アニ「夢なんか叶いもしない頃には。」(65)

注意。現パロ作。
主な登場人物の紹介は、下の方に。

アニ→主人公。幼い頃に出て行った母親を今でも探し続けている。物心ついた時からずっと誰からも愛されずに生きてきた。また、父親のボクシング教育によって、学校から帰ると毎日ボクシング詰めの生活を送っている。

サシャ→街では知る人ぞ知る弁当屋の娘。狩猟民族地方出身で、方言がなまっている。運動神経抜群、スポーツ万能で所属しているソフトボール部では上級生を抑え、1番ショートの座に座っているアニの古き良き友人。

ベルトルト→アニの幼馴染。背が高く、勉強もスポーツも良くこなす万能少年で女子からの人気者。バスケットボールプレイヤーになることを夢見ている。

コニー→サシャの近所に住む野球少年。陽気で明るい性格のため、誰とでも仲良くできる。いつか甲子園に出る事が目標。

アニ「うん!らあっ!」

アニ父「よし!いいぞ!アニ!今日はここまでだ。後で、マッサージしてやるからな。」

アニ「うん・・・。」

アニは部屋を出る。リビングに移る。

アニ「お腹空いたなぁ・・・。」

アニは窓の外を見る。

サシャ「コニー!フライ投げて下さ~い!」

コニー「おうよ!サシャの姉ちゃん!次、俺には速いゴロ投げてくれ!」

サシャ「はーい!任せとき!」

アニは窓の外を眺める。

アニ「いいなあ。あの子達は自由で。親の決まりもなく、自由で。」

父親が戻る。

アニ父「アニ。横になりなさい。」

アニ「はい。」

アニは横になる。

アニ「痛っ!」

アニ父「どうだ。今日の練習は。」

アニ「別になんとも。」

アニ父「なんとも?何が嫌なんだ!はっきり言え!」

父親はアニを素手で叩く。アニは痛みをこらえる。

アニ父「夕飯にするぞ。」

アニ「うん。」

食卓に着く。出されたのは生姜焼きだった。アニはその生姜焼きを口に運ぶ。

アニ「(ああ・・・。何て無力なんだろう。私は、いらない人間なんだ。夢なんか無理だ。馬鹿馬鹿しい。)」

アニ「ごちそうさまでした。」

アニは食器を洗った後で、風呂に入る。

風呂から出て、髪を乾かす。アニは乾かした後、明日の学校の準備をしてから眠りに着く。

アニ「なんでだろう。私は、本当にいらない人間なんだ。なんで、なんで・・・。」

アニは夢を見た。

アニ母「アニー!」

アニ「お母さん!」

アニ母「どうだった?楽しかった?」

アニ「ううん。別に。」

アニ母「あら。ベルトルも。来てくれたの?」

ベルトルト「はい。こんにちは。アニのお母さん。」

アニ母「家に上がってきなさい。お菓子あるから。」

アニ「はーい!」

ベルトルト「あー!アニ!待ってよー!」



アニの母親はもういない。アニが9歳の時に母親の不倫がばれ、アニは父親について行った。そこからだ。そこからもう全てが変わってしまっていた。

朝だ。何も無い朝だ。アニは目覚める。

アニ「ふああ・・・。」

顔を洗いに洗面台に行く。洗い終わると学校の制服に着替える。

アニ「お母さん、今頃何してるのかな・・・。」

アニは母親の事を思い出した。考えるだけで涙が出てきそうになる。

アニ「いや、考えないようにしよう。」

アニは階段を降りる。朝食を食べ、玄関の前で学校の準備をする。

アニ「行ってきます。」

家を出る。

アニ「おはようございます。」

先生「おはよう。」

学校の玄関に入る。靴箱に靴をしまう。教室へと上がっていく。

キャーキャー、ワーワー・・・。

ベルトルト「アニ、おはよう!」

アニ「おはよう。」

爽やかな笑顔でベルトルトが階段を駆け上がって行く。アニはその姿を眺めていた。

ベルトルト「何ボーッとしてんの?早くしないと遅れちゃうよー?」

アニ「ああ、ごめん。あんたさ、また背伸びたでしょ?」

ベルトルト「そうかな?あんまり伸びたって感覚はしないんだけど・・・。」

教室の中に入る。

4時間目の授業が終わり、昼休み前の昼食休憩に入る。

ドン!

