提督「お断り勢しかいない」大井「あ、あの……」 (342)


提督「……ケッコンカッコカリの指輪が届いたけど……」


千代田「ウノは?」

山城「…………不幸だわ」

比叡「いや、それはただの不注意じゃ……?」

龍田「はいじゃあついでにドロー4あげるわね」

筑摩「私からもどうぞ。あ、色は黄色で」

山城「不幸だわ……」



提督「ここで使い道なくねー?」

大井「……そーですね」

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提督「まぁいいんだけどさ。今でも十分やってくれてるしさ」

大井「……本当にいいんですか?」

提督「ん……そりゃ、できればとも思うけどさ」


龍田「はいあーがり」

比叡「にばーん!」

山城「えぇ、最初からわかってたもの……別にショックじゃないわよ……」

筑摩「じゃあ次はなにします? 人生ゲームでもします?」

千代田「負け抜けで麻雀は?」

山城「それ、私が抜けた方が早くないかしら……?」


提督「あいつらに……」

大井「?」

提督「お前だろ? いやいやいや、無理だろケッコン」

大井「……べつにそうとは限らないんじゃないですか?」


提督「そうかぁ?」

大井「一応、言ってみたらどうですか? もしかしたら……って事もあるかも知れませんよ?」

提督「んー……まぁ、そうか」

大井「……例えば、私とか――」



提督「あのさぁ、ちょっといいかー?」

龍田「あらぁ、お仕事かしらぁ?」

提督「いやカッコカリの指輪が届いたんだけど」

山城「私の心は扶桑お姉様と共に……」

龍田「天龍ちゃんが一人になっちゃうからー」

千代田「千歳お姉が心配だから……」

比叡「私の心はお姉さまに……」

筑摩「心に決めた姉さんが……」

提督「ですよねー」


大井「んもう!」


【間が悪い】

提督「んー、どうしたもんかなぁ……」

比叡「あれ? 大井さんには聞いたんですか?」

提督「え? あぁそういやまだだな……ま、こうなると消化試合の色が強いけど」

龍田「そうかしらぁ? もしかしたらってこともあるかもしれないわよぉ?」

提督「大井がそう言ったから一応お前らに聞いた結果が今さっきのやり取りなんだが」

山城「とりあえず行ってください、私達はここで遊んでるので」

提督「いや、仕事しろよ」




大井「……はぁ」

提督「おっ、いたいた……」

 prrr prrr

大井「ん、……もしもし? あ、北上さん!? 近くに、そうなんですか!? じゃあ折角だから一緒に――」



提督「……うん、これは無理だな! 他の五人と同じ顔してるもんな!」


―――

山城「私以外が無敵の時にスマッシュボール取ってしまうなんて……不幸だわ」

龍田「はいドーン」

筑摩「はいじゃあ山城さん抜けて私ね」

山城「だから言ったのに……」

千代田「カウンター」

比叡「カウンター返し!」

千代田「そんな!?」

大井「あら、提督は?」

山城「え、会ってない? 貴女にも一応指輪をって話をしてたけど」

大井「……えっ」

比叡「断り文句考えといた方がいいですよー」

大井「え、えぇそうね! じゃあ、ちょっと行ってくるわね。……執務室に戻ってるかしら」

千代田「……なんでそのタイミングでカウンター打てるのよ!」

比叡「日頃の訓練の賜物でーす」


―――

提督「……んー」

 (扉の開く音)

大井「あ、失礼します……」

提督「おぉ丁度いいところに」

大井「っ」びくっ

提督「仕事手伝ってくれ、相変わらずあいつら遊んでばっかだからさ。
    まともに事務仕事手伝ってくれんのお前位だよ」

大井「ま、まぁいいですけど……」

提督「悪いなー大井っち」

大井「その呼び方やめてください」


―――

提督「……」

大井「……」そわそわ

提督「…………」

大井「……こほん」そわそわ

提督「?」

大井「あー、んん゛! ……あー」

提督「なんだよ騒がしいな」

大井「……」

提督「……あっ、そういえば」

大井「はい!」

提督「この指輪今度明石来――

大井「仕方ないですねいいですよ! 本当に提督は私がいないとダメなんですから!」

提督「――た時に返却しといてくれって……早いな、ちゃんと聞いてたか?」

大井「聞いてましたから! さぁ、指輪を!」

提督「お、おう……じゃあ確かに預けるから、明石によろしくな」

大井「はい! ……ん?」

提督「ん?」


―――

山城「ポン」

千代田「ごめんなさい山城さん、ロンなんです」

山城「不幸だわ……」

比叡「これで山城さんのトビで終了ですね」

山城「だから最初から私抜きでやれば良いって言ったのに……」

筑摩「仲間外れは可哀想ですから」

龍田「それに山城さん以外の最下位交代にしてるからいいじゃない」

山城「仲間外れか弱い者苛めの二択しかないなんて……不幸だわ」




大井「……はぁ~あ」


比叡「あ、大井さん。ずいぶん暗い顔してますけどどうしました?」

大井「え? ……ちょっとなにがなにやらわからなくなって」

筑摩「あ、混ざります?」

山城「できれば私と交代して欲しいわ……見てるだけが一番気楽よ……。
    まぁ、他の人の配牌見て自分との差に凹むのだけどね……不幸だわ」

大井「……今の私は手加減できませんよ?」


大井「立直一発一盃平和一通清一赤一」

比叡「ひぇー……」

大井「運の悪さなんて実力で捻じ伏せればいいんです」

山城「せ、先生……!」

筑摩「そんな馬鹿な」

千代田「三人ハコってそんなのアリ?」

大井「ふふふ……今ならなんでもできそうです」

龍田「ちなみになんでそんなに荒ぶってるのか聞いてもいいかしらぁ?」

大井「……これなんですけど」

比叡「おっ、指輪! よかったですね!」

大井「え?」

千代田「エルボー!」

比叡「がっふ!」

龍田「ちょーっと比叡さんは向こう(精神世界)行ってましょうねぇ」

比叡「」

山城「で、その指輪がどうしたのかしら」

大井「あれ、いま比叡さんなにか――」

筑摩「なにも」

龍田「なーんにも、ちょっとアホの子だから時々45度の角度で殴らないといけないのよぉ」

大井「……え、なんか痙攣してますけど」

山城「武者震いみたいなものよ」

千代田「んふぅ……こほん。で、様子がおかしいのはその指輪の所為なのよね?
     なに、強引に迫ってきて咄嗟にボコボコにしちゃった?」

大井「なっ! そんなことするわけないじゃないですか! あの提督が!」

筑摩(そんなことしませんって、そっちの訂正なんですね)

龍田「そうねー、真面目さんですものねぇ」

大井「そ、それに別に迫られるのは……」

千代田「色々と隠しきれてないから」ぼそ

大井「え?」

龍田「ゴッドハンドクラッシャー!」

千代田「痛い痛い!」


龍田「まったくお馬鹿さんばっかりねぇ」

千代田「いったぁ……」

龍田「で?」

大井「え?」

龍田「で?」

大井「……えっと、どうせ使い道ないから明石さんに返しとけって、渡されたんですよ」

筑摩「あら、じゃあ返しちゃえばいいじゃないんですか」

山城「んふふ……、そうね。どうせ誰も乗り気じゃないんだし返しちゃいましょう」

大井「え、でもそれは……」

千代田(というかなんでそうなったの? さっきは大井にも言いに行くみたいなこと言ってたのに)

龍田(さぁ? またなにか変な間の悪さでも発揮したんじゃないかしら?)

