部活の皆にもちゃんと話してくる」ダッ

オタク「デュフフフ、流石に脚が……早いでござる」バタン

根暗「……な、ナイスやせ我慢」

オタク「今度はハッキリとパンツが見えたでござる」

僕っ娘「全く……君達は」ハァ

【グラウンド】
陸上部長「おや? ポニテちゃん」

ポニテ「あの……部長お話ししたいことが……」

陸上部長「そうか。 よし、少し二人で話そう。 皆には今日のMTGの後に話せば良い……だろ?」

ポニテ「はい!ありがとうございます!!」

【理科室】
根暗「……」

オタク「根暗殿、どうしたでござるか?」

根暗「あの、その、ポニテさんの……記録は結局何だったのかって……」

オタク「ふむ、素で出したとは確かに考え難いでござるね」

根暗「その、それで……誰かに肉体強化をかけられたのかもって……」

僕っ娘「何のために?」

根暗「……ぶ、部から追い出すため……とか?」

オタク「……ポニテが危ない!!」ダッ

【校舎裏】
陸上部長「知っていたよ」

ポニテ「え?」

陸上部長「君が肉体強化を使ってないことは知っていた」

ポニテ「信じていたじゃなくて?……どういうことですか、部長?」

陸上部長「私はね、誰よりも速くなりたいんだ」

陸上部長「魔術とかも含めてね、 誰よりも速くなりたいんだ」

陸上部長「でも、私の一族が伝承しているのは召喚魔術と他人に対する肉体強化魔術でね……はは、簡単に言うとだな」

陸上部長「妬ましいんだよ! 君が! とても!!」

ポニテ「部長が私に肉体強化を!?」

陸上部長「この部に私より速い奴なんて!」シュイン

ポニテ(魔方陣!?)

ポニテ「魔術を使わなかったら、部長の方が速いじゃないですか?」

陸上部長「そんな、慰めの勝利はいらない!!」ボン

トロール「ガガガガガ!!」ブンッ

ポニテ「くっ!!」サッ

陸上部長「流石に速いね! トロール、肉体強化!!」

トロール「ガァアア!!」ブンッ

ポニテ(速い! 避けられない!!)

バシン!!

陸上部長「何!?」

トロール「ガァ!?」

オタク「……」

ポニテ(トロールの拳を受け止めた!?)

オタク「別に……部長殿が誰よりも速くなりたいって思う気持ちを否定する気はないでござる」

オタク「でも、その為に他人の好きを否定するなら……話は別だ」ボオォン

トロール「ガァ!……ガァァ!!……ァ」

陸上部長(トロールが焼き尽くされた!?)

陸上部長「くそ!だったら次の召喚獣を……」ギュッ

根暗「止めといた方が良いですよ……陸上部長」

陸上部長「触手……離せ! 離せ!!」

根暗「あんまり暴れると……触手の刑ですよ?」

陸上部長「ひっ! 嫌だ! 嫌だ!! 止めろ!!」

アァーーーー!!

【理科室】
僕っ娘「自白薬でも調合しておこうか」

【2-C】
キーンコーンカンコーン
教師「委員長、号令」

カピバラ「……」ムシャムシャ

僕っ娘「……やっと、今日の授業も終わったか」フゥ

ポニテ「……僕っ娘! 研究会に私も行って良い?」

僕っ娘「ポニテ……陸上部での誤解は解けたんだろ?」

ポニテ「そうなんだけど……私も、したいと思ったことをしたいから」ニコ

僕っ娘「そうか……ふふ、魔法薬研究会にようこそ」

1話完結の話をポツポツ落としていくスタイルなので、「こんな話を読みたい!」って提案があれば出来る限りは答えたいと思います

幻影魔法使いもタイミングがあれば出しますね~

なるほど、じゃあ止めときます!

なるほど
では、止めときます

ちゃんと書き込めて無いと勘違いしまして///
次の話も書き初めているのでお楽しみに~

【魔術学園・会議室】
優等生【2-Aの委員長。 座学・実技ともに優秀な男】

委員長【2-Bの委員長。 凛々しい女性で女にモテる】

カピバラ【2-Cの委員長。 秀才であるが、教師に逆らいカピバラにされている】

おさげ【2-Dの委員長。 清楚な雰囲気で一部の男子にモテる女性。 隠れ巨乳】

優等生「全員、揃ったな……委員会を始める!」

委員長「いやいやいやいや!!」

優等生「どうした? 委員長、取り乱して」

委員長「参加者の4分の1がカピバラで進行できないだろ!?」

おさげ「へ? あ、本当ですね。 秀才君の席にカピバラが座ってますね」ホンワカ

委員長「今気がついたのか!?」

優等生「本日は来る運動会について……」

委員長「進めようとしないでくれ」

カピバラ「……」ムシャムシャ

優等生「秀才、体調不良の場合は代理を立てろと言っただろう?」

委員長「カピバラになったことを体調不良でまとめて良いのか?」

おさげ「カピバラの状態では代理を見付けるのも難しかったのではないかと……」

優等生「なるほど、一理ある」

委員長「先生に言って早急に解いてもらおう」

優等生「いや、それはいかんな」

優等生「魔術学園における刑罰によって呪いをかけられた場合、生徒間で解呪をしなければならない」

おさげ「解呪をするところまで刑罰に入っていると言うことですね」フムフム

委員長「……そういえば、おさげさんは回復魔法の一族だったな? 解呪の魔術は使えないのか?」

おさげ「使えますよ。 かけてみますね?」エイ

カピバラ≪毛並みが整った≫

優等生「……」

委員長「……」

おさげ「私の解呪魔術では無理みたいですね」

委員長「今のはそもそも解呪魔術なのか?」

優等生「……なるほど、そういうことか」

委員長「ん? どうした優等生」

優等生「秀才には二重で呪いがかかっているみたいだ」

優等生「1つはカピバラにされる呪い。 もう1つは……シャッフル呪術だ」

おさげ「シャッフル呪術?」

優等生「正式名称は被肉体変動魔術の効果撹拌呪術だったかな」

委員長「正式名称より、どういう呪いなのか教えてくれ」

優等生「簡単に言えば、自分がかけられた魔術の効果を変化させるものだ」

優等生「肉体強化の魔術をかけたら、回復の魔術の効果が現れる……と例示すれば解りやすいか?」

おさげ「今回は解呪魔術をかけたら、トリートメントの効果が出たってことですね」

委員長「何と滅茶苦茶な……」ハッ

委員長「だったら、魔術をどんどんかけていけば、解呪の効果を見付けられるんじゃないか?」

優等生「その前に即死の効果が出る可能性もある」

おさげ「……魔術以外で解呪することは出来ないのでしょうか?」

優等生「魔法薬ならば可能かも知れないな。 作用機構が解呪魔術とは全く違うと聞いたことがある」

優等生「それに、秀才のクラスには確か魔法薬研究会の会長がいただろ?」

優等生「教師と言うものは、出来もしない課題を与えないものだ」

委員長「それでは早速魔法薬研究会に行こう!!」

キーンコーンカンコーン

優等生「おっと、今日はここまでのようだな」ガタッ
おさげ「委員長さん、後はお任せします」ノシ

カピバラ「……」

委員長「薄情者達め……」

【理科室】
僕っ娘「それでだな、薬草と言っても調合前の処理の段階で効力が変わるんだ」ベタベタ

根暗(近いな……ボディータッチが多いな)ダラダラ

ポニテ「ねぇ、イチャイチャしてないで活動しようよ」

僕っ娘「イチャイチャなどしていないし、活動をしているではないか」

根暗「き、今日は文献……で、学習の日だよね?」

ポニテ「採取とか体動かす活動は無いの?」

僕っ娘「君と違って僕は体が弱いんだ。 毎日そんな活動は出来ないよ」

根暗(薬草を天日干しにするのと、蒸すので効力が違うのか)ペラペラ

ポニテ「はぁ、陸上部とのギャップが……」

僕っ娘「全く、オタク君がいないからって駄々をこねないでくれ」

ポニテ「はぁ!? オタクは関係無いでしょ!?」

僕っ娘「ところで根暗君、オタク君は何で今日休みなのかな?」

根暗「えっと……家の会合とか……その、なんとか」

僕っ娘「ふむ……彼も何かと謎が多いな」

ポニテ「肉体強化魔術も火炎魔術もかなりの腕前だもんね……キャラに似合わず」フフ

僕っ娘「随分、楽しそうに彼のことを話すじゃないか?」クスクス

ポニテ「だから、そんなんじゃないって!!」

根暗(ビリリ茸は水に浸けて、蓄電されている電気を抜いて用いるのか……)フムフム

コンコン

僕っ娘「むっ、来客とは珍しい」ガチャ

委員長「やぁ、こんにちは。 君が魔法薬研究会会長の僕っ娘さんかな?」

僕っ娘「あぁ、そうだが……何か用かな?」

委員長「あぁ、少し力を借りたくてね。 ……ん? 根暗君じゃないか?」ヤァ

根暗「ど、ども」

ポニテ「知り合いなの?」

根暗「お、同じクラスの委員長さん」

ポニテ「なるほどね」

委員長「そうか、君は魔法薬研究会に入ったのか? オタク君しか、友達がいないのかと思って心配してたんだ」ポンポン

根暗「えと、あの……ども」

根暗(余計なお世話だよ!)

僕っ娘「それで、力を借りたいとは?」

委員長「彼の解呪に協力して欲しくてな」

カピバラ「……」ムシャムシャ

根暗「え? カピバラ?」

ポニテ「あっ、秀才君だ」

根暗「え? 秀才君?」

ポニテ「うん、私達のクラスの委員長」

根暗「……カピバラが委員長?」キョトン

委員長「呪いでカピバラの姿にされてしまったんだ」

僕っ娘「秀才君ならば自力で解けると思っていたが……」フム

僕っ娘「同じクラスのよしみだ、協力しよう」

【図書館】
僕っ娘「理科室の文献にはカピバラ呪術とシャッフル呪術の解呪薬の作り方は無かったが……ここならあるだろう」

根暗(カピバラ呪術……?)

僕っ娘「……では、僕と」

委員長「私と根暗はシャッフル呪術を二人はカピバラ呪術について調調べよう」

僕っ娘「なっ!?」

根暗「う、うん、解った」

僕っ娘「なぁっ!?」

ポニテ「僕っ娘、うるさい」

僕っ娘「根暗の浮気者……」ブツブツ

ポニテ「浮気者って付き合ってないんでしょ?」

僕っ娘「む~」

ポニテ「僕っ娘は何で根暗が好きなの?」

僕っ娘「それは……人の為に本気で怒れる人だからかな」クス

ポニテ「オタクも似たようなこと言ってたな」

僕っ娘「早くカピバラ呪術の解呪薬の作り方見付けて、合流しよう!」

ポニテ「はいはい」

委員長「……なぁ、根暗君」

根暗「ひゃ、ひゃい」ビクッ

委員長「そんなに驚くなよ」

根暗「ご、ごめん」

カピバラ「……」ムシャムシャ

根暗「そ、それで……何?」

委員長「私は……君に謝りたくてね」

根暗「……へ?」

【入学初日】
オタク「素晴らしい!」・

オタク「触手……それはエロ同人誌に欠かせないスパイス」・

オタク「触手……それは響きだけでもエロい存在」・

オタク「同じクラスに触手使いがいるとは……これは捗りますぞ~!!」・

根暗「……えと、違くて……あの」・

クラスメイトs「……」ドンビキ・

根暗(僕の学園生活……終わった)

委員長「触手? エロ同人誌? 何だそれは?」

オタク「デュフフフ、こういうヤツでござる」つ同人誌

根暗(何で持ち歩いてるの!?)

委員長「ふむふむ……なっ!!」///

委員長「何というものを見せるのだ! 何という魔術を引き継いでいるんだ!! ……こ、この」

委員長「エロ触手ブラザーズ!!」

【現在・図書室】
委員長「まさかここまで広まるとは思わなかったんだ……」

委員長「君がオタク君に振り回されてるのには気付いている」

委員長「本当に申し訳無かった」

根暗「ぼ、ぼ、僕が……魔法薬研究会に入った理由は」

委員長「?」

根暗「び、媚薬を作る為で……その、だから、オタク君に振り回されてるだけじゃなくて」

根暗「えっと、あの、つまり……僕も本当にエロいから気にしなくて良いよ!」

根暗(僕は何言っているんだ)///

委員長「……」クス

委員長「君は……優しいな」クスクス

カピバラ「……」ムシャムシャ

【理科室】
僕っ娘「とりあえず、それらしい文献は集まったが……」

委員長「作れそうか?」

僕っ娘「シャッフル呪術の材料はほとんどあるが……カピバラ呪術の方が難しいな」

根暗(カピバラ呪術の方がシャッフル呪術より高度なのか……)

委員長「シャッフル呪術さへ解ければ、解呪魔術が使えるから問題ない」

ポニテ「なるほど! で、シャッフル呪術の解呪薬には後何がいるの? 私取ってくるよ!」フンス

僕っ娘「オオムカデの甲殻だ」

ポニテ「」

委員長「」

僕っ娘「さぁ、ポニテ……取ってきておくれ」

ポニテ「ムムム、ムカデは無理! 絶対無理!! 委員長さん、取ってきてよ」

委員長「……虫全般が苦手なんだ」

僕っ娘「僕は平気だが……戦えないしな」

僕っ娘・ポニテ「……」ジッ

根暗「……へ?」

委員長「き、君達……流石に根暗君に頼むのはどうだろうか? というより、触手魔術に戦闘なんて……」

僕っ娘「ふふふ、君は根暗のことをまったく知らないんだね」フンス

ポニテ(凄い、得意気だな)

僕っ娘「触手魔術はね……」

僕っ娘「戦闘特化の魔術なのさ!!」ドヤ

委員長「なら、根暗君に任せるか」

根暗(あの、僕の意思は無視ですか……)

【学外】
根暗「……はぁ、結局断れ無かった」

カピバラ「……」ムシャムシャ

根暗(何だかんだでちゃんと着いてきてくれてるな)

根暗「秀才君だっけ……」

カピバラ「……」ムシャムシャ

根暗「僕は……その、君が羨ましいよ」

根暗「運動も勉強も出来て……出来ないことの方が少ない天才だって、僕っ娘さんもポニテさんも言ってたし」

カピバラ「……」ズキン

僕っ娘『秀才君ならば自力で解けると思っていたが……』フム

カピバラ「……俺は君達が羨ましいよ」

根暗「……へ?」

根暗(シャベッターーーーー!!)ダラダラ

カピバラ「君の耳に翻訳呪文をかけた。……この姿でも魔術は使えるんだ」

根暗「あっ、えと……そ、そうなんだ」

根暗「そ、そそ、それで、僕達が羨ましいって」

カピバラ「……皆で助け合っているから、かな」

『秀才君だったら、一人で出来るから大丈夫だよ』

『秀才が怪我してる』『秀才は回復魔術も使えるから大丈夫だ』

『秀才君が病欠?』『秀才だったら授業ぐらいすぐに追いつけるだろ』

『秀才! 次の課題、同じ班でやらないか?』

秀才『あ、あぁ!かまわないよ!!』パァ

『―じゃあ、後よろしくな~』
『俺ら部活あるから』
『秀才だったら一人で出来るだろ』
『『『ハハハハハハハハハハハハ』』』

カピバラ「皆で協力して、問題を解決しようとする君達が羨ましかった」

カピバラ「そんな君達に……助けて貰えている状況を……俺は楽しんでいた」ギリ

カピバラ「自力で解決しようと思えば出来たのに……俺は……」

根暗「……そう、なんだ」

カピバラ「……この姿でもオオムカデと戦える。 解呪薬も調合書さへあれば自分で作れる」

カピバラ「だから、もう」

根暗「じゃあ」

『―じゃあ、後よろしくな~』

根暗「じゃあ、一緒に戦おう」

カピバラ「……へ?」

根暗「いや、その、秀才君の能力を疑ってるわけじゃなくて……あの」

カピバラ「……」ポロ

根暗「カピバラの姿だし……あ、僕みたいなのでも囮ぐらいにはなれるかも……だし、その」

カピバラ「……」ポロポロ

根暗「一人で出来ることでも……二人ならもっと上手く出来るかも知れないから……着いていって良いかな?」

カピバラ「あぁ……頼む、根暗。 ありがとう……すまなかった」ポロポロ

根暗(カピバラが泣いてるところ始めてみた)

【沼地】
カピバラ「オオムカデは沼の中に身を潜めて、上を通った獲物を捕らえる習性がある」

根暗「な、なるほと、じゃあ、これでどうかな?」ニョロン

カピバラ(地面に手をついた……触手魔術の予備動作か)

ネズミ「チュー!!」ギュゥ

カピバラ「なるほど、ネズミを触手の先に付けてオオムカデを釣り上げるのか」

根暗「僕の触手なら、その、簡単に食い千切られないと……思う」

カピバラ「やってみよう! 釣り上げたところを俺が仕留めよう」

根暗「うん!」

根暗(何かこういう作戦みたいなの楽しいな)

カピバラ(作戦を立てて戦うか……楽しいな)

カピバラ「中々釣れないな」

根暗「釣りは根気が大事……だって」

カピバラ「釣り、好きなのか?」

根暗「いや、僕は……お爺ちゃんが好きで……その」

カピバラ「そうか。 俺は釣りをするのは初めてだ」

根暗「……初めての獲物がオオムカデ?」

カピバラ「竿の代わりに触手を使い」

根暗「しかも……はは、秀才君はカピバラの姿じゃないか」

カピバラ「こんな釣り、最初で最後だな」

根暗・カピバラ「「はははは」」

グイッ!!
根暗「おっと! 凄い引きだ!!」

カピバラ「触手が引き摺り込まれてないか?」

根暗「一本じゃキツいみたい」ニョロン

カピバラ「おぉ、何本も生やせるんだな」

根暗「この地面だったら、後8本は生やせるよ……疲れるけどね」

触手「グググググ」

オオムカデ「ズズズズズ」

カピバラ「おぉ、頭が見えてきた」

根暗「本当に釣れたね」
カピバラ「本当に釣れたな」

根暗「秀才君」

カピバラ「ん?」

根暗「いや、早く、攻撃してよ」

カピバラ「あっ! すまない、見とれてた」

根暗「何やってるの!早く! 逃げられる!!」

カピバラ「そう簡単に千切られないって言ったじゃないか!」

根暗「思ったより、力が強いんだよ!」

カピバラ「オオムカデに一番有効な属性は」エート

根暗「いいから早く! 秀才!!」

カピバラ「氷柱魔術!!」

オオムカデ「ピギャーーーーー!!」

カピバラ「はぁはぁ」

根暗「はぁはぁ」

根暗「やったね!」

カピバラ「……あぁ」

【校庭】
委員「……なんで、全部持って帰ってきた?」ヒクヒク

カピバラ「大物が釣れたから嬉しくてね」ドヤ

根暗「魚拓……ムカデ拓にしよう」ワクワク

僕っ娘「いつの間にか喋れるようになってるし、仲良くなってるし……」

ポニテ「でかい! キモい!!」

僕っ娘「とにかく、これで解呪薬は作れるね。 オオムカデは内蔵も魔法薬の材料に使えるから、僕としてはありがたい」

根暗「大きい紙もらってきた!」

カピバラ「墨も貰ってきたぞ!」

委員長「……聞いてないな」

ポニテ「あんな楽しそうな根暗君初めて見たかも」

僕っ娘「……」グスン

【2-B】
キーンコーンカンコーン
根暗(やっと、昼休みか)

オタク「根暗殿! 昨日は一人ボッチの昼休みにしてすまなかったでござる! 今日は一緒に」

ガラガラ

秀才「根暗、昼飯を一緒に食べないか? 次の釣りの予定も立てたいしな」

根暗「ははは、本当にやるの? 良いよ、秀才」

オタク「え? 一緒に食べる? 次の釣り? 呼捨て……ね、根暗殿の浮気者!!」ダッ!!

根暗「う、浮気者!?」

委員長「全く彼らは」ヤレヤレ

委員長(しかし、これで委員会が出来るな)ヨシ

「優等生、食堂行こうぜ!」

委員長「優等生? ……丁度、良かった。 秀才の呪いが解けたから委員会を……」

アルパカ「……」ムシャムシャ

委員長「……」

委員長「何時になったら委員会が開けるんだ!!!!」

本日の話、投下しました(*`・ω・)ゞ
誤字脱字あって読みにくかったらごめんなさい

皆さんはこのSSならどのキャラが好きです?
私個人としては優等生の堅物キャラが気に入ってます(笑)

今後の話作りの参考に教えてもらえたら嬉しいです

この程度の意見を求めるのも駄目なんですね~
自重します

SSとしては1話完結のストーリーを落として、ネタが尽きるまで続けようと思っています

皆さんからネタが仕入れれたら、長く続けれるのではと思ったんですが、自前のネタが尽きたらお仕舞いにしときますね

なるほど、ようやくここのノリが解った気がします
とりあえず、やりたいようにやりますね~

【魔術学園・2-D】
教師「魔術の名家、四大元素家(しだいげんそけ)の最も大きな功績はとある魔術師の討伐だ」

教師「その魔術師はある魔術を用いて世界征服を目論んでいた……いや、実際に世界の3割りは征服された」

教師「四大元素家は協力しその魔術師の目論見を潰したわけだ」

教師「四大元素家は魔術社会に今でも大きな影響力を持っている」

教師「まっ、面倒だから普段は四大元素家であることを隠している場合が多いがな」

教師「……うちのクラスのお嬢は例外だ」

お嬢「オーホッホッホッ、自らを偽るとは弱者のあかし」

お嬢「四大元素家筆頭の名は伊達ではありませんわ!」オーホッホッホッホッ

教師「……水魔術が筆頭という記録は無いんだがな」ハァ

キーンコーンカンコーン
教師「おっと、終わりか? 委員長、号令」

おさげ「起立、礼」

お嬢「オーホッホッホッホッホッ!」

召使い「お嬢様、何時まで笑っているおつもりで?」

メイド「大口開けてバカみたいっすよ」

召使い「メイド、正直な所は良いが言葉は選ぼうな」

お嬢「良いのよ、召使い。 お屋敷以外では同級生として接しなさいと言ったのは私ですもの」

召使い「ですが……」

お嬢「メイド、馬鹿みたいって教えてくれてありがとう」

メイド「お嬢と私の仲じゃないですか、気にしないで欲しいっすよ」

「お嬢さん、可愛いよな?」
「性格はあれだけどな……」

メイド「それにしても、相変わらずお嬢はモテますね」ニシシ

お嬢「私は平民には興味が無いと言うのに……」

召使い「お嬢様、クラスメイトを平民と呼ぶのは……」

メイド「感じ悪いっすよ」

召使い「だから、言葉を選べと」

お嬢「良いのよ、召使い。 メイド、感じ悪いって教えてくれてありがとう」

メイド「気にすんなよ、ズットモだろ?」

お嬢「どちらにしろ彼等には興味が無いわ。 私が恋い焦がれるのは……火の若様」ポッ

召使い(クソ……火の若め!!)グッ

メイド「私の口の聞き方より、召使いの恋心の方が問題あると思うぞ?」ポンッ

召使い「なっ!?」///

お嬢「しかし、あのお方は私のことを見向きもしない……」

お嬢「こんなにも可憐で健気で美しい私に見向きもしないの」ガーン

メイド「自分で言ってたら世話ないっすね」

ガラガラ
秀才「おさげさん、次の委員会で使う資料を持ってきたぞ」

おさげ「あっ、お疲れ様です」

秀才「見てくれたまへ」

おさげ「……そう言えば、秀才君どうやって呪い解いたの?」

秀才「あぁ、魔法薬研究会の皆に助けてもらってな」

お嬢「……」ピクッ

お嬢「……魔法薬研究会?」フム

メイド「面倒なことを思い付いた顔してるっすね」

【理科室】
僕っ娘「……ポニテ、生理食塩水取ってくれ」

ポニテ「うん」

僕っ娘「……ポニテ、そこの薬草取って」

ポニテ「うん」

僕っ娘「……」

ポニテ「……暇だね」

僕っ娘「あぁ……何だよ、土中生物釣り上げ隊って」

ポニテ「今日は巨大土竜を釣るって張り切ってたわね……あいつら」

僕っ娘「ついでに採取もしてきてくれるから良いが……」

ポニテ「ね、ねぇ、僕っ娘……それ、調合し終わったら差し入れもって見に行かない?」

僕っ娘「それは名案だ! 巨大土竜には興味があったからな」

ポニテ「あんたが興味あるのは根暗君でしょ?」

僕っ娘「当たり前だろ、それが一番だ」

ポニテ「もう少し、恋心は隠した方が良いわよ?」

僕っ娘「恋心……恋なのかな? 凄い好きだが、ふむ、男性として好きなのか、人として好きなのか……」

僕っ娘「僕も疎いからね……恋心って言い張る自信は無いな」フフ

ポニテ「……僕っ娘」

ポニテ「逆レ○プ紛いのことしといて何言ってるの?」

僕っ娘「」タラタラ

僕っ娘「根暗から聞いたのか!?」

ポニテ「いや、根暗君からは何も聞いてないよ」

僕っ娘「鎌をかけられたか」クッ

コンコン
僕っ娘「……最近は来客が多いな」

オーホッホッホッホッ

ポニテ「開けないの?」

僕っ娘「何となくだが、面倒臭い人が来た気がして……」

コンコンコンコンコンコン

ポニテ「凄いノックされてるけど」

僕っ娘「狂気を感じる、窓から逃げようか」

ドン!!

お嬢「さっさと開けなさいよ!!」

召使い「お嬢様、ドアを蹴り開けるのは……」

メイド「しっつれいしやーす」

ポニテ「D組のお嬢さん?」

僕っ娘「お嬢さん?」

ポニテ「四大元素家水魔術一族の一人娘なんだって」

僕っ娘「四大元素家か……で、そんな大物が僕達に何か用かい?」

お嬢「貴方達に惚れ薬を作って欲しいの!」

僕っ娘・ポニテ「惚れ薬?」

【学外】
根暗「……」ドキドキ
秀才「……」ワクワク
オタク「……」デュフフフ

触手「ググググ」

スポン!!

巨大土竜「モグモグモーグ!!」

根暗「釣れた!」

秀才「でかい! でかいぞ!!」

オタク「ヌホォ! これはテンション上がるでござる!!」

秀才「だろ?」

根暗「それより、二人とも……攻撃して……見とれて無いで……攻撃して」

巨大土竜「モグー!!」ブン

根暗「おっと」ニョロン

触手「ギュゥ」

秀才(よし、予定通り土竜の手足を捕らえたな)

秀才「オタク君、肉体強化だ!」

オタク「ウホォ、自前の肉体強化と秀才殿の肉体強化で滾るでござる」

オタク「二人に良いものを見せてもらったお礼に拙者も良いものを見せるでござるよ」

根暗「何でも良いから早く……こいつも力が強い」

オタク「我が一族に伝わる奥義が1つ……火爪!!」ジャキン

秀才「おぉ!巨大土竜を切り裂いた!!」

オタク「デュフフフ、鳥の爪をモチーフにした必殺技なのでござるよ」

根暗「……土竜拓……したかったのに」ショボーン

秀才・オタク「あっ」

【理科室】
僕っ娘「惚れ薬って……誰に飲ませる気だ?」

お嬢「それは……我が愛しの火の若様に」ポッ

ポニテ「火の若様?」

召使い「四大元素家火魔術の跡取りにご執心でな」

ポニテ「おぉ、相手も大物だね」

お嬢「あぁ、火の若様。 キリッと鋭い目、真っ直ぐで整った鼻、優しげな口元……あぁ、愛おしいですわ」

僕っ娘「相当な男前なんだな」

メイド「まぁ、確かに男前っすね」

僕っ娘「しかし、お嬢さん……惚れ薬で相手の心を手に入れるっていうのどうなのだろうか?」

お嬢「何がいけないのかしら?」

僕っ娘「その……卑怯だろ」

お嬢「えぇ、正攻法ではないわね」

僕っ娘「だったら」

お嬢「貴女は本気で殿方に恋をしたことがある?」

僕っ娘「なっ、それは……」

お嬢「無いみたいね。 良いことを教えてさしあげる」

お嬢「恋というものは膨大なエネルギーなの。 愛し合っているという結果を得るための自分でも抑えられないぐらいのエネルギー」

お嬢「確かに惚れ薬で意中の相手を手に入れる何て正気の沙汰じゃないのかも知れない」

お嬢「それでも抑えられないからこそ……恋なのですわ!!」

メイド「言ってること意味ワカメ」

僕っ娘「……恋か」
ポニテ「何だろ……共感してる私がいる」

メイド「それでも推し通るところが、マジパナいっすわ」

僕っ娘「……解った、惚れ薬を調合しよう」

お嬢「本当!?」

僕っ娘「あぁ、その代わり材料は自分達で集めてきておくれよ?」

お嬢「当たり前ですわ! 僕っ娘さん、ありがとう」

僕っ娘「では、まず……ヒドラの肝を持ってきてくれ」

お嬢「解ったわ。 行きますわよ、 召使い、メイド」

召使い「はっ!」
メイド「あいよ~」

ポニテ「……惚れ薬の材料にヒドラの肝があるの?」

僕っ娘「難題を出していたら、その内諦めるだろ」

僕っ娘「……惚れ薬自体は簡単に調合出来るが、惚れ薬は簡単に使ってはいけないものなんだよ」

ポニテ「何かあったの?」

僕っ娘「……惚れ薬の効力がきれて、2年前に両親が離婚したんだ」

ポニテ「な、なるほど……」

【2-C】
お嬢「失礼しますわ!!」ガラガラ

お嬢「僕っ娘さん、ヒドラの肝を持ってきましたわよ」ドヤ

教師「おい、授業中だぞ?」

お嬢「ごめんあそばせ。 それで、次は何を取ってきたら良いのかしら」

僕っ娘「あぁ、次は……ファイヤーウルフの尻尾を20本持ってきてくれ」

教師「授業中だって言ってるだろ? カピバラにするぞ?」

秀才「!?」ブルブルブル

ポニテ「秀才君が震えてる」

【昼休み・食堂】
お嬢「僕っ娘さん!!」ボロボロ

僕っ娘「わっ!? お嬢さんか……その、大丈夫かい?」

お嬢「大丈夫ですわ。 はい、ファイヤーウルフの尻尾」

ポニテ「ボロボロだけど、どうしたの?」

メイド「ファイヤーウルフの群れに飛び込んだっす」

ポニテ「そ、そう……3人で良く勝てたわね」

メイド「3人じゃないっす。 お嬢様が一人でやったっす」

ポニテ「へ? 何で?」

お嬢『貴方達は下がってなさい。 私の私欲で怪我させたくないもの』

メイド「ん~……馬鹿だからすっかね」

召使い「お嬢様が頼ってくれない、お嬢様が頼ってくれない」ブツブツ

ポニテ「あの人は何で落ち込んでるの?」

メイド「あれも馬鹿だからっす」

僕っ娘「次は……ヒポグリホォンの羽を持ってきてくれ」

お嬢「解りましたわ」

【理科室】
僕っ娘「……すごい罪悪感だ」ズーン

オタク「なるほど、拙者達がいない間にそういうことがあったでござるか」

ポニテ「すぐ諦めると思ったら……凄いパワフルな人で」

オタク「僕っ娘殿、気にする必要は無いでござる」

オタク「それに、偽りの材料を集めさせるのは初めてで無いであろう?」デュフフフ

僕っ娘「……」ズズーン

根暗「……オタク君、空気……読もうか?」ズーン

オタク「」

ポニテ「さ、さてと、じゃあ私とオタクは採取に行ってくるわ」ノシ

オタク「行ってくるでござる!」スタコラサッサ

僕っ娘「……」

根暗「……」

僕っ娘「何かあったのかい?」

根暗「巨大土竜を……土竜拓にする前に……」

僕っ娘「なるほど、大体何があったか理解した」

根暗「惚れ薬……作ってあげないの?」

僕っ娘「いっそのこと持続時間が短い惚れ薬を渡してしまおうかとも考えたが……」

僕っ娘「お嬢さんを見ている間に考えが変わった。」

僕っ娘「彼女には……惚れ薬を渡してはいけない」

「やはり、騙されていたか」

召使い「話は聞かせてもらった」シュタ

根暗(天井から知らない人が落ちてきた)オドオド

召使い「お嬢様の純愛を利用し……素材集めに使うとは」シュイーン

僕っ娘(水のサーベル!?)

召使い「許さん!!」ダッ

根暗「僕っ娘さん、下がって」ニョロン

召使い「触手……なるほど、貴様か」

根暗「え、何?……何の話?」

召使い「まぁ、良い。 お嬢様を愚弄した者を庇うなら……切り捨てるまで」

根暗「良く解らないけど……彼女は傷付けさせない」ニョロンニョロン

僕っ娘(……これは恋なのだろうか)ドキドキ

【学外】
ポニテ「心配だな……」

オタク「僕っ娘殿のことでござるか?」

ポニテ「うん、お嬢さんにバレたらどうなるんだろう……って考えるとね」

オタク「お嬢よりもその家来にバレた方が厄介でござる。 特に召使いは普段は冷静だが」

オタク「お嬢のこととなると見境が無くなるからな」

ポニテ「へ?」

オタク「と、いう噂を聞いたでござるよ」

召使い「おら! おら! 触手使い! お前の力はそんなものか?」ザンッザンッ

根暗「くっ!」ニョロンニョロン

僕っ娘(召使いの斬撃を何とか触手で凌いでいるけど)

触手「バッサリ」

根暗(ただ、斬られるだけなら触手の弾力性で斬りにくいだろうけど……)

根暗(召使い君のサーベルは水流を利用して削り斬る……触手がすぐにダメになってしまうな)

召使い「四大元素家が危険視している力もこの程度か? 次で決めさせてもらおう」シュイーン

僕っ娘(サーベルが二本に増えた)

僕っ娘「根暗!?」

根暗(あまり、怪我させたくなかったんだけどな……仕方ないか)グッ

召使い「覚悟!!」ダッ

「お止しなさい!!」

召使い「……」ピタッ

根暗「……へ?」ピタッ

お嬢「召使い、何をしているのかしら?」

召使い「この者が……お嬢様を騙しておりましたので」

お嬢「そんなこと気が付いてますわ」キッパリ

僕っ娘「なっ!?」

召使い「気が付いていたなら、何故材料集めを?」

お嬢「惚れ薬は人の心を操る薬。 そんな薬を出会ったばかりの私に渡して事件が起これば、調合した僕っ娘さんの責任になります」

お嬢「ですので、彼女には私を騙す権利と私を試す義務がありますわ!」

お嬢「僕っ娘さんは何一つとして間違った行いをしていません」

召使い「し、しかし……」

お嬢「貴方の忠心には感謝しますわ」

メイド「召使い、お嬢様の顔に泥を塗りたくなかったら手を引くっすよ」

メイド(それに、これ以上続けたら召使いが負けてたっすからね)

お嬢様「それで、僕っ娘さん。 結局、私に惚れ薬を作ってくださるのかしら?」

僕っ娘「すまない……今の言葉で答えが出た」

僕っ娘「やはり、僕は君だけには惚れ薬を渡せない」

僕っ娘「どんな精巧に作られた惚れ薬でも永遠に効果があるわけじゃない」

僕っ娘「何時かは効果がきれてしまうんだ」

僕っ娘「その時、傷付くのはお嬢さんだと思うから……僕は」

僕っ娘「僕は君みたいな素敵な女性に傷付いて欲しくない!!」

お嬢「ならば……諦めますわ」

メイド「ありゃりゃ、良いんっすから? あっさり諦めて」

お嬢「効果が何時かはきれてしまうのであれば、私が求めていたモノでは無いですもの」

僕っ娘「無駄なことをさせてしまって……悪かったね」

お嬢「無駄? 何を言ってらっしゃるの?」

お嬢「貴女みたいな素敵な友人が出来たんですもの……無駄などではございまさん」ニコ

僕っ娘(理解出来ないな……何故、彼女の想い人は彼女に振り向かないのだろうか?)

僕っ娘(こんなにも素敵な女性なのに)

根暗(さっきの危険視って何の話だろう……)フム

ガチャ
オタク「帰ってきたでござるよ!」

ポニテ「薬草大量に取ってきたわよ」

お嬢「……」

オタク「……」

お嬢「火、火、火……火の若様!!」

オタク「……」ダラダラ

僕っ娘「なっ、オタク君が」

『キリッと鋭い目』

ポニテ「四大元素家火魔術の跡取り」

『真っ直ぐで整った鼻』

根暗「火の若様?」

『優しげな口元……』

オタク「……水のお嬢、ばらさないでくれよ」ハァ

僕っ娘・ポニテ・根暗「「「えぇぇぇーー!!」」」

好きなようにやった結果を投下しました(笑)

今日はこれ以上は進まないと思います~

もう1話分かけたので更新しときますね

オタク(アタイ、オタク! 普段は普通の魔術学園の学生なんだけど、魔術の力で魔術少年ヒノワカに変身するの)キラッ

オタク(ヒノワカであることは秘密にしなきゃなんだけど、悪のミズノオジョウによって皆にバラされちゃったんだ! たっいへーん☆)キラキラッ

オタク「……脳内で魔法少女風にしても意味無いでござるな」フゥ

ポニテ・僕っ娘「待てーーー!!」

オタク「女子に追いかけられるとか……俺得!!」ダッ

ポニテ「素顔を見せろ!!」

オタク「嫌でござる! 嫌でござるよ!!」

【数刻前・理科室】
僕っ娘「本日の活動を始める前に、皆が気になっていると思う案件を片付けておこうと思う」

根暗「……」チラッ

ポニテ「……」ジー

オタク「……ん?何でござるか?」

僕っ娘「昨日、お嬢が言ってた件だが……」

オタク(やはり、四大元素家であることは気になるか……)ハァ

オタク「いや、隠していたわけじゃ……」

僕っ娘「オタク君の素顔が果たして本当にイケメンなのか」

オタク「そっちでござるか!?」

ポニテ「オタク、大人しく素顔を見せるのよ」ジリ

僕っ娘「大丈夫、大人しく見せたら痛くはしないさ」ジリ

オタク「根暗殿! 助けてくだされ!!」

根暗「土竜拓の怨み……」ジリ

オタク(一人関係無いことで狙ってきてる!!)ガビーン

オタク「す、素顔は……嫌でござる!!」ダッ

僕っ娘「あっ、逃げた!」

ポニテ「追え!!」

【現在・廊下】
オタク「うおぉぉぉお!! 命を燃やせ!!」

ポニテ「待てー!!」

オタク(僕っ娘は脱落したか? 流石にポニテは体力も速度もあるな)

ポニテ「ふふふ、元陸上部の足を嘗めないでよ?」

オタク(廊下だと何時か捕まる……外に逃げるか!)ヒョイ

ポニテ(窓から外に!?)

ポニテ(……本当に彼の言った通りになった)

【屋外】
オタク「やはり、ポニテは速いな……陸上止めたのが勿体無い」ボォ

オタク(肉体強化でも3階から飛び降りるのは危険だ。 俺は下に火炎魔術を放ちながら降りれるが……)

オタク「着地と……何処かに隠れるとするか」ヌチャ

オタク「ん? ……足元が!?」

「―どうだ? 俺の沼魔術のお味は?」

オタク「き、貴様は……秀才!」

秀才「Exactry! 俺だ!!」

オタク「ど、どうして拙者の降りてくるところが?」

秀才「この窓の近くには木が生えていなかったからさ」

秀才「オタクが火の魔術を使って落下速度を低下させながら降りてくることは予想できた」

秀才「火炎魔術の使い手ならば、引火の恐れがあるところで態々降りようとしないだろ?」

秀才「後は逃走ルートから予測すれば良いだけのこと」

オタク「くっ、やるでござるな! しかし!!」ボォゥ

秀才(沼の水分を熱で蒸発させたか!)

オタク「拙者が火魔術使いと解っているならば、沼魔術は間違った選択で……」ビリリ

秀才「間違った選択なんかじゃないさ。 沼の中にね、高温で揮発する麻痺薬を混ぜておいたからね」

オタク(麻痺薬……僕っ娘か!)

秀才「君は土中生物吊り上げ隊の禁忌を犯した」

秀才「さぁ、大人しく捕まりたまへ」

オタク(くっ……この手は使いたくなかったが)

オタク「僕っ娘殿! 拙者に解毒薬をくれたら……」

オタク「根暗殿プロマイド(居眠りver)を贈呈するでござるよ!!」

秀才「そんなもので買収されるわけないだろ?」

解毒薬「ポトリ」

オタク「親方! 空から解毒薬が!」

秀才「僕っ娘!!」

オタク「デュフフフ、そこは5秒で受け止めろと言うところでござるよ」ダッ

秀才「くそ、逃がすか……」ビリ

秀才(しまった、俺も麻痺薬を吸ってしまった)

秀才「僕っ娘、俺にも解毒薬を!」

シーン

秀才「僕っ娘の……裏切り者!!」ビリビリ

【2-A】
ガラガラ
ポニテ「ねぇ、オタク来てない!?」ハァハァ

優等生「オタク? 2-Bの生徒だったか? 来ていないぞ」

ポニテ「ありがとう!」ダッ

優等生「若、行きましたよ」

ロッカー「ガタガタ バン」

オタク「狭かった……」

優等生「いきなり飛び込んで来られたんで、驚きました」

オタク「いや、顔を見せろって言われてな」

優等生「良いじゃないですか……減るもんじゃ無いですし」

オタク「だって……恥ずかしいだろ」

優等生「涙ほくろが……ですか?」

オタク「……」コクン

優等生「その感性は理解できませんが……はぁ、学園ではお互い近付かないようにとあれほど……」

オタク「説教は後にしてくれ」

優等生「かしこまりました」

優等生「で、何処までバレたのですか?」

優等生「若の顔が整っていることだけでございますか?」

優等生「若が四大元素家火魔術の跡取りだというところまでですか?」

優等生「私の一族が代々若の一族に仕えているというところまでですか?」

優等生「……それとも」

「若が根暗に近付いた目的までですか?」

【理科室】
ポニテ「はぁはぁ……何処にもいない」

僕っ娘「ポニテ、お疲れ様」

ポニテ「僕っ娘、ちゃんと探してる?」

僕っ娘「……」フイッ

ポニテ「何で、買収された!」

僕っ娘「しかしな、ここまで嫌がるんだったら諦めた方が良いんじゃないか?」

ポニテ「いや! 私はちゃんとオタクの顔を見たい!!」

ポニテ「好きな人の顔もちゃんと見たこと無いなんて……嫌だよ!」

僕っ娘「好きな人……か?」ニヤニヤ

ポニテ「そうよ、悪い?」///

【2-A】
オタク「……」

優等生「忘れたわけじゃありませんよね?」

オタク「……あぁ、触手魔術の一族出身者を監視し、魔術社会において危険な存在と判断した場合……」

優等生「その者を処分する」

オタク「……」

優等生「根暗を孤立させ、見張り易くする作戦は中止されたんですか?」

オタク「……そこまで危険視する必要は無いと判断した」

優等生「その判断が……間違いで無ければ良いですが」

オタク「根暗は優しいやつだ。 人の為に行動し、人の為に戦い、人の為に怒れる……優しいやつなんだ」

優等生「若……優しいか否かと善か悪かは全く違うものでございます」

優等生「努々、忘れませんよう」

【屋外】
秀才「くそ……動けん」ビリビリ

根暗「秀才、大丈夫?」

秀才「根暗! すまない、捕まえられなかった」

根暗「良いよ、決着は僕が着ける……」

秀才(どれだけ、土竜拓のことを根に持ってるんだ?)

【2-A】
オタク「解っているさ……そんなこと」

優等生「いざという時、若が殺れないならば……俺が」

オタク「いや、決着は……俺が着ける」

【屋上】
根暗「……」

オタク「ラスボス気取りでござるか? 根暗殿」

根暗「自ら出向くとは、僕とやり合う覚悟が出来たんだね?」

オタク「今日は流暢でござるな」

根暗「君も普通に喋ったらどうだ? オタク」

オタク「……あぁ、そうだな」

根暗「これを機会に君に言っときたいことがある」

オタク「……」

根暗「入学初日、君のせいで僕は皆に避けられた」

根暗「その後もエロ触手ブラザーズとか呼ばれて、皆に気持ち悪がられて……君以外に友達が出来なくて」

オタク「……」

根暗「でも、最近変わった……一緒に魔法薬研究会に入って」

根暗「一緒に土中生物釣ったり、一緒に戦ったり、今日みたいに皆で追いかけっこしたり……」

根暗「毎日……楽しいんだ」

根暗「すぐに友達が出来なかったのは君のせいだと恨んでた……でも、今友達が出来たのは……君のお陰だと思ってる」

根暗「ありがとうね」

オタク「……土竜拓のこと、怒ったふりだったのか?」ハァ

根暗「でゅふふふ、騙してやったでござるよ」ニコ

オタク「さて、じゃあこれで仲直りだな」

根暗「仲直りの証しに……前髪あげようか?」

オタク「……」タラタラ

オタク「……それはもういいじゃないか?」

根暗「じゃあ……力ずくでいくね?」

オタク「……デュフフフ、楽しんでるでござるな? 根暗殿」ボォ

根暗「うん!!」ニョロン

【理科室】
ポニテ「きゃーーーー! かっこいい!! あんた、本当にオタク!?」

オタク「うぅ、見ないで欲しいでござるよ! 涙ほくろが恥ずかしいでござる!!」///

ポニテ「そこがチャームポイントでしょうが!?」

僕っ娘「顔を隠していた理由が涙ほくろとは……その感性は解らないな」

根暗「ひ、人によって、恥ずかしいことは、その……違うから」

ポニテ「あんた! 髪切りなさい! 前髪禁止令を発動します!!」

オタク「ちょっ、なんの権限で!?」

僕っ娘「……ところで、オタク君が顔を晒したってことは、決闘ゴッコは君が勝ったのかい?」

根暗「一時間やりあって、決着つかなくて……その、じゃんけんで……決めた」

僕っ娘(オタク君と一時間もやりあえたのって……凄くないか?)

【屋外】
秀才「……俺、忘れられてないか?」ビリビリ

ほい、寝ます
また出来次第書き込みますね~

一応、生やす時は地面に手を着かないと駄目だけど、生やした後は手を離しても生えたままという設定です

手を着いてなくても触手を操るだけは出来ます

【2-B】
ザワザワザワザワザワ

オタク「……」///

根暗「大丈夫? か、顔が赤いよ」

オタク「恥ずかしいでござるよ! 前髪が恋しいでござるよ!!」

「ござる口調!」「やっぱりあれオタクか?」「イケメンになる薬でも作ったのか!」

オタク「うぅ、皆に見られてるでござる。 男の癖に涙ほくろがあるプークスクスとか言われるでござる」

根暗「いや……エロ触手ブラザーズって呼ばれて平気だった君が気にすることじゃ無いと……」

オタク「はぁ……あんな勝負に乗らなかったよかったでござるよ」

【昨日・理科室】
ポニテ「あんた! 髪切りなさい! 前髪禁止令を発動します!!」・

オタク「ちょっ、なんの権限で!?」・

ポニテ「じゃあ、私とも勝負してよ」

オタク「デュフフフ、拙者は女子に手をあげる趣味は無いでござる」

ポニテ「いや、徒競走で」

オタク「そっちが有利すぎるでござるよ!!」

オタク「第一、此方に得がない勝負でござる」

ポニテ「……私の知り合いの美術部の奴に頼んで、あんたの好きなエロ同人誌描かせてやるよ」

オタク「マジでござるか!?」

根暗「その知り合いが、可哀想だね……」

僕っ娘「ポニテは何も犠牲にして無いからな」

オタク「デュフフフ、受けてたつでござる」

僕っ娘「じゃあ、ゴールは秀才君が倒れている位置、先にこの解毒薬を飲ませた方が勝ち」

僕っ娘「窓から飛び降りて、ショートカットとかは反則ということにしよう」

オタク「くっ、解ったでござる」

根暗(僕っ娘さん、自分で解毒薬を持っていくのが面倒臭いんだね)

僕っ娘「それでは、位置について! よーい、ドン!!」

【現在・2-B】
根暗「ポニテさん……速かったね」

オタク「あれは勝てないでござる」

オタク「……はぁ、今日は研究会休むって伝えておいて欲しいでござるよ」

根暗「え、そんなに、嫌だったの?」オロオロ

オタク「いや、ちゃんと美容室で整えて来るでござる」

根暗「ポニテさんにパッツンにされたもんね」

オタク「それより、涙ほくろが恥ずかしいでござる」

根暗(その感性は解らないな……)

【2-C】
秀才「僕っ娘さん、少しいいかな?」ゴホゴホ

僕っ娘「どうしたんだい? 秀才君」

秀才「体調不良でね。悪いんだが、俺の代わりに委員会に出席してくれないか?」

僕っ娘「……どうして、僕が?」

秀才「それはね、俺の風邪が僕っ娘さんの麻痺薬を吸った上に野晒しで放置されたのが原因だからだよ」ピキピキ

僕っ娘「オーケー、出るからそんなに怒らないでくれ」

僕っ娘「ということで、今日は研究会に行くのが遅くなりそうだ」

ポニテ「了解。 私は薬草採集してから行ったら良いんだっけ?」

僕っ娘「あぁ、頼むよ」

秀才「君達には俺に魔法薬を調合する優しさは無いのかい?」ゴホゴホ

【2-B】
キーンコーンカンコーン
教師「今日の授業はここまでだな。 気を付けて帰れよ?」

委員長「起立! 礼!!」

オタク「では、拙者はお先に失礼するでござる」

根暗「うん、気を付けてね」ノシ

オタク(根暗のどもり率が下がった気がするな)

【廊下】
根暗(ポニテさんは採集してから来るから、僕っ娘さんと二人っきりか)

僕っ娘『ねぇ、君 ……息が荒いよ?』ズイッ・

根暗(また、あんなことされたらどうしよう)ドキドキ

根暗(……秀才、体調悪そうだったし、風邪薬調合してみようかな)

根暗「ん?」

三編み「……」オロオロ

根暗(理科室の前に誰かいる)オロオロ

三編み「……」オロオロ

根暗「……」オロオロ

三編み「……あ、あの!!」

根暗「ひ、ひゃい!!」

三編み「魔法薬研究会の方ですか?」オドオド

根暗「そ、そうですよ」オドオド

【理科室】
根暗「ポ、ポニテさんの妹だったのですか」つお茶

三編み「は、はい、姉が何時もお世話になってます」

根暗「あ、いえ、此方こそです」

三編み(この先輩、何で敬語なんだろう?)

根暗(初対面の女の子と二人っきりはきついな……)アセアセ

三編み(な、何か私から話題振った方がいいのかな?)

根暗(何の話したら良いんだろう?)

三編み「あ、姉は……その、どうですか?」

根暗「へ、ポニテさんは……その、いい人です」

三編み「あ、じゃなくて……その、研究会の活動、楽しそうですか?」

三編み「陸上部、いきなり止めちゃったから心配で……」

根暗「あぁ、楽しそうにやってますよ。 肉体労働とか率先してやってくれるし……」

三編み「せ、先輩はあまり強そうじゃないですもんね」

根暗(強そうじゃない……)ズーン

三編み(テンパって失礼なことを言ってしまった)ズーン

根暗「に、肉体強化したポニテさんには敵わないよ」ハハハ

三編み「そうですね……姉は強いから」シュン

根暗「えっと、妹さんも肉体強化魔術……使えるんだよね?」

根暗(同じ一族なんだから当たり前だろ、何を聞いてるんだ僕は)アセアセ

三編み「……姉ほど上手くは使えません」

三編み「私は姉と違って内向的で……体動かすより、絵を描くのとかが好きで……」

根暗(エロ同人誌描かされそうになってたのこの子か……)

三編み「私は……姉みたいに強くなれないんです」ショボン

根暗(……強くなれないか)

根暗「ぼ、僕はさ、君より、この学園に長くいるわけで……その分、色んな人に出会ったわけでさ」

三編み「……?」

根暗「皆、すごい魔術使えて……僕みたいな陰気な魔術を使う人の方が……少なくて……」オドオド

根暗「皆が凄く羨ましかったんだ」

三編み(……私と一緒だ)

根暗「だけど、一人一人と……ふ、深く関わってみたら、皆色々な悩みを抱えてて、凄い魔術使えても……凄い才能があっても……弱い部分があってさ……」

根暗「きっと、皆、本当は弱いんだよ」

根暗「ただ、強く在りたいと思ってるんだよ」

根暗「だから、妹さんも強く在りたいと思うところから始めてみたらどうかな?」ニコ

三編み「は、はい! ありがとうございます!!」

根暗「なんて、先輩ぶったこと言ってごめんね。 偉そうだよね、初対面なのに……」ブツブツ

三編み(私と一緒で弱そうなのに……姉とは違った強さがあるような気がする……)

三編み(……不思議な人だな)

ガラガラ
ポニテ「やっほー、来たわよ……て、何で三編みがいるの?」

三編み「お姉ちゃんに教科書借りたまんまだったから……」

ポニテ「家に帰ってからで良かったのに」

三編み「……その、魔法薬研究会での様子が気になって」

ポニテ「心配してくれたの? 可愛いやつめ」ナデナデ

三編み「あ、あぅ……」

根暗(仲良いな……)

ポニテ「根暗君、三編みの話し相手になってくれてありがとう。 て言っても、あんた達じゃあまともな会話にならないか」ハハハ

三編み「そんなこと、無いよ」

三編み「根暗先輩の話、凄いためになりましたから……明日から少しずつでも頑張ってみます」

根暗「いや、僕の勝手な考え方だから、参考にしない方が……」

三編み「参考にします!」

ポニテ「あんた、私の妹に何を話したの?」

三編み「それでは、美術部があるので……」ペコ

根暗「うん、えーと、またね」

ポニテ「後でね~」

ポニテ「それよりも根暗君、オタクは?」

根暗「髪を、整えに行くから……その、休むって」

ポニテ「へ~、そうなんだ」

根暗「何か、用?」

ポニテ「うん、漫画借りててさ……返そうと思ったんだけど、明日にしよう」

【次の日・2-B】
オタク「ふぅ……やっと今日の授業終わったでござる」

根暗「オタク、早く行こう」フンス

オタク「根暗殿は土中生物釣り上げ隊の日はテンション高いでござるな」

ドドドドドドドドド ガチャ!!

ポニテ「根暗!!あんた、私の妹に何を話したの!?」ガシッ

根暗「!?!?」

【校舎裏】
不良「おら、さっさと財布出せよ?」

ヤンキー「昨日、お小遣い日だったんだろ?」

男子生徒「止めてよ、お小遣い日まで記録してカツアゲするのは止めてよ~」

DQN「痛い目に会う前に出した方が良いぜ?」

「待てーい!!」

不良・ヤンキー・DQN「だ、誰だ!!」

三編み仮面「ふふふ、我輩は正義の使者! 三編み仮面だ!!」

不良「良いから、さっさと金出せよ?」

ヤンキー「今月は3万もらったんだろ?」

男子生徒「金額まで確認してカツアゲするの止めてよ~」

三編み仮面「無視するな!!」

ヤンキー「だって触れたらいけないオーラがよ……なぁ?」

不良・男子生徒「おう」

三編み仮面「男子生徒君まで!?」

不良「面倒臭い……DQNてきとうに相手しとけ……」

DQN「」ボロボロ

不良・ヤンキー「なっ!」

三編み仮面「DQNとは、このぼろ雑巾のことかな?」ハーハッハッハッ

男子生徒「ヒッ……やり過ぎだろ」

ヤンキー「こいつ、ヤベェ……頭がイカれてやがる」

不良「おい、ヤンキー! テメェはDQNを保健室に連れていけ」

ヤンキー「お、お前は……」

不良「こいつを止める」

三編み仮面「我輩から仲間を逃がすつもりか?」

不良「あぁ、だったら何だy」ボゴォ

三編み仮面「残念ながら、それは不可能だ」シュゥ

男子生徒(……パンチが見えなかった)

【美術室】
根暗・オタク「羨みの仮面?」

美術部長「あぁ、そうなんだ。 それを三編みちゃんが被ってしまってね……」

根暗「そそそ、それを被るとどうなるのですか?」

美術部長「なりたい人格……自分が憧れる人格になってしまう」

ポニテ「その結果、三編みが正義の使者、三編み仮面になってしまったのよ」ハァ

ポニテ「昨日一体何を話したのよ?」

根暗「えと……強く在ろうとすることが……大事って……その」

オタク「それだけでござるか?」

根暗「う、うん」

美術部長「それだけで、あぁなったとは思えないな」

オタク「……あっ! ポニテ殿に貸してた漫画!!」

ポニテ「今はそれどころじゃないでしょ?」

オタク「そうではござらん! とりあえず、出すでござるよ!!」

ポニテ「……これだけど?」つ漫画

漫画≪イケイケ! 正義の使者☆ムテキ仮面≫

美術部長「これだね」

根暗「これ……ですね」

【校舎裏】
不良「」チダラケ

ヤンキー「」シニカケ

三編み仮面「……ふふ、私、いや、我輩は強い……ハーハッハッハッ」

コソコソ
オタク「凄い状況になってるでござるな」

ポニテ「あの子、あんなに強かったの?」

根暗「……」

「あれは、肉体強化魔術が暴走しているな」

オタク「き、貴様は……秀才!!」

秀才「Exactry! 俺だ!!」・

ポニテ(何、このノリ?)

根暗「肉体強化魔術の暴走って?」

秀才「オタク君、肉体強化魔術において最も重要視されることは?」

オタク「強化比率でござる」

秀才「その通り、自身の体を強化し過ぎれば体を壊してしまうことがあるからね」

秀才「今の彼女は自分の理想の人格を演じるために、肉体強化魔術を過剰に使ってしまっている」

ポニテ「そんな……三編みはどうなるの?」

秀才「本来発揮しえない力を強引に捻り出してるんだ……このままだと最悪の事態も」

ポニテ「そんな……」ガクッ

根暗「……」テクテク

秀才「根暗君、どうするつもりだ!」

根暗「剥がしてくる」

秀才「危険だ、武闘派で有名な不良トリオが負けたんだぞ?」

オタク(根暗……責任感じてんな)

根暗「……オタク、手を出すな」

オタク「デュフフフ、野暮なことはしないでござるよ」

根暗「……三編みさん」

三編み仮面「これは根暗先輩! 見てください! 先輩の言う通り、強く在ろうとして」

三編み仮面「私、おっと、我輩は強くなりましたよ!!」

根暗「君は弱い」

三編み仮面「……」

根暗「君は強くなったんじゃない……強いフリをしているだけだ」

三編み仮面「……」ダ!!

ゴリュ!!

秀才「根暗!!」

三編み仮面「……何で倒れないんですか?」

根暗「僕の親友曰く、倒れたく無い時は倒れたらいけないらしい」

オタク(足から触手を生やして、地面に自分を固定しているのか……)

三編み仮面「何だそれは! 我輩には解らん!!」バキ!

根暗「強いってさ、どういう意味か……あれから考えたんだ」

三編み仮面「我輩は強いんだ! 正義の使者なんだ!!」ドゴォ

根暗「くっ……それで、……さ、強いって言うのは自分に正直でいれることなのかも知れないって思った……」

三編み仮面「うるさい! 私は強くないといけないんだ!!」バン! ドン!

根暗「それは好きなことに……正直だったり……それは自分が嫌いなことに……自分の弱さに向き合えることだと思う……」

三編み「お姉ちゃんを守れるぐらい強くなるんだ!!」ドゴォン!

根暗「弱さを隠さない……それが強さだとしたら」サッ

根暗「……仮面でそれを隠している、君は弱い」カパ

三編み「……」ポロポロ

『陸上部? 暫く休むことにしたんだ』

『理由? 三編みには関係無いじゃん』

『しつこいな! あんたに話したって解決しないでしょ!!』

三編み『お姉ちゃん、陸上部……どうしたの?』

『ん? 止めたよ。 今度は魔法薬研究会に入ったんだ』アッサリ

三編み「……お姉ちゃんが、凄く苦しんでて、小さい時から守って貰ってたから、力になりたくて……」

三編み「それでも、私が弱いから……お姉ちゃんに頼ってもらえなくて……」

三編み「だから……私は今度はお姉ちゃんみたいに強くならないと……守れるぐらい……強くならないと」

「馬鹿!?」ギュッ

三編み「お姉ちゃん?」

ポニテ「馬鹿!」ポロポロ

ポニテ「私は強くなんか無い! あんたの前だから見栄張ってただけ!」

ポニテ「あんたの前だから強いフリしてただけ! あんたがいてくれたから……」

ポニテ「私は強くあろうと思い続けたの」

三編み「ごめん」

ポニテ「謝るな!……ごめんね……ごめんね……お姉ちゃんが意地張ったばっかりに……」

秀才「根暗! 無理をしすぎだぞ! お前のことを心配する奴がいることを忘れるな!!」

根暗「ごめん……今回の件は僕に非があったから」ヨロヨロ

秀才「ん?」

根暗『だから、妹さんも強く在りたいと思うところから始めてみたらどうかな?』

根暗「既に強く在りたいと思ってた彼女に……僕は酷いことを言ってしまった」バタン

秀才「……お前と言うやつは。 とりあえず、保健室に行くぞ? 怪我の手当てが終わったら説教してやる」クドクド

オタク(……触手魔術は確かに危険な魔術かも知れないが)

秀才「オタク! 運ぶの手伝え!!」

オタク「承知!!」

オタク(俺にはやはり、根暗が危険な存在だとは思えないな)フゥ

【屋上】
「とか、考えてるんだろうね。 火の若様は」

眼帯「触れたところだけじゃなく、自分からも触手を生やせるとか……どう考えても危険でしょ?」

包帯「……我に意見無し、主に判断求めるべき」

隻腕「アァ……落としてしまったぁ。 どこだぁ……どこだぁ……腕が……アァ……」

眼帯「あんた達にコミュニケーションを求めた私が馬鹿だったよ」ハァ

眼帯「包帯は我等が主様に報告してきて」

包帯「御意」シュルルル

眼帯「隻腕は私と一緒に来な」

隻腕「何をするのかな? 私の……アァ、無くしモノを探してくれるのかい?」

眼帯「何をする? 決まってるだろ」

眼帯「四大元素家の一角土魔術の悲願、一級危険魔術家の撲滅の為に……」

「あの触手使いを殺すのさ」

何やかんやで6話目終了です
何話まで続くか解りません(笑)

アニメ化の予定はありません
絵が描けません(´・ω・)

絵が描けたら他の媒体でも作品作れるんでしょうがね(汗)

「一級危険魔術家は現在三つ存在致します」

「悪魔化術家、死霊術家……そして触手魔術家」

「どの家系も魔術社会を崩壊させかねない危険性を孕んでいるのです」

「四大元素家の役割は魔術社会の維持であるため、一級危険魔術家の管理も担っております」

「水魔術家が悪魔化術家を、風魔術家が死霊術家を、そして我等が火魔術家が触手魔術家を管理しているのです」

火の若「ジィ……じゃあ、土魔術家は一級危険魔術家を管理してないのか?」

ジィ「……土魔術家は担当していた一級危険魔術家を滅ぼしてしまったのです」

ジィ「危険な魔術を扱う家系なら無くしてしまおう……というのが土魔術家の考え方ですので」

火の若「何か……そういう考え方嫌だな」

ジィ「……」

火の若「それじゃあ……まるで、その家に生れただけで悪者みたいじゃないか」

ジィ「若様、今感じたことを忘れませぬよう。 そのお心を持っていれば、きっと立派な党首様になれるでしょう」

【屋上】
ワカサマ……ワカサマ……
オタク「ジィ……もう少し……寝かせて……」

お嬢「若様ってば!!」

オタク「うぉ! お嬢か……びっくりした」

お嬢「びっくりしたではございませんわ。 教室にいらっしゃらなかったから探しましたのよ?」

オタク「今日は根暗が休みだから、教室にいても暇でな……」

お嬢「知ってますわ。 入院されたのでしょう?」

オタク「あぁ、正義の使者にボロボロにされて入院とは……触手使いらしい」

お嬢「ふふふ、そうですわね」

オタク「それで、何か用か?」

お嬢「えぇ……実は根暗さんが狙われているかも知れませんの」

オタク「……狙われてる? 土魔術家か?」

お嬢「いえ、そこまでは……しかし、うちの者が怪しい人物が学校に出入りしていたと」

お嬢「もしも、土魔術家からの刺客であれば……」

オタク「弱っている、根暗が危ない!!」ダッ

お嬢「待ってくださいまし!」ガシッ

オタク「離せ! 早退して根暗の所に行ってくる」

お嬢「根暗さんの所には此方から護衛を派遣しましたは……」

オタク「護衛?」

【病室】
メイド「根暗。 ほれ、あーん」つリンゴ

根暗「う、うん……ありがとう」シャリ

メイド「気にすんなよ? 私は給金貰ってやってるだけだから」つリンゴ

根暗「ど、ども……」シャリ

根暗(何で、メイドさんがいるの!? 何で、看護されてるの!? 何でリンゴを剥かずにあーんしてくるの!?)

メイド「その顔、聞きたいことがあるっていう顔っすね」

根暗「え、えぇ、まぁ」

メイド「私はCカップすよ」

根暗「な、ななな、何の話!?」///

メイド「反応良いっすね」

【屋上】
お嬢「不確かな情報で若様の手を煩わす訳にはいきませんわ」

オタク「……解った、不確かな情報に対して護衛を配属してくれたことに感謝しよう」

オタク「ありがとう、お嬢」

お嬢「は、はい」ドキーン

秀才「オタク、ここにいたのか?」

オタク「秀才!」

秀才「探したぞ。 放課後、皆で根暗のお見舞いに行こうという話になってな」

お嬢「皆……でございますか?」

秀才「あぁ、僕っ娘とポニテも一緒だ。 三編みちゃんは体中筋肉痛でお休みだから、行けないけどな」

お嬢「僕っ娘も行くのね。 私もご一緒してもよろしいかしら?」

秀才「あぁ、かまわないぞ。 放課後、門の前で集合な」

お嬢「はい、承知しましたわ」

オタク「あぁ、解ったでござる」

キーンコーンカーンコーン

秀才「……予鈴が鳴ったか。 早く教室に戻るぞ」

オタク「……秀才」

秀才「何だ?」

オタク「俺とお嬢が話していること……聞いたか?」

秀才「いや……何のことだ?」

オタク「……何でも無いでござるよ」

秀才(聞かなかったことにしたら良いんだろ?……オタク)

秀才(……土魔術家か。 どうして根暗を?)フム

秀才(若と呼ばれていたが……オタクは何者なんだ?)

【病室】
根暗「め、メイドさんは……何で、その……ここに?」

メイド「お嬢の命令っすよ」

根暗「お嬢さんは何で、そんな命令を?」

メイド「オタク様に恩を売っときたいんでしょう?」

根暗「な、なるほど……」

メイド「……それに、私は根暗に興味があったっすからね」

根暗「きょ、興味?」

メイド「根暗は……学園に来るまでどんな日々を過ごしていたんっすか?」

根暗「お爺ちゃんと二人で……」

メイド「ご両親は?」

根暗「物心ついた時には……もう……」

メイド「近所に人は住んでたっすか?」

根暗「…………」

メイド「根暗の家は……人里離れた森の中……この学園に来るまでお爺ちゃん以外の人と会わずに過ごした……違うっすか?」

根暗「メイド……君は……何で?」

【学外・ゲートの広場】
オタク「しかし、便利なものでござるな」

秀才「ゲートのことか?」

オタク「そうでござる。 くぐるだけで、遠く離れた街に転移できる何て凄いでござる」

僕っ娘「転移魔術の実体化……だったか?」

秀才「正確には転移魔術概念の実体化だな。 このゲードが出来たお陰で各地に分散している魔術師の家系が同じ学園を利用できるわけだ」

オタク「便利な世の中でござるよ」

ポニテ「何、オヤジ臭いこと言ってんのよ」

お嬢「根暗さんが入院されているのは医の街ですから……どのゲートでしたっけ?」

僕っ娘「このゲートだよ」

ポニテ「医の街なら、迷子になる心配は無いわね」

オタク「むむむ? どうしててござるか?」

僕っ娘「何たって僕が暮らしている街だからね」フンス

【病室】
メイド「根暗は社会から隔離されて生きてきた……」

根暗「……そう、だったのかも知れないね」

メイド「辛くなかったんすか?」

根暗「お爺ちゃんがいたから……それに……」

根暗「それが当たり前だったから」

メイド「……そうっすか」

根暗「……でも、また同じ生活に戻ったら辛いかも」

根暗「この学園に来て、皆で一緒に何かするって……とても楽しいことだと解ったんだ」

根暗「人と関わるって楽しいことだと解ったんだ……」

根暗「だから、その……今、あの頃の生活に戻ったら……辛いと思う」

メイド「その言葉が聞けて良かったっす」ニコ

根暗「へ?」

メイド「根暗、私達がこうして当たり前のように過ごしているのは特別なことなんっすよ」

メイド「何時壊されてもおかしくないこの日常を守るために……私達は何時か、戦わないといけなくなるっす」

メイド「だから、今のうちに覚悟を決めておくっすよ」

根暗「……それって、どういう意味?」

ガチャ

看護士「根暗さ~ん、診察の時間ですよ」つナイフ

メイド「早速、日常が壊されたっすね?」

根暗「ひっ!」ガクブル

【病内】
患者「一級危険魔術家を殺せ……」

医者「一級危険魔術家は危険d」バタン

召使い「はぁはぁ……どうなってるんだ」

執事「召使い君、大丈夫かい?」

召使い「執事さん! 来てらっしゃったんですね?」

執事「お嬢様に頼み込まれましてな」

召使い「かなり、広範囲に洗脳魔術を使われているみたいですね」

召使い「魔術に耐性を持たない人間は全員かかってしまっているようです」

執事「私は皆さんを気絶させながら、術者を探す。 召使い君は保護対象の二人と合流しておくれ」

召使い「はっ! かしこまりました!!」

執事「老体に鞭打って頑張るとするか……」フゥ

執事(しかし、これは洗脳魔術なのか? これはまるで……)

【病院前】
オタク「どういうことでござるか?」

警備員「ですから、病院の営業時間はもう終わっています。 お帰りください。」

お嬢「何を言ってらっしゃるの? まだ4時でございますわよ」

警備員「えぇ、もう 4時です。 病院が閉まるのは当たり前でしょ?」

ポニテ「はぁ? あんた、何を言ってるの?」

警備員「何だ、その口の聞き方は……全く、最近の学生は」シッシッ

秀才「僕っ娘、ここは何時も4時に閉まるのかい?」

僕っ娘「いや、そんなはずは無い……面会時間は20時までだ」

秀才(……目を見たところ洗脳魔術では無いな)フム

お嬢「オタク様……この魔術はもしや」コソコソ

オタク「いや、そんなわけは……」コソコソ

秀才(あの二人は何か知ってるのか?)

根暗「ひぃいいいい!!」ダダダ

メイド「入院患者の癖によく走れますね」

看護士「一級危険魔術家は殺す! 一級危険魔術家は殺す!」ブンブン

根暗「ナイフ振り回して追って来てる! 一級危険魔術家って何!?」

メイド「察するに私のことでしょうね?」

根暗「えぇ!?」

メイド「いや~、巻き込んで悪いっすね」

メイド(半分嘘だけど……)

根暗「……よし! じゃあ……僕が守るね」ブルブル

メイド「頼もしいっすね。 でも、触手は使っちゃ駄目っすよ?」

根暗「へ?」

メイド「相手は一般人っすからね、魔術を使っちゃ駄目っす」

根暗「エェェェ!!」

【病院・屋上】
隻腕「あぁ、腕がない……探しておくれ、私の腕を……」

眼帯「あんたの腕が無いのは生まれつきだろ?」ハァ

眼帯「 ……たく、変換魔術さへなけりゃ関わらなくて済むのによ」

「変換魔術……昔、土魔術家が管理していた一級危険魔術家であり」コツコツ

「人の常識を変換させる人格汚染魔術……でしたかな?」コツコツ

「変換魔術家は滅ばされたと聞きましたが……」コツコツ

執事「詳しくお話を聞かせてくれませんか? 土の眼帯さん」

眼帯「ジジィとお喋りする趣味は無いよ」ジャキン

執事(投影魔術で銃を作ったか……)杖カマエ

眼帯「知られたからには生きて帰すわけにはいかないね。 死にな!!」ダダダダダダ

カンカンカンカンカン

執事「知ってしまったからには……逃がすわけには行きませんな」フゥ

眼帯(ジジィの癖に……)クッ

看護士「一級危険魔術家は殺s」バタン

召使い「はぁはぁ、やっと合流できた」

メイド「やっほ~、メッシー遅かったじゃん」

根暗「召使いく~ん! 怖かったよ! 怖かったよ!!」ウルウル

召使い「しがみつくな鬱陶しい! 俺と戦った時のお前は何処にいったんだ!!」グイグイ

根暗「だって、触手は使っちゃ駄目って……」エグエグ

メイド(敵の狙いは根暗を殺すこと……)

メイド(失敗しても、根暗が一般人に手を出したらそれを口実に処分するつもりっすね)

召使い「執事さんが術者を探し出してくれている。 もうすぐ、皆、正気に戻るだろう」

根暗「う、うん!」

メイド「あいよ~」

【屋上】
眼帯「……くそ」バタン

隻腕「私の腕がn」ゴン!

執事「術者を気絶しただけで解ければ良いが……この歳で戦闘するものじゃないな」

執事「さて、私も合流しようか」

ザクッ

執事「……何処から、現れた?」

?「優秀な転移魔術の使い手がいてね」

?「包帯、二人を連れて先に帰っておいてくれ」

包帯「御意」シュルルル

執事「土の跡取り……自ら出向かれるとは……ぐふ」

?「変換魔術がまだ存在していることを、他の四大元素家に知られるわけには行かないんだ」

ザシュ

?「死人に口無し……と」ノビ

【病院内】
根暗「あだ、痛い……怪我してたの忘れてた」

オタク「根暗!」

根暗「オタク君!」

お嬢「メイド! 召使い! 無事ですの?」

召使い「お嬢様!」

メイド「ちょりっす、お嬢。 私は元気だぜい」

僕っ娘「しかし、病院で集団洗脳魔術事件何て……物騒だな」

ポニテ「犯人も捕まったみたいだし良かったね」

メイド(そういう方向で処理されるんっすね)

ポニテ「根暗、災難だったわね」

根暗「え、あの……そだね」

根暗(一級危険魔術家とかそういうのは言わない方が良いよね?)チラ

メイド(とか、考えてくれてるんだろうな)コクン

僕っ娘(むっ、メイドと根暗がアイコンタクトした!?)