アニ「あいたた・・・。」

サシャ「あ、ごめんなさい!大丈夫ですか?!」

その少女は髪を後ろで一つ縛りに束ねていて、背が高くすらっとした印象の持ち主で、日焼けした笑顔がよく似合う絵には描きやすいようで描きにくい感じだった。

アニ「あ、私は大丈夫。」

サシャ「所で、あなたは何か鍛えたりはしてますか?」

アニ「一応、まあ。」

サシャ「やっぱり!?ぶつかってきた時にこの人鍛えてんじゃないって思ったんよ!何やってんの?!」

アニ「ボクシング。」

サシャ「かっけー!!最高じゃん!あ、うちはソフトボールやってんの!こんなに可愛い子がボクシングやってるってカッコかわいいって奴やん!」

アニ「あの、あんた、名前は?」

サシャ「あ、私はサシャっていいます。サシャって読んでください。さっきはつい方言が出ちゃって・・・。」

アニ「私はアニ。アニ・レオンハート。よろしく。」

サシャ「はい!」

これがアニとサシャとの出会いだった。

アニ「そういえば、あんたの家って何やってんの?」

サシャ「私の家?私の家は3世代で弁当屋をやってます。」

アニ「そう。金持ってんね。」

サシャ「別にそんなではないですけど・・・。」

アニ「うちは貧乏人だからさ。」

サシャ「そうは見えませんでしたけど・・・。」

帰路に着く。

コニー「あー!サシャの姉ちゃんー!」

坊主頭の少年が手を降っている。

アニ「誰?」

サシャ「コニーです。私の近所に住んでる小学生です。」

コニー「なんだよ!悪いのかよ!」

サシャ「うっさい!私は今友達としゃべってんだ!静かにしとき!」

コニー「あ!今日練習だった!じゃーね!」

コニーは走り去って行く。

アニ「面白い奴だね。」

サシャ「そうですか?」

アニ「やあっ!」

アニ父「いいぞ!もっとだ!もっといけ!」

アニ「はあっ・・・。」

アニは部屋へ戻り、風呂へ行く。風呂場へ入ると1日の汚れを丁寧に流して行く。

アニ「お母さんはなんで・・・。」

アニは母親の事を思い出す。

アニ「お母さんは、お母さんはなんで・・・。」

アニ「なんで、私の事を・・・。」

体を洗い流してから風呂を出る。夕飯を食べてからすぐに寝た。何も夢を見なかった。

サシャ「おはようございますー!アニー!」

サシャが走ってくる。

アニ「おはよう。サシャ。」

サシャ「おはようございます。よく眠れたん?」

アニ「私はね。サシャは?」

サシャ「勉強していて寝れなかったんよ・・・。ふああ・・・。」

教室に入る。

アニ「思ったんだけどさ、」

サシャ「何なん?どうしたん?」

アニ「あそこの1番後ろの席っていつも空いてるよね。」

サシャ「ああ、そこの席ですね。その席に座ってる人は病弱であまり学校には来ないんよ。あ、でもいい話しとこうか?」

アニ「いい話って?」

サシャ「そうそう!アニってレイスグループって知ってる?」

アニ「ああ、金持ちの贅沢貴族?」

サシャ「そうそう!そこに座ってるのはレイスグループの創業者の娘なんよ!」

アニ「へえ。」

サシャ「確か、名前はヒストリアって言うてたな。」

アニ「ふーん。」

アニ「で、どんな人なの?」

サシャ「一応、小学校は一緒やったんやけどね、ぱっと見はアニより背は低い感じやったな。」

アニ「サシャはそいつと話した事はあるの?」

サシャ「いーえ。話したことは無いんよ。何にしろ6年間違うクラスやったし、中学になって始めて一緒のクラスになったって言う感じかな。」

アニ「わかった。次体育。」

サシャ「そうやったね!確か、バレーボールやったっけ?」

アニ「急ぐよ!」

体育館へと移動する。

サシャ「はー!着いた着いた!」

先生「ブラウス、レオンハート!来るのが遅い!」

アニ「すみません。次から気をつけます。」

サシャ「すいませんでしたー。」

体育館へと入る。

サシャ「それにしても、アニって運動神経いいですよねー。」

アニ「そうか?サシャの方がいいと思うけど。」