大井「もったいないですし、貴重な物ですし……。それにそれに……」

千代田「じゃあ断ればよかったじゃない」

大井「あの……既に引き受けてしまったというか、なんというか」

山城「? ……あっ(察し) 貴女も中々不幸だわ」

比叡「んぅ~、もち米のショートケーキ……栗二倍増し……」

龍田「何言ってるのこの子」


―――

龍田「と、言うわけで緊急会議のコーナー」

山城「次、資材が搬入されるのは3日後ね」

筑摩「それまでは大井さんが指輪を持っていると」

千代田「もー面倒くさい性格してるんだからもー」

比叡「すみません、ちょっとついてけないんですけど……説明をください」

龍田「かくかくしかじかよ~」

比叡「えっと……誰かまともに説明してくれる人……」

山城「おおざっぱになるけど……提督が大井さんに渡しに行こうとして、なにかが発生提督がやっぱやーめたってなりました」

筑摩「多分、大井さんの部屋に行って表側を見たか電話してるところをみたか、その辺ですね」

比叡「あ、わかりました。その後いつ言われるのかそわそわしてて別の事言われる→食い気味で了承→え? の流れですね」

千代田「大井さんもなんでそのまま勢いで訂正せずに受けちゃうのかなぁ……」

龍田「らしいけどねぇ。そうじゃなかったらもっと早く進展してるもの」

比叡「それでどうするんですか? 明石さんに言って返却不可ってことにしてもらえばとりあえず
    ここに指輪が留まるわけですからまた使う気になりますかね?」

山城「あら、たまには良いこと言うじゃない」

比叡「たまに!?」

龍田「八割しょうもない事しか口にしないものね」

比叡「え、ごはん毎日美味しいですよ?」

龍田「……えいっ!」

比叡「痛い痛い!」


―――

提督「えー、諸君出撃だ。上からの報告によれば艦隊構成はヲ級Fが1タ級が2チ級が1ハ級が2。
    珊瑚海に出現、ソロモン海方面を経由しつつラノングガ付近を約30ノットで北上中、
    目的地はわからんが今さっき俺達ベララベラ島駐屯部隊の迎撃範囲に入った」

龍田「んー、なんでこんなところを割としっかりとした艦隊がふらついてるのかしらぁ?」

提督「知らん」

大井「まぁでも空母がヲ級一隻なら千代田さん一人でも平気でしょ」

千代田「え、うそん」

提督「一応山城と筑摩も2枠瑞雲の12型積んで行ってもらって、大井で最初にタ級一隻。
    あとは比叡がヲ級を叩いて龍田は千代田のガードでさくっと頼んだ」

山城「さくっと」

筑摩「さくっと」

比叡「ほっぺいったーい」

龍田「もちもちほっぺだったわぁ」

大井「なにやってるんですか」

比叡「大井さんの所為ですからね」

大井「?」

龍田「クロスチョップ!」

比叡「ぎゅ」

提督「ちょっと、出撃前に一隻減らすのやめてくれる?」


――― 省略

大井「帰りました」

千代田「久しぶりにまともな仕事した感じ」

山城「たまには思い切り撃つのもいいものね……」

筑摩「すっきりしますね」

龍田「ただ、ねぇ?」


比叡「MVP取りました!」

提督「おぉ偉いぞー」

比叡「もっとまともに褒めてください! はぐれ相手じゃなくてちゃんとした艦隊とやったんですから!」

提督「よーしよしよし、いいこいいこ」

比叡「ふふーん!」


大井「……」

龍田「大丈夫よ。アレ、犬みたいなものだから」

大井「だ、大丈夫ってなんの話ですかいきなり!」

筑摩「龍田さん」

龍田「あらやだ」


筑摩「はぁ、それはそうと……提督いいですか?」

提督「んあ? なんだい筑摩」

筑摩「大井さんから話を聞いたんですが指輪を返却するらしいですね」

龍田「それはちょっともったいないんじゃないかしらぁ。ねぇ?」

大井「そ、そうでう……そうですね。一応任務の報酬としていただいた物ですし、それを返すのはどうかと」

提督「でもな……誰も受け取る気ないんだろ?」

龍田(おっ……)「はい、ごめんなさいね」

筑摩「受け取れません」

山城「同じく」

千代田「興味ない」

比叡「残念ですが受け取れません」

提督「大井は?」

龍田(ここ受け取るって言ってくれれば)

大井「え、あ……」ちら

千代田(言えー)

筑摩(言ってください)