お嬢「とりあえず、皆さんが無事で良かったですわ」ニコ

「屋上だ!」「担架持ってこい!」「もう手遅れだ……死んでる」

ザワザワザワザワ

執事「」

お嬢「……へ?」

召使い「執事さん!?」

メイド「…………」

―誰も死なないと思っていた

何れだけ大きな出来事が起こっても、皆で一緒に解決して当たり前のように次の日笑い合えると思っていた

僕は誰かが死ぬほどのことは起こらないと……信じていたんだ

お嬢「いやぁ!!」ポロポロ

『私達がこうして当たり前のように過ごしているのは特別なことなんっすよ』

―メイドの言葉が深くのし掛かる。 僕の日常は既に……壊されかけているのかも知れない

本日の話を投下しました~

【秀才宅】
秀才「……」

秀才(先日の病院での出来事は魔術社会から外れた魔術士が洗脳魔術で起こしたと報じられた)

秀才(しかし、警備員の目は洗脳魔術をかけられた虚ろな目ではなかったし……)

秀才(オタクとお嬢は何かを知っていたようだった……)フム

秀才母「早く朝御飯食べちゃいなさい。 今日は何時もより早く出るんでしょ?」

秀才「あ、あぁ……」

秀才母「そんな、上の空で大丈夫なの? 今日は運動会でしょ」

秀才「大丈夫さ、頑張ってくるよ」

【2-B】
オタク「根暗殿! 根暗殿! 本日は待ちに待った運動会でござるよ!!」

根暗「体育祭とかじゃなくて……運動会なんだね」

オタク「魔術を使っても良い競技もあるので体育とは言い難い……という理由らしでござる」

根暗「なるほど……というより、オタク、何でそんなに楽しみなの?」

オタク「デュフフフ! 迸る女子達の汗! その香り!! 揺れるおっぱい!! 溜まりませんな!!!!」

根暗「また、そんなこと言ったら……」

「また、エロ触手ブラザーズが何か言ってるぞ?」「オタク君になら嗅がれでも良いかも」「イケメンに限るってやつネ」

根暗(評価が変わってきてる! しかも、オタクだけ!?)

委員長「やぁ! やる気は十分なようだね?」

根暗「いや、僕は……その……」

委員長「借り物競争頑張っておくれよ?」

根暗「へ?……借り物競争?」

委員長「……もしかして、聞いてないか? 君が入院している間に参加競技を決めるクラス会があってな」

根暗「……借り物競争か……うん、まだ頑張れそう……かな」

委員長「よし! 皆、他のクラスに負けないぞ!!」

【校庭】
生徒会長「宣誓! 我々生徒一同は校則とスポーツマンシップに乗っ取り! 正々堂々と競い合うこと誓います!!」

生徒会長「生徒代表! 生徒会t……ゴホゲボ」トケツ

「生徒会長が吐血した!」「またか!」「相変わらず体弱いな!」

副会長「以上、選手宣誓でした。 競技を開始します」

「副会長、相変わらずクールだな」「冷たいな」「そこが良いでござる」

放送部長「生徒会の皆さん、開会式ありがとうございました!」

放送部長「ここからは当学園のアイドル! 放送部長がお送りします」

放送部長「最初の競技は大玉転がしです! 参加選手は校庭中央に集まってくださいね♪」

「頑張れ!」「やれ!大玉で轢き殺せ!!」「……いや、そういう授業じゃないぞ?」

根暗「僕の出番は……午後からか」

オタク「出番まで一緒に女子を観察するでござる」デュフフフ

根暗「オタクは何の競技に出るの?」

オタク「拙者は短距離争とリレーでござる」

根暗「走る競技ばっかりだね」

オタク「デュフフフ、拙者の足が火を吹くでござるよ」

根暗(本当に火を吹けそうだな……)

ポニテ「短距離争、100m競争、リレー! くぅ、燃えてきた!!」

僕っ娘「ポニテ……朝からテンション高いな」ハァ

ポニテ「そりゃ、運動会よ! 運動会!! これは燃えるしか無いでしょ!! 陸上部の奴等に全競技で勝ってやるんだから!!」フンス

僕っ娘「はぁ、君が元気で嬉しいよ」

秀才「僕っ娘は何の競技に出るんだい?」

僕っ娘「……障害物競争」

放送部長「次は障害物競争です! 選手の皆さんは集まってください!!」

僕っ娘「……はぁ、嫌だな」

オタク「おや? 僕っ娘殿! 出番ですかな?」

根暗「障害物競争に出るんだ?」

僕っ娘「あぁ……一人1つの競技に出ないといけないからね」ハァ

根暗「そうだね、僕も借り物競争に出るんだ」

僕っ娘「そうか……それは、応援しないとな」

根暗「別のクラスを応援して良いの?」

僕っ娘「それもそうか……」クス

根暗「じゃあ、お返しに僕も僕っ娘さんを応援するね……頑張れ!」

僕っ娘「あ、あぁ! 頑張ってくるよ!!」

審判「位置について、よーい……ドン!!」

僕っ娘「……!!」ダッ コケ

放送部長「おっと! 2-Cの僕っ娘さん、最初の障害物の前にこけてしまった! これは恥ずかしい! !」

クスクス

僕っ娘「……」///

ガンバレ

僕っ娘「……?」

根暗「頑張れ! 僕っ娘さん!」

クラスメイト「何、別のクラス応援してるんだよ!」

オタク「黙るでござる」デュクシデュクシ

クラスメイト「止めろ! 横腹をつつくなよ!」アッアン///

根暗「頑張れ! 僕っ娘!」

僕っ娘「あぁ……頑張るよ」ダッ

僕っ娘「はぁ……結局ビリだったよ」

ポニテ「ナイスファイト! 擦りむいたりしてない?」

僕っ娘「あぁ、大丈夫だ」

秀才「さて、次は俺の出番だね」

ポニテ「男子の短距離争か」

秀才「皆、応援してくれたまへ」

ポニテ(あっ、オタクも出るんだ)

審判「次の走者! 位置につけ!」

オタク「デュフフフ、拙者の一人勝ちでござるよ」

「それはどうかな?」

オタク「き、貴様は……秀才!!」

秀才「Exactry! 俺だ!!」・

オタク「くっ! 貴様も参加するのか!?」

秀才「あぁ、これで勝った方が土中生物釣り上げ隊の副隊長だ」キリ

オタク「その勝負……乗った!!」

2-A・2-D走者(仲良いな……こいつら)

オタク「我が副隊長なり!」ドヤ
秀才「」ズーン

2-A走者(あのオタク、何で2着なのに喜んでるんだ?)←1着

放送部長「次は女子の短距離争です」

オタク「ほら、平隊員! 戻るでござるよ」

秀才「」ズーン

ポニテ「やっ、オタク」

オタク「……ポニテ殿、出るでござるか?」

陸上部A「陸上部B、頑張ってね」

陸上部B「行ってくるね」

ポニテ「……オタク、勝ってくるね」

審判「次の走者! 位置につけ!」

陸上部B「……元陸上部のあんたが現役の私に勝てると思ってるの?」

ポニテ「……元陸上部? 嫌な肩書きね」

陸上部B「はぁ?」

ポニテ「私は……魔法薬研究会のポニテよ!」

「よーい!ドン!!」

「疲れたね」「お昼一緒に食べよ!」「3年はA組、2年はC組、1年はB組が1位か」

ポニテ「ふふふ、気分良いわ」

僕っ娘「ポニテ……すごく早かったね」

ポニテ「素材集めで野山を駆けずり回ってるからね! 衰えてないのよ!!」フフン

秀才「さて、ご飯にしよう! 根暗達を誘いに行くが君達もどうだい?」

僕っ娘「む? 根暗達とは理科室で一緒に食べる約束をしているぞ?」

ポニテ「三編みが迷惑をかけたお詫びに全員分のお弁当を作ってきたのよ」

秀才「……えっ、俺呼ばれてない」

僕っ娘「だって君は魔法薬研究会じゃないだろ?」

秀才「」ズーン

僕っ娘「冗談だ、秀才も行こう」

秀才「う、うん……」ズーン

ポニテ(本気で凹んでる……)

【理科室】
「うぉぉぉぉおおお!!」

秀才「これ、全部三編みさんが作ったのかい?」

オタク「すごいでござる! ご馳走でござる!!」

ポニテ「ふふふ、自慢の妹の手料理よ! 男子供、味わって食べなさい」フンス

僕っ娘(得意気だな……)

僕っ娘「……なぁ、根暗、さっきは……応援してくれて」

三編み「ね、根暗先輩には特にめ、迷惑をかけたので……こんなの作ってみました」

根暗「え……あの、その」

ポニテ「うちの妹の好意を無下になんてしないわよね?」ピキピキ

根暗「い、いただきます!」

三編み「しょ、触手丼です!」つ触手丼

オタク「おぉ、根暗殿の触手とそっくりでござる」

秀才「いや、見た目が気持ち悪過ぎd」

ポニテ「……」ピキピキ

秀才「ごめん、俺が悪かった。 肉体強化してアイアンクローするのは止めてくれ」

根暗「……」パク

根暗「うまぁ」ポワァ

オタク「……根暗殿の緩みきった顔初めて見たでござる」

僕っ娘(お礼を言うタイミングを逃してしまった)ズーン

『運動会、お父様もお母様も来られないの?』

『旦那様も奥様もお忙しいのです』

『私のことなんて……誰も応援してくれないのね』

『そんなことございません、代わりにこの執事めが全力で応援いたします』

『本当?』

『えぇ、ですのでそんな哀しい顔をしないで下さい。 お嬢様の魔術が陰ってしまいます』

『魔術? 哀しい顔をしていたら水魔術が弱ってしまうの?』

『いいえ、違います。 お嬢様の笑顔には人を元気にする魔術があるのです』

『運動会も音楽祭も文化祭もこの執事めが毎年欠かさず応援にかけます。 ですので』

執事『どうか笑顔を絶やさないでくだされ、御嬢様』ニコ

お嬢様「……嘘つき」

運動会前編終了です
後編に続きます(キリ)

―執事ならどんなお願いをしても良いと思ってた
『執事、あの男の子を拾いたいの』

『はっ、お嬢様。 召使いとして雇えるように手回ししましょう』

『執事、侵入者を排除して』

『かしこまりました。 5分ほどお時間を頂戴いたします』

『執事、地下に閉じ込められてる彼女を自由にしてあげて』

『ふむ、では監視するという名目でお嬢様の近くに置かれましては?』

『執事! あの暴漢達を倒して!』

『はっ! ただちに!!』



『執事……根暗さんの護衛をお願い』

『はい、命に代えましても』ニコ

【校庭】
放送部長「お昼休みが終わりまして、運動会もいよいよ大詰めです! 午後の部最初の競技は……」

放送部長「かり物競争だ!!」

「「「うぉぉぉぉおおお!!」」」

根暗「え、何この盛り上がり……」オロオロ

放送部長「今年も命知らずの馬鹿共がこの修羅場に名乗りを上げた!!」

根暗「命知らず? 修羅場?」タラタラタラ

放送部長「今年、馬鹿共に狩ってもらう獲物は此方! 」

アウルベア「ガルルルフウゥゥ!!」

根暗「」アングリ

放送部長「さぁ!最も速くこの化け物を狩れるのは誰だ!! 狩り物競争スタート!!」

「担架だ! 担架を持ってこい!」「1年生にはまだアウルベアは早かったな」「白目向いてるぞ?」

放送部長「おーっと、1-B組のボウズ君以外脱落だ!」

ボウズ「……」ペコ

放送部長「次は2年の選手入場だ!!」

放送部「荒事ならば、カツアゲで鍛えた雷撃魔術がものを言う! 全校生徒のお小遣い日を把握している男!!」

放送部「2-D! 不良!!」

不良「シャッア!!」

ヤンキー「やっちまえ!!」
DQN「へまするなよ!」

放送部長「堅物系委員長キャラは既に私が完成させた! 2-Aからは優等生の参戦だ」

優等生「……ふっ」

モブA「優等生! 負けんなよ!!」

放送部長「唯一の女性参加者! しかし、その実力は折り紙付! 現代に生きる暗殺者!! 2-C、無口!!」

無口「……」

秀才「志願したから出したが……心配だな」
ポニテ「すごい強いって噂だし大丈夫じゃない……多分」

放送部長「何故君が! 何故この戦場に!? 触手魔術に何が出来る? エロ触手ブラザーズの片割れ!! 2-B、根暗!!」

根暗「……借り物競争じゃないじゃん」ガクブル

オタク「デュフフフ、頑張るでござるよ」
委員長「……良いのか? 出して良かったのか、私」

放送部長「それでは、狩り物競争二年の部! 始め!!」

不良「俺の雷撃魔術で瞬殺してやるよ!」ビリビリ

アウルベアA「……」ポリポリ

アウルベアA「ガウル!」ブン

不良「あふん!」バタン

放送部長「おーっと、早くも一人脱落だ! このままでは他の生徒も……な、何だって!?」

アウルベアB「」プスプス

優等生「……ふん、下らん」

アウルベアC「」ザシュ
無口「……」

アウルベアD「」プラーン
根暗「こ、恐かった……」ニョロン

放送部長「 アウルベアを他の3人は瞬殺した!!」

審判「1位優等生、同率2位無口と根暗!」

根暗「も、戻ったよ」

「根暗!凄いじゃないか!!」「お前、闘えたんだな!!」「触手魔術……隙はあるが、強いな」

根暗「えっ、あの……その……ども」ペコ

オタク「デュフフフ、人気者でござるな。 根暗殿」

根暗「うぅ……あの、うぅ……」オロオロ

委員長(……この感情が萌えなのだろうか?)

「私達のD組がビリか……」「何か今日は調子出ないな」「最後のリレーでも負けたら最下位で終わりだな」

召使い「お嬢様! もうすぐ、出番でございます。 アンカー、頑張って下さいね」

お嬢「……えぇ」

召使い「お嬢様……」

メイド「お嬢、何時まで凹んでるつもりなんすか? 正直、うぜーっすよ?」

召使い「メイド!」

メイド「執事のじいさんのことでセンチメンタルになるのは理解出来るっすが……」

メイド「クラスの雰囲気悪くするの止めるっすよ」

お嬢「……うるさいわ」

お嬢「うるさいわよ! もう、私のことを心から応援してくれる人はいないの!」

召使い「そんなことは……私がおります」

お嬢「召使いからの応援なんていらない!!」

召使い「……」ダッ

メイド「……お嬢」

お嬢「何よ、メイド! 慰めなんて……ゴフッ」

メイド「うぜーってんだろ?」ドスドス

お嬢「メイド……腹パンは……止めて……」グヘ

おさげ「メイドさん、やり過ぎだよ……」

メイド「自分だけ辛いつもりっすか? 自分だけが執事のじいさんと思い出があると? ざけんなよ!?」グイ

メイド「私だって……召使いだって……辛いんだ。 それでも……それでも」

メイド「お嬢に笑ってほしいから、立ち直って欲しいから……平気な顔してんだよ!!」

『お嬢様の笑顔には人を元気にする魔術があるのです』

お嬢「………メイド、うぜーって教えてくれてありがとう」ニコッ

メイド「おう、ズットモだかんな」ニカ

「やっと、我らがお嬢様が笑ってくれたか」「ムードメイカー帰ってくるのが遅いんだよ」「最下位脱却だ!」

放送部長「さて、いよいよ運動会も大詰めです! 残すは男子リレーと女子リレーだけとなりました!!」

放送部長「さて、最後の競技の前に無事保健室から帰還した生徒会長から一言いただきましょう」

生徒会長「皆! 最後まで悔いの残らぬように精一杯……ゴホ」トケツ

放送部長「はい、お約束ありがとうございます! では、男子リレーに参加する選手は校庭の中央に集まってくださいね♪」

生徒会長「そ、その前に保健室に連れていってくれ……」

放送部長「どんだけ、体弱いんですか?」

副会長「会長を回収しに来ました」

放送部長「お疲れ様です!!」

オタク「デュフフフ、それではリレー行ってくるでござるよ」

根暗「男子リレーが先なんだね……、頑張って」

オタク「任せるでござるよ、拙者がクラスに勝利を導いてみせるでござる」

「果たして、出来るかな?」

オタク「き、貴様は……秀才!!」

秀才「Exactry! 俺だ!!」

オタク「……いや、何で来たでござる? 秀才はリレー出ないんでござろう?」

秀才「……別に寂しかったから、根暗と話に来た訳じゃ無いからな」

オタク「クラスに友達いないんでござるか?」

秀才「」ズーン

オタク「いや、本当に悪かった」

委員長「ははは、君達は面白いな。 根暗君に愉快な友達が出来て良かったよ」

オタク「エロ触手ブラザーズの名付け親としてでござるか?」

秀才「彼女が名付け親だったのか」ホゥ

委員長「その事はもういいだろ? なぁ、根暗君」

根暗「いくざくとりぃ、僕だ……何か違うな……いくざくとりぃ、僕だ!」

オタク「あ、根暗殿もこのノリに参、加したかったんでござるな」

委員長(何か可愛いな)キュンキュン

放送部長「それでは!男子リレーを開始します!」

審判「位置について! よーい、ドン!!」

「頑張れ!」「負けんな!!」「抜け抜け!!」

秀才「おっ!オタクの番だ!!」

委員長「頑張れ! オタク君!!」

根暗「頑張れ!……ん?」

秀才「どうした? 根暗」

根暗「ごめん……ちょっと行ってくる」

【校舎裏】
メイド(……お嬢につい腹パンしてしまったっす)ハァ

根暗「……メイド、さん」

メイド「おっと、これは根暗。 どうしたっすか?」

根暗「校舎裏に行くのが見えたから……何かあったのかと思って」

メイド「心配してくれたんっすね? 何でも無いっすよ」

根暗「そ、そうなんだ……えっと、それで……」

メイド「何か用っすか?」

根暗「…………ねぇ、この前の病院でのことだけど」

「本当に狙われてたのはメイドさんなの?」

オタク「デュフフフ! 我が組が1位でござる!!」

秀才「オタクは抜かれてたけどな」

オタク「か、勝てば良かろうなのだ!!」

オタク「むむむ、ところで根暗殿は?」

秀才「いや、何処かに行ったきり……あ、戻ってきた」

根暗「……」

オタク「酷いでござるよ……拙者の勇姿を見てくださら無いなんて」

根暗「……ごめん」

オタク「どうしたでござる、根暗殿?」

根暗「……何でも無いよ、オタク君」

秀才(ん? 君呼びに戻っている……)

メイド「ただいま戻ったっす」

お嬢「おかえりなさい、メイド。 何処に行ってたんですの?」

メイド「便所っす! 大の方っす!」

お嬢「……メイド、下品よ」

メイド「お嬢、下品って教えてくれてありがとうっす」

お嬢「ふふふ、それでは行って参りますわ」

お嬢「私がこのクラスを勝たせてみせますわ」オーホッホッホッ

お嬢(召使い……帰ってこないのね)

放送部長「本当に最後の種目になりました! 女子リレーです! 生徒会長も言われましたが……悔いの残らぬように精一杯走りましょう!!」

審判「位置について! よーい、ドン!!」

「頑張れ! 頑張れ!」「抜け抜け!!」「おっぱいが揺れてるでござるよ!」「黙れ!!」

放送部長「2年生女子リレー、先頭は現在総合得点最下位のD組、ここに来てスイッチが入ったか?」

放送部長「その後を追うは男子リレーで1位を獲得したB組! C組、A組と続きます」

お嬢(……頑張るのですわ、私)

お嬢(クラスの皆さんが応援してくださっているのだもの)

お嬢(皆さんが応援……してくださっているもの)
―そこに執事はもういない

お嬢(……)
―私が根暗さんの護衛を命じたばかりに……

お嬢(………)
―執事は死んだ

女子生徒「お嬢さん! お嬢さん! バトン受け取ってよ!!」

お嬢「えっ、あの……はい」

放送部長「おぉーっと、1位だったD組! バトンの受け渡しでトラブルか? 一気にビリまで落ちてしまった」

「お嬢! 何やってんだよ!」「しっかり走れよ!」「ぼけーっとしてんじゃねぇ!!」

お嬢(もう……応援してくださらないのね)

お嬢(クラスの皆さんも……もう……)グス

お嬢(あんなに距離が開いて仕舞いましたわ……もう諦め……)

「お嬢様! 頑張れ!!」

召使い「お嬢様! 頑張れ!!」パタパタ

お嬢(召使い……私、酷いこと言ったのに……)

放送部長「おっと、私にも負けないぐらい大きな声! 何だ?あの旗は!?」

召使い「お嬢様! 頑張れ!!」パタパタ

旗≪頑張れ! 我らがお嬢様!!≫

お嬢(……あの、旗は)

『執事! 旗まで作って応援されたら恥ずかしいですわ!!』

『しかし、本気で応援すると言いましたし……』

『加減というものが……いえ、ありがとう』

『ふふふ、どういたしまして』

お嬢(執事の……旗だ……)

『ねぇ、執事……ずっと私の近くにいてくださる?』

『私の方が随分と歳が上ですからな……ずっと一緒は無理ですな』

『そう……』

『しかし、悲しむことはありませんぞ? ……私がいなくなってもお嬢様は一人ではありませんからな』

メイド「お嬢! 頑張れ!! 諦めんな!!」

『水魔術家の使用人たちは皆、お嬢様を敬愛しております』

召使い「フレー! フレー! お・嬢・様!!」パタパタ

『お嬢様が目をつぶらない限り、お嬢様が耳を塞がない限り一人になることはございません』

『ですが、欲を言いますと。 私としては使用人だけでなく、支え合える友を作って欲しく思います』

僕っ娘「……ばれ」

僕っ娘「ポニテもお嬢も頑張れ!!」

『お嬢様の笑顔で皆を元気に出来るよう、皆の笑顔でお嬢様が元気になれるよう』

根暗「お嬢さん、 頑張れ」

おさげ「お嬢さん、負けないで!」

オタク「お嬢! 最後まで走れ!!」

『そんな友人に……恵まれて欲しいですな』

メイド・召使い「「頑張れ!!」」

お嬢(―執事……ありがとう)

―さようなら

お嬢「皆さん、すみません。 結局ビリになってしまいましたわ……」

おさげ「お疲れ様、頑張ったね」

メイド「ナイスラン!」グッ

召使い「走る姿の美しさだけならばお嬢様が1位でした」

お嬢「オーホッホッホッ、美しさなら一番? 当たり前ですわ」

お嬢「……召使い、ありがとう」ボソッ

召使い「はい? 何か言われました?」

お嬢「何でも無いですわ」フフ

放送部長「これにて運動会を終わります……皆様、お疲れ様でした!」

運動会の話はお仕舞いです!

【運動会当日・校舎裏】
根暗「…………ねぇ、この前の病院でのことだけど」・

「本当に狙われてたのはメイドさんなの?」

メイド「……」

根暗「……」

メイド「……本当のことが知りたいんっすか?」

根暗「うん……何も知らないうちに、誰がを失うのは嫌だから」

メイド「……同族のよしみっす。 教えてあげるっすよ……私達、一級危険魔術家のことを」

【2-B】
オタク「根暗殿、聞いてるでござるか?」

根暗「へ……あっ、はい」

オタク「もう、聞いてなかったでござるな?」

根暗「ご、ごめん……考えことしてて……何だっけ」

オタク「だから、夏休みの予定でござるよ!」

根暗「な、夏休みか……僕は特に予定が無いな」

オタク「ならば、遊びまくるでござる! 魔法薬研究会で合宿とか、少し遠出して珍しい土中生物釣り上げたりするでござる!!」

根暗「……うん」

委員長「楽しそうな話をしているね」

オタク「おっ! 委員長殿も一緒に遊びに行くでござるか?」

委員長「ははは、考えとくよ。 君達、夏休みの前に期末テストがあるのを忘れたらいけないよ?」

オタク「」

根暗「オタク君?」

オタク「思い出したく無かったでござる、思い出したく無かったでござる」ブツブツ

【運動会当日・校舎裏】
根暗「つまり、僕達の一族は魔術社会を脅かす……可能性があるってこと?」

メイド「そうっす、それが一級危険魔術家っすよ」

根暗「それで、それを管理……監視するのが四大元素家の役割ってことか」

メイド「四大元素家の役割の1つってだけっすよ」

根暗「……つまり、オタクが僕に近付いたのは……監視するためだったということ?」

メイド「……」

根暗「……教えてくれて、ありがとう」

【理科室】
僕っ娘「ということで、夏休みを補習で潰さないように皆でテスト勉強をしよう!」

ポニテ「嫌でござる! 嫌でござるよ!」ブルブル

僕っ娘「ポニテ、現実逃避しない」

オタク「デュフフフ、二次元の扉を探してくるでござる」

根暗「オタク君、戻ってきて」

「全く、君達はしょうがないな」

根暗「き、貴様は……秀才!」

秀才「Exactry! 俺だ!!」

秀才「君達に俺が勉強を教えてやろう!!」ドヤ

ポニテ「おぉ、秀才様!!」アリガタヤー

オタク「後光がさして見えるでござる」アリガタヤー

僕っ娘「……僕も成績良いからな? 座学は」

根暗(あの、ノリ出来た)ルンルン

秀才「俺がオタクとポニテに勉強を教えよう。 僕っ娘と根暗は二人で勉強してくれ」

根暗「へ? 僕っ娘さんと二人で?」

秀才(これで良いんだな、 僕っ娘?)チラ

僕っ娘(うむ、上出来だ秀才!)グッ

僕っ娘『秀才、僕と根暗が二人でテスト勉強出来るように計らってくれたら、好きな薬を調合してやろう』

秀才『ほう、良いだろう』

ポニテ『何、買収されてるの? まぁ、私も協力するけどさ』

【図書室】
オタク「なるほど、そういうことだったのでござるか」

ポニテ「夏休みまでに進展させたいって焦ってる見たい」

ポニテ(まぁ、私も焦ってるけどね)チラッ

オタク「根暗殿はそういうの疎そうでござるもんな」デュフフフ

ポニテ(あんたが言うな!!)

お嬢「あら! そこにいらっしゃるは若さm……オタク様ではありませんか?」

オタク「おっ、お嬢もテスト勉強でござるか?」

お嬢「私と言うか……彼ですわね」

召使い「」ドヨーン

ポニテ(召使い君、賢そうなのに……)

お嬢「私は学年5位圏内の天才ですからね」オーホッホッホッ

メイド「お嬢、自分で天才とか言ってるとバカみたいっすよ」

お嬢「メイド、バカみたいって教えてくれてありがとう」

メイド「気にすんなよ、ダチ公」

【理科室】
僕っ娘「それでな、ここの公式に……」

根暗(すごい、太もも撫でられてる……)アセアセ

根暗「あっ、なるほど……解けた」

僕っ娘「…………なぁ、根暗」

僕っ娘「何かあったのかい?」

根暗「……」

僕っ娘「運動会から様子がおかしくないか?」

根暗「ど、何処がおかしいのかな?」オロオロ

僕っ娘「オタク君と何かあったのかい?」

根暗「!?」ドキーン

【図書室】
召使い「」ドヨーン
オタク「」ドヨーン
ポニテ「」ドヨーン

秀才「ふう、これで赤点は免れるだろう」

お嬢「秀才さんは本当に賢いですわ。 私でも難しいところをあんなにも解りやすく教えるなんて」

秀才「俺も最初は解らなかったからな。」

秀才「 問題を解説するというより、自分が理解できた過程を伝えるって感じだ」

お嬢「なるほど、為になりますわ」

秀才「四大元素家のお嬢様にそこまで褒められると照れるな」

お嬢(秀才さんは若様の正体を知らないんですわね)

【理科室】
根暗「……ねぇ、僕っ娘さん」

根暗「楽しい毎日が……嘘の上で成り立ってたとしたら……僕はどうしたら良いんだろうね」

根暗「幸せなのに……それが全部嘘で塗り固められた日常で……誰かの掌で過ごしてるに……過ぎなくて」

僕っ娘「……」

根暗「僕が親友だと思ってた人が……僕のことを」ピト

僕っ娘「それ以上は言わない方が良い」

根暗「……」ツー

僕っ娘「それに嘘をついたのは君も一緒だろ?」

「だって君は、本当は……全部嘘だなんて思ってないのだから」

『同じクラスに触手使いがいるとは……これは捗りますぞ~!!』

『 放課後、僕っ娘殿に材料を渡して、次の材料を根暗殿と取りに行くのが……楽しいんでござる!』

『エロ触手ブラザーズではかっこつきませんな』・

『え? 一緒に食べる? 次の釣り? 呼捨て……ね、根暗殿の浮気者!!』

『……デュフフフ、楽しんでるでござるな? 根暗殿』

『デュフフフ、野暮なことはしないでござるよ』

根暗「そうか……僕は信じれなかったのか」ツー

「オタクの行動が全て嘘だと……信じれないのか」

ガタッ

根暗「オタクのところに言ってくる」ダッ

僕っ娘「……はぁ、夏休みまでに進展させたかったんだけどな」ハァ

ガチャ

根暗「はぁはぁ」

僕っ娘「何だ? もう戻ってきたのか?」

根暗「何と言うか……僕っ娘さんと話して……その整理が出来て……」

根暗「ありがとう。 僕は……君のこと、好きだ」

僕っ娘「なっ!?」///

根暗「じ、じゃあ、 行ってくるね!」ダッ

僕っ娘「……全く、友達としてと付け加えてくれないと」ヤレヤレ

僕っ娘「期待してしまうじゃないか」フゥ

【図書室】
秀才「さてと、じゃあ今日ここまでで解散しよう」

ポニテ「うがあぁぁ!! 頭パンパンだ!! 私、走ってくる!!」ドドドド

召使い「俺もご一緒させてもらう!!」ドドドド

お嬢「図書室で走ってはいけませんわ」

メイド「召使いはバカっすね……うん、ポニテもバカっすけど」フゥ

秀才「メイドさんは勉強しなくて良かったのかい?」

メイド「うす、私は何時でも平均点ピッタリを狙う女っすから」

秀才「いや、ちゃんと勉強しなよ」

オタク「疲れたので帰るでござる……おや?」

秀才「どうした?」

オタク「忘れ物したから教室に取りに行ってくるでござる」

【2-B】
オタク「あった、あった」

同人誌≪触手攻め女騎士ちゃん≫

オタク(……最初は根暗を孤立させる為に買ったんだがな)ペラペラ

オタク「ははは、本当に好きになるとはな」

「最初は好きじゃ無かったんだ」

オタク「き、貴様は……根暗」

根暗「Exactry! 僕だ!!」

オタク「……どうしたでござるか?」

根暗「オタクに聞きたいことがたくさんあってさ」

オタク「そうでござるか……俺も、根暗にばらさないといけない嘘が……」

根暗「でも、やっぱり良いや」

オタク「へ?」キョトン

根暗「同人誌……今は好きなんでしょ?」

オタク「……あぁ」

根暗「最初は嘘でも……本当になることもあるって解ったから……もう良いんだ」ニコ

オタク「……そうか」

根暗「一緒に帰ろう、オタク」

【理科室】
オタク・ポニテ「テスト終わった!!」

オタク「終わったでござるよ! これでやっと夏休みでござるよ!!」

ポニテ「秀才のお陰で赤点も回避だからね! ありがとう!!」

秀才「フッ、どうってこと無いさ」

僕っ娘「何で、魔法薬研究会じゃない君が当たり前のようにいるんだい?」

秀才「僕っ娘は何で俺に当たりが厳しいんだ?」

秀才「大体、彼らだっているじゃないか!?」

お嬢「オーホッホッホッ、私は僕っ娘の友人だから良いんですわ」

僕っ娘「夏休みの魔法薬研究会での活動を支援してもらうことになったんだ」

根暗「し、支援?」

僕っ娘「僕達、魔法薬研究会は夏季合宿を行う! 場所は水魔術家所有の離れ小島! 水魔島だ!!」


オタク・ポニテ・根暗「な、な、何だってーーーー!!」

秀才「……俺もついていって良いかな? 良いよな?」

メイド「まぁ、どうせなら大勢で行くっすよ」

召使い「水魔島にはお嬢様の別荘があり、大人数でも夏休みの期間中ぐらいなら生活が出来る」

オタク「お嬢、どういうつもりだ?」コショコショ

お嬢「こうした方が夏休み中も根暗さんとメイドを守りやすいかと思いまして」コショコショ

オタク「デュフフフ! 拙者は賛成でござる! 初日から最終日まででもいるでござるよ!!」

お嬢(若様と夏休みを過ごせる)ルンルン

僕っ娘「では、夏休み初日から最終日まで楽しく凄そう!!」

僕っ娘(根暗と夏の思い出を作ってやる!)グッ

ポニテ(オタクと夏休み過ごせるのか)ドキドキ

秀才(本当に連れていってくれるよな?)ドキドキ

オタク(水魔島か……土魔術家も手を出し辛そうだな)フム

メイド(面白そうなことが起きそうっすね)

根暗(……あっ、何かすごい楽しみになってきた)

(……俺はこのままで良いのだろうか?)

お嬢「召使い! 色々と準備お願いね」

召使い「はっ! 畏まりました!」

召使い(俺は……執事さんの分まで、お嬢様を守っていけるのだろうか?)

ということで、根暗達の2年生1学期終了です
次回から何話かにかけて夏休みです

そんなにタイトル詐欺なのだろうか?
皆さん、どんな話だと思ったのだろうか(笑)

【水魔島・海岸】
根暗「な、夏だ!」

秀才「海だ!」

オタク「水着だ!!」

秀才・オタク「ひゃっほーい!!」

根暗「うぅ、二人ともテンション高いな……」

ポニテ・メイド「ひゃっほーい!!」

僕っ娘「こっちもテンション高いな」

三編み「私も来ても良かったのでしょうか?」

お嬢「三編みさんでしたっけ? ポニテさんの妹ならば、大歓迎ですわ」

僕っ娘「ふむ、良いところだな。 これなら薬の材料がたくさん取れそうだ」

召使い「お嬢様、バーベキューの準備をしてきます」

お嬢「あら、召使いも遊んで良いのよ?」

召使い「いえ……私は……」

根暗「ぼ、僕も手伝う!」フンス

お嬢「根暗さん!?」

召使い「ん? いや、結構だ……客人にやらせるわけにはいかない」

根暗「召使い君、ずるいよ……僕知ってるんだ」

根暗「バーベキューは準備が一番楽しいって!」ドヤ

召使い「はぁ?」

根暗「いや、やったことは無いけど、お爺ちゃんが言ってて……その、やる機会があればやってみたいって」

お嬢「あらあら、客人にここまで言われてしまったら断れませんわね」

召使い「……解った、根暗も手伝ってくれ」

根暗「う、うん」

ポニテ「ビーチバレーしよう!」

メイド「良いっすね、ボール取ってくるっす」

秀才「おいおい、君達……俺とオタクのタッグに勝てると思ってるのか?」

オタク「そうでござる! 二人合わせて根暗親衛隊でござるよ!!」

メイド「オタク様ってやっぱりホモなんっすか?」

ポニテ・お嬢「なっ!?」ガーン

オタク「し、親衛隊と言ってもそういうのではなく……な、秀才」

秀才「……あぁ、オタク。 俺は友達止めない安心しろ」ドンビキ

オタク「秀才!!」

僕っ娘「オタク……僕の目の前で根暗親衛隊を名乗るとは良い度胸だ」ギロリ

オタク「い、今までにない気迫を感じるでござる!!」ダッ

僕っ娘「逃げたぞ! 追え!!」

ポニテ「女の良さを教えてやる!」
お嬢「ホモを治して差し上げますわ!」

オタク「そもそも、ホモじゃないでござる!!」

根暗「~♪」カチャカチャ

召使い「……そんなに楽しいか?」

根暗「う、うん……こういうの初めてだから」

召使い「初バーベキューか」

根暗「そ、それだけじゃ無くて」

根暗「海を見るのも……島に来るのも……皆で夏休みを過ごすのも……全部が初めてで……その……」

召使い(こいつは社会から隔離されていたんだったな)

根暗「……召使い君は楽しくないの?」

召使い「……どうして、そう思う」

根暗「何と言うか……思い詰めた顔してるから」

召使い「……お前には関係ない話だ」

根暗「そ、そうだよね」

召使い「昼に間に合わなくなる……手を動かせ」テキパキ

根暗「うん……」カチャカチャ チラッ

召使い「……」テキパキ

根暗「……」カチャカチャ チラッチラッ

召使い「……」テキパキ

根暗「……」チラッ カチャカチャ チラッチラッ

召使い「何故そうも気にする! 俺が困っていてもお前には関係無いだろ!?」

根暗「ひっ、あの、その……病院で助けて貰ったから……お礼を……」

召使い「……なるほど、そういう奴なんだな」ハァ

根暗「ごめんね、聞いたところで解決案も何も出せない癖に……鬱陶しくて……その」

召使い「……不安なんだ」

根暗「へ?」

召使い「俺が執事さんのようにお嬢様を守っていけるのか……不安なんだ」

メイド「お疲れ様っす」

お嬢「流石に捕まえれなかったですわ」

メイド「ポニテとオタク様はまだ追いかけっこしてるっすね」

メイド「……それより、どうして召使いのこと根暗に任したんっすか?」

お嬢「私じゃ、何で悩んでるか聞き出せないから」

お嬢「私は主で、貴女は同僚……他の皆様とはあまり面識がありませんわ」

メイド「オタク様には対抗心燃やしてるっすしね」

メイド「消去法で言ったら根暗が妥当ということっすね」

お嬢「完全な消去法ってわけでも無いのですわ」

【2-B教室前】
お嬢(若様を誘って下校デートしますわ♪)

お嬢(……ん?中から声が)

「でも、やっぱり良いや」・

「同人誌……今は好きなんでしょ?」・

「最初は嘘でも……本当になることもあるって解ったから……もう良いんだ」ニコ・

お嬢(……今日は一人で帰りますわ)クス

【水魔島・海岸】
お嬢「根暗さんは人の在り方を否定されない方だから……」クス

根暗「無理だと思うよ」キッパリ

召使い「なっ、何だと!?」

根暗「ひっ、だって……だって……」

召使い「……俺にはお嬢様を守れないってことか」

根暗「いや、そうじゃない」

根暗「執事さんのようには守れないって……ことで……」

召使い「どういうことだ?」

根暗「守るってことは、その相手のことを大事に思うってことで、どう大事に思ってるかで……変わると思うんだ」

根暗「た、例えば、僕はオタクのことも僕っ娘さんのことも大事に思ってるけど……同じ対応はしないし」オドオド

召使い「……どう大事に思うかで変わるか」フム

根暗「……召使い君はどうしてお嬢さんを守りたいの?」

【路地裏】
ポツポツポツポツ
「何だ、あの小汚い小僧は?」

「知らないの? 最近取り潰された魔術一家の一人息子よ」

「あぁ、魔術で一般人を殺した殺人鬼一家か……おっかないな」

「あんな子供でも魔術が使えるんだ。 関わらないにこしたことは無いよ」

―殺人鬼の子は殺人鬼さ

ザーザーザーザー

男の子(寒いな……このまま死ぬのか? 殺人鬼にはお似合いの最後か……)

お嬢「……」つ傘

男の子「……」

お嬢「風邪引きますわよ? 私のお屋敷にいらっしゃい」

男の子「殺人鬼なんて拾ってどうするんd……って止めろ!額を触るな!!」

お嬢「角が無いですわ? 何処が鬼なのかしら」ペタペタ

男の子「止めろ! 同情で助けられても迷惑だ! どうせ何時か俺を人殺しの息子だって追い出すんだろ!!」

お嬢「そうかも知れませんわね」

男の子「なっ!?」

お嬢「自分を殺人鬼と諦めているなら私は何時か追い出しますわ」

「だから、代わりなさい」

お嬢「追い出されないような男に! 私に必要とされるほどの男に!」

お嬢「この水魔術家のお嬢には過ぎ足るものと言われるほどの男になって魅せなさい!!」

お嬢「自分が何者か何て、周りに決められたく無いのでしょ?」ニコ

召使い「……俺はお嬢様に認めれたくて」

根暗「あの……召使い君? 大丈夫、かな?」

召使い「あぁ、大丈夫だ。 そっち持て、一緒に運ぶぞ」

根暗「う、うん♪」

召使い「……ありがとな」ボソッ

根暗「……ん?えっ、何?」

召使い「何でもない」

根暗「……どういたしまして」

召使い「なっ!?」

根暗「へ、へへへ」

召使い「お前……ははは」

オタク「いやー、美味しかったぜござるよ」

僕っ娘「お嬢……本当にお金は良いのか?」

お嬢「勿論ですわ」

僕っ娘「流石に申し訳ないんだが……」

お嬢「で、でしたら、次の私の誕生会に友人代表枠で来てほしいですわ」ドキドキ

僕っ娘「あ、あぁ、それぐらいならお安いご用だ」

根暗「オタク……ちょっと……」ツンツン

オタク「どうしたでござる?」

根暗「あそこの岩影まで一緒に来てくれないかな?」

オタク「……ほ、ホモには興味ないでござるよ」ビクビク

根暗「ほも?」

オタク「何の用でござるか?」

召使い「……」ドゲザ

オタク「いや、本当に何だよこれ!?」

召使い「若様! どうか、私に肉体強化魔術を教えてください!!」

オタク「召使い……急にどうしたんだよ?」

召使い「……お嬢様を守りきれる男になりたいんです! 執事さんの代わりとしてではなく……俺だから必要とされる男になりたいんです!!」

根暗「色々、話してたら……そのやっぱり接近戦を強化していくのが良いってことになって……」

オタク「で、召使いは肉体強化魔術をどれぐらい使えるんだ」

召使い「全く使えません!」

オタク・根暗「はぁ!?」

オタク(おいおい、肉体強化魔術使えないのに病院で戦いきったのか? 一般人相手だから怪我させる可能性がある水サーベルは使えないだろ?)

根暗(僕の触手を肉体強化魔術を使わずに斬ってたの?)

召使い「お恥ずかしい限りです」

オタク・根暗(こいつ、化け物か!?)

「話は聞かせてもらった!!」

オタク・根暗「き、貴様は……ポニテ」

ポニテ「そうよ! 私よ!!」

ポニテ「私も召使い君の特訓に協力させて貰うわ」

召使い「……お、おう、どうも」

秀才「…………スタンバってたのに」ズーン

オタク(Exactryが浮かばず、そうよで乗り切るとは……ポニテは男前だな)

【次の日・早朝】
ポニテ「ほら! ほら! ペースを落とさない!! 一定の強化具合と速度を意識する!!」

召使い「お、おう!」

ポニテ「返事はハイだ! 私のことは教官と呼べ!!」

召使い「ハイ! 教官!!」

根暗「な、何で……僕まで……」

オタク「肉体強化魔術は使えて損は無いでござるよ」

秀才「土中生物釣り上げ隊の活動でも役に立つかも知れないしな」


三編み「ほら! 皆さん! 喋ってないでしっかり走ってください!!」

オタク・根暗・秀才「はい! 副教官!!」

僕っ娘「何をやっているんだ、彼らは?」パタパタ

メイド「熱血ポニテ教官と男ばかりの秘密の特訓……っすね」

お嬢「皆さん、頑張って! 若様! 特に若様!!」

メイド「お嬢、堂々と若様と呼んだら怒られるっすよ?」


召使い「……はぁはぁ」

根暗「召使い君、大丈夫?」

―今は必要とされてなくても、若様や執事さんのようになれなくても

俺は俺としてお嬢様に認められる男になる……だから

召使い「今はこれで良い!!」

ポニテ「ほら、二人とも喋る元気があるなら走れ!!」

召使い・根暗「ハイ! 教官!!」

夏休みで後2,3話ぐらい書こうと思います

秀才は登場した時は名のあるモブぐらいのつもりだったんですけどね(笑)
レギュラーになったことに作者が一番驚いてます

【水魔島】
三編み(……あの島には何があるんだろう)カキカキ

お嬢「……あら、三編みさん。 絵を描かれるのね」

三編み「はい、美術部に所属してまして……コンクールに出品する作品をと……」

お嬢「ここからの景色は綺麗ですものね」

三編み「はい……とても」

お嬢「お邪魔して悪かったですわ」

三編み「邪魔なんて……他の皆さんは?」

お嬢「メイドは別荘の掃除、僕っ娘とポニテさんは薬の材料を探しにいかれました。」

お嬢「退屈ですわ。 三編みさん、描き終わったら一緒にお茶でもしませんこと?」

三編み「良いですよ。……あれ?男性陣は?」

お嬢「………………馬鹿をやりにいかれました」ハァ

【水魔島・内陸部】
根暗「番号! 1!!」

オタク「2!!」

秀才「3!!」

召使い「4!!」

根暗「これより、土中生物釣り上げ隊の活動を開始する!」

オタク(根暗があんなにもハキハキと)

根暗「今回の標的はツチノコだ!!」

オタク「ツチノコ……でござるか?」

召使い「あぁ、この島には多く分布しているんだ」

召使い(と、話した途端根暗が豹変したのには驚いたな)

秀才「ツチノコ……何時もの標的よりはかなり小さいな?」

根暗「故に今回は協力はしない! 各自、自分の持てる力の全てを使ってツチノコを釣り上げてくれ!!」

オタク「なるほど、つまりはツチノコ釣り対決ってことでござるな?」デュフフフ

秀才「俺が君達に負けるとは思えないが……」フッ

召使い「この島を知り尽くしている俺に挑むとは……ハンデは入らんのか?」

根暗「一番、大物を釣り上げた人は負けた人達に命令する権利を与えます!」

「「「勝つのは俺だ!!」」」

【水魔島・別荘内】
お嬢「ねぇ、馬鹿でしょ?」

三編み「えぇ、馬鹿みたいですが……皆さん、楽しそうで」クス

お嬢「あら、今の笑顔……誰を思って浮かべたのかしら?」

三編み「……へ?」

お嬢「恋する乙女の笑みに見えましたので」クス

三編み「こい?……ここここ、恋なんて! 別に根暗先輩のことなんて何とも思っていません!! 」

お嬢「あらあら、ベタな返しですわ」

三編み「あぅ……」

お嬢「確かに根暗さんは魅力的ですものね」

三編み「……弱いのに、とても強い方だと思います」

メイド「根暗が弱いね~……お嬢様、お茶をお持ちいたしました」

三編み「メ、メイド先輩……聞かれてたんですか?」

メイド「盗み聞きは使用人の仕事なんっすよ?」

メイド(……使用人じゃないのに盗み聞きしてる人もいるっすけどね)

ポニテ(薬の材料を一旦別荘に置きに来たら……聞いてしまった)コソコソ

ポニテ(妹と親友……どっちを応援したら良いんだよ!!)ウガー

【水魔島・内陸部】
秀才「……こんなものか?」

秀才(ツチノコはアルコールを好む習性がある。 流石に別荘にある高そうなワインを餌にすることは出来ないが……)

秀才「活性化魔術!」

果実「ドロドロ」

秀才(果実の糖に集まった酵母菌を活性化してアルコールを作らせれば誘き出せるだろう)

オタク「デュフフフ、イカ臭いでござる」ボオォ

オタク(ツチノコはスルメを焼く臭いが好きと聞いたことがある。 こうして、イカを焼いてればそのうち寄ってくるだろう)

召使い(と、言った感じに文献によるツチノコの知識を元に作戦を立てるだろう)

召使い(しかし、俺は知っている……ツチノコは実は……泳ぐのが好きなんだ)ドヤ

召使い(この時期なら、土の中より湖に浮いている可能性の方が高い)

ツチノコ「ツチー♪」プカーン

召使い「これは俺の一人勝ちだな」ニヤリ

根暗「……む、かかったか?」

触手「ニュルニュルニュルニュル」

スポンッ

ツチノコ「ツチー!」

根暗「ふふふ、大漁♪ 大漁♪」

ツチノコs「ツチー!」「ツチー……」「ツッチ!」

根暗「……一番大きいのだけ連れて帰って、後は逃がそうか」

僕っ娘「……何だあれは? 大量のツチノコが逆さ吊りにされている」

根暗「ん?……あっ、僕っ娘さん」ニコニコ

僕っ娘「やっぱり君か……こんなに大量に捕獲して」ヤレヤレ

根暗「後でちゃんと逃がすよ」

僕っ娘「ならば一匹僕にくれ……ツチノコの体液は魔法薬に使える」チョコン

根暗「い、良いよ」

根暗(……何で隣に座ったんだろ?)

僕っ娘(僕は何で隣に座っているんだろう?)ペタペタ

根暗(何で触れてくるんだろう)

僕っ娘(何で僕は彼に触れていたいんだろう……)

僕っ娘(僕は彼が好きなんだろう……でも、恐いんだ)

『惚れ薬の効果がきれてしまったのよ』

僕っ娘(この気持ちも……惚れ薬の効果のように何時か消えてしまうのでは無いかってね)ジッ

根暗「……どうしたの?」

僕っ娘(この気持ちは今だけのものかも知れない……なら、付き合ったって意味は無い……告白したって価値は無い)ジリッ

根暗「……僕っ娘さん、顔が近いよ?」

チュッ

(それなのに、僕はどうしてこんなことをしてしまったのだろうか?)

オタク「さて、今回のツチノコ釣り対決! 勝者は…………秀才!!」

秀才「Exactry! 俺だ!」

召使い「俺が、負けた……だと」

秀才「これは俺の予想なんだが……召使いは湖に浮いているツチノコを狙ったんじゃないか?」

召使い「」ギクッ

オタク「ツチノコが湖にいるでござるか?」

秀才「あまり知られてないが、ツチノコは自ら出る体液を洗い流す為に水に浸かるんだ……そうしないと体液が邪魔して皮膚呼吸が出来なくなるからね」

秀才「ただし、それは成長途中の未熟なツチノコだけにある習性だ。 成長しきったツチノコは体内の気袋という器官に空気を溜めることが出来るから水には浸からない」

召使い「そうだったのか……」

秀才「実体験に頼ることは悪くない……しかし、それと知識を組み合わせないと宝の持ち腐れだ」キリ

召使い「……くっ、完敗だな」

オタク「……それにしてもまさか」チラッ

根暗「」ポケー

オタク「根暗が手ぶらで帰ってくるとは思わなかったでござる」

秀才「さて、何をしてもらおうかな?」ククク

【水魔島・別荘】
僕っ娘「……」ズーン

ポニテ「……あんた、布団に潜り込んで何やってんの?」

僕っ娘「また……やってしまった。 根暗に……」ズーン

ポニテ「何やったの? 逆レイp」

僕っ娘「違うよ!!」ガバッ

ポニテ「うわっ! びっくりした」

僕っ娘「そんなことじゃなくて……き、キスしてしまった」

僕っ娘「根暗に媚薬を飲ませて襲ったのは知的好奇心だった。 男に媚薬を飲ませたらどうなるかって程度のね」

僕っ娘「でも、今回のは違う……僕は……僕は……」

ポニテ「僕っ娘……付き合っても無いのにいきなりキスするなんて卑怯だよ」

僕っ娘「……へ?」

ポニテ「あんたが恋愛下手なのは知ってる……でもね、物事には順序っていうのがあるんじゃない?」

僕っ娘「いきなり、どうしたんだ? 君は何時もはそんなこと言わないじゃないか」

ポニテ「何よ? 思ったこと言って悪い?」

ポニテ(根暗が妹の想い人だと思うと)

ポニテ「両親が離婚したからって言うのを理由に逃げてるだけでしょ!」

僕っ娘「!?」ダンッ

ポニテ「……」

僕っ娘「き、君だけには……そんな言われ方をされたくなかった」ポロポロ

ポニテ「……」

僕っ娘「……」ダッ

ポニテ(……私もこんなこと言いたくなかったのに)

根暗「」ナデナデ

ツチノコ「ツチ~♪」

オタク「あれからずっとツチノコを撫で続けてるでござるな」

召使い「何かあったのだろうか?」

秀才「ふっ、どうやら……ここは俺の出番のようだな」

オタク「何か策があるのか、秀才?」

秀才「俺に策が無かった時があったか?」

召使い「これは頼りになる。 で、その策とは?」

秀才「……ツチノコ釣り対決の勝者として命じる」

オタク・召使い「……はぁ?」

秀才「二人でショートコントをして根暗を笑わして来い」

オタク・召使い「はぁ!?」

根暗「」ナデナデ

オタク・召使い「ショートコント! ツチノコ釣り」

オタク「あぁ、全然ツチノコ釣れないな! 全然ツチノコ釣れないな!」

召使い「良いですか、若様? ツチノコ釣りのコツは足の裏に神経を集中して土が盛り上がってるところを探すんです」

オタク「それ、タケノコ狩りのコツやないかーい!」

お嬢「うわぁ……ですわ」

メイド「見てる方が罰ゲームっすね」


根暗「」ナデナデ
オタク「」ナデナデ
召使い「」ナデナデ

秀才「……くっ、こうなったら」

秀才「時が解決してくれるのを待とう!!」キリッ

秀才(しかし、気になるのは召使いやお嬢さんがたまにオタクを若様と呼ぶことだな……)

秀才(様付けで呼ぶと言うことは、オタクにはある程度の地位があるということか?)

秀才(病院での事件の時も何か知っているようだったし……ふむ)

メイド「……秀才、世の中には関わらない方が良いことがあるっすよ?」

秀才「……悪いな、根暗とオタクが関与している時点で俺に無関係ではないんだ」

メイド「根暗とオタクが何者かも知らないくせによく言えるっすね」

秀才「何者か? ……それは知っている」

秀才「俺の友人だ……大切な友人なんだ」ニコ

僕っ娘「…………友人か」ボソッ

『あんた、また本読んでるの?』

『あんたが調合してくれた痛み止の薬、すごい効いた!ありがとう!』

『こんな時間まで薬の研究? 家に帰りたくない? ……はぁ、じゃあどっか寄ってく?』

『僕っ娘! この前見つけたクレープ屋行こうよ! どうせ、今日も家に帰りたくないんでしょ?』

僕っ娘(両親が離婚して、家に帰りたくなくて、放課後毎日のように理科室に籠ってた)

僕っ娘(そんな僕を気遣って、何も聞かずに遊びに連れていってくれたのは……彼女だったな)

ポニテ「……」

三編み「お姉ちゃん、何かあったの?」

ポニテ「何でもな……いや、僕っ娘と喧嘩した」

三編み「何だ……そんなことか」ホッ

ポニテ「そんなことって……」

三編み「だって、どうせ仲直りするんでしょ?」

三編み「お姉ちゃんと僕っ娘さんは親友なんだから」

ポニテ「……なら、早い方が良いわね」ダッ

僕っ娘(冷静に考えれば、ポニテの言う通りだ……僕は両親の離婚を理由に逃げていただけだ)

僕っ娘(恋心から逃げてる癖に……根暗を求めるなんて確かに……卑怯だな)

僕っ娘ーーーー!!ダダダダダ

僕っ娘ーーーーーーー!!ダダダダダダ

僕っ娘ーーーーーーーーーー!!ダダダダダダ

ガチャ

ポニテ「はぁはぁ……」

僕っ娘「ポニテ……その、さっきは感情的になって……その……」

チュッ

僕っ娘「!?」

ポニテ「っぷは。 ……ね、いきなりキスされたら困るでしょ?」ニコ

僕っ娘「…………君ってやつは」

根暗「」ナデナデ
オタク「」ナデナデ
召使い「」ナデナデ

秀才「君たちは何時までそうしているつもりなんだい?」

スペル間違えちゃった(テヘ
すみません

あれですね、ちゃんとポニテさんが三編みちゃんに相談するようになったという回ですね(笑)

【水魔島・別荘】
ポニテ「……眠い」

ポニテ(昨日はテンションが上がって、僕っ娘と徹夜で話してしまった)

僕っ娘『ちゃんと逃げずに向き合うよ、根暗と!』

ポニテ(と言っていたが……三編みに悪いことしちゃったな)ハァ

お嬢「あら、ポニテさん……今起きられたの?」

ポニテ「おはよう……皆は?」

お嬢「メイドと召使いは花火の買い出しに行きましたわ」

ポニテ「あぁ、今晩やるんだっけ?」

お嬢「えぇ、楽しみですわね」

ポニテ「三編みはどうせ絵を描きに行ってるとして……他の3人は?」

お嬢「根暗さんを追いかけてますわ」

ポニテ「はぁ?」

お嬢「追いかけてらっしゃるの」

【先刻・別荘】
僕っ娘「おはよう」ファア

お嬢「あらあら、大きな欠伸ですこと」

僕っ娘「昨晩はポニテと夜通し語り合っていてね」

お嬢「……私も呼んでくだされば良かったのに」ズーン

僕っ娘「ご、ごめん……それより、根暗を知らないか?」

お嬢「最近、人の居場所ばかり聞かれてる気がしますわね」

お嬢「根暗さんなら、広間にいらっしゃいますわ」

僕っ娘「ありがとう」

【別荘・広間】
オタク「~♪」ダンス
秀才「~♪」ダンス

根暗「……」ナデナデ

オタク「~♪」モットダンス
秀才「~♪」モットダンス

根暗「……」ナデナデ


オタク「~♪」スゴイダンス
秀才「~♪」スゴイダンス

根暗「……」ナデナデ

ツチノコ「ツチー♪」

オタク「……はぁはぁ、駄目でござるな」

秀才「万策尽きたな……根暗、本当に何があったんだ」

根暗「……」ポケー

お嬢「何をしてますの?」

オタク「あぁ、お嬢か? 根暗が中々正気に戻らないから色々試してたんだ」

秀才「クッ、俺の躍りにもっとキレがあれば……」

お嬢「秀才さんのことを賢いと思っていた私が愚かでしたわ」

オタク「こうなったら最終手段でござる! 僕っ娘殿!!」

僕っ娘「な、何だい?」

オタク「根暗に熱いキッスをするでござるよ!!」バーン

僕っ娘「なっ!?」
根暗「!?」///

秀才「なるほど、白雪姫の如く根暗も甦るかも知れないな」

お嬢「根暗さんは別に仮死状態ではありませんわよ?」

オタク「細かいことはこの際ナッシングでござる! 大抵の物語はキスしてりゃあ解決するでござるよ!」

僕っ娘「……根暗、話したい事があるんだが」

根暗「あの、えっと……ごめん!」ダッ

僕っ娘「」

オタク「根暗が逃げたでござる」

僕っ娘「……ごめんって何だよ」ボソッ

僕っ娘「ごめんって何だよ!! ふるにしたってもっとちゃんとふってくれ!!」

僕っ娘「オタク! 秀才! 捕まえるぞ!!」

オタク「いつぞやの逆でござるな」

秀才「はぁ、状況が変わっただけでも良しとしよう」ヤレヤレ

【現在・水魔島・森】
オタク「はぁはぁ……厄介でござるな」

秀才「あぁ、まるで猿だ」

根暗「……」プラーン

オタク(尻尾のように触手を生やして、木に登り逃げ回るとは……)

オタク「秀才! 策は無いでござるか?」

秀才「正直、お手上げだ。 広い森の中を尻尾触手を駆使して立体的に逃げているからな」

秀才「根暗は予想以上に森に慣れている」

オタク「……森の中で暮らしていたからな」ボソッ

秀才「……?」

オタク「何でもないでござる」

僕っ娘「……見失ってしまったか」フゥ

『……ごめん!』

僕っ娘「ははは、ふられたと言うのに僕は何故追いかけてるんだか……しつこい女は嫌われるだろうに」

僕っ娘「ははは……はは……」ポロポロ

ポニテ「何を勝手に諦めてんの?」

お嬢「ポニテさんに聞きましたわ……まだ、ちゃんと告白はしていないのでしょ?」

僕っ娘「……二人とも」

ポニテ「根暗は私達が捕まえる」

お嬢「だから、僕っ娘。 貴女は安心して言いたいことをまとめていたらいいんですわ」オーホッホッホッ

オタク「見失なったでござるな」ハァハァ

秀才「あぁ、誘き出す手を考えるか」

オタク「……うーむ」

秀才「……なぁ、オタク」

オタク「何でござるか?」

秀才「根暗は僕っ娘のことどう思ってるのだろうか?」

オタク「……解らないでござる」

秀才「……はぁ、丸く収まれば良いんだが」

三編み(……もう少しで描き終える。 ふふ、コンクールに出す前にお嬢先輩にお見せしよう)

ガサガサガサ

三編み「……ひっ」ビクッ

三編み(熊とかだったらどうしよう……)ビクビク

根暗「……あっ」ヒョコ

三編み「……根暗先輩!」///

根暗「ど、ども」ニョロニョロ

三編み「はい……どうも」

三編み(尻尾みたいなのが生えてる……)カワイイカモ

女?「さ~て、誰を人質にしようかしら♪」

男?「……」ブスー

女?「ちょっと、あんたも真面目に考えなさいよ」プンプン

男?「だってよ……一級危険魔術家なんて言われて期待してたのによ」

男?「どっから見ても雑魚じゃねぇか。 楽しめそうにねぇ」ハァ

女?「この戦闘馬鹿め! とりあえず、確実に根暗君を誘い出せる人質を捕まえるわよ。 怒られたく無いでしょ?」

「風魔術家の後継ぎ様にね」クス

三編み「私で良かったら、話を聞きますよ」

根暗「へ?」

三編み「先輩に相談にのってもらったお礼です。」

根暗「お礼なんて……僕は君に酷いことを……」

三編み「姉が私を頼ってくれるようになりました。 それだけで十分ですよ」ニコ

根暗「……実はね、好きな人がいるんだ」

三編み「そうなんですか」

『オタク君には秘密にしてくれ。 何、気が付かない方が悪いんだ』

最初は凄くムカついた

『一族が代々引き継いできた秘伝薬を……守らないとね』

次に気高い人だと思った

『ねぇ、君 ……息が荒いよ?』

少し変態だと思った

『彼女には……惚れ薬を渡してはいけない』

それでも優しい人だと解ってるから

根暗『……彼女は傷付けさせない』

いつの間に僕は……彼女を守りたいと思っていたんだ

『だって君は、本当は……全部嘘だなんて思ってないのだから』

そんな彼女が僕のことをしっかり見ていてくれたのが嬉しくて

根暗『ありがとう。 僕は……君のこと、好きだ』

告白したんだけど……

根暗「……返事が貰えなくて」

三編み「……」グッ

根暗「三編みさん、大丈夫?」

三編み「それは……もう、ふられたってことじゃないですか?」

根暗「そう思ってたんだけど……昨日、その……いきなりキスされて」

三編み「…………」ポロポロ

根暗「み、三編みさん!?」アセアセ

ガサガサガサ

ポニテ「根暗……あんた、人の妹泣かしてんじゃないわよ!」

根暗「ひぃっ!」

ポニテ「無傷で僕っ娘のところまで連れていくつもりだったけど……気が変わった」

ポニテ「二、三十発殴ってから連れていく」ゴゴゴゴゴ

ザッ

三編み「先輩! ここは任せてください!!」

根暗「三編みさん?」

三編み「根暗先輩はちゃんともう一回告白するべきです。 お姉ちゃんは私が食い止めるから……早く」

根暗「三編みさん……ありがとう!」ダッ

ポニテ「……あんた、馬鹿ね」

三編み「好きな人には笑ってて欲しいんだもん」ダー

【水魔島・別荘】
根暗「……はぁはぁ」

お嬢「貴方は次に僕っ娘さんの場所を尋ねますわ」

根暗「僕っ娘はどこ……はっ!」

お嬢「オーホッホッホッ、どうせ私は誰が何処にいるか教える係りですわよ」フンッ

根暗「そんな、意地悪言わないで」

お嬢「だって、貴方は私の友人を傷付けたんですもの」プイッ

根暗「……彼女にちゃんと伝えたいことがあるんだ。」

お嬢「…………はぁ、僕っ娘は岬で待ってますわ」

根暗「ありがとう!」

ガチャ

召使い「ただいま、戻りました」

メイド「疲れたっす……へぇ」

お嬢「あら、ちょうど良いところに」

お嬢「オーホッホッホッ、愛の告白を盛り上げますわよ!!」

メイド「……暑さでで頭がやられたっすか?」

召使い(お嬢様がオタク様にじゃないよな)オドオド

【水魔島・岬】
僕っ娘「……僕から話して良いかな?」

根暗「……うん」

僕っ娘「……僕はね、君が好きらしい」

僕っ娘「何時から好きなのかは正直解らない」

僕っ娘「何時まで好きでいられるのかも解らない……惚れ薬のように何時かこの気持ちが無くなってしまうかも知れない」

僕っ娘「それでも君が好きだ!」

根暗「……」

僕っ娘「君が僕のことを好きって言ったのが、友達としてというのは解っていr」ギュウ

根暗「……勘違いしてる」

僕っ娘「なっ、君はいきなり……何を……」

根暗「僕が僕っ娘を好きと言ったのはね」

ヒューーーー ドン!!

お嬢「フフフ、友達の告白を応援する為に打上花火を上げる……青春ですわ」オーホッホッホッ

メイド「お嬢、逆に邪魔じゃないっすか?」

召使い(お嬢様が告白する訳じゃなくて良かった)

ヒューーーー ドン!!

三編み「たまやーーーー!!」

ポニテ「急に大きな声だして……びっくりするじゃない」

三編み「ひぐっ……えっぐ……たまやーーーーーー!!」

ポニテ(この娘……こんなに強かったんだ)ナデナデ

オタク「節介でござるな……先に花火始めたでござるよ」

オタク「一旦、別荘に戻ろうぞ。 秀才」

秀才「…………オタク、何か聞こえないか?」

オタク「……?」

秀才(激しい風の音が聞こえたような気が……)

「キャー、愛の告白を聞いちゃったわ! 流石の私でもこれは照れてしまう」

放送部長「そんなにこの娘のこと大切なんだ」

僕っ娘「」グッタリ

根暗「僕っ娘を返せ……」

放送部長「ごめんなさいね、ご主人様の命令なの☆」

根暗「僕っ娘を返せ!!」ニョロンニョロンニョロンニョロン

放送部長「なっ! こんなに大量の触手を出せるなんて聞いてないわよ!! 」アセ

放送部長「風乗魔術!!」ビューン

根暗(僕っ娘と放送部長が浮いた? ……でも)

根暗「逃がさない!!」ニョロンニョロンニョロンニョロン!!

ザンッ

根暗(触手が全部斬られた!)

「良いねぇ。 見た感じ雑魚かと思ったが……久し振りに疼いちまったよ」

風来坊「……よう、にいちゃん」

風来坊「ド派手に殺し合わないかい?」ニカッ

根暗(何だ、この大きな団扇を持った大男は……)

放送部長「風来坊……私達の命令は人質を連れて帰ることよ」

風来坊「良いじゃねぇか……少しぐらいよ」

根暗「……逃がさないって行ってるだろ?」ギロリ

風来坊(くぅ~、良い殺気だ)ウズウズ

放送部長「根暗君、可愛い彼女を救いたかったら、あの島まで来なさい」

放送部長「私達のご主人様が用があるのはあ・な・た! ……ちゃんと来たら彼女に被害は加えないわ」

風来坊「じゃあな! 根暗! 絶対来いよ!! 待ってるからな!!」ビューン

根暗「待て! 返せ!!」

根暗「僕っ娘!!!!」

本日はここまで!

【とある島・屋敷寝室】
僕っ娘「……ここは何処だ?」ウトウト

僕っ娘「確か……昨日、僕は……」

『僕が僕っ娘を好きと言ったのはね』

僕っ娘「うにゃ~~~! そうだ! 両想いだったんだ!!」バタバタ

放送部長「それよりも、思い出さないといけないことがあるんじゃないの?」ハァ

僕っ娘「なっ!部屋に入るときはノックぐらい……貴女は3年の放送部長さん?」

放送部長「そう! 歌って踊れる学園アイドルこと放送部長よ☆」ウィンク

僕っ娘「……うわぁ」

放送部長「その反応は流石に傷付くわ」

僕っ娘「それで、その学園アイドルが何で僕を誘拐なんてしたんです?」ジトー

放送部長「誘拐された自覚があるなら、もう少し取り乱して欲しいわね」

僕っ娘「……根暗が助けに来てくれますからね。 取り乱すだけ無駄です」

放送部長「……朝御飯を用意したわ。 事情は食べながら説明して上げる」

【船の上】
根暗「……」

召使い「根暗……もうすぐ、島に上陸出来る」

根暗「うん……召使い君……ありがとう」

【昨晩・別荘前】
根暗「はぁはぁ……皆」

オタク「……根暗」

お嬢「事情は解っておりますわ」

根暗「え?」

お嬢「先程、これが届きましたの」つ手紙

手紙≪人質を返して欲しければ、根暗一人で我々がいる島に来い 風魔術家後継ぎより≫

秀才「風魔術家の後継ぎが根暗に一体何の用があるんだ」ギリ

オタク「……」

根暗「行ってくる……」

メイド「今から行くつもりっすか?」

根暗「……止めないで」

メイド「風魔術家の後継ぎ様は女性っす。 急がなくてもエロい展開は無いっすよ」

根暗「メイドさん……今、ふざけてる場合じゃ」

メイド「こんな暗い中、海を渡って相手の島に乗り込むのは危険っす」

メイド「守りたいんでしょ?」ジッ

根暗「……解った」

召使い「船の準備をしておく、一緒に戦えないんだ……せめて送らせてくれ」

根暗「ありがとう……」

ポニテ(……僕っ娘)

【現代・とある島・屋敷食卓】
僕っ娘【2-Cの生徒。 魔法薬研究会会長。 魔法薬の研究をしている一族出身】モキュモキュ

放送部長【3-Dの生徒。 自称学園アイドルの放送部部長。 代々風魔術家の世話係りを務めてきた家系の出身】

丸眼鏡【1-Aの女子生徒。 占術を扱う一族の出身と名乗っているが、風魔術家の後継ぎ。】モキュモキュ

放送部長「ご主人様、風来坊は?」

丸眼鏡「何処かに行った」

放送部長「またですか? 困ったものですね」

丸眼鏡「問題ない。 有事には帰ってくる」

僕っ娘「……そろそろ、僕が拐われた理由を話してくれないか」

丸眼鏡「……その前に謝罪したい。 この度は巻き込んでしまい、すまない」

僕っ娘「……」

丸眼鏡「……標的にとって君が一番大切な存在と判断した」

放送部長「根暗君を誘い出すには貴女を拐うのが一番良いと思ったのよ」

僕っ娘「なっ……それは否定できないな、何せ僕達は両想いの仲だからな」///

丸眼鏡「話を続ける。 私達には触手魔術の危険性を測る必要性がある」

僕っ娘「何のために?」

丸眼鏡「次世代会議のため……」

【水魔島・別荘】
お嬢「若様、風魔術家の目的は……」

オタク「恐らく、次世代会議の準備だろう」

メイド「次世代会議……てなんっすか?」

お嬢「メイドには話していませんでしたね」

オタク「次世代会議……四大元素家の後継ぎが集り、魔術社会の次なる方針を決める会議だ」

お嬢「会議の議題は魔術関連機関の改善、魔術犯罪の防止について……他にも色々ございますが」

オタク「一級危険魔術家への対処も議題にあるんだよ」

メイド「それで、根暗の危険性を測るために僕っ娘を誘拐したってことっすね」フム

オタク(何故、根暗だけなんだ? この島にはもう一人一級危険魔術家の者がいるというのに)チラ

メイド「なんっすか?」

コソコソ
秀才(……根暗が一級危険魔術家?)

【とある島・屋敷食卓】
僕っ娘「……なるほど、色々質問したいことはあるが納得しておこう」

丸眼鏡「理解してくれて感謝する」

丸眼鏡「……巻き込んだ詫びだ。 聞きたいことには出来る範囲で答えよう」

僕っ娘「ん? そうか。 じゃあ、何で根暗なんだ?」

僕っ娘「一級危険魔術家は根暗の触手魔術家だけじゃないんだろ?」

丸眼鏡「……私は風読み術という占術が使える」

僕っ娘「風読み術?」

放送部長「物事の成り行き、行き着く方向性を占う魔術よ」

僕っ娘「なるほど、それでその術がどうしたんだい?」

丸眼鏡「根暗の将来を占った結果……彼は一級危険魔術家で」

「魔術社会を崩壊させる可能性がもっとも高い事が解った」

【とある島・岬】
風来坊「……来たか」ニタ

【とある島・屋敷食卓】
丸眼鏡「……来た」

僕っ娘「何故、解る? それも風読み魔術か?」

丸眼鏡「似たようなもの。 風が私に教えてくれた」

僕っ娘(……ただの中二病じゃないよな?)

僕っ娘「それで、根暗をどうするつもりだい? 危険性を測ると言っても身体測定する訳じゃないんだろ?」

丸眼鏡「全力で戦っているところをみて判断する」

僕っ娘「全力を出させるほどの相手がいるのかな?」フフン

丸眼鏡「いる」

【とある島・海岸】
根暗「……」ザッザッザッ

根暗「……」ピタッ

風来坊「よぉ! 会いたかったぜ」

ニョロン! ニョロン! ニョロン!ニョロン!

風来坊「おいおい、挨拶も無しかよ? いきなり手足ふん縛られるとは」

根暗「……僕は君に用はない」ニョロン シャキン

風来坊(先が刺みたいになってる触手? 触手には種類があるのか)ホウ

風来坊「感心している場合じゃないわな……ふん!!」スポンスポンスポンスポン

根暗(触手を引き抜いた!?)