サシャ「あ!見て!」

サシャは指を指す。その方向にはベルトルトがいた。

サシャ「いいですよねー。ベルトルトって。普通にかっこいいと思うんやけどな。」

アニ「え?そう?」

サシャ「アニってベルトルトの幼馴染なんやろ?」

アニ「そうだけどさ、私ベルトルトに興味無いから。」

サシャ「そうなんねー。」

アニ「次何時間目?」

サシャ「6時間目。国語です。」

アニ「国語ねえ・・・。」

学校が終わる。サシャは部活があるので、サシャとは別れる。

アニ「さて、何をしようか・・・。」

今日からしばらくは父親がいない。アニにとっては自由な時間だ。もう、何年ぶりだろうか。

アニ「まっすぐ家に帰るとするか・・・。」

アニは家の方角に向かって歩く。何も無い平凡な帰り道だ。

アニ「ただいま。」

返事の無い家にアニのか細い声が帰ってくる。アニは着替え、少し出掛けることにした。アニは私服を持ってはいない。持とうとも思わなかった。

アニ「行くか・・・。」

玄関のドアを開ける。外を見ると金髪に赤いリボンバンダナを巻いた男と背の高い骨格標本のような体型をした髪の長い男が歩いていた。

アニ「変な奴らだ・・・。」

アニは歩く。

アニは大通りに出る。何をしようかと考えながら歩いて行く。いい匂いが漂ってくる。アニはそこへ向かう。

アニ「すいません。コロッケ一つ。」

出てきたのは40代半ばぐらいであろう背の高い女の人が出てきた。顔を見ると誰かによく似ている気がしたのだ。

店員「あいよ!コロッケ一つね!60円ね。」

アニは小銭を渡す。

店員「はい。あったかいうちに食べてね。」

アニは食べながら歩いて行く。さっきの女の人の声がする。

店員「サシャ!あんたまたプリント出してないじゃない!これいつのよ!」

サシャ「えー?分かってるって言ってんじゃん。」

サシャの母「今度やったら承知しないかんね!覚えとき!」

サシャ「はーい。」

サシャが走ってくる。

サシャ「アニ?」

アニ「何?」

サシャ「ほら!」

アニ「ほらって。」

サシャ「さっきの人アニっぽいなって。」

アニ「何が?」

サシャ「さっきあそこでコロッケ買ってったでしょ?」

アニ「そうだけど、どうかした?」

サシャ「そこ、うちの家なんだよね。」

アニ「え?あんた家って弁当屋だったの?」

サシャ「前にも言うたやないの。」

アニ「確かに、言ってたね。」

サシャはアニの腕を手に取る。

サシャ「来て!来て欲しい所があるの!」

サシャはアニの手を引っ張っていく。

サシャに連れられて来たのはサシャの家の裏のガレージだった。

サシャ「爺ちゃん!」

サシャの祖父「おう。なんだ。サシャか。隣は・・・。友達か?」

サシャ「あ、今日ってアッカーマンさんの所行く?」

サシャの祖父「ああ、これから行くところだ。」

サシャ「よかった!アニ!ほら乗って!」

サシャは軽トラックの荷台に飛び込む。アニもつられて乗り込む。

サシャの祖父「いいか?行くぞ?」

サシャ「ぱーっと走らせて!」

車を走らす。アニは風を浴びる。

サシャ「気持ちいいでしょう?」

アニ「うん。」

サシャ「この景色がいいんよねー。」

アニ「んね。」

サシャの祖父「おーい。もうすぐだぞ。」

車は坂を登る。

サシャ「アニ!」

アニ「あ?!あっ!うわぁ!?」

サシャ「よっと!」

アニ「随分きつい坂だね。」

サシャ「でももうすぐだから。」

サシャの祖父「着いたぞー。」

サシャは荷台から飛び降りる。アニもつられて飛び降りる。サシャの祖父がピンポンダッシュを押す。

サシャの祖父「アッカーマンさん。巨人弁当です。」

中から黒髪の切れ目の長い女の人が出てくる。

サシャの祖父「クシェルさん。」

クシェル「あら、巨人弁当さん。待ってください。今兄さん呼んできますから。」

彼女は家の奥へと消えていく。

クシェル「兄さーん!弁当さん!」

奥から背の高い髭の生やした男が出てくる。