大井「う、受けとるわけないじゃないですか!」

提督「ですよねー」

龍田「……んもー!」

大井「いったい! な、なにするんですか!」

龍田「もー! もー!」

大井「や、やめ……なに!?」

提督「いや俺に聞くなよ」

ダチョウ倶楽部のノリでいけば…


龍田「面倒くさくなってきたー」 ごろん

大井「えぇぇぇ……」

提督「おい床に寝るなよ」

龍田「あ、ひんやりするぅ」

比叡「じゃ私も」

筑摩「しなくていいです」

比叡「えー」

提督「ちょっと流れがわからない」

千代田「いや、でも龍田さんの気持ちはよくわかる。本当面倒くさい」

提督「なにが」

大井「そうですよ、なんで私は叩かれたんですか!」

山城「胸に手を当てて考えてみたら?」


―――

龍田「緊急会議そのにー」

筑摩「はい」

龍田「……どうしましょう?」

比叡「山城さんがズドンと言っちゃうから~」

山城「……貴女に言われるなんて……不幸だわ」

千代田「で、どーすんの? 飛び出して行っちゃったけど」

山城「顔が青くなったり紅くなったり大変だったもの」

筑摩「本気で隠せてるつもりだったんですね」

龍田「まさかあんなにもショックを受けるなんてねぇ」

比叡「と、言う訳なんですけど。司令! あとは頑張ってください」

提督「……え、うそやん」


龍田「ホントホント、騙されたと思っていってらっしゃい」

提督「俺お前のその台詞で騙されたことが過去幾度となくあったんだけど」

筑摩「ダメですよ提督、細かい事を気にしていると頭皮に影響が」

提督「おいヤメロ」

山城「どれどれ……」

提督「いてぇ! おい引っ張るなよ抜ける!」

千代田「あれ、そういえばいまいくつだっけ?」

提督「この流れで年齢聞かれるのすげぇ嫌なんだけど」

比叡「大丈夫です、お若いですよ」

提督「うるせぇ」

龍田「じゃなくて、ほら大井さんのとこ行ってきてってば」

提督「……え、ちょっと待って。マジで?」

龍田「さんのーがー……」

提督「おいカウントダウンやめろ、なにするつもりだよ」

龍田「スクラップフィスト」

提督「デモチェどこだよ」

個人的に気に入ってるだけです(カウントダウン)
生まれも育ちも神奈川東京で旅行で出たこともほとんどないマン


―――

大井「うぅ……うぇ……すん」

北上『あのさー……いい加減話してくれない? 電話でてから五分ずっと嗚咽しか聞こえてないんだけど』

大井「……うぇ、き、ぎだがみざぁ~ん……」

北上『あいあい、ぎだがみざんだよ~。ぱちもんだよ~、ほれほれ話せ話せ~』

大井「……わ、私……もうダメかもしれません」

北上『なにがあったの? 振られた? 嫌われた?』

大井「もっと悪いんです……」

北上『もっと……なに? 憎まれた? 恨まれた?』

大井「そんな……そんなことになったら私……ふぇぅ」

北上『あ、やべ』

球磨『どしたクマ?』

北上『あ、球磨姉変わって。大井っちがなんかなまらめんどい』

球磨『なまら? ……もしもし大井クマ?』

大井「く、球磨お姉ちゃぁん……」

球磨『ふぁ!? だ、誰だこいつ!』

北上『なに言われた?』

球磨『球磨お姉ちゃん大好きって言われた』

大井「大好きはいってないです……」

多摩『多摩にも、多摩にも代われにゃ! ……もしもし大井にゃ?』

大井「球磨姉に変わってください」

多摩『なんでにゃ!?』

大井「ちゃんとした場面では語尾を取る球磨姉に相談がしたいんです」

多摩『多摩は自分を曲げないにゃ!』


球磨『どけ』

多摩『にゃー……』

球磨『で、なにがあった? 明日休みだからそっち行って直接話するか?』

大井「それは、大丈夫です」

球磨『ならいいけど、甘える時は甘えて良いクマ』

大井「ふふっ、はい……それで、こっちであったことなんですけど」

球磨『おうどんとこい』


―――

球磨『なるほど、周りが所謂お断り勢ばかり、と』

大井「はい……」

球磨『最初は周りもそんなんだし自分も北上という大好きな姉妹が居るし提督にキツくあたってたと』

大井「……はい」

球磨『でもだんだん好きになって、けど態度は変えられなかった、と』

大井「……そうです」

球磨『とうとう指輪が来たわいいけど、提督もみんなに嫌われてるから使わないだろうと判断して』

大井「嫌われてはいません、慕っているけど恋愛対象じゃないだけです。
    他のみんなにも好かれてはいますのでお間違えなく」

球磨『お、おう……。で、とにかく使わないから返そうぜーってなって、焦って』

大井「はい」

球磨『わたわたしてたら提督以外のみんなには隠せてるつもりでバレバレで』

大井「うぅ……」

球磨『なんかもうわかんなくなって逃げてきた訳と』

大井「……そういう事です」

球磨『……わりかしお前が悪くねー?』

大井「そ、それはわかってますけど! で、でも提督も全然気づいてくれなくて!」

球磨『そりゃ正面切って断ったり怒ったりしてりゃそうなるクマ。
    ツンデレをツンデレと理解できるのは第三者だけクマ、やられる側はたまったもんじゃない』

大井「うぐぅ……」

球磨『どうせみんなにバレてるならこれ以上恥の掻きようもないだろ? 一発ぶつかってこい』

大井「で、でも」

球磨『でもじゃねークマ。一旦指輪を返したら最後、その状況で改めて指輪を買い直すことはまずないクマ。
    だったら動かなくちゃしゃーねークマ』

大井「……っ」

球磨『ん? なにか言ったクマ?』

大井「だって……告白は提督にしてもらいたいじゃないですか……」

球磨『うわ乙女が居る!』

多摩『にゃ?』

球磨『帰れ』

多摩『ひでぇにゃ』


大井「……」

球磨『ま、気持ちはわからんでもないクマ』

大井「姉さん……」

球磨『なんだかんだで姉妹で一番大井がそういう所あるのはわかってたし』

大井「そ、それはそれで恥ずかしいですね……」

球磨『姉の目を舐めるなクマ』

大井「あはは」

球磨『それに姉としては、やっぱり妹に幸せになって欲しいし、
    けど会ったことのないそっちの提督より妹贔屓の物の考え方になって
    半端なアドバイスもしたくない』

大井「大丈夫ですよ。姉さんと話してて頭も随分冷えました」

球磨『と、言うと?』

大井「私、提督が好きです。こんなに親身に話を聞いて、真剣に考えてくれてる球磨姉さんより、多分好きです」

球磨『そか。……なら良いクマ。頑張れ』

大井「はい!」

 (ノックの音)

大井「ひゃ!?」

提督「俺だ」

球磨『お?』

大井「な、なんですか提督」

提督「……話は聞かせてもらった」


大井「………………っ!!!!?」

球磨『え、ちょっとなにが起きてるクマ? 大井、大井ー!』

提督「先に言っておく、済まない大井」

大井「え……」

提督「お前がそうだったように、いや、装っていただけだったんだったか……」

球磨『なにごとー!? なにクマー!?』

多摩『どうしたにゃー?』

北上『またバグった?』

提督「とにかく、皆が俺に接してくれるように俺も皆に対して、なんというか……友達であって、
    仲間であって戦友であって同僚であって家族であって部下であって。だから」

大井「……はい」

提督「好きではある。が、それが異性としてのそれでは正直ない」

大井「…………はい」

提督「だが、お前の気持ちは聞いた。……だから、その……」

球磨『わっかんねークマ、なんか声は聞こえるけど、多分提督がきたっぽい?』

多摩『お、夕立かにゃ?』

球磨『スターバーストストリーム!』

多摩『にゃぁぁ!』

北上『ばーかばーか』

大井「はい」

提督「これから、お前の事をちゃんと見ようと思う。これから、好きになっていこうと思う」

多摩『ふっつうにしばかれたにゃ!』

提督「だから、それまで待っててくれるか?」

大井「提督……」

北上『ざまぁ』

多摩『にゃめんにゃ』

提督「ちゃんと俺が心からお前に渡したいと思ったと――」

球磨『にゃあにゃあうっさい! もう少し静かに……!』

大井「あー! もう!」

 ツー……ツー……

大井「……改めてどうぞ」

提督「……しまんねぇなぁ」

大井「んふ……ココらしくていいんじゃないですか?」

提督「だな。……ま、とにかく。今度改めて渡すからよ、いまは指輪返してくれ」

大井「はい」


提督「ん、確かに」

大井「……ただ、あれですよ」

提督「あ?」

大井「もうバレちゃいましたから」

提督「おう」

大井「みんなも、知ってたみたいですし」

提督「だな、俺だけが気づいてなかったみたいで、本当に申し訳ない」

大井「いえ、いいんです。ただ、これからはもう隠しませんし、遠慮しませんから」

提督「……え?」

大井「一日でも早くその日が来るようにこれからはちゃんと努力します」

提督「はっは、かかってこい。俺はそう簡単に堕ちないぞ」

大井「とりあえずこれからは私がご飯作りますから、それから秘書艦は私だけにしてください。
    それから朝は私が起こしますから目覚ましは要りませんね。
    それから今度釣りに付き合わせてもらってもいいですか? いいですね?
    それから――」