風来坊「オラァ! 」ザンッ

風来坊「……おぉ、刺の部分は結構固いんだな? 斬れないわけじゃねぇが」ニカッ

風来坊「自己紹介が遅れたな……俺は風来坊。 魔術学園3-Bの生徒で……風魔術家の用心棒みたいなもんだな」

風来坊「お前も名乗れよ、一級危険魔術家さんよ」

根暗「……2-B組の根暗。 別に一級危険魔術家として来たわけじゃない」

根暗「ただ、好きな人を助けに来ただけだ」ニュルン

風来坊「良い名乗りだ!!」

風来坊(今度は触手を鞭として使ってきやがったが……案外攻め手が多いな)

根暗(怪力と大団扇が厄介だな……触手を容易く斬るとは)クッ

【とある島・屋敷食卓】
水晶≪ただ、好きな人を助けに来ただけだ≫

僕っ娘「なぁ! これ録音出来ないのか? 録画出来ないのか!?」

丸眼鏡「勿論、記録している」

僕っ娘「僕にも分けてくれ!!」

丸眼鏡「かまわんが……どうして?」

放送部長「乙女心ってやつですよ、ご主人様! いいなー、私も言われてみたい」キャー

僕っ娘「ふふふ、根暗は普段はオドオドしているが不意にあぁいうことを言ってくるからな」

丸眼鏡「……私には解らん」フム

【とある島・海岸】
風来坊(2本の触手で素早く鞭打ちか……確かに厄介だが、目が馴れた斬れるな!)ザンザン

根暗「……くっ!」

風来坊「そして、お前は手を地面に着いたままと……終わらせて貰うぜ?」

ニュルン ギュッ

風来坊「……なっ!?」

根暗「上手くいったよ……秀才」

【船出前・水魔島】
秀才「根暗……これを受け取ってくれないか?」ウトウト

根暗「秀才……これは?」

秀才「俺が考えられる限りの触手魔術を用いた戦術だ。 役に立たないかも知れないが……」

根暗「ありがとう……目の下、凄いクマだよ?」クス

秀才「ついてはいけないが……お前は一人で闘ってるわけじゃない」

秀才「お前の戦いは俺の戦いだ」ニコ

【現在・とある島・海岸】
根暗(鞭打ち攻撃で相手の意識を前に向けさせ、後からこっそり生やした触手で首を締める)

根暗(これなら……いける)グッ

風来坊「今、勝った気になったろ?」ポイッ

根暗(大団扇を捨てた?)

風来坊「面白かったぜ、根暗よ。 だから、特別に本気出してやるよ」

風来坊「―獣化魔術」

根暗(頭がグルングルンと回る)

根暗(意識が定まらない……)

根暗(風来坊がいきなり熊のような姿に変わって、首に巻き付いた触手を引き抜いた……)

根暗(地面に手を着いた僕に突進して来て……その後、どうなったんだっけ?)

ドサン

【とある島・屋敷食卓】
放送部長「……エグい。 熊化してる風来坊の突進顔面に食らったわね」

丸眼鏡「2メートルほど吹き飛ばされたか」

僕っ娘「根暗……根暗!!」

丸眼鏡「……この程度ならば危険視するほどでも無い」

僕っ娘「何だよそれ……君達の勝手な事情で戦わされて……死んだらどうするんだ」

丸眼鏡「……その場合は誠心誠意の謝罪と必要限の損害賠償を」

僕っ娘「ふざけるな! 人の命と魔術社会……どっちが大切なんだ!!」

丸眼鏡「魔術社会に決まっている」キッパリ

放送部長(……)

【とある島・海岸】
風来坊「生きてるか? 死んでるか?」

根暗「」

風来坊「……思ったよりは楽しめたぜ? 思ったよりはな」

風来坊「あばよ」

「待て」

根暗「返せ……僕っ娘を返せ……」

根暗「僕っ娘を返せ……」

風来坊「……これ以上やるなら、本当に殺しちまうぜ?」

根暗「返せ……返せ……返せ……返せ……」

風来坊「聞いちゃいねぇk ……」ゾクッ

根暗「僕っ娘を返せ」

風来坊「何だよ……その姿は……」

―昔、一人の触手魔術師によって世界は征服されそうになった

その魔術師は額より触手の刺を鬼の角のように生やし

背中から左右に4本ずつ腕のような触手を生やし

腰から尾のような触手を生やし、何千人という魔術師を相手に虐殺の限りを尽くした

その姿に恐れをなした人々は彼をこう呼んだ

―触手鬼

風来坊「」

根暗「僕っ娘を返さないなら……死んじゃえ」

タッタッタッタッタッタッ

僕っ娘「止めろ!」ギュッ

根暗「僕っ娘……」

僕っ娘「やり過ぎだ……殺しちゃ駄目だ……」

根暗「僕っ娘……無事で良かった…………もう離さない」ギュッ

僕っ娘「」ゾクッ

根暗「……」スー スー

僕っ娘(気を失ったか)

僕っ娘「なぁ……君は僕が止めなかったら」

「本当に殺すつもりだったのかい?」

本日はここまで!

ジャンプ漫画みたいに人気投票したら、主役(根暗)とヒロイン(僕っ娘)を抜いて秀才が1位を取りそうな気がしてきました (笑)

根暗「僕っ娘……好きだよ」

―あぁ、僕も君が好きだ

根暗「だから、君をもう離さない」

―え?

根暗「離さない 離さない 離さない 離さない 離さない 離さない 離さない 離さない 離さない」

ニョロン ニョロン ニョロン ニョロン ニョロン ニョロン ニョロン ニョロン ニョロン ニョロン ニョロン ニョロン ニョロン ニョロン

【水魔島・別荘】
僕っ娘「うわぁ!! ……夢か」ハァハァ

僕っ娘(あれから一週間経ったが……同じ夢ばかり見てしまう)

僕っ娘(根暗は……僕のことを懸命に助けようとしてくれたのに)

僕っ娘(……僕は彼を恐がっている)

僕っ娘「顔洗って来よう……」

僕っ娘「……」ピチャピチャ

僕っ娘(タオル、タオル……)ゴソゴソ

丸眼鏡「はい、タオル」つタオル

僕っ娘「あぁ、ありがとう」

僕っ娘「……」

丸眼鏡「……」

僕っ娘「何でいるんだい!?」

【水魔島・森の中】
根暗「……はぁ」

根暗(あれから、僕っ娘と少しぎこちなくなってしまった)

根暗(僕っ娘を奪われたくないと思ったら……頭が熱くなって……)

根暗(というより、風来坊先輩、大丈夫かな? 良く覚えて無いんだけどこ、こここ、殺して無いよね)オドオド

風来坊「よぉ!」

根暗(イキテター!)ビクッ

根暗「ふ、ふふふ、風来坊先輩、その先日は、あの、頭に血が登ってですね」アタフタ

風来坊「呼び捨てで良いよ。 殺り合った仲だろ?」ニカ

風来坊「それよりも、根暗」

風来坊「もう一回」

風来坊「や ら な い か ?」

根暗「……」ガクブル

【水魔島・別荘食卓】
お嬢・召使い・メイド「……」ポカーン

放送部長「何これ、美味しい! 朝からこんなに美味しいもの食べてるのあんた達? 三編みさん、おかわり!!」

三編み「は、はい……」

お嬢「……放送部長先輩?」

放送部長「はぁい! そうよ! 歌って踊って、勝手に朝御飯を食べちゃったりもするドジッ娘学園アイドル……放送部長よ☆」ウィンク

オタク「うぉぉおお! 放送部長タソ!! 放送部長タソ!!」キタコレ

お嬢「若様!?」

秀才「皆、おはよう……あれ?何この状況?」

ドダバタドダバタ

僕っ娘「敵襲ーーーー!!」

丸眼鏡「敵のつもりも襲うつもり無い」

ドダバタドダバタ

根暗「ほほほほ、掘られる!!」

風来坊「掘らねぇよ」

メイド「第2のホモが現れたっすね」

オタク「第1のホモは俺じゃないよな?」

ドンチャン カッテニタベルナ ギャーギャー ホラレルー ワーワー

ポニテ「皆、おはよう。……何この状況?」

秀才「悪い、俺にも解らない」

【水魔島・別荘食卓】
お嬢「……お詫びをしに来た?」

丸眼鏡「あぁ、君達の貴重な夏休みを1日奪ってしまってすまなかった」

ポニテ「何で、そのお詫びが森で根暗を強姦未遂して、朝飯を強奪するになるのよ」

風来坊「してねぇよ」

放送部長「肝試しの準備で忙しくて、ちゃんとご飯食べてなかったのよ」ゴメーンネ☆

オタク「肝試しでござるか?」

丸眼鏡「あぁ、楽しみを奪ったお詫びに準備させていただいた。 良ければ参加してほしい」

召使い「貴様らのことなど信用出来るわけが」

お嬢「良いですわよ」

召使い「なっ! お嬢様!?」

お嬢「ただし……僕っ娘がかまわないなら」

僕っ娘「……良いよ。 彼等は嘘をつくようなことはしないだろうからね」

丸眼鏡「ありがとう。 では、前回の島で今晩待っている」

僕っ娘「……ところで森を何してたんだい?」

根暗「あの、これ……次の薬の素材……足りないって言ってたから」つ花

僕っ娘「なっ!? 全く君は! そういうところだぞ!! そういうところだぞ!!」///

ポニテ(そういうところが好きなのね)クス

オタク(何時もの調子に戻ってきたな)

【とある島・海岸】
放送部長「はっあーい☆ 司会進行を務める放送部長よ」ウィンク

放送部長「今回は二人一組に分かれて、島の中央にあるお屋敷に向かってもらうわ」キラッ

ポニテ(テンション高いわね)

僕っ娘(頑張って準備したんだろうな)

放送部長「屋敷に着くのが一番遅かった組には……罰ゲームが待ってます♪」

秀才「罰ゲームか……これは負けるわけにはいかないな、根暗!」

僕っ娘「君は勿論、僕と組むよな?」
根暗「うん」

秀才「負けるわけにはいかないな、オタク!」

お嬢「若様、組みませんこと?」
オタク「あぁ、話したいこともあるしな」

秀才「召使い!」

召使い「俺は今回は不参加で」ブルブル
メイド「何びびってんすか? さっさと行くっすよ」

ポニテ(オタクが取られた……)ズーン
三編み「お、お姉ちゃん、 商品目指して頑張ろう!」

秀才「ペアがいないんだが」

放送部長「ガンバッ!」

秀才「いや、ガンバッじゃなくてd」

放送部長「それでは肝試しスタートです♪」

【とある島・メイド&召使いペア】
メイド「不気味っすね……幽霊とかいそうっすね」ニシシ

召使い「幽霊とか言うな! せめておばけと言え!」

メイド「相変わらずそう言うの苦手っすね。 おばけとか幽霊とかゾンビとか怨霊とか」

召使い「止めろ! 言うなってば」

メイド「化け物も……苦手っすか?」

召使い「……あぁ、苦手だ」

メイド「じゃあ、私も苦手ってことっすね~」ニシシ

召使い「お前は化け物じゃないだろ?」

メイド「一級危険魔術家なんて皆化け物みたいなもんっすよ」

召使い「……一級危険魔術家だとか知るか。 お前は俺の同僚だ」

召使い「一緒にお嬢様に仕えて、お嬢様をお守りする仲間だ」

召使い「怖がるわけがないだろ?」ニッ

メイド「そうっすか。 ……ところで召使い」

召使い「……何だ?」

メイド「足元に死体があるっすよ?」

召使い「~~!!」

死体「うぅ……」モゾモゾ

メイド「おぉ、死体が動いたっす」

召使い「」キゼツ

【とある島・根暗&僕っ娘ペア】
僕っ娘「根暗、彼処の木の実も取れるか?」

根暗「う、うん、任せて」ニョロン

僕っ娘「水魔島も素材が多かったが、この島にも珍しい素材が多いな」

僕っ娘「むっ! 根暗、次はあの苔だ! あの苔を取ってくれ!!」キャッキャッ

根暗(……可愛いな)

死体「うぅ……」モゾモゾ

根暗「邪魔をするな」ニョロン ボキッ

死/体「」ドサドサ

僕っ娘「根暗、遅いぞ! 早く取ってくれ」

根暗「ごめん、今採取するね」

【とある島・ポニテ&三編みペア】
ポニテ「ギャー! グロい! キモい! キモい! グロい! ギャーーーー!!」

三編み「お姉ちゃん、おいてかないで」ハァハァ

死体s「「「あぁ……うぁ……」」」ヨタヨタ

三編み(驚かしては来るけど、襲っては来ないな……ん?)

三編み「お、お姉ちゃん! あれ!!」

ポニテ「何よ!!!!」

死体漢「あぅあー」パンパン
死体男「アァー!!」

ポニテ「ギャーーーー! 死体がホモセッ●スしてる!!」

三編み「……」つスケッチブック

ポニテ「あ、あんた……何する気?」

三編み「お姉ちゃん……芸術って醜さの中にあるのかも知れない」ペン シャキーン

ポニテ「三編み! 帰ってきなさい!!」

【とある島・オタク&お嬢ペア】
オタク「……これは死霊術か」

お嬢「根暗さんの情報を手にいれた分、風魔術家が管理している一級危険魔術家の情報を提示しているのでしょう」

オタク「律儀なもんだな。 しかし、死体を操る術か……他の一級危険魔術よりは危険性が低く感じるが」

お嬢「倫理的な視点から見れば、十分危険な魔術ですわ」

オタク「なるほど、単に戦闘力だけで一級危険魔術は決められているわけじゃないんだな」

お嬢「魔術社会の崩壊を招く魔術……ですからね」

オタク「そんなに危険な魔術か……ん?」

死体漢「あぅあー」パンパン
死体男「アァー!!」

オタク「危険だな……」
お嬢「危険、ですわね」

【とある島・屋敷】
丸眼鏡「首尾はどうだ? 腐女子」

腐女子【1-Aの生徒。 風魔術家の管理下にある一級危険魔術家死霊術家の出身】

腐女子「丸眼鏡の言う通り、視覚的恐怖だけ与えてるよ」フヒヒヒ

丸眼鏡「そうか。 楽しんで貰えれば良いが……」

放送部長(死体のホモセッ●ス見て楽しめたら末期ね)

丸眼鏡「さて、そろそろ私も出よう」

放送部長「あら、ご主人様、どちらにお出掛けに?」

丸眼鏡「驚かせる役を腐女子にだけやらせるわけにもいかん。 私も驚かせてくる」ギュッ

放送部長(天冠を装着しただけ!?)

丸眼鏡「行ってくる」キリッ

【とある島・秀才(ボッチ)】
秀才「何なんだ! 本当に何なんだ!!」

「フン!フン!フン!フン!」「アァーー!!」「ウホッ」「アァーー!!」「ヤラナイカ!!」

秀才(見渡す限りの死体同士のホモセッ●ス……)ウプッ

秀才「俺には……手を出して来ないよな?」ビクビク

ガサガサ

秀才「ひぃっ!!」

丸眼鏡「がぉーーー!!」

秀才「……」

丸眼鏡「がぉーーー!! 食べちゃうぞ!!」

秀才(…………そう言えば、オタクが言っていたな)

【夏休み前・屋上】
オタク「秀才……この世で最も尊い感情とは何でござるかな?」

秀才「いきなりどうしたんだ? ベタだが愛情とか友情とかじゃないか?」

オタク「なるほど、秀才らしい模範解答でござるよ」

秀才「鼻につく言い方だな。 ……お前は何だと思うんだよ?」

オタク「拙者は……」

「―萌えだと思うでござる」

【現在・とある島・秀才(ボッチ)】
秀才(これが……これこそが萌えなのか?)

丸眼鏡(……黙っているが、怖がっているのか?)

秀才(普段はクールな女の子が必死に声を出しながら怖がらせようとしてくる……も、萌えた!!)鼻血ツー

丸眼鏡(何で満面の笑みで鼻血を垂らしているんだ)ビクビク

【とある島・屋敷】
秀才「はぁはぁ……やっと着いたか」

お嬢「遅かったですわね、秀才さん」

メイド「召使いを背負ってきた私より遅いとか」プークスクス

三編み「……」カキカキ

ポニテ「こら! そんな絵を描くのは止めなさい!!」

僕っ娘「結局、何も出なかったな」

根暗(死体は全部僕が処理したからね……)

秀才「罰ゲーツは俺か……」

放送部長「はーい☆ その通り! 秀才君にはペアと公開キッスをしてもらおうと思ったんだけど……一人だから」ニヤ

死体漢「うぁう……」

放送部長「彼としてもらいます☆」

秀才「いや、それは無理だろ? 流石にそれは駄目だろ……え、皆、止めて……助けて」

アァーー!!

三編み・腐女子「……」カキカキカキ

ポニテ「三編み、描くの止めなさいって……増えてる!?」

【夏休み最終日・船の上】
僕っ娘(色々なことがあった夏休みが終わろうとしている)

僕っ娘(肝試しの後も寝込んだ秀才君を元気付けたり、何かに目覚めた三編みちゃんを正気に戻そうとしたりと濃厚な日々を過ごしていった)

ポニテ「」ドヨーン
召使い「」ドヨーン
オタク「」ドヨーン

秀才「何で君達は宿題が終わってないんだ」

お嬢「さっさと手を動かすのですわ」

三編み「……」カキカキカキ

メイド「いや、三編みちゃんはもう手を動かすなっす」

根暗「……僕っ娘」

僕っ娘「何だい?」

根暗い「2学期もよろしくね」

僕っ娘「あぁ、此方こそ」

夏休み終了です
次回から2学期が始まります~

根暗→触手(一級危険魔術)
オタク→火
ポニテ、三編み→肉体強化
お嬢、召使い→水
メイド→悪魔化(一級危険魔術)

秀才→沼魔術

なんだろう、秀才の沼魔術だけ凄いマイナーな感じがするな
どういう用途があるのだろうか

【魔術学園・屋上】
お嬢「2学期が始まりましたわね」

オタク「あぁ……」

丸眼鏡「……」

オタク「土の若は今回も欠席か?」

お嬢「始業式の放課後に行う定例会……結局、今回も全員出席とはなりませんでしたわね」

丸眼鏡「火の若、水のお嬢……貴方達は土の若と会ったことがあるのか?」

オタク「無いな……影武者とは会ったことがあるが」

お嬢「この学園に通っていることは確かなようですが……」

オタク「……では、今回はここまでだな」

丸眼鏡「待て、見せたいものがある」つ水晶

【理科室】
僕っ娘「ポニテは採取に行ってしまったな」

根暗「う、うん……というより、君が行かせたよね?」

僕っ娘「オタクは会合があるとか無いとか言っていたな」

根暗「う、うん、言ってたね」

僕っ娘「つまり……僕達は二人っきりということだ」ズイッ

根暗「……あの、その……そうなるね」

僕っ娘「なぁ……あのお茶を飲まないか?」クスッ

根暗「え、あ、あぅ……」///

コンコン
僕っ娘「…………はぁ、客人だ。 根暗、お預け」

根暗「……うん」シュン

ガチャ

腐女子「……邪魔してサーセン」フヒヒヒ

メイド「どうもっす。 根暗を借りに来たっすよ」

根暗「ぼ、僕?」アセアセ

僕っ娘「僕の根暗に何の用だい?」ムッ

メイド「束縛し合うカップルは長続きしないっすよ?」

腐女子「四大元素家に対抗して私達も開こうかと思いましてね」

「第一回一級危険魔術家集会をね」

【図書館】
秀才(……一級危険魔術家なんてどの本にも載ってない)ペラペラ

秀才(以前、先生に最強の魔術を聞いたことがあるが……)

『最強って言われたら迷うが……私が推すのは世界を征服仕掛けた男が用いた魔術かな?』

『それはね……触手魔術』

教師『……あっ、すまない。 今の話は聞かなかったことにしてくれ』

秀才(口止めをされたな……)

秀才(その後授業で一人の魔術師によって征服されそうになったと習ったが用いられた魔術には触れられなかった)

秀才(特殊な魔術だとは思っていたが……四大元素家に監視されるほどとは)

優等生「自習か……秀才?」

秀才「優等生…………なぁ、一級危険魔術家という言葉を聞いたことがあるか?」

優等生「一級危険魔術家……初耳だな」

【学園付近・喫茶店】
メイド「じゃあ、サクッと第一回一級危険魔術家集会を始めるっすよ」

腐女子「うぇーい、パフパフ」

根暗「き、喫茶店ではもう少し静かに……その……した方がいいと」

根暗「そ、そもそも、この会議は何なの?」

メイド「簡単に言うと魔術社会から処分されないように私達側も努力しようって会議っす」

根暗(割りと真面目な会議なんだな)ホッ

メイド「第一回の議題はこの会議の名前をちゃんと決めるっすよ」

根暗「えっ、ちょっと……えっ、待って」

腐女子「待ってほしいです、メイド先輩」

腐女子「根暗先輩とは初対面だからちゃんと自己紹介させてください」

メイド「それもそうっすね。 じゃあ、会議を始める前に自己紹介するっすよ」

根暗(……真面目な会議じゃないのかよ)

腐女子「それでは言い出しっぺの私から」

腐女子「私は1-Aの腐女子といいます! 四大元素家風魔術家に管理されている死霊術使いです」

根暗(この前の肝試しは彼女の魔術だったのか)

腐女子「好きなものは……フヒヒヒ、BLです」

根暗「BL?」

腐女子「そうです! B&Lです! 最近では学園内ベストカップリングを脳内で組み合わせるのにはまっていて、今日はその結果を書いてきました!」つメモ

メモ≪1位根暗×オタク 2位召使い×オタク 3位不良×ヤンキー&DQN≫

根暗(BL? ×? 何のランキングなんだろう……?)

メイド「はい、次は私が自己紹介するっすよ」パンパン

メイド「私は2-Dのメイドっす。 水のお嬢の下に仕えている一級危険魔術家悪魔化術家の出身っすね」

根暗「悪魔化術?」

腐女子「風来坊先輩の獣化魔術の悪魔版だと考えたら解りやすいですよ」

根暗「な、なるほど……」

メイド「好きなことは……お嬢のお世話をする事と召使いに嫌がらせすることっすね 」

メイド「次は根暗の番っすよ」

根暗「ひゃいっ!!」

根暗「ぼぼ、僕は2-Bの根暗で、その触手魔術家の出身で……四大元素家火魔術家に管理……されてるのかな?」

腐女子「疑問系なんですね」

根暗「……自覚が無いんだ。 それに、オタクは友達だから」

腐女子「……ホモダチですか」

メイド「勝手に代えんな」

腐女子「サーセン」フヒヒヒ

【図書館】
秀才(……結局、何も解らなかったな)

優等生「秀才、調べものは終ったのか?」

秀才「優等生、まだ帰ってなかったのか?」

優等生「俺にもしないといけないことがあってな」

優等生「……秀才の家は退魔の一族ではないよな?」

秀才「あぁ、俺の家は魔力循環機構を研究している探究家の家系だが……それがどうした?」

優等生「ならば、あまり危険なことに首を突っ込まない方がいい」

秀才「……それは無理な話だ」

優等生「確かにお前は回復魔術や多種多様な属性の魔術を使える」

優等生「本来、どの魔術に対しても適性を持たない家系の出身者とは思えないほど優秀だ」

優等生「しかし、魔術と共に戦い方を受け継ぐ退魔の家系と戦うほどの実力は無い」

優等生「これ以上深入りしたら……死ぬぞ?」ギロ

秀才「……一緒に戦おうと言ってくれた男がいるんだ」

優等生「……」

秀才「本当に最後まで一緒に戦ってくれたんだ」

秀才「死ぬのは怖いさ。 あぁ、怖いとも!」

秀才「それでもな、根暗が戦うなら俺は最後まで付き合わないといけないんだ」キリッ

優等生「……それは根暗が化け物だとしてもか?」

秀才「そんな比喩表現」

優等生「比喩表現なんかじゃない」

優等生「……彼は」

【理科室】
僕っ娘「……」ムスー

ポニテ「あんた……頬を膨らませてどうしたの?」

僕っ娘「根暗が寝取られた」

ポニテ「はぁ?」

僕っ娘「きっと今頃如何わしい場所に連れ込まれて、二人の手によって根暗の敏感なところを……」

ポニテ「大丈夫でしょ」

僕っ娘「3Pしてるんだ! 3P!!」バンバン

ポニテ「ていっ!!」パシン

ポニテ「正気に戻った?」

僕っ娘「ボクハショウキニモドッタ」

ポニテ「駄目そうね……」ハァ

【学外・喫茶店】
メイド「会議の名前は3P会議っで良いっすよね。 3P会議で」

根暗「いや、それは流石に……」

腐女子「触手でヤりたい男選抜会議が良いです」

根暗「それは却下で……」

メイド「じゃあ、3Pすね。 誘いやすいじゃないっすか? よ、根暗! 3Pしようぜ……みたい感じで」

根暗「誘いにくいよ! すごく誘いにくくなってるよ?」

腐女子「じゃあ、私の案でいきましょう! イかせましょう!」

根暗「……それなら、まだメイドさんの案の方がましだけど」

腐女子「なぁんと!?」

メイド「じゃあ、3P会議で決定っす」

根暗(……もうどうにでもなれ)

メイド「さて、次は会議を今後行っていく場所についてっすね」

根暗「……場所?」

腐女子「話す内容が内容なので……」

根暗「な、なるほど……」

根暗(やっと真面目な話になってきたな)

メイド「会議名にちなんでラブホでするっす」

腐女子「異議なーし」

根暗(……僕っ娘のいる理科室に帰りたい)

【学外・喫茶店前】
メイド「ふぅ、話したっす。 満足したっす」

腐女子「えぇ、私も満足です」

根暗(……お茶代、僕持ちか)ハァ

腐女子「……良いですね、同族がいるって」

根暗「へ?」

腐女子「社会から除け者にされて、監視されて生きてきましたから……その、お二人と出会えて嬉しかったです」

メイド「……私も嬉しかったんすよ? 根暗と出会えた時」

メイド「お嬢や召使いのお陰で一人ではなかったすけど……たまに強烈な孤独感が襲ってくるんっす」

メイド「また、地下室に閉じ込められて……2度と出れないんじゃ無いかと思うと」ブルブル

メイド「だから、嬉しかったんすよ。 同じ境遇の二人に会えて」ニコ

メイド「だから、根暗。 また、3Pしてほしいっす」

根暗「うん……3Pしよう」

ドサッ

僕っ娘「……」ゴゴゴゴゴゴゴ

根暗「」タラリ

僕っ娘「君のことだから、襲われて無理矢理やられたんだとは思うが……」

僕っ娘「今の言葉はいただけないな?」つ媚薬

根暗「あの……僕っ娘……そのね」アセアセ

僕っ娘「僕の家に行こうか?」

僕っ娘「誰がご主人様(こいびと)か思い出させてあげるよ?」クククククク

腐女子「メイド先輩……この展開は狙い通りですか?」フヒヒヒ

メイド「狙い通りっすよ」フフフ

【図書館】
秀才「そんな……そんなことが許されるのか!?」

優等生「触手魔術は稀少な魔術でもある。 保持するためには仕方ないだろう?」

秀才「……四大元素家に倫理を語る資格が無いことが解った」

優等生「倫理……魔術社会の善悪を決めるのは今や四大元素家だ」

秀才「違う……善悪というものは一人一人が作るものだ」

優等生「……議論するだけ無駄だな」つ忘却薬

秀才(恐らく瓶の中身は忘却薬か? 図書館は一階……肉体強化して窓から出て、沼魔術で足止めすれば逃げられr)

ドンッ

秀才「後から……だと?」

秀才(しまった……もう一人いたのか)バタン

優等生「……ボウズ、ご苦労」

ボウズ「……」ペコ

ボウズ【1-Bの生徒。 古くから四大元素家火魔術家の武術指南役を務めてきた肉体強化魔術の家系の出身】

優等生「……後は忘却薬を飲ませるだけ……待てよ、これは」ガサガサ

ボウズ(秀才先輩のポケットからメモ?)

優等生「書記魔術……忘却薬を飲まされることを予期して話した内容をメモしていたのか」

ボウズ「この男は何者なんです? 土魔術家の間者の可能性は」

優等生「……無いな。 頭の良い一般人だ」

優等生「忘却薬を飲ませる。 ボウズ、作業が済んだら秀才を保健室に運んでおいてくれ」

ボウズ「……」コクン

【保健室】
秀才「……頭が痛いな」

養護教諭「起きたか……もう暗いから、さっさと帰りな」

秀才「もう少し、心配してくださいよ。 先生」

養護教諭「俺がここで働いているのは可愛い妹に変な虫がつかないか見張るためだ」

養護教諭「他の生徒には関心が無い」

秀才(……そう言えば、おさげさんと兄妹だったな)

秀才「それでは……失礼します」

秀才(……頭が痛いが)

(覚えているぞ!!)

【一学期・2-C】
僕っ娘「秀才、僕と根暗が二人でテスト勉強出来るように計らってくれたら、好きな薬を調合してやろう」

秀才「ほう、良いだろう」

ポニテ「何、買収されてるの? まぁ、私も協力するけどさ」

僕っ娘「とは言っても、どんな薬でも調合できるわけじゃないがな」

秀才「……忘却薬を無効化する薬とか、作れるか?」

僕っ娘「あぁ、作れるが……何でそんな薬を?」

秀才(この前の病院での事件を深く追求したら、忘却薬を使われるかも知れないからね)

秀才「ただの知的好奇心さ。 契約は成立だな」

【現在・秀才帰路】
秀才「……少し、真実に近付いたな」

秀才(根暗がどんな存在だとしても……俺が守る)キリ

【屋上】
水晶≪僕っ娘を返さないなら……死んじゃえ≫

丸眼鏡「……これでも火の若は根暗は危険性が低いと?」

お嬢「……」

オタク「……触手魔術の危険性は理解した」

オタク「だが、それが根暗の危険性と言うわけではない」

丸眼鏡「……どう意味?」

オタク「火炎魔術を使えても、人に向かって放たなければ傷付けない」

オタク「肉体強化が使えても、人を殴ならければ怪我をさせない」

オタク「例え、触手魔術に魔術社会を崩壊させる力があっても……俺がこの火の若がそうは使わせない」

オタク「根暗の友としてな」

本日はここまで

【魔術学園・2-D】
お嬢(……根暗さんのあの姿)

『僕っ娘を返さないなら……死んじゃえ』

お嬢(若様には悪いですが……私には化け物に見えてしまいましたわ)ハァ

メイド「お嬢」

お嬢「何かしらメイド……きゃっ」ドン

おさげ「いたっ!」

メイド「おさげに当たりそうっすよ?」

お嬢「当たる前に教えてくださらない? 全く……おさげさん、申し訳ありません」

おさげ「いえ、私も考えことしてまして……すみません」

オサゲー

お嬢「考えこと?」

オサゲーー

おさげ「えぇ……兄のことを」

養護教諭「おさげ! 何があった無事か!?」

メイド「い、今の悲鳴を聞いて駆け付けて来たんっすか?」

養護教諭「お嬢さんよ、うちのおさげにぶつかるとは良い度胸じゃねぇか? あぁん?」

お嬢「ひっ!」

召使い「待ってください! ぶつかったのはお互い様でしょう?」

おさげ「そうだよ、お兄ちゃん」

養護教諭「おさげ! 怪我してないか? 足擦りむいたりしてないか? 頭痛くなったりしてないか?」

お嬢「……何ですのこの人は」

メイド「重度の……シスコンっすね」

おさげ「お嬢さん、本当にうちの兄がごめんね」

お嬢「気にしてませんわ。 妹想いの良いお兄さんですね」

おさげ「うん、優しいお兄ちゃんなんだけど……はぁ」

メイド「どうしたんっすか?」

おさげ「さっきみたいに私が少し怪我しただけでも大騒ぎするの」

おさげ「私は回復魔術は得意なのに……」

メイド「なるほど、うちの召使いみたいなもんっすね」

召使い「なっ! 俺は彼処まで酷くないぞ?」

お嬢「同じようなものですわ」

召使い「お、お嬢様……」ガーン

おさげ「シスコンに効く薬でもあれば良いんだけどね」ハハハ

お嬢「良ければ僕っ娘に聞いてみましょうか?」

メイド「お嬢、おさげは冗談で言ってるんっすよ? そういうのを察しないから美人の割りに友達が少ないんっす」

召使い「メイド! 口が過ぎるぞ!!」

お嬢「良いんですわ。 メイド、美人の癖に友達が少ない理由を教えていただき感謝しますわ」

メイド「自分で美人とか言うところも要因っすね」

召使い「メイド! 追い討ちをかけるな!!」

おさげ「ははは……そうだよね。 そんな都合の良い薬無いよね」ハァ

【理科室】
僕っ娘「あるぞ」

お嬢・おさげ「な、なんだってーーー!!」

僕っ娘「近親相姦を避ける機能として、似た遺伝的形質を持つ人間を避ける機能があるんだが、魔法薬でその機能を強化するモノがあってだな……」

おさげ「魔法薬ってすごい!!」

僕っ娘「そ、そうか? ふふふ、そう言われると気分が良いな」

召使い「本当に上手くいくのか?」

僕っ娘「疑われて一気に気分が悪くなった」

お嬢「召使い! 謝罪しながらスクワット100回ですわ!!」

メイド「召使い! ファイト!!」

召使い「」

僕っ娘「そこまで調合も難しく無いし、あの姉妹で試してみようか」

【美術室】
三編み(さっきの僕っ娘先輩からの差し入れ美味しかったな♪)

腐女子「三編みちゃん、筆が止まってるけどどうしたの?」

三編み「何でもないよ……ここの色合いはもう少し現実味があるものにした方が良いかな?」

腐女子「生々しい方が個人的には好きだね。 このア●ルに入ってる触手とかリアルで良いと思う」フヒヒヒ

三編み「ありがとう。 そこは一番こだわったんだ」アハハ

美術部長(彼女達は何を描いているんだ)ウェッ

ガラガラ

ポニテ「三編み、いる? ちょっと聞いてほしいことがあるんだけど」

三編み「何? また、僕っ娘さんと喧嘩した……」ガタガタ

ポニテ「そうなのよ! 最近、私が根暗と話す距離が近いだけで怒るから……どうしたの?」

三編み「……さい」

ポニテ「はぁ?」

三編み「お姉ちゃん……臭い」シッシッ

ポニテ「」

【美術室前】
僕っ娘「どうだ? 効果覿面だろ?」

お嬢「僕っ娘、喧嘩しているからって……」

僕っ娘「何のことだが」フン

メイド「何で腐女子がいるっすか?」

腐女子「三編みちゃんに誘われて、美術部に入ったんですよ」フヒヒヒ

メイド(美術部長先輩……可哀想)

おさげ「これなら、シスコンの兄を撃退出来るかも知れません」グッ

お嬢「そこまで嫌でしたのね」

僕っ娘「では早速、おさげの兄にも……」

「そうか……あんたの薬のせいか」ゴゴゴゴゴゴゴ

ポニテ「僕っ娘!!」

僕っ娘「なっ!? 僕の根暗に触れるのが悪いんだ!!」

ポニテ「糸屑取ってあげただけじゃない!!」

おさげ「この薬、美味しいです」ゴクン

僕っ娘「なっ! 何で君が飲んでいるんだ!?」

おさげ「へ?」

僕っ娘「飲んだ方が家族を臭がるんだ。 兄に飲ませないと意味無いだろ?」

おさげ「……あ」

【理科室】
根暗「……?」

召使い「申し訳ありません、申し訳ありません」フンッフンッ

オタク「根暗、ドアの前に立ち止まって何してるでござるか?」

根暗「えっと……召使いが……その……」

召使い「申し訳ありません、申し訳ありません」フンッフンッ

オタク「……何でござるか? これ」

根暗「解らない……でも、すごい悲しい顔をしてる」フンッフンッ

オタク「いや、何で根暗もスクワットを!?」

根暗「だって、何か……その、一人でしてたら可哀想じゃん」フンッフンッ

召使い「申し訳ありません、ありがとう、申し訳ありません」フンッフンッ

根暗「申し訳ありません、申し訳ありません」フンッフンッ

オタク「……何の儀式だこれは」ハァ

召使い「……と言うわけだ」

オタク「なるほど、それは災難だったな」

根暗「……はぁはぁ、疲れた」

召使い「もうすぐお嬢様とその他が帰ってくる」

召使い「恐らく、俺達は養護教諭捕獲作戦に駆り出されるぞ?」

根暗「なるほど」

オタク「なるほど」

養護教諭「なるほどな」

根暗・オタク・召使い「」

養護教諭「面白そうな話をしてんじゃねぇか?」

【美術室】
僕っ娘「さて、どうやって飲ませるか? おさげさんならば警戒されずに飲ませれると思っていたが」

おさげ「ごめんなさい……」シュン

お嬢「解除薬は無いのですの?」

僕っ娘「1つ用意していたが、ポニテに取られてしまった」

ポニテ「もう臭くない? ねぇ、もう臭くない?」

三編み「……うん、大丈夫だよ」スンスン

腐女子「フヒヒヒ、GLもいけるんですよね! サーセン!!」ハァハァ

タッタッタッタッタッ

召使い「お嬢様!」ハァハァ

お嬢「召使い、どうしましたの?」

召使い「そ、それが薬のことが養護教諭先生にバレてしまいまして」

おさげ「そんな……」

召使い「今、オタクと根暗が捕まえようと追いかけています」

お嬢「召使い、貴方もすぐに追うのです! 捕まえられなかったら……謝罪スクワット500回!!」

メイド「それを校庭の真ん中でしてもらうっす」

召使い「……行って参ります」グスン

【校舎裏】
オタク「……養護教諭先生、追い詰めたでござるよ?」

根暗「はぁはぁ、スクワットの後に……追いかけっこは……辛い……」

召使い「謝罪スクワットはもう嫌だ」グッ

養護教諭「追い詰められた? 人目に着くところで教師が生徒に手をあげるわけにはいかんだろ?」スッ

オタク「デュフフフ、拙者達に勝てるでござるかな?」

召使い「土中生物釣り上げ隊新入隊員、召使い!!」

オタク「土中生物釣り上げ隊副隊長、オタク!!」

根暗「ど、土中生物釣り上げ隊隊長、根暗!!」

オタク「我ら、土中生物釣り上げ隊四天王に……あふん」

養護教諭「……ガキ共、あんまり大人を舐めんなよ?」

根暗・召使い「副隊長ーーー!!」

養護教諭「ガキの割りには強い方かも知れないが……ガキはガキだな」

養護教諭「ここの教師になる資格知ってるか?」

養護教諭「生徒5人以上が暴動を起こしても、5分以内に鎮圧出来ることだ」ギロ

召使い「う、うぉぉおおお!!」シャキーン

養護教諭「水のサーベルか……危ないモノ振り回すなよ」ドンッ

召使い「うぉぉおお……あふん」バタッ

根暗「し、新入隊員ーーーー!」

養護教諭「残るはお前だけだな……隊長さんよ」

根暗「……先生、オタクの話をちゃんと聞いてなかったでしょ?」

養護教諭「何?」

根暗「……僕達は、土中生物釣り上げ隊四天王だ」キリ

養護教諭「……四天王?」

グチャ

養護教諭「クソッ……そういうことか? お前らはこの魔術が準備出来るまでの時間稼ぎだったわけだな」

養護教諭「沼魔術なんて渋い魔術を使うな……秀才」

秀才「Exactly!俺だ!!」

根暗「せ、先生の敗因は妹にばかり執着して他の生徒をちゃんと見ていなかったこと……だと、あの、思います」オドオド

養護教諭「はぁ、勝った奴がオドオド喋ってどうする」

養護教諭「だが……お前の言う通りだな」

『養護教諭、今日から君はおさげの兄だ』

『養護教諭、私達は忙しい。 おさげの面倒を頼んだぞ?』

『兄として、おさげをしっかり守ってやってくれ』

養護教諭「……両親ともに回復魔術を極めた医者でな、忙しくて殆ど家に居なかった」

養護教諭「俺は何時もおさげの面倒を任されていた

養護教諭「そのうち、俺が家族でいれる理由が……おさげの面倒を見れるからだと思うようになった」

根暗(……家族でいれる理由?)

養護教諭「おさげといれるように強くなり、おさげを守れるように強くなってきたつもりだったが……根暗、お前の言う通りだな」

養護教諭「生徒に言われちまうとは……俺が間違ってたよ」フゥ

根暗「せ、先生はおさげさんを守る為だけにそんなに強くなったんですか……?」

養護教諭「……」

根暗「ぼ、僕は間違って無いと、その……思います」

根暗「先生は負けただけで……間違ってはない、と思います」

根暗「誰かの為に強くあろうとすることが間違ってる何て……その、哀しいから」

養護教諭「……ありがとう、根暗」

養護教諭(妹以外の生徒にも……もっとちゃんと目を向けるべきだな)ハァ

「お兄ちゃん……」

養護教諭「おさげ……今まで悪かったな」

おさげ「お兄ちゃん……何で、お兄ちゃんを臭く感じないの?」ポロポロ

養護教諭「……」

おさげ「……お兄ちゃんは」

養護教諭「……俺はお前の本当の兄ではない」

養護教諭「俺は子供が出来なかったおさげの両親に養子として引き取られた」

養護教諭「跡継ぎとして回復魔術を叩き込まれたが、引き取られてすぐにおさげが産まれて……俺は用済みとなってしまったわけだ」

おさげ「……」

養護教諭「俺が家族でいるために……おさげを愛し、お前を守ろうと決めた」

養護教諭「結局、自分の為にやっていたに過ぎないな」

おさげ「……それでも、お兄ちゃんが私を守ってくれたことには変わらないでしょ?」ギュ

秀才(沼の中で抱き合っている……)

おさげ「ありがとうね、お兄ちゃん」

養護教諭(……何だ、心配しなくても彼女はちゃんと俺を家族と思ってくれているじゃないか)フフフ

おさげ「ところで……本当の兄妹じゃないんだよね」ハァハァ

養護教諭「ん?あぁ……そうだが?」

おさげ「じゃあ、もう我慢しなくて良いよね?」ハァハァ

養護教諭「」

召使い「イタタタ……これはどういう状況だ?」

お嬢「召使い、ご苦労様」

お嬢「どうやら、おさげさんの悩みといいますのは」

僕っ娘「大好きな(異性として)お兄ちゃんがシスコンで、これ以上近付かれるのは辛い……と言うことだったらしい」

養護教諭「止めろ! おさげ!! 沼の中に手を突っ込んでそんなところを……アァ」///

根暗「オタク……この学園の女子には変態しかいないのかな?」トオイメ

オタク「……否定できない」トオイメ

【翌日】
養護教諭「オタク、お前は火魔術を使える状況なら俺と対等以上に戦えるだろう」

養護教諭「だが、使えない状況の場合動きに無駄が多い。 火魔術が使えない場合に補う何かを身に付けろ」

オタク「解ったでござるよ!」

養護教諭「召使い、単純な武術だけならお前が一番この中で強い。 」

養護教諭「だが、感情的になりやすく動きが単純になる傾向がある……どんな時でもまず落ち着け」

召使い「はい! ありがとうございます」

養護教諭「根暗、お前はそもそも型と言うものが出来てない。 触手との組み合わせも考えて型を作ってみろ」

根暗「は、はい」

養護教諭「秀才は……えっと、うん、頑張れ」

秀才「扱い雑すぎません!?」

僕っ娘「……何だあれは」

お嬢「土中生物釣り上げ部……らしいですわ」

僕っ娘「……土中生物と関係無い特訓してないか?」

メイド「そもそも、部の申請には部員5人と顧問が必要っすよね」

ポニテ「顧問は養護教諭先生として……部員は根暗君、オタク、召使い君、秀才よね」

秀才「マネージャー……水!」

おさげ「はい」ニコ

土中生物釣り上げ部設立!!
≪部長・根暗、副部長・オタク、部員・秀才&召使い、マネージャー・おさげ、顧問・養護教諭≫

本日はここまで!

三編み「遂に……出来たね」

腐女子「あぁ、私達の努力の結晶だね」フヒヒヒ

同人誌≪土中生物釣り上げ部合同同人誌≫

三編み「腐女子ちゃんが描いた召使い×オタクすごいよ」

腐女子「いやいや、三編みが描いた根暗総受けシリーズの方が読み応えがあって良いよ」フヒヒヒ

美術部員A「私としては秀才触手姦が良いなぁ」←♀

美術部員B「私はね~……」←♀

ワイワイ

美術部長(……もう嫌だ、この美術部)←♂

【3-D】
美術部長「……はぁ、どうしたものか」

放送部長「ありゃりゃ、美術部長。 どうしたの?」

美術部長「放送部長……実は美術部が大変なことになっていてな」

放送部長「良かったら話聞くわよ? この歌って踊って、お悩み相談も出来る学園アイドル! 放送部長がね☆」ウィンク

美術部長「ははは、君は何時でも元気だな」

美術部長「……実は最近、新しい部員が入ってきてね。 その子の影響で美術部の方向性がおかしな方に」

放送部長「ありゃりゃ、まぁ、何処の部にもトラブルメーカーっていうのはいるものね」

美術部長「全くだ……はぁ、腐女子には困ったものだ」

放送部長「腐女子? その腐女子ってもしかしてBLが大好きで、実はGLもいけてフヒヒヒって笑うあの腐女子?」

美術部長「あぁ、そうだが……知り合いか?」

【食堂】
放送部長「よろしいのですか?」

丸眼鏡「……」モキュモキュ

机の上≪大盛カツカレー、豚骨ラーメン、鶏の照焼、シーザーサラダ、他3点≫

丸眼鏡「……ゴクン。 大丈夫、私なら全部食べきれる」

放送部長「昼食の話ではありません! 腐女子の話です!!」

丸眼鏡「声が大きい。 腐女子が美術部に入りたいと申請してきたから許可を出しただけ」

放送部長「どうして……あまり、自由にすべきではないと思います」

丸眼鏡「……火の若曰く、危険な力を持っていてもそれを使わなければ良いらしい」

丸眼鏡「ならば、腐女子がそれを使えない状況を作れば良い」

放送部長「それが美術部への入部を許可したわけですか」

丸眼鏡「そう」

放送部長(……人との繋がりを持てば死霊術を使いにくくなるということか?)

丸眼鏡「私は風読み術の結果に従ったまで……食事に戻っていいか?」

放送部長(……あくまで占いの結果なのですね)ハァ

【美術部】
ガラガラ
美術部長(……はぁ、部活に行くのがここまで憂鬱になるとは)

美術部長「なっ!?」

美術部員A「どんなもんよ!!」

腐女子「うわぁ!パネェです!! 」

三編み「彫刻でリアルにこんな[Pー!]が[Pー!]している養護教諭先生を作り上げるとは……流石です!!」

美術部長「……君達は何をしてるんだ?」

美術部員B「私だって負けてないわよ!!」

腐女子「す、すごい……墨だけで風来坊の暴れん棒が生徒会長の目安箱に投函されてるのを表現している」

美術部員A「や、やるわね……美術部員B」ゴクリ

美術部長「いや、本当に何をしているんだ! ちゃんと部活をだな!!」

三編み「そうですね。 では、今日はヌードデッサンをしましょう!」

美術部長「……ヌードデッサン」タラリ

女子部員A「ということで……」

女子部員B「美術部長……」

腐女子「脱いでください」フヒヒヒ

イヤァーーーーーーー!!

【風魔術家のお屋敷】
丸眼鏡「……ふむ」

放送部長「ご主人様、何を見ているんですか?」

丸眼鏡「腐女子に美術部で行ったことを報告するようにと伝えたんだが……」

絵≪美術部長の痴態≫

丸眼鏡「…………自由を与えすぎたかも知れない」

放送部長「……美術部長、可哀想に」ナム

【美術部長の家】
美術部長「……」ドヨーン

美術部長(このままでは本当に美術部が崩壊してしまう。 何とかしなければ……)

美術部長「……はぁ、気晴らしに絵でも描くか」

美術部長(何を描こうか……抽象画も良いな。 果物のスケッチも良いが……)

美術父「……また、絵を描いているのか?」

美術部長「父さん……」

美術父「魔術師に絵など不要だと何時も言っているだろ?」

美術部長「……父さんには関係無いだろ」

美術父「全く、絵の練習をするぐらいならしっかり魔術の鍛練をだな……」

美術部長「魔術師に必要なくても、僕には絵が必要なんだ!!」バンッ

美術父「……フンッ、もう知らん。 好きにしろ」

【3-D】
美術部長(……はぁ、昨晩はあまり寝れなかった)

放送部長「大丈夫? 大分お疲れのようだけど……」

美術部長「あぁ、心配してくれてありがとう……少し絵を描きすぎてね」

クラスメイト「ねぇねぇ、美術部長君」

美術部長「何だい? クラスメイトさん」

クラスメイト「美術部長君も……こういう絵を描くの?」ドキドキ

同人誌≪土中生物釣り上げ部合同同人誌≫

美術部長「」アングリ

放送部長「うわぁ……うわぁ……」

美術部長「こ、ここ、これを何処で手に入れた!?」

クラスメイト「えっ?購買近くで美術部の人たちが販売してたよ」

美術部長「な、何しとんじゃ!!」ダッ

放送部長「……鬼の形相だったね」

クラスメイト「うん」ビクビク

【2-D】
お嬢「……うわぁ、ですわ」

メイド「お嬢、なに読んでるんっすか?」

お嬢「若様が表紙に載っていたから買ってみたのですが……うわぁですわ」

メイド「……あぁ、腐女子達が描いてたヤツっすね」

お嬢「メイド……貴女は腐女子さんとは仲が良いの?」

メイド「まぁ、同族だとは思ってます」

お嬢「えっ! メイドもBLが好きn」

メイド「そういう意味じゃ無いっす」

【第一回3P会議後】
僕っ娘「今晩は帰れないと……いや、眠れないと思ってもらおう」

根暗「は、はい……」ドキドキ

メイド「僕っ娘と根暗は仲良いっすね」

腐女子「……」

メイド「腐女子……どうしたっすか?」

腐女子「私は……丸眼鏡にあまり人と関わるなと命じられておりまして」

腐女子「この会議への参加も……頼み込んで何とか許可が貰えて……何と言うか」

腐女子「少し……羨ましいです」

メイド「そうっすか……」

【現在・2-D】
お嬢「……止めた方が良くなくて?」

メイド「良いんじゃないっすか? 本人が楽しいなら」

メイド(腐女子、良かったっすね)

【購買前】
腐女子「まいどあり!」

三編み「ありがとうございます!!」

腐女子「もう少しで完売だね!」

三編み「うん♪」

三編み「……ねぇ、腐女子ちゃん」

腐女子「何? どうしたの?」

三編み「腐女子ちゃんは今楽しい?」

腐女子「……うん、楽しいよ。 三編み、美術部に誘ってくれてありがとうね」

コラァーーーーーーー!!

美術部長「……はぁはぁ、やっぱりお前らか」

三編み「ぶ、部長……一冊買われますか?」アセアセ

腐女子「どぞどぞ」つ同人誌

ビリビリ

三編み「」

腐女子「」

美術部長「この際だ、はっきり言っておこう……美術部はなBLモノの同人誌を描く場所じゃない!!」

三編み「ぶ、部長の言い分も解りますが……ここまでやることは」

美術部長「これ以上、美術部の邪魔をしないでくれ」

腐女子「じゃ、邪魔なんか……」

美術部長「いいか、腐女子……美術部にはな」

「お前の居場所なんて無いんだ!!」

腐女子「……」ダッ

三編み「部長……言い過ぎです」

美術部長「……三編みちゃん、何で彼女を美術部に引き入れたんだ?」

三編み「彼女が……寂しそうだったから」

美術部長「寂しそうだった?」

三編み「夏休み、ひょんなことから知り合って、仲良くなったんです」

三編み「二学期に入ってもう一度語り合いたいと思って彼女の教室に言ったんですが……」

【先日昼休み・1-A】
三編み(……腐女子ちゃん、いるかな?)キョロキョロ

腐女子「……」ボー

三編み(一人で空を眺めてる……?)

三編み「腐女子ちゃん、何してるの?」

腐女子「み、三編み……だっけ?」

三編み「覚えててくれたんだ。 それで、何してたの?」

腐女子「空を見ていたの……私は誰とも関わったらいけないから」

三編み「……どういう意味?」

腐女子「……詳しくは話せない。 でも、私は居場所を求めたらいけないの」

三編み「……そんなこと無いよ」

腐女子「事情も知らないくせに勝手なこと言わないで」

三編み「むっ」チョコン

腐女子「……何で前に座るの?」

三編み「私の大好きな先輩が言っていたんだ、自分が嫌なことに正直になることが強さだって」

三編み「私は腐女子ちゃんを放っておくのが嫌になった」

三編み「腐女子ちゃんが嫌がっても、誰かが邪魔してきても、私は腐女子ちゃんを一人にしない」

三編み「無理矢理でも居場所を作ってみせる」

丸眼鏡「……」

腐女子「何で、そこまで……」

三編み「私は強く在りたいの! だから、腐女子ちゃんも一緒に強くなろ」ニコ

腐女子(……自分の嫌に正直に、か)

腐女子「……私、本当は……居場所が欲しい」

三編み「任せて! う~ん、やっぱり部活とか始めるのが良いかな?」

三編み「……あっ!美術部に来ない?」

【現在・購買前】
美術部長「……彼女に事情があるのは解ったが、それでも美術部としての活動を邪魔してることには変わらない」

「誰が邪魔してるって?」

美術部員A「腐女子ちゃんが入部してから毎日楽しんだけど?」

美術部員B「あの子、想像力豊かだから話しててインスピレーション湧くのよね」

美術部長「……」

三編み「部長を悪者扱いする気はありません。 仰ってることももっともだと思います」

三編み「確かに、美術部には腐女子ちゃんは要らないのかも知れません」

三編み「それでも、腐女子ちゃんには美術部が……居場所が必要なんです!!」

『魔術師に必要なくても、僕には絵が必要なんだ!!』

三編み「お願いします……彼女から居場所を奪わないでください」

美術部長「……」

三編み「迎えに行ってきて……良いですか?」

美術部長「……駄目だ」

三編み「部長!!」

美術部長「僕が……行ってくる」

『死霊術使いだって』

『気持ち悪いよな?』

『死体愛好家だったりするんじゃねぇ?』

『気持ち悪いヤツ』

『シッシッ、向こう行け! 死臭が移る』

『この世にお前の居場所なんて無いんだ』

【屋上】
腐女子(どうせ……私には居場所なんて無いんだ)

腐女子「……私なんて」

美術部長「腐女子、ここにいたのか?」

腐女子「部長……美術部の邪魔をしてすみませんでした」

美術部長「全くだ。 先程も言ったが美術部は同人誌を描く場所ではない」

腐女子「はい、本当に……すみません……もう、ほうっといて下さい……私には居場所なんて……最初から無いんですから」

美術部長「だからさ」

「風景画を描いてみないか?」

腐女子「……へ?」

美術部長「自分が気に入った風景を順番に描いていくんだ。 描けば描いた分だけ自分の世界が広がっていく」

腐女子「でも、私、そんなの描いたことないです」オロオロ

美術部長「じゃあ、僕が教える。 君の好きな風景を、君の隣で僕も一緒に描こう!」

美術部長「君が好きだと思った景色は間違いなく君の居場所なのだから」ニコ

腐女子「私も……居て良いんですか?」

腐女子「私も……皆さんと居て良いんですか?」ポロポロ

美術部長「酷いことを言って悪かった」

「一緒に描こう……君の居場所をね」

【風魔術家のお屋敷】
丸眼鏡「……ふむ」

放送部長「ご主人様、また腐女子の絵を見てるんですか? 目が腐りますよ?」

丸眼鏡「いや、今回は男の絵ではない」

放送部長「え? これは……教室ですかね? あぁ、美術室ですね」

放送部長「あの子……何でこんな絵を描いたんでしょう?」

丸眼鏡「解らない」

丸眼鏡(だが、この絵を持ってきた時の腐女子の顔が……)

腐女子『丸眼鏡、描いた絵を持ってきたよ』

丸眼鏡(どうしても、私の頭から離れない)

丸眼鏡「……私は間違っているのだろうか」ボソッ

頭に何となく浮かんだので、もう1話書き込みました

【森の小屋】
チュンチュン
根暗「……むぅ、朝か」ファア


根暗「おはよう、お爺ちゃん」

触手爺「ん」

根暗「今日も部活の朝練だから、早く出るね」

触手爺「ん」

根暗「僕は部長だからね! 遅れるわけにはいかないんだ」エッヘン

触手爺「ん」ナデナデ

根暗「こ、子供扱いしないでよ……」

触手爺「フッ」

根暗「お爺ちゃん…………今日はよく喋るね」

触手爺「あぁ」

根暗「……あっ、今日は収穫の日か」

触手爺「ん」

根暗「だから機嫌が良いんだ。 今日は研究会休んで早めに帰ってくるよ」

触手爺「いや」

根暗「一緒に……収穫したいな」シュン

触手爺「ん」ナデナデ

根暗「ははは、じゃあ早く帰ってくるね」

触手爺「……根暗、気を付けてな」

根暗「うん! いってきます」

根暗(本当に今日はよく喋るな)

【魔術学園食堂・昼休み】
僕っ娘「何! 今日は研究会を休むだって!?」

根暗「え、あの……駄目、かな?」

僕っ娘「駄目ではないが……午後からの授業、僕は何を心の支えに耐えれば良いんだ」

オタク「デュフフフ、僕っ娘殿は大袈裟でござるな」

ポニテ「嫌、多分ガチで言ってるわよ」ハァ

僕っ娘「理由を言え! また、3Pをしに行くのか!!」

オタク・ポニテ(3P?)

根暗「今回はさ、3Pじゃないよ」

オタク「その3Pとは一体……」

ポニテ「あんた、僕っ娘というものがいながら何してんの?」ギロリ

根暗「いや、あの……その」ビクビク

僕っ娘「3Pじゃないなら、何だ?」

根暗「家の手伝いを……しないと行けなくて」

僕っ娘「家の手伝い?」

【根暗の通学路】
秀才「つまり、住んでいる小屋の裏にある畑の収穫を手伝うために早く帰らないといけないってことか」

根暗「そういうこと」

僕っ娘「……僕達も手伝うことにしたわけだが、秀才が何でいるんだい?」

秀才「何で僕っ娘は僕達に俺をいれてくれないんだい?」

秀才「そもそも、昼食も呼んでくれたら良かったのに」

根暗「魔法薬研究会の文化祭についての打ち合わせが目的だったから……その、呼んでもつまらないかなと」

オタク「秀才がいてもつまらないとは……根暗も言うようになったでござるな」デュフフフ

秀才「」

根暗「そういう意味じゃないよ」オロオロ

ポニテ「秀才君がいようがいまいがどっちでも良いから、それより根暗が通ってるゲートはまだなの?」

秀才「」グスン

根暗「もうちょっと……あ、ここ入ったところ」

秀才(ここって路地裏じゃないか)

僕っ娘「……こんなところにゲートがあったとは、知らなかったな」

根暗「ゲートを越えたら、その、すぐだから」

【森の小屋】
ポニテ「……何だかすごいボロい小屋ね。 あぁ、農具置き場?」

根暗「ぼ……僕の家」シュン

秀才(本当に隔離されて暮らしているんだな)

僕っ娘「ポニテ、僕の髪乱れてないか? 服、汚れてないか?」ドキドキ

ポニテ「大丈夫だけど……どうしたの?」

僕っ娘「義祖父様に会うのに失礼があったらいけないだろう?」

ポニテ「はいはい、そうね」

ギィ

触手爺「……」ギロリ

オタク(……この人が)タラリ

ポニテ(何だか凄い睨まれてる)

僕っ娘(根暗とそっくりだな)

秀才(……ふむ)

根暗「魔法薬研究会の皆と僕の友達の秀才も収穫を手伝ってくれるって」

触手爺「ん」

根暗「ありがとう。 小屋にある道具好きに使って良いってさ」

ポニテ(今ので何が伝わったの?)

【農場(小屋の裏)】
ポニテ「農場広い! これ、一人で耕したんですか?」

触手爺「ん」ニョロン

秀才「なるほど、触手魔術を使って耕したんですね」

触手爺「ん」ニョロン ニョロン

ポニテ「……触手を使ってどんどん人参を抜いてる」

根暗「ふふふ、僕のお爺ちゃんは凄いでしょ」フンス

ポニテ(根暗はお爺ちゃんっ子なのね)

秀才「ほぼ、自給自足の生活を送っているんだな……肉とかはどうするんだ?」

根暗「この森は動物が多いから、人参とかを放っておくとね」ポイッ

ダダダダダダダダダ

大猪「ブォオオオオオ!!」ダダダダ

根暗「向こうから来てくれるんだ」ニョロン

大猪「」ギュウ

根暗「お爺ちゃん、猪捕まえたよ」

触手爺「ん」

根暗「解った、血抜きをしてくるね」

ポニテ(だから、どうして伝わるの?)

グイグイ
根暗「ひゃっ! ……僕っ娘か。 どうしたの?」

僕っ娘「血、血抜きに行く前にちゃんと僕を紹介してくれないか?」ドキドキ

根暗「そ、そうだね……」

根暗「お爺ちゃん……彼女が前に話した僕の恋人の……」

僕っ娘「僕っ娘と言います! 御孫さんを僕にください!!」

根暗(何言ってるの!?)///
僕っ娘(何を言ってるんだ、僕は)///

触手爺「……」スタスタスタ

ガチャン

僕っ娘(小屋の中に戻ってしまった)ズーン

ガチャン

触手爺「ん」つ袋

僕っ娘「あの……義祖父様、これは?」

袋の中≪魔法薬の素材≫パンパン

僕っ娘「なっ! 凄い! 貴重な素材もある!! なっ! このキノコは前から欲しかった……良いんですか?」キラキラ

触手爺「ん」

僕っ娘「義祖父様……」キラキラ

ポニテ「僕っ娘、良かったね」

根暗「……血抜きに行ってくるね」ムス

オタク(……自分の祖父にも嫉妬するか)

【森の湖】
根暗「……」ドスドス

大猪「」

オタク(逆さに吊らした大猪を刺触手で刺してるな)

オタク「根暗……最近おかしいぞ?」

根暗「何が?」

オタク「……風来坊と戦った記録を見させて貰った」

根暗「……向こうから仕掛けてきた」

オタク「あぁ、悪いのは風魔術家だ」

オタク「だが、俺が知っている根暗はあんな戦い方をする奴でも、出来る奴でも無かった」

根暗「正直……あんまり、覚えてないんだ」

オタク「……」

根暗「僕っ娘が奪われて、頭の中に血が昇って……何だか……」

「触手に支配された気分になった」

【農場】
僕っ娘「義祖父様の為に頑張るぞ!」スポンスポン

ポニテ「あんまり無理しちゃ駄目よ? あんた、体力無いんだから」

僕っ娘「うぉぉおおお!」

ポニテ「聞いてないし」ハァ

秀才(僕っ娘とポニテは収穫に夢中になってるな。 オタクは血抜きについていったか)チラ

触手爺「……」ニョロン ニョロン

秀才(聞くなら今しかないか)

秀才「お爺さん……少しお話し良いですか?」

オタク「触手魔術は強力な魔術だ」

根暗「……うん」

オタク「だが、四大元素家が一級危険魔術に定めた理由は単に強いからというわけでは無い」

根暗「……?」

オタク「触手魔術は……世界を征服仕掛けたことがある」

『その魔術師はある魔術を用いて世界征服を目論んでいた……いや、実際に世界の3割りは征服された』

根暗「世界の3割りを支配した魔術……」

オタク「あぁ、それが触手魔術だ」

オタク「その触手魔術師は愛する者の病気を治すために世界手に入れようとした」

根暗「病気を治すため……どういうこと?」

オタク「不治の病だったんだが、誰かが治療方法を隠しているという被害妄想に取り憑かれていたらしい」

根暗「そんな……おかしな話が」

オタク「自分の祖父に嫉妬しているお前も十分おかしいよ」

オタク「世界を征服しようとしたイカれた男もお前と同じことを言ったんだ」

オタク「触手に支配された気分になった、とな」

オタク「火魔術家はその言葉を受けて触手魔術を研究したが、魔術が行使されるまでの機構が全く解らなかった」

根暗「どういうこと?」

オタク「根暗が操っている触手が何処から来たのか解らないってことだ」

オタク「他所から召喚したわけでもなく、小さな触手を急成長させたわけでもない」

オタク「……そんなわけの解らない存在(触手)に支配されて暴走されたら危険と見なすしか無いだろ?」

根暗「お、オタクは……その、僕のことを……」

オタク「俺はお前を守りたい」

根暗「……」

オタク「だから、根暗……頼むから、触手に負けないでくれ」

【農場】
秀才「触手魔術が世界を征服しかけたという話は……本当ですか?」

触手爺「……」

秀才(教えてくれないか……)

触手爺「何処まで知っている?」

秀才「!?」

秀才「触手魔術が世界の3割りを支配したこと、それが原因で一級危険魔術に指定されたこと……そして」

「根暗が世界を征服しかけた男の細胞から作られたホムンクルスだということ」

触手爺「……ん」

秀才(小屋の中で話そうと言うことか?)

【森の小屋】
秀才「……」

触手爺「……どう思った?」

秀才「四大元素家には正直憤りを感じました。 根暗に対しては……だから何だ、と思いました」

触手爺「?」

秀才「彼がどのような存在でも、俺は彼の一言に救われた……その事実は変わりませんから」

触手爺「……」

『お爺ちゃん、新しい友達が出来たんだ』

『秀才って言って色々な事が出来るヤツで……いや、きっと出来るようになったヤツなんだろうけど』

『とっても良いヤツなんだよ!』

触手爺「……そんなに古い話じゃない」

秀才「……?」

触手爺「私の事だからね」

秀才「私のこと? ……世界を征服しかけた魔術師は貴方なんですか?」

触手爺「……ん」

『きっとこの街なら彼女の治療法が見つかる』

『何で見つからないんだ?』

『何で、何で見つからない』

―誰かが隠しているのか?

『誰が隠している?』

―解らない、でも誰かが隠している

『それなら……どんな手を使ってでも探して、聞き出すしか……ないよね?』ニョロン

秀才「触手に支配された……ですか?」

触手爺「ん」

触手爺「四大元素家に敗れ、この森に監禁されている」

秀才「……貴方はもう支配されてないんですか?」

触手爺「……愛を失った」

触手爺「あの子と畑が全てだ」

秀才「……そうですか」

【農場】
僕っ娘「……はぁはぁ」

ポニテ「張り切りすぎよ……あんた」つ水

僕っ娘「ありがとう……やっと帰ってきたか」

根暗「う、うん、遅くなってごめんね」

オタク「少し根暗と語り合ってきたでござる」

根暗「……秀才とお爺ちゃんは?」

僕っ娘「ん? 小屋の中にいるぞ」

ガチャ

触手爺「……」

秀才「根暗……血抜きは終わったのか?」

根暗「う、うん……秀才は何してたの?」

秀才「お爺さんに野菜を育てるコツを教わってたんだ。 家でやってみたくてね」

触手爺「ん」

僕っ娘「それより、根暗」

根暗「……何?」

僕っ娘「が、頑張って収穫したんだが……褒めてくれないのか?」ウワメ

根暗「えっと、ありがとう」ナデナデ

オタク「見せ付けてくれるでござるな」

ポニテ(私も頑張らないとな)チラ

オタク「どうしたでござるか?」

ポニテ「な、何でもない!」プイッ

オタク「さて、それじゃあそろそろ帰るでござるよ」

根暗「僕っ娘、家まで送るね」

僕っ娘「送り狼にでもなるつもりかい?」

根暗「あ、あぅ」///

僕っ娘「冗談さ」クスクス

ポニテ「……私も誰か送ってくれないかな~」チラチラ

オタク「秀才、一緒に帰るでござる」

秀才「ん? あぁ、かまわないぞ」

ポニテ「」

触手爺「……君達」

オタク・僕っ娘・秀才・ポニテ「!?」

触手爺「これからも根暗と仲良くしてやってくれ」ペコ

【帰路】
秀才「根暗のお爺さん良い人だったな」

オタク「そうでござるな~」

秀才「……あの人が」

オタク「どうしたでござる?」

秀才「いや、何でもない」

オタク「あの人が世界を征服しかけたなんて、信じられないか?」

秀才「!?」ピタ

オタク「あまり嗅ぎ回るな……次は忘却薬ではすまんぞ?」ギロリ

秀才「……なぁ、オタク。 火魔術家は何がしたいんだ? 」

秀才「何で四大元素家は根暗を作ったんだ?」

忙しくて、遅くなりました
楽しみにしてくれてる人がいたならごめんなさい

【生徒会室】
生徒会長【3-Bの生徒。 魔術学園の生徒会長。 体が弱く、すぐ吐血する】

生徒会長「皆、もうすぐ文化祭だ。 今年はクラスだけではなく部や非公式だが、研究会の催し物の申請が来ている」

生徒会長「去年より、店舗数が多くなり運営する生徒会の責任は重大だろう……」

副会長【2-Aの女子生徒。 クールな生徒会副会長。 吐血した生徒会長の回収係り】

書記【3-Cの男子生徒。 字が綺麗という理由で生徒会長にスカウトされた】

会計【1-Cの男子生徒。 数学が得意という理由で生徒会長にスカウトされた】

生徒会長「だが、僕達なら乗り越えられると信じてい……ゲボォ」トケツ

書記「惜しかったな、もう少しで言い切れたのに」

会計「惜しかったですね」

副会長「私は会長を連れて保健室に行ってから、文化祭に参加する部活関連の催し物の内容を聞いてきます」

副会長「書記先輩と会計君は各クラスの催し物の確認をお願いします」

書記・会計「へいへい」

【保健室】
養護教諭「……また、吐いたのか?」

生徒会長「先生……すみません」

養護教諭「謝ることじゃ無いけどよ……発散はちゃんとしているか?」

生徒会長「はい。 たまに風来坊に付き添って貰って行ってます……」

養護教諭「もう一回検査を受けた方が良いかも知れないな。 うちの父に紹介文頼んでやるよ」

生徒会長「ありがとうございます」

養護教諭「……今日はもう帰るのか?」

生徒会長「いえ、今から副会長と合流して生徒会の仕事を……」

養護教諭「そうか……本当は帰さないといけないところだが、好きにすれば良い」

【美術部】
副会長「……」

腐女子「えっと……こうですか?」

美術部長「いや、筆はこう持った方が色合いを調整しやすいよ」ギュッ

腐女子(ぶ、部長の手が私の手を掴んでる)アワワワ

副会長「……イチャついているところ失礼」

腐女子「ひっ!?」

美術部長「ん? あぁ、副会長さんか。 文化祭についてかな?」

副会長「えぇ、今年も展覧会をされるのか確認に来ました」

美術部長「勿論、そのつもりだよ。 今年は各自大好きなモノというテーマで描いて展示しようと思っているんだ」

副会長「なるほど。 では、展示する作品が揃ったら教えてください」

副会長「美術部には前科がありますから」ジロ

腐女子「!?」ビクッ

美術部長「安心してくれ、僕の目が黒いうちは如何わしい絵を展示なんてさせないさ」

ガラガラ
生徒会長「失礼します。 あぁ、副会長、やはりここにいたか」

副会長「会長、体の具合はもうよろしいので?」

生徒会長「あぁ、大丈夫だ。 美術部での用事は終わってしまったのかな?」

副会長「えぇ、この通り」つメモ

生徒会長「大好きなモノか……楽しみにしてるよ、美術部長」

美術部長「あぁ、最高の作品を仕上げて見せる」

【理科室】
コンコン
僕っ娘「副会長か。 文化祭の話かな?」

副会長「僕っ娘の一人ぼっち研究会が申請してくるとは思わなかった」

僕っ娘「今は4人だ。 後一人入会させれれば正式な研究会として申請できるんだがな」ハァ

副会長「顧問の先生もいないとね」

会長「ん? 副会長は僕っ娘さんと仲が良いのかい?」

副会長「えぇ、たまに話す程度ですが」

僕っ娘「本人の前で言うか?」

副会長「では、魔法薬研究会の催し物の確認は任せよう。 僕は……いたいた、根暗君、少し良いかな?」

根暗「ひゃ、ひゃい!!」

生徒会長「土中生物釣り上げ部の催し物について話をしたいんだが」

根暗「えっ、あの……文化祭のですか?」

根暗(秀才はクラスの催し物の準備、オタクは家の会合、召使いはお嬢さんに呼ばれたし……ぼ、僕一人で説明するしかない)オロオロ

生徒会長「焦らなくて良い。 ゆっくり、君達のやりたいことを聞かせておくれ」ニコ

根暗「あの、……えっと、ですね」

副会長「作成した魔法薬の販売か……検査などにかけても良いかな?」

僕っ娘「あぁ、かまわない。 サンプルを前もって渡そう」

副会長「それより先に販売リストを提出して欲しい」

僕っ娘「あぁ、明日の昼休みにでも渡しに行くよ」

副会長「……向こうはもう少しかかりそうだな」チラ

根暗「それで、その、釣り上げた生物を……あの、魚拓……じゃないや、墨でその記録して……」

生徒会長「なるほど、魚拓みたいな感じで記録しているんだね」ニコニコ

僕っ娘「すごい優しい顔で話を聞いてくれるんだな。 ただの病弱生徒会長では無いということか」

副会長「……」ギロ

僕っ娘「……口が過ぎた。 すまない」

根暗「それを展示出来たら……良いなと」

生徒会長「何処で展示したいとかあるのかな?」

根暗「あの、出来れば、理科室で……魔法薬研究会と兼任してる人が……その、多いから……その」

生徒会長「それなら、同じ教室が良いね。 壁に記録したモノを展示して机で魔法薬の販売って感じかな?」

根暗「そ、そそ、そうです」

根暗「生徒会長先輩……良い人だった。 すごいちゃんと話を聞いてくれた」

僕っ娘「そうか……良かったな」

根暗「ぼ、僕っ娘……その、ポニテさんは?」

僕っ娘「クラスの方の準備をしている」

根暗「C組は何するの?」

僕っ娘「メイド喫茶だ」

根暗「なっ!」

僕っ娘「フフ、今僕が着ているのを想像しただろ?」

根暗「えっと、あの……うん」///

僕っ娘「可愛い奴め。 で、B組は何するんだい?」

根暗「あの、その……し、執事喫茶」

根暗「な、何か被っているね……ハハ」

僕っ娘「……根暗が執事?」

『ご、ご主人様、申し訳ありません。 その、大事なお皿を割ってしまって……』

『またかい? 君は仕方ないな』サワサワ

『や、止めてください。 他の使用人たちに見られてしまいます』オロオロ

『止めるわけ無いだろ? これはお仕置きなんだからね』

『あっ……あぅう』

僕っ娘「良い!!」グッ

根暗「!?!?」

僕っ娘「……なんなら今からそういうプレイを」ハァハァ

根暗「さ、ささ、採取に行ってくるね」オロオロ

【2-C】
ポニテ「おかえりなさいませ、ご主人様」

無口「……」

ポニテ「おかえりなさいませ、ご主人様」

無口「……」

ポニテ「ちゃんと続いて言いなさいよ!?」

秀才「無口さん、折角メイド服似合うんだから頑張ってくれないかな?」

無口「……セクハラ」

秀才「えっ、今のセクハラ!?」

ポニテ「セクハラ店長のことはほっといて良いからちゃんと声出す!」

秀才「セクハラ店長じゃないよ!」

無口「お黙りくださいませ、セクハラ店長」

ポニテ「その調子よ!」

秀才「泣くぞ? そろそろ泣くぞ?」

【2-D】
会計「すみません……もう一回言ってもらえますか?」

おさげ「ですから、私達のクラスは……」

召使い「お嬢様ブロマイドの販売だ!!」

メイド「販売っすね」

お嬢「販売しますわ」オーホッホッホッ

会計「2-Dは今年は不参加……と」

召使い「コラァ! 舐めてんのか1年坊主!!」クワッ

会計「ひっ!」

お嬢「召使い、ガラが悪いですわよ?」

召使い「し、失礼しました」

「召使いってたまに口悪くなるよな」「水魔術家の使用人なのにな」「捨て子で拾われたって噂聞いたわよ」

メイド「言いたいことがあるならはっきりと言うっすよ」ギロ

お嬢「と・り・あ・え・ず! D組は私のブロマイドを販売しますわ!!」オーホッホッホッ

会計「はいはい、報告しておきますね」ハァ

【屋上】
三編み「……大好きなモノを描くか」

三編み(根暗先輩……)

三編み「描くなんて……出来ないよね。 でも、大好きなんだ……根暗先輩」ハァ

丸眼鏡「……根暗が好きなのか」

三編み「えっ、あっ……丸眼鏡さん」

三編み「今の、その、聞いてた?」

丸眼鏡「聞いた」

三編み「……えっと、あの」アタフタ

丸眼鏡「貴女に聞きたいことがある」

丸眼鏡「腐女子について」

三編み「……そう、貴女なのね」ジッ

丸眼鏡「……腐女子は何でこんな絵を描いた」つ絵

絵≪美術室の風景画≫

三編み「そこが彼女の居場所だから」

丸眼鏡「居場所? 部活の活動場所と言う意味?」

三編み「……貴女には、説明しても解らないかも知れない」

【魔術学園付近・森の中】
根暗(ポニテさんはメイド喫茶で忙しいから、僕が採取に来たわけだけど……)

メモ≪アウルベアの耳毛、オークの睾丸、サラマンダーの鱗≫

根暗「……ポニテさんの採取より難易度高い」

根暗「これは……期待されてる」グッ

根暗「……オークって何処にいるんだろう」キョロキョロ

ドガァァアアン

根暗「ば、爆発音!?」オロオロ

【学園付近・洞窟】
オークA「」プスプス

風来坊「ハハハハ! ド派手だな、生徒会長!!」

生徒会長「爆破魔術!」

オークB「ギャン!!」バァン

オークC「ウガァ!!」ブンッ

生徒会長「おっと、爆破魔術」スッ

オークC「ギャアッ!!」バァン

ガサガサ
根暗「……えっ、何この惨状」ビクビク

風来坊「おっ! 根暗じゃねぇか!」

根暗「ふ、風来坊先輩……何してるんですか?」

風来坊「生徒会長の発散に付き添っててな」

根暗「はっ、発散ですか……えと、それはどういう……」

生徒会長「魔力過剰症という病気でね」フウ

根暗「魔力過剰症……ですか」

生徒会長「あぁ、生まれつき魔力を作成する量が異常なんだ」

生徒会長「歳を重ねることに作成量が増えていっているんだ」

根暗「吐血もそれが原因なんですか?」

生徒会長「……あぁ、体内の魔力量が許容範囲を越えるとね」

風来坊「だから、たまに俺が付き添って魔力の発散をしてんだよ」

根暗「……風魔術家からの仕事ですか?」

風来坊「あん? ちげぇよ。 ただ、友人として付き添ってるだけだ」

生徒会長「彼とは1年生の時からの付き合いでね」ハハハ

根暗「な、なるほど」

生徒会長「根暗君は何をしているんだい? 土中生物釣り上げ部の活動かな?」

根暗「いえ、魔法薬研究会として薬の材料を……」

生徒会長「おぉ、そうだったな。 君の活動は両方とも興味深い」ニコリ

根暗「あの、その……ども」テレテレ

風来坊「発散ついでに付き合ってやろうぜ?」

生徒会長「そうだ、良かったら同行させて貰おう」

根暗「あの、その……もう結構手伝って貰えたと言いますか」アセアセ

風来坊「ん? オークの睾丸は十分あるな」ヒョイ

根暗「あの、メモ返して……欲しいです」オロオロ

生徒会長「風来坊、弱い者虐めは止めろ」ハァ

風来坊「こいつは弱くねぇよ。 俺より強いからな」バンバン

根暗「イタッ! 背中、叩かないで、ください」

生徒会長(風来坊が認めるとは……)ホウ

風来坊「おっ! アウルベア狩るのか? 面白そうだな」ハハハ

アウルベア「ウガァアア!!」グググッ

風来坊「良いね! 力比べが捗るじゃねぇか!!」グググッ


根暗「……肉体強化してるんですよね?」

生徒会長「いや、自前の怪力だろうね」

根暗「す、すごい」ビクビク

生徒会長「そんな彼に自分より強いと言わせた君も十分すごいと思うけどね」クス

根暗「……えっと、あの先輩は何で、そのあの……そんな病気なのに生徒会長をしているんですか?」

生徒会長「……」

「僕はね、もう長くないんだ」

【四大元素家火魔術家本拠地・武家屋敷跡】
オタク「厄介なことになったな……」

優等生「……まさか、魔術刑務所から死刑囚が4人も脱獄するとは」

ボウズ「……」

オタク「魔術刑務所から脱獄など出来るのか?」

優等生「外部からの協力があれば可能かと……」

優等生「お館様曰く、魔壊連合が手引きしたのではないかと」

ボウズ「魔壊連合ですか?」

オタク「魔術を用いた犯罪組織だったか」

優等生「……えぇ、文化祭に参加してる場合では無くなりましたね。 私達も捜索に加わらなければ」

オタク「はぁ、根暗に申し訳無いな」

【学園近郊】
「あれがターゲットです」

「あの子の心臓を持ってきたら報酬を払うと?」

「えぇ、協力していただいただけでも、皆さんは自由を手に入れれるというわけです。 悪い話じゃないでしょ?」

「凶悪犯の皆様にとっては」

殺人鬼「……」

黒マント「えぇ、そうですね」

人食家「心臓以外は……食べて良いのかな?」

串刺し「早い者勝ちか~ よ~し、負けないぞ♪」

「文化祭の日に作戦を決行します」

本日はここまでです!