サシャの祖父「ああ、ケニーか。」

ケニー「よう。爺さん。久しぶりだな。」

ケニー「おう。サシャも来てくれたのか。」

サシャ「はい!」

アニ「こんにちは。」

ケニー「いっから上がってけ。」

サシャの祖父「いいっていいって。」

クシェル「いいのよ。上がっていって。もうそろリヴァイも帰って来るし。」

家の中へ上がる。

家の中は普通の家と変わらない大きさだった。ただ少し違うのはリビングから店の中へと繋がる通路があっただけだった。

クシェル「ちょっと待ってね。今お菓子出すから。」

クシェルは台所へと向かう。その時に玄関のドアの音がした。

リヴァイ「こんにちは。」

サシャの祖父「よう。リヴァイ。大きくなったな。」

リヴァイ「いや、別に。それより母さん。ケニー。」

ケニー「どうした。リヴァイ。」

リヴァイ「俺もよく分からないんだけど、レイスグループが確か、確か・・・。」

ケニー「おい!リヴァイ!落ち着け!」

クシェル「どうしたの!?リヴァイ!はっきり言いなさい!」

リヴァイは怒りを堪えてるのか悲しみを堪えているのかはよく分からなかった。ただ、両者にとってもアニにとっても辛い状況になると言う始まりだったのが確かだった。

アッカーマン家について
昔から続いている酒屋。名前はアッカーマン酒豪。先祖代々続いており、ケニーの代で8代目。

ケニー→アッカーマン酒豪の8代目。背が高く髭を生やしており、気がつけば煙草を吸っている。昔は中学校の教師だった。リヴァイの叔父に当たり、クシェルの兄。

クシェル→リヴァイの母で、ケニーの妹。穏やかで面倒見のいい人柄。若い頃は読者モデルをやっていた。

リヴァイ→ケニーの甥でクシェルの息子。大学生。アッカーマン酒豪の9代目の名が掛かっている。無表情で無愛想。

ケニー「レイスがどうしたって言うんだ!早く言え!」

リヴァイ「今朝、地域新聞の枠見たらレイスグループが巨人弁当とアッカーマン酒豪を吸収合併するって・・・。後は、他にも吸収合併する所がいっぱいあるらしい・・・。」

ケニーが吸っていた煙草が床下に落ちる。サシャの目が殺気を放っている。クシェルは驚いている。

ケニー「なんだと!俺の代でアッカーマン酒豪は終わりにしない!」

サシャ「あ、そういえば!うちのクラスにレイスグループの令嬢がいたな!そいつ病弱であまり学校には来んけど、次来たらぎったんぎったんにしてやる!」

サシャの祖父「確かに。俺の代で終わりにはしたくねえな!」

アニ「レイスグループの目的って?」

クシェル「分からないけど、多分利益の値上げと企業拡大よ。」

家に帰宅する。

サシャの祖父は駆け出す。

アニ「なんか、大変だね。」

サシャ「そやな。レイスって何をしたいんやろ?」

アニ「じゃあ、もう遅いからわたしはこれで。」

サシャ「待って!アニ、もしなんだけど・・・。」

アニ「何?」

サシャ「良かったら、うちん家に泊まっていかない?」

アニ「いいの?」

サシャ「いいんよ。泊まっていって。」

サシャの母「サシャー!ご飯よー!」

サシャ「お母さーん!今日友達家に泊めていい?」

サシャの母「いいけど、その子の家はいいって言ってんの?」

サシャ「うん!」

アニは家へ上がる。

アニ「いただきます。」

サシャ「いただきまーす!」

サシャの母「よく噛んで食べなさい!」

サシャの祖母「ほら、アニちゃんもたくさん食べてってね。」

アニ「ありがとうございます。」

サシャの祖父が重い口を開く。

サシャの祖父「あ、そうそう。」

サシャの父「どうした?親父?」

サシャの祖父「リヴァイが言ってんたんだが、アッカーマン酒豪と巨人弁当が吸収合併されるらしい。俺らの他にもいっぱいあるんだとよ。」

サシャの父「本当かよ!親父!」

サシャの祖父「ああ、噂らしいが。」

サシャの祖母「どこの仕業って言ってたんだい!」

サシャ「レイス。レイスグループ。」

祖母の目つきが更に険悪に増した。

サシャの祖母「ふぁあ?!れ、レイス!あんなのに巨人弁当を渡すか!」

