幼馴染「遅いよ。ずっと待ってたのに」(60)

幼馴染「心配したんだよ?」

男「ごめん、寄り道してたから」

幼馴染「どこ行ってたの?」

男「えっと……本屋」

幼馴染「ふーん」

幼馴染(ウソつき)

幼馴染「遅いよ。ずっと待ってたのに」

幼馴染「なんで出ないの? 何回も電話したのに」

男「ごめん、携帯の電源きれちゃってて」

幼馴染「ふーん」ピポパ

ブーッブーッ

幼馴染「鳴ってるよ?」

男「勘違いだった! あ、あはははっ!」

幼馴染「うふふっ、男くんのうっかりさん」

幼馴染(ウソつき)

幼馴染「遅いよ。ずっと待ってたのに」

幼馴染「心配だから学校まできちゃった」

男「ふ、服!」

幼馴染「え?」

男「びしょぬれだよ!」

幼馴染「ああこれ? 傘忘れちゃったから」

幼馴染「でもいいの。わたしの服なんかより男くんのほうが大切だから」

男「風邪引かないようにね」

幼馴染「わたしが風邪引いたら看病してくれる?」

男「うん」

幼馴染「学校があっても?」

男「……うん」

幼馴染「ありがとう。男くんは優しいね」

幼馴染(ウソつき)

幼馴染「遅いよ。ずっと待ってたのに」

幼馴染「看病してくれるっていったよね?」

男「ごめん、やっぱり学校を休むのはよくないから」

幼馴染「うん、授業は出たほうがいいよ」

幼馴染「でも放課後になってからもう三時間近くたってるよね?」

幼馴染「なんですぐにきてくれなかったのかなぁ?」

男「よ、寄り道してたから」

幼馴染「どこに?」

男「えっと……本屋」

幼馴染「また本屋?」

男「ゲームセンター! そう、ゲームセンターだよ!」

幼馴染「だいじょうぶ? もしかして風邪うつしちゃったかな」

男「平気平気。バカは風邪引かないっていうし」

幼馴染「もぅ……男くんったら」

幼馴染(ウソつき)

幼馴染(男くん、放課後なにやってるんだろ?)

幼馴染(心配だからこっそりついてきちゃった)

男「遅いな……」

幼馴染(だれを待ってるのかな?)

女「ごめーんっ!」

男「あ、女さん」

女「ふぃーいろいろやることあってさ。待った?」

男「ううん、全然」

女「じゃ行こうか! 出発しんこーっ!」グイッ

男「わわ。いきなり腕引っ張らないでよ」

幼馴染「…………」

幼馴染「遅いよ。ずっと待ってたのに」

幼馴染「今日はどこに行ってたの?」

男「えっと……本屋」

幼馴染「ウソだよね?」

男「じゃなかった。ゲームセンター!」

幼馴染「ウソつかないで」

男「うっ……!」ビクッ

幼馴染「ねぇ、お願い。ほんとのこといって?」

幼馴染「わたし、全部知ってるんだよ?」

男「ごめん、なにをいってるのかさっぱり……」

幼馴染「とぼけるのはやめてよっ!!」ダンッ!!

男「…………」

幼馴染「…………」

幼馴染「男くん、女さんといっしょにいたでしょ」

幼馴染「腕を組んで仲良さそうに歩いてた」

幼馴染「二人でアクセサリーショップの中に入っていった」

幼馴染「わたし、この目でちゃんと見たんだよ?」

幼馴染「女さんとはどういう関係なの?」

男「知らない」

幼馴染「わたしになにを隠し事してるの?」

男「知らないよ」

幼馴染「ウソばっかり」

幼馴染「この期に及んでなんで平気でウソがつけるのかなぁ?」

幼馴染「わたし、男くんの考えてることがよくわかんないよ」

幼馴染「男くんはこんな子じゃなかった」

幼馴染「昔はもっと正直な子だった」

幼馴染「わたしにウソなんてつかなかったよ……!」

タッタッタッ

男「まって!」

男「…………」

男(幼馴染ちゃん、泣いてた?)

男「幼馴染ちゃーん!」

ドンドンドン

男「大事な話があるんだ!」

ドンドンドン

男「お願いだから開けてよ!」

ガチャッ

幼馴染「…………」

男「幼馴染ちゃん」

幼馴染「おはよ。久しぶりだね」

幼馴染「入って?」

幼馴染「話って?」

男「俺、幼馴染ちゃんにずっと隠し事してた」

幼馴染「嬉しいよ! やっと打ち明ける気になってくれたんだ!」

男「そのことなんだけど……」

男「明日まで待ってもらえないかな?」

幼馴染「明日?」

男「その……心の準備とかあるから」

幼馴染「明日になったら全部話してくれるんだよね?」

男「うん、約束する」

幼馴染「わたし、男くんのこと信じていいんだよね?」

男「うん、幼馴染ちゃんに信じてもらえるように俺頑張るよ」

幼馴染「嬉しいよ男くん。やっと本当のこといってくれたね」

幼馴染「わたし、男くんのこと信じるよ」

幼馴染「だから……二度と裏切らないでね?」

幼馴染「ねぇ、男くん」

男「ん?」

幼馴染「明日がなんの日かおぼえてる?」

男「え、なにかあったっけ?」

幼馴染「ほんとにおぼえてないの? 明日は特別な日なんだよ?」

男「ごめん、おぼえてない」

幼馴染「あはっ」

幼馴染「あはははははははははははははははははははは
    ははははははははははははははははははははは
    ははははははははははははははははははははは
    ははははははははははははははははははははは」