【2-C】
秀才「ついに来たぞ!」

僕っ娘「文!」メイド

ポニテ「化!」メイド

無口「…………祭」メイド

クラス一同「文 化 祭 だーーーー!!」

「うぉお! 女子のメイド可愛いな」「萌えか? これが萌えなのか?」「無口さん、こっち向いて!」

キャーキャー ガヤガヤ ドンドンパフパフ

僕っ娘「……さて、僕はB組に行ってくるよ」

ポニテ「根暗に見せに行くのね」

僕っ娘「それもあるが……B組は執事喫茶なんだよ」

ポニテ「……執事喫茶」ゴクリ

ポニテ「私もついていこうかな~、オタクが最近休みがちだから心配だし」

僕っ娘(根暗の執事服)ハァハァ
ポニテ(オタクの執事服)ドキドキ

【2-B】
委員長「……ふぅ、これで準備万端だな」シツジ

根暗「う、うん……へへ、楽しみだね」シツジ

委員長「しかし、残念だったな……オタク君が」

ガラガラ

僕っ娘「根暗! 見てくれ! 似合うか……良い!!」グッ

根暗「えっ、あの、ありがとう。 僕っ娘も良い感じだよ」

ポニテ「あれ? オタクは?」

委員長「彼なら今日も休みだそうだ」

ポニテ(……一緒に回ろうと思ってたのに)ズーン

根暗「い、委員長さん……あの、理科室にいってきて良いかな?」

委員長「ん? あぁ、部と研究会の準備もあるんだったな。 シフトの時間には戻ってきておくれよ」

根暗「う、うん。 行こう、僕っ娘」

僕っ娘「あぁ、早く二人っきりになろう! 早く二人っきりになろう!!」ハァハァ

ポニテ「根暗に何する気よ」ハァ

【生徒会室】
生徒会長「今年も無事始まったな」

副会長「会長……体調はどうですか?」

生徒会長「心配してくれてありがとう。 大丈夫だよ」

生徒会長「ところで、書記君と会計君は?」

副会長「お二人は……」

書記『折角の文化祭だ! 大好きな会長とデートしてこいよ』

会計『一緒に見回りに行きましょうとでも言えばホイホイついてきますよ』

副会長「いらない気を使われて何処かに行きました」ハァ

生徒会長「そうか。 出来れば、皆で回りたかったんだが……」

副会長「み、見回りなら……私がついていきます」///

【理科室】
僕っ娘「……根暗がクラスに帰ってしまった」ハァ

召使い「シフトの時間になったんだ、しょうがないだろ?」

僕っ娘「何で召使い君が理科室にいるんだい?」

召使い「土中生物釣り上げ部の活動を説明するために、一人は理科室にいることになったんだ」

僕っ娘「なるほどね」

召使い「根暗から魔法薬研究会の催し物も手伝える範囲で手伝えと言われている。 何かあれば気軽に言ってくれ」

僕っ娘「ククク、刃を向けられた君にそんなことを言われるとは」

召使い「友人の彼女でお嬢様の御友人ならば手出しはしないさ」

召使い「おさげが交代しに来るまではここにいさせてもらう」

僕っ娘「はいはい、お茶ぐらいは出してやるよ」

僕っ娘(ポニテ、早く交代に来ないかな。 根暗と早く回りたい)

【美術室】
ポニテ(……はぁ、オタクと回りたかったな)

三編み「あっ、お姉ちゃん見に来てくれたんだ」

ポニテ「まぁね、あんたの大好きなモノって何? 私かな?」ニヤニヤ

三編み「うん、お姉ちゃんは大好きだよ……皆さん、大好きだから」

三編み作≪水魔島で過ごした夏≫

ポニテ(……一緒に過ごした全員が描いてる)

ポニテ「……根暗だけ描くわけにはいかないものね」ボソッ

三編み「何か言った?」

ポニテ「何でもないわよ。 ……それより、あれはどうしたの?」

丸眼鏡「……」ジー

腐女子作≪美術部の部員≫

丸眼鏡「……」ジー

腐女子「……あ、あの」オロオロ

三編み「始まってすぐに来て、ずっと腐女子さんの絵を見つめてるの」コショコショ

ポニテ「へ、へぇ」

丸眼鏡「なるほど、私は嫉妬しているのか」

腐女子「……へ?」

丸眼鏡「納得した。 クラスの催し物に戻る」サッ

丸眼鏡(……彼女の居場所となろうともしなかったくせに)

丸眼鏡(彼女の大好きな人達に嫉妬しているのか)

腐女子「ま、丸眼鏡」

丸眼鏡「?」

腐女子「……見に来てくれて、ありがとう」

丸眼鏡「貴女を監視するのは私の仕事。 感謝されることではない」

【廊下】
根暗『ごめん、僕っ娘と回る約束を……』

召使い『ん? 悪いがお嬢様とメイドと回る約束をしてしまってな』

おさげ『兄と回るので』ポッ

ポニテ『はぁ? 何であんたと回らないといけないの?』

丸眼鏡『誰?』

秀才「全員に断れた……せめて、根暗のクラスに遊びに行かせて貰おう」

【2-B】
委員長「お帰りなさいませ、ご主人様」

根暗「お帰りなさいませ……あっ、秀才。 来てくれたんだ」

秀才「あぁ、特にやることも無かったからな」

委員長「それは有り難い。 席に案内させていただこう」

秀才(委員長、執事服似合うな)

委員長「二名で良いんだね?」

秀才「ん? いや、一人だが?」

根暗「へ? でも、あの……後ろに」

秀才「後ろ?」

無口「……」チョコン

秀才「……いや、別々で」

無口「……」v

委員長「二名様、ご案内です」

秀才(ええぇぇぇぇ!!)

【職員室】
校長「それでは、見回りの確認は以上としよう」

校長「生徒と共に楽しむのも教師の勤めであるが、生徒を守るのが優先である。 不審者を見付けたらすぐに報告し、対処するように」

教師s「はい!!」

校長「それでは、解散!」

教頭「……ん?」ガチャガチャ

陸上顧問「何してるんですか~、教頭先生?」

教頭「……ドアが開かん」

教師A「そんな馬鹿なことが……本当だ」ガチャガチャ

校長「……体育教師」

体育教師「はっ! 皆さん、退いてください」ムキムキムキムキ

体育教師「フンヌッ!!」バコーン

ドア「……」ピキーン

教師B「た、体育教師先生のマッスルインパクトでも傷1つ付かない」

校長「結界魔術……それもかなり高度なモノが張られておるな」

教頭「教員が全員職員室に閉じ込められた……生徒たちが危ない!」ギリ

【屋上】
?「職員達は私の結界で職員室に閉じ込めました。 学園自体にも結界を張ったので出入りは出来ないでしょう。」

串刺し「破られたりは~?」

?「時間が経てば自動的に解けますが、破られることはまずないでしょう 」

?「内部から破るのはまず不可能。 外部からなら解けなくも無いですが余程の天才で無ければ、学生が結界を解くのは不可能です」

黒マント「大した魔術です。 そろそろ、貴方が何者か教えてくださっても良いのでは?」

?「知る必要は無いでしょう? 皆さんは自由を、私は核となる心臓を得る……それだけの関係です」

黒マント(核となる?)

殺人鬼「違いない。 必要以上に関与したくねぇのはお互い様だ」

人食家「……もう始めて良い? お腹空いたよ」

?「目的の心臓まで食べないでくださいね?」

人食家「それ以外の心臓なら食べて良い?」

?「ご自由に……何人の生徒が殺されようと私には興味の無いことです」

放送部長「……」コソコソ

放送部長(怪しい奴がいると思ってつけてみたら……これは洒落にならないわね)

メイド「そうっすね」

放送部長「!?」

メイド「火魔術家の連中はいないし、水魔術家と風魔術家で協力して対処したいっすね」

放送部長「……有り難い申し出ね。 なるべく、被害を出さずに奴らを排除するわよ」

放送部長「私が生徒達を体育館に誘導するわ。 貴女はご主人様達に報告してきて」

メイド「全校生徒を誘導なんて出来るんっすか?」

放送部長「学園アイドルがライブをするって言ったら、皆が体育館に集まるわよ☆」ウィンク

メイド「ふざけてる場合じゃあ……いや、任せたっす」

【廊下】
秀才「……」ドヨーン

無口「……」モキュモキュ

秀才(この子は何で着いてくるんだ!?)

秀才(当たり前のように奢らされるし、当たり前のように買えと要求してくるし)

無口「…………報酬は十分受け取った」

秀才「ほ、報酬? 無口さんは何を言っているんだ?」

無口「火魔術家の目的」

秀才「!?」

無口「知りたいんでしょ?」クス

秀才「……君は一体、何者なんだ」

アナウンス≪はっあーい☆ 皆の学園アイドル、放送部長よ!! 今から体育館でライブをするから生徒の皆集まって♪ 良い席は早い者勝ちよ!≫

秀才「話はライブの後にしよう」

無口「……」

秀才「……何で俺は当たり前のようにライブに行こうとしてるんだ?」ハッ

無口「……」クスクス

秀才(……今のアナウンスを聞いた瞬間、ライブに行くことが当たり前のように感じた……洗脳魔術? 違うな、これは)

秀才「魅了魔術……か」

【理科室】
お嬢「あら、ライブとは素敵ですわ。 召使い行きますわよ」

召使い「はっ! お嬢様、真の学園アイドルが誰なのか教えに向かいましょう」

僕っ娘「根暗、ライブを見てから他を回ろうか」

根暗「う、うん……ライブ楽しみだね」

メイド「やっぱり魅了魔術使だったっすか」

お嬢「メイド、何処に行ってらしたの? 早くライブに行きますわよ」

メイド「お嬢、そんなモノ見ている場合じゃないっす」

丸眼鏡「水のお嬢、ここにいたか」

お嬢「あら、丸眼鏡さん……何かご用でして?」

メイド「私が説明するっす」

【職員室前】
秀才「……これは魔方陣? 結界魔術か」

秀才(何があったが聞きに職員室に来たが……職員達が閉じ込められているとしたらヤバいな)

無口「……解ける?」

秀才「いや、無理だ。 解き方自体は解るが僕には技術が無い……結界魔術に詳しく手先が器用な人間がいないと……」

「どうやら、僕の出番のようだね」

秀才「美術部長先輩!?」

美術部長「顧問の先生が顔を出さないから気になって来たんだが……緊急事態のようだね」

美術部長「僕の家系は結界魔術を研究している。 後、手先の器用さには自信がある……任せてくれ」ニコ

秀才「解りました……一緒にこの結界を解きましょう!」

【理科室】
丸眼鏡「私が風読み術で敵の位置を占う……各自、向かってほしい」

召使い・風来坊「おう!」

メイド「了解っす」

僕っ娘「僕達はどうしたら良いんだい?」

丸眼鏡「今回の件には風魔術家と水魔術家で対処する」

お嬢「僕っ娘と根暗さんは私と一緒に体育館に避難しましょう。 体育館の防衛は私がしますわ」

僕っ娘「解った」

根暗「……待って」

丸眼鏡「何か?」

根暗「僕も……戦う」

風来坊「……ほう」ニヤ

召使い「根暗……」

丸眼鏡「……敵の狙いは君かも知れない」

根暗「それでも……僕には戦う意味があるんだ」ガクガク

根暗「怖いけど……守りたいモノがあるんだ」キリ

メイド「結界を張った男は話が終わると何処かに消えてしまったすから敵は四人……」

メイド「お嬢が体育館の防衛、丸眼鏡が指揮をするなら、根暗を入れて此方も丁度4人っす」

丸眼鏡「……守りたいモノか」

丸眼鏡「それは魔術社会より大切なのか?」

根暗「うん、比べものにならないくらい」

丸眼鏡「……解った。 君にも戦ってもらおう」

【保健室】
黒マント「居ませんね」

黒マント(保健室によく居ると聞いたのですが……)

メイド「何してるんっすか?」

黒マント「いえ、少し怪我をしてしまいましてね」

メイド「嫌いなタイプっすね」

メイド「平然と嘘を言う男は嫌いっす」

黒マント「おやおや、これは手厳しい」クスクス

メイド(養護教諭は土中生物釣り上げ部の顧問だったっすね。 ……狙いは根暗っすか?)

【生徒会室】
人食家「ここにも居ないな」

書記「……誰だ、あいつ?」←机の下

会計「解らないです。 ……でも、明らかに危険人物ですね」←机の下

人食家「居ないな、さっさと心臓抉りだして他は美味しく……ヒヒヒ」

書記・会計(見付かったらヤバい!!)ビクビク

書記「会計、お前は探求系の一族だったよな?」ガクガク

会計「書記先輩もそうですよね?」ブルブル

書記・会計(何とかやり過ごさないと……)

人食家「さっさと、見付けないとな。」

「―生徒会長っていう子を」

会計「……」ピタ

書記「……」ピタ

『君は字が上手いな?』

『魔術には関係無い才能だって? 東洋の陰陽師は札に文字を書いて魔術を行使するらしい』

『君にだって似たような魔術が出来るかも知れないじゃないか』

『君は計算が早いね』

『魔術には関係無い才能だって? 数字を使った魔術はこの世にはたくさんある。 その魔術理論を組み立てるのに役に立つかも知れないだろ?』

生徒会長『かも知れないだけだろって? 十分じゃないか』

生徒会長『君達の未来には無限の可能性があるんだ、君達の才能が活かせる未来が訪れることを僕は信じてるよ』

「「待てよ」」

人食家「ん?」

書記「会長の所には……行かせない」ガクガク

会計「あぁ、俺達死にましたね。 先輩」ブルブル

人食家「大丈夫、君達はオイラのお腹の中で生き続けるよ」グゥ

書記・会計「ヒーーーーーー!!」ガクブル

「待ちな」

風来坊「俺の方が……美味そうじゃないか?」ニヤ

書記「風来坊!」
会計「風来坊先輩!!」

人食家「え~、君は固そうだな」

【先日学園付近・森の中】
生徒会長「僕はね、もう長くないんだ」

根暗「……へ?」

生徒会長「恐らく、後半年ほど経てば僕の体は魔力量に耐えられず破裂してしまうだろう」

根暗「……」

生徒会長「それを知った時……僕が生きられない未来に生きる皆の少しでも役に立ちたいと思ったんだ」ニコ

根暗「へ? それが、生徒会長をされてる理由ですか?」

生徒会長「……吐血して何時も迷惑をかけてるけどね」クス

根暗「そ、そんなことありません」

生徒会長「ふふ、ありがとう」

「―良い文化祭にしようね、土中生物釣り上げ部の部長さん」

根暗「は、はい!」

【現在・廊下】
生徒会長「げほっ……ごほっ……こんな時に、くるとは」トケツ

生徒会長「……副会長さん、僕を置いて逃げてくれ」

副会長「嫌です! 死んでも離れません!!」ハァハァ

「君の無尽蔵に魔力を作る心臓がいるらしいんだ」

串刺し「まぁ、俺は良く解ってないんだけどね」

串刺し「でも、報酬くれるらしいんだよね。 だから、さっさと渡してくれない? てか、死ねよ。 うん、よし、死ね!」トン

会長(持ち手の長いトンカチで空間を叩いた?)

シュン

副会長(叩いた所から黒い釘? 会長を守らなきゃ)ギュ

副会長(私……死ぬのかな?)

「死なせない」ニョロン

串刺し(俺の黒釘が止められた?)

根暗「この人は死なせない」

串刺し「どうせもうすぐ死ぬんだろそいつ? 良いじゃんか少しぐらい早まるぐr」ニョロン ギュッ ドスン

副会長(触手で床に叩き付けた!)グッ

根暗「もう、何も喋らないでくれないかな?」

串刺し「娑婆は久しぶりなんでね、少しぐらいはしゃがしてくれよ~」

【2-D】
殺人鬼「……よぉ」

召使い「……」

殺人鬼「久し振りだな、召使い」

召使い「……何でお前がここに居るんだよ」

「―親父」

本日はここまで!

【生徒会室】
人食家「……ゲホ、ウグ……ゲボ」ハァハァ

風来坊「何だ? あんたの実力はそんもんか?」

風来坊(試しに腹部に蹴りを入れたら踞るとは……こいつ、大したことねぇのか?)

人食家「お、オロロロロロロロ」

風来坊「きたねぇな、吐いてんじゃねぇよ ……テメェ、何吐いてんだ?」タラリ

人食家「何って見て解らないかい?」

肉ゴーレム「ァ……ア……ァ……」

人食家「今までオイラが食べて来た人達だよ」

風来坊(……約10人分の肉塊で作られたゴーレムか)

風来坊「悪趣味な魔術を使うじゃねぇか?」

人食家「悪趣味なんて酷いな。 君も仲間入りするのにさ」

肉ゴーレム「ア……ァ……アァ!!」ブンッ

風来坊「おっと……おせぇよ」ブンッ

肉ゴーレム「」

風来坊「大口叩く割には大したことねぇな」

「オロロロロロロロロロロ」

肉ゴーレムA「ア……ァ……アァ」
肉ゴーレムB「ア……ァ……ァア」
肉ゴーレムC「ァ……アァ……ァ」

風来坊「一体、何人の人を食べやがった?」

人食家「君は人生で何回食事をしたか覚えているのかい?」

風来坊「獣化魔術」ガルルル

【職員室前】
美術部長「……ここを書き換えれば良いんだね?」

秀才「はい、そしたら奥の術式を弄れるようになります」

美術部長「あぁ、本当だ。 なるほど、順番に解錠していかないとこの魔方陣は解けないのか」

秀才「えぇ、かなり複雑な魔方陣ですので慎重にお願いします」

美術部長「……誰にもバレずにこんなものを職員室のドアに書くなんて」

秀才「恐らく、転移魔術の応用で魔方陣をドアに転写したのかと」

美術部長「そんなこと可能なのか?」

秀才「……出来なくは無いかと。 前準備が必要ですが」

美術部長(……職員の中に敵がいる可能性まで考えてるのか? まだ、2年生だというのに大した男だ)

【2-D】
キンッ

殺人鬼「斬りかかること無いだろう?」フウ

召使い「斬りかからないわけがないだろ」ギロ

召使い「病気の母さんを放ったらかしにして、武器作成魔術に酔いしれ」

召使い「挙げ句の果てに一般人で試し斬りだ? 許せるわけないだろが!!」水サーベル

殺人鬼「……あいつは死んだか?」

召使い「あぁ、死んだよ! あんたが捕まって……すぐにな!!」ブンッ

キンッ

殺人鬼「そうか」水刀

召使い「そうか、じゃねぇ!!」

キンッ キンッ キンッ

【数年前とある家・庭】
キンッ キンッ キンッ

息子(召使い)「……はぁはぁ」

父(殺人鬼)「今日はこのぐらいにするか?」

息子「まだまだ!」水サーベル

父「……息子、それじゃあ駄目だ」

息子「おら!!」ブンッ

パキン

息子「折れちゃった……」シュン

父「息子よ、お前は家系の血筋を継ぎ、武器作成魔術の適性を持っている」

息子「じゃあ、何で親父みたいに折れない武器が作れないんだよ」

父「それは心構えが出来てないからだ」

息子「心構え?」

父「武器は人を傷付けるモノだ。 危険なモノなんだ」

息子「そんなことぐらい知ってる」

父「じゃあ、それを扱う人間にはどんな心構えが必要だと思う?」

息子「……た、戦う勇気?」

父「ハハハ、それも必要かも知れないな」ナデナデ

息子「笑うなよ! 撫でるなよ!」

父「それを扱う人間に必要なのはぶれ無い心だ」

父「人を殺せるモノを扱うんだ。 無闇に振り回して周りを傷付けては武器作成魔術師失格だ」

父「何より、雑多な気持ちで作れば雑多な武器しか作れんぞ」

息子「……」

父「大切なモノを決して見失わない心が必要なんだ」

【現在・2-D】
パキン

召使い「……はぁはぁ」水サー/ベル

殺人鬼「何本目だ?」

召使い「うるさい」

殺人鬼「相変わらず、心構えが出来て無いようだな」

召使い「うるさい!」

殺人鬼「雑多な気持ちで作れば雑多な武器しか作れんぞ?」

召使い「うるせぇ! お前が言うな!!」水サーベル

殺人鬼「あぁ、確かに俺にはもう言う権利は無いな」フッ

【数年前とある家】
母「二人とも……また、こんな泥んこになるまで」ウフフ

父「洗濯を頼む」

母「はいはい……どうしたの膨れて?」

息子「また、俺の武器だけ折れた」ブス

母「うふふ、まだお父さんは越えられないのね」

父「……すぐ越えれるさ」

息子「ふんっ! 本人が言うな」

母「うふふふ……ごほ、ごほ」

父「大丈夫か?」

母「大丈夫よ……気にし……」バタン

息子「母さん? 母さん!?」

【現在・2-D】
召使い「……はぁはぁ」

殺人鬼「今ので丁度20本目か?」水刀

召使い「……何で刀は折れない、今のあんたに大切なモノなんてあるのか?」

殺人鬼「さぁ……どうだろうな」

殺人鬼「召使い、21本目は作らないのか?」

召使い「…………」

殺人鬼「もう一度言う」

殺人鬼「雑多な気持ちで作れば雑多な武器しか作れない」

殺人鬼「大切なモノを決して見失わない心を持て」

召使い「……何がしたいんだよ」

【数年前とある家・庭】
父「どうした? 構えないのか?」

息子「母さんがあんな状態なのに稽古するのかよ」

父「当たり前だ。 この世の全てのモノを断てる武器を魔術で作り出すこと……それが我が家の悲願だからな」

父「休んでる暇なんか無い」

息子「……親父の大切なモノって、母さんのことだと思ってた」

父「……」

息子「母さんより、一族の悲願の方が大切なんだな」ダッ

父「……」

【数年前・病院】
母「あら、来てくれたの?」

息子「……うん」

母「父さんと喧嘩した?」ウフフ

息子「……何で母さんは笑えるんだ! 親父はこんな時でも稽古して」

母「私がね、お願いしたの」ナデナデ

息子「……何を?」

母「貴方の代で悲願を果たしてみせてって」

息子「……」

母「そんな我儘の為に一生懸命になるなんて、可愛い人だと思わない?」

息子「……母さんの病気は治らないの?」

母「魔術の力では無理ね。 現代医学の力では治るらしいけど……一般医者は魔術師を治療したがらないわ」

息子「何で?」

母「回復魔術が彼らの仕事を奪ったからよ」

息子「そんなの逆恨みじゃないか」グッ

母「私の可愛い息子。 そんな怖い顔をしちゃ駄目。 何かを恨むんじゃなくて、誰かを愛して行動出来る人になってほしいな」ナデナデ

タッタッタッタッタッ

ナース「はぁはぁ……母さん」

母「あら、ナースさん。 どうかされました?」

ナース「貴女の旦那様が……一般人を斬り逮捕されました」

息子「えっ!?」

母「……そう」

【現在・2-D】
召使い「……何故、斬りかかってこない?」

殺人鬼「親の情けだ。 21本目が出来るまで待ってやる」

召使い「……大切なモノ」ボソッ

殺人鬼「……少しは成長したかと思ったが相変わらず感情に流されているな」

召使い「……俺の大切なモノ」

殺人鬼「結局、俺とお前は変わらないということだ」

召使い「……」

殺人鬼「殺人鬼の子は所詮殺人鬼か」

『自分が何者か何て、周りに決められたく無いのでしょ?』

召使い「……違う」

育ての親が褒めてくれた
執事『少々、気が荒いが真っ直ぐな芯を持っているよ……召使いは』ナデナデ

同僚が慰めてくれた
メイド『召使いが殺人鬼なら私は化け物っすよ』

友人が相談に乗ってくれた
根暗『……召使い君はどうしてお嬢さんを守りたいの?』

産みの親が願ってくれた
『 何かを恨むんじゃなくて、誰かを愛して行動出来る人になってほしいな』

大好きな人が命じてくれた
お嬢『この水魔術家のお嬢には過ぎ足るものと言われるほどの男になって魅せなさい!!』

召使い「俺は母の息子で」水
「魔術学園の生徒で」水か
「土中生物釣り上げ部の部員で」水かた
「お嬢様の使用人が一人」水刀

召使い「召使いだ!!」チャキン

殺人鬼「そうか……」

召使い「……親父、最後に教えてくれ。 何故、一般人に手を出した?」

殺人鬼「……ただの試し切りだ」

召使い「そうか……ならば、俺はあんたを斬らないといけない」

召使い「あんたの……息子として」ザッ

殺人鬼「おう、この殺人鬼を斬ってみせろ!!」ザッ

『何を土下座なんてしてるんですか?』

『そんなことしたって魔術師なんて治療しませんよ』

『お得意の魔術で解決したら良いでしょ?』

『魔術では治せない病気? 知りませんよ、都合の悪い時だけ頼ってきて』

『我々を軽視している回復魔術師には良い薬になるんじゃないですか?』

『貴方の奥さんが死んだらね』

『ハハハハハハハハハハハハ』

父『…………』水刀

『な、何をする気だ! 一般人に手を出したらあんたは』

父『大切な人を見失ってまで……魔術師を続ける気は無い』チャキン

ザンッ

ザンッ
召使い「……」水刀

殺人鬼「……」水/刀

召使い「……何で、そんな良い顔で斬られてんだよ。 クソ親父」

殺人鬼「何で、だろうな」ヨロ

殺人鬼(殺人鬼には……過ぎた願いだろうか?)

殺人鬼(息子には……誰も憎まずに……生きて欲しいなんてよ)

殺人鬼「じゃあな……クソ息子」バタン

召使い「あばよ……クソ親父」

【体育館】
放送部長「今日は私のライブに来てくれて……ありがとう!」

ワーワー キャーキャー ガンバッテー ウォォォオ!

放送部長「次の歌は今この会場に来れない仲間の為に歌います!」

放送部長「その仲間達は大切なモノを守るために一生懸命です! その仲間達はより良い未来を掴む為に一生懸命です!!」

放送部長「そんな大切な仲間にこの歌を届けたいから……一緒に盛り上がってくれますか?」

ウオオオオォォォォオオオオオ!!

放送部長「ありがとう! じゃあ、最後まで一緒に盛り上がろう!!」

放送部長(御主人様、風来坊……頑張って)グッ

【生徒会室】
風来坊「……はぁはぁ、まだ吐けるか?」ニヤ

人食家「うわぁ……オイラが食べて来た人間全員分のゴーレムを倒すとは恐れ入った」パチパチ

風来坊「その割には余裕じゃねぇか?」

人食家「……オイラはグルメでね、人間以外も食べるのさ……オロロロロロロロ」

肉ゴーレムE≪オーク グリフォン 大蜘蛛≫

人食家「人外肉ゴーレムステージ! スタート!!」

風来坊「……クソが」ガルルル

風来坊(本体を叩ければ良いが……肉ゴーレムどもに守られてやがるな)

本日はここまで!

ちょいリアルが忙しくて更新遅れます
ゆっくりでもエタら無いように頑張りますね

※「エタる」という言葉を今知ったので使いたくなる衝動

―悪魔のような男と呼ばれた男がいた

その男は複数の獣化魔術を同時に使い、まさしく悪魔のような姿になることが出来た

何故、そのようなことをしたのか?

黒マント「―私はね、悪魔になりたいんですよ」

メイド「……」

黒マント「恐ろしくて声も出ませんか? 羊の角に蝙蝠の翼、獅子の脚に蛇の鱗を纏いし腕……ははは、恐れを成してもしょうがないですね」

メイド「なんつうか……ゆるキャラみたいな見た目っすね」ポリポリ

黒マント「なっ!?」

黒マント「この私の姿が……ゆるキャラだと?」

メイド「ええ、結構愛らしい姿っすよ。 うんうん」

黒マント「悪魔のような男とまで呼ばれたこの黒マントをこけにしたんです……楽に死ねると思わないでくださいね?」ギロ

メイド「―悪魔ね」

メイド「どれだけ、獣化魔術を組み合わせても出来るわけがないっすよ」

メイド「お馬鹿なゆるキャラさん」クス

黒マント「貴様!!」ブンッ

メイド「―悪魔化術」

【魔術学園・廊下】
生徒会長「……はぁはぁ、ようやくおさまったか」

副会長「早く逃げましょう」

生徒会長「……君は体育館に非難してくれ」

副会長「会長も一緒に……」

生徒会長「僕が体育館に行ってしまったら、たくさんの生徒を巻き込んでしまう」

副会長「でも」

生徒会長「それにね、僕には行かないといけないところがあるんだ」

副会長「……私もお供します」

生徒会長「会長命令だ……頼む、非難してくれ」

副会長「……生きて、帰ってきてくれますか?」

生徒会長「あぁ、約束する」

生徒会長(生徒会室に書記君と会計君が待機していたな……)

【体育館前】
お嬢(……皆さん、大丈夫かしら)

ガサガサ

お嬢「誰!?」

「あ、あの……」

お嬢「あら、貴女でしたか? どちらに行かれるおつもりで?」

「……お花を詰みにいこうかと」

お嬢「体育館の中にお手洗いはありますわよ?」

「……ごめんなさい。 胸騒ぎがして……その、私」

お嬢「何となく察しがついてるみたいね。 今、校舎の中は危険な状況ですわ。 体育館の中で大人しk」

「そんな、危険な校舎の中に根暗先輩はいるんですよね?」

お嬢「……」

「忠告……感謝します」サッ

お嬢「行ってはいけませんわ! 待ちなさい!!」

【生徒会室】
風来坊「はぁはぁ……ここまで生徒会室を汚しちまったら、生徒会長に怒られるな」

人食家「おや、君も生徒会長と知り合いなの? 居場所を教えてくれたら見逃してあげるよ?」

風来坊「居場所なんざ知らねぇよ。 知っていても教えねぇけどな」

人食家「じゃあ、さっさと君を食して探すとするか」

人食家(とは言ったものの中々倒れてくれないんだよな? 何かを待っているようにも見えるな……)

人食家「オロロロロロロロ!!」

風来坊「……何だよ、こいつは」

人食家「勿論、オイラが食べたものだよ」

人食家「名付けて! 最強生物カレーゴーレム!!」

カレーゴーレム「ウダァアァァア!!」

風来坊「ふざけた名前つけやがって……何を煮込んだらそんな醜悪な姿になるんだよ」

人食家「ふざけた名前なんて酷いな。 オイラ、真面目に名付けたのに」

人食家「それにさ、こいつを吐き出したのは君に敬意を払ったからだよ」

風来坊「敬意だ?」

人食家「恐らく君はこの学園で一番強い学生なのだろう」

人食家「そんな君に対する敬意さ」

風来坊「くくく……ははははははははは」

人食家「何が可笑しいんだい?」

風来坊「俺がこの学園で一番強い? ちげぇよ、全然ちげぇ」

風来坊「この学園には素性を隠してる奴等がわんさかいやがるからな」

風来坊「本気でやりあえば俺より強いヤツなんて何人もいるだろうよ」

風来坊「……それに、少なくとも俺より強いヤツを二人知っている」

人食家「そのうちのどちらかが駆け付けてくれるのを待ってるのかな?」

風来坊「まぁな……たく、本当は駆け付けないで逃げて欲しいんだが、そういうヤツだからしょうがない」

人食家「よく解らないけど……なんだか厄介そうだな」

カレーゴーレム「ウダァアァァア!!」

「―爆破魔術」

カレーゴーレム「アァァ……」バァン

人食家「なっ!? カレーゴーレムが爆発した?」

風来坊「……おいおい、本当に来たのかよ。 狙われてるのはお前なんだから逃げた方が良いんじゃねぇか?」

生徒会長「僕は生徒会長だぞ。 学園で好き放題する輩を放置して逃げれると思うか?」

人食家「なるほど、君が生徒会長か? そちらから来てくれるとはありがたい」オロロロロロロ

カレーゴーレムA~F「ウダァアァァア!!」

人食家「オイラはもう腹ペコさぁ、さっさと終わらそう!!」

カレーゴーレムA~F「」バァン

人食家「何!?」

生徒会長「あぁ、さっさと終わらせよう」

風来坊「そうだな」ブンッ

生徒会長「書記君と会計君が心配で来たんだが……まさか、君が追い詰められていたとはね」

風来坊「うるせぇ。 会計と書記はちゃんと非難させたから安心しな」

生徒会長「それはありがとう。 しかし、僕のせいでこんな事態になるとは……」

風来坊「お前のせいじゃねぇ。 お前を狙ってる奴等が悪いに決まってんだろ」

【廊下】
串刺し「ん~ 君、強いね♪」ニヤニヤ

根暗「……はぁはぁ」

串刺し(幾ら黒釘を打ち込んでも触手で受け止められるんだよね~)

串刺し「いや~、これは打つ手なしかな?」

根暗(……打つ手が無いのは僕の方だ)

根暗(こいつが使う魔術は金槌で叩く予備動作がいる分、普通の攻撃魔術より隙がある……でも)

串刺し「ほい! ほいっ! ほい、ほい!!」トンットンッ……トンッ、トンッ

根暗「……くっ!」ニョロン ギュッ

串刺し「ありゃま、また掴まれたか」

根暗(大きな予備動作を利用してフェイントを仕掛けてくる……)

串刺し「ねぇねぇ、君は攻めてこないの? 俺ばっかり攻めて申し訳無いな~」トンッ……トンットンッ……トンッ

根暗(挑発……無理に攻め手に転じたら串刺しにされる)ゾクッ

串刺し(……察しがいい子だね。 でも、何時までも受け続けれるかな?)ニヤニヤ

根暗(今まで闘ってきた人達は自分の長所を活かした闘い方をしてきたけど……こいつは短所を上手く使っている)

根暗(……どうやったら勝てるんだ?)

―解っているだろ?

根暗(どうやったら……)

―身を任せれば良い

根暗(……)

―触手の赴くままにヤツを殺せば良い

ザクッ

根暗「くっ!?」

串刺し「ありゃりゃ、足に刺さっちゃったね? 次でお仕舞いかな?」クスクス

根暗「……貴方は何者? なんで、生徒会長を狙うんだ?」ハァハァ

串刺し「理由か? 脱獄して自由を得るためかな」

根暗「……脱獄した後はどうする?」

串刺し「そうだね……手当たり次第く・し・ざ・しにしていくかな♪」

根暗「な、何のために!?」

串刺し「この世が憎いからさ」

根暗「……この世が憎い?」

串刺し「あぁ……俺の妻は病気だった」

串刺し「魔術の力では治せない……医学の技術じゃないと治せない病気だったんだ」

根暗「……」

串刺し「しかし、医者達は妻を治すのを拒んだ……何故だか解るかい?」

根暗「解らない……」

串刺し「妻が魔術師だったからだ! 回復魔術のせいで仕事と立場が脅かされた医者達は妻を治さなかった!!」

串刺し「だから! 俺は! この世が憎い!!」

根暗「……僕にも好きな人がいる」

根暗「だから、貴方に共感できる部分がある……それでも、死んだ奥さんはそんなこと……」

串刺し「ん? ちょっと待ってくれ! これは俺が人を殺す理由じゃないな」

根暗「へ?」

串刺し「あっ!? これ、別の男が犯罪を犯した理由だ。 間違えちゃった」テヘペロ

串刺し「さて、真面目に君の問い掛けに答えよう」

串刺し「なぜ、人を殺すのか?」

串刺し「ある男は答えた。 妻を治さなかったからだ」

串刺し「感情論だらけのくだらない理由だね」

串刺し「ある男は答えた。 それは、食べるためだ」

串刺し「なるほど、食べるために生を奪うのは生物として正しいだろう」

串刺し「ある男は答えた。 悪魔に近付きたかったからだ」

串刺し「夢を追いかける姿勢は実に素晴らしい」

串刺し「そしてある男が今答える」

―単なる趣味さ

根暗「趣味……?」

串刺し「お年寄りが釣りしたり、盆栽したり、囲碁うったりするのと一緒だよ」

串刺し「俺が人を殺すのは、俺が君を殺す理由はね」トンッ

根暗(足が痛い……上手く触手を操れない……)

根暗(僕は……死ぬのか?)

バキンッ
「ハーハッハッハッハッ」

根暗「へ?」

串刺し「何者だ?」

三編み仮面「我輩は愛の使者! 三編み仮面だ!!」シャキーン

根暗「……三編みさん?」

串刺し「おー、ヒーローのご登場か? 男として胸アツ展開だね♪」トンッ……トンットンッ

三編み仮面「……根暗先輩、私が時間を稼ぐんで這ってでも逃げてください」バキン バキン

根暗「な、何を言ってるの? 僕は良いから、逃げて。 君には闘う理由なんて……」

三編み仮面「あります!」

三編み仮面「……好きなんです」

三編み仮面「好きなんです。 先輩のことが」

根暗「へ、あの……僕には……」

三編み仮面「解ってます。 僕っ娘先輩とのこと……それでも、好きなんです」

三編み仮面「だから、先輩は私が死んでも守r」グサッ

串刺し「よく言った! じゃあ、本当に死んじゃおうか♪」

―頭の中が整理できない

何か絵を見ているかのように視界にはリアリティーが感じられない

それでもはっきりと三編みさんの胸を黒い釘が貫いたのが見えた

バタリと倒れる三編みさん

「最初から……してれば良かった」

串刺し「何か言ったかい? え~っと、根暗君だっけ?」

根暗「僕が……」ボソボソ

串刺し「ありゃま、まだ現実が捉えられないか?」

根暗「……してれば良かったんだ」ボソボソ

串刺し「良いことを教えてあげよう。 恐らく君は勘違いしていたんだ」

串刺し「今の日常が青春学園コメディーのようなものだって」

「あるいは青春群衆劇のようだと思っていたかな?」

「まさかジュブナイルだなんて気取っては無かったよね?」

串刺し「良いことを教えてあげよう。 人生というものは残酷で滑稽な喜劇に過ぎないんだよ♪」クスクス

根暗「うるさいなぁ」ニョロンニョロンニョロンニョロンニョロンニョロン

―僕が最初からこいつを殺すつもりで闘ってたら良かったんだ

本日はここまで!

【魔術学園・屋上】
秀才(文化祭から一週間が経った)

秀才(美術部長先輩と結界を解いた時には既に全てが終わった後だった)

秀才「……はぁ、無力なものだな」

秀才(俺がもっと早く結界を解けていれば……三編みさんは死ななかったのだろうか)グッ

オタク「昼休み、屋上で一人たそがれているとは……ナルシスト臭いでござるな」

秀才「……根暗は?」

オタク「今日も休みでござる。 ポニテでさへちゃんと登校しているというのに……困ったヤツでござるな」ヤレヤレ

秀才「最後に会ったのは三編みさんの葬式か?」

オタク「……あれからずっと閉じ籠もってるみたいでござる」

秀才「監視は続けてるんだな」

オタク「それが火魔術家の役割だからな」

秀才「……」

オタク「気に入らないか?」

秀才「あぁ、気に入らないよ」

【食堂】
風来坊「おい! 丸眼鏡!!」

丸眼鏡「……何?」モキュモキュ

風来坊「生徒会長が何処にいるか知らねぇか?」

丸眼鏡「……詳しくは知らない」モキュモキュ

風来坊「詳しくは?」

風来坊「今後も狙われるかも知れねぇから、四大元素家が管理する施設に入れられたと聞いたが?」

丸眼鏡「それは正しい情報。 しかし、私は生徒会長が何処の施設にいるのかは知らない」

丸眼鏡「生徒会長は火魔術家が管理している施設に入った」

風来坊「じゃあ、オタクに聞いてくる」

丸眼鏡「聞いたが答えてくれなかった」

風来坊「お前が?……何か気になったことがあったのか?」

丸眼鏡「風来坊が知りたがると思ったから」

風来坊「らしくねぇな? 悪いもんで食べたか?」

丸眼鏡「……生徒会長は風来坊にとって魔術社会より大切な存在だと仮定した」

丸眼鏡「私には魔術社会より大切なモノが無い……だからこそ、貴方の大切なモノを尊重すべきと感じた」

丸眼鏡「おかしい?」

風来坊「……おかしくねぇよ」

風来坊(今回の件で何か思うところがあったのか?)フム

【2-C】
ポニテ「……さぁ、今日の授業もお仕舞いね。 僕っ娘、研究会に行こう!」

僕っ娘「あぁ……」

僕っ娘(痩せ我慢して……どう接したら良いんだろう)ハァ

ポニテ「どうしたの? 最近根暗が休んでるからってテンション低くない?」

僕っ娘「いや、それもあるが」

ポニテ「早く来たら良いね……私も聞きたいことあるし」

僕っ娘「聞きたいこと?」

「ポニテさんはいらっしゃるかしら?」

ポニテ「はいはーい、いるよ」

お嬢「……」ドゲザ

ポニテ「なっ!?」

召使い「お嬢様、いきなり何を!?」

メイド「……」

お嬢「ごめんなさい。 私が三編みさんをちゃんと止めておけばこんなことにはなりませんでしたわ」

ポニテ「止めて!!」

お嬢「……ですが」

ポニテ「ポニテの為に泣いてくれる人
の土下座なんて見たくないよ」クス

お嬢「……ポニテさん」ポロポロ

お嬢「私……彼女の絵が……好きで、絵を一生懸命描いてる姿が……頭から離れなくて」ポロポロ

ポニテ「ありがとう。 あの子の為に泣いて、ありがとう」ギュ

【理科室】
ポニテ「というわけで、根暗君に会いに行ってくる!!」

オタク「いや、どういうわけでござるか?」

ポニテ「お嬢を見て思ったの、言いたいことが……聞きたいことがあるならやっぱり自分から行くのが一番良いって」

僕っ娘「あぁ、君の好きにしたら良い」

ポニテ「あら、根暗の家に一人で行くなんてって嫉妬しないの?」ニヤニヤ

僕っ娘「今日だけは見逃してやる。 君こそオタクと二人っきりで研究会なんて、と嫉妬しないでおくれよ?」ニヤニヤ

ポニテ「オ、オタクのことなんて何とも思って無いんだからね!」

オタク「ツンデレ乙」デュフフフ

ポニテ「うるさい!」キック

オタク「あふん」

ポニテ「……ごめんね、付き合わせて


僕っ娘「僕は君を親友だと思っている。 空元気ぐらい、幾らでも付き合ってやるさ」

ポニテ「ありがとう。 いってきます」

僕っ娘・オタク「いってらっしゃい」

【秀才・帰路】
秀才(……根暗の家に寄ってみようか)フム

無口「……」

秀才(流石に一週間だからな。 行ったところで何と声をかけて良いか解らないが……)ハァ

無口「……」ツンツン

秀才「ひゃいっ!?」

秀才「無口さん、何時から!?」

無口「……ひゃい」クスクス

秀才「笑わないでくらたまえ!」///

無口「ひゃーい」

秀才「返事として使わないでくれたまえ!!」///

無口「……お茶」ユビサシ

秀才「……へ? お茶?」

喫茶店≪店名・死なばもろとも≫

秀才「……また、俺にたかりに来たのか?」

無口「用があるのは貴方」

秀才「確かに聞きたいことはあるが……はぁ、解った」

【死なばもろとも店内】
机≪コーヒー×2、イチゴパフェ≫

無口「……」モキュモキュ

秀才「火魔術家の目的について教えてくれるんだったかな?」

無口「……」コクン

秀才「……四大元素家の目的は魔術社会の維持だと聞いたが、火魔術家は違うのかい?」

無口「……方向性の違い」

秀才「……なるほど、どう維持するかの違いってことか」

無口「……」コクン

秀才「しかし、解らないな……火魔術家だけ他の三家と違う方向で維持しようとしてるのか?」

無口「……風魔術家は退魔の家系でありながら、占術の家系でもある」

秀才「……水魔術家は退魔の一族であると共に資産家として有名だったか」

無口「……もう辿り着いた?」

秀才「土魔術家は解らないが……火魔術家だけ退魔のみで今の地位にいると言いたいのか?」

無口「……」コクン

秀才「つまり、退魔系統の魔術家の立場を保ちつつ魔術社会を維持するのが火魔術家の目的ということか」

無口「……」コクン

秀才「……待て、火魔術家は錬金術が出来るんじゃないか?」

無口「あのホムンクルスのこと?」

秀才「……あぁ、根暗の話だ」ムス

無口「ホムンクルスを作るのは違法」

秀才「あぁ、知っている。 人工的に人間を作るなんて……」

無口「昔、その禁忌を犯した魔術師を火魔術家が捕らえた」

秀才「……話としては面白い」

無口「今回の件も火魔術家が黒幕」

秀才「学園祭の話か?」

無口「……」コクン

秀才「魔術学園を襲って何の特がある」

無口「生徒会長の確保」

秀才「生徒会長の確保? ……待て、それじゃあまるで」

無口「学園を囚人達に襲わせ、それを理由に狙われていた生徒会長を自分達の施設に入れることが目的」

秀才「そんな……」

無口「オタクと優等生が文化祭を休んだ理由は?」

秀才「……もしも、俺が火魔術家ならばオタクと優等生は休ませずに生徒会長確保に協力させる」

無口「……若達はまだ火魔術家の本当の目的を知らないとすれば?」

秀才「それを言い出したら何でも有りだろう?」

無口「解ってる癖に」クスクス

秀才「君は何がしたいんだ? どうしてそんな話を俺にする?」

「君に探して欲しいんだよ」

秀才「……何者だ?」

優男「土の若……と言えばどういう立場か解るかな?」

秀才「……探して欲しいって何を?」

優男「火魔術家の悪巧みの証拠……と言えば良いかな」

秀才「悪巧みね……退魔系統の魔術家の立場維持は悪巧みなのか?」

優男「その為に世界を征服する存在を作っているとしたら?」

秀才「それが根暗だって言いたいのか!?」ガタン

優男「かも知れないね」

秀才「そんなことが……」

優男「今度は火魔術家だけで倒せるように兵器も作っているようだし」

秀才「……兵器?」

優男「ある男の心臓を核とした兵器だ。 どんな形式のモノかは解らないけどね」

秀才(……生徒会長先輩)

優男「勿論、強制はしない」

秀才「……仲間を、オタクを裏切るようなことは出来ない」

優男「ならば、この話は無かったことにしよう」

「―そうやって何時までも蚊帳の外で指を咥えていれば良い」

無口「……始末しないの?」

優男「あの男は暫く泳がせる。 放っておいても勝手に調べ出すだろうからね」

無口「……」ムス

優男「そんなに殺したかったのかい?」

無口「彼は優しい」

優男「それが殺したい理由か……相変わらず歪んでいるな」

無口「……」プイッ

優男(好意を持った相手を殺したくなるか……理解でき無いね)ヤレヤレ

優男「君は秀才君の監視をお願いする。 今回の件を火の若に伝えようとしたら始末してくれ」

無口「……」コクン

優男「僕は若様に今回の件を報告してくるよ。 本当の土の若様にね」

【森の小屋】
コンコン

ポニテ「根暗君、いませんか?」

ガチャ

触手爺「……」

ポニテ「あっ、お爺さん」

触手爺「……」ブンブン

ポニテ「いないんですか…… 何処にいるか知ってます?」

触手爺「……」ユビサシ

ポニテ「森の中?」

触手爺「……籠っている」

ポニテ「森の中に……ですか?」

触手爺「……」コクン

ポニテ「ありがとうございます。 探してきますね!」

触手爺「……ん」つ笛

ポニテ「何ですか、これ?」

触手爺「……助けに行く」

ポニテ「あぁ、危なくなったら吹きますね」

触手爺「……」コクン

ポニテ「それでは、いってきます」

触手爺「……」ノシ

【森の中】
ポニテ「根暗くーん! 根暗くーん!」

ポニテ「……何処にも居ないな。 ん?これは……血の臭い」

魔物の死骸山「」プーン

根暗「……呼んだ?」ウツロ

ポニテ「あんた……何してるの?」

根暗「探してるんだ」

ポニテ「へ?」

根暗「本気の僕を殺してくれる存在をね」ニタ

ポニテ「……何で?」

根暗「僕のせいで三編みさんは死んだ……その責任を取るには僕も死ぬしか無いだろう?」

根暗「ただ、自ら命を断つなんてことは僕っ娘やお爺ちゃんの手前出来ない」

根暗「だから、本気の僕を殺せる存在を探してるんだ」

ポニテ「……それが三編みへの罪滅ぼしになると本気で思ってるの?」

根暗「……」

ポニテ「……まぁ、良いわ。 私はあんたに聞きたいことがあってきたの」

根暗「聞きたいこと?」

ポニテ「三編みはさぁ……あんたにおもいを伝えて死ねたの?」

根暗「……あぁ、三編みさんの想いはしっかり伝わった」

ポニテ「そう……なら、良かった」

ポニテ「三編みが死んだのは確かにあんたのせいなのかも知れない」

根暗「……」グッ

ポニテ「それでも……あの子言ってたんだ」

『大好きな人には笑っていて欲しいんだもん』

ポニテ「……あんたが思うように罪滅ぼししたら良いよ」

根暗「……ポニテさん」

ポニテ「何?」

根暗「ありがとう……僕はもう迷わない」ポロポロニカッ

ポニテ「泣くか笑うかどっちかにしなよ」クス

【魔術学園・2-B】
オタク「……やっと来たでござるか」

根暗「うん……心配かけてごめん」

オタク「もう、大丈夫でござるか?」

根暗「うん……大丈夫」

根暗「僕はもう迷わない」ニッコリ

(僕の大切なモノを奪うものがいるならば)

(命を奪うのを躊躇しない)

「僕はもう迷わない」

本日はここまで!

調子がどうも出ず……ゆっくり書いてきます~

今更だけど……続き書いたの(´・ω・)
不定期だけど、突然休んだりするだろうけど、それでも良いなら見てほしいの(´・ω・)

「ねぇ、実は弱いんじゃない?」

「負けてるところしか見たこと無いよね?」

「本当に退魔の一族なのかな……」

「登場した時点で敗北フラグでござるよ」デュフフフ

「強気なのは態度だけなんだよ、きっと」

「負け犬の癖に強がって」

「「「はははははははははははは」」」

―うるせぇ

【不良の家】
不良「うるせぇ!!」

チュンチュン

不良「……夢かよ」ハァハァ

不良「クソッ!どいつもこいつも舐めやがって」

雷博士「不良君、口調が悪いよ」

不良「アウルベアに負けたからって俺が弱ぇことにはならないだろうが!」

雷博士「アウルベアに勝てる人達よりは弱いことになるんじゃないかな?」

不良「あ、相性ってもんが……」

雷博士「アウルベアは雷耐性は無かったはず……」

不良「うるせぇよ! クソ親父!!」

雷博士「はぁ、朝食中にクソとか聞きたくないな。」

雷博士「全く、アウルベア狩りなんて退魔家系に任せておけば良いものを……」

不良「…………」

雷博士「まさか、不良君はまだクラスの皆に嘘をついてるのかい?」

「うちは探究家の家系だというのに……」

不良「うるせぇよ!!」

【入学初日】
不良「俺は不良、雷魔術家の長男で……」

DQN「雷魔術!?」
ヤンキー「スゲー、退魔の花形じゃんか」

「不良君って強いのかな?」「何か、見た目も怖いし……」「やっぱり退魔の家なの?」

不良「いや、俺の家は……」

「雷魔術の家系なのに探究家の家系なんてあり得ないだろ」

不良「……決まってんじゃねぇか!うちは根っからの退魔の家系だ!! 舐めてっとぶっ飛ばすぞ!!」

【公園】
不良「……今更言えるわけねぇじゃんか」ハァ

少女「……」ジー

不良「あんな嘘つかなかったら……はぁ……」

少女「嘘吐きは、メッ!なんだよ!」ユビサシ

不良「あぁん? 何だテメー?」

少女「私?私、少女!」

不良「いや、名前が知りたいわけじゃなくて……ウゼーな、向こう行け」シッシッ

少女「レディーを手で追い払うなんて、ジェントルマンの風上にもおけないんだよ!」

不良「悪いが紳士のつもりはねぇよ」

少女「むー、お父様が男児たるもの皆紳士を目指すって言ってたよ」

少女「………………おねえちゃん?」

不良「男だ!!」

少女「おにいさん、面白い~」

不良「馬鹿にしてんじゃねぇよ!」ビリビリビリ

少女「…………」

不良(フン、びびったか)

少女「……綺麗」

不良「はぁ?」

少女「こんな綺麗な電気を出せるなんて」

「―おにいちゃんはすごい魔術師なんだね!!」

不良「お、おぉ、まぁな」ドヤ

【魔術学園・屋上】
DQN「おら!良いからさっさと出せよ?」

ヤンキー「不良が黙ってる内に出した方が利口だぜ?」

不良「……」ポケー

男子生徒「止めてよ~、晴天の元、景色の良い屋上で昼休みの団欒をBGMにカツアゲするのは止めてよ~」

DQN「うるせぇ、良いから出せよ!」

ヤンキー「昨日、お小遣い日だったんだろ?」

男子生徒「へ? いや、明日だけど……」

DQN・ヤンキー「……へ?」

DQN「ふ、不良が……お小遣い日を間違えた……だと」タラ

ヤンキー「全校生徒のお小遣い日を網羅した男と呼ばれた不良が……」

不良「……」ポケー

男子生徒「何かあったのかな?」ヒソヒソ

ヤンキー「朝からずっとボケーとしてんだよな」

DQN「落ちてるモンでも食ったんじゃねぇか?」

男子生徒「いや、流石に不良君でも拾い食いなんてしないでしょ」

ヤンキー「だよな……って、普通に話してんじゃねぇよ!」グイッ

男子生徒「止めてよ~、鼻息を荒くして、獣のような目で僕を見つめながら胸ぐらを掴むの止めてよ~」

ヤンキー「鼻息荒くねぇよ! そんな目で見てねぇよ!」

DQN 「マジでどうしたよ? 不良」

不良「……ガキってどういう話したら喜ぶんだろうな?」

ヤンキー・DQN「はぁ? ガキ?」

男子生徒「やれやれ、これは面倒事に首を突っ込んでしまっているようだね」フゥ

ヤンキー「お前は何なんだよ! マジで!!」

【公園】
不良「そんでよ、カツアゲしてる奴等をまとめてぶっ飛ばして俺は言ってやったんだ」

少女「……」ワクワク

不良「一昨日来やがれ!三下どもめ!!ってな」

少女「不良にぃちゃん、かっこいい」キラキラ

不良「まぁな! 俺ぐらい強くなると、弱いやつを守るのは義務みたいなもんだからな」

少女「ふふふ、じゃあ少女も守ってもらわないと」

不良「おう、しょうがないから守ってやるよ」ナデナデ

少女「わーい!!」

ナース「少女ちゃん、病院に戻る時間ですよ~」

少女「あっ……ごめん、不良にぃちゃん」

不良「良いから早く行け、また来てやっから」

少女「うん! 明日から検査だから……次に外出出来るのは3日後かな」

不良「へいへい、じゃあな」

少女「レディーとの約束はちゃんと守らないとなんだよ」

【魔術学園・2-D】
ヤンキー「……不良、お前最近ぬるくなったな」

不良「……おぉ」ボケー

DQN「なぁなぁ、久しぶりにカツアゲしに行こうぜ! 今日は誰がお小遣い日なんだ?」

不良「さぁな」ボケー

不良(少女……検査大丈夫かな?)

バァン!

DQN「いい加減にしろよ」シュウ

「何? 喧嘩?」「DQNのやつ教室で魔術使ったぞ」「何か最近噛み合って無かったもんね」ザワザワ

不良「ド、DQN、いきなり何すんだよ」

ヤンキー「不良よ、お前こそいきなりどうしたんだよ?」

不良「……俺は別にどうもしてねぇよ」

DQN「だったら行こうぜ? カツアゲ! 万引き! やりたい放題しにいこうぜ?」

不良「……そういうの、もう飽きたんだわ……俺」

ヤンキー「……はぁ、もういい。 行こうぜ、DQN」

「探究家のヤツなんてこんなもんだ」

不良「!?」

DQN「あれ? 俺らが知らないと思ってたのか?」

ヤンキー「ちょっと調べれば解るんだよ、バーカ」

DQN「まぁ、お小遣い日調べてきたり何かと便利だったからツルんでやってたけどな」

「お前みたいな雑魚はもういらねぇよ」

【魔術学園・屋上】
「不良君って本当は探究家の出身らしいよ」

「え? ずっと嘘ついてたってこと」

「確かに退魔家にしては弱すぎるもんな」

「あふんw アウルベアにやられてあふんwww」

不良「…………強くなりてぇな」

優等生「おい、そこのガラの悪い男」

不良「あぁん? 何だよ」

優等生「1つ貴様に伝えないといけないことがあってな」

不良「て、テメェは優等生!?」

優等生「む? 俺の名前を知ってるのか? 少女にはもう近づくな」

不良「当たり前だろ? 狩りモノ競争で」

優等生「あぁ、瞬殺されていたのは貴様だったな」

不良「鼻につく言い方だな」ギリ

優等生「負け犬の遠吠えなど俺の耳には届かん。 用件に移らせてもらって良いか?」

不良「て、テメェ!!」

「少女にはもう近づくな」

優等生「以上だ」

不良「はぁ? 何でお前にそんなこと言われないといけないんだ!?」

優等生「詳しくは話せないが、彼女は我々の監視下にある。 貴様みたいな男に付きまとわれると迷惑だ」

不良「…………嫌だって言ったら?」

優等生「負け犬に生えた最後の一本を引き抜くことになるだろうな」

不良「俺は……負け犬じゃねぇ!!」ビリビリ

カーカーカー

不良「………………クソッ」ボロボロ

不良(優等生は魔術を使わなかった……使うほどの価値が俺にはねぇのか?)

不良「クソッ!クソッ!クソが!!」

京太郎「ペロペロ催眠完全無料版始まったら本気出す」

照「ハーレムカンパニー艦これに似てるゲームも終わった」

菫「ダンジョ&プリンセスも終わった」

尭深「ラビリンスバインに似てるゲームチン巫女ゲーも終わった」

誠子「ひつじ×クロニクル男追加シネ白髪神父様のハーレム穢されて終わった」

淡「レーシング娘。娘も終わった打ち切りダークネス40万人9月30日終わる終わった」

オレヌシ「再び事前登録始まったらSS書き込む」

【不良の家】
不良「……」ガチャ

雷博士「不良君…………おかえり」

不良「……おぉ」

雷博士「晩御飯にしようか……お風呂はしみそうだね」

不良「……なぁ、クソ親父……探究家は退魔家に勝てねぇのか?」

雷博士「ん?」

不良「子供の頃からずっとそうだ! 雷魔術使いの癖に! 攻撃特化の魔術を受け継いで来たのに……何でうちは探究家なんだよ!!」

不良「探究家何かじゃ、何も守れねぇ!!」

雷博士「…………ゲートが出来たお陰で、遠く離れた街を一瞬で行き来することが出来るようになった」

雷博士「回復魔術の進歩で救えなかった命を救えるようになった」

雷博士「錬金術師が作る道具は人々の生活には今や欠かせないモノだ」

雷博士「確かに目の前で暴漢に襲われてる人は助けれないかも知れない」

雷博士「アウルベアだって倒せないかも知れない」

雷博士「悔しい思いをたくさんするだろう。 それでも耐えて、魔術を探究しなければいけないんだ」

不良「……何でだよ?」

「未来を守るためさ」

雷博士「不良君には居ないのかい? 明るい未来を贈りたい人は?」

不良「………………今日はもう寝る」

雷博士「おやすみ、不良君」

【公園】
不良「…………何て言おうか」

不良(優等生が言う通り、俺がいたら少女に迷惑なのかも知れねぇな……悪いことも散々してきたしよ)ハァ

中年「何か悩みごとかい?」

不良「あ? 何だテメェ……」

中年「ただのオジサンだよ……気前の良いね」つ札束

不良「なっ! 何だこの大金……俺にくれるのか?」

中年「その代わり……頼みたいことがあるんだ」

中年「私の娘を……少女を助け出してくれないか?」

不良「少女を助け出す?」

中年「あぁ、実は少女は特殊な体質でね……あの病院の検査が必要と言って私から娘を奪ったんだ!!」

中年「きっと人体実験をされているに違いない!!」

不良「なっ! マジかよ!?」

中年「少女が公園に来たら、楽しい所に連れてってあげるとでも言ってこの倉庫に連れてきてくれ」つメモ

不良「…………これは前金だよな?」ニヤ

中年「あぁ、成功報酬もはずましてもらおう」ニヤ

不良「よっしゃ! 任せろ!!」

少女「……あれ?居ないな……不良にぃちゃん! 不良にぃちゃん!」キョロキョロ

優等生(不良はちゃんと言い付けを守ったか)コソコソ

少女「……ん?何これ?」

メモ『少女へ 退院できたら遊園地とか、動物園とか楽しいところに行こうぜ! 不良より』

ナース「あれ? 少女ちゃん、何時ものおにいちゃんは?」

少女「今日は忙しいみたい……ほら」つメモ

ナース「あら、本当ね。 ん?後ろに何か書いてるわね……○△倉庫?」

優等生(○△倉庫……確か、魔壊組織の武器庫になってると噂が…………)

優等生「アイツは馬鹿なのか」ダッ

【○△倉庫】
中年「生徒会長は火魔術家に取られちまったからな」

ゴロツキ「彼女で本当に兵器が完成するんですかね?」

中年「生徒会長ほど出はないにしろ、彼女も魔力過剰症患者だ……まぁ、失敗しても利用価値はあるだろうよ」

ガラガラガラ

不良「……よぉ」

中年「おぉ、不良君だったかな? 連れてきてくれたかい?」

不良「いや、駄目だった。 不良にぃちゃんみたいな不審者にはついて行けないってよ」ヘラヘラ

中年「……嘘だね?」

不良「嘘ついてんのはお互い様だろ?」ビリビリ

中年「やれやれ、これだからガキは嫌いだ」クイッ

ゴロツキ「硬化魔術……オラァ!!」ダッ

不良「そう簡単にやられるかよ……雷撃魔術!」ビリビリ

ゴロツキ「…………」

不良(……効いたか?)

ゴロツキ「何だ今の? マッサージか?」ナグリ

不良「ぐはっ! ら、雷撃魔術!!」ビリビリ

ゴロツキ「効かねぇよ!!」ケリ

不良「雷撃……ま、じゅつ……」ビリ

ゴロツキ「無駄だって言ってんだろ?」フミ

不良「ぐぁっ!?」

中年「おいおい、殺すなよ。 不良君、もう一回チャンスをあげよう。 オジサンは気前が良いからね」

中年「少女を此処に連れてこい」

不良「…………断る」

中年「おいおい、弱いくせに無理しない方がいいよ? ほら、殺されちゃうよ?」ナイフ

不良「……それでもな、約束したんだよ」

不良「守ってやるって約束したんだよ!!」

中年「オジサンぐらいの歳になると耳が遠くてね……聞こえないんだよ。 負け犬の遠吠えなんてね」

ジュゥゥウウウウウ

ゴロツキ「何だ!?」

不良(倉庫の扉が溶けた……!?)

中年「ヤレヤレ、真打ち登場かい?」

「歳を取るとは嫌なもんだな、中年」

「俺にはしっかり聞こえたぞ、無様で騒がしい」

優等生「負け犬の遠吠えがな」ギロリ

ゴロツキ「何じゃ、テメェ!!」ダッ

中年「ゴロツキ、迂闊に近付くな……って遅いか」ハァ

優等生「熱源魔術……」ジュゥウウ

不良(ボクシングみたいな構えだな……)

優等生「ヒートブロー!」ドン

ゴロツキ「アベシ!!」

優等生「汚物共、消毒してやる」グッ

中年「この歳でヒデブ……なんて叫びたくないからね、今回は退散させてもらおうか」シュイン

優等生「……転移魔術? いや、何らかの道具を使ったのか」

不良「お前、マジで強いんだな……クソ、結局俺じゃあ守れねぇってことか……」

優等生「あぁ、貴様では守れなかった」

「だが、俺達で守った」

不良「はぁ?」

優等生「負け犬……遊園地の約束、守ってやれよ」スタスタ

不良「…………鼻につく野郎だ」

【魔術学園・校舎裏】
ヤンキー「オラ! さっさと出せよ!」

DQN「もう、お小遣いもらってんだろ?」

「止めてよ~……って、あれ? 不良君は?」

ヤンキー「あんな奴知るか!」

DQN「雑魚とつるむのは止めたんだよ」ヘッ

「ふーん、じゃあ、君達に用は無いや」

ヤンキー・DQN「はぁ? 何言ってんだ」

[ヤンキー君、DQN君、カツアゲなんて絶対にやってはいけないよ?]