サシャの父「俺の代で終いにされたくねえよ!」

サシャ「次あいつ学校に来たらぼこぼこにしてやる!」

サシャの母「どうしたの?サシャ!ギッタンとか言って!」

アニ「実は、私のクラスにレイスの令嬢がいるんです。」

サシャの父「本当か?!アニちゃん?」

アニ「はい。確か名前はヒストリアって言ってました。」

サシャの父「俺は両親に言ったことは一度もねえけど、ここで言わせてもらう。」

サシャ「何?お父さん 。」

サシャの父「実は、俺。ロッドの同級生なんだよ。」

全員が驚く。

サシャの母「はあ!本当なの?!あんた!」

サシャの父「ああ。本当だ。小学校から高校までずっと同じだ。

サシャの祖母「はあ!?それをあんた今までなんで言わなかった?!」

サシャの父「親に心配をかけたく無かったんだよ。」

サシャの祖父「お前それで、今まで言わなかったのか?」

サシャの父「ああ。」

サシャ「ごちそうさまでした。」

サシャの母「あら?サシャ。ご飯はもういいん?」

サシャ「いらない。」

アニ「ごちそうさまでした。美味しかったです。」

サシャの母「はーい。」

アニはサシャの部屋へと上がっていく。

サシャ「アニ。ここが私の部屋です。」

サシャの部屋は何も変哲も無い普通の部屋だった。クローゼットの前にユニホームが干してあり、背番号に6と書かれていた。

アニ「サシャは、何をやっているの?」

サシャ「ソフトボール。」

アニ「へー。」

サシャ「あ、ゆっくりして行ってね。ウチ、明日の電話掛けてくるから。」

サシャはそう言って部屋を出て行く。

今から再開。

サシャが戻る。

サシャ「あ、お風呂入ります?服貸すんで!」

アニ「サシャが先入ってきていいよ。私はそこにある本読んでるからさ。」

サシャ「あ、はい!何でも読んでいてください!」

サシャは寝巻きを取り出してから部屋を出て行く。

アニ「(何だこれ?アルバムか?)」

アニは一つのアルバムを取り出す。

××小学校ーー思い出ーーー

アニ「(サシャが通っていた小学校か?)」

アニはページを開く。

ーーー6年2組ーーー

と書かれた下に写真があった。そこには小学生だった頃のサシャの姿があった。
サシャは今と変わらないような笑顔で笑っていた。ただ、違うのは今より髪が短かったと言うことだ。

サシャ「あれ?アニー?!何見てんですか?!」

アニ「何って?」

サシャ「それ、私の小学校の頃のアルバムじゃないですか!?」

アニ「それで?」

サシャ「じゃあ、今度、アニのも見せてくださいね!」

アニ「分かったって。」

サシャがアニの隣に寝転ぶ。

サシャ「懐かしいですねー。」

サシャ「あれから1年経つんですね。」

アニはページをめくる。

ーーー6年1組ーーー

そこには、ヒストリア・レイスの名前があった。だが、クラスの集合写真には居なかった。

アニ「あいつってさ、本当に病弱だったの?」

サシャ「はい。」

サシャはページをめくって行く。

ーーー6年3組ーーー

アニ「あ、この人って確か、1組のミーナって人だよね。」

ミーナは毎朝サシャと一緒に登校しているソフトボール部の次期部長候補である。

サシャ「ミーナは変わってませんねー。」

アニ「確かに。」

アニ「私、風呂入ってくる。」

サシャ「じゃあ、私は髪乾かしてきます。」

2人は部屋を出る。

アニは風呂に浸かる。

アニ「(私は本当に無力なのだろうか?)」

アニは考え込む。答えが無いのは知っている。

サシャ「アニー?」

アニ「うわあ?!」

サシャは笑う。

サシャ「あ、頭洗いましたね?」

アニ「あ、はい・・・。」

サシャ「ふふ。可愛い。シャンプー多分もう無いと思うから、容器だけ貰うね。」

アニ「あ、はい・・・。」

アニはシャンプーの容器をサシャに渡す。

アニは風呂を出て、サシャの家のリビングに居た。サシャはテレビを見ている。その時だった。

ピンポーン!

