千秋「膝の上にバミりのテープをはってみたわ」 (20)

翠「えっ?」

千秋「知らないの? 舞台でよく貼ってあるでしょ?」

翠「え、えぇ」

千秋「それにね、このテープ蓄光テープなの」

翠「蓄光テープ」

千秋「これで停電のときでも佐城さんが私の膝に座れるわね」

翠「停電」

千秋「佐城さんもアイドルだからきっとバミっておけば自然に身体が動き出すはずよ」

翠「自然」

千秋「我ながら冴えた発想だわ」

翠「発想」

千秋「翠さん、聞いてる?」

翠「翠」

千秋「……具合でも悪いの?」

翠「……すみません、私ちょっと気分がすぐれないので向こうで休憩しておきます」

千秋「そう、お大事に」

翠「はい……」

翠(えっ!?!?蓄光テープって何!?!?!?!)

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千秋(後は佐城さんが来るのを待つだけね)

千秋(予定によると佐城さんはそろそろレッスンを終えて帰ってくるはず……)

雪美「…ただいま……」

千秋「おかえり佐城さん」

雪美「千秋……膝の……何……?」

千秋「これはバミテープといって舞台などで目印として貼るテープよ」

雪美「千秋…膝……舞台…………?」

千秋「そうよ、佐城さんだけの舞台よ」

雪美「ここ……立つ………?」

千秋「た、立つのはちょっと遠慮して欲しいわね…」

雪美「わかった……座る……」

千秋「どうぞ」

雪美「ここ……舞台……?」

千秋「そうよ」

雪美「じゃぁ……歌う……」

千秋「いいわよ」

雪美「ちくこ~テープ~…よるでも~…光る~…」

千秋「えっ?」

雪美「蓄光テープの歌……歌だよ……」

千秋「いいわね」

千秋「私が膝に貼ってるテープも蓄光テープなのよ」

雪美「ほんと……? 膝…光る……?」

千秋「えぇ」

雪美「千秋……暗いとこ……行こ…………みせて…………」

千秋「い、今?」

雪美「うん……膝……光るところ……見たい……」

千秋「そ、そんなに!?」

雪美「……うん……どうしても……」

千秋「さ、佐城さんがそういうなら行きましょうか」

雪美「暗いとこ……あるかな……?」

千秋「そうね……そういえば地下に倉庫があったはず。そこなら暗いと思うわ」

雪美「早速……れっつごー……」

―――――地下倉庫

千秋「ほら、ここなら結構暗いでしょう?」

雪美「すごい……膝……光ってる……」

千秋「やっぱり明るいわねこれ」

雪美「千秋……暗闇……綺麗……」

千秋(なんだか暗くて狭いところに佐城さんと二人きりで居るとイケない気持ちになってしまうわね)

雪美「ここ……暗い…狭い…落ち着く……」

雪美「ペロも…こういうとこ……好き………」

千秋「そう」

雪美「千秋も……好き……?」

千秋「そうね、私はあんまり」

千秋(佐城さんといるなら格別だけど!)

千秋「それにしても佐城さんの肌は少しでも光があると反射して綺麗ね」プニプニ

雪美「ふふっ……ゆきみだいふく…だよ……」

千秋「!?」

雪美「……どうしたの……?」

千秋(もう我慢できない!!!)

千秋「いただきます!」

雪美「………!?」

ペロ「にゃっ!」

千秋「きゃっ、何?」

雪美「ペロ……おいた…だめ……」

ペロ「にゃぁ」

千秋「あら、ペロちゃんも居たのね」

雪美「ペロも……ここ……好き……」

千秋「そうね」

雪美「千秋……しゃがんで……」

千秋「えっ? こうかしら?」

雪美「さっきの……おかえし……ほっぺ……」プニッ

千秋(お返し、最高)

千秋「佐城さん、頬だけじゃなくて胸もしてもいいのよ」ズイッ

ペロ「ニャッ!」

千秋「きゃっ」

雪美「ペロ……ダメ……」

―――――翌日

千秋(昨日は本当に楽しかったわ)

千秋(また佐城さんと倉庫で密会したいわ)

千秋(ペロちゃんは申し訳ないけどもうちょっとおとなしくしてほしいわね)

千秋(あら、佐城さんがモバPに何かお願いしてるのかしら?)

千秋(遠くで見守りましょう)

モバP「雪美、どうしたんだ?」

雪美「モバP……お願い…ある……」

モバP「何?」

雪美「椅子……座ったまま…こっちむいて……」

モバP「こうか?」

雪美「そう……それで……目をつむって……」

モバP「つむったぞ」

雪美「良いって…言うまで……あけないで……」

モバP「うん」

雪美「まだ…ダメ……ダメだよ……?」

モバP「あけてないよ」

雪美(いまのうち…蓄光テープ……ペタペタ……)

モバP「なんか太ももがもぞもぞするんだけど」

雪美「まだ……ダメ……」

モバP「はい」


雪美「……………いいよ」

モバP「うわっ、なんだこれは!」

雪美「……蓄光テープ……バミった……素敵……でしょ……?」

モバP「俺は舞台じゃない!」

雪美「…………?」

モバP「えっ?」

雪美「千秋も…してた……素敵……」

モバP「えっ、今そういうのが流行りなの?」

千秋(ダメよモバPさん! 佐城さんの舞台になるのは私だけ!)