提督「いやいや、それからそれからってお前は漱石かよ」

大井「とにかく! これからよろしくお願いしますね」


【で】

龍田「金ガジェ召喚、効果起動なにか?」

比叡「手札誘発ないでーす」

龍田「銀ガジェ召喚、効果で赤ガジェ。効果でサーチ黄色。
    手札からギータスペンデュラムスケールにセット、効果起動手札からゼピュロス切って
    デッキからマイクス。マイクス効果で黄色ガジェ、効果で緑。
    銀と金でギアギガントX、効果起動デッキからバードマン、
    バードマン効果でマイクス戻してSS、赤と黄色でX。効果でデッキからデビフラ。
    ギータス戻して墓地からゼピュロス、効果で400バーン。
    ゼピュロスとバードマンでシンクロ、エンシェントフェアリー。
    エンシェントフェアリー効果で緑召喚、効果で赤サーチ。
    エンシェントフェアリーとX一体でヌトス召喚、効果で赤召喚、黄色サーチ。
    手札からギータスとマイクスをセッティング、手札から黄色とデビフラをペンデュラム召喚。
    黄色効果で緑サーチ、赤と黄色でエメラルでSS、デビフラ効果で5000払って
    エクストリオSS、エメラル効果でXと赤と黄色戻して一枚ドロー。
    エメラルとXで未来皇ホープSSエンド」

比叡「じゃあ未来皇ホープとエクストリオをリリースして手札からラヴァゴーレム」

龍田「ああああああ!!!」

比叡「さらにヌトスリリースしてヴォルカニッククイーン、ヌトス効果はこっちのフィールドにカードがないから不発。
    で、デビフラもリリースで二体目のクイーンSS、手札から所有者の刻印起動。、
    三体でダイレクトアタックで8000ジャスト」

龍田「……そのデッキでやるなら最初に言ってよ」

比叡「対策されると終わるので」

山城「え、なにあれ。なにやってるの……?」

千代田「え、遊戯王でしょ?」

山城「私の知ってる遊戯王と違う……」

筑摩「最近こんなものよ? 比叡さんのは違うけど」

比叡「バックが薄くいデッキ昨今の環境デッキ相手だと楽しいです!」

龍田「けたぐり!」

比叡「いった! 戦艦にその技はシャレになりません!」

 (扉の開く音)

大井「さ、提督」

提督「いや、扉位自分であけるっつーに……なんで比叡のたうち回ってんの?」

龍田「知らない」

千代田「それより、また随分な登場ね。メイドさんかなにかなの?」

大井「そういうのが好きなんですか?」

提督「いや、違うし。どっちも違うし」

山城「ちょっと好意を持たれたからってそういうのはどうかと思いますけど」

提督「違うっつってんだろ!」

大井「好みの、女性とか聞いても一切答えてくれないんで色々試してるんです」

筑摩「へぇ、また積極的にというかオープンになりましたね」

大井「もうこうなったら自棄です」

提督「そのままでいいっつってんのに」

大井「いえ、もっと提督好みの女性になって絶対にそっちから告白させて見せますから」

提督「いやだからさ……」

龍田(……あれ? もうケッコンすればいいんじゃ?)