サシャ「はーい?」

サシャは玄関へと駆け出す。

ミーナ「サシャ!」

サシャ「ミーナ!でも、何でこんな時間に?」

ミーナ「塾だったの。あ、連絡貰ったんだけどさ、明日、OFFだって。」

サシャ「そうですか!」

ミーナ「じゃあ、明日2人で遊びに行く?」

サシャ「はい!私も明日暇なんで!」

アニはドアを開ける。ミーナに気づかれてしまったようだ。

ミーナ「妹?」

サシャ「いえ、うちのクラスのアニです。今、家に泊りに来てるんです。」

ミーナ「へえー。」

サシャ「じゃあ、明日どこ行きましょうか。」

ミーナはアニの方をずっと見ている。

ミーナ「あ 、そうそう。アニってさ。」

サシャ「何ですか?」

ミーナ「うちのクラスのベルトルトの幼馴染なんでしょ?」

サシャ「そうそう!かっこいいですよねー!ベルトルト!」

ミーナ「ねー!」

アニは階段を上がる。

アニ「私が何でベルトルトの幼馴染って風潮立ってんの・・・!」

アニ「意味わかんないよ・・・!」

アニはため息をつく。下の階からサシャの声が響く。





サシャ「お母さん?」

サシャの母「何?サシャ?」

サシャ「明日遊びに行っていい?」

サシャの母「いいけど。」

サシャが階段を上がってくる。

アニ「随分と長い話をしていたね。」

サシャ「そうですかね?」

アニ「ああ。」

サシャ「私はもう寝ます。おやすみなさい。」

サシャは布団を敷く。

アニ「手伝うよ。」

サシャ「ありがとうございます。」

アニ「ベッドで寝ないの?」

サシャ「いいんです。アニがベッド使ってください。」

アニ「悪いよ。」

サシャ「じゃあ、布団2枚敷きます?そっちの方が公平ですし。」

2人は布団に横たわる。

サシャ「アニは好きな人、居ないんですか?」

アニ「私は居ないよ。サシャは?」

サシャ「私もです。」

アニ「そっか。」

サシャ「じゃあ、電気消しますね。」

サシャは電気を消す。

サシャ「アニ。おやすみなさい。」

アニ「おやすみ。サシャ。」

完璧な朝だった。

サシャ「ふああ・・・。」

サシャの母「サシャー!ご飯出来たから、アニちゃんも起こしてきなさい!」

サシャ「分かってるー!」

サシャは顔を洗う。黄色のTシャツと薄いデニムのサロペットに着替えた。

サシャ「アニー!起きてください!」

アニ「ふああ?今、何分?」

サシャ「7時25分です。」

アニ「起きなきゃ!」

サシャ「ご飯、出来ましたよ?」

サシャ「いただきまーす!」

サシャの母「よく噛んで食べろって言ってるじゃない!」

サシャ「分かってるって!」

アニ「いただきます。」

アニは箸を持つ。

サシャの祖父「あ、そうそう。婆さん。」

サシャの祖母「なんだい。爺さん。」

サシャの祖父「あの、ダンボール知らないかい?」

サシャの祖母「知らないよ!」

サシャの母「あ、気にせず食べてね。いつもの事だから。」

サシャ「そうだ!」

サシャは手を叩く。

サシャ「アニの服!」

サシャは2階に駆け上がる。アニもついて行く。

サシャ「アニはどんな服が好みですかねー。」

アニ「何でもいいよ。派手なのじゃなければ。」

サシャ「お任せでいいですか?」

サシャはタンスからショートパンツのサロペットと赤いTシャツを取り出す。

サシャ「可愛いです!アニは美人さんですから何でも似合いますね!」

サシャは手を叩く。

アニ「そうかな?」

サシャ「髪セットしますから、勉強机の椅子に座ってください!」

アニは椅子に座る。

サシャ「アニの髪は綺麗ですねー。」

アニ「へぇ?」

サシャ「さらさらでうらやましいです。」

サシャは青い針ピンを取る。

