穂乃果「ユッキーが反抗期に入った」絵里「ハラショー」 (47)

真姫「そもそもユッキーって誰?」

ことり「穂乃果ちゃんの妹の雪穂ちゃんのこと、だよね、穂乃果ちゃん?」

穂乃果「うん」コクン

にこ「確か中学三年生だよねー? そういう年頃なんじゃないのー?」

海未「確かに受験を控えたこの時期に反抗期というのは珍しくないと思いますが」

穂乃果「ユキちゃんがまゆ毛とか剃って肌が真っ黒になったりしちゃうの嫌ー!」

希「流石にそんな風にはならんと思うけど……」アハハ

穂乃果「絵里ちゃんちの亜里沙ちゃんはそんなことない?」

絵里「亜里沙はいつも通りだけど」

絵里「というか反抗期ってどんなことがあったの?」

穂乃果「えっとね……」ポロポロ

穂乃果「あれ、おかしいな、思い出しただけで涙が出てきちゃう……」ゴシゴシ

凛「これは相当みたいにゃ」

花陽「ぼ、暴力とかあったのかな……?」オドオド

海未「穂乃果、無理して話さなくてもいいですよ」

ことり「つらいことがあったらいつでも相談に乗るから、ね?」

穂乃果「ごめんね、ありがとう」

穂乃果「でも大丈夫、ちゃんと話せるから」フラッ

ことり「ホノカチャアアアアアアアアアアアン」

真姫「本当に大丈夫なの? 無理はしないでよね」

穂乃果「ユッキーが反抗期を迎えたのはここ最近なの」

――――
―――


穂乃果「ただいま、ユッキー」

雪穂「!?」モグモグ

穂乃果「あー! ユキちゃんまた穂乃果の分のたい焼き食べてる!」

雪穂「んぐ……。もう食べちゃったもんねー」エヘヘー

穂乃果「返してよー! 穂乃果のたい焼き!」

雪穂「ほしかったら取り返してみたら? もう食べちゃったけど」イヒヒ

穂乃果「むー……。ん、ちゅっ」

雪穂「お、お姉ちゃ、ん、んむっ……」

穂乃果「ちゅぅうう、ちゅるっ、ちゅぅ」

雪穂「や、吸わないで、んんっ……!」

穂乃果「ちゅぅぅううう、ちゅぽっ」

穂乃果「ふぅ、雪穂の口の中甘かったー。満足満足ー!」

雪穂「うー……」ウルウル

雪穂「……お姉ちゃんのバカ!」タタタッ


―――
――――

穂乃果「ユキちゃんにバカって言われたの……」

海未「穂乃果がバカなだけです」アキレ

にこ「妹相手にそんな……。穂乃果ちゃんとはいえど流石に舌とか入れてないよねー?」

穂乃果「入れたよ? 入れないと舐められないし」キョトン

絵里「それは完全に穂乃果のせいね」

真姫「まさかそれだけで反抗期とか言ってたわけじゃないわよね?」

穂乃果「違うよー。この頃はもっとひどいんだから!」

花陽「穂乃果ちゃんもっとひどいことしてるのかな……?」

凛「怖いにゃー」ブルブル

真姫「穂乃果の妹が反抗期になる気持ちもわかるわ」

ことり「ことりなら穂乃果ちゃんに何されてもいいけど」エヘヘ

希「ことりちゃんの穂乃果ちゃん好きも大概やね」

穂乃果「これは穂乃果のせいじゃないもん!」

――――
―――


穂乃果「ユキちゃーん!」

雪穂「お、お姉ちゃん! 部屋に入る時くらいノックしてよ!」アセアセ

穂乃果「えー姉妹だから別にいいでしょ?」

