提督「誰もが恐れる奴が出てくる季節になってきたな……」 (100)

提督「人類を脅かす深海棲艦と日夜戦う我が鎮守府」

提督「所属する艦娘達も勇敢に戦い続けている。皆良い娘ばかりだ」

提督「戦場で命がけで戦っている彼女達の負担を軽くするためならどんなことでも惜しまない覚悟だ」

提督「決まってこの季節……俺は彼女達のために鬼になるのだ」

>キャアー
>デター!!

吹雪「し、司令官ッ!? で、出ました! 今度は食堂にあれが!」

提督「出たか!!」新聞紙+ゴ○キジェット

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--食堂--

提督「皆、待たせたな」

>提督が来てくれたわ。
>これでもう安心ですね。
>ふ、ふん。遅いのよクソ提督
>キタコレ!

提督(くっ……彼女達をこんなに怯えさせやがって。毎回思うが絶対に許さん)

間宮「提督、くれぐれも気をつけて下さいね。あれが最後に確認されたのはここの左奥です」

提督「貴重な情報をありがとうございます間宮さん。
   良いかお前達、俺が中に入ったら瞬時にドアを閉めろ。奴をここから出すな」

金剛「オッケーだヨ、提督……」

雷「む、無茶しちゃ駄目なんだからね司令官」

提督「心配するな。皆の平穏の為に頑張ってくるよ」

大井「骨は拾ってあげません……戻ってくるんでしたら」

提督「ああ、勿論だ」

提督「では……行くぞ!」

吹雪「頑張って下さい司令官」

夕立「応援するっぽい!」

-提督が、食堂に突入しました。

提督「敵は……左奥ッ!」

-索敵開始!

提督「…………見えたッ!」

-敵艦隊、見ゆ!

提督「数は……3ッ! 不利か!」

提督「それでも……守りたい場所があるんだぁぁぁ!!」


--提督奮闘中--

提督「……勝ったッ!」

-完全勝利【S】
-限定ドロップ【Gの死骸】
-情報【攻略おめでとうございます。1匹見たら30匹、3匹見たら……という恐怖の情報を入手しました!】

提督「いらねえ!?」

提督(この鎮守府に所属する艦娘全員に共通の弱点がある)

提督(いや、艦娘に限らず殆どの人が平気ではいられないと思うが……)

提督(そう、コードG……まあゴキブリが超が何個も付くほど苦手なのだ)

提督(信じれるか? 深海棲艦と戦う勇猛果敢な彼女達が、だ)

提督(奴を前にすると普段頼もしい長門、武蔵、日向、加賀といったクールな娘達も弱々しい涙目乙女になる)

提督(無論クールに限らずツンデレやボーイッシュ、鉄面皮な娘達も変化してしまうんだぜ?)

提督(意外な一面を見られるっていう点では奴に感謝すべきか……)

提督(俺? 俺は実家がドの付く田舎だけあって小さい奴も大きい奴も見慣れてるからヘッチャラだ)

提督(親父はトイレの中で出会っても冷静に処理する程の手際の良さである)

提督(まあ、こうして耐性があるお陰で全艦娘から頼りにされているわけだが……)

叢雲「ど、どう? 私達のところにはいない?」

提督「ああ、姿形も無い」

叢雲「ちゃ、ちゃんと確認したんでしょうね! 適当にやったら許さないんだから!」

提督(う~ん。目が覚めた瞬間、目の前に奴がいたせいでトラウマになっている……)
提督「大丈夫だ。何度も確認したし、奴はここにいないよ」

吹雪「大丈夫だよ叢雲ちゃん。私も司令官と一緒に確認したから」

深雪「そうだぜ。それに夜はあたし等で固まって寝れば怖くねえだろ」

叢雲「……うん」グスッ

提督「よし、じゃあ後は任せるぞ吹雪」

吹雪「了解です。司令官」

初雪「司令官もう行っちゃうの……?」

提督「もっと居てやりたいのは山々なんだが、これから戦艦、空母、重巡各寮の部屋を見て回らなくちゃいけないんだよ」

白雪「食堂のショックが大きかったんですね……」

提督「そういうこと。俺以外にも苦手じゃない奴がいると嬉しいんだが」

叢雲「絶対無理ッ!? 深海棲艦の方が全然マシよ!!」

提督「ゴキブリと比べられる深海棲艦ェ……」

提督(とはいえ、また大本営に害虫駆除用の物資を要請しなきゃなぁ……)