ヤンキー「良いからさっさと……あれ? 俺達なんてことしてんだ……」

DQN「あぁ、俺達どうかしてた……悪かったな」

「いや、良いんだよ」

(雷博士の息子である不良君に近付く為にいじめられてあげてたけど……)

「世の中上手く行かないもんだね」トホホホ

優男「若様、あまり学内で魔術を使うのは良くないかと……」

「うん、優男君……今後気を付けるよ」

優男「解っていただけたら良いのです……土の若様」

591
優等生「む? 俺の名前を知ってるのか? 少女にはもう近づくな」

優等生「む?俺の名前を知ってるのか?」

ですね~
先走ってますね(汗)

【魔術学園・屋上】
丸眼鏡「……そちらは落ち着いた?」

オタク「あぁ、ようやくな。 本当はもっと早く集まりたかったんだが……」

お嬢「仕方がありませんわ……魔術犯罪については火魔術家が管轄ですもの」

オタク「どうやら、死刑囚達の脱獄には魔壊連合の手引きがあったらしい……職員室に書かれた魔方陣と同じ系列の魔方陣が刑務所の壁に書かれていた」

丸眼鏡「……ところで、生徒会長はどうしている?」

オタク「やけに気にかけるな」

丸眼鏡「特殊体質者の保護は本来水魔術家の管轄では?」

オタク「…………」

お嬢「……生徒会長さんの件に付きましては、私も説明していただきたいのですが」

オタク「……魔力過剰症については専門的に研究している一族が我らが傘下にいる」

丸眼鏡「だが、水魔術家に話を通すのが筋ではないか……火の若よ」

お嬢「…………若様」

オタク「それは……」

「何かやましいことでもあるのでは? 火の若様」

オタク「……四大元素家の後継ぎの会合に貴方の席は無い、優男」

優男「では、用意してください。 なんせ、私は土の若様の代行で伺ったのですから」

丸眼鏡「ならば、事前に申請し他の参加者に認可されてから来るべき」

優男「なるほど、ごもっともです。 次回からそうさせていただきますね」

オタク「次回から土の若に参加してもらえればその手間は減る」

優男「ははは、そんなに目の敵にすること無いじゃないですか」

オタク「顔を出した理由は察しがつく」

お嬢「……第一級危険魔術家について、ですわね」

優男「えぇ、今回の件で彼等……いえ、彼の危険性については充分露見したかと」

オタク「根暗が串刺しを殺したのは正当防衛だ……抵抗せずに殺されれば良かったとでも言うのか?」

優男「正当防衛? そうは言い切れないのでは? 彼には避難するという選択肢もあったのですから」

オタク「……」

丸眼鏡「待て、その件で火の若のみを責めてもらっては困る」

お嬢「……丸眼鏡さん?」

丸眼鏡「死刑囚の討伐を依頼した私にも責任の一端はある」

優男「えぇ、貴女らしく無い判断でしたね」

丸眼鏡「しかし、あの場においてその判断は正しかった」

「根暗は戦うべくして、戦った」

優男「……はぁ、まぁ良いでしょう。 それより風の姫君、腐女子の監視を怠らないでくださいよ」

優男「彼女の友人が死んだんでしょ? ククッ、なら、禁忌に手を出してしまうかも知れませんからね」

お嬢「貴方は何で笑いを堪えるように……そんな、ことを……」グッ

丸眼鏡「あぁ、解っている。 それでももし、そんな事が起こってしまったら」

「―私が腐女子を処分する」

【魔術学園付近・ラブホ】
根暗「…………あの、えと、その」オロオロ

メイド「結構、装飾とかこってるんすね~」キョロキョロ

腐女子「フヒヒヒ、男二人でのご利用は禁止と書いてあります! つまり、これはご利用しようとした人達がいたという証拠……フヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒ!!」

根暗「ふ、二人とも、早くその3Pして……あの……」

メイド「3Pしたいんっすか? エロエロっすね、根暗は」

腐女子「根暗先輩の触手オナニーとか見たいです! 是非に! 是非に! 是・非・に!!」

メイド「いや、それは流石に引いちゃうぜ? 腐女子ちゃんよ」

腐女子「サーセンw マジサーセンwww」

根暗「さ、3P会議しようって、呼び出したのは、その、二人でしょ」アセアセ

メイド「いやぁ、根暗をからかうのが楽しくて」

腐女子「弄られ役受けな根暗先輩は俺得!!」

メイド「さて、真面目な話をするっすか」

根暗(本題に入る前にどっと疲れた……)

腐女子「そうですね……あの、ですね」

メイド「あ~、腐女子は黙ってるっす。 私が聞いてやるからよ」

メイド「根暗……死刑囚を殺したのは自分の意思か?」

「それとも、触手に操られてやったんすか?」

根暗「…………」

メイド「重要なことなんっすよ」

根暗「ぼ、僕の意思で……だと思う」

メイド「言い切れないようならダメっすね」ジト

根暗「……三網みが目の前で……その頭の中が熱くなって」

メイド「はぁ……大体解ったすよ。 今回はしゃーないが、あまり暴走するなっす」

根暗「でも、その……ぼ、僕は間違ったことはしてない」

腐女子「人を殺して正しいなんて有り得ません!」

根暗「!?」ビクッ

腐女子「人が……本当の意味で生き返ることなんて……無いんですから」グッ

根暗「……ごめんなさい」

メイド(死霊術士だからこそ……すかね)

腐女子「メイド先輩、安心してください」

メイド「あっ、私の言いたいこと解っちゃったすか?」

腐女子「はい、彼女は自分の愛する者のために死にました」

根暗「…………」

腐女子「そんな彼女の尊い死を私の魔術で汚すことはしません」キリ

腐女子「私の……初めての……友人だったの……ですか……ら」ウルウル

メイド「よく、言ったす。 ……よく、耐えたっす」ギュ

根暗(……本当は腐女子さんは死霊術を使ってしまいたいのかな?)

根暗(でも、そうしたら誰も幸せにならないことを理解してるから耐えてるのか……)

根暗(僕は……)

『―僕が最初からこいつを殺すつもりで闘ってたら良かったんだ』

根暗(僕は……最低だ)

【魔術学園・2-B】
根暗「……」ポケー

オタク「……」ポケー

根暗(触手に負けないようにするにはどうしたら良いんだろう)

オタク(生徒会長のこと、家に帰ったらもう一度父上に聞いてみるか……教えてくれないだろうが……)

委員長「二人も入れてくれるよな?」

根暗・オタク「ふぇ?」

委員長「二人も私に入れてくれるよな?」

根暗「い、委員長さん! いきなり、へ?何の話?」

オタク「2穴責めとか割りとハードな趣味をお持ちでw」デュフフフ

委員長「2穴責め? 何を言ってるんだ? 生徒会選挙の話に決まっているだろう」

根暗「へ? せ、生徒会選挙?」

オタク「あぁ、そう言えば朝礼でそんなこと言ってたでござるな」

根暗「委員長さん、り、立候補するんだ」

委員長「あぁ、この学園の在り方には少し思うところがあってね。 より良い学園作りをしてみたいんだ!」キリ

オタク「委員長殿は真面目でござるな」

根暗「そ、そこが良いとこだと……あの、思うけど」オドオド

委員長「ありがとう! 二人とも清き1票をy」

「その二人が君に投票することはないさ」

委員長「き、貴様は…… 秀才!!」

秀才「Exactly! 俺だ!!」

オタク「およよ? 秀才も立候補するのでござるか?」

秀才「あぁ、俺が生徒会長になったら……土中生物釣り上げ部の部費を」フフフ

オタク「はーい! 拙者は秀才にいれるでござる!!」デュフフフ

委員長「不純だ!!」

秀才「清くても汚くても1票は1票なのさ」ドヤ

委員長「き、君はそんな甘言に騙されないよな?」

根暗「うーん」

秀才「部長、何を迷う必要がある?」

根暗「だって、秀才が生徒会長になったら忙しくて土中生物釣り上げ部に来にくくなるかもって……」

根暗「部費が上がるより、秀才の参加頻度が……その、上がる方が……その、嬉しいな……なんて」

秀才「根暗、そういうところだぞ! 君は本当にそういうところだぞ!!」カー

オタク「根暗の人タラシスキルが上がっていくでござるよ」デュフフフ

委員長「とにかく! 負けないからな、秀才!!」

秀才「あぁ、俺は負けられない」

オタク(負けられない?)

【魔術学園・中庭】
僕っ娘「たまには外で食べるのも良いものだな」

根暗「う、うん……あの、僕っ娘、そのね」

ポニテ「僕っ娘、食事中なんだから根暗の膝の上から降りなさい」

僕っ娘「嫌だね。 ほら、根暗、卵焼きを僕の口に運ぶんだ」アーン

根暗「う、うん……あーん」つ卵焼き

オタク「2人羽織りみたいでござるな」デュフフフ

ポニテ「行儀が悪いってレベルでも、バカップルってレベルでも無いわね」ハァ

「ー私は普段の授業や行事を通してより退魔家と探求家が理解を深めることが重要だと思います!」

ポニテ「あれ? あんた達のクラスの委員長さん?」

オタク「街頭演説w ワロタww」

委員長「我が校の三大行事である運動会、文化祭、魔術技会のうち運動会、魔術技会は明らかに退魔家を優遇した運営になっており」

根暗「い、委員長さんの思うところって……」

オタク「退魔家と探求家の差別問題……だったでござるか」

ポニテ「言われるほど、探求家を軽視してるつもりは無いんだけどね」

僕っ娘「それは君達が退魔家の人間だから言えることだ」フンッ

ポニテ「僕っ娘?」

オタク「退魔家優遇の時勢に探求家が思うところがあるのは同然でござるよ」

僕っ娘「おい、根暗! 箸が止まっているぞ! 次はそのソーセージを……」

根暗「……」ゴゴゴゴゴゴ

僕っ娘「……どうした?」ゾクッ

委員長「探求家が活躍出来る場面をより増やし、お互いを理解を深めていく事が……拍手ありがとうございます」

不良「……良いこと言うな」パチパチパチ

ポニテ「ふ、不良がいる!」

僕っ娘「君、そんな怖い顔したら嫌いになっちゃうよ」

根暗「…………うん」シュン

オタク(不良が僕っ娘にしたことを思い出してか。 ……不安定だな)フム

僕っ娘「む? 止めろ、ブロッコリーを僕の口に運ぶな」

根暗「す、好き嫌いは、良くないよ」アーン

僕っ娘「むー」アーン

「―俺が生徒会長になったあかつきには食堂、図書館、体育館など皆さんの生活に関与する施設の改善を進めます」

オタク「おっ、今度は秀才が演説を始めたでござる」

ポニテ「へぇ、秀才も立候補するんだ」

僕っ娘「知らなかったな」

根暗「お、同じクラスなのに!?」

僕っ娘「僕は君以外の男に関心が無いからね」ドヤ

オタク「ポニテ殿は拙者以外の男子に関心が無かったからでござるか?」デュフフフ

ポニテ「ふぁっ!?」///

オタク「冗談でござるよw ちょ、止めて、肉体強化しながら拳を握らないで! あ、謝るk…あふん」

秀才「まず、食堂については並ぶスペースについての問題が浮上している。 これに対しては床にシールでラインを付けるという簡易的な対策と机の配置の改善で対処しようと考えている」

秀才「また、図書館の魔導書の雑多な管理についての苦情については図書委員と協力して対処。 それとこれを機に魔導書をランク分けして整理し、見易いよう表を作成して……」

オタク「秀才、本気でござるな」イテテ

ポニテ「皆の要望を汲み取り、実現可能な対処方法を示しているわね」

僕っ娘「 これは残念ながら委員長が不利かも知れないね」

根暗「…………」ジー

僕っ娘「ん? 根暗? 今度はどうした?」

根暗「いや、あの……あれ」

副会長「清き1票をよろしくお願いいたします」

僕っ娘「あぁ、彼女も立候補しているのか?」

ポニテ「まぁ、副会長をやったから次は会長って気持ちも解るけど……」

副会長「……清き1票をよろしくお願いいたします」

オタク「敗色濃厚でござるな……」

根暗「……」

【生徒会室】
会計「副会長先輩、ポスター作ってきましたよ」

書記「副会長、ほら、看板作ったぞ? 襷もな」

副会長「……うん、ありがとう」

会計「書記先輩、副会長先輩大丈夫ですかね?」ヒソヒソ

書記「他の候補者に気圧されてるみたいだな」ヒソヒソ

副会長「なぁ、二人とも……」

会計・書記「「ファイ!!」」

副会長「……私に会長の意思を継ぐ権利など有るのだろうか」

「私に清き1票を入れて貰う権利なんて……あるのだろうか」

書記「……知らねぇよ」

会計「ちょっ!書記先輩!?」

書記「俺はあの人が必要としてくれたから此処にいた。 テメェは今勝つ気あんのか?」

副会長「……」

書記「帰るぞ、会計。 どうやら、俺らは必要とされてないらしい」

会計「……副会長先輩、出来る事があったら呼んでくださいね」

副会長「……生徒会長」

『そんな所に立っていたら危ないよ』

『……ほっといてください、私は要らない人間なんです』

『……』

『兄が家を継ぐから私なんて要らなかったんです。 私なんて誰も必要としてくれない。 私なんて生きてる意味がない。 私の未来に価値なんて……』

『―君を副会長に任命する』ギュッ

『へぇ?』

『明日は早く登校して一緒に校門で挨拶運動をしてくれ。 昼休みは風紀の乱れが無いか見回りをしよう! 』

『放課後は会議だ! 僕達しか解決出来ない問題が山のように待っている!!』

『そ、そんないきなり、そんなこと言われても……』アセアセ

『未来とはいきなりやって来るものさ、だからこそ価値があるのかも知れないね』

生徒会長『君の未来は無価値なんかじゃないさ』ニコ


副会長「…………私の未来には本当に価値があるんでしょうか」ポロポロ

【魔術学園・校門】
風来坊「副会長に清き1票を!!」

根暗「ふ、ふふ、副会長にき、清きいっぴょんぴょん!」///

風来坊「いっぴょんぴょんってなんだよ! ちゃんと言え!!」

根暗「ひゃい!」オロオロ

副会長「…………あなた達は何をしているの?」

風来坊「おぉ! やっと来たか! 助太刀してやるぜ」ニカッ

副会長「必要ない。 私は辞退する」

風来坊「はぁ!?」

副会長「何故、あなた達が私を支援してくれたのかは解らないけど……悪かったね」

根暗「ふ、副会長に清き1票をお願いいたします!!」

副会長「……今の話を聞いてなかったの?」

根暗「副会長に清き1票をお願いいたします!!」

副会長「止めて!」

風来坊「嫌だね」

副会長「はぁ?」

風来坊「俺らは生徒会長が治めるこの学園が好きだったんだ。 その意思を継げるのはテメェしかいねぇよ」

風来坊「俺らの為に副会長、お前には勝って貰うぜ?」

副会長「な、何て勝手な……私にあの人の意思を継ぐなんて……」

「出来ます」

根暗「で、出来ます」ジッ

副会長「…………私は副会長を経験し、他の候補者より生徒会の業務内容を熟知しております」

副会長「登校中の皆さん、私、副会長に清き1票をお願いいたします!!」

根暗「……」ニッ

風来坊「おう! 俺らも声出すぞ!!」ニカッ

根暗「副会長に清きいっぴょんぴょんを……あぁ~」///

副会長「全く……締まらないね」クス

【魔術学園・図書室】
副会長(秀才君の演説内容が気になって見に来たが……確かに改善の余地がある)

秀才「おや?」

副会長「……やぁ」

秀才「調子はどうかな、副会長さん」

副会長「あなたは絶好調のようね、秀才君」

秀才「あぁ、明日が選挙当日だからね」

副会長「……」

秀才「……俺はどうしても負けられない理由がある」

秀才「生徒会長にならないといけない理由があるんだ」

副会長「そう……」

秀才「だから、副会長さん」

「漫然と生徒会を続ける為に立候補しているなら辞退してくれ」

副会長「……」

秀才「俺が生徒会長になったら君を副会長に推薦する。 それで問題無いんじゃないか?」

【先日・図書館】
秀才(……この文献にも第一級危険魔術家の詳細は無いか。 火魔術家についての情報も……)

秀才「…………停滞してる場合じゃ無いというのに」

優男「聞いてくれたら、答えてあげるよ♪ 第一級危険魔術家のこと」ニッコリ

秀才「…………」ペラペラ

優男「無視するなんて酷いな」

秀才「貴方から聞いたところで根拠がない」

優男「そこまで信用できないかい?」

秀才「……貴方達に協力する気は無いと言っただろ? 失礼する」スタッ

「特例文庫」

秀才「……」ピタ

優男「学内に保管されながらも一般の生徒には公開されていない書物……噂ぐらいは聞いたことはあるかな?」

秀才「参考にはさせて貰う……」スタスタ

優男「確か、生徒会長には閲覧許可が……と、行ってしまったか」クスクス

【魔術学園・講堂】
委員長「確かに私自身は退魔家の出身です、だからこそより探求家を理解出来る機会が欲しいと思っています。 具体的には……」

副会長「…………」

『漫然と生徒会を続ける為に立候補しているなら辞退してくれ』

副会長(委員長さんはちゃんと志を持って立候補している)

副会長(秀才君も負けられない理由があると言っていた……)

副会長(私はやはり、辞退した方が……)

「……前の生徒会長よりはまともだな」ボソッ

副会長「」

「吐血してばっかだったもんね」クスクス

副会長『……生徒会長なんて止めて安静にしていた方が利口なんじゃ無いですか?』

生徒会長『確かにそうかも知れないね』

生徒会長『君にだから言うけどさ』

『僕はね、死ぬのが怖いんだ』

副会長『へ?』

生徒会長『自分が消えてなくなるのがどうしようも無く怖いんだ』

生徒会長『勿論、未来ある皆の役に立ちたいって言うのも本音だよ』

生徒会長『でもね、せめてね……誰かの想い出の中で生きたいんだ』

『楽しかった学園生活の想い出の中でね』

放送部長「次は副会長さんの演説です」

副会長「…………」

ザワザワザワザワ

副会長「私は、皆さんに忘れてほしくない人がいます」

副会長「その人は体が弱く」

副会長「その人はその癖行動的で」

副会長「その人はことあるごとに血を吐いて皆さんに迷惑をかけたかも知れません」

副会長「……でも、その人は誰よりも、皆さんの未来を信じていました」

副会長「自分が生きられない未来を生きる皆さんの少しでも役に立ちたいと思っていました」

副会長「そんな、生徒会長がいたことを忘れて欲しくないから……私は此処にいます」

副会長「彼の事が大好きだから、此処にいます」

副会長「他の候補者と比べれば不純な動機かも知れません」

副会長「それでも、皆さんの未来に役立てる生徒会長に成りたいから……あの人みたいになりたいから」

「不純な私に清き1票をください!!」

【魔術学園・屋上】
カーカーカー
秀才「……ふぅ」

副会長「此処にいたのね」

秀才「おや、これは新生徒会長様……敗者を嘲笑いに来ましたか?」

副会長→新会長「……何であんなことしたの?」

秀才『えー、私、秀才が生徒会長になったあかつきには全校生徒をカピバラにします』

ドッ

秀才『以上! 不純な彼女に清き1票を!!』

新会長「私に同情でもした? 負けられない理由があったんでしょ?」

秀才「……君の想いを踏み台に出来なくなった、それだけだ」

秀才「俺は天才だからね、手段を選ぶ余裕があるのさ」ノシ

新会長「……貴方の目的って特例文庫?」

秀才「……」ピタ

新会長「……私は生徒会長。 困っている生徒を見過ごすわけにはいかないの」クス

新会長「ついてきなさい。 私の権限で見せれる範囲で見せてあげる」

秀才「……支持率9割り超えの生徒会長は言うことが違うな」

【魔術学園・生徒会室】
新会長「書記、資料に誤字があります。 再度、作成しなおしてください」

書記「ちょっ、少し休憩をだな」

新会長「会計、図書室の文庫のリストアップ、分別作業はまだ終わらないのですか?」

会計「ひ~~~~~!!」

書記「呼び戻されたと思ったら、クールな女に戻ってやがった」

会計「でも、そんな新会長も……素敵」///

書記「この、マゾフィスト!」

新会長「口より手を動かしなさい。 食堂の改善、図書室の整理、行事の見直し、私達がすべきことは山のようにあるのよ」

コンコン

新会長「はい、何方?」

「あの、私も生徒会に入りたいんですけど……その、私みたいなのでも役に立てますか?」

『…………私の未来には本当に価値があるんでしょうか?』

新会長「えぇ、勿論」ニッコリ

本日はここまで

【3P'sラジオ】
メイド「はい、そういうことで始まったっす、3P'sラジオ!」

メイド「パーソナリティーは私、メイドと」

腐女子「腐女子と」フヒヒヒ

根暗「ね、根暗でお送りって……何これ?」

メイド「3P'sラジオっす」

根暗「何それ!?」

腐女子「簡単に言ったら番外編ですよ、根暗先輩」

メイド「更新がかなり間が空いたせいで、作者も含めキャラとか忘れてるからキャラ紹介をしていくという趣旨っすね」

根暗「さ、作者も忘れてるの!?」

メイド「そういう根暗も忘れてるキャラとかいるんじゃないっすか?」ジトー

根暗「そ、そんなこと……」オドオド

メイド「じゃあ、これは誰か覚えてるっすか?」

???「ども!」

根暗「…………」ダラダラダラ

メイド「ほら、覚えてないじゃないっすか!」

腐女子「そら見たことか! そら見たことか!!」

根暗「ご、ごめんなさい……どなたですか?」オドオド

陸上部C「私よ!」

根暗「誰!?」

メイド「主役ですら主要キャラの一人を忘れてるとは……やれやれっすね」

根暗「主要キャラなの!?」

腐女子「人はそれぞれの人生における主要キャラなんですよ」ドヤ

根暗「じ、自分の人生でくらい主人公にしてあげようよ」アセアセ

腐女子「サーセンw 今のはマジサーセンwww」///

メイド「本気で照れてるっすね」

「全く、キャラ数多いんだからそろそろ始めるわよ!」

陸上部C「一人目のキャラはこちら!!」

3P 's「勝手に進行するな!?」

【根暗】
性別 男
クラス 2-B
継承魔術 触手魔術(第一級危険魔術)
所属 魔法薬研究会、土中生物釣り上げ部(部長)
好きなモノ 僕っ娘、土中生物(標的として)、鯛焼き
嫌いなモノ 人ごみ、初対面の人、食べ残し
備考
本作の主人公。 世界を征服しかけた魔術師の細胞から作られたホムンクルス(本人は知らない)。 祖父と一緒に火魔術家の監視下のもと森の中で暮らしている。

根暗「何か、すごい恥ずかしい……」

腐女子「ふざけんな! 好きなモノの所に男性の名前が無いではないか!?」

根暗「そんなとこ着目してるのは腐女子さんだけだと思うよ?」アセ

メイド「それはどうっすかね?」つハガキ

『根暗にとって秀才は親友ポジでオタクは切っても切れない相棒みたいな感じなのかな』

腐女子「ほら、リスナーさんもどっちが愛棒か気になってますよ!フヒヒヒヒヒヒ!!」ハァハァ

根暗「いや、あの、そういう意味じゃないと……」アセアセ

メイド「でも、実際誰と一番遊んだりするんっすか?」

腐女子「それだけで、先っちょだけで良いんで教えてください!」涎ダラダラ

根暗「一番よく遊ぶのは……召使いかな?」

メイド「はぁ!?」

根暗「オタクとお嬢さんの会合が終わるまで、一緒に時間潰したり、その……」アセアセ

腐女子「ナニして時間を潰すんっすか!?」

根暗「えっと、学園近くの鯛焼き屋さんで……買い食いしながら、お話ししたり」

腐女子「こし餡? つぶ餡?」

根暗「こ、こし餡だけど……」

腐女子(こし餡→腰アン→腰アンアン)

腐女子「御馳走様です!!」ブハァッ

メイド「満面の笑みで鼻血吹き出したっすね……」

陸上部C「次のキャラはこちら!」

メイド「まだ、いたんっすね」

【僕っ娘】
性別 女
クラス 2-C
継承魔術 無し(魔法薬精製の一族出身)
所属 魔法薬研究会(会長)
好きなモノ 根暗(太文字)、魔法薬調合、ミートボール
嫌いなモノ 惚れ薬、父親、ブロッコリー
備考
医の街にある薬屋の娘。不良達に脅されていた所を根暗達に助けられて、根暗に好意を持つ。両親の離婚したこともあり、恋愛に苦手意識を持っていたが夏休みに根暗から告白されて交際している。

根暗「……」///

腐女子「太文字w ご馳走さまです!」フヒヒヒ

メイド「僕っ娘に対するお便りも割とあるっすね……まぁ、一番気になるのはこれっすけど」つハガキ


『最初に僕っ娘がした「逆レイプまがい」ってどこまでヤったんだろう?』

根暗「………………………………」ダラダラダ
ラダラダラダラ

腐女子「おぉ、滝のような汗が……いや、我慢汁が……」

メイド「いや、汗で良いっすよ。 何、言い直してるんっすか」

根暗「お、押してるし、次のキャラにいこう! 陸上部Cさん!!」

陸上部C「君がちゃんと言えたらね」ジッ

メイド「……」ジッ

腐女子「……」ジッ

根暗「……最初は舌で僕の[P-!]を責めてきて……その後、手で[P-!]を責められながら、触手を生やすように強要されて……触手を僕の[P-!]に巻き付けさせて、その上から足で踏まれ……【以下放送禁止】」

腐女子「……逆レイプモドキっていうか」

メイド「完全なる逆レイプ……っすね」

陸上部C「でも、[P-!]回も達して、僕っ娘ちゃんの[P-!]を満たすほど[P-!]を出した根暗君の精力も」

根暗「つ、次はこのキャラです!!」///

【ポニテ】
性別 女
クラス 2-C
継承魔術 肉体強化魔術
所属 魔法薬研究会
好きなモノ 妹、ランニング、甘いもの
嫌いなモノ ムカデ、勉強、辛いもの
備考
僕っ娘の親友。 陸上部に所属していたが、とある事件をきっかけに陸上部を止め魔法薬研究会に入会する。勉強は苦手だが、割りと常識人でツッコミに回ることが多い。オタクに恋愛感情を抱く。 大好きな妹がいた。

メイド「割りと当初から出てる割りに注目される機会は少ないキャラっすね」

根暗「そ、そんな、ハッキリと……」

陸上部C「魔術無しにしても、陸上部の中で早い方だったわね」

腐女子「おぉ、まさか陸上部Cさんが役に立つとは」

陸上部C「その言い方、酷くない?」

腐女子「フヒヒヒ、サーセンw」

根暗「魔法薬研究会では主に素材の採取を担当してて……その……良い人です」

メイド「男前な女性っすね」

陸上部C「さて、今回は次のキャラで最後よ」

根暗「ぜ、全員紹介しないの……?」

メイド「キャラも多いし、本編も進めたいっすからね~。 何回かに分けて紹介していくっすよ」

腐女子「今回は特に根暗先輩と仲の良いメンバーを紹介した感じですね」

根暗「仲の良い……というより、魔法薬研究会のメンバーかな?」

メイド「いや、最後の一人は魔法薬研究会のメンバーじゃないっすから」

陸上部C「はいはい、無駄話しないの」パンパン

腐女子「サーセン」フヒヒヒ
メイド「へいへい」
根暗「ご、ごめんなさい」

陸上部C「とりを飾るのは彼よ」ウィンク

【秀才】
性別 男
クラス 2-C
継承魔術 無し(魔力循環機構を研究している家系出身)
所属 土中生物釣り上げ部(参謀)
好きなモノ 魔術の鍛練、読書、パズル
嫌いなモノ 倫理に反するモノ、仲間外れ、納豆
備考
2-Cの委員長。教師に逆らいカピバラにされた過去を持つ。本来何の魔術の特性も持たない家系の出身なのだが、その頭脳と努力で多種多様な魔術を習得している。少しキザなところもあるが憎めない人物。

メイド「秀才以外の名前の候補としては委員長Cだったらしいっすね」

腐女子「モブキャラみたいですね……」

メイド「根暗と僕っ娘が別のクラスだとアピールする為に固有の名前をつけたらしいっす」

根暗「そ、それがどうしてレギュラーキャラに」アセアセ

メイド「なんやかんやあったからっす」

陸上部C「なんやかんやってなによ?」

メイド「なんやかんやは」

腐女子「!!」ダン

陸上部C「!!」ダン

根暗「???」

メイド「なんやかんやっす!!」

根暗(……何このノリ?)オドオド

腐女子「お便りが一番多いキャラですよね」つハガキ

『秀才ネタキャラかと思いきやめっちゃ良いキャラやん』
『秀才好きだわ』
『秀才の登場方法が伝染してて笑える』
『秀才くんは登場する度に変なポーズしてそう』
『秀才はすでに努力しまくってるから特にアドバイスすることがね…』
『秀才かっけえ』
『なんだろう、秀才の沼魔術だけ凄いマイナーな感じがするな?』
『秀才が主人公でいいかもしれない?
それぐらい好きだ乙』

腐女子「他にも……」

メイド「腐女子……止めるっす」

根暗「どうせ僕なんか、どうせ僕なんか、どうせ僕なんか、どうせ僕なんか」ドドドヨーーーーン←主人公

腐女子「あっ……」

メイド「それ以上はいけない」

陸上部C「ところで秀才君は沼魔術の家柄なの?」

メイド「いんや、秀才は魔力循環機構を研究している家系出身っすよ」

腐女子「それはどういう研究なんですか?」

根暗「秀才に聞いたところ、魔術を行使するときの消費魔術量を下げたりする研究……とか、言ってたよ」オドオド

メイド「まぁ、沼魔術以外にも氷系の魔術、回復魔術、活性化魔術なんかも使ってたっすね」

根暗「た、他者に対する肉体強化魔術も使えるみたい」

メイド「根暗を助けるために四大元素家の真実を調べたり、探偵みたいな立回りをしてるっすね」

根暗「あ、あんまり危険なことに首を突っ込まないと良いんだけど……」

腐女子(根暗の為に突っ込む!?)ブハァッ

メイド「満面の笑みで鼻血を吹き出すなっす」

根暗「わぁ……何て言うか……わぁ……」

メイド「とと、もうこんな時間っすね。 そろそろ番組を締めるっすよ」

腐女子「また、気が向いたら他のキャラ達も紹介していくのでお楽しみに!」フヒヒヒ

メイド「お相手はメイドと」

腐女子「腐女子と」

根暗「根暗…………と」

陸上部C「陸上部Cでした」キラッ

陸上部C「Have a good time♪」

3P's(結局、最後までいたな……この人)

【水魔術家の御屋敷】
メイド「ついに明日っすね」

お嬢「えぇ……」

メイド「いや~、豪華な食事が食べれるなんて……今から楽しみっすよ」

お嬢「そうですわね」

メイド「……良いんっすか? お嬢が命じてくれれば私が……」

お嬢「駄目よ!! それでは、貴女が……」

メイド「私の命はお嬢の為に使うって決めてるんすよ」ケラケラ

お嬢「……大丈夫よ、メイド。 諦めはもうついていますわ」

「―さよなら、若様」ツー

【水の街】
根暗「……す、すごい」キラキラ

僕っ娘「君は水の街に来るのは初めてなのかい?」

根暗「うん、あんな大きな噴水初めて見たよ」キョロキョロ

僕っ娘「お上りさんみたいだね」クスクス

僕っ娘「さて、観光している時間は無いよ。 早く御屋敷に向かわないと」

根暗「う、うん……僕も行っても良いのかな?」オドオド

僕っ娘「君が来なかったら、誰が僕をエスコートするんだい?」

根暗「えっ、あの……その、かしこまりました、僕っ娘お嬢様」オドオド

僕っ娘「ふふ、よろしい。 それにしても楽しみだな、お嬢のお誕生日会」

【御屋敷・大広間】
召使い「……」ムシャムシャ

メイド「召使い、準備手伝うっす」

召使い「……」ムシャムシャ

メイド「召使い!」

召使い「……」ムシャムシャ

メイド「観葉植物をかじるのは止めるっすよ」

召使い「……」ムシャムシャ

メイド「いい加減にするっす、メイドパンチ!」

召使い「……」コテン

メイド「……メイドパンツ」ボソッ

召使い「……」ピクッ

メイド「あっ! 今、パンツに反応したっすね? このムッツリ」ヤーイヤーイ

召使い「メイド、今はからかわないでくれ」

メイド「召使いは今朝知ったんすもんね」

召使い「あぁ、まさかお嬢様が今日……婚約なさるなんて」ドヨヨーン

メイド「失恋乙!!」プギャー

召使い「うるさい!」

メイド「召使いには私がいるじゃないっすか」チラチラ

召使い「だから、からかうなよ」

メイド「ジョークじゃないっすか、ノリ悪いっすね」

メイド「ほら、口よりも手を動かすっすよ」

召使い「……はぁ」

【御屋敷・玄関ホール】
ザワザワザワザワ
根暗「…………」ガクガク

僕っ娘「根暗……大丈夫か?」

根暗「ヒト、オオイ、ボク、カエル」

僕っ娘「駄目に決まっているだろ?」ギュッ

根暗「ここ、本当にお嬢さんが住んでるところなの? お、お城じゃないの?」

僕っ娘「水魔術家は大資産家だ。 土地も幾つも所有しているし、探究家の研究にも投資したりと幅広い商いをしている」

根暗「へ、へぇ……」

僕っ娘「僕達が何時も使っているゲートの開発にもスポンサーとして関わっていたらしい」

根暗「そ、そそ、そうなんだ」

僕っ娘「本当に人ごみが苦手なんだな、君は」ハァ

僕っ娘(それにしても凄い顔触れだな、ゲートの実質的開発者である雷博士まで来ているとは……)フム

薬師「いやぁ、タダで飲む酒は美味いねぇ」グビグビ

僕っ娘「なっ!?」

薬師「お?」

僕っ娘「根暗、向こうに行くぞ!」グイッ

根暗「えっ、あの……ひっ、引っ張らないで」アセアセ

薬師「……何だありゃあ? アイツの彼氏か?」ニタニタ

雷博士「薬師さん、ここにおられましたか」

薬師「おぉ、これは雷博士! 飲んでるかい?」つ酒

雷博士「酒にはそこまで強くありませんので」アセ

薬師「つれないなぁ。 でぇ、ゲート開発者である偉大な雷博士様が呑んだくれに何か用かい?」

雷博士「私は形を作ったに過ぎません……と、そうでした」

「博覧会についてご相談が……」

【御屋敷・テラス】
僕っ娘「……ふぅ、何でヤツが此処に」

根暗「や、やつ?」

僕っ娘「見たくない顔があってね」

根暗「そ、そうなんだ。 人ごみから離れれて、よ、良かったよ」ホッ

僕っ娘「全く……少しは慣れておいた方がいいぞ?」

「此処にいましたのね」

使用人(?)「探しましたわよ、僕っ娘」

僕っ娘「何で、そんな格好しているんだ? お嬢」

使用人(?)→お嬢「変装ですわ。 囲まれて動けなくなってしまいますもの」

メイド「今日の来賓者は特にお嬢に……いや、水魔術家に気に入られようと必死すからね」

召使い「…………」ボケー

僕っ娘「そうか……先にプレゼントを渡しても良いか? 渡し損ねたら嫌だからね」

お嬢「えぇ! 是非とも!!」

僕っ娘「そんな期待しないでおくれよ」つプレゼント

お嬢「開けても良いかしら」ドキドキ

僕っ娘「あぁ」

プレゼント≪僕っ娘調合の香水≫

僕っ娘「いや、君ならばもっと良いものを持ってるだろうが……って、わぁ!!」ギュゥ

お嬢「……僕っ娘、本当にありがとう」ギュウウウ

僕っ娘「そ、そんなに嬉しかったのかい?」

お嬢「これは水魔術家のお嬢ではなく、純粋に私へのプレゼントですもの……大切にしますわ」ウル

僕っ娘「……お嬢」

根暗「……あの、その」つドングリペンダント

お嬢「ふふ、根暗さんもありがとう」

根暗「う、うん」テレ

メイド「根暗が作ったんすか?」

根暗「森で、その、一番良いドングリを……あの……選んだんだ」

メイド「それは手間暇かかってるっすね」

お嬢「さて、人目についたら面倒ですわ。 僕っ娘、私の部屋に来てくださらない?」

メイド「その間、召使いは根暗の相手をしてるっすよ」

僕っ娘「解った。 根暗、行ってくるね」

根暗「う、うん……」

召使い「……」

根暗「何か……あったの?」

召使い「根暗……」

根暗「……?」

召使い「根暗!!」ダー

根暗「えっ、な、何があったの!?」アセアセ

【御屋敷・お嬢の部屋】
僕っ娘「この部屋も飾り付けられてるんだね」

お嬢「え、えぇ」ドキッ

メイド「友達だけで本当のお誕生日会がしたいからって、頑張って用意したんすよね」

お嬢「め、メイド!?」

僕っ娘「ふふ、お嬢は可愛いな」

メイド「可愛いっすよ」

お嬢「もう、二人して」テレテレ

僕っ娘「それで、何かあったのかい?」

お嬢「え?」

僕っ娘「召使いのあのテンションはおかしい。 彼なら無駄にハイテンションで全力で盛り上げそうなものだ」

メイド「アイツ、お嬢のこと大好きっすからね」

僕っ娘「バラしてやるなよ」

お嬢「流石に気付いていますわ」

僕っ娘「それでも火の若様の方が好きだからしょうがないと……」クスクス

お嬢「……」

僕っ娘「お嬢?」

お嬢「若様のことは……もういいのですわ」

お嬢「私、この度……御曹司様と婚約することになりましたの」

僕っ娘「……へ? 婚約」

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【火魔術家本拠地・武家屋敷】
オタク「父上、大切な話があると伺いましたが……」

火当主「うむ、お前の問いに答えてやろうと思ってな」

オタク「……」

火当主「 生徒会長の件についてだが」

「彼はもう生きてはいない」

オタク「」

火当主「我々が開発していたモノの中に取り込まれている」

オタク「ふざけんな!?」ダッ

優等生「若、堪えてください」ガシッ
ボウズ「……」ガシッ

オタク「離せ、二人とも! 離せ!!」

火当主「聞け、愚息よ」

火当主「彼の犠牲は必要であった」

火当主「我々、火魔術家の使命を果たす為にな」

オタク「淡々と語るな! 人の、人の命の話なんだ!!」

オタク「信じていた……父上のことを、火魔術家のことを信じていた」

オタク「だが、これが現実か? ただ力を求めるだけのクズじゃないか!?」

火当主「力を求めていることは認めよう。 しかし、それは大義を果たすため」

オタク「誰かを犠牲にしてまで果すほどの意味が」

火当主「ある」

火当主「我々はヤツを封じていなければならない」

火当主「我々はヤツの存在を隠蔽せねばならない」

火当主「我々はいずれはヤツを滅しなければいけない」

火当主「それが火魔術家の役目、ヤツという存在を最初に認識した我々の使命」

オタク「ヤツって……」

火当主「そう」

「―魔王と呼ばれる存在を」

【御屋敷・お嬢の部屋】
僕っ娘「君はそれで良いのかい?」

お嬢「えぇ……良いのですわ。 水魔術家にとって」

僕っ娘「僕は君がそれで良いのか聞いたんだ」

お嬢「……僕っ娘にもあるでしょ? 自分を犠牲にしても守りたいもの」

お嬢「魔術師ならば、家を継ぐものならば、何処かで自分を殺さなければいけない時が来ますの」

僕っ娘「……」

お嬢「学園生活は最後の悪あがきでしたわ……若が振り向いてくれれば……なんて儚い夢でしたの」

お嬢「私は水魔術家のお嬢、自分を抑え込んででも家を守る責務が……」

僕っ娘「君は言っていたじゃ無いか、それでも抑えられないからこそ恋だって」

お嬢「なら、きっと、若様への恋心は本気じゃ……なかったという……」ポロポロ

僕っ娘「……メイド、何とかならないのか?」

メイド「御曹司の父、成金は輪廻の水瓶を持ってるっす」

僕っ娘「輪廻の水瓶?」

メイド「数年前に盗まれた水魔術家の家宝っすよ……」

メイド「どんな汚い手を使って手に入れたか解らないっすけどね」

お嬢「オークションで落札したらしく、息子を婿に迎えることを条件に返還していただくことになったのですわ」

僕っ娘「……いっそのこと壊してしまえば良いんだ」ボソッ

【御屋敷・遊戯室】
召使い「輪廻の水瓶を破壊する」

根暗「……えっ、水魔術家の家宝だって言ったよね?」

召使い「あぁ」

根暗「それを、その……」アセアセ

召使い「破壊する」

根暗「いやいやいやいやいや」

薬師「はははっ、腹、いてぇ、はははははは」

召使い「他に方法もないだろ? 御屋敷に持ってきているようだしな」

根暗「えっ、あの……そうかも、知れないけど……」

薬師「俺はのった。 楽しそうだ」

召使い「き、協力してくれるんですか?」

薬師「酔狂なヤツは好きなのさ」つ薬

召使い「これは?」

薬師「透明化の薬だ」

根暗「と、透明化の薬って……確か……」ムムム

召使い「効果は名前のまま……ですか?」

薬師「あぁ、偶然持っててな」

根暗「ぐ、偶然持ってるものなんですか?」

薬師「俺ほどの男になると常備してんだよ」つ酒

根暗「止め、これ以上は……うぐ……うぐ……」

薬師「この屋敷に仕えてるなら、その家宝とやらが何処にあるか予想できるな?」

召使い「はい、成金の雇いわれた者達が警備している部屋があるのでそこかと」

薬師「なら、違いねぇな。 そこの部屋の近くで俺がこいつにアルハラして気を引く」グビグビ

根暗「あの、既にアルハラを……うぐっ」

薬師「その間に部屋に忍び込んで家宝とやらをぶっ壊せ」ウィ

召使い「はい!!」

【御屋敷・大広間】
「お誕生日、おめでとうございます! かんぱーい!!」

僕っ娘「お嬢は……案の定捕まっているな」

メイド「誕生日会が始まる前にプレゼント渡しといて良かったすね」モグモグ

僕っ娘「おや? 給仕係でもするものだと思っていたが」

メイド「ダチの誕生日に働いてられっか」モグモグ

僕っ娘「……妬け食いに見えるが」

メイド「そりゃあ、悔しいっすよ。 あの人は私に自由をくれたっす。 地下室しか知らなかった、それで良いと思ってた私に……世界をくれたんっす」

メイド「そんな人が何かに縛られてる姿なんて見たかねぇっすよ」

僕っ娘(地下室?)

メイド「それにしても召使い達遅いっすね」

僕っ娘「どうせ、根暗が人ごみを嫌がって遊戯室に籠っているんだろう」ヤレヤレ

メイド「あり得るっすね」

「やぁ、我が麗しのお嬢! 会いたかったよ」

メイド「……あれが御曹司っすよ」コソコソ

御曹司「今日も美しいね、お嬢。 グフフフフ」サワサワ

お嬢「お、御曹司様、こんなところで……」

御曹司「良いじゃないか、僕達の仲だろ?」

僕っ娘「……一服盛ってやろうか」

メイド「協力するっすよ、ガチで」

【御屋敷・とある部屋の前】
根暗「……あの、その、何で僕は女装させられてるんですか」アセアセ

薬師「あん? アルハラされてる男より、アルハラされてる女の方が目を引くもんなんだよ」グビグビ

根暗「え、あの、女には……その見えないかと」

薬師「大丈夫だって、十分女々しく見えらぁ」

根暗「絶対、ほ、褒めてないですよね」オドオド

薬師「よし、じゃあ、一芝居うつぞ? 警備してる野郎が来たら上目使いで『助けて』っていうんだ……解ったな」

根暗「え、あの……あぅ……」

薬師「ノリが悪いなぁ……よし、景気付けだ! 飲め飲め!!」つ酒

根暗「止めてください! これ以上は……飲ませないで……うぐっ」

根暗「だ、誰か……助けて………」

警備員A「おい、オジさん。 嫌がってるだろ? 止めて、やれよ」

警備員B「お嬢ちゃん、大丈夫かい?」

根暗(お嬢ちゃん……?)

薬師「うるせぇ、俺の酒が飲めないってのか?」ウィ

警備員A「酔っ払いか、面倒だな」

警備員B「こっちは部屋の警備で忙しいってのによ」

ガチャ

警備員A「ん? 今、何か音が……」

根暗「お、おお、おにいさん……」ギュッ

警備員A「!?」

根暗「助けて……」ウルウル

警備員A「うぉぉおおお! ま・か・せ・ろ!!」フンフン

警備員B「ちょっ、お前が暴れんな!!」

【御屋敷・とある部屋の中】
召使い(上手く侵入できたな……)コソコソ

成金「ええ、はい、解っております」

召使い(成金!?)

成金「水魔術家との婚約が上手く行ったあかつきには……えぇ」

召使い(通信魔術か? と、それよりも輪廻の水瓶は)キョロキョロ

輪廻の水瓶「」テッテレー

召使い(あれか……)

「えぇ、お嬢についてはそちらのお好きなようになさってくださって結構です」

召使い(……)

成金「洗脳魔術でも何でもお好きにおかけください……はは、協力しましょう」

「輪廻の水瓶を手に入れた時のように」

召使い「……なぁ」

成金「なっ!? 何処から入った! お前は誰だ!!」

召使い「何でお嬢様があんたらみたいなのの喰いモノにされなきゃならないんだ」グイッ

成金「貴様、私が誰か解っているのか!? 私は大富豪の成k」

召使い「何でお嬢様が傷つかねぇといけねぇんだ!!」ナグリ

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【御屋敷・遊戯室】
根暗「お嬢様と御曹司との婚約は輪廻の水瓶を取り戻す為の罠だった……そ、そんな」アングリ

薬師「ははは、腹痛ぇ……俺は自白薬の為にこのパーティーに呼ばれてたわけだ」

根暗「……な、何か、ドッと疲れが」ガクッ

薬師「女装し損だったな」ニヤニヤ

根暗「そ、それは良いですけど……召使いが殴られ損じゃないですか」アセアセ

薬師「んなことねぇよ。 今回の仕事を受けるかは正直迷ってた」

薬師「だが、召使いががむしゃらに頑張ってる姿見てたらよ、俺もやるしかねぇって思えてよ」

根暗「な、何でですか?」

薬師「言っただろ? 酔狂なヤツは好きなのさ」ノシ

根暗「……ありがとうございました」ペコ

【御屋敷・書斎】
お嬢「お父様、酷いですわ……そういうことなら最初から話してくだされば良かったのに」プンプン

水当主「ごめんね、お嬢。 しかし、水魔術家を継ぐ君自身に考え、行動して欲しかったんだ」

お嬢「……それは、ご期待に添えず」

水当主「いや、今回は私のやり方に問題があった。 君を傷付けてしまった。 本当にすまない、お嬢」

お嬢「……」

水当主「……それにしても召使い君だ」

お嬢「……召使いがどうかしましたか?」ビクッ

水当主「フフフ、功労者である彼を罰するつもりは無いよ。 ただ、ふと思ったのさ」

「彼は何時か水魔術家に過ぎたる者、と呼ばれるかも知れないね」

お嬢「えぇ、きっと……私の自慢の召使いですもの」クス

【根暗&僕っ娘帰路】
根暗「召使い、送ってくれてありがとう」ニョロニョロ

召使い「あぁ……根暗、今日はありがとう」

根暗「僕は、その、何もしてないよ……」ニョロニョロ

召使い「あの人にもちゃんとお礼を言っておきたかったんだが……」

根暗「先に帰っちゃったもんね」ニョロニョロ

召使い「また、会えれば良いんだがな」

僕っ娘「それより、根暗はどうして尻尾触手を生やしてるんだい?」

根暗「よ、酔ったせいでバランスとりにくくて」ニョロニョロ

僕っ娘「全く、誰だ。 僕の根暗を酔わせたヤツは」

根暗「召使い、またね」ノシ

召使い(二人とも相変わらず仲良いな。 何時か、俺もお嬢様と……無いか)ノシ

メイド『召使いには私がいるじゃないっすか』

召使い(冗談だって言ってたじゃないか!)ブンブン

召使い「……御屋敷に戻るか」

「やっと、一人になったな」
「強いって噂だぞ?」
「だがよ、少し痛い目見てもらわねぇとな」
「そうっすね、乙女心が解らない馬鹿には痛い目見せるっす」

「「「「ん? お前誰だ?」」」」

メイド「ちーっす、悪魔っすよ」

【森の小屋前】
根暗(お酒の匂いしないかな?)クンクン

オタク「……」

根暗「ひゃっ!? ……何だ、オタクか」ホッ

オタク「根暗……お前に話したいことがあって」

根暗「……どうしたの?」

オタク「俺は今日、火魔術家の真実を知った」

「自分が当主として背負わなければいけないモノを知った」

根暗「?」

オタク「そして……決めたんだ」ドゲザ

根暗「な、何してるの? 土だらけになっちゃうよ?」

オタク「根暗、すまない。 俺は」

「―俺はお前を犠牲にして世界を守る」

根暗「……へ?」

本日はここまでです

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≪645抜けてる分≫
【御屋敷・遊戯室】
根暗「お、お嬢さんが……婚約?」

召使い「あぁ、御曹司と……あのデブと……あぁ! ふざけんな!?」

根暗「お、落ち着いて、召使い、聞かれたらやばいよ」アセアセ

薬師「そうだ、声のトーンを落とせ。 御曹司の父親、成金は黒い噂も絶えない男だ。 敵に回さねぇ方が利口だわな」

根暗「…………誰、です?」

薬師「ん? ただの呑んだくれだ」

根暗「い、いい、今のは聞かなかったことにしてあげて、あの……欲しいのですが……」

薬師「酒呑んでんだ。 聞いたところで忘れるよぉ」

根暗「あ、ありがとうございます」

召使い「お嬢様がぁぁあああ!!」ウォォォーン

根暗「召使い、声が大きいって」アセアセ

薬師「はははっ、これは重傷だな。 まぁ、失恋は辛いもんだわな」つ酒

根暗「酒は、まだ、あの飲ませたら駄目です」オロオロ

≪645抜けてる分 続≫
召使い「…………俺が失恋したから、辛いんじゃない」

根暗「……へ?」

召使い「お嬢様が失恋しなきゃならないから……辛いんだ」

薬師「ほぅ」

召使い「あの人には好きな人がいる。 心から好きな人がいるから」

召使い「これからの水魔術家の為に成金様との繋がりは大切なんだ」グッ

召使い「水魔術家の将来を考えるのは令嬢として当たり前のことだ」ギリッ

召使い「解ってるんだよ! そんな理屈も価値観も!!」バンッ

召使い「それでも俺は……お嬢が大好きだから」

召使い「どんな大層な理由があっても、お嬢様の心が、気持ちが……踏みにじられるのだけは我慢できない!!」

薬師「ようするにお前の我が儘か」

根暗「そういう言い方は……」

召使い「いや、根暗……俺の我が儘なんだ」

薬師「ははは、認めやがった、ははははははっ、腹痛い!!」

根暗「……」ギロ

薬師「そんな目で睨むなよ。 ……さて、召使いだったか?」

召使い「……はい」

薬師「だったら、そんな婚約ぶっ壊しちまえ」

根暗・召使い「なっ!?」

薬師「男は惚れた女の為ならどんな横暴もどんな我が儘でも貫かなきゃいけねぇよ」グビッ

薬師「その代わり、好かれようとかはすんなよ?」ウィ

「男が悪いで終われねぇラブストーリーは駄作だ」

薬師「読めたもんじゃねぇ……だろ?」

召使い「……ははは、何ですかそれ」

召使い「よし、よ~し! 嫌われても良い! そばにいれなくなっても良い!! この婚約、俺がぶっ壊してやる!!」

根暗「……睨んで、あの、すいませんでした」

薬師「気にすんな、彼氏さん。 俺とテメェの仲だろ?」つ酒

根暗「あの、飲めないので……止め、飲まそうとしな……んぐっ」グビグビ

≪652抜けてる分≫
【御屋敷・大広間】
「成金様が殴られたらしいぞ?」「あの縛られてる男がやったのか?」「何でも殺人鬼の息子らしい」「水魔術家に拾われたのでしょ? 恩を仇で返すなんて」

ザワザワザワザワ

召使い「……」ボロボロ

成金「私がゲストルームで休憩していたところ、この男が勝手に入ってきて私に殴りかかってきたのです」

成金「四大元素家の一角である使用人の質がここまで落ちていたとは驚愕いたしました」

成金「水魔術家、当主様……この責任、どうとられるつもりですか?」

水当主「―さて、どうしたものかな。 召使い君、どうして暴行に及んだんだい?」

成金「そんなこと聞く必要はありません! 此方に落ち度があるとでも?」

水当主「いやいや、そんな疑いなんて持っておりませんよ、成金氏。 ただ、今後このようなことが起こらないために……ネ♪」

召使い「成金様がお嬢様を謀ろうとしておりましたので」

成金「何を馬鹿げたことを、水当主様!ここにいる皆様!! 殺人鬼の息子とこの私、どちらが事実を語っているか何て明白ですよね?」

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≪652抜けてる分続≫
「―私は召使いを信じますわ」

成金「なっ!?」

お嬢「……彼は何時も私に心からの忠節を向けてくれましたもの」

成金「お嬢様、貴女も立場を考えて発言した方が良い。 此方は婚約を解消したって構わないんだぞ!?」

お嬢「それでも……私は……」

水当主「先程の発言……お嬢はどういう立場で言ったんだい?」

成金「ほら、君のお父様もお怒りだ」

水当主「成金氏、今娘と話しているんだが?」

成金「……」

お嬢「水魔術家のお嬢として申しました」

水当主「そうか……」

お嬢「私達、水魔術家は四大元素家の一角として 魔術社会を牽引していく使命を有していますわ」

お嬢「その権威を示す家宝を手中に納めることはとても意義の有ることだと思います」

水当主「なるほど、ならば輪廻の水瓶を得るために御曹司君との婚約は破棄できないね」

お嬢「……お父様にとって家宝とは水瓶だけですのね」

水当主「お嬢にとっては違うのかい?」

お嬢「はい、私にとっては……命を落としてまで私に仕えてくれた執事」

お嬢「私の為に命を使うと誓いを立ててくれたメイド」

お嬢「そして、私を想い行動してくれた召使い」

「彼等の忠義こそがこの水魔術家次期当主、お嬢の家宝ですわ!!」

成金「何を綺麗事を!?」

水当主「ン♪ 確かに綺麗事だ。 しかし、水魔術使いは清らかなモノを愛すのも事実」

成金「なっ! 水当主様、貴方もあの小僧を信じるとでも!?」

水当主「私としては貴方を信じたくはありますが……ン♪良いことを想いつきました」

水当主「成金様、自白薬を飲んでいただけませんか?」

成金「何を馬鹿なことを!? そもそも、自白薬は作り手によって効き目に個人差があり、確たる証拠になるとは言えんだろ!!」

水当主「えぇ、魔法薬を研究している一族でも完璧な自白薬を調合出来ないと言います」

「―彼以外はね」

≪652抜けてる分続≫
薬師「というわけでぇ、クビッといきなよ」つ薬

成金「何だ! この酔っ払いは! 私があの大富豪の成金と解ってるのか!!」

薬師「ははは、そんなことこの薬師様には関係ねぇよ」

成金「や、薬師だと!?」

成金(魔法薬界の鬼才と呼ばれた男がどうして)アセッ

薬師「……気付けよ、成金」コソッ

成金「!?」

薬師「この誕生日会も今回の婚約もお前に輪廻の水瓶を御屋敷に持参させる為の罠だったんだよ」

成金「なん……だと……」

薬師「水当主に何もバレて無いとでも思ってたの? お気楽な脳だ、羨ましい」

成金「水当主……」ギロ

水当主「成金氏、早く飲んでくださいませんか?」

「―私は貴方を信じたいのですから」ニヤリ

成金「水当主ぅぅぅうううう!!」

読んでる人いたら、読みにくくてごめんなさいm(__)m
色々ミスりました

【魔術学園・理科室】
ポニテ「僕っ娘、素材集めて来たわよ」ガラガラ

僕っ娘「あぁ、棚にしまっておいてくれ」

新会長「話を続けていいかしら?」

僕っ娘「かまわない。 で、僕達に参加してほしいってことだね?」

新会長「えぇ、探究を主体にしている組織は少ない。 非公認でも少しでも多く参加してほしいの」

僕っ娘「解った。 僕達にとっても有益なモノになりそうだ」

ポニテ「何々? 何かやるの?」ワクワク

僕っ娘「あぁ、我が魔法薬研究会は魔術博覧会に参加する!」

ポニテ「魔術博覧会?」

【魔術学園・美術室】
秀才「魔術博覧会……ですか?」

美術部長「あぁ、その準備で忙しくてね」

秀才「美術部で参加するんですか?」

美術部長「いや、言い方が悪かったね。 美術部の殆どの生徒は探究家の出身だから……」

秀才「あぁ、それぞれの家で参加する……ということですか?」

美術部長「日頃の魔術探究の成果を発表する場だからね」

腐女子「……」カキカキ

秀才(普通の絵も描くんだな……)

美術部長「……最近、三編みさんが描いた絵を描き写してるんだ」

秀才「……そう、ですか」

美術部長「と、話が脱線してしまったね。 ほら、この箱の中で保管しているんだ」つ箱

秀才「……開けても?」

美術部長「僕が開けよう。 封印がなされていてね」カチャカチャ

箱≪羨みの仮面≫

美術部長「君がいきなり羨みの仮面を見せてくれと言ったときは驚いたよ」

秀才「……えぇ、気になることがありまして」

美術部長「気になること?」

秀才「どうして、三編みさんは殺されたのかな……と」

腐女子「……ッ」ピタ

美術部長「脱獄した死刑囚に殺されたと聞いたが……」

秀才「その場にいた根暗に三編みさんが殺された時のことを聞いたんですが」

根暗『その、三編みさんは……僕を庇って、触手魔術で援護しないと、と思ったんだけど……黒い釘で……』

美術部長「そうか、彼女は大切なモノを守って死んだのか……」グスッ

秀才「……羨みの仮面を被っていた三編みさんが根暗が援護をする間も無くやられるのかな、と」

美術部長「……というと?」

秀才「以前、三編みさんが羨みの仮面を被って暴走した姿を見ました。 凄く強かった。 そんな彼女があっさりとやられたことに違和感があります」

美術部長「……ふむ」

秀才「羨みの仮面の効果が薄れてただけ……なんですかね?」

美術部長「残念ながら僕には解らないな。 専門家に調べて貰うのが一番良いだろう」

秀才「そうですか……」

美術部長「……僕も気になることがあるんだ」

秀才「何ですか?」

美術部長「どうして、彼女は羨みの仮面を被っていたのだろう……てね」

秀才「……文化祭当日も箱に入れて封印を?」

美術部長「あぁ、三編みが自分で解いたとは考えられない」

秀才「ふむ……」

美術部長「よし、羨みの仮面については僕が調べよう」

秀才「宛があるんですか?」

美術部長「さっき話していた博覧会さ。 当日は僕も家の手伝いで行かないといけないからね」

秀才「確かに探究家が集まる博覧会なら……お願いします」

美術部長「君の家は参加しないのかい?」

秀才「うちの家も探究家ではありますが、まだ歴史の浅い小さな家系ですので」

美術部長「そうか、ふふ、招待券が手に入ったらあげよう」

秀才「ありがとうございます!」

【魔術学園・理科室】
僕っ娘「すまない、ポニテ。 もう一度採取に行ってきてくれないか?」カキカキ

ポニテ「うん、任せて! ダッシュで行ってくる」

ガラガラ
オタク「掃除で遅れたでござる」
根暗「お、同じく掃除で……」

ポニテ「オタク! あんたも採取に行くわよ!!」

オタク「ちょっw いきなりどうしたでござるかwww?」

ポニテ「良いから行くわよ! 博覧会に間に合わなくなる!!」グイッ

オタク「痛いでござる! 痛いでござる! ……ん?少し気持ちいいかも……やっぱり、痛いでござる!!」

根暗「……博覧会?」

僕っ娘「あぁ、探究家の成果を発表する場だ。 新会長が連絡を取り、魔術学園のブースを設けたらしくてね」

根暗(委員長さんの意見を反映させたのか……)

僕っ娘「僕達は魔法薬の販売と新しい魔法薬の精製方法の提案をする」

根暗「僕っ娘が書いてるのは……レポート?」

僕っ娘「あぁ、楽しみだ。 僕が考案した精製方法を発表できる日が来るとは」

根暗「ぼ、僕も出来る限り頑張るね」

僕っ娘「あぁ、君には棚の整理をして、今ある素材と薬のリストアップを頼む」

根暗「う、うん!」ニョロニョロン

僕っ娘「それが終わったら、君が精製出来る範囲で良いから傷薬を作ってくれ」

根暗「解った」

僕っ娘「……やっぱり、その前に」

根暗「……ん?」

僕っ娘「ぼ、僕の頭を少しだけ撫でてくれないか? それで、僕も頑張れるから」///

触手「」ナデナデ

僕っ娘「いや、触手でじゃなくてだな」

根暗「冗談、だよ」ナデナデ

僕っ娘「……全く、君は」クスクス

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【喫茶店≪死なばもろとも≫店内】
秀才(一度、頭の中を整理しておきたいな……特例文庫で得た情報もあるし)

無口「…………」

秀才「マスター、彼女にイチゴパフェを」

無口「驚かなくなった」

秀才「君の神出鬼没さには流石になれたよ」

無口「……そう」

秀才「……やはり監視されていたか?」

無口「俺は天才だからね、手段を選ぶ余裕があるのさ」ドヤ

秀才「止めたまへよ!」

無口「ユウ アー キザボーイ」

秀才「黙ってイチゴパフェを食べていたまえ」つスプーン

無口「……」クスクス

秀才「全く……」

無口「何処まで解った?」

秀才「やっとスタート地点というところだ」

無口「……?」

秀才「四大元素家の役目の1つとして第一級魔術家の管理がある」

無口「……」モキュモキュ

秀才「火魔術家は触手魔術家、水魔術家は悪魔化術家、風魔術家は死霊術家」

秀才「そして、君達土魔術家は変換魔術家を管理している」

無口「……正確ではない」ピタッ

無口「変換魔術家は処分した」

秀才「あぁ、そうだったね」ジトー

無口「……続けて」

秀才「君達の話だと火魔術家は退魔系統の魔術師の地位を維持することが目的で」

秀才「その為に根暗を作り、今度は火魔術家だけの力で倒せるように準備していると言っていたが」

秀才「それはあり得ない」

無口「……」

秀才「根暗が暴走し、世界を征服する存在になれば火魔術家は管理していた立場として責任を取らされるだろう」

秀才「たとえ、火魔術家だけの力で暴走した根暗を倒したとしても評価されることは無い」

無口「……」

秀才「触手魔術師が暴走して得をするのは火魔術家を疎ましく思ってる人間だけだ」

無口「……火魔術家は触手魔術を保護する為だけにホムンクルスを作った?」

秀才「そこが解らない。 触手魔術には何らかの役目があるのかも知れないが……」

無口「……貴方は何を目指している?」

秀才「根暗が自由に生きれる未来だ。 誰にも縛られることの無い未来だ」

無口「……自由とは?」

秀才「……哲学には関心が無いんだが」

無口「そう」

秀才「なぁ、1つ質問があるんだが、本当に変格魔術k」

無口「その質問には答えられない」

秀才「……」

無口「……て」ボソッ

秀才「!?」

無口「またね、秀才君」

秀才「あぁ、またな。 無口さん」

【魔術学園・理科室】
素材の山「」バーン

根暗「す、す、すごい……」

僕っ娘「本当にもらって良いのかい?」

お嬢「当然ですわ! まだまだ、持ってきましたの」

召使い「ここに置いておくぞ」ヨッコイショ

メイド「ほら、召使い! 残りも取りに行くっすよ」

召使い「少しは運ぶの手伝えよ、メイド」

メイド「か弱いレディーに力仕事させるきっすか?」ジトー

根暗「ぼ、僕が手伝う」ニョロン

お嬢「根暗さんも触手を使いこなせるようになってきましたわね」

僕っ娘「あぁ、体から生やしているのを始めて見たときは驚いたが……尻尾みたいで愛らしい」

メイド「本当に好きなんっすね」

僕っ娘「まぁね」

メイド「……僕っ娘、根暗が本当に好きなら」

「自分が守られる立場なんて思い込んでちゃ駄目っすよ」

僕っ娘「……え?」

メイド「同族みたいなもんっすからね。 弟みたいに思ってるんすよ、根暗のことは」

僕っ娘「それは安心だ。 恋心ならば一服盛らなければならなくなる」

お嬢「あら? それはあり得ませんわ。 だってメイドが好きなのは」

メイド「お、お嬢! 口の軽い女は嫌われるっすよ!!」アセアセ

お嬢「ふふ、メイド、口が軽い女は嫌われると教えてくれてありがとう」

メイド「お、おう、ズットモだかんな」

根暗「こ、これで最後?」ドサッ

召使い「あぁ、そのようだ。 ん?どうした?メイド、顔が赤いぞ?」

メイド「め、メイドパンチ!!」

召使い「何でだ!?」

僕っ娘「あぁ、そういうことか」

お嬢「そういうことですわ」

【魔術学園付近・森の中】
ポニテ「オタク! そっち行ったわよ!!」

オタク「任せるでござるよ!」ガシッ

スライム「ピキー」ジタバタ

ポニテ「よし、スライムの捕獲も完了……一旦、理科室戻る?」

オタク「そうでござるな~」

ポニテ「じゃあ、さっさと戻るわよ! ほら、この籠担いで」

オタク「人使いが荒いでござるよ」

ポニテ「文句言わないの!」

オタク「何ででござるか?」

ポニテ「……へ?」

オタク「ポニテは俺が火の若だって知ってるんだろ?」

オタク「それなのに、何で普通に接してくれるんだ?」

ポニテ「……秀才も僕っ娘も普通に接してるじゃない」

オタク「あいつらは探究家だ。 退魔家ほど四大元素家に敬意を持っていない」

ポニテ「らしくない言い方ね、何かあったの?」

オタク「俺は……結局、火の若として、火魔術家の当主として生きていかないといけないことが解った」

オタク「根暗に話したら……」

『―俺はお前を犠牲にして世界を守る』

根暗『……解った』

『解ったって……お前』

根暗『エロ触手ブラザーズは二人で1つでござるよ』デュフフフ

『ふざけるな! 根暗!! 俺は……』

根暗『僕は君を守るために犠牲になるよ』ニコ

オタク「根暗は……理解してくれた……だが、俺は……」

ポニテ「どんな一族に生まれても、どんな魔術に特性があってもな……人には生き方を選ぶ……好きを選ぶ権利があるんだよ」

オタク「……」

ポニテ「あんたが選んだんでしょ? その生き方も」

オタク「……だが、そのせいで友達を親友を、犠牲にするのは」

ポニテ「馬鹿ね、根暗も自分で選んだんでしょ?」

オタク「……え?」

ポニテ「あんたが好きだから、あんたに協力する生き方をさ」

オタク「……」

ポニテ「火の若なら、もっと自信を持ちなさい! あんたは自分が思っているより周りに好かれてんのよ!!」

オタク「ポニテ……」

ポニテ「だって…………私もあんたのこと好きだもん」ボソッ

オタク「なっ!?」///

ポニテ「ほら! 理科室まで競争よ!! 負けた方が明日の昼飯おごること!」

「よーい、ドン!!」

【魔術学園・理科室】
僕っ娘「……」カキカキ

根暗「……」ゴリゴリ

僕っ娘「君、もう一回撫でてくれ」

根暗「へ?……うん」ナデナデ

僕っ娘「……ありがとう」カキカキ

根暗「うん」ゴリゴリ

僕っ娘「……」

根暗「……」

僕っ娘「君、もう一回撫でてくれ」

根暗「……どうしたの?」ナデナデ

僕っ娘「……不安になってきた」

僕っ娘「僕が考案した精製方法が認められるのか……鼻で笑われて終わるんじゃないかってね」

根暗「それでも、良いんじゃないかな?」

僕っ娘「……」

根暗「認められない原因を考えて、笑われた理由を考えて改善したら……何時かは誰かが認めてくれるよ」

僕っ娘「……」

根暗「ぼ、僕なんかが言っても説得力無いかもだけど……あの、その……」アセアセ

僕っ娘「人のことには前向きな癖に、もう少し自分のことも前向きに捉えたらどうだ?」クス

ポニテ「へーい! 私の勝ち!!」ガラガラ

オタク「ちょ、こっちは籠担いでる……ゲホッ、ズルいでござるよ」

僕っ娘「全く君達は……よし! 円陣でも組もうか!!」

ポニテ「らしくないじゃない、僕っ娘? まぁ、良いけど」

オタク「そ、その前に……水……」

根暗「は、はい、オタク」つ水

僕っ娘「博覧会! 頑張るぞ!!」

魔法薬研究会「おう!!」

【???】
中年「これが博覧会に出展する家系の一覧ですかい?」

眼帯「えぇ、どうです? 貴方方が求めているものも手に入ると思いますが?」

中年「ははは、うちの組織のことをよくご存じで土魔術家の情報網は侮れないな」

隻腕「あぁ、暗い……暗い……どうして、目隠しなんて……アァ、サプライズなんだね? 私の腕を見付けてくれたんだろ? そうだろ!?」

中年「……この男はもう少し大人しくならないのかい?」

眼帯「すみませんね。 しかし、彼の魔術は役に立ちます」

中年「変換魔術ね……。 成金さんが取調室で死んだのもそれかい?」

眼帯「えぇ、我々のことを話そうとしたら死ぬのが当たり前……と書き換えました」

中年「ひぇ~、恐ろしい」

眼帯「貴方には手を出しませんよ。ほら、目隠しがその証拠です」

中年「証拠ね……」

中年(相手と目を合わせることが条件だと言ってたが、そよ証明はされてねぇんだよな)

眼帯「我々は他の第一級危険魔術家を滅ぼし」

中年「オジさん達は土魔術家以外の四大元素家を滅ぼす」

眼帯「我々の利害は一致しております」

「博覧会、頑張りましょうね」

とりあえず、ここまで

行数なのか、文字数なのか、1度に投稿出来る容量を超えたらundefinedと表示されるみたいです
お目汚しを失礼しましたm(__)m

【博覧会会場前】
秀才「結局、美術部長先輩は招待券は手に入らなかったと言っていたが……」

秀才(今朝、ポストに招待券とここで待つようにと書かれたメモが入っていた……)フム

秀才「……また、土魔術家か」

丸眼鏡「貴方は土魔術家と繋がりがあるの?」

秀才「……丸眼鏡さん。 これは意外な人物が現れたな」

丸眼鏡「その割りには驚いていない」

秀才「晴天の霹靂を何度も体験すれば、それを日常と感じてしまうのさ」

丸眼鏡「貴方の日常に興味は無い」

秀才「酷いことを言うな。……招待券は君からのラブレターか?」

丸眼鏡「どちらかと言えば呪いの手紙」

秀才「それは物騒だ」ハハ

丸眼鏡「……催し事は土魔術家の管轄。 招待券ぐらい幾らでも手に入る」

秀才「幾らでも手に入るからといって、理由も無く俺には渡さないだろ?」

丸眼鏡「私が貴方に招待券を渡した理由は2つ」

秀才「1つ目は……腐女子さんか?」

丸眼鏡「……もう1つは解る?」

秀才「……」

丸眼鏡「風が告げた、貴方に渡すべきと」

秀才「……風読み術か」

丸眼鏡「えぇ、だから私は断言する。 それは呪いの手紙、貴方の運命を左右する1枚」

秀才「……ありがたく頂戴するよ」

丸眼鏡「……秀才」

秀才「ん? どうした?」

丸眼鏡「……何でも無い」ノシ

丸眼鏡(私は後何人の人生を魔術社会に捧げて生きていくのだろう)

丸眼鏡「―秀才先輩、ごめんなさい」

【博覧会会場内】
秀才「美術部長先輩をすぐに見付けれて良かったな。」

秀才(昼過ぎには自由に動けると言っていたから、それから合流して仮面を調べよう)

秀才(それまでは……博覧会を堪能させてもらおうか)フフフ

僕っ娘「……何をニヤついている。 気持ち悪いぞ、君」

秀才「なっ、僕っ娘! 君も博覧会に来ていたのか?」

僕っ娘「根暗から聞いていないのかい? 魔法薬研究会で参加することになったんだ」

秀才「あぁ、だから最近忙しそうだったのか……凄い疎外感を感じるな」ショボーン

ポニテ「ポニテ、言われたモノ持ってきたわよ……て、あれ?秀才?」

秀才「やぁ、ポニテ……二人は?」

僕っ娘「根暗には買い出しをお願いした。 オタクは警備員に連れていかれたな」

ポニテ「あいつ、何したのかしら……」ハァ

秀才「そうか、二人によろしく伝えておいてくれ」

僕っ娘「待っていたら? すぐに戻ってくると思うが……」

秀才「折角だから先に回ってくるよ」

ポニテ「そう、また後でね」

【博覧会会場・個室】
「いきなり、呼び出してすまないね」

オタク「警備員に腕を掴まれた時は驚きましたよ。 風当主」

風当主「君が火の若ということは公にはまだ公表していないんだろ? 警備員は君が不審者と思って連れてきたわけだ」

オタク「それは弁解させて欲しいですね」

風当主「此方の勘違いだったとでも伝えておくよ」

オタク「……何があったんですか?」

風当主「転移魔術で此方に送られてくる品物の一部が奪われた」

オタク「なっ!?」

風当主「転移魔術に介入して、転移先を変更されたようだ」

オタク「そんな事が可能なのですか?」

風当主「かなり高位な転移魔術師ならば可能だろうね」

オタク「それを私に取り返せと?」

風当主「それについては火当主と土当主に対処してもらっている」

オタク「……土魔術家にもですか?」

風当主「土魔術家は禁術管理が仕事だからね。 盗まれた品物の中にそういう面で影響力のあるモノがあったのさ」

オタク「…………」

風当主「私目線では火魔術家も土魔術家もきな臭い面では変わらないのさ」

オタク「それで、私には何を?」

風当主「会場にも何か起こるかも知れない。 何があった時は協力しておくれ」

オタク「……解りました」

【博覧会会場・フードコート】
根暗「……あの、僕はサンドイッチを、その買いたいだけで」

調理人「君、魔法薬研究会の学生だろ?」

根暗「あの、だから……サンドイッチを……」

調理人「私は魔術料理の研究をしていてね。 いや~、君達が魔法薬に使う素材も使ってみたくてね」

根暗「さ、ささ、サンドイッチ……」

中年「あれが触手魔術師かい?」

眼帯「えぇ」

中年「そんなに危険なヤツには見えないけどねぇ」

眼帯「魔術社会を崩壊させる可能性を持つ存在ですよ」

中年「魔術師の時点でオジサンから言わせたら危険なんだけどねぁ」

中年「何より、魔術社会を壊してくれるなら万々歳さ」

眼帯(……相変わらずの魔術嫌いか)

眼帯「それより、奪った品物の方は?」

中年「武闘派の連中に守らせている。 大した品は無いが良い目眩ましになるだろうさ」

眼帯「火魔術家がそちらに気を取られているうちに目的の物を確保しましょう」

中年「あぁ、幕引きの秘薬さへ手に入れば文句は無いさ。 部下が何人死んでもね」

眼帯「此方もあの万華鏡さへ手に入れば貴方方に用はありません」

中年(魔術社会の完全なる管理を目指す土魔術家と魔術社会の崩壊を目指す俺が手を組むなんて……)

中年「皮肉なこともあるもんだねぇ」

眼帯「えぇ、全くです」

中年(用が済んだら始末するか)ニコ

眼帯(用が終わったらぶち殺そう)ニコ

「見つめ合って微笑んでる」「歳の差カップルかな?」「リア充死ね!」

根暗「……早く、僕っ娘のところに戻らないと」アセアセ

【博覧会会場】
『優等生、お前は博覧会会場に潜入し有事に備えろ』

優等生「とは言われたが……」

優等生(具体的にどう動けば良いんだろうか?)フム

医師「つまり、今後必要とさらるのはその場限りの回復魔術では無く長期的治療への応用だと私は考える」

優等生(あそこでプレゼンをしてるのはおさげの父親か。 少し聞いて……なっ!?)