男「お、幼馴染ちゃん……?」

幼馴染「あ、ごめんねぇ。男くんが面白いこというから笑いがとまらなくなっちゃって」

幼馴染「引いちゃったよね?」

男「そんなことはないけど。特別な日って?」

幼馴染「忘れちゃったぁ」

男「え?」

幼馴染「忘れちゃうようなことだから、きっと大したことじゃないんだよ」

男「明日の放課後、屋上で待ってるから」

幼馴染「うん」

バタンッ

幼馴染「…………」

幼馴染(大したことじゃない。そうだよね)

幼馴染(男くんはわたしのことなんてどうでもいいと思ってるんだから)

幼馴染「うっ、ひっく……」グスッ

幼馴染(おかしいな。涙は出し尽くしたはずなのに)

幼馴染(苦しいよ男くん。わたし、いつになったら楽になれるの?)

>>1です。書き溜めできたので明日投下します

予定変更
時間できたので今から投下します

幼馴染(女さんがいなくなっちゃえば、消えてしまえば……)

幼馴染(男くんはわたしのことを見てくれるのかな?)

幼馴染(この苦しみから解放されるのかな?)

幼馴染(いなくなっちゃえば……!)

幼馴染「!」

幼馴染「や、やだ……ッ!」ブルブル

幼馴染(なに考えてるの? そんなこわいこと……)

幼馴染(わたし……悪い子だ)

幼馴染(女さんがいなくなったとしても)

幼馴染(こんな性格の悪い子、男くんが見てくれるわけない)

幼馴染(好きになってくれるわけない)

幼馴染(もっとふつうの明るい子のほうがいいに決まってる)

幼馴染「そっか……」

幼馴染(はじめから勝負はついてたんだ)

幼馴染(わたしなんて……勝負の舞台にすら立ててなかったんだ)

キーンコーンカーンコーン

幼馴染(放課後だ。屋上に行かなきゃ)


幼馴染「…………」

幼馴染(このドアの向こうに男くんがいる)

ギュッ

幼馴染(ドアノブが回せないよ)

幼馴染(なにやってるんだろわたし。自分から言い出したことなのに)

幼馴染(いまさらなにをこわがってるの?)

幼馴染(男くんとの約束を自分から破っちゃうの?)

幼馴染(それでいいの?)

幼馴染「ううん……」

幼馴染(もう覚悟はできてるよ)

幼馴染(笑顔で応援してあげよう)

幼馴染(恥ずかしがる二人を思いっきり冷かしてあげよう)

幼馴染(わたしは男くんの理想の幼馴染でいるんだ)

幼馴染(これからはワガママいうのもやめるよ。だから最後に一つだけ)

幼馴染(お願いだよ男くん。わたしのこと、好きになってくれなくてもいいから)

幼馴染(わたしのこと、嫌いになっちゃやだよ……)