--数日後--

加賀「提督、連絡が来ています。どうやら大本営からです」

提督「んっ、この間要請した物資の件かな」

加賀「その物資というのは……」

提督「もちろん害虫駆除用……えっ?」

加賀「……どうかしましたか?」

提督「おいおい、マジか。上は何を考えてんだよ」

加賀「失礼します。…………頭にきました」

提督「ちょっ!? 加賀待って! 落ち着くんだ!!」

--大本営、物資要請を拒否する。その報せは執務室に仕掛けられた盗聴器によって、青葉から鎮守府全体に知れ渡ったのだった。

長門「提督ッ! これはいったいどういうことなんだ!」

武蔵「上は我々に、無様に死ねと言うのか!!」

龍田「うふふふ、大本営の人達とはお話が必要ですよね~?」

提督「頼むからお前等落ち着いてくれ! 馬鹿な真似はしてくれるな!」

摩耶「けどよ提督ッ! いくらなんでもこりゃねえだろ!」


大本営『【要約】日本男児と艦娘が害虫如きに何時までも怯えてどうするのか。
     毎回の要請は予算の無駄だから、駆除とかもうそっちでなんとかしてね』


提督「まあ確かにな。俺は別に平気だもん」

摩耶「そこじゃねえだろクソがッ!」

ぼちぼち書いていきます。

昨日から沢山の人が見ていてくれて驚いてます。

提督「とにかくこうなってしまっては仕方がない。俺達だけで何とかするしかないな」

天龍「つってもどうすんだよ」

提督「討伐隊を結成……」

この場の全員「」メソラシ+ヒヤアセ

提督「うん、分かってた。ならプランBでいく」

漣「プランBは何ですかご主人様ッ!」

提督「こういう時こそ提督同士のネットワークが役に立つんだ。
   この手のことに多大な戦果をあげた奴が知り合いにいるから相談する」

加賀「そんな方がいるのですか?」

提督「おう。任せとけ」

--艦娘退出後(秘書艦の加賀は残り)--

提督「――と、言うわけなんだ。彼女達の平穏を取り戻すために力を貸してくれ」

提督「おっ、そうか。ありがとな。そんなにこっちに貸してくれるのか」

加賀(どうやら良い方向に話は向かっているようね……)

提督「後の処理はこっちに? 良い……んだな。そうだよなぁ。耐性ない人は駄目だよな」

加賀(耐性? 何か強い薬品なのかしら)

提督「了解。明日そっちに引き取りに行くから」ガチャン

加賀「その表情から察するに上々のようですね」

提督「ああ。対害虫駆除用の強い味方を貸してもらえることになった」

加賀「それは良かったです」

提督「早速、明日の朝にでも行ってくるよ。早い方が良いだろう」

加賀「お一人でですか? 私も念のため、同行しますが……」

提督「うえ゛っ……あ、いや、これは提督同士でしかやり取りの許されない代物でな。艦娘と言えど部外者には……」

加賀「見せられないというわけですか。……なるほど、無闇に使うわけにはいかない強力な物なのね」

提督「使えないというか、勝手に使われてるというか……」

加賀「???」

提督「と、とにかく加賀、お前は何も心配しなくていい。全て俺に任せておけ。頼りにしてくれ」

加賀「……もう最初から貴方を頼りにしてるもの」ボソッ

提督「えっ?」

加賀「な、何でもありません。任せましたよ提督」

--夜・大浴場--

加賀「――と、いうわけで提督が明日出ることになりました」

大和「流石は提督です! とっても頼りになりますね!」

飛龍「はぁ~……良かった。それだけ強力な代物ならこの先怯えることはなくなりそうですね」

蒼龍「むふふ。飛龍ってば、脱衣所であれが出た時に悲鳴をあげてここから飛び出したんだよねえ」

北上「ああ、あれか~」

大井「たまたま外を歩いてた提督に抱き付いてしまって」

多摩「気付いて恥ずかしさのあまり殴り飛ばしたんだニャア……」

球磨「全裸で飛び出したからしょうがないクマ」

木曾「殴り飛ばされたあいつは悲惨だったが」

飛龍「もうそれを言わないでよぉ! それにあの後、提督にちゃんと謝りましたもん。許してくれましたもん……」

青葉「それで加賀さん、提督はその秘密兵器について他に何か言ってませんでしたか?」
青葉(盗聴器もいつの間にか取られちゃったから、情報をもっと知りたいんですよねえ……)

