チノ「美少女アニメのイラストレーター?」 (20)

ある日、ラビットハウスにて、


チノ「ふぅ~、今日は平日だというのに学校がお休みです」

チノ「お父さんも用事で出かけてるし、ココアさんとリゼさんもお出かけしてていません」

ティッピー「zzzzz」

チノ「ティッピーはお昼寝してます」

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チノ「たまにはテレビでも観ましょうか。今の時間だとミヤネ屋がやってるはずです」

ポチッ

宮根『では続いてのニュースです』

アナウンサー『はい、お伝えします。女子高生にお金を渡してわいせつな行為をしたとして、美少女アニメのイラストレーターが逮捕されました』

チノ「え、美少女アニメのイラストレーター?」

アナウンサー『先日、女子高生に現金を渡しホテルに連れ込みわいせつな行為をしたとして、美少女アニメのイラストレーターの男が逮捕されました』

チノ「美少女アニメのイラストレーターって? それって、普通のイラストレーターとはどう違うんでしょうか?」キョトン

アナウンサー『男は美少女アニメのイラストレーターとして活動しており、あの演歌歌手の小林幸子さんのCDジャケットを描いたこともあるとのことです』

チノ「え? 美少女アニメのイラストレーターなのに演歌歌手のCDジャケットも描くって、いったいなんですか、それ?」

アナウンサー『警察では、この美少女アニメのイラストレーターについて詳しく調べる予定です』

宮根『はい、ありがとうございました。いやぁ〜、美少女アニメのイラストレーター怖いですね』

チノ「なるほど、よくわかりませんがイラストレーターやってる人は怖いんですね。気をつけないと」

カランカラン

チノ「あ、お客さんだ! いらっしゃいませ」

男「あ、すみません。ちょっと道を聞きたいんですけど」

チノ「え、道をですか?」

チノ(見かけない顔の人ですね。この街の人じゃないのかな?)

男「この街に新しくできたホテルを探してて」

チノ「あ、ひょっとしてつい最近できた大きなホテルのことですか? それならこの先の通りをまっすぐ進んで右に曲がると見えますよ」

男「本当ですか? ありがとう」

チノ「いえっ」ペコ

男「そうだ!道を聞いただけじゃ悪いしちょっと休憩して行こうかな。ここ、喫茶店だよね?」

チノ「はい、うちはラビットハウスという名前の喫茶店です」

男「なら、コーヒーをください」

チノ「かしこまりました」

男「いやぁ〜、実はこの街に来るの初めてでね、道に迷っちゃったんだよ」

チノ「そうなんですか。通りで見かけない方だと思いました」

男「お嬢ちゃんはこの店の子かい?」

チノ「はい、この店はうちの祖父が建てた店です。今は父と私とバイトの人達で切り盛りしてます」

男「そうか、えらいね〜」

チノ「いえ………」

チノ(この客、やたら話しかけてきます。コーヒー煎れづらくてウザいです……チッ)

チノ(でも、ここは接客業としてお客さんに合わせるのも大切ですよね………)

チノ「えっと、お客さんはお仕事で来られたんですか?」

男「ああ、実は僕、こう見えてもイラストレーターをしてるんだ!」

チノ「えッ………」



ガシャーーーーン!!

男「うわ、大丈夫かい!? いきなりコーヒーカップを落としたけど」

チノ「…………い、いやぁぁぁぁぁぁぁーーーーー!!」ブルブル


カランカラン

ココア「チノちゃん、ただいま〜〜」

リゼ「チノ、今日はシフト入ってないけど近くまで来たから遊びに来たぞ」


チノ「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーー!!」ブルブル

男「お、おい!? 大丈夫かい君!?」

ココア「あれ、なんだかチノちゃんが青ざめた様子で震えてるよ! それと男の人がいるけど、お客さんかな?」

リゼ「なんだか様子がおかしいぞ! チノ、いったいどうしたんだ?」


男「君たち、この子の知り合いない? この子がいきなり___」

チノ「こ、来ないでくださいぃぃぃ〜〜!!」ブルブル

男「えッ!?」

ココア「チノちゃんが明らかに男の人を怖がってるよ!」

リゼ「怪しいヤツめ、チノから離れろ!!」

男「えぇぇ!? 待ってください、私は何としてないですよ!!」

チノ「そ、その人、イラストレーターなんですっ! しかもさっき、私にホテルの場所を聞いてきました!!」ブルブル

リゼ「な、なんだと!!?」ギロ!

男「いや待ってくれ、誤解だ!」

チノ「さっきテレビでやってました、アニメのイラストレーターが女子高生にお金を渡してホテルに連れ込んで逮捕されたってニュースを。きっとこの人も言葉巧みに私をホテルまで案内させていかがわしいことをしようとしてたんです!!」ブルブル

ココア「な、なんですとぉーーーーー!」


男「違う! 僕は普通にホテルの場所を訊ねただけだ!」

ココア「チノちゃん、早くその男から離れてこっちへおいで!」

リゼ「中学生相手になんてことを! 許しちゃおけない!! ここで私が成敗してくれる!!」

男「うわ、お……おじゃましましたぁーーーー!! お金ここ置いとくから、お釣りいらないからぁーーーー!!」

ココア「あ、逃げたーーー!!」


男「ふぅ………なんなんだよさっきの店は。確かに僕はイラストレーターだけど、でも僕の描くイラストって萌え絵とかじゃない普通のイラストなのに……」

男「まったく、ひどい目にあったよ。イラストレーターに対する風評被害もいいところだ」


ガヤガヤガヤ……

男「あれ? あんなところに人集りができてるぞ。何かあったのかな?」


女「この変態! 私の身体触ったでしょ!!」

おっさん「待ってください! 私はあなたの身体なんて触ってませんよ!!」

男「あのぉ〜、何かあったんですか?」

女「このおっさんが私に痴漢したんです!」

おっさん「誤解だ! 私は何もしてないですよ!!」

男「まあまあ二人とも落ち着いて。ここは冷静に………ん?」

おっさん「どうかしましたか? 私の方をジッと見て……」

男(このおっさん、よく見るとカバンにアニメのキャラクターが描かれた缶バッチをつけてるぞ。このキャラクターって確かに……)

男「あの、つかぬことをお聞きしますが、もしかしてあなたはラブライバーですか?」

おっさん「え、そうですがそれが何か?」

男「…………」

ピポパポ

警察『はい、こちら警察署です』

男「あ、警察ですか? 街中でラブライバーのおっさんが若い女の人に痴漢してもめてます。早く来てください」

おっさん「えぇぇぇぇーーーー!!?」



END

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