穂乃果「何かしてたの?」

雪穂「な、何もしてないよ!」

穂乃果「んー? あ、机の上に穂乃果の写真がいっぱい」チラッ

雪穂「あ、こ、これは……」アセアセ

穂乃果「もしかしてユッキー……」ジトー

雪穂「う、うぅ……」ダラダラ

穂乃果「写真整理してたの?」

雪穂「……へ?」キョトン

穂乃果「あれ? 違う?」

雪穂「ち、違くない! そうだよ!」

穂乃果「ちょっとみーせーて」ヒョイッ

雪穂「あ……!」

穂乃果「この前のライブの……。よく撮れてるねー、流石ユキちゃん」ウンウン

雪穂「お、おね、お姉ちゃん、そろそろ整理再開したいから返して」ダラダラ

穂乃果「ちょっとくらいいいじゃん、けちー」

穂乃果「ん? なんだかこの写真アングルが大分下からのような」

雪穂「……! そ、そういう変な写真を選り分けてるの、整理するから出て行って」グイグイ

穂乃果「それだったら穂乃果も手伝うよ?」

雪穂「いいから出てって!」バタン


―――
――――

穂乃果「今思うとなんだか明らかに反応がおかしかったというか……」

穂乃果「もうちょっと見せてくれてもよかったのに」

ことり「ね、ねぇ、海未ちゃんあれって……」ヒソヒソ

海未「おそらくそうでしょうけど黙っているのが吉だと思います」ヒソヒソ

穂乃果「出てってって追い出すなんて絶対、ぜーったい反抗期だよね?」

希「せやなー、もっと判断材料がないと分からないというかー」ニヤニヤ

花陽「希ちゃん、完全に楽しんでるよね……?」

にこ「希ってこういうの好きそうだしね」アキレ

穂乃果「ユキちゃんの反抗期がひどくなったのはここ数日なんだ」

海未「今までの話は反抗期といってもいいのか微妙ですが……」

穂乃果「まずね、お風呂に一緒に入ってくれなくなったの」

絵里「……それはこの頃の話なの?」

穂乃果「うん、ついこの間まで一緒に入ってたのに……」

凛「凛もかよちんと一緒にお風呂入るよ!」

花陽「り、凛ちゃん!」シーッ

凛「あーこれは内緒だったにゃ」テヘヘ

にこ「にこもー、真姫ちゃんと一緒にお風呂に入りたいなー」パチッ

真姫「に、ににに、にこちゃん! 何言ってるのよ!?」カアアアアアアアア

真姫「にこちゃんとこのかわいい真姫ちゃんが一緒におふ、お風呂だなんて……!」ボンッ

にこ「真姫ちゃん大好物のトマトみたいに真っ赤にこー。食べごろかなー?」ツンツン

にこ「ちなみにー、にこは食べごろにこ☆」

真姫「……っ! にこちゃんちょっと来なさい」ギュッ

にこ「いやーん、真姫ちゃんごういーん」キャハッ

穂乃果「にこちゃんと真姫ちゃんは今日も仲良しだねー」

穂乃果「穂乃果もユキちゃんとあんなふうに仲良しな姉妹に戻りたいな」シュン

絵里「お風呂に入らなくなるのはなんというか当然だと思うけど……」

絵里「雪穂さんも年頃なわけだし……もうすぐ高校生なのにお姉ちゃんと入るって言うのは恥ずかしいんじゃない?」

穂乃果「うわーん、やっぱり反抗期だー!」

希「それでそれで? それだけ?」

穂乃果「うぅん、まだまだいっぱいあるよ、この前もね……」