加賀「私もあまり詳しく聞いたわけじゃないから、答えられることはあまり無いわね」

青葉「う~ん、そうですか。ここにいる全艦娘のために情報をお報せしたかったんですが……」

加賀「ただ……そうね。私が執務室を出る時に――」


提督『軍曹には手早く仕事してもらわないとなぁ……』


加賀「って、呟いてたわね。もしかしたら聞き間違いかもしれないけれど」

青葉「軍曹、ですか?」

金剛「ン~? 加賀の話だと、害虫駆除用の兵器じゃないんですカー?」

比叡「海軍所属の人間兵器とかでしょうか!」

霧島「比叡姉さま流石にそれは……。その兵器の別名みたいなものでは?」

榛名「さっぱり想像がつかないわね」

曙「もう何でも良いわよ! この悪夢のような日が終わってくれるなら何だって!」

明石「曙ちゃんに同感ですねえ。兵器についてはちょっぴり興味がありますが」

夕張「同じく」

衣笠「でも提督だけじゃなく、私達にも出来ることやらなくちゃ駄目じゃない」

加賀「そうね。掃除を各寮で徹底的にしないと……」

望月「うえ~。あの気持ち悪いのに会わないためといえ、面倒だなぁ」

--翌日--

提督「朝早くにすまないな」

友人提督「気にするな。ほら、例の物は用意してある」ユビサシ

提督「助かる。この機械はなんだ?」

友人提督「うちの明石に作らせた軍曹センサーだ。これを使えば軍曹がまだ居るか居ないかが一目で分かる」

提督「すげえ。こっちの明石は『あんな気持ち悪いもの用の機械なんて~』って言って作ろうともしないし」

友人提督「まあ、気持ちは分からんでもない」

提督「でも本当に良いのか? お前が害虫駆除用に育てた軍曹だろ?」

友人提督「……未練はない。その事実を知った提督LOVEの金剛でさえ、ドン引きして離れていったんだ(涙目)」

提督「あっ……(察し)」

友人提督「とにかく早く持って行ってくれ」

提督「……まあ、元気出せよ。ほらこれ、少ないけど」封筒

友人提督「こういうのは駄目なんじゃないか?」

提督「心配するな。怪しい物じゃない。お前に少しでも元気を出してもらおうと思って持って来たんだ」

友人提督「そういうことなら……」

提督「じゃあ俺はこれで。ホントにありがとな」

ドア、バタン

友人提督「…………」封筒開封

――青葉が激写。ゴキブリに怯えて涙目な艦娘達写真集

友人提督「……ktkr」

キリが良いのでここまで。見てくれてありがとうございます

ひっそりと再開。今日もゆっくり書いていきます。

--鎮守府--

提督(よし。戻ってきたぞ)

提督(この時間は大淀と加賀に頼んで殆どの者が演習か遠征に出てもらっている)

提督(今の内に各寮と鎮守府に軍曹を配備していこう。くれぐれも見つからないように――)