不良「……」カキカキ

優等生(……なぜ、不良が)

医師「先程から一生懸命に聞いている学生君。 何か質問はあるかな?」

不良「お、俺……いや、私の家系は魔術工学が専門なんだすが、そんな俺でも魔術医療に貢献できますか?」

医師「愚問だ! 貢献できるに決まっている。 君が関心を持ったことに価値がすでにあるのだからね」ニコ

不良「……ありがとうございます!」パァ

不良(……俺が関心を持ったことに価値があるか)ニヤニヤ

優等生「ご満悦だな」

不良「おう! ……って、何でここにいんだよ!?」

優等生「知り合いに招待券を貰ってな。 しかし、魔術医療に関心を持つとは……」

不良「お前が言ったんだろ? 遊園地の約束守ってやれって」

優等生「はぁ?」

不良「だから、少女を治して遊園地に連れていってやれって」

優等生「いや、少女が退院したら遊園地に連れていってやれ……という意味だったんだが」

不良「……」///

優等生「ふん、負け犬に出来るのか?」

不良「うるせぇ、鼻付き虫! 今に見てろ!!」

優等生「俺の何処に虫要素がある?」

不良「俺にだって犬要素ねぇだろ?」

優等生「あぁ、犬は利口だったな。 すまない」

不良「この野郎……ん?」

優等生「どうした?」

不良「おい、あれって……」

中年「……」テクテク

優等生「……不良、お前は関わるな。 良いな?」

不良「おい、待てよ! ……何か手伝えることはねぇのか?」

優等生「あるわけ……いや、魔法薬研究会のオタクにこの事を伝えてくれ」

不良「オタクだぁ?……解った、任せろ」
※忘却薬で根暗達とのことは忘れてます

根暗「やっ、やっとついた。 ただいま」

僕っ娘「やっと帰ってきたのかい? 遅かったね」

根暗「い、色んな人達に捕まって」グッタリ

僕っ娘「若者に自分の分野に関心を持って欲しいということか」

ポニテ「探究家ってもっと秘密主義なのかと思ってたわ」

僕っ娘「秘密主義ではあるよ。 自分達の一族の核となるところは余程の事が無いと公表しない」

僕っ娘「僕の家の秘薬だって、効能すら秘密さ」

根暗「でも、すごく、そのオープンな感じがしたよ?」つサンドイッチ

僕っ娘「ふふ、話せる範囲は話したいし、それを魔術社会に役立てたいとも思っているのだよ」モクモグ

ポニテ「もっと、陰気なイメージを持ってたけど探究家も熱いところあるんだね」

僕っ娘「やはり、軽視していたんじゃないか」ジト

オタク「ただいまでござる~」

ポニテ「遅かったわね、何したのよ?」ジト

オタク「拙者の顔がイケメン過ぎて、魔術で変装してるのではないかと疑われたでござるよ」キリ

ポニテ「……」アリエル

オタク「つっこんで欲しいでござる!!」///

僕っ娘「そう言えば秀才が来ていたぞ? また、顔を出すって」

根暗「………………あっ、招待券、秀才に渡すの忘れてた」ズーン

不良「おっ、いたいた」

僕っ娘「!?」ビクッ

ポニテ・オタク「……」ギロ

根暗「……」ゴゴゴゴゴゴゴ

不良「お、いや……何だよ?」
※忘却薬により以下略

ポニテ「何か用?」

不良「お、おぉ、オタクに話があってな」アセアセ

オタク「向こうで話すでござるよ。 根暗が手を出す前に行くでござる」ガシッ

不良「お、おう?」

僕っ娘「……ふぅ、はは、忘却薬がきれたのかと思って焦ったよ」

根暗「その時は、僕が……」

僕っ娘「根暗、駄目だよ?」

根暗「………………君だけは誰にも傷付けさせない」ギュ

ポニテ「二人の世界に入らないでくれないかな?」

「いやぁ、お熱いね~」
僕っ娘「……何か用か?」

薬師「娘の晴れ舞台を見にきただけさ」ククク

根暗「むむ、娘?」アセアセ

【博覧会会場・バックヤード】
警備員「中年さん、お疲れ様です」

中年「あいよ。……これも変換魔術か?」

眼帯「えぇ、あの警備員には予め中年と名乗る人物が来たら通すのが当たり前……と書き換えておいたのです」

隻腕「この奥かい? この奥にあるのかい? アァ、私の腕……待ってておくれ」

中年「今日は目隠ししてくれないんだね」

眼帯「えぇ、ですので目を合わせないように気を付けてくださいね」

中年「へいへい」

優等生(目を合わせるな? クソ、あまり聞き取れないな。 中年と、後の二人は誰だ?)コソコソ

中年「でぇ? 目的のモノが何処に有るかは解ってるのかい?」

眼帯「えぇ、予想はついていますが……この部屋の筈です」

中年「……ドアに魔方陣か。 これは厄介そうだな」

眼帯「……隻腕」

隻腕「この部屋、この部屋なんだね、アァ……愛おしいよ」ピト

ドア「」クパァ

中年「……変換魔術以外も使えるんだな、コイツ」

眼帯「説明する必要があります?」

中年「ははは、無いね。 さて、入ろうか」

眼帯「中年さん、下がってください」

「あらら、不意打ちしようとしたのに♪ 残念、残念☆」

眼帯「もう少し、残念そうに言ったらどう? お嬢ちゃん」

放送部長「何時も明るく元気がもっとうなのよ! オ・バ・サ・ン♪」

眼帯「あぁん?」

中年「あらら、眼帯さん言われちゃったね」

眼帯「ははは、お嬢ちゃん、いやクソガキ……こちとらキチガイとオッサンの相手してイライラしてるってんのに」ガチャ

放送部長(投影魔術で銃を!?)

中年「ははは、本音漏れてるよ」

眼帯「邪魔するんじゃねぇ!!」ダダダダダダダ

放送部長「なっ!? 風壁魔術!!」ビュー

中年「おいおい、貴重なモノもあるんだからこんなところで暴れるな……っと、危ないね」サッ

優等生「……」グッ

中年「いきなり殴りかかってくるとは……おっかない」

放送部長「優等生君? 貴方も四大元素家の関係者なのかしら?」

優等生「……放送部長先輩、あの男の目を合わせない方が良いですよ」

放送部長(教えてはくれないのね? 予想は出来るけど)

中年「オジさん、魔術師じゃないから戦闘は勘弁して欲しいんだけどね」トホホ

眼帯「隻腕、そっちのガキンチョ相手しな」

隻腕「それは、アハハ、面白いね。 良いとも! 私は両腕がある人物が心の底から気に入らないのだから……ネ♪」

眼帯「中年さんは目的のモノ見付け次第、包帯を呼んで逃げな」

中年「へいへい」

優等生(早く来てください……若!)

【博覧会会場】
秀才「……一緒に昼食を取ろうと思ったんだが」

僕っ娘「……」ムス

ポニテ「あはは、ごめん。 オタクは何処かに行っちゃって」

秀才「そうか、根暗は?」

ポニテ「……僕っ娘のお父さんを追いかけて行っちゃった」

秀才「へ?」

僕っ娘『ここには顔を出すなと言っただろ?』

薬師『つめてぇな、折角魔法薬の鬼才、薬師様が見に来てやったというのによ』

僕っ娘『惚れ薬の1つも使いこなせないヤツが鬼才か』フン

薬師『使いこなせたから、お前さんを孕ませれたのさ』ニヤニヤ

根暗『……あの、その、仲良く』

薬師『良い彼氏じゃねぇか? お前は惚れ薬の使い方を心得てるらしい』

バシーーーーーーン

僕っ娘『……貴方の娘に何て生まれたくなかった』

薬師『へへへ、そいつは残念だ』ノシ

僕っ娘『……皆、取り乱してすまない』

根暗『……僕っ娘』

僕っ娘『根暗、心配しなくて大丈夫b』

根暗『言い過ぎ』メッ

僕っ娘『』

秀才「根暗が僕っ娘を叱るなんて……珍しいな」

僕っ娘「でも、僕はどうしても……父親を許せない」

ポニテ「根暗はそんな父親になついてるみたいだけどね」

僕っ娘「……」ムス

【博覧会会場・バックヤード】
薬師「さてと、上手く騙されてくれてるかね?」

「あ、あの……」

薬師「何だ? 彼氏さん……俺に何か用か?」

根暗「ど、どうしても……その、聞きたいことがあって」オロオロ

薬師「急いでんだが……1つだけ答えてやるよ」

根暗「……何で嫌われようとしてるんですか?」

薬師「あ? ……嫌われようとなんてしてねぇよ」

根暗「いや、あの……それは嘘、ですよね」

薬師「……」

根暗「本当は惚れ薬なんて使ってないんじゃないかって……その」オロオロ

薬師「何でそう思うんだ?」

根暗「貴方が僕っ娘のお父さんだから……」

薬師「反面教師って言葉がこの世にはあんだよ」

根暗「……火魔術家の友人は魔術を使うときに火事になら無いように注意します」

根暗「肉体強化魔術を使う人たちは体を壊さないように加減します」

根暗「魔法薬の専門家の貴方が……」

薬師「惚れ薬を盛るわけが無いか?」

根暗「盛ったとしても、バレるようなへまはしないんじゃないかな……なんて」

薬師「ははは、腹痛い、ははは、良いな、お前は……ははは」

根暗「だから、その……」

薬師「それ以上は言うなよ? 男が悪いで終われないラブストーリーなんて読めたもんじゃねぇだろ?」ポンポン

根暗「…………」

薬師「僕っ娘のこと、幸せにしてやってくれや」

『離婚して欲しいなんて……いきなり、どうして?』

『いやぁ、ヤバい薬作っちまってよ……出来れば僕っ娘も連れてってくれねぇか?』

『無理よ。あの子は貴方の精製技術を引き継ぐのが夢なのよ』

『俺がお前に飲ませた惚れ薬の効果がきれた……とかいやぁお前についていくさ』

『貴方はそうまでして……』

『お前達を危険な目に合わせたくねぇんだよ』

『解ったわ。 それでもあの子は貴方の方に残ると思うけど?』

『……嫌われるように努力するさ』

優等生「……何だ、コイツは?」

隻腕「アァ、また避けられたか? 君は素早いな。 ほら、次は火弾魔術!!」ボンッ

優等生(火弾魔術か? 氷柱魔術に雷撃魔術、肉体強化魔術も使っているな? ……コイツは幾つの魔術を使えるんだ)サッ

隻腕「はは、先程からどおして目を見てくれないんだい? 人見知りが、アァ、激しいんだね? そうなんだろ?」

優等生「煩わしい!」ナグリ

隻腕「おっと、鋭い拳だ。 その拳が私の片腕を奪ったのかい?」ガシッ

優等生(掴んだ! 熱源魔術!!)ジュー

隻腕「何かしたかな?」ケロリ

優等生(効かない!?)

隻腕「風刃魔術!」

優等生「ぐっ! ……また、別の魔術を」ザシュ

隻腕「アハハ、惜しかった! 今のは惜しかったネ! 私とお友達になれるところだったのに……アハハハハハ!!」

優等生(何故、熱源魔術が効かなかった? 隻腕の手から熱気? ヤツも熱源魔術を使っている……そうか)

優等生「魔術をコピーしているのか……」タラ

放送部長(優等生君は苦戦してるわね……とは言っても此方も)

眼帯「オラオラ! 守ってばかりじゃお姉さんには勝てないよ?」ダダダダタ

放送部長「くっ、オバさんの癖にやるじゃない」

放送部長(魅了魔術もあそこまで怒ってたら効果無いわよね? 風が無い室内じゃ風系統の魔術も弱まるし)ムムム

中年(万華鏡の方は見付かったけど、薬の方が無いな)

「おい、中年……」

中年「ん? なぁ!?」

薬師「よぉ! 会いたかったぜ?」ナグリ

中年「……ぐっ、これは薬師さん。 やっぱり、幕引きの秘薬を渡す気になりました?」

薬師「だったら、挨拶かわりに殴ったりしねぇよ」

中年「此処にある秘薬を守りに来たわけですね」ナイフ

薬師「……ここに秘薬はねぇよ。見事に騙されたな、バーカ」

中年「何!?」

薬師「此処に来たのは、家族を人質に俺を脅して秘薬を作らせようとしやがった、あんたを捕まえる為さ」

薬師「お陰様で、嫁には逃げられるは、娘には嫌われるは……嫌な人生だよ」トホホ

中年「家族を巻き込ませない為に自分から遠ざけるとは……良いお父さんじゃないですか」

薬師「守る力が無い癖に、守ろうとしてんだ。 ただの我が儘さ」

中年「薬が無いなら用もありませんよ。 退くとしようか眼帯さn」

ダダダダダダダ

中年「……なっ」

薬師「……ぐっ」

眼帯「万華鏡が手に入ったらあんたに用はねぇよ、バーカ」

薬師(……やれやれ、魔術師じゃない中年だけなら探究家の俺一人でも何とか出来ると思ってたけど)

薬師「……世の中、上手くいかねぇもんだな。 流れ弾で死ぬなんざ……笑えねぇ……」バタン

ガシッ

薬師「何で……ここまで着いてきてんだよ……酔狂なヤツ」

根暗「酔狂なヤツは……嫌いじゃ無いんですよね?」

「―あぁ、嫌いじゃねぇ」

薬師「」

根暗「……」

優等生(犠牲者を出さずに終えたがったが……)クッ

眼帯「中年も始末できたし、上出来ね。 隻腕、退くわよ」

隻腕「おや?中年以外にも誰か死んでるみたいだが、彼の腕を貰ってきても良いかな?」

眼帯「あん? そんなものどうでも良いわ、さっさと行くよ」

ニョロンニョロンニョロンニョロンニョロンニョロンニョロンニョロンニョロン

「そんなもの?」

「どうでも良い?」

根暗「…………君は何を言っているんだ?」ゴゴゴゴゴゴゴ

眼帯「……やっぱり、あんたは危険よ。 化け物」

放送部長「貴女の方がよっぽど危険だと思うのだけど?」ギロリ

眼帯「何時も明るく元気がもっとうじゃなかったの?」ポト

優等生(包帯を地面に落とした?)

包帯「我、此処に……」シュン

放送部長「変わった転移魔術ね……」

根暗「ニガサナイ」ニョロン

眼帯「ほら、プレゼントよ」ドンッ

隻腕「おやぁ? 私を押すなんて酷い……」ニョロン ギュッ

ボキグチャバリグチャグチャ

眼帯「包帯、今のうちよ!」

包帯「御意」シュルルルル

隻腕「」プラーン

優等生「逃げられたか。 クソ!」

放送部長「優等生君、それより……あれ? ヤバイんじゃない?」

根暗「コロスコロスコロスコロスコロスコロスコロス」ブツブツ

ニョロンニョロンニョロンニョロンニョロンニョロンニョロンニョロン

優等生「……処分する。 放送部長、手伝ってくれ」

放送部長「冷たいのね。 さっきのおばさんと同じで人の命なんてどうでも良いのかしら?」

優等生「……若の為ならば、俺はどんな罪でも背負う。 そう決めているんだ」ジュー

「お前が背負う必要は無い」

優等生「……」

オタク「……遅くなってすまない」

根暗「コロスコロスコロス…………………………」

ニョロンニョロンニョロンニョロン……………………

根暗「オタク……オタク…………僕は…………」

ギュッ

オタク「すまなかった。 根暗、俺がもっと早く来ていれば……お前にこんな思いはさせなかった」

放送部長「ちゃんと制御出来てるじゃない」チラッ

優等生「……片腕の男は魔術をコピーしていた。 触手魔術をコピーされなかっただけ……良しとしよう」

放送部長(根暗の暴走を見逃す言い訳なのかしら?)

【博覧会会場】
僕っ娘「……そうか」

ポニテ「……」

根暗「僕っ娘……ごめん」

僕っ娘「君が謝ることではない…………少し、外に出てくる」

オタク「昼からの参加は難しそうでござるな」

ポニテ「僕っ娘、片付けしておくよ」

僕っ娘「……あぁ」

【博覧会会場・外】
僕っ娘「…………」

根暗「…………」

僕っ娘「気が付いていたんだ」

僕っ娘「お父さんが本当を惚れ薬を使ってないこと……お母さんと僕を遠ざけていたこと……」

僕っ娘「本当のことを教えてくれなかったのが……嫌で、辛く当たって……」グス

僕っ娘「男が悪いで終われないラブストーリーなんて読めたもんじゃねぇだろ?……何だよそれ、ふざけるな……そんなの男の我が儘じゃないか……」

僕っ娘「何も教えてくれないまま……死ぬなんて……そんなの……あぁ、うぁぁぁぁぁぁん!!」

根暗「……」ギュッ

【土魔術家の本拠地】
眼帯「戻たよ」

優男「あぁ、姉さん。 お帰り」

眼帯「中年の部下たちは?」

優男「火魔術家に捕まったみたい。 中年さんは?」

眼帯「処分してきた。 これで魔壊連合もお仕舞いね」

優男「そうだね。 隻腕はどうしたの?」

眼帯「囮にして逃げてきた。 コレがあったらヤツももう要らないでしょ?」つ万華鏡

優男「勿体無いな、1度見た魔術をコピー出来るなんて貴重な人材だったのに……ねぇ、包帯さん」

包帯「……我に意見無し」

優男「相変わらずだね。 さて、これで次世代会議に進む準備は出来た」ニコニコ

眼帯「ご機嫌ね。 計画通りことが進んだから嬉しいのかしら? それともお姉ちゃんに会えたのが嬉しいの?」ギュッ

ザシュ

眼帯「……え?」

優男「大好きなお姉ちゃん。 貴女は顔を見られ過ぎた。 四大元素家の中には貴女の顔を知る人もいる」

眼帯「な、何で……」

優男「だからね、今回の件は土魔術家を裏切った貴女が魔壊連合を手引きしたことにするって決まったんだ」

「今まで、お疲れ様」

眼帯「……若、様」

優男「さよなら、姉さん」プルプル

「泣いてるのかい? 優男」

優男「いや、堪えてまして……ですが、駄目ですね。 実の姉をこの手で殺したと言うのに……ハハハ」

優男「愉快です、何でだろうか? ハハハハハハ!!」

本日はここまで

【博覧会会場】
秀才(美術部長先輩はまだだろうか?)

「―狼男と獣化魔術の違いは解るかい?」

秀才「へ?」

学者「暇なんだろう? 少し、私のブースを見ていかないかと思ってね」

秀才「……魔術分類学ですか?」

秀才(なんと言うか……ニッチな学問だな)

学者「さて、脳があるなら思考し、口があるなら答えを放とう……時間が有限だなんて君でも解るだろう?」

秀才「自分の体内の魔力を使ってする肉体強化魔術の亜種が獣化魔術、体外の魔力を受動的に吸収して変化してしまうのが狼男……これで良いですか?」

学者「なるほど、驚いた!?」

秀才「このぐらい教科書に載っていm」

学者「学生のレベルの低下がここまで深刻化しているとは……由々しき事態だね」

秀才「なっ!? だって、教科書にはそう書いて……」

学者「教科書? 君達が使っている教科書はコレかい?」つ教科書

秀才「……えぇ」

学者「これは私が執筆したものだ。 100の間違いを載せているというのに誰も何も言ってこない」

秀才「……ジョークに付き合ってる暇はありません」スタサタ

学者「とある女性がホルモンバランスの乱れで獣化してしまった事例がある」

秀才「……」ピタ

学者「生理中は魔力生産速度は変化せず、魔力許容量が低下することぐらいは君でも知ってるよね?」クスクス

秀才「えぇ、それぐらいは……」

学者「さて、この事例は獣化魔術に分類されるだろうか? それとも狼男と同じ現象なのだろうか?」

秀才「……狼男です」

学者「おんやぁ? 君はさっき、体外の魔力を吸収して……と言っていたじゃないか?」

秀才「……」

学者「受動的に獣に近付くのが狼男、能動的に獣に近付くのが獣化魔術……提議はこれだけさ」

「少しは私の学問に興味を持って貰えたかな?」

【博覧会会場・フードコート】
机≪ラーメン、チャーハン、餃子、天津飯、中華ソバ、ゴマ団子……等々≫

丸眼鏡「そう、被害者が出てしまったのね」モキュモキュ

放送部長「えぇ、私が片目の女に気付かれなければこんなことには……」

丸眼鏡「終わったことはしょうがない、相手が盗んで行ったものは?」

放送部長「万華鏡……といっていました。 どのような効果を持っているかは現在調査中です」

丸眼鏡「解り次第、私に伝えて。 父には私からまとめて報告する」

放送部長「まとめて?」

丸眼鏡「腐女子からの報告もあるはずだから」

放送部長「……なるほど」

丸眼鏡「怪我は?」

放送部長「ありません」

丸眼鏡「そう」

放送部長「どうか、されましたか?」

丸眼鏡「貴女の顔を見て確信した。 私は怖いんだと」

放送部長「怖い?」

丸眼鏡「貴女達の戦況を風読み術で見ようとしたが、手が震えて上手く出来なかった」

丸眼鏡「貴女の死が見えたらどうしようって」ブルブル

丸眼鏡「魔術社会にとって一番よい道程に貴女の屍が転がっているのなら」

丸眼鏡「―私は正しい選択を出来ない」

放送部長「……それでも丸ちゃんは選ばなきゃ」

丸眼鏡「懐かしい……呼び方」

放送部長「ふふ、嫌でした? ご主人様」

丸眼鏡「……」ブンブン

放送部長「丸ちゃんならきっと守れるよ、魔術社会を……」

丸眼鏡「皆は魔術社会より、大事なモノを守ろうとしている」

放送部長「皆がそういられるのは、きっと丸ちゃんが頑張って魔術社会を守ろうとしてるからだよ」ナデナデ

放送部長(良かった、私はこの娘に着いていける)

僕っ娘『ふざけるな! 人の命と魔術社会……どっちが大切なんだ!!』

丸眼鏡『魔術社会に決まっている』キッパリ

放送部長(とっくに彼女の心は乾ききっているのかと思ってた……)

放送部長「……もしも、丸ちゃんが魔術社会より大切なものが出来たら」

放送部長(貴女の中にその葛藤が、迷いが有る限り)

放送部長「私、歌って踊れる、学園アイドル♪ 放送部長が一緒に御守り致します☆」

【???】
学者「すんばらぁしいぃ!!」

秀才「こ、これで……残る間違いは1つですね?」ハァハァ

学者「あぁ、君への評価を改めよう、今の学生も捨てたものじゃない」

秀才「そりゃ、どうも……後は……えっと……」

秀才(……いや、もう無いだろ? 全ページ探し尽くしたぞ?)

秀才「……前書き?」

前書き≪始めに告げておこう。 ここに書かれている魔術の神秘は信じ難いものだろう≫

≪しかし、魔王と勇者のような存在しえないものではないのである≫

秀才「……勇者と魔王が存在し得る……とかじゃないですよね?」ハハ

学者「それが答えだ。 しかし、魔王と勇者が存在し得る……と言うべきだね」

秀才「待ってください! 俺達が知らない所で勇者が魔王を倒す冒険が行われてるとでも?」

学者「魔王と勇者は魔術的概念……いや、到達目標とも言えるね」

秀才「……賢者の石とか不老不死と同等のものだと?」

学者「あぁ、まずは魔王と言うものから説明しようか」

学者「魔王とは純粋な自身の魔力だけで生物を生成できるモノのことを言う」

秀才「なっ!? そんなモノ存在するわけがない! 触媒も何も使わずになんて……」

学者「不老不死や賢者の石も十分有り得ないものだろう?」

秀才「……モノと言うことは魔王自体が生物であるとは限らないということですか?」

学者「あぁ、石ころでもそれが出来れば魔王と分類出来る」

学者「さて、次は勇者だ。 この概念は魔王という概念の後に出来たわけだ」

秀才「……対称的な存在ではあるんですね」

学者「あぁ、勇者とは全ての魔を葬る存在さ。 全ての魔法的存在を否定する力を持つモノが勇者だ」

秀才「全ての魔術的存在を……」

学者「ちっっっっがぁぁぁぁう!!」

秀才「!?」

学者「根本的なところが理解できてなかったのだね? 良いか、魔術と魔法は別物だ!!」

秀才「へ?その……」

学者「魔術とは魔力やら何やらを犠牲にして魔法と言う奇跡を真似してるだけに過ぎない」

秀才「……魔法は魔力すら消費しないと?」

学者「魔術師と魔法使いの違いはそこにあると言っても良いだろう」

秀才「さっきの魔王より、魔法使いの方が有り得ないですよ」

学者「ハハハ、それはいいジョークだ。 目の前に在るモノを疑うとはね」

秀才「……へ?」

学者「さて、残念ながら、君の時間は有限だ」

「またね、魔術師君」パチン

【博覧会会場】
秀才「……」

ガヤガヤザワザワ

秀才「何だったんだ? ……あっ、美術部長先輩との待合せ!?」

美術部長「あっ、秀才君……待たせてしまったね」

秀才「へ? いえ、あの俺の方こそ遅刻して……変な人に絡まれてしまいまして」

美術部長「ん? 時間通りじゃないか?」

秀才「……?」

美術部長「……それよりも早く調べに行こうか、僕はまた家の手伝いに戻らないといけないしね」

秀才「はい、詳しそうな人を見付けておきました。 簡単に事情も説明しています」

美術部長「アポまでとっているとは流石だね」

秀才「止めてください、照れてしまいます」

腐女子「美術部長×秀才……ありですね」ハァハァ

美術部長「……」

秀才「……」

美術部長「何時からいたんだ!?」

腐女子「美術部長が僕の下半身の筆で君の裸体に描かせておくr」

美術部長「言ってない!!」

腐女子「フヒヒヒwサーセンwww」

秀才「腐女子さん、チケットありがとう」

腐女子「私は丸眼鏡に頼んだだけです……それに、私も本当のこと知りたいし」

秀才「よし、じゃあ君も一緒に行こうか」

腐女子「良いんですか?」

美術部長「変な妄想はするなよ?」

腐女子「……」プイッ

美術部長「おい!」

秀才「ここです。 魔道具屋さん、先程はどうも」

魔道具屋「おっ、えーと、秀才君だったかな? 私に見せたいものは持ってきたのかな?」

美術部長「えぇ、私が所属している美術部の創設者が作ったものらしいんですが……」つ羨みの仮面

魔道具屋「ほう、美術部か……まだ廃部になってなかったんだね」

美術部長「……へ?」

魔道具屋「私は魔術学園の卒業生でね。 私の友人が美術部を設立したんだ」

腐女子「そ、そうだったんですか」

魔道具屋「にしても……この仮面、魔術的効果は見られないが」

秀才・美術部長「えっ!?」

秀才「効果が既に消えているってことですか?」

魔道具屋「いや、そもそも何の効果も持って無かったんじゃないかな?」

美術部長「自分が憧れる人格になってしまうという効果があると聞いていたのですが?」

魔道具屋「そう思い込んでつけたら効果が有るかもね」フフフ

美術部長「つまり、そういう効果があると思い込んで被った結果、三編みさんは肉体強化魔術を暴走させるまでに至ったと」

魔道具屋「ん? 肉体強化魔術の暴走? その三編みという子は肉体強化魔術の初心者なのかい?」

腐女子「いえ、肉体強化魔術を専門としている家系の出身です」

魔道具屋「思い込みでそこまで行くとは……考えにくいね」フム

秀才「それは俺も同意見です」

魔道具屋「何の効果も無いとは思うが、そうだね。 作った本人に聞きに行こう。 丁度、博覧会に参加しているはずだ」

美術部長「……」アングリ

美術父「……」メソラシ

魔道具屋「彼が美術部の創設者、美術父だよ」

美術部長「……お父さん、僕が絵を描いてたら邪魔しに来たくせに」

魔道具屋「あぁ、息子が絵を描いてたらついつい様子を見に行ってしまうんだってね」

美術部長「魔術師に絵なんて不要だって言ってたのに……」

魔道具屋「家など継がせず美術の道に進ませてやりたいって言ってたね」

美術部長「呆れて、もう知らんって……」

魔道具屋「変装してまで学園祭の展示見に行ってたじゃないか」

美術父「…………何か用があったんじゃないのか?」ゴホン

美術部長「……家に帰ったら問いつめますからね」

秀才「話進めても良いですか?」

美術部長「どうぞ」

秀才「ツンデレさん、これについてなんですが」つ羨みの仮面

美術父「ツンデレではない!?」

腐女子「美術部長×ツンデレ美術父……ぶはぁっ!!」ハナジ

美術部長「腐女子さん!?」

美術父「さて、この仮面についてだが……」

秀才・美術部長・腐女子「単なるジョークグッズ!?」

美術父「あぁ、なんの効果も持たせていない」

美術部長「どうしてこんなこんなモノを……」

美術父「何でだったか?」

魔道具屋「悪ふざけじゃないか? お前、そういうの好きだったじゃないか」

美術部長「えっ? お父さんの学生時代って」

魔道具屋「あぁ、今でこそ生真面目な男だが昔はスカート捲りn」ムグムグ

美術父「魔道具屋、そろそろ黙ろうか?」

美術部長「結局、三編みさんの効果は思い込み」

魔道具屋「単なる思い込みで肉体強化魔術の暴走ね……」

秀才「……思い込まされたのではないかと」

美術父「幻惑魔術、洗脳魔術の類いならば可能か……」

秀才「………………ありがとうございました、もう少し調べてみます」

美術部長「何か解ったら教えてくれ」

秀才「はい、勿論です」

腐女子(…………)

【博覧会会場・フードコート】
腐女子「戻ったよ」

丸眼鏡「……ご苦労」

腐女子「羨みの仮面は何の効果も持っていなかった」

丸眼鏡「そう、解った」

腐女子「……秀才先輩、あのままにしておいて良いの?」

丸眼鏡「……」

腐女子「魔術社会の深いところまで介入してしまったら、危ないんじゃ」

丸眼鏡「三編みの真実を知りたいならば泳がしておくべき」

腐女子「私が自分で調べるてはいけないの?」

丸眼鏡「それは無駄、貴女では辿り着けない」

腐女子「占術の結果が絶対だとは限らない」

丸眼鏡「それでも、我々風魔術家はそれに従い指針を決める」

腐女子「……私は風魔術家の一員では無い」

丸眼鏡「……そう、ね」ギリ

腐女子「丸眼鏡?」

丸眼鏡「……貴女は美術部の部員で3P会議たるものの参加者」

腐女子「……」

丸眼鏡「監視者(私)と対象(貴女)の関係はそれに劣る」

丸眼鏡「そうなったのは私の責任。 火の若のように関わることも、水のお嬢のように振る舞うことも出来たのにしなかった」

腐女子「あの、丸眼鏡……何言ってるの?」

丸眼鏡「私はそんな立場でありながら、美術部の部員に根暗とメイドに嫉妬した」

腐女子「えっ、あの、らしくないよ、丸眼鏡」

丸眼鏡「何故、嫉妬したのか思考し、様々な人を観察し理解した」

「腐女子、私は貴女のことを愛している」

腐女子「」

丸眼鏡「……」///

腐女子(シリアスな雰囲気だったのに……何これ?)

腐女子(OK、私は腐女子、ミントみたいにCOOLなのが取り柄さ。 丸眼鏡は人として私に好意を持ったってことだね? そういう事でファイナルアンサー!!)

丸眼鏡「……返事、は?」///

腐女子(恋する乙女の表情何ですけどぉぉおおお!!)

【数日後・魔術学園の屋上】
オタク「そちらは落ち着いたか?」

腐女子「問題ない、事後処理は済んだ」

お嬢「何時かとは立場が逆ですわね」

オタク「はぁ、何かと事件が続くな」

お嬢「何かもっと大きな事が起きる前触れなのでしょうか」

丸眼鏡「雑談より、情報交換を優先したい」

オタク「今回の件は魔壊連合と土魔術家を裏切っていた眼帯の犯行だった。 眼帯の消息は不明だ」

丸眼鏡「魔壊連合は?」

オタク「中年が死に武闘派の連中も大勢逮捕出来たから、ほぼ壊滅状態だ」

お嬢「魔壊連合は魔術を使った犯罪の支援を行っていたのですわよね?」

オタク「あぁ、魔術犯罪を示唆することで魔術を危険視する世論を強めるのが目的だったらしい」

お嬢「中年が魔術師では無かったと伺って疑問に思っていましたが……なるほど」

丸眼鏡「此方からは眼帯に盗まれた品について報告する」

オタク「万華鏡……だったか?」

丸眼鏡「簡単に言えば、目を起点とする魔術の補助アイテム」

お嬢「はぁ……それはどういうことですの?」

丸眼鏡「洗脳魔術等には目を合わせないと発動出来ないモノがある」

丸眼鏡「今回、盗まれた万華鏡を使えば目を合わせなくても範囲内に入った相手に魔術を使うことが出来る」

オタク「それは強力なアイテムだな」

お嬢「……眼帯はそんなモノを盗んで何をするつもりなのでしょう」

オタク「とにかく、火魔術家は眼帯の捜索と魔壊連合の残党狩りで忙しくなりそうだ」

丸眼鏡「……眼帯の捜索は風魔術家も参加する」

オタク「……必要ないと思うが」

丸眼鏡「風魔術家には火魔術家を疑っている派閥もある。 貴方達は秘密が多い」

オタク「ここに跡継ぎが来ていない土魔術家の方が信用できないんじゃないか?」

丸眼鏡「土魔術家は禁術の管理を管轄している。 他の魔術師からも疎ましく思われている」

オタク「ならば我々以上に素性を隠すのも正当だと言いたいのか?」

丸眼鏡「……禁忌に触れてまで触手魔術を保護している火魔術家を警戒するのは理解できる」

オタク「……」

丸眼鏡「……」

お嬢「あの……」オロオロ

オタク「……解った。 水魔術家以外に信頼を置けないのは此方も同じだからな」

【ラブホテル・3P会議】
腐女子「……丸眼鏡に告白されました」

メイド「おめでとうっす」

腐女子「もう少し、驚いてくださいよ!?」

メイド「だって、腐女子はGLだっていけるんすよね?」

腐女子「GLは見る専なんで、自分が対象にされるのは……」

根暗(これ、態々集まってする話なのかな?)

メイド「それより、僕っ娘はどうしてるっすか?」

腐女子「博覧会の日、お父さんがお亡くなりになったと……」

根暗「う、うん、何とか立ち直って農園を手伝ってくれてるよ」

腐女子「それは、良かったです」

メイド「……ん?農園?手伝う?」

根暗「うん、僕の家の裏に農園があって……あっ」

メイド「一緒に住んでるんすか?」ジト

腐女子「その辺、kwsk!?」

根暗「母方の実家は魔術と関係無い家柄らしくて、その、僕の家の方が家で魔法薬の研究しやすいとかで……はい」

メイド「ラブラブっすね、爆発しろ」

腐女子「良いことじゃないですか、爆発しろ」

根暗「ば、爆発!?」

メイド「まぁ、恋バナはここまでにするっすよ」

根暗(……真面目な話もあるのかな?)

腐女子「……秀才さんのことについて今日は話したいと思いまして」

根暗「し、秀才……秀才がどうしたの?」

メイド「四大元素家とか私らのことについて嗅ぎ回ってるみたいなんっすよね」

根暗「ど……どうして……」

メイド「そりゃあ、根暗を守るためっすよ」

根暗「……」

腐女子「根暗先輩、知らなかったんですか?」

根暗「何かを調べてることは知ってたけど……そんな、危険なことだとは」

メイド「まぁ、命の保証は出来ないっすね」

腐女子「丸眼鏡は秀才先輩を利用するつもりみたいです」

メイド「うちのお嬢は心配はしてるみたいっすけど、止める気は無いみたいっすね」

根暗「……火魔術家の意思は解らないけど、僕は止めてほしい」

根暗「危険な目に……あって欲しくない」グッ

腐女子「私も、もう誰も犠牲になって欲しくないです。 でも……」

メイド「私と腐女子の立場じゃ、秀才は止められないっすね」

メイド「根暗、守りたいならあくまで冷静に……っすよ」

根暗「解った……秀才は僕が止める」

根暗「彼を魔術社会なんかの犠牲にしない」キリッ

メイド(こういう顔も出来るようになったんすね)

【魔術学園・2-C】
ポニテ「…………あんた、顔がヤバいことになってるわよ」

僕っ娘「何のことだい?」ニヤァ

ポニテ「とろけきってるわよ!?」

僕っ娘「朝を来たら根暗がいて、一緒に登校して、一緒に部活して、一緒に帰って、一緒の布団で……あぁ、生きてるとは素晴らしい」

ポニテ「あんたねぇ……」

僕っ娘「幸せに浸ってないと辛いんだよ」クス

ポニテ「はいはい、御馳走様です。 惚気話の被害者は私だけにしておいてね、親友?」

僕っ娘「OK、親友♪」

秀才「君達は相変わらず仲がいいな」

ポニテ「あら、秀才? どうして私達のクラスに?」

秀才「俺がこのクラスの学級委員って忘れてないか!?」

ポニテ「冗談よ」

秀才「全く……。 それより、ポニテに聞きたいことが」

ガラガラ

根暗「秀才……いますか?」

僕っ娘「根暗! 昼食のお誘いかい?」

ポニテ「秀才に用でしょ、どう考えても」ハァ

秀才「あぁ、どうした?」

根暗「あの、その……たまには、二人でお昼御飯でもどうかな?」アセアセ

僕っ娘「」ガーン

ポニテ「ショック受けすぎでしょ?」

秀才「あぁ、構わない。 何処で食べようか?」

根暗「……屋上でどうかな?」

【魔術学園・屋上】
秀才「二人で食事を取るのは久しぶりだな」

根暗「うん」

秀才「しかし、博覧会のこと教えてくれ無かったのは傷付いたぞ?」

根暗「ごめん」

秀才「……言いたいことがあるんだろ?」

根暗「……秀才、僕にとって君は大切な友達で……危険な目にあって欲しくない」

秀才「……それは俺も一緒だ。 根暗に危険な目にあって欲しくない」

根暗「君は何処まで知ってるの?」

秀才「根暗こそ何処まで知っているんだ?」

根暗「……僕は火魔術家の使命の為に作られた」

秀才「……」

根暗「驚かないんだね」

秀才「……ホムンクルスだろうと、俺にとっての根暗は何も変わらない」

根暗「……ありがとう」

秀才「火魔術家の使命とは何だ?」

根暗「それは……言えない」

秀才「知ってはいるんだな?」

根暗「オタクが教えてくれた……。 お嬢様の誕生日会から帰ったら家の前にいて……全部話してくれた」

根暗「自分がどういうモノか、火魔術家が僕をどうするものか知った上で……僕はオタクの為に犠牲になると」

ガシッ

秀才「犠牲になるだと?」

根暗「……これは触手魔術家と火魔術家の問題だ」

秀才「それでも俺は……お前が戦うなら一緒に」

「これは僕とオタクの戦いだよ」

根暗「秀才が関わって良いものじゃ……無い」

秀才「……」

無口「貴方が授業をサボるなんて珍しい」

秀才「……どうしたら良いのか解らないんだ」

無口「……」

秀才「根暗を助けようとやってきたことが、根暗にとっては迷惑で……あいつらの中では答えが出ていることで……」

無口「……」

秀才「俺はどうしたら良いんだ!?」

無口「……秀才君」

無口「鬱陶しい」

秀才「なぁっ! その言い方は酷くないか!?」

無口「貴方は結局調べるのを止められない」

無口「貴方は結局何もしないなんてことは出来ない」

無口「貴方は関わらないなんて賢い選択が出来る人間じゃない」

秀才「……」

無口「ユー アー ベリー フール」

秀才「励ましてくれてるのか?」

無口「……」クスクス

秀才「半分は馬鹿にしてるんだな」ハァ

無口「……」コクン

秀才「はぁ、解ったよ。 やってやる。 根暗に疎まれても良いさ。 俺にも譲れないモノがある」

秀才「根暗、これはお前とオタクと……やはり、俺の戦いだ」キリ

【火魔術家本拠地・武家屋敷】
優等生「若! どういうおつもりですか? 根暗と僕っ娘の同居を許すとは」

オタク「恋慕に首を突っ込むもんじゃないでござるよ」デュフフフ

優等生「ふざけないでください!?」

オタク「いや、根暗の人生を犠牲にするんだからせめて好きな人とぐらい一緒にいれるようにだな」

優等生「……根暗に火魔術家の使命について話して無いですよね?」

オタク「ボウズ、将棋でもささないか?」

優等生「若!?」

オタク「……根暗には知る権利があるだろ?」

優等生「知ってしまったら抵抗するに決まっているでしょう?」

オタク「……根暗は全て知った上で承諾してくれた」

優等生「なっ!?」

オタク「魔術社会の為では無く、俺の為にあの森で」

「―魔王の侵攻を止めてくれると」

【魔術学園・1-A】
腐女子「……」

丸眼鏡「……」ジー

【美術室】
腐女子「……」カキカキ

丸眼鏡「……」ジー

【トイレの個室】

腐女子「……あの」///

丸眼鏡「……」ジー

【放送室】
腐女子「放送部長さん! 助けてください!!」ガチャ

放送部長「あら、腐女子、美術部はどうしたのかしら?」

腐女子「それどころじゃないです! 朝からずっと、丸眼鏡が!?」

丸眼鏡「……」ジー

放送部長「御主人様、何をされているんですか?」

丸眼鏡「腐女子を見つめている」

放送部長「そこまで監視する意味があるのでしょうか?」

丸眼鏡「これは監視ではない。 ただ、腐女子を愛しく思ったから見つめている」

放送部長「……ファッ!?」

放送部長「なるほどね、つまりご主人様は腐女子が他の人達と仲良くしているのを見て嫉妬したと」

丸眼鏡「そう。 そして、その嫉妬の原因は私が腐女子を愛しているからじゃないかと推測した」

放送部長「だからって、腐女子を付け回して視姦してたら嫌われちゃいますよ?」

丸眼鏡「視姦?」

放送部長「えぇ、なのでもっと確実に腐女子を攻略していかないと♪」

腐女子「ちょっと待ってください!?」

放送部長「どうしたの? 声をあらげて?」

丸眼鏡「……」キョトン

腐女子「何で、私がおかしいみたいな顔してるの? 何で、放送部長さんは丸眼鏡の応援してるの? というより、私と丸眼鏡は女同士でしょうがぁぁぁあああ!?」

丸眼鏡「腐女子の部屋よりこんな書物を見つけた」

書物≪百合同人誌「愛さへあれば女同士でも関係無いよネッ♪」≫

丸眼鏡「この書物によれば、愛情の有無が性別よりも重視されると」

腐女子「同人誌を根拠に語らないでよ!?」

放送部長「ふむふむ、この書物には出会いから付き合うまでの道筋が書かれていますね」ペラペラ

腐女子「あっ、ちょ! 読まないでください!?」///

放送部長「この通りにやっていけば、腐女子と付き合えるんじゃないですか?」

丸眼鏡「……ふむ、試す価値はあるか」

腐女子「本人の前で打合せしないでよ……」

【魔術学園・校舎裏】
風来坊「おうおう、ねぇちゃん良い体してんじゃねぇか?(棒)」

腐女子「え、あの……風来坊さん何してるんですか?」

風来坊「……おうおう、ねぇちゃん良いからだしてんじゃねぇか?(棒)」

腐女子「村人Aですか!? 同じ台詞しか言えないんですか!?」

風来坊「おうおう、ねぇちゃん良いからだしてんじゃねぇか?(棒)」

腐女子「……」チラッ

放送部長「……」つカンペ

カンペ≪きゃー、誰か助けて≫

腐女子「きゃー、誰か助けて?」

丸眼鏡「止めて。 彼女、嫌がってるでしょ」

腐女子「うん、丸眼鏡にその台詞を言いたい」

風来坊「うるせぇ、お前には関係無いだろ(棒)」

丸眼鏡「女の子の涙は見過ごせない質なんでね」

風来坊「お前も女だろうが(棒)」ナ-グ-リ-

腐女子(……すごいゆっくり殴りかかってる)

丸眼鏡「……ふん」カツギ

風来坊「……」

丸眼鏡「……」

腐女子(背負い投げしようとしたポーズで止まった?)

丸眼鏡「ふん!」カツギ

風来坊「……」

丸眼鏡「……」

腐女子「……背負い投げ、出来ないの?」

丸眼鏡「……」///

風来坊「……」

放送部長「……はい! 背負い投げしました!」パン

風来坊「く、くそ、覚えてやがれ(棒)」ダッ

丸眼鏡「大丈夫かい?」

腐女子「丸眼鏡の頭に問いたい!」

【1-A】
風来坊「えー、皆さん、静かに(棒)」

1A担任「んぐー!んぐー!」E.猿轡

風来坊「今日、このクラスに転校生が入ってくることになった(棒)」

「何で、先生椅子に縛られてるの?」「あれって3年の風来坊先輩だよな?」「凄い棒読みだ……」

腐女子(まだ終わって無かったの……)

風来坊「ほら、入れ」

丸眼鏡「今日からこのクラスで皆さんと一緒に勉強することになった丸眼鏡です」

お調子者「いやいや、元々クラスメイトでしょ!?」

風来坊「あぁん?」ギロ

お調子者「いや、何でも無いです……はい」

「つっこんだら駄目なんだ」「風来坊先輩怖い」「んぐー!んぐー!」

丸眼鏡「あっ、君はさっきの」ユビサシ

腐女子「……」メソラシ

丸眼鏡「あっ、君はさっきの」ユビサシ

腐女子「……」メソラシ

風来坊「……」

クラスメイト's「……」

タッタッタッタッ ガチャ

クラスメイト's(あっ、学園アイドル(笑)だ!)

放送部長「……」つカンペ

カンペ≪あっ、背負い投げの人!?≫

腐女子「……せ、背負い投げの人」///

放送部長「はい、もっと大きな声で言ってみよう☆」

腐女子「背負い投げの人!?」///

丸眼鏡「背負い投げの人なんて呼ばないでおくれ、私の名前は丸眼鏡だよ。 可愛いお姫様」ウィンク

1A担任(何これ……?)

風来坊(何してんだ、俺?)

クラスメイト's(何なんだこの時間)

腐女子「……何これ?」

放送部長「……クス、ははは、御主人様、いい感じですよ」b

【放送室】
腐女子「いい加減にしてください!?」

放送部長「ははは、ごめんごめん」

腐女子「やっぱり遊んでましたね」

放送部長「だって、面白いじゃない♪ 魔術社会の維持にしか興味がなかったご主人様がこんなことするなんて」

腐女子「……」

放送部長「ご主人様は悩んでおられる。 風魔術家の在り方に、占術の結果を優先しすぎる自分達に……」

放送部長「だから、少しでも気が紛れれば……なんてね」

風来坊「おーい、放送部長。 最後のシーンの準備できたぞ?」ガラ

腐女子「まだ続くんですか?」グダー

放送部長「ふふ、丸ちゃんが屋上で待ってるわ♪ いってらっしゃい、腐女子☆」

腐女子「はぁ……さっさとこの茶番終わらせてきます」スタスタ

風来坊「……丸眼鏡は何考えてんだ? 本当に腐女子と付き合いてぇのか?」

放送部長「さぁね……でも、きっと今の関係に嫌気が差したのでしょ」

風来坊「嫌気?」

放送部長「火の若と根暗の友情を見て、水の嬢とメイドの信頼を見て……彼女に監視役としてしか関われなかった自分に、ね」

風来坊「……女心は解らねぇな」

【屋上】
丸眼鏡「急に呼び出して悪かったね」

腐女子「……」

丸眼鏡「解ってる。 貴女と私の出会いをやり直しても意味がないって」

丸眼鏡「私と貴女の関係が変わらないってことも……」

丸眼鏡「私は監視役、貴女は対象……愛してる何て言っても束縛してきた今までが無くなるわけじゃない」

腐女子「ウジウジうるさい!」

丸眼鏡「!?」

腐女子「丸眼鏡、私は怒っているのよ?」

丸眼鏡「えっ、あの……」

腐女子「私は美術部の部員で3P会議の参加者……確かにその通り」

腐女子「美術部の人達のことは好きだし、同じ境遇の二人も好き……」

腐女子「でも、私と丸眼鏡の関係がそれに劣る何て思ってない」

『土魔術家が変換魔術家を処分したらしい』

『正しい判断だ。 危険な魔術ならば魔術社会の維持の為に消してしまえば良いさ』

『その方が懸命だな』

『死霊術師など生かしておく利点が無い』

『処分しよう』『殺そう』『処分に賛成する』『そうと決まったら早く済まそう』

腐女子『……』ガクガク

『処分しよう』『処分しよう』『処分しよう』『処分しよう』『処分しよう』『処分しよう』『処分』『処分』『処分』『処分』『処分』

丸眼鏡『―次期当主として意義を唱えます』

腐女子『……!?』

丸眼鏡『私の風読み術の結果より、彼女が魔術社会に損害を与える可能性は低い』

丸眼鏡『土魔術家の決断に流され、ことを起こすのは四大元素家の1つとして自覚が足りないのでは?』シレ

『次期当主だからと言って一人の意見で覆るものではない』

丸眼鏡『風読み術の結果を元に発言しています。 あなた方の発言にそれに優る根拠かあると?』

『……くっ』

腐女子『……私は生きていいの?』

丸眼鏡『貴女は私が監視する』

『勝手に死ぬことは許さない』

腐女子「貴女は私に死ぬことを許さないと言ってくれた」

腐女子「私に生きていいと言ってくれた……初めての人だから」

丸眼鏡「私は風読み術に従っただけ」

腐女子「そうかも知れない、それでも今私が生きているのは丸眼鏡のお陰だから」

腐女子「対象(私)と監視役(貴女)の関係が友人や同族に劣るだなんて言わないで」

丸眼鏡「……」

腐女子「……」

丸眼鏡「貴女と私の関係性を変える必要性が無いと理解した」クス

腐女子「えぇ、私達の関係も悪いものじゃないよ」クス

丸眼鏡「……貴女は私が監視する」

「だから、これからも生きていて」

【放送室】
放送部長「なるほど、今の関係のままということで落ち着いたと☆」

腐女子「えぇ、落ち着きはしたんですが……」

丸眼鏡「……」ペラペラ

放送部長「ご主人様、何を読まれてるのですか?」

書物≪濃厚レズ同人誌「蜜壷合わせ」≫

放送部長「」

腐女子「」

丸眼鏡「……ふむ、放送部長、丸眼鏡……次はこれを再現しよう」フンス

腐女子「私は見る専だぁぁぁあああ!!」

丸眼鏡「見る専?」

放送部長「チャンチャン♪」

【生徒会室】
新会長「……」テキパキ

書記「……」ゲッソリ
会計「……」ゲッソリ

雑用「会長! ポスター貼ってきました」

新会長「ご苦労様、じゃあ、次は書記が作成した参加用紙のコピーをお願い」

雑用「はい♪」

会計「二人とも元気ですね」

書記「退魔家の体力にはついていけねぇよ」

会計「ははは、確かに」

新会長「二人とも無駄話をしている暇は無いよ? もうすぐ、魔術技会なんだから」

雑用「……あの、今更なんですけど、魔術技会って何ですか?」

書記「雑用ちゃんよ、知らずに準備してたのか?」

雑用「すいません」アセ

新会長「簡単に言ってしまえば学内最強の魔術師を決める大会よ」

雑用「はぁ……」

会計「4人1組でチームを組んで、殺し合うんですよね?」

雑用「こ、殺し合うんですか!?」

書記「校長先生が作った異空間の中でな」

雑用「異空間……?」

新会長「そこで死んでも現実世界に戻ってくるだけ……だから、皆が本気でやり合えるってこと」

会計「試合形式だったら、不利になる魔術も多いですからね」

雑用「なるほど……」

新会長「はい、解ったら作業再開よ? 私は放送部長先輩と打ち合わせに行ってくるけどサボらないように」

書記・会計「へいへい」
雑用「はーい♪」

書記「……会長も板についてきたな、あいつ」

【魔術学園・校舎裏】
優等生「……若、今なんと?」

オタク「だから、一緒に魔術技会に出るぞ」

優等生「学園では関与し合わないように言いましたよね? 若が火魔術家の跡取りとバレたら厄介なことに……」

オタク「いや、もうバラしてしまおうと思っている」

優等生「はぁ!?」

オタク「風の当主にきな臭いと言われた。 お嬢も火魔術家を信じきって良いか悩んでるようだ」

オタク「確かに火魔術家の使命は公にし無い方が良いだろう」

オタク「だが、やましいことをしていないならばもっと堂々とするべきだ」

優等生「しかし……」

オタク「このまま、火魔術家を継いでも誰も着いてきてくれない気がするんだよ」

オタク「俺が、俺こそが火の若だ! 黙ってついて来い!!って言える良い機会だろ?」デュフフフ

優等生「……最近、デフォルトでその笑い方なんですね」ハァ

優等生「火当主様への許可は一人で取りにいってくださいよ」

オタク「あぁ! ボウズ、お前も一緒に戦ってくれるか?」

ボウズ「若の御心のままに」

優等生「しかし、若。 魔術技会は4人1組……我々は3人しかおりませんが」

オタク「ん? あぁ、そこら辺は大丈夫だ。」

根暗「………………ども」オロオロ

優等生「」
ボウズ「……」ホウ

【2-D】
召使い「お嬢様と一緒に魔術技会に出たいか!!」

キモオタ・ピザ・出歯「おぉ!!」

召使い「お嬢様と一緒に戦いたいか!!」

キモオタ・ピザ・出歯「おぉ!!」

召使い「俺に一撃加えれた者を合格とする!!」

メイド「お嬢、なんっすかこれ?」

お嬢「選考会ですわ」ドヤ

メイド「選考会? あぁ、この中から二人選んで魔術技会に出るんっすね?」

お嬢「え? いえ、一人選んでですわ」

メイド「……お嬢と召使いと……あぁ、もう一人助っ人見つけたんっすね」

お嬢「メイド、貴女も出るのよ?」

メイド「はぁ!? 無理っすよ! 無理無理無理無理!!」

お嬢「チーム水魔術家で出るのに貴女がいなくてどうするの?」

メイド「私……化け物っすよ」

お嬢「……悪魔化術は使わなくても良い、すぐにギプアップをしても良い。 だから、一緒に参加してくださらない?」

メイド「どうして……そこまで?」

お嬢「ズットモですもの」フフフ

召使い「全員失格!!」

キモオタ・ピザ・出歯「……」ピクピク

お嬢「最後の一人……見つかるのかしら」

【図書室】
秀才(魔術技会が近いせいか騒がしいな。 静かなのは此処くらいか……)

不良「……あぁ、くそ……解らねぇ」

秀才(ん?確か彼は……)

秀才「不良君……だったかな?」

不良「あぁん? 何だよ?」

秀才「2-Cの秀才だ。丁度良かった。 少し君に聞きたいことがあるんだが良いか?」

不良「……聞きたいこと?」

秀才「三編み仮面について……」

不良「悪い、忙しいんだ」

秀才「おい!」

不良「思い出したくねぇんだよ! トラウマ何だよ!!」

図書委員「……」ギロリ

秀才・不良「……すいません」

秀才「そこを何とか頼めないか? どうしても気になることがあるんだ」

不良「2-Cの秀才。 確か、テストで何時も1位だったよな?」

秀才「あ、あぁ」

不良「じゃあ、交換条件だ。 ここ、教えてくれたら俺も答えてやるよ」

本≪魔術的肉体異常と医療≫

秀才「……君は見た目に似合わない本を読むんだね」

不良「うるせぇ!!」

図書委員「……」ギロリ

秀才・不良「……すいません」

【放送室】
放送部長「今年は出ないんだ」

風来坊「ん? 魔術技会のことか? 4人1組とか面白くねぇからな。 去年は個人戦だったよな?」

放送部長「校長先生も歳だから、あまり長時間異空間を保てないのよ」

風来坊「なるほどねぇ、試合数を減らすのが目的ってことか」

放送部長「それにしても、前年度優勝者が出ないなんて……盛り上がりに欠けるわね」

風来坊「そんな話をする為に呼び出したのか?」

放送部長「まぁ、関係あることだけど……少し、お願いしたいことがあって」

風来坊「お願いしたいことだ? また、茶番に付き合うのはごめんだぞ?」ゲッソリ

コンコン

新会長「失礼します。 放送部長先輩、例の人選についてなのですが……あら」ドモ

風来坊「おう! 新会長、頑張ってるみたいだな」

放送部長「丁度、良かった。 新会長、彼なら適任だと思わない?」

新会長「えぇ、風来坊先輩なら文句を言う方はいないかと」

風来坊「……なんの話だ?」

放送部長「魔術技会に解説者として参加してもらえないかしら」

風来坊「解説者だぁ?」

【中庭】
お嬢「中々、最後のメンバーに相応しい方が見つかりませんわ……」

メイド「召使いに一撃加えるとか、ハードル高いっすよ。 あいつ、お嬢の為なら有り得ない力を発揮するっすからね」

お嬢「あら、メイド。 嫉妬かしら?」フフフ

メイド「ちげーし、ちげーし」///

ゴスロリ「赤面の乙女、それを愛でるは紳士の嗜み」

お嬢「……あら?」
メイド「へ?」

召使い「全く、俺に一撃を加えれるヤツはいないのか……ん?誰だ?」

メイド「私も知らないっす」

お嬢「二人は面識がなかったのね」

ゴスロリ「祖父は偉大であった。 大義ゆえに死んだからではない。 死してなお偉大だからである」

お嬢「ということですわ」

メイド「今のが自己紹介っすか?」

召使い「祖父? 偉大?」

お嬢「……彼女はゴスロリ。 執事の孫娘ですの」

メイド「じいさんの孫っすか」

ゴスロリ「器より溢れるは水の性、溢れた水は新たな器に」

お嬢「まぁ、嬉しいわ! でも、召使いに一撃加えることが出来るかしら」

召使い「何故、お嬢様は普通に会話を……」

メイド「察するに、チームに参加して一緒に戦いたいということみたいっすね」

ゴスロリ「蝶は告げた、翔べるのであれば囚われない。 蜘蛛は告げた、翔べるのだから囚われるのだと」

メイド「全く、解らないっす。 とりあえず、召使い。 相手してやるっす」

召使い「女性に、しかも執事さんの孫に手を出すのは気が引けるが…………ッ!?」

メイド「どうしたっすか?」

召使い「動けない」

メイド(……透明な糸? 何時の間に)ムムム

お嬢「水糸魔術……腕を上げましたわね、ゴスロリ」

ゴスロリ「問うべきは、善悪。 答えるべきは白黒。 世の結論は2択に他ならない」ポコッ

召使い「……合格だ。 卑怯とは言わないさ」

【魔術学園近辺・喫茶≪死なばもろとも≫】
不良「物騒な店名だな……」

秀才「マスター、コーヒーを一杯。 君も何か頼むかい?」

不良「オレンジジュース」

秀才「さて、先に此方の用件を済ませて良いかな?」

不良「おう、三編み仮面についてだったよな?」

秀才「あぁ、彼女と遭遇した時のことを教えて欲しいんだ」

不良「俺とヤンキー、DQNの3人でカツアゲしてたらいきなり現れてよ」

不良「DQNにてきとうに相手を任せようとしたら何時の間にか負けてやがった。 んで、ヤンキーを逃がそうとしたんだが……其処で一旦記憶が途絶えたんだ」

秀才「一旦?」

不良「あぁ、その後、何回か起こされては殴るだの蹴るだのされて……酷い目にあったぜ」

秀才「……誰にカツアゲしていたんだい?」

不良「あん? それは……ん?」

秀才「……」

不良「いや、あれ?……誰だっけか?」

秀才「クラスだけでも解らないかい?」

不良「……あれ? 悪い、何でだ?」

秀才「顔は思い浮かぶかい?」

不良「…………」ムムム

秀才「君は記憶力は良くない方なのかい?」

不良「いや、記憶力だけは自信があるんだが……何か、こう……ぼやける」

秀才「なるほど、ありがとう。 もう十分だ」

不良「あん? 良いのか?」

秀才「あぁ。 さて、じゃあ、約束通り勉強を始めようか」

【根暗帰路】
根暗(結局、最後までオタクと優等生君は口論してたな)

根暗(オタクは僕を守ろうと思ってくれてるけど……他の火魔術家の関係者が同じ考えとは限らない、か)ハァ

秀才(不良、中々呑み込みが早かったな。 記憶力は確かなものらしい)

秀才(だからこそ、カツアゲをしていた相手の顔さへも浮かばないのは変だ。 やはり、俺の推測は正しいのか?)フム

根暗「……あ」

秀才「……ん?」

根暗「し、秀才、今帰りなの?」

秀才「あぁ。 少し調べものをしていてな」

根暗「……止める気は無いんだね」

秀才「根暗もオタクも勝手にしてるんだ。 俺も指図を受けるいわれはないさ」

根暗「……」

秀才「……」

根暗「……はは、はは、はははは、ごめん、ははは」

秀才「なっ!? いきなり、どうした?」

根暗「秀才ぽいなって思って。 これは、はは、言うだけ無駄って思ったら可笑しくて」ハハハ

秀才「根暗……」

根暗「気になることはとことん調べる。 出来ないことは出来るまでやる。 それが君だもんね」

秀才「フッ、それが俺が天才、鬼才、そして、秀才と呼ばれる所以なのさ」ドヤ

根暗「な、何それ、ドヤ顔、ははは、止めてよ」

秀才「ははは、悪い。 何だか、ノッてしまった」

根暗「途中まで一緒に帰らない?」

秀才「勿論だ」

根暗「それにしても、秀才の探究心には頭が上がらないよ」

秀才「気になってしまったら動かずにはいられない性なのさ」

根暗「気になったらか……」

秀才「どうした?」

根暗「いや、大分前の話なんだけど……今考えたら違和感があって」

秀才「……違和感? 何の話だ?」

根暗「いや、別にそんな重要な話でも無いんだけどさ……」

本日はここまで
次回から魔術技会編に入る関係上、更新遅れるかもです

【魔術学園・講堂】
放送部長「Ladies and Gentlemen! 大変、お待たせしました!! 今年もこの日がやって来ました!!」

「これより、魔術技会を開催します♪」

パチパチパチパチパチパチパチ

放送部長「司会進行は私、唄って踊れてカンペも出せる学園アイドル☆ 放送部長でお送りいたします♪」

放送部長「さて、本日は解説役として前年度優勝者! 風来坊に来てもらいました」

風来坊「こういうのは、柄じゃねぇんだが」

放送部長「引き受けたからにはちゃんとやりなさい」ヒソヒソ

風来坊「それより、ステージにあるデカい水晶はなんだ?」

放送部長「よくぞ、聞いてくれました! これは異世界の中を覗く為の水晶です♪」

風来坊「つまり、この水晶越しに観戦するってことか?」

放送部長「その通り! とと、選手の皆さんが異世界に入る準備が出来たそうです!!」

放送部長「今回の参加数は9チーム。 チーム決めが上手くいかなかったのか、参加者は去年より少ないですが」

風来坊「その分、精鋭が参加してるとも捉えられるな」

放送部長「それでは、改めまして……」ウウン

風来坊(……咳払い?)

放送部長「本校最強の生徒が見たいかーッ!」

「オーーーーー!!!!」

放送部長「儂もじゃ!儂もじゃ!」

「―全チーム入場ッ!!」

風来坊(……何だこのノリ?)

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放送部長「オーホホホっと高笑い! 自称四大元素家筆頭家次期当主、水のお嬢が率いる」

「チーム、お嬢wish親衛隊の入場だ!!」

お嬢wish親衛隊≪お嬢、メイド、召使い、ゴスロリ≫

放送部長「ルールの無い喧嘩がしたいからここに来た! 四大元素家でも殴ってやる!! でも、アウルベアだけは勘弁な」

「特攻悪ガキAチーム!」

特攻悪ガキAチーム≪ヤンキー、DQN、ピアス、スキンヘッド≫

放送部長「俺達の目的はただ1つ! 召使い!! ぶっ殺す!! 召使い!! We want to kill 召使い!!」

「召使いぶっ殺し隊!!」

召使いぶっ殺し隊≪キモオタ、出歯、デブ、ピザ≫

放送部長「退魔家が強いのは当たり前? 探究家の底力を見せてやる!!」

「探究家連合」

探究家連合≪錬金部長、回復部長、生物部長、美術部長≫

放送部長「実戦ならば、我等の鍛えし肉体がモノを言う! 武術の真髄を学びし」

「筋肉最強説の参戦だ!」

筋肉最強説≪脳筋、チャイナ、双子弟、双子兄≫

放送部長「立場的に出といた方が良いと思ったからここに来た! 事務的やる気で戦う」

「会長なんだらしょうがない!」

会長なんだからしょうがない!≪新会長、雑用、委員長、ガリ勉≫

放送部長「へ? 君達も出るの? ふーん、まぁ、頑張れば?」

「はいはい、チームモブモブ」

チームモブモブ≪モブA、モブB、モブC、モブEX≫

放送部長「実力未知数! 今大会のダークホースとなるか!!」

「世界のミカタ」

世界のミカタ≪卑怯者、マスク、喪女、アフロ≫

放送部長「さて、次で最後のチームの入場ですが……皆さんはこんな噂を耳にしませんでしたか?」

「今回の魔術技会に火の若が参戦すると言う噂を」

ザワザワザワザザワ

放送部長「静粛に!! 今日、火魔術家の、火の跡継ぎの隠れたベールが剥がされます……」

放送部長「それでは登場してもらいましょう! 火の若率いる」

「火ノ鳥!!」

火ノ鳥≪オタク、優等生、ボウズ、根暗≫

「オタクが火の若!?」「優等生もいるぞ?」「てか、あのチーム強すぎだろ? アウルベアを狩れたヤツが3人も……」

僕っ娘「本当に公表してしまったな。 ……ポニテ?」

ポニテ「……遠いな」ハァ

僕っ娘(自分とオタクでは釣り合わない……と思ってしまったのかな?)フム

【異空間内】
オタク「デュフフフ、ついにバラしてしまったでござるよ! 根暗殿!!」

根暗「あ、うん…………緊張してる?」

オタク「ちょっ、言うなし! それはバラす無し!」

優等生「若、ふざけてる場合ではありませんよ」ハァ

委員長「彼等は相変わらず仲が良いな。 ……しかし、オタクが火の若だったとは」

ガリ勉「……ここは魔術学園でありますな?」キョロキョロ

雑用「校長先生が異空間の中で作った魔術学園ですね」

放送部長『皆さん、聞こえますか?』

『今から、予選のルールを説明します☆』

モブA「予選?」

『えぇ、この予選で9チームを4チームに絞らせていただきます♪』

モブB「で、この偽魔術学園で何をさせるつもりですか?」

『今から皆さんになバトル・ロワイアルをしてもらいます!』

『4人全員が脱落したチームは失格! 最後の4チームになるまで楽しく殺し合ってくださいね♪』

風来坊『この異空間では死んでもこっちに戻ってくるだけなんだよな?』

放送部長『気絶したり戦闘不能になっても此方側に戻されます♪ 痛覚はありますので棄権したい人は今のうちですよ☆ 』

放送部長『……棄権者はいませんね? 10分後に開始としますので、それまでに好きな所に陣取ってください♪』

【魔術学園・講堂】
放送部長「はい、ということで10分間のトイレ休憩です! 激闘を見逃さない為にも今のうちに用を済ませて来てください☆」

風来坊「ところで、この紙はなんだ?」

放送部長「あぁ、それは優勝チーム予想用紙です♪ 優勝すると思うチームを書いて入り口の箱に入れてね☆」

風来坊「色々やってんだな」

放送部長「予想が当たった人から抽選で、食堂で使える割引券をプレゼント♪」

丸眼鏡「……腐女子、探究家連合は部が悪い」

腐女子「べ、別に良いでしょ! 丸眼鏡は何て書いたの」

丸眼鏡「風読み術の結果、優勝するのは……ムグムグ」

腐女子「言わないでおこうか」

僕っ娘「ポニテ、何処にいれるんだい?」

ポニテ「火ノ鳥に入れるわ。 アウルベアを倒した3人がいるんだし、実力は折紙付きで」

僕っ娘「ん? オタクがいるから入れるんだろ?」ニヤニヤ

ポニテ「うるさい!!」///

放送部長「はい! それでは10分経ちましたので、これより予選を開始いたします☆」

【異空間・屋上】
根暗「えっと、ほ、ほ、本当にやるの?」オドオド

ボウズ「根暗先輩、心配しないでください」

優等生「ボウズの肉体強化魔術を以てすれば問題無いだろう」

根暗「だって、ここ、その……屋上だよ」オロオロ

オタク「……」ミオロシ

優等生「若、どうされました」

オタク「最初から、お嬢ぐらい堂々としていれば良かった……なんてな」

優等生「……」

【異空間・運動場】
お嬢「水のお嬢は隠れませんわ」オーホホホホホ

メイド「お嬢、高笑いしてたらバカに見えるっすよ」

お嬢「あら、メイド。 教えてくれてありがとう♪」

メイド「……ご機嫌っすね」

お嬢「若様の決意が嬉しいのですわ。 やはり、四大元素家たるもの堂々とするべきですの」ドヤ

ゴスロリ「覚醒せし時。 金塊を断ち、白き山の麓に捧げるかの如く」

召使い「……覚醒せし時? 目が覚めて……白き山はおにぎりか? ……あぁ! 朝御飯はタクワンとおにぎりを食べてきたってことか?」

ゴスロリ「……」コクン

お嬢「ふふふ、二人も大分意思の疎通が出来るようになりましたわね」

メイド「よく解るっすね、召使い」

【異空間・とある教室】
モブA「本当に上手くいくのか?」

卑怯者「えぇ、上手く行きますとも! 我々が勝ち残る為にはこの手しか無いと言っても過言ではありません」ニッコリ

出歯「あっしらは召使いさへ、ぶっ殺せたら満足でやんす」

デブ・ピザ「んだんだ」

喪女(男の人がいっぱいいる、男の人がいっぱいいる、男の人がいっぱいいる)プシュー

マスク「相手は4人、こっちは12人……しかも奇襲をかけるんだよね? 卑怯者君」

卑怯者「負ける要素の方が少ないと思いませんか?」

『はい! それでは10分経ちましたので、これより予選を開始いたします☆』

卑怯者「さぁ、皆様方! マスクが描いた魔方陣の上にお乗りください」

【異空間・中庭】
新会長「ついに始まったか……委員長、ガリ勉君、付き合わせてごめんなさい」

委員長「気にするな。それにしても、生徒会長になった者は参加しなければならないとは……大変だな」

雑用「書記先輩と会計君が退魔家の出身だったら生徒会メンバーだけでチーム組めたんですけどね」

ガリ勉「ムムム、あれは何でしょう?」ユビサシ

委員長「屋上から触手が生えてる……」

雑用「視覚強化魔術! ……先っぽに人が乗ってます!? あれはボウズ君?」

新会長「触手が……大きく振りかぶって」

委員長「投げてきた!?」

ドゴォン

ボウズ「……うす」

新会長「移動方法が無茶苦茶過ぎる。 校則違反!」キリ

委員長「言ってる場合か?」

雑用「屋上から投げられて無傷なんて……」

ガリ勉「しっかーし! 此方は4人、此方は1人!! 意表をついたところで……うがっ!?」バタン

ボウズ「……」コキコキ

放送部長『おーっと、ガリ勉が倒されました! ボウズの動きが全く見えませんでしたが……』

風来坊『ガリ勉が悠長に喋ってる間に接近して、顎に一撃。 足を払ってバランスを崩させて顔面を殴りつけたんだ』

放送部長『ファッ!? 今の一瞬で!?』

新会長「逃げるのは……無理そうね」タラリ

委員長「くっ、やるだけやってやる!!」

雑用「援護射撃は任せてください!!」

ボウズ「……」ダッ

【異空間・廊下】
ヤンキー「四大元素家だか何だか知らねぇが調子乗りやがって」

DQN「放送部も媚びすぎだよな」

スキンヘッド「お前らが不良みたいな雑魚と手を切ってくれて良かったわ」

ヤンキー「スキンヘッドは相変わらず、探究家嫌いなのな」

スキンヘッド「あいつら弱い癖に偉そうなんだよ」

DQN「あっ、じゃあ、今度一緒に不良しめに行くか?」

ピアス「ちょっ、先輩方、水晶越しに聞こえちゃいますよ」

ヤンキー「あんなアフン野郎、聞かれたところで……あふん」バタン

優等生「……」

DQN「ゲッ! 優等s……あふん」バタン

スキンヘッド「やるじゃねぇか? でもな、そんな雑魚共倒したところで、このスキンヘッドさm……あふん」バタン

ピアス「ちょっ、優等生先輩! 顔怖すぎ! 無言怖すぎ! 何か喋ってくださいよ!!」

優等生「負け犬以下の駄犬共が……調子に乗るな」ナグリ

ピアス「あふん!!」

放送部長『最初に脱落したのは特攻悪ガキAチーム改め、特攻あふんAチームだ! お疲れ様でした!!』

【異空間・運動場】
召使い「それではお嬢様。 行って参ります」

ゴスロリ「流星群は止まらない。 そう燃え尽きるまで」

メイド「いってら~」ノシ

お嬢「一人でも多く倒して来るのですわ」

召使い「はっ!」
ゴスロリ「……」コクン

メイド「4人で固まってた方が良かったんじゃ無いっすか?」

お嬢「ふふふ、久し振りに本気を出せるのですもの。 あの二人が近くにいたら巻き込んでしまいますわ」

メイド「……やり過ぎちゃ駄目っすよ」

シュイン シュイン シュイン シュイン

モブA「とう!」
モブB「転移魔術ってすげーな」
モブC「あれ? 俺らしかいない?」

モブEX(……卑怯者にはめられたか。まぁ、良い)

モブEX「4対2だが……卑怯とは言わんね?」ククク

お嬢「……たったの4人ですの」ショボーン

モブEX「何?」

お嬢「この水のお嬢が本気を出して差し上げると言うのに……たったの4人ですの?」ゴゴゴゴゴゴ

モブABC「な、舐めるな!?」

モブEX「待て、不用意に相手の間合いに入るな!!」

メイド「相手の間合いに入るな? そりゃ、もう遅いっすよ。 ……この運動場全てがお嬢の間合いっすから」

お嬢「水柱魔術」

水柱×10本「」ブシャー

モブB「な、何だ? 地面から水が……」

お嬢「水流魔術」

モブC「……こっち来た、飲み込まれ……ぐおっ!!」

放送部長『これがお嬢の魔術なのか!? 吹き出した水の柱が流れ、繋りまるで流れるプールだ!!』

風来坊『少しずつ、浮いていってるな。 流水の速度も上がっていってる』

放送部長『運動場の上空に出来た水の輪。 流石、お嬢様……優雅です!!』

お嬢「召喚魔術……おいで、マーメイド」

マーメイド「Hi!」

放送部長『水の輪にマーメイドが投入されました。 次はどんな美しい技を……うげ』

ギャー、タスケテ ヤメロ、カジルナ!! ウギャーーー ヒギャーーー!!