【朝】

大井「提督おきてくださーい」

提督「……んぁ?」

大井「おはようございます。私ですよ」

提督「……ぁ? だれ?」

大井「随分と寝ぼけてますね」

提督「ぇっと……あぁ、朝か…………おっ? なんでお前……居んの?」

大井「朝起こしますって言ったじゃないですか」

提督「……なんでエプロンしてん?」

大井「朝食作ってたんです。有言実行の女ですよ私は」

提督「……ぁぁ?」

大井「ホントどれだけ寝惚けてるんですか? 何時に寝たんですか」

提督「……3時頃?」

大井「なんでそんな時間まで起きてたんですか」

提督「……」

大井「……おきてくださーい!」

提督「起きてる、起きてる……。ふわ……ぁあ」

大井「もう、向こうで待ってますから早く来てくださいね」

提督「ねみぃ……」


【朝食】

提督「……びっくりした」

大井「あ、起きました?」

提督「顔洗ったら多少はな」

大井「で、どうして3時まで起きてたんですか?」

提督「……なんで知ってるの? こわっ」

大井「自分でおっしゃったんじゃないですか!」

提督「まーじでー? 覚えてねぇ」

大井「私が何で居るのかわかってます?」

提督「……昨日言ってた事、だろ?」

大井「その程度には頭は動いてるようですね」

提督「いや違うんだ。昨日はさ、比叡と龍田が夜に殴りこんできてさ」

大井「は?」

提督「なぁんかわちゃわちゃ遊んでたら3時だ。しんど……」

大井「そういう事ですか。またなにか剣呑な感じなのかと心配しました」

提督「……心配とか、お前の口から出ることにまだ違和感あるぅ」

大井「なっ! 今までだって口にしなかっただけでずぅ、っと思ってましたよ!」

提督「みたいだけどさぁ……」

大井「とにかく! ご飯食べましょう、朝ごはんを食べればしっかりするでしょう」

提督「……筑前煮に白和え。ほっけに味噌汁浅漬け、これは?」

大井「からし蓮根です。好きでしたよね?」

提督「よく知ってるな」

大井「見てましたから」

提督「……あ」

大井「?」

提督「いまのは来た」

大井「……ふふーん」


【昼】

提督「……あ」

大井「はい、お茶のおかわりです」

提督「っとありがと」

大井「いえ」

提督「…………あ」

大井「向こうの電気ならさっき消しときましたよ。すぐ忘れるんですから」

提督「悪い」

大井「気にしないでください」

提督「……あー」

大井「煙草ですか? 今窓開けますから。はい、灰皿」

提督「さんきゅ」

大井「いえ。はい火を」

提督「んっ……ふぅ……、流れるような動作だな」

大井「練習しましたから」

提督「…………へぇ?」





山城「なにあれこわい」

比叡「『あ』研究家、みたいになってますよ」

龍田「私のカップ割って隠した事が私にバレた時の『あ』は?」

比叡「あ……」


【夕方】

提督「……」

山城「釣れますか?」

提督「日本で見たことないようなのは釣れたが、食えそうなのは今の所ないな」

山城「……そう」

提督「……おっ…………ダメだ、バレた」

山城「不幸ね」

提督「いや、そうでもないさ。こういうのも釣りの醍醐味みたいな所あるし」

山城「変なの……」

提督「……お前ってあれだよな」

山城「はい?」

提督「物憂げな表情と服装と合わさって、めちゃ夕陽が似合うな」

山城「……なんですか? 口説いてるんですか?」

提督「ただの感想だよ!」

山城「まぁ、まぁ……ありがとうございます」






提督「で、なんでお前は和服来て夕陽をバックに仁王立ちしてんの?」

大井「さぁ!」

提督「え、どういうこと?」

このスレは
大井「少し離れてくださいな」 北上「え、なに?」
の前日譚ではありません


【夜】

千代田「ごーろくなな……嫌になったので仕事を辞めてフリーターへ……なにこれ!」

筑摩「エリートコースから外れましたね……っと4は金塊を掘り当てる」

山城「が、国に持ってかれて精神的に大打撃、一回休み。ですって」

筑摩「……この人生ゲーム疲れますね」

龍田「山城さんに合わせたマイナス人生ゲームだものねぇ……カツアゲされる1万失う」

山城「わざわざこんなものを作られるなんて……不幸極まってるわ」

大井「じゃあ次は私が……12ですね。いち、にい・さん……あっ昇進しました」

比叡「大井さんだけが順風満帆の人生ですね」

山城「なんで不幸じゃないの?」

大井「そんなこと言われても……」

龍田「……はっ!? ま、まさか……!」

大井「そうだったらいいんですけどねぇ……残念ながら」

龍田「……まるゆちゃんの過剰摂取の事を言おうと思ったんだけどなにと勘違いしたのかしらぁ?」

千代田「私もわかんないなぁ、教えて教えてなんだと思ったの~?」

大井「ぁぅぁぅ……」

山城「今日も二人とも軽快ね……」

比叡「どうせケッコンの事だと思ったんですよね! どうせ!」

大井「ぎょらいキック!」

比叡「魚雷関係ない!」


【深夜】

龍田「……ダウト」

比叡「ざんねーん! 2でしたー!」

龍田「ぐぬぬ……」

千代田「ダウトって終わり時がわからないのよね。4」

筑摩「基本終わらないものね。一つの数字が一人に全部行ったりするし、5」

千代田「ダウト」

筑摩「ちっ」

比叡「え、今舌打ちしました?」

筑摩「いーえ」

龍田「実はそういう所あるわよねぇ」

千代田「まぁウチで一番の腹黒ですからね」

筑摩「バ……ギ……」

山城「みんな、ちょっと……」

筑摩「クロース!」

山城「……来て早々真空の刃に襲われるなんて……不幸だわ」

比叡「その程度で沈む山城さんじゃないでしょ」

千代田「そうそう、それくらいで沈んでたらこれまで何回沈んでる事やら」

山城「……最近私の扱いが雑じゃないですか? 不幸だわ、本当に不幸だわ」

龍田「それでなにか用があったみたいですけどどうしたのかしらぁ?」

山城「えぇ、実はさっきちょっと怖い物を見てしまって……」

筑摩「あぁ夏場ですものね」

比叡「そういう怪談じみたものは勘弁してください。せめて私が部屋を出るまで」

千代田「へぇ。意外とこういうのダメなんだ。お墓でもへらへら徘徊できそうなのに」

比叡「どういう意味ですかねぇ……」

山城「聞いて。ねぇ私の話聞いてもらえる?」

龍田「ん~、私は聞く体制入ってるんつもりよぉ?」

比叡「あーあー、聞こえなーい」

山城「そういう霊的な話じゃないですから」

比叡「なーんだ。じゃあ聞きます」

山城「さっき部屋の前を通ったんです。とある重雷装艦の」

筑摩「某重雷装艦の」

千代田「匿名ってなんだったっけ?」

山城「とにかく、部屋の前を通ったの。そしたら壁に向かって黙々と誰かの写真を張り付けてて」

龍田「誰かの」

山城「誰かの」

比叡「でもそれだけなら割と今までも見た光景じゃないですか? 誰かはわかりませんけど」

山城「そうなのだけど。その後急に天井を見つめたと思ったら立ち上がって『提督が困ってる』とか言いだして
    執務室に向かっていったの。あれは怖いわね……」

筑摩「受信感度革命じゃないですか」


【???】

大井「……ていとく?」

提督「……Zzz」

大井「寝てますか?」

提督「…………Zz」

大井「……寝てますね?」

提督「………………Zzz」

大井「……失礼します」

大井(寝顔は可愛いとかよく聞く台詞ですけど……むしろ怖いですね、なんでこの人は顰め面して寝てるんでしょう?)

提督「……んがっ」

大井「……んふふ、提督おやすみなさい」
 


【そして】

提督「あのさ、大井」

大井「はい?」

提督「ちょっといいか? あー……少し二人で話したいんだが」

大井「……!?」

提督「時間、あるか?」

大井「は、はい! 大丈夫でした!」

提督「え、過去形なの?」

大井「大丈夫れす! 大丈夫ですから!」

提督「お、おう……じゃあ」

大井「はい、今行きます! ……と、言うわけで後は山城さん任せました!」

山城「え、この手牌で交代とか……不幸だわ」

大井「でわ!」







龍田「……ケッコンの話に4000賭ける」

千代田「賭けにならないわよ。それ」

筑摩「ロン」

山城「代わって一巡で放銃なんて……んふふ、もう不幸とかそういう問題じゃない気がしてきたわ」

龍田「しかしあれね」

千代田「ん?」

龍田「早かったわね」

筑摩「昨日の今日ですものね」

千代田「最初の茶番はなんだったの?」

比叡「みなさーん! さっき提督と大井さんがー!」


【姉妹】

 prrr prrr

球磨「北上ー、電話なってるクマ」

北上「んぅ、今手離せない」

球磨「寝転がってるだけじゃねーか……おっ、大井クマ」

北上「マ?」

球磨「ま。……もしもし? どうしたクマって声でか!」

北上「うわぁこっちまで聞こえるよ、なに、また泣いてるの?」

球磨「っぽいクマ。もしもし? なに、フラれたか? あの後報告してこないから……うん」

北上「え? 大井っちフラれたの?」

球磨「違うっぽいクマ。……え、北上北上。……そうそう」

北上「……」

球磨「ほーそんな展開に……そりゃ重畳クマ」

北上「この上なく良い」

球磨「うんうん、そか。良かったな大井、つってもまだこれからみたいだが。
   今度そっち遊び行くからその時に提督にも会わせてくれ」

北上(お、完全に語尾取れた……。ガッツリ姉モードだ)

球磨「うんうん。おめでとう」

北上「どしたの、もしかしてケッコンしたの?」

球磨「ん、というか――」


【日本語】

筑摩「提督、ちょっといいですか?」

提督「ん……待って、煙草消す」

筑摩「べつにいいですよ?」

提督「お前咳き込むだろ。流石にそういう奴が居る所では吸いづらい」

筑摩「お気遣いいただきありがとうございます」

提督「別に。で、どうした?」

筑摩「いえ、先日大井さんと二人でこそこそお話してたじゃないですか」

提督「あー……あれか」

筑摩「差し支えなければこっそり教えてくれませんか?」

筑摩(あれ以降大井さんのテンションが異常なので)