サシャ「これを刺してと、はい!出来上がりました!」

サシャがやった髪型は三つ編みだった。三つ編みなんて小さい頃に母親にやってもらったぐらいだ。

ミーナ「サシャー?」

サシャ「はい!今行きます!」

ミーナ「今日どこ行く?」

サシャ「私はどこでも。」

ミーナ「そうそう!この前、あそこにショッピングセンターできたの知ってる?」

サシャ「ええ?本当ですか?!」

ミーナ「ええ!そこ行こうよ!」

サシャ「はい!行きましょう!」

アニは階段から顔を出す。

ミーナ「あー!可愛い!」

サシャ「誰がです?」

ミーナ「昨日のアニだよね?」

サシャ「でしょう!?可愛く無いですかー?」

ミーナ「ええ!」

サシャ「アニも一緒に行きましょうよ!楽しいですよ!」

ミーナ「私はミーナ!宜しくね!」

ミーナは微笑む。アニもつられて笑う。

アニ「私はアニ。よろしく。」

サシャ「じゃあ、行きましょうよ!」

ミーナ「そうだね。」





道を歩く。外は過ごしやすかった。

ミーナ「そうそう。」

サシャ「何がです?」

ミーナ「うちのクラスでさ、大問題が起きたのよね。」

サシャ「あー。またヒッチが誰かがやらかしたんですか?」

ミーナ「そうそう。本当に嫌んなっちゃうよねー。」

ショッピングモールに入る。

ミーナ「涼しーい!」

サシャ「ですねー!」

アニ「・・・涼しい。」

店を見ながら歩いていく。

ミーナ「洋服欲しい!」

サシャ「ですねー。」

アニは洋服屋のガレージを見る。そこには流行の洋服が並んでいた。

サシャ「入りましょうよ!」

ミーナ「んね!賛成!」

ミーナ「これ可愛い!」

サシャ「えー?!これ、4500円もしますよ?」

ミーナ「サシャスタイルいいから絶対似合うよ!」

サシャ「そうですかね・・・。」

ミーナ「うん!似合うよ!」

サシャ「お姉さん達と来ればいいじゃないですか・・・。」

アニ「」ウットリ

ミーナ「アニ?」

アニ「はうあっ?!」ビクッ

ミーナ「このワンピース可愛いよねー。」

アニ「あ、ああ・・・。」

3人は移動する。

サシャ「私、文具屋さん行きたいです。赤ペンとシャー芯が切れちゃって・・・・。」

ミーナ「私も!筆箱のファスナーが壊れちゃったのよね。」

文具店に入る。

サシャ「0.5の方が書きやすいですしねー。」

ミーナ「そう?私は0.3も書きやすいと思うけど?」

サシャ「私は書きにくいです。」

ミーナ「ドクターグリップって書きやすいよね。」

サシャ「あー。私はアルファゲルの方が好きです。」

ミーナ「書きやすいよね。」

アニ「(シャーペンなんかどうでもいいよ。)」

ミーナ「このクルトガ可愛い!」

サシャ「クルトガって書きにくくないですか?」

ミーナ「いいの!私は書きやすければ何でも!」

サシャ「へー。」

サシャ「あ、あれ!」

ミーナ「どしたの?」

アニ「はい?」

サシャ「あ、あれベルトルトじゃないですか?」

ミーナ「本当だ。隣はアルミンだよね。」

サシャ「はい。」

アニ「ベルトルト?」

アルミン「え?」

ミーナ「2人とも!勉強道具でも買いにきたの?」

アルミン「まあ、そうだね。」

サシャ「そうなんですか!」

ベルトルト「あれ?2人はどこ行くの?」

ミーナ「あ、私たちは今日休みだから遊びに来たの!」

ベルトルト「へえ。」

アルミン「またね。」

ミーナ「うん!バイバーイ!」

店を後にする。

家に帰宅する。

サシャ「アニ。」

アニ「何?」

サシャ「今日、楽しかった?」

アニ「私はこんな所一度も連れてきてもらった事無いからよくわかんないよ。」

サシャ「そうですか。」

その時だった。

ピンポーン!