――――
―――


穂乃果「ユッキー! もっぎゅー!」ギューッ

雪穂「うわわわわ! お姉ちゃん、離れて!」カアアアアアアア

穂乃果「ちょっとくらいいいでしょー? ユッキー小さくて柔らかくて抱き心地いいんだもーん」

雪穂「離れてよ! お願いだから!」ジタバタ

穂乃果「ユキちゃんはそんなに穂乃果のこと嫌い?」シュン

雪穂「嫌いとかそういうんじゃないけど……」シドロモドロ

雪穂「と、とりあえず大変なことになっちゃうから!」

穂乃果「大変なこと?」キョトン

雪穂「うん」

穂乃果「大変なことって?」

雪穂「い、色々出ちゃいそうなの……」

穂乃果「あー、トイレ!? ごめん雪穂ー!」アワアワ

雪穂「違うよ! トイレとかじゃなくt」タラッ

雪穂「お、お姉ちゃんには関係ないこと!」プイッ

穂乃果「あ、ユッキー!」


―――
――――

穂乃果「それでね、ユキちゃん部屋の前に血が一滴垂れてたの……」

穂乃果「もしかしたらユキちゃん重い病気なのに話してくれないのかな、って」

花陽「今の話聞いた感じだとその血って……」コソコソ

凛「どう聞いても鼻血だにゃ」コソコソ

穂乃果「あとこの頃穂乃果を妙に避けてるっていうか……」

海未「勘違いではなくてですか?」ハァ

穂乃果「勘違いじゃないもん! 今朝だって……」

――――
―――


穂乃果「ゆっきほー、おっはよー」

雪穂「あ、お、お姉ちゃん! 私もう行くね!」ガタッ

穂乃果「あ、待ってユッキー。途中まで一緒に行かない?」

雪穂「う……」チラッ

雪穂「行ってきまーす!」

穂乃果「ユッキー!」


―――
――――

穂乃果「明らかに私を避けてたの……」

海未「避けていたとかではなく用事があっただけでは……」

穂乃果「それにこの頃帰りも遅いし」

絵里「帰りが遅いのは亜里沙も一緒よ。雪穂さんといたっていうから安心していたのだけど」

穂乃果「ユッキー、亜里沙ちゃんと一緒にいたなんて一言も言ってくれないよ!」

穂乃果「やっぱり反抗期なんだ」アワアワ

希「雪穂ちゃんが穂乃果ちゃんを避けたりこの頃帰りが遅いんにはきちんとした理由があるとおもうよ」

穂乃果「理由?」

海未「希は何か分かったのですか?」

希「まぁ、この名探偵のんたんにかかれば朝飯前やね」フフン

希「おそらく今夜、雪穂ちゃんから何かあると思うで」

ことり「今夜? 一体なんだろう……」

凛「名探偵かっこいいにゃー!」

絵里「私には何のことかさっぱりだけど希も相当の自信がありそうだしこの問題は解決ね」

穂乃果「そんなー、雪穂が反抗期なのに―!」

希「今夜全部わかると思うからそれまで辛抱しとき」

穂乃果「うー、気になるー」ウズウズ

花陽「希ちゃん、どういうことなの?」

希「みんなにもあとでちゃーんと教えたげるから」

希「今はどこかでいちゃいちゃしてるにこっちと真姫ちゃんを捕まえて練習しよ」

夜、高坂家

穂乃果(夜になったらわかるーなんて言ったけど全然何もわからないよ……)

穂乃果(もうすぐ日付変わっちゃうのに……)