提督「ん、大井からは聞いてないのか?」

筑摩「そうですね」

提督「まぁ隠すほどでもないけどさ……あの、ちょっちほら、やり口が、さ、過激と言うかアレじゃん?」

筑摩「あー……」

提督「だから『お前の気持ちはわかった、十分に受け取った』と、『真面目に考えることがあるから一人にしてくれ』と」

筑摩「……ほぅ」

提督「そんなもんだけどなぁ」

筑摩「……その後独り言とか言いませんでした? なにか、思ったこととか」

提督「独り言……? あぁそういえば、アイツ鍵無視して入ってきたから
    『部屋もなんとかしないとな』みたいなことは呟いたかも」

筑摩「あ、多分それですね」

提督「?」


【日本語 2】

球磨「軽巡球磨だクマー」

提督「知ってる、わざわざ遠いところまでご苦労さん」

球磨「まぁ妹の為と思えば、これくらいどってことないクマ」

提督「ふむ」

球磨「……」

提督「……」

球磨「……なにか質問あるクマ?」

提督「目的あって来たんじゃないの?」

球磨「大井は特に素直じゃない分開き直ったら凄いから、色々話に来たクマ。電話じゃ要領得ないし」

提督「えっとじゃあ……、聞きたいんだけど。大井のあのスキルっていうか、技術は一体……」

提督(鍵開けとか、情報収集能力と言うか)

球磨「スキル? あっ、それは球磨が仕込んだクマ。ふふーん」

球磨(料理に洗濯・掃除・裁縫。色々教えたものクマ……役に立って良かったなぁ)

提督「まーじかー……」

球磨「やっぱり男を落とすなら最低限あれくらいはできないといかんクマ」

提督「最低限!?」

球磨「ま、まだまだ姉には及ばないクマ」

提督「球磨もそういう所あるのか……意外、だな」

球磨「意外に優秀なクマちゃんって言われるクマ」

提督「ちょっと待って……え? えー、っと。あぁ言うのは、普通、か? 俺もそこまで豊富な訳じゃないからわからんけど」

球磨「技術的には平均程度じゃないクマ? 鳳翔とか間宮とか鹿島とかその辺と比べたら足元にも及ばんクマ」

提督「あぁ、それはちょっとわかる気がするけど……えぇぇ女性ってみんなそうなのか?」

球磨「外の人間はわからんクマ。けどウチの艦娘はみんなあれ位はできるクマ」

提督「……そうか、大井はまだ、その軽い方だったんだな」

球磨(軽い?)