ガチャッ

パンパンパンッ

幼馴染「え?」

男「幼馴染ちゃん!」

クラス一同「誕生日おめでとうーーー!!」

ドンドンパフーパフー

幼馴染「え? え? え?」

幼馴染「な、なに? な、なにが、なにが起こってるの?」

男「幼馴染ちゃん、今日誕生日だよね?」

幼馴染「そうだけど……」

男「これはそのお祝いだよ」

幼馴染「おぼえて……たの?」

男「忘れるわけないよ。だって幼馴染ちゃんの誕生日だよ」

幼馴染「じゃあ、なんであの時おぼえてないって……」

男「ネタバレしたらサプライズにならないでしょ」

男「幼馴染ちゃんを驚かせるためにやったことなんだから」

幼馴染「あ」

男「サプライズ大成功だね」

男友「誕生日おめでとう。これ、寄せ書き」

幼馴染「あ、ありがとう」

女「女子のみんなでケーキ作ったんだ。あとでいっしょに食べようね」

幼馴染「うん、ありがとう」

オタク「フヒヒッ……僕のコレクションわけてあげる」

幼馴染「ごめん、いらないです」

オタク「後悔してもしらないよ……フヒッ」

男「喜んでくれた?」

幼馴染「う、うん。わたし、なんてお礼言ったらいいのか……」

幼馴染「……ま、まって!」

幼馴染「まだ納得できないことがある!」

幼馴染「男くん、女さんとアクセサリーショップに行ってたよね。あれはどういうことなの?」

男「あの日は女さんにプレゼント選ぶの手伝ってもらってたんだ」

幼馴染「プレゼント……?」

男「俺、女の子になにをプレゼントしたらいいのかよくわからないからさ」

男「女の子の視点なら参考になると思って女さんにお願いしたんだよ」

幼馴染「ウ、ウソだ! ウソだよ!」

幼馴染「わたしは男くんに優しくされる理由がない! 男くんはウソついてるんだよ!」

幼馴染「あのとき女さんと腕組んでたじゃない! あれはどう説明するの!」

幼馴染「どう見たって恋人にしか見えないよ!」

女「歩いてるときに人の腕ひっぱちゃうのがわたしのクセなの」

女「直そうとは思ってるんだけどねー」

女「というかわたし彼氏いるし。ね、ダーリンっ!」

男友「ね、ハニーっ!」

モブ男「お、おまえらいつのまに……」

男「ということ。納得してくれた?」

幼馴染「ウソみたい……」

男「はい、これが俺からのプレゼント」

幼馴染「もらっていいの?」

男「もらってくれると嬉しいな」

幼馴染「開けてもいい?」

男「うん」

カサ

幼馴染「きれい……」

男「指輪はちょっとキザだったかな」

幼馴染「ううん、嬉しい。とっても、とっても嬉しいよ」

幼馴染「ありがとう。わたし、一生大切にするね!」

男友「男ーなにか忘れてないかー」

男友「あと二つほどサプライズ用意してあるんだろ」

男「ちょっ、黙ってろ!」

幼馴染「え?」

男「あーーごほん。心の準備、昨日のうちにしといたから言うよ」

男「俺、幼馴染ちゃんのことが好きだ」

幼馴染「え? え? え?」

男「俺の彼女になってほしい」

幼馴染「お、おかしいよ男くん。わたしなんてわたしなんて……」

男「俺は幼馴染ちゃんが好きだよ」

幼馴染「あ、あうぅう……! お、男くんは知らないんだよ」

幼馴染「ほんとうのわたしはもっと悪い子で、汚くて、醜くて、嫉妬深くて……」

幼馴染「ワガママだし。すぐにヤキモチ焼いちゃうめんどくさい女の子なんだよ?」

幼馴染「男くんに好きになってもらう資格なんかない女の子なんだよ?」

男「勝手に決めつけないでよ」

男「そういうところも含めて、俺は幼馴染ちゃんが好きなんだ」


幼馴染「う、うあぁぁあ……! で、でも、でもでもでもっ!」

チュッ

幼馴染「///」

男「信じてくれた?」

幼馴染「夢じゃないんだね。これって夢じゃないんだよね?」

男「夢じゃなくて現実だよ」

幼馴染「幸せだよ。わたし、幸せすぎて死んじゃいそうだよぉ」

男「死ぬなんていわないでよ。これからもいっしょにいてくれないと困るよ」

男「幼馴染ちゃん、俺の彼女になってください」

幼馴染「遅いよ。ずっと待ってたのに」

幼馴染「ずっと、ずっと前から待ってたんだよ?」

幼馴染「うっ、ひっぐ……毎日毎日男くんを見るたびに胸が張り裂けそうで辛くて」

幼馴染「わたしのこと好きじゃないんだって……今日で全部あきらめようって思ってたんだよ?」

男「遅くなってごめん」

ギュッ

幼馴染「ばかぁ……こわかった。こわかったんだから!」

幼馴染「わたしも男くんが好き! 大好きだよっ!」

幼馴染「男くん、わたしをあなたの彼女にしてください」

ワーワーッ!! ヒューヒューッ!!

男友「青春だなぁ。ハニーとの馴れそめを思い出すよ」

女「幼馴染ちゃん、男くん、末永くお幸せに!」

オタク「爆発しろ爆発しろ爆発しろ爆発しろ爆発しろ爆発しろ爆発しろ爆発しろ爆発しろ」

モブ男「さて、ひと段落ついたところで次の演目にうつります」

モブ男「ミュージックスタート!」

ズンチャッチャ♪ ズンチャッチャ♪ ズンチャッチャ♪ ズンチャッチャ♪

男「ほら、涙をふいて」

幼馴染「今度はなにが始まるの?」

男「ダンスパーティー。女の子なら喜ぶかなと思って」

幼馴染「うふふっ!」

男「ダ、ダメだった?」

幼馴染「嬉しい! お姫様になった気分だよ!」

幼馴染「足踏んじゃったらごめんね」

男「全力でフォローするよ。この日のために毎日練習してきたんだから」

幼馴染「男くん」

男「なに?」

幼馴染「しっかりエスコートしてね、わたしだけの王子様!」

男「まかせてよお姫様!」





おしまい!

本編はこれでおわりです
見てくれた人ありがとうございました!

本編はってことはおまけもあるん?

>>47
一応後日談を考えてあります
書き溜めができ次第投稿する予定です

このSSまとめへのコメント

このSSまとめにはまだコメントがありません

名前:
コメント:


未完結のSSにコメントをする時は、まだSSの更新がある可能性を考慮してコメントしてください

ScrollBottom