風来坊『……マーメイドって、人を食うんだったな』

放送部長『……綺麗な水の輪が紅く染まりました。 魔術を解除すると同時に運動場に降る血の雨』

ザーザーザーザーザー

お嬢「圧倒的で……ごめんあそばせ!」フフン

メイド「血の雨の中、ドヤ顔とか……そんなんだから、友達すくねぇんすよ」

放送部長『チームモブモブ、何も出来ないうちに敗退! 水のお嬢は伊達じゃなかった!!』

【異空間・とある教室】
キモオタ「お、お嬢怖すぎ!」

出歯「お近づきになりたいとか、考えてたのが間違いでやんす」

デブ・ピザ「んだんだ」

卑怯者「怖じ気ついてしまいましたか? 召使いに仕返しするのも止めときます?」

キモオタ「なっ! 怖じ気ついてねぇし! 召使いぐらいぎったんぎったんにしてやるし!!」

出歯「……本当に力貸してくれるんでやんすよね?」

卑怯者「えぇ、勿論。 あなた方を裏切るならチームモブモブと一緒にお嬢の元に転送していますとも」

キモオタ「それも、そうか……」

「そうか、お嬢様が襲撃されたのはお前らのせいか?」

卑怯者「ほら、お目当ての方が来られましたよ」

召使い「貴様ら……覚悟は良いな?」ゴゴゴゴゴ

召使いぶっ殺し隊(こ、怖えーーーーーー!!)

アフロ「ヘイ! ベイビー達!! 気持ちで負けてちゃダメダメダゼ? レッツ ダンシング タイム!!」ズンチャ ズンチャ

召使い「何、悠長に踊って……ん?」

キモオタ「俺達なら出来る!」
出歯「うぉぉおおお! やってやるでやんす!!」
デブ・ピザ「NDA☆NDA☆」

召使い(様子がおかしい?)

卑怯者「アフロさん、ここは任せたよ」

アフロ「OK! 最強にホットでヒートなダンスで狂わしてヤルゼ☆」ダンスダンス

マスク「……喪女さん、もっと寄ってくれないと転移しにくい」

喪女「ひ、ひゃい」

卑怯者「じゃあね、召使い君」ノシ

召使い「逃がすか!」ダッ

undefined

出歯「獣化魔術!!」チュー

デブ「体重操作魔術!」フワフワ……ドスン

召使い「くっ……邪魔だ」

ピザ「硬化魔術! 鉄塊玉!!」ゴロゴロ

キモオタ「髪質変化魔術! 魅惑のサラサラヘアー!!」サラサラ

召使い「こいつら、強くなっている……キモオタ以外」

ゴスロリ「踊る阿呆に見る阿呆」

召使い「なるほど、躍りの効果と言うわけか……」

キモオタ「どうだ! これが我々の真の実力だ! 後ろの女を守りながら戦えるか?」サラサラ

召使い「守る? 何を勘違いしている」

召使い「お嬢様の従者に弱者はおらず……ゴスロリ!」

ゴスロリ「―彼の者の名は召使い」

出歯「なんっすか? その詠唱は!?」

ゴスロリ「剣を作りし者で有りながら、剣であろうとした男」

キモオタ(召使いの周りに無数のサーベル!? あんなの扱いきれないだろ)

ゴスロリ「作るは数多の剣と一太刀の業物」

召使い「……」水刀

ピザ「そんな細っこい刀じゃ、オイラは斬れな……」バッサリ

ゴスロリ「彼自身が剣なのだから」

「―斬れぬモノなど在りはしない」

放送部長『おーっと、詠唱が終わると同時に水サーベルが動き出したぞ!? これは召使いが操ってるのでしょうか?』

風来坊『いや、ゴスロリが何かしてるんだろう』

放送部長『何かとは?』

風来坊『あん? 見えない糸で操ったり……とか?』

放送部長『風来坊、勘で言ってるでしょ?』

召使い(風来坊先輩の勘はすごいな。 もっとも、単純にゴスロリが操ってるわけじゃないが)

召使い(ゴスロリは水糸で俺と水サーベルを繋げ、俺の意思で水サーベルが動くようにしてくれている)

ゴスロリ「蠢く黒き珠。 去る姿は醜悪なりて!」ユビサシ

召使い(ん? ……あぁ、アフロが逃げようとしていると言いたいのか)

召使い「仲間を見捨てて逃げるとは……この卑怯な!」ザン

キモオタ「……ぐはっ」

召使い「何!?」

キモオタ「ざ、残念、髪質変化魔術でした~」

召使い「くっ、アフロと入れ替わったのか……何故、別チームのアフロを!?」

キモオタ「俺らは召使いに仕返しさへ出来れば満足なんだよ、ベロベロバー」

召使い「……くっ! ゴスロリ、追うぞ!!」

ゴスロリ「……」コクン

【異空間・魔術学園中庭】
委員長「……くっ、ここまで……か……」バタン

ボウズ「……」ペコ

放送部長『おっと、会長なんだらしょうがない!も負けてしまいました』

風来坊『あの、ボウズとか言う1年……やりにくそうだったな』

放送部長『そりゃあ、3対1はやりにくでしょ?』

風来坊『いや、相手が3人とも女だったからだ』

風来坊 『主義なのか何なのか知らねぇが、なるべく痛さを伴わないやり方で気を失わせてたな』

放送部長『火魔術家は従者のレベルでここまで強いのか……恐るべし!』ゴクリ

風来坊『今ので何チーム目だ?』

放送部長『今ので4チームが脱落しましたので、後、1チーム脱落したら予選終了です!』

風来坊『屋上の根暗達が気になるな』

放送部長『えぇ、火の若は動かないのか……水晶で屋上を見てみましょう!』

【異空間・魔術学園屋上】
オタク・根暗「決闘(デュエル)!!」

風来坊『……何やってんだ? こいつら』

放送部長『カードゲームですね……ちょっと! 火の若、何してるんですか!?』

オタク「ややっ! その声は放送部長タソ!! 放送部長タソ、キタコレ!!」

放送部長「はーい! 歌って踊れる、学園アイドル☆ 放送部長よ♪ ……じゃなくて、何してるんですか?」

オタク「カードゲームでござるよ! 男同士の一騎打ちでござるよ!!」

根暗「や、やばい、バレた……オタク、ふざけてないで謝ろうよ」アセアセ

オタク「デュフフフ、これが拙者なりのバトル・ロワイアルでござる!」ドヤ

放送部長『あー、映して損した。 さて、どうやら、新たな戦闘が始まったようです!』

【異空間・校舎裏】
錬金部長「ふふふ、生物部長氏! 生物部長氏! ついに我々の努力の賜物を発揮する時がきましたな!!」

生物部長「錬金の、そう興奮するんじゃない。 さて、ご披露させていただこう!」

錬金部長・生物部長「これが錬金術部&生物部合同キマイラ! レンセイだ!!」

レンセイ「うにゅ!!」

脳筋「へぇ、面白そうじゃねぇか」ガハハハ

チャイナ「兎の顔にゴリラっぽい体……気持ち悪いヨ」

美術部長(人数合わせで連れてこられたけど……帰りたい)
回復部長(……帰りたい)

錬金術部「さぁ!レンセイよ!! 退魔家の連中に探究家の強さを思い知らすのだ!!」

放送部長『え~、今、召喚魔術で出しましたか?』

錬金部長「へ? いや、普通に連れてきただけだけど……」

放送部長『召喚獣って扱いなら……うーん、まだルール的にはセーフ何だけど……武器の持ち込みってレベルじゃないし』

生物部長「えっ、いや、これぐらい許してよ! 全然セーフだよ!」アセアセ

放送部長『でも、これを許したら、こいつ武器だからセーフとか5人目のチームメイト連れてきそうだし……ねぇ』

錬金部長・生物部長「……………………」ダラダラダラ

「「別に良いんじゃないですか?」」

双子兄「僕達は構いませんよ。なぁ、弟」

双子弟「こんなのに負けませんからね。 だよね、兄」

放送部長『他のチームが認めるとは限りませんが……はぁ、解りました。 この場は見逃しましょう』

美術部長「……早く帰れると思ったのに」

回復部長「残念だ」

錬金部長「さて、それでは改めて……行け! レンセイ!!」

レンセイ「うにゅうううう!!」

脳筋「ガハハハハハハ、良いだろう! 真っ向から力比べしてや……あふん」

チャイナ「弱い癖に先走るからヨ」ヤレヤレ

双子兄「さて、行こうか。 弟」

双子弟「武器化魔術、槍」

双子兄「うん、良い槍だ!」ポイッ

レンセイ「うにゅっ!?」

放送部長『槍に変化した双子弟が深々とキモキマイラの目に刺さりました!』

双子弟「武器化解除……兄!」

双子兄「行くよ。 弟」ピョン

放送部長『双子弟が武器化を解除し、跳んできた双子兄とキモイラの頭上で手を繋いだ!』

風来坊『キモイラって……止めてやれよ』

双子兄「武器化魔術、大剣」

双子弟「はぁっ!!」ザンッ

レン/セイ「」

生物部長「なっ!?」

錬金部長「こんなにも……あっさりと」ガクン

チャイナ「さっさとギブアップするヨロシ」

【魔術学園・講堂】
放送部長「ルールギリギリアウトなことをしておいてあっさりと探究家連合敗退です♪」

風来坊「お前、錬金部長と生物部長に恨みでもあんのか?」

放送部長「さて、これにて予選終了です! 本選に勝ち残ったのは……」

「世界のミカタ」
≪卑怯者、マスク、喪女、アフロ≫

「筋肉最強説」
≪双子兄、双子弟、チャイナ、脳筋≫

「お嬢wish親衛隊」
≪お嬢、メイド、召使い、ゴスロリ≫

「火ノ鳥」
≪オタク、根暗、優等生、ボウズ≫

放送部長「さて、風来坊。 ここまでの感想は?」

風来坊「四大元素家とその従者が強いってのは解ってたが……圧倒的だったな」

放送部長「お嬢、優等生、ボウズは一人で1チームを倒したからね」フムフム

風来坊「倒したね……倒させられた、とも捉えられるが」

放送部長「立回りが上手いヤツがいたってこと?」

風来坊「後、単純に気になるのは双子だな。 さっきのキマイラ、見た目はふざけてたが機能は悪くねぇみたいだしよ」

放送部長「なるほど、各陣営の立回りと双子のコンビネーションに期待ってことね☆ では、本選まで10分の休憩です♪」

【魔術学園・火ノ鳥控え室】
優等生「若~~~~!!」ゴゴゴゴゴ

オタク「悪かったでござる! 悪かったでござるよ!!」

優等生「そのふざけたござる口調を止めてください!!」

根暗「ぼ、ボウズ君……大丈夫? 痛く無かった?」オロオロ

ボウズ「自分、丈夫なんで」

優等生「……若、屋上に陣取られたのは?」

オタク「お嬢の水魔術に巻き込まれない為だ。 本気を出したら、2階ぐらいまで水没させかねん」

根暗「お、お嬢さんってあんなに強かったんだ……」アワワ

オタク「お嬢は強いよ……魔術も在り方も」

優等生「若……」

根暗「オ、オタクも強いよ。 そのカードゲームとか」アセアセ

ボウズ「……今度、やり方教えてください」

オタク「デュフフ、二人ともありがとうな」

優等生(悔しいが認めんといかんな。 根暗は若の支えとなっていると)ハァ

【魔術学園・お嬢wish親衛隊控え室】
メイド「……ゴスロリ、そこを降りるっす」

ゴスロリ「労働者ならば対価を求よ。 懐ではなく心を満たす対価を」チョコン

召使い「まぁ、良いじゃないかメイド」

メイド「なに鼻の下伸ばしてるんっすか? 女の子に座られてご満悦っすか? えぇ!?」

召使い「な、何でそんなに怒ってるんだよ」

お嬢「ふふふ、随分仲良くなったのね」

召使い「えぇ、今日まで一緒に鍛練してきましたからね。 妹のように思えて」ナデナデ

ゴスロリ「我が言に耳を傾けし者多かれど、その真意を慮る者少なし」

メイド「何言ってるかさっぱりっす」

召使い「メイド、今のは解りやすかったぞ」

お嬢が「ゴスロリ語の中でも簡単な部類ですわね」

メイド「ゴスロリ語ってなんっすか?」

【魔術学園・筋肉最強説】
脳筋「ガハハハ、流石俺だ! 本選に上がれるとはな!!」

チャイナ「いや、脳筋は普通にやられてたアルよ」

脳筋「そんな、過去のことは忘れた!!」

チャイナ「はぁ、図体に対して搭載されてる脳のバランスがおかしいネ」

脳筋「ん? つまり俺の筋肉が今日もキれてるってことか?」

チャイナ「……双子共、本当に勝てるあるか?」

双子兄「大丈夫だよ、チャイナ先輩」

双子弟「兄と僕のコンビネーションに勝てるヤツなんかいないさ」

【魔術学園・世界のミカタ】
マスク「……ねぇ、喪女ちゃん。 風邪薬か何か無い?」ゴホゴホ

喪女「ひゃ、ひゃい! その調合したら、あの……待っててほしです」オロオロ

マスク「いや、調合しないと無いなら良いや」ダラーン

卑怯者「俺達が逃げた時の召使いに顔見たか? あれは傑作だった! 気分良いわ、強いヤツを陥れんの気分良いわ」

アフロ「HAHAHA! 性格悪いな卑怯者!! あんたのそういうところ、嫌いじゃないゼ☆」

マスク「卑怯者君、次はどんな手で行くの?」

卑怯者「個人戦だったらプランA、団体戦だったらプランBだ」

マスク「ん、解った」

喪女「じ、準備しとくです」アセアセ

アフロ「どっちの作戦でも踊るだけ! ハッ、ご機嫌だゼ☆」

放送部長『参加者は異空間の中に戻ってください』

アフロ「ヘイ! 喪女! 一緒に踊りながら登場するとかどうだい?」ズンチャズンチャ

喪女「こ、こうです?」ズンチャ……ズンチャ

マスク「勝てるかな? 卑怯者君」

卑怯者「勝ってやるよ、卑怯な手でも何でも使ってな」

【異空間・闘技場】
放送部長『はい! ということで本選スタートです☆ 此処からはトーナメント方式です!』

風来坊『で、準決勝の組み合わせはどうなってんだよ?』

放送部長『急かさないの♪ 準決勝、第1試合は』

『お嬢wish親衛隊vs世界のミカタ』

風来坊『ということは、第2試合は』

『火ノ鳥vs筋肉最強説』

放送部長『では、火ノ鳥と筋肉最強説はまた一旦控え室に戻ってください☆』

召使い「我々の敵は奴らか……」

メイド「油断なら無いっすね」

ゴスロリ「策を労するのを弱さとなじるか? いや、ならば戦場に立つべからず」

お嬢「堂々と勝たせていただきますわ!」オーホホホホ

卑怯者「気に入らねぇな」ボソッ

喪女「ほ、本当にやるんですか?」

マスク「うん、やるよ。 だから、その瓶貸して」ゴホゴホ

アフロ「ハッ! 本当にあんたら最低だな!!」

卑怯者「最低でも何でも良いんだよ」

放送部長『戦闘方式は1対1の勝ち抜き戦です!』

風来坊『上手くやりゃあ、戦力を温存できるってわけだな』

放送部長『各チーム、一人目の選手を前へ!』

召使い「それでは、お嬢様……行ってまいります」

ゴスロリ「世は年功序列ならば、自ずと出番は決まるもの」

召使い「……解った、先にいけ」

ゴスロリ「……」コクン

お嬢「ゴスロリ! 頑張るのですわ」

『お嬢wish親衛隊は1-Aゴスロリが先陣をきるようです』

卑怯者「では、手筈通りに……アフロさん、満足行くまでやってこい」

アフロ「言ってくれるじゃないの? 腰が動かなくなるまで踊ってくるゼ☆ ヒャッハーーーーー!!」

『世界のミカタからは3-Aアフロが出てきたぞ』

放送部長『それでは、試合……開始!』

アフロ「踊るぜ! レッツ ダンシング タイム!!」ズンチャズンチャ

放送部長『おっと、アフロ踊りだした』

ゴスロリ「……」

アフロ「イャアッハーーーーーー!!」ズンチャズンチャ

ゴスロリ「……」

アフロ「まだまだ行くゼ☆」ズンチャズンチャ

ゴスロリ「……」

放送部長『いや、戦えよ!』

風来坊『アフロはダンスで魔術を使うからな。 警戒してゴスロリも手を出せねぇんだろ』

放送部長『それにしてもシュールです!踊るアフロに見つめるゴスロリ……アフロが踊り疲れるまで状況が変わらない気がしてきました!』

召使い(ゴスロリの水糸魔術は周りに有るものと相手を結んで拘束する魔術……辺りに何も無い状況は不利か)

ゴスロリ「―彼の者の名は執事」

メイド・召使い「!?」

お嬢「使うのですわね、水糸魔術の真骨頂を……」

「仕える者にして、導き者であった」

「今やその身は滅び、今やその心は召されてもその意思は受け継がれる」

「溢れるは水の性、溢れた水は次の器に……我、その器となりて偉大なる祖父の意思を継ぐものなり」

放送部長『何だ! ゴスロリの隣に老人を模っした人形が現れたぞ!?』

お嬢「水糸魔術、傀儡操作……ふふ、本当にお爺ちゃんっ娘ですわね」グス

アフロ「戦う準備が出来たのかい? こっちは準備バン☆タンさ!」

放送部長『いや、あんた踊ってただけでしょ?』

風来坊『……おい、アフロの足元見てみろ!?』

放送部長『あれは……足跡が円上に残って……まさか!?』

風来坊『知ってるのか? 放送部長』

放送部長『あれは魔方陣の亜種、円符陣……楽譜を模した円上の魔方陣で……精霊を呼び寄せる』ゴクリ

風来坊『精霊だ?』

放送部長『精霊、それは……えっと、何か……こう……』

風来坊『解らないのか?』

放送部長『こんなこともあろうかと、さっきの休憩の間に彼を拉致ってきました☆』

秀才『離せ! この縄を解け!!』

放送部長『学園一博識な生徒、秀才君です☆』パチパチ

秀才『普通に依頼してくだされば引き受けましたよ……全く』

風来坊『で、秀才よぉ、精霊ってなんだ?』

秀才『簡単に言ってしまえば、空気中に漂ってる魔力の化身……ですね』

風来坊『……あん?』

秀才『空気中に漂ってる魔力が濃縮されて、形を持ったエネルギー体です』

風来坊『使い魔とどう違うんだ?』

秀才『実体は無いので使い魔のように戦わせることは出来ません』

風来坊『あん?』

放送部長『なるほど、あくまで空気中の魔力が視覚化されたモノってことね』

秀才『その認識で間違いありません』

風来坊『そんなモン、呼び寄せて何するつもりだ?』

秀才『恐らく、予選で見せた強化魔術もその精霊によるものかと……』

アフロ「イクゼ☆ 精霊憑依魔術! ウィンディーネ!!」ビューン

ゴスロリ「荒狂う大気、2体の龍現れん!?」
(アフロの周りに竜巻が2つ現れた!?)

アフロ「ツインハリケーン! レディ ゴー!!」

ゴスロリ「祖父の杖は風おも断つ!」

放送部長『ちゃんと戦闘になって安心している放送部長です! 』

風来坊『なるほどな、精霊のエネルギーを自分の中に取り込んだわけか』

秀才『それにしても驚くべきは2つの竜巻とアフロ先輩の攻撃に傀儡1つで対処してるゴスロリさんですね』

風来坊『対処しているねぇ……』

風来坊(アフロは手を抜いてるように見えるが……)

アフロ(……卑怯者、そろそろいいかい?)チラッ

卑怯者「……」コクン

アフロ「ソーリー ガール! 楽しいダンスは此処までだ☆」

メイド「風が……アフロの脚に集まっていくっす」

アフロ「局部憑依! ウィンディーネの美脚!!」

ゴスロリ「……あ」ガシャン

放送部長『鋭い足技! まるでレイピアかのような突きの一撃がゴスロリの傀儡を貫いた!!』

アフロ「ヘイ、ベイビィー? 可愛いガールを蹴るなんてダンサーとして出来ないゼ☆ ここでギブアップしてくれないか?」

ゴスロリ「おじい……ちゃん」ポロポロ

アフロ「……大事なモノなら戦場に持ち込んじゃいけねぇゼ?」

ゴスロリ「……」

アフロ「心、此処に有らずか……仕方無いが、トドメダ☆」アシアゲ

パシッ

アフロ「……手袋? 決闘の申しでなんて古風じゃないか……召使い」ギロリ

召使い「ゴスロリ、泣くな」

ゴスロリ「……召使い」ポロポロ

召使い「アフロ先輩の言い分が正しい。 紳士の孫である君がそんな取り乱し方をしてはいけない」

召使い「淑女は優雅であるべきだ」ニコ

アフロ「HAHAHA! 決着に割り込んだお前が言うのか? 滑稽だゼ!!」

召使い「悪いな、柄の悪い生まれなもんで」

召使い「こういう時に怒れねぇなら、紳士になんかなりたく無い」ギロ

アフロ「嫌いじゃないぜ? テメェみたいなヤツ! 上がって来いよ、召使い!!」

召使い「申し訳ないが……100%の逆恨みで切り伏せさせてもらう」

放送部長『えー、司会進行の私を無視して盛り上がっております! 学園アイドル舐めんなよ!!』

風来坊『野暮なこと言ってんじゃねぇよ……次はアフロVS召使いか』

放送部長『では、召使い前に出てください☆』

秀才『連戦なんですね?』

風来坊『アフロにとっては有り難いだろうな。 もう一度精霊を呼ぶのもリスクが高い』

秀才『憑依魔術を使う前に倒されかねませんからね』

放送部長『それでは試合開始♪』

アフロ「最初から全力で行くゼ☆ オラオラオラオラ!!」

召使い「くっ!」ガキンガキン

放送部長『アフロ選手! 猛烈な蹴りのラッシュ……召使い、水のサーベルで受けていきます!!』

風来坊『水のサーベルで斬れないってことは憑依魔術の効果には肉体硬化も含まれてるってことか?』

秀才『予選を見たところ、魔術の質も上昇させれるみたいなので……総合強化と言っても過言ではないかと』

放送部長『何それチート!』

秀才『円符陣を描き、精霊を呼び寄せるのにタイムラグがあるのが難点ですが……一度憑依させたら破るのは難しそうですね』

召使い(水刀なら斬れそうだが……)

アフロ「刀は作らせないゼ?」

召使い「!?」

アフロ「予選でサーベルは一瞬で作ったのに、刀は少し時間がかかってたからな」

召使い「……くっ、やはり情報収集が目的だったか」

アフロ「HAHAHA、意気揚々と出てきたのに残念だったな召☆使☆い!!」

召使い「―我が名は召使い」

アフロ「What!?」

召使い「剣を作りし者で有りながら、剣であろうとした男」

アフロ「HAHAHA、その技はゴスロリがいないと使えないんだろ? 知ってるゼ」

放送部長『これはハッタリでしょうか?』

秀才『いや、召使いはそんなに賢くない』

放送部長『酷い!?』

秀才『あいつは馬鹿が付くほど真っ直ぐな男だ』キリ

「作るは2本の剣なれど、その剣は鍛え上げられ1対の業物に成る」

アフロ(……サーベルと腕が同化していっているのか?)

「我自身が剣なのだから」

「―斬れぬモノなど在りはしない」

アフロ「局部憑依! ウィンディーネの美脚!!」

召使い「水手甲剣!!」

シーーーーン

アフロ「俺の攻撃を受けながら、武器を強化か……器用なもんだぜ」

召使い「貴方が俺の弱点を教えてくれた。 だから、改善できたんだ」

「ありがとうございました」

アフロ「HAHAHA! 流石に踊り……疲れたゼ……Good Bye」バタン

放送部長『勝者、召使い!!』

風来坊『やるじゃねぇか、あいつ』

秀才『召使いの潜在能力は侮れない。 後、単純であるが故に敵の言葉でも吸収して力に出来る』

メイド「おぉ、お嬢、これは褒美を取らせないとっすね」

お嬢「……」フラフラ

メイド「……お嬢?」

放送部長『さて、これで3対3です! 世界のミカタ、次は誰が出ますか?』

喪女「わた、わたたたしが……」アタフタ

召使い「悪いが、女だからと言って手加減は出来ないぞ?」

放送部長『1-Aの喪女、どのような戦いをみせるのでしょうか?』

マスク「……上手くいくかな?」

卑怯者「あぁ、問題ない。 メイドは戦えないみたいだから、実質3対2だ」

卑怯者「いや、そろそろ効いてきたころか? 水のお嬢様」ニヤ

お嬢(胃がキリキリと痛みますわ。 頭も……視界もぼやけて……)

喪女「え、液体操作魔術!」シャア

放送部長『喪女、瓶から取り出した液体を操り召使いを攻撃しますが……』

召使い「遅いな、それで全力か?」ヒョイヒョイ

風来坊『戦い慣れてねぇみたいだが、 喪女は退魔家の人間なのか?』

放送部長『いえ、喪女は魔法薬を研究する一族の出身のはずですが……えーっ、人数合わせみたいですね』

喪女「はひっ、はひっ、魔術なんて普段……使わないから……はひっ……うっ!」コテン

召使い「もういい、休め」

秀才『召使いが申し訳なさそうな気を失わせましたね』

放送部長『さ、さて! 気を取り直して次の試合にいきましょう! 世界のミカタ、次は! ハーリー ハーリー!!』

マスク「じゃあ、言ってくるね」ゴホゴホ

卑怯者「あぁ、頼んだ」

放送部長『2-Aマスクの登場だ! 咳をしているか大丈夫か?』

召使い「……良く解らないチームだな。 アフロ先輩のように強い人がいたり、喪女のように非戦闘員がいたり」

マスク「適材適所……って言うやつだよ。 強いだけじゃ、僕等には勝てない」ゴホゴホ

召使い「勝てないか……試してみるか?」水刀

マスク「その前にルールを確認したいんだけど良いかな?」

放送部長『はいはーい、どうされました?』

マスク「気を失ったらそっちの世界に戻り、殺されてもそっちの世界に戻るだけ……つまりはそっち側に戻されたら敗けってことで良いの?」

放送部長『へ? まぁ、その認識で正しいですよ』

マスク「そう、解った」

「―転移魔術」

召使い「なっ!?」

風来坊『いきなり召使いの足元に魔方陣が現れた!?』

秀才『……喪女が液体操作で予め描いておいたのか!?』

【魔術学園・講堂】
シュン

召使い「……」

マスク「はい、君と僕……両者現実世界に戻ってしまった為引き分け」

召使い「ひ、卑怯な!?」

マスク「ルール的に問題ある?」

放送部長「……問題あると言わさない為に言質取ったわけね」

風来坊「……へっ、気に入らねぇ」

放送部長「さて、異空間に残るは卑怯者とお嬢、メイド。 今だ、お嬢wish親衛隊の優勢は変わりませんが……」

バタン

召使い「……お嬢…様」

【異空間】
卑怯者「おやおや? お嬢様、どうされました? 体調不良ですかぁ?」

お嬢「……はぁはぁ、見事ですわ」

卑怯者「あん?」

お嬢「アフロ先輩が時間を稼いでいる間に私の体内に転移魔術で毒を送りつけましたのね」フフ

卑怯者「さぁてね、そんな酷いことしちゃいませんよ」ヒヒヒ

お嬢「ふふふ、とぼけるなんて……可愛い、お方…ですわ……ね」

卑怯者「ハハハハハハ、水のお嬢様が倒れた! 運が良いね! 最高だ!!」

放送部長『え―、お嬢様が言ったことが本当なら流石に反則敗けなのですが……』

卑怯者「俺等が毒を盛った証拠があるのか?」

風来坊『そんなもん、お嬢の体を調べたら出てくるんじゃねぇか?』

秀才『無駄です。 異空間で死んで此方に戻ってきた時に毒も消失してしまっています』

卑怯者「しかし、水のお嬢様も酷いもんだ! 自分の体調不良を人のせいにするなんてな!! 四大元素家の誇りってもんがねぇのk」

「黙れ」

メイド「お前がお嬢を語るんじゃねぇっすよ」ゴゴゴゴゴ

卑怯者「ヒヒヒヒヒ! おっかないね、メイドちゃん。 ところで、あんた戦えるのかい?」

放送部長『さて、本試合最後の戦いは2-Aの卑怯者VS2-Dのメイド! この悪魔的な男にメイドはどう太刀打ちするのか!?』

卑怯者「悪魔的? 酷いこと言うな、正々堂々がもっとうな俺には似合わない」

メイド「そうっすね、あんたみたいな小悪党には似合わない」

卑怯者「強がるなよメイド、召使いとお嬢様の後ろに隠れていただけのヤツが何ができr」

メイド「……」ビキビキ

放送部長『メイドの決め細かな皮膚にヒビが! 皮膚がドンドン剥がれていく……グロい!』

メイド「卑怯者、あんたは簡単には殺さない。 お嬢へしたこと洗いざらい喋るまで……生かし続けてやるっすよ」ドロドロ

放送部長『皮膚が捲れたところに黒い泥のようなモノが!?』

風来坊『泥が新しい皮膚になっていくな……』

秀才『……これが悪魔化術』ボソ

放送部長(何で悪魔化術を知ってるの!?)

卑怯者「ば、化け物……」ガクブル

メイド「化け物?」クス

メイド「お嬢の誇りを守るためなら、化け物にでも何でもなってやる」

―ずっと、一人だった

暗い地下の部屋が私の全て

物心ついた時にはこの地下室にいた

悪魔を体に植付けられた少女の人生などこんなモノだろう

何も求めていなかった

幸せが幻想だって知っていた

悪魔が「人」生を謳歌しようなんて滑稽だ

「そうやって諦めますの?」

―へ?

「私は諦めませんわ、貴女の人生を!」オーホホホホ

メイド「さて、何度目の死っすかね?」

卑怯者「あ……あぁ、もう、殺して……」

メイド「嫌っすよ」クス

卑怯者「ひぎゃっ!?」

放送部長『大変、グロテクスな映像を流して申し訳ありません。 ついに卑怯者、だるまにされてしまいました』

風来坊『手足を千切り取られてんのにまだ気を失わねぇか』

秀才『気を失わせないようにしているんでしょうけどね』ウプッ

メイド「次は心臓を潰して見るっすよ。 大丈夫、私の泥で代用品作ってあげるっすから♪」

放送部長『それにしても、あの泥は何なのでしょうか? 卑怯者の傷口にこびりついて、出血を防いでいるようですが』

秀才『流石に解りませんが……心臓の代用品まで作れるとは』

風来坊『そんな話してるうちに、メイドが心臓抉り出したぞ?』

秀才『……すいません、吐いてきます』ウプッ

卑怯者「や、やめて……お願い、止め……」

メイド「生きたまま心臓を抉られる気分はどうっすか? ゆっくり、ちゃんと感じれるように握り潰してあげるっすからね」クスクスクスクスクスクククス

卑怯者「解った! お嬢様の言う通りだ!! 毒を盛った!! 俺の指示で全部やらせた!!」

メイド「ちゃんと言えて偉いっすね。 ほら、御褒美っす」ブシャ

放送部長『し、心臓を握り潰したーーーーーー! 恐ろしい! 悪魔的な男では悪魔な女には勝てなかった!!』

『決勝への切符を手に入れたのはお嬢wish親衛隊!!』

【魔術学園・お嬢with親衛隊控え室】
お嬢「メイド、やり過ぎですわよ」

メイド「うるせぇっす。 主なら従者の沸点ぐらい理解しとくっすよ」

ゴスロリ「……♪」フキフキ

召使い「良かったな、異空間から出たら傀儡も直って」

ゴスロリ「うん♪ ありがとう、召使い!!」ニパー

お嬢・メイド・召使い「……」

ゴスロリ「あっ……。 傀儡に委ねる心は壊れやすく、壊れやすいならば直すのもまたやすし」

メイド「普通に喋れるんじゃないっすか!!」

【異空間・闘技場】
『それでは準決勝第2試合を始めます! ルールは第1試合と同じ勝抜き戦です☆』

優等生「本当によろしいんですか?」

オタク「あぁ、優等生もボウズも予選でその実力を示してくれたからな。 ならば、次は俺自身が示す番だ!」キリ

根暗「オタク、頑張ってね」

オタク「火の若、オタク……悪いが4人抜きさせていただこう!!」

放送部長『おーっと、最初から火の若が登場だ! しかも、4人抜き宣言!!』

オタク「4人抜きって……何だかエロいでござるな」デュフフフ

放送部長『黙れ!!』

秀才『あれはオタクなりの照れ隠しですね』

オタク「ちょっ! 秀才言うなし! それ、言うなし!!」

放送部長『対する筋肉最強説は誰が出るのか……おや?』

双子兄・弟「……」ズーン

チャイナ「しっかりするよ! やる前からだらしないね!!」

双子兄「だって、一対一とか聞いてないし……なぁ、弟」

双子弟「コンビネーションとか、連携技とか使えないし……だよね、兄」

チャイナ「全く、コイツらは……」ワナワナ

放送部長『戦う前からお通夜ムードだ!!』

脳筋「だらしないな! 俺が行ってくるから、自分達の番が来るまでに覚悟を決めておけよ!!」

チャイナ「初めてあんたがチームにいて良かったと思ったあるよ」

放送部長『筋肉最強説の先陣をきるのは3-C脳筋だ』

脳筋「ガハハハハ、待たせて申し訳なかったな。 火の若様」

オタク「脳筋先輩、正々堂々やり合いましょう」

脳筋「おうともさ! 肉体強化魔術の真髄……特と味わって貰おう!!」ムキムキ

放送部長『それでは、試合開始です☆』

脳筋「おぉ! キレてきた! キレてきた! 俺の筋肉が最強にキレてきた!!」ムキムキ

オタク(まずは牽制で……)

オタク「火球魔術!」ボンッ

放送部長『火の若、ドンドン筋肉がキレていっている脳筋に火球を放つ!!』

風来坊『とりあえず、様子見の一撃と言ったところか?』

脳筋「!?」

放送部長『脳筋、避けずに顔面で受け止める。 ……受け止めた、んだよね?』

風来坊『……いや、肉体強化魔術に夢中で避けれなかったようにも見えるが』

脳筋「ガハハハハ、そうか。 これが火の若の実力か」

オタク(ただの牽制なんだけどな……)

脳筋「最初の一撃から手を抜かないとは……流石、火の……若…………だ」バタン

オタク(思いっきり手を抜いてたんだけど!?)

放送部長『試合終了! どう考えても初級火魔術であっさりと脳筋敗北!! 弱すぎる!!』

オタク「……あ、あれでござる!」アセ

放送部長『どうしました? 火の若様』

オタク「今の火球は実は初級魔術に見せ掛けた、高威力魔術でだな……その」

秀才『なるほど、初級魔術に見せ掛けて相手を油断させる作戦だったわけだな!』ヤレヤレ

オタク「そう! 流石秀才! だから、脳筋先輩は見事に俺の罠にはまって負けたわけでござる!!」デュフフフ

放送部長『いや、何、敵を庇ってるんですか? とりあえず、筋肉最強説は次の選手を出してください』

チャイナ「次は私が行ってくるから、その間に覚悟を決めておくよろし」

双子兄・弟「……はい」ズーン

放送部長『次は2-Bのチャイナが火の若に挑むようだ』

チャイナ「まさか、同じクラスに火の若様がいたとは……驚きある」

オタク「黙っていて悪かったな」

チャイナ「別にいいよ。 そんなことより、退魔家の頂点に立つと言われた火魔術家の技……楽しませてもらうね」

オタク「おう! 行くぞ、チャイナ殿」

チャイナ「……オタク口調が抜けきってないあるよ」

オタク「デュフフフ、長く演じ過ぎたでござるよ」

放送部長『それでは、試合開始です!』

チャイナ「アイヤ!!」ダッ

放送部長『開幕と同時に飛び膝蹴り!』

風来坊『中々、動きするじゃねぇか』ウズウズ

秀才『オタクもちゃんと反応して受け止めましたね』

チャイナ「やるあるな。 でも、何でもかんでも受ければ良いというものじゃ無いね」ダッ

放送部長『激しい打ち合い! 距離を取ってチャイナが再度飛び膝蹴り!!』

オタク「ぐっ!!」ヨロ

秀才『先程は受け止めたオタクがよろめいた!?』

風来坊『……オタクの肉体強化魔術の効きが腕だけ悪くなっているみてぇだな?』

秀才『もしかして、魔流疾患!?』

放送部長『魔流疾患? それはどんな魔術なの?』

秀才『魔術の名前ではなく、症状の名前です。 魔力の流れが悪くなって、症状が悪くなると魔術を放てなくなります』

放送部長『つまり、若様の腕の魔力の流れが悪くなって肉体強化魔術の効きが悪くなったと』

秀才『……オタクは何時も魔術を手から放ってました』

風来坊『肉体強化魔術以外の火魔術も使えなくなったということか?』

秀才『使えなくなったとまでは……だだ、威力は激減してるかと』

チャイナ「これが我が一族に伝わる魔封じの拳法……流岩魔拳ある!!」ドヤ

オタク「……なるほど、そういうことか」ボォォオ

放送部長『若様がいきなり自分の腕を燃やし始めました!?』

チャイナ「な、何してるあるか?」

オタク「チャイナは攻撃と同時に魔力で作った薄い板を相手の中に押し込んでるんだろ?」

チャイナ「なっ!?」

オタク「その板があるせいで、魔力の流れが悪くなるなら……板を燃やして仕舞えば良い」

チャイナ「どうして気づけたあるか?」

オタク「拙者、敏感でござるからな~、挿入されたら感じちゃうのでござるよ」デュフフフ

チャイナ「ふざけるなッ!!」ダッ

オタク「……」

放送部長『若様の指に火が灯っていきます』

オタク「だが、それが答えだ。 自身の体の変化に素早く反応する……それも退魔家に必要なスキルだ」

オタク「火魔術家奥義……火爪!!」

チャイナ「……ッ!!」バタン

放送部長『決着! ようやく、火魔術家次期当主の実力の片鱗が見えました』

風来坊『まだまだこんなもんじゃ無いだろうがな……』

放送部長『さて、筋肉最強説は残り2名……どちらが先に出ます?』

双子兄「弟……僕が先に行ってくるよ」
双子弟「兄……ここは僕が先に行ってくる」

双子兄「お前は僕が負けたら降参でも何でもしろ! 解ったな!!」
双子弟「兄こそ、僕が負けたら降参したら良いよ!!」

放送部長『良いからさっさと決めてください』

オタク「あの~、放送部長タソ。 二人同時じゃ駄目でござるか?」

放送部長『ファッ!?』

双子兄弟「へ?」

オタク「俺は火魔術家次期当主としての在り方を示すためにここに来た。 ならば、相手の土俵で戦って勝たなければ示せないだろう」

放送部長『……う~ん、その代わり、若様が負けて次の選手になっても双子と2対1で戦ってもらいますよ?』

オタク「だとさ。 問題ないな!!」

優等生・ボウズ「はっ!」
根暗「……えぇ…」

放送部長『一人嫌そうですが……解りました! 次の試合は1年の双子兄弟VSオタクです!!』

双子兄弟「あ、あの……オタク先輩」

オタク「いやはや、二人とも、拙者の我が儘で急なルール変更かたじけない」ペコ

双子兄弟「……へ?」

オタク「存分に競い合おう! 火の若は逃げん!!」

双子兄「……ははは、お人好しってこういう人のことを言うんだと思うよ、弟」

双子弟「これは此方も全力でいかせてもらうしかないね、兄」

双子兄弟「我等、武器化魔術家の双子兄弟! 存分にその技お見せいたします!!」

優等生「全く、若は困ったお方だ」フゥ

根暗(優等生君、すごく嬉しそう)

放送部長『それでは試合開始でーす♪』

双子弟「武器化魔術、鎖鎌!!」

双子兄「はっ!そいや!!」

放送部長『鎖鎌に変化した弟を使い果敢に攻めろ双子兄! オタク、何とかこれをかわしていきます』

オタク「あー、拙者も武器とか持ってきたら良かったでござる」ボォォオ

放送部長『火を噴出した勢いで距離を取る!』

風来坊『鎖を回して噴出された火を防いでいる双子兄の腕も対したモノだな』

双子兄「距離を取っても無駄です!」シュッ

オタク「おっと!」

放送部長『双子兄が投げた鎌を避けた若様……というより双子兄、十分強いじゃん!』

双子弟「武器化魔術、解除」
双子兄「武器化魔術、大鎌」

オタク「なっ!?」

双子弟「背後、貰いましたよ! おりゃ!!」

オタク「くっ!」ザン

双子兄「武器化魔術、解除」
双子弟「武器化魔術、金棒」

双子兄「ふん!」ブンッ

オタク「なっ、速い!」ゴンッ

秀才『避けきれなくなってきましたね……確かに速いですが……』

風来坊『それだけじゃねぇな。 火の若の死角をついて上手く武器化魔術を使ったり解いたりしてやがる』

秀才『オタクの体感では更に速く感じるってことですか』

オタク「はぁはぁ……火球魔術、火球連弾!!」ボンッボンッボンッ

放送部長『接近戦は分が悪いと思ったのか、距離を取って火球を連続で放つ……が!』

双子弟「武器化魔術、盾」

オタク「くっ、防ぎきられたか」ボォォオ

秀才(盾を壊す為により威力の高い火球を作ってるのか?)

双子兄「武器化魔術、クロスボウ」
双子弟「武器化魔術、解除」ビュン

オタク「ッ!?」

放送部長『若様の肩に深々と矢が刺さった! 阿吽の呼吸で相手の求める武器に変化する双子……恐るべし!!』

オタク「……強いな、ここまで強いか」ハァハァ

双子兄弟「今更、二人同時に相手するって言ったのを後悔しても遅いですよ?」

オタク「後悔なんてするわけがないだろう?」

オタク「―たまに不安になる」

「四大元素家だけが魔術社会を守ろうとしてるんじゃないかって」

「四大元素家だけがその為に強くあろうとしてるんじゃないかって」

「でも、見てみろ? お前らの鎌は俺の頬に傷を付け! その金棒は腕にアダを作り、その矢は俺の肩を貫いた!!」

「正直、四大元素家だけの力でこれからの魔術社会を守っていくのは限度があると思っていた」

オタク「だから、双子兄弟! お前達の力強さが俺は嬉しい!!」

双子兄弟「……」///

オタク「俺は火魔術家の次期当主としての在り方を示すためにここに来た」

オタク「先に言った通り、魔術社会を四大元素家だけで守るのには限界がある」

オタク「だから、力を貸して欲しい!」

オタク「この戦いを見ている賢き友よ」

秀才(……)

オタク「この戦いを見ている優しき友よ」

根暗(……オタク)

オタク「この戦いを見ている全ての魔術師よ」

オタク「俺が火の若だ!」ボォォォォォォォオオオ

オタク「皆がついてくるに足る男だと、この場で証明させていただく!!」

放送部長『若様を中心に激しい炎の渦! 炎の渦が若様の体に吸い込まれて行くように見えます!!』

秀才『オタクの体に紋章のようなモノが浮き上がって……まさか!?』

風来坊『お前、何でも知ってんな』

放送部長『で、あの紋章は何なの?』

秀才『あれは恐らく概念武装だと思われます』

放送部長『概念武装?』

秀才『自分の体に紋章を刻み込み、その紋章のモチーフとなったモノの概念……性質を得る魔術です』

風来坊『あん? その説明だと獣化魔術の劣化版みたいだな』

秀才『一般的な使い方としては自分の力だけで獣化魔術が使えない魔術師が紋章の力を借りて簡易的に獣化する……というものなのですが』

放送部長『若様の概念武装はどう特殊なの?』

秀才『獣化魔術では到達出来ない次元の存在をモチーフにしている点です』

秀才『オタクがモチーフにしているのは……不死鳥』

オタク「もう少し、お前達との競い合いを楽しみたいとも思っていたんだが……悪いな、この姿は長く保てないんだ」ボォォオ

双子兄(オタク先輩……いや、若様の回りに無数の火の羽根が……)

双子弟「武器化魔術、盾」

オタク「炎鳥魔術、炎羽」

放送部長『無数の火の羽根が盾に刺さった! 盾が勢いよく燃え上がる!!』

双子兄「なっ! 消えろ! 消えろ!!」

オタク「不死鳥の火はそう簡単には消えんさ」

双子兄「……弟、武器化解除……出来ないよね?」

双子弟「……解除したら、火に耐えきれそうに無いよ」

オタク「一人でも戦う術を身に付けるべきだな」

双子兄「ひっ! 部分武器化魔術、太刀!!」

オタク「炎鳥魔術、火爪!!」ザン

双子兄「」バタン

オタク「誇れ、双子兄弟。 お前達は火の若に本気を出させたんだ」

放送部長『決着! 本当に4人抜きを成し遂げました!! 決勝戦はお嬢with親衛隊VS火ノ鳥です!!』

放送部長『決勝戦はお昼休みの後! 皆さん、お見逃しの無いように!!』

【魔術学園・食堂】
「ねぇ、召使い君! 良かったら一緒に食べよ」「さっきの試合すごくかっこ良かったよ!」「ここ、座っても良いかな?」

召使い「いや、悪い。 先約が……」

メイド「……」

「あっ……メイドさん」

ヒソヒソ
「さっきの試合見た?」「心臓抉って笑ってたよ」「本物の悪魔みたいだったね」

メイド「召使い、私は別のところで食べてくるっす」スタ

召使い「座れ」ガシッ

メイド「……化け物と一緒にいたら折角のモテ期がどっか行っちゃうっすよ?」ツーン

召使い「お前と一緒にいれなくなるなら、モテ期などいらん」

メイド「……そういう言葉を吐くのは女心を理解してからにするっす」

ゴスロリ「満たすべきは心。 食事
とは欲ではなく楽を突き詰めるべき行為なり」

召使い「あぁ、ゴスロリも一緒に食べよう」

【魔術学園・火ノ鳥控え室】
優等生「……」ギロ

根暗「……」オロオロ

秀才「……」ギロ

ボウズ「……」パクパク

根暗(オタクが何処かに行っちゃいました……)ショボーン

優等生「何故、秀才が我々の食事に参加している」

秀才「オタクに賢き友と呼ばれたからな……挨拶に来ただけさ」

優等生「賢き友? 自意識過剰なんじゃないか?」

秀才「少なくとも君の忘却薬に対処する程度には賢いつもりだが?」

優等生「なっ!? 貴様、あの時の記憶があるのか!?」

秀才「あぁ、君が慢心して色々話してくれたお陰で真実に近付けたよ」ククク

優等生「……秀才」ゴゴゴゴゴ

根暗(オタク……戻ってきて……)

【屋上】
お嬢「二人で食事をとるなんて……久しぶりですわね」

オタク「あぁ、そうだな」

お嬢「先程の若様の言葉に共感する部分はありましたわ」

オタク「……」

お嬢「それでも大衆の面前で火の若たる貴方が発して良い言ではございません」

お嬢「水のお嬢は水のお嬢で」

お嬢「火の若は火の若で」

「四大元素家は四大元素家であり続けなければならないのですわ」

オタク「……第一級魔術家は第一級魔術家であり続けなければいけないのか?」

お嬢「そう……ですわ」ギリ

オタク「お嬢の考えは解った。 また、決勝戦で」

お嬢「えぇ、また決勝戦で」

【お嬢with親衛隊控え室】
メイド「3人で食べるなら食堂なんか行かずに此処ですましたら良かったんすよ」

召使い「仕方がないだろ? どうしても、カツカレーが食べたかったんだから」

メイド「そういう験担ぎ好きっすね、バカっぽい」

召使い「うるさい!」///

ガチャ

お嬢「戻りましたわ」

召使い・メイド「おかえりなさいませ、お嬢様」

お嬢「揃っていますわね……行きますわよ、3人とも」

「水魔術家の在り方を示しに」

【火ノ鳥控え室】
オタク「皆の衆! 揃ってるでござるか?」デュフフフ

優等生・ボウズ「若、おかえりなさいませ」

根暗「お、おかえり!」パァ

秀才「邪魔しているぞ」

オタク「おぉ、秀才! 来てくれたか」

秀才「あぁ、お互い色々と話したいこともあるだろうしな」

オタク「魔術技会が終わったら、釣りでもしながらゆっくり話そう」

ボウズ「釣りですか……」

根暗「ボウズ君も釣りする?」

ボウズ「川ですか? 海ですか?」

根暗「しいて言うなら……土かな」

ボウズ「……?」

オタク「よし! 出陣だ!! 優等生、不貞腐れて無いでついてこい!!」

優等生「不貞腐れてなど……」ムス

根暗「秀才、行ってくるね」

秀才「あぁ、頑張れ」

【異空間・魔術学園】
放送部長『さぁ、舞台は再び魔術学園! 運動場にお嬢with親衛隊、屋上に火ノ鳥……睨み合う両軍揃いました!!』

風来坊『で、決勝戦のルールはどうなってんだよ』

放送部長『よくぞ聞いてくれました! 決勝戦は大将取り合戦です☆』

放送部長『ようするに、先に相手チームのリーダーを倒したチームの勝ちと言うことです♪』

秀才『お嬢with親衛隊はお嬢を火ノ鳥はオタクを守りながら戦わないといけないということですか……』

風来坊『守る必要があるとは思えないけどな』ヘッ

放送部長『それでは、準備はよろしいですか?』

『決勝戦……開始!』

オタク「さぁて、行くぞ!」ボォォオ

お嬢「来ますわね」水柱

放送部長『若様の回りに大きな火球が3つ! 対するお嬢様は水の柱を出現させた!!』

オタク「ふん!!」ボンッボンッボンッ

お嬢「届きませんわ!」

オタク「やはり、水柱で防がれたか」

オタク(しかし、目眩ましにはなっただろう)

ボウズ「根暗先輩……思いっきりお願いします」

根暗「う、うん、行くよ」ニョロン ギギギギ ビュン

ボウズ(……上手く水柱が無いところに着地出来たな)スタッ

ボウズ(若の指示通り奇襲を……ん)ギシッ

ゴスロリ「儚き者よ、その拳は我等が姫には届かない」ブンッ

ボウズ「……!」ガシャン

放送部長『ボウズが投げられ、窓を割って校舎の中に!』

秀才『わざと水柱に隙を作って、そこに水糸の罠を仕掛けておいたのでしょう』

放送部長『なるほど!』

お嬢「此方も攻めますわよ! 召使い!!」

召使い「かしこまりました!」

お嬢「壁を掛け上がって、火の若を強襲するのですわ!!」

召使い「はっ! ……え、壁を掛け上がってですか?」

お嬢「えぇ! 行くのですわ!!」

召使い「…………うおおぉぉおおおお!!」ダッ

放送部長『お嬢様に無茶な命令をされた召使い、壁を掛け上がれるか!』

風来坊『水サーベルを壁に刺して上がって行ってるな』

召使い「……はぁはぁ」

ニョロン ギュ

召使い「触手、しまった!!」

根暗「召使い、大丈夫? 引き上げるね」

召使い「へ?」

優等生「はぁ?」

オタク「デュフフフ」

根暗「よいしょっ、流石に水サーベルでよじ登るのは……その無茶だと思うよ」

召使い「根暗……敵の俺を引き上げて良かったのか」

根暗「…………あっ」

放送部長『触手を巻き付けて地面に叩き付けるかと思いきや、優しく屋上まで上げました!』

秀才『根暗は頑張ってる人を見るとついつい手を貸してしまうからな』

根暗「お、オタク、ごめん!」

オタク「良いでござるよ。 優等生、俺は打って出る。 召使いの相手を任せた」

優等生「はっ!」

オタク「……優等生、その男を決して侮るなよ」

召使い「待て! お嬢様の元へはいかせな……くっ」サッ

優等生「若の邪魔をするな」ギロリ

【異空間・とある教室】
ボウズ「……」コキコキ

ゴスロリ「……」

【異空間・屋上】
召使い「……」

優等生(若はこの男の何を買っているんだ?)フム

【異空間・運動場】
オタク「……根暗、メイドの相手は任せた」

根暗「うん、解った」

お嬢「若様から出向いていただけるとは光栄ですわ」ペコ

メイド「根暗、顔貸すっす」クイ

放送部長『上手い具合に1対1になりましたね』

秀才『いち早く相手を倒して、リーダーを助けに行かないといけないわけですね』

風来坊『リーダーを信じて時間を稼ぐって手もあるけどな』

【異空間・とある教室】
ゴスロリ「紳士の杖は鋭く、清く、美しい!」

ボウズ「……!」

放送部長『傀儡を操り、ボウズを猛攻するゴスロリ! 先程より動きのキレが増している!!』

秀才『上手く机や椅子に巻き付けて、傀儡を操ってるみたいですね』

放送部長『なんと器用な!』

風来坊『逆にボウズは水糸の罠を警戒して動き難そうだな』

秀才『ゴスロリが自分の戦い易い戦場に持ち込んだ……というところですね』

ボウズ「……」サッ

ゴスロリ「……ッ!!」

放送部長『ボウズ、何も無いのに回避行動をとった?』

ゴスロリ「不可視の糸をみゆる瞳、それを捉える者などいはしない!」

ボウズ「……見て避けた訳では」サッサッ

放送部長『何やら話しています……ボウズ、傀儡の攻撃以外にも何かを避けてますね』

秀才『恐らく、ゴスロリがボウズを縛りつけようとして避けられているのかと……』

放送部長『ゴスロリが使っている糸は透明なのよ? 傀儡の攻撃を避けながら、対処出来るわけが……』

風来坊『音だな』

秀才『音? ……ありえない、そんなこと出来るわけが』

放送部長『音? どういうことよ、風来坊』

風来坊『ボウズは糸が机やら椅子などに擦られる音を頼りにゴスロリの攻撃を予測して避けてんだ』

放送部長『なっ!?』

風来坊『あの一年生、底が見えねぇな』

ボウズ(防ぐ分には問題ないが……攻めに転じれないな)フム

ゴスロリ「問わせよ。 貴殿の拳は傀儡を砕ける、貴殿の脚は傀儡を貫く……」
(貴方なら傀儡を壊せるのに、どうしてそうしないの?)

ボウズ「……貴女が泣いていたから」

ボウズ「女性の涙は……苦手です」

ゴスロリ「……っ!」///

放送部長『おっと、傀儡の攻撃の激しさが増しました! 照れ隠しですか? 照れ隠しですね? 照れ隠しでしょ!!』

風来坊『実況が煽るなよ』

放送部長『ところ変わって、屋上の様子を見てみましょう!』

秀才『召使いと優等生が戦ってるんでしたね』

【異空間・屋上】
放送部長『従者対決! 果してどちらに、えっ!?』

優等生「……ふん」

召使い「……」ボロボロ

放送部長『屋上には無傷の優等生と倒れて動かない召使い!!』

優等生「従者対決? この者と俺を一緒にするな」

優等生「我が熱源魔術家は代々火魔術家に仕えてきた由緒正しき一族だ。 拾われただけのコイツとは従者としての格が違う」

召使い「……拾われた…だけだと?」ヨロヨロ

優等生「まだ動けたか」

召使い「拾われただけじゃない……俺はあのお方に、救われたんだ」水刀

召使い「救われたんだ!!」

優等生「無駄だとわからないのか?」シュ

ジュウウウ

放送部長『召使いの水刀が優等生の拳によって破壊されました!?』

秀才『優等生の熱によって蒸発してしまったんですね。 ……相性が悪すぎる』

優等生「ヒートアッパー!!」

召使い「ぐはっ」

放送部長『顎にクリーンヒット! 召使いの体が宙に浮いた!!』

風来坊『召使いの水の武器を一瞬で蒸発させる程の熱が籠った拳だ……これは強烈だな』

召使い「……」ヨロヨロ

優等生「……どうした? 武器は作らないのか?」

召使い「……」ハァハァ

優等生「立つのがやっとか」ナグリ

放送部長『召使い再び倒れる!!』

優等生「また、立たれたら面倒だ」ボコスカ

放送部長『その召使いに馬乗りになって執拗に殴り付けます! 本当に容赦無いな!!』

優等生「……ふぅ、若様の元に向かうか」

召使い「……」ヨロヨロ

優等生「そこまでして何故仕える?」

召使い「……お前には……解らない」

召使い「ただ、その家に産まれたから何て……そんな理由で仕えてるお前には……解らない」

優等生「右ストレート!!」

召使い「……」ガシ

優等生「愚かな、熱源魔術を使う俺の拳を掴むなど」ジュゥウウウ

召使い「……」ガッシリ

優等生「なん……だと!?」

優等生「何故掴み続けれる!?」

優等生(痛覚が無くなった? いや、こいつはそんな魔術は使えないはずだ。 では、水魔術で体温を下げて対処を……いや、蒸発するだろう)

召使い「……」ギロ

優等生「まさか、……貴様、我慢しているのか?」

召使い「……」ニヤ

優等生「あり得ん……熱源魔術をたんなる痩我慢で耐えるなど」

優等生「あってはならん、火魔術家に仕えてきた我が一族の魔術がそんな破られ方をするなど……」

優等生「熱源魔術家の誇りにかけてあってはならん」ジュゥウウウ

召使い「それが、俺とお前の従者としての格の差だ」

優等生「!?」

召使い「最後の最後まで主の為に戦い抜けなかった……お前の……負け……だ」ポコ

バタン

放送部長『おぉっと! 召使い、力尽きて倒れた!! 従者対決を制したのは優等s』

優等生「待て」

優等生「愚直が過ぎるぞ……水の忠臣よ」

優等生(今の俺に若の元に行く資格は無いな)ハァ

「―俺の負けだ」

放送部長『勝者、召使い! 優等生、試合に勝つも勝負に負けた!!』

【異空間・運動場】
お嬢「……流石に素早いですわね」

オタク「これだけの水を操るとは……お嬢、腕をあげたな」

放送部長『運動場が水浸しです! 大量の水が若様を呑み込もうと襲いますが、手から火魔術を放ち上手く逃れてます』

お嬢「このような大雑把な攻めかたでは若様を捕らえられないようですわね」

お嬢「ならば、より緻密に、より正確に……」ギュウウウウ

放送部長『水が圧縮されて人形になっていきます……その数……ひゃ、100体以上!!』

お嬢「水の当主は多くの魔術家を従え、魔術社会を守る存在」

お嬢「四大元素家だけでは魔術社会を守れない? だから、力を貸してほしい?」

お嬢「若様の言葉では四大元素家とその他が対等のようですわ」

お嬢「四大元素家はその他を管理する立場でいなければならない、そうしなければ秩序が崩れてしまいますの」

オタク「秩序? 魔術社会における善悪を決めるのが四大元素家だと?」

お嬢「えぇ、そうですわ」

オタク「ならば、俺達は相容れない……善悪とは魔術を扱う一人一人が決めるものだ」

お嬢「それが火の若の志ならば、私の水兵団を倒して示してくださいまし」

オタク「……概念武装、不死鳥」ボォォオオオオ

お嬢「無限の水兵団!!」

放送部長『運動場を埋め尽くす水の兵隊たち! 一斉に火の若に襲いかかります!!』

秀才『男対女、火対水、質対量……相対的な二人の意地のぶつけ合い……か』

【異空間・中庭】
メイド「根暗は悪魔信仰って知ってるっすか?」

根暗「悪魔信仰?」

メイド「人を不幸にすればするほど、その人に行く幸せが自分の元に流れてくるって考えに基づいた一種の宗教っすね」

根暗「……それが、どうしたの?」

メイド「悪魔信仰の魔術師は人に不幸を与える存在として悪魔を求めたっす」

メイド「ある男は悪魔を召喚しようとし」

メイド「ある男は悪魔を1から作ろうとし」

メイド「あぁ、悪魔になろうとした男もいたっすね」

メイド「悪魔に至るために様々な実験がされたっす」

メイド「その中の1つに胎児に悪魔の因子を与えるという実験があったんすよ」

メイド「その実験は成功し、赤ん坊は見事に悪魔の因子……悪徳の泥の力を持って産まれて来たっす」

根暗「……」

メイド「根暗、私とあんたの出生は異常っす……とても人間のソレじゃない」

「私達は産まれながらの化け物なんっすよ」

根暗「……そんな、僕達を人として扱おうとしてくれた人がいた」

メイド「そんなダチが自分の誇りをかけて闘ってるんなら」

根暗「化け物(僕)も全力で戦うしか……無いよね」ニョロン
メイド「化け物(私)も全力であんたをぶっ倒すしかねぇんっすよ」ドロ

【魔術学園・講堂】
秀才「……放送部長先輩、根暗達の戦いは映さないんですか?」

放送部長「どうせ、カードゲームとかして遊んでるだけでしょ?」

秀才「第一級危険魔術家同士の戦闘なんて見せれない……ですか」

放送部長「貴方……どこまで知ってるの?」

秀才「さぁ、何処まででしょうね」

放送部長「……これを使いなさい。 根暗とメイドが見えるはずよ」つ小水晶

秀才「良いんですか?」

放送部長「御主人様が貴方に協力するなら、私もそれに従うだけよ」

秀才「……ありがとうございます」

放送部長「解説の仕事、ちゃんと最後までしてよね」ハァ

【異空間・運動場】
水兵「」バタン

オタク「……はぁはぁ、底が見えないな」

お嬢「休んでる暇は有りませんわよ?」スッ

水鉄砲兵「……」パンパン
水騎兵「……」パカラパカラ

オタク(鉄砲兵に槍兵、騎兵までいるか……数だけじゃなく、兵種の多さが厄介だな)ボォォオオ

お嬢(流石ですわね、若様。 動き回って囲まれ無いようにしながらも、兵達を1ヶ所に誘導し倒されるとは……しかし)

放送部長『数えるのも億劫になる水兵団を相手にまさしく一騎当千の戦いを繰り広げる若様!』

秀才『ですが、このままではオタクが不利ですね』

風来坊『あん? 何でだ?』

秀才『双子兄弟との戦いでオタクはこの姿は長くはもたないと言っていました。 活動限界があるのかと……』

お嬢(不死鳥という高次元の生物の概念を身に留めておくのは若様と言えど辛いはず……そろそろ、強行突破してきますわね)

オタク(お嬢は俺が強行突破することに気が付いている。 先程からわざと隙を作って俺を誘ってる)

オタク「……レディーの誘いを断るほど野暮じゃないさ」ニヤ

お嬢「えぇ、知ってますわ」ニコ

オタク「うぉぉぉおおおおおお!!」

放送部長『火の若が吼えた!! 水兵団が手薄になっているところから仕掛ける!!』

お嬢(若様のことはよく知ってますわ)

お嬢(だから、解りますの)

お嬢(若様は四大元素家の負担を減らしたいのですわよね?)

お嬢(若様は火魔術家に課せられた何らかの使命を自分の代で果たそうとしてますのよね?)

お嬢(少しでも早く果たして……根暗さんが自由に生きれるようにしてあげたいのですわよね?)

お嬢「友人一人の為に、火魔術家の在り方を変えるなんて……」

「―愚かな方」

幼嬢『私は諦めませんわ、貴女の人生を!』

悪魔?『……はぁ?』

幼嬢『さて、それではこの地下室から出ますわよ』オーホホホホ

悪魔?『あんた、頭に蛆でもわいてるんっすか?』

幼嬢『酷いですわ!?』

悪魔?『私は悪魔っすよ? そんな存在世に放ったらどうなるか解ってるんっすか?』

悪魔?『私を参考に更に強力な悪魔を作るかも知れないっすよ? 私を悪用しようとする輩なんて幾らでもいるんっすよ?』

悪魔?『私一人がこの地下室で我慢したら皆が平和に過ごせるんっすよ……』

お嬢『私は水のお嬢ですわよ? そんな、私が貴女を連れ出すと言ってますの』

お嬢『我が水魔術家が魔術社会の秩序を守っている限り、そんなモノなんて2度と作らせませんし、貴女を悪用なんてさせませんわ』ドヤ

悪魔?『アホみたいなドヤ顔晒すなっす』

お嬢『アホみたいって教えてくれてありがとう。 以後、気を付けますわ』

悪魔?『あんた、変わってるっすね』

お嬢『平和の為に自分を犠牲にする悪魔に言われたく無いですわ』クスクス

悪魔?『……』

お嬢『行きますわよ、悪魔……いえ、メイド! 貴女が貴女として生きれる社会を私が作って差し上げる』ニコ

放送部長『火の若に気圧されてか、水の兵隊が退いていく……』

秀才『いや、水の兵隊がくっついて大きな壁に……いや、トンネルみたいに……オタクの逃げ場を無くしたのか!?』

お嬢「若様、これが私の最終奥義ですわ! 水魔術激流!!」

放送部長『若様が駆けるトンネルにお嬢様が大量の水を放つ! その威力、量! 最早公害!! 水魔術の奥義は何も模っさない! 水は水故に強いということか!?』

放送部長『流石に若様、流され……てない!?』

オタク「火鳥魔術、炎翼!」

秀才『あの水の中を突っ切って来たのか!?』

放送部長『腕に纏わせた炎の翼がお嬢の腹部に直撃した!!』

お嬢「……本当に愚かな方、友と魔術社会を天秤にかけて、どちらが重いかなんて明白でしょうに」

オタク「……」

お嬢「若様も……私も……愚かですわね」

オタク「お嬢……俺はどちらかを選ぶ気なんて無い」

オタク「どちらも守る」

お嬢「出来ますの? そんな、こと?」

オタク「お主も力を貸してくれるんでござろう」デュフフフ

お嬢「ふふ、困った……照れ屋さん……ですわ」バタン

放送部長『水のお嬢、破れる! 魔術学園の頂上決戦、勝者は火の若! よって、本魔術技会優勝は……火ノ鳥!!』

【異空間・とある教室】
ゴスロリ「若武者よ、我が糸は貴殿を捕らえた」
(決着は何時かつけさせてもらいます)

ボウズ「……えぇ、また」ペコリ

【異空間・中庭】
根暗「オタクが勝ったみたいだね」ニョロロロロン

メイド「そうっすね。 続けるっすか?」ドロロロロン

秀才(此方の方が頂上決戦に相応しいんじゃないか?)ゴクリ

秀才(頭に2本の角触手、背中から4本の腕触手、尻尾触手を生やした根暗……初めて見たが強いな)

秀才(触手鬼モードとでも名付けようか……この姿の時は手をつかずに触手を生やせるんだな……)フム

根暗「止めておこう……これ以上は……その」

メイド「そうっすね、異空間がもたないっすね」

秀才(メイドさんの泥がどういうモノか解らないが、触れれば触手が死んだように見えた)

秀才(死んだのだとしたら、触手は単体ごとに命があるということになる)

【魔術学園・校長室】
校長「……ふぅ」

体育教師「校長先生、お疲れ様でした」つタオル

校長「儂も歳をとったな。 ……しかし、あやつらめ。 好き勝手暴れよって」

教頭「あやつらとは……第一級危険魔術家の二人ですか?」

校長「あぁ、危うく異空間が崩壊するところだったわい」

「やはり、校長からしてもあの二人は疎ましい存在なのですか?」

校長「疎ましい? ハハハ、愛しいに決まっておろう」

校長「この学園におる者は等しく愛おしい、儂の孫のようなものだ」

教頭「ところで、何のようだ?」

「いえ、計画通り事が進んでるか確認に」

教頭「……はぁ?」

「マッスルインパクト!!」ドゴォン!!