提督「……」

球磨「……」

提督「その、あれだな」

球磨「?」

提督「やっぱり大井が一番だな」

球磨「今後とも妹をよろしく頼むクマー」

提督「はい」


【外堀】

球磨「と、言う感じだったクマ」

北上「おー……意外や意外、キチンとアピールできてるんだねぇ」

多摩「北上に対してあんな感じだったから不安だったけど、上手くやってるようでなによりにゃ」

球磨「帰りしなについでだから木曾の所にもよって報告してやったクマ」

北上「驚いてたっしょ?」

球磨「マジか!? そいつぁめでてぇな! って言ってたクマ」

多摩「なんつーべらんめぇ口調にゃ」

北上「へーでもそうか、あの大井っちがねぇ。今度私も行ってみよ」

球磨「それがいいクマ。大井が掴みかけた幸せを全力で球磨達は応援するクマ!」

青葉「なにやら面白い会話してますねー? 青葉にも教えてくださいな」

多摩「げ、パパラッチにゃ」

青葉「『げ』って酷くないですか?」

球磨「まぁこの話は聞かれても構わないクマ」

北上「大井っちは嫌がるかも知れないけどね」

球磨「でもおめでたいことに変わりはないクマ」

青葉「ふむ、聞く限りお三方の姉妹の方に浮いた話でも?」

多摩「ま、そーいう事にゃ。記事にするほどでもないにゃ」

青葉「いえいえ、そういう恋バナに飢えてる子も一杯世には居るんですよ! 詳しく話を聞かせてもらっていいですかっ?」


【劇的リフォーム】

明石「お邪魔しまーす」

提督「おう明石、毎度ご苦労様」

明石「今回分の資材は倉庫の方に納品しておきました。
    こちらは納品書です、印鑑の方をお願いします」

提督「ん」

明石「しっかしここも大変な基地ですね。毎度ながら」

提督「まぁな、一艦隊しか居ないから遠征ができないからな」

明石「他所とか凄いですよ。資材の貯蓄量、えげつない鎮守府とかありますから」

提督「ウチは定期供給依存だからな。最大備蓄が今は……三万ちょいか」

明石「大丈夫なんですか?」

提督「ま、大きな作戦とかは行わないからなんとかねぇ……明石にも迷惑かけてるとは思うけど」

明石「あははー、こっちも仕事なんでお気になさらず」

提督「あー……そんな忙しい明石に私事で申し訳ないんだが、一つ頼みがあってな」

明石「どうしました? 山城さんと比叡さんがドックを占領して……って私事ならそうじゃないですよね。
    となると……提督の修理は専門外ですよ?」

提督「実は……部屋の改修をお願いしたいんだ」

明石「部屋の改修ですか?」

提督「あぁ……最近色々あって大井のアタックが凄くてさ」

明石「……噂には聞いてましたが……なるほどなるほど」

提督「噂?」

明石「ち、ちなみに後学の為に伺いたいんですが……、そんなに激しいんですか?」

提督「え? あぁ、うん。俺は他の子を知らないからなんとも言えないけど、少なくとも
    個人的な感想としてはちょっと流石に、これ以上はキツいな……と」

明石「おぉぉ……、ち、ちなみに頻度は如何ほどで?」

提督「回数? そうだな、多い日は一日に五回とか」

明石「一日に五回!? それはまた……旺盛ですね」

提督「と言うわけでな、是非とも部屋の改修をお願いしたいんだ」

明石「んふふ、そういう事ならこの明石にお任せください! 完璧にパーペキな部屋に改修してさしあげましょう!」

提督「頼む」


【流石に困惑】

千代田「ぶははははwwww」

龍田「wwww」

山城「……ちよちーとたったがバグってるわ」

筑摩「とんでもないものと遭遇してしまいましたね」

千代田「ひー……ひー……」

龍田「あは……ははは……はぁ、……あら? マーシーにちっくが居るわよぉ」

千代田「え? あ、ホントだ」

山城「貴女達、人の部屋を覗いて笑い転げるなんて趣味がちょっと悪いわ」

筑摩「そんな面白いもの提督のお部屋にありましたっけ?」

千代田「見ればわかるって」

龍田「ばふっw」

山城「ばふって貴女……」

龍田「あー……あー……お腹いったーい」

筑摩「……そこまでの反応見せられるとちょっと怖いですね」

山城「え? なに、一体なにが―――」

筑摩「マーシー? ……ん!?」

山城「……私の知ってる部屋じゃないわ」

筑摩「えらい広くなりましたね」

龍田「そ、そっちはいいの……奥、奥を見て」

山城「奥? ……ぶふぉっ!」

筑摩「……提督が絶望の表情をしながらベッドの上で回ってますけど」

千代田「んはははwwww回転ベッドとかwwwラブホじゃんwww」

龍田「ブリキのおもちゃみたいになってるわぁ」

山城「ちょっとwwwwやwwやめてwww」


【謎】

比叡「……司令に報告に来たら四人が部屋の前で半死半生なんですけどこれは」

龍田「見た?」

比叡「なにをですか?」

千代田「中」

比叡「あー……部屋の中ですか?」

山城「なんであんなことになってるの?」

比叡「それはよくわかんないですけど、凄いですよね。電気ばっこーんで鏡ドーンですよ」

筑摩「というか、やっぱりベッドが回る意味がわからないです」

龍田「ほら、それはあれよ。ベッドだから、ね?」

千代田「そこで二人は燃え上がる訳だから、回んないと満遍なく火が通らないのよ」

比叡「電子レンジの考え方ですね」

山城「古いタイプのね」

筑摩「大井さんは見たんですかね」

龍田「反応が楽しみよねぇ」


【残当】

 提督がこれまでにない位困ってる気配がして来てみたら……。

「……て、提督これは……!」

 部屋が大幅な改装をされていました。

「……あぁ、ちょっとな」

 豪華な内装、高い天井。間接照明が壁を照らしベッドはキングサイズの円形。
煙草のヤニで黄ばんでいた壁紙も少し桃色がかかった、桜の模様が入ったものへ変わっています。
大きな鏡が奥に佇んでいて、シャワールームも簡素な物からリニューアル。
行ったことはありませんがホテルのスイートルームさながらの部屋へ
大きく様変わりしているではありませんか。

「ま、……まさか提督!」

 この間の提督の言葉。そしてベッドの中央でこちらをまっすぐに見つめる瞳。
ま、間違いありません! これは、これは……!

「その、ちょっと手ち――
「愛してます提督!」

 この状況で提督がなにかを口にする前にダッシュでその胸に飛び込み、
彼の唇を奪ってしまった私を誰が責められるでしょう?
誰も責められるはずはありません。えぇそうですとも。
やっと私の気持ちに提督が応えてくれる。この部屋はその提督の想いそのものなんです。
私の胸が感動で一杯になり提督を全身で欲してしまうのは当然の摂理です。
山城さんにすっぱいぶどうにご用心を一個あげたらそのすっぱい奴に当たる位確実です。

「はぁ、はぁ。これってそういう事ですよね、いいですよね? いいですよね?」
「え、ちょ――」

 今日、私は提督と結ばれます!


【んで】

提督「結婚しました」

大井「しました!」

山城「へー……」

龍田「それはそれは……」

比叡「ケッコンおめでとうございます!」

大井「あ、違います。結婚ですから」

千代田「それはいいんだけど……お腹さするのやめてくれる? 笑いそうだから」

龍田「こら」

千代田「っとと……」

筑摩「しかしいきなり結婚ですか」

提督「ぶっちゃけ、ぶっちゃけると……ちょっと以上に想定外の形になったけどな」

大井「まぁまぁ、いいじゃないですか」

山城「それは貴女が言う事?」

龍田「提督がいいなら私達はいいんだけどね」

提督「まぁ、さらにぶっちゃけるとさ。時間置いて、考えさせてくれとか言ったけどさー。
    最初から渡すつもりだったんだよ。焦らそうと思っただけで」

大井「なんと」

提督(そしたら色々知らない一面も見えて考えさせられたりもあったが)

大井「ではもっと襲えばよかったですね」

比叡「あ、やっぱり最終的には襲う形で終わったんですね」

大井「提督ってば意外と始まるとガンガン来るんですよ」

龍田「興味深いわぁ」

筑摩「できれば触れずに居たかったですね、友達と上官の情事とかは」

千代田「そう? ちょっと私も興味ある」

山城「色々と不幸だわ」

大井「いえ、幸せですよ」

山城「……貴女はそうでしょうね。まぁきっかけはなんであれおめでとうございます」

このベララベラ基地でもう少し色々書きたいんですけど
他の物も書きたいからこれで終わり


で、次はなにを書きましょ?

1.色々な曙 その2

2.雪風の影のお話
 陸軍の粗末な模造施設と半端な雪風の破片を使って作り出された
 暗く大人しく内向的で不幸なユキカゼが艦娘の雪風と出会ったり
 喧嘩したり仲良くなったり別れたりするお話

3.提督「とりあえず目に付いた艦娘を褒めて撫でて抱きしめて頬にキスしてみる」

4.大井っちにわざと殴られて大井っちを孤独にさせるお話

5.古鷹に癒されるお話

6.めちゃ険悪な鎮守府(安価及びコンマあり)

7.その他リクエストあればどうぞ

まずサンプルとして2~3レスづつ見せていただこう、話はそれからだ

7で北上さんに提督を盗られる大井っち
あるいは提督と二人きりになるとやたら甘えてくる球磨姉さん

乙だけど前回もまともにオチ書かずに>>273みたいなアンケート初めてなかった?
もうちょい綺麗に完結させてほしい

>>277

2.雪風の影の話

 大戦期の軍艦の遺された魂。
乗組員の残留思念、戦いの記憶。
それらをないまぜにして引き継いで、
人の型に押し込んで生み出されたのが艦娘という存在だそうです。

 ―――できそこないだ。

 けれど魂は、記憶は、艦娘が生まれるたびに削られていく。
ごりごりと荒い鑢で乱暴に撫でつけるように、ぽろぽろと破片を溢して。

 ―――当時の記憶もない、性質も受け継いでいない。

 そうして零れた消しカスの様な物を集めて、作られたのが私だそうです。
雪風。既に艦娘が生まれ、とうに消費された当時の魂の破片で組み上げられた、
余りにも貧弱で軟弱で脆い私。

 ―――こんな出来損ないに幾らつぎ込んだと……。

 雪風は幸運艦だったそうです。艦娘としての転生した
彼女にもそれは受け継がれていた様で、けれど私には何一つ。

 何一つ。

 嗚呼、なんの為に私は生まれたのでしょう?
この身体だけを与えられ、『雪風』の記憶もなく、
ただ漠然と身体に沿ったレベルの最低限の知識だけを持ち。
誰にも必要とされず、人間でも艦娘でもなく。
ただ、ただ存在しているだけの私は生きていると言えるのでしょうか?