穂乃果(もう寝ちゃおうかな、明日も練習だし……)ウトウト

バチッ

穂乃果「うひゃあ!? て、停電!?」ビクッ

パァン

穂乃果「え? 何!? 撃たれた!?」

パチッ

穂乃果「あ、明るくなった」

雪穂「お姉ちゃん、誕生日おめでとう!」パァン

穂乃果「誕生日……?」キョトン

穂乃果「あー! 今日穂乃果の誕生日だ!」

雪穂「忘れてたの!?」

穂乃果「ユキちゃんが反抗期迎えたかと思って気が気じゃなかったから……」

雪穂「私が反抗期?」

穂乃果「だって、この頃穂乃果のこと避けてたし……」

雪穂「私が? お姉ちゃんを?」

穂乃果「今朝だって穂乃果を避けるように家を出ちゃったし……」

雪穂「だ、だってそれは――」

穂乃果「それにこの頃ユッキー変だったから反抗期なのかもって」

雪穂「変だったのはわからないけど避けてたのはお姉ちゃんを驚かせるためだよ!」

雪穂「私ってなんだかんだでお姉ちゃんには結構甘いって自覚あるからお姉ちゃんと話したら誕生日のこと言っちゃうかも、って思ってなるべく話さないようにしてたの」

穂乃果「ユキちゃん……!」ウルウル

雪穂「お姉ちゃんのことはす……きらいじゃないから驚かせたくて」エヘヘ

穂乃果「ユキちゃーん!」ダキッ

雪穂「お、おね、お姉ちゃん!?」カアアアアアアアアア

穂乃果「ユッキーが反抗期だなんて考えてごめんね! ありがとうユッキー!」ギュウウウウウ

雪穂「喜ぶのはまだ早いよ、プレゼントもあるんだから!」

雪穂「亜里沙ちゃんにも選ぶの手伝ってもらったんだから」フフン

雪穂「一生懸命選んだんだよ」ハイッ

穂乃果「わー、綺麗な赤いリボン!」

穂乃果「ありがとう、大事にするね!」スッ

雪穂「あ、待ってお姉ちゃん!」

雪穂「私が結んであげるから!」

穂乃果「うん、じゃあお願い」エヘヘ

雪穂「お願いされましたー」

穂乃果「ん……? どうして穂乃果の手を取るの」

雪穂「いいから私に任せて」

穂乃果「小指にリボンを結ぶの?」

雪穂「んっと、これでよしっと」キュッ

穂乃果「ユッキーと穂乃果の小指に赤いリボン?」

雪穂「本当のプレゼントは運命の赤い糸で結ばれた私だよ、なんて」カアアアアアアアア

穂乃果「ええっ!? ユキちゃんがプレゼント!?」

雪穂「だから私のこと好きにしていいよ……? たい焼きの時みたいにキスしてもいいし……」

穂乃果「で、でも、え、えーっと、姉妹だし……」アワアワ

雪穂「姉妹でも関係ない! 私はお姉ちゃんが好き! 大好き! だからお姉ちゃんのものになってもいい!」

雪穂「うぅん、お姉ちゃんのものになりたい!」カアアアアアアアア

穂乃果「……ユキちゃん」ギュッ

穂乃果「本当に穂乃果でいいの?」ポツリ

雪穂「お姉ちゃんがいいの」

穂乃果「穂乃果も雪穂がいい!」ギュウウウウウ

雪穂「ん、お姉ちゃんの鼓動伝わってくる」

雪穂「お姉ちゃんの心臓、すっごく早い」

穂乃果「ユキちゃんだって」

雪穂「好きな人に抱きしめられてるんだもん」

穂乃果「穂乃果だって好きな人を抱きしめてるからだもん」

雪穂「あのね、私お姉ちゃんの妹に産まれてよかったって思うこともあるけどお姉ちゃんの妹に産まれたことを恨むこともあるの」

雪穂「産まれてすぐにお姉ちゃんに会えて、ずっと暮らせたことは嬉しいけど、姉妹じゃお姉ちゃんと結ばれることなんてできない、って」

雪穂「他人に産まれれば、って……」

穂乃果「穂乃果は雪穂が妹でよかったって思うよ」

穂乃果「おかげでユキちゃんのこと誰よりも知ってるつもりだし、ずっとユキちゃんと一緒にいられる」

穂乃果「それって幸せなことだもん」エヘヘ

雪穂「お姉ちゃん……!」

雪穂「私もお姉ちゃんがお姉ちゃんでよかった!」ギュウウウウ

雪穂「改めて、お誕生日おめでとう、お姉ちゃん」

雪穂「あと、お姉ちゃんに産まれてきてくれて、ありがとう」

雪穂「大好きなお姉ちゃん」チュッ

終わり

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