校長「」

体育教師「……はぁはぁ」返り血

教頭「体育教師! 貴様、何をしている!?」

体育教師「だって……当たり前だろ? 魔術技会が終わったら、校長を始末するのは……あれ? 俺は……あれ?」

教頭「……くっ!? 俺は体育教師を足止めする! 早く校長に治ry」バタン

「これで計画通り……」

「土の若様……最終局面ですね」

【火魔術家本拠地・武家屋敷】
優等生「校長と教頭が体育教師に殺害された件についてのご報告は以上です」

火当主「異空間を閉鎖し、魔力が枯渇したところをやられたか」

優等生「本来、弱った校長の警護を任されていた体育教師先生が裏切るとは……」

火当主「体育教師は自決した」

優等生「……やはり、土魔術家は変換魔術師を従えているのでしょうか?」

火当主「先日の魔術をコピーする男のような存在がいるのやも知れんな」

火当主「魔術学園の運営については水魔術家が受け持つことに決まった」

優等生「我々はどのように動けば?」

火当主「……好きにせい」

優等生「と、言いますと?」

火当主「愚息は儂とは違う道を歩んでおるようだ」

火当主「ふふ、これ以上あやつの重荷になるつもりはあるまいて」

優等生「……」

秀才『善悪というものは一人一人が作るものだ?』
オタク『善悪とは魔術を扱う一人一人が決めるものだ』

火当主「迷うか、優等生」

優等生「私は若様の傍にいながら、若様のお心を理解できていなかった」

優等生「従者としても未熟だと……召使いに教わりました」

火当主「魔術学園が再開するまで3日間、好きに過ごせ」

優等生「……」

火当主「何かが始まろうとしておる」

火当主「迷いを抱えたままでは……死ぬぞ?」

【とある森の中・根暗の家】
根暗「番号、 1!」

オタク「2!」

秀才「3!」

召使い「4!」

ボウズ「……5!」

根暗「これより、土中生物釣り上げ部の活動を開始する!!」キリッ

触手爺「……」

僕っ娘「部活になると何時もこんな感じなんですよ」クス

根暗「今日は各自好きなモノを釣ってきて良いよ、お昼はお爺ちゃんが作ってくれるから戻ってきてね」

ボウズ「根暗先輩……土中生物はどのように釣れば」

根暗「ボウズ君は初めてだから僕と一緒に釣ろうか」

ボウズ「……よろしくお願いします」

ボウズ(今日は元気だな……)

オタク「拙者は秀才と釣ってくるでござるよ」デュフフフ

秀才「あぁ、話したいこともあるしな」

召使い「……根暗、俺も一緒に釣って良いか?」

根暗「うん、良いよ♪」

【とある森の中・湖】
オタク「さて、ここで良いか」

秀才「あぁ、適当に穴を掘って糸を垂らしておこう」ホリホリ

オタク「……俺から何かを教えることは立場的に難しい」ホリホリ

秀才「だろうね」

オタク「だが、秀才が調べてきた事が合っているか否かは正直に答えさせて貰う……それで良いか?」

秀才「十分さ」

オタク「じゃあ、聞かせてくれ。 秀才が調べた根暗のこと、そして火魔術家の真実を」

秀才「まず、根暗はホムンクルスだ。 作ったのは火魔術家……一応確認するが」

オタク「あぁ、合っている。 禁忌を犯して捕まった錬金術師に作らせた」

秀才「ホムンクルスを作ること自体禁忌なのだが……」ジト

オタク「……」

秀才「問題は火魔術家が何故そんな事をしてまで触手魔術師を保持したいかだ」

秀才「そんな疑問を抱えていた時、優等生と優男という人物と接触した」

オタク「優男!? 土の影武者が何故!?」

秀才「ん? やはり彼は本当の土の若じゃないんだな」

オタク「あぁ」

秀才「まぁ、その話は良い。 優等生は触手魔術という特殊な魔術の保護の為」

秀才「優男は第2の触手鬼を生み出はし、火魔術家だけの力で倒して権威を維持する為だと言った」

オタク「そんなこと」

秀才「火魔術家がそんな事を考えてないことは解っているさ」

秀才「根暗が暴走して、火魔術家がそれを止めても暴走させてしまった責任をとらされるだけだろうからね」

オタク「……じゃあ、保持の為というのが正解か?」

秀才「いや、違う」

秀才「火魔術家が力を求めていたことは事実だ」

オタク「……」

秀才「魔力過剰症の心臓は強力な魔武具を作るのに欠かせないだろうからね」

オタク「……生徒会長先輩について知った時には終わった後だった」

秀才「……そうか」

【とある森の中】
根暗「……はい! 二人とも攻撃して!!」スポン

巨大ワーム「ウギャアアアアア!!」

ボウズ「おぉ、こんな大きなモノが土の中に」

召使い「俺も初めて見たときは驚いた」

根暗「早く、攻撃して!!」グヌヌヌヌ

ボウズ「はい!」

召使い「ボウズ、なるべく傷付けずに倒すんだ」

ボウズ「傷付けずに……ですか?」

召使い「あぁ、原型を留めてないとワーム拓が取れないからな」

ボウズ「……ワーム拓?」

召使い「本当に気を付けろよ、失敗したら根暗が3日間口を聞いてくれなくなる」

ボウズ「それは、大変ですね」ハハッ

根暗「二人とも早く~!!」


召使い「何とか釣れたな」

ボウズ「傷付けずに……難儀でしたが、良い鍛練になりました」

根暗「じゃあ、小屋まで戻ってワーム拓を……ん?」ピクッ

召使い「どうした根暗?」

根暗「何か……森が何時もと違うような」キョロキョロ

ボウズ「……ふむ」キョロキョロ

根暗「……僕は少し様子を見てくるから、二人はワームを運んどいて」

召使い「待て! ……行ってしまったか」

ボウズ「……」

召使い「二人で運べるか、これ?」

ボウズ「これもまた鍛練です」

【とある森の中・湖】
秀才「火魔術家は何故そこまでして力を求めているのか……優男の言う通り、権威を維持する為とも考えたが」

オタク「それは違う」

秀才「だろうね。 だったら、魔術技会でオタクが語ったことと矛盾している」

秀才「オタクはむしろ、四大元素家の権力を他の魔術家に分散させる事を望んでいるんだろ?」

オタク「……その通りだ」

秀才「火魔術家がその使命を果たすために……だよな?」

オタク「秀才、かまをかけてるのか?」

秀才「使命についても予想は出来ているさ」

オタク「ほう」

秀才「火魔術家が力を求めている理由は何らかの対象に対抗するためだ」

秀才「その、何らかの対象に対抗するために触手魔術家の力が必要だった」

オタク「……」

秀才「それは対象と触手魔術家が同じ次元の……同じ枠組みの存在だからだろ?」

オタク「同じ次元とは?」

秀才「その前に触手魔術とはそもそも何なのかを話そう」

秀才「触手魔術は触手を召喚させているわけでも無ければ、触手を急成長させて操っているわけでもない……ここまでは合ってるか?」

オタク「あぁ。 ならば触手魔術とは何だ?」

秀才「自身の魔力から生命体を産み出す魔術だ」

オタク「……」

秀才「そして、触媒を用いずに自身の魔力から生物を生成できる存在のことを何と呼ぶかも俺は知っている」

「―魔王」

秀才「火魔術家は魔王の性質を持つ対象に対処する為に、同じく魔王の性質を持つ触手魔術家を利用している」

秀才「これが火魔術家の真実だ!!」

オタク「Exactly……全て、その通りだ」ハァ

秀才「ここまで知られてるとは思ってなかったか?」ニヤニヤ

オタク「全く、四大元素家総出でかかっても秀才には敵わないかも知れないな」

秀才「ははは、冗談を」

オタク「いや、本気で言っている」

秀才「……オタク、そのことについても俺は解っているぞ?」

オタク「そのこと? ……何の話だ?」

秀才「ん? いや、惚けるなよ」

オタク「……?」

秀才「まさか……いや、嘘だろ? もうとっくの昔に気が付いて対処してるんだよな!?」

オタク「対処? 気が付く? ……秀才、何の話をしているんだ」

秀才「何の話って……四大元素家では無くなってるという話だ」

オタク「四大元素家では無くなってる?」

秀才「土魔術家はもう……滅んでいr」

「―話し過ぎ」ザシュ

秀才「……くっ」

オタク「秀才!?」

無口「……残念」チャキン

オタク「2-Cの無口!?」ボォオ

無口「土中泳魔術」チャプン

オタク「何!? 何処に行った?」

秀才「オタク、下だ!」

無口「……捕まえた」ガシッ

オタク「……くっ」

オタク(土の中に引きずり込まれた……)

無口「これで火の若は動けない」チャキン

秀才「あぁ、心置き無く俺を始末出来るわけだな」

無口「……秀才君、私は貴方が好き」

秀才「だったら、見逃してくれないかな?」

無口「無理、好きだからこそ殺したい」

秀才「そう、書き換えられたのかい?」

無口「……怖くないの?」

秀才「君は俺の敵じゃないからね」

無口「……敵じゃない?」

秀才「あぁ、敵じゃない」

秀才『なぁ、1つ質問があるんだが、本当に変格魔術k』

無口『その質問には答えられない』

秀才『……』

無口『……助けて』

秀才「君は俺が助ける」ニコ

無口「そう、でも、それでも……」ツー

「―さようなら」

学者「と、いう具合に君の人生は終わりを迎えるはずだった」

秀才「……無口さんが止まってる? オタクも!?」

学者「やぁ、魔術師君」

秀才「貴方がやったんですか?」

学者「何、教科書の嘘を全て暴いた景品のようなものだよ」

秀才「時間停止の魔術なんて実在するはずが……」

学者「あぁ、魔術では不可能だ。 故にこれは魔法である」

秀才「……何故、俺を生かすのですか?」

学者「魔法使いになり得る者は少ないと言うだけさ」

秀才「それって……」

学者「さぁ、修羅場が再開するぞ? 私が死の運命から逃がしてあげるのは1度だけだ」

パチン

無口「避けた?」

秀才「止めろ」

無口「今更、命乞いしても……っ!?」ギュッ

根暗「…………」ニョロン

秀才「止めてくれ、根暗……殺しちゃ駄目だ」

根暗「……解った」

オタク「根暗、俺を釣り上げてくれ」バタバタ

オタク「さて、とりあえず無口を捕らえたわけだが」

無口「……」

オタク「何故、秀才を襲った?」

無口「……」

オタク「黙りを決め込むでござるか? こうなったら触手で尋問でござる! 体に聞くでござるよ!!」デュフフフ

秀才「キモい」
根暗「キモい」
無口「……童貞臭い」

オタク「ぐはっ!?」

秀才「尋問は止めておこう。 恐らく、本当のことを喋ろうとしたら自害するように書き換えられている」

オタク「書き換えられる……変換魔術か」

秀才「とりあえず、舌を噛みきらないように猿轡でも着けておこう」

根暗「解った、小屋から取ってくるね」

秀才「え? 猿轡が本当にあるのか?」

根暗「…………あの、へへへ」///

オタク(僕っ娘と何してるんだ)

オタク「とりあえず、無口については監視をつけて火魔術家の方で預かる」

秀才「そうしてくれ。 彼女は恐らく……いや、まだ憶測だから発言は控えておこう」

オタク「……ところで、土魔術家が滅んでいると言うのは?」

秀才「ん? 変換魔術師が好き勝手動き回っているからな。 少なくとも主導権を変換魔術家に奪われてるのだろう」

オタク「病院での話しか? それとも博覧会での話しか?」

秀才「それも含めてだ」

オタク「なるほど。 実は魔術をコピーする力を持った男がいてだな。 病院と博覧会で変換魔術を使ったのはその男らしい」

秀才「なるほど、学園の事件とは別に変換魔術を使えるヤツがいたんだな」

オタク「学園の事件?」

秀才「順を追って説明しよう」ヤレヤレ

【とある森の中・小屋の前】
「「「御馳走様でした」」」

触手爺「……」

僕っ娘「義祖父さん、片付けは僕がやっておきます」

触手爺「……ん」

僕っ娘(今日は口数が多いな、義祖父さん)

根暗「さて、ワーム拓取ろうか」ワクワク

ボウズ「……ワーム拓を取った後、ワームはどうするんですか?」

召使い「魔法薬の材料になる所を取り出して、後は土に埋めるんだ」

ボウズ「なるほど、ただ釣り上げるだけじゃないんですね」

根暗「オタクと秀才は?」

秀才「話の続きをしてくるよ」

根暗「解った」

無口「……」

僕っ娘「……彼女はどうしたら良いんだ?」

オタク「悪いが触手爺殿、見張っていて貰ってもよろしいか?」

触手爺「あぁ」

undefined

オタク「さて、秀才……土魔術家が滅んでいると言う話だが」

秀才「あぁ、病院の事件と博覧会での事件だけであれば俺も土魔術家が変換魔術家を使っていると推理するが」

オタク「学園での事件とは何の話だ? 今回の校長殺しか?」

秀才「それにも関与してるだろうが、俺が言っているのは三編み仮面のことさ」

オタク「三編み仮面?」

秀才「最初に俺が疑問に思ったのは、三編みさんがあっさり死刑囚に殺されたことだ」

秀才「三編み仮面になりきっている彼女が根暗が援護する間も無くやられるだろうか?」

オタク「……言われてみれば違和感があるな」

秀才「そこで羨みの仮面について調べてみたんだ」

オタク「なりたい人格になれる仮面だったか……」

秀才「結論から言えば、ジョークグッズで魔術的な効果は何も無かったながな」

オタク「何? ならば単なる思い込みで三編みは肉体強化魔術を暴走させたのか?」

秀才「それはおかしいと思ったから、三編みさんが不良達を襲った時のことを調べてみたんだが」

秀才「不良もヤンキーもDQNもカツアゲしていた相手のことを覚えていなかった。 クラスも顔さへもね」

オタク「……そのカツアゲされていたのが変換魔術師だと?」

秀才「だとしたら、計画性が無い場面で独断で変換魔術を行使したことになる」

オタク「変換魔術師が三編みを暴走させて何のメリットがある?」

秀才「単なる気紛れの実験だったのかも知れないね」

オタク「実験?」

秀才「自分が変換魔術を使ったことに気付く者がいるかどうか……とかね」

オタク「……変換魔術家が土魔術家を滅ぼしたと言う話から考えにくい。 四大元素家の強さは魔術技会で解っただろ?」

秀才「土魔術家は禁術の管理が仕事なんだろ?疎ましく思うヤツも多いはずだ」

オタク「つまりは、秀才。 お前は土魔術家が変換魔術家を滅ぼそうとしたところ他の禁術使いと手を組んだ変換魔術家に返り討ちにあった」

オタク「そう言いたいのか?」

秀才「あぁ」

オタク「……」

秀才「……」

オタク「流石に証拠が少なすぎる」

秀才「では、休み明けに変換魔術家の協力者に合いに行こう」

オタク「……?」

秀才「先生方が職員室に集まるタイミングで閉じ込め、また封印されていた羨みの仮面を三編みさんに渡したヤツがいる」

オタク「……解った、付き合おう。 全く、こんな推測……秀才じゃ無かったら耳を貸さなかったぞ」ハァ

【街中】
優等生(折角の3連休の初日を部屋の片付けだけで消費してしまったわけだが……)ハァ

優等生(らしくないな、物思いに耽りながら街をぶらつくなど)ハァ

「ねぇねぇ」

優等生(若と秀才の考えが俺と若より近かったことがショックだったのか?)

「おい、無視するなよ!」

優等生(召使いに従者としてのいたらなさを指摘されたのが堪えたのか?)

「これがラストチャンスなんだよ!」

優等生(自分の心がこうも掴めないとは……)

少女「不良にぃちゃん、電気ショックだ!」

不良「電撃魔術!」

優等生「……いたのか?」

少女「やっと気付いたの?」プンプン

不良(割りと本気でやったのに効いてねぇ……)ズーン

優等生「なんだ? デートか、このロリコンめ」

不良「ちげーよ! 図書館に行きてぇって言うから、ついでに連れてくところだ」

少女「おにぃちゃんも一緒に行くんだよ!」ビシッ

優等生「……何で俺が?」

少女「旅は道連れ、世は情け……なんだよ!!」ドヤ

【墓場】
メイド「お嬢、いきなり墓参りなんてどうしたんっすか?」

お嬢「少し、気になることがありまして。別について来なくてもよろしかったのに」

メイド「お嬢の傍にいたいんだよ、言わせんな」

お嬢「ふふふ、ありがとう」

メイド(それにしても誰の墓参りに? じいさんの墓でも、三編みの墓でも無いみたいっすね)

お嬢「あら、タイミングのよろしいことね……卑怯者さん」

卑怯者「……あぁ、タイミングが良いな。 お嬢様」ヒヒッ

メイド「……」ギロ

卑怯者「そう睨むなよ、メイドちゃん。 心臓潰したぐらいじゃ気がすまないか?」

メイド「あれだけやられてまだ減らず口が聞ける度胸だけは誉めてやるっす」

卑怯者「そりゃどうも」

お嬢「手を合わさせていただいてもよろしいかしら?」

卑怯者「あん? よろしく無いに決まってるだろ? 誰のせいで死んだと思ってんだ?」

お嬢「自業自得ですわ」

卑怯者「……あぁ、違いない」

メイド(墓標には……鎖魔術師? ……確か、水魔術家からの援助金を横領してたヤツっすね)フム

卑怯者「水魔術家に対して生意気やって、それを苦に自殺なんて、ハハハ、確かに自業自得だわな」

お嬢「……魔術技会に参加したのは復讐ですの?」

卑怯者「そんなところさ。 大衆の面前で水のお嬢に大恥かかせたかったわけだ……大成功♪」

メイド「……」ギリ

お嬢「私は貴方に謝罪なんてしませんわ、貴方のお父様がされたことは犯罪ですもの」

「ただ、この水のお嬢を倒した策……お見事でしたわ」

卑怯者「……」

お嬢「それだけ……伝えに来ましたの」スタスタ

卑怯者「なぁ、水のお嬢……」

卑怯者「人殺しの息子は救済されて、横領犯の息子は放置されるなんて……嫌なジョークだな」

メイド「それ以上、喋るなっす」ギロリ

お嬢「メイド……帰りますわよ」

お嬢(……四大元素だけでは守れない)

お嬢「確かに、その通りなのかも知れませんわね」

【図書館】
少女「本がいっぱいあるんだよ! 本がいっぱいあるんだよ!!」

不良「おい、図書館では静かにしろ」

少女「はーい」

優等生「……貴様が文字を読めるとは、知能があったのか」

不良「喧嘩売ってんのか? 鼻につく虫」

優等生「黙れ、負け犬」

少女「図書館では静かになんだよ!」

優等生「それで、何の本を探しに来たんだ?」

少女「少女は絵本を読みに来たんだよ」つ絵本

不良「俺は……あった。 これだ」

『魔術的催眠と治療法』

優等生「催眠?」

不良「おう、この前秀才と話したんだが、違和感があってな。 何らかの催眠にかかってるかも知れねぇんだ」

優等生「……詳しく聞かせて貰ってもいいか?」

優等生「なるほど、カツアゲしていた相手の顔もクラスもぼやけてしまっていると……」

不良「あぁ、秀才に言われるまで当たり前だと感じていたが……言われてみれば気になってな」ペラペラ

少女「不良にぃちゃん、一緒に絵本読むんだよ」ムスー

不良「後でな……なんなら、借りてやるから」

少女「本当に!? 借りて欲しい本探してくるんだよ!!」

不良「騒ぐなって。 優等生、悪いが少女を見といてくれないか?」

優等生「あぁ……不良にぃちゃんは大変だな」

不良「うるせぇよ」

少女「優にぃちゃん、あの上の本取って欲しいんだよ」ピョンピョン

優等生「あぁ、取るから跳び跳ねるな」つ本

少女「……少しは元気出たのかな?」

優等生「……何の話だ?」

少女「不良にぃちゃんが心配してたんだよ。 見かけた時、辛そうな顔をしてたから」

優等生「不良が?」

少女「不良にぃちゃんと優にぃちゃんはお友達なんでしょ? だったら心配するのは当たり前なんだよ」

優等生(何て単純な考え方だ……しかし)

優等生「俺は難しく考えすぎなのかも知れんな」

少女「どうしたの?」

優等生「何でもないさ」フッ

少女「優にぃちゃんって笑えるんだ」

優等生「君は俺を何だと思っているんだ」

不良(魔術的催眠は特定の魔力の波長で脳波に作用するのか)

不良(治療法方は脳波を正常に戻す? 魔力的電波が有効? ……治療装置もあるんだな)

不良(親父に頼んだら作り方教えて貰えるか? クソ親父に頼むのは癪だが……)

優等生「……まだか? 不良」ズッシリ

不良「いや、今終わった……何だその量」ゲッ

少女「ふふふ、私の知的好奇心が暴走した結果がこれなんだよ」ドヤ

不良「全部絵本の癖に何言ってんだよ……3冊だけ借りてやる」

少女「少なすぎるんだよ!」

不良「残りはまた借りに来てやるから」ハァ

少女「……全部借りるまで付き合ってくれる?」

不良「あぁ、約束だ」

少女「じゃあ……今日は1冊で良いんだよ」ポッ

不良「あん? 何で?」

優等生「このロリコンめ」

不良「何で!?」

【風魔術家本拠地・飛行船】
風来坊「おーい、来たぞ? たく、3連休最終日にいきなり呼び出しとは……人使いが荒いね」

丸眼鏡「すまない。 父に許可を得るのに時間がかかってしまった」

風来坊「許可? 何の用なんだ?」

丸眼鏡「用があるのは私ではない……」

腐女子「風来坊さん、ども」ヒョコ

風来坊「あん? 俺を呼び出したのは腐女子か?」

腐女子「私と言うかなんと言うか……風来坊さんに伝えないといけないことがありまして」

風来坊「……」

腐女子「生徒会長先輩は……既にお亡くなりになっています」

風来坊「な、何でお前がそんなこと!?」グイッ

腐女子「ひゃっ!?」

丸眼鏡「風来坊……その手を離せ」ゴゴゴゴゴゴ

風来坊「……本当なのか?」

腐女子「私は死霊術師です。 霊魂を見ることが出来ます。 生徒会長先輩の霊魂が……今、ここにいます」

腐女子「風来坊さんに伝えたいことがあるそうなんですが……聞いてくれますか?」

風来坊「…………少し、時間を貰っても良いか?」

バタン

腐女子「風魔術家の従者一の猛者と言われる風来坊さんでも……流石に辛いよね」

丸眼鏡「……猛者か」

腐女子「へ?」

丸眼鏡「……彼は才能に恵まれなかった男なんだ」

『音魔術家の息子の癖に楽器の才能が全く無いなんて』

『一族の魔術を全く受け継がなかった欠陥品』

『……何で獣化魔術なんかに特性を持って産まれて来たのよ』

強かったら問題ないだろ?

『また、風来坊が喧嘩したらしいぞ?』

『心まで獣なのか?』

『優雅であるべき音魔術家にお前の居場所はない』

退魔家に優雅さがいるのか?

強けりゃいいだろ?
『喧嘩しようぜ? いきなり何だ!?』

強けりゃいいだろ?
『この数相手に一人で喧嘩する気か?』

強けりゃいいだろ?
『止めて……降参するから……止めてくれ』

風来坊『強けりゃ良いだろ?』

『爆破魔術』

風来坊『……俺は気を失ってたのか』

生徒会長『やぁ。 ……風来坊君だったかな?』ニコ

風来坊「……」

放送部長「はぁーい! 歌って踊れて、シリアスにも対応出来る万能学園アイドォル! 放送部長よ☆」

風来坊「……」

放送部長「そこは対応できてねぇよってツッコむところでしょ?」

風来坊「……生徒会長は、初めて俺の強さを認めてくれたヤツだった」

生徒会長『一族の魔術を継承できなかった分強くなろうとしてるのか? 君は強いな!』

風来坊『あん?』

生徒会長『認められる為に努力してるところさ。 諦めずに行動できるその心が……きっと強さ何じゃないかな』

放送部長「そうなんだ」

風来坊「何となく解ってたんだよ。 アイツが死んでること」

風来坊「たぶん、誰かの未来を守るためとか言って命差し出してんじゃねぇかなって……でもよ、それでもよ」

風来坊「俺はアイツの未来を守りたかった……アイツが生きれる明日を……守りたかったんだ」ポロポロ

放送部長「……だったら、ちゃんと聞かないと」

風来坊「……」

放送部長「彼からの最期のメッセージを風来坊が聞かないとさ……駄目だよ」

風来坊「放送部長……ありがとよ」

放送部長「シリアスにも対応出来る学園アイドルですもの☆」

風来坊「対応できてねぇよ」

腐女子「……覚悟は出来ましたか?」

風来坊「あぁ、待たせて悪かったな」

腐女子「……丸眼鏡、本当に良いんだよね?」

丸眼鏡「風魔術家の次期当主として死霊術の行使を許可する」

腐女子「死霊術、憑依」

腐女子「―久しぶりだね、風来坊」

風来坊「生徒会長か?」

腐女子「あぁ、彼女の体を借りている。 ちゃんとお別れを言っておきたくてね」

風来坊「新会長じゃなくて、俺で良いのかよ?」ニヤ

腐女子「彼女はもう僕がいなくても大丈夫だろうからね」

風来坊「俺はお前がいないと駄目だと思われてるのか?」

腐女子「……僕が君を親友と思っていた、それだけのことさ」

風来坊「……」

腐女子「……」

風来坊「お前は何で死んだんだ?」

腐女子「……僕の心臓がとある脅威に立ち向かう武器になるらしくてね」

風来坊「自分の意志で死を選んだのかよ?」

腐女子「武器にする以外にも、死体で魔力過剰症の研究もしてくれるらしくてね」

風来坊「……ふざけんなよ」

腐女子「風来坊……?」

風来坊「俺は……お前と……魔術技会に出たかった。 会長権限でも使って2人1組で出てよ! その癖、他の4人1組を圧倒するんだよ!!」

風来坊「……そんな、日々を送りたかったんだよ」

腐女子「僕は本当に良い親友を持った。 ははは、君と話すと何時も思うんだ」

「明日も生きたいなって」

風来坊「……」

腐女子「僕の短い人生に寄り添ってくれてありがとう」

風来坊「……」

腐女子「……以上です」

風来坊「丸眼鏡、生徒会長の死は生徒会の連中に伝えても良いか?」

丸眼鏡「構わない」

風来坊「他に用事が無いなら行くぜ?」

腐女子「……」

風来坊「腐女子……お前の死霊術のお陰だ……上手く言えねぇけど、ありがとな」ニカッ

腐女子「はい、どういたしまして」ニコ

丸眼鏡(第一級危険魔術師が人を救うこともある。 四大元素家では救えなかった人を……)

丸眼鏡「……在り方を再検討すべきね」クイッ

【魔術学園・廊下】
オタク「あれから俺なりに調べて見たんだが……」

秀才「あぁ、何か解ったか?」

オタク「魔術をコピーする奴は土魔術家が管理していた禁術使いの一人らしい。 後、特殊な転移魔術を使うヤツも……禁術使いかも知れない」

秀才「特殊な転移魔術?」

オタク「あぁ、全身に包帯を巻いた不気味なヤツだ。 包帯を媒体にした転移魔術何て聞いたことが無い」

秀才「……包帯を使った転移魔術、俺も知らないな」

オタク「病院などの施設に転移魔術で侵入すれば警報がなる筈なんだが……」

秀才「そいつの場合はならなかったか……ふむ」ピタ

オタク「……ここに変格魔術の協力者がいるのか?」

秀才「あぁ、入ろう……と、その前に」カキカキ

オタク(ドアに何を書いてるんだ?)

【保健室】
「……どうした? 部活の相談か?」

秀才「いえ、貴方に聞きたいことが有りまして……養護教諭先生」

オタク「……」

養護教諭「聞きたいこと? 回復魔術についてか? それとも、応急手当とか……じゃねぇみたいだな」

秀才「文化祭の日……養護教諭先生は何処にいらっしゃいましたか?」

養護教諭「……?」

秀才「俺と美術部長先輩が魔方陣を解いた時、職員室にいらっしゃらなかったので」

養護教諭「もちろん、保健室にいたが?」

秀才「保健室でメイドさんが交戦していた時は?」

養護教諭「あぁ、その時か。 放送部長のライブを見に行ってたよ」

秀才「一人で……ですか?」

養護教諭「あぁ」

秀才「放送部長のライブに興味が?」

養護教諭「いや、無かったが……情けない事だが魅了魔術にかかってしまってな」

秀才「……あの時、放送部長先輩は」

『はっあーい☆ 皆の学園アイドル、放送部長よ!! 今から体育館でライブをするから生徒の皆集まって♪ 良い席は早い者勝ちよ!』

秀才「とアナウンスしました。 ちゃんと、生徒の皆と魅了する範囲を指定して……貴方に魅了魔術がかかることなどありえない」

オタク「死刑囚達が体育館に集まったら危ないからな」

養護教諭「……」

オタク「しかし、秀才……養護教諭が変換魔術の協力者だとすると、ずっと正体を偽って生きてきたことになるぞ?」

オタク「俺達にも……おさげにも……」

秀才「忘れてたんだよ……自分が禁術家の出身だって」

秀才「忘却薬を飲むことによってね」

養護教諭「!?」

根暗『いや、別にそんな重要な話でも無いんだけどさ……』

根暗『保健室で忘却薬の調合書を見かけて……その時は何とも思わなかったんだけど』

根暗『魔法薬研究会で色々勉強していく内に……何であったんだろうって……その違和感が湧いて……』

秀才『忘却薬か……その忘却薬の調合書には素材の比率は書いていたか?』

根暗『えーっと、うん、書いてたよ』

秀才「忘却薬に対抗する薬は2種類、1つは予防薬。 これは忘却薬の素材の何れかに対応するモノを多量に含んだ丸薬を作るだけで出来る」

秀才「予防薬を飲んだ後1ヶ月は忘却薬を無効化出来る……酷い頭痛を伴うけどね」

秀才「そして、もう1つは解除薬。 これは飲まされた忘却薬のそれぞれに対抗する素材を同じ比率で調合しなければいけない」

養護教諭「詳しいな、秀才」

秀才「僕っ娘に予防薬の方を作って貰った時に教わりました」

秀才「養護教諭先生はおさげの家に引き取られる時に忘却薬で過去の記憶を消し、解除薬を飲むことで目的を思い出し行動した……違いますか?」

養護教諭「……」つ包帯

オタク(逃げる気か!?)

秀才「簡単なモノですが、召喚魔術を禁ずる魔方陣をドアに描かせてもらいました」

養護教諭「ッ!?」

オタク「召喚魔術?」

秀才「恐らく、全身包帯のヤツは人間じゃない。 簡易的に召喚できる使い魔だ」

オタク「……?」

秀才「召喚される時に自身の包帯を巻き付けている対象を一緒に移動させる特性を持ってるんだろう」

秀才「自分の元に召喚した後、別の者に召喚させることで転移魔術の真似事が出来るといったところか」

オタク「……召喚魔術に付随して移動していたわけか」フム

オタク(先程話したばかりなのに……答えに辿り着いていたのか)ゾクッ

オタク「しかし、そんな使い魔聞いたことが無いぞ?」

養護教諭「当たり前だ。 俺が作ったのだからな……こんな風に」つメス

メス「……ハロー」

秀才「!?」

養護教諭「人ならざるモノに人の概念を与える禁術、擬人化魔術……これが俺が継承した魔術だ」

秀才「……職員室に先生を閉じ込めたのは先生ですか?」

養護教諭「そうだが?」

メス「哀 切る 有」ダッ

オタク「くっ! 仕掛けてきたか」ボォ

秀才「三編みさんに羨みの仮面を渡したのも先生ですか?」

養護教諭「……あぁ」

秀才「何のために?」

養護教諭「三編みには串刺しに立ち向かって貰わないといけなかったからな」

秀才「……根暗の目の前で死んでもらわないといけなかった、ということですか?」

養護教諭「解ってるじゃないか。 根暗が暴走して、火魔術家を責め立てれると思ったんだが……立ち直るとは」

「僕っ娘を殺した方が良かったか」

オタク「黙れ」

メス「」

養護教諭「やっぱり、急繕いの使い魔じゃ勝てないか」

養護教諭「だが、数を揃えたら時間稼ぎにはなるだろう」つメス's

メス's「「「「ハロー」」」」

オタク(一体一体が強いな。 秀才を守りながらじゃ養護教諭を捕まえれないか)クッ

養護教諭「じゃあな、二人とも」ガラガラ

秀才(くっ、窓に罠でも仕掛けておけば……何でいるんだ!?)

養護教諭「……よう」

根暗「……」ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ

オタク「根暗!」

養護教諭「俺が憎いか?」

根暗「憎い……です」ニョロン

養護教諭「俺を殺したいか?」

根暗「……たぶん、殺したいんだと、思います」ギュ

養護教諭「……早くヤれよ」

根暗「擬人化魔術家は退魔家なんですか?」

養護教諭「……いや、最強の使い魔作成を目指す探究家だ」

根暗「じゃあ、何で先生は強いんですか?」

養護教諭「…………」

根暗「おさげを……守りたいって気持ちは嘘なんですか?」

養護教諭「……あぁ、全部嘘さ」ニコ

根暗「……僕は貴方を殺さない。 聞かないといけない事がたくさん、あるから」

オタク「養護教諭も自害しないように監視しながら火魔術家で拘束しておく」

秀才「あぁ……おさげに何と説明すれば良いか」ハァ

オタク「ところで、根暗はどうして保健室の外に?」

根暗「二人がその、この前部活中に話してること少し聞いちゃって……あの」

秀才「すまない、内緒にするつもりは無かったんだが……」

根暗「あ、謝らなくて良いよ」アセアセ

秀才「それで、オタクは俺の話を信じる気になったかな?」

オタク「養護教諭の尋問結果しだいだな。 一部の禁術家が土魔術家の目を掻い潜って動いていた可能性もある」

秀才「あまり時間は無いんだが……」

優男「確かにあまり時間は無いね♪」

秀才「……」

オタク「……」

根暗(……誰?)

オタク「何の用だ?」

優男「秀才君に協力しようと思ってね」クス

秀才「……必要ありません」

優男「そんなつれないこと言うなよ」シャキン

オタク(投影魔術でナイフを作った)ザッ

秀才「根暗、優男を触手で……」

優男「遅い」

ザシュ

オタク「……なっ!?」
秀才「……」
根暗「……へ?」

優男「……土魔術家は変換魔術家に……滅ぼされて……い、る」ハハハ

オタク「自分を刺した……だと……」

秀才「やっぱり、貴方も書き換えられていたんですね?」

優男「ハハハ、そう、本当のことを言ったら……自決するようにってね……グハッ」

秀才「何で……笑ってるんですか?」

優男「ハハハ、ハハ、悲しいとか嬉しいとかも……ハハハ、ゴチャゴチャに書き換えられて……ハハハ、しまってね」

優男「実の姉を殺しても、笑うことしか出来なかったよ……」

オタク「そんな……本当にこんなことになっていたなんて」

優男「彼女は? ……土の姫は?」フラ

秀才「大丈夫、火魔術家で保護して貰ってます」ガシッ

優男「……なら、うん……良かった」

秀才「もう、喋らないでください」

優男「最期に……1つだけ……」ハハハ

「秀才君、気付いてくれて……ありがとう」

優男「」

秀才「……何故、彼は笑って死ななければならなかった?」

オタク「……」

秀才「お前はまだ動かないつもりか? 信じないつもりなのか? 火の若!!」

オタク「……二人とも力を貸してくれ」

秀才「オタク!」
根暗「……」コクン

オタク「次世代会議を執り行う!」キリ

―次世代会議

それは、四大元素家の次期当主による魔術社会の在り方を討論し合う会議である。

全ての次期当主が魔術学園に通っている内に執り行わなければなく、替え玉や影武者などは許されない

【魔術学園・会議室】
オタク「……」

お嬢「……」

丸眼鏡「……」

ガチャ

男子生徒「やぁ、待たせてしまったね」ニコ

オタク「お前が土の若か……」

男子生徒「あぁ、本人だよ」

丸眼鏡「……これより、次世代会議を執り行う」

「その前に!」

男子生徒「見てほしい物があるんだ」つ万華鏡

丸眼鏡「それは!?」

男子生徒「ヒ……ヒヒハハ、この距離なら全員に効果があるよね♪」

オタク「しまった!?」

[四大元素家ならば殺し合うのが当たり前♪]

【1週間前・魔術学園・屋上】
お嬢「そんな……土魔術家が……」

丸眼鏡「……火の若、貴方が最初に気付いたの?」

「最初に気付いたのは俺だ」

お嬢「あ、貴方は……秀才さん!!」

秀才「Exactly! 俺だ!!」

丸眼鏡「!?」

秀才「驚いた顔をしてどうしたんだ? 俺が死ぬ運命でも見えていたか?」クス

丸眼鏡「……否定はしない」メソラシ

オタク「……風読み術か?」ギロ

丸眼鏡「火魔術家に兎や角言われる筋合いは無い」

お嬢「今は喧嘩してる場合ではなくってよ」

秀才(……水魔術家が筆頭家というのもあながち嘘ではないのか?)フム

秀才「オタク、彼女は占いによる最適の結果を選んだだけだ」

オタク「しかし……」

丸眼鏡「貴方は……秀才先輩はどうして怒らない?」

秀才「俺のことを信じてくれたんだろ?」

丸眼鏡「?」

秀才「俺ならば運命に打ち勝てるって信じてくれたんだろ!!」ドヤ

丸眼鏡「……この人は賢いの? 愚かなの?」

オタク「紙一重で……うん」

秀才「うんってなんだよ!?」

お嬢「それで、次世代会議を執り行うというのは……?」

オタク「丸眼鏡、博覧会の時に盗まれた万華鏡の効果を確認させてくれ」

丸眼鏡「目を起点とした魔術の補助。 目を合わせなければかけれない魔術を特定の範囲に近付くだけでかけることが出来る」

秀才「なるほど、だから次世代会議を開くのか」

お嬢「?」

オタク「恐らく、変換魔術師の狙いは最初から次世代会議だったんだろう」

丸眼鏡「四大元素家の次期当主全員に一度に変換魔術を行使するのが目的だったということ?」

秀才「恐らくね。 順番にかけていったら、バレるリスクが高まるからね」

オタク「事実、秀才が気が付かなかったらやられていただろう」

お嬢「……一体、どういう風に書き換えるつもりなのかしら」

秀才「例えば、四大元素家ならば殺し合うのが当たり前……等と書き換えられたら」

丸眼鏡「魔術社会は間違いなく崩壊する」

お嬢「つまり、偽の次世代会議を開いて変換魔術師を捕らえるということですのね」

秀才「会議を開く部屋に入った時点で幻覚が見える仕掛けを作れば……出来ると思うが」

丸眼鏡「……失敗は出来ない。 変換魔術師が誰か解らない限り実行は」

「変換魔術師の正体ならば解ります」

オタク「お、お前は……優等生!!」

優等生「……何ですか、その言い方は?」

秀才「変換魔術師の正体が解るって言うのは?」

優等生「おい、入ってこい」

不良「……よっ」

オタク「これはこれは不良殿……なんの用でござるか?」ギロ

不良「お、お前には用はねぇよ。 秀才に俺がカツアゲしてたヤツを思い出したから伝えに……」

秀才「変換魔術を解いたのか!?」

不良「変換魔術? 俺にかかってた魔術の名前か? 解いたと言うか、解ける装置を作ったんだ」

秀才「……お嬢さん、教員全員にその装置を使おう」

お嬢「体育教師先生以外にも変換魔術にかかってる方がいらっしゃるかも知れませんもんね」

秀才「変換魔術師を閉じ込めると同時に教員達の変換魔術は解きたいな」

丸眼鏡「予め解いてしまうと、変換魔術師の存在に気付いたことがばれてしまうから?」

秀才「その通り。 不良、装置は幾つ用意できる?」

不良「材料があれば幾らでも……親父が手伝ってくれたら1日3つは出来ると思う」

お嬢「材料は私が何とかしますわ」

丸眼鏡「会場の仕掛けの準備は私達が担当しよう」

秀才「外部の人間が準備に参加したら、罠がバレるかも知れない」

丸眼鏡「あくまで生徒の力で秘密裏に……ね」

秀才「美術部長先輩と錬金部長先輩に助力を頼めば……」

丸眼鏡「放送部長経由で依頼する」

オタク「俺は何をすれば良い?」

秀才「オタクには協力してくれる退魔家を募って欲しい。 装置を使う時に教員達に抵抗されたら厄介だ」

オタク「双子兄弟辺りから声をかけてみよう」

優等生「俺も若と共に」

オタク「あぁ、頼りにしている」

秀才「作戦決行は1週間後! 各々準備を完璧に仕上げてくれ!!」

不良(……四大元素家に指示を出してる秀才は何者なんだ?)

【現在・魔術学園・会議室】
男子生徒「……止めてよ~、こういうドッキリ、止めてよ~」

秀才『お前が変換魔術師だな?』

男子生徒「放送室から話してるのかな?」

秀才『質問に答えろ』

男子生徒「あ~ぁ、バレてたのか? 酷いな、これじゃあ僕は良い道化じゃないか」ヒヒハハハ

お嬢『何を笑っていますの?』

男子生徒「ん? あぁ、ここの教員達にね、使っておいたんだよ~……変換魔術をね♪」

秀才『知っているさ。 残念ながら、教員達の変換魔術は解かせて貰った』

男子生徒「!?」

【魔術学園・体育館】
教員's「」バタン

優等生「……気を失ってるが大丈夫なのか?」

不良「あぁ、脳を狂わせてた魔力の波長と装置から流れる波長が衝突して、その反動で気絶したんだろ」

優等生「……不良のクセに賢そうなことを言うな。 不良のクセに」

不良「喧嘩うってんのか!?」

ボウズ(優等生さん、友達がいらっしゃったのか……)

【魔術学園・放送室】
放送部長「無事、教員達の変換魔術は解けたみたいよ。 暫く目を覚まさないらしいけど」

丸眼鏡「解った。 会議室の仕掛けも問題ない」

秀才「さて、後ろの声が聞こえたかな? 変換魔術師君」

男子生徒『……君は誰なんだ?』

秀才「2-Cの秀才だ」

男子生徒『ヒヒハハハ、嘘だろ? 四大元素家の関係者でも無ければ、特別な家系の出身でも無い君が? 君が僕を追い詰めたのか? 止めてよ~、腹が捩れるよ~……』

男子生徒『……ふざけるなよ』ギリ

オタク「ふざけているのは貴様だ、男子生徒」

お嬢「貴方の悪行もここまでですわよ?」キリ

男子生徒『君達が僕を悪と言うのかい?』

『人を創る非倫理的罪を平気で犯す火魔術家(きみ)が?』

『人を選別し一部を救って悦に浸る水魔術家(きみ)が?』

『魔術社会の為と言い訳をし救える命を救わない風魔術家(きみ)が?』

男子生徒『僕を悪と責めるのかい?』

男子生徒『魔術社会の害悪は君達だよ。 その家系に産まれただけで僕達を悪と責め続けてきた君達だ』

秀才「魔術社会など知るか!」バン

オタク・お嬢・丸眼鏡「!?」

男子生徒『……』

秀才「お前は俺の友に手を出した。 善悪など関係無い……俺がお前を許さない!!」

男子生徒『モブが偉そうに……ヒヒハハハ、まぁ良いや、四大元素家と一緒に死ねば良いさ』

ガチャ

新会長「……はぁはぁ、皆さん」

お嬢「新会長さん……どうなさったの?」

新会長「も、門がいきなり変化して……」

男子生徒『次世代会議が始まって、10分経っても僕からの連絡が無かったら魔術学園を襲撃するように命じておいたのさ♪』

秀才「無駄だ、すぐに救援が駆け付ける」

男子生徒『それはどうかな?』

秀才「……ゲートに何かしたな!?」

男子生徒『ヒヒヒハハハハハハハハハ!!』

【魔術学園・校門前】
スキンヘッド(先公共がいなくなったから、サボろうと思ったのによ……)

羅生門「」ドン

スキンヘッド「何だよ……これ」

ヤンキー「くそ、押しても開かねぇ」

DQN「ヤンキーどけ! おら、風刃魔術!!」ザンッ

羅生門「」ドン

ピアス「傷1つつきませんね……」

スキンヘッド「たかが門の分際で邪魔してんじゃねぇよ! オラ、お前ら撃て撃て!!」

作家「たかが門、されど門……私の概念強化魔術で作り上げた羅生門はそう簡単に破られませんよ」

ヤンキー「何だテメェ! 門の上から見下ろしやがって……降りてこい!!」

作家「降りたくても……降りれないのです。 演出の為に高いところに登った過去の自分が恨めしい」

DQN「あいつ狙った方が早くねぇか?」ザンッ

ギャル「先生危ないよ~ 召喚、餓鬼ちゃん♪」ポンッ

餓鬼「グヒヒヒヒ」バシッ

語り部「これはこれはギャル女史。 助力感謝いたします」ペコ

ギャル「ウチ、先生のことマジリスペクトしてっから気にしないで♪」ポンッポンッポンッポンッ

ピアス「何だ? 小さい鬼みたいなのがたくさん……ひっ、逃げろ!」

ギャル「鬼ヤバいっしょ? ウチの鬼種召喚魔術♪」

【魔術学園・放送室】
ボウズ「若! 学内に鬼の使い魔が多数! 塀から学外に出ようとした生徒がいましたが……」

秀才「出られなかったんだね?」

ボウズ「え、えぇ……」

秀才「単に門を丈夫にした訳じゃないみたいだね」フム

お嬢「といいますと?」

秀才「恐らく、門と言う概念自体を強化したんだ。 門は出入口……その概念を強化することで門以外からの出入を出来なくしてるんだと思う」

オタク「何人かが門に攻撃していたが破れなかったな……」

丸眼鏡「生半可な攻撃では破れない……風来坊でも破壊は難しいか」

お嬢「とりあえず、鬼に対する対処と門に対する対処をしましょう」

丸眼鏡「一般生徒の避難が優先だ。 これは魔術社会を守る戦い、四大元素家以外は……」

秀才「全校生徒の皆さん聞こえますか?」つマイク

丸眼鏡「何を勝手に……火の若?」

オタク「……邪魔をするな」ガシッ

【魔術学園・講堂】
秀才『現在、魔術学園は変換魔術師率いる禁術使いの襲撃を受けています』

不良「秀才の声か? おい、優等生、ここは俺に任せて行ってこいよ」

優等生「あぁ、恐らくここが避難場所になる。 生徒の誘導を頼んだ」

【魔術学園・理科室】
秀才『四大元素家は魔術社会の運命をかけた戦いだと言っている。 君達は講堂に避難しろと言っている』

ポニテ「僕っ娘! 早く避難するよ!!」

僕っ娘「待ってくれ、回復薬の材料だけでも……もう、見てるだけは嫌なんだ」

ポニテ「……よし、私が担ぐからカゴに入れて」

僕っ娘「ありがとう!」

【魔術学園・生徒会室】
雑用「新会長先輩、大丈夫でしょうか?」

書記「あいつはそれなりに強いから大丈夫だよ」

会計「早く避難しましょう! 四大元素家に任せておけば……」

秀才『でも、それは違う!』

書記・会計「……」ピタ

【魔術学園・放送室】
秀才「守りたい思い出があるだろ? これは僕達の過去を賭けた戦いだ!」

秀才「叶えたい夢があるだろ? これは僕達の未来を目指す戦いだ!」

秀才「生きて欲しい友がいるだろ? これは僕達が今を生きる戦いなんだ!!」

オタク「……皆、一緒に戦ってくれ」

「よく言った! 俺に任せておけ!!」ムキムキムキムキ

丸眼鏡「…彼は…門の真ん前で何してるの?」

【魔術学園・校門】
脳筋「おぉ! キレてきた! キレてきた! キレてきた!!」ムキムキムキムキ

作家「暑苦しき肉達磨よ、見るに耐え無いから立ち去りたまへ」

脳筋「キレてきた! キレてきた! キレてきた!」

ギャル「マジウゼー、餓鬼ちゃん達やっちゃって」ビシッ

餓鬼's「「「グヒヒヒヒ……グハッ」」」

チャイナ「脳筋、弱いくせに出しゃばるなって言ったヨ?」

脳筋「ガハハハ、やはり来てくれたか? すまんが暫く俺を守ってくれ」

チャイナ「情けない先輩あるな」

脳筋「キレてきた! キレてきた! キレてきた!」

『体育教師先生が校長先生を裏切ったらしいわよ?』

脳筋「キレてきた! キレてきた! キレてきた!」

『熱血教師は演技だったのか……全校生徒に対する裏切だな』

脳筋「キレてきた! キレてきた! キレてきた!!」

【ある日の運動場】
脳筋「はぁはぁ……」

体育教師「脳筋……こんな時間まで鍛練か?」

脳筋「せ、先生!?」

体育教師「毎日遅くまでよくやるな」つタオル

脳筋「しかし、自分は全く武術が身に付きません……筋肉はキレているのに、動かし方が……はぁ」

体育教師「3年間……お前は誰よりも鍛練を積んできた。 だから、努力が足りんなんて言わんさ」

脳筋「……」

体育教師「脳筋、諦めろ」

脳筋「そ、そんな……」

体育教師「一人で戦うのは諦めろ。 お前は一撃は大きいが溜めるまでに時間がかかる。 仲間と協力して戦った方がいい」

脳筋「自分が力を溜めてる間守ってもらえと? そんな都合の良い仲間が出来るわけが……」

体育教師「出来るさ、お前が仲間を信じきれば! お前が仲間を、その信頼を」

「裏切ら無ければな」ニコ

【現在・魔術学園・校門】
脳筋「お前達は汚してはいけないモノを汚したッ!!」ムキムキムキムキムキ

ギャル「ちょっ! 先生、大丈夫だよね? 羅生門は壊されないよね?」アセアセ

作家「壊されるわけがない! 我が最高傑作、羅生門! それは魔術を弾き物理を無効化する鉄壁の……」

チャイナ「この馬鹿に理屈は効かないよ」フフ

脳筋「体育教師先生直伝……マッスルインパクト!!」ドゴォォォォォォォオオン

作家「……羅生門が……私の傑作が跡形も無く……」パタリ

ギャル「ちょっ! 先生逃げないとオニヤベーって……あふん」パタリ

チャイナ「これで鬼共はいなくなるあるな」

脳筋「チャイナ!!」ダキッ

チャイナ「の、脳筋! ダメあるよ! いきなり何するあるか!!」アセアセ

グサッ

脳筋「……チャイナ……逃げろ」ゴホッ

チャイナ「脳筋……何で……」

紳士「無駄な抵抗は止めていただこうか?」

魔壊連合残党's「……」ズラー

紳士「君達は包囲されている」

チャイナ「いや、ある……あんたは私が……守るね」ギュッ

脳筋「何で……だ?」

チャイナ「そういう約束あるからな」ニコ

紳士「では、二人一緒に死んで頂こう」ジャキン

脳筋(空中に……赤い剣が……)

紳士「さらばだ」

ニョロン ギュッ

「似たような場面に居合わせたことがあるんだ」

チャイナ「……根暗」

根暗「その時も襲われてる二人を助けようとして、戦ったんだけど……僕の覚悟が足りなくて、大切な人を失った」ブツブツ

紳士「ほう、私の血剣を止めますか? 皆さん、一斉射撃!!」

ダダダダダダダダダダダ

根暗「だから、次同じような事があったら迷わずに、触手に従って戦おうと思ってた」ブツブツ

チャイナ(触手の壁で受け止めた!?)

根暗「それが触手魔術師らしいやり方なのかも知れないと思ってね」ブツブツ

紳士「そうですか! 貴方が根暗さんですか! 触手魔術師ならばこちら側に来ませんか? 魔術社会が憎いでしょ?」

根暗「それも触手魔術師らしい選択なのかも知れない」

根暗「……でもね、僕はこの学園が好きなんだ」

紳士「はい?」

根暗「魔術社会は……嫌い、なのかも知れない。 それでも、魔術学園が好きだから」

根暗「触手魔術なんて……関係無い」

根暗「僕は僕として此処を守る」キリッ

紳士「ふむ、なるほど……それでは仕方ありませんね」

紳士「ふふふ、私の血魔術で葬って差し上げましょう」ニタァ

【魔術学園・放送室】
お嬢「秀才さん、避難を希望する生徒は講堂に集めましたわ」

秀才「解った。 回復魔術を使えるもの達は?」

お嬢「えぇ、鬼にやられた方々の治療をして貰っています。 僕っ娘と喪女さんが回復薬を調合してくれていますわ」

オタク「転移魔術で避難出来るヤツは逃がした方が良くないか?」

丸眼鏡「それはいけない。 博覧会で転移魔術に対する関与が見られた」

秀才「転移魔術が正常に使える状況ならば、ゲートを使わずに救援が来てくれるはずだしね」

お嬢「講堂の防衛は私とメイドを中心に行いますわ」

メイド「……いや、私は根暗を助けに」

秀才「いや、メイドさんの魔術はなるべく使わない方がいいものなんだろ?」

メイド「秀才、察しがついてるんっすか!? ……解ったっすよ」

秀才「講堂の中の事は新会長達に任せよう」

丸眼鏡「ッ! 秀才先輩、猛者が来る」

秀才「風読み術とは便利なモノだ……さて、迎撃するか」

【魔術学園・校舎裏】
襤褸「ここが魔術学園か……えーっと、講堂に避難してるんだっけ?」キョロキョロ

襤褸「あっ! あれか……重力魔術♪」

ドシン

襤褸「これでぺしゃんこに……なってない? ……距離が遠かったかな?」

風来坊「近付いた方が強力になるのか?」

襤褸「うっは、独り言聞かれちゃった? 恥ずかしいな……重力魔術」

風来坊「ぐっ……こんなもんかよ?」グッ

襤褸(耐えた? 肉体強化だけじゃないな……風の音?)

襤褸「上昇気流でも纏ってるわけか」

風来坊「察しが良いじゃねぇか……さぁ、やりあおうぜ?」

襤褸「……これは厄介だね、トホホホ」

【魔術学園・講堂】
美術部長「……何やら振動が来たが何とか耐えきれたな。 まさか、こんな正確な防衛魔方陣が書けるとは」

書記「正確に書くことには自信がありますからね」

美術部長「もっとも効率的な防衛魔方陣の配置計算がこの速度で出来たのも驚きだ」

会計「計算だけなら秀才先輩にも負けませんよ」ドヤ

書記「俺達にはそれしか出来ない」

会計「それでも、必要としてくれた人がいたから」

書記・会計「生徒の未来は俺達が守る、生徒会の名に懸けて!!」

【魔術学園・中庭】
美熟女「ふふ、学生時代を思い出すわ……ふふ、ふふふ、ふふふふ、嘘よ、禁術使いが学園に通えるわけないじゃない」

幼女「……」プルプル
幼男「……」プルプル

美熟女「さて、暴れなさい、殺しなさい、可愛い子供たちよ」つ鞭

パチン

幼女→狼女「ワオォォォオオン!!」
幼男→狼男「ワオォォォオオン!!」

美熟女「……そこで見てる貴方も私に飼われたいのかしら?」

召使い「悪いな、飼い主はもういるんだ」つ水刀

美熟女「ふふ、私の服従魔術に耐えきれるかしら?」

【魔術学園・放送室】
秀才「風来坊先輩と召使いならば心配いらないか……オタク、ボウズと優等生は?」

オタク「魔術学園から抜け出しゲートの様子を見に行くように指示をした。 あの二人ならば問題なく辿り着くだろう」

丸眼鏡「放送部長も同行させた。 何かあれば私に連絡がくる」

秀才「解った。 丸眼鏡さんは風読み術で気が付いたことを逐一教えてくれ」

丸眼鏡「解った……もう一人来る」

秀才「何!? くっ、相手の戦力も馬鹿に出来ないな」

オタク「秀才、丸眼鏡……指揮は二人に任せて良いか?」

秀才「……我慢の限界か? オタク?」

オタク「優等生が、ボウズが、そして根暗が命をかけて闘っているのにじっと何かしてられない」

秀才「解った……死ぬなよ?」ニヤ

オタク「デュフフフ、当たり前だ」ニヤ

【魔術学園・廊下】
オタク「さて、俺の相手はお前か……」

根暗女「……」

オタク(……根暗に似てるな)

根暗女「……あー」ニョロン

オタク「何!? 何故、触手魔術を!?」

根暗女「あぅ!」ニョロン ニョロン

オタク「くっ! 攻めてきたか」ボォォオオオ

オタク(コイツもホムンクルスなのか? 根暗以外に触手爺から作られたホムンクルスがいるなんて聞いてないぞ!?)

【魔術学園・校舎裏】
風来坊「おら!」ブンッ

襤褸「う~ん、少し動きが鈍くなるぐらいか? まさか、重力魔術にここまで耐えれるヤツがいるとはね」サッ

風来坊「避けてねぇで、仕掛けてこいよ」

襤褸「あんまり、接近戦は得意じゃないんだよ……そろそろ、潰れてくれないかな?」

風来坊「へへ、なら威力あげりゃあ良いだろ?」

襤褸「……でかい図体の割りに賢いな」

風来坊「重力魔術……魔力の消費量が多いんだろ? ここで消費し過ぎたら講堂を潰せない……といったところか?」

襤褸(知識があると言うよりは、戦いなれているというところか……)

襤褸「はぁ……もういいや、諦めるよ」

風来坊「逃げるつもりか?」

襤褸「……僕はね、産まれたときから土魔術家に監禁されて生きてきた。 だから、大切なモノなんて何も無いんだ」

襤褸「僕はね、一度くらい外に出てみたいと思ったから変換魔術師に協力したんだ。 だから忠誠心なんて無いんだ」

襤褸「僕はね、夢も無ければ目標も無いんだ。 だから自分の命に価値を見出だせないんだ」

「だから、もういいや。 うん、生きて君達を倒すのを諦めるよ」

風来坊「……何をやるつもりだ?」

襤褸「もうやったよ? 重力魔術奥義……隕石落下♪」

風来坊「そんなこと……出来るわけが……」

襤褸「出来るさ……ゲホッ……僕の全魔力を使ったらね……」バタン

襤褸「君も……僕と一緒に……諦めて……死のうよ♪」

風来坊「……諦めるかよ! 俺は強いんだ! 強いって言ってくれたヤツがいたんだ!!」ダッ

【魔術学園・放送室】
ガチャ

風来坊「……丸眼鏡! 隕石が落ちてくる!!」

秀才「隕石!? そんなことまで出来る魔術師がいたのか!?」

風来坊「お前の風魔術で俺を上空に打ち上げてくれ!」

秀才「そんなことをしたら風来坊先輩は……」

風来坊「……命をかけてでも守りたいんだよ、生徒会長が守ろうとした此処を」

丸眼鏡「……許可出来ないな」

風来坊「何故だ! 丸眼鏡!!」

丸眼鏡「彼が守りたかったモノに風来坊が含まれていないと思う?」ジト

風来坊「……」

秀才「しかし、隕石はどうする?」

丸眼鏡「……校門で敵の侵攻を止めている根暗、講堂で防御の要となっているメイド……二人に比べれば彼女は目立たないのかも知れない」

丸眼鏡「だが、忘れて貰っては困る……こちら側にいる第1級危険魔術師は……3人だ」クイッ

丸眼鏡(腐女子……任せた)

【魔術学園・屋上】
腐女子「……守りたいモノが皆あるんだよね?」

生徒会長霊「……」シュイン

腐女子「その為に皆、命をかけたんだよね?」

校長霊「……」シュイン

腐女子「私は死霊術師……死者を愚弄する魔術の使い手」

執事霊「……」シュイン
薬師霊「……」シュイン

腐女子「そんな私に使われるのは嫌かもしれない……でも、今生きてる皆を救うために……力を貸して」

三編み霊「……」ニコ

腐女子「霊魂合成……圧縮……圧縮……圧縮……」

隕石「……」ゴゴゴゴゴゴゴゴ

腐女子「石コロなんかにこの学園は破壊させない」

腐女子「死霊術奥義……守護霊砲!!」

【魔術学園・放送室】
風来坊「隕石が……砕けた……」

丸眼鏡「この学園を守りたいと願った魂を圧縮し、隕石にぶつけた」

秀才「……それだけ、たくさんの人が犠牲になってきたということか」ギリ

男子生徒『え? 何? 僕のせい? とりあえず、隕石を破壊してくれてありがとうね』フゥ

秀才「後でぶん殴ってやる、覚悟しとけよ」

男子生徒『ヒヒハハハ……まだまだ、君達の勝ちは決まってないよ』

【魔術学園・中庭】
召使い「……はぁはぁ」ボロボロ

狼女・狼男「ガルルルルル」

美熟女「……貴方、ふざけているのかしら?」

召使い「いや、大真面目だ」ダッ

美熟女「無駄よ! いきなさい!!」

狼女「ガルル!!」ザン

召使い「おっと」サッ

狼男「ガウ!!」ブン

召使い「ぐふっ……くっ、そう簡単に近付かせてくれないか」ヨロヨロ

美熟女「どうして、私だけを狙ってきているのかしら? 狼男達を先に始末した方が楽でしょ」

召使い「この子達は……あんたに戦わされてるだけなんだろ?」

美熟女「ふふふ、産まれながらの化け物であるこの子達に同情する何て甘いわね」

召使い(お嬢様の為にも早くこいつを倒さないといけない)

『化け物も……苦手っすか?』

召使い(ならば、躊躇せず狼男達を倒した方が良いのだろう)

『じゃあ、私も苦手ってことっすね~』

召使い(……お嬢様の隣にいるためには)

『召使いには私がいるじゃないっすか』

召使い「例え産まれながらの化け物だとしても……幸せになる権利はあるだろ」

召使い「産まれながらの化け物でも……それを理由に蔑ろにされて良いわけが無いんだ!!」

美熟女「青いわね。 ふふふ、もう少し早く貴方に出会っていたら恋に落ちていたかも知れないわ」

美熟女「でも、この歳に成るとね……そんな綺麗事、耳障りでしか無いのよ!」

狼男・狼女「ガルルルルル……ガッ!!」

ジャラララ

美熟女「鎖!?」

「いやぁ、全くもって同感だ。 平和ボケした綺麗事なんて不愉快でしょうがねぇよ」

召使い「……卑怯者」

卑怯者「よぉ、召使い……これは貸しだからな」

召使い「すまん……感謝する」

卑怯者「素直に言われると調子狂うぜ」ハァ

美熟女「ふふふ、ふふふふ、ふふふふふふ……何、勝った気になってるの?」

「そんなボロボロの体で私に勝てるのかしら」ガルルル

美熟女→狼美女「この産まれながらの化け物である私に勝てるのかしら?」

召使い「あんたも……人狼だったのか」

狼美女「ふふふ、本当にもっと早く貴方に出会いたかったわ……召使い君」

召使い(くっ、子供達より遥かに強そうだな……)

召使い「卑怯者……俺が食い止める。 助けを呼んできてくれ」

卑怯者「何でテメェの命令聞かないといけねぇんだよ。 勝算もねぇのに俺が出てくると思ったか?」

狼美女「美女をほったらかして喋ってるんじゃないわよ」

「HAHAHA!じゃあ、ここからは俺がお相手させて貰おうか!!」キック

狼美女「次から次へと」ギリ

アフロ「安心しな、俺がリーサルウェポンさ!」ビシッ

召使い「アフロ先輩!!」

狼美女「中々、素早いじゃない? でも、速いだけじゃ女は喜ばないわよ?」

召使い(ウィンデーネを憑依させているアフロ先輩がおされてる……)

卑怯者「安心しろ……あの人は負けねぇよ」

アフロ「じゃあ、激しくいくぜ? 精霊憑依魔術、イフリート!!」

狼美女「くっ!? そんな、力付くじゃ……」

アフロ「テクニシャンがお好みかい? 精霊憑依魔術、ニンフ!!」

狼美女(どんどん強くなっていく……早く仕留めないと)ブンッ

アフロ「硬さも大事だよな? 精霊憑依魔術、ノーム!!」ガンッ

召使い「……俺と戦ってたときは本気じゃなかったのか?」

卑怯者「卑怯な作戦にのった分、1精霊縛りにしてたらしい……」

卑怯者「ひひ、魔術技会であれだけ暴れておいて本気じゃなかったなんて嫌なジョークだろ?」

アフロ「四大元素精霊憑依……エレメンタルダンスフォーム!!」

召使い「アフロ先輩のアフロが虹色に輝いている!?」

狼美女「こんなふざけたヤツに私が! 負けるなんて、負けるなんて!!」

アフロ「負けちまいな、レディー。 化け物ごっこなんて止めちまいたいんだろ?」

アフロ「エレメンタルブレイクダンス!!」

狼美女→美熟女「……そうだったのかも、知れないわね……これで、私は化け物じゃなく……なれる」パタン

召使い「この人は……何で変換魔術師なんかに協力していたんだろうな」

卑怯者「さぁな……案外、ガキ共(人狼達)が生きやすい未来の為かも知れねぇなぜ?」

【魔術学園・廊下】
根暗女「」プスプス

オタク「……はぁはぁ、根暗ほど触手魔術は使いこなせなかったようだな」

オタク(……嫌な気分だ)

オタク「……物思いにふけっている場合ではないな」ハァ

根暗女2「あぅ!」ニョロン

オタク「何!?」

根暗女3「あうあうあー」
根暗女4「あぅんあ」
根暗女5「あ、あぁうあ」

オタク「何体作られたんだ……くそ」ボォオオオ

根暗女's「」

オタク「はぁはぁ、これで全員か」

「まだ、一人残ってるよ?」

根暗「……僕と彼女達は変わらない」

オタク「根暗……?」

根暗「彼女達を殺すことは僕を殺すことと変わらないんじゃないかな?」

オタク「……」

根暗「僕はね、君が憎いよ。 僕達を作っておきながら、用がすんだらあっさり処分する君が」

「ねぇ、オタク……死んでくれないかな?」

オタク「断る! 火爪!!」ザンッ

根暗「な、何だと!?」

オタク「二次創作だとしても出来が悪いでござるよ」デュフフフ

オタク「根暗と同じホムンクルスが作られていた、という設定はリアリティーがあって気付けなかったが」

オタク「根暗が俺を裏切るなんて、同人誌でもあり得ない」キリッ

根暗→パジャマ「酷いね、僕の悪夢魔術を同人誌と比べるなんて……」

パジャマ「あぁ、僕達にもそれぐらい信じてくれる人がいれば……良かった、のにな……」バタン

オタク(信じてくれる人がいれば……か)

オタク「お前達も魔術社会の被害者なのかも知れないな」

【学外・ゲートの広場】
優等生「無事たどり着いたか……」

ボウズ「根暗先輩が敵を引き付けていたお陰で楽に来れましたね」

放送部長「あ、あんた達……足、速すぎ……てっ、ゲートが!?」

ボウズ「やはり、全て破壊されていますね」

優等生「放送部長先輩、風の姫に報告を」

放送部長「はい」

優等生「ボウズ、破損状況を確認するぞ」

ボウズ「はっ!」

【魔術学園・放送室】
丸眼鏡「秀才先輩、やはりゲートは全て破壊されていた」クッ

男子生徒『ヒヒハハハ! 残念だったね、秀才君!! ヒヒヒハハハハハハハハハ』

秀才「よし、ならばまだ手はある!」グッ

男子生徒『ハハハ……へ?』

丸眼鏡「どういうこと?」

秀才「敵には転移魔術を妨害する魔術師がいるはずだ……ならばどうしてゲートを破壊しなければならない?」

丸眼鏡「……ゲートによる転移は妨害出来ないから?」ハッ

秀才「ゲートを1つでも用意出来たら、そこから救援に来てもらえるというわけさ」ニッ

男子生徒『そんなもの出来るわけが……』

秀才「探究家の人間が何人いると思ってるんだ? してみせるさ」

丸眼鏡「放送部長に使えそうな部品を持ち帰るように指示する」

秀才「あぁ、じゃあ、俺は協力者を募るとするか」つマイク

【魔術学園・講堂】
回復部長「怪我人はこちらに集まってください」

おさげ「……」モクモク

新会長(ぶっ通しで回復魔術を使っているけど、大丈夫かしら?)

僕っ娘「チャイナ、この薬を脳筋に飲ませてくれ。 回復魔術が効きやすくなる」つ薬

チャイナ「ありがとう」

喪女「僕っ娘先輩……調合終わりました」

僕っ娘「あぁ……この量をこの短時間で!?」

喪女「は、はい、液体操作魔術を使ってその……えっと」

僕っ娘「今回の件が終わったら、是非魔法薬研究会に来てほしいな」

ポニテ「勧誘してる場合じゃないでしょ? この薬、運ぶわね!」

僕っ娘「あぁ、任せた」

秀才『講堂にいる皆、聞こえるか?』

美術部長「秀才君か……」

秀才『たくさんの探究家が避難していると思うんだが……悔しくないか?』

秀才『戦えない自分が歯痒くないか?』

秀才『……転移魔術が使えず、救援が来れない状況だ。 ゲートでの移動は出来るようだが……全て破壊されてしまっている』

秀才『……今から、破壊されたゲートの部品を講堂に運び込む……俺と同じ探究家の諸君! 後は解るな?』

『俺達の戦いの始まりだ!!』

錬金部長「……転移魔術師の中で魔方陣による転移魔術を使う者はいないか?」

マスク「ん、僕の転移魔術は魔方陣を使うけど……」ゴホゴホ

錬金術師「出来る限り大きな魔方陣を書いてくれないかい? それを起点にゲートを復元しよう」

マスク「解った……」

書記「手伝おう」

錬金部長「美術部長、魔方陣の理論読み取り作業をしてほしいんだが」

美術部長「任せてくれ」

会計「講堂の大きさから計算して……もっとも大きな魔方陣を描くための円の直径は」カキカキ

錬金部長「後は形だな……私だけで出来るだろうか」

生物部長「錬金の、専門外だが出来る範囲で手伝うぞい」

不良「……おい、錬金部長…先輩……俺にも手伝わせてくれ」

錬金部長「君は?」

不良「俺は不良……雷博士の息子だ!」

錬金部長「それは心強い!!」

【魔術学園・校門】
根暗「……はぁはぁ」

紳士「素晴らしい! やはり、弱者が何人集まっても君には勝てないか」パチパチ

根暗「仲間がやられたのに……どうして平気な顔でいられるの?」

紳士「仲間? ふふ、彼等のことを仲間だなんて思ってないさ……彼等は私にとって武器に過ぎない」ズズズズ

根暗(……残党の体から血が抜かれていく!?)

紳士「さぁ、ここからさ化け物同士……存分にしあおう!!」ジャキン

根暗「くっ! こんなにたくさんの剣を……でも……」ニョロン ギュッ

紳士「ほう、全て止めるか? ならば……これは如何かな?」つ大剣

根暗(召使いと戦い方は似てる……でも、力は紳士の方が強い!)サッ

紳士「避けたか? 賢い判断だ」

根暗「吸いとった血で肉体強化してるのか……」クッ

紳士「あぁ、彼等の血は我が武器であり我が力……彼等の体はそれを運ぶ器に過ぎないということさ」

根暗「……そんな」

紳士「根暗君、今からでもこちら側につく気は無いかい?」

紳士「戦って解った。 君は強い。 私と同じ化け物と呼ばれる存在なのだろう」

紳士「そんな、強き存在である我々と乱雑に転がっている彼等の命が等価値で在るわけがない!!」

紳士「弱者を基準にすれば私達は確かに化け物かも知れないが、私達を基準とすれば彼等は家畜と変わらないんだ!!」

紳士「だから、さぁ……私の手を取っておくれ。 一緒に私達が人でいられる世界を作ろう」

【魔術学園・放送室】
丸眼鏡「……触手が魔術学園を覆っていく」

秀才「あぁ、暖かいものだな……触手の中というものは」フッ

【学外】
ニョローン

放送部長「ファッ!? 触手が伸びてきた!?」

優等生「……根暗が近道を作ってくれたみたいだな」

ボウズ「急ぎましょう」

【魔術学園・校門】
紳士「全て……君が操ってるのかい?」

根暗「いや、触手達には魔術学園とその生徒を助けるように指示を出しているんだ」

紳士「それでは、まるで触手1本1本が独立した生物みたいじゃないか」

根暗「……」ニコ

紳士「自身の魔力で生命を作り出し、従属させるなんて……」

根暗「解ったかな? 僕と比べると貴方は十分人間だ」

「化け物には程遠い」

紳士「ならば、本体を狙うだけのこと!!」ザンッ

パリン

根暗「……」

紳士「そんな……素手で、我が大剣を……!?」

紳士(腕に何重にも重なった微細な触手を巻き付けているのか!?)

紳士「ば、化け物め!?」

根暗「うん、それで良い」ナグリ

紳士「」

根暗「化け物は……僕だけで十分だ」

根暗(何時か、退治される未来が訪れるとしても……ね)

オタク「デュフフフ、勝ったのにうかない顔とは……中二病臭いでござるよ」カタクミ

根暗「オタク……」

オタク「暴走せずに戦えたな、偉い偉い」ナデナデ

根暗「や、止めてよ、頭撫でないで!」アタフタ

腐女子「ぶはっ!? このカップリング、俺得!!」

根暗「腐女子さん!?」

風来坊「何だ? もう終わっちまったのか?」

根暗「風来坊先輩!」

召使い「根暗……助けに……ゴホッ」
卑怯者「お前は大人しく講堂で治療受けてこい」

根暗「召使い、大丈夫?」

オタク「とりあえず、攻めてきた奴等は撃退したみたいだな……俺達も講堂に行こう」

根暗「……」

「根暗、早く来いよ」

根暗「うん」ニコ

【魔術学園・講堂】
オタク「……秀才! 状況は?」

秀才「あぁ、君達の方も落ち着いたか……もうすぐ完成する」

錬金部長「不良くん、電気を流しておくれ」

不良「雷撃魔術!」

ゲート「」クパァ

錬金部長「よし、無事開通だ!」

秀才「……待て、ゲートから誰か出てくるぞ?」

火当主「……よくぞ、耐えきった」
水当主「ン♪ 後は私達に任せておくれ」
風当主「といっても、ほとんど終わってしまった後みたいだけどね」

丸眼鏡「秀才先輩……」

秀才「あぁ、俺達の勝利だ!!」

生徒一同「うおぉぉぉぉぉおおお!!」

火当主「世代交代……思っていたより、早く来るものだな」

水当主「えぇ……そうですね」

【魔術学園】
根暗(この学園に入学してもうすぐ3年になるが……僕の生活はあまり変わらない)

根暗(変換魔術師は閉じ込めた部屋ごと当主様達に運ばれて、監禁されているらしい)

根暗(処遇については本当の次世代会議で話し合う……とオタクは言っていた)

僕っ娘「君、早く研究会に行くぞ? 僕の研究会に!!」ドヤ

根暗(僕っ娘は喪女さんが入り公式になった魔法薬研究会にご満悦だ)

僕っ娘「おや? オタクは休みか?」

ポニテ「オタクは今日は四大元素家の会合があるって」

僕っ娘「ほぉ、やけに彼の予定に詳しいな」ニヤニヤ

ポニテ「うるさい!!」///

根暗(ポニテさんも相変わらず、研究会に参加している。 ただ、とある名家に嫁ぐことが決まり花嫁修業が忙しいらしい)

僕っ娘「ほら、行くぞ?」グイッ

お嬢「あら、僕っ娘……今から研究会かしら」

僕っ娘「お嬢は会合があるんじゃないのか?」

お嬢「じ、時間がまだありますので……」

メイド「会合が始まるまで、火の若様といるのが気まずいんっすよね?」

僕っ娘「あぁ、告白してフラれ……」

お嬢「それ以上は言うんじゃありませんわ!?」ダー

根暗「め、召使い……チャンス、かもよ」コソコソ

召使い「もう少し落ち着いたら考えてみるよ」ハハハ

メイド「フラれても、召使いには私がいるっすよ」ニヤニヤ

召使い「それも、良いかもな」フッ

メイド「なっ!?」///

根暗(お嬢さんは失恋のショックから中々立ち直れずにいるらしい。メイドと召使いは前より距離が近くなった……気がする)

根暗(僕の周りで一番変わったのは……)

秀才「た、助けてくれ~~~!!」

根暗「し、秀才!?」アセアセ

召使い「またか」ハァ

丸眼鏡「秀才先輩、今日こそよい返事をいただこうか」

風来坊「何で、俺がこんな事にかりだされないといけねぇんだよ」ハァ

放送部長「風魔術家からの正式な仕事何だから文句言わないの」

丸眼鏡「風魔術家に婿に来ていただけるね?」

秀才「いや、段階を飛ばしすぎだろ!? まずは恋人とかそういう……」

丸眼鏡「ん? それは恋人にはなってくれるということか?」

無口「……」ギュゥ

秀才「無口さん!?」

無口「彼は土魔術家が婿に貰い受ける」

丸眼鏡・無口「…………」ゴゴゴゴゴ

放送部長「キャー、恋の大戦争勃発ですね! 頑張れ、丸ちゃん!!」

根暗「放送部長先輩……」コソコソ

風来坊「あぁ、あいつ……楽しんでやがるな」ハァ

根暗(近々、秀才をめぐった風魔術家VS土魔術家の戦いが始まるかも知れないとオタクが言っていた)

腐女子「ひぃひぃ……追い付いた……風来坊先輩と根暗先輩顔が近い……根暗×風来坊! キタコレ!?」ブハァ

メイド「登場早々鼻血を吹き出してんじゃないっすよ」フキフキ

腐女子「サーセンw マジサーセンwww」

根暗(3P会議は相変わらず不定期開催。 不真面目な雑談に真面目な議題が入り交じって相変わらずカオスな状況だ)

お嬢「そろそろ、時間ですわね。 御二人とも会合に行きますわよ?」

丸眼鏡「今日の会合で白黒決める」
無口「…………受けてたつ」

秀才「俺がいないところで婿入り先を決めないでくれたまへ!?」

根暗(僕は根暗……昔、世界の3割を征服した触手鬼の細胞から作られたホムンクルスだ)

メイド「お嬢が会合で、今日は召使いは部活は無いんっすよね? かーっ、二人とも暇ってことっすね」チラチラ

召使い「……何処か出掛けるか?」

メイド「し、しょうがないっすね」

召使い「ゴスロリも誘って」

メイド「……」ハァ

根暗(自身の魔力から触手という生命を産み出す触手魔術の使い手で)

風来坊「俺ももう行って良いか? 喧嘩の約束があるんだが?」

放送部長「あぁ、アフロとヤり合うって言ってたわね」

腐女子「や、ヤり合う!?」ブハァ

風来坊「放送部長、わざと言ってるだろ?」

放送部長「テヘ☆ お詫びに実況しにいってあげるわ♪」
腐女子「じ、自分、解説しに行きます!!」ハァハァ

風来坊「来んなよ」

根暗(正真正銘の化け物だ)

僕っ娘「ほら、僕達もそろそろ行くぞ」

根暗「……うん、そうだね」

男子生徒『まさか、君が面会に来てくれるとはね』

根暗『……』

男子生徒『僕みたいな人間はこれからも出で来るよ?』

男子生徒『魔術社会は化け物を産み出す癖にそれを蔑ろにする』

『あるものは閉じ込められ』
『あるものは兵器として利用され』
『あるものは……処分される』

男子生徒『僕を処分しても……同じことの繰返しなのさ』ヒヒハハハ

男子生徒『そんな魔術社会で君はどう生きていく?』

根暗『化け物として生きていく』

『僕以外の誰かが化け物と恐れられないように』
『僕以外の誰かが化け物と疎まれないように』
『もう誰も化け物を産み出したいなんて考えないように』

根暗『僕は圧倒的な化け物として生きていくよ』ニコ

男子生徒『……君と僕は似たような存在だと思っていたんだ』

男子生徒『火魔術家に管理されていたら、君のような人生を生きていけたのかと羨んでいたんだが』

男子生徒『ヒヒハハハハハハ! それは僕の勘違いだったみたいだね』

男子生徒『さぁ、僕らはもう会うことは無いだろう』

『―さよなら、化け物』
『―さよなら、人間』

根暗「それでも……良いんだ」

僕っ娘「……ん? 何の話だ?」

根暗「君が傍にいてくれるなら、それでも良いや」ニコ

僕っ娘「何の話だ!?」///

根暗(化け物だとしても、傍にいてくれる人達がいるから)

Fin

これにて完結です!
読んでくださった皆様方、ありがとうございました!

また、気が向いたらその後の話とかリメイク版とか書きたいと思います(笑)

割りと魔王とか魔法使いの話とか気にしてくれてる人いるんですね(汗)

後日談というより、2期のようなモノを書くことにしたのでまた暇でしたら読んでやってくださいm(__)m

レヴィアタンは違う方ですね
私はこれ以外だとネクロマンサーが出てくるお話しか書いてません。

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