 ―――この様なガラクタを維持するのに使う金などない

 放り出され、捨てられて。
与えられたのは申し訳程度のはした金。
私は……私は……雪風になれなかった私は何者なんですか?
誰か、教えてください。


4.大井っちにわざと殴られて大井っちを孤独にさせるお話 (簡略版)

 いつもの激しいやりとり。
くだらない理由をきっかけに始まる小競り合い。
わざとらしい大ぶりな拳を避けて、わざとらしく大振りの蹴りを出す。

「いい加減やめなよ。万が一の事があったらどうするのさ」

 北上はいつも大井にそう言っていた。
いや、北上に限らず長門や霞もそうだ。
誰かがそれを見ていたら大体そんな風に呆れた様に、
心配したように、怒るのはいつもの光景であった。

「大丈夫ですよ。これはただのコミュニケーションですから」

 そして大井は不貞腐れた様に、開き直ったようにそう返す。
お決まりの、定番の台詞。そうして誰もが俺に言う。
きっといつか、と。なにかある前に、と。

「大丈夫だ、大井だってその辺はわかってるさ」

 それに対して俺もいつもそう答えていた。
変な心配は要らないから。大井は素直になれないだけで、
その辺ちゃんとわきまえてるからと。
けど、ある日思った。もし、本当に俺が殴られたらどうするのだろうか、と。
思ったら、止まれなくなってしまった。

 大井の拳が振り上げられる。
いつもなら回避は余裕だ、だが俺は――。

「っと」

 わざとらしい演技。
足元の小さな段差に躓いて、前に上半身をガクと落とす。
降り降ろされた拳を見つめながら、慌てたような演技を重ねる。
そして。

 ガチッ。硬い物が二つ、ぶつかり合う音が脳を揺さぶって。
視界が歪んで、耳が途端に遠くなる。

「え」

 と呟いたのは誰の声か。判断もできなくなる。

「提督!」

 誰かが叫ぶ、足音らしきものがいくつも近づいてくる。
呆然とした大井が突き飛ばされて輪の外へはじき出される。

「だから……」

 遠のく世界。薄らぐ景色。

「き、北上さん?」
「だからやめろって言ったじゃなかよぉっ!!!」

 最後に見たのは、涙を流し怒鳴り大井に掴みかかる北上の後ろ姿だった。

>>291
うっす、今回は俺的にはさっと終われた艦あったけど
気をつけます、あんけ終わったら最後になんか後日談でも書くわ

折角だしこの機会にジュウコンの前日譚でも書くというのはどう?

あー>>278>>305もいいっすねぇ
次かわからないけど今度書く

ホントはエロとかも書きたいんだけど
飛ばされるからなぁ……できればここで書きたいし

ここまで集計

1. 14票
2. 5票
3. 18票
4. 11票
5. 11票
6. 1票
7. 4票

全部、複数選択含みこんな感じでしたので
次回はあのシリーズの続きを書きます
なお、現在酔っているので正しいかどうかは不明。一応確認してください

おい、なんで球磨なんだ


【エピローグ】

大井「はい提督、あーん」

提督「……いや、勘弁してくれ」

龍田「いいんじゃないですかぁ、してあげれば」

提督「ホントに勘弁してくれ」

山城「はぁ、こんな狭い基地で四六時中べたべたいちゃいちゃしてるのを見せつけられるなんて……不幸だわ」

千代田「おかわり」

比叡「はいはい。どうしましょ?」

千代田「ファジーネーブル」

比叡「あいさー」

大井「お昼からお酒飲んでなにやってるですか」

龍田(お昼から膝に乗って食べさせて、なにやってるのかしらぁ)

大井「……いまなにか考えませんでした?」

龍田「比叡ちゃんじゃない?」

比叡「え」

提督「とりあえず一人にさせてくれない?」


比叡「あいたた……龍田さん!」

龍田「ん?」

比叡「あら小首傾げて可愛らしい」

龍田「あらやだ本当の事を」

山城「んふふ、自分でなにを」

大井「提督」

提督「なに?」

大井「子供は何人欲しいですか?」

提督「……二人、かな」

千代田「そういうの二人きりのときにやってくれる?」

大井「なんでですか、みんな家族みたいなものじゃないですか」

筑摩「親しき中にも礼儀ありですよ大井さん」

大井「?」

筑摩「あら可愛らしい」

山城「その流れさっきやったわ」

筑摩「あらあら」

龍田「けどあれね、私達が家族なら私達も提督ともっとべたべたしてもいいのよね?」

大井「引っ叩きますよ」

提督「大井を煽るのやめてくれる? あとで酷い目あうから」

千代田「具体的には夜ね」

山城「やめなさい」

比叡「私ももっと提督に構ってほしいです」

大井「あ、比叡さんはいいですよ」

龍田「なーんーでー」」

大井「ペット的に」

比叡「検査ですか?」

提督「お前すごいな」


大井「個人的な夢を語っていいですか?」

千代田「ファジーネーブルがネクターにならない程度にお願い」

大井「でも皆さんもあるでしょう? こう……こんな家に住みたいとか、そういう」

筑摩「そうですねぇ。日本家屋がいいですね。
    現代環境にフォーマットされたとは言え、やっぱり畳が恋しいです」

山城「い草の香りもとんと嗅いでないものね」

提督「畳、縁側。風鈴に葉鳴り、遠くに川とひぐらし」

龍田「切なくなっちゃうわねぇ」

大井「……提督はそういうのがお好みですか?」

提督「ん、なんで?」

大井「私はウェディングドレス着て白いおうちに住みたかったんですけど……」

比叡「居住性の違いによるコンビ解散ですか」

千代田「なに居住性の違いって……」

山城「意外と終わるときはあっさりしているものなのね」

大井「終わりません! 提督がいいならそちらに合わせます!」

提督「べつに俺がそっちに合わせてもいいぞ? 洋間やフローリングが嫌いな訳じゃないし」

龍田「そこはほら……」

提督「え? ……言うのそれ?」

大井「ちょっと、目の前でひそひそやるのやめてください」

龍田「大丈夫よ、盗らないから。さ、提督」

千代田「あ、その前にカシャッサ頂戴」

比叡「あいあい」

提督「んん、あー。あれだ大井」

大井「はい?」

提督「大丈夫だ! 和室より畳より、お前が好きだ!」

山城「そんな言わされた台詞でいくらなんでも」

大井「あぁぁぁ……」

山城「……効いてるわね」

筑摩「お漬物食べたい」

龍田「一生やってたらいいんじゃないかしらぁ」

大井「はい!」

比叡「皮肉も聞いてませんね」


【???】

北上「いいなーいいなー、私もケッコンしたいなー結婚もしたいなー」

球磨「すればいいクマ」

北上「ウチの提督そろそろ退役するんじゃなかったっけ?」

多摩「そもそも既に一般女性と結婚してる筈にゃ」

球磨「娘と孫が居るって話を聞いた事あるクマ」

北上「後任って誰になるのかな?」

多摩「知らんにゃ」

球磨「聞いた話によると新任じゃなくてどっかから異動になるらしいクマ」

北上「異動かぁ。……元の鎮守府はどうなるの?」

球磨「最近深海棲艦の攻勢が強いから一旦戦線を後退させるらしいクマ。
    それに伴いいくつか小さな基地が放棄されるからそこの提督が来るって話を聞いたクマ」

多摩「そうするとそこの艦娘も一緒にまとめて異動にゃ?」

北上「また賑やかになるねぇ」

球磨「どこの誰かはわからんけど優秀な提督だといいクマね」

北上「……」

多摩「……」

球磨「……」

北上「まさか、ね?」


 終われ

すげぇ今更だけど>>80見た時やられたぁ~って思いました。まる。

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