サシャ「誰でしょう?」

サシャは駆け下りて行く。

サシャ「はーい!」

ドアを開ける。

ベルトルト「あの、アニ居ますか?」

サシャ「居ますけど・・・。」

アニ「どうかしたの?」

ベルトルト「アニの・・・、アニの家が大変な事になってるんだ。」

アニ「え?」

ベルトルト「来てくれ!」

ベルトルトはアニの手を取る。

アニ「へえ?え?ちょっと!ベルトルト!?」

ベルトルトはアニの手を取ったまま駆け出す。

サシャ「待ってください!」

サシャ「怪しい匂いがします!」

ベルトルト「こっち!」

サシャ「はい!」

ベルトルトはとてつもない速さで突っ込んで行く。

アニ「え?え?ちょっと待って!」

ベルトルト「見なよ!」

アニ「え?」

アニの家の前にはテープが貼られていた。

アニ「どうしたの?」

ベルトルト「アニの、アニのお父さんが亡くなったんだ・・・。
それを朝、大家さんが見つけたらしい・・・。」

アニ「そうなの?」

アニはテープをくぐり抜けて行く。

アニ「(ドアが空いてる!)」

警察1「誰だお前は!」

アニ「娘です・・・。」

警察2「大家さんが言っていました。被害者には中学生の娘がいますと。名前はアニって言っていたはずです。」

警察1「君がアニか?」

アニ「そうです。」

アニ「あなたは?」

イアン「紹介が遅れたよ。俺はイアン。イアン・ディートリッヒ。警察の物だ。」

イアン「悪いんだが、君はどこで何をして居た?」

アニ「私は、昨日からずっと友達の家に泊まっていました。」

イアン「そうか。じゃあ、被害者が帰って来たのは昨日の夜だな。」

リコ「死因は急性のアルコール中毒かと思われます。見てください。この酒の量。検出の結果大量の飲酒をされていたと考えられます。」

アニ「そういえば、思い当たる節がありました。母親と離婚してからずっと父親は夜、酒をたくさん飲んでいました。」

イアン「それはいつ頃から?」

アニ「私が、10歳ぐらいの時からです。」

イアン「そうか。」

イアン「お願いだ。アニ。」

アニ「はい?」

イアン「警察に来てくれないか?」

アニ「まさか、私が何か!」

イアン「いや、今日1日君を保護する。お願いだ。警察に来てくれ。」

アニ「分かりました。」

サシャ「アニ!」

アニ「大丈夫だって。」

サシャ「気を付けてね。」

アニ「ああ。」

アニは警察車両に乗せられて行く。

リコ「ってか、こいつどうするんです?」

キッツ「児童相談所と相談するしかないだろ。」

リコ「でも・・・。」

キッツ「こいつにはもう両親は居ないんだ。しょうがねえだろ。」

イアン「そうやって決めつけるんですか。」

リコ「しょうがないだろ。」

イアン「くっ・・・。」

警察車両は警察署本部に到着する。






イアン「はい。」

イアンは車のドアを開ける。

イアン「悪いね。しばらく君には辛い思いをさせる事になると思う。」

アニ「あ、はい。」

アニは椅子に座る。

リコ「はい。お茶。」

アニ「ありがとうございます。」

リコ「いいえ。」

イアン「それにしても。」

リコ「え?」

アニ「ふう・・・。」

イアン「大丈夫かい?」

アニ「はい。」

イアン「そうかい。」

アニは窓を見る。

アニ「サシャ?」

警察署の前をサシャが走っている。

アニ「あれは・・・。クシェルさん?」

クシェルとリヴァイも走っていた。

アニ「サシャのお父さんお母さんとケニーさんも?」

ドアが空く。

サシャ「アニ!」

サシャはアニに抱きつく。

アニ「うわわ!うわあ?」

サシャ「大丈夫?!心配したんよ!」

クシェル「今まで辛かったでしょう・・・。」

クシェルはアニの手を優しく握る。

ケニー「ありがとうございました。」

イアン「はい。」

サシャ「そうだ!」

アニ「何?」

サシャ「うちで一緒に一緒に暮らしませんか?」

アニ「は?」

アニ「へ?」

サシャ「はい。いつでも来てください。」

アニ「本当に言ってるの?」

サシャ「はい!」

サシャはアニの腕をとる。

あれから、半年が過ぎた。アニはサシャの家族の一員になることが出来た。






サシャ「アニ。」

アニ「ん?」

サシャ「どこかいきたいところはありませんか?」

アニ「この本のやつパクっただけでしょ。」

サシャ「そうですか。そこら辺散歩しませんか?」

アニ「そうだね。」

アニ「そこら辺工事するらしいよね。」

サシャ「そうみたいですね。」

サシャ「ってか、あいつ、いつになったら学校くるんですかねー。」

アニ「確かにね。」

ミーナ「アニー!サシャー!」

サシャ「ミーナ!」

ミーナ「サシャは?」

アニ「散歩してたの。」

サシャ「そうなんです!」

ミーナ「そうなの?じゃあ、私塾あるから!」

ミーナは自転車を走らす。

サシャ「行こうか。」

アニ「そうだね。」

2人は歩き出す。

サシャ「ねえ!」

アニ「何?」

サシャ「アッカーマンさんの家寄って行こうよ!」

アニ「アッカーマンさんの家って遠くない?車でも15分くらい掛かるじゃん。」

サシャ「そこから行くと坂が無いから!」

アニ「そうなんだ。」

サシャはアニの手を引っ張る。

その時だった。

ケニー「よう。サシャじゃねえか。」

サシャ「ケニーさん!今行こうとした所!」

ケニー「じゃあ乗ってけよ!ウチはいつでも大歓迎だからよ!」

ケニーは笑う。

サシャ「乗ってこ!」

サシャはドアを開ける。

クシェル「いらっしゃい。」

サシャ「お邪魔しまーす。」

クシェル「アニちゃんも来てくれたの?」

アニ「はい。」

クシェル「ちょっと待っててね。お菓子出すから。」

アニ「はい。」

ケニー「じゃあ、俺は店に顔出してくるから。」

クシェル「わからないけど、リヴァイが出てたらよろしくね。」

ケニー「分かってるってよ。」

ケニーは店の奥へと消えていく。

このSSまとめへのコメント

このSSまとめにはまだコメントがありません

名前:
コメント:


未完結のSSにコメントをする時は、まだSSの更新がある可能性を考慮してコメントしてください

ScrollBottom