モバP「あっ、千秋ちょうどいいところに来たな」

モバP「なんか雪美が急に俺の足にテープ張ってきてさ」

モバP「なんか千秋がどうっていうんだよ」

モバP「なんとかしてくれ」

千秋「とりあえず剥がすわね」

モバP「えっ?」

千秋「失礼するわ」ビリビリビリッ

モバP「うわっ! ズボンごとはやめてくれ!」

千秋「ふんっ!」バリィッ

モバP「おい! 完全に破れたじゃねぇか!」

千秋「クールビズね」

雪美「環境に…優しい……モバP……素敵……」

モバP「ま、まぁ半ズボンもたまには悪く無いかな?」

――――――数日後

千秋(膝の上バミリテープ、真似されてしまうと厄介ね)

千秋(何か圧倒的な差別化を図らないと)

千秋(どうしようかしら……)

ありす「文香さん、ずっとくっつかれると恥ずかしいです」

文香「…すみません…本を読んでいる間に…偶然晶葉さんの作った特殊な接着剤が服にかかってしまっていて…離れないのです」

ありす(この前晶葉さんにおもいっきり頼んでましたよね!?)

文香「…ありすちゃんは…私と居るのは嫌ですか?」

ありす「嫌じゃ、ないです…大丈夫ですよ?」

ありす(そんなしおらしい顔で言われたら嫌って言えないじゃないですか!)

ありす(なんなんですか今日の文香さんは! 可愛い!)

千秋(これだわ! 接着剤!)

千秋(蓄光テープを両面テープにしましょう!!)

千秋(我ながら完璧な発想ね)

千秋(佐城さんが帰ってくるまで後1時間弱ね…すぐに準備しましょう)

千秋(両面テープ、事務所の文具箱に入ってあるかしら)

千秋(………これね)

千秋(これを膝に貼って…っと)

千秋(後は待つだけね)

―――――

雪美「ただいま……」

千秋「佐城さんおかえりなさい」

雪美「このテープ……光る……?」

千秋「これは光らないけどくっつくのよ」

雪美「くっつく……すごい……」

千秋「座ってみて」

雪美「…うん……」

千秋「それじゃぁ立とうとしてみて」

雪美「うん………!?」

千秋「ふふっ、立てないでしょ?」

雪美「すごい……ひっついた……」

千秋(うふふ、これで私と佐城さんはずっと一緒ね)

雪美「なんだか……ごきぶりほいほい…みたい……」

千秋「ご、ごきぶり……」

雪美「千秋……私……」

千秋「どうしたの?」

雪美「ううん…………」

千秋(なんだかそわそわしてどうしたのかしら?)

千秋「もしかして遊ぶ約束をしてたの?」

雪美「違う…………」

千秋「そう」

雪美「ううん………やっぱり……そう……」

千秋「えっ、どっち?」

雪美「お花畑…………」

千秋「あっ……ど、どうしましょう? 一緒に行く?」

雪美「それだけは……だめ……いや……」

千秋「そんなこと言っている場合じゃないわ」

雪美「……………うぅ……」

千秋「行くわよ」

千秋(どうしましょう私、イケないことなのにすごく興奮しているわ)

晶葉「出来たぞ! 衣類についた両面テープをいい感じに剥がすやつだ!」

雪美「晶葉……それ…貸して……」

晶葉「おっ、雪美がテストしてくれるのか。 いいぞ」

雪美「ありがとう……………外れた……」

千秋「あっ、佐城さんちょっと…」

千秋(よっぽどたまってたのね)

晶葉(えっ? なんで千秋と雪美は両面テープでくっついてたんだ?)

―――――

雪美「晶葉……ありがとう…………命の…恩人……」

晶葉「ま、まぁ事情はなんとなく察するよ……」

雪美「……ありがとう」

晶葉「それじゃぁ私はありすと文香のとこへ行くよ」

雪美「…うん……ばいばい……」

千秋「佐城さんさっきはごめんなさい」

雪美「…………大丈夫」

千秋「ちょっとやりすぎたわね」

雪美「……うん………」

千秋「本当にごめんなさい」

雪美「千秋……」ギュッ

千秋「えっ?」

雪美「千秋……大丈夫……。 私……千秋……心……くっついてる……」

雪美「だから…テープ……なくても……大丈夫………」

千秋「ありがとう佐城さん」

雪美「それに……千秋の膝……落ち着く……私の…居場所……」

千秋「ふふっ、まさに心のバミテープね」



終わり

以上です。
これからも膝の上の恋人こと佐城雪美ちゃんをよろしくお願いします!!

前作です。
礼子「クールの大人だいたいロリコン説」
礼子「クールの大人だいたいロリコン説」 - SSまとめ速報
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