不知火「提督?」

提督「ふぁっ!?」

不知火「ッ!?」ビクッ

提督「お、おおう。不知火か」

不知火「は、はい不知火です。驚かせてしまったようで申し訳ありません」

提督「いや、良い。俺が勝手に驚いただけだ。お前はどうしたんだ」

不知火「今日は非番でして、どう過ごそうかと思い、この辺りを歩いていました」

提督「そうか。今日はゆっくり休んで、日頃の疲れを癒してくれ」

不知火「そのお言葉が聞けただけで、ここを歩いていて幸運でした。
    無事にお戻りになられて何よりです。そのトランクの中に【軍曹】と呼ばれる例の駆除兵器が?」

提督「(兵器……?)ああ、そのようなものだ。しかし良く知っているな」

不知火「昨日加賀さんが皆に話しているのを聞きまして。提督がそう呟いていたと……」

提督「聞かれてたか……。まあ正体がばれなければ何とでも……」ボソッ

不知火「提督?」

提督「いやすまん。何でもないんだ」

提督「これから俺はこれを各寮と鎮守府に配備しに行く。お前は休みを満喫してくれ」

不知火「分かりました。重要機密でなければ、不知火もお手伝いしたいのですが……」

提督「その気持ちだけで十分だよ」

不知火「はい。ではこれで」

提督「おう」

――不知火が去って。

提督「はぁぁぁぁぁ……危なかった」

――こうして提督は

提督「頼むぞ軍曹」

――非番の艦娘にたびたび見つかりそうになりながらも

浦風「今そこに提督さんがいたような……?」

浜風「? ……誰の姿も見えませんが」

提督(危ねえ……!)

――次々に最強のGハンター、益虫アシダカグモを

提督「諸君等の奮闘に期待する!」

――各箇所に配備していった。

裏でそんなことが行われていることなど全く知らない艦娘達は提督だけに負担はかけさせまいと、

今以上に鎮守府と各寮の掃除を徹底的に行い、清潔感を保つようにした。

最強のGハンターの活躍と艦娘達の努力によって、鎮守府内に響く悲鳴は格段に減っていった。

そうして、軍曹が鎮守府に着任して幾日が過ぎていった――。

提督(軍曹センサーに表示される数も格段に減ってきたな……)

提督(まだ鎮守府内には何匹かいるようだが、時間の問題だろう。寮の方も0と表示されているところもあるし)

提督(仕事を終えたら、留まらず黙ってその場を去っていく。流石見た目は怖いけど紳士と評判の軍曹)

提督(彼女達に紹介出来ないのが残念だが、知らぬが仏という言葉もある。このままで良いのだ)

陸奥「提督? お昼ご飯持ってきてあげたわよ」

提督「おお、すまないな」サッ

陸奥「あら、あらあら。今何を隠したのかしら? お姉さんに隠れて何をしてたの?」

提督「やましい物じゃない。例の物の稼働状況を確認してたんだ」

陸奥「なんだつまんないの。やましい物でもお姉さん許しちゃうわよ?」

提督「からかうな。一緒に食べてやらないぞ」

陸奥「うふふ。ごめんなさいね」

提督「全く……」

陸奥「これでも感謝してるのよ? 今の時期、あれにビクビクせずに過ごせてるんですもの」

提督「そうか。わざわざ別の鎮守府に行って貰ってきた甲斐があったというもんだ」

陸奥「長門も喜んでたわ。提督には感謝してもしきれんって」

提督「長門かぁ……あいつが初めてゴキブリを見たときは『キニャアアアア!?』って悲鳴を上げたな。
   人目も気にせず俺に抱きついてきたが、力が入りすぎてて骨が折れるかと思った」

陸奥「もう長門ったら……」

提督「お前はシンプルに『キャアアア』だったな。確か」

陸奥「ッ! お、お姉さんをからかうのは関心しないわ」ミミツネリ

提督「いててっ! 悪かった悪かった!」

今日はここまで。完結目指して頑張ります。

ひっそりと再開します

――この時、提督は慢心してしまっていた。

『このまま行けば彼女達に知られること無く、駆除が完了し、鎮守府に平和が戻るだろう』と。

だが隠し事というのは、えてして気分が良い時や良い出来事があった途端に発覚してしまうものである。

【その時】は、もう間近に迫っていた。

--大浴場・脱衣所--

加古「いや~、今日も疲れたなぁ。お風呂入ってゆっくり寝たい~」

古鷹「加古ったら。お昼食べてた時も居眠りしてたのにまだ眠たいの?」

加古「睡眠はあたしにとっては重要なんだよね~」

山城「はあ~……今日も演習で弾がいっぱい当たってしまった。不幸だわ……」

扶桑「落ち込まないで山城。私はそれ以上当たってるから……」

時雨「それ、慰めになってないよ扶桑」

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2016年05月19日 (木) 19:47:42   ID: PrNd0wA5

Gとくれば軍曹と猫しかいないよな!

2 :  SS好きの774さん   2016年06月02日 (木) 08:45:31   ID: q6FLZCxW

猫は持ってくるんだよな...

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